説明

コーナー用化粧カバー

【課題】コーナーの近傍に配置され、配管を覆って保護するコーナー用化粧カバーにおいて、全長の長短にかかわらず見栄えを良くする。
【解決手段】貫通孔13の周囲を覆う貫通孔カバー片2と、配管のうち第2の壁W2に沿う部分を覆うコーナーカバー片3とが、両者の長手方向(矢印A、B方向)の全長を調整可能に接続されている。貫通孔カバー片2の第1縦壁部23の裏面には、凹凸形状の係止部が、貫通孔カバー片2およびコーナーカバー片3の長手方向に所定の長さにわたって形成されている。コーナーカバー片3の第2縦壁部33の表面には、係止部に嵌合して係止する被係止部が形成されている。貫通孔カバー片2およびコーナーカバー片3が最長状態で固定されたときに、被係止部が第1縦壁部23に覆われて隠れるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの壁が互いに交差して形成されるコーナー(入隅であると出隅であるとを問わない。)の近傍に配置され、空調用配管、冷媒管、ドレン管など各種の配管を覆って保護するコーナー用化粧カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコーナー用化粧カバーとしては、施工現場ごとに配管距離が異なる実状に対応すべく、配管距離に応じて全長を調整しうる伸縮式のコーナー用化粧カバーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この伸縮式のコーナー用化粧カバーでは、中間カバー体に端部カバー体が伸縮移動自在に外嵌装着され、両者の伸縮ガイド手段として、中間カバー体の表面にガイド溝が直線状に形成されるとともに、端部カバー体にガイド突起がガイド溝に沿って移動自在に嵌合するように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−263291号公報(段落〔0028〕〔0029〕の欄、図7〜9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなコーナー用化粧カバーでは、ガイド溝が中間カバー体の表面に設けられているため、最短状態の場合を除いて、ガイド溝が外部から見えてしまい、コーナー用化粧カバーの見栄えが悪くなるという課題がある。このことは、特にコーナー用化粧カバーが室内に設置される場合には、極めて重要な課題である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、全長の長短にかかわらず見栄えを良くすることが可能なコーナー用化粧カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、室内機が取り付けられる第1の壁と、この第1の壁に交差し、前記室内機から導出される配管を挿通して室外へ導く貫通孔が形成された第2の壁とによって形成されるコーナーの近傍において、前記貫通孔から前記コーナーまで延びるように配置されるコーナー用化粧カバーであって、前記貫通孔の周囲を覆う貫通孔カバー片と、前記配管のうち前記第2の壁に沿う部分を覆うコーナーカバー片とが、両者の長手方向の全長を調整可能に接続され、前記貫通孔カバー片は、前記貫通孔に対向し、断面略コの字状で前記コーナー側が開放された形状を有する第1膨出部と、この第1膨出部の下端部の周縁から外側へ延びる第1フランジと、この第1フランジから前記第2の壁側へほぼ垂直に突出する第1縦壁部とを有し、前記第1縦壁部の裏面には、凹凸形状の係止部が、前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片の長手方向に所定の長さにわたって形成され、前記コーナーカバー片は、前記第1膨出部の内側に嵌合する断面略コの字状の第2膨出部と、この第2膨出部の下端部の周縁から外側へ延び、前記第1フランジの内側に嵌合する第2フランジと、この第2フランジから前記第2の壁側へほぼ垂直に突出し、前記第1縦壁部の内側に嵌合する第2縦壁部とを有し、前記第2縦壁部の表面には、前記係止部に嵌合して係止する被係止部が形成され、前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片は、当該貫通孔カバー片が当該コーナーカバー片の一部に外側から重なって前記被係止部が前記係止部に嵌合することにより、最短状態から最長状態までの任意の状態で互いに固定されるように構成され、前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片が最長状態で固定されたときに、前記被係止部が前記第1縦壁部に覆われて隠れるように構成されているコーナー用化粧カバーとしたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記被係止部は、前記第2縦壁部の前記貫通孔カバー片側の端部近傍に設けられるとともに、前記第2フランジには、浮き上がり防止片が前記被係止部より先端側へ延びるように形成され、前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片が互いに固定されたときには、前記浮き上がり防止片が前記第1フランジの裏面に当たって当該貫通孔カバー片および当該コーナーカバー片の浮き上がりを防止するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、室内機が取り付けられる第1の壁と、この第1の壁に交差し、前記室内機から導出される配管を挿通して室外へ導く貫通孔が形成された第2の壁とによって形成されるコーナーの近傍において、前記貫通孔から前記コーナーまで延びるように配置されるコーナー用化粧カバーであって、前記貫通孔の周囲を覆う貫通孔カバー片と、前記配管のうち前記第2の壁に沿う部分を覆うコーナーカバー片とが、両者の長手方向の全長を調整可能に接続され、前記貫通孔カバー片は、前記貫通孔に対向し、断面略コの字状で前記コーナー側が開放された形状を有する第1膨出部と、この第1膨出部の下端部の周縁から外側へ延びる第1フランジと、この第1フランジから前記第2の壁側へほぼ垂直に突出する第1縦壁部とを有し、前記第1縦壁部の表面には、被係止部が形成され、前記コーナーカバー片は、前記第1膨出部の外側に嵌合する断面略コの字状の第2膨出部と、この第2膨出部の下端部の周縁から外側へ延び、前記第1フランジの外側に嵌合する第2フランジと、この第2フランジから前記第2の壁側へほぼ垂直に突出し、前記第1縦壁部の外側に嵌合する第2縦壁部とを有し、前記第2縦壁部の裏面には、前記被係止部が嵌合して係止する凹凸形状の係止部が、前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片の長手方向に所定の長さにわたって形成され、前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片は、当該貫通孔カバー片が当該コーナーカバー片の一部に内側から重なって前記被係止部が前記係止部に嵌合することにより、最短状態から最長状態までの任意の状態で互いに固定されるように構成され、前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片が最長状態で固定されたときに、前記被係止部が前記第2縦壁部に覆われて隠れるように構成されているコーナー用化粧カバーとしたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成に加え、前記被係止部は、前記第1縦壁部の前記コーナーカバー片側の端部近傍に設けられるとともに、前記第1フランジには、浮き上がり防止片が前記被係止部より先端側へ延びるように形成され、前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片が互いに固定されたときには、前記浮き上がり防止片が前記第2フランジの裏面に当たって当該貫通孔カバー片および当該コーナーカバー片の浮き上がりを防止するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の構成に加え、前記貫通孔カバー片の裏面および前記コーナーカバー片の裏面には、一方に目盛が設けられるとともに、他方に指示手段が設けられ、前記被係止部が前記係止部に嵌合したときに、前記目盛と前記指示手段とが協働して前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片の長手方向の全長を示すように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、貫通孔カバー片およびコーナーカバー片が最長状態で固定されたときに、被係止部が第1縦壁部に覆われて隠れるように構成されていることから、コーナー用化粧カバーが最短状態の場合のみならず、それ以外のいかなる状態の場合でも、被係止部が外部から見えてしまう事態を回避することができる。その結果、貫通孔カバー片およびコーナーカバー片の長手方向の全長の長短にかかわらず、コーナー用化粧カバーの見栄えを良くすることが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、貫通孔カバー片およびコーナーカバー片が互いに固定されたときに、第2フランジに設けられた浮き上がり防止片が第1フランジの裏面に当たることにより、貫通孔カバー片とコーナーカバー片との連結部位の浮き上がりを防止することができる。したがって、この点でもコーナー用化粧カバーの見栄えを良くすることが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、貫通孔カバー片およびコーナーカバー片が最長状態で固定されたときに、被係止部が第2縦壁部に覆われて隠れるように構成されていることから、コーナー用化粧カバーが最短状態の場合のみならず、それ以外のいかなる状態の場合でも、被係止部が外部から見えてしまう事態を回避することができる。その結果、貫通孔カバー片およびコーナーカバー片の長手方向の全長の長短にかかわらず、コーナー用化粧カバーの見栄えを良くすることが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、貫通孔カバー片およびコーナーカバー片が互いに固定されたときに、第1フランジに設けられた浮き上がり防止片が第2フランジの裏面に当たることにより、貫通孔カバー片とコーナーカバー片との連結部位の浮き上がりを防止することができる。したがって、この点でもコーナー用化粧カバーの見栄えを良くすることが可能となる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、目盛および指示手段により、貫通孔カバー片およびコーナーカバー片の長手方向の全長を容易に知ることができる。そのため、貫通孔カバー片およびコーナーカバー片の全長を迅速かつ正確に調整することができ、ひいてはコーナー用化粧カバーの施工を短時間で高精度に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に係るコーナー用化粧カバーを示す斜視図である。
【図2】同実施の形態1に係るコーナー用化粧カバーの貫通孔カバー片を示す図であって、(a)はその正面図、(b)はその平面図、(c)はその底面図、(d)はその右側面図、(e)はその背面図である。
【図3】同実施の形態1に係るコーナー用化粧カバーのコーナーカバー片および取付ベースを示す図であって、(a)はその正面図、(b)はその平面図、(c)はその底面図、(d)はその右側面図、(e)はその背面図である。
【図4】同実施の形態1に係るコーナー用化粧カバーのコーナーカバー片に貫通孔カバー片を接続した第1の状態(最短状態と最長状態との間の状態)を示す図であって、(a)はその正面図、(b)はその平面図、(c)はその底面図、(d)はその右側面図、(e)はその背面図、(f)は(a)のF−F線による断面図である。
【図5】同実施の形態1に係るコーナー用化粧カバーのコーナーカバー片に貫通孔カバー片を接続した第2の状態(最短状態)を示す図であって、(a)はその正面図、(b)はその右側面図、(c)はその背面図である。
【図6】同実施の形態1に係るコーナー用化粧カバーのコーナーカバー片に貫通孔カバー片を接続した第3の状態(最長状態)を示す図であって、(a)はその正面図、(b)はその右側面図、(c)はその背面図である。
【図7】同実施の形態1に係るコーナー用化粧カバーの施工状態を示す平面図である。
【図8】同実施の形態1に係るコーナー用化粧カバーに浮き上がり防止片が設けられていない場合に貫通孔カバー片およびコーナーカバー片の浮き上がりが発生する様子を示す図であって、(a)はコーナーカバー片の正面図、(b)は貫通孔カバー片およびコーナーカバー片が浮き上がった状態の断面図である。
【図9】同実施の形態1に係るコーナー用化粧カバーに浮き上がり防止片が設けられている場合に貫通孔カバー片およびコーナーカバー片の浮き上がりが発生しない様子を示す図であって、(a)はコーナーカバー片の正面図、(b)は貫通孔カバー片およびコーナーカバー片が浮き上がっていない状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0018】
図1乃至図9には、本発明の実施の形態1を示す。
【0019】
施工現場10は、図7に示すように、第1の壁W1を有しており、第1の壁W1の内側(室内側)には室内機11が取り付けられている。この第1の壁W1には、第2の壁W2が直交してコーナーCを形成するように立設されており、第2の壁W2の外側(室外側)には室外機12が設置されている。さらに、第2の壁W2には貫通孔13が第2の壁W2を貫通するように形成されている。また、室内機11と室外機12との間には、両者を接続する配管15が配設されており、この配管15は、第1の壁W1および第2の壁W2の内面に沿ってから貫通孔13を通って第2の壁W2の外面に至っている。そして、コーナーCの近傍には、配管15のうち、第1の壁W1の内面に沿う部分に、取付ベース6を介して配管カバー片4が取り付けられているとともに、第2の壁W2の内面に沿う部分に、実施の形態1に係るコーナー用化粧カバー1が取り付けられている。
【0020】
このコーナー用化粧カバー1は、図1に示すように、貫通孔カバー片2、コーナーカバー片3および取付ベース5から構成されている。
【0021】
この貫通孔カバー片2は、図1および図2に示すように、貫通孔13に対向し、断面略コの字状でコーナーC側が開放された形状を有する第1膨出部21と、この第1膨出部21の下端部の周縁21aから外側へ延びる第1フランジ22と、この第1フランジ22から第2の壁W2側へほぼ垂直に突出する第1縦壁部23とを有している。そして、第1膨出部21の裏面には、図2(e)に示すように、目盛16が刻設されている。この目盛16には、7種類の数値(200mm、210mm、220mm、230mm、240mm、250mm、260mmをそれぞれ意味する「200」、「210」、「220」、「230」、「240」、「250」、「260」)が含まれている。また、第1縦壁部23の裏面には、凹凸形状の左右一対の係止部7が、貫通孔カバー片2およびコーナーカバー片3の長手方向(矢印A、B方向)に所定の長さにわたって形成されている。さらに、第1縦壁部23の中央部(貫通孔カバー片2の先端部)には、図2に示すように、ねじ止め部24が形成されている。
【0022】
また、コーナーカバー片3は、図1および図3に示すように、第1膨出部21の内側に嵌合する断面略コの字状の第2膨出部31と、この第2膨出部31の2つの下端部の周縁31aから外側へ延び、第1フランジ22の内側に嵌合する左右一対の第2フランジ32と、これらの第2フランジ32から第2の壁W2側へほぼ垂直に突出し、第1縦壁部23の内側に嵌合する左右一対の第2縦壁部33と、第2膨出部31の上端から第2の壁W2とは反対側へほぼ垂直に突出し、配管カバー片4の外側に嵌合する連結部34とを有している。そして、第2膨出部31の裏面には、図3(e)に示すように、三角形の指示手段17が刻設されている。また、第2縦壁部33の表面には、図3(d)、(e)に示すように、貫通孔カバー片2側(図3(e)上側)の端部近傍に、左右一対の係止部7に嵌合して係止する左右一対の被係止部8が形成されている。さらに、各第2フランジ32にはそれぞれ、図3に示すように、浮き上がり防止片36が各被係止部8より先端側(図3(a)上側)へ延びるように一体に形成されている。
【0023】
ここで、貫通孔カバー片2およびコーナーカバー片3は、図4から図6までに示すように、両者の長手方向(矢印A、B方向)の全長L2を調整可能に接続されており、貫通孔カバー片2がコーナーカバー片3の一部に外側から重なって被係止部8が係止部7に嵌合することにより、最短状態(図5に示す状態)から最長状態(図6に示す状態)までの任意の状態で互いに固定されるように構成されている。そして、図6に示すように、貫通孔カバー片2およびコーナーカバー片3が最長状態で固定されたときには、被係止部8が貫通孔カバー片2の第1縦壁部23に覆われて隠れるように構成されている。
【0024】
また、コーナーカバー片3には、図3に示すように、取付ベース5が着脱自在に取り付けられている。すなわち、コーナーカバー片3の第2膨出部31の内面には左右二対の係止爪35が形成されている。一方、取付ベース5は、平板状のベース本体51と、このベース本体51に形成された左右二対の係止孔52とを有している。そして、コーナーカバー片3と取付ベース5とは、各係止爪35が各係止孔52に係合することにより、両者が互いに連結された状態になるとともに、各係止孔52に対する各係止爪35の係合が解除されることにより、両者の連結が解除された状態になる。なお、取付ベース5のベース本体51のほぼ中央部には、図3(b)、(c)に示すように、ねじ止め部53が形成されている。
【0025】
さらに、このコーナー用化粧カバー1と室内機11との間には、図7に示すように、取付ベース6が第1の壁W1に沿って設けられており、取付ベース6には配管カバー片4が着脱自在に取り付けられている。すなわち、配管カバー片4は、図1に示すように、断面略コの字状の第3膨出部41と、この第3膨出部41の下端部に形成された左右一対の係止爪42とを有している。一方、取付ベース6は、断面略コの字状のベース本体61と、このベース本体61の上端部に形成された左右一対の係止溝62とを有している。そして、配管カバー片4と取付ベース6とは、各係止爪42が各係止溝62に係合することにより、両者が互いに連結された状態になるとともに、各係止溝62に対する各係止爪42の係合が解除されることにより、両者の連結が解除された状態になる。なお、取付ベース6のベース本体61には、図1に示すように、2個のねじ止め部63が形成されている。
【0026】
コーナー用化粧カバー1は以上のような構成を有するので、図1および図7に示すように、このコーナー用化粧カバー1をコーナーCの近傍に施工する際には、次の手順による。
【0027】
まず、カバー準備工程で、図7に示すように、第1の壁W1から貫通孔13までの配管距離L1に応じて、貫通孔カバー片2およびコーナーカバー片3をその長手方向の全長L2がこの配管距離L1に対応するように互いに接続して固定することにより、貫通孔カバー片2およびコーナーカバー片3の長手方向の全長L2を調整する。
【0028】
このとき、貫通孔カバー片2およびコーナーカバー片3を互いに接続すると、図4から図6までに示すように、そのときの長手方向の全長L2に対応した目盛16上の数値(例えば、「230」や「260」など)を指示手段17が指し示す。したがって、この指示手段17が指し示す目盛16上の数値を読み取ることにより、貫通孔カバー片2およびコーナーカバー片3の長手方向の全長L2を容易に知ることができる。そのため、貫通孔カバー片2およびコーナーカバー片3の長手方向の全長L2を迅速かつ正確に調整することができる。
【0029】
次いで、ベース取付工程に移行し、第1の壁W1の所定の位置に取付ベース5、6をねじ止めする。それには、取付ベース5のねじ止め部53に、ねじ(図示せず)を挿通して第1の壁W1にねじ込むとともに、取付ベース6の各ねじ止め部63にそれぞれ、ねじ(図示せず)を挿通して第1の壁W1にねじ込む。
【0030】
その後、配管工程に移行し、第1の壁W1および第2の壁W2に沿って配管15を配設する。
【0031】
次に、第1カバー取付工程に移行し、この配管15の一部(第1の壁W1に沿う部分)を覆うように、配管カバー片4を取付ベース6に取り付ける。
【0032】
次いで、第2カバー取付工程に移行し、この配管15の一部(第2の壁W2に沿う部分)および貫通孔13を覆うように、コーナーカバー片3を貫通孔カバー片2とともに取付ベース5に取り付ける。
【0033】
最後に、カバー固定工程に移行し、この貫通孔カバー片2を第2の壁W2にねじ止めする。それには、貫通孔カバー片2のねじ止め部24に、ねじ(図示せず)を挿通して第2の壁W2にねじ込む。
【0034】
すると、コーナー用化粧カバー1が配管15および貫通孔13を覆う形でコーナーCの近傍に配置された状態となり、ここでコーナー用化粧カバー1の施工が終了する。
【0035】
このように、コーナー用化粧カバー1の施工に際しては、カバー準備工程において、第1の壁W1から貫通孔13までの配管距離L1に応じて、コーナー用化粧カバー1の長さを迅速かつ正確に調整することができる。そのため、あらゆる施工現場において、コーナー用化粧カバー1の施工を短時間で高精度に行うことが可能となる。
【0036】
また、第2カバー取付工程では、貫通孔カバー片2が既にコーナーカバー片3に固定された状態となっているので、コーナーカバー片3が取付ベース5に取り付けられた後に、貫通孔カバー片2がコーナーカバー片3に対して水平移動して長手方向の全長L2が変わったり、貫通孔カバー片2がコーナーカバー片3から脱落したりする不具合は生じない。したがって、コーナー用化粧カバー1の施工を円滑に行うことが可能となる。
【0037】
さらに、カバー固定工程では、第1の壁W1およびおよび第2の壁W2に対して、コーナー用化粧カバー1が2点(ねじ止め部24、ねじ止め部53)のみで固定された状態となるが、上述したとおり、コーナーカバー片3には左右一対の浮き上がり防止片36が設けられているため、以下に説明するように、貫通孔カバー片2とコーナーカバー片3との連結部位の浮き上がりを防止することができる。その結果、この連結部位に隙間が生じるような事態は発生せず、コーナー用化粧カバー1の見栄えを良くすることが可能となる。
【0038】
すなわち、貫通孔カバー片2とコーナーカバー片3とは、被係止部8が係止部7に嵌合することによってのみ互いに固定された状態に過ぎない。したがって、仮に、図8(a)に示すように、コーナーカバー片3に浮き上がり防止片36が設けられていないとすると、図8(b)に示すように、例えば、コーナー用化粧カバー1内で配管15が貫通孔カバー片2やコーナーカバー片3を手前側(矢印D方向)に押圧した場合には、貫通孔カバー片2がねじ止め部24を中心として少し回転してしまうのを拘束することができない。そのため、貫通孔カバー片2とコーナーカバー片3との連結部位が手前側に浮き上がってしまう。
【0039】
これに対して、図9(a)に示すように、コーナーカバー片3に浮き上がり防止片36が設けられていると、図9(b)に示すように、たとえコーナー用化粧カバー1内で配管15が貫通孔カバー片2やコーナーカバー片3を手前側(矢印D方向)に押圧した場合でも、この浮き上がり防止片36が貫通孔カバー片2の第1フランジ22の裏面に当たることにより、貫通孔カバー片2がねじ止め部24を中心として回転してしまうのを拘束することができる。その結果、貫通孔カバー片2とコーナーカバー片3との連結部位が手前側に浮き上がる事態を阻止することが可能となるのである。
【0040】
そして、このようにして施工されたコーナー用化粧カバー1は、上述したとおり、貫通孔カバー片2およびコーナーカバー片3が最長状態で固定されたときには、被係止部8が貫通孔カバー片2の第1縦壁部23に覆われて隠れるように構成されている。したがって、コーナー用化粧カバー1が最短状態の場合(図5参照)のみならず、それ以外のいかなる状態の場合(図4、図6参照)でも、被係止部8が外部から見えてしまう事態を回避することができる。その結果、貫通孔カバー片2およびコーナーカバー片3の長手方向の全長L2の長短にかかわらず、コーナー用化粧カバー1の見栄えを良くすることが可能となる。
【0041】
また、このコーナー用化粧カバー1は、貫通孔カバー片2とコーナーカバー片3とが接続された状態では、貫通孔カバー片2およびコーナーカバー片3の長手方向の全長L2の長短を問わず、凹凸形状の左右一対の係止部7が外部に露呈しない。そのため、室内の塵埃がこれらの係止部7に溜まることを抑制し、コーナー用化粧カバー1全体を美麗に保つことが可能となる。
[発明の実施の形態2]
【0042】
上述した実施の形態1では、貫通孔カバー片2がコーナーカバー片3の一部に外側から重なるコーナー用化粧カバー1について説明した。しかし、逆に、貫通孔カバー片2がコーナーカバー片3の一部に内側から重なるようにしても構わない。
【0043】
この場合、コーナーカバー片3の第2縦壁部33が貫通孔カバー片2の第1縦壁部23の外側に嵌合することになるため、第2縦壁部33の裏面に係止部7を形成するとともに、第1縦壁部23の表面に被係止部8を形成するようにすればよい。
【0044】
そして、貫通孔カバー片2およびコーナーカバー片3が最長状態で固定されたときに、被係止部8がコーナーカバー片3の第2縦壁部33に覆われて隠れるように構成すれば、上述した実施の形態1と同様、コーナー用化粧カバー1が最短状態の場合のみならず、それ以外のいかなる状態の場合でも、被係止部8が外部から見えてしまう事態を回避することができる。その結果、貫通孔カバー片2およびコーナーカバー片3の長手方向の全長L2の長短にかかわらず、コーナー用化粧カバー1の見栄えを良くすることが可能となる。
【0045】
また、第1フランジ22に浮き上がり防止片(図示せず)を被係止部8より先端側へ延びるように設ければ、上述した実施の形態1と同様、貫通孔カバー片2およびコーナーカバー片3が互いに固定されたときに、この浮き上がり防止片がコーナーカバー片3の第2フランジ32の裏面に当たることにより、貫通孔カバー片2とコーナーカバー片3との連結部位の浮き上がりを防止することができる。そのため、コーナー用化粧カバー1の見栄えを良くすることが可能となる。
[発明のその他の実施の形態]
【0046】
なお、上述した実施の形態1、2では、貫通孔カバー片2の第1膨出部21の裏面に目盛16が設けられるとともに、コーナーカバー片3の第2膨出部31の裏面に指示手段17が設けられた場合について説明した。しかし、目盛16および指示手段17を設ける部位は、これに限るわけではない。例えば、貫通孔カバー片2の第1フランジ22の裏面に目盛16を設けるとともに、コーナーカバー片3の第2フランジ32の裏面に指示手段17を設けるようにしてもよい。また、目盛16を設ける部位と指示手段17を設ける部位とを逆にしても構わない。すなわち、貫通孔カバー片2の裏面に指示手段17を設けるとともに、コーナーカバー片3の裏面に目盛16を設けることも可能である。
【0047】
また、上述した実施の形態1、2では、7種類の数値を含む目盛16が貫通孔カバー片2に設けられた場合について説明したが、この数値は、7種類に限るわけではなく、何種類でも構わない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、コーナーの近傍に配設される各種の配管(例えば、空調用配管、冷媒管、ドレン管、給水・給湯用の配管、電気配線、ガス配管、排水管など)を覆って保護するコーナー用化粧カバーに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1……コーナー用化粧カバー
2……貫通孔カバー片
3……コーナーカバー片
7……係止部
8……被係止部
11……室内機
13……貫通孔
15……配管
16……目盛
17……指示手段
21……第1膨出部
21a……周縁
22……第1フランジ
23……第1縦壁部
31……第2膨出部
31a……周縁
32……第2フランジ
33……第2縦壁部
36……浮き上がり防止片
C……コーナー
L2……全長
W1……第1の壁
W2……第2の壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機が取り付けられる第1の壁と、この第1の壁に交差し、前記室内機から導出される配管を挿通して室外へ導く貫通孔が形成された第2の壁とによって形成されるコーナーの近傍において、前記貫通孔から前記コーナーまで延びるように配置されるコーナー用化粧カバーであって、
前記貫通孔の周囲を覆う貫通孔カバー片と、前記配管のうち前記第2の壁に沿う部分を覆うコーナーカバー片とが、両者の長手方向の全長を調整可能に接続され、
前記貫通孔カバー片は、前記貫通孔に対向し、断面略コの字状で前記コーナー側が開放された形状を有する第1膨出部と、この第1膨出部の下端部の周縁から外側へ延びる第1フランジと、この第1フランジから前記第2の壁側へほぼ垂直に突出する第1縦壁部とを有し、前記第1縦壁部の裏面には、凹凸形状の係止部が、前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片の長手方向に所定の長さにわたって形成され、
前記コーナーカバー片は、前記第1膨出部の内側に嵌合する断面略コの字状の第2膨出部と、この第2膨出部の下端部の周縁から外側へ延び、前記第1フランジの内側に嵌合する第2フランジと、この第2フランジから前記第2の壁側へほぼ垂直に突出し、前記第1縦壁部の内側に嵌合する第2縦壁部とを有し、前記第2縦壁部の表面には、前記係止部に嵌合して係止する被係止部が形成され、
前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片は、当該貫通孔カバー片が当該コーナーカバー片の一部に外側から重なって前記被係止部が前記係止部に嵌合することにより、最短状態から最長状態までの任意の状態で互いに固定されるように構成され、
前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片が最長状態で固定されたときに、前記被係止部が前記第1縦壁部に覆われて隠れるように構成されていることを特徴とするコーナー用化粧カバー。
【請求項2】
前記被係止部は、前記第2縦壁部の前記貫通孔カバー片側の端部近傍に設けられるとともに、前記第2フランジには、浮き上がり防止片が前記被係止部より先端側へ延びるように形成され、
前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片が互いに固定されたときには、前記浮き上がり防止片が前記第1フランジの裏面に当たって当該貫通孔カバー片および当該コーナーカバー片の浮き上がりを防止するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のコーナー用化粧カバー。
【請求項3】
室内機が取り付けられる第1の壁と、この第1の壁に交差し、前記室内機から導出される配管を挿通して室外へ導く貫通孔が形成された第2の壁とによって形成されるコーナーの近傍において、前記貫通孔から前記コーナーまで延びるように配置されるコーナー用化粧カバーであって、
前記貫通孔の周囲を覆う貫通孔カバー片と、前記配管のうち前記第2の壁に沿う部分を覆うコーナーカバー片とが、両者の長手方向の全長を調整可能に接続され、
前記貫通孔カバー片は、前記貫通孔に対向し、断面略コの字状で前記コーナー側が開放された形状を有する第1膨出部と、この第1膨出部の下端部の周縁から外側へ延びる第1フランジと、この第1フランジから前記第2の壁側へほぼ垂直に突出する第1縦壁部とを有し、前記第1縦壁部の表面には、被係止部が形成され、
前記コーナーカバー片は、前記第1膨出部の外側に嵌合する断面略コの字状の第2膨出部と、この第2膨出部の下端部の周縁から外側へ延び、前記第1フランジの外側に嵌合する第2フランジと、この第2フランジから前記第2の壁側へほぼ垂直に突出し、前記第1縦壁部の外側に嵌合する第2縦壁部とを有し、前記第2縦壁部の裏面には、前記被係止部が嵌合して係止する凹凸形状の係止部が、前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片の長手方向に所定の長さにわたって形成され、
前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片は、当該貫通孔カバー片が当該コーナーカバー片の一部に内側から重なって前記被係止部が前記係止部に嵌合することにより、最短状態から最長状態までの任意の状態で互いに固定されるように構成され、
前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片が最長状態で固定されたときに、前記被係止部が前記第2縦壁部に覆われて隠れるように構成されていることを特徴とするコーナー用化粧カバー。
【請求項4】
前記被係止部は、前記第1縦壁部の前記コーナーカバー片側の端部近傍に設けられるとともに、前記第1フランジには、浮き上がり防止片が前記被係止部より先端側へ延びるように形成され、
前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片が互いに固定されたときには、前記浮き上がり防止片が前記第2フランジの裏面に当たって当該貫通孔カバー片および当該コーナーカバー片の浮き上がりを防止するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のコーナー用化粧カバー。
【請求項5】
前記貫通孔カバー片の裏面および前記コーナーカバー片の裏面には、一方に目盛が設けられるとともに、他方に指示手段が設けられ、
前記被係止部が前記係止部に嵌合したときに、前記目盛と前記指示手段とが協働して前記貫通孔カバー片および前記コーナーカバー片の長手方向の全長を示すように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコーナー用化粧カバー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−61054(P2013−61054A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201499(P2011−201499)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(302044708)宏和工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】