説明

ゴム含有廃材の処理方法

本発明は、ゴム含有廃材からゴム材料を得る方法に関する。この方法は、反応器中、大気圧を超える圧力下で、有効量の二酸化炭素を含む抽出溶媒を用いた処理に廃材を曝す工程を含み、抽出溶媒は有効量の二酸化炭素を含む。抽出は、材料を損傷することなく十分な抽出を行うために、1回以上の動的工程および/または1回以上の静的工程で実施され得る。ゴム含有廃材は、抽出工程と同時、抽出工程の後、または抽出工程とオーバーラップして実施され得る含浸工程にさらに曝され得る。さらに本発明は、アルキル化芳香族油、無機および有機塩形態の重金属を少量含むか、または実質的に含まないゴム材料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム含有廃材を処理してゴム含有廃材から再利用可能なゴムを得る方法に関する。したがって、本発明はさらに、ゴム含有廃材を処理して得られるゴム材料およびその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
毎年世界中で、大量の廃ゴム材が例えばスクラップタイヤなどの形態で廃棄されている。毎年、アメリカで廃棄されるスクラップタイヤの数は2億7千万個に達し、世界中で廃棄されるスクラップタイヤの量は1千5百万トン(タイヤ10億個)にもなると推測されている。しかし、廃ゴム製品の再利用は難しく、廃ゴムの再利用プロセスは二次汚染を起こし易い。現在、スクラップタイヤは深刻な環境汚染の原因となっているが、莫大な資源でもある。廃ゴム製品をいかに再利用またはリサイクルするかは、汚染防止に関連する重要な社会問題であるだけでなく、資源の再利用にかかわる重要な経済問題でもある。
【0003】
スクラップタイヤは現在、セメント製造や、単にゴムのエネルギー含量だけを利用する熱分解に用いられている。他の用途は、ダウングレードゴム製品および輸出用に、また、例えば築港または農業建築においてそのようなものとして用いられている。総量の10〜20%の範囲の一つの販路は、スチールや他のタイヤ成分を取り除いた後でゴムを粉砕して粒状化するものである。「温」または「低温」粉砕が実施され得る。このゴム粉末、ゴム粒子またはゴムくずは、最大マーケットを挙げると、例えば、(i)アスファルトの改質、(ii)成形品、(iii)ブレーキ/フリクションマーケットを含むタイヤ/自動車、ならびに(iv)スポーツおよびプレイグラウンド舗装などの分野に用いられている。米国では、毎年およそ300,000トンがゴム粒子として消費されている。
【0004】
従来技術の主要問題は、廃ゴム製品中に残留物が残っていることである。これらの残留物は、アルキル化芳香族化合物を含む油と、無機および有機塩の形態の種々の重金属、例えばグリースとからなる。残留物は、廃ゴムによっては、全質量の約3〜10%を構成する。残留物は、タイヤの性能に必要ではあるが、後にリサイクル材料として利用する際には潜在的な環境負荷となる。
【0005】
さらに、油類やグリースが存在するとゴム粒子が不快な臭気を発し、アスファルト、プラスチック、リサイクルタイヤ、塗料などのマトリックスへのゴム粒子の付着性が油の存在により劣化する。特に、ゴム粒子のバージンゴムへの再加硫は、バージンゴムと化学反応するゴム粒子の表面が油層で「保護」されている場合には難しい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、再利用可能なゴム材料を得るためにゴム廃棄物を処理する方法を提供することであり、この方法およびこのゴム材料は上記のような欠点を全く有していない。
本発明の一つの特定の目的は、ゴム含有廃材からゴム材料を生産する方法を提供することであり、このゴム材料は従来品に比べて汚染度が低い。
【0007】
本発明のさらなる目的は、ゴム含有廃材からゴム材料を生産する方法を提供することであり、この方法を用いると、油や重金属などの好ましくなく且つ汚染を起こし得る残留物の含有量が極めて少ないゴム材料が得られる。
【0008】
本発明のさらなる目的は、優れた機械的性質を有すると同時に油や重金属などの好ましくない残留物の含有量が少ない新規ゴム材料を提供することである。
これらの目的は、特許請求の範囲で定義され、かつ以下に説明される本発明によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明または本発明の好ましい実施形態に係る方法が以下のような多くの関連した利点を有することがさらに示された。
(a) 高圧ガスを用いた粒子の抽出は、有機溶媒を用いた抽出に比べて極めて効率的かつ経済的である。
(b) 本発明の方法を用いることにより廃棄物処理は著しく簡単になる。溶媒処理がないことから溶媒の排出もなく、抽出された油などはすべて、蒸留による二酸化炭素の除去後に回収され得る。
(c) 好ましい実施形態におけるモノマーを用いた含浸は不活性雰囲気下で実施され得ることから、オペレータが汚染されるリスクが低くなる。
(d) ゴム廃棄物に関わる臭気の問題は、本発明の方法を用いることにより非常に減少するか、さらには排除される。一つの実施形態では、抽出された粒子状のゴム材料は、残留物を含んでいないために実質的に無臭である。したがって、屋内(フローリング)、農業用(動物床敷)およびスポーツグラウンド用にさらに魅力的なものとなる。すなわち、ゴム粒子の利用価値が増大する。
(e) 本発明の方法を用いて得られたゴム材料の他の材料への付着性は、粒子上に存在する油膜が除去されるので増大する。その結果、本発明の方法によって得られるゴム粒子の任意のマトリックス、例えばそれ自体への付着性が増大する。したがって、ただ抽出されただけの材料でもバージンゴムに加硫されることができ、タイヤおよび他のゴム製品(現在では3%未満)ならびにアスファルト(ルーフィングフェルト、防水層、路面アスファルト)へのリサイクル粒子の濃度を増大させることができる。
(f) 本発明の方法の一つの実施形態で得られた含浸または改質ゴム粒子(スチレン、エポキシなど)の付着性は、未加工粒子に比べて、また、抽出されたが含浸されていない粒子に比べてさえ大きく改良されている。これによって、例えば成型または押出製品に関する規定の機械的強度や他の仕様を損なうことなく充填材の濃度を増大させることができる。同様に、高性能アスファルトタイヤでの利用(ブリッジ層など)も可能である。
(g) 一つの実施形態において例えばスチレンが含浸されると、明るい色の粉末/粒子ができ、これは明るい色の材料の充填材として利用され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係るゴム含有廃材からゴム材料を得る方法は、反応器中、大気圧を超える圧力、例えば少なくとも0.5MPa(5バール)またはそれ以上の圧力下で、抽出溶媒を用いた処理に廃材を曝す工程を含む。抽出溶媒は有効量の二酸化炭素を含むが、ここで、用語「有効量」は、抽出が起こっていること、例えばゴム廃材の少なくとも0.1重量%の量の残留物が20分の抽出時間後に抽出されていることを意味する。一般に、抽出溶媒の主要重量部が二酸化炭素であることが好ましく、好ましい実施形態において、抽出溶媒は、少なくとも80重量%の二酸化炭素を含む。
【0011】
一般に、抽出工程中の圧力は、好ましくは0.5〜30MPa(5〜300バール)の範囲内である。
抽出工程中、圧力は一定であってもよいし変動してもよい。コストをできる限り低く保つためには、圧力は抽出に必要な高さを超えてはならないので、抽出中に圧力が過剰に変動しないことがよい。
【0012】
したがって、本発明の方法の一つの実施形態において、抽出工程中、圧力は実質的に一定であり、好ましくは少なくとも1.0MPa(10バール)、例えば、少なくとも2.0MPa(20バール)、3.0〜30MPa(30〜300バール)、4.0〜20MPa(40〜200バール)である。
【0013】
本発明に係る方法の別の実施形態において、抽出工程中、圧力は変動し、好ましくは少なくとも1.0MPa(10バール)、例えば、少なくとも2.0MPa(20バール)、3.0〜30MPa(30〜300バール)、4.0〜20MPa(40〜200バール)である。
【0014】
本発明に係る方法の一つの実施形態において、圧力は、比較的急速に、例えば、15分以内、さらには10分または5分以内にその最大に上昇し、この最大圧力点から一定時間維持され、次いで、例えば後に説明するように、大気レベルに達するまで緩やかに降下する。
【0015】
単に微量の無制御蒸発ではなく、真に抽出するためには、反応器が非常に大型かつ高圧であるか、またはゴム含有廃材が反応器を通過する溶媒流に曝されなければならない。
したがって、本発明の一つの実施形態において、抽出工程は、ゴム含有廃材を抽出溶媒流に曝す工程を含む。抽出工程中に反応器を通過する平均溶媒流量は、好ましくはゴム含有廃材1kg当たり少なくとも0.1リットル/分、例えば、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも0.5リットル/分、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも1.0リットル/分、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも2.0リットル/分、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも5.0リットル/分であり、この場合、溶媒の量は5.0MPa(50バール)で測定される。
【0016】
本発明の好ましい実施形態において、抽出工程は、ゴム含有廃材を抽出溶媒流に曝す工程を含む。抽出工程中に反応器を通過する平均溶媒流量は、好ましくはゴム含有廃材1kg当たり少なくとも0.1kg/分、例えば、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも0.5kg/分、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも1.0kg/分、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも2.0kg/分、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも5.0kg/分である。
【0017】
反応器を通過する平均流量は、反応器に流入する溶媒量として測定され、溶媒が流出する場合には、反応器から流出する溶媒量として測定される。反応器に流入する溶媒量は、好ましくは総抽出工程のうちの少なくとも一つの動的抽出工程中に反応器から流出する溶媒量の95〜105重量%である。
【0018】
反応器から流出する溶媒量には抽出物が含まれる。
本発明に係る方法の一つの実施形態において、抽出工程は、反応器に抽出溶媒の連続流を供給してゴム含有廃材を動的抽出に曝す工程を含む。用語「連続流」とは、溶媒が反応器に連続的に流入し、溶媒が反応容器から連続的に流出することを意味する。流入量および流出量は、一定でもよいし異なっていてもよい。
【0019】
動的抽出工程中の平均溶媒流量は、例えば上述の通りでもよい。一つの実施形態において、動的抽出工程中、反応器を通過する溶媒流量は、好ましくは実質的に一定である。一つの実施形態では、反応器を通過する溶媒流量は、好ましくはゴム含有廃材1kg当たり1.0kg/分未満、さらに好ましくはゴム含有廃材1kg当たり0.5kg/分未満または0.1kg/分未満である。
【0020】
一つの実施形態において、抽出工程(副工程を含み得る総抽出工程を意味する)は、反応器内に実質的に流れがない静的抽出工程を少なくとも1回含む。
一つの実施形態において、抽出工程は、各静的抽出工程間に少なくとも1回の段階的溶媒変更を行ってゴム含有廃材を段階的静的抽出に曝す工程を含む。これは、静的抽出工程が1回行われた後、途中で溶媒の一部が変更されて別の静的抽出工程が行われることを意味する。溶媒を変更するために、反応器を通過する溶媒流が確立される必要がある。一つの実施形態では、溶媒の段階的変更は、反応器内の溶媒の少なくとも25容量%、例えば、少なくとも50容量%、少なくとも60容量%、少なくとも70容量%、少なくとも80容量%、少なくとも90容量%、ほぼ100容量%が変更されることを含む。例えば、50容量%が変更される場合、反応器を流れる溶媒量はほぼ、反応器容量のおよそ100%になるであろう。
【0021】
一つの実施形態において、各静的抽出工程間の溶媒の段階的変更は、段階的変更期間中に反応器を通過する溶媒流を含み、反応器を通過する溶媒の流量は、段階的変更期間前の反応器内の溶媒の少なくとも50容量%、例えば、少なくとも75容量%、少なくとも100容量%、少なくとも200容量%、少なくとも300容量%、ほぼ400容量%を含む。
【0022】
一つの実施形態において、段階的変更期間が長くなると、それ自体が動的抽出工程になることから、段階的変更期間は比較的短くなければならない。したがって、段階的変更期間は、好ましくは3分未満、例えば0.5〜2分である。
【0023】
一つの実施形態において、各静的抽出工程間の段階的溶媒変更は、第1静的抽出期間と第2静的抽出期間との間の段階的変更期間中に反応器に流入する溶媒流を含み、第1静的抽出期間と第2静的抽出期間との少なくとも一方は、段階的変更期間と同じか、それより長い。
【0024】
一つの好ましい実施形態において、抽出工程は、動的抽出中には抽出溶媒の連続流を供給し、静的抽出時には溶媒流を実質的に流さないことによって組み合わされた動的抽出と静的抽出とにゴム含有廃材を曝す工程を含む。動的抽出期間と静的抽出期間との長さの最適化により、抽出の有効性とコストとが最適化され得る。
【0025】
一つの実施形態において、抽出工程は、少なくとも1回、例えば、2、3、4、5、6回以上の静的抽出工程を含み、各静的抽出工程は、1分以上、例えば、5分以上、10分以上、15分以上、20分以上、25分以上、30分以上の静的抽出工程期間実施される。静的抽出工程が過剰に長いと、抽出は停止するであろう。したがって、一般に、静的抽出工程または各静的抽出工程が、最終的に終了させたいときまで抽出を停止させないために十分に短いことが好ましい。
【0026】
一つの実施形態において、抽出工程は少なくとも2回の静的抽出工程を含み、各静的抽出工程は、互いに等しいか、または異なる長さを有する静的抽出工程期間実施される。一つの実施形態において、静的抽出工程期間は、一つの静的抽出工程期間から次の静的抽出期間へと長さが長くなり、より好ましくは、数回の静的抽出工程期間後により長い静的抽出工程が続く。それによって、最適な有効性とともに溶媒の有効利用が得られる。
【0027】
一つの実施形態において、抽出工程は、少なくとも1回、例えば、2、3、4、5、6回以上の動的抽出工程を含む。各動的抽出工程は、好ましくは3分以上、例えば、5分以上、10分以上、15分以上、20分以上、25分以上、30分以上の動的抽出工程期間実施される。
【0028】
一つの実施形態において、抽出工程は少なくとも2回の動的抽出工程を含み、これらの動的抽出工程は、それぞれ互いに等しいか、または異なる長さを有する動的抽出工程期間実施される。一つの実施形態において、動的抽出工程期間は、一つの動的抽出工程期間から次の動的抽出工程へと長さが短くなり、より好ましくは、数回の動的抽出工程期間後により短い動的抽出工程が続く。それによって、最適な有効性とともに溶媒の有効利用が得られる。
【0029】
一つの実施形態において、抽出工程は少なくとも2回の動的抽出工程を含み、動的抽出工程中に反応器を通過する平均溶媒流量は互いに実質的に等しい。
一つの実施形態において、抽出工程は少なくとも2回の動的抽出工程を含み、各動的抽出工程中に反応器を通過する平均溶媒流量は互いに異なり、好ましくは、溶媒流量は一つの抽出工程から次の抽出工程へと減少する。
【0030】
本発明によれば、本発明者らは、動的抽出工程と静的抽出工程とを交互に用いることにより、高い効率性/コスト水準が得られることに気づいた。したがって、動的抽出工程と静的抽出工程とを交互に用いる方法は、恒常的溶媒流を用いる方法より効率的であることが見出された。2つの方法の平均流量は同じである。
【0031】
したがって、本発明に係る方法の一つの好ましい実施形態は、交互の動的抽出工程と静的抽出工程とを含み、動的抽出工程は、少なくとも1回、例えば、2、3、4回以上であり、動的抽出工程期間は、少なくとも3分、例えば、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、少なくとも30分であり、介在する静的抽出工程は、0.5〜30分、例えば3〜20分、5〜15分である静的抽出工程期間を有する。
【0032】
総抽出時間は、好ましくは少なくとも10分、例えば、少なくとも15分、20〜120分、30〜60分である。一つの実施形態において、抽出時間は、1〜120分、好ましくは5〜20分である。
【0033】
上述のように、反応器は原則として任意の容量を有してもよいが、コスト的に許容可能な方法を得るためには、反応器は処理されるゴム含有廃材の量に比べて過剰に大きくはならない。したがって、反応器の容量は一般に、好ましくはゴム含有廃材1kg当たり1.5〜500リットル、例えば、ゴム含有廃材1kg当たり2〜100リットル、ゴム含有廃材1kg当たり2.5〜50リットル、ゴム含有廃材1kg当たり3〜25リットルである。
【0034】
一つの実施形態では、反応器の容量は、非圧縮状態のゴム含有廃材の容量の1.5〜100倍、例えば、2〜50倍、5〜25倍である。
反応器の容量が過剰に大きいと大量の溶媒が必要となり、これは一般にコスト面から好ましくない。
【0035】
抽出工程における温度は、例えば、少なくとも0℃、少なくとも5℃、少なくとも25℃である。
一つの実施形態において、二酸化炭素は、抽出工程の少なくとも一時期に超臨界状態にある。一つの実施形態において、抽出工程は、二酸化炭素が抽出時間の少なくとも50%の間、超臨界状態またはそれに近い状態にあるときに実施される。ここで、超臨界状態に近いとは、二酸化炭素が超臨界ではないが、圧力が10%以下、好ましくは5%以下だけ増大すると超臨界になるであろうことを意味する。
【0036】
抽出工程がゴム中の残留物の実質的な量を抽出するのに十分な時間、好ましくは、廃棄物のゴム部の少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%を除去するのに十分な時間実施されることが好ましい。一般に、ゴム廃材中の除去可能な残留物の量は2〜10重量%である。抽出時間がゴム含有廃材のゴム部の除去可能な残留物の90%以上を除去するのに十分であることが好ましい。
【0037】
一つの実施形態において、抽出工程は、ゴム中の残留物の実質的な量を抽出するのに十分な時間、好ましくは、ゴム含有廃材の少なくとも0.2重量%、例えば、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%を除去するのに十分な時間実施される。
【0038】
一つの実施形態において、溶媒の量は、処理されるゴム含有廃材の少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも1重量%、5〜50重量%、10〜500重量%である。
抽出溶媒は、例えば、好ましくは炭化水素および過フッ化炭化水素からなる群から選択され、より好ましくは、式:
HBL=7+Σ(親水基の数)−Σ(親油基の数)
に従って決定されるHBL値が15未満である界面活性剤を含んでもよい。
【0039】
好ましい界面活性剤およびそれらの製法についての例および説明は、米国特許第6461387号明細書およびマーチ、ジェイ(March.J.)、“Advanced Organic Chemistry”、J.Wiley & Sons、ニューヨーク(1985年)に見られ、これらの文献は界面活性剤およびそれらの製法に関して本願に参照によって援用される。
【0040】
その他の界面活性剤としては、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート)−b−(ポリ)スチレン、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−b−スチレン)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−b−メチルメタクリレート)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−b−ビニルアセテート)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−b−ビニルアルコール)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルメタクリレート−b−スチレン)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−コ−スチレン)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−コ−ビニルピロリドン)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−コ−エチルヘキシルアクリレート)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−コ−2−ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−コ−ジメチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(スチレン−g−ジメチルシロキサン)、ポリ(メチルアクリレート−g−1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルメタクリレート)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−g−スチレン)、ペルフルオロオクタン酸、およびペルフルオロ(2−プロポキシプロパン)酸が挙げられる。他の例としては、ペルハロゲン化界面活性剤、例えば、CF(CF)aCHCHC(O)OX(ここで、aは1〜30)、ポリプロピレングリコール界面活性剤、例えば、HO(CHCH(CH)O)i(CHCHO)iH(ここで、iは1〜50)、ペルハロエーテル界面活性剤、例えば、CF(CFCFO)r(CHCHO)tH(ここで、rは1〜30、tは1〜40)、およびポリジメチルシロキサン界面活性剤がある。
【0041】
界面活性剤の好ましい量は、ゴム廃棄物の種類や表面張力によって決まるが、一例を挙げると、抽出溶媒は、少なくとも0.001重量%、例えば、0.001〜30重量%、0.01〜20重量%、0.1〜5重量%の一種以上の界面活性剤を含む。界面活性剤の機能は、抽出される残留物の溶解度を高めることである。さらに界面活性剤は、下記のようなゴムに組み込まれ得る含浸成分の溶解度も高めることができる。
【0042】
溶解度を高めるために共溶媒が追加されてもよい。共溶媒は、例えば、メタン、エタン、プロパン、アンモニウムブタン、n−ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、エチレン、プロピレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロトリフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ペルフルオロプロパン、クロロジフルオロメタン、六フッ化硫黄、亜酸化窒素、N−メチルピロリドン、アセトン、オルガノシリコーン、テルペン、パラフィン、およびそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0043】
一つの実施形態において、抽出溶媒は、最大約50重量%、例えば1〜40重量%、5〜40重量%、10〜30重量%の共溶媒を含む。
ゴム廃材は、他の物質、例えば、金属廃棄物または他の高分子廃棄物を含んでもよい。ゴム廃材は、好ましくは、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも75重量、少なくとも95重量%の量の加硫ゴムを含んでもよい。
【0044】
処理効率を高め、かつ/または抽出処理後の造粒を回避するために、抽出工程の前にゴム廃棄物を造粒工程に曝すことが好ましい。粒度の例は、ふるい分けによる測定で1μm〜15mmの範囲のサイズである。
【0045】
造粒は、好ましくはゴム材料の機械的内部強度が維持される切断および/または絞りにより実施される。
抽出工程前にゴム含有廃材がその最終粒度になることが好ましい。それによって、最適な量の抽出可能残留物が、その最終粒度で抽出され得る。従って、抽出後の造粒が新たな表面を曝し、結果として、造粒前には実質的に抽出不能であった残留物が造粒後に容易に放出され得ることが観察された。この作用は、比較的大きな粒度、例えば、ゴム含有廃材の50重量%以上がふるい分けによる測定で2mmを超える粒度を有するゴム含有廃材で観察される。
【0046】
従って、ゴム含有廃材の少なくとも90重量%、好ましくは、ゴム含有廃材の少なくとも95重量%が、好ましくは抽出工程前にふるい分けによる測定で5000μm未満、例えば、1〜200μm、200〜400μm、400〜700μm、700〜1000μm、1000〜1600μm、1600〜2500μm、2500〜4000μm、4000〜4700μmの粒度を有し、抽出工程中、粒度は好ましくは実質的に不変である。
【0047】
一つの実施形態においては、ゴム含有廃材の少なくとも90重量%、好ましくはゴム含有廃材の少なくとも95重量%が、抽出工程前にふるい分けによる測定で100〜500μmの粒度を有することが好ましく、抽出工程中、粒度は好ましくは実質的に不変である。
【0048】
抽出工程中または抽出工程後のゴム材料の好ましくない造粒を回避するために、反応器内の圧力が十分にゆっくりと減圧されることが好ましい。高速または制御なしの減圧では、内部が破壊されたゴム材料が造粒され、それによって、ゴム材料の内部強度が低下することが分かった。
【0049】
したがって、一つの実施形態では、ゴム含有廃材の損傷を回避するために、抽出工程後の圧力を大気圧までゆっくりと調整することが好ましい。
好ましくは、抽出工程後の圧力は、1.0MPa(10バール)/分未満、例えば、0.5MPa(5バール)/分未満、0.2MPa(2バール)/分未満、0.05MPa(0.5バール)/分未満、0.001MPa(0.1バール)/分未満の速度で大気圧に調整される。
【0050】
一般に、すべての圧力の調整は、ゴム含有廃材の凝集力を損なわないように適切な注意を払って実施されなくてはらなない。つまり、ゴム含有廃材の減圧は、好ましくは1.0MPa(10バール)/分未満、例えば、0.5MPa(5バール)/分未満、0.2MPa(2バール)/分未満、0.05MPa(0.5バール)/分未満、0.01MPa(0.1バール)/分未満の速度で実施されなくてはならない。
【0051】
本発明の方法は、一つの実施形態において、ゴム含有廃材を含浸工程に曝す工程をさらに含み、含浸工程では、好ましくは、シリコン含有モノマー、例えば、TEOS(テトラエチルオルトシリケートもしくはテトラエトキシシラン)またはクロロ−もしくはアルコキシ官能シランなどのシラン、エチレン、プロピレン、スチレン、ビニルピロリドンなどのオレフィン、含酸素および含窒素モノマー、例えば、アクリル酸誘導体、例えば、アクリル酸エステルおよびアクリル酸、メタクリル酸およびメタクリル酸エステル、ウレタン、単官能および2官能アルコール、カルボン酸、アミン、ジアミン、イソシアネート、エポキシド、芳香族化合物、例えば、アルキル基などの置換基を有する芳香族化合物およびスルホン化芳香族、芳香族樹脂、イミダゾールおよびイミダゾール誘導体、ピラゾール、第四級アンモニウム化合物、ポリウレタンプレポリマーおよびエポキシ樹脂からなる群から選択される一種以上のモノマーを含む含浸組成物によりゴム廃棄物が処理される。上述のように、そのような処理により表面付着性が増大することができる。さらに、含浸化合物は、表面特性、例えば、表面張力を改変したり、ゴムの色を変えたりすることができる。
【0052】
他の有用な含浸組成物としては、エポキシ化合物、例えば、ビスフェノールA誘導体、エポキシドおよびジアミドがある。
含浸は、原則としていつ実施されてもよいが、一旦含浸された成分が除去されないようにするために、含浸工程が、抽出工程と同時に実施されるか、抽出工程後に実施されるか、抽出工程とオーバーラップして実施されることが好ましい。含浸工程が抽出工程と同時に実施される場合、含浸化合物が抽出溶媒中に存在してもよい。あるいは、含浸溶媒が、好ましくは二酸化炭素を含む含浸溶媒中に導入される。含浸溶媒は、含浸化合物の溶解度を高めるために界面活性剤を含んでもよい。有用な界面活性剤の例およびその量は、抽出溶媒に関して先に開示された界面活性剤である。
【0053】
含浸成分は、重合して相互侵入網目ゴム材料を形成してもよい。重合を促進するために、ラジカル生成剤または他の重合開始剤が含浸溶媒と同時にゴム材料中に組み込まれてもよい。
【0054】
生産されたゴム材料は、好ましくはアルキル化芳香族油と無機および有機塩の形態の重金属とを0.5重量%未満、好ましくは、0.1重量%未満、0.01重量%未満含み、より好ましくはそれらを実質的に含まない。有機抽出溶媒を用いる必要がないことから、本発明に係るゴム材料は有機溶媒を実質的に含まないであろう。
【0055】
一つの実施形態において、粒状のゴム廃材が圧力反応器に配置され、二酸化炭素を用い、場合により二酸化炭素に溶解する(例えば、シリコーン系、エステル系の)界面活性剤と組み合せて抽出される。超臨界条件下、かつ液状加圧条件下で抽出を実施するために種々の機械設計が利用可能である。超臨界方法での抽出に関するさらなる情報については、同時係属出願PCT/DK/0300052号を参照されたい。
【0056】
抽出された残留物は、過剰な二酸化炭素が除去された後に純粋形態で回収され、リサイクルに利用されるか、特殊焼却され得る。
ゴム粒子のさらなる改質が求められる一つの実施形態においては、高圧処理中にモノマーまたはプレモノマーが添加されてもよい。そのような材料は、一つの実施形態では、後に熱や放射線などの使用によって重合可能なポリマーまたはモノマーである。
【0057】
含浸の目的は、ゴム粒子が配置されるマトリックス材料にゴム粒子を適合させることである。ゴム粒子を熱可塑性エラストマーに適合させるためにはスチレンが適当であり、エポキシ系塗料またはフローリングとの適合性を得るためにはエポキシが適しており、アスファルトとの適合性を得るためにはスチレンとエポキシとのどちらも適当であり、ポリオレフィンは粒子を熱可塑性プラスチックに組み込むのに適したものとする。
【0058】
したがって、一つの実施形態において、スチレンが含浸モノマーとして用いられ、後にポリスチレンに変換されて相互侵入網目(IPN)形態でゴム中に分散される。例えば最大100%のゴム重量といった高濃度を得ることもできるが、経済的な理由で、スチレン重量をゴム重量の10%未満または5%未満に制限することが有益である。この改質粒子は、SEBS、SBSおよびSISタイプの熱可塑性エラストマーとの有意に高い適合性と凝集力とを示す(実施例1)。同様に、アスファルトはこのタイプの粒子で増粘される(実施例2)。
【0059】
一つの実施形態において、エポキシ(例えば、ビスフェノールA系ジグリシジルエーテル、「エピコート 828」を含むがそれには限定されない)および硬化剤(例えば、キシレンに溶解したポリアミノアミド、アミン価170を含むがそれには限定されない)が、0.2%を超える濃度でゴム粒子に含浸される。このようにして改質されたゴム粒子は、エポキシおよびアスファルトマトリックス中で優れた架橋性と付着性とを示す。
【0060】
説明された実施形態は、限定的なものではない。原理上、適当なプレポリマーから、それらが圧縮二酸化炭素に溶解するものであれば、例えばポリプロピレン、ポリイソプレン、ウレタン、ポリグリコールなどの任意のモノマーまたはプレポリマーが形成され、当業者には明らかな条件下に沈殿され得る。
【0061】
すべての含浸後に、含浸工程中に重合が実施される場合、未反応モノマーを除去するために、反応器の内容物を純粋な二酸化炭素で洗い流すことが有益である。重合が別個に実施される方法が選択される場合、残留モノマー濃度が過剰に高いと判断されたら、ゴム粒子を二酸化炭素で洗い流す方法が選択されてもよい。
【0062】
上述のように、ゴム含有廃材の凝集力を損なわないように、含浸工程中および含浸工程後に圧力が調整されることが好ましい。したがって、ゴム含有廃材の減圧は、好ましくは1.0MPa(10バール)/分未満、例えば、0.5MPa(5バール)/分未満、0.2MPa(2バール)/分未満、0.5MPa(0.5バール)/分未満、0.01MPa(0.1バール)/分未満の速度で実施される。
【0063】
本発明に係る方法の一つの実施形態において、ゴム含有廃材の凝集力を損なわないように抽出工程中および抽出工程後に圧力が調整され、ゴム含有廃材の減圧が、1.0MPa(10バール)/分未満、例えば、0.5MPa(5バール)/分未満、0.2MPa(2バール)/分未満、0.05MPa(0.5バール)/分未満、0.01MPa(0.1バール)/分未満の速度で実施される。
【0064】
ゴム粒子は、反応器から取り出された後にすぐに使える状態である。
ゴム材料の適当な用途としては、アスファルトの改質、プラスチックの改質、充填材、弾性充填材、ゴムの改質、加硫可能充填材、コーティングの充填材、塗料の充填材および船舶塗料用の充填材などがある。
【0065】
本発明はさらに、アルキル化芳香族油と無機および有機塩形態の重金属とを0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、0.01重量%未満含み、より好ましくはそれらを実質的に含まないゴム材料に関する。
【0066】
このゴム材料は本発明の方法によって得られることができる。
このゴム材料は、その弾性および凝集性をほとんどまたはすべて維持しているとともに、アルキル化芳香族油や無機および有機塩形態の重金属は極く低量であるか、存在しないことさえある。
【実施例】
【0067】
実施例1
抽出工程:蒸留により二酸化炭素を再循環させて、残留物の分離を促進する。典型的には、超臨界二酸化炭素を用い、15〜30MPa(150〜300バール)および40〜80℃下で、ほぼ30分程度の時間、ゴム紛を抽出する。特に、米国特許第6461387号明細書および本願に引用されている参考文献に記載の技術に従って、0〜30℃および1.5〜5.0MPa(15〜50バール)下で、液状の二酸化炭素を好ましくは界面活性剤と一緒に用いてもよい。抽出後に、実質的に無臭のさらさらした黒色粉末を得る。
【0068】
実施例2
含浸工程:エポキシ用ジアミドおよびジアミン硬化剤を除く上述のモノマーおよびプレポリマーはいずれも、二酸化炭素に溶解してゴム粒子に吸収される強い傾向を示す。したがって、含浸は、抽出と同じ圧力および温度条件下で短い時間内に、通常は20分未満で進行する。溶解度が低い化合物は、イソプロパノール、アセトン、水などの共溶媒を用いて含浸させることができる。あるいは、非イオン、イオンまたはシリコーン系の界面活性剤を、含浸させる材料の約1重量%で用いることができる。
【0069】
実施例3
重合:スチレン重合は、80℃及びCO圧力下で、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)などの適当なラジカル開始剤の共含浸後に進行する。他のビニル化合物を、放射線(UV、電子ビーム、γ線)などの他のテキスト型重合法に従うか、それを用いて重合することができる。
【0070】
実施例4
アスファルトにおける利用:アスファルトに混合されると、すべての濃度で、未抽出のゴム粒子から調製した参考試料に比べて、破断点伸びが増大し、圧縮永久歪が減少し、弾性が高くなることが観察される。抽出しただけのゴムは、低性能アスファルトタイプ用に好ましく、スチレン改質ゴムはSBS改質アスファルト用に好ましい。
【0071】
実施例5
エポキシ塗料における利用:重防食塗料、例えば、船舶用または保護塗料に混合されると、参考試料に比べて、弾性が増大し、破断点伸びが増大し、衝撃強さが増大すると評価される。塗料との混和性が優れているという理由で、エポキシ改質ゴム粒子が好ましい。
【0072】
実施例6
ポリマー改質における利用:抽出ゴムは、ポリオレフィンに容易に分散可能であることが分る。ポリエチレンおよびポリプロピレンの改質に関して高衝撃強さが観察される。ポリオレフィンと最大80重量%のゴム粒子との混合物は、射出成形可能であるとともに押出成形可能である。
【0073】
実施例7
主としてバージンゴムの生産における充填材としての利用:抽出及び含浸ゴムを、自動車のタイヤ、コンベヤベルトなどのバージンゴム製品に共加硫することができる。抽出及び含浸ゴム粒子は、生ゴム粒子を混合したものに比べてゴムマトリックスとの付着性の増大が観察されるが、これは架橋効率が高いことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム含有廃材からゴム材料を得る方法であって、反応器中、大気圧を超える圧力、好ましくは少なくとも0.5MPa(5バール)の圧力下で抽出溶媒を用いた処理に前記廃材を曝す工程を含み、抽出溶媒は有効量の二酸化炭素を含み、好ましくは少なくとも80重量%の二酸化炭素を含む方法。
【請求項2】
前記抽出工程は、前記ゴム含有廃材を抽出溶媒流に曝す工程を含み、抽出工程中に前記反応器を通過する平均流量は、好ましくは、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも0.1kg/分、例えば、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも0.5kg/分、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも1.0kg/分、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも2.0kg/分、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも5.0kg/分である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抽出工程は、前記抽出溶媒の連続流の使用によって前記ゴム含有廃材を動的抽出に曝す工程を含み、抽出工程中の平均流量が、好ましくはゴム含有廃材1kg当たり少なくとも1.0kg/分、例えば、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも0.5kg/分、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも1.0kg/分、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも2.0kg/分、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも5.0kg/分である請求項1および2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記抽出工程は、前記ゴム含有廃材を複数の段階的静的抽出に曝す工程を含み、各静的抽出工程間に少なくとも1回の溶媒の段階的変更が行われ、溶媒の段階的変更中に反応器内の溶媒の少なくとも50容量%、例えば、少なくとも60容量%、少なくとも70容量%、少なくとも80容量%、少なくとも90容量%、約100容量%が段階的に変更される請求項1および2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記各静的抽出工程間の溶媒の段階的変更は、段階的変更期間中に前記反応器を通過する溶媒流を含み、反応器を通過する溶媒の流量が、段階的変更期間前の反応器内の溶媒の少なくとも50容量%、例えば、少なくとも75容量%、少なくとも100容量%、少なくとも200容量%、少なくとも300容量%、ほぼ400容量%を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記各静的抽出工程間の溶媒の段階的変更は、第1静的抽出期間と第2静的抽出期間との間の段階的変更期間中に前記反応器を通過する溶媒流を含み、第1静的抽出期間と第2静的抽出期間との少なくとも一方が、段階的変更期間と同じか、それより長い請求項4および5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記各静的抽出工程間の溶媒の段階的変更は、段階的変更期間中に前記反応器を通過する溶媒流を含み、段階的変更期間が3分未満、例えば、0.5〜2分である請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記抽出工程は、動的抽出中には抽出溶媒の連続流を供給するとともに静的抽出時には溶媒を実質的に流さないことによって組み合わされた動的抽出と静的抽出とに前記ゴム含有廃材を曝す工程を含み、平均流量は、好ましくは、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも0.1kg/分、例えば、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも0.5kg/分、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも1.0kg/分、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも2.0kg/分、ゴム含有廃材1kg当たり少なくとも5.0kg/分である請求項1および2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記抽出工程は、少なくとも1回、例えば、2、3、4、5、6回以上の静的抽出工程を含み、各静的抽出工程は、1分以上、例えば、5分以上、10分以上、15分以上、20分以上、25分以上、30分以上の静的抽出工程期間実施される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記抽出工程は少なくとも2回の静的抽出工程を含み、各静的抽出工程は、互いに等しいか、または異なる長さを有する静的抽出工程期間実施され、好ましくは、静的抽出工程期間は、一つの静的抽出工程期間から次の静的抽出工程へと長さが長さくなり、より好ましくは、数回の静的抽出工程期間後により長い静的抽出工程が続く請求項8および9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記抽出工程は、少なくとも1回、例えば、2、3、4、5、6回以上の動的抽出工程を含み、各動的抽出工程は、3分以上、例えば、5分以上、10分以上、15分以上、20分以上、25分以上、30分以上実施される請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記抽出工程は少なくとも2回の動的抽出工程を含み、各動的抽出工程は、互いに等しいか、または異なる長さを有する動的抽出工程期間実施され、好ましくは、動的抽出工程期間は、一つの動的抽出工程期間から次の動的抽出工程へと長さが短くなり、より好ましくは、数回の動的抽出工程後により短い動的抽出工程が続く請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記抽出工程は少なくとも2回の動的抽出工程を含み、各動的抽出工程中に前記反応器を通過する平均溶媒流量は互いに実質的に等しい請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記抽出工程は少なくとも2回の動的抽出工程を含み、各動的抽出工程中に前記反応器を通過する平均溶媒流量は互いに異なり、好ましくは、溶媒流量は一つの抽出工程から次の抽出工程へと減少する請求項8から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記抽出工程は、少なくとも1回、例えば、2、3、4回以上の動的工程を含む交互の動的抽出工程と静的抽出工程とを含み、動的工程期間は、少なくとも3分、例えば、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、少なくとも30分であり、介在する静的抽出工程は、0.5〜30分、例えば、3〜20分、5〜15分である静的抽出工程期間を有する請求項8から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記抽出工程は、少なくとも10分、例えば、少なくとも15分、20〜120分、30〜60分の総抽出期間実施される請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記抽出工程中、前記圧力は実質的に一定であり、好ましくは、少なくとも1.0MPa(10バール)、例えば、少なくとも2.0MPa(20バール)、3.0〜30MPa(30〜300バール)、4.0〜20MPa(40〜200バール)である請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記抽出工程中、前記圧力は変動し、好ましくは、少なくとも1.0MPa(10バール)、例えば、少なくとも2.0MPa(20バール)、3.0〜30MPa(30〜300バール)、4.0〜20MPa(40〜200バール)である請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記反応器の容量は、ゴム含有廃材1kg当たり1.5〜500リットル、例えば、ゴム含有廃材1kg当たり2〜100リットル、ゴム含有廃材1kg当たり2.5〜50リットル、ゴム含有廃材1kg当たり3〜25リットルである請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記反応器の容量は、非圧縮状態の前記ゴム含有廃材の容量の1.5〜100倍、例えば、2〜50倍、5〜25倍である請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記処理工程における温度は、少なくとも0℃、例えば、少なくとも5℃、少なくとも25℃である請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記抽出工程は、前記ゴム中の残留物の実質的な量を抽出するのに十分な時間、好ましくは、前記ゴム含有廃材のゴム部の少なくとも0.5重量%、例えば、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%を除去するのに十分な時間実施される請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記抽出工程は、前記ゴム中の残留物の実質的な量を抽出するのに十分な時間、好ましくは、前記ゴム含有廃材の少なくとも0.2重量%、例えば、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%を除去するのに十分な時間実施される請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記抽出溶媒は、好ましくは炭化水素および過フッ化炭化水素からなる群から選択される界面活性剤を含み、より好ましくは、式:
HBL=7+Σ(親水基の数)−Σ(親油基の数)
に従って決定されるHBL値が15未満である界面活性剤を含む請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記抽出溶媒は、好ましくは、ペルハロゲン化界面活性剤、例えば、CF(CF)aCHCHC(O)OX(ここで、aは1〜30)、ポリプロピレングリコール界面活性剤、例えば、HO(CHCH(CH)O)i(CHCHO)iH(ここで、iは1〜50)、ペルハロエーテル界面活性剤、例えば、CF(CFCFO)r(CH2CH2O)tH(ここで、rは1〜30、tは1〜40)、およびポリジメチルシロキサン界面活性剤からなる群から選択される界面活性剤を含む請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記抽出溶媒は、好ましくは、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート)−b−(ポリ)スチレン、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−b−スチレン)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−b−メチルメタクリレート)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−b−ビニルアセテート)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−b−ビニルアルコール)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルメタクリレート−b−スチレン)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−コ−スチレン)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−コ−ビニルピロリドン)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−コ−2−エチルヘキシルアクリレート)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−コ−2−ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−コ−ジメチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(スチレン−g−ジメチルシロキサン)、ポリ(メチルアクリレート−g−1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルメタクリレート)、ポリ(1,1′−ジヒドロペルフルオロオクチルアクリレート−g−スチレン)、ペルフルオロオクタン酸、およびペルフルオロ(2−プロポキシプロパン)酸からなる群から選択される界面活性剤を含む請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記抽出溶媒は、少なくとも0.001重量%、例えば、0.001〜30重量%、0.01〜20重量%、0.1〜5重量%の一種以上の界面活性剤を含む請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記抽出溶媒は、好ましくは、メタン、エタン、プロパン、アンモニウムブタン、n−ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、エチレン、プロピレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロトリフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ペルフルオロプロパン、クロロジフルオロメタン、六フッ化硫黄、亜酸化窒素、N−メチルピロリドン、アセトン、オルガノシリコーン、テルペン、パラフィン、およびそれらの混合物からなる群から選択される共溶媒を含む請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記抽出溶媒は、最大約50重量%、例えば1〜40重量%、5〜40重量%、10〜30重量%の共溶媒を含む請求項8に記載の方法。
【請求項30】
前記廃材は、好ましくは、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも75重量%、少なくとも95重量%の量の加硫ゴムを含む請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記廃材は、前記抽出工程前に造粒工程に曝され、造粒は、好ましくは切断および/または絞りにより実施される請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記ゴム含有廃材は、前記抽出工程前に最終粒度を有する請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ゴム含有廃材の少なくとも90重量%、好ましくは、ゴム含有廃材の少なくとも95重量%は、前記抽出工程前にふるい分けによる測定で100〜500μmの粒度を有し、抽出工程中、粒度は好ましくは実質的に不変である請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記ゴム含有廃材の少なくとも90重量%、好ましくは、ゴム含有廃材の少なくとも95重量%は、前記抽出工程前にふるい分けによる測定で5000μm未満、例えば、1〜200μm、200〜400μm、400〜700μm、700〜1000μm、1000〜1600μm、1600〜2500μm、2500〜4000μm、4000〜470000μmの粒度を有し、抽出工程中、粒度は好ましくは実質的に不変である請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記抽出工程後の圧力は、前記ゴム含有廃材の損傷を回避するために、十分にゆっくりと大気圧に調整される請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記抽出工程後の圧力は、1.0MPa(10バール)/分未満、例えば、0.5MPa(5バール)/分未満、0.2MPa(2バール)/分未満、0.05MPa(0.5バール)/分未満、0.01MPa(0.1バール)/分未満の速度で大気圧に調整される請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記圧力は前記ゴム含有廃材の凝集力を損なわないように調整され、ゴム含有廃材の減圧は、好ましくは1.0MPa(10バール)/分未満、例えば、0.5MPa(5バール)/分未満、0.2MPa(2バール)/分未満、0.05MPa(0.5バール)/分未満、0.01MPa(0.1バール)/分未満の速度で実施される請求項1から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記廃材を含浸工程に曝す工程をさらに含み、前記廃棄物は、好ましくは、シリコン含有モノマー、例えば、TEOS(テトラエチルオルトシリケートもしくはテトラエトキシシラン)またはクロロ−もしくはアルコキシ官能シランなどのシラン、エチレン、プロピレン、スチレン、ビニルピロリドンなどのオレフィン、含酸素および含窒素モノマー、例えば、アクリル酸誘導体、例えば、アクリル酸エステルおよびアクリル酸、メタクリル酸およびメタクリル酸エステル、ウレタン、単官能および2官能アルコール、カルボン酸、アミン、ジアミン、イソシアネート、エポキシド、芳香族化合物、例えば、アルキル基などの置換基を有する芳香族化合物およびスルホン化芳香族、芳香族樹脂、イミダゾールおよびイミダゾール誘導体、ピラゾール、第四級アンモニウム化合物、ポリウレタンプレポリマーおよびエポキシ樹脂からなる群から選択される一種以上のモノマーを含む含浸組成物で処理される請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記含浸組成物は、一種以上のスチレン化合物、ビニル化合物、エポキシ化合物、例えば、ビスフェノールA誘導体、エポキシド、ジアミン、ジアミド、ピロリドン、二塩基酸または多塩基酸およびイミダゾールを含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記含浸工程は、前記抽出工程と同時、抽出工程後、または抽出工程とオーバーラップして実施される請求項38および39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
ゴム材料中またはゴム材料上に含浸された含浸成分を重合して、相互侵入網目ゴム材料を形成する追加工程を含む請求項38から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記含浸工程中および含浸工程後の圧力は、前記ゴム含有廃材の凝集力を損なわないように調整され、ゴム含有廃材の減圧は、好ましくは、1.0MPa(10バール)/分未満、例えば、0.5MPa(5バール)/分未満、0.2MPa(2バール)/分未満、0.05MPa(0.5バール)/分未満、0.01MPa(0.1バール)/分未満の速度で実施される請求項38から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記抽出工程中および抽出工程後の圧力は、前記ゴム含有廃材の凝集力を損なわないように調整され、ゴム含有廃材の減圧は、好ましくは、1.0MPa(10バール)/分未満、例えば、0.5MPa(5バール)/分未満、0.2MPa(2バール)/分未満、0.05MPa(0.5バール)/分未満、0.01MPa(0.1バール)/分未満の速度で実施される請求項38から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
請求項1から43のいずれか一項に規定されている方法により得られるゴム材料。
【請求項45】
アルキル化芳香族油と無機および有機塩の形態の重金属とを0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、0.01重量%未満含み、より好ましくはそれらを実質的に含まない請求項44に記載のゴム材料。
【請求項46】
有機溶媒を実質的に含まない請求項44および45のいずれか一項に記載のゴム材料。
【請求項47】
アルキル化芳香族油と無機および有機塩の形態の重金属とを0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、0.01重量%未満含み、より好ましくはそれらを実質的に含まないゴム材料。
【請求項48】
請求項44から47のいずれか一項に記載のゴム材料のアスファルト改質材としての使用方法。
【請求項49】
請求項44から47のいずれか一項に記載のゴム材料のポリマー改質材としての使用方法。
【請求項50】
請求項44から47のいずれか一項に記載のゴム材料のタイヤ生産における使用方法。
【請求項51】
請求項44から47のいずれか一項に記載のゴム材料の塗料、例えば重防食塗料および船舶用塗料における使用方法。

【公表番号】特表2007−504306(P2007−504306A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525049(P2006−525049)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000586
【国際公開番号】WO2005/021625
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(504424959)ナノン アクティーゼルスカブ (4)
【氏名又は名称原語表記】NANON A/S
【Fターム(参考)】