サイトカインレセプター鎖
【課題】IL−13に対するアフィニティーを有するレセプターフラグメント、その産生方法、および、その治療的用途の提供。
【解決手段】IL−13レセプターおよびそのフラグメントをコードする特定の配列のポリヌクレオチド、IL−13レセプタータンパク質、その産生のための方法、IL−13とそのレセプターとの結合のインヒビター、ならびにその同定のための方法、このような分子およびIL−13/IL−13R相互作用のアンタゴニストを使用する医学処置の方法。
【解決手段】IL−13レセプターおよびそのフラグメントをコードする特定の配列のポリヌクレオチド、IL−13レセプタータンパク質、その産生のための方法、IL−13とそのレセプターとの結合のインヒビター、ならびにその同定のための方法、このような分子およびIL−13/IL−13R相互作用のアンタゴニストを使用する医学処置の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、1997年4月30日に出願された一部継続出願仮番号08/841,751であり、これは、1996年3月1日に出願された出願仮番号08/609,572の分割出願である。
【背景技術】
【0002】
(発明の分野)
本発明は、IL−13に対するアフィニティを有する哺乳動物サイトカインレセプタータンパク質(ヒトおよびマウスのレセプタータンパク質に限定されないものを含む)、そのフラグメントおよび組換えポリヌクレオチド、ならびにこのようなタンパク質を発現するために有用な細胞に関する。
【0003】
(発明の背景)
サイトカインとして公知の種々の調節分子は、インターロイキン−13(IL−13)を含め、同定されてきた。種々のタンパク質形態のIL−13、および種々の形態のIL−13活性をコードするDNAは、McKenzieら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:3735(1993);Mintyら、Nature 362:248(1993);およびAversaら、特許文献1に記載される。従って、用語「IL−13」は、組換え遺伝的操作技術によって産生されるか;天然にこれらの因子を産生するかまたは他の因子を有して誘導される際に細胞供給源から精製されるか;化学技術によって合成されるか;または前述の組換え体であるか、これらのドキュメントに記載された配列および/または生物学的活性を有するタンパク質を含む。
【0004】
IL−13は、以下を含む、いくつかの生物学的活性の産生において関係してきたサイトカインである:ヒト未熟B細胞に含まれるIgG4およびIgE切り替えの誘導(Punnonenら、J.Immunol.152:1094(1994);生殖細胞系IgE重鎖(ε)転写の誘導および正常ヒトB細胞におけるCD23発現(Punnonenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:3730(1993));ならびにCD40Lまたは抗CD40mAbの存在下でのB細胞増殖の誘導(Cocksら、Int.Immunol.5:657(1993))。IL−13の多くの活性がIL−4の活性に類似するにもかかわらず、IL−4とは対照的に、IL−13は、活性化T細胞またはT細胞クローンに成長促進効果を有さない(Zurawskiら、EMBO J.12:2663(1993))。
【0005】
ほとんどのサイトカインのように、IL−13は、標的細胞の表面上のIL−13レセプター(「IL−13R」)と相互作用することによって、特定の生物学的活性を示す。IL−13RおよびIL−4レセプター(「IL−4」)は、レセプターの活性化に要求される共通の成分を共有する;しかし、IL−13は、130kDのIL−4Rをトランスフェクトした細胞に結合しない(Zurawskiら、前出)。従って、IL−13Rは、少なくとも1つの他のリガンド結合鎖を含み得る。サイトカインレセプターは、共通して2つまたは3つの鎖から構成される。IL−13に対する1つのリガンド結合鎖のクローニングは、最近報告された(Hiltonら、Proc.Natl.Acad.Sci.93:497−501)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第94/04680号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
IL−13Rの任意の他のIL−13結合鎖の配列を同定しかつクローニングすることが所望され、その結果、IL−13タンパク質は、治療剤の産生ならびにレセプターに結合するIL−13のインヒビターのスクリーニングならびにレセプターシグナリングを含む、種々の理由のために産生され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明に関して、マウスおよびヒトのレセプターから限定されないものを含むインターロイキン−13レセプターのIL−13結合鎖をコードするポリヌクレオチドを、開示する。特定の実施形態において、本発明は、以下からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する:
(a)配列番号1のヌクレオチド256〜ヌクレオチド1404のヌクレオチド配列;
(b)配列番号3のヌクレオチド103〜ヌクレオチド1242のヌクレオチド配列;
(c)遺伝コードの縮重の結果として(a)または(b)に特定されるヌクレオチド配列の配列から変動するヌクレオチド配列;
(d)ストリンジェントな条件下で(a)または(b)に特定されるヌクレオチドにハイブリダイズし得るヌクレオチド配列;
(e)(a)または(b)に特定される配列の種ホモログをコードするヌクレオチド配列;および
(f)(a)または(b)に特定されるヌクレオチド配列の対立遺伝子改変体。好ましくは、ヌクレオチド配列は、IL−13レセプターの生物学的活性を有するタンパク質をコードする。ヌクレオチド配列は、発現制御配列に作動可能に連結され得る。好ましい実施形態において、ポリヌクレオチドは以下を含む:配列番号1のヌクレオチド256〜ヌクレオチド1404のヌクレオチド配列;配列番号1のヌクレオチド319〜ヌクレオチド1257のヌクレオチド配列;配列番号1のヌクレオチド1324〜ヌクレオチド1404のヌクレオチド配列;配列番号3のヌクレオチド103〜ヌクレオチド1242のヌクレオチド配列;配列番号3のヌクレオチド178〜ヌクレオチド1125のヌクレオチド配列;配列番号3のヌクレオチド1189〜ヌクレオチド1242のヌクレオチド配列。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1) 単離されたポリヌクレオチドであって、以下:
(a)配列番号1のヌクレオチド256〜ヌクレオチド1404のヌクレオチド配列;
(b)配列番号3のヌクレオチド103〜ヌクレオチド1242のヌクレオチド配列;
(c)遺伝子コードの縮重の結果として、(a)または(b)にて特定されるヌクレオチド配列の配列から変化する、ヌクレオチド配列;
(d)(a)または(b)にて特定されるヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る、ヌクレオチド配列;
(e)(a)または(b)にて特定される配列の種ホモログをコードする、ヌクレオチド配列;および
(f)(a)または(b)にて特定されるヌクレオチド配列の、対立遺伝子改変体、
からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
(項目2) 項目1に記載のポリヌクレオチドであって、前記ヌクレオチド配列が、IL−13R結合鎖の生物学的活性を有するタンパク質をコードする、ポリヌクレオチド。
(項目3) 項目1に記載のポリヌクレオチドであって、前記ヌクレオチド配列が、発現制御配列に作動可能に連結された、ポリヌクレオチド。
(項目4) 項目1に記載のポリヌクレオチドであって、配列番号1のヌクレオチド319〜ヌクレオチド1257のヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
(項目5) 項目1に記載のポリヌクレオチドであって、配列番号1のヌクレオチド1324〜ヌクレオチド1404のヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
(項目6) 項目1に記載のポリヌクレオチドであって、配列番号3のヌクレオチド178〜ヌクレオチド1125のヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
(項目7) 項目1に記載のポリヌクレオチドであって、配列番号3のヌクレオチド1189〜ヌクレオチド1242のヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
(項目8) 項目3に記載のポリヌクレオチドで形質転換された、宿主細胞。
(項目9) 前記細胞が哺乳動物細胞である、項目8に記載の宿主細胞。
(項目10) IL−13bcタンパク質を産生するためのプロセスであって、該プロセスは、
(a)項目8に記載の宿主細胞の培養物を適切な培養培地中で増殖させる工程;および
(b)該培養物から該IL−13bcタンパク質を精製する工程、
を包含する、プロセス。
(項目11) 単離されたIL−13bcタンパク質であって、以下:
(a)配列番号2のアミノ酸配列;
(b)配列番号2のアミノ酸22〜334のアミノ酸配列;
(c)配列番号2のアミノ酸357〜383のアミノ酸配列:
(d)配列番号4のアミノ酸配列;
(e)配列番号4のアミノ酸26〜341のアミノ酸配列;
(f)配列番号4のアミノ酸363〜380のアミノ酸配列:および
(g)IL−13レセプター結合鎖の生物学的活性を有する、(a)〜(f)のフラグメント、
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
(項目12) 配列番号2のアミノ酸配列を含む、項目11に記載のタンパク質。
(項目13) 配列番号2のアミノ酸22〜334の配列を含む、項目11に記載のタンパク質。
(項目14) 配列番号4のアミノ酸配列を含む、項目11に記載のタンパク質。
(項目15) 配列番号4のアミノ酸26〜341の配列を含む、項目11に記載のタンパク質。
(項目16) 項目11に記載のタンパク質および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
(項目17) 項目10に記載のプロセスに従って産生された、タンパク質。
(項目18) 項目11に記載のタンパク質と特異的に反応する抗体を含む、組成物。
(項目19) IL−13レセプターへのIL−13の結合のインヒビターを同定する方法であって、以下:
(a)項目11に記載のタンパク質をIL−13またはそのフラグメントと合わせる工程であって、該組合せが第1の結合混合物を形成する、工程;
(b)該タンパク質と該IL−13またはフラグメントとの間の結合の量を該第1の結合混合物において測定する工程;
(c)化合物を該タンパク質および該IL−13またはフラグメントと合わせて、第2の結合混合物を形成する工程;
(d)該第2の結合混合物における結合の量を測定する工程;ならびに
(e)該第1の結合混合物中の結合の量を該第2の結合混合物中の結合の量と比較する工程、
を包含し、該第2の結合混合物の結合の量の減少が生じる場合に、該化合物がIL−13レセプターへのIL−13の結合を阻害し得る、方法。
(項目20) 項目19に記載の方法によって同定される、インヒビター。
(項目21) 項目20に記載のインヒビターおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
(項目22) 哺乳動物被験体においてIL−13レセプターへのIL−13の結合を阻害する方法であって、該方法は、項目21に記載の組成物の治療的に有効な量を投与する工程を包含する、方法。
(項目23) 哺乳動物被験体においてIL−13レセプターへのIL−13の結合を阻害する方法であって、該方法は、項目16に記載の組成物の治療的に有効な量を投与する工程を包含する、方法。
(項目24) 哺乳動物被験体においてIL−13レセプターへのIL−13の結合を阻害する方法であって、該方法は、項目18に記載の組成物の治療的に有効な量を投与する工程を包含する、方法。
(項目25) 単離されたポリヌクレオチドであって、以下:
(a)配列番号2のアミノ酸配列;
(b)配列番号2のアミノ酸22〜334のアミノ酸配列;
(c)配列番号2のアミノ酸357〜383のアミノ酸配列;
(d)配列番号4のアミノ酸配列;
(e)配列番号4のアミノ酸26〜341のアミノ酸配列;
(f)配列番号4のアミノ酸363〜380のアミノ酸配列;および
(g)IL−13レセプター結合鎖の生物学的活性を有する、(a)〜(f)のフラグメント、
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
(項目26) 前記アミノ酸配列が融合タンパク質の一部である、項目11に記載のタンパク質。
(項目27) Fcフラグメントを含む、項目26に記載のタンパク質。
(項目28) 哺乳動物被験体においてIL−13に関連する状態を処置する方法であって、該方法は、項目16に記載の組成物の治療的に有効な量を投与する工程を包含する、方法。
(項目29) 前記状態がIgEに媒介される状態である、項目28に記載の方法。
(項目30) 項目29に記載の方法であって、前記状態が、アトピー、アレルギー性状態、喘息、および免疫複合体病からなる群より選択される、方法。
(項目31) 項目30に記載の方法であって、前記状態が、狼瘡、腎炎、甲状腺炎、およびグレーヴズ病からなる群より選択される、方法。
(項目32) IL−13活性を増強する方法であって、該方法は、IL−13活性を有するタンパク質を項目11に記載のタンパク質と合わせる工程、およびこのような組合せをIL−13bc以外のIL−13Rの少なくとも1つの鎖を発現する細胞と接触させる工程を包含する、方法。
(項目33) 項目32に記載の方法であって、前記接触させる工程が、このような組合せの治療的に有効な量を哺乳動物被験体に投与することによって実施される、方法。
(項目34) 配列番号2のアミノ酸1〜331のアミノ酸配列を含む、項目11に記載のタンパク質。
(項目35) 配列番号2のアミノ酸26〜331のアミノ酸配列を含む、項目11に記載のタンパク質。
(項目36) 配列番号2のアミノ酸1〜331のアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質をコードする、項目25に記載のポリヌクレオチド。
(項目37) 配列番号2のアミノ酸26〜331のアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質をコードする、項目25に記載のポリヌクレオチド。
(項目38) 前記状態が肺の炎症状態である、項目28に記載の方法。
(項目39) 哺乳動物被験体においてIL−13に関連する状態を処置する方法であって、該方法は、IL−13アンタゴニストおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物の治療的に有効な量を投与する工程を包含する、方法。
(項目40) 前記状態がIgEに媒介される状態である、項目39に記載の方法。
(項目41) 項目40に記載の方法であって、前記状態が、アトピー、アレルギー性状態、喘息、および免疫複合体病からなる群より選択される、方法。
(項目42) 項目41に記載の方法であって、前記状態が、狼瘡、腎炎、甲状腺炎、およびグレーヴズ病からなる群より選択される、方法。
(項目43) 項目39に記載の方法であって、前記アンタゴニストが、以下:IL−13bcタンパク質、IL−13Rα1の可溶性形態、IL−13に対する抗体または該抗体のIL−13結合フラグメント、IL−13bcに対する抗体または該抗体のIL−13bc結合フラグメント、IL−13Rα1に対する抗体または該抗体のIL−13Rα1結合フラグメント、IL−4のIL−13R結合変異体、IL−13bcとのIL−13の相互作用を阻害し得る低分子、およびIL−13Rα1とのIL−13の相互作用を阻害し得る低分子からなる群より選択される、方法。
(項目44) 前記IL−13bcタンパク質が項目11に記載のタンパク質である、項目43に記載の方法。
(項目45) 哺乳動物被験体においてIL−13bcタンパク質とのIL−13の相互作用を阻害する方法であって、該方法は、IL−13アンタゴニストおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物の治療的に有効な量を投与する工程を包含する、方法。
(項目46) 項目45に記載の方法であって、前記アンタゴニストが、以下:IL−13bcタンパク質、IL−13Rα1の可溶性形態、IL−13に対する抗体または該抗体のIL−13結合フラグメント、IL−13bcに対する抗体または該抗体のIL−13bc結合フラグメント、IL−13Rα1に対する抗体または該抗体のIL−13Rα1結合フラグメント、IL−4のIL−13R結合変異体、IL−13bcとのIL−13の相互作用を阻害し得る低分子、およびIL−13Rα1とのIL−13の相互作用を阻害し得る低分子からなる群より選択される、方法。
(項目47) 前記IL−13bcタンパク質が項目11に記載のタンパク質である、項目46に記載の方法。
【0009】
本発明はまた、以下からなる群より選択されるアミノ酸を含むペプチドまたはタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する:
(a)配列番号2のアミノ酸配列;
(b)配列番号2のアミノ酸22〜アミノ酸334のアミノ酸配列;
(c)配列番号2のアミノ酸357〜アミノ酸383のアミノ酸配列;
(d)配列番号4のアミノ酸配列;
(e)配列番号4のアミノ酸26〜アミノ酸341のアミノ酸配列;
(f)配列番号4のアミノ酸363〜アミノ酸380のアミノ酸配列;および
(g)IL−13レセプター結合鎖の生物学的活性を有する(a)〜(f)のフラグメント。他の好ましい実施形態は、配列番号2のアミノ酸1〜アミノ酸331のアミノ酸配列および配列番号2のアミノ酸26〜アミノ酸331のアミノ酸配列をコードする。
【0010】
ポリヌクレオチドで形質転換された宿主細胞(好ましくは、哺乳動物細胞)もまた、提供される。
【0011】
他の実施形態において、本発明は、IL−13bcタンパク質を生成するための、プロセスを提供する。このプロセスは以下を包含する:
(a)適切な培養培地中で本発明の宿主細胞の培養物を増殖する工程;および
(b)この培養物からヒトIL−13bcタンパク質を精製する工程。
【0012】
本発明はまた、以下:
(a)配列番号2のアミノ酸配列;
(b)配列番号2のアミノ酸22〜334のアミノ酸配列;
(c)配列番号2のアミノ酸357〜383のアミノ酸配列;
(d)配列番号4のアミノ酸配列;
(e)配列番号4のアミノ酸26〜341のアミノ酸配列;
(f)配列番号4のアミノ酸363〜380のアミノ酸配列;および
(g)IL−13レセプター結合鎖の生物学的活性を有する、(a)〜(f)のフラグメント
、からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたIL−13bdタンパク質を提供する。
【0013】
好ましくは、このタンパク質は、以下を含む:配列番号2のアミノ酸配列;配列番号2のアミノ酸22〜334の配列;配列番号4の配列;または配列番号4のアミノ酸26〜341の配列。他の好ましい実施形態では、特定のアミノ酸配列は、融合タンパク質(IL−13bc由来でない、さらなるアミノ酸配列を有する)の部分である。好ましい融合タンパク質は、抗体フラグメント(例えば、Fcフラグメント)を含む。特に好ましい実施形態は、配列番号2のアミノ酸1〜331のアミノ酸配列および配列番号2のアミノ酸26〜331のアミノ酸配列を含む。
【0014】
本発明のタンパク質および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物もまた提供される。
【0015】
本発明はさらに、本発明のタンパク質と特異的に反応する抗体を含む組成物を提供する。
【0016】
IL−13bcレセプターまたはIL−13レセプターに結合するIL−13のインヒビターを同定する方法もまた提供される。これらの方法は、以下を包含する:
(a)IL−13bcタンパク質またはそのフラグメントをIL−13またはそのフラグメントと合わせて、この組合せが第1の結合混合物を形成する、工程;
(b)この第1の結合混合物中のこのタンパク質とIL−13またはフラグメントとの間の結合の量を測定する工程;
(c)化合物をこのタンパク質およびIL−13またはフラグメントと合わせて、第2の結合混合物を形成する工程;
(d)この第2の結合混合物中の結合の量を測定する工程;ならびに
(e)この第1の結合混合物中の結合の量と、この第2の結合混合物中の結合の量を比較する工程;
ここで、この化合物は、この第2の結合混合物の結合量の低下が生じる場合、IL−13がIL−13bcタンパク質またはIL−13レセプターに結合することを阻害し得る。これらの方法により同定されたIL−13Rのインヒビターおよびそれらを含有する薬学的組成物もまた提供される。
【0017】
哺乳動物被験体において、LI−13がIL−13bcタンパク質またはIL−13レセプターに結合することを阻害する方法がまた、開示されている。この方法は、IL−13bcタンパク質、IL−13bcもしくはIL−13RのインヒビターまたはIL−13bcタンパク質に対する抗体を含有する治療上有効な量の組成物を投与する工程を包含する。
【0018】
IL−13活性を増強する方法がまた提供される。この方法は、IL−13活性を有するタンパク質と請求項11のタンパク質とを合わせる工程、およびこのような組合せを少なくとも1つのIL−13bc以外のIL−13Rの鎖を発現する細胞と接触させる工程を包含する。好ましくは、この接触工程は、このような組合せの治療上有効な量を哺乳動物被験体に投与することにより実行される。
哺乳動物被験体において、IL−13関連の状態を処置するためのさらなる方法が提供される。この方法は、IL−13アンタゴニストおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む治療上有効な量の組成物を投与する工程を包含する。他の方法が、哺乳動物被験体においてIL−13のIL−13bcタンパク質との相互作用を阻害する他の方法を提供する。この方法は、IL−13アンタゴニストおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む治療上有効な量の組成物を投与する工程を包含する。好ましくは、このアンタゴニストはIL−13bcタンパク質、IL−13Rα1の可溶性形態、IL−13に対する抗体またはそのIL−13結合フラグメント、IL−13bcに対する抗体またはそのIL−13bc結合フラグメント、IL−13Rα1に対する抗体またはそのIL−13Rα1結合フラグメント、IL−4のIL−13R結合変異体、IL−13とIL−13bcとの相互作用を阻害し得る低分子、およびIL−13とIL−13Rα1との相互作用を阻害し得る低分子からなる群より選択される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この図は、以下の実施例4に記載のように、IL−13bc−Fcへの曝露後の、IL−13、IL−14、IL−11および偽(mock)トランスフェクトされたCOS細胞の写真である。
【図2】インターロイキン−13のインビボブロックによるアレルゲン誘導性の気道過敏症の逆転。最初の気管内チャレンジの10日後、OVA免疫マウスおよびPBS免疫マウスを、再度OVAまたはPBSのいずれかで気管内チャレンジした。第2の抗原チャレンジの−1日目、0日目、+1日目および+3日目に、マウスに、腹腔内注射により、sIL−13bc−Fc(400μg)または等量のコントロールヒトIgGを与えた。アレルギーの表現型をPBSまたはOVAチャレンジの4日後に評価した。(A)ピーク気道圧における時間統合上昇(time−integrated rise)により規定した、アセチルコリンチャレンジに対する気道高過敏状態(AHR)(気道圧時間係数[APTI](cmH2O×秒))。(B)気管支肺胞滲出液の炎症性細胞構成。細胞の異なるパーセンテージはサイトスピン調製物の光学顕微鏡評価により決定した。データは細胞の絶対数で表している。(C)OVA−特異的血清IgE濃度。結果は、1群あたり8〜10動物の平均+/−SEMである。*P<0.05は、それぞれのPBSコントロール群と比較した:**P<0.05は、OVA/Hu−Ig群と比較した(多重比較のためのフィッシャー最小有意差検定をともなうワンウェイANOVA)。
【図3】気道上皮における粘液含有細胞のアレルゲン駆動性増加に対するIL−13遮断の効果。肺切片(実験群あたりN=4、1動物あたり4切片)をホルマリン中で固定し、10μm切片に切断し、そしてヘマトキシリンおよびエオシン、ならびに過ヨウ素酸シッフで染色した。代表的な切片を示す。バーは100μmである。PBS/Hu−Ig:PBSで免疫し、そしてチャレンジしたコントロールであって、ごく少数の粘液含有細胞を示す。OVA/Hu−Ig:アレルゲンに誘導された間質炎症細胞の増加および粘液を含有する杯細胞数の増加。OVA/sIL−13bc−Fc:アレルゲンに誘導された杯細胞粘液産生に対するIL−13遮断の劇的な阻害効果。
【図4】気道の反応性亢進(hyperreactivity)のIL−13誘導。未処理のマウスに、点滴注入により組換えIL−13(5μg/マウス、50μl容量)またはPBSを毎日与えた。最後の処理の24時間後、(A)気道の過剰応答性、(B)BAL好酸球レベル、(C)血清の総IgEレベル、および(D)粘液スコア、を決定した。結果は、1群あたり7〜10匹の動物の平均±SEM(垂直方向のバー)である。*P<0.05(PBS群と比較)(スチューデントt検定)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明の発明者らは、IL−13RのIL−13結合鎖(本明細書中以降、「
IL−13bc」)をコードするポリヌクレオチド(マウスおよびヒトのIL−
13bcをコードするポリヌクレオチドを含むが、限定されない)を初めて同定
し、そして提供した。
【0021】
配列番号1は、マウスIL−13bcをコードするcDNAのヌクレオチド配
列を提供する。配列番号2は、アミノ酸1〜21の推定シグナル配列を含む、レ
セプター鎖の推定アミノ酸配列を提供する。成熟マウスIL−13bcは、配列
番号2のアミノ酸22〜383の配列を有すると考えられる。成熟マウスレセプ
ター鎖は、少なくとも3つの異なるドメインを有する:細胞外ドメイン(配列番
号2のおよそアミノ酸22〜334を含む)、膜貫通ドメイン(配列番号2のお
よそアミノ酸335〜356を含む)、および細胞内ドメイン(配列番号2のお
よそアミノ酸357〜383を含む)。
【0022】
配列番号3は、ヒトIL−13bcをコードするcDNAのヌクレオチド配列
を提供する。配列番号4は、アミノ酸1〜25の推定シグナル配列を含む、レセ
プター鎖の推定アミノ酸配列を提供する。成熟ヒトIL−13bcは、配列番号
4のアミノ酸26〜380の配列を有すると考えられる。成熟ヒトレセプター鎖
は、少なくとも3つの異なるドメインを有する:細胞外ドメイン(配列番号4の
およそアミノ酸26〜341を含む)、膜貫通ドメイン(配列番号4のおよそア
ミノ酸342〜362を含む)、および細胞内ドメイン(配列番号4のおよそア
ミノ酸363〜380を含む)。
【0023】
ヒトIL−13bc配列の最初の81アミノ酸は、「yg99f10.r1
Homo sapiens cDNAクローン 41648 5」として同定さ
れ、そしてデータベース登録番号R52795 gb_est2を割り当てられ
た発現配列タグ(EST)の翻訳配列に同一である。コードされるタンパク質を
サイトカインレセプターとして同定するように当業者を導く相同性または配列モ
チーフは、このEST配列には存在しない。このデータベースエントリーに対応
するcDNAクローンは、I.M.A.G.E.Consortiumから公的
に入手可能である。本願の優先日後に、このようなクローンは、出願人より注文
され、そして配列決定された。このようなクローンの配列は、本明細書中で配列
番号3として、出願人により以前に報告された配列であることが決定された。
【0024】
IL−13bcタンパク質の可溶性形態もまた、生成され得る。このような可
溶性形態としては、配列番号2のアミノ酸1〜334もしくは22〜334、ま
たは配列番号4のアミノ酸1〜341もしくは26〜341を含むタンパク質が
挙げられるが、限定されない。IL−13bcの可溶性形態はさらに、好ましく
は室温にて、水溶液に可溶性であることによって特徴付けられる。細胞内ドメイ
ンまたはその一部分のみを含むIL−13bcタンパク質もまた、生成され得る
。全長よりは短い任意の形態のIL−13bcが本発明において包含され、そし
て本明細書中ではひとまとめにして、「IL−13bc」または「IL−13b
cタンパク質」として、全長形態および成熟形態と共に言及される。全長よりは
短いIL−13bcタンパク質は、全長IL−13bcタンパク質をコードする
ポリヌクレオチド(配列番号1または配列番号3)の対応するフラグメントを発
現させることにより生成され得る。これらの対応するポリヌクレオチドフラグメ
ントもまた、本発明の一部である。上記のように改変されたポリヌクレオチドは
、標準的な分子生物学技術(適切な所望される欠失変異体の構築、部位特異的変
異誘発方法、または適切なオリゴヌクレオチドプライマーを用いるポリメラーゼ
連鎖反応によって、を含む)により作製され得る。
【0025】
本発明の目的のために、タンパク質は、それが以下の特徴のうちの1つ以上を
保有する場合に、「IL−13レセプター結合鎖の生物学的活性」を有する:(
1)IL−13またはそのフラグメント(好ましくは、その生物学的に活性なフ
ラグメント)を結合する能力;および/または(2)IL−13Rの第2の非I
L−13結合鎖と相互作用して、IL−13RへのIL−13の結合に特徴的な
シグナルを生成する能力。好ましくは、タンパク質によって保有される生物学的
活性は、IL−13またはそのフラグメントを結合する能力であり、より好まし
くは、約0.1nM〜約100nMのKDで結合する能力である。特定のタンパ
ク質またはペプチドがこのような活性を有するか否かを決定する方法としては、
本明細書中に提供される実施例に記載の方法が挙げられるが、限定されない。
【0026】
IL−13bcまたはその活性なフラグメント(IL−13bcタンパク質)
は、免疫グロブリンのようなキャリア分子に融合され得る。例えば、IL−13
bcの可溶性形態は、「リンカー」配列を通して免疫グロブリンのFc部分に融
合され得る。GST、Lex−AまたはMBPとの融合タンパク質のような他の
融合タンパク質もまた使用され得る。
【0027】
本発明はまた、配列番号1または配列番号3に示されるようなヌクレオチド配
列の対立遺伝子改変体、すなわち、配列番号1または配列番号3の単離されたポ
リヌクレオチドの天然に存在する二者択一(alternative)形態(こ
れもまた、IL−13bcタンパク質、好ましくは、IL−13bcの生物学的
活性を有するIL−13bcタンパク質をコードする)を包含する。配列番号1
または配列番号3に示されるヌクレオチド配列に対して、高度にストリンジェン
トな条件下(例えば、65℃にて0.1×SSC)でハイブリダイズする単離さ
れたポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。IL−13bcタンパク質を
コードするが、遺伝暗号の縮重が理由で配列番号1または配列番号3に示される
ヌクレオチド配列とは異なる単離されたポリヌクレオチドもまた、本発明によっ
て包含される。点変異または誘導される改変によって引き起こされる、配列番号
1または配列番号3に示されるようなヌクレオチド配列におけるバリエーション
もまた、本発明に包含される。
【0028】
本発明はまた、他の動物種(特に、他の哺乳動物種)由来のマウスIL−13
bcおよびヒトIL−13bcのホモログをコードするポリヌクレオチドを提供
する。種ホモログは、本明細書中に開示されるマウス配列もしくはヒト配列から
プローブまたはプライマーを作製し、そして適切な種由来のライブラリー(例え
ば、関連する種のPBMC、胸腺、または精巣から構築されるライブラリーなど
)をスクリーニングすることにより、同定および単離され得る。
【0029】
本発明の単離されたポリヌクレオチドは、発現制御配列(例えば、Kaufm
anら、Nucleic Acids Res.19、4485〜4490(1
991)に開示される、pMT2発現ベクターまたはpED発現ベクター)に作
動可能に連結され、組換え的にIL−13bcタンパク質を産生し得る。多数の
適切な発現制御配列が、当該分野において公知である。組換えタンパク質を発現
する一般的な方法もまた公知であり、そしてR.Kaufman、Method
s in Enzymology 185、537〜566(1990)に例示
される。本明細書中で定義する場合には、「作動可能に連結する」とは、連結し
たポリヌクレオチド/発現制御配列で形質転換(トランスフェクト)された宿主
細胞によりIL−13bcタンパク質が発現される様式で、本発明の単離したポ
リヌクレオチドと発現制御配列との間に共有結合を形成するように、酵素的また
は化学的に連結することを意味する。
【0030】
多くの型の細胞が、IL−13bcタンパク質の発現のために適切な宿主細胞
として作用し得る。機能的なIL−13bcタンパク質を発現し得る任意の細胞
型が、使用され得る。適切な哺乳動物宿主細胞としては、例えば、サルCOS細
胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト腎臓293細胞、ヒト表
皮A431細胞、ヒトColo205細胞、3T3細胞、CV−1細胞、他の形
質転換された霊長類細胞株、正常二倍体細胞、霊長類組織のインビトロ培養物由
来の細胞株、霊長類体外移植組織、HeLa細胞、マウスL細胞、BHK、HL
−60、U937、HaK、Rat2、Baf3、32D、FDCP−1、PC
12、MlxまたはC2C12細胞が挙げられる。
【0031】
IL−13bcタンパク質はまた、本発明の単離したポリヌクレオチドを、1
つ以上の昆虫発現ベクター内の適切な制御配列に作動可能に連結し、そして昆虫
発現系を使用することによって、産生され得る。バキュロウイルス/昆虫細胞発
現系のための材料および方法は、キットの形態で、例えばInvitrogen
、San Diego、California、U.S.A.(MaxBac(
登録商標)キット)から市販されており、そしてこのような方法は、Summe
rsおよびSmith、Texas Agricultural Experi
ment Station Bulletin No.1555(1987)(
本明細書中に参考として援用される)に記載されるように、当該分野において周
知である。IL−13bcタンパク質の可溶形態もまた、昆虫細胞内で、上述の
ような適切な単離されたポリヌクレオチドを使用して、産生され得る。
【0032】
あるいは、IL−13bcタンパク質は、酵母のような下等真核生物、または
細菌のような原核生物において、産生され得る。適切な酵母株としては、Sac
charomyces cerevisiae、Schizosaccharo
myces pombe、Kluyveromyces株、Candida、ま
たは異種タンパク質を発現し得る任意の酵母株が挙げられる。適切な細菌株とし
ては、Escherichia coli、Bacillus subtili
s、Salmonella typhimurium、または異種タンパク質を
発現し得る任意の細菌株が挙げられる。
【0033】
細菌における発現の結果として、組換えタンパク質を取り込む封入体が形成し
得る。従って、組換えタンパク質のリフォールディングは、活性な物質またはよ
り活性な物質を産生するために、必要とされ得る。正しくフォールディングされ
た異種タンパク質を細菌封入体から得るためのいくつかの方法が、当該分野にお
いて公知である。これらの方法は、一般に、このタンパク質をこの封入体から可
溶化する工程、次いでカオトロピック試薬を使用してこのタンパク質を完全に変
性させる工程を包含する。システイン残基がこのタンパク質の一次アミノ酸配列
に存在する場合には、ジスルフィド結合の正しい形成を可能にする環境(レドッ
クス系)においてこのリフォールディングを達成することが、しばしば必要であ
る。リフォールディングの一般的な方法は、Kohno、Meth.Enzym
.185:187〜195(1990)に開示される。EP0433225およ
び同時係属中の出願USSN08/163,877は、他の適切な方法を記載す
る。
【0034】
本発明のIL−13bcタンパク質はまた、トランスジェニック動物の産物と
して(例えば、IL−13bcタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を
含む体細胞または生殖細胞により特徴付けられる、トランスジェニック雌ウシ、
ヤギ、ブタ、またはヒツジのミルクの成分として)、発現され得る。
【0035】
本発明のIL−13bcタンパク質は、形質転換した宿主細胞の培養物を、所
望のタンパク質を発現するために必要な培養条件下で増殖させることにより、調
製され得る。次いで、得られる発現タンパク質は、この培養培地または細胞抽出
物から精製され得る。本発明のIL−13bcタンパク質の可溶形態は、馴化培
地から精製され得る。本発明のIL−13bcタンパク質の膜結合形態は、発現
する細胞から全膜画分を調製し、そしてこの膜を非イオン性界面活性剤(例えば
、Triton X−100)で抽出することにより、精製され得る。
【0036】
IL−13bcタンパク質は、当業者に公知の方法を使用して、精製され得る
。例えば、本発明のIL−13bcタンパク質は、市販のタンパク質濃縮フィル
タ(例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾
過ユニット)を使用して、濃縮され得る。濃縮工程に続いて、この濃縮物は、ゲ
ル濾過媒体のような精製マトリックスに適用され得る。あるいは、陰イオン交換
樹脂(例えば、ペンダントであるジエチルアミノエチル(DEAE)基またはポ
リエチレンイミン(PEI)基を有するマトリックスまたは基質)が使用され得
る。これらのマトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セ
ルロース、またはタンパク質の精製において通常使用される他の型であり得る。
あるいは、陽イオン交換工程が使用され得る。適切な陽イオン交換体としては、
スルホプロピル基またはカルボキシメチル基を含む様々な不溶性マトリックスが
挙げられる。スルホプロピル基が好ましい(例えば、S−Sepharose(
登録商標)カラム)。培養物上清からのIL−13bcタンパク質の精製はまた
、コンカナバリンA−アガロース、ヘパリン−トヨパール(登録商標)もしくは
Cibacrom blue 3GA Sepharose(登録商標)のよう
なアフィニティー樹脂を介するか;またはフェニルエーテル、ブチルエーテル、
もしくはプロピルエーテルのような樹脂を使用する、疎水性相互作用クロマトグ
ラフィーによるか;または免疫アフィニティークロマトグラフィーによる、1つ
以上のカラム工程を包含し得る。最後に、疎水性逆相高速液体クロマトグラフィ
ー(RP−HPLC)媒体(例えば、ペンダントであるメチル基または他の脂肪
族基を有するシリカゲル)を使用する、1つ以上のRP−HPLC工程が使用さ
れて、IL−13bcタンパク質をさらに精製し得る。IL−13またはそのフ
ラグメントを含むか、あるいはIL−13bcタンパク質に対する抗体を含む、
アフィニティーカラムもまた、公知の方法に従う精製において、使用され得る。
上記の精製工程のいくつかまたは全てはまた、様々な組み合わせでまたは他の公
知の方法と共に使用されて、実質的に精製された単離された組換えタンパク質を
提供し得る。好ましくは、単離されたIL−13bcタンパク質は、実質的に他
の哺乳動物タンパク質を含まないように、精製される。
【0037】
本発明のIL−13bcタンパク質をまた使用して、IL−13bcもしくは
IL−13Rに結合し得るか、またはIL−13もしくはIL−13bcに対す
るIL−13の結合(細胞外ドメインまたは細胞内ドメインのいずれか)を妨げ
る薬剤をスクリーニングし得、従って、本発明のIL−13bcタンパク質は、
正常な結合およびサイトカイン作用のインヒビター(「IL−13Rインヒビタ
ー」)として作用し得る。所望の結合タンパク質(固定化または固定化されてい
ない)を使用する結合アッセイは、当該分野において周知であり、そして本発明
のIL−13bcタンパク質を使用するこの目的のために使用され得る。精製さ
れた細胞ベースのスクリーニングアッセイまたはタンパク質ベースのスクリーニ
ングアッセイ(無細胞)を使用して、そのような薬剤を同定し得る。例えば、I
L−13bcタンパク質を、キャリア上に精製形態において固定化し得、そして
精製されたIL−13bcタンパク質に対する結合を、可能性のある阻害剤の存
在下および非存在下において測定し得る。代替的に、適切な結合アッセイは、本
発明の可溶性形態のIL−13bcを使用する。インヒビターをスクリーニング
し得る系の別の例を、以下の実施例2に記載する。
【0038】
そのようなスクリーニングアッセイにおいて、第1の結合混合物を、IL−1
3またはそのフラグメントと、IL−13bcタンパク質を合わせることによっ
て形成し、そして第1の結合混合液中の結合量(B0)を測定する。第2の結合
混合液もまた、IL−13またはそのフラグメントと、IL−13bcタンパク
質と、およびスクリーニングすべき化合物または薬剤とを合わせることによって
形成し、そして第2の結合混合液中の結合量(B)を測定する。第1および第2
の結合混合液中の結合量を、例えば、B/B0比の計算を行うことによって、比
較する。第1の結合混合液と比較した第2の結合混合液中の結合の減少が観察さ
れる場合、化合物または薬剤が、結合を阻害し得ると考えられる。必要に応じて
、IL−13Rの第2鎖を、結合混合液の一方または両方に添加し得る。結合混
合液の処方および最適化は、当業者のレベル内であり、そのような結合混合物は
また、結合を促進するか、または最適化するのに必要な緩衝液および塩を含み得
、そしてさらなるコントロールアッセイが、本発明のスクリーニングアッセイ中
に含まれ得る。
【0039】
従って、任意の程度で(好ましくは、少なくとも約10%まで、より好ましく
は約50%を超えて)、IL−13またはそのフラグメントに対するIL−13
bcタンパク質の結合活性を減少することが見出された化合物が、同定され、次
に、他の結合アッセイにおいて、およびインビボアッセイにおいてスクリーニン
グされ得る。これらの手段によって、治療剤として適切であり得る、IL−13
bc結合について阻害活性を有する化合物が、同定され得る。
【0040】
IL−13bcタンパク質およびそれをコードするポリヌクレオチドもまた、
IL−13bc、IL−13R、IL−13の発現または存在、あるいは、IL
−13bc、IL−13RまたはIL−13を発現する細胞の検出のための診断
剤として使用し得る。このタンパク質またはポリヌクレオチドを、このタイプの
材料を使用する診断アッセイのための標準手段におけるそのような目的のために
、使用し得る。適切な方法は、当該分野において周知である。
【0041】
本明細書において使用する場合、「IL−13R」とは、IL−13bc、お
よび/または、「IL−13α1」もしくは「NR4」として公知の第2のIL
−13レセプター鎖をいう(マウスレセプター鎖、Hiltonら、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 1996、93:497〜501:ヒト
レセプター鎖、Amanら、J.Biol.Chem.1996、271:29
265〜70、およびGauchatら、E.J.Immunol.1997、
27:971〜8を参照のこと)。
【0042】
IL−13bcは、IL−13の公知の生物学的活性のメディエーターとして
作用する。結果として、IL−13bcタンパク質(特に、可溶性IL−13b
cタンパク質)、IL−13Rインヒビター(すなわち、IL−13とIL−1
3Rとの相互作用のアンタゴニスト(例えば、IL−13R(特にIL−13b
cに対する抗体またはIL−13Rα1に対する抗体を含む)およびそのフラグ
メントに対する抗体)、IL−13およびそのフラグメントに対する抗体、可溶
性IL−13Rα1タンパク質、ならびに低分子およびIL−13とIL−13
Rとの相互作用(IL−13bcとの相互作用および/またはIL−13Rα1
との相互作用を含む)の他のインヒビターが、IL−13が関係する種々の医学
的状態、またはIL−13の活性(または活性の欠損)によって生じる種々の医
学的状態(集合的に、「IL−13関連状態」)の処置または調節において有用
であり得る。IL−13Rに結合するIL−4の変異形態もまた、IL−13ア
ンタゴニストとして使用され得る(例えば、Shanafeltら、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 1998、95:9545〜8;Ave
rsaら、J.Exp.Med.1993、178:2213〜8;およびGr
unewaldら、J.Immunol.1998、160:4004〜9を参
照のこと)。
【0043】
IL−13関連状態としては、限定することなく、Ig媒介性状態および疾患
、特にIgE媒介性状態(限定することなく、アトピー、アレルギー性状態、喘
息、免疫複合体病(例えば、狼瘡、ネフローゼ症候群、腎炎、糸球体腎炎、甲状
腺炎およびグレーヴズ病)が含まれる);肺の炎症状態;免疫欠損、特に造血性
前駆胞における欠損、またはそれに関する障害;癌および他の疾患が挙げられる
。そのような病理学的状態は、疾患、放射線または薬物への曝露から生じ得、そ
して例えば、白血球減少症、細菌およびウイルス感染、貧血、B細胞またはT細
胞欠損(例えば、骨髄移植後の免疫細胞欠損または造血細胞欠損)を含む。IL
−13は、マクロファージ活性化を阻害するので、IL−13bcタンパク質は
また、マクロファージ活性化の増強のために有用であり得る(すなわち、ワクチ
ン接種、微生物もしくは細胞内生物、または寄生虫感染の処置)。
【0044】
IL−13bcタンパク質もまた、インビトロおよびインビボにおいてIL−
13の効果を増強するために使用され得る。例えば、IL−13bcタンパク質
は、IL−13活性を有するタンパク質(好ましくはIL−13)と合わせられ
得、そして生じる組合せを、IL−13bc以外のIL−13Rの少なくとも1
つの鎖を発現する細胞と接触させ得る(好ましくは、IL−13bc以外のIL
−13Rの全ての鎖、例えばIL−13Rα1)。好ましくは、接触工程は、そ
のような組合せの治療的有効量を、インビボにおいて哺乳動物被験体に投与する
ことによって、実行される。IL−13タンパク質とIL−13bcタンパク質
との確立される前の会合は、適切なシグナル伝達に必要な完全なIL−13/I
L−13R複合体の形成を助ける。例えば、Economidesら、Scie
nce270:1351(1995)によって記載される方法を参照のこと。
【0045】
細胞から精製されたか、または組換え的に産生された、IL−13bcタンパ
ク質およびIL−13Rインヒビターを、薬学的に受容可能なキャリアと組み合
わせた場合、薬学的組成物として使用し得る。そのような組成物は、IL−13
bcまたはインヒビターおよびキャリアに加えて、種々の希釈剤、充填材、塩、
緩衝液、安定化剤、可溶化剤、および他の当該分野において周知の材料を含み得
る。用語「薬学的に受容可能」とは、活性成分の生物学的活性の効力を妨げない
非毒性材料を意味する。キャリアの特徴は、投与の経路に依存する。
【0046】
本発明の薬学的組成物はまた、サイトカイン、リンホカイン、または他の造血
因子(例えば、M−CSF、GM−CSF、IL−1、IL−2、IL−3、I
L−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、I
L−11、IL−12、IL−14、IL−15、G−CSF、幹細胞因子、お
よびエリトロポイエチンを含み得る。薬学的組成物はまた、抗サイトカイン抗体
を含み得る。薬学的組成物は、血栓崩壊性因子または抗血栓因子(例えば、プラ
スミノゲン活性化因子および第VIII因子を含み得る。薬学的組成物はさらに
、他の抗炎症剤を含み得る。そのようなさらなる因子および/または薬剤を薬学
的組成物中に含めて、単離されたIL−13bcタンパク質またはIL−13b
cインヒビターとの相乗的作用を生じ得るか、単離されたIL−13bcまたは
IL−13インヒビターによって生じる副作用を最小化し得る。逆に、単離され
たIL−13bcまたはIL−13bcインヒビターを、特定のサイトカイン、
リンホカイン、他の造血因子、血栓崩壊性因子または抗血栓因子、あるいは抗炎
症剤の処方物中に含ませて、そのサイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、
血栓崩壊性因子または抗血栓因子、あるいは抗炎症剤の副作用を最小化し得る。
【0047】
本発明の薬学的組成物は、リポソームの形態であり得、ここで単離されたIL
−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターが、他の薬学的に受容
可能なキャリアに加えて、両親媒性剤(例えば、ミセル、不溶性単層、液晶、ま
たは水溶液中の層状の層として凝集形態にて存在する脂質)とともに組み合わさ
れている。リポソーム性処方物のために適切な脂質としては、モノグリセリド、
ジグリセリド、スルファチド、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸など
が挙げられるがこれらに限定されない。このようなリポソーム性処方物の調製は
、例えば、米国特許第4,235,871号;米国特許第4,501,728号
;米国特許第4,837,028号;および米国特許第4,737,323号(
これらの全ては、本明細書中に参考として援用される)に開示されるように、当
業者のレベル内である。
【0048】
本明細書中で使用される場合、用語「治療有効量」とは、意義のある患者の利
益(例えば、このような状態の症状の緩和、治癒、または治癒の速度における増
加)を示すに十分である、薬学的組成物または方法の各活性成分の総量を意味す
る。単独に投与される、個々の活性成分に適用される場合、この用語は、その成
分単独をいう。組み合わせに適用される場合、この用語は、組み合わせてか、連
続的にか、または同時に投与されるか否かにかかわらず、治療効果を生じる活性
成分の組み合わせた量をいう。
【0049】
本発明の処置方法または使用を実施する際に、治療有効量の単離されたIL−
13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターが、哺乳動物に投与され
る。単離されたIL−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターは
、単独または他の治療(例えば、サイトカイン、リンホカインまたは他の造血因
子を用いる処置)と組み合わされるかのいずれかで、本発明の方法に従って投与
され得る。1以上のサイトカイン、リンホカイン、または他の造血因子と同時投
与される場合、IL−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターは
、サイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、血栓崩壊因子または抗血栓崩壊
因子と同時にか、あるいは連続的にかのいずれかで、投与され得る。連続的に投
与される場合、担当医は、サイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、血栓崩
壊因子または抗血栓崩壊因子との組み合わせで、IL−13bcタンパク質また
はIL−13bcインヒビターを投与する適切な順番を決定する。
【0050】
薬学的組成物において使用されるIL−13bcタンパク質またはIL−13
bcインヒビターの投与、または本発明の方法の実施は、種々の従来の様式(例
えば、経口摂取、吸入、または皮膚注射、皮下注射、もしくは静脈内注射)にお
いて実行され得る。患者への静脈内注射が、好ましい。
【0051】
治療有効量のIL−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターが
、経口で投与される場合、IL−13bcタンパク質またはIL−13bcイン
ヒビターは、錠剤、カプセル剤、散剤、液剤、またはエリキシル剤の形態である
。錠剤形態にて投与される場合、本発明の薬学的組成物は、固体キャリア(例え
ば、ゼラチンまたはアジュバント)をさらに含み得る。錠剤、カプセル剤、およ
び散剤は、約5〜95%のIL−13bcタンパク質またはIL−13bcイン
ヒビター、および好ましくは約25〜90%のIL−13bcタンパク質または
IL−13bcインヒビターを含む。液体形態にて投与される場合、液体キャリ
ア(例えば、水、石油、動物または植物起源の油(例えば、ピーナッツ油、鉱油
、ダイズ油、もしくはゴマ油)あるいは合成油)が、添加され得る。薬学的組成
物の液体形態は、生理学的生理食塩水、デキストロースまたは他のサッカリド溶
液、あるいはグリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール
、またはポリエチレングリコール)をさらに含み得る。液体形態にて投与される
場合、この薬学的組成物は、約0.5〜90重量%のIL−13bcタンパク質
またはIL−13bcインヒビター、および好ましくは約1〜50%のIL−1
3bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターを含む。
【0052】
治療有効量のIL−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターが
静脈内注射、皮膚注射または皮下注射によって投与される場合、IL−13bc
タンパク質またはIL−13bcインヒビターは、発熱物質陰性の非経口的に受
容可能な水溶液の形態である。このような非経口的に受容可能なタンパク質溶液
の調製は、pH、等張性、安定性などに関する約束事を有し、これは当業者の範
囲内である。静脈内注射、皮膚注射、または皮下注射のための好ましい薬学的組
成物は、IL−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターに加えて
、等張性ビヒクル(例えば、塩化ナトリウム液、リンゲル液、デキストロース液
、デキストロースおよび塩化ナトリウム液、乳酸リンゲル液または当該分野にお
いて公知の他のビヒクル)を含むべきである。本発明の薬学的組成物はまた、安
定化剤、保存剤、緩衝液、抗酸化剤、または当業者に公知の他の添加剤を含み得
る。
【0053】
本発明の薬学的組成物中のIL−13bcタンパク質またはIL−13bcイ
ンヒビターの量は、処置される状態の性質および重篤度、ならびに患者が経験し
た以前の処置の性質に依存する。最終的には、担当医は、各々の個々の患者を処
置する、IL−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターの量を決
定する。最初に、担当医は、低用量のIL−13bcタンパク質またはIL−1
3bcインヒビターを投与し、そして患者の応答を観察する。より高用量のIL
−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターが、最適な治療効果が
患者に対して得られるまで投与され得、そしてその時点で、この投薬量は、一般
的にさらに増加されない。本発明の方法を実施するために使用される種々の薬学
的組成物は、体重1kgあたり約0.1μg〜約100mgのIL−13bcタ
ンパク質またはIL−13bcインヒビターを含むべきであることが意図される
。
【0054】
本発明の薬学的組成物を使用する静脈内治療の持続時間は、各々の個々の患者
の処置される疾患および状態の重篤度、ならびに潜在的特異体質応答に依存して
変動する。IL−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターの各々
の適用の持続時間は、12〜24時間の連続する静脈内投与の範囲にあることが
意図される。最終的には、担当医は、本発明の薬学的組成物を使用して、静脈内
治療の適切な持続時間を決定する。
【0055】
本発明のIL−13bcタンパク質はまた、動物を免疫して、IL−13bc
タンパク質と特異的に反応し、かつIL−13またはそのフラグメントのそのレ
セプターへの結合を阻害し得る、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体
を得るために、使用され得る。このような抗体は、免疫原としてIL−13bc
全体を使用してか、またはIL−13bcのフラグメント(例えば、可溶性成熟
IL−13bc)の使用によって得られ得る。IL−13bcのより小さなフラ
グメントもまた、動物を免疫するために使用され得る。ペプチド免疫原は、カル
ボキシ末端にシステイン残基をさらに含み得、そしてハプテン(例えば、キーホ
ールリンペットヘモシアニン(KLH))に結合体化される。さらなるペプチド
免疫原は、チロシン残基を硫酸化されたチロシン残基と置換することによって作
製され得る。このようなペプチドを合成するための方法は、例えば、R.P.M
errifield,J.Amer.Chem.Soc.85.2149〜21
59(1963);J.L.Krstenanskyら、FEBS Lett.
211,10(1987)のように、当該分野において公知である。
【0056】
IL−13bcタンパク質に結合している中和抗体または非中和抗体(好まし
くは、モノクローナル抗体)もまた、特定の腫瘍に対して有用な治療であり、そ
してまた、上記の状態の処置に有用であり得る。これらの中和モノクローナル抗
体は、IL−13bcに結合しているIL−13をブロックすることが可能であ
り得る。
【実施例】
【0057】
(実施例1)
(IL−13bc cDNAの単離)
(マウスIL−13レセプター鎖の単離)
5μgのポリA+RNAを、6〜8週齢のC3H/HeJマウスの胸腺から調
製した。二本鎖のヘミメチル化(hemimethylated)cDNAを、
StratageneのcDNA合成キットを使用して、製造業者の使用説明書
に従って調製した。簡潔には、第1鎖を、オリゴT−Xhoプライマーでプライ
ムし、そして第2鎖の合成の後に、EcoRIアダプターを付加して、そしてc
DNAを、XhoIで消化して、そして精製した。このcDNAを、Zap E
xpress(Stratagene)λベクターのXhoI−EcoRI部位
に連結し、そしてGigapak II Gold II Goldパッケージ
ング抽出物(Stratagene)を使用して、製造業者の使用説明書に従っ
てパッケージングした。1.5×106の得られた組換えファージのライブラリ
ーを、製造業者の使用説明書に従って増幅した。このライブラリーを、配列KS
RCTCCABKCRCTCCA(配列番号5)(K=G+T;S=C+G;R
=A+G;B=C+G+T)の縮重17マーオリゴヌクレオチドプローブを用い
て、記載されるような標準的なTMACハイブリダイゼーション条件を使用して
、スクリーニングした(Current Protocols in Mole
cular Biology、Ausubelら、編集者、Jhon Wile
y and Sons、1995、第6.4.3節)。クローンA25を同定し
た。なぜなら、これは、17マープローブにハイブリダイズしたが、既知の造血
素レセプターから誘導されるプローブにはハイブリダイズしなかったからである
。このクローンを、製造業者の使用説明書により、ZapExpressベクタ
ー由来のプラスミド形態において単離し、そしてこのDNA配列を決定した。こ
のDNA配列は、造血素レセプターファミリーのうちの新規なメンバーをコード
した。
【0058】
配列番号1の配列を有するポリヌクレオチドを含むクローンA25を、199
6年2月22日に、登録番号69997で、pA25pBKCMVとしてATC
Cに寄託した。
【0059】
(ヒトIL−13レセプター鎖の単離)
マウスレセプターのヒトホモログの部分的なフラグメントを、マウス配列から
誘導されるオリゴヌクレオチドを使用して、PCRによって単離した。cDNA
を、Clontechから得られたヒト精巣ポリA+RNAから調製した。27
4塩基対のDNAフラグメントを、以下のオリゴヌクレオチド:
【0060】
【化1】
を用いるPCRによって、AmpliTaqポリメラーゼ(Promega)を
使用して、1.5mM MgCl2を含む1×Taq緩衝液中での30サイクル
のインキュベーション(94℃×1分、42℃で1分、および72℃で1分)に
より、このcDNAから増幅した。このフラグメントのDNA配列を決定し、そ
して2つのオリゴヌクレオチドを、以下の配列:
【0061】
【化2】
を有するこのフラグメントの内部部分から調製した。これらのオリゴヌクレオチ
ドをプローブとして使用して、CLONTECH(カタログ番号HL1161)
から購入したヒト精巣cDNAライブラリーをスクリーニングした。フィルター
を、標準的な5×SSCハイブリダイゼーション条件を使用して、52℃でハイ
ブリダイズさせ、そして2×SSCにおいて52℃にて洗浄した。400,00
0個のクローンのスクリーニングにおいて、両方のオリゴヌクレオチドにハイブ
リダイズする22個のクローンを単離した。DNA配列を、これらのcDNAク
ローンのうちの4つから決定し、そして全ては、同じ新規の造血素レセプターを
コードしていた。全長ヒトレセプター鎖の推定DNA配列を、配列番号3として
示す。
【0062】
ヒトクローンを、1996年2月22日に登録番号69998で、phA25
♯11pDR2としてATCCに寄託した。
【0063】
(実施例2)
(可溶性IL−13bcタンパク質の発現および活性のアッセイ)
(可溶性IL−13bc−Igの産生および精製)
マウスIL−13bcの細胞外ドメインのアミノ酸1〜331をコードするD
NAを、PCRによって、gly−ser−glyをコードするスペーサー配列
に融合し、そしてCOS−1発現ベクターpED FcのヒトIgG1のヒンジ
CH2 CH3領域をコードする配列とインフレームに連結した。IL−13b
c−Igを、DEAEデキストランでトランスフェクトしたCOS−1細胞から
産生し、そしてプロテインAセファロースクロマトグラフィー(Pharmac
ia)を介して精製した。
【0064】
(B9増殖アッセイ)
IL−13またはIL−4に応答するB9細胞(Aardenら、Eur.J
.Immunol.1987.17:1411〜1416)の増殖の刺激を、D
NAへの3H−チミジンの取り込みにより測定した。細胞(5×103/ウェル
)を、IL−13bc−Ig(1μg/ml)の存在または非存在下で、種々の
濃度の増殖因子を含む培地を有する96ウェルプレートに播種した。3日間のイ
ンキュベーションの後に、1μCi/ウェルの3H−チミジンを添加し、そして
細胞を、さらに4時間インキュベートした。放射能の取り込みを、LKB 12
05Plateリーダーを使用して決定した。
【0065】
B9細胞株は、IL−13、IL−4またはIL−6に応答して増殖した。I
L−13への応答のみが、可溶性IL−13bc−Igによって阻害された。こ
のことは、このレセプターがIL−13を特異的に結合するが、IL−4または
IL−6を特異的に結合しないことを示した。表は、cpmを示す。2つの別々
の実験を示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
(実施例3)
(表面プラズモン共鳴(Biacore分析)により測定される、IL−13
への可溶性IL−13bcの直接的な結合)
Biacoreバイオセンサを使用して、精製されたIL−13bc−Igへ
のIL−13の直接的な特異的結合を測定した(Pharmacia,John
ssonら、1991)。およそ10,000〜17,000の共鳴単位(RU
)の精製されたIL−13bc−Ig、ヒトIgG1または関連のないレセプタ
ーを、製造業者により推奨されるように、センサチップ上の異なるフローセルに
各々共有結合的に固定した。(RUは、センサチップ表面に結合したタンパク質
の質量を反映する。)精製されたIL−13を、過剰の精製されたIL−13b
c−Igの存在または非存在下で、5μl/分で10分間、フローセルを横切っ
て注入した。結合を、サンプル注入の前および後のRUにおける差異として定量
した。481.9RUの特異的IL−13結合は、固定化したIL−13bc−
Igについてのみ観察された。一方、IL−13およびIL−13bc−Igの
同時注入は、固定化されたIL−13bc−Igへの結合を全く生じなかった(
4RU)。IL−13結合は、固定化されたIgGまたはIL−11R−Igの
いずれについても全く観察されなかった(それぞれ、5.4RUおよび3.7R
U)。
【0068】
【表3】
(実施例4)
(COS細胞において発現されたIL−13の、標識されたIL−13BC−
Ig融合タンパク質への結合)
(IL−13bc−FcによるIL−13のCOSインサイチュ検出)
IL−13、IL−4、IL−11についての発現ベクター、または空のベク
ターを、DEAEデキストラン方法を介して、二連のプレート中のCOS−1細
胞へとトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後に、細胞をリン酸
緩衝化生理食塩水(PBS)にて2回洗浄し、そしてメタノールにより、4℃で
10分間培養皿にて固定化した。固定化の後に、細胞をPBSで2回洗浄し、次
いで結合緩衝液(PBS、1%(w/v)ウシ血清アルブミン)、11%(w/
v)アジ化ナトリウム)で1回リンスし、そして1.0μg/mlのIL−13
bc−Fcまたは関連する抗サイトカイン抗血清を含む結合緩衝液中で、4℃で
2時間インキュベートした。細胞を、PBSで2回洗浄し、そして結合緩衝液中
に1:500で希釈したアルカリホスファターゼ標識化ウサギF(ab)2’抗
ヒトIgG(Fc融合物検出のため)またはウサギF(ab)2’抗ラットIg
G(抗サイトカイン検出のため)中で、振盪しながら、4℃でインキュベートし
た。細胞を再度、PBSで2回洗浄した。アルカリホスファターゼ活性を、ニト
ロブルーテトラゾリウムおよび5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−ホス
フェートを使用して可視化した。
【0069】
特異的結合を、顕微鏡下で可視化した。IL−13でトランスフェクトした細
胞のみが、IL13bc−Igへの特異的結合を示した。(トランスフェクトさ
れた細胞の写真を参照のこと、図)。
【0070】
(実施例5)
(IL−13bcタンパク質の生物学的活性の決定のための他の系)
他の系が、特異的IL−13bcタンパク質が本明細書中に規定されるような
IL−13bcの「生物学的活性」を示すか否かを決定するために使用され得る
。以下は、このような系の例である。
【0071】
(IL−13結合についてのアッセイ)
IL−13bcタンパク質がIL−13またはそのフラグメントに結合する能
力は、このような結合を検出し得る任意の適切なアッセイによって決定され得る
。いくつかの適切な例は、以下である。
【0072】
IL−13の、IL−13bcタンパク質の細胞外領域への結合は、レセプタ
ータンパク質上のホスホチロシンの迅速な誘導を特異的に引き起こす。リン酸化
の誘導によって測定されるようなリガンド結合活性についてのアッセイを、以下
に記載する。
【0073】
あるいは、(例えば、細胞外ドメインの可溶化形態のような)IL−13bc
タンパク質を、産生および使用してIL−13結合を検出する。例えば、その細
胞外ドメイン(推定膜貫通ドメインの前(好ましくは、直前)で切断された)が
、ヒト免疫グロブリン(Ig)γ1のヒンジCH2ドメインおよびヒンジCH3ド
メインをコードするcDNAにインフレームで連結される、cDNA構築物を調
製する。この構築物を、COS細胞(例えば、pEDΔCまたはpMT2)につ
いての適切な発現ベクター中に生成する。このプラスミドを、COS細胞に一過
的にトランスフェクトする。分泌されたIL−13bc−Ig融合タンパク質を
、馴化培地中で収集し、そしてプロテインAクロマトグラフィーによって精製す
る。
【0074】
この精製IL−13bc−Ig融合タンパク質を使用して、多くの適用におい
て、IL−13結合を実証する。IL−13を酵素連結イムノソルベントアッセ
イ(ELISA)プレートの表面上にコートし得、次いで、さらなる結合部位を
、標準的なELISA緩衝液を使用してウシ血清アルブミンまたはカゼインでブ
ロックし得る。次いで、IL−13−bc−Ig融合タンパク質を、固相IL−
13に結合し、そして結合を、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合体化した二次
ヤギ抗ヒトIgで検出する。特異的に結合された酵素の活性を、比色基質(例え
ば、テトラメチルベンジジン)および吸光度の読み取りを用いて測定し得る。
【0075】
IL−13はまた、例えば、膜貫通ドメインまたはグルコシルホスファチジル
イノシトール(GPI)結合を提供することによって、細胞の表面上に発現させ
得る。膜結合IL−13を発現する細胞を、IL−13bc−Ig融合タンパク
質を使用して同定し得る。可溶性IL−13bc−Ig融合体は、これらの細胞
の表面に結合され、そして蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネー
ト)に結合体化したヤギ抗ヒトIgおよびフローサイトメトリーを用いて検出す
る。
【0076】
(相互作用捕捉)
酵母遺伝子選択方法「相互作用捕捉」[Gyurisら、Cell 75:7
91−803、1993]を使用して、IL−13bcタンパク質が、本明細書
中に定義されるようなIL−13bcの生物学的活性を有するか否かを決定し得
る。この系において、LexAop−Leu2およびLexAop−LacZの
両方からのレポーター遺伝子の発現は、ベイト(餌)タンパク質(例えば、この
場合において、ヒトIL−13bcと相互作用する種)とプレイ(捕食)(例え
ば、この場合において、ヒトIL−13bcタンパク質)との間の相互作用に依
存する。従って、Leu2発現またはLacZ発現のレベルによって相互作用の
強度を測定し得る。最も単純な方法は、LacZコードタンパク質であるβ−ガ
ラクトシダーゼの活性を測定することである。この活性は、X−galを含有す
る培地またはフィルター上の青色度によって判断され得る。β−ガラクトシダー
ゼ活性の定量測定について、標準的なアッセイは、「Methods in Y
east Genetics」Cold Spring Harbor,New
York、1990(Rose,M.D.,Winston,F.,およびH
ieter,P.による)に見出され得る。
【0077】
このような方法において、IL−13bcタンパク質が(例えば、IL−13
bcの細胞内ドメインにインビボで結合する細胞質タンパク質のような)特定の
種と相互作用するか否かを決定することを所望する場合、この種は、相互作用捕
捉における「ベイト」として、「プレイ」として機能する試験されるべきIL−
13bcタンパク質を用いるか、またはその逆で使用され得る。
【0078】
(実施例6)
(可溶性IL−13bcタンパク質を使用する喘息の処置)
アレルギー性喘息のよく特徴付けられたマウスモデルを使用する。このマウス
モデルにおいて、アレルゲン曝露は、気道応答性亢進(「AHR」)、肺好酸球
増加症、抗原特異的血清IgEレベルの上昇、および気道内皮粘膜含量の増加を
導く(3、11)。雄性A/Jマウスを、可溶性オボアルブミン(OVA)で腹
腔内免疫し、そして引き続き気管内でチャレンジし、そのアレルギー性表現型を
、抗原チャレンジ後4日目に評価した(13)。IL−13の遮断を、後の気管
内アレルゲンチャレンジの24時間前に、可溶性IL−13bc−IgGFc融
合タンパク質(sIL−13bc−Fc)(IL−13に特異的に結合し結合し
そしてそれを中和する)の全身投与によって行った(14)。アレルゲン免疫マ
ウスのチャレンジは、アセチルコリンに対する気道応答性の有意な増加を生じた
(15)(図2A)。IL−13の遮断は、このような樹立されたアレルゲン誘
導性AHRの完全な逆転を生じ;従って、IL−13は、このモデルにおけるA
HRの発現に必要である。アレルギー性喘息の表現型の完全な発生後の、IL−
13の消失がAHRを逆転する能力は、IL−4消失がこのような逆転を達成す
る能力がないことと対照する。アレルゲン誘導性AHRの逆転におけるIL−4
Rαの遮断の効果の根底にある機構は、IL−13−媒介性プロセスの阻害であ
り得、これは、Stat6活性化が、両方のサイトカインについてのIL−4R
α媒介性シグナル伝達の下流にあるという事実に一致する。IL−13は、おそ
らく、アレルゲン誘導性AHRを担う主要なCD4+T細胞誘導性因子である。
【0079】
AHRのIL−13依存性発現の根底をなす候補機構を評価するために、本発
明者らは、公知のアレルギー性エフェクターカスケードを特徴付けた。好酸球は
、喘息および喘息性AHRにおける主要なエフェクター細胞として関与している
(16)。しかし、抗原誘発を繰り返す前のIL−13の阻害は、アレルゲン誘
導性肺好酸球増加症に有意に影響しない(17)(図2B)。IgE媒介経路の
関連性を評価するために、本発明者らOVA特異的血清IgEを測定した(18
)。IgEのOVA特異的レベルを、OVA感作マウスおよびOVAチャレンジ
マウスにおいて観察したが、PBS免疫マウスおよびPBSチャレンジマウスに
おいては、抗原特異的抗体レベルは検出されなかった(図2C)。IL−13の
隔離は、OVA特異的IgEレベルを変更せず、その抑制の欠失は、IL−13
隔離が、最初の抗原プライミングおよび抗体形成後に生じるという事実に起因す
るであろう。にもかかわらず、これらの結果は、AHRが、このモデルにおける
IgE産生に依存しないことを示し、これは、アレルギー性AHRがIgE欠損
およびB細胞欠損マウスにおいて通常発生するという報告(19)と一致する。
【0080】
ヒト喘息の病理に一致して、マウスモデルにおけるアレルギー性喘息は、気道
上皮の粘膜含量の顕著な増加に関連する(5、11)。粘膜の過分泌は、急性喘
息性発作で死亡する患者の剖検標本に特に顕著である(20)。IL−13の遮
断は、気道における粘膜含有細胞のアレルギー誘導性の増加を逆転し(図3)、
これは、気道粘膜含量のアレルギー誘導性の増加が、IL−13に依存すること
を実証する。IL−4はまた、IL−4トランスジェニックマウスが、抗体感作
の非存在下で顕著な杯細胞過形成を示すように、このプロセスに関与する(5)
。しかし、IL4欠損マウスおよびコントロールマウスの両方に由来のTh2ク
ローンの、マウス気道への移入は、粘膜の過剰産生を誘導する(21)。このこ
とは、また、IL−4の免疫調節性の役割が、エフェクター分子としてのその役
割と綿密に区別されることを必要とすることを示唆する。
【0081】
未処置(免疫していない)マウスの気道への組換えIL−13(rIL−13
)の毎日の投与が、AHRを誘導し、これは、IL−13活性の増加が、AHR
を誘導するに十分であったことを実証する(図4A)(22)。AHRは、rI
L−13投与開始後72時間までに発症する。好酸球の気管支肺胞洗浄液への有
意な流入が、rIL−13投与後早期に観察されたが、肺好酸球は、AHRの発
現時点で観察されなかった(図4B)。好酸球流入の時間経過の重要性は不明な
ままであるが、これは、IL−13単独が、おそらく、ケモカイン発現を上方調
節するその能力によって、気道の好酸球浸潤を開始するのに十分であることを示
唆する。rIL−13の気道投与はまた、全血清IgE合成の時間依存性の増加
を生じ(図4C)(24)、これは、IL−13がIgE合成を調節する、以前
に報告された能力に一致する。血清IgEの増加は、アレルゲンでの任意の免疫
に非依存的であり、これは、ヒト喘息の表現型が、アレルゲン特異的よりもむし
ろ、全量の血清IgE濃度により良好に相関するという観察(26)との共鳴を
見出す。上記IL−13阻害研究から予測されるように、rIL−13の投与は
、気道粘膜産生の増加を誘導した(図4D)(27)。
【0082】
参考文献および注記
【0083】
【表4】
13. 6週齢雄性A/Jマウスを、The Jackson Laborat
ory(Bar Harbort,ME)から入手し、実験期間中、環境制御し
た特定病原体除去動物施設中で、層流フード下で飼育した(N=4〜10マウス
/実験群)。この研究は、動物の実験使用に関する、the Animal W
elfare Actおよびthe Department of Healt
h,Education and Welfare(N.I.H.)ガイドライ
ンによって概略される実験室動物研究についての原則に従って、本明細書に報告
した。マウスを、0.2mlPBS中の10μgのオボアルブミン(OVA;C
rudeグレードIV、Sigma;St.Louis,MO)またはPBS単
独の腹腔内注射によって免疫した。免疫後14日目に、マウスを、ケタミンおよ
びキシラジン(それぞれ、45mg/kgおよび8mg/kg)の混合物で麻酔
し、そして50μlのOVAの1.5%溶液またはコントロールとして等価量P
BSを気管内でチャレンジした。この最初の抗原チャレンジ後10日目に、マウ
スを、OVAまたはPBSのいずれかで再度、気管内でチャレンジした。そのア
レルギー性表現型の特徴付けを、第2の抗原チャレンジ後96時間で行った。
14.ヒトIL−13bcを上記のようにクローン化した。マウスホモログの可
溶性発現のために、ヒトIgG1のヒンジCH2/CH3領域とインフレームで
融合させた、マウスsIL−13bc細胞外ドメイン(先の実施例で記載される
ような)をコードするDNAを含むpED発現ベクターを、HCO細胞にトラン
スフェクトした[D.D.Donaldsonら、J.Immunol.161
,2317(1998)]。sIL−13bc−Fcを、rProtein A
−Sepharose[J.F.Urbanら、Immunity 8、255
(1998)]で精製した。B9増殖アッセイにおいて3ng/mlのマウスI
L−13を中和する能力によって決定されるように、インビトロID50は、約1
0ng/mlであった。ヒトIgG(sIL−13bc−Fcのコントロールと
して使用した)を、ヒト免疫グロブリンの10%溶液(これは、静脈内投与のた
めに市販されている(Miles)(同書))からrProtein A−Se
pharoseクロマトグラフィーによって同様に精製した。マウスに、sIL
−13bc−Fc(400μg)または等量のコントロールHu−IgGを、腹
腔内注射によって、二次抗原チャレンジの−1日目、0日目、+1日目および+
3日目に与えた。
15.アセチルコリンの静脈内投与に対する気道応答性を、最後の気道内チャレ
ンジの3日後に測定した(11)。マウスを、ペントバルビタールナトリウム(
90mg/kg)で麻酔し、インキュベートし、定常の気道の一回換気量(0.
2ml)で120呼吸/分の速度で喚起し、そしてデカメトニウムブロミド(2
5mg/kg)で麻痺させた。安定な気道内圧の確立後、アセチルコリンを、静
脈内注射(50μg/kg)し、そして動的気道内圧を、5分間追跡した。
16.G.J.Gleich,J.All.Clin.Immunol.8,4
22(1990)。
17.気管支肺胞洗浄を、上記(11)のように行った。
18.腎臓を切除し、そしてプールした血液を、上記(11)のような抗体分析
のために収集した。血清を遠心分離で分離し、そして分析まで−80℃で保存し
た。血清OVA特異的IgEレベルを、サンドイッチELISAで測定した。サ
ンプルウェルを、PBS中の0.01%OVA溶液でコートし、PBS中の10
%FBSでブロックし、そしてPBS中の0.05% Tween−20で洗浄
した。血清サンプルを、PBS中の10%FBSで1:10および1:100に
希釈した。一晩のインキュベーション後、プレートを、PBS中の0.05%
Tween−20で洗浄し、そしてビオチン結合体化抗マウスIgE(Phar
Mingen,San Diego,CA)を添加した。洗浄後、10%FBS
/PBS中の0.0025mg/mlアビジンペルオキシダーゼ(Sigma)
を添加し、プレートを、ABTS(2,2’−アジノ−did[3−メチル−ベ
ンズチアゾンサルフェート])(KirkegaardおよびPerry)で発
色させた。プレートを、405nmで30分間読み取った。報告されたOD値は
、1:10希釈された血清サンプルの値である。なぜなら、この値は、10%F
BS/PBSで1:100希釈した血清サンプルのO.D.値と比較によるアッ
セイの飽和点以下であることがわかったからである。
【0084】
【表5】
22.ミツバチメルチンリーダーをコードするDNA[D.C.Tessier
,D.Y.Thomas,H.E.Khouri,F.Laliberte,T
.Vernet,Gene 2.177(1991)]およびそれに続く6個の
ヒスチジンタグを、エンテロキナーゼ切断部位によって、マウスIL−13の成
熟領域に対してGly21で融合し、そして哺乳動物発現ベクターpHTopに
構築した。H6−EKマウスIL−13タンパク質を、安定にトランスフェクト
されたCHO細胞から産生し、Ni−NTAクロマトグラフィーによって、SD
S−PAGEによって決定されるように、97%より高い純度に精製した。タン
パク質濃度を、280nmでの吸光度によって測定し、そしてエンドトキシン混
入は、Cape Cod Associates LALアッセイによって測定
されるように、30EU/mg未満であった。Ba/F3 IL−13R1増殖
アッセイによって決定されるように、H6−EKマウスIL−13のED50は、
1ng/mlであった。マウスrIL−13(50μlの総量中5μg)を、ケ
タミンおよびキシラジン(それぞれ、45mg/kgおよび8mg/kg)の混
合物で麻酔した未処置マウスに、気管内滴下によって毎日投与した。
23.M.Goebelerら、Immunol,91,450(1997)。
24.マウスIgE特異的ELISAを使用して、PharMingenから入
手したマウスIgEに対する補体抗体対(R35−72およびR35−92)を
製造業者の説明に従って用いて、血清中の総IgE免疫グロブリンレベルを定量
した。2連のサンプル(PBS中の10%FBSにおける1/10希釈)を、各
動物から試験した。サンプルのO.D.の読み取りを、既知濃度の組換えマウス
IgE(5〜2000pg/ml)で作製した標準曲線から得られた値を使用し
て、pg/mlに変換し、そして最終濃度を、希釈係数によって乗算することに
よって得た。
25.C.L.Emson,S.E.Bell,A.Jones、W.Wisd
en,A.N.J.Mckenzie,J.Exp.Med,188,399(
1998)。
26.L.R.Friedhoff,D.G.Marsh、Int.Arch.
All.Immunol.100,355(1993)。
27.rIL−13の気道上皮の粘膜細胞含量に対する効果を試験するために、
肺を切除し、10%ホルマリンに固定化した。次いで、これらを、70%エタノ
ール中で洗浄し、脱水し、グリコールメタクリレート中に包理し、10μM切片
に切断し、スライド上にマウントし、そしてヘマトキシリンおよびエオシンおよ
び過ヨウ素酸Schiffで染色した。4つの切片を、1動物あたりで試験しし
:肺の1切片あたり4つの領域をスコア付けした。切片を、1〜4のスケールで
スコア付けし、1は、粘膜細胞含量がないことを表す。
【0085】
【表6】
本明細書中に引用される全ての特許および学術文献は、完全に示されるように
参考として援用される。
【0086】
(配列表)
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
【技術分野】
【0001】
本願は、1997年4月30日に出願された一部継続出願仮番号08/841,751であり、これは、1996年3月1日に出願された出願仮番号08/609,572の分割出願である。
【背景技術】
【0002】
(発明の分野)
本発明は、IL−13に対するアフィニティを有する哺乳動物サイトカインレセプタータンパク質(ヒトおよびマウスのレセプタータンパク質に限定されないものを含む)、そのフラグメントおよび組換えポリヌクレオチド、ならびにこのようなタンパク質を発現するために有用な細胞に関する。
【0003】
(発明の背景)
サイトカインとして公知の種々の調節分子は、インターロイキン−13(IL−13)を含め、同定されてきた。種々のタンパク質形態のIL−13、および種々の形態のIL−13活性をコードするDNAは、McKenzieら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:3735(1993);Mintyら、Nature 362:248(1993);およびAversaら、特許文献1に記載される。従って、用語「IL−13」は、組換え遺伝的操作技術によって産生されるか;天然にこれらの因子を産生するかまたは他の因子を有して誘導される際に細胞供給源から精製されるか;化学技術によって合成されるか;または前述の組換え体であるか、これらのドキュメントに記載された配列および/または生物学的活性を有するタンパク質を含む。
【0004】
IL−13は、以下を含む、いくつかの生物学的活性の産生において関係してきたサイトカインである:ヒト未熟B細胞に含まれるIgG4およびIgE切り替えの誘導(Punnonenら、J.Immunol.152:1094(1994);生殖細胞系IgE重鎖(ε)転写の誘導および正常ヒトB細胞におけるCD23発現(Punnonenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:3730(1993));ならびにCD40Lまたは抗CD40mAbの存在下でのB細胞増殖の誘導(Cocksら、Int.Immunol.5:657(1993))。IL−13の多くの活性がIL−4の活性に類似するにもかかわらず、IL−4とは対照的に、IL−13は、活性化T細胞またはT細胞クローンに成長促進効果を有さない(Zurawskiら、EMBO J.12:2663(1993))。
【0005】
ほとんどのサイトカインのように、IL−13は、標的細胞の表面上のIL−13レセプター(「IL−13R」)と相互作用することによって、特定の生物学的活性を示す。IL−13RおよびIL−4レセプター(「IL−4」)は、レセプターの活性化に要求される共通の成分を共有する;しかし、IL−13は、130kDのIL−4Rをトランスフェクトした細胞に結合しない(Zurawskiら、前出)。従って、IL−13Rは、少なくとも1つの他のリガンド結合鎖を含み得る。サイトカインレセプターは、共通して2つまたは3つの鎖から構成される。IL−13に対する1つのリガンド結合鎖のクローニングは、最近報告された(Hiltonら、Proc.Natl.Acad.Sci.93:497−501)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第94/04680号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
IL−13Rの任意の他のIL−13結合鎖の配列を同定しかつクローニングすることが所望され、その結果、IL−13タンパク質は、治療剤の産生ならびにレセプターに結合するIL−13のインヒビターのスクリーニングならびにレセプターシグナリングを含む、種々の理由のために産生され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明に関して、マウスおよびヒトのレセプターから限定されないものを含むインターロイキン−13レセプターのIL−13結合鎖をコードするポリヌクレオチドを、開示する。特定の実施形態において、本発明は、以下からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する:
(a)配列番号1のヌクレオチド256〜ヌクレオチド1404のヌクレオチド配列;
(b)配列番号3のヌクレオチド103〜ヌクレオチド1242のヌクレオチド配列;
(c)遺伝コードの縮重の結果として(a)または(b)に特定されるヌクレオチド配列の配列から変動するヌクレオチド配列;
(d)ストリンジェントな条件下で(a)または(b)に特定されるヌクレオチドにハイブリダイズし得るヌクレオチド配列;
(e)(a)または(b)に特定される配列の種ホモログをコードするヌクレオチド配列;および
(f)(a)または(b)に特定されるヌクレオチド配列の対立遺伝子改変体。好ましくは、ヌクレオチド配列は、IL−13レセプターの生物学的活性を有するタンパク質をコードする。ヌクレオチド配列は、発現制御配列に作動可能に連結され得る。好ましい実施形態において、ポリヌクレオチドは以下を含む:配列番号1のヌクレオチド256〜ヌクレオチド1404のヌクレオチド配列;配列番号1のヌクレオチド319〜ヌクレオチド1257のヌクレオチド配列;配列番号1のヌクレオチド1324〜ヌクレオチド1404のヌクレオチド配列;配列番号3のヌクレオチド103〜ヌクレオチド1242のヌクレオチド配列;配列番号3のヌクレオチド178〜ヌクレオチド1125のヌクレオチド配列;配列番号3のヌクレオチド1189〜ヌクレオチド1242のヌクレオチド配列。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1) 単離されたポリヌクレオチドであって、以下:
(a)配列番号1のヌクレオチド256〜ヌクレオチド1404のヌクレオチド配列;
(b)配列番号3のヌクレオチド103〜ヌクレオチド1242のヌクレオチド配列;
(c)遺伝子コードの縮重の結果として、(a)または(b)にて特定されるヌクレオチド配列の配列から変化する、ヌクレオチド配列;
(d)(a)または(b)にて特定されるヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る、ヌクレオチド配列;
(e)(a)または(b)にて特定される配列の種ホモログをコードする、ヌクレオチド配列;および
(f)(a)または(b)にて特定されるヌクレオチド配列の、対立遺伝子改変体、
からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
(項目2) 項目1に記載のポリヌクレオチドであって、前記ヌクレオチド配列が、IL−13R結合鎖の生物学的活性を有するタンパク質をコードする、ポリヌクレオチド。
(項目3) 項目1に記載のポリヌクレオチドであって、前記ヌクレオチド配列が、発現制御配列に作動可能に連結された、ポリヌクレオチド。
(項目4) 項目1に記載のポリヌクレオチドであって、配列番号1のヌクレオチド319〜ヌクレオチド1257のヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
(項目5) 項目1に記載のポリヌクレオチドであって、配列番号1のヌクレオチド1324〜ヌクレオチド1404のヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
(項目6) 項目1に記載のポリヌクレオチドであって、配列番号3のヌクレオチド178〜ヌクレオチド1125のヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
(項目7) 項目1に記載のポリヌクレオチドであって、配列番号3のヌクレオチド1189〜ヌクレオチド1242のヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
(項目8) 項目3に記載のポリヌクレオチドで形質転換された、宿主細胞。
(項目9) 前記細胞が哺乳動物細胞である、項目8に記載の宿主細胞。
(項目10) IL−13bcタンパク質を産生するためのプロセスであって、該プロセスは、
(a)項目8に記載の宿主細胞の培養物を適切な培養培地中で増殖させる工程;および
(b)該培養物から該IL−13bcタンパク質を精製する工程、
を包含する、プロセス。
(項目11) 単離されたIL−13bcタンパク質であって、以下:
(a)配列番号2のアミノ酸配列;
(b)配列番号2のアミノ酸22〜334のアミノ酸配列;
(c)配列番号2のアミノ酸357〜383のアミノ酸配列:
(d)配列番号4のアミノ酸配列;
(e)配列番号4のアミノ酸26〜341のアミノ酸配列;
(f)配列番号4のアミノ酸363〜380のアミノ酸配列:および
(g)IL−13レセプター結合鎖の生物学的活性を有する、(a)〜(f)のフラグメント、
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
(項目12) 配列番号2のアミノ酸配列を含む、項目11に記載のタンパク質。
(項目13) 配列番号2のアミノ酸22〜334の配列を含む、項目11に記載のタンパク質。
(項目14) 配列番号4のアミノ酸配列を含む、項目11に記載のタンパク質。
(項目15) 配列番号4のアミノ酸26〜341の配列を含む、項目11に記載のタンパク質。
(項目16) 項目11に記載のタンパク質および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
(項目17) 項目10に記載のプロセスに従って産生された、タンパク質。
(項目18) 項目11に記載のタンパク質と特異的に反応する抗体を含む、組成物。
(項目19) IL−13レセプターへのIL−13の結合のインヒビターを同定する方法であって、以下:
(a)項目11に記載のタンパク質をIL−13またはそのフラグメントと合わせる工程であって、該組合せが第1の結合混合物を形成する、工程;
(b)該タンパク質と該IL−13またはフラグメントとの間の結合の量を該第1の結合混合物において測定する工程;
(c)化合物を該タンパク質および該IL−13またはフラグメントと合わせて、第2の結合混合物を形成する工程;
(d)該第2の結合混合物における結合の量を測定する工程;ならびに
(e)該第1の結合混合物中の結合の量を該第2の結合混合物中の結合の量と比較する工程、
を包含し、該第2の結合混合物の結合の量の減少が生じる場合に、該化合物がIL−13レセプターへのIL−13の結合を阻害し得る、方法。
(項目20) 項目19に記載の方法によって同定される、インヒビター。
(項目21) 項目20に記載のインヒビターおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
(項目22) 哺乳動物被験体においてIL−13レセプターへのIL−13の結合を阻害する方法であって、該方法は、項目21に記載の組成物の治療的に有効な量を投与する工程を包含する、方法。
(項目23) 哺乳動物被験体においてIL−13レセプターへのIL−13の結合を阻害する方法であって、該方法は、項目16に記載の組成物の治療的に有効な量を投与する工程を包含する、方法。
(項目24) 哺乳動物被験体においてIL−13レセプターへのIL−13の結合を阻害する方法であって、該方法は、項目18に記載の組成物の治療的に有効な量を投与する工程を包含する、方法。
(項目25) 単離されたポリヌクレオチドであって、以下:
(a)配列番号2のアミノ酸配列;
(b)配列番号2のアミノ酸22〜334のアミノ酸配列;
(c)配列番号2のアミノ酸357〜383のアミノ酸配列;
(d)配列番号4のアミノ酸配列;
(e)配列番号4のアミノ酸26〜341のアミノ酸配列;
(f)配列番号4のアミノ酸363〜380のアミノ酸配列;および
(g)IL−13レセプター結合鎖の生物学的活性を有する、(a)〜(f)のフラグメント、
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
(項目26) 前記アミノ酸配列が融合タンパク質の一部である、項目11に記載のタンパク質。
(項目27) Fcフラグメントを含む、項目26に記載のタンパク質。
(項目28) 哺乳動物被験体においてIL−13に関連する状態を処置する方法であって、該方法は、項目16に記載の組成物の治療的に有効な量を投与する工程を包含する、方法。
(項目29) 前記状態がIgEに媒介される状態である、項目28に記載の方法。
(項目30) 項目29に記載の方法であって、前記状態が、アトピー、アレルギー性状態、喘息、および免疫複合体病からなる群より選択される、方法。
(項目31) 項目30に記載の方法であって、前記状態が、狼瘡、腎炎、甲状腺炎、およびグレーヴズ病からなる群より選択される、方法。
(項目32) IL−13活性を増強する方法であって、該方法は、IL−13活性を有するタンパク質を項目11に記載のタンパク質と合わせる工程、およびこのような組合せをIL−13bc以外のIL−13Rの少なくとも1つの鎖を発現する細胞と接触させる工程を包含する、方法。
(項目33) 項目32に記載の方法であって、前記接触させる工程が、このような組合せの治療的に有効な量を哺乳動物被験体に投与することによって実施される、方法。
(項目34) 配列番号2のアミノ酸1〜331のアミノ酸配列を含む、項目11に記載のタンパク質。
(項目35) 配列番号2のアミノ酸26〜331のアミノ酸配列を含む、項目11に記載のタンパク質。
(項目36) 配列番号2のアミノ酸1〜331のアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質をコードする、項目25に記載のポリヌクレオチド。
(項目37) 配列番号2のアミノ酸26〜331のアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質をコードする、項目25に記載のポリヌクレオチド。
(項目38) 前記状態が肺の炎症状態である、項目28に記載の方法。
(項目39) 哺乳動物被験体においてIL−13に関連する状態を処置する方法であって、該方法は、IL−13アンタゴニストおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物の治療的に有効な量を投与する工程を包含する、方法。
(項目40) 前記状態がIgEに媒介される状態である、項目39に記載の方法。
(項目41) 項目40に記載の方法であって、前記状態が、アトピー、アレルギー性状態、喘息、および免疫複合体病からなる群より選択される、方法。
(項目42) 項目41に記載の方法であって、前記状態が、狼瘡、腎炎、甲状腺炎、およびグレーヴズ病からなる群より選択される、方法。
(項目43) 項目39に記載の方法であって、前記アンタゴニストが、以下:IL−13bcタンパク質、IL−13Rα1の可溶性形態、IL−13に対する抗体または該抗体のIL−13結合フラグメント、IL−13bcに対する抗体または該抗体のIL−13bc結合フラグメント、IL−13Rα1に対する抗体または該抗体のIL−13Rα1結合フラグメント、IL−4のIL−13R結合変異体、IL−13bcとのIL−13の相互作用を阻害し得る低分子、およびIL−13Rα1とのIL−13の相互作用を阻害し得る低分子からなる群より選択される、方法。
(項目44) 前記IL−13bcタンパク質が項目11に記載のタンパク質である、項目43に記載の方法。
(項目45) 哺乳動物被験体においてIL−13bcタンパク質とのIL−13の相互作用を阻害する方法であって、該方法は、IL−13アンタゴニストおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物の治療的に有効な量を投与する工程を包含する、方法。
(項目46) 項目45に記載の方法であって、前記アンタゴニストが、以下:IL−13bcタンパク質、IL−13Rα1の可溶性形態、IL−13に対する抗体または該抗体のIL−13結合フラグメント、IL−13bcに対する抗体または該抗体のIL−13bc結合フラグメント、IL−13Rα1に対する抗体または該抗体のIL−13Rα1結合フラグメント、IL−4のIL−13R結合変異体、IL−13bcとのIL−13の相互作用を阻害し得る低分子、およびIL−13Rα1とのIL−13の相互作用を阻害し得る低分子からなる群より選択される、方法。
(項目47) 前記IL−13bcタンパク質が項目11に記載のタンパク質である、項目46に記載の方法。
【0009】
本発明はまた、以下からなる群より選択されるアミノ酸を含むペプチドまたはタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する:
(a)配列番号2のアミノ酸配列;
(b)配列番号2のアミノ酸22〜アミノ酸334のアミノ酸配列;
(c)配列番号2のアミノ酸357〜アミノ酸383のアミノ酸配列;
(d)配列番号4のアミノ酸配列;
(e)配列番号4のアミノ酸26〜アミノ酸341のアミノ酸配列;
(f)配列番号4のアミノ酸363〜アミノ酸380のアミノ酸配列;および
(g)IL−13レセプター結合鎖の生物学的活性を有する(a)〜(f)のフラグメント。他の好ましい実施形態は、配列番号2のアミノ酸1〜アミノ酸331のアミノ酸配列および配列番号2のアミノ酸26〜アミノ酸331のアミノ酸配列をコードする。
【0010】
ポリヌクレオチドで形質転換された宿主細胞(好ましくは、哺乳動物細胞)もまた、提供される。
【0011】
他の実施形態において、本発明は、IL−13bcタンパク質を生成するための、プロセスを提供する。このプロセスは以下を包含する:
(a)適切な培養培地中で本発明の宿主細胞の培養物を増殖する工程;および
(b)この培養物からヒトIL−13bcタンパク質を精製する工程。
【0012】
本発明はまた、以下:
(a)配列番号2のアミノ酸配列;
(b)配列番号2のアミノ酸22〜334のアミノ酸配列;
(c)配列番号2のアミノ酸357〜383のアミノ酸配列;
(d)配列番号4のアミノ酸配列;
(e)配列番号4のアミノ酸26〜341のアミノ酸配列;
(f)配列番号4のアミノ酸363〜380のアミノ酸配列;および
(g)IL−13レセプター結合鎖の生物学的活性を有する、(a)〜(f)のフラグメント
、からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたIL−13bdタンパク質を提供する。
【0013】
好ましくは、このタンパク質は、以下を含む:配列番号2のアミノ酸配列;配列番号2のアミノ酸22〜334の配列;配列番号4の配列;または配列番号4のアミノ酸26〜341の配列。他の好ましい実施形態では、特定のアミノ酸配列は、融合タンパク質(IL−13bc由来でない、さらなるアミノ酸配列を有する)の部分である。好ましい融合タンパク質は、抗体フラグメント(例えば、Fcフラグメント)を含む。特に好ましい実施形態は、配列番号2のアミノ酸1〜331のアミノ酸配列および配列番号2のアミノ酸26〜331のアミノ酸配列を含む。
【0014】
本発明のタンパク質および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物もまた提供される。
【0015】
本発明はさらに、本発明のタンパク質と特異的に反応する抗体を含む組成物を提供する。
【0016】
IL−13bcレセプターまたはIL−13レセプターに結合するIL−13のインヒビターを同定する方法もまた提供される。これらの方法は、以下を包含する:
(a)IL−13bcタンパク質またはそのフラグメントをIL−13またはそのフラグメントと合わせて、この組合せが第1の結合混合物を形成する、工程;
(b)この第1の結合混合物中のこのタンパク質とIL−13またはフラグメントとの間の結合の量を測定する工程;
(c)化合物をこのタンパク質およびIL−13またはフラグメントと合わせて、第2の結合混合物を形成する工程;
(d)この第2の結合混合物中の結合の量を測定する工程;ならびに
(e)この第1の結合混合物中の結合の量と、この第2の結合混合物中の結合の量を比較する工程;
ここで、この化合物は、この第2の結合混合物の結合量の低下が生じる場合、IL−13がIL−13bcタンパク質またはIL−13レセプターに結合することを阻害し得る。これらの方法により同定されたIL−13Rのインヒビターおよびそれらを含有する薬学的組成物もまた提供される。
【0017】
哺乳動物被験体において、LI−13がIL−13bcタンパク質またはIL−13レセプターに結合することを阻害する方法がまた、開示されている。この方法は、IL−13bcタンパク質、IL−13bcもしくはIL−13RのインヒビターまたはIL−13bcタンパク質に対する抗体を含有する治療上有効な量の組成物を投与する工程を包含する。
【0018】
IL−13活性を増強する方法がまた提供される。この方法は、IL−13活性を有するタンパク質と請求項11のタンパク質とを合わせる工程、およびこのような組合せを少なくとも1つのIL−13bc以外のIL−13Rの鎖を発現する細胞と接触させる工程を包含する。好ましくは、この接触工程は、このような組合せの治療上有効な量を哺乳動物被験体に投与することにより実行される。
哺乳動物被験体において、IL−13関連の状態を処置するためのさらなる方法が提供される。この方法は、IL−13アンタゴニストおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む治療上有効な量の組成物を投与する工程を包含する。他の方法が、哺乳動物被験体においてIL−13のIL−13bcタンパク質との相互作用を阻害する他の方法を提供する。この方法は、IL−13アンタゴニストおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む治療上有効な量の組成物を投与する工程を包含する。好ましくは、このアンタゴニストはIL−13bcタンパク質、IL−13Rα1の可溶性形態、IL−13に対する抗体またはそのIL−13結合フラグメント、IL−13bcに対する抗体またはそのIL−13bc結合フラグメント、IL−13Rα1に対する抗体またはそのIL−13Rα1結合フラグメント、IL−4のIL−13R結合変異体、IL−13とIL−13bcとの相互作用を阻害し得る低分子、およびIL−13とIL−13Rα1との相互作用を阻害し得る低分子からなる群より選択される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この図は、以下の実施例4に記載のように、IL−13bc−Fcへの曝露後の、IL−13、IL−14、IL−11および偽(mock)トランスフェクトされたCOS細胞の写真である。
【図2】インターロイキン−13のインビボブロックによるアレルゲン誘導性の気道過敏症の逆転。最初の気管内チャレンジの10日後、OVA免疫マウスおよびPBS免疫マウスを、再度OVAまたはPBSのいずれかで気管内チャレンジした。第2の抗原チャレンジの−1日目、0日目、+1日目および+3日目に、マウスに、腹腔内注射により、sIL−13bc−Fc(400μg)または等量のコントロールヒトIgGを与えた。アレルギーの表現型をPBSまたはOVAチャレンジの4日後に評価した。(A)ピーク気道圧における時間統合上昇(time−integrated rise)により規定した、アセチルコリンチャレンジに対する気道高過敏状態(AHR)(気道圧時間係数[APTI](cmH2O×秒))。(B)気管支肺胞滲出液の炎症性細胞構成。細胞の異なるパーセンテージはサイトスピン調製物の光学顕微鏡評価により決定した。データは細胞の絶対数で表している。(C)OVA−特異的血清IgE濃度。結果は、1群あたり8〜10動物の平均+/−SEMである。*P<0.05は、それぞれのPBSコントロール群と比較した:**P<0.05は、OVA/Hu−Ig群と比較した(多重比較のためのフィッシャー最小有意差検定をともなうワンウェイANOVA)。
【図3】気道上皮における粘液含有細胞のアレルゲン駆動性増加に対するIL−13遮断の効果。肺切片(実験群あたりN=4、1動物あたり4切片)をホルマリン中で固定し、10μm切片に切断し、そしてヘマトキシリンおよびエオシン、ならびに過ヨウ素酸シッフで染色した。代表的な切片を示す。バーは100μmである。PBS/Hu−Ig:PBSで免疫し、そしてチャレンジしたコントロールであって、ごく少数の粘液含有細胞を示す。OVA/Hu−Ig:アレルゲンに誘導された間質炎症細胞の増加および粘液を含有する杯細胞数の増加。OVA/sIL−13bc−Fc:アレルゲンに誘導された杯細胞粘液産生に対するIL−13遮断の劇的な阻害効果。
【図4】気道の反応性亢進(hyperreactivity)のIL−13誘導。未処理のマウスに、点滴注入により組換えIL−13(5μg/マウス、50μl容量)またはPBSを毎日与えた。最後の処理の24時間後、(A)気道の過剰応答性、(B)BAL好酸球レベル、(C)血清の総IgEレベル、および(D)粘液スコア、を決定した。結果は、1群あたり7〜10匹の動物の平均±SEM(垂直方向のバー)である。*P<0.05(PBS群と比較)(スチューデントt検定)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明の発明者らは、IL−13RのIL−13結合鎖(本明細書中以降、「
IL−13bc」)をコードするポリヌクレオチド(マウスおよびヒトのIL−
13bcをコードするポリヌクレオチドを含むが、限定されない)を初めて同定
し、そして提供した。
【0021】
配列番号1は、マウスIL−13bcをコードするcDNAのヌクレオチド配
列を提供する。配列番号2は、アミノ酸1〜21の推定シグナル配列を含む、レ
セプター鎖の推定アミノ酸配列を提供する。成熟マウスIL−13bcは、配列
番号2のアミノ酸22〜383の配列を有すると考えられる。成熟マウスレセプ
ター鎖は、少なくとも3つの異なるドメインを有する:細胞外ドメイン(配列番
号2のおよそアミノ酸22〜334を含む)、膜貫通ドメイン(配列番号2のお
よそアミノ酸335〜356を含む)、および細胞内ドメイン(配列番号2のお
よそアミノ酸357〜383を含む)。
【0022】
配列番号3は、ヒトIL−13bcをコードするcDNAのヌクレオチド配列
を提供する。配列番号4は、アミノ酸1〜25の推定シグナル配列を含む、レセ
プター鎖の推定アミノ酸配列を提供する。成熟ヒトIL−13bcは、配列番号
4のアミノ酸26〜380の配列を有すると考えられる。成熟ヒトレセプター鎖
は、少なくとも3つの異なるドメインを有する:細胞外ドメイン(配列番号4の
およそアミノ酸26〜341を含む)、膜貫通ドメイン(配列番号4のおよそア
ミノ酸342〜362を含む)、および細胞内ドメイン(配列番号4のおよそア
ミノ酸363〜380を含む)。
【0023】
ヒトIL−13bc配列の最初の81アミノ酸は、「yg99f10.r1
Homo sapiens cDNAクローン 41648 5」として同定さ
れ、そしてデータベース登録番号R52795 gb_est2を割り当てられ
た発現配列タグ(EST)の翻訳配列に同一である。コードされるタンパク質を
サイトカインレセプターとして同定するように当業者を導く相同性または配列モ
チーフは、このEST配列には存在しない。このデータベースエントリーに対応
するcDNAクローンは、I.M.A.G.E.Consortiumから公的
に入手可能である。本願の優先日後に、このようなクローンは、出願人より注文
され、そして配列決定された。このようなクローンの配列は、本明細書中で配列
番号3として、出願人により以前に報告された配列であることが決定された。
【0024】
IL−13bcタンパク質の可溶性形態もまた、生成され得る。このような可
溶性形態としては、配列番号2のアミノ酸1〜334もしくは22〜334、ま
たは配列番号4のアミノ酸1〜341もしくは26〜341を含むタンパク質が
挙げられるが、限定されない。IL−13bcの可溶性形態はさらに、好ましく
は室温にて、水溶液に可溶性であることによって特徴付けられる。細胞内ドメイ
ンまたはその一部分のみを含むIL−13bcタンパク質もまた、生成され得る
。全長よりは短い任意の形態のIL−13bcが本発明において包含され、そし
て本明細書中ではひとまとめにして、「IL−13bc」または「IL−13b
cタンパク質」として、全長形態および成熟形態と共に言及される。全長よりは
短いIL−13bcタンパク質は、全長IL−13bcタンパク質をコードする
ポリヌクレオチド(配列番号1または配列番号3)の対応するフラグメントを発
現させることにより生成され得る。これらの対応するポリヌクレオチドフラグメ
ントもまた、本発明の一部である。上記のように改変されたポリヌクレオチドは
、標準的な分子生物学技術(適切な所望される欠失変異体の構築、部位特異的変
異誘発方法、または適切なオリゴヌクレオチドプライマーを用いるポリメラーゼ
連鎖反応によって、を含む)により作製され得る。
【0025】
本発明の目的のために、タンパク質は、それが以下の特徴のうちの1つ以上を
保有する場合に、「IL−13レセプター結合鎖の生物学的活性」を有する:(
1)IL−13またはそのフラグメント(好ましくは、その生物学的に活性なフ
ラグメント)を結合する能力;および/または(2)IL−13Rの第2の非I
L−13結合鎖と相互作用して、IL−13RへのIL−13の結合に特徴的な
シグナルを生成する能力。好ましくは、タンパク質によって保有される生物学的
活性は、IL−13またはそのフラグメントを結合する能力であり、より好まし
くは、約0.1nM〜約100nMのKDで結合する能力である。特定のタンパ
ク質またはペプチドがこのような活性を有するか否かを決定する方法としては、
本明細書中に提供される実施例に記載の方法が挙げられるが、限定されない。
【0026】
IL−13bcまたはその活性なフラグメント(IL−13bcタンパク質)
は、免疫グロブリンのようなキャリア分子に融合され得る。例えば、IL−13
bcの可溶性形態は、「リンカー」配列を通して免疫グロブリンのFc部分に融
合され得る。GST、Lex−AまたはMBPとの融合タンパク質のような他の
融合タンパク質もまた使用され得る。
【0027】
本発明はまた、配列番号1または配列番号3に示されるようなヌクレオチド配
列の対立遺伝子改変体、すなわち、配列番号1または配列番号3の単離されたポ
リヌクレオチドの天然に存在する二者択一(alternative)形態(こ
れもまた、IL−13bcタンパク質、好ましくは、IL−13bcの生物学的
活性を有するIL−13bcタンパク質をコードする)を包含する。配列番号1
または配列番号3に示されるヌクレオチド配列に対して、高度にストリンジェン
トな条件下(例えば、65℃にて0.1×SSC)でハイブリダイズする単離さ
れたポリヌクレオチドもまた、本発明に含まれる。IL−13bcタンパク質を
コードするが、遺伝暗号の縮重が理由で配列番号1または配列番号3に示される
ヌクレオチド配列とは異なる単離されたポリヌクレオチドもまた、本発明によっ
て包含される。点変異または誘導される改変によって引き起こされる、配列番号
1または配列番号3に示されるようなヌクレオチド配列におけるバリエーション
もまた、本発明に包含される。
【0028】
本発明はまた、他の動物種(特に、他の哺乳動物種)由来のマウスIL−13
bcおよびヒトIL−13bcのホモログをコードするポリヌクレオチドを提供
する。種ホモログは、本明細書中に開示されるマウス配列もしくはヒト配列から
プローブまたはプライマーを作製し、そして適切な種由来のライブラリー(例え
ば、関連する種のPBMC、胸腺、または精巣から構築されるライブラリーなど
)をスクリーニングすることにより、同定および単離され得る。
【0029】
本発明の単離されたポリヌクレオチドは、発現制御配列(例えば、Kaufm
anら、Nucleic Acids Res.19、4485〜4490(1
991)に開示される、pMT2発現ベクターまたはpED発現ベクター)に作
動可能に連結され、組換え的にIL−13bcタンパク質を産生し得る。多数の
適切な発現制御配列が、当該分野において公知である。組換えタンパク質を発現
する一般的な方法もまた公知であり、そしてR.Kaufman、Method
s in Enzymology 185、537〜566(1990)に例示
される。本明細書中で定義する場合には、「作動可能に連結する」とは、連結し
たポリヌクレオチド/発現制御配列で形質転換(トランスフェクト)された宿主
細胞によりIL−13bcタンパク質が発現される様式で、本発明の単離したポ
リヌクレオチドと発現制御配列との間に共有結合を形成するように、酵素的また
は化学的に連結することを意味する。
【0030】
多くの型の細胞が、IL−13bcタンパク質の発現のために適切な宿主細胞
として作用し得る。機能的なIL−13bcタンパク質を発現し得る任意の細胞
型が、使用され得る。適切な哺乳動物宿主細胞としては、例えば、サルCOS細
胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト腎臓293細胞、ヒト表
皮A431細胞、ヒトColo205細胞、3T3細胞、CV−1細胞、他の形
質転換された霊長類細胞株、正常二倍体細胞、霊長類組織のインビトロ培養物由
来の細胞株、霊長類体外移植組織、HeLa細胞、マウスL細胞、BHK、HL
−60、U937、HaK、Rat2、Baf3、32D、FDCP−1、PC
12、MlxまたはC2C12細胞が挙げられる。
【0031】
IL−13bcタンパク質はまた、本発明の単離したポリヌクレオチドを、1
つ以上の昆虫発現ベクター内の適切な制御配列に作動可能に連結し、そして昆虫
発現系を使用することによって、産生され得る。バキュロウイルス/昆虫細胞発
現系のための材料および方法は、キットの形態で、例えばInvitrogen
、San Diego、California、U.S.A.(MaxBac(
登録商標)キット)から市販されており、そしてこのような方法は、Summe
rsおよびSmith、Texas Agricultural Experi
ment Station Bulletin No.1555(1987)(
本明細書中に参考として援用される)に記載されるように、当該分野において周
知である。IL−13bcタンパク質の可溶形態もまた、昆虫細胞内で、上述の
ような適切な単離されたポリヌクレオチドを使用して、産生され得る。
【0032】
あるいは、IL−13bcタンパク質は、酵母のような下等真核生物、または
細菌のような原核生物において、産生され得る。適切な酵母株としては、Sac
charomyces cerevisiae、Schizosaccharo
myces pombe、Kluyveromyces株、Candida、ま
たは異種タンパク質を発現し得る任意の酵母株が挙げられる。適切な細菌株とし
ては、Escherichia coli、Bacillus subtili
s、Salmonella typhimurium、または異種タンパク質を
発現し得る任意の細菌株が挙げられる。
【0033】
細菌における発現の結果として、組換えタンパク質を取り込む封入体が形成し
得る。従って、組換えタンパク質のリフォールディングは、活性な物質またはよ
り活性な物質を産生するために、必要とされ得る。正しくフォールディングされ
た異種タンパク質を細菌封入体から得るためのいくつかの方法が、当該分野にお
いて公知である。これらの方法は、一般に、このタンパク質をこの封入体から可
溶化する工程、次いでカオトロピック試薬を使用してこのタンパク質を完全に変
性させる工程を包含する。システイン残基がこのタンパク質の一次アミノ酸配列
に存在する場合には、ジスルフィド結合の正しい形成を可能にする環境(レドッ
クス系)においてこのリフォールディングを達成することが、しばしば必要であ
る。リフォールディングの一般的な方法は、Kohno、Meth.Enzym
.185:187〜195(1990)に開示される。EP0433225およ
び同時係属中の出願USSN08/163,877は、他の適切な方法を記載す
る。
【0034】
本発明のIL−13bcタンパク質はまた、トランスジェニック動物の産物と
して(例えば、IL−13bcタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を
含む体細胞または生殖細胞により特徴付けられる、トランスジェニック雌ウシ、
ヤギ、ブタ、またはヒツジのミルクの成分として)、発現され得る。
【0035】
本発明のIL−13bcタンパク質は、形質転換した宿主細胞の培養物を、所
望のタンパク質を発現するために必要な培養条件下で増殖させることにより、調
製され得る。次いで、得られる発現タンパク質は、この培養培地または細胞抽出
物から精製され得る。本発明のIL−13bcタンパク質の可溶形態は、馴化培
地から精製され得る。本発明のIL−13bcタンパク質の膜結合形態は、発現
する細胞から全膜画分を調製し、そしてこの膜を非イオン性界面活性剤(例えば
、Triton X−100)で抽出することにより、精製され得る。
【0036】
IL−13bcタンパク質は、当業者に公知の方法を使用して、精製され得る
。例えば、本発明のIL−13bcタンパク質は、市販のタンパク質濃縮フィル
タ(例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾
過ユニット)を使用して、濃縮され得る。濃縮工程に続いて、この濃縮物は、ゲ
ル濾過媒体のような精製マトリックスに適用され得る。あるいは、陰イオン交換
樹脂(例えば、ペンダントであるジエチルアミノエチル(DEAE)基またはポ
リエチレンイミン(PEI)基を有するマトリックスまたは基質)が使用され得
る。これらのマトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セ
ルロース、またはタンパク質の精製において通常使用される他の型であり得る。
あるいは、陽イオン交換工程が使用され得る。適切な陽イオン交換体としては、
スルホプロピル基またはカルボキシメチル基を含む様々な不溶性マトリックスが
挙げられる。スルホプロピル基が好ましい(例えば、S−Sepharose(
登録商標)カラム)。培養物上清からのIL−13bcタンパク質の精製はまた
、コンカナバリンA−アガロース、ヘパリン−トヨパール(登録商標)もしくは
Cibacrom blue 3GA Sepharose(登録商標)のよう
なアフィニティー樹脂を介するか;またはフェニルエーテル、ブチルエーテル、
もしくはプロピルエーテルのような樹脂を使用する、疎水性相互作用クロマトグ
ラフィーによるか;または免疫アフィニティークロマトグラフィーによる、1つ
以上のカラム工程を包含し得る。最後に、疎水性逆相高速液体クロマトグラフィ
ー(RP−HPLC)媒体(例えば、ペンダントであるメチル基または他の脂肪
族基を有するシリカゲル)を使用する、1つ以上のRP−HPLC工程が使用さ
れて、IL−13bcタンパク質をさらに精製し得る。IL−13またはそのフ
ラグメントを含むか、あるいはIL−13bcタンパク質に対する抗体を含む、
アフィニティーカラムもまた、公知の方法に従う精製において、使用され得る。
上記の精製工程のいくつかまたは全てはまた、様々な組み合わせでまたは他の公
知の方法と共に使用されて、実質的に精製された単離された組換えタンパク質を
提供し得る。好ましくは、単離されたIL−13bcタンパク質は、実質的に他
の哺乳動物タンパク質を含まないように、精製される。
【0037】
本発明のIL−13bcタンパク質をまた使用して、IL−13bcもしくは
IL−13Rに結合し得るか、またはIL−13もしくはIL−13bcに対す
るIL−13の結合(細胞外ドメインまたは細胞内ドメインのいずれか)を妨げ
る薬剤をスクリーニングし得、従って、本発明のIL−13bcタンパク質は、
正常な結合およびサイトカイン作用のインヒビター(「IL−13Rインヒビタ
ー」)として作用し得る。所望の結合タンパク質(固定化または固定化されてい
ない)を使用する結合アッセイは、当該分野において周知であり、そして本発明
のIL−13bcタンパク質を使用するこの目的のために使用され得る。精製さ
れた細胞ベースのスクリーニングアッセイまたはタンパク質ベースのスクリーニ
ングアッセイ(無細胞)を使用して、そのような薬剤を同定し得る。例えば、I
L−13bcタンパク質を、キャリア上に精製形態において固定化し得、そして
精製されたIL−13bcタンパク質に対する結合を、可能性のある阻害剤の存
在下および非存在下において測定し得る。代替的に、適切な結合アッセイは、本
発明の可溶性形態のIL−13bcを使用する。インヒビターをスクリーニング
し得る系の別の例を、以下の実施例2に記載する。
【0038】
そのようなスクリーニングアッセイにおいて、第1の結合混合物を、IL−1
3またはそのフラグメントと、IL−13bcタンパク質を合わせることによっ
て形成し、そして第1の結合混合液中の結合量(B0)を測定する。第2の結合
混合液もまた、IL−13またはそのフラグメントと、IL−13bcタンパク
質と、およびスクリーニングすべき化合物または薬剤とを合わせることによって
形成し、そして第2の結合混合液中の結合量(B)を測定する。第1および第2
の結合混合液中の結合量を、例えば、B/B0比の計算を行うことによって、比
較する。第1の結合混合液と比較した第2の結合混合液中の結合の減少が観察さ
れる場合、化合物または薬剤が、結合を阻害し得ると考えられる。必要に応じて
、IL−13Rの第2鎖を、結合混合液の一方または両方に添加し得る。結合混
合液の処方および最適化は、当業者のレベル内であり、そのような結合混合物は
また、結合を促進するか、または最適化するのに必要な緩衝液および塩を含み得
、そしてさらなるコントロールアッセイが、本発明のスクリーニングアッセイ中
に含まれ得る。
【0039】
従って、任意の程度で(好ましくは、少なくとも約10%まで、より好ましく
は約50%を超えて)、IL−13またはそのフラグメントに対するIL−13
bcタンパク質の結合活性を減少することが見出された化合物が、同定され、次
に、他の結合アッセイにおいて、およびインビボアッセイにおいてスクリーニン
グされ得る。これらの手段によって、治療剤として適切であり得る、IL−13
bc結合について阻害活性を有する化合物が、同定され得る。
【0040】
IL−13bcタンパク質およびそれをコードするポリヌクレオチドもまた、
IL−13bc、IL−13R、IL−13の発現または存在、あるいは、IL
−13bc、IL−13RまたはIL−13を発現する細胞の検出のための診断
剤として使用し得る。このタンパク質またはポリヌクレオチドを、このタイプの
材料を使用する診断アッセイのための標準手段におけるそのような目的のために
、使用し得る。適切な方法は、当該分野において周知である。
【0041】
本明細書において使用する場合、「IL−13R」とは、IL−13bc、お
よび/または、「IL−13α1」もしくは「NR4」として公知の第2のIL
−13レセプター鎖をいう(マウスレセプター鎖、Hiltonら、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 1996、93:497〜501:ヒト
レセプター鎖、Amanら、J.Biol.Chem.1996、271:29
265〜70、およびGauchatら、E.J.Immunol.1997、
27:971〜8を参照のこと)。
【0042】
IL−13bcは、IL−13の公知の生物学的活性のメディエーターとして
作用する。結果として、IL−13bcタンパク質(特に、可溶性IL−13b
cタンパク質)、IL−13Rインヒビター(すなわち、IL−13とIL−1
3Rとの相互作用のアンタゴニスト(例えば、IL−13R(特にIL−13b
cに対する抗体またはIL−13Rα1に対する抗体を含む)およびそのフラグ
メントに対する抗体)、IL−13およびそのフラグメントに対する抗体、可溶
性IL−13Rα1タンパク質、ならびに低分子およびIL−13とIL−13
Rとの相互作用(IL−13bcとの相互作用および/またはIL−13Rα1
との相互作用を含む)の他のインヒビターが、IL−13が関係する種々の医学
的状態、またはIL−13の活性(または活性の欠損)によって生じる種々の医
学的状態(集合的に、「IL−13関連状態」)の処置または調節において有用
であり得る。IL−13Rに結合するIL−4の変異形態もまた、IL−13ア
ンタゴニストとして使用され得る(例えば、Shanafeltら、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 1998、95:9545〜8;Ave
rsaら、J.Exp.Med.1993、178:2213〜8;およびGr
unewaldら、J.Immunol.1998、160:4004〜9を参
照のこと)。
【0043】
IL−13関連状態としては、限定することなく、Ig媒介性状態および疾患
、特にIgE媒介性状態(限定することなく、アトピー、アレルギー性状態、喘
息、免疫複合体病(例えば、狼瘡、ネフローゼ症候群、腎炎、糸球体腎炎、甲状
腺炎およびグレーヴズ病)が含まれる);肺の炎症状態;免疫欠損、特に造血性
前駆胞における欠損、またはそれに関する障害;癌および他の疾患が挙げられる
。そのような病理学的状態は、疾患、放射線または薬物への曝露から生じ得、そ
して例えば、白血球減少症、細菌およびウイルス感染、貧血、B細胞またはT細
胞欠損(例えば、骨髄移植後の免疫細胞欠損または造血細胞欠損)を含む。IL
−13は、マクロファージ活性化を阻害するので、IL−13bcタンパク質は
また、マクロファージ活性化の増強のために有用であり得る(すなわち、ワクチ
ン接種、微生物もしくは細胞内生物、または寄生虫感染の処置)。
【0044】
IL−13bcタンパク質もまた、インビトロおよびインビボにおいてIL−
13の効果を増強するために使用され得る。例えば、IL−13bcタンパク質
は、IL−13活性を有するタンパク質(好ましくはIL−13)と合わせられ
得、そして生じる組合せを、IL−13bc以外のIL−13Rの少なくとも1
つの鎖を発現する細胞と接触させ得る(好ましくは、IL−13bc以外のIL
−13Rの全ての鎖、例えばIL−13Rα1)。好ましくは、接触工程は、そ
のような組合せの治療的有効量を、インビボにおいて哺乳動物被験体に投与する
ことによって、実行される。IL−13タンパク質とIL−13bcタンパク質
との確立される前の会合は、適切なシグナル伝達に必要な完全なIL−13/I
L−13R複合体の形成を助ける。例えば、Economidesら、Scie
nce270:1351(1995)によって記載される方法を参照のこと。
【0045】
細胞から精製されたか、または組換え的に産生された、IL−13bcタンパ
ク質およびIL−13Rインヒビターを、薬学的に受容可能なキャリアと組み合
わせた場合、薬学的組成物として使用し得る。そのような組成物は、IL−13
bcまたはインヒビターおよびキャリアに加えて、種々の希釈剤、充填材、塩、
緩衝液、安定化剤、可溶化剤、および他の当該分野において周知の材料を含み得
る。用語「薬学的に受容可能」とは、活性成分の生物学的活性の効力を妨げない
非毒性材料を意味する。キャリアの特徴は、投与の経路に依存する。
【0046】
本発明の薬学的組成物はまた、サイトカイン、リンホカイン、または他の造血
因子(例えば、M−CSF、GM−CSF、IL−1、IL−2、IL−3、I
L−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、I
L−11、IL−12、IL−14、IL−15、G−CSF、幹細胞因子、お
よびエリトロポイエチンを含み得る。薬学的組成物はまた、抗サイトカイン抗体
を含み得る。薬学的組成物は、血栓崩壊性因子または抗血栓因子(例えば、プラ
スミノゲン活性化因子および第VIII因子を含み得る。薬学的組成物はさらに
、他の抗炎症剤を含み得る。そのようなさらなる因子および/または薬剤を薬学
的組成物中に含めて、単離されたIL−13bcタンパク質またはIL−13b
cインヒビターとの相乗的作用を生じ得るか、単離されたIL−13bcまたは
IL−13インヒビターによって生じる副作用を最小化し得る。逆に、単離され
たIL−13bcまたはIL−13bcインヒビターを、特定のサイトカイン、
リンホカイン、他の造血因子、血栓崩壊性因子または抗血栓因子、あるいは抗炎
症剤の処方物中に含ませて、そのサイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、
血栓崩壊性因子または抗血栓因子、あるいは抗炎症剤の副作用を最小化し得る。
【0047】
本発明の薬学的組成物は、リポソームの形態であり得、ここで単離されたIL
−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターが、他の薬学的に受容
可能なキャリアに加えて、両親媒性剤(例えば、ミセル、不溶性単層、液晶、ま
たは水溶液中の層状の層として凝集形態にて存在する脂質)とともに組み合わさ
れている。リポソーム性処方物のために適切な脂質としては、モノグリセリド、
ジグリセリド、スルファチド、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸など
が挙げられるがこれらに限定されない。このようなリポソーム性処方物の調製は
、例えば、米国特許第4,235,871号;米国特許第4,501,728号
;米国特許第4,837,028号;および米国特許第4,737,323号(
これらの全ては、本明細書中に参考として援用される)に開示されるように、当
業者のレベル内である。
【0048】
本明細書中で使用される場合、用語「治療有効量」とは、意義のある患者の利
益(例えば、このような状態の症状の緩和、治癒、または治癒の速度における増
加)を示すに十分である、薬学的組成物または方法の各活性成分の総量を意味す
る。単独に投与される、個々の活性成分に適用される場合、この用語は、その成
分単独をいう。組み合わせに適用される場合、この用語は、組み合わせてか、連
続的にか、または同時に投与されるか否かにかかわらず、治療効果を生じる活性
成分の組み合わせた量をいう。
【0049】
本発明の処置方法または使用を実施する際に、治療有効量の単離されたIL−
13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターが、哺乳動物に投与され
る。単離されたIL−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターは
、単独または他の治療(例えば、サイトカイン、リンホカインまたは他の造血因
子を用いる処置)と組み合わされるかのいずれかで、本発明の方法に従って投与
され得る。1以上のサイトカイン、リンホカイン、または他の造血因子と同時投
与される場合、IL−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターは
、サイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、血栓崩壊因子または抗血栓崩壊
因子と同時にか、あるいは連続的にかのいずれかで、投与され得る。連続的に投
与される場合、担当医は、サイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、血栓崩
壊因子または抗血栓崩壊因子との組み合わせで、IL−13bcタンパク質また
はIL−13bcインヒビターを投与する適切な順番を決定する。
【0050】
薬学的組成物において使用されるIL−13bcタンパク質またはIL−13
bcインヒビターの投与、または本発明の方法の実施は、種々の従来の様式(例
えば、経口摂取、吸入、または皮膚注射、皮下注射、もしくは静脈内注射)にお
いて実行され得る。患者への静脈内注射が、好ましい。
【0051】
治療有効量のIL−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターが
、経口で投与される場合、IL−13bcタンパク質またはIL−13bcイン
ヒビターは、錠剤、カプセル剤、散剤、液剤、またはエリキシル剤の形態である
。錠剤形態にて投与される場合、本発明の薬学的組成物は、固体キャリア(例え
ば、ゼラチンまたはアジュバント)をさらに含み得る。錠剤、カプセル剤、およ
び散剤は、約5〜95%のIL−13bcタンパク質またはIL−13bcイン
ヒビター、および好ましくは約25〜90%のIL−13bcタンパク質または
IL−13bcインヒビターを含む。液体形態にて投与される場合、液体キャリ
ア(例えば、水、石油、動物または植物起源の油(例えば、ピーナッツ油、鉱油
、ダイズ油、もしくはゴマ油)あるいは合成油)が、添加され得る。薬学的組成
物の液体形態は、生理学的生理食塩水、デキストロースまたは他のサッカリド溶
液、あるいはグリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール
、またはポリエチレングリコール)をさらに含み得る。液体形態にて投与される
場合、この薬学的組成物は、約0.5〜90重量%のIL−13bcタンパク質
またはIL−13bcインヒビター、および好ましくは約1〜50%のIL−1
3bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターを含む。
【0052】
治療有効量のIL−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターが
静脈内注射、皮膚注射または皮下注射によって投与される場合、IL−13bc
タンパク質またはIL−13bcインヒビターは、発熱物質陰性の非経口的に受
容可能な水溶液の形態である。このような非経口的に受容可能なタンパク質溶液
の調製は、pH、等張性、安定性などに関する約束事を有し、これは当業者の範
囲内である。静脈内注射、皮膚注射、または皮下注射のための好ましい薬学的組
成物は、IL−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターに加えて
、等張性ビヒクル(例えば、塩化ナトリウム液、リンゲル液、デキストロース液
、デキストロースおよび塩化ナトリウム液、乳酸リンゲル液または当該分野にお
いて公知の他のビヒクル)を含むべきである。本発明の薬学的組成物はまた、安
定化剤、保存剤、緩衝液、抗酸化剤、または当業者に公知の他の添加剤を含み得
る。
【0053】
本発明の薬学的組成物中のIL−13bcタンパク質またはIL−13bcイ
ンヒビターの量は、処置される状態の性質および重篤度、ならびに患者が経験し
た以前の処置の性質に依存する。最終的には、担当医は、各々の個々の患者を処
置する、IL−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターの量を決
定する。最初に、担当医は、低用量のIL−13bcタンパク質またはIL−1
3bcインヒビターを投与し、そして患者の応答を観察する。より高用量のIL
−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターが、最適な治療効果が
患者に対して得られるまで投与され得、そしてその時点で、この投薬量は、一般
的にさらに増加されない。本発明の方法を実施するために使用される種々の薬学
的組成物は、体重1kgあたり約0.1μg〜約100mgのIL−13bcタ
ンパク質またはIL−13bcインヒビターを含むべきであることが意図される
。
【0054】
本発明の薬学的組成物を使用する静脈内治療の持続時間は、各々の個々の患者
の処置される疾患および状態の重篤度、ならびに潜在的特異体質応答に依存して
変動する。IL−13bcタンパク質またはIL−13bcインヒビターの各々
の適用の持続時間は、12〜24時間の連続する静脈内投与の範囲にあることが
意図される。最終的には、担当医は、本発明の薬学的組成物を使用して、静脈内
治療の適切な持続時間を決定する。
【0055】
本発明のIL−13bcタンパク質はまた、動物を免疫して、IL−13bc
タンパク質と特異的に反応し、かつIL−13またはそのフラグメントのそのレ
セプターへの結合を阻害し得る、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体
を得るために、使用され得る。このような抗体は、免疫原としてIL−13bc
全体を使用してか、またはIL−13bcのフラグメント(例えば、可溶性成熟
IL−13bc)の使用によって得られ得る。IL−13bcのより小さなフラ
グメントもまた、動物を免疫するために使用され得る。ペプチド免疫原は、カル
ボキシ末端にシステイン残基をさらに含み得、そしてハプテン(例えば、キーホ
ールリンペットヘモシアニン(KLH))に結合体化される。さらなるペプチド
免疫原は、チロシン残基を硫酸化されたチロシン残基と置換することによって作
製され得る。このようなペプチドを合成するための方法は、例えば、R.P.M
errifield,J.Amer.Chem.Soc.85.2149〜21
59(1963);J.L.Krstenanskyら、FEBS Lett.
211,10(1987)のように、当該分野において公知である。
【0056】
IL−13bcタンパク質に結合している中和抗体または非中和抗体(好まし
くは、モノクローナル抗体)もまた、特定の腫瘍に対して有用な治療であり、そ
してまた、上記の状態の処置に有用であり得る。これらの中和モノクローナル抗
体は、IL−13bcに結合しているIL−13をブロックすることが可能であ
り得る。
【実施例】
【0057】
(実施例1)
(IL−13bc cDNAの単離)
(マウスIL−13レセプター鎖の単離)
5μgのポリA+RNAを、6〜8週齢のC3H/HeJマウスの胸腺から調
製した。二本鎖のヘミメチル化(hemimethylated)cDNAを、
StratageneのcDNA合成キットを使用して、製造業者の使用説明書
に従って調製した。簡潔には、第1鎖を、オリゴT−Xhoプライマーでプライ
ムし、そして第2鎖の合成の後に、EcoRIアダプターを付加して、そしてc
DNAを、XhoIで消化して、そして精製した。このcDNAを、Zap E
xpress(Stratagene)λベクターのXhoI−EcoRI部位
に連結し、そしてGigapak II Gold II Goldパッケージ
ング抽出物(Stratagene)を使用して、製造業者の使用説明書に従っ
てパッケージングした。1.5×106の得られた組換えファージのライブラリ
ーを、製造業者の使用説明書に従って増幅した。このライブラリーを、配列KS
RCTCCABKCRCTCCA(配列番号5)(K=G+T;S=C+G;R
=A+G;B=C+G+T)の縮重17マーオリゴヌクレオチドプローブを用い
て、記載されるような標準的なTMACハイブリダイゼーション条件を使用して
、スクリーニングした(Current Protocols in Mole
cular Biology、Ausubelら、編集者、Jhon Wile
y and Sons、1995、第6.4.3節)。クローンA25を同定し
た。なぜなら、これは、17マープローブにハイブリダイズしたが、既知の造血
素レセプターから誘導されるプローブにはハイブリダイズしなかったからである
。このクローンを、製造業者の使用説明書により、ZapExpressベクタ
ー由来のプラスミド形態において単離し、そしてこのDNA配列を決定した。こ
のDNA配列は、造血素レセプターファミリーのうちの新規なメンバーをコード
した。
【0058】
配列番号1の配列を有するポリヌクレオチドを含むクローンA25を、199
6年2月22日に、登録番号69997で、pA25pBKCMVとしてATC
Cに寄託した。
【0059】
(ヒトIL−13レセプター鎖の単離)
マウスレセプターのヒトホモログの部分的なフラグメントを、マウス配列から
誘導されるオリゴヌクレオチドを使用して、PCRによって単離した。cDNA
を、Clontechから得られたヒト精巣ポリA+RNAから調製した。27
4塩基対のDNAフラグメントを、以下のオリゴヌクレオチド:
【0060】
【化1】
を用いるPCRによって、AmpliTaqポリメラーゼ(Promega)を
使用して、1.5mM MgCl2を含む1×Taq緩衝液中での30サイクル
のインキュベーション(94℃×1分、42℃で1分、および72℃で1分)に
より、このcDNAから増幅した。このフラグメントのDNA配列を決定し、そ
して2つのオリゴヌクレオチドを、以下の配列:
【0061】
【化2】
を有するこのフラグメントの内部部分から調製した。これらのオリゴヌクレオチ
ドをプローブとして使用して、CLONTECH(カタログ番号HL1161)
から購入したヒト精巣cDNAライブラリーをスクリーニングした。フィルター
を、標準的な5×SSCハイブリダイゼーション条件を使用して、52℃でハイ
ブリダイズさせ、そして2×SSCにおいて52℃にて洗浄した。400,00
0個のクローンのスクリーニングにおいて、両方のオリゴヌクレオチドにハイブ
リダイズする22個のクローンを単離した。DNA配列を、これらのcDNAク
ローンのうちの4つから決定し、そして全ては、同じ新規の造血素レセプターを
コードしていた。全長ヒトレセプター鎖の推定DNA配列を、配列番号3として
示す。
【0062】
ヒトクローンを、1996年2月22日に登録番号69998で、phA25
♯11pDR2としてATCCに寄託した。
【0063】
(実施例2)
(可溶性IL−13bcタンパク質の発現および活性のアッセイ)
(可溶性IL−13bc−Igの産生および精製)
マウスIL−13bcの細胞外ドメインのアミノ酸1〜331をコードするD
NAを、PCRによって、gly−ser−glyをコードするスペーサー配列
に融合し、そしてCOS−1発現ベクターpED FcのヒトIgG1のヒンジ
CH2 CH3領域をコードする配列とインフレームに連結した。IL−13b
c−Igを、DEAEデキストランでトランスフェクトしたCOS−1細胞から
産生し、そしてプロテインAセファロースクロマトグラフィー(Pharmac
ia)を介して精製した。
【0064】
(B9増殖アッセイ)
IL−13またはIL−4に応答するB9細胞(Aardenら、Eur.J
.Immunol.1987.17:1411〜1416)の増殖の刺激を、D
NAへの3H−チミジンの取り込みにより測定した。細胞(5×103/ウェル
)を、IL−13bc−Ig(1μg/ml)の存在または非存在下で、種々の
濃度の増殖因子を含む培地を有する96ウェルプレートに播種した。3日間のイ
ンキュベーションの後に、1μCi/ウェルの3H−チミジンを添加し、そして
細胞を、さらに4時間インキュベートした。放射能の取り込みを、LKB 12
05Plateリーダーを使用して決定した。
【0065】
B9細胞株は、IL−13、IL−4またはIL−6に応答して増殖した。I
L−13への応答のみが、可溶性IL−13bc−Igによって阻害された。こ
のことは、このレセプターがIL−13を特異的に結合するが、IL−4または
IL−6を特異的に結合しないことを示した。表は、cpmを示す。2つの別々
の実験を示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
(実施例3)
(表面プラズモン共鳴(Biacore分析)により測定される、IL−13
への可溶性IL−13bcの直接的な結合)
Biacoreバイオセンサを使用して、精製されたIL−13bc−Igへ
のIL−13の直接的な特異的結合を測定した(Pharmacia,John
ssonら、1991)。およそ10,000〜17,000の共鳴単位(RU
)の精製されたIL−13bc−Ig、ヒトIgG1または関連のないレセプタ
ーを、製造業者により推奨されるように、センサチップ上の異なるフローセルに
各々共有結合的に固定した。(RUは、センサチップ表面に結合したタンパク質
の質量を反映する。)精製されたIL−13を、過剰の精製されたIL−13b
c−Igの存在または非存在下で、5μl/分で10分間、フローセルを横切っ
て注入した。結合を、サンプル注入の前および後のRUにおける差異として定量
した。481.9RUの特異的IL−13結合は、固定化したIL−13bc−
Igについてのみ観察された。一方、IL−13およびIL−13bc−Igの
同時注入は、固定化されたIL−13bc−Igへの結合を全く生じなかった(
4RU)。IL−13結合は、固定化されたIgGまたはIL−11R−Igの
いずれについても全く観察されなかった(それぞれ、5.4RUおよび3.7R
U)。
【0068】
【表3】
(実施例4)
(COS細胞において発現されたIL−13の、標識されたIL−13BC−
Ig融合タンパク質への結合)
(IL−13bc−FcによるIL−13のCOSインサイチュ検出)
IL−13、IL−4、IL−11についての発現ベクター、または空のベク
ターを、DEAEデキストラン方法を介して、二連のプレート中のCOS−1細
胞へとトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後に、細胞をリン酸
緩衝化生理食塩水(PBS)にて2回洗浄し、そしてメタノールにより、4℃で
10分間培養皿にて固定化した。固定化の後に、細胞をPBSで2回洗浄し、次
いで結合緩衝液(PBS、1%(w/v)ウシ血清アルブミン)、11%(w/
v)アジ化ナトリウム)で1回リンスし、そして1.0μg/mlのIL−13
bc−Fcまたは関連する抗サイトカイン抗血清を含む結合緩衝液中で、4℃で
2時間インキュベートした。細胞を、PBSで2回洗浄し、そして結合緩衝液中
に1:500で希釈したアルカリホスファターゼ標識化ウサギF(ab)2’抗
ヒトIgG(Fc融合物検出のため)またはウサギF(ab)2’抗ラットIg
G(抗サイトカイン検出のため)中で、振盪しながら、4℃でインキュベートし
た。細胞を再度、PBSで2回洗浄した。アルカリホスファターゼ活性を、ニト
ロブルーテトラゾリウムおよび5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−ホス
フェートを使用して可視化した。
【0069】
特異的結合を、顕微鏡下で可視化した。IL−13でトランスフェクトした細
胞のみが、IL13bc−Igへの特異的結合を示した。(トランスフェクトさ
れた細胞の写真を参照のこと、図)。
【0070】
(実施例5)
(IL−13bcタンパク質の生物学的活性の決定のための他の系)
他の系が、特異的IL−13bcタンパク質が本明細書中に規定されるような
IL−13bcの「生物学的活性」を示すか否かを決定するために使用され得る
。以下は、このような系の例である。
【0071】
(IL−13結合についてのアッセイ)
IL−13bcタンパク質がIL−13またはそのフラグメントに結合する能
力は、このような結合を検出し得る任意の適切なアッセイによって決定され得る
。いくつかの適切な例は、以下である。
【0072】
IL−13の、IL−13bcタンパク質の細胞外領域への結合は、レセプタ
ータンパク質上のホスホチロシンの迅速な誘導を特異的に引き起こす。リン酸化
の誘導によって測定されるようなリガンド結合活性についてのアッセイを、以下
に記載する。
【0073】
あるいは、(例えば、細胞外ドメインの可溶化形態のような)IL−13bc
タンパク質を、産生および使用してIL−13結合を検出する。例えば、その細
胞外ドメイン(推定膜貫通ドメインの前(好ましくは、直前)で切断された)が
、ヒト免疫グロブリン(Ig)γ1のヒンジCH2ドメインおよびヒンジCH3ド
メインをコードするcDNAにインフレームで連結される、cDNA構築物を調
製する。この構築物を、COS細胞(例えば、pEDΔCまたはpMT2)につ
いての適切な発現ベクター中に生成する。このプラスミドを、COS細胞に一過
的にトランスフェクトする。分泌されたIL−13bc−Ig融合タンパク質を
、馴化培地中で収集し、そしてプロテインAクロマトグラフィーによって精製す
る。
【0074】
この精製IL−13bc−Ig融合タンパク質を使用して、多くの適用におい
て、IL−13結合を実証する。IL−13を酵素連結イムノソルベントアッセ
イ(ELISA)プレートの表面上にコートし得、次いで、さらなる結合部位を
、標準的なELISA緩衝液を使用してウシ血清アルブミンまたはカゼインでブ
ロックし得る。次いで、IL−13−bc−Ig融合タンパク質を、固相IL−
13に結合し、そして結合を、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合体化した二次
ヤギ抗ヒトIgで検出する。特異的に結合された酵素の活性を、比色基質(例え
ば、テトラメチルベンジジン)および吸光度の読み取りを用いて測定し得る。
【0075】
IL−13はまた、例えば、膜貫通ドメインまたはグルコシルホスファチジル
イノシトール(GPI)結合を提供することによって、細胞の表面上に発現させ
得る。膜結合IL−13を発現する細胞を、IL−13bc−Ig融合タンパク
質を使用して同定し得る。可溶性IL−13bc−Ig融合体は、これらの細胞
の表面に結合され、そして蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネー
ト)に結合体化したヤギ抗ヒトIgおよびフローサイトメトリーを用いて検出す
る。
【0076】
(相互作用捕捉)
酵母遺伝子選択方法「相互作用捕捉」[Gyurisら、Cell 75:7
91−803、1993]を使用して、IL−13bcタンパク質が、本明細書
中に定義されるようなIL−13bcの生物学的活性を有するか否かを決定し得
る。この系において、LexAop−Leu2およびLexAop−LacZの
両方からのレポーター遺伝子の発現は、ベイト(餌)タンパク質(例えば、この
場合において、ヒトIL−13bcと相互作用する種)とプレイ(捕食)(例え
ば、この場合において、ヒトIL−13bcタンパク質)との間の相互作用に依
存する。従って、Leu2発現またはLacZ発現のレベルによって相互作用の
強度を測定し得る。最も単純な方法は、LacZコードタンパク質であるβ−ガ
ラクトシダーゼの活性を測定することである。この活性は、X−galを含有す
る培地またはフィルター上の青色度によって判断され得る。β−ガラクトシダー
ゼ活性の定量測定について、標準的なアッセイは、「Methods in Y
east Genetics」Cold Spring Harbor,New
York、1990(Rose,M.D.,Winston,F.,およびH
ieter,P.による)に見出され得る。
【0077】
このような方法において、IL−13bcタンパク質が(例えば、IL−13
bcの細胞内ドメインにインビボで結合する細胞質タンパク質のような)特定の
種と相互作用するか否かを決定することを所望する場合、この種は、相互作用捕
捉における「ベイト」として、「プレイ」として機能する試験されるべきIL−
13bcタンパク質を用いるか、またはその逆で使用され得る。
【0078】
(実施例6)
(可溶性IL−13bcタンパク質を使用する喘息の処置)
アレルギー性喘息のよく特徴付けられたマウスモデルを使用する。このマウス
モデルにおいて、アレルゲン曝露は、気道応答性亢進(「AHR」)、肺好酸球
増加症、抗原特異的血清IgEレベルの上昇、および気道内皮粘膜含量の増加を
導く(3、11)。雄性A/Jマウスを、可溶性オボアルブミン(OVA)で腹
腔内免疫し、そして引き続き気管内でチャレンジし、そのアレルギー性表現型を
、抗原チャレンジ後4日目に評価した(13)。IL−13の遮断を、後の気管
内アレルゲンチャレンジの24時間前に、可溶性IL−13bc−IgGFc融
合タンパク質(sIL−13bc−Fc)(IL−13に特異的に結合し結合し
そしてそれを中和する)の全身投与によって行った(14)。アレルゲン免疫マ
ウスのチャレンジは、アセチルコリンに対する気道応答性の有意な増加を生じた
(15)(図2A)。IL−13の遮断は、このような樹立されたアレルゲン誘
導性AHRの完全な逆転を生じ;従って、IL−13は、このモデルにおけるA
HRの発現に必要である。アレルギー性喘息の表現型の完全な発生後の、IL−
13の消失がAHRを逆転する能力は、IL−4消失がこのような逆転を達成す
る能力がないことと対照する。アレルゲン誘導性AHRの逆転におけるIL−4
Rαの遮断の効果の根底にある機構は、IL−13−媒介性プロセスの阻害であ
り得、これは、Stat6活性化が、両方のサイトカインについてのIL−4R
α媒介性シグナル伝達の下流にあるという事実に一致する。IL−13は、おそ
らく、アレルゲン誘導性AHRを担う主要なCD4+T細胞誘導性因子である。
【0079】
AHRのIL−13依存性発現の根底をなす候補機構を評価するために、本発
明者らは、公知のアレルギー性エフェクターカスケードを特徴付けた。好酸球は
、喘息および喘息性AHRにおける主要なエフェクター細胞として関与している
(16)。しかし、抗原誘発を繰り返す前のIL−13の阻害は、アレルゲン誘
導性肺好酸球増加症に有意に影響しない(17)(図2B)。IgE媒介経路の
関連性を評価するために、本発明者らOVA特異的血清IgEを測定した(18
)。IgEのOVA特異的レベルを、OVA感作マウスおよびOVAチャレンジ
マウスにおいて観察したが、PBS免疫マウスおよびPBSチャレンジマウスに
おいては、抗原特異的抗体レベルは検出されなかった(図2C)。IL−13の
隔離は、OVA特異的IgEレベルを変更せず、その抑制の欠失は、IL−13
隔離が、最初の抗原プライミングおよび抗体形成後に生じるという事実に起因す
るであろう。にもかかわらず、これらの結果は、AHRが、このモデルにおける
IgE産生に依存しないことを示し、これは、アレルギー性AHRがIgE欠損
およびB細胞欠損マウスにおいて通常発生するという報告(19)と一致する。
【0080】
ヒト喘息の病理に一致して、マウスモデルにおけるアレルギー性喘息は、気道
上皮の粘膜含量の顕著な増加に関連する(5、11)。粘膜の過分泌は、急性喘
息性発作で死亡する患者の剖検標本に特に顕著である(20)。IL−13の遮
断は、気道における粘膜含有細胞のアレルギー誘導性の増加を逆転し(図3)、
これは、気道粘膜含量のアレルギー誘導性の増加が、IL−13に依存すること
を実証する。IL−4はまた、IL−4トランスジェニックマウスが、抗体感作
の非存在下で顕著な杯細胞過形成を示すように、このプロセスに関与する(5)
。しかし、IL4欠損マウスおよびコントロールマウスの両方に由来のTh2ク
ローンの、マウス気道への移入は、粘膜の過剰産生を誘導する(21)。このこ
とは、また、IL−4の免疫調節性の役割が、エフェクター分子としてのその役
割と綿密に区別されることを必要とすることを示唆する。
【0081】
未処置(免疫していない)マウスの気道への組換えIL−13(rIL−13
)の毎日の投与が、AHRを誘導し、これは、IL−13活性の増加が、AHR
を誘導するに十分であったことを実証する(図4A)(22)。AHRは、rI
L−13投与開始後72時間までに発症する。好酸球の気管支肺胞洗浄液への有
意な流入が、rIL−13投与後早期に観察されたが、肺好酸球は、AHRの発
現時点で観察されなかった(図4B)。好酸球流入の時間経過の重要性は不明な
ままであるが、これは、IL−13単独が、おそらく、ケモカイン発現を上方調
節するその能力によって、気道の好酸球浸潤を開始するのに十分であることを示
唆する。rIL−13の気道投与はまた、全血清IgE合成の時間依存性の増加
を生じ(図4C)(24)、これは、IL−13がIgE合成を調節する、以前
に報告された能力に一致する。血清IgEの増加は、アレルゲンでの任意の免疫
に非依存的であり、これは、ヒト喘息の表現型が、アレルゲン特異的よりもむし
ろ、全量の血清IgE濃度により良好に相関するという観察(26)との共鳴を
見出す。上記IL−13阻害研究から予測されるように、rIL−13の投与は
、気道粘膜産生の増加を誘導した(図4D)(27)。
【0082】
参考文献および注記
【0083】
【表4】
13. 6週齢雄性A/Jマウスを、The Jackson Laborat
ory(Bar Harbort,ME)から入手し、実験期間中、環境制御し
た特定病原体除去動物施設中で、層流フード下で飼育した(N=4〜10マウス
/実験群)。この研究は、動物の実験使用に関する、the Animal W
elfare Actおよびthe Department of Healt
h,Education and Welfare(N.I.H.)ガイドライ
ンによって概略される実験室動物研究についての原則に従って、本明細書に報告
した。マウスを、0.2mlPBS中の10μgのオボアルブミン(OVA;C
rudeグレードIV、Sigma;St.Louis,MO)またはPBS単
独の腹腔内注射によって免疫した。免疫後14日目に、マウスを、ケタミンおよ
びキシラジン(それぞれ、45mg/kgおよび8mg/kg)の混合物で麻酔
し、そして50μlのOVAの1.5%溶液またはコントロールとして等価量P
BSを気管内でチャレンジした。この最初の抗原チャレンジ後10日目に、マウ
スを、OVAまたはPBSのいずれかで再度、気管内でチャレンジした。そのア
レルギー性表現型の特徴付けを、第2の抗原チャレンジ後96時間で行った。
14.ヒトIL−13bcを上記のようにクローン化した。マウスホモログの可
溶性発現のために、ヒトIgG1のヒンジCH2/CH3領域とインフレームで
融合させた、マウスsIL−13bc細胞外ドメイン(先の実施例で記載される
ような)をコードするDNAを含むpED発現ベクターを、HCO細胞にトラン
スフェクトした[D.D.Donaldsonら、J.Immunol.161
,2317(1998)]。sIL−13bc−Fcを、rProtein A
−Sepharose[J.F.Urbanら、Immunity 8、255
(1998)]で精製した。B9増殖アッセイにおいて3ng/mlのマウスI
L−13を中和する能力によって決定されるように、インビトロID50は、約1
0ng/mlであった。ヒトIgG(sIL−13bc−Fcのコントロールと
して使用した)を、ヒト免疫グロブリンの10%溶液(これは、静脈内投与のた
めに市販されている(Miles)(同書))からrProtein A−Se
pharoseクロマトグラフィーによって同様に精製した。マウスに、sIL
−13bc−Fc(400μg)または等量のコントロールHu−IgGを、腹
腔内注射によって、二次抗原チャレンジの−1日目、0日目、+1日目および+
3日目に与えた。
15.アセチルコリンの静脈内投与に対する気道応答性を、最後の気道内チャレ
ンジの3日後に測定した(11)。マウスを、ペントバルビタールナトリウム(
90mg/kg)で麻酔し、インキュベートし、定常の気道の一回換気量(0.
2ml)で120呼吸/分の速度で喚起し、そしてデカメトニウムブロミド(2
5mg/kg)で麻痺させた。安定な気道内圧の確立後、アセチルコリンを、静
脈内注射(50μg/kg)し、そして動的気道内圧を、5分間追跡した。
16.G.J.Gleich,J.All.Clin.Immunol.8,4
22(1990)。
17.気管支肺胞洗浄を、上記(11)のように行った。
18.腎臓を切除し、そしてプールした血液を、上記(11)のような抗体分析
のために収集した。血清を遠心分離で分離し、そして分析まで−80℃で保存し
た。血清OVA特異的IgEレベルを、サンドイッチELISAで測定した。サ
ンプルウェルを、PBS中の0.01%OVA溶液でコートし、PBS中の10
%FBSでブロックし、そしてPBS中の0.05% Tween−20で洗浄
した。血清サンプルを、PBS中の10%FBSで1:10および1:100に
希釈した。一晩のインキュベーション後、プレートを、PBS中の0.05%
Tween−20で洗浄し、そしてビオチン結合体化抗マウスIgE(Phar
Mingen,San Diego,CA)を添加した。洗浄後、10%FBS
/PBS中の0.0025mg/mlアビジンペルオキシダーゼ(Sigma)
を添加し、プレートを、ABTS(2,2’−アジノ−did[3−メチル−ベ
ンズチアゾンサルフェート])(KirkegaardおよびPerry)で発
色させた。プレートを、405nmで30分間読み取った。報告されたOD値は
、1:10希釈された血清サンプルの値である。なぜなら、この値は、10%F
BS/PBSで1:100希釈した血清サンプルのO.D.値と比較によるアッ
セイの飽和点以下であることがわかったからである。
【0084】
【表5】
22.ミツバチメルチンリーダーをコードするDNA[D.C.Tessier
,D.Y.Thomas,H.E.Khouri,F.Laliberte,T
.Vernet,Gene 2.177(1991)]およびそれに続く6個の
ヒスチジンタグを、エンテロキナーゼ切断部位によって、マウスIL−13の成
熟領域に対してGly21で融合し、そして哺乳動物発現ベクターpHTopに
構築した。H6−EKマウスIL−13タンパク質を、安定にトランスフェクト
されたCHO細胞から産生し、Ni−NTAクロマトグラフィーによって、SD
S−PAGEによって決定されるように、97%より高い純度に精製した。タン
パク質濃度を、280nmでの吸光度によって測定し、そしてエンドトキシン混
入は、Cape Cod Associates LALアッセイによって測定
されるように、30EU/mg未満であった。Ba/F3 IL−13R1増殖
アッセイによって決定されるように、H6−EKマウスIL−13のED50は、
1ng/mlであった。マウスrIL−13(50μlの総量中5μg)を、ケ
タミンおよびキシラジン(それぞれ、45mg/kgおよび8mg/kg)の混
合物で麻酔した未処置マウスに、気管内滴下によって毎日投与した。
23.M.Goebelerら、Immunol,91,450(1997)。
24.マウスIgE特異的ELISAを使用して、PharMingenから入
手したマウスIgEに対する補体抗体対(R35−72およびR35−92)を
製造業者の説明に従って用いて、血清中の総IgE免疫グロブリンレベルを定量
した。2連のサンプル(PBS中の10%FBSにおける1/10希釈)を、各
動物から試験した。サンプルのO.D.の読み取りを、既知濃度の組換えマウス
IgE(5〜2000pg/ml)で作製した標準曲線から得られた値を使用し
て、pg/mlに変換し、そして最終濃度を、希釈係数によって乗算することに
よって得た。
25.C.L.Emson,S.E.Bell,A.Jones、W.Wisd
en,A.N.J.Mckenzie,J.Exp.Med,188,399(
1998)。
26.L.R.Friedhoff,D.G.Marsh、Int.Arch.
All.Immunol.100,355(1993)。
27.rIL−13の気道上皮の粘膜細胞含量に対する効果を試験するために、
肺を切除し、10%ホルマリンに固定化した。次いで、これらを、70%エタノ
ール中で洗浄し、脱水し、グリコールメタクリレート中に包理し、10μM切片
に切断し、スライド上にマウントし、そしてヘマトキシリンおよびエオシンおよ
び過ヨウ素酸Schiffで染色した。4つの切片を、1動物あたりで試験しし
:肺の1切片あたり4つの領域をスコア付けした。切片を、1〜4のスケールで
スコア付けし、1は、粘膜細胞含量がないことを表す。
【0085】
【表6】
本明細書中に引用される全ての特許および学術文献は、完全に示されるように
参考として援用される。
【0086】
(配列表)
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2010−263889(P2010−263889A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97430(P2010−97430)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【分割の表示】特願2000−588352(P2000−588352)の分割
【原出願日】平成11年12月13日(1999.12.13)
【出願人】(501418214)ジェネティクス インスティテュート,エルエルシー (35)
【出願人】(501239206)ジョンズ ホプキンス ユニバーシティー (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【分割の表示】特願2000−588352(P2000−588352)の分割
【原出願日】平成11年12月13日(1999.12.13)
【出願人】(501418214)ジェネティクス インスティテュート,エルエルシー (35)
【出願人】(501239206)ジョンズ ホプキンス ユニバーシティー (2)
【Fターム(参考)】
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