説明

コールセンタシステム、及びコールセンタにおける制御方法

【課題】通話保留中に送信される映像等を各利用者に合った映像に変更することができるコールセンタシステムを得る。
【解決手段】呼制御サーバ120は、オペレータ端末130から、複数の映像情報の中から選択された映像情報の識別情報を含む第1通話保留要求信号を受信して、回線制御部111に、当該映像情報の識別情報を含む第2通話保留要求信号を送信し、回線制御部111は、第2通話保留要求信号を受信して、TV電話30とオペレータ端末130との接続を、TV電話30と映像処理手段との接続に切替え、映像処理手段からTV電話30に、映像情報の識別情報に基づく映像情報を送信するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コールセンタシステム、及びコールセンタにおける制御方法に関し、特に、送信する映像を利用者に対応して変更するシステム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコールセンタシステムは、例えば、「同一のCMを常時連続して流しておき、利用者が電話をかける際、CM1件の長さより長い間視聴する設定により、複数の人がどのタイミングで電話をかけても1度は各CMを最初から最後まで完全に視聴されるようにする。仮に、15秒のCMを常時連続して放送しているとすると、電話を発信してから着信されるまでの間に30秒間CMが視聴されるように設定すると、複数の利用者がどのタイミングで電話をかけても該当するCMが1度は初めから終わりまで完全に視聴される。」ようなものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−234832号公報(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のコールセンタシステムは、オペレータが通話の保留操作をした場合に、利用者に対して保留音又は広告用の音声を再生するだけであった。また、テレビ電話対応コールセンタにおいては、保留を実行した場合、コールセンタシステムがデフォルトで持つ映像が再生される仕組みであったため、システム固有の映像ファイルしか送信できない、という問題点があった。また、発信中の映像再生は、回線毎に指定するものであったため、利用者に対応して映像を変更することができない、という問題点があった。従って、通話保留中に送信される映像等を利用者に対応した映像に変更することができるコールセンタシステムが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るコールセンタシステムは、映像情報と音声情報とを送受信する第1通信装置と、複数のオペレータ通信装置の何れか1つのオペレータ通信装置とを接続するコールセンタシステムにおいて、当該コールセンタシステムは、映像処理手段、呼制御手段、及び回線制御手段を備え、前記映像処理手段は、複数の映像情報が保存され、選択された映像情報を前記第1通信装置に送信し、前記呼制御手段は、前記回線制御手段と、前記オペレータ通信装置との接続をし、前記回線制御手段は、前記第1通信装置と前記映像処理手段との接続、又は前記第1通信装置と前記オペレータ通信装置との接続を切替え、前記呼制御手段は、前記オペレータ通信装置から、前記複数の映像情報の中から選択された映像情報の識別情報を含む第1通話保留要求信号を受信して、前記回線制御手段に、当該映像情報の識別情報を含む第2通話保留要求信号を送信し、前記回線制御手段は、前記第2通話保留要求信号を受信して、前記第1通信装置と前記オペレータ通信装置との接続を、前記第1通信装置と前記映像処理手段との接続に切替え、前記映像処理手段から前記第1通信装置に、前記映像情報の識別情報に基づく映像情報を送信するものである。
【0006】
また、本発明に係るコールセンタにおける制御方法は、映像情報と音声情報とを送受信する第1通信装置と、複数のオペレータ通信装置の何れか1つのオペレータ通信装置とを接続するコールセンタにおける制御方法において、前記第1通信装置と前記オペレータ通信装置との接続をするステップと、複数の映像情報の中から選択された映像情報の識別情報を含む第1通話保留要求信号を前記オペレータ通信装置から受信するステップと、当該映像情報の識別情報を含む第2通話保留要求信号を生成するステップと、前記第2通話保留要求信号に基づき、前記第1通信装置と前記オペレータ通信装置との接続を、前記第1通信装置と、前記複数の映像情報が保存された映像処理手段との接続に切替えるステップと、前記映像処理手段から前記第1通信装置に、前記映像情報の識別情報に基づき選択した映像情報を送信するステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、オペレータ端末が通話保留信号を出力すると、少なくとも映像の情報からなる複数の映像ファイルの何れか1つを選択し、前記通話保留信号が出力されたとき、選択された前記映像ファイルの情報を電話回線網を介してテレビ電話機に送信することにより、通話保留中に送信される映像を利用者に対応した映像に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1に係るコールセンタシステムの構成図である。
【図2】実施の形態1に係る動作フローチャートである。
【図3】実施の形態2に係るコールセンタシステムの構成図である。
【図4】実施の形態2に係る動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係るコールセンタシステムの構成図である。本実施の形態1のコールセンタシステムは、テレビ電話とオペレータ端末との通話保留中に顧客データベース(DB)を参照して、利用者に合った広告映像をテレビ電話に送信する。図1において、コールセンタ10は、公衆回線網又はIP網又は携帯電話網などの電話回線網である電話網20を介して、顧客等の利用者(以下、顧客という)が利用するテレビ電話機能付き電話機であるTV電話30と接続される。尚、TV電話30は、電話機能を有するコンピュータ端末、映像通信機能付き携帯電話端末などであっても良い。コールセンタ10は、回線制御サーバ110、呼制御サーバ120、複数のオペレータ端末130、顧客DB140から構成され、それぞれLAN150でネットワーク接続されている。
【0010】
回線制御サーバ110は、電話網20を介して接続されたTV電話30とオペレータ端末130とを接続する主回線112と、後述の動作により広告映像等が保存された映像再生手段である映像再生ファイル114とTV電話30とを接続する複数の回線からなる映像再生回線113と、主回線112及び映像再生回線113をそれぞれ制御する回線制御手段である回線制御部111、更に、TV電話30からの着信があったときに、呼制御サーバ120に着信リクエスト情報を送信するリクエスト処理部115を備えている。
【0011】
呼制御手段である呼制御サーバ120は、呼のルーティングを行い、最適なオペレータ端末130に着信リクエスト情報を送信する。この時、呼制御サーバ120は、顧客DB140に対して顧客データ取得のリクエスト情報を送信する。また、受け取ったリクエスト情報から最適なオペレータ端末130へ着信リクエスト情報を送信し又はオペレータ端末130から通話保留信号である保留リクエスト情報を受信し呼制御全般を行う。更に、呼制御サーバ120は、登録処理部121及びリクエスト処理部122を備え、登録処理部121は、顧客DB140へのデータの登録を行い、後述する顧客DB140の顧客データ141から最適な映像再生ファイル114を検索するためのパラメータを登録する。リクエスト処理部122は、回線制御サーバ110から送信された着信リクエスト情報を処理する。
【0012】
顧客DB140は、顧客データ141及びリクエスト処理部142を備え、リクエスト処理部142は、呼制御サーバ120から送信されたリクエスト情報を処理し、要求にあったデータを顧客データ141から取得し、オペレータ端末130に通知する。顧客データ141は、顧客の嗜好や問い合わせ履歴などを格納するフィールドを持ち、このフィールド値から、映像再生ファイル114を検索するパラメータを決定する。
【0013】
オペレータ端末130は、コールセンタ10内に複数備え、オペレータにより操作される保留ボタンを有する操作手段である電話操作部131と、着信や保留などのリクエスト情報を送受信するリクエスト処理部132とを備えている。このような構成による動作の詳細を図2により次に説明する。
【0014】
図2は実施の形態1に係るコールセンタシステムの動作フローチャートである。まず、顧客からの着信によりTV電話30とオペレータ端末130は、主回線112及び電話網20を介して通話状態となる。この時、呼制御サーバ110は、電話回線の発信者番号などの発信者を特定する情報を取得する。次に、通話中にオペレータの必要により電話操作部131の保留ボタンが押下(ON)される(S101)。オペレータ端末130のリクエスト処理部132は、通話保留信号である保留リクエスト情報を呼制御サーバ120に送信する(S102)。保留リクエスト情報を受け取った呼制御サーバ120のリクエスト処理部122は、顧客情報を得るために、取得した発信者の情報に基づき、顧客DB140の顧客データ141に保存される顧客情報の検索を行い、検索された顧客に対応する嗜好や問い合わせ経歴などから決まるパラメータから、映像再生ファイル114に保存される広告映像など映像ファイルを決定する(S103)。
【0015】
次に、呼制御サーバ120は、回線制御サーバ110に対して、通話保留要求信号である保留リクエスト情報を送信する(S104)。この時、映像ファイルの識別子を保留リクエスト情報内に付与する。保留リクエスト情報を受け取った回線制御サーバ110は、保留リクエスト情報の情報を解析する(S105)。解析した情報から回線制御部111は、TV電話30とオペレータ端末130との回線接続を、主回線112から映像再生回線113に切替え(S106)、映像ファイルの識別子から指定された映像を映像再生ファイル114に再生させる(S107)。回線制御部111は、呼制御サーバ120から保留解除のリクエストが発行されない限り、映像再生を続けさせる(S108)。
【0016】
次に、オペレータの必要により電話操作部131の保留ボタンが解除(OFF)されると、オペレータ端末130のリクエスト処理部132は、保留解除のリクエストである保留解除リクエスト情報を回線制御サーバ110に送信し、保留解除リクエスト情報を受信した回線制御サーバ110は映像の再生を停止する(S109)。再生停止後、回線制御部111は、TV電話30と映像再生回線113との接続から、TV電話30とオペレータ端末130とを接続する主回線112に切替え(S110)、再びTV電話30とオペレータ端末130とが通話状態となる。
【0017】
以上のように、取得した顧客情報から顧客データ141に保存される顧客情報の検索を行い、検索された顧客に対応する嗜好や問い合わせ経歴などから決まるパラメータから、映像再生ファイル114に保存される映像ファイルを決定し、TV電話30とオペレータ端末130との回線接続を、決定した映像ファイルを再生する映像再生ファイル114が接続される映像再生回線113に切替えることにより、通話保留中に送信される映像等を利用者に対応した映像に変更することができる。
【0018】
尚、本実施の形態1では、電話回線の発信者番号などの発信者を特定する情報として取得したが、本発明はこれに限らず、発信者を特定することができる情報であれば良く、例えば、通話中にオペレータが電話操作部131により入力する顧客番号などの情報でも良く、また例えば、発信者がプッシュフォンにより顧客番号などを入力しても良い。
【0019】
実施の形態2.
図3は実施の形態2に係るコールセンタシステムの構成図である。上記実施の形態1では、顧客DBに基づき映像再生ファイルを選択したが、本実施の形態2では、テレビ電話通話保留中に、オペレータの操作により、利用者に合った広告映像などが選択され、選択された映像をテレビ電話に送信する。図3において、本実施の形態2では、上記実施の形態1の構成に加え、オペレータ端末130は、保留中に再生する映像再生ファイル114を指定する映像ファイル選択リスト133を備え、顧客DB140を設けない構成とする。また、呼制御サーバ120の登録処理部121は、保留時に再生する映像ファイルのリストを登録する。その他の構成は、上記実施の形態1と同様である。次に本実施形態の動作の詳細を図4により説明する。
【0020】
図4は実施の形態2に係るコールセンタシステムの動作フローチャートである。まず、顧客からの着信によりTV電話30とオペレータ端末130は、主回線112及び電話網20を介して通話状態となる。次に、通話中にオペレータの必要により通話保留する際、オペレータは電話操作部131の操作により、ファイル選択リスト133から再生する映像ファイルを選択し(S201)、保留ボタンが押下(ON)する(S202)。オペレータ端末130のリクエスト処理部132は、保留実行のリクエストである保留リクエスト情報を呼制御サーバ120に送信する(S203)。この時、保留リクエスト情報には選択したファイルを指定する映像ファイル識別子の情報が含まれる。呼制御サーバ120は、回線制御サーバ110に対して、保留リクエスト情報を送信する(S204)。保留リクエスト情報を受け取った回線制御サーバ110は、保留リクエスト情報を解析する(S205)。解析した情報から回線制御部111は、TV電話30とオペレータ端末130との回線接続を、主回線112から映像再生回線113に切替え(S206)、映像ファイルの識別子から指定された映像を映像再生ファイル114に再生させる(S207)。回線制御部111は、呼制御サーバ120から保留解除のリクエストが発行されない限り、映像再生を続けさせる(S208)。
【0021】
次に、オペレータの必要により電話操作部131の保留ボタンが解除(OFF)されると、オペレータ端末130のリクエスト処理部132は、保留解除のリクエストである保留解除リクエスト情報を回線制御サーバ110に送信し、保留解除リクエスト情報を受信した回線制御サーバ110は映像の再生を停止する(S209)。再生停止後、回線制御部111は、TV電話30と映像再生回線113との接続から、TV電話30とオペレータ端末130とを接続する主回線112に切替え(S110)、再びTV電話30とオペレータ端末130とが通話状態となる。
【0022】
以上のように、電話操作部131の操作によりファイル選択リスト133から再生する映像ファイルが選択され、TV電話30とオペレータ端末130との回線接続を、選択された映像ファイルを再生する映像再生ファイル114が接続される映像再生回線113に切替えることによって、オペレータの操作により、通話保留中に送信される映像等を利用者に対応した映像に変更することができる。
【0023】
尚、本実施の形態2では、顧客DB140を設けない構成を説明したが、本発明はこれに限らず、顧客DB140を設け、電話操作部131の操作により顧客情報を入力し、入力された顧客情報に基づき、上述した実施の形態1の動作により映像ファイルを決定しても良い。
【符号の説明】
【0024】
10 コールセンタ、20 電話網、30 TV電話、110 回線制御サーバ、111 回線制御部、112 主回線、113 映像再生回線、114 映像再生ファイル、115 リクエスト処理部、120 呼制御サーバ、121 登録処理部、122 リクエスト処理部、130 オペレータ端末、131 電話操作部、132 リクエスト処理部、133 ファイル選択リスト、140 顧客DB、141 顧客データ、142 リクエスト処理部、150 LAN。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像情報と音声情報とを送受信する第1通信装置と、複数のオペレータ通信装置の何れか1つのオペレータ通信装置とを接続するコールセンタシステムにおいて、
当該コールセンタシステムは、映像処理手段、呼制御手段、及び回線制御手段を備え、
前記映像処理手段は、複数の映像情報が保存され、選択された映像情報を前記第1通信装置に送信し、
前記呼制御手段は、前記回線制御手段と、前記オペレータ通信装置との接続をし、
前記回線制御手段は、前記第1通信装置と前記映像処理手段との接続、又は前記第1通信装置と前記オペレータ通信装置との接続を切替え、
前記呼制御手段は、
前記オペレータ通信装置から、前記複数の映像情報の中から選択された映像情報の識別情報を含む第1通話保留要求信号を受信して、
前記回線制御手段に、当該映像情報の識別情報を含む第2通話保留要求信号を送信し、
前記回線制御手段は、
前記第2通話保留要求信号を受信して、前記第1通信装置と前記オペレータ通信装置との接続を、前記第1通信装置と前記映像処理手段との接続に切替え、
前記映像処理手段から前記第1通信装置に、前記映像情報の識別情報に基づく映像情報を送信することを特徴とするコールセンタシステム。
【請求項2】
前記オペレータ通信装置は、オペレータより、前記映像情報の識別情報を入力する操作手段を有することを特徴とする請求項1記載のコールセンタシステム。
【請求項3】
映像情報と音声情報とを送受信する第1通信装置と、複数のオペレータ通信装置の何れか1つのオペレータ通信装置とを接続するコールセンタにおける制御方法において、
前記第1通信装置と前記オペレータ通信装置との接続をするステップと、
複数の映像情報の中から選択された映像情報の識別情報を含む第1通話保留要求信号を前記オペレータ通信装置から受信するステップと、
当該映像情報の識別情報を含む第2通話保留要求信号を生成するステップと、
前記第2通話保留要求信号に基づき、前記第1通信装置と前記オペレータ通信装置との接続を、前記第1通信装置と、前記複数の映像情報が保存された映像処理手段との接続に切替えるステップと、
前記映像処理手段から前記第1通信装置に、前記映像情報の識別情報に基づき選択した映像情報を送信するステップと、
を有することを特徴とするコールセンタにおける制御方法。
【請求項4】
オペレータの操作により前記映像情報の識別情報を前記オペレータ装置から入力させるステップを有することを特徴とする請求項3記載のコールセンタにおける制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−66940(P2011−66940A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280803(P2010−280803)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【分割の表示】特願2006−84815(P2006−84815)の分割
【原出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】