コードブッシュ
【課題】様々な寸法の貫通口に取り付けたり、様々な形状のコードを貫通させたりしても、コードの保護や、防虫性・防塵性・防滴性の向上を図ることができ、作業性も低下しにくいコードブッシュを得ること。
【解決手段】コードブッシュ1は、筒状形状の円筒部2と、円筒部の一端側2aの外周面21に対して全周にわたって鍔状に形成され、円筒部の軸方向に間隔をおいて複数設けられた鍔状部4と、円筒部の他端側2bの外周面に設けられて、他端側を締め付けるバンドの脱落を防ぐ脱落防止部7と、を備え、円筒部および鍔状部は、弾性体で構成されることを特徴とする。
【解決手段】コードブッシュ1は、筒状形状の円筒部2と、円筒部の一端側2aの外周面21に対して全周にわたって鍔状に形成され、円筒部の軸方向に間隔をおいて複数設けられた鍔状部4と、円筒部の他端側2bの外周面に設けられて、他端側を締め付けるバンドの脱落を防ぐ脱落防止部7と、を備え、円筒部および鍔状部は、弾性体で構成されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品筐体のコード貫通口などで、コードと貫通口との隙間を塞ぐコードブッシュに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品筐体のコード貫通口などで、コードと貫通口との隙間を塞いで、コードの保護や、製品内部への水滴の侵入を防ぐコードブッシュが用いられている。例えば、弾力性を有する材質から成形され、貫通させるコードより幾分細目の内径とされた先端部分を備える筒状のコードブッシュと、コードブッシュの内面の根本部分にコードより幾分細めのリング状の突起を設ける技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。コードブッシュの先端部分と根元部分の両方をコードと密着させることで、水滴の侵入の防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−247598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術によれば、コードブッシュの外周面を伝わってくる水滴に対しては水滴浸入防止構造となっていない。そのため、コードブッシュの外周面を伝わってくる水滴が製品内部に浸入しやすいという問題があった。
【0005】
また、平形コードのように円形ではなく楕円等の異形コードに対しては、材質の弾力性だけではリング状の突起がコード形状に追従できず隙間が発生してしまう。そのため、その隙間から、コードを伝ってくる水滴が製品内部に浸入してしまうという問題があった。また、コードブッシュ先端部がコードより幾分細目となっているため、コードブッシュの先端部側からコードを挿入する場合、作業性が悪いという問題があった。
【0006】
また、コードブッシュの根元には、つばが1個しか設けられていないため、コードブッシュの外径部の弾力性だけで貫通口に固定されることになる。よって、コードに押込み荷重または引張り荷重が加わるとコードブッシュが貫通口から外れやすいといった問題や、製品筐体のコード貫通口の寸法が変わると貫通口に固定しにくいという問題があった。
【0007】
また、コードブッシュの先端部の内径に適合しないコードが挿入された場合、防滴効果の低下や、コードの挿入作業性の悪化が生じるという問題があった。例えば、コードブッシュの先端部の内径よりも小さいコードが挿入された場合、コードブッシュの先端部の内径とコードとの間に隙間が生じ、防滴効果が低下する。また、リング状の突起とコードとの間でも、隙間の発生やつぶし代減少による圧接力の低下により、密着性が悪化して防滴効果が低下する。また、コードブッシュ先端部の内径よりも太いコードを挿入する場合、コード挿入時の摩擦力が大きくなるため挿入作業性が悪化する。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、様々な寸法の貫通口に取り付けたり、様々な形状のコードを貫通させたりしても、コードの保護や、防虫性・防塵性・防滴性の向上を図ることができ、作業性も低下しにくいコードブッシュを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、筒状形状の円筒部と、円筒部の一端側の外周面に対して全周にわたって鍔状に形成され、円筒部の軸方向に間隔をおいて複数設けられた鍔状部と、円筒部の他端側の外周面に設けられて、他端側を締め付けるバンドの脱落を防ぐ脱落防止部と、を備え、円筒部および鍔状部は、弾性体で構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、様々な寸法の貫通口に取り付けたり、様々な形状のコードを貫通させたりしても、コードの保護や、防虫性・防塵性・防滴性の向上を図ることができ、作業性も低下しにくいコードブッシュを得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかるコードブッシュの外観を示す側面図である。
【図2】図2は、図1に示すコードブッシュを先端部側から見た正面図である。
【図3】図3は、図2に示すA−A線に沿った矢視断面図である。
【図4】図4は、製品筐体のコード貫通口に取り付けられるとともに、内側に屈曲コードが挿入されたコードブッシュの状態を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態2に係るコードブッシュの外観を示す側面図である。
【図6】図6は、図5に示すコードブッシュを先端部側から見た正面図である。
【図7】図7は、図6に示すB−B線に沿った矢視断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態3に係るコードブッシュの外観を示す側面図である。
【図9】図9は、図8に示すコードブッシュを先端部側から見た正面図である。
【図10】図10は、図9に示すC−C線に沿った矢視断面図である。
【図11】図11は、図8に示すD線およびE線でコードブッシュを切断した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態にかかるコードブッシュを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかるコードブッシュの外観を示す側面図である。図2は、図1に示すコードブッシュを先端部側から見た正面図である。図3は、図2に示すA−A線に沿った矢視断面図である。図4は、製品筐体のコード貫通口に取り付けられるとともに、内側に屈曲コードが挿入されたコードブッシュの状態を示す断面図である。
【0014】
図1〜図4に示すように、コードブッシュ1は、円筒部2、鍔状部4、脱落防止部7を備える。コードブッシュ1は、ゴム等の弾力性を有する弾性体で構成されている。円筒部2は、筒状形状を呈し、その外周面21が根元部(一端側)2aから先端部(他端側)2bに向けて細くなる略円錐台形状を呈している。また、円筒部2の内周面22も根元部2aから先端部2bに向けて細くなる略円錐台形状を呈している。円筒部2の根元部2aでの外径寸法は、製品筐体11のコード貫通口3の内径と略同等か若干大きめとなっている。先端部2bにおける円筒部2の内径寸法は、挿入されるコード6の外径寸法以上であることが望ましい。
【0015】
鍔状部4は、円筒部2の根元部2aの外周面に対して全周にわたって鍔状に形成されている。鍔状部4は、製品筐体11のコード貫通口3よりも大きな外径で形成されている。円筒部2の軸方向に間隔をおいて、2つの鍔状部4が近接するように設けられている。
【0016】
鍔状部4も弾性体で構成されているので、鍔状部4の外周部4aをたわませることで、製品筐体11のコード貫通口3に容易にコードブッシュ1を挿入することができる。コードブッシュ1の挿入後は、コード貫通口3よりも外径が大きな鍔状部4で製品筐体11を挟みこむので、コードブッシュ1に押込み荷重や引張り荷重が加わった場合でも、コード貫通口3からコードブッシュ1が脱落しにくい。
【0017】
また、円筒部2の根元部2aにおける外径寸法は、製品筐体11のコード貫通口3の内径と略同等か若干大きめの外径寸法となっているため、円筒部2とコード貫通口3との間から虫や塵が製品内部に侵入するのを防ぐことができる。さらに、円筒部2の外周面21を伝わってくる水滴12があった場合でも、製品筐体11のコード貫通口3よりも大きな外径を持つ鍔状部4により、製品筐体11のコード貫通口3からの水滴12の浸入を防止できる。
【0018】
脱落防止部7は、円筒部2の外周面21に対して全周にわたって鍔状に設けられている。円筒部2の軸方向に間隔をおいて、2つの脱落防止部7が近接するように設けられている。この構造により、近接するように設けられた脱落防止部7の間でバンド9を締め付けることができる。円筒部2の先端部2bにおける内径寸法は、コード6の外形寸法より大きければ、円筒部2の内周面22とコード6との間に隙間ができる。この場合、コード6を容易にコードブッシュ1に挿入することができる。
【0019】
コード6の挿入後は、弾力性を有する円筒部2をバンド9で締め付けて圧接することで、コード6と内周面22との隙間を解消して密着させることができる。したがって、虫、塵および水滴の侵入を防ぐことができる。また、バンド9は、近接する2つの脱落防止部7の間に位置するため、ほとんど脱落することはない。また、円筒部2の先端部2bをバンド9で締め付ける構造としたため、平形コードのように円形ではなく楕円などの異形コードに対しても、円筒部2の内周面22がコード6の形状に追従して水滴の浸入を防止することができる。
【0020】
なお、脱落防止部7の個数は2つに限られない。少なくとも1つの脱落防止部7が形成されていれば、その脱落部よりも根元部2a側にバンド9を設ければ、先端部2b側からのバンド9の脱落を防ぐことができる。また、脱落防止部7を3つ以上設ければ、バンド9による締め付け可能な位置が増えるので、締め付け位置の選択や、複数個所でのバンド9による締め付けが可能となる。また、脱落防止部7は、外周面21の全周にわたって形成されていなくてもよい。例えば、鍔状の脱落防止部7の一部に切り欠きを有していても、バンド9の脱落を防止するという効果を得ることができる。
【0021】
また、円筒部2の外周面21、内周面22の形状は、円錐台形状に限られない。例えば、根元部2aと先端部2bとで寸法にほとんど差の無い円筒形状としても構わない。
【0022】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係るコードブッシュの外観を示す側面図である。図6は、図5に示すコードブッシュを先端部側から見た正面図である。図7は、図6に示すB−B線に沿った矢視断面図である。上記実施の形態と同様の構成については、同様の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0023】
本実施の形態2では、脱落防止部7が、円筒部2の先端部2bの外周面に対して設けられた2つの突起となっている。この突起のそれぞれには、円筒部2の円周方向に沿って貫通する貫通孔20が形成されている。貫通孔20にバンド9を通して、円筒部2の先端部2b側を締め付けることで、水滴の侵入を防止しつつバンド9の脱落を防止することができる。脱落防止部7が、実施の形態1で説明したように全周にわたって鍔状に設けられていないため、近接した脱落防止部7同士の間でバンド9を締め付け作業する必要がなく、作業が邪魔されにくい。そのため、バンド9の締め付け作業が容易になる。
【0024】
また、製品出荷時にバンド9を貫通孔20に通して仮止めしておけば、コードブッシュ1とバンド9とが一体となるために、バンド9を紛失しにくくすることができる。また、バンド9が取り付けてあることが視覚的に確認しやすいため、施工業者がバンド9を締め付ける作業を忘れることを防止することができる。なお、脱落防止部7は、1つの突起で構成されてもよいし、3つ以上の突起で構成されてもよい。
【0025】
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3に係るコードブッシュの外観を示す側面図である。図9は、図8に示すコードブッシュを先端部側から見た正面図である。図10は、図9に示すC−C線に沿った矢視断面図である。上記実施の形態と同様の構成については、同様の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0026】
本実施の形態3では、円筒部2の根元部2aから先端部2bまで、円筒部2の軸方向に間隔をおいて鍔状部4が連続して形成されている。円筒部2の外周面21は、円錐台形状を呈しているので、いずれの鍔状部4の間に製品筐体11を挟み込ませるかで、コード貫通口3に嵌まる円筒部2の外径を異ならせることができる。したがって、コード貫通口3の内径に合わせて、円筒部2の外径を選択することで、円筒部2をコード貫通口3に適切に密着させることができ、コードの保護や、防虫性・防塵性・防滴性の向上を図ることができる。また、1種類のコードブッシュ1で様々な寸法に対応できるため、コードブッシュ1の製作に必要な金型の種類も減らすことができるので、金型の製造費を抑制できる効果もある。なお、鍔状部4は、3つ以上設けられていればよい。鍔状部4が3つ以上設けられていれば、コード貫通口3の内径に合わせた円筒部2の外径の選択を行うことができる。
【0027】
図11は、図8に示すD線およびE線でコードブッシュを切断した状態を示す図である。このように、コードブッシュ1を切断することで、製品筐体11のコード貫通口3に適した外径寸法となる円筒部2部分だけを選択して用いることもできる。
【0028】
なお、本実施の形態3では、円筒部2の先端部2b側に形成された鍔状部4の間で、バンド9による締め付けを行ってもよい。この場合、円筒部2の先端部2b側に形成された鍔状部4が、バンド9の脱落を防止する脱落防止部として機能することとなる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明にかかるコードブッシュは製品筐体のコード貫通口とコードとの隙間を塞ぐのに有用である。
【符号の説明】
【0030】
1 コードブッシュ
2 円筒部
2a 根元部(一端側)
2b 先端部(他端側)
3 コード貫通口
4 鍔状部
4a 外周部
6 コード
7 脱落防止部
9 バンド
11 製品筐体
12 水滴
20 貫通孔
21 外周面
22 内周面
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品筐体のコード貫通口などで、コードと貫通口との隙間を塞ぐコードブッシュに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品筐体のコード貫通口などで、コードと貫通口との隙間を塞いで、コードの保護や、製品内部への水滴の侵入を防ぐコードブッシュが用いられている。例えば、弾力性を有する材質から成形され、貫通させるコードより幾分細目の内径とされた先端部分を備える筒状のコードブッシュと、コードブッシュの内面の根本部分にコードより幾分細めのリング状の突起を設ける技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。コードブッシュの先端部分と根元部分の両方をコードと密着させることで、水滴の侵入の防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−247598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術によれば、コードブッシュの外周面を伝わってくる水滴に対しては水滴浸入防止構造となっていない。そのため、コードブッシュの外周面を伝わってくる水滴が製品内部に浸入しやすいという問題があった。
【0005】
また、平形コードのように円形ではなく楕円等の異形コードに対しては、材質の弾力性だけではリング状の突起がコード形状に追従できず隙間が発生してしまう。そのため、その隙間から、コードを伝ってくる水滴が製品内部に浸入してしまうという問題があった。また、コードブッシュ先端部がコードより幾分細目となっているため、コードブッシュの先端部側からコードを挿入する場合、作業性が悪いという問題があった。
【0006】
また、コードブッシュの根元には、つばが1個しか設けられていないため、コードブッシュの外径部の弾力性だけで貫通口に固定されることになる。よって、コードに押込み荷重または引張り荷重が加わるとコードブッシュが貫通口から外れやすいといった問題や、製品筐体のコード貫通口の寸法が変わると貫通口に固定しにくいという問題があった。
【0007】
また、コードブッシュの先端部の内径に適合しないコードが挿入された場合、防滴効果の低下や、コードの挿入作業性の悪化が生じるという問題があった。例えば、コードブッシュの先端部の内径よりも小さいコードが挿入された場合、コードブッシュの先端部の内径とコードとの間に隙間が生じ、防滴効果が低下する。また、リング状の突起とコードとの間でも、隙間の発生やつぶし代減少による圧接力の低下により、密着性が悪化して防滴効果が低下する。また、コードブッシュ先端部の内径よりも太いコードを挿入する場合、コード挿入時の摩擦力が大きくなるため挿入作業性が悪化する。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、様々な寸法の貫通口に取り付けたり、様々な形状のコードを貫通させたりしても、コードの保護や、防虫性・防塵性・防滴性の向上を図ることができ、作業性も低下しにくいコードブッシュを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、筒状形状の円筒部と、円筒部の一端側の外周面に対して全周にわたって鍔状に形成され、円筒部の軸方向に間隔をおいて複数設けられた鍔状部と、円筒部の他端側の外周面に設けられて、他端側を締め付けるバンドの脱落を防ぐ脱落防止部と、を備え、円筒部および鍔状部は、弾性体で構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、様々な寸法の貫通口に取り付けたり、様々な形状のコードを貫通させたりしても、コードの保護や、防虫性・防塵性・防滴性の向上を図ることができ、作業性も低下しにくいコードブッシュを得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかるコードブッシュの外観を示す側面図である。
【図2】図2は、図1に示すコードブッシュを先端部側から見た正面図である。
【図3】図3は、図2に示すA−A線に沿った矢視断面図である。
【図4】図4は、製品筐体のコード貫通口に取り付けられるとともに、内側に屈曲コードが挿入されたコードブッシュの状態を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態2に係るコードブッシュの外観を示す側面図である。
【図6】図6は、図5に示すコードブッシュを先端部側から見た正面図である。
【図7】図7は、図6に示すB−B線に沿った矢視断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態3に係るコードブッシュの外観を示す側面図である。
【図9】図9は、図8に示すコードブッシュを先端部側から見た正面図である。
【図10】図10は、図9に示すC−C線に沿った矢視断面図である。
【図11】図11は、図8に示すD線およびE線でコードブッシュを切断した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態にかかるコードブッシュを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかるコードブッシュの外観を示す側面図である。図2は、図1に示すコードブッシュを先端部側から見た正面図である。図3は、図2に示すA−A線に沿った矢視断面図である。図4は、製品筐体のコード貫通口に取り付けられるとともに、内側に屈曲コードが挿入されたコードブッシュの状態を示す断面図である。
【0014】
図1〜図4に示すように、コードブッシュ1は、円筒部2、鍔状部4、脱落防止部7を備える。コードブッシュ1は、ゴム等の弾力性を有する弾性体で構成されている。円筒部2は、筒状形状を呈し、その外周面21が根元部(一端側)2aから先端部(他端側)2bに向けて細くなる略円錐台形状を呈している。また、円筒部2の内周面22も根元部2aから先端部2bに向けて細くなる略円錐台形状を呈している。円筒部2の根元部2aでの外径寸法は、製品筐体11のコード貫通口3の内径と略同等か若干大きめとなっている。先端部2bにおける円筒部2の内径寸法は、挿入されるコード6の外径寸法以上であることが望ましい。
【0015】
鍔状部4は、円筒部2の根元部2aの外周面に対して全周にわたって鍔状に形成されている。鍔状部4は、製品筐体11のコード貫通口3よりも大きな外径で形成されている。円筒部2の軸方向に間隔をおいて、2つの鍔状部4が近接するように設けられている。
【0016】
鍔状部4も弾性体で構成されているので、鍔状部4の外周部4aをたわませることで、製品筐体11のコード貫通口3に容易にコードブッシュ1を挿入することができる。コードブッシュ1の挿入後は、コード貫通口3よりも外径が大きな鍔状部4で製品筐体11を挟みこむので、コードブッシュ1に押込み荷重や引張り荷重が加わった場合でも、コード貫通口3からコードブッシュ1が脱落しにくい。
【0017】
また、円筒部2の根元部2aにおける外径寸法は、製品筐体11のコード貫通口3の内径と略同等か若干大きめの外径寸法となっているため、円筒部2とコード貫通口3との間から虫や塵が製品内部に侵入するのを防ぐことができる。さらに、円筒部2の外周面21を伝わってくる水滴12があった場合でも、製品筐体11のコード貫通口3よりも大きな外径を持つ鍔状部4により、製品筐体11のコード貫通口3からの水滴12の浸入を防止できる。
【0018】
脱落防止部7は、円筒部2の外周面21に対して全周にわたって鍔状に設けられている。円筒部2の軸方向に間隔をおいて、2つの脱落防止部7が近接するように設けられている。この構造により、近接するように設けられた脱落防止部7の間でバンド9を締め付けることができる。円筒部2の先端部2bにおける内径寸法は、コード6の外形寸法より大きければ、円筒部2の内周面22とコード6との間に隙間ができる。この場合、コード6を容易にコードブッシュ1に挿入することができる。
【0019】
コード6の挿入後は、弾力性を有する円筒部2をバンド9で締め付けて圧接することで、コード6と内周面22との隙間を解消して密着させることができる。したがって、虫、塵および水滴の侵入を防ぐことができる。また、バンド9は、近接する2つの脱落防止部7の間に位置するため、ほとんど脱落することはない。また、円筒部2の先端部2bをバンド9で締め付ける構造としたため、平形コードのように円形ではなく楕円などの異形コードに対しても、円筒部2の内周面22がコード6の形状に追従して水滴の浸入を防止することができる。
【0020】
なお、脱落防止部7の個数は2つに限られない。少なくとも1つの脱落防止部7が形成されていれば、その脱落部よりも根元部2a側にバンド9を設ければ、先端部2b側からのバンド9の脱落を防ぐことができる。また、脱落防止部7を3つ以上設ければ、バンド9による締め付け可能な位置が増えるので、締め付け位置の選択や、複数個所でのバンド9による締め付けが可能となる。また、脱落防止部7は、外周面21の全周にわたって形成されていなくてもよい。例えば、鍔状の脱落防止部7の一部に切り欠きを有していても、バンド9の脱落を防止するという効果を得ることができる。
【0021】
また、円筒部2の外周面21、内周面22の形状は、円錐台形状に限られない。例えば、根元部2aと先端部2bとで寸法にほとんど差の無い円筒形状としても構わない。
【0022】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係るコードブッシュの外観を示す側面図である。図6は、図5に示すコードブッシュを先端部側から見た正面図である。図7は、図6に示すB−B線に沿った矢視断面図である。上記実施の形態と同様の構成については、同様の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0023】
本実施の形態2では、脱落防止部7が、円筒部2の先端部2bの外周面に対して設けられた2つの突起となっている。この突起のそれぞれには、円筒部2の円周方向に沿って貫通する貫通孔20が形成されている。貫通孔20にバンド9を通して、円筒部2の先端部2b側を締め付けることで、水滴の侵入を防止しつつバンド9の脱落を防止することができる。脱落防止部7が、実施の形態1で説明したように全周にわたって鍔状に設けられていないため、近接した脱落防止部7同士の間でバンド9を締め付け作業する必要がなく、作業が邪魔されにくい。そのため、バンド9の締め付け作業が容易になる。
【0024】
また、製品出荷時にバンド9を貫通孔20に通して仮止めしておけば、コードブッシュ1とバンド9とが一体となるために、バンド9を紛失しにくくすることができる。また、バンド9が取り付けてあることが視覚的に確認しやすいため、施工業者がバンド9を締め付ける作業を忘れることを防止することができる。なお、脱落防止部7は、1つの突起で構成されてもよいし、3つ以上の突起で構成されてもよい。
【0025】
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3に係るコードブッシュの外観を示す側面図である。図9は、図8に示すコードブッシュを先端部側から見た正面図である。図10は、図9に示すC−C線に沿った矢視断面図である。上記実施の形態と同様の構成については、同様の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0026】
本実施の形態3では、円筒部2の根元部2aから先端部2bまで、円筒部2の軸方向に間隔をおいて鍔状部4が連続して形成されている。円筒部2の外周面21は、円錐台形状を呈しているので、いずれの鍔状部4の間に製品筐体11を挟み込ませるかで、コード貫通口3に嵌まる円筒部2の外径を異ならせることができる。したがって、コード貫通口3の内径に合わせて、円筒部2の外径を選択することで、円筒部2をコード貫通口3に適切に密着させることができ、コードの保護や、防虫性・防塵性・防滴性の向上を図ることができる。また、1種類のコードブッシュ1で様々な寸法に対応できるため、コードブッシュ1の製作に必要な金型の種類も減らすことができるので、金型の製造費を抑制できる効果もある。なお、鍔状部4は、3つ以上設けられていればよい。鍔状部4が3つ以上設けられていれば、コード貫通口3の内径に合わせた円筒部2の外径の選択を行うことができる。
【0027】
図11は、図8に示すD線およびE線でコードブッシュを切断した状態を示す図である。このように、コードブッシュ1を切断することで、製品筐体11のコード貫通口3に適した外径寸法となる円筒部2部分だけを選択して用いることもできる。
【0028】
なお、本実施の形態3では、円筒部2の先端部2b側に形成された鍔状部4の間で、バンド9による締め付けを行ってもよい。この場合、円筒部2の先端部2b側に形成された鍔状部4が、バンド9の脱落を防止する脱落防止部として機能することとなる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明にかかるコードブッシュは製品筐体のコード貫通口とコードとの隙間を塞ぐのに有用である。
【符号の説明】
【0030】
1 コードブッシュ
2 円筒部
2a 根元部(一端側)
2b 先端部(他端側)
3 コード貫通口
4 鍔状部
4a 外周部
6 コード
7 脱落防止部
9 バンド
11 製品筐体
12 水滴
20 貫通孔
21 外周面
22 内周面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状形状の円筒部と、
前記円筒部の一端側の外周面に対して全周にわたって鍔状に形成され、前記円筒部の軸方向に間隔をおいて複数設けられた鍔状部と、
前記円筒部の他端側の外周面に設けられて、前記他端側を締め付けるバンドの脱落を防ぐ脱落防止部と、を備え、
前記円筒部および前記鍔状部は、弾性体で構成されることを特徴とするコードブッシュ。
【請求項2】
前記脱落防止部は、前記円筒部の他端側の外周面に対して略全周にわたって鍔状に形成され、前記円筒部の軸方向に間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコードブッシュ。
【請求項3】
前記脱落防止部は、前記円筒部の他端側の外周面に対して複数設けられた突起であって、
前記突起には、円周方向に沿って貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコードブッシュ。
【請求項4】
前記円筒部は、その内周面および外周面が、前記一端側から前記他端側に向けて細くなる略円錐台形状を呈しており、
前記鍔状部は、3つ以上設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のコードブッシュ。
【請求項1】
筒状形状の円筒部と、
前記円筒部の一端側の外周面に対して全周にわたって鍔状に形成され、前記円筒部の軸方向に間隔をおいて複数設けられた鍔状部と、
前記円筒部の他端側の外周面に設けられて、前記他端側を締め付けるバンドの脱落を防ぐ脱落防止部と、を備え、
前記円筒部および前記鍔状部は、弾性体で構成されることを特徴とするコードブッシュ。
【請求項2】
前記脱落防止部は、前記円筒部の他端側の外周面に対して略全周にわたって鍔状に形成され、前記円筒部の軸方向に間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコードブッシュ。
【請求項3】
前記脱落防止部は、前記円筒部の他端側の外周面に対して複数設けられた突起であって、
前記突起には、円周方向に沿って貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコードブッシュ。
【請求項4】
前記円筒部は、その内周面および外周面が、前記一端側から前記他端側に向けて細くなる略円錐台形状を呈しており、
前記鍔状部は、3つ以上設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のコードブッシュ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−187644(P2011−187644A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50721(P2010−50721)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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