コーティング装置
【課題】スプレーノズルの設置時や交換時の作業性が良く、しかも、構造の複雑化を伴わず、かつ、レイアウト面でも有利なコーティング装置を提供する。
【解決手段】回転ドラム2は、水平線に対して傾斜した軸線A回りに回転駆動され、その傾斜上方側となる一端部に開口部5を有している。スプレーノズルユニット10は、旋回アーム34に対して着脱自在に装着され、旋回アーム34は旋回軸34cを中心として旋回可能である。旋回アーム34の旋回動作により、スプレーノズルユニット10を回転ドラム2の内部と外部との間で出し入れすることができる。
【解決手段】回転ドラム2は、水平線に対して傾斜した軸線A回りに回転駆動され、その傾斜上方側となる一端部に開口部5を有している。スプレーノズルユニット10は、旋回アーム34に対して着脱自在に装着され、旋回アーム34は旋回軸34cを中心として旋回可能である。旋回アーム34の旋回動作により、スプレーノズルユニット10を回転ドラム2の内部と外部との間で出し入れすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、食品、農薬等の粉粒体のコーティング、混合、乾燥等を行なうコーティング装置に関し、特に、軸線回りに回転駆動される回転ドラムを備えたコーティング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、食品、農薬等の錠剤、ソフトカプセル、ペレット、顆粒、その他これらに類するもの(以下、これらを総称して粉粒体という。)にフィルムコーティングや糖衣コーティング等を施すために、回転ドラムを備えたコーティング装置が使用されている。
【0003】
この種のコーティング装置は、一般にパンコーティング装置とも呼ばれ、例えば下記の特許文献1〜6に記載されているように、回転ドラムは多角筒状又は円筒状の胴体部と、該胴体部から前後方向に延びる前壁部及び後壁部とを備え、水平な軸線回りに回転可能に配置される。胴体部の全周又は周囲複数箇所には多孔部で構成された通気部が設けられ、各通気部の外周側を通気ジャケットがそれぞれ覆って通気チャンネルが構成される。各通気チャンネルは、回転ドラムの回転に伴って所定位置に来た時に給気ダクト又は排気ダクトと連通し、これにより所定温度に温度制御された処理気体、例えば乾燥空気が給気ダクトから通気チャンネル及び通気部を介して回転ドラム内に給気され、また、回転ドラム内の乾燥空気が通気部及び通気チャンネルを介して排気ダクトに排気される。
【0004】
回転ドラムが所定方向に回転すると、回転ドラム内に粉粒体層(粉粒体粒子の転動床)が形成される。そして、回転ドラムの内部に配置されたスプレーノズルから粉粒体層に向けて膜剤液等のスプレー液が噴霧され、コーティング処理が行われる。
【0005】
スプレー液を噴霧するスプレーノズルは、特許文献1、2では、回転ドラムの内部に定置式に設置されたノズル支持部材に装着されている。このノズル支持部材は、特許文献1では、回転ドラムの後端部の側に設けられ中空状の駆動軸に嵌挿され、特許文献2では、回転ドラムの前端部に片持ち状に固定され、後端部の側に向けて延びている。一方、特許文献3では、ノズル支持部材は、スライド機構により、回転ドラムの軸線方向に移動可能に構成され、回転ドラムの前端部の開口部を介して出し入れ可能になっている。
【0006】
また、特許文献4、5に記載されているように、この種のコーティング装置では、コーティング処理後の粉粒体製品を自動排出するための排出機構を設ける場合が多い。この排出機構は、回転ドラムの内部に配設された排出部材を主体として構成され、排出時に回転ドラムを正転(粉粒体の処理時と同方向に回転)又は逆転(粉粒体の処理時と逆方向に回転)させることにより、回転ドラムの内部の粉粒体製品を排出部材で掬い上げて前端部の開口まで案内するものである。このような排出部材は、排出時にのみ回転ドラムに装着される場合もあるし(特許文献4)、あるいは、回転ドラムの内部に常設される場合もある(特許文献5)。前者の場合、排出時における回転ドラムの回転方向は排出部材の設置態様によって正転又は逆転方向の何れかになるが、後者の場合、排出時における回転ドラムの回転方向は必ず逆転方向になる。
【特許文献1】特開2003―1083号公報
【特許文献2】特開平7−328408号公報
【特許文献3】特表昭58−500748号公報
【特許文献4】特開2004−97853号公報
【特許文献5】特許2726062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
まず、スプレーノズルの配置に関して、特許文献1、2では、回転ドラムの内部に定置式に設置されたノズル支持部材にスプレーノズルを装着しているため、スプレーノズルの設置時や交換時に、回転ドラムの内部に手を入れて着脱作業を行う必要があり、作業性が良くないという問題がある。一方、特許文献3では、スプレーノズルの設置時や交換時に、ノズル支持部材をスライド機構により軸線方向に移動させて、回転ドラムの内部から引き出すことができるので、特許文献1、2に比べて作業性は良くなるが、スライド機構を別途設ける必要があるため、装置の構造が複雑になるという問題がある。また、ノズル支持部材を軸線方向に移動させて回転ドラムの外部に引き出す構成であるため、回転ドラムの前方側に比較的大きな空間スペースが必要なり、装置のレイアウトが難しくなる場合がある。
【0008】
つぎに、粉粒体製品の排出に関して、特許文献4、5の排出機構では、粉粒体製品の形状や性質、単位時間当たりの排出量、その他の条件によっては、粉粒体製品が排出経路に滞留して、効率的な排出が行われない場合がある。
【0009】
本発明の課題は、スプレーノズルの設置時や交換時の作業性が良く、しかも、構造の複雑化を伴わず、かつ、レイアウト面でも有利なコーティング装置を提供することである。
【0010】
本発明の他の課題は、粉粒体製品の効率的な排出が可能なコーティング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、処理すべき粉粒体が内部に収容される回転ドラムと、回転ドラムの内部に配置されたスプレーノズルユニットとを備えたコーティング装置において、回転ドラムは、水平線に対して傾斜した軸線回りに回転駆動され、かつ、その傾斜上方側となる一端部に開口部を有し、スプレーノズルユニットは、旋回アームに対して着脱自在に装着され、旋回アームは、回転ドラムの外部側に設置された旋回支点を中心として旋回可能であり、旋回アームの旋回動作により、スプレーノズルユニットを回転ドラムの内部と外部との間で出し入れ可能である構成を提供する。
【0012】
上記構成において、スプレーノズルユニットに接続されるスプレー液の液管を保持する液管ホルダーを設け、この液管ホルダーを旋回アームに着脱自在に装着することができる。
【0013】
また、上記構成において、スプレーノズルユニットに接続される圧縮エアーのエアー管を旋回アームの内部に挿通することができる。
【0014】
さらに、上記構成において、コーティング処理が完了した粉粒体製品を回転ドラムの内部から排出するための排出機構を設けると共に、粉粒体製品の排出経路の少なくとも一部の表面を、滑り性を良くするための凹凸形状が施された表面で構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
スプレーノズルの設置時や交換時に、スプレーノズルユニットを旋回アームの旋回動作により回転ドラムの外部に引き出すことができるので、スプレーノズルユニットの設置作業や交換作業を効率的に行うことができる。
【0016】
従来のスライド機構のような複雑な機構を設ける必要がなく、装置構造を簡単にすることができる。また、スプレーノズルユニットの出し入れを旋回動作により行う構成であるので、軸線方向の移動動作により出し入れを行う従来構成に比べて、回転ドラムの前方側に確保すべき空間スペースが小さくて済み、装置レイアウト面で有利になる。
【0017】
液管ホルダーを旋回アームに着脱自在に装着した構成とすることにより、スプレーノズルユニット、スプレー液の液管、及び液管ホルダーをアッセンブリした状態のまま、1組のカセットとして旋回アームに対して着脱することができるので、スプレーノズルユニットの設置作業や交換作業をより一層効率的に行うことが可能となる。
【0018】
スプレーノズルユニットに接続される圧縮エアーのエアー管を旋回アームの内部に挿通した構成とすることにより、エアー管が装置内外で露出する部分を減らして、装置全体の見栄えを良くすることができる。
【0019】
粉粒体製品の排出経路の少なくとも一部の表面を、滑り性を良くするための凹凸形状が施された表面で構成することにより、排出時における粉粒体製品の滞留がなくなり、効率的な排出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、この実施形態に係るコーティング装置1を示している。このコーティング装置1は、水平線に対して所定角度θ、例えばθ=30°で傾斜した軸線Aの回りに回転自在に配置された回転ドラム2と、回転ドラム2を正方向及び/又は逆方向に回転駆動させる回転駆動機構3とを備え、これらの回転ドラム2及び回転駆動機構3は、ステンレス鋼板等で形成されたケーシング4内に収容されている。
【0022】
回転駆動機構3は、例えば、減速機付き駆動モータ3aの回転動力を図示されていないチェーン、及びスプロケット3fを介して、回転ドラム2の後端部(傾斜下方側の端部)に連結された中空状の駆動軸3bに入力する構成とされている。この場合、駆動軸3bひいては回転ドラム2は、ケーシング4の内部仕切壁部4aにおける軸線Aと直角な傾斜壁部4a1に、軸受を介して回転自在に支持されている。すなわち、図8及び図9に示すように、傾斜壁部4a1に円筒状ハウジング3eが固定され、円筒状ハウジング3eの内孔に駆動軸3bが挿入されて軸受3cにより回転自在に支持されている。そして、駆動軸3bの後端部にスプロケット3fが一体回転可能に装着されている。
【0023】
図2に鎖線で示すように、回転ドラム2は、その軸線A方向に沿って、前端部(傾斜上方側の端部)、後端部(傾斜下方側の端部)、前端部と後端部とを連続させる周壁部2aとを備えている。この実施形態において、周壁部2aは多角筒状(横断面が多角形状)に形成され、また、周壁部2aは前端部及び後端部の側から軸線方向中央部側に向かって漸次に径が拡大する形状を有する。周壁部2aの大径部2a2を含む横断面は軸線Aと直交する多角形(例えば10角形)になっている。周壁部2aは、ステンレス鋼板等の通気孔(多孔部)を有しない金属板で形成され、大径部2a2から前端部側及び後端部側に向かって漸次に径が縮小した部分は、それぞれ、頂点が前側を指向する三角形部と頂点が後側を指向する三角形部とを交互に複数周方向に連ねることにより形成されている。一方、前端部は円環状部2a1で構成され、後端部は後述する通気機構6の第1ディスクプレート21で構成される。前端部は、その全域が開口しており、その開口部5が乾燥エアー(温風又は冷風)等の処理気体の通気口となる。尚、周壁部2aの内面には、必要に応じて、粉粒体層の混合攪拌用のバッフルを配設しても良い。
【0024】
図1に示すように、ケーシング4の前側の上面壁部には通気ダクト7が装着され、ケーシング4の後側の上面壁部には通気ダクト8が装着されている。
【0025】
ケーシング4の前側上方には、回転ドラム2の開口部5と通気ダクト7の通気口とを包含する処理気体の流通空間Sが形成されている。この流通空間Sの後方側は、回転ドラムの円環状部2a1の外周側に設けられたラビリンスシールRsによって外気と遮断(シール)されている。また、流通空間Sの前方側には開閉自在な前蓋31が設けられ、流通空間Sの下方側には排出バケット32が設けられている。この排出バケット32の排出口32aは、粉粒体(錠剤等)の処理時は閉じられ、粉粒体製品の排出時や装置内部の洗浄時等に開けられる。また、排出バケット32の下方には、排出シュート33が配設されている。この排出シュート33は、同図に鎖線で示すように、粉粒体製品の排出時等にケーシング4の外部に引き出すことができるようになっている。さらに、回転ドラム2の内部には、コーティング液等のスプレー液を噴霧するスプレーノズルユニット10が配置されている。
【0026】
図2及び図3に示すように、前蓋31は、ステンレス鋼板等で構成された枠部31aと、枠部31aの中央部に装着された点検窓部31bとで構成され、ケーシング4の前面壁部の一側寄りに設けられた旋回軸31cに旋回自在に枢着されている。点検窓部31bは、透明なガラス板やプラスチック板で形成され、点検窓部31bを介して外部から回転ドラム2の内部を視認できるようになっている。
【0027】
スプレーノズルユニット10は、旋回アーム34の先端部に着脱自在に装着されている。この実施形態において、スプレーノズルユニット10は、1又は複数、例えば2つのスプレーノズル10aと、スプレーノズル10aを支持するノズル支持部材10bとで構成される。各スプレーノズル10aは、それぞれノズル支持部材10bに支持金具で着脱自在に装着され、支持金具の調整により、ノズル支持部材10bの長手方向への位置と中心回りへの位置が調整可能なようになっている。また、この実施形態において、ノズル支持部材10bは洗浄液パイプ35を介して旋回アーム34に装着されている。すなわち、ノズル支持部材10bは洗浄液パイプ35に例えばねじ固定具10cで着脱自在に装着され、洗浄液パイプ35は旋回アーム34に例えばねじ固定具35a及びヘルールクランプ35bで着脱自在に装着されている。ただし、このような構成に限定されるものではなく、ノズル支持部材10b、ひいてはスプレーノズルユニット10は、直接、旋回アーム34の先端部に着脱自在に装着するようにしても良い。尚、洗浄液パイプ35には、図示されていない洗浄液管を介して洗浄液が供給される。そして、その洗浄液が、洗浄液パイプ35に接続された洗浄ノズル35cから回転ドラム2の内部に向けて噴出して、回転ドラム2の内部の洗浄が行われる。
【0028】
また、この実施形態において、旋回アーム34は、先端側の第1アーム部34aと基端側の第2アーム部34bとで構成され、第2アーム部34bの基端部は、ケーシング4の前面壁部の他側部に設けられた旋回軸34cに旋回自在に装着されている。
【0029】
第1アーム部34aは中空パイプ状をなし、その基端部は第2アーム部34bに例えばヘルールクランプ34cで接続されている。また、第1アーム34aの先端開口部には、図7に示すようなエアー管ホルダー34a1が嵌着されている。このエアー管ホルダー34a1は、比較的弾性の大きな樹脂材、例えばシリコン樹脂(SR50等)で形成され、1又は複数の貫通穴34a11を備えている。この貫通穴34a11には、スプレーノズル10aのエアー管、例えば可撓性のエアーホースが挿通保持される。
【0030】
図4は、旋回アーム34の第2アーム部34bを示している。第2アーム部34bは、例えば、中空横長四角形状の主部34b1と、主部34b1の先端部に接続された中空パイプ状のエルボ部34b2とを備えている。主部34b1の中空部とエルボ部34b2の中空部とは相互に連通している。また、主部34b1の先端部には、後述する液管ホルダー36又は37が嵌合装着されるコ字形の装着部34b11が設けられ、主部34b1の後端部には、旋回軸軸34cに枢着されるヒンジ34b12が設けられている。また、エルボ部34b2には、旋回アーム34を旋回操作する際に利用するグリップ34b21が取り付けられている。
【0031】
さらに、図2に示すように、主部34b1の内部壁には、エアーホースの案内管34b13が接続されている。この案内管34b13の中空部は主部34b1の中空部と相互に連通している。エアーホースは、案内管34b13を介して主部34b1の中空部に導かれ、主部34b1及びエルボ部34b2の中空部を通ってエアー管ホルダー34a1の貫通穴34a11から引き出され、そして、各スプレーノズル10aにそれぞれ接続される。通常、各スプレーノズル10aには、噴霧化エアー(アトマイズエアー)用、スプレーパターン調整エアー用、及びノズル開閉エアー(スプレーノズル10aのニードルを作動させるためのエアー)用の3本のエアーホースがそれぞれ接続される。
【0032】
図5と図6は、それぞれ、液管ホルダー36、37を示している。これら液管ホルダー36、37は、比較的弾性の大きな樹脂材、例えばシリコン樹脂(SR50等)で形成されている。
【0033】
図5に示す液管ホルダー36は、糖衣コーティング時(又はチョコレートコーティング時)に使用するものである。この液管ホルダー36は、2本の液管、例えば2本の可撓性の液ホースを挿通して保持するための2つの保持穴36a1、36a2を有している。2つの保持穴のうち、例えば一方の保持穴36a1には送液ホースが挿通保持され、他方の保持穴36a2には戻り液ホースが挿通保持される。保持穴36a1に挿通保持された送液ホースと保持穴36a2に挿通保持された戻り液ホースは下流側で分岐継手に接続され、分岐継手から各スプレーノズル10aにそれぞれ給液ホースが分岐接続される。そして、スプレー液の噴霧時(スプレーノズル10aが開いている時)、圧送ポンプから圧送されるスプレー液は送液ホースから分岐継手に入り、分岐継手から各給液ホースに分岐して各スプレーノズル10aに供給される。一方、スプレーノズル10aが閉じている時、圧送ポンプから圧送されるスプレー液は送液ホースから分岐継手に入り、分岐継手から戻り液ホースを通って液タンクに戻される。
【0034】
図6に示す液管ホルダー37は、フィルムコーティング時に使用するものである。フィルムコーティングの場合、粉粒体層に対してより均一にスプレー液を噴霧するため、各スプレーノズル10aに対してそれぞれ個別の圧送ポンプからスプレー液を供給するようにしている。この液管ホルダー37は、4本の液管、例えば4本の可撓性の液ホースを挿通して保持するための4つの保持穴37a1、37a2、37a3、37a4を有している。例えば、4つの保持穴37a1、37a2、37a3、37a4のうち、2つの保持穴37a1、37a2には送液ホースがそれぞれ挿通保持され、残りの2つの保持穴37a3、37a4にはそれぞれ戻り液ホースが挿通保持される。保持穴37a1に挿通保持された送液ホースと保持穴37a3に挿通保持された戻り液ホースは下流側で分岐継手に接続され、分岐継手から一方のスプレーノズル10aに給液ホースが接続される。また、保持穴37a2に挿通保持された送液ホースと保持穴37a4に挿通保持された戻り液ホースは下流側で他の分岐継手に接続され、この分岐継手から他方のスプレーノズル10aに給液ホースが接続される。そして、スプレー液の噴霧時(スプレーノズル10aが開いている時)、各圧送ポンプから圧送されるスプレー液はそれぞれ送液ホースから分岐継手に入り、分岐継手から給液ホースを通って各スプレーノズル10aに供給される。一方、スプレーノズルが閉じている時、各圧送ポンプから圧送されるスプレー液はそれぞれ送液ホースから分岐継手に入り、分岐継手から戻り液ホースを通って液タンクに戻される。尚、この実施形態の液管ホルダー37は、2つのスプレーノズル10aを設置する場合に対応したものであるが、スプレーノズル10aを3つ以上設置する場合は、スプレーノズル10aの設置数に対応する数の保持穴を設ければ良い。たとえば、3つのスプレーノズル10aを設置する場合は、送液ホース用に3つの保持穴を設け、戻り液ホース用に3つの保持穴を設ける。
【0035】
図5に示す液管ホルダー36と図6に示す液管ホルダー37は、コーティング処理の種類、すなわち、糖衣コーティング(又はチョコレートコーティング)とフィルムコーティングに応じて択一的に選択されて、図4に示す第2アーム部34b(主部34b1)の装着部34b11に嵌合装着される。液管ホルダー36と液管ホルダー37は、いずれも、比較的弾性の大きなシリコン樹脂で形成しているので、第2アーム部34bの装着部34b11に適当な締代を与えて嵌合すると、装着部34b11によく密着して、装着部34b11との嵌合部分をシールする効果が得られる。また、送液ホースや戻り液ホースの外径に応じて保持穴(36a1、36a2、37a1、37a2、37a3、37a4)の穴径を適宜設定することにより、送液ホースや戻り液ホースの挿通部分をシールする効果も得られる。
【0036】
図2に鎖線で示すように、前蓋31は、旋回軸31cを中心として旋回させることにより、開閉することができる。また、前蓋31を開いた状態にし、旋回アーム34を旋回軸34cを中心として旋回させることにより、スプレーノズルユニット10を回転ドラム2の開口部5を介して内部に収容し、また、スプレーノズルユニット10を回転ドラム2の内部から開口部5を介してケーシング4の外部に取り出すことができる。例えば、コーティングの種類や操作条件等に応じてスプレーノズルユニット10を交換する場合には、まず、前蓋31を開き、グリップ34b21を把持しながら旋回アーム34を旋回させて、スプレーノズルユニット10を回転ドラム2の内部からケーシング4の外部に取り出す。つぎに、各スプレーノズル10aに接続されているエアーホースを外し、ノズル支持部材10bと洗浄液パイプ35とを接続しているねじ固定具10cを緩めて、スプレーノズルユニット10を旋回アーム34から取り外す。その後、液管ホルダー36(又は37)を第2アーム部34bの装着部34b11から取り外すと、スプレーノズルユニット10、液ホース、及び液管ホルダー36(又は37)をアッセンブリした状態のまま、1組のカセットとして取り外すことができる。そして、新たに使用するスプレーノズルユニット10、液ホース、及び液管ホルダー36(又は37)をアッセンブリした他のカセットを用意し、そのカセットの液管ホルダー36(又は37)を第2アーム部34bの装着部34b11に嵌合装着すると共に、ノズル支持部材10bを旋回アーム34、この例では洗浄液パイプ35にねじ固定具10cで装着する。その後、スプレーノズルユニット10の各スプレーノズル10aにエアーホースを接続する。
【0037】
図8及び図9に示すように、回転ドラム2の後端部の側には、通気機構6が配設されている。この通気機構6は、回転ドラム2の後端部を構成する第1ディスクプレート21と、第1ディスクプレート21に対向配置された第2ディスクプレート22とを備えている。第1ディスクプレート21は回転ドラム2と伴に回転し、第2ディスクプレート22は回転しない。この実施形態において、第2ディスクプレート22は、第1ディスクプレート21に対して軸線方向にスライド可能である。
【0038】
図10に示すように、第1ディスクプレート21は、回転ドラム2の軸線Aを中心とする単一の円環形状に沿って配列された多孔部からなる通気口21aを有し、その外面側(後面側)に図1に示す駆動軸3bが連結されている。この実施形態において、通気口21aは、第1ディスクプレート21の本体に上記円環形状に沿うように周方向に分散して形成された複数の貫通孔に、それぞれ、パンチングメタル等でなる多孔板を装着することにより構成されている。なお、通気口21aは上記円環形状の全周に亘るものであっても良い。また、通気口21aの外周縁部は、周壁部2aの傾斜下方側の端部と略一致している。
【0039】
また、第1ディスクプレート21の内面21cの中心領域には隆起部21bが形成されている。この実施形態において、隆起部21bは半球状の形態をなし、また、図8及び図9に示すように、中空状の形態をなしている。また、この実施形態において、隆起部21bはその中心が内面21cの中心(軸線A)と一致するように配され、内面21cにボルト等の適宜の手段によって固定されている。
【0040】
一方、第2ディスクプレート22は、その外径が第1ディスクプレート21の通気口21aの外径よりも大きく且つその内径が通気口21aの内径よりも小さい円環形状のプレートであって、複数(例えば2個)の流体圧シリンダとしての第2エアシリンダ19によって軸線Aに沿う方向にスライド駆動される。詳述すると、図8に示すように、第2ディスクプレート22の後方側において、ケーシング4の内部仕切壁部4aの傾斜壁部4a1に、軸線Aと平行に第2エアシリンダ19が設置されており、第2エアシリンダ19のピストンロッド19aの先端が第2ディスクプレート22に連結されている。また、図9に示すように、第2ディスクプレート22の後方側には、複数(例えば2個)のガイド機構20が配設されている。このガイド機構20は、ケーシング4の内部仕切壁部4aの傾斜壁部4a1に固定されたガイド部材20aと、ガイド部材20aに軸線Aと平行な方向にスライド可能に支持されたガイドロッド20bとを有し、このガイドロッド20bの先端に第2ディスクプレート22が連結されている。
【0041】
そして、図11に示すように(第2ディスクプレート22を後方側から見ている。)、第2ディスクプレート22の一部領域に連通孔22aが形成されている。粉粒体の処理時に回転ドラム2が同図で反時計方向に回転する場合、連通孔22aは、第2ディスクプレート22の同図で右斜め下方側の区域に形成される。一般的に述べれば、第2ディスクプレート22の連通孔22aは、回転ドラム2の回転時(粉粒体の処理時)に、粉粒体層11とオーバーラップする位置に形成される。
【0042】
また、第2ディスクプレート22の外面(後面)には、連通孔22aを覆うようにして通気ダクト8の通気口が接続されており、第1ディスクプレート21の通気口21aは、第2ディスクプレート22の連通孔22aとオーバーラップする所定位置で通気ダクト8と連通する。したがって、回転ドラム2の回転時、回転ドラム2の内部空間と通気ダクト8とは、第1ディスクプレート21の通気口21aと第2ディスクプレート22の連通孔22aとがオーバーラップする所定位置で相互に連通する。
【0043】
図8に実線で示すように、第2ディスクプレート22は、粉粒体の処理時は、第2エアシリンダ19の伸張により押圧されて、第1ディスクプレート21と僅かな隙間を介して対向した状態となる。そして、第1ディスクプレート21と第2ディスクプレート22との両対向面間の隙間は、ラビリンスシールRxによってシールされる。このラビリンスシールRxは、第1ディスクプレート21の通気口21a及び第2ディスクプレート22の連通孔22aの外周側と内周側にそれぞれ配設されている。図8に鎖線で示すように、第2ディスクプレート22は、装置の洗浄時や洗浄後の点検時等に、第2エアシリンダ19の収縮動作により軸線方向にスライド駆動されて、第1ディスクプレート21から離反した状態となる。
【0044】
図1に示すように、通気ダクト8は、ケーシング4内で分離可能に構成されており、第2ディスクプレート22がスライド移動して第1ディスクプレート21から離反したときに、通気ダクト8が分離されるようになっている。すなわち、通気ダクト8は、ケーシング4の上面壁部に取り付けられた第1部分8aと、第2ディスクプレート22に取り付けられた第2部分8bとを有し、粉粒体の処理時は、第1部分8aの接合端面と第2部分8bの接合端面とが、少なくとも一方に装着されたOリング等のシール部材を介して相互に接合された状態にある。このような状態から、第2ディスクプレート22がスライド移動して第1ディスクプレート21から離反してゆくと、同図に鎖線で示すように、第2部分8bが第2ディスクプレート22と伴に移動して第1部分8aから分離される。このとき、第2部分8bは第2ディスクプレート22のスライド移動方向、すなわち、軸線Aに沿って斜め下方に移動するため、第1部分8aと第2部分8bとの分離は円滑に行なわれる。
【0045】
この実施形態のコーティング装置1を用いて粉粒体(錠剤等)のコーティング処理を行う際、回転ドラム2の一端部の開口部5と他端部の通気口21aを介して、回転ドラム2の内部に対する乾燥エアー等の処理気体の給排気を行う。この実施形態では、回転ドラム2の一端部側を給気側、他端部側を排気側にしている。この場合、回転ドラム2の一端部の開口部5が給気口(以下、「給気口5」という。)、一端部側の通気ダクト7が給気ダクト(以下、「給気ダクト7」という。)、他端部の通気口21aが排気口(以下、「排気口21a」という。)、他端部側の通気ダクト8が排気ダクト(以下、「排気ダクト8」という。)となる。もちろん、使用条件や処理条件等によっては、回転ドラム2の一端部側を排気側、他端部側を給気側にすることもできる。
【0046】
コーティング処理すべき錠剤等の粉粒体は、回転ドラム2の一端部の開口部5から回転ドラム2の内部に投入される。そして、回転ドラム2が回転駆動機構3により回転駆動され、水平線に対して所定角度θをもって傾斜した軸線Aの回りに回転すると、回転ドラム2の回転に伴い、内部の粉粒体が攪拌混合されて粉粒体層(転動床)11が形成される。回転ドラム2の軸線Aが所定角度θで傾斜しているため、粉粒体層11の表面層は、軸線A方向には、図1に示すように、回転ドラム2の周壁部2aと後端部の第1ディスクプレート21とに亘るように形成され、回転方向には、回転方向後方から前方にかけて傾斜状に持ち上げられるように形成される。
【0047】
上記のような粉粒体層11に対して、スプレーノズル10aからコーティング液等のスプレー液が噴霧される。粉粒体層11に噴霧されたスプレー液は、回転ドラム2の回転に伴う粉粒体層11の攪拌混合作用によって、各粉粒体粒子の表面に展延される。
【0048】
粉粒体粒子の表面に展延されたスプレー液は、回転ドラム2の内部に供給される処理気体(温風等)によって乾燥される。この処理気体は、給気ダクト7の通気口7aから回転ドラム2の一端部の給気口5を介して回転ドラム2の内部に流入し、粉粒体層11の中を通過して、第1ディスクプレート21の排気口21a及び第2ディスクプレート22の連通孔22aを介して排気ダクト8に流出する。処理気体が粉粒体層11の中を通過することにより、各粉粒体粒子の表面に展延されたスプレー液が斑なく均一に乾燥され、高い品質のコーティング被膜が形成される。
【0049】
また、コーティング処理時に、必要に応じて、ケーシング4の上面壁部に配設されている噴射ノズル14から回転ドラム2の周壁部2aに向けて冷水又は温水を噴射させて、回転ドラム2を外周側から冷却又は加熱することができる。例えば、糖衣コーティング時には回転ドラム2を冷却し、チョコレートコーティング時には回転ドラム2を加熱し、フィルムコーティング時には処理条件によって回転ドラム2を冷却又は加熱する。尚、冷却加熱手段として、冷水や温水のほか、冷風や温風、ヒータ(例えば赤外線ヒータ)等を用いても良い。
【0050】
この実施形態のコーティング装置1は、回転ドラム2の軸線Aが水平線に対して所定角度θで傾斜していることにより、回転ドラム2の内部で処理し得る粉粒体の容積量が多くなるので、1回当りの処理量を従来装置よりも増やして、生産効率の向上を図ることができる。
【0051】
また、回転ドラム2が傾斜した軸線Aの回りに回転することにより、回転ドラム2の内部に収容された粉粒体は、回転ドラム2の回転に伴い、回転方向への動きと軸線方向への動きとを伴った状態で流動するので、粉粒体層の攪拌混合効果が高い。特に、この実施形態の回転ドラム2は、周壁部2aが多角筒状に形成されており、回転方向への粉粒体の流動促進が図られている。さらに、回転ドラム2の傾斜下方側に位置する他端部(第1ディスクプレート21)の内面21cの中心領域に隆起部21bが形成されており、図8及び図9に模式的に示すように、回転ドラム2の回転に伴って回転方向前方に持ち上げられた他端部(第1ディスクプレート21)近傍の粉粒体11が、自重(重力)により流動して回転方向後方に戻る際に隆起部21bの表面に接触し、隆起部21bの表面に案内されて傾斜上方側へ流動せしめられる。そのため、他端部(第1ディスクプレート21)近傍における粉粒体11の滞留現象が生じにくくなる。そして、これらの流動促進効果(攪拌混合促進効果)により、粉粒体層11の局部的な過剰湿潤や乾燥斑等が防止され、コーティング処理の品質及び製品収率が向上する。
【0052】
コーティング処理が完了した粉粒体製品は、例えば以下に説明する態様で回転ドラムの内部2から自動排出される。
【0053】
図12に示すように、コーティング処理が完了した後、回転ドラム2の回転を止めて、回転ドラム2の内部に排出部材40を配設する。排出部材40は、筒状の案内部40aと、案内部40aの先端に設けられた掬い上げ部40bとで構成される。掬い上げ部40bは、排出時における回転ドラム2の回転方向に対して、回転方向前方側に位置する前縁部40b1と回転方向後方側に位置する後縁部40b2とを有している。掬い上げ部40bの前縁部40b1は、回転ドラム2の内面と接触するように、あるいは、回転ドラム2の内面との間に僅かな隙間を有するように設置される。この場合の隙間は、粉粒体製品が通過できないような大きさに設定される。排出部材40は、回転ドラム2の軸線Aに対して回転方向に傾斜状させた状態で配設され、案内部40aの先端外周部に設けられた取付け脚40a1を回転ドラム2の前端部の円環状部2a1にボルト等で取り付けられる。
【0054】
排出部材40を回転ドラム2に取り付けた後、回転ドラム2を所定方向に回転させる。そうすると、排出部材40が回転ドラム2と伴に所定方向に回転し、その掬い上げ部40bの前縁部40b1により回転ドラム2の内部の粉粒体製品が掬い上げられる。掬い上げられた粉粒体製品は、排出部材40の回転に伴い、掬い上げ部40bの内面を自重により滑り落ちて案内部40aに入り、案内部40aの内部を通って排出バケット32に排出される。そして、排出バケット32の排出口32aから図1に示す排出シュート33に排出される。尚、粉粒体製品の排出時、排出シュート33は、その排出口33aがケーシング4の外部に位置するように、ケーシング4からその一部が引き出されている。また、排出シュート33の下方には、粉粒体製品を収容する容器が設置される(図示省略)。
【0055】
上記のように、粉粒体製品は、排出部材40→排出バケット32→排出シュート33といった排出経路を経て装置外部に排出されるが、粉粒体製品の形状や性質、単位時間当たりの排出量、その他の条件によっては、粉粒体製品が排出経路に滞留して、効率的な排出が行われない場合がある。そこで、この実施形態では、排出経路を構成する排出部材40の掬い上げ部40b、排出バケット32、及び排出シュート33を、図13に示すような、滑り性を良くするための凹凸形状を表面41aに施した金属板41、例えばステンレス鋼板で形成した。同図に示すステンレス鋼板41は、ステンレス鋼平板をプレス加工して、その一方の表面41aに多数の部分球形又は部分楕円球形の凸部41a1を湾曲状に隆起形成したもので、例えば高砂鐵工(株)から「ランナーステンレス」の商品名で市販されている。
【0056】
排出部材40の掬い上げ部40b、排出バケット32、及び排出シュート33を上記のようなステンレス鋼板41で形成し、それらの内面を、滑り性を良くするための凹凸形状を施した表面41aで構成することにより、排出経路における粉粒体製品の滞留がなくなり、効率的な排出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態に係るコーティング装置の全体構成を示す一部縦断面図である。
【図2】コーティング装置を前方部分を示す一部断面図である。
【図3】コーティング装置の正面図である。
【図4】旋回アームの第2アーム部を示す側面図{図4(a)}、平面図{図4(b)}である。
【図5】液管ホルダーを示す断面図{図5(a):図5(b)a−a断面}、正面図{図5(b)}、断面図{図5(c):図5(b)のc−c断面}である。
【図6】液管ホルダーを示す断面図{図6(a):図6(b)a−a断面}、正面図{図6(b)}、断面図{図6(c):図6(b)のc−c断面}である。
【図7】エアー管ホルダーを示す正面図{図7(a)}、側面図{図7(b)}である。
【図8】回転ドラムの後方部分を示す一部断面図である。
【図9】回転ドラムの後方部分を示す一部断面図である。
【図10】第1ディスクプレートの正面図(前方から見た図)である。
【図11】第2ディスクプレートを後方から見た図である。
【図12】回転ドラムに排出部材を取り付けた状態を示す一部断面図{図12(a)}、排出部材の正面図{図12(b)}である。
【図13】排出経路を構成するステンレス鋼板を模式的に示す平面図{図13(a)}、断面図{図13(b)}である。
【符号の説明】
【0058】
1 コーティング装置
2 回転ドラム
5 開口部
10 スプレーノズルユニット
34 旋回アーム
34c 旋回軸
36 液管ホルダー
37 液管ホルダー
40 排出部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、食品、農薬等の粉粒体のコーティング、混合、乾燥等を行なうコーティング装置に関し、特に、軸線回りに回転駆動される回転ドラムを備えたコーティング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、食品、農薬等の錠剤、ソフトカプセル、ペレット、顆粒、その他これらに類するもの(以下、これらを総称して粉粒体という。)にフィルムコーティングや糖衣コーティング等を施すために、回転ドラムを備えたコーティング装置が使用されている。
【0003】
この種のコーティング装置は、一般にパンコーティング装置とも呼ばれ、例えば下記の特許文献1〜6に記載されているように、回転ドラムは多角筒状又は円筒状の胴体部と、該胴体部から前後方向に延びる前壁部及び後壁部とを備え、水平な軸線回りに回転可能に配置される。胴体部の全周又は周囲複数箇所には多孔部で構成された通気部が設けられ、各通気部の外周側を通気ジャケットがそれぞれ覆って通気チャンネルが構成される。各通気チャンネルは、回転ドラムの回転に伴って所定位置に来た時に給気ダクト又は排気ダクトと連通し、これにより所定温度に温度制御された処理気体、例えば乾燥空気が給気ダクトから通気チャンネル及び通気部を介して回転ドラム内に給気され、また、回転ドラム内の乾燥空気が通気部及び通気チャンネルを介して排気ダクトに排気される。
【0004】
回転ドラムが所定方向に回転すると、回転ドラム内に粉粒体層(粉粒体粒子の転動床)が形成される。そして、回転ドラムの内部に配置されたスプレーノズルから粉粒体層に向けて膜剤液等のスプレー液が噴霧され、コーティング処理が行われる。
【0005】
スプレー液を噴霧するスプレーノズルは、特許文献1、2では、回転ドラムの内部に定置式に設置されたノズル支持部材に装着されている。このノズル支持部材は、特許文献1では、回転ドラムの後端部の側に設けられ中空状の駆動軸に嵌挿され、特許文献2では、回転ドラムの前端部に片持ち状に固定され、後端部の側に向けて延びている。一方、特許文献3では、ノズル支持部材は、スライド機構により、回転ドラムの軸線方向に移動可能に構成され、回転ドラムの前端部の開口部を介して出し入れ可能になっている。
【0006】
また、特許文献4、5に記載されているように、この種のコーティング装置では、コーティング処理後の粉粒体製品を自動排出するための排出機構を設ける場合が多い。この排出機構は、回転ドラムの内部に配設された排出部材を主体として構成され、排出時に回転ドラムを正転(粉粒体の処理時と同方向に回転)又は逆転(粉粒体の処理時と逆方向に回転)させることにより、回転ドラムの内部の粉粒体製品を排出部材で掬い上げて前端部の開口まで案内するものである。このような排出部材は、排出時にのみ回転ドラムに装着される場合もあるし(特許文献4)、あるいは、回転ドラムの内部に常設される場合もある(特許文献5)。前者の場合、排出時における回転ドラムの回転方向は排出部材の設置態様によって正転又は逆転方向の何れかになるが、後者の場合、排出時における回転ドラムの回転方向は必ず逆転方向になる。
【特許文献1】特開2003―1083号公報
【特許文献2】特開平7−328408号公報
【特許文献3】特表昭58−500748号公報
【特許文献4】特開2004−97853号公報
【特許文献5】特許2726062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
まず、スプレーノズルの配置に関して、特許文献1、2では、回転ドラムの内部に定置式に設置されたノズル支持部材にスプレーノズルを装着しているため、スプレーノズルの設置時や交換時に、回転ドラムの内部に手を入れて着脱作業を行う必要があり、作業性が良くないという問題がある。一方、特許文献3では、スプレーノズルの設置時や交換時に、ノズル支持部材をスライド機構により軸線方向に移動させて、回転ドラムの内部から引き出すことができるので、特許文献1、2に比べて作業性は良くなるが、スライド機構を別途設ける必要があるため、装置の構造が複雑になるという問題がある。また、ノズル支持部材を軸線方向に移動させて回転ドラムの外部に引き出す構成であるため、回転ドラムの前方側に比較的大きな空間スペースが必要なり、装置のレイアウトが難しくなる場合がある。
【0008】
つぎに、粉粒体製品の排出に関して、特許文献4、5の排出機構では、粉粒体製品の形状や性質、単位時間当たりの排出量、その他の条件によっては、粉粒体製品が排出経路に滞留して、効率的な排出が行われない場合がある。
【0009】
本発明の課題は、スプレーノズルの設置時や交換時の作業性が良く、しかも、構造の複雑化を伴わず、かつ、レイアウト面でも有利なコーティング装置を提供することである。
【0010】
本発明の他の課題は、粉粒体製品の効率的な排出が可能なコーティング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、処理すべき粉粒体が内部に収容される回転ドラムと、回転ドラムの内部に配置されたスプレーノズルユニットとを備えたコーティング装置において、回転ドラムは、水平線に対して傾斜した軸線回りに回転駆動され、かつ、その傾斜上方側となる一端部に開口部を有し、スプレーノズルユニットは、旋回アームに対して着脱自在に装着され、旋回アームは、回転ドラムの外部側に設置された旋回支点を中心として旋回可能であり、旋回アームの旋回動作により、スプレーノズルユニットを回転ドラムの内部と外部との間で出し入れ可能である構成を提供する。
【0012】
上記構成において、スプレーノズルユニットに接続されるスプレー液の液管を保持する液管ホルダーを設け、この液管ホルダーを旋回アームに着脱自在に装着することができる。
【0013】
また、上記構成において、スプレーノズルユニットに接続される圧縮エアーのエアー管を旋回アームの内部に挿通することができる。
【0014】
さらに、上記構成において、コーティング処理が完了した粉粒体製品を回転ドラムの内部から排出するための排出機構を設けると共に、粉粒体製品の排出経路の少なくとも一部の表面を、滑り性を良くするための凹凸形状が施された表面で構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
スプレーノズルの設置時や交換時に、スプレーノズルユニットを旋回アームの旋回動作により回転ドラムの外部に引き出すことができるので、スプレーノズルユニットの設置作業や交換作業を効率的に行うことができる。
【0016】
従来のスライド機構のような複雑な機構を設ける必要がなく、装置構造を簡単にすることができる。また、スプレーノズルユニットの出し入れを旋回動作により行う構成であるので、軸線方向の移動動作により出し入れを行う従来構成に比べて、回転ドラムの前方側に確保すべき空間スペースが小さくて済み、装置レイアウト面で有利になる。
【0017】
液管ホルダーを旋回アームに着脱自在に装着した構成とすることにより、スプレーノズルユニット、スプレー液の液管、及び液管ホルダーをアッセンブリした状態のまま、1組のカセットとして旋回アームに対して着脱することができるので、スプレーノズルユニットの設置作業や交換作業をより一層効率的に行うことが可能となる。
【0018】
スプレーノズルユニットに接続される圧縮エアーのエアー管を旋回アームの内部に挿通した構成とすることにより、エアー管が装置内外で露出する部分を減らして、装置全体の見栄えを良くすることができる。
【0019】
粉粒体製品の排出経路の少なくとも一部の表面を、滑り性を良くするための凹凸形状が施された表面で構成することにより、排出時における粉粒体製品の滞留がなくなり、効率的な排出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、この実施形態に係るコーティング装置1を示している。このコーティング装置1は、水平線に対して所定角度θ、例えばθ=30°で傾斜した軸線Aの回りに回転自在に配置された回転ドラム2と、回転ドラム2を正方向及び/又は逆方向に回転駆動させる回転駆動機構3とを備え、これらの回転ドラム2及び回転駆動機構3は、ステンレス鋼板等で形成されたケーシング4内に収容されている。
【0022】
回転駆動機構3は、例えば、減速機付き駆動モータ3aの回転動力を図示されていないチェーン、及びスプロケット3fを介して、回転ドラム2の後端部(傾斜下方側の端部)に連結された中空状の駆動軸3bに入力する構成とされている。この場合、駆動軸3bひいては回転ドラム2は、ケーシング4の内部仕切壁部4aにおける軸線Aと直角な傾斜壁部4a1に、軸受を介して回転自在に支持されている。すなわち、図8及び図9に示すように、傾斜壁部4a1に円筒状ハウジング3eが固定され、円筒状ハウジング3eの内孔に駆動軸3bが挿入されて軸受3cにより回転自在に支持されている。そして、駆動軸3bの後端部にスプロケット3fが一体回転可能に装着されている。
【0023】
図2に鎖線で示すように、回転ドラム2は、その軸線A方向に沿って、前端部(傾斜上方側の端部)、後端部(傾斜下方側の端部)、前端部と後端部とを連続させる周壁部2aとを備えている。この実施形態において、周壁部2aは多角筒状(横断面が多角形状)に形成され、また、周壁部2aは前端部及び後端部の側から軸線方向中央部側に向かって漸次に径が拡大する形状を有する。周壁部2aの大径部2a2を含む横断面は軸線Aと直交する多角形(例えば10角形)になっている。周壁部2aは、ステンレス鋼板等の通気孔(多孔部)を有しない金属板で形成され、大径部2a2から前端部側及び後端部側に向かって漸次に径が縮小した部分は、それぞれ、頂点が前側を指向する三角形部と頂点が後側を指向する三角形部とを交互に複数周方向に連ねることにより形成されている。一方、前端部は円環状部2a1で構成され、後端部は後述する通気機構6の第1ディスクプレート21で構成される。前端部は、その全域が開口しており、その開口部5が乾燥エアー(温風又は冷風)等の処理気体の通気口となる。尚、周壁部2aの内面には、必要に応じて、粉粒体層の混合攪拌用のバッフルを配設しても良い。
【0024】
図1に示すように、ケーシング4の前側の上面壁部には通気ダクト7が装着され、ケーシング4の後側の上面壁部には通気ダクト8が装着されている。
【0025】
ケーシング4の前側上方には、回転ドラム2の開口部5と通気ダクト7の通気口とを包含する処理気体の流通空間Sが形成されている。この流通空間Sの後方側は、回転ドラムの円環状部2a1の外周側に設けられたラビリンスシールRsによって外気と遮断(シール)されている。また、流通空間Sの前方側には開閉自在な前蓋31が設けられ、流通空間Sの下方側には排出バケット32が設けられている。この排出バケット32の排出口32aは、粉粒体(錠剤等)の処理時は閉じられ、粉粒体製品の排出時や装置内部の洗浄時等に開けられる。また、排出バケット32の下方には、排出シュート33が配設されている。この排出シュート33は、同図に鎖線で示すように、粉粒体製品の排出時等にケーシング4の外部に引き出すことができるようになっている。さらに、回転ドラム2の内部には、コーティング液等のスプレー液を噴霧するスプレーノズルユニット10が配置されている。
【0026】
図2及び図3に示すように、前蓋31は、ステンレス鋼板等で構成された枠部31aと、枠部31aの中央部に装着された点検窓部31bとで構成され、ケーシング4の前面壁部の一側寄りに設けられた旋回軸31cに旋回自在に枢着されている。点検窓部31bは、透明なガラス板やプラスチック板で形成され、点検窓部31bを介して外部から回転ドラム2の内部を視認できるようになっている。
【0027】
スプレーノズルユニット10は、旋回アーム34の先端部に着脱自在に装着されている。この実施形態において、スプレーノズルユニット10は、1又は複数、例えば2つのスプレーノズル10aと、スプレーノズル10aを支持するノズル支持部材10bとで構成される。各スプレーノズル10aは、それぞれノズル支持部材10bに支持金具で着脱自在に装着され、支持金具の調整により、ノズル支持部材10bの長手方向への位置と中心回りへの位置が調整可能なようになっている。また、この実施形態において、ノズル支持部材10bは洗浄液パイプ35を介して旋回アーム34に装着されている。すなわち、ノズル支持部材10bは洗浄液パイプ35に例えばねじ固定具10cで着脱自在に装着され、洗浄液パイプ35は旋回アーム34に例えばねじ固定具35a及びヘルールクランプ35bで着脱自在に装着されている。ただし、このような構成に限定されるものではなく、ノズル支持部材10b、ひいてはスプレーノズルユニット10は、直接、旋回アーム34の先端部に着脱自在に装着するようにしても良い。尚、洗浄液パイプ35には、図示されていない洗浄液管を介して洗浄液が供給される。そして、その洗浄液が、洗浄液パイプ35に接続された洗浄ノズル35cから回転ドラム2の内部に向けて噴出して、回転ドラム2の内部の洗浄が行われる。
【0028】
また、この実施形態において、旋回アーム34は、先端側の第1アーム部34aと基端側の第2アーム部34bとで構成され、第2アーム部34bの基端部は、ケーシング4の前面壁部の他側部に設けられた旋回軸34cに旋回自在に装着されている。
【0029】
第1アーム部34aは中空パイプ状をなし、その基端部は第2アーム部34bに例えばヘルールクランプ34cで接続されている。また、第1アーム34aの先端開口部には、図7に示すようなエアー管ホルダー34a1が嵌着されている。このエアー管ホルダー34a1は、比較的弾性の大きな樹脂材、例えばシリコン樹脂(SR50等)で形成され、1又は複数の貫通穴34a11を備えている。この貫通穴34a11には、スプレーノズル10aのエアー管、例えば可撓性のエアーホースが挿通保持される。
【0030】
図4は、旋回アーム34の第2アーム部34bを示している。第2アーム部34bは、例えば、中空横長四角形状の主部34b1と、主部34b1の先端部に接続された中空パイプ状のエルボ部34b2とを備えている。主部34b1の中空部とエルボ部34b2の中空部とは相互に連通している。また、主部34b1の先端部には、後述する液管ホルダー36又は37が嵌合装着されるコ字形の装着部34b11が設けられ、主部34b1の後端部には、旋回軸軸34cに枢着されるヒンジ34b12が設けられている。また、エルボ部34b2には、旋回アーム34を旋回操作する際に利用するグリップ34b21が取り付けられている。
【0031】
さらに、図2に示すように、主部34b1の内部壁には、エアーホースの案内管34b13が接続されている。この案内管34b13の中空部は主部34b1の中空部と相互に連通している。エアーホースは、案内管34b13を介して主部34b1の中空部に導かれ、主部34b1及びエルボ部34b2の中空部を通ってエアー管ホルダー34a1の貫通穴34a11から引き出され、そして、各スプレーノズル10aにそれぞれ接続される。通常、各スプレーノズル10aには、噴霧化エアー(アトマイズエアー)用、スプレーパターン調整エアー用、及びノズル開閉エアー(スプレーノズル10aのニードルを作動させるためのエアー)用の3本のエアーホースがそれぞれ接続される。
【0032】
図5と図6は、それぞれ、液管ホルダー36、37を示している。これら液管ホルダー36、37は、比較的弾性の大きな樹脂材、例えばシリコン樹脂(SR50等)で形成されている。
【0033】
図5に示す液管ホルダー36は、糖衣コーティング時(又はチョコレートコーティング時)に使用するものである。この液管ホルダー36は、2本の液管、例えば2本の可撓性の液ホースを挿通して保持するための2つの保持穴36a1、36a2を有している。2つの保持穴のうち、例えば一方の保持穴36a1には送液ホースが挿通保持され、他方の保持穴36a2には戻り液ホースが挿通保持される。保持穴36a1に挿通保持された送液ホースと保持穴36a2に挿通保持された戻り液ホースは下流側で分岐継手に接続され、分岐継手から各スプレーノズル10aにそれぞれ給液ホースが分岐接続される。そして、スプレー液の噴霧時(スプレーノズル10aが開いている時)、圧送ポンプから圧送されるスプレー液は送液ホースから分岐継手に入り、分岐継手から各給液ホースに分岐して各スプレーノズル10aに供給される。一方、スプレーノズル10aが閉じている時、圧送ポンプから圧送されるスプレー液は送液ホースから分岐継手に入り、分岐継手から戻り液ホースを通って液タンクに戻される。
【0034】
図6に示す液管ホルダー37は、フィルムコーティング時に使用するものである。フィルムコーティングの場合、粉粒体層に対してより均一にスプレー液を噴霧するため、各スプレーノズル10aに対してそれぞれ個別の圧送ポンプからスプレー液を供給するようにしている。この液管ホルダー37は、4本の液管、例えば4本の可撓性の液ホースを挿通して保持するための4つの保持穴37a1、37a2、37a3、37a4を有している。例えば、4つの保持穴37a1、37a2、37a3、37a4のうち、2つの保持穴37a1、37a2には送液ホースがそれぞれ挿通保持され、残りの2つの保持穴37a3、37a4にはそれぞれ戻り液ホースが挿通保持される。保持穴37a1に挿通保持された送液ホースと保持穴37a3に挿通保持された戻り液ホースは下流側で分岐継手に接続され、分岐継手から一方のスプレーノズル10aに給液ホースが接続される。また、保持穴37a2に挿通保持された送液ホースと保持穴37a4に挿通保持された戻り液ホースは下流側で他の分岐継手に接続され、この分岐継手から他方のスプレーノズル10aに給液ホースが接続される。そして、スプレー液の噴霧時(スプレーノズル10aが開いている時)、各圧送ポンプから圧送されるスプレー液はそれぞれ送液ホースから分岐継手に入り、分岐継手から給液ホースを通って各スプレーノズル10aに供給される。一方、スプレーノズルが閉じている時、各圧送ポンプから圧送されるスプレー液はそれぞれ送液ホースから分岐継手に入り、分岐継手から戻り液ホースを通って液タンクに戻される。尚、この実施形態の液管ホルダー37は、2つのスプレーノズル10aを設置する場合に対応したものであるが、スプレーノズル10aを3つ以上設置する場合は、スプレーノズル10aの設置数に対応する数の保持穴を設ければ良い。たとえば、3つのスプレーノズル10aを設置する場合は、送液ホース用に3つの保持穴を設け、戻り液ホース用に3つの保持穴を設ける。
【0035】
図5に示す液管ホルダー36と図6に示す液管ホルダー37は、コーティング処理の種類、すなわち、糖衣コーティング(又はチョコレートコーティング)とフィルムコーティングに応じて択一的に選択されて、図4に示す第2アーム部34b(主部34b1)の装着部34b11に嵌合装着される。液管ホルダー36と液管ホルダー37は、いずれも、比較的弾性の大きなシリコン樹脂で形成しているので、第2アーム部34bの装着部34b11に適当な締代を与えて嵌合すると、装着部34b11によく密着して、装着部34b11との嵌合部分をシールする効果が得られる。また、送液ホースや戻り液ホースの外径に応じて保持穴(36a1、36a2、37a1、37a2、37a3、37a4)の穴径を適宜設定することにより、送液ホースや戻り液ホースの挿通部分をシールする効果も得られる。
【0036】
図2に鎖線で示すように、前蓋31は、旋回軸31cを中心として旋回させることにより、開閉することができる。また、前蓋31を開いた状態にし、旋回アーム34を旋回軸34cを中心として旋回させることにより、スプレーノズルユニット10を回転ドラム2の開口部5を介して内部に収容し、また、スプレーノズルユニット10を回転ドラム2の内部から開口部5を介してケーシング4の外部に取り出すことができる。例えば、コーティングの種類や操作条件等に応じてスプレーノズルユニット10を交換する場合には、まず、前蓋31を開き、グリップ34b21を把持しながら旋回アーム34を旋回させて、スプレーノズルユニット10を回転ドラム2の内部からケーシング4の外部に取り出す。つぎに、各スプレーノズル10aに接続されているエアーホースを外し、ノズル支持部材10bと洗浄液パイプ35とを接続しているねじ固定具10cを緩めて、スプレーノズルユニット10を旋回アーム34から取り外す。その後、液管ホルダー36(又は37)を第2アーム部34bの装着部34b11から取り外すと、スプレーノズルユニット10、液ホース、及び液管ホルダー36(又は37)をアッセンブリした状態のまま、1組のカセットとして取り外すことができる。そして、新たに使用するスプレーノズルユニット10、液ホース、及び液管ホルダー36(又は37)をアッセンブリした他のカセットを用意し、そのカセットの液管ホルダー36(又は37)を第2アーム部34bの装着部34b11に嵌合装着すると共に、ノズル支持部材10bを旋回アーム34、この例では洗浄液パイプ35にねじ固定具10cで装着する。その後、スプレーノズルユニット10の各スプレーノズル10aにエアーホースを接続する。
【0037】
図8及び図9に示すように、回転ドラム2の後端部の側には、通気機構6が配設されている。この通気機構6は、回転ドラム2の後端部を構成する第1ディスクプレート21と、第1ディスクプレート21に対向配置された第2ディスクプレート22とを備えている。第1ディスクプレート21は回転ドラム2と伴に回転し、第2ディスクプレート22は回転しない。この実施形態において、第2ディスクプレート22は、第1ディスクプレート21に対して軸線方向にスライド可能である。
【0038】
図10に示すように、第1ディスクプレート21は、回転ドラム2の軸線Aを中心とする単一の円環形状に沿って配列された多孔部からなる通気口21aを有し、その外面側(後面側)に図1に示す駆動軸3bが連結されている。この実施形態において、通気口21aは、第1ディスクプレート21の本体に上記円環形状に沿うように周方向に分散して形成された複数の貫通孔に、それぞれ、パンチングメタル等でなる多孔板を装着することにより構成されている。なお、通気口21aは上記円環形状の全周に亘るものであっても良い。また、通気口21aの外周縁部は、周壁部2aの傾斜下方側の端部と略一致している。
【0039】
また、第1ディスクプレート21の内面21cの中心領域には隆起部21bが形成されている。この実施形態において、隆起部21bは半球状の形態をなし、また、図8及び図9に示すように、中空状の形態をなしている。また、この実施形態において、隆起部21bはその中心が内面21cの中心(軸線A)と一致するように配され、内面21cにボルト等の適宜の手段によって固定されている。
【0040】
一方、第2ディスクプレート22は、その外径が第1ディスクプレート21の通気口21aの外径よりも大きく且つその内径が通気口21aの内径よりも小さい円環形状のプレートであって、複数(例えば2個)の流体圧シリンダとしての第2エアシリンダ19によって軸線Aに沿う方向にスライド駆動される。詳述すると、図8に示すように、第2ディスクプレート22の後方側において、ケーシング4の内部仕切壁部4aの傾斜壁部4a1に、軸線Aと平行に第2エアシリンダ19が設置されており、第2エアシリンダ19のピストンロッド19aの先端が第2ディスクプレート22に連結されている。また、図9に示すように、第2ディスクプレート22の後方側には、複数(例えば2個)のガイド機構20が配設されている。このガイド機構20は、ケーシング4の内部仕切壁部4aの傾斜壁部4a1に固定されたガイド部材20aと、ガイド部材20aに軸線Aと平行な方向にスライド可能に支持されたガイドロッド20bとを有し、このガイドロッド20bの先端に第2ディスクプレート22が連結されている。
【0041】
そして、図11に示すように(第2ディスクプレート22を後方側から見ている。)、第2ディスクプレート22の一部領域に連通孔22aが形成されている。粉粒体の処理時に回転ドラム2が同図で反時計方向に回転する場合、連通孔22aは、第2ディスクプレート22の同図で右斜め下方側の区域に形成される。一般的に述べれば、第2ディスクプレート22の連通孔22aは、回転ドラム2の回転時(粉粒体の処理時)に、粉粒体層11とオーバーラップする位置に形成される。
【0042】
また、第2ディスクプレート22の外面(後面)には、連通孔22aを覆うようにして通気ダクト8の通気口が接続されており、第1ディスクプレート21の通気口21aは、第2ディスクプレート22の連通孔22aとオーバーラップする所定位置で通気ダクト8と連通する。したがって、回転ドラム2の回転時、回転ドラム2の内部空間と通気ダクト8とは、第1ディスクプレート21の通気口21aと第2ディスクプレート22の連通孔22aとがオーバーラップする所定位置で相互に連通する。
【0043】
図8に実線で示すように、第2ディスクプレート22は、粉粒体の処理時は、第2エアシリンダ19の伸張により押圧されて、第1ディスクプレート21と僅かな隙間を介して対向した状態となる。そして、第1ディスクプレート21と第2ディスクプレート22との両対向面間の隙間は、ラビリンスシールRxによってシールされる。このラビリンスシールRxは、第1ディスクプレート21の通気口21a及び第2ディスクプレート22の連通孔22aの外周側と内周側にそれぞれ配設されている。図8に鎖線で示すように、第2ディスクプレート22は、装置の洗浄時や洗浄後の点検時等に、第2エアシリンダ19の収縮動作により軸線方向にスライド駆動されて、第1ディスクプレート21から離反した状態となる。
【0044】
図1に示すように、通気ダクト8は、ケーシング4内で分離可能に構成されており、第2ディスクプレート22がスライド移動して第1ディスクプレート21から離反したときに、通気ダクト8が分離されるようになっている。すなわち、通気ダクト8は、ケーシング4の上面壁部に取り付けられた第1部分8aと、第2ディスクプレート22に取り付けられた第2部分8bとを有し、粉粒体の処理時は、第1部分8aの接合端面と第2部分8bの接合端面とが、少なくとも一方に装着されたOリング等のシール部材を介して相互に接合された状態にある。このような状態から、第2ディスクプレート22がスライド移動して第1ディスクプレート21から離反してゆくと、同図に鎖線で示すように、第2部分8bが第2ディスクプレート22と伴に移動して第1部分8aから分離される。このとき、第2部分8bは第2ディスクプレート22のスライド移動方向、すなわち、軸線Aに沿って斜め下方に移動するため、第1部分8aと第2部分8bとの分離は円滑に行なわれる。
【0045】
この実施形態のコーティング装置1を用いて粉粒体(錠剤等)のコーティング処理を行う際、回転ドラム2の一端部の開口部5と他端部の通気口21aを介して、回転ドラム2の内部に対する乾燥エアー等の処理気体の給排気を行う。この実施形態では、回転ドラム2の一端部側を給気側、他端部側を排気側にしている。この場合、回転ドラム2の一端部の開口部5が給気口(以下、「給気口5」という。)、一端部側の通気ダクト7が給気ダクト(以下、「給気ダクト7」という。)、他端部の通気口21aが排気口(以下、「排気口21a」という。)、他端部側の通気ダクト8が排気ダクト(以下、「排気ダクト8」という。)となる。もちろん、使用条件や処理条件等によっては、回転ドラム2の一端部側を排気側、他端部側を給気側にすることもできる。
【0046】
コーティング処理すべき錠剤等の粉粒体は、回転ドラム2の一端部の開口部5から回転ドラム2の内部に投入される。そして、回転ドラム2が回転駆動機構3により回転駆動され、水平線に対して所定角度θをもって傾斜した軸線Aの回りに回転すると、回転ドラム2の回転に伴い、内部の粉粒体が攪拌混合されて粉粒体層(転動床)11が形成される。回転ドラム2の軸線Aが所定角度θで傾斜しているため、粉粒体層11の表面層は、軸線A方向には、図1に示すように、回転ドラム2の周壁部2aと後端部の第1ディスクプレート21とに亘るように形成され、回転方向には、回転方向後方から前方にかけて傾斜状に持ち上げられるように形成される。
【0047】
上記のような粉粒体層11に対して、スプレーノズル10aからコーティング液等のスプレー液が噴霧される。粉粒体層11に噴霧されたスプレー液は、回転ドラム2の回転に伴う粉粒体層11の攪拌混合作用によって、各粉粒体粒子の表面に展延される。
【0048】
粉粒体粒子の表面に展延されたスプレー液は、回転ドラム2の内部に供給される処理気体(温風等)によって乾燥される。この処理気体は、給気ダクト7の通気口7aから回転ドラム2の一端部の給気口5を介して回転ドラム2の内部に流入し、粉粒体層11の中を通過して、第1ディスクプレート21の排気口21a及び第2ディスクプレート22の連通孔22aを介して排気ダクト8に流出する。処理気体が粉粒体層11の中を通過することにより、各粉粒体粒子の表面に展延されたスプレー液が斑なく均一に乾燥され、高い品質のコーティング被膜が形成される。
【0049】
また、コーティング処理時に、必要に応じて、ケーシング4の上面壁部に配設されている噴射ノズル14から回転ドラム2の周壁部2aに向けて冷水又は温水を噴射させて、回転ドラム2を外周側から冷却又は加熱することができる。例えば、糖衣コーティング時には回転ドラム2を冷却し、チョコレートコーティング時には回転ドラム2を加熱し、フィルムコーティング時には処理条件によって回転ドラム2を冷却又は加熱する。尚、冷却加熱手段として、冷水や温水のほか、冷風や温風、ヒータ(例えば赤外線ヒータ)等を用いても良い。
【0050】
この実施形態のコーティング装置1は、回転ドラム2の軸線Aが水平線に対して所定角度θで傾斜していることにより、回転ドラム2の内部で処理し得る粉粒体の容積量が多くなるので、1回当りの処理量を従来装置よりも増やして、生産効率の向上を図ることができる。
【0051】
また、回転ドラム2が傾斜した軸線Aの回りに回転することにより、回転ドラム2の内部に収容された粉粒体は、回転ドラム2の回転に伴い、回転方向への動きと軸線方向への動きとを伴った状態で流動するので、粉粒体層の攪拌混合効果が高い。特に、この実施形態の回転ドラム2は、周壁部2aが多角筒状に形成されており、回転方向への粉粒体の流動促進が図られている。さらに、回転ドラム2の傾斜下方側に位置する他端部(第1ディスクプレート21)の内面21cの中心領域に隆起部21bが形成されており、図8及び図9に模式的に示すように、回転ドラム2の回転に伴って回転方向前方に持ち上げられた他端部(第1ディスクプレート21)近傍の粉粒体11が、自重(重力)により流動して回転方向後方に戻る際に隆起部21bの表面に接触し、隆起部21bの表面に案内されて傾斜上方側へ流動せしめられる。そのため、他端部(第1ディスクプレート21)近傍における粉粒体11の滞留現象が生じにくくなる。そして、これらの流動促進効果(攪拌混合促進効果)により、粉粒体層11の局部的な過剰湿潤や乾燥斑等が防止され、コーティング処理の品質及び製品収率が向上する。
【0052】
コーティング処理が完了した粉粒体製品は、例えば以下に説明する態様で回転ドラムの内部2から自動排出される。
【0053】
図12に示すように、コーティング処理が完了した後、回転ドラム2の回転を止めて、回転ドラム2の内部に排出部材40を配設する。排出部材40は、筒状の案内部40aと、案内部40aの先端に設けられた掬い上げ部40bとで構成される。掬い上げ部40bは、排出時における回転ドラム2の回転方向に対して、回転方向前方側に位置する前縁部40b1と回転方向後方側に位置する後縁部40b2とを有している。掬い上げ部40bの前縁部40b1は、回転ドラム2の内面と接触するように、あるいは、回転ドラム2の内面との間に僅かな隙間を有するように設置される。この場合の隙間は、粉粒体製品が通過できないような大きさに設定される。排出部材40は、回転ドラム2の軸線Aに対して回転方向に傾斜状させた状態で配設され、案内部40aの先端外周部に設けられた取付け脚40a1を回転ドラム2の前端部の円環状部2a1にボルト等で取り付けられる。
【0054】
排出部材40を回転ドラム2に取り付けた後、回転ドラム2を所定方向に回転させる。そうすると、排出部材40が回転ドラム2と伴に所定方向に回転し、その掬い上げ部40bの前縁部40b1により回転ドラム2の内部の粉粒体製品が掬い上げられる。掬い上げられた粉粒体製品は、排出部材40の回転に伴い、掬い上げ部40bの内面を自重により滑り落ちて案内部40aに入り、案内部40aの内部を通って排出バケット32に排出される。そして、排出バケット32の排出口32aから図1に示す排出シュート33に排出される。尚、粉粒体製品の排出時、排出シュート33は、その排出口33aがケーシング4の外部に位置するように、ケーシング4からその一部が引き出されている。また、排出シュート33の下方には、粉粒体製品を収容する容器が設置される(図示省略)。
【0055】
上記のように、粉粒体製品は、排出部材40→排出バケット32→排出シュート33といった排出経路を経て装置外部に排出されるが、粉粒体製品の形状や性質、単位時間当たりの排出量、その他の条件によっては、粉粒体製品が排出経路に滞留して、効率的な排出が行われない場合がある。そこで、この実施形態では、排出経路を構成する排出部材40の掬い上げ部40b、排出バケット32、及び排出シュート33を、図13に示すような、滑り性を良くするための凹凸形状を表面41aに施した金属板41、例えばステンレス鋼板で形成した。同図に示すステンレス鋼板41は、ステンレス鋼平板をプレス加工して、その一方の表面41aに多数の部分球形又は部分楕円球形の凸部41a1を湾曲状に隆起形成したもので、例えば高砂鐵工(株)から「ランナーステンレス」の商品名で市販されている。
【0056】
排出部材40の掬い上げ部40b、排出バケット32、及び排出シュート33を上記のようなステンレス鋼板41で形成し、それらの内面を、滑り性を良くするための凹凸形状を施した表面41aで構成することにより、排出経路における粉粒体製品の滞留がなくなり、効率的な排出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態に係るコーティング装置の全体構成を示す一部縦断面図である。
【図2】コーティング装置を前方部分を示す一部断面図である。
【図3】コーティング装置の正面図である。
【図4】旋回アームの第2アーム部を示す側面図{図4(a)}、平面図{図4(b)}である。
【図5】液管ホルダーを示す断面図{図5(a):図5(b)a−a断面}、正面図{図5(b)}、断面図{図5(c):図5(b)のc−c断面}である。
【図6】液管ホルダーを示す断面図{図6(a):図6(b)a−a断面}、正面図{図6(b)}、断面図{図6(c):図6(b)のc−c断面}である。
【図7】エアー管ホルダーを示す正面図{図7(a)}、側面図{図7(b)}である。
【図8】回転ドラムの後方部分を示す一部断面図である。
【図9】回転ドラムの後方部分を示す一部断面図である。
【図10】第1ディスクプレートの正面図(前方から見た図)である。
【図11】第2ディスクプレートを後方から見た図である。
【図12】回転ドラムに排出部材を取り付けた状態を示す一部断面図{図12(a)}、排出部材の正面図{図12(b)}である。
【図13】排出経路を構成するステンレス鋼板を模式的に示す平面図{図13(a)}、断面図{図13(b)}である。
【符号の説明】
【0058】
1 コーティング装置
2 回転ドラム
5 開口部
10 スプレーノズルユニット
34 旋回アーム
34c 旋回軸
36 液管ホルダー
37 液管ホルダー
40 排出部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理すべき粉粒体が内部に収容される回転ドラムと、該回転ドラムの内部に配置されたスプレーノズルユニットとを備えたコーティング装置において、
前記回転ドラムは、水平線に対して傾斜した軸線回りに回転駆動され、かつ、その傾斜上方側となる一端部に開口部を有し、
前記スプレーノズルユニットは、旋回アームに対して着脱自在に装着され、
前記旋回アームは、前記回転ドラムの外部側に設置された旋回支点を中心として旋回可能であり、
前記旋回アームの旋回動作により、前記スプレーノズルユニットを前記回転ドラムの内部と外部との間で出し入れ可能であることを特徴とするコーティング装置。
【請求項2】
前記スプレーノズルユニットに接続されるスプレー液の液管を保持する液管ホルダーをさらに備え、該液管ホルダーが前記旋回アームに着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置。
【請求項3】
前記スプレーノズルユニットに接続される圧縮エアーのエアー管が前記旋回アームの内部に挿通されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコーティング装置。
【請求項4】
コーティング処理が完了した粉粒体製品を前記回転ドラムの内部から排出するための排出機構が設けられると共に、前記粉粒体製品の排出経路の少なくとも一部の表面が、滑り性を良くするための凹凸形状が施された表面で構成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のコーティング装置。
【請求項1】
処理すべき粉粒体が内部に収容される回転ドラムと、該回転ドラムの内部に配置されたスプレーノズルユニットとを備えたコーティング装置において、
前記回転ドラムは、水平線に対して傾斜した軸線回りに回転駆動され、かつ、その傾斜上方側となる一端部に開口部を有し、
前記スプレーノズルユニットは、旋回アームに対して着脱自在に装着され、
前記旋回アームは、前記回転ドラムの外部側に設置された旋回支点を中心として旋回可能であり、
前記旋回アームの旋回動作により、前記スプレーノズルユニットを前記回転ドラムの内部と外部との間で出し入れ可能であることを特徴とするコーティング装置。
【請求項2】
前記スプレーノズルユニットに接続されるスプレー液の液管を保持する液管ホルダーをさらに備え、該液管ホルダーが前記旋回アームに着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置。
【請求項3】
前記スプレーノズルユニットに接続される圧縮エアーのエアー管が前記旋回アームの内部に挿通されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコーティング装置。
【請求項4】
コーティング処理が完了した粉粒体製品を前記回転ドラムの内部から排出するための排出機構が設けられると共に、前記粉粒体製品の排出経路の少なくとも一部の表面が、滑り性を良くするための凹凸形状が施された表面で構成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のコーティング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−26592(P2006−26592A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212113(P2004−212113)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(591011384)株式会社パウレック (44)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(591011384)株式会社パウレック (44)
【Fターム(参考)】
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