説明

ゴミ処理装置

【課題】ゴミの破砕・脱水を1つの装置で行うことができ、脱水後のゴミ処理が容易であるゴミ処理装置およびゴミ処理用容器を提供する。
【解決手段】ゴミを投入するための投入口を備えた透水性を有するゴミ容器50に収容されたゴミを破砕脱水処理するために使用される処理容器であって、一端にゴミ容器50を入れるための開口を有しゴミ容器50を回転可能な状態で収容する筒状の本体部11と、本体部11の一端に取り付けられる蓋部15とからなるケース10と、蓋部15内面に回転可能に設けられ、蓋部15を本体部11の一端に取り付けると、ゴミ容器50の投入口からゴミ容器50内に配設される破砕刃16と、ゴミ容器50に対して、ケース10の外部から回転力を伝達しうるゴミ容器駆動部20と、蓋部15に設けられた、ケース10の外部から破砕刃16に対し回転力を伝達しうる破砕刃駆動機構とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴミを処理する装置として、ゴミを脱水するとともに破砕して、ゴミを減容化する技術が開発されている(特許文献1)。
特許文献1の装置は、回転可能に設けられた網状バスケットと、この網状バスケットの内底部に設けられた回転粉砕刃と、網状バスケットおよび回転粉砕刃を回転させるモータとを備えている。そして、モータの駆動力を、回転粉砕刃のみに伝える状態と、回転粉砕刃と網状バスケットの両方に伝える状態とを切り換える機構も備えている。
このため、網状バスケット内にゴミを投入した状態で、回転粉砕刃のみが回転する状態にすればゴミを破砕することができる。そして、ゴミを破砕した後、網状バスケットが回転する状態とすれば、破砕されたゴミを脱水することができる。
【0003】
しかし、特許文献1の装置では、以下の2つの問題がある。
(1)回転粉砕刃によって破砕されたゴミがドロドロのゲル状になってしまい、このゲル状になったゴミが網状バスケットの底に溜まった状態となる。ゲル状になったゴミの量が回転粉砕刃を覆うような量となると、その上に溜まっているゴミは回転粉砕刃に接触できず、破砕されなくなる。
(2)回転粉砕刃が網状バスケットの底に設けられており、また、回転粉砕刃は網状バスケットの底を貫通する軸によってモータと接続される構造となっている。このため、網状バスケット内にゴミを収容する袋を設けることがでないので、破砕脱水後、破砕脱水されたゴミを網状バスケットからゴミ袋やゴミ箱に移し替える作業が必要となる。すると、網状バスケットからゴミ袋等にゴミを移し替える際に、ゴミがこぼれる可能性がある。また、破砕脱水されたゴミは脱水されてもある程度ゲル状態を維持して網状バスケットに付着しているので、網状バスケットをひっくり返しただけでは取れない場合があり、網状バスケットにくっついて取れないゴミは手で取り除かなければならない。
【0004】
上述した問題のうち、2つ目の問題を解決した技術として、特許文献2に開示された技術がある。
特許文献2には、透水性を有するゴミ容器を回転可能な状態で収容する筒状の本体部と、この本体部の一端に取り付けられる蓋部とを備えたケースと、蓋部を本体部の一端に取り付けるとゴミ容器の投入口からゴミ容器内に配設される破砕刃と、ゴミ容器に対してケースの外部から回転力を伝達しうるゴミ容器駆動機構と、蓋部に設けられたケースの外部から破砕刃に対し回転力を伝達しうる破砕刃駆動機構とを備えたゴミ処理装置が開示されている。
そして、特許文献2のゴミ処理装置は、破砕刃は投入口からゴミ容器内に配設される構造となっており、しかも、ゴミ容器のひっくりかえした状態で破砕作業を行う構造となっている。このため、ゴミ容器内にゴミ袋を取り付けることができるので、ゴミ袋を取り出し袋ごと廃棄すれば破砕脱水されたゴミを廃棄することができる。
【0005】
上記のごとく、特許文献2の技術は、特許文献1における2つの問題のうち、2つ目の問題は解決することができる点で優れているものの、1つ目の問題を解消することは難しく、かかる問題を解消する技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3060683号公報
【特許文献2】WO/2008/059622
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、1つの装置でゴミの破砕・脱水を行うことができ、ゴミの破砕作業を確実に行うことができるゴミ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明のゴミ処理装置は、筒状であって軸方向の一端にゴミを投入するための開口を有する透水性のゴミ容器に収容されたゴミを破砕脱水処理する装置であって、前記ゴミ容器を該ゴミ容器の中心軸周りに回転可能な状態で収容し得るケースと、該ケース内に収容された状態における前記ゴミ容器内に配置される破砕刃と、前記ゴミ容器内に配置された状態における破砕刃、または、前記ケース内に収容された状態における前記ゴミ容器を、該ゴミ容器の中心軸周りに回転させ得る駆動機構と、該駆動機構によって前記破砕刃が回転されている状態において、前記ゴミ容器内に水を供給する給水機構とを備えており、該給水機構は、前記破砕刃近傍に設けられた、前記破砕刃によって破砕されているゴミに水を供給する排出部を備えていることを特徴とする。
第2発明のゴミ処理装置は、第1発明において、前記ケースは、前記ゴミ容器を回転可能な状態で収容する、一端に開口を有する有底筒状の本体部と、該本体部の開口に取り付けられ、該開口を液密に密封する蓋部とを備えており、前記駆動機構が、前記ゴミ容器および前記破砕刃を回転させるための駆動力を供給する駆動部と、該駆動部に対して着脱可能であって、前記駆動部から供給される駆動力によって前記本体部に収容された状態における前記ゴミ容器を回転させるゴミ容器駆動部と、前記駆動部に対して着脱可能であって、前記駆動部から供給される駆動力によって前記破砕刃を回転させる破砕刃駆動部と、を備えており、前記蓋部は、該ケース内に収容された前記ゴミ容器の開口部に取り付けられる中蓋を備えており、該中蓋の内面に、前記破砕刃と前記排出部とが設けられていることを特徴とする。
第3発明のゴミ処理装置は、第1または第2発明において、前記ケースが、水を貯留し得る貯留部を備えており、前記給水機構は、前記貯留部内の水を前記ゴミ容器内に供給するものであることを特徴とする。
第4発明のゴミ処理装置は、第1、第2または第3発明において、前記給水機構は、前記破砕刃駆動部によって駆動され、前記貯留部内の水を前記排出部に供給するポンプ部を備えていることを特徴とする。
第5発明のゴミ処理装置は、第1、第2、第3または第4発明において、前記ポンプ部は、前記破砕刃回転軸に固定され、該破砕刃回転軸と同軸となるように配設された回転筒と、該回転筒をその内部に収容するように設けられた、中空な筒状部材を備えており、前記回転筒は、該筒状部材の内部に配置された状態で、前記貯留部内に貯留されている水に浸漬されていることを特徴とする。
第6発明のゴミ処理装置は、第1、第2、第3、第4または第5発明において、前記ゴミ容器内に該ゴミ容器内の中心軸を中心とする渦流が形成されるように、排出する水の流れを制御する水流制御板を備えていることを特徴とする。
第7発明のゴミ処理装置は、第1、第2、第3、第4、第5または第6発明において、前記ゴミ容器は、その内面に、突起状の掻きならし部を備えており、前記ゴミ容器駆動部は、前記ゴミ容器を該ゴミ容器の中心軸周りに回転させる際に、該ゴミ容器を、該ゴミ容器内のゴミが該ゴミ容器の回転に追従できない加速度で加速させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、駆動機構によって破砕刃のみを回転させれば、ゴミを破砕刃によって破砕することができ、駆動機構によってゴミ容器を回転させる状態とすれば、ゴミ容器内のゴミを脱水することができる。つまり、同じケース内にゴミ容器を保持した状態で、破砕作業も脱水作業も行うことができる。しかも、給水機構の排水部から破砕刃によって破砕されているゴミに水を供給できるので、破砕されたゴミの流動性を高くできる。すると、破砕されたゴミが障害となって破砕刃に接触できないゴミができること防ぐことができるから、ゴミ容器内の全てのゴミを確実に破砕することができる。
第2発明によれば、蓋部の中蓋に破砕刃および排出部が設けられているので、底が上方に位置し蓋が下方に位置するようにケースを配置して、破砕刃駆動部を駆動部と連結すれば、排出部から水を供給しつつ破砕刃によってゴミを破砕することができる。そして、破砕終了後、底が下方に位置し蓋が上方に位置するようケースを配置し、ゴミ容器駆動部を駆動部と連結すれば、ゴミ容器を回転させて破砕されたゴミを脱水することができる。そして、破砕刃は、ゴミ容器の開口部に取り付けられる中蓋に設けられており、ゴミ容器の開口部からゴミ容器内に配置されるだけであるから、ゴミ容器内にゴミ袋を取り付けたままでもゴミ袋が破砕の障害となることがない。すると、ゴミ容器内にゴミ袋を取り付けたままでもゴミの破砕脱水を行うことができるから、破砕脱水後のゴミ処理が簡単かつ清潔に行うことができる。
第3発明によれば、ケースの外部からゴミ容器内に水を供給する機構を設ける必要ないので、装置の構造を簡略化することができるし、装置を使用する場所の自由度を高くすることができる。
第4発明によれば、破砕刃を回転させる駆動力を利用して給水機構を作動させるので、給水機構を作動させるための特別な駆動源が不要となり、装置の構造を簡略化することができる。
第5発明によれば、破砕刃回転軸が回転すれば、ポンプ部によって貯留部内の水を排出部を介してゴミ容器内に供給することができる。しかも、水を、筒状部材内に回転筒の回転によって形成される渦流の効果だけで揚水するので、装置を簡単な構造とすることができる。
第6発明によれば、ゴミ容器内に、水流制御板によってゴミ容器内の中心軸を中心とする渦流を形成することができるから、ゴミ容器の内面に付着したゴミを水流によって内面から離脱させることができる。すると、ゴミ容器の内面に付着したゴミによるゴミ容器の目詰まりを防ぐことができる。また、水流によって破砕刃の位置にゴミを供給しやすくなるので、破砕効率を向上させることができる。
第7発明によれば、ゴミがゴミ容器の回転に追従できないように急速にゴミ容器の回転を上昇させるので、ゴミとゴミ容器との間に相対的な速度差が生じるので、掻きならし部材によってゴミを掻きならすことができる。すると、脱水開始時に、ゴミ容器内の円周方向に沿って破砕されたゴミが偏在していても、ゴミ容器が脱水速度となったときには、ゴミ容器内におけるゴミの偏在を解消できるから、ゴミの偏在に起因するゴミ容器の振れまわりや、この振れまわりに起因する振動などを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(A)は脱水作業時における本実施形態のゴミ処理装置1の概略説正面説明図であり、(B)は(A)のB−B線断面矢視図である。
【図2】本実施形態のゴミ処理装置1の概略側面図である。
【図3】破砕作業時におけるゴミ処理装置1の概略説明図である。
【図4】軸部11aが軸保持部4bに配設された状態におけるゴミ処理装置1の概略側面図である。
【図5】給水機構30の概略拡大説明図である。
【図6】回転筒36の単体概略説明図であって、(A)は側面図であり、(B)は平面図であり、(C)は(A)のC−C線断面矢視図である。
【図7】中蓋15bの概略単体説明図であって、(A)は内面から見た図であり、(B)は外面から見た図である。
【図8】破砕刃16を取り付けられている状態の中蓋15bの概略説明図であって、(A)は斜視図であり、(B)は平面図である。
【図9】ゴミ容器50の一例を示した図であり、(A)は斜視図であり、(B)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明のゴミ処理装置は、ゴミをゴミ容器に収容したままで破砕脱水することができるものであり、ゴミ容器にゴミ袋を取り付けた状態でも破砕脱水ができるようにしたこと、および、ゴミが水分を含んでいても、破砕されたゴミがゲル状になることを防止できるようにしたことに特徴を有している。
【0012】
(ゴミ容器50)
まず、本実施形態のゴミ処理装置1を説明する前に、本実施形態のゴミ処理装置1において使用できるゴミ容器を説明する。
図1に示すように、ゴミ容器50は、筒状であって、一端にゴミを投入することができる投入口と他端に底とを有する透水性を有する容器である。例えば、ゴミ容器50は、流し台のシンクに取り付けられるゴミ受けなどであるが、上記形状を有するものであって、後述するゴミ容器駆動部20によって駆動できるものであれば、とくに限定されない。
ここで、「透水性を有する容器」とは、水等の液体が通過できる容器であることを意味しており、例えば、細孔が形成された容器や網等によって形成された容器等をあげることができるが、これらの容器に限定されるものではない。
【0013】
なお、ゴミ容器50は、その形状は円筒状が最も好ましいが、円筒状に限られずどのような形状となっていてもよい。また、ゴミ容器50の素材も、プラスチック等のようにある程度の力が加わっても所定の形状を保持できかつ透水性を有するものであれば、とくに限定はされない。また、ゴミ容器50は、ゴミ入れに使用される三角コーナのように、流し台のシンクに設置して使用することも可能である。
【0014】
(ゴミ処理装置1)
つぎに、本実施形態のゴミ処理装置1を説明する。
図1に示すように、本実施形態のゴミ処理装置1は、ケース10と、このケース10を保持するベース2とを備えている。
【0015】
(ベース2の説明)
まず、ベース2を説明する。
図1に示すように、ベース2は、内部にモータ5を内蔵した台座部3と、台座部3に取り付けられた一対の支持プレート4,4を備えている。
台座部3は、ゴミ処理装置1を机や流し台等のゴミ処理を行う作業場所に置くための部分である。この台座部3の大きさや形状は特に限定されないが、上述したケース10を取り付けたときにゴミ処理装置1が転倒しない大きさ、形状に形成されていればよい。
モータ5は、台座部3を作業場所に設置したときに、その主軸が上方に向いた状態となるように台座部3に配設されている。このモータ5が特許請求の範囲にいう駆動機構の駆動部であるが、駆動部はモータに限られず、また、電動式、油圧式、空圧式、手動式等の様々な駆動方式の装置を採用できるのはいうまでもない。
【0016】
一対の支持プレート4,4は、ケース10を保持するものである。この一対の支持プレート4,4は、台座部3を作業場所に設置したときに、台座部3から上方に伸びた状態となるように設けられている。そして、各支持プレート4には、各支持プレート4の上方から下方に向って凹んだ凹部であるケース保持部4aが設けられている。
このケース保持部4aは、後述するケース10に設けられている一対の軸部11a,11aを保持するためのものである。つまり、ケース保持部4aは、後述するケース10を支持プレート4に取り付けるため、言い換えれば、後述するケース10をベース2に取り付けるために設けられているものである。
そして、ケース保持部4aは、ケース10における一対の軸部11a,11aが配置されると、ゴミ容器駆動部20とモータ5の主軸、または、破砕刃駆動部の連結ジョイント18とモータ5の主軸、とをそれぞれ連結し得る位置に形成されている(図1、図3参照)。
【0017】
なお、ケース10をベース2に取り付ける方法は上記方法に限定されず、ケース10をベース2に取り付けたときに、ゴミ容器駆動部20や破砕刃駆動部の連結ジョイント18をモータ5の主軸に連結でき、しかも、モータ5の駆動力によってケース10が回転しないように保持できるのであれば、どのような方法でも採用することができる。
【0018】
(ケース10の説明)
つぎに、ケース10を説明する。
図1に示すように、ケース10は、本体部11と蓋部15とを備えおり、その本体部11内にゴミ容器50を収容して、ゴミ容器50内にゴミを収容したままゴミを破砕脱水処理できるものである。
【0019】
(本体部11の説明)
図1に示すように、ケース10の本体部11は、内部に中空な空間を有する筒状に形成された部材である。この本体部11の軸方向の一端は開口となっており、軸方向の他端は底部11bによって液密に密封されている。
この本体部11の中空な空間は、上述したゴミ容器50をその内部に収容でき、かつ、ゴミ容器50を本体部11の中心軸周りに回転させることができる大きさに形成されている。例えば、ゴミ容器50が円筒状である場合には、中空な空間の内径はゴミ容器50の外径よりも僅かに大きくなっており、ゴミ容器50が中空な空間の中心軸周りに回転できる程度の大きさに形成されている。
【0020】
この本体部11の底部11bの中心には、ゴミ容器駆動部20が設けられている。このゴミ容器駆動部20は、本体部11の中心軸を回転軸として回転しうる回転部材を備えている。この回転部材は、モータ5の主軸およびゴミ容器50と連結可能であり、モータ5の主軸の回転力によってゴミ容器50を本体部11の中心軸周りに回転させることができる機能を有している。かかる回転部材において、回転部材とモータ5の主軸との連結には、例えば、セレーションやスプライン等による連結を採用できるが、特に限定されない。また、ゴミ容器50の底部にジョイントが設けられている場合には、回転部材は、ゴミ容器50のジョイントと連結できる機構を有していれば、特に限定されない。ゴミ容器50に特別なジョイントが設けられていない場合でも、例えば、回転部材が爪状部材などを備えていれば、爪状部材によって回転部材とゴミ容器50とを連結できる。
【0021】
また、図1に示すように、ケース10には、底部11bにおいて、前記ゴミ容器駆動部20の周囲を囲むように底部11bから凹んだドーナッツ状の液体収容空間11wが形成されている。そして、液体収容空間11wによって囲まれた部分には、中空な凹み部11gが形成されている。
この凹み部11gは、ゴミ容器駆動部20がモータ5の主軸と連結されるようにケース10をベース2に取り付けると、台座部3が凹み部11g内に配置されるような形状に形成されている。
【0022】
なお、ケース10の本体部11の外側面には、上述したように、一対の支持プレート4,4のケース保持部4aにそれぞれ取り付けられる、一対の軸部11a,11aが設けられている。この一対の軸部11a,11aは、中空な空間の中心軸、つまり、本体部11の中心軸と直交するように配設されている。
【0023】
(蓋部15の説明)
図1に示すように、蓋部15は本体部11の一端に取り付けられるものである。蓋部15は、その本体部11に取り付けたときに本体部11側に位置する面(以下、単に蓋部15の内面という)に、パッキンやOリング、オイルシール等のシール部材を備えている。このため、蓋部15を本体部11に取り付けると、本体部11内の空間を外部から液密に遮断することができるように構成されている。
【0024】
この蓋部15には、蓋部15に対して回転可能な破砕刃回転軸17が設けられている。この破砕刃回転軸17は、蓋部15を本体部11に取り付けたときに、その中心軸が本体部11の中心軸と同軸となるように設けられている。そして、破砕刃回転軸17は、その一端が蓋部15の内面から突出しており、内面側の一端に破砕刃16が取り付けられている。
一方、破砕刃回転軸17における蓋部15の外面側に位置する一端には、ベース2に設けられた回転手段であるモータ5の主軸と連結される連結ジョイント18が取り付けられている。この連結ジョイント18は、モータ5の主軸と破砕刃回転軸17とを連結し、主軸の回転力を破砕刃回転軸17に伝達できるものであればよく、例えば、セレーションやスプライン等を採用できるが、特に限定されない。この連結ジョイント18と破砕刃回転軸17によって、特許請求の範囲にいう破砕刃駆動部が構成されている。
【0025】
そして、蓋部15の内面には、給水機構30が設けられている。この給水機構30は、破砕刃16によって破砕されているゴミに対して水を供給する機能を有しているが、詳細な構造は後述する。
【0026】
(ゴミ処理装置1によるゴミ処理の説明)
つぎに、本実施形態のゴミ処理装置1によるゴミ処理手順を説明する。
まず、ゴミが入ったゴミ容器50をケース10の本体部11に取り付ける(図1参照)。そして、蓋部15を本体部11の開口に取り付ければ、破砕刃16をゴミ容器50の開口からゴミ容器50内に配置した状態とすることができるし、本体部11内にゴミ容器50を液密に密封することができる。
なお、蓋部15を取り付ける前には、本体部11の液体収容空間11w内には水Wを入れておく。水Wの量は、破砕刃16によって破砕されているゴミに対し、ゴミがゲル状にならない程度の水を供給できる量であればよくとくに限定されない。概ねゴミ容器50の内容積の30%程度の量の水が供給されていれば、ゴミがゲル状にならないようにすることができる。
【0027】
ついで、ケース10の一対の軸部11a,11aをベース2の支持プレート4におけるケース保持部4aに取り付ける。このとき、ケース10を、蓋部15が下方に位置し底部11bが上方に位置するように配設する、そして、連結ジョイント18をモータ5の主軸に連結する。すると、破砕作業の準備が完了する(図3)。
【0028】
なお、蓋部15が下方に位置し底部11bが上方に位置するようにケース10をベース2に取り付けるには、ゴミ容器50をケース10に入れた状態から、ケース10の上下を反転させる必要がある。このとき、支持プレート4の上端であってケース保持部4aの近傍に、支持プレート4の上端からわずかに凹んだ軸保持部4bを設けておけば、この軸保持部4bに軸部11aを取り付けると、軸部11aを支点としてケース10を回転させることができる。すると、ケース10の上下を簡単に反転させることができるから、破砕作業の準備を容易に行うことができる(図4参照)。
【0029】
破砕作業の準備が完了後、モータ5を作動させると、破砕刃16が回転するので、ゴミ容器50内のゴミを破砕刃16によって破砕することができる。
このとき、給水機構30により破砕刃16によって破砕されているゴミに対して水が供給されるから、破砕刃16によって破砕されたゴミがドロドロのゲル状になることを防ぐことができ、破砕されたゴミの流動性を高くできる。すると、破砕されたゴミが障害となって破砕刃16に接触できないゴミができること防ぐことができるから、ゴミ容器50内の全てのゴミを確実に破砕することができる。
【0030】
破砕作業が終了すると、ケース10を反転させて、ゴミ容器駆動部20をモータ5の主軸に連結し、脱水作業の準備を行う。このときにも、ケース10の軸部11aを、一旦軸保持部4bに取り付ければ、軸部11aを支点としてケース10を回転させることができる(図4参照)。すると、ケース10の上下を簡単に反転させることができるから、脱水作業の準備を容易に行うことができる。
【0031】
そして、脱水作業の準備が完了すると、モータ5を駆動させる。すると、ゴミ容器50が本体部11内で回転するから、ゴミ容器50内のゴミに遠心力が加わるからゴミを脱水することができる。
【0032】
このとき、水やゴミから分離した水分は、ゴミ容器50を透過し、ゴミ容器50から液体収容空間11wに直接入るか、または、本体部11の内面をつたって底部11bに向かって流れて液体収容空間11wに入り、液体収容空間11wに保持される。
【0033】
脱水作業の終了後、蓋部15を上方に向けた状態、つまり、脱水作業が終了した状態で蓋部15を取り外してゴミ容器50を取り出せば、破砕されたゴミを全てゴミ容器50とともに取り出すことができる。
【0034】
以上のごとく、本実施形態のゴミ処理装置1では、ゴミ容器50にゴミを収容したまま、同じケース10内において、破砕作業も脱水作業も行うことができる。しかも、ゴミ容器50はケース10内に密閉されているから、蓋部15を上方に向けた状態で蓋部15を取り外せば、ゴミ容器50をケースから取り外すだけで脱水後のゴミを全て取り出すことができる。よって、ゴミ処理後のゴミの廃棄を容易にすることができる。
【0035】
また、破砕刃16がゴミ容器50の開口からゴミ容器50内に配置されている。このため、ゴミ容器50内に予め透水性を有する袋WBを取り付けておいても、破砕刃16と袋WBとの干渉を防ぐことができ、袋WBが破砕刃16によって損傷することを防ぐことができる。
よって、ゴミ容器50内に予め透水性を有する袋WBを取り付けておけば、袋WB内に収容したままゴミを処理できる。すると、袋WBをゴミ容器50から取り出せば、袋WB内にゴミを収容した状態でゴミをゴミ容器50から取り出すことができるので、より一層ゴミの廃棄を容易かつ確実に行うことができる。
とくに、ゴミ容器50に、袋WBの底部を固定する固定部を設けられていれば、破砕作業時に袋WBが破砕刃16と干渉することをより確実に防ぐことができる。
なお、ゴミ容器50に取り付けられる袋WBは、透水性を有する袋であればとくに制限されず、不織布や細孔ネット、ストッキング等を採用することができる。
【0036】
また、上記例では、液体収容空間11wをケース10に設けた場合を説明したが、液体収容空間11wは必ずしも設けなくてよい。例えば、ゴミ容器駆動部20とモータ5の主軸とを連結した状態において、ゴミ容器50の底部と底部11bとの間に脱水された水を収容できる空間が形成されるのであれば、上記のごとき液体収容空間11wは必ずしも設けなくてもよい。
しかし、上記のごとき液体収容空間11wを設け、凹み部11gを設ければ、ゴミ容器駆動部20とモータ5の主軸とを連結した状態において、凹み部11g内に台座部3が収容できるので、ケース10が支持プレート4,4より上方に突出する量を少なくすることができる。すると、ゴミ処理装置1を保管しておくときに、その高さを低くできるので装置の収容場所を少なくできる。
【0037】
しかも、脱水作業時には、ゴミ処理装置1の高さが低くなるし、脱水された水等はモータ5とケース10の連結位置よりも下方に位置することになる。したがって、脱水作業時におけるゴミ処理装置1の重心が低くなり、作業時の安定性を高くすることができる。
【0038】
また、本体部11に排水機能を設けておけば、脱水作業中に水を排水することも可能となる。この場合には、液体収容空間11wを設けなくても、水が脱水作業の邪魔になることを防ぐことができるから、水を保持しておくための空間が不要となる。すると、本体部11の大きさをゴミ容器50よりわずかに大きいものにしておけばよいから、ケース10をよりコンパクトにでき、ゴミ処理装置1もよりコンパクトにすることができる。
【0039】
そして、本実施形態のゴミ処理装置1では、給水機構30を設けているので、本体部11内に入れる水の量を少なくしても、破砕刃16とゴミが接触する部分に水を供給できる。言い換えれば、破砕刃16による破砕が行われている状態において、破砕刃16の位置に水が存在するような量の水を入れておく必要がない。すると、ケース10に入れる水の量を少なくすることができるから、ケース10を小さくでき、ゴミ処理装置1もよりコンパクトにすることができる。
【0040】
(ゴミ容器50の他の形状)
また、図9に示すように、ゴミ容器50として、その本体51の内面に突出した掻き均し部52を設けてもよい。この掻き均し部52は、ゴミ容器50の軸方向に沿って延びた突起状や板状の部材である。
この掻き均し部52を設けたゴミ容器50を使用した場合において、以下のごとき方法で脱水を行えば、脱水開始時に、ゴミ容器50内の円周方向に沿って破砕されたゴミが偏在していても、このゴミの偏在を解消できる。すると、ゴミの偏在に起因するゴミ容器50の振れまわりや、この振れまわりに起因する振動などを抑制することができる。
【0041】
図9に示すようなゴミ容器50によって脱水を行う場合には、高速回転運転を行ってから、その後定常脱水運転を行う。具体的には、脱水開始直後には、ゴミ容器50の回転数を急速に立ち上げる。すると、ゴミ容器50内のゴミは、ゴミ容器50の回転に追従できないので、両者の間に相対的な速度差が生じ、あたかも静止しているゴミの周囲をゴミ容器50が回転しているかのような状態になる。すると、ゴミ容器50の回転に伴って、掻き均し部52がゴミと接触し、ゴミ容器50内面近傍のゴミは掻き均し部52によって均される。
時間の経過とともに、ゴミも回転(ゴミ容器50中心軸周りの旋回)を開始するので、遠心力によって、ゴミ容器50のゴミ容器50内面に向かって移動しながら回転する。この状態でも、ゴミはゴミ容器50の回転に完全には追従できないので、ゴミ容器50内面に向かって移動したゴミは、順次掻き均し部52と接触し均される。
すると、ゴミ容器50内のゴミが、ゴミ容器50の円周方向に沿ってほぼ均一に存在するようになるから、その後、通常脱水運転を行う回転(脱水速度)にゴミ容器50の回転数を落とせば、ゴミ容器50の振れまわりや振れまわりに起因する振動がない状態で脱水を行うことができる。
【0042】
なお、ゴミ容器50を静止した状態から、高速回転運転するための加速度は、上述したような効果(掻き均し)を得ることができるのであれば、とくに限定されず、ゴミ容器50の大きさや形状に合わせて適した値とすればよく、駆動部の状態(電動式モータであれば電圧や、空圧式モータであれば空気圧等)や掻き均し部52の高さを変えて、実験によって決定すれば良い。
例えば、内径150mmで容量1700ccの樹脂製ゴミ容器であれば、100V−300W(出力)のユニバーサルモータを使用した場合に、70Vで起動し、1秒後に30Vにして定常脱水運転を行えば、効果を得ることができる。
【0043】
(給水機構30の説明)
つぎに、給水機構30について、詳細に説明する。
本実施形態のゴミ処理装置1は、破砕刃16が回転されている状態において、ゴミ容器50内に水を供給する給水機構30、具体的には、破砕刃16によって破砕されているゴミに水を供給する給水機構30を備えている。
【0044】
図5に示すように、ケース10の蓋部15は、本体部11の開口に取り付けられる外蓋15aと、この外蓋15aの内面に設けられた中蓋15bとを備えている。
この中蓋15bは、上述した破砕刃回転軸17に対して回転可能に取り付けられている。しかも、中蓋15bは、外蓋15aを本体部11の開口に取り付けると、ケース10内に収容されているゴミ容器50の開口に取り付けられるように配設されている。
【0045】
このため、ゴミ容器50に袋WBを取り付けた場合に、ゴミ容器50の投入口と中蓋15bの内面との間に袋WBの上端を挟んでおくことができる。すると、袋WBの上端が固定されるから、破砕作業時に袋WBが邪魔になることをより確実に防ぐことができる。
しかも、中蓋15bは、破砕刃回転軸17に対して回転可能に取り付けられているから、ゴミ容器50が回転したときにこのゴミ容器50とともに回転することができる。すると、ゴミ容器50が回転したときに、ゴミ容器50と中蓋15bの内面との間の摩擦等によって袋WBが損傷すること抑えることができる。
【0046】
図5に示すように、中蓋15bには、その中心部(つまり、破砕刃回転軸17の近傍)にゴミ容器50内に水を供給するための排水部32が設けられており、この排水部32と外蓋15aの内面との間には、ポンプ部35が設けられている。
このポンプ部35は、蓋部15が下方に位置し底部11bが上方に位置するようにケース10をベース2に取り付けたときに、中蓋15bと外蓋15aの内面との間に溜まった水を、中蓋15bの排水部32に向けて供給するものである。
【0047】
図5に示すように、ポンプ部35は、破砕刃回転軸17に固定された回転筒36と、破砕刃回転軸17に取り付けられた状態における回転筒36を囲むように設けられた筒状部材39を備えている。
【0048】
まず、回転筒36は、円筒状に形成された部材であって、破砕刃回転軸17に取り付けられており、中蓋15bと外蓋15aの内面との間に溜まった水に浸漬されるように配設されている。
この回転筒36には、その外周面に複数の攪拌溝37が形成されている。この攪拌溝37は、回転筒36が回転したときに、回転筒36の回転力を水に対して効果的に伝えるために設けられている。
なお、回転筒36の回転力を水に対して効果的に伝えることができるのであれば、複数の攪拌溝37に代えて、複数の突起などを回転筒36の外周面に設けてもよい。
【0049】
また、筒状部材39は、回転筒36と同軸になるように配設された、円筒状の壁面を有する部材である。この筒状部材39は、その円筒状の壁面の内面(以下、単に筒状部材39の内面という)と回転筒36の外面との間にある程度の隙間が形成されるように配設されている。そして、円筒状の壁面の一端(図5では下端)には、その端縁から内方に突出したフランジ部39aがその内端縁に沿って設けられている。
【0050】
そして、中蓋15bの外面(図5では下面)には、排水部32を囲むようにガイド壁38が設けられている。このガイド壁38は、その下端が筒状部材39の上端よりも下方に位置し、かつ、ガイド壁38内の空間に筒状部材39の中蓋15b側の端部を囲むように形成されている。
【0051】
以上のごとき構成であるので、破砕刃回転軸17が回転すると、回転筒36も破砕刃回転軸17とともに回転させることができる。この回転筒36の回転に伴って筒状部材39内には、破砕刃回転軸17を中心とする渦が形成され、筒状部材39の内側が低圧、外側が高圧となる。
このとき、筒状部材39の下端にフランジ部39aが設けられており、筒状部材39の内面近傍に位置する水の下方への移動を制限しているので、筒状部材39の内面近傍に位置する水は筒状部材39の内面に沿って上方に移動する。つまり、水を外蓋15a側から中蓋15b側に流すことができるので、排水部32から、破砕刃16によって破砕されているゴミに対して水を供給することができる。
【0052】
また、筒状部材39の中蓋15b側の端部を囲むようにガイド壁38が設けられているので、筒状部材39の内面から中蓋15b側に供給される水をより効果的に排水部32からゴミ容器50内に供給することができる。
【0053】
そして、上記のごとくケース10内に給水機構30を設けておけば、ケース10の外部からゴミ容器50内に水を供給する機構を設ける必要がないので、装置の構造を簡略化することができるし、装置を使用する場所の自由度を高くすることができる。
とくに、上述したように、破砕刃回転軸17を回転させる駆動力、つまり、破砕刃16を駆動する駆動力を利用して給水機構30の回転筒36を作動させるようにすれば、給水機構30を作動させるための特別な駆動源が不要となるから、装置の構造を簡略化することができる。
【0054】
なお、上述した筒状部材39は、図5に示すように、中蓋15bや外蓋15aと別体に設けていれば、メンテナンス(掃除等)が行いやすいという利点がある。しかし、筒状部材39を、中蓋15bや外蓋15aと一体に形成してもよい。例えば、上述したガイド壁38を下方に延長して、ガイド壁38が回転筒36全体を囲むことができるようにすれば、ガイド壁38を筒状部材39として機能させることができる。すると、ガイド壁38と筒状部材39との間に隙間が無いので、両者の間から漏れる水が無くなり、水を中蓋15bに供給する効率は向上させることができる。
【0055】
(凹み部31について)
また、ケース10内に供給しておく水の量を少なくする上では、破砕刃回転軸17に取り付けられる部分に外部に膨らんだ凹み部31を設け、この凹み部31内に回転筒36が配設されるようにすることが好ましい。かかる凹み部31を設ければ、凹み部31の部分だけ水深を深くできる一方、凹み部31以外の部分では外蓋15aと中蓋15bとの距離を小さくして水深を浅くできるから、ケース10内に供給しておく水の量を少なくすることができる。
【0056】
(排出部32について)
また、ポンプ部35から供給される水をゴミ容器50内に供給する排出部32は、中蓋15bに設けた単なる貫通孔でもよいが、以下のごとき構成とすることがより好ましい。
【0057】
図5において、符号32は中蓋15bに設けられた排出部を示している。この排出部32は中蓋15bから凹んだ円筒状の空間を有する部分であり、その側壁に複数の排出口34hが形成されている。そして、排出部32はその内径がポンプ部35の回転筒36の直径よりも大きくなるように形成されている。
【0058】
また、図7に示すように、この排出部32内部には、排出部32の半径方向に対して傾いた複数の水流制御板35が設けられており。各水流制御板35の外方端縁は、排出口34hの開口端縁と連結されている。つまり、水流制御板35の表面に沿って流れた水は、排出口34hから排出されるように構成されている。
【0059】
かかる構成であるので、ポンプ部35から供給された水は排出部32内に流入すると、水流制御板35の表面に沿って流れ、排出口34hからゴミ容器50内に供給される。すると、水流制御板35は、排出部32の半径方向に対して傾いているので、ゴミ容器50内にはゴミ容器50内の中心軸を中心とする渦流が形成される。このため、形成された渦流をによって、ゴミ容器50の内面に付着したゴミを水流によって内面から離脱させることができるから、ゴミ容器50の内面に付着したゴミによるゴミ容器50の目詰まりを防ぐことができる。
【0060】
また、ゴミ容器50内に形成される水流によって、破砕刃16の位置にゴミを供給しやすくなるので、破砕効率を向上させることも可能となる。
【0061】
(破砕刃16について)
図5および図9に示すように、本実施形態のゴミ処理装置1では、上記のごとき排出部32を設けているので、中蓋15bの内面には、排出部32が設けられている中心部分と、その周囲の部分との間に段差ができている。言い換えれば、中蓋15bの内面には、ドーナッツ状の凹み40が形成されている。
このような凹み40を有していると、破砕されるゴミに大きな塊があっても、その塊と破砕刃16の先端とが接触する長さは、せいぜいに凹み40の幅程度になる。すると、大きな塊と破砕刃16とが接触しても、破砕刃16に対してその塊から加わる抵抗を小さくすることができる。言い換えれば、破砕刃16を駆動するモータ5の出力を小さくしても、ゴミを破砕することができるから、モータ5を小型化でき、装置もコンパクトにすることができる。
【0062】
とくに、破砕刃16が、その先端部16aのみが排出部32の外周よりも凹み40側に突出するようにしておくと、モータ5をさらに小型化できるという利点も得られる。
もし、両端部が凹み40側に突出していれば、両方の端部がゴミから抵抗を受けるので、両方の端部に加わる抵抗に抗して破砕刃16を回転させる駆動力をモータ5は要求される。よって、大きな出力を有する大型のモータ5が必要となる。
しかし、上記のごとく、破砕刃16がその先端部16aのみでゴミの破砕を行うのであれば、先端部16aのみに加わる抵抗に抗して破砕刃16を回転させる駆動力があればよいので、モータ5を小型化できる。
なお、破砕刃16の先端部16aのみを凹み40側に突出させる場合には、先端部16aの反対側に釣合部16bを設けて、破砕刃16の回転により振動や振れまわりが生じないようにすることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のゴミ処理装置は、破砕可能な一般的なゴミ、とくに、家庭等のシンクのゴミ受けに溜まったゴミや事業所等で発生する食品屑等の水分を含んだゴミの処理に適している。
また、本発明のゴミ処理装置は、その大きさはとくに限定されず、大型化すれば業務用のゴミ処理設備として採用することも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 ゴミ処理装置
4a ゴミ処理容器保持部
4b 軸保持部
10 ゴミ処理容器
11 本体部
11w 液体収容空間
15 蓋部
16 破砕刃
20 ゴミ容器駆動機構
50 ゴミ容器
C ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状であって軸方向の一端にゴミを投入するための開口を有する透水性のゴミ容器に収容されたゴミを破砕脱水処理する装置であって、
前記ゴミ容器を該ゴミ容器の中心軸周りに回転可能な状態で収容し得るケースと、
該ケース内に収容された状態における前記ゴミ容器内に配置される破砕刃と、
前記ゴミ容器内に配置された状態における破砕刃、または、前記ケース内に収容された状態における前記ゴミ容器を、該ゴミ容器の中心軸周りに回転させ得る駆動機構と、
該駆動機構によって前記破砕刃が回転されている状態において、前記ゴミ容器内に水を供給する給水機構とを備えており、
該給水機構は、
前記破砕刃近傍に設けられた、前記破砕刃によって破砕されているゴミに水を供給する排出部を備えている
ことを特徴とするゴミ処理装置。
【請求項2】
前記ケースは、
前記ゴミ容器を回転可能な状態で収容する、一端に開口を有する有底筒状の本体部と、
該本体部の開口に取り付けられ、該開口を液密に密封する蓋部とを備えており、
前記駆動機構が、
前記ゴミ容器および前記破砕刃を回転させるための駆動力を供給する駆動部と、
該駆動部に対して着脱可能であって、前記駆動部から供給される駆動力によって前記本体部に収容された状態における前記ゴミ容器を回転させるゴミ容器駆動部と、
前記駆動部に対して着脱可能であって、前記駆動部から供給される駆動力によって前記破砕刃を回転させる破砕刃駆動部と、を備えており、
前記蓋部は、
該ケース内に収容された前記ゴミ容器の開口部に取り付けられる中蓋を備えており、
該中蓋の内面に、
前記破砕刃と前記排出部とが設けられている
ことを特徴とする請求項1記載のゴミ処理装置。
【請求項3】
前記ケースが、水を貯留し得る貯留部を備えており、
前記給水機構は、前記貯留部内の水を前記ゴミ容器内に供給するものである
ことを特徴とする請求項1または2記載のゴミ処理装置。
【請求項4】
前記給水機構は、
前記破砕刃駆動部によって駆動され、前記貯留部内の水を前記排出部に供給するポンプ部を備えている
ことを特徴とする請求項1、2または3記載のゴミ処理装置。
【請求項5】
前記ポンプ部は、
前記破砕刃回転軸に固定され、該破砕刃回転軸と同軸となるように配設された回転筒と、
該回転筒をその内部に収容するように設けられた、中空な筒状部材を備えており、
前記回転筒は、
該筒状部材の内部に配置された状態で、前記貯留部内に貯留されている水に浸漬されている
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のゴミ処理装置。
【請求項6】
前記排出部は、
前記ゴミ容器内に該ゴミ容器内の中心軸を中心とする渦流が形成されるように、排出する水の流れを制御する水流制御板を備えている
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のゴミ処理装置。
【請求項7】
前記ゴミ容器は、
その内面に、突起状の掻きならし部を備えており、
前記ゴミ容器駆動部は、
前記ゴミ容器を該ゴミ容器の中心軸周りに回転させる際に、該ゴミ容器を、該ゴミ容器内のゴミが該ゴミ容器の回転に追従できない加速度で加速させる
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載のゴミ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−147883(P2011−147883A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11264(P2010−11264)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(303031000)島産業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】