説明

ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ

【課題】良好な排水性を保持しつつ、得られるタイヤの耐破壊力を向上させることが可能なゴム組成物及びこれを用いたタイヤを提供すること。
【解決手段】本発明のゴム組成物は、ゴム成分と親水性樹脂からなる繊維とを含有し、かつ前記繊維の表面にゴム成分に対して親和性を有する樹脂からなる被覆層が形成されてなることを特徴とし、前記親水性樹脂は、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含むのが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な排水性を保持しつつ、優れた耐破壊力を発揮し得るゴム組成物及びこれを用いたタイヤに関し、特には、氷上性能に優れたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の安全性を向上させる観点から、乾燥路面のみならず、湿潤路面、氷雪路面等の様々な路面上でのタイヤの制動性や駆動性を向上させるために、種々の検討がなされている。
【0003】
例えば、タイヤの氷雪路面上での性能を向上させるべく、特許文献1〜2では、樹脂を含む繊維を配合したゴム組成物をトレッドに用い、加硫後にこの樹脂により被覆された長尺状の気泡を形成させ、トレッドが摩耗するにしたがってこの長尺状の気泡が排水溝として機能することで、排水性の向上を図るタイヤが開示されている。また、こうした樹脂に親水性のものを採用し、水との親和性を活用してさらに良好な排水性を発揮させることも行われつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−60770号公報
【特許文献2】特開2001−233993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、親水性の樹脂であると、疎水性であるゴム中に均一に分散させるのが困難であるため、表面に親水性基が露出して排水性が向上しても、得られるタイヤの耐破壊力が低下し、耐摩耗性が低下するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、良好な排水性を保持しつつ、得られるタイヤの耐破壊力を向上させることが可能なゴム組成物及びこれを用いたタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく、特定の被覆層が形成された親水性樹脂からなる繊維を含有するゴム組成物を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のゴム組成物は、ゴム成分と親水性樹脂からなる繊維とを含有し、かつ前記繊維の表面にゴム成分に対して親和性を有する樹脂からなる被覆層が形成されてなることを特徴とする。
【0008】
前記親水性樹脂は、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含むのが望ましく、また−OH、−COOH、−OCOR(Rはアルキル基)、−NH2、−NCO、−SHからなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を含むのが望ましい。
さらに、前記親水性樹脂は、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール単独重合体又はポリ(メタ)アクリル酸であってもよい。
【0009】
前記親水性樹脂からなる繊維の配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して、0.1〜100質量部であるのが望ましい。
前記ゴム成分に対して親和性を有する樹脂中において、極性成分が全成分に対して50質量%以下であるのが望ましく、かかる樹脂は、ポリオレフィン系樹脂であるのが望ましい。またポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリオレフィンアイオノマー又は無水マレイン酸変性α−ポリオレフィンであってもよい。
本発明のタイヤは、上記ゴム組成物を用いたことを特徴とし、これをトレッド部材に用いてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のゴム組成物によれば、親水性樹脂からなる繊維の作用と、かかる繊維の表面に形成されたゴム成分に対して親和性を有する樹脂からなる被覆層の作用とにより、ゴムと繊維(複合体)との接着性を強化しつつ、ゴム成分中の繊維の分散性を向上させることが可能となり、良好な排水性を保持しながら、得られるタイヤに優れた耐破壊力を付与することができる。したがって、かかるタイヤは、湿潤路面や氷雪路面上での制動性が向上されてなり、特に氷上性能に優れたタイヤとして極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】二軸押出機に取り付けられるダイの縦断面図である。
【図2】ゴム成分に対して親和性を有する樹脂からなる被覆層が形成された親水性樹脂からなる繊維の縦断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について、必要に応じて図面を参照しつつ具体的に説明する。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分と親水性樹脂からなる繊維とを含有し、かつ前記繊維の表面にゴム成分に対して親和性を有する樹脂からなる被覆層が形成されてなることを特徴としている。
【0013】
本発明のゴム組成物に用いるゴム成分としては、特に制限はなく、天然ゴム(NR)の他、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)等の合成ゴムを使用することができ、なかでも天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)が好ましい。これらゴム成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0014】
本発明のゴム組成物は、上記ゴム成分のほか、表面に被覆層が形成された親水性樹脂からなる繊維(複合体)を含有する。繊維に親水性樹脂を採用することにより、水との親和性を充分に確保することができ、得られるタイヤに優れた排水性を付与するのに大きく寄与することとなる。すなわち、ゴム表面に親水性繊維が露出した際、ゴム表面の少なくとも一部が親水性となるため、排水性の向上を図ることができる。こうした親和性はゴム成分中における繊維の良好な分散性を阻害しかねないものの、後述するように繊維の表面に被覆層を形成することで、ゴム成分中における繊維の分散性を極めて有効に向上させることができ、得られるタイヤに良好な排水性を保持させつつ優れた耐破壊力を付与することが可能となる。
【0015】
親水性樹脂としては、水との間に親和性を発揮し得る樹脂、すなわち分子内に親水性基を有する樹脂であれば特に限定されないが、具体的には、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む樹脂であるのが好ましく、例えば、−OH、−COOH、−OCOR(Rはアルキル基)、−NH2、−NCO、−SHなる置換基を少なくとも1種含む樹脂が挙げられる。これらの置換基のなかでも、−OH、−COOH、−OCOR、−NH2、−NCOが好ましい。
【0016】
上記親水性樹脂としては、より具体的には、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール単独重合体、ポリ(メタ)アクリル酸或いはそのエステル、ポリエチレングリコール、カルボキシビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、メルカプトエタノール等が挙げられる。なかでも、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール単独重合体、ポリ(メタ)アクリル酸が好ましく、エチレン−ビニルアルコール共重合体がより好ましい。
【0017】
上記親水性樹脂からなる繊維の表面は、ゴム成分に対して親和性を有する樹脂からなる被覆層が形成されてなる。かかる被覆層を形成することで、親水性樹脂自体が有する水との親和性を有効に保持しつつ、繊維近傍のゴム成分との良好な親和性を発揮することができる。すなわち、ゴム成分中における繊維の良好な分散を確保することとなり、親水性樹脂に起因する排水性効果を充分に発揮させることができる。また、加硫時には、ゴム成分に対して親和性を有する樹脂を加硫温度よりも低いTmを有する樹脂にした場合、加硫時に溶融して流動性を帯びた被覆層となってゴムと繊維との接着を図ることに寄与し、良好な排水性とより優れた耐破壊力が付与されたタイヤを容易に実現することができる。また、上記被覆層は、繊維の全表面にわたって形成されていてもよく、繊維の一部の表面に形成されていてもよく、具体的には、少なくとも繊維全表面積の50%を占める割合で被覆層が形成されていればよい。
【0018】
ゴム成分に対して親和性を有する樹脂としては、例えば、溶解パラメーター(SP値)がゴム成分に近い樹脂であればよい。
【0019】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、分岐状、直鎖状等のいずれであってもよい。また、エチレン−メタクリル酸共重合体の分子間を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂であってもよい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリスチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、並びにこれらのアイオノマー樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリオレフィンアイオノマー、無水マレイン酸変性α−ポリオレフィンが好適である。ポリオレフィンアイオノマーや無水マレイン酸変性α−ポリオレフィンを用いた場合、水酸基とも接着するため、ゴム強度をより向上させることが可能となる。
【0020】
ゴム成分に対して親和性を有する樹脂からなる被覆層が形成された親水性樹脂からなる繊維を製造するには、図1(a)(b)に示すようなダイ1を具えた二軸押出機を2台用いる。ダイ出口2からは親水性樹脂が、ダイ出口3からはゴム成分に対して親和性を有する樹脂が各々同時に押し出され、これから未延伸糸を形成し、かかる未延伸糸を熱延伸しながら繊維状にする。ホッパーへの投入量は、得られる繊維の長さや径によっても変動し得るが、親水性樹脂100質量部に対し、ゴム成分に対して親和性を有する樹脂を0.1〜80質量部、好ましくは0.1〜20質量部の量であるのが望ましい。これらの樹脂を上記範囲内の量で投入することにより、延伸工程を経た後に得られる親水性樹脂からなる繊維の表面に、所望の効果を発揮し得る被覆層が有効に形成されてなる。
【0021】
得られる繊維の平均長さは通常0.1〜500mm、好ましくは0.1〜7mm、平均径は通常0.001〜2mm、好ましくは0.005〜0.5mm、であるのが望ましい。平均長さ及び平均径が上記範囲内であると、繊維同士が必要以上に絡まるおそれがなく、良好な分散性を阻害するおそれもない。また、アスペクト比は通常10〜4000
、好ましくは50〜2000であるのが望ましい。なお、アルペクト比とは、繊維の長軸の短軸に対する比を意味する。

【0022】
また、被覆層が形成された親水性樹脂からなる繊維の配合量は、ゴム成分100質量部に対し、通常0.1〜100質量部、好ましくは0.1〜50質量部の量であるのが望ましい。被覆層が形成された親水性樹脂からなる繊維の配合量が上記範囲内であると、良好な排水性を保持しつつ、充分な耐破壊性を付与することが可能となる。
【0023】
上記被覆層が形成された親水性樹脂からなる繊維10の一例を図2(a)〜(b)の縦断面斜視図に示す。図2(a)に示すように、繊維10のほぼ中心に位置する親水性樹脂Aの周囲をゴム成分に対して親和性を有する樹脂Bが取り巻く態様で被覆していてもよく、図2(b)に示すように、樹脂B内に親水性樹脂Aが随所に散在する態様で、樹脂Aの表面を樹脂Bが被覆していてもよい。
【0024】
本発明のゴム組成物は、上記ゴム成分に、親水性樹脂からなる繊維とともに、必要に応じて上記発泡剤及び発泡助剤のほか、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、カーボンブラック等の充填剤、軟化剤、ステアリン酸、老化防止剤、亜鉛華、加硫促進剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合してもよい。
【0025】
本発明のタイヤは、上記ゴム組成物を用いることを特徴とする。上記タイヤは、適用するタイヤの種類や部材に応じ、未加硫のゴム組成物を用いて成形後に加硫して得てもよく、または予備加硫工程等を経て、一旦未加硫のゴム組成物から半加硫ゴムを得た後、これを用いて成形後、さらに本加硫して得てもよい。タイヤの各種部材のなかでも、良好な排水性と優れた耐破壊力を充分に発揮できる観点から、トレッド部材に適用するのが好ましい。なお、タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【実施例】
【0026】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例における評価は、以下の内容に従って行った。
【0027】
《ゴム−繊維間の接着力》
繊維100本を束ねて30回/10cmとなるように撚り合せた後、ゴム中に埋め込み、これを加硫して得られた試料から繊維を引き抜くのに要した引張力(kgf/インチ)を@RT(室温)で測定し、これをゴム−繊維間の接着力とみなし、実施例1を100として評価した。なお、発泡剤を配合した場合には、予め発泡剤を抜いて試験を行った。
【0028】
《分散性》
マイクロスコープ(VHX−500、(株)キーエンス製)を用い、倍率100倍のときの画面に存在する繊維の数を測定し、これを同一ゴム中で10箇所の異なる場所で測定した。次いで、繊維の数の平均値と、それぞれの場所に存在する繊維の数の標準偏差との値から分散性を評価した。
【0029】
《引張強度(Tb)》
JIS K 6251に準拠して、引張強度(MPa)を求めた。
【0030】
《破断伸び(Eb)》
JIS K 6251に準拠して、破断伸び(%)を求めた。
【0031】
《氷上性能(指数値)》
後述する試験用のタイヤ(タイヤサイズ195/65R15)を用いた実車にて舗装路面を1万km走行後、残溝を測定し、トレッドが1mm摩耗するのに要する走行距離を相対比較し、表2及び表3に示される値については、比較例1のタイヤ、を100として指数表示した。指数が大きい程、耐摩耗性が良好なことを示す。評価結果を表1に示す。
【0032】
《耐摩耗性(指数値)》
後述する試験用のタイヤ(タイヤサイズ195/65R15)を国産1600CCクラスの乗用車に4本を装着し、氷温−1℃の氷上制動性能を確認した。比較例1のタイヤをコントロールして、氷上性能=(コントロールタイヤの制動距離/その他の例の制動距離)×100とした。数値の大きい方が氷上性能が優れていることを示す。評価結果を表1に示す。
【0033】
[製造例1:被覆層が形成された繊維Aの製造]
上述した二軸押出機を2台用い、ホッパーにエチレン−ビニルアルコール共重合体((株)クラレ製、エバールF104B)100質量部とポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、ノバテックFY4)10質量部とを投入し、ダイ出口2からエチレン−ビニルアルコール共重合体を、ダイ出口3からポリプロピレンを各々同時に押し出して、常法に従って得られた繊維を長さ5mmにカットして、ポリプロピレンからなる被覆層が形成された繊維Aを作製した。
【0034】
[製造例2:被覆層が形成された繊維Bの製造]
ポリプロピレンの代わりにポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、ノバテックU360)を用いた以外、製造例1に従って繊維Bを作製した。
【0035】
[製造例3:被覆層が形成された繊維Cの製造]
エチレン−ビニルアルコール共重合体の代わりにポリアクリル樹脂(三菱レーヨン製、アクリペットMD001)を用いた以外、製造例1に従って繊維Cを作製した。
【0036】
[製造例4:被覆層が形成された繊維Dの製造]
エチレン−ビニルアルコール共重合体の代わりに上記ポリアクリル酸を用い、かつポリプロピレンの代わりに上記ポリエチレンを用いた以外、製造例1に従って繊維Dを作製した。
【0037】
[製造例5:繊維Wの製造]
上記ホッパーに上記ポリプロプレンのみ投入し、ダイ出口2及びダイ出口3の双方からポリプロピレンを押し出して、製造例1と同様にして繊維Wを作製した。
【0038】
[製造例6:繊維Xの製造]
上記ホッパーに上記ポリエチレンのみ投入し、ダイ出口2及びダイ出口3の双方からポリエチレンを押し出して、製造例1と同様にして繊維Xを作製した。
【0039】
[製造例7:繊維Yの製造]
上記ホッパーに上記エチレン−ビニルアルコール共重合体のみ投入し、ダイ出口2及びダイ出口3の双方からエチレン−ビニルアルコール共重合体を押し出して、製造例1と同様にして繊維Yを作製した。
【0040】
[製造例8:繊維Zの製造]
上記ホッパーに上記ポリアクリル酸のみ投入し、ダイ出口2及びダイ出口3の双方からポリアクリル酸を押し出して、製造例1と同様にして繊維Zを作製した。
【0041】
[比較例1〜4]
上記被覆層が形成されていない繊維W〜Zを用い、表1の配合に従って各成分を配合して調整し、ゴム組成物を得た。
得られた各ゴム組成物をトレッドに用い常法によって試験用の乗用車用ラジアルタイヤ、タイヤサイズ195/65R15を製造した。
【0042】
[実施例1〜4]
上記被覆層が形成されてなる繊維A〜Dを用い、表1の配合に従って各成分を配合して調整し、ゴム組成物を得た。
得られた各ゴム組成物をトレッドに用い常法によって試験用の乗用車用ラジアルタイヤ、タイヤサイズ195/65R15を製造した。
【0043】
【表1】

【0044】
※1:ジ−2−ベンゾチアジル-ジスルフィド、大内新興化学工業社製「ノクセラーDM」
【0045】
被覆層が形成されてなる繊維を配合した実施例1〜4は、被覆層が形成されていない繊維を配合した比較例1〜4に比して、ゴム成分中における繊維の分散性が良好であるとともにゴムと繊維との接着力にも優れ、引張強度及び破断伸び共に優れた効果を発揮することがわかる。
比較例1及び2に対して比較例3及び4は、氷上性能が向上するが、ゴム成分中における繊維の分散性が悪化し、ゴム物性も劣り、結果として耐摩耗性も悪化する。
実施例1〜4は、繊維をコーティングすることでゴム物性と氷上性能を両立することができる。
【符号の説明】
【0046】
1:二軸押出機のダイ
2:親水性樹脂用ダイ出口
3:ゴム成分に対して親和性を有する樹脂用ダイ出口
10:ゴム成分に対して親和性を有する樹脂からなる被覆層が形成された親水性樹脂からなる繊維
A:親水性樹脂
B:ゴム成分に対して親和性を有する樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分と親水性樹脂からなる繊維とを含有し、かつ前記繊維の表面にゴム成分に対して親和性を有する樹脂からなる被覆層が形成されてなることを特徴とするゴム組成物。
【請求項2】
前記親水性樹脂が、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記親水性樹脂が、−OH、−COOH、−OCOR(Rはアルキル基)、−NH2、−NCO、−SHからなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記親水性樹脂が、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール単独重合体又はポリ(メタ)アクリル酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記親水性樹脂からなる繊維の配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して、0.1〜100質量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項6】
前記ゴム成分に対して親和性を有する樹脂中において、極性成分が全成分に対して50質量%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項7】
前記ゴム成分に対して親和性を有する樹脂が、ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項8】
前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリオレフィンアイオノマー又は無水マレイン酸変性α−ポリオレフィンであることを特徴とする請求項7に記載のゴム組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物を用いたことを特徴とするタイヤ。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物をトレッド部材に用いることを特徴とするタイヤ。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−219246(P2012−219246A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89515(P2011−89515)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】