説明

サイトカインアンタゴニスト及びコルチコステロイドを有する併用製剤

本発明は、サイトカインアンタゴニスト及びコルチコステロイドを用いる併用療法のための薬剤学的組成物に関する。この併用療法を用いて、関節症、腱疾患及び/又は変形性脊椎症のような病気が処置されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイトカインアンタゴニスト及びコルチコステロイドを有する併用療法用の薬剤学的組成物に関する。前記併用療法を用いて、関節症(関節症の炎症性形態を含む)、腱疾患及び/又は変形性脊椎症のような病気が処置されることができ、その際に前記処置は好ましくは局所的に行われる。
【0002】
技術的背景
関節症は、"関節摩耗"と呼ばれ、この摩耗は年齢で普通の限度を超える。この摩耗は冒された関節中の軟骨の損失を必然的に伴い、それらから痛み及び機能の悪化がもたされる。原因となるのは、過剰の負荷、先天的な原因又は外傷に関連した原因、例えば関節の位置異常、又は骨粗鬆症のような骨疾患による骨の変形ともされている。これは、同様に、他の疾患、例えば関節の炎症の結果として生じうるか、又は過負荷を原因とする滲出液形成を必然的に伴いうる。
【0003】
原則的に、全ての関節は、関節症変化(arthrotischen Veraenderungen)に冒されうる。独国においては、前記疾患は最も普通に膝関節中に局在化される。関節症は、一般医学の実務における最も普通の相談理由の1つである。西側諸国の人口の約10%は関節症にかかる。小さな椎骨関節の関節症及び変形性関節間板疾患をそれに含めると、人口の約15%〜20%さえも冒されている。関節症にかかるリスクは、年を取るにつれて高まる。65歳を超えるヒトの約3分の2は、前記疾患に冒されているが、しかしながら全ての罹患者が前記症状に苦しんでいるわけではない。
【0004】
関節症の処置のためには、既に幾つかの療法形態が知られている。これらには、保存的な(例えば薬物による)療法並びに人工補装具による完全な関節の置換に至るまでの外科手術が含まれる。そのような大々的で不可逆的な手術を回避するためには、完全関節置換術の時点をできるだけ長く先延ばしするための有効な薬物による処置を原則的に優先させるべきである。
【0005】
しかしながら、多くの薬物による処置は欠点も有する。一方では、これは医薬自体の副作用にあり、しかしまたそれらの有効性も、制約されて部分的に与えられているに過ぎない。
【0006】
関節症の処置のためにしばしば使用される医薬作用物質は、コルチゾン及び類縁のコルチコステロイドである。これらは全身に、しかしたいてい冒された関節への注射として局所投与される。この場合に、しかしながら、コルチコステロイドの有利な作用は、たった1週間後に既に弱まることがわかっている。これは、無作為研究及び臨床経験に基づいて臨床的に確実視されている。
【0007】
関節症の処置に使用されることができる別の医薬は、自己のタンパク質IL−1Ra又は類似の活性を有するそのイソフォーム又はフラグメントである。インターロイキン−1受容体アンタゴニスト(IL−1Ra)は、細胞表面上でインターロイキン−1(IL−1)と同一の受容体に結合するが、しかしそこではIL−1結合により通常引き起こされる信号カスケードを誘発しない。IL−1受容体への結合により、IL−1Raは、IL−1の結合をブロックし、こうしてそのシグナル伝達、ひいては目的細胞へのIL−1の炎症を促進する作用を妨げる。
【0008】
IL−1Raが豊富化され、かつ他の因子が含まれている自己血清での患者の処置は、技術水準において知られている。こうして使用されるIL−1Raは、オルソキン(Orthokin)とも呼ばれる。組換え型IL−1Raフラグメントであるアナキンラは、これとは異なり、意外なことに関節症の処置の場合に、プラセボ処置と比較して何ら作用を示さなかった。アナキンラは、ヒトインターロイキン−1受容体アンタゴニストの、アミノ酸が26〜177個短くされ、かつ末端でL−メチオニル化されたイソフォームであり、かつ153個のアミノ酸の配列長さを有する。その製造は、例えば組換え法を用いてエシェリキア コリ(Escherichia coli)株により行われる。
【0009】
故に、技術水準を考慮すれば、より良好な有効性を有し、かつ特に良好な長期有効性を有する薬物による関節症処置を提供するという課題があった。
【0010】
発明の要約
意外なことに、関節症、関節症の炎症性の形態及び変形性脊椎症の場合のコルチゾンのようなコルチコステロイドの有効性、特に長期有効性が、サイトカインアンタゴニスト、例えばオルソキン及びアナキンラの付加的な投与により明らかにもしくは相乗的に改善されることができることが今や確かめられた。このことは、特に、処置すべき関節へ直接、治療薬を局所投与する場合に見出される。このことは、アナキンラが単独では疑う余地なく関節症及び変形性脊椎症の処置の際に何ら効果を示さないにも拘わらず、この有利な効果が、オルソキンのような天然型IL−1Ra並びにアナキンラのような組換え型IL−1Raの付加的な投与の際に生じるという事実を考慮すれば、特に極めて意外である。本発明は、組換え型IL−1Raを関節症及び脊椎症の処置に役に立たせる可能性を与える、それというのも、これは、単独の形態ではこれらの疾患の処置に適していないからである。これらの作用物質の組合せの類似して意外に良好な有効性及び高い安全性は、自己免疫病、例えば神経皮膚炎及び円形脱毛にも見出され、その際にとりわけ炎症抑制作用が役割を果たす。
【0011】
この状況の考えられる説明は、サイトカインアンタゴニストが、同化作用を有し、かつ冒された関節中でコルチコステロイドの既知の有害な異化作用を相殺しうるか又はそれどころか逆にしうることである。故に、コルチコステロイドは、例えば関節症の処置の際に、類似した作用又はそれどころか高まる作用を達成するために、サイトカインアンタゴニストに加えて、選択的に又は付加的に同化増殖因子とも組み合わされることができる。本発明はすなわち、サイトカインアンタゴニストと組み合わせることによって、軟骨破壊の増強からなりうる、関節症の際の既知の有害な作用を有しないコルチコステロイドを開発することを可能にすることである。
【0012】
故に、本発明は、第一態様において、コルチコステロイドをサイトカインアンタゴニスト及び任意に増殖因子と併せて含有する薬剤学的組成物を提供し、その際にサイトカインアンタゴニストは、天然に存在するか又は組換え型のインターロイキンアンタゴニストIL−1Raタンパク質、特にオルソキン又はアナキンラであり、かつ薬剤学的組成物は局所投与に適している。
【0013】
同じように、前記治療薬は、2つの異なる薬剤学的組成物においても同時に又は時間順に投与されることができる。相応して、本発明の第二態様及び第三態様において、コルチコステロイドと併せた併用療法において使用するための、サイトカインアンタゴニスト及び任意に増殖因子を含有する薬剤学的組成物、並びにサイトカインアンタゴニスト及び任意に増殖因子と併せた併用療法において使用するための、コルチコステロイドを含有する薬剤学的組成物が提供される。本発明の第二態様並びに第三態様の場合に、サイトカインアンタゴニストは、天然に存在するか又は組換え型のインターロイキンアンタゴニストIL−1Raタンパク質、特にオルソキン又はアナキンラであり、かつ薬剤学的組成物は局所投与に適している。
【0014】
本発明による第四態様において、サイトカインアンタゴニスト及び任意に増殖因子を含有する薬剤学的組成物と、コルチコステロイドを含有する薬剤学的組成物とを含有するキットが提供される。サイトカインアンタゴニストは、天然に存在するか又は組換え型のインターロイキンアンタゴニストIL−1Raタンパク質、特にオルソキン又はアナキンラであり、かつ薬剤学的組成物は局所投与に適している。
【0015】
そのうえ、本発明は、第五態様において、コルチコステロイドと併せた併用療法において使用するための薬剤学的組成物を製造するための、サイトカインアンタゴニスト及び任意に増殖因子の使用、及び第六態様において、サイトカインアンタゴニスト及び任意に増殖因子と併せた併用療法において使用するための薬剤学的組成物を製造するための、コルチコステロイドの使用に関する。本発明の第五態様並びに第六態様の場合に、サイトカインアンタゴニストは、天然に存在するか又は組換え型のインターロイキンアンタゴニストIL−1Raタンパク質、特にオルソキン又はアナキンラであり、かつ薬剤学的組成物は局所投与に適している。
【0016】
本発明のさらなる実施態様は、以下の詳細な説明に及び特許請求の範囲に示されている。
【0017】
発明の説明
本発明は、関節及び脊柱の疾患、例えば関節症、関節炎、関節症の炎症性の形態及び変形性脊椎症の処置が、並びに自己免疫疾患の場合に、サイトカインアンタゴニスト及び任意に増殖因子の付加的な投与によるコルチコステロイドを用いて明らかに改善されることができるという意外な知見に基づくものである。特に、組換え型IL−1Raアナキンラでの処置については、コルチコステロイドとの組合せによってはじめて、コルチコステロイドの単独作用よりもはるかに高い有効性もしくはアナキンラをコルチコステロイドとの組合せにおいて総じてはじめて前記の疾患の処置の際の有効な薬剤にする有効性がもたらされる。天然型IL−1Raであるオルソキンの場合に、有効性の明らかな改善は、炎症性の関節症もしくは関節症の炎症性経過又は椎骨関節又は神経根の炎症の場合にまさに観察されうる。それゆえ、本発明は、サイトカインアンタゴニスト、例えばアナキンラ又はオルソキン及び任意に増殖因子と併せたコルチコステロイドを用いるそのような疾患の併用療法に向けられている。
【0018】
これらの異なる作用物質は、その際に、同時に − 同一の製剤中で又は異なる製剤中で −又は連続的にも投与されることができる。双方の異なる作用物質の1つのみを含有する本発明による薬剤学的組成物は、本発明によるキットと同じように、故に、一方ではサイトカインアンタゴニスト及びコルチコステロイドの同時投与のためのものであってよく、他方では連続投与のためのものであってよい。しかしながら、同時投与が、特に1つのみの製剤中での投与が、好ましい。そして、例えば、本発明によるキットの双方の薬剤学的組成物は、患者への投与前に適した比で混合されることができ、そうすると1つの製剤として投与されることができる。サイトカインアンタゴニスト及びコルチコステロイドの連続投与の場合に、異なる作用物質は、好ましくは1週間の期間内、好ましくは5日、3日、1日以内又は12時間以内に投与される。
【0019】
本発明によれば、サイトカインアンタゴニストは、増殖因子とも組み合わされることができる。任意に、本発明による薬剤学的組成物もしくは本発明によるキット中に別のサイトカインアンタゴニストが含まれている。
【0020】
本発明により使用されるサイトカインアンタゴニストは、患者の体内で1種又はそれ以上のサイトカインの生物学的活性の少なくとも1つ、好ましくは本質的には全てを低下させるか又は阻害するあらゆる物質又はあらゆる物質混合物であってもよい。拮抗作用は、その際に直接アンタゴニストにより又は間接的に、例えばサイトカインの生物学的活性にも影響を及ぼす別の信号経路の活性化又は阻害により、行われることができる。好ましくは、サイトカインの生物学的活性は、サイトカインが結合することができる1種又はそれ以上の前記受容体とサイトカインとの相互作用をブロックすることにより阻害される。これは、例えば、アンタゴニストの相応する受容体への競争的な結合によるか又はサイトカイン自体へのアンタゴニストの結合により達成されることができる。好ましくは、サイトカインアンタゴニストは、サイトカインIL−1の作用を阻害する。
【0021】
サイトカインアンタゴニストは、例えば、タンパク質、ペプチド、核酸、脂質又は有機化合物であってよい。また、サイトカインアンタゴニストは、本明細書に記載されているような2種又はそれ以上のサイトカインアンタゴニストの混合物からなっていてよい。特に、サイトカインアンタゴニストは、天然に存在するペプチド又はタンパク質又は組換えて製造されるペプチド又はタンパク質であってもよい。そのうえ、サイトカインアンタゴニストは、抗体又は抗体の抗原結合フラグメント、特に当該サイトカイン又はサイトカイン受容体を結合することができる抗体又は抗体フラグメントであってよく、又はそれらを含有していてよい。適したサイトカインアンタゴニストの例は、インターロイキンアンタゴニスト、特にIL−1アンタゴニスト、例えばIL−1Ra、腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニスト、特にTNF−α−アンタゴニスト、例えば抗TNF−α−抗体、インターフェロンアンタゴニスト、及びケモカインアンタゴニストである。特に好ましいのは、天然に存在するか又は組換え型のIL−1Raタンパク質、好ましくはヒトIL−1Raである。IL−1Raは、好ましくは、配列番号1、2、3、4又は5によるヒトIL−1Raのイソフォーム又は相同体、配列番号6又は7によるウマIL−1Raのイソフォーム、又は配列番号8によるイヌIL−1Raのイソフォームのアミノ酸配列を含むか、又は好ましくはそれらからなる。好ましくは、本発明による薬剤学的組成物又は本発明によるキットは、そのようなサイトカインアンタゴニストを、天然に存在するか又は組換え型のIL−1Raタンパク質に加え、含む。
【0022】
さらに、本発明によれば、IL−1Raのフラグメント又は誘導体は、これらが所望の機能、すなわちIL−1の1種又はそれ以上の生物学的機能を低下させるか又は阻害することができる限りは、サイトカインアンタゴニストとして使用されることができる。IL−1Raのフラグメントは、天然型IL−1Ra配列のアミノ酸を好ましくは少なくとも20個、より好ましくは少なくとも40、60、80又は少なくとも100個含む。好ましくは、前記フラグメントは、IL−1Raの天然に存在している分泌されたフラグメントである。一実施態様において、IL−1Raは、ヒトIL−1Raのアミノ酸26〜177個、好ましくは配列番号1による配列のアミノ酸26〜177個を含む。IL−1Raの誘導体は、好ましくは、天然型IL−1Raに対して相同であり、かつ好ましくは、天然型IL−1Raに対して、つながっているアミノ酸の少なくとも20個、好ましくはつながっているアミノ酸の少なくとも40、60、80個又は少なくとも100個の範囲にわたって、最も好ましくはIL−1Raの全長にわたって、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%及び最も好ましくは少なくとも98%の相同性又は同一性を有する。特に好ましいのは、オルソキンとも呼ばれる、血液のような天然の生物学的試料から単離可能なIL−1Ra並びにアナキンラとも呼ばれる、ヒトIL−1Raの26〜177個のアミノ酸を有するIL−1Raフラグメントである。オルソキンの製取は、とりわけ、国際公開(WO-A1)第00/46249号及び国際公開(WO-A1)第03/080122号に記載されている。アナキンラ並びに本発明において使用されることができる別のIL−1アンタゴニストは、とりわけ欧州特許出願公開(EP-A1)第0 343 684号明細書に記載されている。
【0023】
血液のような天然の生物学的試料からのIL−1Raの製取の場合、例えばオルソキンの場合に、得られたIL−1Ra溶液は好ましくは増殖因子も含有し、これらも本発明による作用物質の組合せの意外な有効性の原因となりうる。故に、サイトカインアンタゴニストは、本発明によれば1種又はそれ以上の増殖因子との組合せでも存在していてよく、又は1種又はそれ以上の増殖因子により置き換えられてもよい。増殖因子は、本発明によれば好ましくは同化作用を有する。適した増殖因子の例は、TGF−β、IGF、BMP、HGF及びVEGFである。これらの増殖因子の類似体、誘導体及びフラグメントも、これらが所望の作用、すなわち特に増殖因子としてのそれらの作用を有する限りは、含まれている。
【0024】
本発明により使用されるコルチコステロイドは、天然に存在する並びに合成的に製造されたあらゆるコルチコステロイドであってよい。特に、これはグルココルチコイド、ミネラルコルチコイド又はアンドロゲンであってよく、その際にグルココルチコイドが好ましくは使用される。同じように、本明細書に記載されたような二種又は複数のコルチコステロイドの混合物も使用されることもできる。グルココルチコイドの例は、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、クロプレドノール、デフラザコート、フルオコルチン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、フルプレドニゾロン、クロコルトロン、クロベタゾン、アルクロメタゾン、フルメタゾン、フルオプレドニデン(Fluopredniden)、フルオランドレノロン(Fluorandrenolon)、ベタメタゾン、ベクロメタゾン、フルオコルトロン、モメタソン、フルチカゾン、ハロメタソン(Halomethason)、フルオシノロン、ジフロラゾン、デソキシメタソン(Desoximethason)、フルオシノニド、アムシノニド、ハルシノニド、ジフルコルトロン、クロベタゾール及びパラメタゾンである。ミネラルコルチコイドの例は、アルドステロン、デオキシコルチコステロン及びフルドロコルチゾンであり、かつアンドロゲンの例は、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)及びエストロゲン類である。コルチコステロイドは、遊離化合物として又は塩、エステル又はプロドラッグの形で使用されることができる。好ましい実施態様において、使用されるコルチコステロイドは、トリアムシノロン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン又はプレドニゾンである。
【0025】
好ましい実施態様において、本発明による薬剤学的組成物もしくは本発明によるキットは、関節疾患、例えば関節症、関節炎、関節の炎症及び炎症性の軟骨損失、腱疾患、変形性脊椎症及びまた自己免疫疾患の処置の際に使用するためのものである。処置すべき関節症は、過負荷により生じたものであってよく、先天性又は外傷性の原因を有していてよく、又は炎症のような他の疾患の結果であってよい。処置すべき関節症は、好ましくは、活性化された関節症又は炎症性関節症である。本発明による薬剤学的組成物は、任意のあらゆる関節、例えば膝関節、股関節、距骨関節、肩関節、椎骨関節、指関節、肘関節、足指関節、顎関節及び手関節での関節症及び関節炎の処置に使用されることができる。処置すべき関節炎は、感染により引き起こされる関節炎、例えば細菌性関節炎又は感染により引き起こされない関節炎、例えば関節リウマチ、乾癬性関節炎又は痛風性関節炎であってよい。選択的に、本発明による薬剤学的組成物及び/又は本発明によるキットは、1種又はそれ以上の前記の病気(例えば関節リウマチ)とは異なる病気の処置の際にも使用するためのものであってもよい。処置すべき変形性脊椎症は、例えば椎間板ヘルニアであってよい。自己免疫疾患は、とりわけ関節の自己免疫疾患、例えば例えばベヒテレフ病、関節リウマチ及び全身性エリテマトーデス、並びに他の自己免疫疾患、例えば特に神経皮膚炎及び円形脱毛症(kreisrunder Haarausfall)を含む。
【0026】
本発明による薬剤学的組成物もしくは本発明によるキットは、好ましくは局所投与のためのものである。故に、これらは、好ましい実施態様において注射のため、特に処置すべき身体部位へ、特に冒された関節中へ、冒された神経根へ又は冒された関節間板中へ、又はこれらの局所的な周囲中への注射のためのものである。薬剤学的組成物は、それゆえ特に関節内及び/又は根周囲の注射のためのものである。選択的に、本発明による薬剤学的組成物は、外用投与のために、特にクリーム又はゲルとして、又は全身投与、特に経口投与のために錠剤、カプセル剤又はトローチ剤の形で、調合されていてよい。投与形態はとりわけ、処置すべき病気に依存する。局所的な関節症の場合又は変形性脊椎症の場合に、故に、本発明による薬剤学的組成物の局所投与が好ましい。好ましい実施態様において、本発明による薬剤学的組成物もしくは本発明によるキットは専ら全身投与とは異なる投与のためのものであるか又はそのような投与に適している。
【0027】
本発明による薬剤学的組成物は、多様な投与経路にそれぞれ適して、当業者に知られた方法で調合されている。そして、注射に適した薬剤学的組成物は、好ましくは溶液又は分散液として、又は乾燥した形でも、例えば粉末又は凍結乾燥物として存在し、この粉末又は凍結乾燥物は注射前に水のような適した溶剤中に溶解されなければならない。本発明による薬剤学的組成物は、治療上有効な量のサイトカインアンタゴニスト及び/又はコルチコステロイドを含有する。サイトカインアンタゴニストは、従って、好ましくは0.5〜150mg/用量の濃度でサイトカインアンタゴニストを含有する薬剤学的組成物中に存在しているが、しかしまた、かなりより少ない濃度、例えば約1ng/用量又はそれ以上、例えば1〜1000ng/用量で存在していてよい。これらの少ない用量濃度は、特に増殖因子との組合せの場合及び/又は天然型IL−1Ra製剤の場合、例えばオルソキンを有する組成物の場合に、使用されることができる。より高い用量濃度は、例えばアナキンラのような組換えて製造されるサイトカインアンタゴニストの場合に好ましい。コルチコステロイドは、好ましくは1〜80mg/用量、より好ましくは5〜40mg/用量の濃度で、コルチコステロイドを含有する薬剤学的組成物中に存在する。そのうえ、本発明による薬剤学的組成物は、さらに1種又はそれ以上の担体物質及び/又は1種又はそれ以上の付形剤を含有することができる。
【0028】
本発明の薬剤学的組成物は、関連した病気、すなわち例えば関節症、関節炎、及び/又は変形性脊椎症の他の処置を既に受けた、特にこの他の処置が成果をあげていなかったか又は病気の症状が、初期に成果のある処置にも拘らず少なくとも部分的にぶり返している場合の、患者の処置のためのものであってもよい。好ましい実施態様において、この他の処置は、サイトカインアンタゴニスト、例えばアナキンラ又はオルソキンを用いるが、しかしコルチコステロイドを用いない療法、又はコルチコステロイド、特に前記のようなグルココルチコイドを用いるが、しかしサイトカインアンタゴニストを用いない療法である。
【0029】
本発明の意味での患者は、本明細書に記載された病気の1つにかかるヒト並びに動物であってよい。そのために、本発明による薬剤学的組成物は、ヒト及び/又は動物、例えばイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ラクダなどの処置に適当でありうる。
【0030】
本発明のさらなる一実施態様において、本発明による薬剤学的組成物は、エキソソームと併せた併用療法において使用するためのものである。エキソソームは、脂質膜により包まれた小さなベシクルであり、例えば人体の細胞外空間中に存在している。これらは細胞から、細胞形質膜が裂けることにより形成され、かつ分泌される。通常、これらのエキソソームは、それらの起源細胞から渡されたタンパク質も含有する。
【0031】
エキソソームは、本発明による薬剤学的組成物中に直接含まれていてよく、又は別個の組成物中で同時に又は連続して投与される。好ましくは、エキソソームは、血液試料から製取され、その際にエキソソームは、処置すべき患者に関して、好ましくは自家又は同種である。エキソソームを製取及び投与する方法は、例えば、国際公開(WO-A2)第2006/007529号に記載されている。
【0032】
従って、好ましい実施態様は、本発明の薬剤学的組成物が、まず最初にエキソソームが患者の血液試料から製取され、これらが引き続きサイトカインアンタゴニスト及びコルチコステロイドと併せてこの患者に再び投与される処置のためのものであることを規定する。
【0033】
併用療法が患者の血液試料から製取されるエキソソームを包含する場合には、エキソソームを濃縮するために、遠心分離工程を少なくとも100 000gで実施することがかなりの場合に好ましい、それというのも、そのように高い相対遠心加速度は、エキソソームを濃縮するのに特に適しているからである。このことは、本発明の第一態様、第二態様、第三態様、第四態様、第五態様及び/又は第六態様(コルチコステロイドをサイトカインアンタゴニストと併せて含有する薬剤学的組成物、コルチコステロイドと併せた併用療法において使用するためのサイトカインアンタゴニストを含有する薬剤学的組成物、サイトカインアンタゴニストと併せた併用療法において使用するためのコルチコステロイドを含有する薬剤学的組成物、サイトカインアンタゴニストもしくはコルチコステロイドのキット及び/又は使用)にあてはまる。好ましくは、エキソソームの高められた濃度が有意義である病気の処置の場合に、好ましくは関節リウマチの処置の場合に、そのような遠心分離工程は実施される。特に好ましくは、そのような遠心分離工程は、併用療法が患者の血液試料から製取されるエキソソームを包含する場合には、かなり一般的に実施される。少なくとも100 000gでの遠心分離工程は、好ましくは少なくとも30min、特に少なくとも60min実施される、それというのも、濃縮はそうすると特に効果的だからである。
【実施例】
【0034】
以下に、進行性関節症を有する患者の多様な事例研究が記載されている。これらは、サイトカインアンタゴニスト(例えば組換え型IL−1Ra組換え又は自家の血液試料から製取されるIL−1Ra)及びコルチコステロイドを用いる併用療法で処置された。
【0035】
省略形:
re 右
li 左
bds 両側
IRO 内転
ARO 外転
VAS 痛みの感覚のビジュアルアナログスケール(0〜10)
WOMAC 関節症についての患者の質問表
CRP c−反応性タンパク質、血液中で検出可能な炎症マーカー
OSG 大腿関節。
【0036】
1.アナキンラ及びコルチゾンの局所投与
事例I:A.、69歳
診断:変形性股関節症re、X線像中グレードIII−IV;約3年前からの跛行を伴う股関節痛、患者はまだ股関節置換術を望まない;臨床的な保護跛行、IRO/AROre股関節5/0/5、副所見的に既知のボレリア症;
治療:トリアムシノロン10mgを有するアナキンラ1mgの週5回の注射が投与された。
結果:治療終了の際に(5回目の後)、保護跛行は消えていた。IRO/ARO右は今や10/0/15;VAS 8から3に改善;70%痛み減少(処置前の痛み(100%)と比較した今の痛み度(ここでは30%)による患者の個人評価、痛み減少は、今の痛みと処置前の痛みとの差である(100%−30%=70%))。3ヶ月後の検査で、治療終了の際の状態と比較して変わらない改善。
【0037】
事例II:R.、54歳、女性
診断:対象物をつかむ際の機能障害を伴うひどい痛み(VAS 6)を有する臨床的及び放射線学的に母指CM関節症(Rhizarthrose)re中程度。過去でのコルチゾン注射は不成功に終わった。
治療:右手親指鞍関節のためにトリアムシノロン1mgとの組合せ(1、3及び5回目の際)でのアナキンラ0.5mgの5回の注射処置が行われた。
結果:治療終了の際に痛みなし、100%改善;VAS 今や0;右手の機能 正常;治療終了3ヶ月後の検査の際にさらに変わらない極めて良好な結果。
【0038】
事例III:W.、49歳、男性
診断:臨床的及び放射線学的に中程度の膝関節症bds。数年前からグレードII−III。過去での膝へのヒアルロン酸注射及びコルチゾン注射は不成功に終わった
治療:1、3及び5回目の際にトリアムシノロン10mgの使用を伴う6回のアナキンラ処置が行われた。
結果:治療終了の際に100%痛み改善re膝、左膝70%痛み改善。
【0039】
事例IV:T.、45歳、男性、音楽家
診断:約2年前からの放射線学的及び臨床的にインピンジメントli肩;以前のコルチゾン注射は不成功に終わった;外転は約15度に制限された
治療:トリアム(Triam)10mgを有するアナキンラ50mgの注射並びに及び検査が行われた。アナキンラ及びトリアム10mgの注射液を注射器中で混ぜ、滅菌で吸い上げた。
結果:処置1週間後のその後の検査の際に完全に痛みなし(100%)、機能 正常。良好な治療成果のために、別の処置は計画されなかった。追跡検査は目立つものはなかった。
【0040】
事例V:K.、45歳、男性
診断:数年前から臨床的及び放射線学的に内側の膝関節症reグレードIV及び膝蓋後(retropatellar);よそでは、右の移動術(Umstellungsosteotomie)の試み又は膝関節置換術が推奨された。患者は、しかしながら保存的治療の試みを望んだ。過去で、ヒアルロン酸及びコルチゾン(トリアムシノロン)の注射は、臨床的に不成功に終わった。
治療:トリアムシノロン10mg(処置全用量50mg)の並行投与を伴う10回のアナキンラ処置(各回100mg)が週2回実施された。
結果:治療終了時に3ヶ月後65%痛み減少。
【0041】
事例VI:M.、50歳、男性
診断:明らかな機能悪化及び右膝内側の痛みを伴う臨床的及び放射線学的に(MRT)内部半月板損傷re膝III。OPが推奨されており、患者は手術ではない他の手段をしたがっていた。
治療:トリアムシノロン10mg及びアナキンラ1mgの一回の注射が行われた。
結果:注射1ヶ月後に80%痛み改善、患者はOPをもはや望んでおらず、新たな注射を望んだ、なぜならこれは極めて良く効いたからである。治療6ヶ月後の追跡検査の際にさらにOPの望みなし、患者 痛みなし。
【0042】
事例VII:G.、42歳、男性
診断:数年前から臨床的及び放射線学的に腰椎椎間関節症、副所見的に憩室症。腰椎椎間関節へのコルチゾン注射での入院処置は不成功に終わった。
治療:腰椎椎間関節へのアナキンラ6mgの注射を伴う6回の治療が週2回行われた。1回目の注射の際に付加的にトリアムシノロン3mgが、後続の処置2〜6の際に専らアナキンラ6mgが投与された。
結果:60%痛み改善、VAS 処置前の7から処置後の3に改善。検査 5ヶ月後に変わらず。
【0043】
第1表:アナキンラ及びコルチゾンでの治療。事例系列の統計学的評価
【表1】

患者数:N=12
平均の痛み減少:約3ヶ月後に71.5%(治療前100%痛み、治療終了28.5%痛み)
標準偏差:SD=22
p<0.001。
【0044】
関節症の場合のオルソキン及びコルチゾンでの治療:
患者数:N=129
平均再診期間:3ヶ月
平均の痛み減少:71%(すなわち処置前の100%の痛みから処置後の29%への減少)
際立って迅速な作用開始。
【0045】
2.アナキンラ及びコルチゾン及びエキソソームの局所投与
事例VIII:T.、56歳、女性
診断:臨床放射線学的には、内側及び膝蓋後の膝関節症li、グレードIVがある。よそでは、既に左の膝関節全置換術が計画されていた;
治療:膝手術を回避しながら、左膝へのアナキンラ及び10mgのトリアムシノロンと併せたエキソソームの3回の注射(週2回)。
結果:3回目の注射の時点までに100%痛み改善、明らかな機能改善。手術日は取り消され、患者は治療終了の5ヶ月後にもなお痛みがなかった。
【0046】
3.アナキンラ及びコルチゾン及びオルソキンの局所投与
事例IX:L.、57歳、男性
診断:6ヶ月前からひどい肩痛li(VAS 8);それ以降明らかに損なわれた安眠。患者はこの6ヶ月にわたり殆ど眠ることはできず、故に一般的な健康の障害も。左肩へのコルチゾンの多数の注射は不成功に終わった。左肩の手術日が取り決められていた。ここでは、手術を回避する試みが講じられるべきであった。放射線学的及び臨床的には、左の完全な肩硬直を伴う部分的な回旋筋腱板裂傷及び肩峰下の狭窄の症候;左の手及び前腕の力の衰弱を伴う左腕の感覚異常、グレード4。
治療:注射を、左肩へ背部及び側方に適用した。オルソキン2mlを、アナキンラ10mg及びトリアムシノロン10mgと共に1つの注射器により左肩へ適用した。治療を4日続けて実施した。
結果:既に処置2日目に、患者は、90%の痛み減少を伴う極度の痛み改善を示した。VASは8から1へ低下しており、肩は自由にかつ正常に動かすことができた。患者は、この6ヶ月ではじめて眠り続けることができた。患者は、それにより彼の一般的な健康が明らかに改善されていた。治療の続き 処置日4まで。さらに、処置日2と同じく変わらず明らかな改善を示し、処置6ヶ月後の追跡検査の際に、変わらず肯定的な所見があった。手術は取り消され、可動性は自由であり、患者は、再び問題なくスーツケース及び本を肩の高さを超えて持ち上げることができる。
【0047】
事例X:F.、45歳、女性
診断:約8ヶ月前から右の完全な肩硬直。これまでの全ての治療が不成功に終わっており、OPが計画されていた。患者は、新たな保存的処置の試みを望んだ。夜の睡眠は数週前からもはや不可能であった。左に始まる肩痛、主所見はしかし右肩、そこで10までの重度の急性発作を伴うVAS 9、それにより全体で減少された一般状態。
治療:6日続けて、オルソキン2mlと別個に適用されるアナキンラ150mg及びトリアムシノロン5mgの組合せからなる他の注射器と併せた組合せの右肩の処置。
結果:5日目から85%痛み改善。夜間に眠り続けることは2回目の処置以来可能であった、それによりかなり改善された一般状態。処置終了の際のVASは1。処置8ヶ月後の追跡検査はさらに、極めて良好な変わらない結果を示した;OPは取り消された。
【0048】
4.IL−1 Ra及びトリアムシノロン/プレドニゾロンと共にインキュベートしたエキソソーム
事例X:S.25歳、男性
診断:約15年前から重度の若年性関節リウマチ。
週2回のエンブレル25mg、1日2回のメトトレキセート10mg、デコルチン5mg及びナプロキセンでの処置。広範性(Massive)滑膜炎及び痛み 両OSG及び両肩。処置前の両肩の外転60度。実験室CRP値:5.35(0.5mgまでが正常);白血球増加症。
治療:血液をエキソソームの製造のために6ml注射器(オルソキン注射器)中へ取り出した。その後、37度で24hインキュベーションし、その際に血液を注射器に充填する際に前もってアナキンラ(IL−1Ra)1mg及びプレドニゾロン2mgを注射器へ適用した。遠心分離(100 000gまで)の多様な工程後に、混合物を、ついで患者のOSGe及び肩へ適用した。
結果:開始3日後に関節の明らかな腫脹消失(Abschwellung)。9日後の臨床的及び実験室化学的な検査:80%痛み改善、OSG正常、腫脹なし。CRP値は今や1.93に。局所的に注射しなかった他の冒された関節でも改善。一般的な生活の質はかなり改善される。3ヶ月後の検査の際に、変わらず安定な状況を示す。処置前のVAS 9、注射後最初の週以降VAS 3。患者は極めて満足しており、仕事を再び続けることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルチコステロイドを、サイトカインアンタゴニスト及び任意に増殖因子と併せて含有する薬剤学的組成物であって、
サイトカインアンタゴニストが、天然に存在するか又は組換え型のインターロイキンアンタゴニストIL−1Raタンパク質、特にオルソキン又はアナキンラであり、かつ薬剤学的組成物が局所投与に適している、
薬剤学的組成物。
【請求項2】
コルチコステロイドと併せた併用療法において使用するための、サイトカインアンタゴニスト及び任意に増殖因子を含有する薬剤学的組成物であって、
サイトカインアンタゴニストが、天然に存在するか又は組換え型のインターロイキンアンタゴニストIL−1Raタンパク質、特にオルソキン又はアナキンラであり、かつ薬剤学的組成物が局所投与に適している、
薬剤学的組成物。
【請求項3】
サイトカインアンタゴニスト及び任意に増殖因子と併せた併用療法において使用するための、コルチコステロイドを含有する薬剤学的組成物であって、
サイトカインアンタゴニストが、天然に存在するか又は組換え型のインターロイキンアンタゴニストIL−1Raタンパク質、特にオルソキン又はアナキンラであり、かつ薬剤学的組成物が局所投与に適している、
薬剤学的組成物。
【請求項4】
サイトカインアンタゴニスト及び任意に増殖因子を含有する薬剤学的組成物と、コルチコステロイドを含有する薬剤学的組成物とを含有するキットであって、
サイトカインアンタゴニストが、天然に存在するか又は組換え型のインターロイキンアンタゴニストIL−1Raタンパク質、特にオルソキン又はアナキンラであり、かつ薬剤学的組成物が局所投与に適している、
キット。
【請求項5】
(1種又はそれ以上の)薬剤学的組成物が、サイトカインアンタゴニスト及び/又は増殖因子及びコルチコステロイドの同時投与又は連続投与のためのものである、請求項2又は3のいずれか1項記載の薬剤学的組成物又は請求項4記載のキット。
【請求項6】
インターロイキンアンタゴニスト、特にIL−1アンタゴニスト、例えばIL−1Ra、腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニスト、特にTNF−α−アンタゴニスト、例えば抗TNF−α−抗体、インターフェロンアンタゴニスト及びケモカインアンタゴニストからなる群から選択される別のサイトカインアンタゴニストを含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の薬剤学的組成物又はキット。
【請求項7】
サイトカインアンタゴニストが0.5〜150mg/用量の濃度で、サイトカインアンタゴニストを含有する薬剤学的組成物中に存在する、請求項1、2及び4から6までのいずれか1項記載の薬剤学的組成物又はキット。
【請求項8】
コルチコステロイドが、
(a)グルココルチコイド、例えばコルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、クロプレドノール、デフラザコート、フルオコルチン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、フルプレドニゾロン、クロコルトロン、クロベタゾン、アルクロメタゾン、フルメタゾン、フルオプレドニデン、フルオランドレノロン、ベタメタゾン、ベクロメタゾン、フルオコルトロン、モメタソン、フルチカゾン、ハロメタソン、フルオシノロン、ジフロラゾン、デソキシメタソン、フルオシノニド、アムシノニド、ハルシノニド、ジフルコルトロン、クロベタゾール、パラメタゾン;
(b)ミネラルコルチコイド、例えばアルドステロン、デオキシコルチコステロン及びフルドロコルチゾン;又は
(c)アンドロゲン、例えばデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)及びエストロゲン類;
又はそれらの塩、エステル又はプロドラッグである、請求項1から7までのいずれか1項記載の薬剤学的組成物又はキット。
【請求項9】
コルチコステロイドが1〜80mg/用量の濃度で、コルチコステロイドを含有する薬剤学的組成物中に存在している、請求項1及び3から8までのいずれか1項記載の薬剤学的組成物又はキット。
【請求項10】
増殖因子が、TGF−β、IGF、BMP、HGF及びVEGFからなる群から選択されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の薬剤学的組成物又はキット。
【請求項11】
関節疾患、例えば関節症及び炎症性の軟骨損失、腱疾患及び/又は変形性脊椎症の処置の際に使用するための、請求項1から10までのいずれか1項記載の薬剤学的組成物又はキット。
【請求項12】
関節症が、活性化された関節症又は炎症性関節症である、請求項11記載の薬剤学的組成物又はキット。
【請求項13】
変形性脊椎症が椎間板ヘルニアである、請求項11記載の薬剤学的組成物又はキット。
【請求項14】
神経皮膚炎又は円形脱毛症の処置の際に使用するための、請求項1から10までのいずれか1項記載の薬剤学的組成物又はキット。
【請求項15】
局所投与が、冒された身体部位へ、特に冒された関節中へ、冒された神経根へ又は冒された関節間板中へ、又はこれらの局所的な周囲への注射;関節内注射;及び外用投与からなる群から選択されている、請求項1から14までのいずれか1項記載の薬剤学的組成物又はキット。
【請求項16】
(1種又はそれ以上の)薬剤学的組成物が、さらに担体及び/又は付形剤を含有する、請求項1から15までのいずれか1項記載の薬剤学的組成物又はキット。
【請求項17】
エキソソームと併せた併用療法において使用するための、請求項1から16までのいずれか1項記載の薬剤学的組成物又はキット。
【請求項18】
エキソソームが、血液試料から製取されたものである、請求項17記載の薬剤学的組成物又はキット。
【請求項19】
エキソソームが、処置すべき患者に関して、自家又は同種である、請求項17又は18記載の薬剤学的組成物又はキット。
【請求項20】
コルチコステロイドと併せた併用療法において使用するための薬剤学的組成物を製造するための、サイトカインアンタゴニスト及び任意に増殖因子の使用であって、
サイトカインアンタゴニストが、天然に存在するか又は組換え型のインターロイキンアンタゴニストIL−1Raタンパク質、特にオルソキン又はアナキンラであり、かつ薬剤学的組成物が局所投与に適している、
サイトカインアンタゴニスト及び任意に増殖因子の使用。
【請求項21】
サイトカインアンタゴニスト及び任意に増殖因子と併せた併用療法において使用するための薬剤学的組成物を製造するための、コルチコステロイドの使用であって、
サイトカインアンタゴニストが、天然に存在するか又は組換え型のインターロイキンアンタゴニストIL−1Raタンパク質、特にオルソキン又はアナキンラであり、かつ薬剤学的組成物が局所投与に適している、
コルチコステロイドの使用。

【公表番号】特表2013−513583(P2013−513583A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542571(P2012−542571)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069427
【国際公開番号】WO2011/082951
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512152477)オアトゲン アクチエンゲゼルシャフト (2)
【氏名又は名称原語表記】ORTHOGEN Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Graf−Adolf−Strasse 41, D−40210 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】