説明

ゴムの工業用連続分解装置

ゴムの工業用連続熱分解装置が、外側シリンダ6と、内側シリンダ7と、内側シリンダ7内のスクリュー式給送(押進)機構とを含んでいる。外側シリンダ6又は内側シリンダ7には内側シリンダ加熱用の加熱器が配置されている。内側シリンダ7には導熱板8が配置されている。これらの導熱板8は、別個のプレートでも、連続又は不連続の螺旋状帯でもよい。それらは、内側シリンダ7の内部又は内側シリンダ7の外壁に配置できる。この熱分解装置は構造が簡単で、熱効率の改善、エネルギーの節減、稼働費の低減を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴムの分解装置(cracking device)、それもゴムの分解を工業的に連続式に実施可能な装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
技術が発展し、生産や生活の水準が改善される一方、化学廃棄物質、例えばゴムの廃棄物の発生量が急速に増加しつつある。それらの化学廃棄物質は環境を汚染するだけでなく、社会の重荷ともなる。政府や多くの環境学者は、そのことに大きな注意を払い、この問題を解決するために、可能な限りあらゆる方法を用いてきた。本発明の出願人は、これまで、この問題について幾つかの仕事を行ってきて、ゴムの連続分解法及び関連装置の開発に成功した。分解効率を改善し、オイル回収率を増加し、エネルギー効率を高めるために、出願人は、現在のゴム廃棄物の諸特性をまとめて考慮することで、多年にわたり一貫して研究作業及び実践のレベルを高めることに携わってきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、簡単な構造で、熱効率を高めたゴム連続分解装置を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の技術的なプログラムは次の通りである:このゴム連続分解装置は外側シリンダと内側シリンダとを含み、内側シリンダは内部に推進機構を備え、外側シリンダ又は内側シリンダ内に加熱機構が配置されていて、その特徴は、導熱板(heat plate)が内側シリンダに取り付けられている点にある。これらの導熱板には多くの様々な形式を採用でき、例えば別個の複数導熱板でも、螺旋状の断続的な又は連続的な帯でもよい。この装置の別の構成例では、導熱板を、内側シリンダ内に配置できるだけではなく、内側シリンダ壁に取り付けることもできる。
【0005】
本発明による構成により、内側シリンダは、分解反応に必要な、より多くの熱エネルギーの吸収を助けるだけでなく、熱エネルギーを蓄積し、シリンダ内部の分解温度を安定化し、熱供給を持続することができる。したがって、本発明で採用された簡単な構成により、熱効率改善、エネルギー節減、運転費低減の効果が実現される。
この構成の場合、加熱機構を内側シリンダ内に配置する際、内側シリンダの軸線より下に配置できる。すなわち、加熱機構は反応物質に対して傾斜している。なぜなら、この構成が、加熱機構の熱効率を十全に発揮する上で好適だからである。
【0006】
本発明の具体的な構成は次のように設計されている:内側シリンダが、外側シリンダを貫通し、かつ可動シールを介してシェルカバーと結合されており、シェルカバーには、供給口、オイル−ガス出口、灰出口が設けられている。こうして、内側シリンダを、動力機構により直接駆動でき、かつ供給口、オイル−ガス出口、灰出口をキャビティ(cavity)と接続させ、不動のシェルカバー内に配置することができる。既述の方法は、装置を外部機構と接続する上で好都合である。
加熱機構が低位置に配置されている一方、供給口は、概して加熱機構の頂部に配置されている。原料が加熱機構内へ直接に落下しないように、加熱機構の頂部に、又は供給口の内端部の下に供給案内板を配置できる。加えて、これらの案内板には、加熱装置の両側へ傾斜する形式を採用できる。
【0007】
本発明では、外側シリンダの加熱機構として熱風管を使用でき、該熱風管は内側シリンダの下方に配置される。熱風管入口は外側シリンダの底部に設けられ、排煙口が、原料の移動方向で外側シリンダの後端に設けられている。この形式を使用することによって、高温ガスがシリンダ全体を加熱でき、熱エネルギーの不一様な分配が低減される。更に、熱風管の前部にはシリンダ内の温度を調整可能な空気量制御ボード(air volume control board)を備えることができる。この空気量制御ボードは熱風管の全風量を制御するように構成でき、また1組の空気量制御ボードとして構成することもできる。これらの制御ボードは外側シリンダ主要部分の軸線方向で熱風管の前側に配置される。更に、各空気量制御ボードの前側が軸線を通る熱風管側壁に取り付けられる。空気量制御ボードがシリンダ軸線方向に沿って水平に配置される場合、外側シリンダ及び内側シリンダ内の通気は最小となり、90度までの範囲内で勾配が増大するにつれて漸次遅くなる。最終的に熱供給は漸増する。
【0008】
本発明では、推進機構をスクリュー又は内側シリンダ内壁に取り付けた螺旋状帯として構成できる。この構成を採用することにより、ゴム分解装置は傾斜構成を採用する必要はなく、これにより本発明の簡単な構成という特徴が示される。
【発明の効果】
【0009】
従来技術と比較して、本発明は、構成が極めて簡単で、熱効率が高く、消費エネルギーは遥かに少なく、運転費が遥かに低い等の利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例8を、外部の一部を除去してオン状態で示す図。
【0011】
図において、符号1は供給口、符号2は供給案内板、符号3は左側シェルカバー、符号4はアイドラ・ホイール、符号5はスプロケット、符号6は外側シリンダ、符号7は内側シリンダ、符号8は導熱板、符号9は螺旋状帯、符号10は排煙口、符号11は保温層、符号12は右側シェルカバー、符号13は排煙口、符号14はオイル−ガス出口、符号15は灰出口、符号16は支持ローラ、符号17はブラケット、符号18は加熱管、符号19は熱風管、符号20は空気量制御ボード、符号21は熱風管風入口、符号22は支持ローラである。
【実施例1】
【0012】
この実施例は外側シリンダと内側シリンダとを含んでいる。外側シリンダは加熱機構を有し、この加熱機構は次の方法を用いて実現できる:外側シリンダを2層に構成し、熱キャリヤを該2層間で循環させる。内側シリンダには供給口と灰出口とオイル−ガス出口とを備え、複数導熱板を内側シリンダ内に交互に配置する。更に、導熱板は異なる材料を用いて内側シリンダ壁に嵌めこむ。内側シリンダ内には原料を押進させるためのスクリューを配置する。この実施例の残りの部分には従来技術が用いられている。
【実施例2】
【0013】
この実施例は外側シリンダと内側シリンダとを含んでいる。外側シリンダは加熱機構を有し、この加熱機構は電気式の加熱機構でよく、外側シリンダ内に配置される。内側シリンダは供給口と灰出口とオイル−ガス出口とを有し、複数導熱板が内側シリンダ内に交互に配置される。更に、導熱板は内側シリンダの外壁の配置される。内側シリンダ内には原料を押進させるためのスクリューが配置される。この実施例の残りの部分には従来技術が用いられる。
【実施例3】
【0014】
この実施例は外側シリンダと内側シリンダとを含んでいる。外側シリンダは加熱機構を有し、この加熱機構は次の方法を用いて実現できる:ガス入口と排煙口とを外側シリンダに設け、熱風入口から熱風を外側シリンダ内へ送入して、内側シリンダを加熱する。内側シリンダは供給口と灰出口とオイル−ガス出口とを有し、内側シリンダ内には環状導熱板が交互に配置される。内側シリンダ内壁には原料を押進するための螺旋状帯が取り付けられる。この実施例の残りの部分には従来技術が用いられている。
【実施例4】
【0015】
この実施例は外側シリンダと内側シリンダとを含んでいる。外側シリンダは加熱機構を有し、この加熱機構は次の方法を用いて実現できる:外側シリンダに、ガス入口と排煙口とを設け、かつ空気量制御ボードをも配置する。内側シリンダには、供給口と、灰出口と、オイル−ガス出口とを備え、かつ内側シリンダ内には複数の螺旋状導熱板を交互に配置する。更に、導熱板は内側シリンダ外壁に取り付ける。内側シリンダには原料押進用の螺旋状帯を配置する。この実施例の残りの部分には従来技術が用いられる。
【実施例5】
【0016】
実施例4において、外側シリンダの下方部分がガス入口を備えた熱風管として構成され、熱風管の前側に、外側シリンダの軸線方向に沿って1組の空気量制御ボードが備えられる。更に、外側シリンダ端部には複数排煙口が分配配置される。
【実施例6】
【0017】
実施例3、実施例4、実施例5において、加熱機構が内側シリンダ内に配置され、この加熱機構は熱流体(ガス又は液体でよい)を通す管として、又は電気式加熱機構として構成される。
【実施例7】
【0018】
実施例6の実施において、内側シリンダの加熱機構は、分解生成物が遮断されている内側シリンダ底部に対して傾斜するように構成される。この形式によって、内側シリンダは十分に加熱される。
【実施例8】
【0019】
図示のように、実施例8は、熱風管19が内部に配置されたブラケット17を含み、熱風入口21を有している。外側シリンダ6はブラケット17の頂部に配置され、外側シリンダ6と熱風管19とが保温層11に取り囲まれ、外側シリンダ6の底部は熱風管19に接触している。熱風管19内には、外側シリンダ6の軸線方向に沿って1組の空気量制御ボード20が配置され、各制御ボード20の前側が、軸線を通る熱風管19の側壁に取り付けられている。排煙口10は、外側シリンダ6の右側頂部に設けられている。内側シリンダ7は、外側シリンダ6の内側に配置され、内側シリンダ7の、外側シリンダを貫通する両端部は、可動シールを介して左右のシェルカバーに固定されている。更に、外側シリンダ6の延長部は、スプロケット5を介して動力装置と接続されている。外側シリンダ6内に配置された内側シリンダ7の外表面には、連続的な螺旋状導熱板8が配置されている。内側シリンダ7内には、螺旋状帯9が配置され、左から右へ原料を押進させ、左から右へのこの運動時に分解反応が行われる。
【0020】
熱キャリヤ流体の加熱管18は内側シリンダ7を貫通し、加熱管の両端は2個のシェルカバー3,12にはめ込まれている。加熱管18は、内側シリンダ7の底部に対し傾斜している。供給口1は、左側のシェルカバー3に設けられ、加熱管18の頂部に位置している。ラムダ字形の供給案内板2が供給口1の内端かつ加熱管18の頂部に配置され、これらの供給案内板が原料を加熱管18の両側から内側シリンダ7へ装入する。この実施例の右側シェルカバー12は、排煙口13、オイル−ガス出口14、灰出口15を有している。
【0021】
この実施例を実施する場合、原料は、供給口1から内側シリンダ7へ装入され、供給案内板に沿って内側シリンダ底部へ滑落する。内側シリンダの回転につれて、原料は、螺旋状帯の作用により左から右へ移動する。この過程で、熱風が、熱風管19を介して外側シリンダ6内へ送入され、外側シリンダ底部プラケットを介して内側シリンダ7を加熱し、ひいては導熱板8及び内側シリンダ7内の原料を加熱する。導熱板は、この過程において原料の分解処理中、確実に内側シリンダ7の温度を安定化する。分解過程で発生するオイル−ガスは、オイル−ガス出口から排出され、該出口は右側のシェルカバーに設けられている。更に、分解生成物、例えばカーボン・ブラックは、灰出口から排出される。原料は、供給口から連続的に内側シリンダ内へ装入される一方、生成物は、オイル−ガス出口及び灰出口から連続的に排出され、これによりゴムの連続分解が実現される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムの工業用連続分解装置において、
外側シリンダと内側シリンダとが含まれ、内側シリンダ内には駆動機構が配置され、外側シリンダ又は内側シリンダには内側シリンダの加熱に用いる加熱機構が配置され、内側シリンダが導熱板を有することを特徴とするゴムの工業用連続分解装置。
【請求項2】
前記導熱板が、内側シリンダの外側に螺旋形状に取り付けられることを特徴とする、請求項1記載のゴムの工業用連続分解装置。
【請求項3】
前記内側シリンダが加熱機構を有し、該加熱機構が内側シリンダ内に配置され、かつ軸線方向より下方に位置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のゴムの工業用連続分解装置。
【請求項4】
前記内側シリンダが外側シリンダを貫通して延び、可動シールを介してシェルカバーと結合されており、シェルカバーには、供給口、オイル−ガス出口、灰出口が設けられることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のゴムの工業用連続分解装置。
【請求項5】
前記供給口が内側シリンダの加熱機構の頂部に設けられ、供給口内端に相応する位置に供給案内ボードが配置され、更に、該供給案内ボードは加熱機構の方へ傾斜していることを特徴とする、請求項4に記載のゴムの工業用連続分解装置。
【請求項6】
前記外側シリンダの加熱機構は熱風管であり、該熱風管は内側シリンダの底部に配置されており、熱風管入口が外側シリンダ底部に設けられ、灰出口が原料の移動方向に沿って外側シリンダの端部に設けられていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のゴムの工業用連続分解装置。
【請求項7】
前記熱風管の前側に空気量制御ボードが配置されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のゴムの工業用連続分解装置。
【請求項8】
外側シリンダ主要部分の軸線方向に沿って熱風管の前側に1組の空気量制御ボードが配置され、各空気量制御ボードの前側が軸を介して熱風管側壁に取り付けられることを特徴とする、請求項7に記載のゴムの工業用連続分解装置。
【請求項9】
内側シリンダの押進機構が螺旋状帯であり、該螺旋状帯が内側シリンダ内壁に取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載のゴムの工業用連続分解装置。

【図1】
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【公表番号】特表2011−509319(P2011−509319A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539987(P2010−539987)
【出願日】平成19年12月29日(2007.12.29)
【国際出願番号】PCT/CN2007/003894
【国際公開番号】WO2009/086655
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(508301504)
【Fターム(参考)】