説明

コールセンターシステム

【課題】ユーザ満足度が向上でき、しかもオペレータの効率的な運用が可能なコールセンターシステムを提供する。
【解決手段】ユーザからの電話による着信を受け付けて応対するコールセンターシステムであって、当該コールセンターシステムに配置されている複数のオペレータ毎に作成した音声合成辞書と、ユーザ毎に、通話履歴、最後に通話した日時、最後に通話した内容、最後に通話したオペレータについての情報を蓄積するユーザ情報管理データベースと、自動音声応答装置を備え、電話着信があった際に、ユーザ情報管理データベースを参照して当該ユーザを検出し、最後に通話したオペレータが在席していれば、最後に通話したオペレータの音声合成辞書を利用して、最後に通話した内容に応じた応答を音声合成し、自動音声応答装置で電話着信したユーザに応答させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コールセンターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
コールセンターシステムにおいて、ユーザの着信を管理するためのデータベースがあり、ユーザからの着信を識別可能な場合、従来、ユーザが最後に会話したオペレータを検出して、優先的に接続している。
【0003】
従来のシステムでは、ユーザが最後に会話したオペレータが不在や通話中の場合、保留となるか他のオペレータに接続されることとなり、ユーザに満足なサービスを提供できない、という問題があった。
【0004】
ユーザ情報に応じてオペレータをアサインすることにより、オペレータの効率的な運用を図り、オペレータがユーザ情報を事前に確認することにより、対応時間の短縮を図るようにしたコールセンターシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−51554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ユーザ満足度が向上でき、しかもオペレータの効率的な運用が可能なコールセンターシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のコールセンターシステムは、ユーザからの電話による着信を受け付けて応対するコールセンターシステムであって、当該コールセンターシステムに配置されている複数のオペレータ毎に作成した音声合成辞書と、ユーザ毎に、通話履歴、最後に通話した日時、最後に通話した内容、最後に通話したオペレータについての情報を蓄積するユーザ情報管理データベースと、自動音声応答装置を備え、電話着信があった際に、前記ユーザ情報管理データベースを参照して当該ユーザを検出し、前記最後に通話したオペレータが在席していれば、前記最後に通話したオペレータの音声合成辞書を利用して、前記最後に通話した内容に応じた応答を音声合成し、前記自動音声応答装置で電話着信した前記ユーザに応答させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係るコールセンターシステムの構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】実施形態に係るコールセンターシステムにおける処理内容を表すブロック図である。
【図3】実施形態に係るコールセンターシステムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係るコールセンターシステムの構成の一例を示すシステム構成図である。また、図2は、実施形態に係るコールセンターシステムにおける処理内容を表すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、一般の利用者(ユーザ)が使用する電話機40と、ユーザからの問い合わせや苦情や注文や依頼などを受け付けるコールセンターシステム100と、は公衆網30を介して接続されている。
電話機40は、コールセンターシステム100への問い合わせや苦情や注文や依頼などを行うユーザが使用する例えばプッシュボタン式の加入者電話機であるが、電話回線等の公衆網30と接続されている。電話機40は、固定電話機であっても良いし、携帯電話機であっても構わない。また、公衆網30は、公衆電話網であっても、IP網であっても良いし、公衆無線通信網であっても構わない。
【0012】
本実施形態に係るコールセンターシステム100は、PBX10と、通話録音データベース11、通話録音装置12と、自動音声応答装置13と、ユーザ管理データベース14と、オペレータ端末15と、音声合成装置16と、音声合成辞書17、音声認識装置18、音声認識データベース19を少なくとも備えており、各装置は、それぞれ、LAN(Local Area Network)20により相互にデータ通信が可能なように接続されている。
【0013】
オペレータ端末15は、ユーザからの電話による問い合わせや苦情や注文や依頼などに応対するオペレータが使用する端末である。オペレータは、問い合わせ内容や注文内容などのアクセス種別ごとに、それぞれに対応可能なオペレータがアクセス頻度に応じて複数人配置されており、複数のオペレータそれぞれが別個のオペレータ端末15を使用する。
【0014】
オペレータ端末15は、プッシュボタン式の電話機や電話機能を備えたパーソナルコンピュータであってもよい。電話機能付きのパーソナルコンピュータに、さらに、ユーザからのアクセス状況をランプ表示したり、他のオペレータ端末との連携をボタン操作によって行ったりする操作パネルが付加されている形態の端末装置が好適である。
【0015】
オペレータ端末15は、LAN20を介して、PBX10に接続するようにしても、直接、PBX10に接続させてもよい。
【0016】
PBX10は、コールセンターシステム100内に設置されている構内交換機であって、公衆網30と接続されている。PBX10は、ユーザの電話機40からコールセンターシステム100内のオペレータ端末15や通話録音装置12、ユーザ管理データベース14への通信、コールセンターシステム100内のオペレータ端末15や音声合成装置16、音声認識装置18、ユーザの電話機40への通信、および、コールセンターシステム100内のオペレータ端末15や自動音声応答装置13、通話録音装置12等の間の通信等を中継する機能を果たしている。すなわち、PBX10は、電話呼の着信や発信や転送等を制御する。
【0017】
自動音声応答装置13は、コールセンターシステム100内に設置され、図2に示すように、オペレータ管理処理部21、ユーザ検出処理部22、自動音声応答処理部23を少なくとも含んで構成されている。自動音声応答装置13は、LAN20を介して、通話録音データベース11、ユーザ管理データベース14、音声認識データベース19と接続している。
【0018】
自動音声応答装置13は、着信呼に応対するオペレータを選出したり、各データベース11,14に情報を格納したり、各データベース11,14等から抽出した情報を、コールセンターシステム100内の他の機器に配信したり、自動音声応答処理部23に出力したり、PBX10を介してユーザの電話機40などへ送信したりする機能を有している。例えば、着信呼に応対するオペレータを選出する場合、ユーザ管理データベース14を参照して、発信元のユーザに最後に応対したオペレータを検出し、そのオペレータを当該着信呼に応対するオペレータとして選出する。なお、このとき、最後に応対した際の通話内容を抽出するのも好適である。さらに、自動音声応答装置13は、電話機40のユーザに対する音声ガイダンス等の音声情報を、公衆網30によって伝達可能な形式に変換して、PBX10、公衆網30を介して、電話機40へ送出する機能を有しており、ユーザへ情報を提示したり、問い合わせに対するユーザからの応答を音声入力やプッシュボタン入力により促す。
【0019】
オペレータ管理処理部21は、ユーザの電話機40からの着信呼に対して応対するオペレータを選出するものであり、ユーザ検出処理部22やユーザ管理データベース14の情報や電話機40からのプッシュボタン入力や音声入力を基にして、当該着信呼のユーザに応対する応対者として最も適任のオペレータを選出する機能を有する。なお、オペレータは、ユーザからの問い合わせ内容や苦情や注文や依頼内容、また、技術や製品分野それぞれのアクセス種別に応じて、複数人配置されている。 本実施形態では、あるユーザと最後に通話したオペレータIDの情報をユーザ検出処理部22から受け取り、そのオペレータIDをキーとして、当該オペレータが通話状態であるのか、稼働状態であるのか、コールセンターシステム100に対してログイン状態であるのかを検出する。
【0020】
ユーザ検出処理部22は、ユーザの電話機40からの着信呼をPBX10経由で受け付け、音声ガイダンスを受信したユーザからの回答となる電話機40によるプッシュボタン入力や音声入力を受け付けて解析し、ユーザに関する情報やアクセス種別を取得するとともに、応対すべきオペレータの選出に必要な情報をオペレータ管理処理部21に送信する機能などを有する。 ユーザに関する情報としては、例えば、ユーザID、通話履歴、最後に通話した日時、最後に通話した内容、最後に通話したオペレータIDである。最後に通話した内容は、例えば、テキスト形式で、通話録音データベース11に蓄積されている。また、最後に通話した内容は、要約したもので蓄積しておくのも好適である。
【0021】
自動音声応答処理部23は、ユーザ検出処理部22で検出したユーザIDをキーとして、最後に通話したオペレータの辞書で音声ガイダンスを音声合成装置16で生成して、PBX10を介してユーザの電話機40へ送信する。また、最後に通話したオペレータへのユーザからの通話を転送する。音声ガイダンスする内容は、基本的には、最後に通話した内容に基づく内容とする。
【0022】
ユーザ管理データベース14は、ユーザの氏名、生年月日、血液型、性別、住所、勤務先、連絡先などの個人情報や過去のコールセンター利用状況(アクセス履歴)等のユーザ情報を各ユーザの電話番号に対応付けて格納しており、各ユーザからのコールセンターシステム100への次のアクセスの際に、各ユーザに最適なオペレータの選出と迅速・適切な応対を可能とするために利用される。なお、言うまでもなくユーザの個人情報は、流出防止、他の用途での利用制限等、厳格に管理される。
【0023】
通話録音装置12は、ユーザとオペレータとの間で行われた通話の内容を録音するものである。録音される通話内容は、ユーザとオペレータとを関連付けして、通話録音データベース11に蓄積される。通話内容は、音声情報として蓄積され、例えば音声認識装置によってテキスト化することでテキスト情報として蓄積し、要約化したり、キーワードを付与して蓄積するのが好適である。通話録音データベース11は、ハードディスク上に構築することができる。
【0024】
音声認識装置18は、通話録音データベース11に蓄積されたオペレータの音声を取得し、音声認識処理を行うものである。音声認識処理は、通話録音データベース11に蓄積されたオペレータの音声をテキスト化する処理である。この処理により、通話内容をテキストで確認したり、後に通話内容を要約するのに用いることができる。特音声認識データベース19は、ハードディスク上に構築することができる。
【0025】
音声合成装置16は、外部からテキスト情報を取り込み、音声合成辞書17を利用しながら、そのテキストを特定のオペレータの肉声に近い音声で読み上げを行うものである。オペレータの肉声に近く、自然で聞き取り易い高品位な音質での読み上げが可能な、コーパスベースの音声合成方式が好適である。読み上げ速度・句読点でのポーズ制御等の話速調整機能を備える。また、地名・氏名・記号等、特殊な読み方が必要な場合に対応するよう、辞書として登録する機能を備えている。さらに、音楽・チャイム音・固定メッセージ等の音源ファイルあるいはテキスト分を予め登録しておき、繰返し使用する音源およびテキスト文は指定するだけで即座に再生可能となっている。音声合成装置16は、コールセンターシステムにて応答する機会を有する全てのオペレータ毎に用意される音声合成辞書17と接続している。
【0026】
音声合成辞書17は、オペレータ毎に用意し、ハードディスク上に構築することができる。音声合成辞書では、例えば、“数字の読ませ方の指定”、“特定の単語の読みの指定”、“特定の単語の読みの登録”、“ポーズなし指定”等の設定を行うことができる。
【0027】
“数字の読ませ方の指定”は、「棒読み」「桁読み」のいずれかで読み上げられる数字について、読ませ方を指定するものである。「0」から始まる数字列、「後続する数字を棒読みする単語」に続く数字列、小数点以下の文字列は棒読みで読み上げ、それ以外は桁読みで読み上げる。“特定の単語の読みの指定”は、特定の単語の読みをテキストで直接指定する。“特定の単語の読みの登録”は、例えば頻繁に読みを変更する単語を登録することによって、個々に読みを指定することを省略できるようにする。“ポーズなし指定”は、特定の文末記号の無音の時間長をゼロにする。
【0028】
次に、以上のように構成されたコールセンターシステムにおいて、ユーザからの着信を受けてユーザ対応を完了するまでの処理の流れを、図3に基づいて説明する。
【0029】
まず、ユーザからの着信を受けて、その発信番号から、ユーザの検出を行う(ステップS31)。ユーザの検出に際しては、ユーザ管理データベース14にアクセスして、ユーザID、最後に通話した日時、最後に通話したオペレータIDの情報をえる。また、通話録音データベース11及び音声認識データベース19にアクセスして、最後に通話した日時、最後に通話したオペレータIDをキーとして、最後に通話した内容を得る。
【0030】
ユーザ検出に伴い、最後に通話したオペレータAが特定できたら、オペレータAの在席を判定する(ステップS32)。
【0031】
最後に通話したオペレータAが在席していれば(ステップS32でYES)、まずは、最後に通話したオペレータAの音声合成辞書17を利用して、自動音声応答装置で対応する(ステップS33)。あるユーザと最後に通話したオペレータAの肉声に似せた自動音声応答により、当該ユーザは安心して通話を続けることができる。そのため、定型的な応答は自動音声で可能となり、その間、オペレータA自身を介在させなくてもよいので、オペレータの業務効率が向上する。
【0032】
オペレータAが在席していなければ(ステップS32でNO)、他のオペレータに接続する(ステップS36)。
【0033】
次いで、ユーザに対して自動応答によりユーザとの対話を続けた結果、オペレータ自身へのエスカレーションが必要かを判定する(ステップS34)。
【0034】
オペレータ自身の応答が必要であれば(ステップS34でYES)、オペレータAのオペレータ端末15に転送する(ステップS35)。その際は、ユーザとの最新の応答のやり取りが、オペレータAのオペレータ端末15に表示されるので、スムーズにエスカレーションが行える。
【0035】
オペレータ自身の応答が必要でなければ(ステップS34でNO)、終話となる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によれば、ユーザ満足度が向上でき、しかもオペレータの効率的な運用が可能となる。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
100・・・コールセンターシステム、
10・・・PBX、
11・・・通話録音データベース、
12・・・通話録音装置、
13・・・自動音声応答装置、
14・・・ユーザ管理データベース、
15・・・オペレータ端末、
16・・・音声合成装置、
17・・・音声合成辞書、
18・・・音声認識装置、
19・・・音声認識データベース、
20・・・LAN。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの電話による着信を受け付けて応対するコールセンターシステムであって、
当該コールセンターシステムに配置されている複数のオペレータ毎に作成した音声合成辞書と、ユーザ毎に、通話履歴、最後に通話した日時、最後に通話した内容、及び最後に通話したオペレータについての情報を蓄積するユーザ情報管理データベースと、自動音声応答装置とを備え、
電話着信があった際に、前記ユーザ情報管理データベースを参照して当該ユーザを検出し、前記最後に通話したオペレータが在席していれば、前記最後に通話したオペレータの音声合成辞書を利用して、前記最後に通話した内容に応じた応答を音声合成し、前記自動音声応答装置で電話着信した前記ユーザに応答させるコールセンターシステム。
【請求項2】
電話着信した前記ユーザに自動音声応答装置で応対後、さらに、前記最後に通話したオペレータに電話着信を転送して、電話着信した前記ユーザに応対させる請求項1記載のコールセンターシステム。
【請求項3】
前記最後に通話したオペレータが在席していなければ、他のオペレータに接続して、電話着信した前記ユーザに応対させる請求項1記載のコールセンターシステム。
【請求項4】
前記ユーザとオペレータとの間で行われた通話の内容を録音する通話録音装置と、前記ユーザとオペレータとを関連付けして、通話内容を蓄積する通話録音データベースとを、さらに備える請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコールセンターシステム。
【請求項5】
前記オペレータの通話状態、稼働状態等を管理するオペレータ管理処理部をさらに備える請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコールセンターシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−77923(P2013−77923A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215732(P2011−215732)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】