説明

コーヒー抽出材料の複数封入体及び装飾装置

【課題】従来、封入袋を開封してコーヒー抽出材料を密閉缶の缶内に移し変えることによってコーヒー抽出材料の劣化を防止する方法もあるが、移し変える手間が煩わしいし、密閉缶を飾りとして並べたとしても、装飾形態を変化させることができず、効果的な装飾を演出できないという課題があった。
【解決手段】本発明によるコーヒー抽出材料の複数封入体1は、1杯分又は数杯分のコーヒー抽出材料2の封入された封入体3が一方向Xに複数連続して設けられ、封入体3の1つ1つが分離可能に形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾品として利用でき装飾形態を容易に変更可能なコーヒー抽出材料の複数封入体及びこれを用いた装飾装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーの煎り豆又はコーヒー粉などのコーヒー抽出材料は1つの袋に封入されている。
【特許文献1】特開平10−001181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、コーヒー抽出材料の封入された従来の封入袋は、開封してしまうと、開封した封入袋の開封部を輪ゴムやクリップのような封止具で封じたとしても、湿気や雑菌などによって袋内のコーヒー抽出材料が劣化してしまうし、見栄えも悪いという課題があった。封入袋を開封してコーヒー抽出材料を密閉缶の缶内に移し変えることによってコーヒー抽出材料の劣化を防止する方法もあるが、移し変える手間が煩わしいし、密閉缶を飾りとして並べたとしても、装飾形態を変化させることができず、効果的な装飾を演出できないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によるコーヒー抽出材料の複数封入体は、1杯分又は数杯分のコーヒー抽出材料の封入された封入体が一方向に複数連続して設けられ、封入体の1つ1つが分離可能に形成されたことを特徴とする。
複数封入体の両端に位置する封入体に連結部を設けたことも特徴とする。
本発明による装飾装置は、上記複数封入体と、当該複数封入体が引き出し可能に巻き付けられたドラムとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によるコーヒー抽出材料の複数封入体によれば、1杯分又は数杯分のコーヒー抽出材料の封入された封入体単位でコーヒー抽出材料を使い切ることができるので、コーヒー抽出材料の劣化を防止できる。また、複数封入体をテーブルの上に置いたり、壁や天井から吊るしたりすることで、複数封入体を効果的な装飾を演出可能な装飾品として利用できる。
複数封入体の両端に位置する封入体に連結部を設けたことによって、ドラムの巻き取り軸に複数封入体を容易に引き出し可能に巻き付けることができて、装飾装置を形成できる。また、複数封入体同士の連結を容易に行えるとともに、複数封入体の生産を容易とでき、運搬や取扱いの容易な複数封入体を提供できる。
本発明による装飾装置によれば、ドラムにより、複数封入体の引き出し長さを調整することによって、複数封入体による装飾形態を容易に変化させることができるため、複数封入体を効果的な装飾を演出できる装飾品として利用できる装飾装置を提供できる。また、複数並べることで、複数封入体による装飾効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1乃至図4は本発明の最良の形態を示し、図1は複数封入体1を示し、図2は複数封入体1の製造方法を示し、図3は装飾装置を示し、図4は装飾装置の設置例を示す。
【0007】
図1を参照し、コーヒー抽出材料を封入した複数封入体1を説明する。複数封入体1は、1杯分のコーヒー抽出材料2の封入された封入体3が、一方向Xに沿って複数連続して形成された構成である。ここで、1杯分とは、例えば、8グラム〜15グラム程度の量である。封入体3の数は2つ以上であり、例えば、長方形状に形成された封入体3を10個備えた構成である。
【0008】
図1及び図2を参照し、複数封入体1の生産方法を説明する。尚、生産は専用の生産機械により製造される。まず、図2に示すように、紫外線を通さない又は紫外線を通しにくい性質を有する合成樹脂により形成された薄い長尺なフィルム4であって、封入体3の長方形状の長辺の長さの2倍以上の長さの長尺なフィルム4の上に、コーヒー抽出材料2の収納部となるスペース5を区画するように熱溶着材6を設ける。熱溶着材6で囲まれた内側のスペース5上にコーヒー抽出材料2を載せた後に、折り曲げ部aで折り曲げることによって、熱溶着材6を互いに重ね合わせる。フィルム4の上から熱溶着材6の部分に熱を加えることによって上下のフィルム4を熱溶着材6の溶着によって互いに接着する。つまり、所謂、ヒートシールを行うことによって、図1に示すように、コーヒー抽出材料2がヒートシールで密封された収納部7に封入される。これにより、収納部7が一方向Xに沿って断続的に設けられた中間製品が得られる。中間製品の収納部7と収納部7との間の部分8には一方の長辺端部9から他方の長辺端部10にかけて断続する複数の孔11が形成される。つまり、複数の孔11によって、所謂、ミシン目と呼ばれるような分離補助部12が形成される。分離補助部12で分離される個体が封入体3を構成する。
即ち、複数封入体1は、複数の封入体3が分離補助部12を介して一方向に連続して設けられ、封入体3の1つ1つが分離補助部12によって分離容易に形成された構造である。
【0009】
最良の形態の複数封入体1によれば、例えば、喫茶店においてコーヒーの注文があった場合に、その注文数に合わせた数だけ複数封入体1より封入体3を分離し、その分離した封入体を開封して封入されていたコーヒー抽出材料を使い切ることができるので、コーヒー抽出材料の劣化を防止できる。
また、複数封入体1をテーブルの上に置いたり、壁や天井から吊るしたりすることで、複数封入体1を効果的な装飾を演出可能な装飾品として利用できる。
【0010】
図3を参照し、複数封入体1を装飾品として利用可能な装飾装置31について説明する。装飾装置31は、複数封入体1と、当該複数封入体1が引き出し可能に巻き付けられたドラム21とによって構成される。尚、ドラム21は、例えば、巻き取り軸22と、巻き取り軸22を回転可能に支持する軸受部26、軸受部26同士を互いに連結するベース27と、巻き取り軸22の回転を操作するためのハンドル25とを備えた構成である。
装飾装置31を構成するため、例えば、図1に示すように、複数封入体5の両端部13;14、即ち、複数封入体5の両端にそれぞれ位置する封入体3;3の連結されていない自由端部には、連結部としての連結用孔15が形成される。連結用孔15は、端部13;14のそれぞれに1個ずつ設けるようにしてもよいが、図1のように、2個ずつ設ければ、複数封入体5が連結用孔15に挿入される後述の連結軸23や連結ピンを中心として回転しないので好ましい。
そして、図3に示すように、ドラム21の巻き取り軸22には、連結部としての連結軸23が設けられる。ドラム21の巻き取り軸22に設けられた連結軸23と複数封入体1の一端部に形成された連結用孔15とを互いに係合させることによって複数封入体1の一端部をドラム21の巻き取り軸22に取付けてから、ドラム21の巻き取り軸22をハンドル25の操作で回転させることによって、複数封入体1がドラム21の巻き取り軸22に引き出し可能に巻付けられる。
装飾装置31によれば、ドラム21によって複数封入体1の引き出し長さを調整することにより、複数封入体1による装飾形態を容易に変化させることができるため、複数封入体1を効果的な装飾を演出できる装飾品として利用できる。
特に、この装飾装置を、複数並べて設けることによって、複数封入体1による装飾効果を高めることができる。
【0011】
例えば、図4に示すように、複数のドラム21を天井41に止ねじなどの固定具42で取付け、複数のドラム21からそれぞれ複数封入体1を垂れ下げるようにし、それぞれの垂れ下げ長さを調整することにより、複数封入体1による装飾効果を高めることができる。
【0012】
また、ドラム21の巻き取り軸22に取り付けられた複数封入体1の他端14の連結用孔15と追加の複数封入体1の一端13の連結用孔15とを一致させ、図外の連結ピンなどの連結具によって連結することによって、複数封入体1を追加できる。複数封入体1同士の連結用の連結部としての連結用孔15を備えた複数封入体1によれば、複数封入体1同士の連結を容易に行えるという効果の他に、複数封入体1として長辺の長さの短いものを生産すればよく、生産が容易となって生産効率を向上でき、また、運搬や取扱いも容易となる。
【0013】
尚、ラチェット機構によって複数封入体1が巻き取られる方向の回転が規制される構成のドラム21を用いれば、複数封入体1の引き出し操作が容易となる。
複数封入体1を巻き取る方向に常に付勢するばねと複数封入体1が巻き取られる方向の回転を規制するラチェット機構と複数封入体1が引き出す方向に操作されることによってラチェット機構による規制を解除するラチェット解除機構とを備えた構成のドラム21を用いれば、複数封入体1の引き出し長さを微調整できるようになるので、装飾調整の容易な装飾装置31を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
封入体3に、数杯分のコーヒー抽出材料2を封入してもよい。例えば、15グラム〜50グラム程度の量を封入体3に封入してもよい。即ち、封入体3に封入するコーヒー抽出材料2の量は、1回又は数回(例えば5回程度まで)の使用によって使い切れる量とすればよい。
また、複数封入体1の外観に特徴があればより装飾性を向上できるが、複数封入体1の外観が単色で無模様であったとしても、複数封入体1の封入体3の形状による装飾性を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】複数封入体を示す斜視図(最良の形態)。
【図2】複数封入体1の製造方法を示す展開図(最良の形態)。
【図3】装飾装置を示す斜視図(最良の形態)。
【図4】装飾装置の設置例を示す図(最良の形態)。
【符号の説明】
【0016】
1 複数封入体、2 コーヒー抽出材料、3 封入体、
15 連結用孔(連結部)、21 ドラム、31 装飾装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1杯分又は数杯分のコーヒー抽出材料の封入された封入体が一方向に複数連続して設けられ、封入体の1つ1つが分離可能に形成されたことを特徴とするコーヒー抽出材料の複数封入体。
【請求項2】
複数封入体の両端に位置する封入体に連結部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のコーヒー抽出材料の複数封入体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の複数封入体と、当該複数封入体が引き出し可能に巻き付けられたドラムとを備えたことを特徴とする装飾装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−30774(P2008−30774A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204158(P2006−204158)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(506257238)
【Fターム(参考)】