説明

コードレス電話装置及び着信音制御方法

【課題】親機と子機の構成で動作するコードレス電話システムにおいて、公衆回線からの着信時、近くに置かれている親機子機共が鳴動してしまうことによる煩わしさの回避を図るコードレス電話装置及び着信音制御方法を提供する。
【解決手段】コードレス電話子機が親機からの着信通知を受信した際に、子機が親機の鳴動音を一定レベル以上の音量で検出できる場合は、その子機が親機の近傍に位置していると判断し、子機の鳴動を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は親機と子機とからなるコードレス電話システムにおいて着信音を制御するコードレス電話機装置及び着信音制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般家庭をはじめとして、複数台の子機を収容するコードレス電話システムの普及は特別なものではなくなっている。通常のコードレス電話システムの場合、収容する公衆回線に着信があった場合、親機配下に収容されている全コードレス子機が一斉に鳴動し、通話開始待機状態になることになる。コードレス子機はその携帯性、可搬性という性質から鳴動する際にどこの位置にあってもよく、仮に親機の近くに位置していたり、別の子機の近くに位置していたりする場合がありうる。この場合、鳴動動作を行う機器が隣接するために、ユーザがうるさく感じたりするなどの不都合が生じる場合がある。この不都合が生じる場合の回避目的のために、赤外線センサ技術を用いて親機と子機の位置関係を測定し、親機と子機が隣接している場合は親機から子機に対して鳴動させない旨の命令を送信し、子機の鳴動を抑制する、という技術がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−80605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般家庭に普及しているコードレス電話システムでは、子機のパーソナル化に伴い、それほど広い住宅条件ではなくとも子機が2台以上複数設置されている場合も珍しくなく、外部からの着信が発生した場合のそれぞれの機器の音量設定次第では騒音問題となるべき場合も考えられる。
【0004】
また、従来の技術で記載した赤外線センサ技術を用いた子機の位置状態取得方法はその測定範囲が狭く限定されることに加え、親機の鳴動音量設定の如何に関わらず近傍の子機は鳴動を抑制させられるために、親機の音量が小さく設定させられている場合にはユーザが着信に気がつかないケースも発生してしまう、という課題があった。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、ユーザが必ず着信に気が付く範囲で近傍の子機の鳴動を抑制させるコードレス電話装置及び着信音制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、公衆網回線を収容する機能と、無線通信機能を備えた親機装置と、同じく無線通信機能と通話のための音声入出力機能を備えた子機とで構成されるコードレス電話システムにおいて、前記親機が発する着信音の音量を測定する測定部と、その音量に応じて自らの着信音の有無を制御する制御部で構成されるものである。
【発明の効果】
【0007】
この本発明によれば、ユーザが親機の鳴動動作により着信に気付く範囲に設置してある子機の鳴動動作が抑制され、親機の鳴動動作の影響が及ばない範囲に設置してある子機のみ鳴動動作を行い、ユーザが煩わしいと感じる、鳴動動作の重複が回避できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の第1の発明は、公衆網回線を収容する機能と、無線通信機能を備えた親機装置と、同じく無線通信機能と通話のための音声入出力機能を備えた子機とで構成されるコードレス電話システムにおいて、親機が発する着信音の音量を測定する測定部と、その音量に応じて自らの着信音の有無を制御する制御部で構成されるコードレス電話子機装置としたものであり、親機の鳴動と近傍の子機の鳴動が重複しない、という作用を有する。
【0009】
本発明の第2の発明は、第1の発明において、測定部で測定した親機の着信音量の変化を監視し、その変化に応じて自らの着信音の音量を動的に変化させる制御部を持ったものであり、親機の近傍にあったために鳴動していない子機をユーザが遠方へ移動させた場合や、遠方にあったために鳴動している子機を親機の近傍へ移動させた場合にその子機の鳴動動作が動的に変化する、という作用を有する。
【0010】
本発明の第3の発明は、公衆網回線を収容する機能と、無線通信機能を備えた親機装置と、同じく無線通信機能と通話のための音声入出力機能を備えた子機とで構成されるコードレス電話システムにおいて、子機が発する着信音の音量を測定する測定部と、その音量に応じて該当子機の着信音の有無を制御する命令を発する制御部で構成されるコードレス電話親機装置としたものであり、親機の鳴動と近傍の子機の鳴動が重複しない、という作用を有する。
【0011】
本発明の第4の発明は、第3の発明において、測定部で測定した子機の着信音量の変化を監視し、その変化に応じて該当子機の着信音の音量を動的に変化させる命令を発する制御部を持ったものであり、親機の近傍にあったために鳴動していない子機をユーザが遠方へ移動させた場合や、遠方にあったために鳴動している子機を親機の近傍へ移動させた場合にその子機の鳴動動作が動的に変化する、という作用を有する。
【0012】
本発明の第5の発明は、公衆網回線を収容する機能と、無線通信機能を備えた親機装置と、同じく無線通信機能と通話のための音声入出力機能を備えた複数子機とで構成されるコードレス電話システムにおいて、一台の子機が発する着信音の音量を測定する測定部と、その音量に応じて自らの着信音の有無を制御する制御部で構成されるコードレス電話子機装置としたものであり、複数子機同士が隣接して設置されている場合に子機の鳴動が重複しない、という作用を有する。
【0013】
本発明の第6の発明は、第5の発明において、測定部で測定した別の子機の着信音量の変化を監視し、その変化に応じて自らの着信音の音量を動的に変化させる制御部を持ったものであり、別の子機の近傍にあったために鳴動していない子機をユーザが遠方へ移動させた場合や、遠方にあったために鳴動している子機を別の子機の近傍へ移動させた場合にその子機の鳴動動作が動的に変化する、という作用を有する。
【0014】
本発明の第7の発明は、公衆網回線を収容する機能と、無線通信機能を備えた親機装置と、同じく無線通信機能と通話のための音声入出力機能を備えた子機とで構成されるコードレス電話システムにおいて、親機が発する着信音の音量を測定し、その音量に応じて自らの着信音の有無を制御する着信音制御方法としたものであり、親機の鳴動と近傍の子機の鳴動が重複しない、という作用を有する。
【0015】
本発明の第8の発明は、第7の発明において、測定部で測定した親機の着信音量の変化を監視し、その変化に応じて自らの着信音の音量を動的に変化させるものであり、親機の近傍にあったために鳴動していない子機をユーザが遠方へ移動させた場合や、遠方にあったために鳴動している子機を親機の近傍へ移動させた場合にその子機の鳴動動作が動的に変化する、という作用を有する。
【0016】
本発明の第9の発明は、公衆網回線を収容する機能と、無線通信機能を備えた親機装置と、同じく無線通信機能と通話のための音声入出力機能を備えた子機とで構成されるコードレス電話システムにおいて、子機が発する着信音の音量を測定し、その音量に応じて該当子機の着信音の有無を制御する命令を発することによって着信音制御する着信音制御方法としたものであり、親機の鳴動と近傍の子機の鳴動が重複しない、という作用を有する。
【0017】
本発明の第10の発明は、第9の発明において、測定部で測定した子機の着信音量の変化を監視し、その変化に応じて該当子機の着信音の音量を動的に変化させる命令を発することによって着信音制御するものであり、親機の近傍にあったために鳴動していない子機をユーザが遠方へ移動させた場合や、遠方にあったために鳴動している子機を親機の近傍へ移動させた場合にその子機の鳴動動作が動的に変化する、という作用を有する。
【0018】
本発明の第11の発明は、公衆網回線を収容する機能と、無線通信機能を備えた親機装置と、同じく無線通信機能と通話のための音声入出力機能を備えた子機とで構成されるコードレス電話システムにおいて、一台の子機が発する着信音の音量を測定し、その音量に応じて自らの着信音の有無を制御する着信音制御方法としたものであり、複数子機同士が隣接して設置されている場合に子機の鳴動が重複しない、という作用を有する。
【0019】
本発明の第12の発明は、第11の発明において、測定部で測定した別の子機の着信音量の変化を監視し、その変化に応じて自らの着信音の音量を動的に変化させる制御部を持ったものであり、別の子機の近傍にあったために鳴動していない子機をユーザが遠方へ移動させた場合や、遠方にあったために鳴動している子機を別の子機の近傍へ移動させた場合にその子機の鳴動動作が動的に変化する、という作用を有する。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
(実施の形態1)
まずは各部の概略構成について述べる。
【0022】
図1はコードレス電話システムの全体構成図であり、コードレス電話システムは公衆回線104を収容するコードレス電話親機101とコードレス電話子機102、103で構成される。
【0023】
図2はコードレス電話親機101の構成を示す機能ブロック図であり、コードレス電話親機101は公衆回線収容部201、鳴動音測定部202、鳴動判定部203、子機通信制御部204、子機管理部205、鳴動制御部208、音声処理部207、処理管理部206、及びアンテナ209、スピーカ210、マイク211を備える。
【0024】
図3はコードレス電話子機102及び103の構成を示す機能ブロック図であり、コードレス電話子機102及び103は親機通信制御部302、鳴動制御部305、設定情報設定部301、処理管理部303、音声処理部304、鳴動音測定部306、鳴動判定部307、及びアンテナ308、スピーカ309、マイク310、ハンドセット311そして設定データ保存部312を備える。コードレス電話子機102及び103の機能ブロック構成は基本的に同一であるので、図3における各機能ブロックの符号についてもコードレス電話子機102と103とで特に区別はしていない。
【0025】
以上の図1〜図3の構成を有するコードレス電話親機(以下「親機」と略す)101、コードレス電話子機(以下「子機」と略す)102及び103、及びそれらからなるシステムの動作を、図4〜図9を用いて説明する。
【0026】
図4は、親機101が発する鳴動音を子機102及び103が測定するまでのシーケンス図であり、図5は図4における子機102、103のフローチャートである。
【0027】
親機101は、公衆回線104からの着信401を検出した際に、管理下の子機102及び103に対して着信通知402を送信する。子機102及び103は、着信通知402を受信すると(ステップ501)、それぞれにおいて親機101のスピーカ210より発せられる鳴動音403の音量レベルを、マイク310より入力し、鳴動音測定部306を用いて測定する(ステップ502)。図4において親機101の鳴動音403の測定が終了すると、子機102及び103の鳴動判定部307はそれぞれ、鳴動音403の音量レベルを評価する(ステップ503)。
【0028】
その音量レベルが予め設定されている閾値以下である場合は、子機102又は103の使用ユーザにとって親機101の鳴動音403が聞き取りにくい、と子機102又は103の鳴動判定部307は判断し、子機102又は103の鳴動制御部305(図3を起動することによってスピーカ309の鳴動を開始する(ステップ504)。そして一定の回数又は時間の鳴動を行った後、子機102又は103の鳴動制御部305はスピーカ309の鳴動を終了する(ステップ505)。
【0029】
ステップ503において、もし親機101のスピーカ210より発せられる鳴動音403の音量レベルが予め設定された閾値を超える場合は、子機102マタは103の使用ユーザにとって親機101の鳴動音403が充分聞こえる(親機と子機が近い)、と子機102又は103の鳴動判定部307は判断し、子機102又は103の鳴動制御部305はスピーカ309の鳴動を行わず、そのまま処理フローを終了するステップ505。
【0030】
以上のようにすれば、ユーザが親機の鳴動動作により着信に気付く範囲に設置してある子機の鳴動動作が抑制され、親機の鳴動動作の影響が及ばない範囲に設置してある子機のみ鳴動動作を行い、ユーザが煩わしいと感じる鳴動動作の重複を回避することができる。
【0031】
なお、本実施の形態では音量測定動作を子機の鳴動の有無を決定するまで実行することになっているが、子機を制御した後も継続して音量測定動作を行うことによって、その音量変化に応じて子機の鳴動有無を状況に応じて変化させることもできる。
【0032】
(実施の形態2)
実施の形態1では、子機が親機の鳴動音量を測定し、子機自身の鳴動有無を判断することにより、親機と子機との鳴動動作の重複を回避しているが、実施の形態2では、逆に親機が子機の鳴動音量を測定し、親機が子機に鳴動の有無を指示する。以下にその詳細を述べる。
【0033】
実施の形態2のシステム全体の構成図、親機101の機能ブロック構成図、子機102及び103の機能ブロック構成図は、それぞれ実施の形態1の説明で用いた図1、図2、図3と同一である。
【0034】
図6は、子機102及び103が発する鳴動音を親機101が測定し、子機102及び103に対して鳴動に関する制御指示を送信するまでのシーケンス図であり、図7は図6における親機101のフローチャートである。
【0035】
図6において親機101が公衆回線104からの着信601を検出した際に親機101自身が鳴動を開始する(602)(ステップ708)と共に管理下の子機102、103に対して着信通知603を送信する(ステップ701)。子機102、103のそれぞれの親機通信制御部302は着信通知603を受信し、処理管理部303)は鳴動制御部305にスピーカ309から鳴動音を発するように指示し、子機102、103は鳴動する(604)。一方、着信通知603を送信した親機101は続いて内蔵マイク210から入力される子機102、103の鳴動音(604)の音量レベルの測定を開始する(605)ことを示している。この音量レベルの測定値によって親機101は子機102、103に対し、鳴動制御指示606を送信する。子機102、103のそれぞれの親機通信制御部302は鳴動制御指示606を受信し、その指示内容に従い、処理管理部303は鳴動制御部305にスピーカ309から鳴動音を制御する。なお、607では鳴動制御指示内容606が停止を意味する場合で子機の鳴動604を停止させたことを示している。
【0036】
図7のフローチャートを用いて詳細に説明すると、子機102、103に着信通知を送信(603)した親機101はステップ703にて子機102、103が着信通知を受信した結果発するであろう鳴動音604の音検出を内蔵マイク211を用いて一定時間待ちうける。ここで一定時間の待ち時間に限定しているのは、子機102、103が発している鳴動音が届かない位遠方に位置している場合や子機102、102が故障などの理由で鳴動しなかった場合に備えてのことであり、この一定時間の管理のためにタイマをスタートさせる(ステップ702)。
【0037】
子機102、103の鳴動音検出が行われなかった場合つまり、ステップ702でのタイマがタイムアウトした場合(ステップ704でYes判定)、鳴動している子機の鳴動音が聞こえないほどの距離が離れている位置に親機が設置されており、親機の鳴動音も当該子機には聞こえていないと判断する。この場合、子機の鳴動を制御する必要はなく、そのまま処理フローを終了する(ステップ709)。ステップ702でのタイマがタイムアウトせず、子機102、103の鳴動音604を検出した場合(ステップ704でNo判定)、その鳴動音量レベルを測定(ステップ705)し、その測定結果である鳴動音量レベルを評価(ステップ706)し、予め設定されている閾値に満たない場合(ステップ706にてNo判定)は鳴動する子機の鳴動音604が親機101の位置では聞こえづらいことになる。ということは逆に親機101の鳴動音602もまた(鳴動している)子機に聞こえづらいことになり、親機と子機の間の距離が離れて設置されていると判断し、これも子機の鳴動を制御する必要はなく、特に何もせず、処理フローを終了する(ステップ709)。ステップ706において鳴動音量レベルが閾値以上の場合(ステップ706にてYes判定)は親機101の鳴動音が鳴動中の子機に充分聞こえる、つまり親機と子機がある程度近い位置にお互いが設置されていると判断し、当該子機に対し、鳴動を停止する指示606を送信する(ステップ707)。
【0038】
以上のようにすれば、ユーザが親機の鳴動動作により着信に気付く範囲に設置してある子機の鳴動動作が抑制され、親機の鳴動動作の影響が及ばない範囲に設置してある子機のみ鳴動動作を行い、ユーザが煩わしいと感じる鳴動動作の重複を回避することができる。
なお、逆に子機が親機の鳴動音量レベルを測定し、子機が親機に鳴動の制御指示を送信する、という構成も取りうる。
【0039】
また、本実施の形態では音量測定動作を親機の鳴動の有無を決定するまで実行することになっているが、親機を制御した後も継続して音量測定動作を行うことによって、その音量変化に応じて親機の鳴動有無を状況に応じて変化させることもできる。
【0040】
(実施の形態3)
実施の形態1及び実施の形態2では、親機101が子機102又は103の、又は子機102又は103が親機101の鳴動音の音量レベル測定を行い、親機101と子機102又は103間の位置関係を類推するものであるが、実施の形態3では、子機102、103同士で鳴動音の音量レベル測定を行い、それぞれお互いの位置関係を類推することにより鳴動の有無を決定する。以下にその詳細を述べる。
【0041】
実施の形態3のシステム全体の構成図、親機101の機能ブロック構成図、子機102及び103の機能ブロック構成図は、それぞれ実施の形態1の説明で用いた図1、図2、図3と同一である。
【0042】
図8は親機101から着信通知801、802をそれぞれ受信した子機間で互いに鳴動音量測定を行い、それぞれの鳴動有無を決定するまでのシーケンス図であり、図9は図8における子機102、103のフローチャートである。
【0043】
親機101は、公衆回線104からの着信809を検出した際に、管理下の子機102、103に対して着信通知801、802を送信する。子機102、103のそれぞれの親機通信制御部302は着信通知801、802を受信し、それぞれの処理管理部303はそれぞれの鳴動制御部305にそれぞれのスピーカ309から鳴動音を発するように指示し、子機102、103は鳴動する(803、804)。また、子機102、103は同時に内蔵マイク310から入力される他方の子機(102、又は103)の鳴動音803、804の音量レベルの測定をそれぞれ開始する(805、806)ことを示している。この音量レベルの測定値によって子機102、103はお互い位置関係を類推し、近くに位置しているとした場合は鳴動不要と判断する。この際、両方の子機が鳴動不要の判断をした場合にどちらも鳴動をやめる恐れがあるため、親機101が調整を行う。具体的には、子機103の鳴動音804が一定の音量レベル以上であったため、自己の鳴動不要と判断した子機102は、鳴動を停止するにあたって、親機101に対して鳴動変更通知805を送信する。親機101は鳴動変更通知805に先立つ鳴動変更通知を受信していないため、許可応答(以下、ACKとする)を応答する(807)。また、ほぼ時期を同じくして子機102の鳴動音803が一定の音量レベル以上であったため、自己の鳴動不要と判断した子機103は、鳴動を停止するにあたって、やはり親機101に対して鳴動変更通知806を送信する。親機101は鳴動変更通知806に先立つ鳴動変更通知805を受信しているため、不許可応答(以下、NAKとする)を応答する(808)。以上の結果から、ACKを受信した子機101は、鳴動制御部305がスピーカ309からの鳴動音を停止するが、NAKを受信した子機102は、鳴動停止処理を行わず、鳴動を継続する。
【0044】
この場合の子機102及び103の動作を図9のフローチャートを用いて詳細に説明する。子機102及び103は、親機101から着信通知801又は802を受信し(ステップ901)、鳴動制御305がスピーカ309を利用し鳴動を開始する(ステップ902)。
【0045】
その後、子機102及び103はステップ904にて他方の子機が着信通知を受信した結果発するであろう鳴動音803、804の音検出を内蔵マイク310を用いて一定時間待ちうける。ここで一定時間の待ち時間に限定しているのは、他方の子機が発している鳴動音が届かない位遠方に位置している場合や他方の子機が故障などの理由で鳴動しなかった場合に備えてのことであり、この一定時間の管理のためにタイマをスタートさせる(ステップ903)。
【0046】
他方の子機の鳴動音検出が行われなかった場合つまり、ステップ903でのタイマがタイムアウトした場合(ステップ905でYes判定)、鳴動している他方の子機の鳴動音が聞こえないほどの距離が離れている位置に自子機が設置されており、他自子機の鳴動音も当該する他方の子機には聞こえていないと判断する。この場合、自子機の鳴動を制御する必要はなく、そのまま処理フローを終了する(ステップ911)。ステップ903でのタイマがタイムアウトせず、他方の子機の鳴動音803、804を検出した場合(ステップ905でNo判定)、その鳴動音量レベルを測定(ステップ906)し、その測定結果である鳴動音量レベルを評価(ステップ907)し、予め設定されている閾値に満たない場合(ステップ907にてNo判定)は鳴動する他方の子機の鳴動音803又は804が自子機102、103の位置では聞こえづらいことになる。ということは逆に自子機102、103の鳴動音803、804もまた他方の子機に聞こえづらいことになり、子機間の距離が離れて設置されていると判断し、これも子機の鳴動を制御する必要はなく、特に何もせず、処理フローを終了する(ステップ911)。ステップ907において鳴動音量レベルが閾値以上の場合(ステップ907にてYes判定)は自子機102、103の鳴動音803,804が鳴動中の他方の子機に充分聞こえる、つまり子機同士がある程度近い位置にお互いが設置されており、自子機の鳴動を停止するべきであると判断する。ここで鳴動停止を判断した子機102、103は親機101に対して鳴動変更通知を送信し、応答を待ちうける(ステップ908)。子機102、103は親機からの応答内容を判定し、ACKの場合(ステップ909でACK判定)の場合は自らの鳴動を停止し(ステップ910)、NAKの場合(ステップ909でNAK判定)、他方の子機が鳴動を停止する予定であることを示し、自子機の鳴動を制御する必要はないため、そのまま処理フローを終了する(ステップ911)。
【0047】
以上のようにすれば、ユーザが子機の鳴動動作により着信に気付く範囲に設置してある別子機の鳴動動作が抑制され、子機の鳴動動作の影響が及ばない範囲に設置してある別子機のみ鳴動動作を行い、ユーザが煩わしいと感じる鳴動動作の重複を回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、一般家庭等で使用される、親機と少なくとも一つの子機からなり、親機が着信した際に親機と子機とで同時に鳴動可能なコードレス電話システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】コードレス電話システムの全体構成図
【図2】コードレス電話親機の構成を示す機能ブロック図
【図3】コードレス電話子機の構成を示す機能ブロック図
【図4】実施の形態1における親機と子機のシーケンス図
【図5】実施の形態1における子機のフローチャート
【図6】実施の形態2における親機と子機のシーケンス図
【図7】実施の形態2における親機のフローチャート
【図8】実施の形態3における親機と子機のシーケンス図
【図9】実施の形態3における子機のフローチャート
【符号の説明】
【0050】
101 コードレス電話親機
102、103 コードレス電話子機
104 公衆回線
201 公衆回線収容部
202 鳴動音測定部
203 鳴動判定部
204 子機通信制御部
205 子機管理部
206 処理管理部
207 音声処理部
208 鳴動制御部
209 アンテナ
210 スピーカ
211 マイク
301 設定部
302 親機通信制御部
303 処理管理部
304 音声処理部
305 鳴動制御部
306 鳴動音測定部
307 鳴動判定部
308 アンテナ
309 スピーカ
310 マイク
311 ハンドセット
312 設定データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆網回線を収容する機能と、無線通信機能を備えた親機装置と、同じく無線通信機能と通話のための音声入出力機能を備えた子機とで構成されるコードレス電話システムにおいて、前記親機が発する着信音の音量を測定する測定部と、その音量に応じて自らの着信音の有無を制御する制御部で構成されることを特徴とするコードレス電話子機装置。
【請求項2】
測定部で測定した親機の着信音量の変化を監視し、その変化に応じて自らの着信音の音量を動的に変化させる制御部を持ったことを特徴とするコードレス請求項1記載のコードレス電話子機装置。
【請求項3】
公衆網回線を収容する機能と、無線通信機能を備えた親機装置と、同じく無線通信機能と通話のための音声入出力機能を備えた子機とで構成されるコードレス電話システムにおいて、前記子機が発する着信音の音量を測定する測定部と、その音量に応じて該当子機の着信音の有無を制御する命令を発する制御部で構成されることを特徴とするコードレスコードレス電話親機装置。
【請求項4】
測定部で測定した子機の着信音量の変化を監視し、その変化に応じて該当子機の着信音の音量を動的に変化させる命令を発する制御部を持ったことを特徴とするコードレス請求項3記載のコードレス電話親機装置。
【請求項5】
公衆網回線を収容する機能と、無線通信機能を備えた親機装置と、同じく無線通信機能と通話のための音声入出力機能を備えた複数子機とで構成されるコードレス電話システムにおいて、一台の子機が発する着信音の音量を測定する測定部と、その音量に応じて自らの着信音の有無を制御する制御部で構成されることを特徴とするコードレスコードレス電話子機装置。
【請求項6】
測定部で測定した別の子機の着信音量の変化を監視し、その変化に応じて自らの着信音の音量を動的に変化させる制御部を持ったことを特徴とするコードレス請求項5記載のコードレス電話子機装置。
【請求項7】
公衆網回線を収容する機能と、無線通信機能を備えた親機装置と、同じく無線通信機能と通話のための音声入出力機能を備えた子機とで構成されるコードレス電話システムにおいて、前記親機が発する着信音の音量を測定し、その音量に応じて自らの着信音の有無を制御することを特徴とするコードレス着信音制御方法。
【請求項8】
測定部で測定した親機の着信音量の変化を監視し、その変化に応じて自らの着信音の音量を動的に変化させることを特徴とするコードレス請求項7記載の着信音制御方法。
【請求項9】
公衆網回線を収容する機能と、無線通信機能を備えた親機装置と、同じく無線通信機能と通話のための音声入出力機能を備えた子機とで構成されるコードレス電話システムにおいて、前記子機が発する着信音の音量を測定し、その音量に応じて該当子機の着信音の有無を制御する命令を発することによって着信音制御することを特徴とするコードレス着信音制御方法。
【請求項10】
測定部で測定した子機の着信音量の変化を監視し、その変化に応じて該当子機の着信音の音量を動的に変化させる命令を発することによって着信音制御することを特徴とするコードレス請求項9記載の着信音制御方法。
【請求項11】
公衆網回線を収容する機能と、無線通信機能を備えた親機装置と、同じく無線通信機能と通話のための音声入出力機能を備えた子機とで構成されるコードレス電話システムにおいて、一台の子機が発する着信音の音量を測定し、その音量に応じて自らの着信音の有無を制御することを特徴とするコードレス着信音制御方法。
【請求項12】
測定部で測定した別の子機の着信音量の変化を監視し、その変化に応じて自らの着信音の音量を動的に変化させる制御部を持ったことを特徴とするコードレス請求項11記載の着信音制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−74590(P2010−74590A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240503(P2008−240503)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】