説明

サイトカインに対する細胞の応答性を調節することができる治療薬および診断薬

【課題】SOCSタンパク質(サイトカインシグナル形成のサプレッサー(SOCS)ファミリー)、その誘導体、それらのホモログ、アナログおよび模倣物並びにSOCSタンパク質のアゴニストおよびアンタゴニストに基づく治療薬および診断薬の提供。
【解決手段】一般的には治療薬および診断薬であり、より具体的には、サイトカインにより媒介されるシグナル伝達、などのシグナル伝達を調節することができる治療効果を有する分子。従って、該分子はサイトカイン、並びに内因性または外因性分子、抗原、微生物および微生物産物、ウイルスまたはその成分、イオン、ホルモンおよび寄生体などのシグナル伝達の他のメディエーターに対する細胞の応答性を調節するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は一般的には治療薬および診断薬に関する。より具体的には、本発明はサイトカインに媒介されるシグナル伝達、これに限定されないが、などのシグナル伝達を調節することができる治療効果を有する分子を提供する。本発明の分子は、従って、サイトカイン並びに、内因性または外因性分子、抗原、微生物および微生物産物、ウイルスまたはその成分、イオン、ホルモンおよび寄生体などのシグナル伝達の他のメディエーター、に対する細胞の応答性を調節する場合に有用である。
【0002】
本発明者らにより本出願書類で参照された文献の詳細は本明細書の末尾に集めてある。本出願書類で参照されたヌクレオチド配列およびアミノ酸配列に対する配列番号(SEQ ID NOs.)は文献の後に定義してある。配列番号の要約は表1に示す。
【0003】
本明細書および請求の範囲を通じて、論旨から別の意味に解すべき場合を除き、「コンプライズ(comprise) (含む、含んで成る)」という語、あるいは「コンプライジーズ(comprises) 」または「コンプライジング(comprising)」などのその変形は、述べられている実体または実体群の含有を意味するが、他の如何なる実体または実体群の排除をも意味するものではないと理解されるべきである。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
細胞は、次に将来の挙動に影響を与える生理学的および生化学的プロセスを調節するためその環境を連続的に監視する。しばしば、その環境との細胞の最初の相互作用は細胞質膜上に発現する受容体を介して生ずる。これらの受容体の活性化は、内因性リガンド(サイトカインなどの)との結合であろうと外因性リガンド(抗原など)との結合であろうと、その膜から細胞質を通って核に至る生化学的カスケードの引金となる。
【0005】
内因性リガンドの中では、サイトカインは特に重要な多様なグループを代表する。サイトカインは体内の多様な細胞の生存、増殖、分化および機能を調節するタンパク質である〔ニコラ、1994(非特許文献1)〕。造血に関するサイトカインは共通して4個のα−ヘリックス束構造を持っており、その大部分は細胞表面受容体であるタイプIおよびタイプIIサイトカイン受容体の構造的に関連するファミリーと相互作用する〔バザン、1990(非特許文献2)、スプラング、1993(非特許文献3)〕。すべての場合に、リガンド−誘導受容体凝集は細胞内のシグナル伝達カスケードを開始させる際の決定的事件であるように見える。例えば、あるサイトカイン、成長ホルモン、エリスロポエチン(Epo)および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)は、受容体のホモダイマー化の引金となる一方、他のサイトカインでは受容体のヘテロダイマー化またはヘテロトリマー化が最重要である。後者の場合には、幾つかのサイトカインが共通の受容体サブユニットを共有しており、これに基づいて細胞内活性化および類似の生物学的効果の類似のパターンを持つ三つのサブファミリーにグループ分けすることができる〔ヒルトン、1994(非特許文献4)〕。インターロイキン−3(IL−3)、IL−5および顆粒球−マクロファージ・コロニー刺激因子(GM−CSF)は共通のβ−受容体サブユニット(βc)を使用する。そして各サイトカインは顆粒球およびマクロファージの産生および機能的活性を刺激する。IL−2、IL−4、IL−7、IL−9、およびIL−15はそれぞれ共通のγ−鎖(γc)を使用するが、IL−4およびIL−13はもう一つのγ−鎖(γ’cすなわちIL−13受容体α−鎖)を共有する。これらのサイトカインはそれぞれリンパ系における免疫獲得の調節に重要な役割を果たしている。最後に、IL−6、IL−11、白血病阻害因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、毛様体神経栄養因子(CNTF)およびカルジオトロフィン(CT)は受容体サブユニットgp130を共有している。これらのサイトカインはそれぞれ高度に多面的で、造血系の内側および外側の両方で効果を有している〔ニコラ、1994(非特許文献1)〕。
【0006】
上記の場合のすべてにおいて、各受容体複合体の少なくとも一つのサブユニットはその細胞質テールにボックス1およびボックス2と呼ばれる保存された配列要素を含んでいる〔ムラカミ、1991(非特許文献5)〕。ボックス1は酸性のボックス2要素よりも膜貫通ドメインにより近位に位置するプロリン−リッチなモチーフである。このボックス1領域はJAK(Janus キナーゼ) と呼ばれる細胞質チロシンキナーゼの一群に対する結合部位として働く。リガンド−誘発受容体ダイマー化は、交差リン酸化により関連するJAKの触媒活性を増加させるのに役立つ。活性化されたJAKは、次いで、受容体それ自体を含む幾つかの基質をチロシン・リン酸化する。次いで、その受容体上の特定のホスホチロシン残基はSH2−含有タンパク質、その中で最も性質が明らかになったものは「シグナル伝達体かつ転写アクチベーター(STATs)」およびアダプタータンパクであるshcである、に対するドッキング部位として働く。このSTATsは次いで、おそらくJAKにより、チロシン上にリン酸化され、受容体から解離し、そして一つのSTATのSH2ドメインと他のSTATのホスホチロシン残基との相互作用により、ホモダイマーかまたはヘテロダイマーかを形成する。次いで、STATダイマーは核に移行し、そこで特定のサイトカイン−応答性のプロモーターに結合しそして転写を活性化する〔ダーネル, 1994(非特許文献6)、イーレ, 1995(非特許文献7)、イーレ, 1995(非特許文献8)〕。別の経路で、チロシンリン酸化されたshcは別のSH2ドメインを含むタンパク、Grb−2と相互作用し、最後にMAPキナーゼファミリーのメンバーの活性化そして次いでfosやjunなどの転写因子の活性化をもたらす〔サトウ, 1993(非特許文献9)、カトラー, 1993(非特許文献10)〕。受容体チロシンキナーゼに結合するサイトカインはSTATsおよびMAPキナーゼファミリーのメンバーを活性化することもできるから、これらの経路はサイトカイン受容体ファミリーのメンバーに至る唯一のものではない〔デイビッド, 1996(非特許文献11)、リーマン, 1996、シュアル, 1993(非特許文献12)、サトー, 1993(非特許文献9)、カトラー, 1993(非特許文献10)〕。
【0007】
細胞質チロシンキナーゼのJAKファミリーの4個のメンバーはJAK1、JAK2、JAK3およびTYK2と記され、それぞれサイトカイン受容体サブユニットの特定のサブセットに結合する。6個のSTATsが記述され(STAT1からSTAT6まで)、そしてこれらも別々のサイトカイン/受容体コンプレックスによって活性化される。例えば、STAT1はインターフェロン系に機能的に特異的であるように見え、STAT4はIL−12に特異的であるように見え、一方STAT6はIL−4およびIL−13に特異的であるように見える。こうして、共通の活性化機構にもかかわらず、ある程度のサイトカイン特異性がJAKおよびSTATsの使用により達成することができる〔チーアフェルダー,1996(非特許文献13)、カプラン,1996(非特許文献14、15) 、タケダ,1996(非特許文献16) 、シモダ,1996(非特許文献17) 、メラズ,1996(非特許文献18) 、ダービン,1996(非特許文献19) 〕。
【0008】
上記のものに加えて、これらの経路の他の活性化機構が明らかに存在する。例えば、JAK/STAT経路はshc−誘導経路とは無関係にMAPキナーゼを活性化することができ〔デイビッド,1995(非特許文献20)〕そしてSTATsそれ自体は受容体に結合することなく、おそらくJAKとの直接の相互作用により、活性化されることが可能である〔グプタ,1996(非特許文献21)〕。逆に、STATsの完全活性化はJAKの作用の他にMAPキナーゼの作用を必要とする〔デイビッド,1995(非特許文献20)、ウエン, 1995(非特許文献22)〕。
【0009】
これらのシグナル形成経路の活性化はより良く理解されるようになっているが、これらの経路の調節は、負または正のフィードバックループの採用を含め、ほとんど知られていない。このことは重要である。なぜなら、細胞が一旦刺激に対し応答を始めれば、その応答の強さや期間を調節することそしてシグナル伝達を切断することが決めてとなるからである。状況が要求するときは、応答の強度を全身的にあるいは局部的ですら増加させることも同様に望まれるのである。
【0010】
本発明に至る研究において、本発明者らはシグナル伝達の負の調節体を単離しようと努力した。今や、本発明者らはシグナル形成の調節体として作用することができる新規なタンパク質ファミリーを確認するに至った。この新規なタンパク質のファミリーは、最初に確認されたSOCS分子がサイトカイン−媒介シグナル形成を抑制する能力を有していたことに基づいて、サイトカインシグナル形成のサプレッサー(SOCS)ファミリーと定義される。しかしながら、SOCSファミリーのメンバーすべてがサプレッサー機能を必ずしも共有する必要はなく、またサイトカインに媒介されるシグナル形成のみを標的とする必要もない。SOCSファミリーはSOCSボックスと呼ばれるC−末端モチーフのN末端に位置するアミノ酸配列モチーフに基づいて少なくとも三つのクラスのタンパク質分子を含んでいる。調節分子のこの新規なファミリーの確認により、シグナル伝達、従ってサイトカインを含むある範囲の分子に対する細胞の応答性、を調節することができるある範囲のエフェクター分子または調節分子の形成が可能となる。従って、本発明はSOCSタンパク質、誘導体、それらのホモログ、アナログおよび模倣物並びにSOCSタンパク質のアゴニストおよびアンタゴニストに基づく治療薬および診断薬を提供する。
【非特許文献1】ニコラ,エヌ.エイ.(1994). サイトカインおよびそれらの受容体へのガイドブック、Oxford University Press: Oxford.
【非特許文献2】バザン,ジェイ.エフ.(1990), [Review] Immunology Today 11, 350-4 。
【非特許文献3】スプラング,エス.アール.およびバザン,ジェイ.エフ.(1993) Curr. Opin. Structural Biol. 3, 815-827。
【非特許文献4】ヒルトン, ディー. ジェイ.(1994) サイトカイン受容体入門、8-16頁、ニコラ編、「サイトカインおよびそれらの受容体へのガイドブック」Oxford University Press 、Oxford。
【非特許文献5】ムラカミ, エム. 、ナラサキ, エム. 、ヒビ, エム. 、ヤワタ,エイチ. ヤスカワ, ケイ. 、ハマグチ, エム. 、タガ, ティー. およびキシモト, ティー. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88, 11349-11353。
【非特許文献6】ダーネル, ジェイ. ジューニア、カー,アイ.エム.およびスターク,ジー.アール.(1994) Science 264, 1415-21 。
【非特許文献7】イーレ, ジェイ. エヌ. (1995) Nature 337, 591-4 。
【非特許文献8】イーレ, ジェイ. エヌ. ウイトゥーン,ビー.エイ.、クエレ,エフ.ダブリュー.、ヤマモト,ケイ.およびシルベノイネン,オー. (1995) Annual Review of Immunology 13, 369-98 。
【非特許文献9】サトー,エヌ.、サカマキ,ケイ.、テラダ,エヌ.、アライ,ケイ.およびミヤジマ,エイ.(1993). Embo Journal 12, 4181-9 。
【非特許文献10】カトラー,アール.エル.、リュー,エル.、ダーメン,ジェイ.エフ.およびクリスタル,ジー.(1993) Journal of Biological Chemistrty 268, 21463-5 。
【非特許文献11】デイビッド,エム.、ウオング,エル.、フラベル,アール.、トンプソン,エス.エイ.、ウエルズ,エイ.、ラーナー,エイ.シー.およびジョンソン,ジー.アール.(1996). Journal of Biological Chemistry 271, 9185-8 。
【非特許文献12】シュアル,ケイ.、ジーミーキー,エイ.、ウイルクス,エイ.エフ.、ハーパー,エイ.ジー.、サドウスキー,エイチ.ビー.、ギルマン,エム.ゼット.およびダーネル,ジェイ.イー.(1993). Nature 366, 580-3 。
【非特許文献13】チールフェルダー,ダブリュー.イー.、バンドーセン,ジェイ.エム.、ヤマモト,ケイ.、トリップ,アール.エイ.、サラワー,エス.アール.、カールソン、アール.ティー.、サングスター,エム.ワイ.、ビグナリ,ディー.ディー.エイ.、ドハーティ,ピー.シー.、グロスベルド,ジー.シー.およびイーレ,ジェイ.エヌ.(1996). Nature 382, 171-174 。
【非特許文献14】カプラン,エム.エイチ.、シンドラー,ユー.、スマイリー,エス.ティー.およびグルスビ,エム.ジェイ.(1996a) Immunity 4, 313-9 。
【非特許文献15】カプラン,エム.エイチ.、ホエイ,ティー.およびグルスビ,エム.ジェイ.(1996b) Nature 382, 174-179。
【非特許文献16】タケダ,ケイ.、タナカ,ティー.、シー,ダブリュー.、マツモト,エム.、ミナミ,エム.、カシワラ,エス.、ナカニシ,ケイ.、ヨシダ,エヌ.、キシモト,ティー.およびアキラ,エス.(1996) Nature 380, 627-30 。
【非特許文献17】シモダ, ケイ. 、バン・デュールセン, ジェイ. 、サングスター, ダブリュー. ワイ. 、サラワー, エス. アール. 、カールソン, アール. ティー. 、トリップ, アール. エイ. 、チュー, シー. 、クエル, エフ. ダブリュー. 、ノサカ, ティー. ビグナリ, ディー. エイ. 、ドハーティ, ピー. シー. 、グロスベルド, ジー. 、ポール, ダブリュー. イー. およびイーレ, ジェイ. エヌ. (1996) Nature 380, 630-3。
【非特許文献18】メラツ,エム.エイ.、ホワイト,ジェイ.エム.、シーハン,ケイ.シー.、バッハ,イー.エイ.、ロディグ,エス.ジェイ.ディーグ,エイ.エス.、カプラン,ディー.エイチ.、リリー,ジェイ.ケイ.、グリーンルンド,エイ.シー.、キャンベル,ディー.、カーバー−ムア,ケイ.、デゥボイス,アール.エヌ.、クラーク,アール.アグエト,エム.およびシュライバー,アール.ディー.(1996) Cell 84, 431-42。
【非特許文献19】ダーバン,ジェイ.イー.、ハッケンミラー,アール.、シモン,エム.シーおよびレビ,ディー.イー.(1996). Cell 84, 443-50 。
【非特許文献20】デイビッド,エム.、ペトリコイン イー3、ベンジャミン,シー.、パイン,アール.、ウエーバー,エム.ジェイ.およびラーナー,エイ.シー.(1995). Science 269, 1721-3 。
【非特許文献21】グプタ,エス.、ヤン,エイチ.、ウォング,エル.エイチ.、ラルフ,エス.、クロリュウスキー,ジェイ.およびシンドラー,シー.(1996) Embo Journal 15, 1075-84 。
【非特許文献22】ウエン,ゼット、ゾング,ゼットおよびダーネル,ジェイ.ジューニア (1995) Cell 82, 241-50。
【発明の開示】
【0011】
発明の概要
本発明はとりわけ、SOCSファミリータンパク質のメンバーをコードする核酸分子並びにタンパク質それ自体を提供する。本明細書では以下に「SOCS」と言及するときは、SOCSファミリーのいずれかまたはすべてのメンバーを指す。特定のSOCS分子は、例えば、SOCS1、SOCS2およびSOCS3などのように数値で規定する。SOCSをそれから取得した種は1文字略号の前書きにより示され、「h」はヒト、「m」はマウスそして「r」はラットである。従って、「mSOCS1」は動物マウス由来の特定のSOCSである。本明細書で「SOCS」と言及するときは、このタンパクがサイトカインにより媒介されるシグナル伝達を単に抑制することを意味するのではない。この分子はホルモンまたは他の内因性または外因性分子、抗原、微生物および微生物産物、ウイルスまたはその成分、イオン、ホルモンおよび寄生体などの他のエフェクターにより媒介されるシグナル伝達を調節しうるからである。「調節する」という用語は上位調節、下位調節並びに特定レベルの維持を包含する。
【0012】
本発明の一つの側面は、タンパク質またはその誘導体、ホモログ、アナログまたは模倣物をコードする配列をコードするまたはそれに相補的なヌクレオチド配列または低厳格条件下で42℃で該タンパク質とハイブリッドを形成することができるヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、該タンパク質がそのC−末端領域にSOCSボックスを含むものである核酸分子を提供する。
【0013】
本発明の別の側面は、タンパク質またはその誘導体、ホモログ、アナログまたは模倣物をコードする配列をコードするまたはそれに相補的なヌクレオチド配列または低厳格条件下で42℃で該タンパク質とハイブリッドを形成することができるヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、該タンパク質がそのC−末端領域におけるSOCSボックスおよびタンパク質:分子相互作用領域を含むものである核酸分子を提供する。
【0014】
本発明のさらに別の側面は、タンパク質またはその誘導体、ホモログ、アナログまたは模倣物をコードする配列をコードするまたはそれに相補的なヌクレオチド配列または低厳格条件下で42℃で該タンパク質とハイブリッドを形成することができるヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、該タンパク質がC−末端領域およびSOCSボックスのN−末端領域に位置するタンパク質:分子相互作用領域を含むものである核酸分子に関する。
【0015】
このタンパク質:分子相互作用領域はタンパク質:DNA結合領域またはタンパク質:タンパク質結合領域であることが好ましい。
【0016】
本発明のさらに別の側面は、タンパク質またはその誘導体、ホモログ、アナログまたは模倣物をコードする配列をコードするまたはそれに相補的なヌクレオチド配列または低厳格条件下で42℃で該タンパク質とハイブリッドを形成することができるヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、該タンパク質がC−末端領域におけるSOCSボックスおよび該SOCSボックスのN−末端におけるSH2ドメイン、WD−40反復またはアンキリン反復の一つ以上を含むものである核酸分子を提供する。
【0017】
本発明のさらに一層別の側面は、タンパク質またはその誘導体、ホモログ、アナログまたは模倣物をコードする配列をコードするまたはそれに相補的なヌクレオチド配列または低厳格条件下で42℃で該タンパク質とハイブリッドを形成することができるヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、該タンパク質がそのC−末端領域にSOCSボックスを含み、該SOCSボックスが下記のアミノ酸配列、

上式中、X1 はL、I、V、M、AまたはPであり、
2 はいずれかのアミノ酸残基であり、
3 はP、TまたはSであり、
4 はL、I、V、M、AまたはPであり、
5 はいずれかのアミノ酸であり、
6 はいずれかのアミノ酸であり、
7 はL、I、V、M、A、F、YまたはWであり、
8 はC、TまたはSであり、
9 はR、KまたはHであり、
10はいずれかのアミノ酸であり、
11はいずれかのアミノ酸であり、
12はL、I、V、M、AまたはPであり、
13はいずれかのアミノ酸であり、
14はいずれかのアミノ酸であり、
15はいずれかのアミノ酸であり、
16はL、I、V、M、A、P、G、C、TまたはSであり、
〔Xin はnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xi はいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
17はL、I、V、M、AまたはPであり、
18はいずれかのアミノ酸であり、
19はいずれかのアミノ酸であり、
20はL、I、V、M、AまたはPであり、
21はPであり、
22はL、I、V、M、A、PまたはGであり、
23はPまたはNであり、
〔Xjn はnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xj はいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
24はL、I、V、M、AまたはPであり、
25はいずれかのアミノ酸であり、
26はいずれかのアミノ酸であり、
27はYまたはFであり、
28はL、I、V、M、AまたはPであり、
およびSOCSボックスのN−末端のSH2ドメイン、WD−40反復および/またはアンキリン反復の一つ以上、これらに限定されないが、などのタンパク質:分子相互作用領域を含むものである核酸分子に関する。
【0018】
本発明の別の側面は、タンパク質またはその誘導体、ホモログ、アナログまたは模倣物をコードする配列をコードするまたはそれに相補的なヌクレオチド配列または低厳格条件下で42℃で該タンパク質とハイブリッドを形成することができるヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、該タンパク質が下記の特性を示すものである核酸分子に関する、
(i) 下記のアミノ酸配列を有するC−末端領域におけるSOCSボックスを含むこと、

上式中、X1 はL、I、V、M、AまたはPであり、
2 はいずれかのアミノ酸残基であり、
3 はP、TまたはSであり、
4 はL、I、V、M、AまたはPであり、
5 はいずれかのアミノ酸であり、
6 はいずれかのアミノ酸であり、
7 はL、I、V、M、A、F、YまたはWであり、
8 はC、TまたはSであり、
9 はR、KまたはHであり、
10はいずれかのアミノ酸であり、
11はいずれかのアミノ酸であり、
12はL、I、V、M、AまたはPであり、
13はいずれかのアミノ酸であり、
14はいずれかのアミノ酸であり、
15はいずれかのアミノ酸であり、
16はL、I、V、M、A、P、G、C、TまたはSであり、
〔Xin はnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xi はいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
17はL、I、V、M、AまたはPであり、
18はいずれかのアミノ酸であり、
19はいずれかのアミノ酸であり、
20はL、I、V、M、AまたはPであり、
21はPであり、
22はL、I、V、M、A、PまたはGであり、
23はPまたはNであり、
〔Xjn はnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xj はいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
24はL、I、V、M、AまたはPであり、
25はいずれかのアミノ酸であり、
26はいずれかのアミノ酸であり、
27はYまたはFであり、
28はL、I、V、M、AまたはPであり、および
【0019】
(ii) SOCSボックスのN−末端領域にSH2ドメイン、WD−40反復および/またはアンキリン反復または他のタンパク質:分子相互作用ドメインの少なくとも一つを含むこと。
このSOCS分子はサイトカインまたはホルモンまたは他の内因性または外因性分子、微生物または微生物産物、抗原または寄生体からなどのシグナル伝達を調節することが好ましい。
このSOCS分子はサイトカインにより媒介されるシグナル伝達を調節することがより一層好ましい。
【0020】
本発明のさらに別の側面は、タンパク質またはその誘導体、ホモログ、アナログまたは模倣物をコードする配列をコードするまたはそれに相補的なヌクレオチド配列または低厳格条件下で42℃で該タンパク質とハイブリッドを形成することができるヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、該タンパク質が下記の特性を示すものである核酸分子に関する、
(i) シグナル伝達を調節することができること、
(ii) そのC−末端領域に下記のアミノ酸配列を有するSOCSボックスを含むこと、

上式中、X1 はL、I、V、M、AまたはPであり、
2 はいずれかのアミノ酸残基であり、
3 はP、TまたはSであり、
4 はL、I、V、M、AまたはPであり、
5 はいずれかのアミノ酸であり、
6 はいずれかのアミノ酸であり、
7 はL、I、V、M、A、F、YまたはWであり、
8 はC、TまたはSであり、
9 はR、KまたはHであり、
10はいずれかのアミノ酸であり、
11はいずれかのアミノ酸であり、
12はL、I、V、M、AまたはPであり、
13はいずれかのアミノ酸であり、
14はいずれかのアミノ酸であり、
15はいずれかのアミノ酸であり、
16はL、I、V、M、A、P、G、C、TまたはSであり、
〔Xin はnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xi はいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
17はL、I、V、M、AまたはPであり、
18はいずれかのアミノ酸であり、
19はいずれかのアミノ酸であり、
20はL、I、V、M、AまたはPであり、
21はPであり、
22はL、I、V、M、A、PまたはGであり、
23はPまたはNであり、
〔Xjn はnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xj はいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
24はL、I、V、M、AまたはPであり、
25はいずれかのアミノ酸であり、
26はいずれかのアミノ酸であり、
27はYまたはFであり、
28はL、I、V、M、AまたはPであり、および
【0021】
(iii) 該SOCSボックスのN−末端領域にSH2ドメイン、WD−40反復および/またはアンキリン反復または他のタンパク質:分子相互作用ドメインの少なくとも一つを含むこと。
このシグナル伝達はEPO、TPO、G−CSF、GM−CSF、IL−3、IL−2、IL−4、IL−7、IL−13、IL−6、LIF、IL−12、IFNγ、TNFα、IL−1および/またはM−CSFの一つ以上などのサイトカインによって媒介されるものであることが好ましい。
このシグナル伝達はインターロイキン6(IL−6)、白血病阻害因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、インターフェロン(IFN)−γおよび/またはトロンボポエチンの一つ以上により媒介されるものであることが好ましい。
このシグナル伝達はIL−6により媒介されるものであることが好ましい。
【0022】
特に好ましい核酸分子としては、配列番号:3(mSOCS1)、配列番号:5(mSOCS2)、配列番号:7(mSOCS3)、配列番号:9(hSOCS1)、配列番号:11(rSOCS1)、配列番号:13(mSOCS4)、配列番号:15および配列番号:16(hSOCS4)、配列番号:17(mSOCS5)、配列番号:19(hSOCS5)、配列番号:20(mSOCS6)、配列番号:22および配列番号:23(hSOCS6)、配列番号:24(mSOCS7)、配列番号:26および配列番号:27(hSOCS7)、配列番号:28(mSOCS8)、配列番号:30(mSOCS9)、配列番号:31(hSOCS9)、配列番号:32(mSOCS10)、配列番号:33および配列番号:34(hSOCS10)、配列番号:35(hSOCS11)、配列番号:37(mSOCS12)、配列番号:38および配列番号:39(hSOCS12)、配列番号:40(mSOCS13)、配列番号:42(hSOCS13)、配列番号:43(mSOCS14)、配列番号:45(mSOCS15)および配列番号:47(hSOCS15)に実質的に記載されたヌクレオチド配列、または上に列挙された配列のいずれかのすべてまたは一部の領域に少なくとも約15%の類似性を有するヌクレオチド配列、または低厳格条件下で42℃で上に列挙された配列のいずれか一つとハイブリッドを形成することができる核酸分子が挙げられる。
【0023】
本発明の別の側面はそのC−末端領域にSOCSボックスを含むタンパク質または誘導体、それらのホモログ、アナログまたは模倣物に関する。
【0024】
本発明のさらに別の側面は、そのC−末端領域におけるSOCSボックスおよびタンパク質:分子相互作用領域を含むタンパク質または誘導体、それらのホモログ、アナログまたは模倣物に関する。
【0025】
本発明のさらに一層別の側面は該SOCSボックスのN−末端領域に位置する相互作用領域を含むタンパク質または誘導体、それらのホモログ、アナログまたは模倣物を提供する。
【0026】
このタンパク質:分子相互作用領域はタンパク質:DNA結合領域またはタンパク質:タンパク質結合領域であることが好ましい。
【0027】
本発明の別の側面は、そのC−末端領域におけるSOCSボックスおよび該SOCSボックスのN−末端にSH2ドメイン、WD−40反復またはアンキリン反復を含むタンパク質または誘導体、それらのホモログ、アナログまたは模倣物に関する。
【0028】
本発明のさらに別の側面は下記の特性を示すタンパク質または誘導体、それらのホモログ、アナログまたは模倣物を提供する、
(i) 下記のアミノ酸配列を有するSOCSボックスをそのC−末端領域に含むこと、

上式中、X1 はL、I、V、M、AまたはPであり、
2 はいずれかのアミノ酸残基であり、
3 はP、TまたはSであり、
4 はL、I、V、M、AまたはPであり、
5 はいずれかのアミノ酸であり、
6 はいずれかのアミノ酸であり、
7 はL、I、V、M、A、F、YまたはWであり、
8 はC、TまたはSであり、
9 はR、KまたはHであり、
10はいずれかのアミノ酸であり、
11はいずれかのアミノ酸であり、
12はL、I、V、M、AまたはPであり、
13はいずれかのアミノ酸であり、
14はいずれかのアミノ酸であり、
15はいずれかのアミノ酸であり、
16はL、I、V、M、A、P、G、C、TまたはSであり、
〔Xin はnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xi はいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
17はL、I、V、M、AまたはPであり、
18はいずれかのアミノ酸であり、
19はいずれかのアミノ酸であり、
20はL、I、V、M、AまたはPであり、
21はPであり、
22はL、I、V、M、A、PまたはGであり、
23はPまたはNであり、
〔Xjn はnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xj はいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
24はL、I、V、M、AまたはPであり、
25はいずれかのアミノ酸であり、
26はいずれかのアミノ酸であり、
27はYまたはFであり、
28はL、I、V、M、AまたはPであり、および
【0029】
(ii) 該SOCSボックスのN−末端領域にSH2ドメイン、WD−40反復および/またはアンキリン反復または他のタンパク質:分子相互作用ドメインの少なくとも一つを含むこと。
このタンパク質はサイトカインにより媒介されるシグナル伝達などのシグナル伝達を調節するものであることが好ましい。
好ましいサイトカインとしては、EPO、TPO、G−CSF、GM−CSF、IL−3、IL−2、IL−4、IL−7、IL−13、IL−6、LIF、IL−12、IFNγ、TNFα、IL−1および/またはM−CSFが挙げられる。
特に好ましいサイトカインはIL−6である。
【0030】
本発明のさらに別の側面は下記の特性を示すタンパク質または誘導体、それらのホモログ、アナログまたは模倣物を提供する、
(i) サイトカインにより媒介されるシグナル伝達などのシグナル伝達を調節することができること、
(ii) 下記のアミノ酸配列を有するSOCSボックスをそのC−末端領域に含むこと、

上式中、X1 はL、I、V、M、AまたはPであり、
2 はいずれかのアミノ酸残基であり、
3 はP、TまたはSであり、
4 はL、I、V、M、AまたはPであり、
5 はいずれかのアミノ酸であり、
6 はいずれかのアミノ酸であり、
7 はL、I、V、M、A、F、YまたはWであり、
8 はC、TまたはSであり、
9 はR、KまたはHであり、
10はいずれかのアミノ酸であり、
11はいずれかのアミノ酸であり、
12はL、I、V、M、AまたはPであり、
13はいずれかのアミノ酸であり、
14はいずれかのアミノ酸であり、
15はいずれかのアミノ酸であり、
16はL、I、V、M、A、P、G、C、TまたはSであり、
〔Xin はnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xi はいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
17はL、I、V、M、AまたはPであり、
18はいずれかのアミノ酸であり、
19はいずれかのアミノ酸であり、
20はL、I、V、M、AまたはPであり、
21はPであり、
22はL、I、V、M、A、PまたはGであり、
23はPまたはNであり、
〔Xjn はnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xj はいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
24はL、I、V、M、AまたはPであり、
25はいずれかのアミノ酸であり、
26はいずれかのアミノ酸であり、
27はYまたはFであり、
28はL、I、V、M、AまたはPであり、および
【0031】
(iii) 該SOCSボックスのN−末端領域にSH2ドメイン、WD−40反復および/またはアンキリン反復または他のタンパク質:分子相互作用ドメインの少なくとも一つを含むこと。
特に好ましいSOCSタンパク質としては、配列番号:4(mSOCS1)、配列番号:6(mSOCS2)、配列番号:8(mSOCS3)、配列番号:10(hSOCS1)、配列番号:12(rSOCS1)、配列番号:14(mSOCS4)、配列番号:18(mSOCS5)、配列番号:21(mSOCS6)、配列番号:25(mSOCS7)、配列番号:29(mSOCS8)、配列番号:36(hSOCS11)、配列番号:41(mSOCS13)、配列番号:44(mSOCS14)、配列番号:46(mSOCS15)および配列番号:48(hSOCS15)に実質的に記載されたアミノ酸配列または上に列挙された配列のいずれか一つのすべてまたは一部の領域に少なくとも15%の類似性を有するアミノ酸配列が挙げられる。
【0032】
本発明の別の側面は細胞中のSOCSタンパク質のレベルを調節する方法であって、SOCS遺伝子を含む細胞を該SOCSタンパク質のレベルを調節するのに十分な時間および条件の下でSOCS遺伝子の発現またはSOCSタンパク質の活性のモジュレーターの有効量と接触させる工程を含む方法に関する。
【0033】
本発明の関連する側面はSOCS遺伝子を含む細胞中でのシグナル伝達を調節する方法であって、シグナル伝達を調節するのに十分な時間、該細胞をSOCS遺伝子の発現またはSOCSタンパク質の活性のモジュレーターの有効量と接触させる工程を含む方法を提供する。
【0034】
本発明のさらに関連する側面は、少なくとも一つの細胞がSOCS遺伝子を保持する細胞の間の相互作用に影響を与える方法であって、SOCS遺伝子を保持する該細胞をシグナル伝達を調節するのに十分な時間SOCS遺伝子の発現またはSOCSタンパク質の活性のモジュレーターの有効量と接触させる工程を含んでなる方法に関する。
【0035】
本発明によれば、〔Xin および〔Xjn におけるnは、1〜50である場合に加えて、1〜30、1〜20、1〜10および1〜5である場合もあり得る。
本明細書で言及された配列番号の概要は表1に示す。
【0036】
【表1】



アミノ酸残基を記述するために1文字略号および3文字略号が用いられる。これらは表2に概要を示す。
【0037】
【表2】

【0038】
好ましい態様の詳細な説明
本明細書はシグナル伝達のモジュレーターの新規なファミリーを提供する。このファミリーの最初のメンバーがサイトカインのシグナル形成を抑制したので、このファミリーは「サイトカインシグナル形成のサプレッサー」、「SOCS」のファミリーと呼ばれる。このSOCSファミリーは「SOCSボックス」と呼ばれるC−末端ドメインの存在により定義される。SOCS分子の異なるクラスはSOCSボックスのN−末端に一般に位置するがそこだけではない一つのモチーフであって、タンパク質:DNAまたはタンパク質:タンパク質の相互作用などのタンパク質:分子相互作用に関与するモチーフにより規定される。特に好ましいモチーフはSH2ドメイン、WD−40反復およびアンキリン反復から選ばれるものである。
【0039】
WD−40反復は元はG−プロテインのβ−サブユニット中で認識された。WD−40反復はβ−プロペラ−様構造を形成するように見え、タンパク質−タンパク質相互作用に関与することができる。アンキリン反復は元は細胞骨格タンパク質アンキリン中で認識された。
【0040】
SOCSファミリーのメンバーは幾つかの手段によって同定することができる。例えば、SOCS1〜SOCS3はサイトカインにより媒介されるシグナル伝達を抑制するそれらの能力により、従って活性に基づいて同定された。SOCS4〜SOCS15はSOCSボックスのレベルで類似性を示すヌクレオチド配列として同定された。
【0041】
SOCSボックスはSOCS分子のC−末端領域に位置する保存されたモチーフである。本発明によれば、SOCSボックスのアミノ酸配列は下記のものである、

上式中、X1 はL、I、V、M、AまたはPであり、
2 はいずれかのアミノ酸残基であり、
3 はP、TまたはSであり、
4 はL、I、V、M、AまたはPであり、
5 はいずれかのアミノ酸であり、
6 はいずれかのアミノ酸であり、
7 はL、I、V、M、A、F、YまたはWであり、
8 はC、TまたはSであり、
9 はR、KまたはHであり、
10はいずれかのアミノ酸であり、
11はいずれかのアミノ酸であり、
12はL、I、V、M、AまたはPであり、
13はいずれかのアミノ酸であり、
14はいずれかのアミノ酸であり、
15はいずれかのアミノ酸であり、
16はL、I、V、M、A、P、G、C、TまたはSであり、
〔Xin はnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xi はいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
17はL、I、V、M、AまたはPであり、
18はいずれかのアミノ酸であり、
19はいずれかのアミノ酸であり、
20はL、I、V、M、AまたはPであり、
21はPであり、
22はL、I、V、M、A、PまたはGであり、
23はPまたはNであり、
〔Xjn はnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xj はいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
24はL、I、V、M、AまたはPであり、
25はいずれかのアミノ酸であり、
26はいずれかのアミノ酸であり、
27はYまたはFであり、および
28はL、I、V、M、AまたはPである。
【0042】
上記のようにそして本発明によれば、SOCSタンパク質はSOCSボックスのN−末端に位置するSH2ドメイン、WD−40反復およびアンキリン反復、これらに限定されないが、などのタンパク質:分子相互作用領域の存在に基づいて別々のクラスに分けられる。後者の3ドメインはタンパク質:タンパク質相互作用ドメインである。
【0043】
SOCSタンパク質を含むSH2の例としては、SOCS1、SOCS2、SOCS3、SOCS5、SOCS9、SOCS11およびSOCS14が挙げられる。WD−40反復を含むSOCSの例としては、SOCS4、SOCS6およびSOCS15が挙げられる。アンキリン反復を含むSOCSの例としては、SOCS7、SOCS10およびSOCS12が挙げられる。
【0044】
本発明はとりわけ、SOCSタンパク質、精製された天然に生ずるSOCSタンパク質およびSOCSタンパク質の組換え型をコードする核酸分子、並びにSOCSタンパク質の活性またはSOCS遺伝子の発現を調節することによりシグナル伝達を調節する方法を提供する。シグナル伝達はサイトカインにより媒介されるものであることが好ましい。このようなサイトカインの例としては、EPO、TPO、G−CSF、GM−CSF、IL−3、IL−2、IL−4、IL−7、IL−13、IL−6、LIF、IL−12、IFNγ、TNFα、IL−1および/またはM−CSFが挙げられる。特に好ましいサイトカインとしては、IL−6、LIF、OSM、IFN−γおよび/またはトロンボポエチンが挙げられる。
【0045】
従って、本発明の一つの側面は、タンパク質またはその誘導体、ホモログ、アナログまたは模倣物をコードする配列をコードするまたはそれに相補的なヌクレオチド配列、または低厳格条件下で42℃でそれとハイブリッド形成をすることができるヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子であって、該タンパク質がそのC−末端領域にSOCSボックスを含み、そしてSOCSボックスのN−末端のタンパク質:分子相互作用ドメインを選択的に含むものである核酸分子を提供する。
【0046】
このタンパク質:分子相互作用ドメインはタンパク質:DNAまたはタンパク質:タンパク質相互作用ドメインであることが好ましい。このタンパク質:分子相互作用ドメインはSH2ドメイン、WD−40反復および/またはアンキリン反復の一つであることが最も好ましい。
【0047】
上記のように、主体であるSOCSはサイトカインにより媒介されるシグナル伝達を調節することが好ましい。しかしながら、本発明は他の内因性または外因性分子、抗原、微生物および微生物産物、ウイルスまたはその成分、イオン、ホルモンおよび寄生体により媒介されるなどの他のエフェクターにより媒介されるシグナル伝達を調節するSOCS分子にまで及ぶ。この論旨での内因性分子はSOCS分子を保持する細胞内で産生される分子である。外因性分子は他の細胞により産生されまたはその身体に導入される。
【0048】
この核酸分子またはSOCSタンパク質は単離された形または純粋な形であることが好ましい。「単離された」および「精製された」という用語は、分子が他の材料から取り出され少なくとも1回の精製工程を受けていることを意味する。
【0049】
この核酸分子は単離された形であり、cDNAまたはゲノムDNAなどのDNAであることが好ましい。このDNAは天然に生ずるSOCSと同じアミノ酸配列をコードする、あるいはこのSOCSは一つ以上のアミノ酸の置換、欠失および/または付加を含むことができる。このヌクレオチド配列はゲノムのコード配列(エキソンおよびイントロンを含む)に対応することができ、またはゲノム遺伝子から転写されたmRNAからのcDNAのヌクレオチド配列に対応することができ、あるいはそれはそれに対する一つ以上のヌクレオチドの置換、欠失および/または付加を含むことができる。
【0050】
好ましい態様において、この核酸分子はSOCSタンパク質またはその誘導体、ホモログ、アナログまたは模倣物をコードする配列をコードするまたはそれに相補的なヌクレオチドの配列を含むものであって、該SOCSタンパク質のアミノ酸配列が配列番号:4(mSOCS1)、配列番号:6(mSOCS2)、配列番号:8(mSOCS3)、配列番号:10(hSOCS1)、配列番号:12(rSOCS1)、配列番号:14(mSOCS4)、配列番号:18(mSOCS5)、配列番号:21(mSOCS6)、配列番号:25(mSOCS7)、配列番号:29(mSOCS8)、配列番号:36(hSOCS11)、配列番号:41(mSOCS13)、配列番号:44(mSOCS14)、配列番号:46(mSOCS15)および配列番号:48(hSOCS15)から選択されるものであり、または該核酸分子はリストされた配列に対する1個または多重のアミノ酸置換、欠失および/または付加を持つアミノ酸をコードするものであり、または低厳格条件下で42℃でその核酸分子とハイブリッド形成をすることができるヌクレオチド配列である。
【0051】
より好ましい態様では、本発明はSOCSタンパク質またはその誘導体、ホモログ、アナログまたは模倣物をコードする配列をコードするまたはそれに相補的なヌクレオチドの配列を含む核酸分子であって、配列番号:3(mSOCS1)、配列番号:5(mSOCS2)、配列番号:7(mSOCS3)、配列番号:9(hSOCS1)、配列番号:11(rSOCS1)、配列番号:13(mSOCS4)、配列番号:15および配列番号:16(hSOCS4)、配列番号:17(mSOCS5)、配列番号:19(hSOCS5)、配列番号:20(mSOCS6)、配列番号:22および配列番号:23(hSOCS6)、配列番号:24(mSOCS7)、配列番号:26および配列番号:27(hSOCS7)、配列番号:28(mSOCS8)、配列番号:30(mSOCS9)、配列番号:31(hSOCS9)、配列番号:32(mSOCS10)、配列番号:33および配列番号:34(hSOCS10)、配列番号:35(hSOCS11)、配列番号:37(mSOCS12)、配列番号:38および配列番号:39(hSOCS12)、配列番号:40(mSOCS13)、配列番号:42(hSOCS13)、配列番号:43(mSOCS14)、配列番号:45(mSOCS15)および配列番号:47(hSOCS15)に実質的に記載されたヌクレオチド配列、または上に列挙された配列のいずれかのすべてまたは一部の領域に少なくとも約15%の類似性を有するヌクレオチド配列、または低厳格条件下で42℃で上に列挙された配列のいずれか一つとハイブリッドを形成することができる核酸分子から選択されるヌクレオチド配列を提供する。
【0052】
本明細書で、低厳格条件下で42℃でということは、ハイブリッド形成用には少なくとも約1%v/vから少なくとも約15%v/vまでのホルムアミドおよび少なくとも約1Mから少なくとも約2Mまでの塩を含み、そして洗浄用には少なくとも約1Mから少なくとも約2Mまでの塩を含むことを意味する。必要なときは、別の厳格条件を適用することもできる。例えば、中厳格では、少なくとも約16%v/vから少なくとも約30%v/vまでのホルムアミドおよび少なくとも約0.5Mから少なくとも約0.9Mまでの塩をハイブリッド形成に用い、そして少なくとも約0.5Mから少なくとも約0.9Mまでの塩を洗浄条件とする、あるいは高厳格では、少なくとも約約31%v/vから少なくとも約50%v/vまでのホルムアミドおよび少なくとも約0.01Mから少なくとも約0.15Mまでの塩をハイブリッド形成に用い、そして少なくとも約0.01Mから少なくとも約0.15Mまでの塩を洗浄条件とする。
【0053】
別の態様では、本発明はSOCSタンパク質またはその誘導体、ホモログ、アナログまたは模倣物であって、該SOCSタンパク質が下記のように同定されるものに関する、
【0054】
ヒトSOCS4は、EST81149、EST180909、EST182619、ya99H09、ye70co4、yh53c09、yh77g11、yh87h05、yi45h07、yj04e06、yq12h06、yq56a06、yq60e02、yq92g03、yq97h06、yr90f01、yt69c03、yv30a08、yv55f07、yv57h09、yv87h02、yv98e11、yw68d10、yw82a03、yx08a07、yx72h06、yx76b09、yy37h08、yy66b02、za81f08、zb18f07、zc06e08、zd14g06、zd51h12、zd52b09、ze25g11、ze69f02、zf54f03、zh96e07、zv66h12、zs83a08、およびzs83g08により特徴付けられる、
【0055】
マウスSOCS−4は、mc65f04、mf42e06、mp10c10、mr81g09、およびmt19h12により特徴付けられる。
【0056】
ヒトSOCS−5は、EST15B103、EST15B105、EST27530およびzf50f01により特徴付けられる、
【0057】
マウスSOCS−5は、mc55a01、mh98f09、my26h12およびve24e06により特徴付けられる、
【0058】
ヒトSOCS−6は、yf61e08、yf93a09、yg05f12、yg41f04、yg45c02、yh11f10、yh13b05、zc35a12、ze02h08、zl09a03、zl69e10、zn39d08およびzo39e06により特徴付けられる、
【0059】
マウスSOCS−6は、mc04c05、md48a03、mf31d03、mh26b07、mh78e11、mh88h09、mh94h07、mi27h04およびmj29c05、mp66g04、mw75g03、va53b05、vb34h02、vc55d07、vc59e05、vc67d03、vc68d10、vc97h01、vc99c08、vd07h03、vd08c01、vd09b12、vd19b02、vd29a04およびvd46d06により特徴付けられる、
【0060】
ヒトSOCS−7は、STS WI30171、EST00939、EST12913、yc29b05、yp49f10、zt10f03およびzx73g04により特徴付けられる、
【0061】
マウスSOCS−7は、mj39a01およびvi52h07により特徴付けられる、
【0062】
マウスSOCS−8は、mj6e09およびvj27a029により特徴付けられる、
【0063】
ヒトSOCS−9は、CSRL−82f2−u、EST114054、yy06b07、yy06g06、zr40c09、zr72h01、yx92c08、yx93b08およびhfe0662により特徴付けられる、
【0064】
マウスSOCS−9は、me65d05により特徴付けられる、
【0065】
ヒトSOCS−10は、aa48h10、zp35h01、zp97h12、zq08h01、zr34g05、EST73000およびHSDHEI005により特徴付けられる、
【0066】
マウスSOCS−10は,mb14d12、mb40f06、mg89b11、mq89e12、mp03g12およびvh53c11により特徴付けられる、
【0067】
ヒトSOCS−11は、zt24h06およびzr43b02により特徴付けられる、
【0068】
ヒトSOCS−13は、EST59161により特徴付けられる、
【0069】
マウスSOCS−13は、ma39a09、me60c05、mi78g05、mk10c11、mo48g12、mp94a01、vb57c07およびvh07c11により特徴付けられる、そして
【0070】
ヒトSOCS−14は、mi75e03、vd29h11およびvd53g07により特徴付けられる、
または核酸分子により特徴付けられる上記のESTの誘導体またはホモログは低厳格条件下で42℃でリストされたESTのいずれかとハイブリッド形成をすることができる。
別の態様では、このヌクレオチド配列は下記のアミノ酸配列をコードする、

上式中、X1 はL、I、V、M、AまたはPであり、
2 はいずれかのアミノ酸残基であり、
3 はP、TまたはSであり、
4 はL、I、V、M、AまたはPであり、
5 はいずれかのアミノ酸であり、
6 はいずれかのアミノ酸であり、
7 はL、I、V、M、A、F、YまたはWであり、
8 はC、TまたはSであり、
9 はR、KまたはHであり、
10はいずれかのアミノ酸であり、
11はいずれかのアミノ酸であり、
12はL、I、V、M、AまたはPであり、
13はいずれかのアミノ酸であり、
14はいずれかのアミノ酸であり、
15はいずれかのアミノ酸であり、
16はL、I、V、M、A、P、G、C、TまたはSであり、
〔Xin はnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xi はいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
17はL、I、V、M、AまたはPであり、
18はいずれかのアミノ酸であり、
19はいずれかのアミノ酸であり、
20はL、I、V、M、AまたはPであり、
21はPであり、
22はL、I、V、M、A、PまたはGであり、
23はPまたはNであり、
〔Xjn はnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xj はいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
24はL、I、V、M、AまたはPであり、
25はいずれかのアミノ酸であり、
26はいずれかのアミノ酸であり、
27はYまたはFであり、および
28はL、I、V、M、AまたはPである。
【0071】
上記の配列の比較は分子全体に対するものであることが好ましいが、その部分であることもできる。この比較は少なくとも約21ヌクレオチドまたは少なくとも約5アミノ酸の隣接するシリーズに対してなされることが好ましい。この比較は少なくとも約21の隣接したヌクレオチドまたは少なくとも7個の隣接したアミノ酸に対してなされることが一層好ましい。比較はSOCSボックス領域に対してまたはSH2ドメイン、WD−40反復および/またはアンキリン反復などのタンパク質:分子相互作用領域を包含する領域に対してだけすることもできる。
【0072】
本発明のさらに別の態様は単離されたポリペプチドまたはその誘導体、ホモログ、アナログまたは模倣物であって、SOCSボックスをそのC−末端に含むものに関する。
【0073】
このポリペプチドはタンパク質:DNAまたはタンパク質:タンパク質相互作用ドメインなどのタンパク質:分子相互作用ドメインをさらに含むことが好ましい。このドメインはSOCSボックスのN−末端に位置していることが好ましい。タンパク質:分子相互作用ドメインはSH2ドメイン、WD−40反復および/またはアンキリン反復の少なくとも一つであることが特に好ましい。
【0074】
シグナル伝達はEPO、TPO、G−CSF、GM−CSF、IL−3、IL−2、IL−4、IL−7、IL−13、IL−6、LIF、IL−12、IFNγ、TNFα、IL−1および/またはM−CSFから選択されるサイトカインにより媒介されることが好ましい。好ましいサイトカインはIL−6、LIF、OSM、IFN−γまたはトロンボポエチンである。
このタンパク質は下記のアミノ酸配列を有するSOCSボックスを含むことがさらに好ましい、

上式中、X1 はL、I、V、M、AまたはPであり、
2 はいずれかのアミノ酸残基であり、
3 はP、TまたはSであり、
4 はL、I、V、M、AまたはPであり、
5 はいずれかのアミノ酸であり、
6 はいずれかのアミノ酸であり、
7 はL、I、V、M、A、F、YまたはWであり、
8 はC、TまたはSであり、
9 はR、KまたはHであり、
10はいずれかのアミノ酸であり、
11はいずれかのアミノ酸であり、
12はL、I、V、M、AまたはPであり、
13はいずれかのアミノ酸であり、
14はいずれかのアミノ酸であり、
15はいずれかのアミノ酸であり、
16はL、I、V、M、A、P、G、C、TまたはSであり、
〔Xin はnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xi はいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
17はL、I、V、M、AまたはPであり、
18はいずれかのアミノ酸であり、
19はいずれかのアミノ酸であり、
20はL、I、V、M、AまたはPであり、
21はPであり、
22はL、I、V、M、A、PまたはGであり、
23はPまたはNであり、
〔Xjn はnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xj はいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
24はL、I、V、M、AまたはPであり、
25はいずれかのアミノ酸であり、
26はいずれかのアミノ酸であり、
27はYまたはFであり、および
28はL、I、V、M、AまたはPである。
【0075】
なお別の態様は、配列番号:4(mSOCS1)、配列番号:6(mSOCS2)、配列番号:8(mSOCS3)、配列番号:10(hSOCS1)、配列番号:12(rSOCS1)、配列番号:14(mSOCS4)、配列番号:18(mSOCS5)、配列番号:21(mSOCS6)、配列番号:25(mSOCS7)、配列番号:29(mSOCS8)、配列番号:36(hSOCS11)、配列番号:41(mSOCS13)、配列番号:44(mSOCS14)、配列番号:46(mSOCS15)および配列番号:48(hSOCS15)に実質的に記載されたアミノ酸配列またはリストされた配列のいずれかのすべてまたは一部と少なくとも15%の類似性を有するアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドまたは誘導体、それらのホモログ、アナログまたは模倣物を提供する。
【0076】
好ましいヌクレオチド類似性のパーセンテージとしては、少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%またはそれ以上が、例えば93%、95%、98%または99%が挙げられる。
【0077】
好ましいアミノ酸類似性としては、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または98%またはそれ以上が挙げられる。
【0078】
上記のように、類似性は分子全体または少なくとも約21ヌクレオチドまたは少なくとも約7アミノ酸を含む領域に対して測定される。類似性はSH2ドメイン、WD−40反復、アンキリン反復または他のタンパク質:分子相互作用ドメインまたはSOCSボックスなどの保存されている領域で測定されることが好ましい。
【0079】
「類似性」という用語は、配列間の正確な一致、または配列が異なるときは、異なるアミノ酸が構造的、機能的、生化学的および/またはコンホーメーションのレベルで相互に関連していることを含む。
【0080】
この核酸分子はヒト、霊長類、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ロバ、ブタ)、実験室テスト動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット)、愛玩動物(例えば、犬、猫)または捕獲された野生動物(例えば、鹿、キツネ、カンガルー)などの如何なる動物から単離することもできる。
「誘導体(複数)」またはその単数型「誘導体」という用語は、核酸分子に関する場合であろうとタンパク質に関する場合であろうと、部分、変異体、断片およびアナログ並びにハイブリッド分子または融合分子およびグリコシレーションを受けた変異体が含まれる。特に有用な誘導体としては、SOCSアミノ酸配列に対する1個または多重のアミノ酸置換、欠失および/または付加を含むものである。
【0081】
この誘導体は機能的活性を持ちまたはアンタゴニストまたはアゴニストとして作用することが好ましい。本発明は異なる動物種由来の機能的にまたは構造的に関連する分子を含むSOCSのホモログにまでさらに拡張する。本発明はアナログおよび模倣物をも包含する。模倣物としては、必ずしも絶対ではないが、一般に非−アミノ酸構造を持つ分子やそれが模倣しているタンパク質、この場合はSOCSに類似の方法で機能的に作用することができる分子のクラスが挙げられる。模倣物は炭水化物、芳香環、リピドまたは他の複雑な化学構造を含むことができ、あるいは組成的にタンパク性であることもできる。本発明で提供される模倣物並びにアゴニストおよびアンタゴニストは、珊瑚、海水および淡水の河床、植物相および微生物などの環境の系統的探索により特定することが便利である。これはしばしば天然産物スクリーニングと呼ばれる。また、化学合成化合物のライブラリーも潜在的に有用な分子としてスクリーニングすることができる。
【0082】
上述のように、本発明はSOCSのアゴニストおよびアンタゴニストを提供する。アンタゴニストの一つの例はアンチセンス・オリゴヌクレオチド配列である。有用なオリゴヌクレオチドはヌクレオチド配列のタンパク質をコードする配列すなわち「センス」配列の少なくとも一部に相補的なヌクレオチド配列を有するものである。これらのアンチ−センスヌクレオチドは遺伝子発現の特異的阻害を行わせるために使用することができる。このアンチセンス・アプローチは、どうやらアンチセンス構築物と標的mRNAの間の相補的塩基対合によりアンチ−パラレル2本鎖を形成することにより、遺伝子発現の阻害を惹起することができるのである。おそらく翻訳のハイブリッド形成による逮捕を生ずるのであろう。リボザイムおよびコ−サプレッション分子も使用することができる。アンチセンス分子および他の核酸分子は、細胞膜を透過するためおよび/または血清半減期を増大させるためまたはイン・ビボ投与のため、それ自体をより安定にすべく、まず化学的に修飾される必要がある場合がある。抗体はSOCSタンパク質の診断的適用または精製により有用であるが、アンタゴニストまたはアゴニストとして作用することもできる。アンタゴニストおよびアゴニストは天然産物のスクリーニングまたは化学的化合物のライブラリーのスクリーニングの結果同定することもでき、またはSOCS分子の誘導体またはアナログであることもできる。
【0083】
従って、本発明は本発明のSOCSタンパク質のアナログにまで及ぶ。アナログは、例えば、自己免疫、免疫抑制または免疫機能亢進または造血系、内分泌系、肝臓系および神経系における機能不全などの、これに限定する訳ではないが、他の病態などのサイトカインにより媒介される機能不全の治療または予防に使用することができる。ホルモンまたは内因性または外因性分子、抗原、微生物および微生物産物、ウイルスまたはその成分、イオン、ホルモンおよび寄生体などの他のシグナル伝達要素により媒介される機能不全も本発明の対象である。
【0084】
本明細書で提供されるタンパク質のアナログとしては、これに限定される訳ではないが、側鎖の修飾、ぺプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の合成の間における非天然型アミノ酸および/またはそれらの誘導体の取り込みおよび架橋剤やタンパク性分子またはそれらのアナログに対しコンホーメーション上の制約を課す他の方法の使用が挙げられる。
【0085】
本発明が提供する側鎖の修飾の例としては、アルデヒドとの反応後NaBH4 で還元する還元的アルキル化、メチルアセチミデートを用いるアミジン化、無水酢酸を用いるアシル化、シアネートを用いるアミノ基のカルバモイル化、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を用いるアミノ基のトリニトロベンジル化、無水コハク酸および無水テトラヒドロフタル酸を用いるアミノ基のアシル化などのアミノ基の修飾、およびピリドキサル−5−リン酸塩を用いその後NaBH4 で還元するリシンのピリドキシル化が挙げられる。
【0086】
アルギニン残基のグアニジン基は2,3−ブタンジオン、フェニルグリオキサルおよびグリオキサルなどの試薬を用いる複素環縮合産物の形成により修飾することができる。
【0087】
カルボキシル基はカルボジイミド活性化により、O−アシルイソウレア形成を経て、その後に続く、例えば対応するアミドへの誘導により、修飾することができる。
【0088】
スルフヒドリル基はヨード酢酸またはヨードアセトアミドを用いるカルボキシメチル化、システイン酸への過蟻酸酸化、他のチオール化合物との混合ジスルフィドの形成、マレイミド、無水マレイン酸または他の置換マレイミドを用いる反応、4−クロロマーキュリ安息香酸、4−クロロマーキュリフェニルスルホン酸、フェニルマーキュリクロリド、2−クロロマーキュリ−4−ニトロフェノールおよび他の水銀剤を用いる水銀誘導体の形成、アルカリpHでシアネートを用いるカルバモイル化などの方法により修飾することができる。
【0089】
トリプトファン残基は、例えば、N−ブロモスクシンイミドを用いる酸化または2−ヒドロキシ−5−ニトロベンジルブロミドまたはスルフェニルハライドを用いるインドール環のアルキル化により修飾することができる。
【0090】
他方、チロシン残基はテトラニトロメタンでニトロ化して3−ニトロチロシン誘導体を形成することにより変換することができる。
【0091】
ヒスチジン残基のイミダゾール環の修飾はヨード酢酸誘導体を用いるアルキル化またはジエチルピロカルボネートを用いるN−カルベトキシル化を行うことができる。
【0092】
ぺプチド合成の間に非天然アミノ酸および誘導体を取り込む例としては、ノルロイシン、4−アミノ酪酸、4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸、6−アミノヘキサン酸、t−ブチルグリシン、ノルバリン、フェニルグリシン、オルニチン、ザルコシン、4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン酸、2−チエニルアラニンおよび/またはアミノ酸のD−異性体が挙げられる。本発明が予定する非天然型アミノ酸のリストは表3に示してある。
【0093】
【表3】




【0094】
架橋剤は、例えば、n=1からn=6までのスペーサー(CH2n を持つ2官能性イミドエステル、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミド・エステルなどのホモ−2官能性架橋剤およびN−ヒドロキシスクシンイミドなどのアミノ−反応性部分とマレイミドまたはジチオ部分(SH)またはカルボジイミド(COOH)などの特異的反応性部分の別の基とを通常含むヘテロ−2官能性試薬を用い、3Dコンホーメーションを安定化するために使用することができる。さらに、ぺプチドは、例えば、CαおよびNα−メチルアミノ酸の取り込み、アミノ酸のCα原子とCβ原子の間に二重結合の導入およびN末端とC末端の間、二つの側鎖の間または側鎖とNまたはC末端の間にアミド結合を形成するなどの共有結合の導入による環状ぺプチドまたはアナログの形成によりコンホーメーション的に制約することができる。
これらのタイプの修飾は、個体に投与されあるいは診断試薬として使用されるとき、サイトカイン類を安定化するために重要である。
【0095】
本発明が予定する他の誘導体は、完全にグリコシル化されていない分子から修飾されグリコシル化された分子までのある範囲のグリコシル化変異体を含む。変更されたグリコシル化パターンは異なる宿主細胞での組換え分子の発現から生じうる。
【0096】
本発明の別の態様は、哺乳類におけるSOCSタンパク質の発現を調節する方法であって、SOCS遺伝子の発現の制御に関与するSOCSをコードする遺伝子または因子/要素を、SOCSの発現を高レベルで調節または低レベルで調節またはその他の仕方で調節するのに十分な時間および条件の下で、SOCS発現のモジュレーターの有効量と接触させる工程を含む方法に関する。モジュレーターの一例はIL−6またはSOCS発現の他の転写レギュレーターなどのサイトカインである。
発現は転写または翻訳または両方を含む。
【0097】
本発明の別の側面はヒトにおけるSOCSの活性を調節する方法であって、SOCS活性を増加まため減少させるのに十分な時間および条件の下である分子の調節有効量を該ヒトに投与することを含む方法に関する。この分子はタンパク性の分子でも、化学的実体であってもよく、そしてSOCSの誘導体でもまたは化学的アナログまたは切断変異体であってもよい。
【0098】
本発明のさらなる側面は、SOCSの誘導合成方法またはSOCSの転写/翻訳方法であって、SOCS遺伝子を含む細胞を該SOCSが産生するのに十分な時間および条件の下で該SOCSを誘導することができるサイトカインの有効量と接触させる工程を含んでなる方法を提供する。例えば、SOCS1はIL−6により誘導することができる。
【0099】
本発明のさらなる側面は細胞中のSOCSタンパク質のレベルを調節する方法であって、SOCS遺伝子を含む細胞を、該SOCSタンパク質のレベルを調節するのに十分な時間および条件の下でSOCS遺伝子発現またはSOCSタンパク質活性のモジュレーターの有効量と接触させる工程を含んでなる方法に関する。
【0100】
本発明のさらなる側面は、SOCS遺伝子を含む細胞中でのシグナル伝達を調節する方法であって、該細胞を、シグナル伝達を調節するのに十分な時間、SOCS遺伝子発現またはSOCSタンパク質活性のモジュレーターの有効量と接触させる工程を含んでなる方法に関する。
【0101】
本発明のさらなる側面は、少なくともその一方の細胞がSOCS遺伝子を保持する細胞間の相互作用に影響を与える方法であって、SOCS遺伝子を保持する細胞を、シグナル伝達を調節するのに十分な時間SOCS遺伝子発現またはSOCSタンパク質活性のモジュレーターの有効量と接触させる工程を含む方法に関する。
【0102】
上述のように、本発明はある範囲の模倣物すなわちSOCSのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用することができる小分子に関する。このような分子は珊瑚、土壌、植物または大洋または南極の環境からなどの天然産物スクリーニングから得ることができる。また、ぺプチド、ポリペプチドまたはタンパク質ライブラリーまたは化合物ライブラリーも容易にスクリーニングすることができる。例えば、SOCSを発現するM1細胞はIL−6の存在下では分化を受けない。この系はIL−6およびSOCSの存在下に分化させる分子をスクリーニングするために使用することができる。ある範囲のテスト細胞はある範囲のサイトカインに対するアンタゴニストおよびアゴニストをスクリーニングするために調製することができる。このような分子は小分子であることが好ましく、そしてアミノ酸起源または化学起源であることができる。シグナル形成タンパク質(例えば、JAKS)と相互作用するSOCS分子はこの相互作用を妨害または増進させる分子を検出するための分子篩を提供する。このようなスクリーニングプロトコルは天然産物スクリーニングを包含する。
【0103】
従って、本発明はSOCSまたはその誘導体またはSOCS発現またはSOCS活性のモジュレーターおよび一つ以上の薬学的に許容され得る担体および/または希釈剤を含んでなる薬剤組成物に関する。これらの成分は「活性成分」と呼ばれる。本発明のこれらおよびその他の側面はSOCS1からSOCS15までの、しかしこれらに限定されないが、どのSOCS分子にも当てはまる。
【0104】
注射可能な使用に適する活性成分を含む薬剤剤形としては、滅菌水溶液(水溶性の場合)、滅菌注射用溶液の用時調製のための滅菌粉末が挙げられる。それは製造および貯蔵の条件下で安定でなければならずそして細菌やカビなどの微生物の汚染作用から保護されねばならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液状プロピレングリコール、および同種のもの)、適当なそれらの混合物、および植物油を含む溶媒または分散培地であることができる。適当な流動性は、例えばリシチンなどの被覆の使用により、分散剤の場合は要求される粒子サイズの維持によりそして界面活性剤の使用により、維持することができる。微生物の作用の防止は種々の抗細菌剤および抗カビ剤、例えば、パラべン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チルメロサルおよび同種のものにより行うことができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖類または塩化ナトリウムを含めることが好ましい。注射可能な組成物の長期間吸収は、組成物中における吸収遅延剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの使用により行うことができる。
【0105】
滅菌注射可能溶液は、活性化合物の要求される量を、必要なときは上に挙げた様々な他の成分と共に、適当な溶媒に取り込ませ、濾過滅菌することにより調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合には、好ましい調製法は真空乾燥法および凍結乾燥法である。これらの方法はその予め滅菌−濾過された溶液から活性成分プラス付加的な望みの成分の粉末を形成させる。
【0106】
活性成分は適当に保護すると、例えば、不活性希釈剤または資化性の消化される担体と共に経口投与することができ、あるいは柔いまたは硬い殻のカプセルの中に封入することができ、あるいは錠剤に圧縮することができる。経口治療投与のためには、活性化合物は賦形剤と共に取り込まれ、消化しうる錠剤、バッカル錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハースおよび同種のものの形で使用される。このような組成物および調製物は活性成分を少なくとも1重量%含むべきである。組成物および調製物のこのパーセンテージは、もちろん、変動しうるものであり、その単位の重量の約5%と約80%の間にあるのが便利である。このような治療上有用な組成物中の活性化合物の量は適当な投与量が得られるようなものである。本発明の好ましい組成物および調製物は経口投与単位剤形が約0.1μgと2000mgの間の活性化合物を含むように調製される。
【0107】
錠剤、トローチ、ピル、カプセルおよび同種のものは以下にリストされるような成分をも含むことができる。ゴム、アカシアゴム、コーンスターチまたはゼラチンなどのバインダー、リン酸カルシウムなどの賦形剤、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸および同種のものなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、およびスクロース、乳糖またはサッカリンなどの甘味剤を添加することができ、ペパーミント、ウインターグリーン油またはチェリーフレーバなどの香味剤なども添加できる。投与量単位剤形がカプセルの場合は、それは上記のタイプの物質に加えて液状の担体を含むことができる。被覆剤や投与量単位の物理的剤形を別のものに修飾するための他の様々な物質が存在する。例えば、錠剤、ピル、またはカプセルはセラック、糖または両方で被覆することができる。シロップまたはエリキシルは活性化合物、甘味剤として砂糖、防腐剤としてメチルおよびプロピルパラベン、色素およびチェリーまたはオレンジ香を含むことができる。もちろん、どの投与量単位剤形の調製に使用される物質もすべて薬学的に純粋で使用する量では実質的に無毒であるべきである。さらに、この活性化合物(単数または複数)は放出制御用調製物および製剤に含めることができる。
本発明はクリーム、ローションおよびゲルなどの局所適用に適する剤形をも包含する。
【0108】
薬学的に許容され得る担体および/または希釈剤は、溶媒、分散培地、被覆剤、抗細菌および抗カビ剤、等張剤および吸収遅延剤、および同種のもののいずれかおよびすべてを含む。薬学的に活性な物質のためのこのような培地および物質の使用は当技術分野で良く知られている。通常の培地や物質がこの活性成分と不適合である場合を除き、本治療用組成物におけるそれらの使用が予定される。補助的な活性成分をこの組成物に取り込むことも可能である。
【0109】
投与の容易さおよび投与量の均一性のため、投与量単位剤形の非経口用組成物を製剤化することは特に有利である。本明細書で使用するとき投与量単位剤形とは、治療対象哺乳類に対し単位投与量として適当化された物理的に別々の単位であって、各単位は必要な薬学的担体と結合させた、要求される治療効果を発揮するように計算された活性物質の予め定められた量を含んでいるものを指す。本発明の新規な投与量単位剤形についての仕様は、(a)活性物質のユニークな特性および達成すべき特定の治療効果、および(b)本明細書に詳細に開示されているように身体の健康が害されている疾病状態を持つ生体の疾病を治療するためにこのような活性物質を混合する技術に固有の限界により定まり、そして直接左右される。
【0110】
主要な活性成分は、便利かつ有効な投与のために、上に開示されたような投与量単位剤形中に、その有効量が適当な薬学的に許容され得る担体と混合される。単位投与剤形は、例えば、0.5μgから約2000mgまでの範囲の量の主活性化合物を含むことができる。比率で表すと、活性化合物は一般に担体のmg当たり約0.5μgから約2000mg存在する。補助的活性成分を含む組成物の場合は、投与量は該成分の通常の投与量および投与方法を参照することにより定められる。有効量も体重kg当たりの量の用語で表すのが便利である。例えば、体重kg当たり約0.01ngから約10,000mgまでが投与されうる。
【0111】
本薬剤組成物は標的細胞をトランスフェクトすることができるベクターであって、SOCS発現またはSOCS活性を調節することができる核酸分子を保持するベクターなどの遺伝分子を含むこともできる。このベクターは、例えば、ウイルスベクターであることができる。これに関して、ある範囲の遺伝子治療であって、ある細胞を単離する工程、遺伝的に操作する工程およびその細胞を同一主体または遺伝的に関連のあるまたは類似の主体に戻す工程を含む遺伝子治療は本発明に含まれる。
【0112】
本発明のさらに別の側面はSOCSおよびその誘導体に対する抗体に関する。このような抗体はモノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でもよく、SOCSに対して天然に生ずる抗体から選択することもでき、あるいはSOCSまたはその誘導体に対し特異的に誘発させることもできる。後者の場合、SOCSまたはその誘導体はキャリア分子とまず結合することが必要である。本発明の抗体および/または組換えSOCSまたはその誘導体は治療薬または診断薬として特に有用である。
【0113】
例えば、SOCSおよびその誘導体はSOCSに対して天然に生ずる抗体をスクリーニングするのに使用することができる。また、特定の抗体はSOCSをスクリーニングするために使用することができる。このような検定のための技法としては、当技術分野で良く知られており、例えば、サンドイッチ検定およびELISAが挙げられる。SOCSレベルの知識は、ある種の癌または癌に対する素因の診断に、またはサイトカインにより媒介される細胞応答性の監視にまたはある種の治療のプロトコルに重要である。
【0114】
本発明のSOCSに対する抗体はモノクローナルでもポリクローナルでもよい。また、Fab断片などの抗体の断片も使用することができる。さらに、本発明は組換えおよび合成抗体および抗体ハイブリッドにも及ぶ。「合成抗体」とは本明細書では抗体の断片およびハイブリッドを含むと考える。本発明のこの側面の抗体は免疫治療に特に有用であり、アポプトシスを評価するためまたは治療計画プログラムを監視するための診断用具としても使用することができる。
【0115】
例えば、特定の抗体はSOCSタンパク質をスクリーニングするために使用することができる。後者は、例えば、細胞抽出物または他の生物体液中のSOCSレベルをスクリーニングする手段または培養上清から組換え手段により作られたSOCSを精製する手段として重要となるであろう。本明細書で予定される検定技法は当技術分野でよく知られており、例えば、サンドイッチ検定およびELISAが挙げられる。
【0116】
上述の第1の抗体に対するいかなる第2の抗体(モノクローナル、ポリクローナルまはた抗体の断片または合成抗体)を含めることも本発明の範囲内にある。第1および第2の抗体は両方とも検出検定に使用することができ、あるいは第1の抗体は市販の抗−免疫グロブリン抗体と共に使用することができる。本発明で予定される抗体には、SOCSのどの領域に対しても特異的ないかなる抗体も含まれる。
【0117】
ポリクローナルおよびモノクローナル抗体は両者とも酵素またはタンパク質で免疫化することにより得ることができ、いずれのタイプも免疫検定に利用可能である。両タイプの血清を得る方法も当技術分野でよく知られている。ポリクローナル血清はあまり好ましくないが、適当な実験室動物にSOCSまたはその抗原部分の有効量を注射し、該動物から血清を集め、そして既知の免疫吸着技法のいずれかにより特定の血清を単離することにより比較的容易に調製することができる。この方法により作られる抗体は実際にどのタイプの免疫検定にも利用することができるが、この生産物が潜在的に不均一であることから、一般的にはあまり好ましくない。
【0118】
免疫検定におけるモノクローナル抗体の使用は、大量にそれを製造することができることおよびその生産物が均一であることから、特に好ましい。不死化細胞系と免疫原調製物に対して感作させたリンパ球を融合させることにより作成されるモノクローナル抗体生産用のハイブリドーマ細胞系の調製は、当技術分野の熟練者によく知られた技法により行うことができる。
【0119】
本発明の別の側面は主体からの生物試料の中のSOCSを検出する方法であって、抗体−SOCS複合体が形成するのに十分な時間および条件の下で該生物試料をSOCSまたはその誘導体またはホモログに特異的な抗体と接触させる工程および次いで該複合体を検出する工程を含んでなる方法に関する。
【0120】
SOCSの存在は、ウエスタンブロッティング法およびELISA法などの幾つかの方法で行うことができる。米国特許第4,016,043号、第4,424,279号および第4,018,653号を参照すれば見ることができるように、広範囲の免疫検定法が利用可能である。これらは、もちろん、1部位および2部位の両検定法または非競争型の「サンドイッチ」検定法並びに伝統的な競争的結合検定を含む。これらの検定法は標識化抗体の標的への直接結合をも含む。
【0121】
サンドイッチ検定法は中でも最も有用であり、普通に使用される検定法であり、本発明でも使用することが好ましい。サンドイッチ法には幾つかの変法が存在し、そのすべてが本発明に包含される。簡単に述べれば、代表的なホワード検定では、未標識抗体が固体基質上に固定化されそしてテストすべき試料が結合した分子と接触させられる。適当な時間、抗体−抗原複合体の形成を行わせるのに十分な時間インキュベートした後、その抗原に特異的な第2の抗体であって、検出可能なシグナルを生じることができるレポーター分子で標識化されたものを添加し、インキュベートして、抗体−抗原−標識化抗体という別の複合体の形成に十分な時間を与える。未反応物質をすべて洗い流し、抗原の存在をレポーター分子が生ずるシグナルの観察により測定する。この結果は可視的シグナルの単なる観察による定性的なものか、ハプテンの既知量を含む対照試料と比較することによる定量的なものとなる。ホワード検定の変法には、同時検定が含まれる。この方法では、試料と標識化抗体の両方が結合した抗体に同時に添加される。これらの方法は当技術分野の熟練者によく知られており、容易に明らかなように、僅かな改良はすべて含まれている。本発明によれば、試料は細胞抽出物、組織生検またはおそらく血清、唾液、粘膜分泌物、リンパ液、組織液および呼吸液などの、SOCSを含むかも知れない試料である。従って、試料は一般に生体液を含む生物試料であるが、醗酵液や細胞培養由来の上清なども含まれる。
【0122】
典型的なホワードサンドイッチ検定法では、SOCSまたはその抗原性部分に対し特異性を有する第1の抗体を固体表面に共有結合的にまたは受動的に結合させる。この固体表面は典型的にはガラスまたはポリマーであり、最も普通に使用されているのはセルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、塩化ポリビニルまたはポリプロピレンである。この固体支持体は管、ビーズ、ミクロプレートのディスクなどの形態あるいは免疫検定を行うのに適する他のどのような表面でもよい。結合法は当技術分野でよく知られており、一般に、架橋的な共有結合または物理的な吸着から成り、ポリマー−抗体複合体はテスト試料の準備として洗浄される。次に、テスト試料の一部を固相の複合体に添加し、十分な時間の間(例えば、2〜40分間または便利なときは一晩)適当な条件(例えば、室温から37℃)の下でインキュベートしてこの試料中に存在するサブユニットを結合させる。インキュベーション期間の後、抗体サブユニット固相を洗浄し乾燥し、そしてハプテンのある部分に特異的な第2の抗体と共にインキュベートする。この第2の抗体はレポーター分子と結合しており、これがハプテンと第2の抗体との結合を証明するために用いられる。
【0123】
別の方法は、生物試料中に存在する標的分子を固定化することおよびそれに続く固定化標的を特異的抗体(これはレポーター分子で標識していてもしていなくてもよい)に曝露することを含む方法である。標的の量およびレポーター分子のシグナルの強さに依存して、結合した標的はこの抗体による直接標識化により検出することができる。また、第1の抗体に特異的な第2の標識化された抗体を標的−第1抗体複合体に接触させ、標的−第1抗体−第2抗体という三次複合体を形成させる。この複合体はレポーター分子が発するシグナルにより検出される。
【0124】
本明細書で用いるとき「レポーター分子」とは、その化学的性質により、抗原−結合抗体の検出を可能とする分析的に確認可能なシグナルを提供する分子を意味する。検出は定性的でも定量的でもよい。このタイプの検定に最も普通に用いられる分子は、酵素、発蛍光団または放射性核種を含む分子(すなわち、放射性同位元素)および化学発光分子である。
【0125】
酵素免疫検定法の場合には、酵素は、一般にグルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩を用いて第2の抗体に結合させる。しかしながら、容易に分かるように、極めて多様な異種の結合法が存在し、これらは熟練した職人には容易に利用可能である。普通に用いられる酵素は、中でも、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ、グルコース・オキシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼおよびアルカリホスファターゼである。特定の酵素と共に用いるべき基質は一般に対応する酵素により加水分解されたときの、検出可能な色変化の発生に基づいて選択される。適当な酵素の例としては、アルカリホスファターゼおよびペルオキシダーゼが挙げられる。蛍光発生基質を選択することも可能である。これは上記の発色性基質とは異なり蛍光性産物を生ずる。すべての場合に、酵素−標識化抗体が第1抗体ハプテン複合体に添加され、結合させられ、ついで過剰の試薬が洗い流される。次に、この抗体−抗原−抗体の複合体に適当な基質を含む溶液を添加する。基質は第2の抗体に結合した酵素と反応し、定性的な可視シグナルを生じ、これはさらに通常分光光学的に定量化され、試料中に存在したハプテンの量の指標を与える。「レポーター分子」は細胞凝縮またはラテックス上の赤血球などの凝集阻害の使用、および同種のものに拡張される。
【0126】
また、フルオレセインおよびローダミンなどの蛍光性化合物は抗体の結合能を変えることなく抗体に化学的に結合させることができる。特定波長の光で照射することにより活性化すると、蛍光色素−標識化抗体はその光エネルギーを吸収し、その後に分子中で励起状態を誘発し、光学顕微鏡で可視的に検出可能な特徴的な色の光を放射する。EIAの場合のように、蛍光標識抗体は第1抗体−ハプテン複合体に結合させられる。結合していない試薬を洗い流した後、残っている三次複合体を次に適当な波長の光に曝露すると、観察される蛍光は目的のハプテンの存在を示す。免疫蛍光法およびEIA法は両方とも当技術分野で極めてよく確立されており、本方法にとっても特に好ましい。しかしながら、放射性同位元素、化学発光分子または生物発光分子などの他のレポーター分子も採用することができる。
【0127】
本発明はSOCS遺伝子またはその誘導体を検出するためPCR分析を含むなどの遺伝子的検定法をも予定する。関連して用いられる別の方法(単数または複数)としては、ヌクレオチド直接配列決定法または一本鎖コンホーメーションポリモルフィズム分析(SSCP)、特異的オリゴヌクレオチドハイブリッド形成、直接タンパク質切断テストなどの方法などのミューテーション・スキャンニングが挙げられる。
【0128】
サイトカインはSOCS分子の一部の転写に関与しているから、SOCSの検出はサイトカインまたはサイトカイン活性に対する代理のマーカーを提供する。これは中でも、自己免疫、慢性関節リューマチ、糖尿病およびスティッフマン症候群などのある範囲の病態を持つ主体を評価する際に有用である。
【0129】
本発明の核酸分子はDNAかまたはRNAである。核酸分子がDNA型であるときは、それはゲノムDNAまたはcDNAである。本発明の核酸分子のRNA型は一般にmRNAである。
【0130】
本発明の核酸分子は一般に単離型であるが、それはベクター分子、殊に発現ベクター分子などの他の遺伝的分子に組み込まれ、または連結され、またはべつの仕方で融合され、または結合されることがある。ベクターおよび発現ベクターは一般に複製することができそして適用可能なときは原核細胞または真核細胞の一方または両方で発現することができる。原核細胞としては、好ましくは大腸菌、バチルス種およびシュードモナス種が挙げられる。好ましい真核細胞としては酵母、カビ、哺乳類および昆虫の細胞が挙げられる。
【0131】
従って、本発明の別の側面はベクター部分および哺乳類、より具体的にはヒトSOCS遺伝子部分を含んでなる遺伝子構築物であって、SOCS遺伝子部分がSOCSポリペプチドまたはその機能的または免疫学的相互作用のできる誘導体をコードすることができるものである構築物に関する。
【0132】
この遺伝子構築物のSOCS遺伝子部分はベクター上のプロモーターに機能的にリンクしており、該プロモーターが該SOCS遺伝子部分の適当な細胞中での発現を指令することができるものであることが好ましい。
【0133】
さらに、この遺伝子構築物のSOCS遺伝子部分はグルタチオン−S−トランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列などの別の遺伝子配列に融合した遺伝子の全部または一部を含むことができる。
本発明はこのような遺伝子構築物およびそれを含む原核細胞または真核細胞にも及ぶ。
【0134】
本発明は、突然変異体、一部、断片、部分、ホモログおよびアナログを含むSOCS誘導体のいずれかまたはすべて、または天然に生ずるヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に対する1個または多重のヌクレオチドまたはアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含むSOCSの遺伝配列をコードするものにも及ぶ。本発明はSOCSの模倣物およびアゴニストおよびアンタゴニストにも及ぶ。
【0135】
本発明のSOCSおよびその遺伝配列はある範囲の治療薬および診断薬の創製に有用であり、そして特定の細胞応答に関与するサイトカインまたはそのサイトカインに対する受容体の検出に特に有用である。例えば、SOCS1遺伝子を発現するM1細胞のように、SOCS遺伝子を発現する細胞は特定のサイトカイン、SOCS1の場合はIL−6に対し最早応答性がない。本発明がSOCS1からSOCS15までなどの何らかのSOCS遺伝子を発現するM1細胞などの細胞をさらに含むことは明らかである。さらに、本発明は治療効果のあるサイトカインの能力を調節しまたは高める分子の使用をも提供する。例えば、あるSOCS活性を阻害する分子は治療効果のあるサイトカインの活性(例えば、G−CSF)を増強するように作用しうる。
【0136】
可溶性のSOCSポリペプチドも、免疫過多、免疫抑制、アレルギー、高血圧および同種のものなどのサイトカインに媒介される細胞応答性に関する疾病、障害または異常の治療に特に有用であると期待される。
【0137】
本発明のさらなる側面は、サイトカインにより媒介される細胞応答性に関する病態を治療するための薬剤の製造におけるSOCSまたはその機能的誘導体の使用に関する。
【0138】
本発明はさらに、SOCS遺伝子を発現するトランスジェニック哺乳類細胞に関する。このような細胞はサイトカイン機能の抑制を検定するための有用な指標細胞系である。一つの例はSOCS遺伝子を発現するM1細胞である。このような細胞系はサイトカインのスクリーニングまたはサイトカインのアンタゴニストまたはアゴニストとして作用することができる植物、珊瑚、微生物または生物−有機的に活性な土壌または水由来の天然に生ずる分子などの分子のスクリーニングに有用でありうる。
【0139】
本発明はさらに、同一または異なる動物種由来の異種のSOCS間のハイブリッドに関する。例えば、ハイブリッドはマウスSOCS1とヒトSOCS1の全てまたは機能的部分間に形成される。また、このハイブリッドはマウスSOCS1とマウスSOCS2の全てまたは一部間でもよい。このようなハイブリッドはすべて本発明に関係し、そして多面的分子を開発する場合に特に有用である。
【0140】
本発明はさらに、欠陥のあるSOCS遺伝子を持つ個体をスクリーニングするある範囲の遺伝子に基づく診断検定をも提供する。
このような突然変異は特定のサイトカインに対する応答性を持たない細胞型あるいはある範囲の病態に至る過剰応答を生ずる。SOCS遺伝子配列は突然変異がこの遺伝子に存在するかどうかを決定するためのある範囲のPCRまたは他の技法を用いて容易に確認することができる。適当な遺伝子治療または他の介入治療(interventionist therapy)が次いで採用されうる。
本発明は下記の非−限定的実施例によりさらに説明される。
【0141】
実施例1〜16は活性に基づいて同定されたSOCS1、SOCS2およびSOCS3に関するものである。実施例17〜24は配列類似性に基づいて最初にクローニングされたSOCS4〜SOCS15の様々な側面に関するものである。実施例25〜36はそれぞれSOCS4〜SOCS15の特異的側面に関するものである。
【0142】
実施例1
細胞培養およびサイトカイン
M1細胞系はSLマウスに自発的に生じた白血病に由来した〔イチカワ,1969] 。本研究に用いた親M1細胞はウォルター・アンド・イライザ・ホール・インスティチュート・フォー・メディカル・リサーチ、メルボルン、ビクトリア、オーストラリアで約10年間継代されてきた。M1細胞は10%(v/v)ウシ胎児血清(FCS)を含むダルベッコの修正・イーグル培地(DME)中で毎週継代により維持した。組換えサイトカインは一般に市販品から入手可能であり、あるいは公開された方法により調製した。組換えマウスLIFは大腸菌で製造し、既に記述〔ギアリング,1989〕されているように精製した。精製ヒト・オンコスタチンMはペプロテック・インク(ロッキーヒル、NJ:USA)から購入し、そして精製マウスIFN−γはゲンザイム・ダイアグノスティクス(ケンブリッジ、MA、USA)から入手した。組換えマウストロンボポエチンはCHO細胞中でFLAGTM−標識融合タンパクとして製造された。
【0143】
実施例2
寒天コロニー検定法
サイトカインへの応答としてのM1細胞の分化を検定するため、300細胞をウシ胎児血清(FCS)20%(v/v)、0.3%(w/v)寒天およびIL−6、LIF、OSM、IFN−γ、tpoまたはデキサメタソン(シグマ・ケミカル・カンパニー、セントルイス、MI)の連続希釈液0.1mlを補給したDME1mlを含む35mmペトリ皿中で培養した。空気中10%(v/v)CO2 を含む完全な加湿雰囲気下で、37℃での培養7日後に、M1細胞のコロニーを計測し、そして細胞が分散した細胞から構成されるときまたは固く詰んだ中心の周りに分散した細胞のあるコロナを持つときは分化したと分類した。
【0144】
実施例3
レトロウイルス・ライブラリーの形成
cDNA発現ライブラリーは、ほとんど記述された通り〔レイナー,1994〕にして、因子−依存性造血細胞系FDC−P1から構築した。簡単に述べると、cDNAをレトロウイルスベクターpRUFneo中にクローン化し、ついで両種性パッケージング細胞系(PA317)中にトランスフェクトした。一過性に形成されたウイルスをトランスフェクションの48時間後に細胞上清から収穫し、そしてY2エコトロピック・パッケージング細胞を感染させるために使用し、高力価のウイルス−産生細胞系を形成させた。
【0145】
実施例4
M1細胞のレトロウイルス感染
106 感染Ψ2細胞のプールに照射(3000rad)し、106 M1細胞と共に10%(v/v)FCSおよび4μg/mlポリブレン(Polybrene)を補充したDME中で37℃で2日間培養した。IL−6に不応答のクローンを選択するため、レトロウイルス感染M1細胞をDME中で一度洗浄し、そして400μg/mlゲネティシン(geneticin)(ギブコBRL、Grand Island、NY) および100ng/mlのIL−6を含む1ml寒天培養中で約2×104 細胞/mlで培養した。M1細胞の感染効率は、ゲネティシンのみの存在下で感染細胞をアガープレーティングにより評価したとき、1〜2%であった。
【0146】
実施例5
PCR
レトロウイルス感染M1細胞由来のゲノムDNAをSacIで消化し、次いでフェノール/クロロホルム抽出DNAの1μgをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。組み込まれたレトロウイルス由来のcDNA挿入物の増幅に使用されたプライマーは、ベクターgag配列の多重クローニング部位の5’側約30bpに相当するGAG3(5’CACGCCGCCCACGTGAAGGC3’〔配列番号:1〕)およびpMC1neo配列の多重クローニング部位の3’側約200bpに相当するHSVTK(5’TTCGCCAATGACAAGACGCT3’〔配列番号:2〕)であった。このPCRは94℃で5分間の初期変性、94℃で1分間の35サイクル、56℃で2分間のアニーリング、および72℃で3分間の伸長、続いて最後に10分間の伸長を必要とした。PCR産物はゲルで精製し、ついでpGEM−Tプラスミド(プロメガ、マジソン、WI)中に連結し、そしてABI・PRISM・Dyeターミネーター・サイクル・シーケンシング・キットおよびモデル373オートメーティッドDNAシーケンサー(アプライド・バイオシステムズ・インク、フォスターシティー、CA)を用いて配列決定を行った。
【0147】
実施例6
cDNAのクローニング
マウスSOCS1をコードする独立のcDNAクローンをマウス胸腺cDNAライブラリーからほぼ記述された通りに(ヒルトンら,1994) 単離した。マウスSOCS1cDNAのヌクレオチド配列および予言されたアミノ酸配列をBLASTNおよびTFASTA(ピアソンおよびリップマン,1988、ピアソン, 1990、アルチクルら, 1990) を用いてデータベースと比較した。オリゴヌクレオチドはヒトSOCS1およびマウスSOCS1およびSOCS3をコードするESTからデザインし、市販のマウスの胸腺および脾臓のcDNAライブラリーをプローブするために使用した。配列決定は製造者の説明書に従ってABI自動化シーケンサーを用いて行った。
【0148】
実施例7
サザンおよびノーザンブロット分析およびRT−PCR
32P標識化プローブ類は、ランダム・デカヌクレオチド標識キット(ブレサテック、エイデルエイド、South Australia)を用い、プラスミドpPGKneo由来のネオマイシン・ホスホトランスフェラーゼをコードする600bpのPstI断片、1.4kbpのPCR産物のXhoI消化により得られたSOCS1遺伝子の1070bp断片、SOCS2、SOCS3、CISおよびニワトリのグリセルアルデヒド3−リン酸・デヒドロゲナーゼ遺伝子の1.2kbp断片から作成した〔ズガイチク,1983〕。
【0149】
ゲノムDNAはほぼ記述された通りのプロテイナーゼK−ドデシル硫酸ナトリウムを用い、細胞から単離した。15mgのDNAを、ほぼ記述された〔サムブルック,1989〕通り、BamHIかまたはSacIかで消化し、0.8%(w/v)アガロースゲル上で分画し、ジーンスクリーンプラス膜(デュポンNEN、ボストン、MA)に移転させ、プリハイブリッド形成、ランダムプライム化32P標識DNA断片とのハイブリッド形成を行い、そして洗浄した。
【0150】
トリゾール試薬を製造者が推奨するように用いて総RNAを細胞および組織から単離した〔ギブコBRL、グランドアイランド、NY〕。必要なときは、ポリA+mRNAはほぼ記述された通り精製した〔アレキサンダー,1995〕。ノーザンブロットは、記述されたように、プリハイブリッド形成、ランダム−プライム化32P標識DNA断片とのハイブリッド形成を行い、そして洗浄した。
【0151】
IL−6によるSOCS遺伝子の誘導を評価するため、マウス(C57BL6)に5μgIL−6を静脈注射し、続いて注射後の指示された時点で肝臓を収穫した。M1細胞を20ng/mlのIL−6の存在下に培養し、指示された時間に収穫した。RT−PCR分析のため、骨髄細胞を記述された(メタカーフら, 1995)ように収穫し、そしてある範囲のサイトカインの100ng/mlと共に37℃で1時間刺激した。RT−PCRは記述された(メタカーフら, 1995)ように総RNAについて行った。PCR産物はアガロースゲル上で分離し、そしてサザンブロットは各SOCSファミリーメンバーに対し特異的なプローブとハイブリッド形成を行わせた。β−アクチンの発現は増幅の均一性を確保するために評価した。
【0152】
実施例8
DNA構築物およびトランスフェクション
エピトープ標識化SOCS1をコードするcDNAは、SOCS1コード領域の全体をpEF−BOS発現ベクター〔ミズシマ,1990〕中にサブクローニングすることにより作成され、開始メチオニンの下流に同一枠のFLAGエピトープをコードするように工学処理をされた(pF−SOCS1)。すでに記述された〔ヒルトン,1994〕電気穿孔法を用い、トロンボポエチン受容体を発現するM1細胞(M1.mpl)を、AatIIで消化したpF−SOCS1発現プラスミドの20μgとその中ではピュロマイシンN−アセチルトランスフェラーゼをコードするcDNAの転写がマウスホスホグリセロキナーゼプロモーターにより駆動されるScaI−消化プラスミド(pPGKPuropA)の2μgとでトランスフェクトした。培養して48時間後に、トランスフェクトされた細胞を20μg/mlピュロマイシン(シグマ・ケミカル・カンパニ、セントルイス、MO)で選択し、そして製造者(イーストマン・コダック、ロチェスター、NY)の説明に従って、M2抗−FLAGモノクローナル抗体を用い、ウエスタンブロッティングによりSOCS1の発現をスクリーニングした。他の実験では、M1細胞はpF−SOCS1プラスミドだけまたは対照でトランスフェクトし、IL−6の100ng/mlの存在下に寒天中で生育するその能力により選択した。
【0153】
実施例9
免疫沈降およびウエスタンブロッティング
免疫沈降かウエスタンブロッティングの前に、107 M1細胞またはその誘導体を2回洗浄し、1mlのDMEに再懸濁し、そして37℃で30分間インキュベートした。ついで、この細胞を塩水かまたは100ng/mlのIL−6で37℃で4分間刺激した。その後、バナジウム酸ナトリウム(シグマ・ケミカル・コウ.セントルイス、MI)を1mMの濃度まで添加した。この細胞を氷の上に置き、1mMのバナジウム酸ナトリウムを含む塩水で1回洗浄し、ついで完全プロテアーゼ阻害剤(ベーリンガー・マンハイム、マンハイム、ドイツ)と1mMのバナジウム酸ナトリウムを含む300μlの1%(v/v)トリトンX−100、150mMのNaCl、2mMのEDTA、50mMのトリス−塩酸pH7.4中で氷上で5分間可溶化した。溶解物を遠心分離により澄明にし、クーマシータンパク検定試薬(ピアス、ロックフォード、IL)を用いて定量した。
【0154】
免疫沈降のためには、等濃度のタンパク抽出物(1〜2mg)を、4μgの抗−gp130抗体(M20,サンタ・クルス・バイオテクノロジー・インク.、サンタ・クルス、CA)かまたは4μgの抗−ホスホチロシン抗体(4G10,アプステート・バイオテクノロジー・インク.、レイクプラシド、NY)および15μlの包装容量のプロテインGセファロース(ファルマシア、ウプサラ、スエーデン)と共に4℃で1時間または一晩インキュベートした〔ヒルトンら,1996〕。免疫沈降物は完全プロテアーゼ阻害剤(ベーリンガー・マンハイム、マンハイム、ドイツ)と1mMのバナジウム酸ナトリウムを含む1%(v/v)NP40、150mMのNaCl、50mMのトリス−塩酸pH8.0中で2回洗浄した。この試料をSDS試料緩衝液(625mMのトリス−塩酸pH6.8、0.05%(w/v)SDS、0.1%(v/v)グリセロール、ブロモフェノール・ブルー、0.125%(v/v)の2−メルカプトエタノール)中で95℃で5分間加熱し、SDS−PAGEにより分画しそして上記のように免疫ブロットした。
【0155】
ウエスタンブロッティングのためには、細胞抽出物からのタンパク質または免疫沈降反応からの物質の10μgを4〜15%のレディゲル(バイオ−ラド・ラボラトリーズ、ハーキュルス、CA)上に負荷し、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により分離した。タンパク質をPVDF膜(ミクロン・セパレーションズ・インク.、ウエストバロ、MA)に100Vで1時間移転させた。この膜を下記の一次抗体でプローブした。すなわち、抗−チロシンリン酸化STAT3(1:1000希釈、ニューイングランド・ビオラブズ、ビーパリ、MA)、抗−STAT3(C−20,1:100希釈、サンタ・クルス・バイオテクノロジー・インク.、サンタ・クルス、CA)、抗−gp130(M20,1:100希釈、サンタ・クルス・バイオテクノロジー・インク.、サンタ・クルス、CA)、抗−ホスホチロシン(ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ−結合RC20,1:5000希釈、トランスダクション・ラボラトリーズ、レキシントンKY)、抗−チロシンリン酸化MAPキナーゼおよび抗−MAP−キナーゼ抗体(1:1000希釈,ニューイングランド・ビオラブズ、ビーバリ、MA)である。ブロットは製造者(ピアス、ロックフォード、IL)の説明に従ってペルオキシダーゼ−結合二次抗体および化学発光増強(ECL)試薬を用いて可視化した。
【0156】
実施例10
電気泳動移動度シフト検定
結合部位m67に対する高親和性SIF(c−シス−誘導因子)〔ワカオ,1994〕を用い、記述されたように検定を行った〔ノバク,1995〕。タンパク質抽出物は塩水か100ng/mlのIL−6かまたは100ng/mlのIFN−γを含む血清フリーDME10ml中で、37℃で4〜10分間インキュベートされたM1細胞から調製した。結合反応は4〜6μgタンパク質(一つの実験では一定)、5ngの32P−標識化m67オリゴヌクレオチド、および800ngの音波処理鮭精子DNAを含んでいた。ある実験では、タンパク質試料は、記述された〔ノバク,1995〕ように、過剰の非標識m67オリゴヌクレオチドまたはSTAT1(トランスダクション・ラボラトリーズ、レキシントンKY)かまたはSTAT3(サンタ・クルス・バイオテクノロジー・インク.、サンタ・クルス、CA)に対し特異的な抗体と共にプリインキュベートされた。
【0157】
ウエスタンブロットは、記述された(ニコラら,1996)ように、抗−チロシンリン酸化STAT3または抗−STAT3(ニューイングランド・ビオラブズ、ビーバリ、MA)または抗−gp130(サンタ・クルス・バイオテクノロジー・インク.)を用いて行った。EMSAは記述された〔ノバク,1995〕ように、m67オリゴヌクレオチドプローブを用いて行った。
【0158】
実施例11
サイトカインシグナル伝達の新規サプレッサーの発現クローニング
サイトカイン・シグナル伝達を抑制することができるcDNAを同定するため、発現クローニングのアプローチを採用した。この戦略はM1細胞、すなわち、成熟マクロファージに分化しそしてサイトカインIL−6、LIF、OSMおよびIFN−γ、およびステロイドであるデキサメタソンに応答して増殖を止める単球白血病細胞系に中心を置いた。親のM1細胞を、因子−依存性造血細胞系FDC−P1由来のcDNAがクローニングされているRUFneoレトロウイルスで感染させた。このレトロウイルスでは、ネオマイシン耐性遺伝子およびクローニングされたcDNAの転写がレトロウイルスLTR中に存在する強力な構成プロモーターにより駆動された(図1)。半固体寒天中で培養すると、親のM1細胞は大きな硬く詰まったコロニーを形成する。IL−6で刺激すると、M1細胞は急速な分化を受け寒天中に唯1個のマクロファージまたは小さな分散した細胞の集団の形成を生ずる。IL−6に非応答性であったレトロウイルス−感染M1細胞をIL−6およびゲネティシンの存在下に大きな硬く詰まったコロニーを形成するその能力により半固体寒天中で選択した。1個の安定なIL−6−非応答性クローンである4A2を、104 個の感染細胞の検討の後に得た。
【0159】
クローン4A2からのゲノムDNAのサザンブロットをプローブするために、ネオマイシン・ホスホトランスフェラーゼの断片(neo)を使用した。そしてこれにより、この細胞系が約1.4kbpの長さのcDNAを含む1個のレトロウイルスで感染されたことが明らかにされた(図2)。このcDNAクローニング部位の両側にあるレトロウイルスベクター由来のプライマーを用いるPCR増幅により、1.4kbpcDNA挿入物、これをサイトカイン・シグナル形成のサプレッサー−1、すなわち、SOCS−1と命名した、を回収することができた。このPCR産物を4A2ゲノムDNAの同様なサザンブロットをプローブするために使用し、そして二つの断片、一方は内因性のSOCS1遺伝子に相当するもの、他方は組み込まれたレトロウイルス中にクローニングされたSOCS1cDNAに相当し、neoプローブを用いて見られたバンドのサイズと合致していたもの、とハイブリッド形成をさせた(図2)。後者は無関係なcDNAを含むレトロウイルスで感染させたM1細胞クローン中では観察されなかった。同様に、ノーザンブロット分析により、SOCS1mRNAがこの細胞系4A2に豊富であるが、対照を感染させたM1細胞クローン中ではそうでないことが明らかとなった(図2)。
【0160】
実施例12
SOCS1、SOCS2、SOCS3およびCISはSH2−含有タンパク質の新規なファミリーを規定する
マウス胸腺cDNAライブラリーから相同なcDNAを単離するために、SOCS1PCR産物を使用した。このPCR産物と同一であると証明されたcDNAの配列は、SOCS1タンパク質の突然変異というより構成的または過剰発現を示唆するが、これはIL−6−非応答性表現型の生成には十分であった。SOCS1cDNAの配列をヌクレオチド配列データベースと比較すると、それはマウス染色体16上に見出されたプロタミン遺伝子群を含むマウスおよびラットのゲノムDNAクローン上に存在していた。より詳細な精査により、1.4kbpSOCS1配列はプロタミン遺伝子類のどれとも相同でなく、むしろこれらのクローンの3’最末端に位置する未だ未同定のオープン・リーディング・フレームを表していることが明らかとなった(図3)。SOCS1cDNAの配列とゲノム座の間には不連続の領域はなかった。このことはSOCS1が1個のエキソンによりコードされていることを示唆する。プロタミン遺伝子を含むゲノム座に加え、一連のマウスおよびヒトの発現され配列決定されたタグ(EST)もマウスSOCS1に対するヌクレオチド配列同定のための大きなブロックを明らかにした。ヒトESTにより与えられたこの配列情報はヒトSOCS1をコードするcDNAの迅速なクローニングを可能にした。
【0161】
マウスおよびラットのSOCS1遺伝子は212アミノ酸タンパクをコードするが、一方、ヒトSOCS1遺伝子は211アミノ酸タンパクをコードする。マウス、ラットおよびヒトのSOCS1タンパク質は95〜99%のアミノ酸同一を共有する(図9)。SOCS1の予言されたアミノ酸配列で翻訳された核酸データベースをサーチすると、最近クローニングされたサイトカイン誘導可能な直前遺伝子産物であるCISおよびESTの二つのクラスに最も関係することが明らかとなった。ESTの二つのクラスから全長cDNAを単離し、そしてこれらがSOCS1とCISに類似の長さおよび全体構造を持つタンパク質をコードすることを発見した。これらのクローンをSOCS2およびSOCS3と名づけた。4個のタンパク質はそれぞれ中央のSH2ドメインとSOCSモチーフと名づけられたC−末端領域を含む。SOCS1タンパク質は異なる種の間でも極めて高いレベルのアミノ酸配列類似性(95〜99%同一)を示す。しかしながら、同一動物由来のSOCS1、SOCS2、SOCS3およびCISの形は、明らかにSH2−含有タンパク質の新ファミリーを規定しながらも、より低いアミノ酸同一性を示した。SOCS2とCISはほぼ38%のアミノ酸同一性を示し、一方、このファミリーの残りのメンバーはほぼ25%のアミノ酸同一性を共有する(図9)。SOCS1とSOCS3に対する遺伝子のコード領域はイントロンを含まないように見えるが、SOCS2およびCISに対する遺伝子のコード領域は、それぞれ1個および2個のイントロンを含む。
【0162】
本明細書で言及した配列に対するゲンバンク寄託番号は、マウスSOCS1cDNA(U88325)、ヒトSOCS1cDNA(U88326)、マウスSOCS2cDNA(U88327)、マウスSOCS3cDNA(U88328)である。
【0163】
実施例13
ある範囲のサイトカインの作用を抑制するSOCS1の構成的発現
【0164】
4A2細胞系の表現型がSOCS1の発現に直接関係し、そしてこれらの細胞内で独立に起こりうる遺伝的変化とは無関係であることを正式に確立するため、EFIαプロモーターの制御の下にSOCS1のエピトープ−標識型をコードするcDNAを親のM1細胞およびトロンボポエチンの受容体であるc−mpl(M1.mpl)を発現するM1細胞中にトランスフェクトした。両細胞系中へのSOCS発現ベクターのトランスフェクションはIL−6に非応答性のM1細胞の頻度の増加をもたらした。
【0165】
ウエスタンブロットにより検出すると、M1細胞発現SOCS1の複数の独立クローンが4A2とは識別し得ないサイトカイン−非応答性表現型を発揮した。さらに、トランスフェクタントをピュロマイシン中で維持しなかったときは、SOCS1の発現が時間の経過と共に失われ、細胞はそれらのサイトカイン非応答性を再び獲得した。サイトカインの非存在下では、4A2およびクローンを発現する他のSOCS1由来のコロニーは対照M1細胞により形成されるコロニーよりも小さなサイズに成長する特徴をもっていた(図10)。
【0166】
ある範囲のサイトカインへのM1細胞の応答に対する構成的SOCS1発現の影響を、4A2細胞系およびSOCS1を発現するM1.mpl細胞のクローン(M1.mpl.SOCS1)を用いて研究した。親のM1細胞およびM1.mpl細胞と異なり、SOCS1を発現するこの二つの細胞系は増殖を続け、そしてIL−6、LIF、OSM、IFN−γのいずれかまたはM1.mpl.SOCS1細胞系の場合はトロンボポエチンに応答して分化したコロニーを形成することに失敗した(図4)。しかしながら、両細胞系については、デキサメタソンに対する正常な応答が観察され、このことはSOCS1が分化そのものよりもサイトカイン・シグナル伝達に特異的に影響を与えたことを示唆する。これらのデータと一致して、親のM1細胞およびM1.mpl細胞はIL−6に応答して大きくなりそして空胞を生じたが、4A2細胞およびM1.mpl.SOCS1細胞はIL−6または他のサイトカインに応答する形態的な分化の証拠を示さなかった(図5)。
【0167】
実施例14
SOCS1は、STAT3リン酸化および活性化を含むある範囲のIL−6シグナル伝達プロセスを阻害する
細胞表面受容体成分gp130、細胞質チロシンキナーゼJAK1および転写因子STAT3のリン酸化は、IL−6シグナル伝達における中心的役割を果たすと考えられる。これらの事象を親M1およびM1.mpl細胞系およびそれらのSOCS1発現タイプ中で比較した。予想されたように、gp130は両方の親系中でIL−6に応答して急速にリン酸化された。しかしながら、SOCS1を発現する細胞系中ではこれは5倍から10倍減少した(図6)。同様に、STAT3リン酸化もSOCS1を発現するこれらの細胞系中ではIL−6に応答してほぼ10倍まで減少した(図6)。STAT3リン酸化における減少と一致して、特異的STAT・DNA結合複合体の活性化も、電気泳動移動度シフト検定により測定すると、減少した。明らかに、SIF−A(STAT3を含む)、SIF−B(STAT1/STAT3ヘテロダイマー)およびSIF−C(STAT1を含む)の形成における減少があった(図7)。これら3個のSTAT複合体はIL−6で刺激されたM1細胞中で誘導されるものであった。同様に、SOCS1の構成的発現はp91ホモダイマーのIFN−γに刺激される形成をも阻害した(図7)。shcやMAPキナーゼを含む他のタンパクのリン酸化も同様な程度まで減少したので、STATのリン酸化および活性化がSOCS1発現によってもたらされた唯一の細胞質プロセスではなかった(図7)。
【0168】
実施例15
SOCS1遺伝子の転写はイン・ビトロおよびイン・ビボでIL−6により刺激される
SOCS1はM1細胞中で構成的に発現するときサイトカイン・シグナル伝達を阻害することができるが、これは必ずしもSOCS1がIL−6応答を負に調節することを正常な機能としていることを示すものではない。この可能性を研究するため、本発明者らは、SOCS1遺伝子の転写がIL−6に対するM1細胞の応答の中で調節されるか否かを決定し、そして傷害や感染に対する緊急の応答の調節においてIL−6が果たす決定的役割の故に、5mgのIL−6の静脈注射に対する肝臓の応答を測定した。IL−6の非存在下では、SOCS1mRNAはM1細胞でも肝臓でも検出不可能であった。しかしながら、両細胞タイプについて、IL−6により、1.4kbSOCS1転写物が20〜40分内に誘導された(図8)。実験の間中IL−6が存在していたM1細胞では、SOCS1mRNAのレベルは高く維持された(図8)。逆に、IL−6を1回の静脈注射によりイン・ビボに投与すると循環系から急速に消失し、肝臓にIL−6刺激のパルスが生じた。これと一致して、SOCS1mRNAの一過性の発現が肝臓で検出可能であった。そのピークは注射後ほぼ40分であり、4時間以内に基準レベルまで低下した(図8)。
【0169】
実施例16
SOCS遺伝子の調節
CISはサイトカイン誘導可能な直前遺伝子としてクローニングされたので、本発明者らはSOCS1、SOCS2およびSOCS3が同様に調節されるか否かを検討した。この4個のSOCS遺伝子の発現の基本パターンを雄および雌のC57B1/6マウスからの多種類の組織由来のmRNAのノーザンブロット分析で検討した(図11A)。SOCS1の構成的発現が胸腺で観察され、そしてより少ない程度であるが脾臓および肝臓でも観察された。SOCS2の発現は主として睾丸に限定され、一部の動物では肝臓および肺臓で観察された。SOCS3では、肺臓、脾臓および胸腺で低レベルの発現が観察されたが、CISの発現は睾丸、心臓、肺臓、腎臓および一部の動物では肝臓などを含みより広範囲であった。
【0170】
本発明者らは4個のSOCS遺伝子の発現がIL−6により調節されるか否かを決定した。未処理およびIL−6注射マウスの肝臓から、または未刺激およびIL−6刺激M1細胞から調製されたmRNAのノーザンブロットを、SOCS1、SOCS2、SOCS3およびCISのcDNAの標識化断片とハイブリッド形成をさせた(図11B)。4個のSOCS遺伝子のすべての発現はIL−6注射の後の肝臓で増加した。しかしながら、誘導の動力学は異なるように見えた。SOCS1およびSOCS3の発現は肝臓で一過性であり、mRNAはIL−6注射の20分後に検出可能でありそしてSOCS1については4時間以内、SOCS3については8時間以内に基準レベルまで減少した。肝臓中のSOCS2およびCISmRNAの誘導はSOCS1の初期動力学に類似の動力学に従ったが、少なくとも24時間は高いレベルに維持された。明らかに肺臓や脾臓を含む他の器官でも、SOCS遺伝子mRNAの同様な誘導が観察された。逆に、M1細胞では、SOCS1およびCISmRNAはIL−6により誘導されたが、SOCS2またはSOCS3の発現の誘導はいずれも検出されなかった。この結果は、同一サイトカインに対する応答において、SOCSファミリー遺伝子の発現における細胞タイプ特異的な相違を浮き彫りにする。
【0171】
SOCS遺伝子ファミリーの種々のメンバーの転写を誘導することができるサイトカインのスペクトルを検討するために、骨髄細胞をある範囲のサイトカインで1時間刺激し、その後mRNAを抽出し、そしてcDNAを合成した。次いで、SOCS1、SOCS2、SOCS3およびCISの発現を評価するためPCRを使用した(図11C)。刺激が存在しないときは、どのSOCS遺伝子の発現も骨髄中ではPCRにより検出することができなかった。広範囲のサイトカインで骨髄細胞を刺激すると、SOCSファミリーの一つ以上のメンバーに対するmRNAを高く調節することができるように見えた。例えば、IFNγは4個のSOCS遺伝子のすべての発現を誘導したが、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球−マクロファージ・コロニー刺激因子およびインターロイキン−3はSOCS2、SOCS3およびCISの発現を誘導した。腫瘍壊死因子α、マクロファージ・コロニー刺激因子およびインターロイキン−1も、これらはタイプIサイトカイン受容体クラスには属しない受容体を介して作用するが、SOCS3およびCISの発現を誘導することができるように見え、このことはSOCSタンパク質がシグナル伝達を調節する際により広い役割を果たし得ることを示唆する。
【0172】
SOCS1の構成的発現はM1細胞のある範囲のサイトカインに対する応答を阻害したから、本発明者らはIL−6シグナル伝達で中心的役割を果たすと考えられている細胞表面受容体gp130および転写因子STAT3のリン酸化が影響されるか否かを検討した。これらの事象は親のM1およびM1.mpl細胞系およびそれらのSOCS発現タイプで比較した。予想された通り、gp130は両方の親の系でIL−6に応答して急速にリン酸化された。しかしながら、これはSOCS1を発現する細胞系では減少した(図12A)。同様に、IL−6に応答するSTAT3のリン酸化もSOCS1を発現するこれらの細胞系で減少した(図12A)。STAT3のリン酸化の減少と一致して、特異的STAT/DNA結合複合体の活性化も、電気泳動移動度シフト検定により測定するとき、減少した。IL−6で刺激されたM1細胞中で誘導される主要なSTAT複合体である、SIF−A(STAT3を含む)およびSIF−B(STAT1/STAT3ヘテロダイマー)の形成に失敗があったことは明らかである(図12B)。同様に、SOCS1の構成的発現もIFNγ−刺激によるSIF−C(STAT1ホモダイマー、図12B)の形成を阻害した。これらの実験は、SOCS1が受容体の上流のシグナル伝達およびおそらくJAKキナーゼのレベルにおけるSTATのリン酸化を阻害するという提案と一致するものである。
【0173】
シグナル伝達および最終的にはサイトカインに対する生物学的応答を阻害するSOCS1の能力は、SH2を含むホスファターゼSHP−1〔イーレ,1994、イーら, 1993〕と同様に、SOCSタンパク質が、シグナル伝達プロセスを抑制することにより多様な範囲の細胞外刺激に対する細胞の応答の強さおよび/または期間を制御するのに中心的役割を果たしていることを示唆する。本明細書で提供した証拠は、SOCSファミリーがシグナル伝達に対し古典的なネガティブ・フィードバック・ループの中で作用することを示唆する。OSMなどの他の遺伝子のように、SOCSタンパク質をコードする遺伝子の発現はサイトカインによりSTATの活性化を通して誘導される。一度発現されると、SOCSタンパク質はJAKの活性を阻害しそして受容体およびSTATのリン酸化を減少させ、それによりシグナル伝達をそして後に続く生物学的応答をすべて抑制する。STATの活性化の阻害は、時間が経つと、SOCS遺伝子発現の減少をもたらし、細胞はサイトカインに対する応答性を再び獲得できるようになる。
【0174】
実施例17
データベースの探索
発現された配列タグ(EST)の主要なデータベースおよびヒトの発現された配列タグのTIGRデータベースを包含するNCBIの遺伝配列データベース(ゲンバンク)について、TFASTAおよびMOTIF/PATTERNアルゴリズム〔ピアソン,1990、コックウエルおよびガイルス, 1989〕を用いコンセンサスSOCSボックス配列に類似性を持つ配列を探索した。ソフトウエアパッケージSRS〔エツォルドら,1996〕を用い、SOCSボックス(およびcDNAの他の末端の配列決定から導かれたそれらのパートナー)に類似性を示したESTを取ってきて、オートアセンブラー(アプライド・バイオシステムズ、フォスターシティー、CA)を用いてコンティグに組立てた。重複するESTから導かれたコンセンサスヌクレオチド配列を次にBLASTN〔アルチュールら,1990〕を用いて種々のデータベースを探索するために使用した。再び、陽性のESTを取ってきてコンティグに加えた。このプロセスはさらなるESTが回収できなくなるまで繰り返した。次に最終的コンセンサスヌクレオチド配列をシークェンス・ナビゲーター(アプライド・バイオシステムズ、フォスターシティー、CA)を用いて翻訳した。
【0175】
新規なSOCSタンパク質をコードするESTは下記のものである。ヒトSOCS4(EST81149、EST180909、EST182619、ya99H09、ye70co4、yh53c09、yh77g11、yh87h05、yi45h07、yj04e06、yq12h06、yq56a06、yq60e02、yq92g03、yq97h06、yr90f01、yt69c03、yv30a08、yv55f07、yv57h09、yv87h02、yv98e11、yw68d10、yw82a03、yx08a07、yx72h06、yx76b09、yy37h08、yy66b02、za81f08、zb18f07、zc06e08、zd14g06、zd51h12、zd52b09、ze25g11、ze69f02、zf54f03、zh96e07、zv66h12、zs83a08およびzs83g08)。マウスSOCS−4(mc65f04:mf42e06:mp10c10:mr81g09:およびmt19h12)。ヒトSOCS−5(EST15B103:EST15B105:EST27530およびzf50f01)。マウスSOCS−5(mc55a01:mh98f09:my26h12およびve24e06)。ヒトSOCS−6(yf61e08、yf93a09、yg05f12、yg41f04、yg45c02、yh11f10、yh13b05、zc35a12、ze02h08、zl09a03、zl69e10、zn39d08およびzo39e06)。マウスSOCS−6(mc04c05、md48a03、mf31d03、mh26b07、mh78e11、mh88h09、mh94h07、mi27h04、およびmj29c05、mp66g04、mw75g03、va53b05、vb34h02、vc55d07、vc59e05、vc67d03、vc68d10、vc97h01、vc99c08、vd07h03、vd08c01、vd09b12、vd19b02、vd29a04およびvd46d06)。ヒトSOCS−7(STS/WI30171、EST00939、EST12913、yc29b05、yp49f10、zt10f03およびzx73g04)。マウスSOCS−7(mj39a01およびvi52h07)。マウスSOCS−8(mj6e09およびvj27a029)。ヒトSOCS−9(CSRL−82f2−u、EST114054、yy06b07、yy06g06、zr40c09、zr72h01、yx92c08、yx93b08およびhfe0662)。マウスSOCS−9(me65d05)。ヒトSOCS−10(aa48h10、zp35h01、zp97h12、zq08h01、zr34g05、EST73000およびHSDHEI005)。マウスSOCS−10(mb14d12、mb40f06、mg89b11、mq89e12、mp03g12およびvh53c11)。ヒトSOCS−11(zt24h06およびzr43b02)。ヒトSOCS−13(EST59161)。マウスSOCS−13(ma39a09、me60c05、mi78g05、mk10c11、mo48g12、mp94a01、vb57c07およびvh07c11)。ヒトSOCS−14(mi75e03、vd29h11およびvd53g07)。
【0176】
実施例18
cDNAクローニング
重複ESTから導かれたコンセンサス配列に基づいて、SOCSファミリーの種々のメンバーに特異的なオリゴヌクレオチドを設計した。上述のように、オリゴヌクレオチドを標識化し、λバクテリオファージにクローニングされた市販のゲノムおよびcDNAライブラリーをスクリーニングするために使用した。マウスSOCS−4、マウスSOCS5およびマウスSOCS6の全コード領域をカバーするゲノムおよび/またはcDNAクローンが単離された。SOCS15に対する全遺伝子はヒト12p13BAC(ゲンバンク寄託番号HSU47924)およびマウス染色体6BAC(ゲンバンク寄託番号AC002393)の上にある。マウスSOCS7、SOCS9、SOCS10、SOCS11、SOCS12、SOCS13およびSOCS14に対する部分cDNAも単離された。
【0177】
実施例19
ノーザンブロットおよびrtPCR
ノーザンブロットは上述のように行った。ハイブリッド形成プローブの起源は次のものであった。 (i)マウスSOCS1cDNAの全コード領域、(ii)SH2ドメインの上流のSOCS5のコード領域から誘導される1059bpPCR産物、(iii) マウスSOCS6
cDNAの全コード領域、(iv)部分的SOCS7cDNAのコード領域から誘導される790bpPCR産物、および(v) ニワトリのグリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)cDNAの1200bpのPstI断片。
【0178】
実施例20
SOCSファミリーの付加的メンバー
SOCS1、SOCS2およびSOCS3は実施例1〜16で同定されたSOCSタンパク質ファミリーのメンバーである。それぞれは中央のSH2ドメインとSOCSボックスと名付けられたC−末端の保存されたモチーフを含む。このタンパク質ファミリーのさらなるメンバーを単離するため、SOCSボックスの保存された残基に対応するアミノ酸配列を用いて種々のDNAデータベースを探索した。この探索により、SOCSタンパク質ファミリーのさらなる12のメンバーをコードするヒトおよびマウスESTの存在が明らかになった(図13)。この配列情報を用いてSOCS4、SOCS5、SOCS6、SOCS7、SOCS9、SOCS10、SOCS11、SOCS12、SOCS13、SOCS14およびSOCS15をコードするcDNAが単離された。ESTおよびcDNAから誘導されるコンティグのさらなる解析からSOCSタンパク質がSOCSボックスのN末端のそれらの予言された構造に従って3グループに分けられることが明らかとなった。この三つのグループとは(i) SH2ドメインをもつもの、(ii)WD−40反復をもつもの、および(iii) アンキリン反復をもつものである。
【0179】
実施例21
SH2ドメインを持つSOCSタンパク質
SH2ドメインをもつ8個のSOCSタンパク質が同定された。これらはSOCS1、SOCS2およびSOCS3、SOCS5、SOCS9、SOCS11およびSOCS14である(図13)。cDNAの全長がマウスSOCS5およびSOCS14から単離されそしてマウスSOCS9およびSOCS14をコードする部分的クローンが単離された。一次アミノ酸配列およびゲノム構造の分析から、これらのタンパクの次の対(SOCS1とSOCS3、SOCS2とCIS、SOCS5とSOCS14、およびSOCS9とSOCS11)が最も近縁であることが示唆される(図13)。実際、SOCS5およびSOCS14のSH2ドメインは最も同一性が高く(図13B)、そしてCIS、SOCS1、SOCS2およびSOCS3とは似ていない、SOCS5とSOCS14はそれらのSH2ドメインに先行する広いN末端領域、余り保存されていないが、を持っている(図13A)。
【0180】
実施例22
WD−40反復を有するSOCSタンパク質
WD−40反復を有する4個のSOCSタンパク質が同定された。SH2ドメインをもつSOCSタンパク質については、これらのタンパク質の対が近縁であるように見えた。マウスSOCS4とSOCS6の全長cDNAが単離され、SOCSボックスのN−末端の8個のWD−40反復を含むタンパク質をコードすることが示され(図13)そしてSOCS4とSOCS6は65%のアミノ酸類似性を共有していた。SOCS15はヒト染色体12p13およびマウス染色体6の合成領域からのBACsを配列決定する際のオープン・リーディング・フレームとして認識された〔アンサリ−ラリら,1997〕。ヒト、チンパンジーおよびマウスでは、SOCS15はトリオース・ホスフェート・イソメラーゼ(TPI)遺伝子の3’末端の数100塩基対以内にある二つのコードエキソンを持つ遺伝子によりコードされるが、それはTPIに対する反対鎖の上にコードされている(9)。C末端のSOCSボックスに加えて、SOCS15タンパク質は4個のWD−40反復を含んでいる。ESTデータベース内に、SOCS15に近縁なセンチュウ、昆虫および魚の配列が存在することは興味深い。SOCS15はSOCS13に最も近縁であるように見える。
【0181】
実施例23
アンキリン反復を有するSOCSタンパク質
アンキリン反復を有する3個のSOCSタンパク質を同定した。マウスSOCS7、SOCS10およびSOCS12の部分cDNAの分析より、多数のアンキリン反復の存在が証明された。
【0182】
実施例24
SOCSタンパク質の発現パターン
SOCSタンパク質のそれぞれのクラスの代表的メンバー、すなわち、SH2ドメイングループからSOCS1およびSOCS5、WD−40反復グループからSOCS6、そしてアンキリン反復グループからSOCS7、からのmRNAの発現を検討した。上に示すように、SOCS1mRNAは胸腺中に豊富でありそして他の成熟組織ではより低レベルである。
【0183】
SOCS1遺伝子の転写はサイトカインにより誘導されるので、本発明者らはサイトカイン刺激の際にSOCS5、SOCS6およびSOCS7のmRNAレベルが増加するか否かを決定しようとした。IL−6を注射したマウスの肝臓では、SOCS1mRNAは20分後に検出可能であり、そして2時間以内にバックグラウンドレベルに減少した。対照的に、SOCS5mRNA発現の動力学は全く異なり、IL−6注射の12〜24時間後にのみ検出可能であった。SOCS6mRNAは構成的に発現するようであるが、SOCS7mRNAはIL−6の注射前でも注射後のどの時点でも肝臓では検出されなかった。
【0184】
これらの遺伝子の発現は、bcl−wを発現するように工学処理された因子−依存性細胞系FDCP−1のサイトカイン刺激後でも検討された。ここでも、SOCS6mRNAは構成的に発現された。
【0185】
実施例25
SOCS4
マウスおよびヒトのSOCS4はSOCSボックス・コンセンサスを用いてESTデータベースを探索することにより発見された(図13)。これらのマウスおよびヒトのSOCS4cDNA由来のESTを以下の表で示す(表4.1および4.2)。マウスESTからの配列情報を用いて、幾つかのオリゴヌクレオチドを設計し、常法に従って、λ−バクテリオファージ中にクローニングされたマウスの胸腺cDNAライブラリーをスクリーニングするために使用した。マウスSOCS4をコードする二つのcDNAが単離され、その全体について配列決定がなされた(図15)、そしてデータベースで同定されたマウスESTと重なることが証明された(表4.1および図17)。これらのcDNAは5’非翻訳領域の一部、マウスSOCS4全コード領域、および3’非翻訳領域の一部を含んでいる(図17)。配列の分析により、SOCS4cDNAがそのC−末端にあるSOCSボックス及びSOCSボックスの前にある一連の8個のWD−40反復をコードすることが確認される(図17および16)。実験的に決定されたマウスSOCS4cDNA配列に対するヒトSOCS4の二つの配列コンティグ(h4.1 およびh4.2 )の関係は図17に示される。この二つのヒトコンティグのヌクレオチド配列は図18にリストする。
配列番号:13および14はマウスSOCS4のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列を表す。配列番号:15および16はそれぞれSOCS4cDNAヒトコンティグh4.1 およびh4.2
である。
【0186】
実施例26
SOCS5
マウスおよびヒトSOCS5はSOCSボックス・コンセンサスを用いるESTデータベースの探索により発見された(図13)。マウスおよびヒトSOCS5cDNA由来のこれらのESTは以下の表(表5.1および5.2)に示す。マウスおよびヒトESTからの配列情報を用い、幾つかのオリゴヌクレオチドを設計し、常法に従って、λ−バクテリオファージ中にクローニングしたマウス胸腺cDNAライブラリー、マウスゲノムライブラリーおよびヒト胸腺cDNAライブラリーをスクリーニングするために使用した。1個のゲノムDNAクローン(57−2)およびマウスSOCS5をコードするcDNAクローン(5−3−2)を単離し、そしてそれらの全体を配列決定し、データベース中で同定されたマウスESTと重なることが示された(図19および20A)。その全体コード領域は、マウスSOCS5の5’および3’非翻訳領域の一部に加えて、1個のエキソンの上にコードされているように見える(図19)。配列の分析(図20)により、SOCS5のゲノムクローンおよびcDNAクローンがSH2ドメインに加えそのC−末端に一つのSOCSボックスを持つタンパク質をコードすることが確認される(図19および20B)。cDNAクローン5−94−2およびヒトSOCS5・EST(表5.2)の分析から導かれるヒトSOCS5コンティグ(h5.1 、図21)のマウスSOCS5DNA配列に対する関係は図19に示す。マウスSOCS5のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号:17および18に示す。ヒトSOCS5ヌクレオチド配列は配列番号:19に示す。
【0187】
実施例27
SOCS6
マウスおよびヒトのSOCS6は、SOCSボックス・コンセンサス(図13)を用いるESTデータベースの探索により発見された。マウスおよびヒトSOCS6cDNAから導かれたこれらのESTは下記の表(表6.1および6.2)に示す。マウスESTからの配列情報を用いて幾つかのオリゴヌクレオチドを設計し、通常の方法により、マウス胸腺cDNAライブラリーをスクリーニングするために使用した。マウスSOCS6をコードする8個のcDNAクローンである(6−1A、6−2A、6−5B、6−4N、6−18、6−29、6−3N、6−5N)cDNAクローンが単離され、そしてそれらの全体を配列決定し、データベース中で同定されたマウスESTと重なることが示された(図22および23A)。その配列(図23)の分析により、マウスSOCScDNAクローンが8個のWD−40反復に加えそのC−末端に一つのSOCSボックスを有するタンパク質をコードすることが確認される(図22および23B)。ヒトSOCS6EST(表6.2)の分析から導かれるヒトSOCS6コンティグ(h6.1 およびh6.2 、図24)のマウスSOCS6DNA配列に対する関係は図22に示す。マウスSOCS6のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:20および21に示す。SOCS6ヒトコンティグh6.1 およびh6.2 は、それぞれ配列番号:22および23に示す。
【0188】
実施例28
SOCS7
マウスおよびヒトSOCS7はSOCSボックス・コンセンサス(図13)を用いるESTデータベースの探索により発見された。マウスおよびヒトのSOCS−7cDNAから導かれたこれらのESTは下記の表(表7.1および7.2)に示す。マウスESTから得られる配列情報を用いて幾つかのオリゴヌクレオチドを設計し、通常の方法でマウス胸腺cDNAライブラリーをスクリーニングするために使用した。マウスSOCS7をコードする一つのcDNAクローンである(74−10A−11)cDNAクローンを単離し、その全体を配列決定して、データベース中で同定されたマウスESTと重なることが示された(図25および26A)。この配列(図26)の分析から、マウスSOCS7が、幾つかのアンキリン反復に加えて、そのC−末端に一つのSOCSボックスを持つタンパク質をコードすることが示唆される(図25および26B)。ヒトSOCS7ESTの分析(表7.2)から導かれるヒトSOCS7コンティグ(h7.1 およびh7.2 、図27)のマウスSOCS7DNA配列に対する関係は図25に示す。マウスSOCS7のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号:24および25に示す。SOCS7ヒトコンティグh7.1 およびh7.2 のヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号:26および27に示す。
【0189】
実施例29
SOCS8
マウスSOCS8cDNAから導かれるESTは下記の表(表8.1)に示す。SOCSファミリーの他のメンバーについて記述したように、マウスESTから得られる配列情報を用いてマウスSOCS8に対するcDNAを単離することが可能である。このESTのSOCS8の予言されたコード領域に対する関係は図28に示す。図29Aに示すESTから得られるヌクレオチド配列および図29Bに示すSOCS8の部分アミノ酸配列を用いて。マウスSOCS8に対するヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号:28および29に示す。
【0190】
実施例30
SOCS9
マウスおよびヒトSOCS−9はSOCSボックス・コンセンサスを用いてESTデータベースを探索することにより発見された(図13)。マウスおよびヒトのSOCS9cDNAから導かれたこれらのESTは、下記の表(表9.1および9.2)に示す。マウスSOCS9EST(表9.1)の分析から導かれたマウスSOCS9コンティグ(m9.1 、図9.2)のヒトSOCS9EST(表9.2)の分析から導かれたヒトSOCS−9DNAコンティグ(h9.1 、図32)に対する関係は、図31に示す。この配列の分析(図32)から、ヒトSOCS9cDNAがSH2ドメインに加えて、C−末端にSOCSボックスを持つタンパク質をコードすることが示される(図30)。マウスSOCS9cDNAのヌクレオチド配列は配列番号:30に示す。ヒトSOCS9cDNAのヌクレオチド配列は配列番号:31に示す。
【0191】
実施例31
SOCS10
マウスおよびヒトのSOCS10はSOCSボックス・コンセンサス(図13)を用いてESTデータベースを探索することにより発見された。マウスおよびヒトのSOCS10cDNAから導かれたこれらのESTは下記の表(表10.1および10.2)に示す。マウスESTから導かれる配列情報を用いて幾つかのオリゴヌクレオチドを設計し、通常の方法で、マウス胸腺cDNAライブラリーをスクリーニングするために使用した。マウスSOCS10をコードする4個のcDNAクローン(10−9、10−12、10−23および10−24)を単離し、それらの全体の配列決定を行って、データベース中で同定されたマウスおよびヒトのESTと重なることが示された(図33および34)。この配列(図34)の分析から、マウスSOCS10cDNAクローンが完全長ではないが、幾つかのアンキリン反復に加えて、そのC−末端に一つのSOCSボックスを有するタンパク質をコードすることが示される(図33)。ヒトSOCS10EST(表10.2)分析から導かれるヒトSOCS10コンティグ(h10.1およびh10.2、図35)のマウスSOCS10DNA配列に対する関係は、図33に示す。マウスcDNAクローンおよびESTのヒトESTとの比較から、マウスSOCS10とヒトSOCS10の3’非翻訳領域が有意に異なっていることが示唆される。マウスSOCS10のヌクレオチド配列は配列番号:32に示し、そしてSOCS10ヒトコンティグh10.1およびh10.2のヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号:33および34に示す。
【0192】
実施例32
SOCS11
ヒトSOCS11はSOCSボックス・コンセンサス(図13)を用いてESTデータベースを探索することにより発見された。ヒトSOCS11cDNAから導かれるこれらのESTは下記の表(表11.1および11.2) に示す。EST(表11.2) の分析から導かれたヒトSOCS11コンティグ(h11.1、図36A、B)の予言されたコードされたタンパク質に対する関係は、図37に示す。この配列の分析により、ヒトSOCS11cDNAがSH2ドメインに加えてそのC−末端に一つのSOCSボックスを持つタンパク質をコードすることが示される(図37および36B)。ヒトSOCS11のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:35および36に示す。
【0193】
実施例33
SOCS12
マウスおよびヒトのSOCS−12は、SOCSボックス・コンセンサス(図13)を用いてESTデータベースを探索することにより発見された。マウスおよびヒトSOCS12cDNAから導かれたこれらのESTは下記の表(表12.1および12.2) に示す。マウスESTから得た配列情報を用いて、幾つかのオリゴヌクレオチドをデザインし、通常の方法により、マウス胸腺cDNAライブラリーをスクリーニングするために使用した。マウスSOCS12をコードする4個のcDNAクローン(10−9、10−12、10−23および10−24)を単離し、それらの全体の配列を決定し、そしてこれらがデータベース中で同定されたマウスおよびヒトのESTと重なることが示された(図38および39)。この配列の分析(図39および40)から、SOCS12cDNAクローンが、幾つかのアンキリン反復に加え、そのC−末端に一つのSOCSボックスを持つタンパク質をコードすることが示される(図38)。ヒトSOCS12ESTの分析(表12.2)から導かれたヒトSOCS12コンティグ(h12.1およびh12.2、図40)のマウスSOCS12DNA配列に対する関係は、図38に示す。マウスのcDNAクローンおよびESTのヒトESTとの比較から、マウスおよびヒトのSOCS12の3’非翻訳領域が有意に異なっていることが示唆される。SOCS12のヌクレオチド配列は配列番号:37に示す。ヒトSOCS12コンティグh12.1およびh12.2は、それぞれ配列番号:38および39に示す。
【0194】
実施例34
SOCS13
マウスおよびヒトのSOCS−13は、SOCSボックス・コンセンサス(図13)を用いるESTの探索により発見された。マウスおよびヒトのSOCS13cDNAから導かれるこれらのESTは下記の表(表13.1および13.2) に示す。マウスESTから得た配列情報を用いて、幾つかのオリゴヌクレオチドを設計し、通常の方法で、マウス胸腺およびマウス胚のcDNAライブラリーをスクリーニングするために使用した。マウスSOCS13をコードする3個のcDNAクローン(62−1、62−6−7および62−14)を単離し、その全体を配列決定し、そしてこれらがデータベース中で同定されたマウスESTと重なることが示された(図41および42A)。この配列の分析(図42)から、マウスSOCS13cDNAが、おそらくWD−40反復に加えて、C−末端に一つのSOCSボックスを持つタンパク質をコードすることが示される(図41および42B)。ヒトSOCS13EST(表13.2) の分析から導かれたヒトSOCS13コンティグ(h13.1およびh13.2、図43)のマウスSOCS13DNA配列に対する関係は、図41に示す。マウスSOCS13のヌクレオチド配列おらび対応するアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号:40および41に示す。ヒトSOCS13コンティグh13.1のヌクレオチド配列は配列番号:42に示す。
【0195】
実施例35
SOCS14
マウスおよびヒトのSOCS−14は、SOCSボックス・コンセンサス(図13)を用いるESTデータベースの探索により発見された。マウスおよびヒトのSOCS14cDNAから導かれたこれらのESTは下記の表(表14.1および14.2) に示す。マウスおよびヒトのESTから得た配列情報を用い、幾つかのオリゴヌクレオチドを設計し、通常の方法でλ−バクテリオファージにクローニングされたマウス胸腺cDNAライブラリー、マウスゲノムDNAライブラリーおよびヒト胸腺cDNAライブラリーをスクリーニングするために使用した。マウスSOCS14をコードする1個のゲノムDNAクローン(57−2)および(5−3−2)cDNAクローンを単離し、それらの全体の配列決定を行い、そしてそれらがデータベースで同定されたマウスESTと重なることが示された(図44および45A)。マウスSOCS14の全コード領域が、その5’および3’非翻訳領域の一部に加えて、1個のエキソン上にコードされているようである(図44)。この配列の分析(図45)によりSOCS14のゲノムクローンおよびcDNAクローンがSH2ドメインに加えそのC−末端に一つのSOCSボックスを持つタンパク質をコードすることが確認される(図44および45B)。cDNAクローン5−94−2およびヒトSOCS14ESTの分析(14.2)から導かれたヒトSOCS14コンティグ(h14.1、図14.3)のマウスSOCS14DNA配列に対する関係は、図44に示す。
マウスSOCS14のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:43および44に示す。
【0196】
実施例36
SOCS15
マウスおよびヒトSOCS15は、SOCSボックス・コンセンサス(図13)を用いるDNAデータベースの探索により発見された。マウスおよびヒトのSOCS15cDNAから導かれたこれらのESTは、マウスおよびヒトの全SOCS−15遺伝子を含むマウスおよびヒトのBACが表にされているように、下記の表(表15.1および15.2) に示す。ESTおよびBACから得られる配列情報を用いてSOCS15の全アミノ酸配列を予言することが可能であり、そして他のSOCS遺伝子について述べたように、cDNAを単離させる特異的オリゴヌクレオチドプローブを設計することが容易である。このBACのこのESTに対する関係は図46に示す。マウスおよびヒトのBACから導かれたSOCS−15のヌクレオチド配列および予言されたアミノ酸配列は図47および48に示す。マウスのSOCS15のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号:46および47に示す。ヒトSOCS15のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:48および49に示す。
【0197】
実施例37
JAK2キナーゼとSOCSの相互作用
これらの実施例はSOCSとJAK2キナーゼとの相互作用を示す。相互作用はSOCS1、2、3およびCISのSH2ドメインを介して媒介される。この相互作用はSOCS1によるJAK2キナーゼの阻害をもたらす(図49)。JAK2とSOCS1、2、3およびCISの間の一般的相互作用は図50に示す。
下記の方法が採用される。
【0198】
免疫沈降:
Cos6細胞を電気穿孔法により一過性にトランスフェクトし、48時間培養した。次いで、細胞を溶解緩衝液(50mMトリス/塩酸,pH7.5、150mMのNaCl、1%v/vトリトン−X−100、1mMのEDTA、1mMのNaF、1mMのNa3
VO4 )中、完全プロテアーゼインヒビター(ベーリンガー・マンハイム)を添加して、氷上で溶解し、4℃で遠心分離し(14,000×g、10分)そして上清を免疫沈降のために取得した。JAK2タンパク質は5μl抗−JAK2抗体(UBI)を用いて免疫沈降に付した。抗原−抗体複合体はプロテインA−セファロース(50%スラリーの30μl)を用いて回収した。
【0199】
ウエスタン・ブロッティング:
免疫沈降物は還元条件下でドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)により分析した。次いで、タンパク質を電気泳動的にニトロセルロースに移転させ、10%w/vスキムミルク中で一晩ブロックし、0.1%v/vトゥイーン−20(シグマ)(洗浄バッファー)中のPBS中で洗浄した後、洗浄バッファー/1%w/vBSAで希釈した抗−ホスホチロシン抗体(4G10)(1:5000、UBI)か、抗−FLAG抗体(1.6μg/ml)か、抗−JAK2抗体(1:2000、UBI)と共に2時間インキュベートした。ニトロセルロース・ブロットを洗浄し、1%w/vBSAを含む洗浄バッファーで希釈したペルオキシダーゼ結合ヒツジ抗−ラビット免疫グロブリン(1:5000、シレヌス)かまたはペルオキシダーゼ結合ヒツジ抗−マウス免疫グロブリン(1:5000、シレヌス)で一次抗体を検出した。ブロットを洗浄しそして抗体結合を増強化学発光(ECL)システム(アマシャム、UK)を用い、製造者の指示に従って可視化した。
【0200】
イン・ビトロキナーゼ検定:
イン・ビトロキナーゼ検定は、固有のJAK2キナーゼ触媒活性を評価するために行った。JAK2タンパク質を上述のように免疫沈降に付し、キナーゼ検定バッファー(50mMのNaCl、5mMのMgCl2 、5mMのMnCl2 、1mMのNaF、1mMのNa3 VO4 、10mMのヘペス、pH7.4)中で2回洗浄し、そして0.25μCi/ml(γ−32P)−ATPを含む等容量のキナーゼバッファー(30分、室温)中に懸濁した。過剰の(γ−32P)−ATPを除き、そして還元条件下でSDS/PAGEにより免疫沈降物を分析した。ゲルを1MのKOHで処理(55℃、2時間)することにより穏和なアルカリ加水分解に付してホスホセリンおよびホスホスレオニンを除去した。放射活性バンドは、ホスホルイメージ・システム(モレキュラー・ダイナミクス、サニベイル、CA、USA)上でIMAGEQUANTソフトウエアを用いて可視化した。
【0201】
実施例38
SOCS−1ノックアウト構築物の作成
プラスミド構築物およびノックアウト構築物の図式は図51〜53に示す。ゲノムSOCS−1クローンである95−11−10を制限酵素BamHIおよびEcoRIで消化して、コード領域(SOCS−1エキソン)の3’側の3.6kbのDNA断片を得た。これはSOCS−1ノックアウトベクターの3’アームとして用いられた。次いで、この断片の末端を平滑にした。次にこの断片を下記のベクター中に連結した。
【0202】
pβgalpAloxNeo
および pβgalpAloxNeoTK
これらをユニークなXhoI部位で直線化しついで平滑化した。この連結により下記のベクターが形成された。
pβgalpAloxNeo中の3’SOCS−1アーム およびpβgalpAloxNeoTK中の3’SOCS−1アーム。
SOCS−1ノックアウトベクターの5’アームはPCRを用いて2.5KbのPCR産物をSOCS−1コード領域(SOCS−1エキソン)の丁度5’側のゲノムSOCS−1クローンである95−11−10から生成させることにより構築した。この産物を形成させるために使用したオリゴヌクレオチドは:
5’オリゴ(センス)(2465)
AGCT AGA TCT GGA CCC TAC AAT GGC AGC〔配列番号:49〕
3’オリゴ(アンチセンス)(2466)
AGCT AG ATC TGC CAT CCT ACT CGA GGG GCC AGC TGG〔配列番号:50〕である。
次いでPCR産物を制限酵素BglIIで消化してPCR産物にBglII末端を形成させた。BglII末端を持つこの5’SOCS−1・PCR産物は次に下記のように連結された。pβgalpAloxNeo中の3’SOCS−1アーム およびpβgalpAloxNeoTK中の3’SOCS−1アーム、これらはユニークな制限酵素BamHIで直線化した。これは下記のベクターを形成させた、
pβgalpAloxNeo中の5’および3’SOCS−1アームおよびpβgalpAloxNeoTK中の5’および3’SOCS−1アーム。
これらは最終的なSOCS−1ノックアウト構築物であった。これらの構築物は両方とも全SOCS−1コード領域(SOCS−1エキソン)を欠いており、βgal、βグロビンポリA、PGKプロモーター、ネオマイシンおよびPGKポリAなどの配列の部分で置き換えられている。pβgalpAloxNeoTKベクター中の5’および3’SOCS−1アームはネオマイシンとPGKポリA配列の間にチミジンキナーゼ遺伝子配列をも含んでいた。
【0203】
ベクター:pβgalpAloxNeo中の5’および3’SOCS−1アームおよびpβfgalpAloxNeoTK中の5’および3’SOCS−1アームを、
ユニーク制限酵素NotIで直線化し、ついで電気穿孔法により胚幹細胞中にトランスフェクトした。ネオマイシンに耐性なクローンを選択し、それらが正確に組み込まれたSOCS−1標的化配列を含むか否かを決定するためサザンブロットにより分析した。正確な組み込みが起こったか否かを決定するため、ネオマイシン耐性クローンからのゲノムDNAを制限酵素EcoRIで消化した。消化されたDNAを次にナイロンフィルター上にブロットし、そして1.5KbのEcoRI/HindIII DNA断片でプローブした。そしてこれはノックアウト構築物に使用された5’アーム配列のさらに5’側であった。正確な組み込みに対する予想されるバンドサイズは
野生型SOCS−1対立遺伝子5.4Kb
SOCS−1ノックアウト対立遺伝子pβgalpAloxNeo中の5’および3’SOCS−1アームで形質転換された細胞中では8.2Kb、またはpβgalpAloxNeoTK中の5’および3’SOCS−1アームで形質転換された細胞中では11Kbである。
【0204】
当技術分野の熟練者は本明細書に記載された本発明が具体的に記載されたもの以外の変更や修正を受けうることを認めるであろう。本発明はこのような変更や修正のすべてを包含すると解すべきである。本発明はまた、本明細書で個別的にあるいは集合的に言及しまたは指摘した工程、特性、組成物および化合物のすべてを含みそしてこれらの工程または特性のいかなる二つ以上の組合せのそれぞれまたはすべてを包含する。
【0205】
【表4】



【0206】
【表5】

【0207】
【表6】



【0208】
【表7】


【0209】
【表8】

【0210】
【表9】


【0211】
【表10】


【0212】
【表11】

【0213】
【表12】



【0214】
【表13】

【0215】
【表14】


【0216】
【表15】

【0217】
引用文献








【図面の簡単な説明】
【0218】
図の一部では、ある結合モチーフを持つSOCSタンパク質を記すのに略号が用いられる。WD−40反復を含むSOCSタンパク質はWSB1−WSB4と呼ぶ。アンキリン反復う持つSOCSタンパク質はASB1−ASB3と呼ぶ。
【図1】図1はレトロウイルス感染によるIL−6不応答M1クローンの生成を示す図式的表現である。RUFneoレトロウイルスは制限エンドヌクレアーゼ切断部位、4A2cDNA挿入物およびPCRプライマー配列の位置を示す。
【図2】図2はサザンおよびノーザン分析の写真である。(左および中央のパネル)クローン4A2由来のゲノムDNAおよび対照の感染したM1クローンのサザンブロット分析。DNAは、各クローンによって保持されるレトロウイルスの数を明らかにするためBamH Iで消化し、そしてレトロウイルスcDNA挿入物のサイズを求めるためSac Iで消化した。左のパネル:neoをプローブとして用いた。右側パネル:XhoIで消化した4A2PCR産物をプローブとして用いた。(右側パネル)クローン4A2由来の総RNAおよび対照の感染したM1クローンのノーザンブロット分析であり、Xho Iで消化した4A2PCR産物をプローブとして用いた。2本のバンドはレトロウイルスゲノム中のスプライスドナー部位およびアクセプター部位から生ずる未切断および切断されたレトロウイルス転写産物を表す。
【図3A】図3はSOCS1遺伝子のヌクレオチド配列および構造を示す。A.マウス染色体上のプロタミン遺伝子群に関するSOCS1のゲノムの状況。この遺伝子座の寄託番号はマウスに対しMMPRMGNS(直接提出、ジー.シュリューター,1995)、ラットに対しBTPRMTNP2(直接提出、ジー.シュリューター,1996)である。
【図3B】図3はSOCS1遺伝子のヌクレオチド配列および構造を示す。B.SOCS1cDNAのヌクレオチド配列および推定されたアミノ酸配列。アミノ酸配列に対しては通常の1文字略号が使用されそして星印は停止コドンを示す。ポリアデニル化シグナル配列には下線が付してある。コード領域は上部に示し、そして非翻訳領域は下部に示す。
【図4】図4はサイトカインの存在下における細胞分化のグラフである。親のM1細胞(M1およびM1.mpl)およびSOCS1発現するM1細胞(4A2およびM1.mpl.SOCS1)の半固形寒天培養を用い、そして1mg/mlのIL−6(●)、100ng/mlのLIF(◇)、1mg/mlのOSM(□)、100ng/mlのIFN−γ(▲)、500ng/mlのTPO(○)、または3×10-6Mのデキサメタソン(*)の滴定に応答して分化するコロニーのパーセンテージを測定した。
【図5】図5は、10ng/mlのIL−6または食塩水の存在下に、4日間培養した親のM1細胞(M1およびM1.mpl)およびSOCS1を発現するM1細胞(4A2およびM1.mpl.SOCS1)の液体培養物のサイトスピン(cytospins)を表す写真である。IL−6中で培養するとき、親のM1細胞とは異なり、SOCS1を構成的に発現するM1細胞(4A2およびM1.mpl.SOCS1)ではマクロファージ分化と一致する形態学的特徴は観察されなかった。
【図6】図6はシグナル形成分子のリン酸化のSOCS1による阻害を示す写真である。親のM1細胞(M1およびM1.mpl)およびSOCS1を発現するM1細胞(4A2およびM1.mpl.SOCS1)を10ng/mlのIL−6の存在下(+)または非存在下(−)に37℃で4分間インキュベートした。次いで、細胞を溶解し、抽出物を抗−マウスgp130抗体を用いて免疫沈降させた後SDS−PAGEにかける(上部パネルの二つ)かまたは直接電気泳動にかけた(下方のパネル)。ゲルをブロットし、ついでこのフィルターを抗−ホスホチロシン(上部パネル)、抗−gp130抗体(上から2番目のパネル)、抗−ホスホSTAT3(下から2番目のパネル)または抗−STAT3(下方のパネル)でプローブした。プロットはペルオキシダーゼ−結合二次抗体および化学発光増強(ECL)試薬を用いて可視化した。
【図7A】図7は、食塩水または100ng/mlのIL−6または100ng/mlのIFN−γを含む血清フリーのDME10ml中、37℃で10分間インキュベートした(A)M1細胞またはSOCS1を発現するM1細胞(4A2)および(B)M1.mpl細胞またはM1.mpl.SOCS1細胞、から調製されたタンパク抽出物を表す。結合反応は4〜6μgのタンパク(一つの実験内では一定)、高親和性SIF(c−sis−誘導因子)結合部位をコードする32P−標識化m67オリゴヌクレオチドの5ng、および超音波処理鮭精子DNAの800ngを含んでいた。ある実験の場合は、タンパク試料は無標識のm67オリゴヌクレオチドまたはSTAT1かまたはSTAT3に対し特異的な抗体の過剰とプリインキュベートした。
【図7B】図7は、食塩水または100ng/mlのIL−6または100ng/mlのIFN−γを含む血清フリーのDME10ml中、37℃で10分間インキュベートした(A)M1細胞またはSOCS1を発現するM1細胞(4A2)および(B)M1.mpl細胞またはM1.mpl.SOCS1細胞、から調製されたタンパク抽出物を表す。結合反応は4〜6μgのタンパク(一つの実験内では一定)、高親和性SIF(c−sis−誘導因子)結合部位をコードする32P−標識化m67オリゴヌクレオチドの5ng、および超音波処理鮭精子DNAの800ngを含んでいた。ある実験の場合は、タンパク試料は無標識のm67オリゴヌクレオチドまたはSTAT1かまたはSTAT3に対し特異的な抗体の過剰とプリインキュベートした。
【図8】図8はノーザンハイブリッド形成を表す写真である。マウスに2μgを静脈注射し、種々の期間の後、肝臓を切除し、ポリA+mRNAを精製した。M1細胞を種々の長さの期間500ng/mlのIL−6で刺激し、その後ポリA+mRNAを単離した。電気泳動によりmRNAを分画し、ナイロンフィルター上に固定した。ノーザンブロットをプリハイブリッド形成し、ランダム−プライム化32P−標識化SOCS1またはGAPDH・DNA断片でハイブリッド形成を行い、洗浄し、そして一晩フィルムに曝露した。
【図9】図9はSOCS1、SOCS2、SOCS3およびCISのアミノ酸配列の比較を表す図である。マウス(mm)、ヒト(hs)およびラット(rr)のSOCS1、SOCS2、SOCS3およびCISの予言されたアミノ酸配列の整列。影を付けた残基は3個または4個のマウスSOCSファミリーメンバーで保存されているものである。SH2ドメインは実線でボックスに囲んでいる。一方、SOCSボックスは二重線で囲んでいる。
【図9−1】図9の続きを示す図である。
【図9−2】図9の続きを示す図である。
【図9−3】図9の続きを示す図である。
【図10】図10はIL−6に無応答のM1細胞クローンである4A2の表現型を示す写真である。食塩水または100ng/mlのIL−6中で7日間半固形寒天中で培養された親のM1細胞(左パネル)およびクローン4A2(右パネル)のコロニー。
【図11A】図11はイン・ビトロおよびイン・ビボでのSOCSファミリーメンバーに対するmRNAの発現を示す写真である。(A)限られた数の組織中でのSOCSファミリーメンバーの構成的発現を示す、ある範囲のマウスの器官由来のmRNAのノーザン分析。
【図11B】図11はイン・ビトロおよびイン・ビボでのSOCSファミリーメンバーに対するmRNAの発現を示す写真である。(B)IL−6と接触した後の、SOCSファミリーメンバーの発現の誘導を示す、肝臓およびM1細胞由来のmRNAのノーザン分析。
【図11C】図11はイン・ビトロおよびイン・ビボでのSOCSファミリーメンバーに対するmRNAの発現を示す写真である。(C)ある範囲のサイトカインによるSOCSファミリーメンバーの発現の誘導を示す、骨髄由来のmRNAの逆転写酵素PCR分析。
【図12A】図12は、SOCS1がgp130およびSTAT−3のリン酸化および活性化を抑制することを示す写真である。(A)100ng/mlのIL−6での刺激の有り(+)または無し(−)の場合の親のM1細胞(M1およびM1.mpl)およびSOCS1を発現するM1細胞(4A2およびM1.mpl.SOCS1)由来の抽出物のウエスタンブロット。上部:タンパクの当量負荷を示すため、抗−gp130(αgp130)で免疫沈降させ、そして抗−ホスホチロシン(αPY−STAT3)またはSTAT3(αSTAT3)で免疫ブロットした抽出物。そのバンドの分子量は右側に示してある。
【図12B】図12は、SOCS1がgp130およびSTAT−3のリン酸化および活性化を抑制することを示す写真である。(B)100ng/mlのIL−6または100ng/mlのIFNγでの刺激の有り(+)または無し(−)の場合のM1.mpl細胞およびM1.mpl.SOCS1細胞のEMSA。そのDNA−結合複合体SIFのA、BおよびCは左側に示す。
【図13】図13はSOCSタンパク質のアミノ酸配列の比較を表す。(A)WD−40反復(WSB)およびアンキリン反復(ASB)を含むタンパク質を含有するSOCSタンパク質の構造の図式的表現。(B)SOCSタンパク質のN−末端領域の整列。(C)CIS、SOCS1、2、3、5、9、11および14のSH2ドメインの整列。(D)SOCS4、SOCS6、SOCS13およびSOCS15のWD−40反復の整列。(E)SOCS7およびSOCS10のアンキリン反復の整列。(F)SH2、WD−40およびアンキリン反復とSOCSボックスの間の領域の整列。(G)SOCSボックスの整列。それぞれの場合にアミノ酸の慣習的な1文字略号が用いられる。Xは確認が不確定な残基を示し、○○○はコンティグの始まりおよび末端を示す。単離されたcDNA由来の核酸配列の概念的翻訳から得られたアミノ酸配列は上の箱の中に示され、一方、ESTの概念的翻訳から得られたアミノ酸配列は下方の箱に示され、そして近似のみである。保存された残基は、(LIVMA)、(FYW)、(DE)(QN)、(C,S,T)、(KRH)、(PG)と定義され、SH2ドメイン、WD−40反復、アンキリン反復およびSOCSボックスの中で影が付されている。SH2ドメイン、WD−40反復およびアンキリン反復の整列のために、コンセンサス配列が上部に示してある。それぞれの場合に、これはドメインの大量のそして様々なセットの検討から導かれた(ニールら,1994、ボーク,1993)。
【図13A−1】図13はSOCSタンパク質のアミノ酸配列の比較を表す。(A)WD−40反復(WSB)およびアンキリン反復(ASB)を含むタンパク質を含有するSOCSタンパク質の構造の図式的表現。
【図13A−2】図13A−1の続きを示す図である。
【図13B−1】図13はSOCSタンパク質のアミノ酸配列の比較を表す。(B)SOCSタンパク質のN−末端領域の整列。
【図13B−2】図13B−1の続きを示す図である。
【図13C−1】図13はSOCSタンパク質のアミノ酸配列の比較を表す。(C)CIS、SOCS1、2、3、5、9、11および14のSH2ドメインの整列。
【図13C−2】13C−1の続きを示す図である。
【図13D】図13はSOCSタンパク質のアミノ酸配列の比較を表す。(D)SOCS4、SOCS6、SOCS13およびSOCS15のWD−40反復の整列。
【図13E−1】図13はSOCSタンパク質のアミノ酸配列の比較を表す。(E)SOCS7およびSOCS10のアンキリン反復の整列。
【図13E−2】図13E−1の続きを示す図である。
【図13F−1】図13はSOCSタンパク質のアミノ酸配列の比較を表す。(F)SH2、WD−40およびアンキリン反復とSOCSボックスの間の領域の整列。
【図13F−2】図13F−1の続きを示す図である。
【図14A】図14(A)はマウスのSOCS1およびSOCS5およびWD−40反復(WSB2)およびアンキリン反復(ASB1)を含むSOCSのmRNA発現の分析を示す写真である。
【図14B】図14(B)はマウスのSOCS1およびSOCS5およびWD−40反復(WSB2)およびアンキリン反復(ASB1)を含むSOCSのmRNA発現の分析を示す写真である。
【図15】図15はマウスSOCS4cDNAのヌクレオチド配列を示す図である。予言されたATG「開始」コドンから停止コドンまでの成熟コード領域をコードするヌクレオチドが上の箱の中に示され、一方、予言された5’および3’非翻訳領域は下方の箱の中に示す。マウスcDNA配列のマウスおよびヒトESTコンティグに対する関係は図17に例示される。
【図15−1】図15の続きを示す図である。
【図15−2】図15の続きを示す図である。
【図16】図16は図15のヌクレオチド配列由来のマウスSOCS4の予言されたアミノ酸配列を示す図である。SOCSボックスは、図13にも示してあるが、下線を付してある。
【図18】図18は表4.1にリストしたESTの分析から導かれた、ヒトSOCS4cDNAコンティグh4.1およびh4.2のヌクレオチド配列を示す図である。これらのコンティグのマウスcDNA配列に対する関係は図17に例示してある。
【図18−1】図18の続きを示す図である。
【図18−2】図18の続きを示す図である。
【図18−3】図18の続きを示す図である。
【図19】図19はマウスEST(表5.1)およびヒトcDNAクローン(5−94−2)およびEST(表5.2)の分析から導かれた、マウスSOCS5ゲノムクローン(57−2)およびcDNAクローン(5−3−2)のコンティグに対する関係を示す図式的表現である。マウスSOCS5コンティグのヌクレオチド配列は図20に示し、ヒトSOCS5コンティグ(h5.1)の配列は図21に示す。マウスSOCS5の推定されたアミノ酸配列は図20Bに示す。このタンパク質の構造は図式的に示してあり、SH2ドメインは括弧で、そしてSOCSボックスは括弧で示す。仮定的な5’および3’翻訳領域は細い実線で示してある。
【図20A】図20AはゲノムクローンおよびcDNAクローンの分析から導かれたマウスSOCS5のヌクレオチド配列を示す図である。予言されたATG「開始」コドンから停止コドンまでの成熟コード領域をコードするヌクレオチドは上方の箱の中に示し、一方、予言された5’および3’非翻訳領域は下方の箱の中に示す。マウスcDNA配列のマウスおよびヒトESTコンティグに対する関係は図19に例示される。
【図20A−1】図20Aの続きを示す図である。
【図20A−2】図20Aの続きを示す図である。
【図20A−3】図20Aの続きを示す図である。
【図20B】図20Bは図20Aのヌクレオチド配列から導かれたマウスSOCS5タンパク質の予言されたアミノ酸配列の図である。SOCSボックスは図13にも示してあるが、下線が付してある。
【図21】図21はcDNAクローン5−94−2および表5.2にリストしたESTの分析から導かれた、ヒトSOCS5cDNAコンティグh5.1のヌクレオチド配列を示す図である。これらのコンティグのマウスcDNA配列に対する関係は図19に例示してある。
【図22】図22はマウスEST(表6.1)およびヒトEST(表6.2)の分析から導かれたコンティグに対するマウスSOCS6cDNAクローン(6−1A、6−2A、6−5B、6−4N、6−18、6−29、6−3Nおよび6−5N)の関係を示す図式的表現である。マウスSOCS−6コンティグのヌクレオチド配列は図23に示す。ここで、ヒトSOCS6コンティグ(h6.1およびh6.2)の配列は図24に示す。マウスSOCS6の推定されたアミノ酸配列は図23Bに示す。このタンパク質の構造は図式的に示すが、WD−40反復は括弧で、そしてSOCSボックスは括弧で示す。仮定的な5’および3’非翻訳領域は細い実線で示してある。
【図23A】図23AはcDNAクローン64−10A−11の分析から導かれたマウスSOCS6のヌクレオチド配列を示す図である。予言されたコード領域の部分をコードしそして停止コドンで終わるヌクレオチドは上方の箱の中に示す。一方、予言された3’非翻訳領域は下方の箱の中に示す。マウスおよびヒトESTコンティグに対するマウスcDNA配列の関係は図22に例示される。
【図23A−1】図23Aの続きを示す図である。
【図23A−2】図23Aの続きを示す図である。
【図23A−3】図23Aの続きを示す図である。
【図23B】図23Bは図23Aのヌクレオチド配列から導かれた、マウスSOCS6タンパク質の予言されたアミノ酸配列を示す図である。SOCSボックスは図13にも示してあるが、下線を付してある。
【図24】図24はcDNAクローン5−94−2および表6. 2にリストしたESTの分析から導かれた、ヒトSOCS6cDNAコンティグh6.1のヌクレオチド配列を示す図である。これらのコンティグのマウスcDNA配列に対する関係は図22に例示してある。
【図24−1】図24の続きを示す図である。
【図24−2】図24の続きを示す図である。
【図24−3】図24の続きを示す図である。
【図25】図25はマウスEST(表7.1)およびヒトEST(表7.2)の分析から導かれたコンティグに対するマウスSOCScDNAクローン(74−10A−11)の関係を示す図式的表現である。マウスSOCS7コンティグのヌクレオチド配列は図26に示してあり、ヒトSOCS7コンティグ(h7.1およびh7.2)の配列は図27に示す。マウスSOCS7の推定されたアミノ酸配列は図26Bに示す。このタンパク質の構造は図式的に示してあり、アンキリン反復は括弧でそしてSOCSボックスは括弧で示してある。仮定的5’および3’非翻訳領域はマウスの場合細い実線でそしてh7.2の場合波線で示してある。今日まで単離されたクローンおよびESTの分析に基づけば、mSOCS7とhSOCS7の3’非翻訳領域はほとんど類似性を共有しない。
【図26A】図26AはcDNAクローン74−10A−11の分析から導かれたマウスSOCS7のヌクレオチド配列を示す図である。予言されたコード領域部分をコードし、停止コドンで終わるヌクレオチドは上方の箱の中に示し、一方予言された3’非翻訳領域は下方の箱の中に示す。マウスおよびヒトのESTコンティグに対するマウスcDNAの関係は図25に例示してある。
【図26A−1】図26Aの続きを示す図である。
【図26A−2】図26Aの続きを示す図である。
【図26B】図26Bは図26Aのヌクレオチド配列から導かれたマウスSOCS7タンパク質の予言されたアミノ酸配列を示す図である。SOCSボックスは図13にも示してあるが、下線を付してある。
【図27】図27は表7.2にリストされたESTの分析から導かれたヒトSOCS7cDNAコンティグh7.1およびh7.2のヌクレオチド配列を示す図である。これらのコンティグのマウスcDNA配列に対する関係は図25に例示してある。
【図27−1】図27の続きを示す図である。
【図27−2】図27の続きを示す図である。
【図28】図28はマウスSOCS8EST(表8.1および図29A)の分析から導かれた配列のマウスSOCS8の予言されたタンパク質構造に対する関係の図式的表現である。マウスSOCS8の推定された部分アミノ酸配列は図29Bに示してある。このタンパク質の構造はSOCSボックスを括弧で目立つようにして図式的に示してある。予言された3’非翻訳領域は細い線で示す。
【図29A】図29AはESTの分析から導かれたマウスSOCS8cDNA(コンティグ8.1)の部分ヌクレオチド配列を示す図である。予言されたコード領域の部分をコードし、停止コドンで終わるヌクレオチドは上方の箱の中に示し、一方予言された3’非翻訳領域は下方の箱の中に示す。
【図29B】図29Bは図29Aのヌクレオチド配列から導かれたマウスSOCS8タンパク質の予言された部分的アミノ酸配列を示す図である。SOCSボックスは図13にも示してあるが、下線を付してある。
【図30】図30はマウスSOCS9EST(表9.1)とヒトSOCS9EST(表9.2)の関係を示す図式的表現である。マウスSOCS9コンティグ(m9.1)のヌクレオチド配列は図31に示し、ヒトSOCS9コンティグ(h9.1)の配列は図32に示す。ヒトSOCS9の推定されたアミノ酸配列は図式的に示してあり、SH2ドメインは括弧で、そしてSOCSボックスは括弧で示してある。仮定的3’非翻訳領域は細い実線で示してある。
【図31】図31は表9.1にリストしてあるESTの分析から導かれたマウスSOCS9cDNA(コンティグm9.1)の部分ヌクレオチド配列を示す図である。これらのコンティグのマウスcDNA配列に対する関係は図30に例示してある。
【図32】図32は表9.2にリストされたESTの分析から導かれた、ヒトSOCS9cDNA(コンティグh9.1)の部分ヌクレオチド配列を示す図である。コンティグh9.1はSH2ドメインおよびSOCSボックスを持つタンパク質をコードすることは明らかであるが、この配列の質は1個の曖昧さのないオープンリーディングフレームを導き出すのに十分な程高くはない。これらのコンティグのマウスcDNA配列に対する関係は図30に例示されている。
【図32−1】図32の続きを示す図である。
【図32−2】図32の続きを示す図である。
【図32−3】図32の続きを示す図である。
【図33】図33はマウスEST(表10.1)およびヒトEST(表10.2)の分析から導かれたコンティグに対するマウスSOCS10cDNAクローン(10−9、10−12、10−23および10−24)の関係を示す図である。マウスSOCS10コンティグのヌクレオチド配列は図10.2に示してあり、ヒトSOCS10コンティグ(h10.1およびh10.2)の配列は図35に示してある。このタンパク質の予言された構造は図式的に示してあり、アンキリン反復は括弧によりそしてSOCSボックスは括弧により示してある。仮定的3’非翻訳領域はマウスでは細い実線で、そしてh10.2では波線で示してある。今日まで単離されたクローンおよびESTの分析に基づけば、mSOCS−10およびhSOCS−10の3’非翻訳領域はほとんど類似性を共有しない。
【図34】図34はcDNAクローン10−9、10−12、10−23および10−24の分析から導かれたマウスSOCS10のヌクレオチド配列を示す図である。予言されたコード領域の部分をコードし、停止コドンで終わるヌクレオチドは上方の箱の中に示し、一方予言された3’非翻訳領域は下方の箱の中に示す。コンティグm10.1が一連のアンキリン反復およびSOCSボックスを持つタンパク質をコードすることは明らかであるが、この配列の質は1個の曖昧さのないオープンリーディングフレームを導き出す程には十分に高くはない。マウスおよびヒトのESTコンティグに対するマウスcDNA配列の関係は図33に例示してある。
【図34−1】図34の続きを示す図である。
【図34−2】図34の続きを示す図である。
【図34−3】図34の続きを示す図である。
【図35】図35は表10.2にリストされたESTの分析から導かれたヒトSOCS10cDNAコンティグh10.1およびh10.2のヌクレオチド配列を示す図である。これらのコンティグのマウスcDNA配列に対する関係は図33に例示する。
【図35−1】図35の続きを示す図である。
【図35−2】図35の続きを示す図である。
【図36A】図36Aは表11.1にリストされたESTの分析から導かれたヒトSOCS11cDNAの部分ヌクレオチド配列を示す図である。予言されたATG「開始」コドンから停止コドンまでの成熟コード領域をコードするヌクレオチドは上方の箱の中に示し、一方予言された3’および5’非翻訳領域は下方の箱の中に示す。ESTから導かれた部分cDNA配列の予言されタンパク質に対する関係は図37に示してある。
【図36B】図36Bは図36Aのヌクレオチド配列から導かれた、ヒトSOCS11タンパク質の予言された部分アミノ酸配列を示す図である。SOCSボックスは図13にも示すが、下線を付してある。
【図37】図37はヒトSOCS11EST(表11.1および図36A)の分析から導かれた配列の、ヒトSOCS11の予言されたタンパク質構造に対する関係を示す図式的表現である。ヒトSOCS11の推定された部分アミノ酸配列は図36Bに示してある。このタンパク質の構造は図式的に示してあり、SH2ドメインは括弧でそしてSOCSボックスは括弧で目立つように示してある。予言された3’非翻訳領域は細い実線で示す。
【図38】図38はマウスEST(表12.1)およびヒトEST(表12.2)の分析から導かれたコンティグに対するマウスSOCS12cDNAクローン(12−1)の関係を示す図式的表現である。マウスSOCS12コンティグのヌクレオチド配列は図12.2に示し、ヒトSOCS12コンティグ(h12.1およびh12.2)の配列は図40に示す。マウスSOCS12の推定された部分アミノ酸配列は図39に示す。このタンパク質の構造は図式的に示してあり、アンキリン反復は括弧によりそしてSOCSボックスは括弧により示される。仮定的3’非翻訳領域はマウスでは細い実線で示されそしてh12.2では波線で示される。今日まで単離されたクローンおよびESTの分析に基づけば、mSOCS12およびhSOCS12の3’非翻訳領域はほとんど類似性を共有しない。
【図39】図39はcDNAクローン12−1および表12.1にリストしたESTの分析から導かれるマウスSOCS12のヌクレオチド配列を示す図である。予言されたコード領域の部分をコードし、停止コドンを含むヌクレオチドは上方の箱の中に示し、一方予言された3’非翻訳領域は下方の箱の中に示す。ヒトSOCS12との相同性により、コンティグm12.1が一連のアンキリン反復およびSOCSボックスを持つタンパク質をコードすることは明らかであるが、この配列の質は1個の曖昧さのないオープンリーディングフレームを導き出すには十分に高くない。マウスおよびヒトのESTコンティグに対するマウスcDNA配列の関係は図38に例示してある。
【図40】図40は表12.2にリストされたESTの分析から導かれたヒトSOCS12cDNAコンティグh12.1およびh12.2のヌクレオチド配列を示す図である。これらのコンティグのマウスcDNA配列に対する関係は図38に例示してある。
【図40−1】図40の続きを示す図である。
【図40−2】図40の続きを示す図である。
【図40−3】図40の続きを示す図である。
【図41】図41はマウスSOCS13cDNAクローン(62−1、62−6−7、62−14)およびマウスEST(表13.1)の分析から導かれたコンティグm13.1の、ヒトEST(表13.2)の分析から導かれたコンティグh13.1に対する関係を示す図式的表現である。マウスSOCS13コンティグのヌクレオチド配列は図42に示し、ヒトSOCS13コンティグ(h13.1)の配列は図43に示す。マウスSOCS13の推定されたアミノ酸配列は図42Bに示す。このタンパク質の構造は図式的に示してあり、WD−40反復は括弧で目立つようにしてあり、SOCSボックスは括弧で目立つようにしてある。3’非翻訳領域は細い実線で示してある。
【図42A】図42AはcDNAクローン62−1、62−6−7および62−14の分析から導かれるマウスSOCS13のヌクレオチド配列を示す図である。予言されたコード領域の部分をコードし、停止コドンで終わるヌクレオチドは上方の箱の中に示し、一方予言された3’非翻訳領域をコードするヌクレオチドは下方の箱の中に示す。マウスcDNA配列のマウスおよびヒトのESTコンティグに対する関係は図41に例示してある。
【図42A−1】図42Aの続きを示す図である。
【図42A−2】図42Aの続きを示す図である。
【図42B】図42Bは図42Aのヌクレオチド配列から導かれた、マウスSOCS13タンパク質の予言されたアミノ酸配列を示す図である。SOCSボックスは図13にも示してあるが、下線を付してある。
【図43】図43は表13.2にリストされたESTの分析から導かれたヒトSOCS13cDNAコンティグh13.1のヌクレオチド配列を示す図である。これらのコンティグのマウスcDNA配列に対する関係は図41に例示されている。
【図44】図44はマウスEST(表14.1)の分析から導かれたコンティグに対する部分的マウスSOCS14cDNAクローン(14.1)の関係を示す図式的表現である。マウスSOCS14コンティグのヌクレオチド配列は図45に示す。マウスSOCS14の推定された部分アミノ酸配列は図45Bに示す。このタンパク質の構造は図式的に示してあり、SH3ドメインは括弧で示し、SOCSボックスは括弧で示す。仮定的3’非翻訳領域は細い実線で示してある。
【図45A】図45AはゲノムクローンおよびcDNAクローンの分析から導かれたマウスSOCS14のヌクレオチド配列を示す図である。予言されたATG「開始」コドンから停止コドンまでの成熟コード領域をコードするヌクレオチドは上方の箱の中に示し、一方予言された5’および3’非翻訳領域は下方の箱の中に示す。マウスおよびヒトのESTコンティグに対するマウスcDNA配列の関係は図44に例示する。
【図45A−1】図45Aの続きを示す図である。
【図45A−2】図45Aの続きを示す図である。
【図45A−3】図45Aの続きを示す図である。
【図45B】図45Bは図45Aのヌクレオチド配列から導かれた、マウスSOCS14タンパク質の予言されたアミノ酸配列を示す図である。SOCSボックスは図13にも示してあるが、下線を付してある。
【図46】図46はヒトBACおよびヒトEST(表15.2)の分析から導かれたコンティグh15.1に対する、マウスBACおよびマウスEST(表15.1)の分析から導かれたコンティグm15.1の関係を示す図式的表現である。マウスSOCS15コンティグのヌクレオチド配列は図47に示し、ヒトSOCS15コンティグ(h15.1)の配列は図47に示してある。マウスSOCS15の推定されたアミノ酸配列は図47Bに示す。このタンパク質の構造は図式的に示す。WD−40反復は括弧で目立たせており、SOCSボックスは括弧で目立たせている。5’および3’非翻訳領域は細い実線で示してある。コード領域を中断するイントロンは^で示してある。
【図47A】図47Aは表15.1にリストされたマウスBACの分析から導かれたマウスSOCS15遺伝子を覆うヌクレオチド配列を示す図である。ATGで始まり停止コドンで終わる予言されたコード領域をコードするヌクレオチドは上方の箱の中に示し、一方予言された5’非翻訳領域、イントロンおよび3’非翻訳領域をコードするヌクレオチドは下方の箱の中に示す。マウスおよびヒトのESTコンティグに対するマウスBACの関係は図46に例示する。
【図47A−1】図47Aの続きを示す図である。
【図47A−2】図47Aの続きを示す図である。
【図47A−3】図47Aの続きを示す図である。
【図47A−4】図47Aの続きを示す図である。
【図47A−5】図47Aの続きを示す図である。
【図47B】図47Bは図47Aのヌクレオチド配列から導かれた、マウスSOCS15タンパク質の予言されたアミノ酸配列を示す図である。SOCSボックスは図13にも示してあるが、下線を付してある。
【図48A】図48Aは表15.2にリストしたヒトBACの分析から導かれたヒトSOCS15遺伝子を覆うヌクレオチド配列を示す図である。ATGで始まりそして停止コドンで終わる予言されたコード領域をコードするヌクレオチドは上方の箱の中に示し、一方予言された5’非翻訳領域、イントロンおよび3’非翻訳領域をコードするヌクレオチドは下方の箱の中に示す。マウスおよびヒトのESTコンティグに対するヒトBACの関係は図46に例示してある。
【図48A−1】図48Aの続きを示す図である。
【図48A−2】図48Aの続きを示す図である。
【図48A−3】図48Aの続きを示す図である。
【図48A−4】図48Aの続きを示す図である。
【図48A−5】図48Aの続きを示す図である。
【図48A−6】図48Aの続きを示す図である。
【図48B】図48Bは図48Aのヌクレオチド配列から導かれる、ヒトSOCS15タンパク質の予言されたアミノ酸配列を示す図である。SOCSボックスは図13にも示してあるが、下線を付してある。
【図49】図49はJAK2キナーゼ活性のSOCS1による阻害を示す写真である。(A)上方のパネル。CosM6細胞を、Flag−標識化mJAK2およびmSOCS−IDNA(SOCS1)かFlag−mJAK2DNA単独(−)を用いて一過性にトランスフェクトし、溶解し、抗−JAK2抗体を用いてJAK2タンパクを免疫沈降させ、そしてイン・ビトロのキナーゼ検定に付した。下方のパネル。JAK2免疫沈降物の一部を抗−JAK2抗体を用いてウエスタンブロットした。(B)上方のパネル。CosM6細胞を、Flag−mJAK2とFlag−mSOCS−1DNAかまたはFlag−mJAK2DNA単独で一過性にトランスフェクトし、溶解し、抗−JAK2(UBI)を用いてJAK2タンパクを免疫沈降させ、そしてSDS/PAGEゲルにより分離した。ついで、免疫沈降物を抗−ホスホチロシン抗体を用いてウエスタンブロットにより分析した。下方のパネル:JAK2の発現。Cos細胞の溶解物をSDS/PAGEゲルにより分離し、コンティグ−FLAG抗体(M2)を用いてウエスタンブロットにより分析した。
【図50】図50はJAK2とSOCSタンパクの間の相互作用を示す写真である。(A).CosM6細胞を、Flag−標識化mJAK2と種々のFlag−標識化SOCSDNA(SOCS−1;S1、SOCS−2;S2、SOCS−3;S3、CIS)か、またはFlag−mJAK2単独を用いて一過性にトランスフェクトし、溶解し、抗−JAK2(UBI)を用いてJAK2タンパクを免疫沈降させ、そしてSDS/PAGEにより分離した。次いで、免疫沈降物を抗−FLAG抗体(M2)を用いてウエスタンブロットにより分析した。(B).(A)で述べたCos細胞溶解物をSDS/PAGEにより分離し、種々のタンパクの発現レベルを抗−FLAG抗体(M2)を用いてウエスタンブロットにより測定した。(C).JAK2チロシンリン酸化。(A)で述べたCos細胞溶解物をSDS/PAGEにより分離し、タンパクを抗−ホスホチロシン抗体を用いてウエスタンブロットにより分析した。
【図51】図51はpβgalpAloxneoの図式的表現である。
【図52】図52はpβgalpAloxneoTKの図式的表現である。
【図53】図53はSOCS1ノックアウト構築物の図式的表現である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質またはその誘導体、ホモログ、アナログまたは模倣物をコードする配列をコードするまたはそれに相補的なヌクレオチド配列あるいは低厳格条件下において42℃でそれとハイブリッドを形成することができるヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、該タンパク質がそのC−末端にSOCSボックスを含むものである核酸分子。
【請求項2】
該タンパク質がタンパク質:分子相互作用領域をさらに含むものである請求項1記載の核酸分子。
【請求項3】
該タンパク質:分子相互作用領域が該SOCSボックスのN−末端領域に位置するものである請求項1記載の核酸分子。
【請求項4】
該タンパク質:分子相互作用領域がタンパク質:DNA結合領域またはタンパク質:タンパク質結合領域である請求項2または請求項3記載の核酸分子。
【請求項5】
該タンパク質:分子相互作用領域がSH2ドメイン、WD−40反復またはアンキリン反復の一つ以上である請求項4記載の核酸分子。
【請求項6】
該SOCSボックスが下記のアミノ酸配列を含むものである請求項1〜請求項5いずれか1項に記載の核酸分子、

上式中、X1はL、I、V、M、AまたはPであり、
2はいずれかのアミノ酸残基であり、
3はP、TまたはSであり、
4はL、I、V、M、AまたはPであり、
5はいずれかのアミノ酸であり、
6はいずれかのアミノ酸であり、
7はL、I、V、M、A、F、YまたはWであり、
8はC、TまたはSであり、
9はR、KまたはHであり、
10はいずれかのアミノ酸であり、
11はいずれかのアミノ酸であり、
12はL、I、V、M、AまたはPであり、
13はいずれかのアミノ酸であり、
14はいずれかのアミノ酸であり、
15はいずれかのアミノ酸であり、
16はL、I、V、M、A、P、G、C、TまたはSであり、
〔Xinはnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xiはいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
17はL、I、V、M、AまたはPであり、
18はいずれかのアミノ酸であり、
19はいずれかのアミノ酸であり、
20はL、I、V、M、AまたはPであり、
21はPであり、
22はL、I、V、M、A、PまたはGであり、
23はPまたはNであり、
〔Xjnはnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xjはいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
24はL、I、V、M、AまたはPであり、
25はいずれかのアミノ酸であり、
26はいずれかのアミノ酸であり、
27はYまたはFであり、そして
28はL、I、V、M、AまたはPである。
【請求項7】
該タンパク質がシグナル伝達を調節するものである請求項6記載の核酸分子。
【請求項8】
該シグナル伝達がサイトカインまたはホルモン、微生物または微生物産物、寄生体、抗原または他のエフェクター分子により媒介されるものである請求項7記載の核酸分子。
【請求項9】
該タンパク質がサイトカインにより媒介されるシグナル伝達を調節するものである請求項8記載の核酸分子。
【請求項10】
該シグナル伝達がサイトカインであるEPO、TPO、G−CSF、GM−CSF、IL−3、IL−2、IL−4、IL−7、IL−13、IL−6、LIF、IL−12、IFNγ、TNFα、IL−1および/またはM−CSFの一つ以上により媒介されるものである請求項9記載の核酸分子。
【請求項11】
該シグナル伝達がIL−6、LIF、OSM、IFN−γおよび/またはトロンボポエチンの一つ以上により媒介されるものである請求項10記載の核酸分子。
【請求項12】
該シグナル伝達がIL−6により媒介されるものである請求項11記載の核酸分子。
【請求項13】
該ヌクレオチド配列が、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:18、配列番号:21、配列番号:25、配列番号:29、配列番号:36、配列番号:41、配列番号:44、配列番号:46または配列番号:48に実質的に記載されているアミノ酸配列または上にリストした配列の全部または一部に少なくとも約15%の類似性を有するアミノ酸配列または低厳格条件下において42℃で該核酸分子とハイブリッドを形成するヌクレオチド配列をコードするものである請求項1記載の核酸分子。
【請求項14】
該ヌクレオチド配列が、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:45または配列番号:47に実質的に記載されたものであり、または上にリストした配列のすべてまたは一部に少なくとも15%の類似性を有するヌクレオチド配列、または低厳格条件下において42℃で上にリストされた配列とハイブリッドを形成することができるヌクレオチド配列である請求項1記載の核酸分子。
【請求項15】
タンパク質またはその誘導体、ホモログ、アナログまたは模倣物をコードする配列をコードするまたはそれに相補的なヌクレオチド配列あるいは低厳格条件下において42℃でそれとハイブリッドを形成することができるヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、該タンパク質が下記の特性を示すものである核酸分子、
(i) そのC−末端領域にSOCSボックスを有し、該SOCSボックスが下記のアミノ酸配列を含むこと、

上式中、X1はL、I、V、M、AまたはPであり、
2はいずれかのアミノ酸残基であり、
3はP、TまたはSであり、
4はL、I、V、M、AまたはPであり、
5はいずれかのアミノ酸であり、
6はいずれかのアミノ酸であり、
7はL、I、V、M、A、F、YまたはWであり、
8はC、TまたはSであり、
9はR、KまたはHであり、
10はいずれかのアミノ酸であり、
11はいずれかのアミノ酸であり、
12はL、I、V、M、AまたはPであり、
13はいずれかのアミノ酸であり、
14はいずれかのアミノ酸であり、
15はいずれかのアミノ酸であり、
16はL、I、V、M、A、P、G、C、TまたはSであり、
〔Xinはnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xiはいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
17はL、I、V、M、AまたはPであり、
18はいずれかのアミノ酸であり、
19はいずれかのアミノ酸であり、
20はL、I、V、M、AまたはPであり、
21はPであり、
22はL、I、V、M、A、PまたはGであり、
23はPまたはNであり、
〔Xjnはnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xjはいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
24はL、I、V、M、AまたはPであり、
25はいずれかのアミノ酸であり、
26はいずれかのアミノ酸であり、
27はYまたはFであり、
28はL、I、V、M、AまたはPであり、そして
(ii) 該SOCSボックスのN−末端領域に、SH2ドメイン、WD−40反復および/またはアンキリン反復または他のタンパク質:分子相互作用ドメインの少なくとも一つを含むこと、そして
(iii) シグナル伝達を調節すること。
【請求項16】
単離されたタンパク質またはその誘導体、ホモログまたは模倣物であって、そのC−末端領域にSOCSボックスを含むもの。
【請求項17】
該タンパク質がタンパク質:分子相互作用領域をさらに含むものである請求項16記載の単離されたタンパク質。
【請求項18】
該タンパク質:分子相互作用領域が該SOCSボックスのN−末端領域に位置するものである請求項17記載の単離されたタンパク質。
【請求項19】
該タンパク質:分子相互作用領域がタンパク質:DNA結合領域またはタンパク質:タンパク質結合領域である請求項16または請求項17記載の単離されたタンパク質。
【請求項20】
該タンパク質:分子相互作用領域がSH2ドメイン、WD−40反復またはアンキリン反復の一つ以上である請求項19記載の単離されたタンパク質。
【請求項21】
該SOCSボックスが下記のアミノ酸配列を含むものである請求項16〜請求項20いずれか1項に記載の単離されたタンパク質、

上式中、X1はL、I、V、M、AまたはPであり、
2はいずれかのアミノ酸残基であり、
3はP、TまたはSであり、
4はL、I、V、M、AまたはPであり、
5はいずれかのアミノ酸であり、
6はいずれかのアミノ酸であり、
7はL、I、V、M、A、F、YまたはWであり、
8はC、TまたはSであり、
9はR、KまたはHであり、
10はいずれかのアミノ酸であり、
11はいずれかのアミノ酸であり、
12はL、I、V、M、AまたはPであり、
13はいずれかのアミノ酸であり、
14はいずれかのアミノ酸であり、
15はいずれかのアミノ酸であり、
16はL、I、V、M、A、P、G、C、TまたはSであり、
〔Xinはnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xiはいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
17はL、I、V、M、AまたはPであり、
18はいずれかのアミノ酸であり、
19はいずれかのアミノ酸であり、
20はL、I、V、M、AまたはPであり、
21はPであり、
22はL、I、V、M、A、PまたはGであり、
23はPまたはNであり、
〔Xjnはnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xjはいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
24はL、I、V、M、AまたはPであり、
25はいずれかのアミノ酸であり、
26はいずれかのアミノ酸であり、
27はYまたはFであり、そして
28はL、I、V、M、AまたはPである。
【請求項22】
該タンパク質がシグナル伝達を調節するものである請求項21記載の単離されたタンパク質。
【請求項23】
該シグナル伝達がサイトカインまたは他の内因性分子、ホルモン、微生物または微生物産物、寄生体、抗原または他のエフェクター分子により調節されるものである請求項22記載の単離されたタンパク質。
【請求項24】
該タンパク質がサイトカインにより媒介されるシグナル伝達を調節するものである請求項23記載の単離されたタンパク質。
【請求項25】
該シグナル伝達が、サイトカインであるEPO、TPO、G−CSF、GM−CSF、IL−3、IL−2、IL−4、IL−7、IL−13、IL−6、LIF、IL−12、IFNγ、TNFα、IL−1および/またはM−CSFの一つ以上により媒介されるものである請求項24記載の単離されたタンパク質。
【請求項26】
該シグナル伝達がIL−6、LIF、OSM、IFN−γおよび/またはトロンボポエチンの一つ以上により媒介されるものである請求項25記載の単離されたタンパク質。
【請求項27】
該シグナル伝達がIL−6により媒体されるものである請求項26記載の単離されたタンパク質。
【請求項28】
該タンパク質が、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:18、配列番号:21、配列番号:25、配列番号:29、配列番号:36、配列番号:41、配列番号:44、配列番号:46または配列番号:48に実質的に記載されているアミノ酸配列または上にリストした配列の全部または一部に少なくとも約15%の類似性を有するアミノ酸配列を含むものである請求項16記載の単離されたタンパク質。
【請求項29】
該タンパク質が、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:45または配列番号:47に実質的に記載されたヌクレオチド配列、または上にリストした配列の全部または一部に少なくとも15%の類似性を有するヌクレオチド配列、または低厳格条件下において42℃で上にリストされた配列とハイブリッドを形成することができるヌクレオチド配列によりコードされるものである請求項16記載の単離されたタンパク質。
【請求項30】
単離されたタンパク質またはその誘導体、ホモログ、アナログまたは模倣物てあって、下記の特性を有するもの、
(i) そのC−末端にSOCSボックスを含み、該SOCSボックスが下記のアミノ酸配列を含むものであること、

上式中、X1はL、I、V、M、AまたはPであり、
2はいずれかのアミノ酸残基であり、
3はP、TまたはSであり、
4はL、I、V、M、AまたはPであり、
5はいずれかのアミノ酸であり、
6はいずれかのアミノ酸であり、
7はL、I、V、M、A、F、YまたはWであり、
8はC、TまたはSであり、
9はR、KまたはHであり、
10はいずれかのアミノ酸であり、
11はいずれかのアミノ酸であり、
12はL、I、V、M、AまたはPであり、
13はいずれかのアミノ酸であり、
14はいずれかのアミノ酸であり、
15はいずれかのアミノ酸であり、
16はL、I、V、M、A、P、G、C、TまたはSであり、
〔Xinはnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xiはいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
17はL、I、V、M、AまたはPであり、
18はいずれかのアミノ酸であり、
19はいずれかのアミノ酸であり、
20はL、I、V、M、AまたはPであり、
21はPであり、
22はL、I、V、M、A、PまたはGであり、
23はPまたはNであり、
〔Xjnはnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xjはいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
24はL、I、V、M、AまたはPであり、
25はいずれかのアミノ酸であり、
26はいずれかのアミノ酸であり、
27はYまたはFであり、
28はL、I、V、M、AまたはPであり、そして
(ii) 該SOCSボックスのN−末端領域にSH2ドメイン、WD−40反復および/またはアンキリン反復または他のタンパク質:分子相互作用ドメインの少なくとも一つを含むこと、および
(iii) シグナル伝達を調節すること。
【請求項31】
細胞内でSOCSタンパク質のレベルを調節する方法であって、SOCS遺伝子を含む細胞を、該SOCSタンパク質のレベルを調節するのに十分な時間および条件の下で、SOCS遺伝子発現のまたはSOCSタンパク質活性のモジュレーターの有効量と接触させる工程を含んで成る方法。
【請求項32】
SOCS遺伝子を含む細胞内でシグナル伝達を調節する方法であって、該細胞をシグナル伝達を調節するのに十分な時間、SOCS遺伝子発現のまたはSOCSタンパク質活性のモジュレーターの有効量と接触させる工程を含んで成る方法。
【請求項33】
少なくとも一つの細胞がSOCS遺伝子を保持する場合の細胞間における相互作用に影響を与える方法であって、該SOCS遺伝子を保持する細胞を、シグナル伝達を調節するのに十分な時間、SOCS遺伝子発現のまたはSOCSタンパク質活性のモジュレーターの有効量と接触させる工程含んで成る方法。
【請求項34】
該シグナル伝達がサイトカイン、ホルモン、微生物または微生物産物、寄生体、抗原または他のエフェクター分子により媒介されるものである請求項31〜請求項33いずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
該サイトカインがEPO、TPO、G−CSF、GM−CSF、IL−3、IL−2、IL−4、IL−7、IL−13、IL−6、LIF、IL−12、IFNγ、TNFα、IL−1および/またはM−CSFの一つ以上である請求項34記載の方法。
【請求項36】
該サイトカインがIL−6、LIF、OSM、IFN−γおよび/またはトロンボポエチンの一つ以上である請求項35記載の方法。
【請求項37】
該サイトカインがIL−6である請求項36記載の方法。
【請求項38】
該SOCS遺伝子が下記のアミノ酸配列を含むSOCSボックスを有するタンパク質をコードするものである請求項31〜37いずれか1項に記載の方法、

上式中、X1はL、I、V、M、AまたはPであり、
2はいずれかのアミノ酸残基であり、
3はP、TまたはSであり、
4はL、I、V、M、AまたはPであり、
5はいずれかのアミノ酸であり、
6はいずれかのアミノ酸であり、
7はL、I、V、M、A、F、YまたはWであり、
8はC、TまたはSであり、
9はR、KまたはHであり、
10はいずれかのアミノ酸であり、
11はいずれかのアミノ酸であり、
12はL、I、V、M、AまたはPであり、
13はいずれかのアミノ酸であり、
14はいずれかのアミノ酸であり、
15はいずれかのアミノ酸であり、
16はL、I、V、M、A、P、G、C、TまたはSであり、
〔Xinはnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xiはいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
17はL、I、V、M、AまたはPであり、
18はいずれかのアミノ酸であり、
19はいずれかのアミノ酸であり、
20はL、I、V、M、AまたはPであり、
21はPであり、
22はL、I、V、M、A、PまたはGであり、
23はPまたはNであり、
〔Xjnはnアミノ酸の配列であって、nは1〜50のアミノ酸であり、配列Xjはいずれかのアミノ酸残基から選択される同一または異なるアミノ酸を含むことができるものであり、
24はL、I、V、M、AまたはPであり、
25はいずれかのアミノ酸であり、
26はいずれかのアミノ酸であり、
27はYまたはFであり、そして
28はL、I、V、M、AまたはPである。
【請求項39】
該SOCS遺伝子が、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:45または配列番号:47から選択されるヌクレオチド配列を含むものである請求項38記載の方法。
【請求項40】
該SOCS遺伝子が、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:18、配列番号:21、配列番号:25、配列番号:29、配列番号:36、配列番号:41、配列番号:44、配列番号:46または配列番号:48に実質的に記載されているアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするものである請求項38記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図13A−1】
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【図13A−2】
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【図13B−1】
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【図13B−2】
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【図13C−1】
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【図13C−2】
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【図13D】
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【図13E−1】
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【図13E−2】
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【図13F−1】
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【図13F−2】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図18−1】
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【図18−2】
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【図18−3】
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【図19】
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【図20A】
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【図20A−1】
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【図20A−2】
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【図20A−3】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23A】
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【図23A−1】
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【図23A−2】
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【図23A−3】
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【図23B】
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【図24】
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【図24−1】
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【図24−2】
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【図24−3】
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【図25】
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【図26A】
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【図26A−1】
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【図26A−2】
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【図26B】
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【図27】
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【図27−1】
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【図27−2】
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【図28】
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【図29A】
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【図29B】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図32−1】
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【図32−2】
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【図32−3】
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【図33】
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【図34】
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【図34−1】
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【図34−2】
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【図34−3】
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【図35】
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【図35−1】
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【図35−2】
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【図36A】
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【図36B】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図40−1】
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【図40−2】
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【図40−3】
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【図41】
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【図42A】
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【図42A−1】
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【図42A−2】
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【図42B】
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【図43】
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【図44】
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【図45A】
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【図45A−1】
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【図45A−2】
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【図45A−3】
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【図45B】
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【図46】
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【図47A】
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【図47A−1】
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【図47A−2】
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【図47A−3】
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【図47A−4】
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【図47A−5】
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【図47B】
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【図48A】
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【図48A−1】
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【図48A−2】
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【図48A−3】
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【図48A−4】
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【図48A−5】
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【図48A−6】
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【図48B】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【公開番号】特開2009−60903(P2009−60903A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237273(P2008−237273)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【分割の表示】特願平10−520867の分割
【原出願日】平成9年10月31日(1997.10.31)
【出願人】(502140949)ザ ウォルター アンド イライザ ホール インスティチュート オブ メディカル リサーチ (1)
【Fターム(参考)】