説明

サイディング入隅用役物

【課題】構造が簡単で安価に製造することができるとともに、サイディングを建物の入隅にデザイン性よく、作業性よく取り付けることが可能な入隅用役物を提供する。
【解決手段】入隅にサイディングSを取り付けるための役物であって、該役物は平面視略直角状に形成されて入隅に固定される入隅固定部1と、この入隅固定部1と共同してサイディングSを保持するジョイナ本体2とからなり、該ジョイナ本体2は、上記入隅固定部1の内隅角部13に固着される固着部23と、この固着部23から左右に拡開するように延伸するジョイナ部21、22とからなり、左右各ジョイナ部21、22の端部は折曲されて上記入隅固定部1と共にサイディングSを挟持するサイディング挟持部211、221とされたサイディング入隅用役物A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイディング用役物に関する。さらに詳しくは、建築用サイディングを入隅に取り付ける際に用いる入隅用役物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築用サイディングの取り付けに用いる出隅や入隅用の役物については、種々の技術が知られており、例えば下記特許文献1には、出・入隅兼用の部材が開示されている。
【0003】
すなわち、下記特許文献1の第1図、第2図に示されるように、略直角状に折曲形成した外側折曲板と、この外側折曲板と略同形でかつ寸法の小さい内側折曲板とからなり、上記外側折曲板の内隅角部と上記内側折曲板の外隅角部にそれぞれ相対して上記外側折曲板には、先端部に係止鉤部を有する係止部材を所要長さ突設し、また上記内側折曲板には上記係止鉤部に係合可能のギザ状の係止歯部を内面に形成した所要長さからなる係止部材を突設してなる出・入隅兼用の部材が開示されている。
【特許文献1】実公平6−13309号公報(第1〜3頁、第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の部材は、構造が複雑であり、しかも、サイディングの高さに相当する外側折曲板と内側折曲板とを一斉に、かつ、均一に押入して、外隅角部と内隅角部とを嵌着し、係止鉤部を係止部材に係止させる必要があるため、施工時の作業性が悪いという問題がある。また、単に係止鉤部と係止部材の係止力により、サイディングを挟持するため、しっかりとサイディングを出隅や入隅に取り付けることができないという問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題を解決して、構造が簡単で安価に製造することができるとともに、サイディングを建物の入隅にデザイン性よく、作業性よく取り付けることが可能な入隅用役物を提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明においては、つぎのような技術的手段を講じている。すなわち、請求項1に記載の発明によれば、入隅にサイディングを取り付けるための役物であって、該役物は平面視略直角状に形成されて入隅に固定される入隅固定部と、この入隅固定部と共同してサイディングを保持するジョイナ本体とからなり、該ジョイナ本体は、上記入隅固定部の内隅角部に固着される固着部と、この固着部から左右に拡開するように延伸するジョイナ部とからなり、左右各ジョイナ部の端部は折曲されて上記入隅固定部と共にサイディングを挟持するサイディング挟持部とされたサイディング入隅用役物が提供される。このとき、左右各ジョイナ部の端部を折曲して設けた左右サイディング挟持部の幅を略同一とすることが好ましい。
【0007】
上記入隅固定部とジョイナ本体とは、合成樹脂の押出成型品、アルミ、ステンレスなどの金属板等から形成される。好ましくは、弾性を有する合成樹脂、例えば、硬質塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂等の押出成形品が用いられる。また、サイディングとしては建築用外装材に用いられる窯業系サイディング、金属サイディング等があげられるが、とくに金属サイディングに好ましく適用される。
【0008】
請求項2に記載のサイディング入隅用役物は、請求項1に記載の発明に加えて、上記ジョイナ本体が釘固定により入隅固定部の内隅角部に固着されることが好ましい。固着する方法はとくに限定されるものではなく、釘固定、ビス固定、接着剤による固着等あげられるが、釘固定による方法が好ましい。
【0009】
請求項3に記載のサイディング入隅用役物は、請求項1に記載の発明に加えて、上記各サイディング挟持部のサイディング当接面の端部には水密材が縦方向に延設される。水密材としては、シリコン樹脂等、撥水性樹脂の発泡体を粘着剤等により縦方向に貼り付けて用いることが好ましい。
【0010】
請求項4に記載のサイディング入隅用役物は、請求項1に記載の発明に加えて、上記左右に拡開して延伸するジョイナ部が形成する空間が蓋材によって着脱自在に覆われることが好ましい。この蓋材もジョイナ本体と同じく、合成樹脂の押出成型品、アルミ、ステンレスなどの金属板等から形成される。好ましくは、弾性を有する合成樹脂、例えば、硬質塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂等の押出成形品が用いられる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明にかかるサイディング入隅用役物は上記のとおりであり、入隅に固定された入隅固定部とジョイナ本体とからなり、このジョイナ本体の固着部を入隅固定部の内隅角部に固着することにより、ジョイナ本体の固着部から左右に拡開して延伸するジョイナ部の折曲された端部が左右サイディング挟持部として、上記入隅固定部と共同してサイディングをしっかりと挟持する。また、上記左右サイディング挟持部の幅を略同一とすることにより、左右対称となった見栄えのよい見切り縁を形成することができる。
【0012】
請求項2に記載のサイディング入隅用役物は上記のとおりであり、請求項1のサイディング入隅用役物の有する効果に加え、上記ジョイナ本体が釘固定により入隅固定部の内隅角部に固着されるため、ジョイナ本体の固着部を入隅固定部の内隅角部に重ねて釘を打ち込むことにより、作業性よく施工することができる。
【0013】
請求項3に記載のサイディング入隅用役物は上記のとおりであり、請求項1のサイディング入隅用役物の有する効果に加え、上記ジョイナ本体の各サイディング挟持部のサイディング当接面の端部には水密材が縦方向に延設されているため、雨水等が浸入することを防ぎ、止水することができる。
【0014】
請求項4に記載のサイディング入隅用役物は上記のとおりであり、請求項1のサイディング入隅用役物の有する効果に加え、上記左右に拡開して延伸するジョイナ部が形成する空間が蓋材によって着脱自在に覆われるため、ジョイナ本体を固着するために用いた釘等を目隠しできるとともに、メンテナンスの際には、弾性嵌合を解除して容易に点検、部品交換等することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明にかかるサイディング入隅用役物Aの構成を示す斜視図である。図1に示すように、上記サイディング入隅用役物Aは、入隅に固定される入隅固定部1とジョイナ本体2とからなり、上記入隅固定部1は第1固定板11と第2固定板12とで平面視略直角状に形成され、入隅固定部1の内隅角部13にはジョイナ本体2の固着部23が固着される。
【0016】
また、上記ジョイナ本体2は、上記固着部23から左右に拡開するように延伸する第1ジョイナ部21と第2ジョイナ部22とからなり、第1ジョイナ部21の端部は折曲されて上記第1固定板11と共にサイディングを挟持する第1サイディング挟持部211を、第2ジョイナ部22の端部は折曲されて上記第2固定板12と共にサイディングを挟持する第2サイディング挟持部221を形成する。
【0017】
さらに、本実施形態においては、左右に拡開して延伸する第1ジョイナ部21と第2ジョイナ部22が形成するくさび形の空間が平面視略コ字型の蓋材3によって着脱自在に覆われる。上記蓋材3は第1脚部31、第2脚部32を有し、第1脚部31には係合突起31bが、また、第2脚部32には係合突起32bが突設され、これらの係合突起31b、32bは、上記第1ジョイナ部21に設けられた係合凹部21aおよび第2ジョイナ部22に設けられた係合凹部22aに着脱自在に弾性的に嵌合する。このとき、第1サイディング挟持部211の幅d1と、第2サイディング挟持部221の幅d2とは略同一とされている。
【0018】
さらに、第1サイディング挟持部211の端部のサイディング当接面には第1水密材41が、第2サイディング挟持部221の端部のサイディング当接面には第2水密材42がそれぞれ縦方向に粘着剤によって貼り付けられている。
【0019】
以下、本発明のサイディング入隅用役物Aの構成について、施工手順とともに、詳しく説明する。図2は、駆体Kに設けられた入隅に本発明にかかるサイディング入隅用役物Aの入隅固定部1を入隅固定部用釘61で固定した状態を示す平面図である。図2に示すように、入隅固定部1は第1固定板11と第2固定板12とを2本の入隅固定部用釘61で胴縁5に固定することにより、しっかりと入隅に釘固定される。図3は、上記のようにして固定された入隅固定部1にサイディングSを組み付けた状態を示す一部断面平面図である。図3に示すように寸法合わせをして、入隅固定部1に組み付けた2枚のサイディングSは、ついでジョイナ本体2によって挟持される。
【0020】
すなわち、図4に示すように、入隅固定部1の内隅角部13の上にジョイナ本体2の固着部23を重ね、ジョイナ本体固着用釘62で釘固定する。釘固定により、ジョイナ本体2の第1サイディング挟持部211と入隅固定部1の第1固定板11とは共同してサイディングSをしっかりと挟持するとともに、第1水密材41はサイディングSと当接し、雨水等が浸入することを防ぎ、止水する。
【0021】
同様に、ジョイナ本体2の第2サイディング挟持部221と入隅固定部1の第2固定板12とは共同してサイディングSをしっかりと挟持するとともに、第2水密材42はサイディングSと当接し、雨水等が浸入することを防ぎ、止水する。このとき、図1に示したように、第1サイディング挟持部211の幅d1と、第2サイディング挟持部221の幅d2とは略等しくされているため、外部に現れる見切り縁は左右対称となり、2枚のサイディングを略直角にすっきりと納めることができる。
【0022】
図5は、ジョイナ本体2の左右に拡開して延伸する第1ジョイナ部21と第2ジョイナ部22が形成するくさび形の空間を平面視略コ字型の蓋材3によって着脱自在に覆った状態を示す一部断面平面図である。図5に示すように、弾性材料からなる蓋材3は、その第1脚部31と第2脚部32とを上記くさび形の空間に嵌入し、空間を覆う。
【0023】
このようにすることによって、ジョイナ本体固着用釘62の釘頭は目隠しされるとともに、上記蓋材3は、第1サイディング挟持部211と第2サイディング挟持部221から形成される見切り縁の中央にすっきりと納められる。その結果、本発明のサイディング入隅用役物Aを用いることにより、建物の入隅にサイディングを略直角に作業性よく、また、見栄えよく施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明にかかるサイディング入隅用役物の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明にかかるサイディング入隅用役物の入隅固定部を入隅に固定した状態を示す平面図である。
【図3】図2に示す入隅固定部に2枚のサイディングを組み付けた状態を示す一部断面平面図である。
【図4】本発明にかかるサイディング入隅用役物の入隅固定部とジョイナ本体でサイディングを挟持した状態を示す一部断面平面図である。
【図5】本発明にかかるサイディング入隅用役物を用いてサイディングを入隅に取り付け、蓋材でジョイナ本体を覆った状態を示す一部断面平面図である。
【符号の説明】
【0025】
A 本発明にかかるサイディング入隅用役物
S サイディング
K 駆体
1 入隅固定部
11 第1固定板
12 第2固定板
13 内隅角部
2 ジョイナ本体
21 第1ジョイナ部
211 第1サイディング挟持部
22 第2ジョイナ部
221 第2サイディング挟持部
21a 係合凹部
22a 係合凹部
23 固着部
3 蓋材
31 第1脚部
32 第2脚部
31b 係合突起
32b 係合突起
41 第1水密材
42 第2水密材
5 胴縁
61 入隅固定部用釘
62 ジョイナ本体固着用釘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入隅にサイディングを取り付けるための役物であって、該役物は平面視略直角状に形成されて入隅に固定される入隅固定部と、この入隅固定部と共同してサイディングを保持するジョイナ本体とからなり、該ジョイナ本体は、上記入隅固定部の内隅角部に固着される固着部と、この固着部から左右に拡開するように延伸するジョイナ部とからなり、左右各ジョイナ部の端部は折曲されて上記入隅固定部と共にサイディングを挟持するサイディング挟持部とされたサイディング入隅用役物。
【請求項2】
上記ジョイナ本体が釘固定により入隅固定部の内隅角部に固着される請求項1に記載のサイディング入隅用役物。
【請求項3】
上記各サイディング挟持部のサイディング当接面の端部には水密材が縦方向に延設される請求項1に記載のサイディング入隅用役物。
【請求項4】
上記左右に拡開して延伸するジョイナ部が形成する空間が蓋材によって着脱自在に覆われる請求項1に記載のサイディング入隅用役物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−106424(P2008−106424A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287161(P2006−287161)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】