説明

サイトカイン受容体ファミリーのメンバーであるMU−1

【課題】哺乳動物サイトカイン受容体ファミリーの蛋白の新たなメンバーMU−1ヘマトポイエチン受容体の提供。
【解決手段】スーパーファミリー鎖をコードするポリヌクレオチドおよびそのフラグメント。MU−1蛋白およびその製造方法。該タンパク質と特異的に反応する抗体。治療における使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、哺乳動物サイトカイン受容体ファミリーの蛋白の新たなメンバー(ヒトおよびネズミの受容体蛋白に限らない)、そのフラグメントおよび組み換えポリヌクレオチドならびにかかる蛋白の発現に有用な細胞に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ヘマトポイエチンとして知られる種々の調節分子が同定されており、それらは造血細胞または血液細胞の種々の集団の発達および増殖に関与している。大部分のヘマトポイエチンは、標的細胞表面の受容体との相互作用により、特定の生物学的活性を示す。通常には、サイトカイン受容体は1、2または3本の鎖からなっている。多くのサイトカイン受容体およびIL−12 p40のごときいくつかのサイトカインは蛋白のなかでもヘマトポイエチン受容体スーパーファミリーのメンバーである。ヘマトポイエチン受容体スーパーファミリーの新たなメンバーの同定は、造血の調製、免疫応答の調節ならびにサイトカインおよび受容体を包含するヘマトポイエチンスーパーファミリーの他のメンバーの同定において有用でありうる。
これまで不明であったヘマトポイエチン受容体スーパーファミリーのメンバーのDNAおよび蛋白配列を同定し決定することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明によれば、MU−1ヘマトポイエチン受容体スーパーファミリーの鎖をコードするポリヌクレオチドが開示され、それはネズミおよびヒト由来のものを包含するが、これらに限らない。
特定の具体例において、本発明は、
(a)配列番号:1のヌクレオチド配列;
(b)配列番号:1のヌクレオチド238からヌクレオチド1852までのヌクレオチド配列;
(c)配列番号:1のヌクレオチド301からヌクレオチド1852までのヌクレオチド配列;
(d)配列番号:1のヌクレオチド301からヌクレオチド945までのヌクレオチド配列;
(e)遺伝学的コードの縮重の結果として(a)〜(d)のいずれかに示すヌクレオチドとは配列が異なっているヌクレオチド配列;
(f)厳密な条件下で(a)〜(d)のいずれかに示すヌクレオチドに対してハイブリダイゼーションしうるヌクレオチド配列;
(g)配列番号:2の配列の種相同体をコードするヌクレオチド配列;および
(h)(a)〜(d)のいずれかに示すヌクレオチド配列の対立遺伝子変種
からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドを提供する。
好ましくは、ヌクレオチド配列は、MU−1ヘマトポイエチン受容体スーパーファミリー鎖の生物学的活性を有する蛋白をコードする。ヌクレオチド配列は発現制御配列に作動可能に連結されていてもよい。
また本発明は、
(a)配列番号:2のアミノ酸配列;
(b)配列番号:2のアミノ酸22から538までのアミノ酸配列;
(c)配列番号:2のアミノ酸22から236までのアミノ酸配列;
(d)配列番号:2のアミノ酸1から236までのアミノ酸配列;および
(e)MU−1ヘマトポイエチン受容体スーパーファミリー鎖の生物学的活性を有する(a)〜(d)のフラグメント
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むペプチドまたは蛋白をコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドを提供する。
該ポリヌクレオチドで形質転換された宿主細胞、好ましくは哺乳動物細胞も提供される。
【0004】
他の具体例において、本発明は、MU−1蛋白の製造方法を提供する。該方法は、
(a)適当な培地で本発明宿主細胞の培養物を増殖させ、ついで
(b)培養物からヒトMU−1蛋白を精製する
ことを含む。
また本発明は、
(a)配列番号:2のアミノ酸配列;
(b)配列番号:2のアミノ酸22から538までのアミノ酸配列;
(c)配列番号:2のアミノ酸22から236までのアミノ酸配列;
(d)配列番号:2のアミノ酸1から236までのアミノ酸配列;および
(e)MU−1ヘマトポイエチン受容体スーパーファミリー鎖の生物学的活性を有する(a)〜(d)のフラグメント
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む単離MU−1蛋白を提供する。
他の好ましい具体例において、特定のアミノ酸配列は融合蛋白(さらなるアミノ酸配列がMU−1由来でないもの)の一部である。好ましい融合蛋白は、Fcフラグメントのごとき抗体フラグメントを含んでいる。
本発明蛋白および医薬上許容される担体を含む医薬組成物も提供される。
さらに本発明は、本発明蛋白と特異的に反応する抗体を含む組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
好ましい具体例の詳細な説明
本発明者らは、MU−1ヘマトポイエチン受容体スーパーファミリー鎖(以下、「MU−1」または「MU−1蛋白」という)をコードするポリヌクレオチド(ネズミおよびヒトのMU−1をコードするポリヌクレオチドを包含するが、これらに限らない)を初めて同定し、これを提供した。
ヒトIL−5受容体(LMTNAFISIIDDLSKYDVQVRAAVSSMCREAGLWSEWSQPIYVGNDEHKPLREWFVIVIMATICFILLIL、配列番号:1)の70個のアミノ酸からなる領域を用い、TBLASTNアルゴリズムを用いてGenBank ESTデータベースを検索した。ヒト染色体16p12由来のゲノムBACクローンAC002303中の配列がこの領域に対して相同性があると同定され、これが新規ヘマトポイエチン受容体をコードしている可能性が示唆された。ヌクレオチド40886の1000bp以内の読み枠を調べたところ、GenPeptのBLASTP検索を用いてサイトカイン受容体ファミリーのメンバーが特別に同定された。この読み枠の末端に存在する停止コドンは、エキソン/イントロン境界にまたがるトランジションを示すものと解釈された。
ついで、染色体16p12由来のこのBACクローン中に含まれる遺伝子からRNAが転写されるかどうかを調べた。サイトカイン受容体ファミリー内で保存されたペプチド配列を含む最大のORFセグメントに基づいてPCRプライマーを合成した。プライマー
GAGTCCGAGGAGAAAGCTGATCTCA(5p)(配列番号:4)
および
GAAAGATGACCGGGTCACTCCATT(3p)(配列番号:5)
をPCRに使用して、種々のヒト組織由来のファージライブラリー(Clontech)をスクリーニングした。32P標識されたオリゴヌクレオチド
ACTCGAGCTATGAGCTGCAGGTGCGGGCA(配列番号:6)
に特異的にハイブリダイゼーションする、期待された164bpのサイズのPCR生成物が肺、腎臓、胎盤および心臓由来のファージにおいて観察された。オリゴヌクレオチド
ACTCGAGCTATGAGCTGCAGGTGCGGGCA(配列番号:7)
を用いて、全長cDNAクローンNN14−1b(MU−1)を同定、精製し、配列決定した。DNA配列および推定アミノ酸配列をそれぞれ配列番号:1および配列番号:2に示す。その読み枠はヘマトポイエチン受容体ファミリーの新規メンバーをコードする。その配列は、当該ファミリーに特徴的なリーダー配列、保存されたシステインペアー、PP、およびWSXWS(配列番号:8)モチーフならびに膜貫通ドメインおよび伸長した細胞質ドメインを有する。ついで、GenPeptを用いてこの配列をFASTA並置比較したところ、ヒトIL−2Rbに関して最大の相同性が示された。当該受容体鎖の推定アミノ酸配列はアミノ酸1〜21の推定シグナル配列を含む。成熟MU−1は配列番号:2のアミノ酸24〜538の配列を有すると考えられる。膜貫通ドメインはアミノ酸237〜254において見られる。
MU−1 cDNAは1998年3月10日にAmerican type Culture Collectionに寄託され、受託番号ATCC を付与された。
【0006】
全長未満のいずいれの形態のMU−1蛋白であっても本発明に包含され、全長形態および成熟形態とともにまとめて「MU−1」または「MU−1蛋白」と称される。全長MU−1蛋白をコードするポリヌクレオチド(配列番号:4または配列番号:6)の対応フラグメントを発現させることにより、全長未満のMU−1蛋白を製造してもよい。これらの対応ポリヌクレオチドフラグメントも本発明に包含される。適当な望ましい欠失変異体の構築、部位特異的突然変異法を包含する標準的な分子生物学的手法により、あるいは適当なオリゴヌクレオチドプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応により、上記の修飾ポリヌクレオチドを製造してもよい。
本発明の目的からすれば、対応成熟MU−1蛋白の1またはそれ以上の生物学的活性を有する場合には、蛋白は「MU−1ヘマトポイエチン受容体スーパーファミリー鎖の生物学的活性」を有するものである。
MU−1またはその活性フラグメント(MU−1蛋白)を免疫グロブリンのごときキャリア分子に融合させてもよい。例えば、可溶性形態のMU−1を、「リンカー」配列を介して免疫グロブリンのFc部分に融合させてもよい。GST、Lex−AまたはMBPとの融合蛋白のごとき他の融合蛋白を用いてもよい。
また本発明は、配列番号:1に示すヌクレオチド配列の対立遺伝子変種、すなわち配列番号:4または配列番号:6の単離ポリヌクレオチドの天然に存在する別形態(やはりMU−1蛋白をコードしており、好ましくはMU−1の生物学的活性を有する蛋白をコードしているもの)も包含する。また、非常にストリンジェントな条件下(例えば、65℃において0.1xSSC)で配列番号:1に示すヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする単離ポリヌクレオチドも本発明に包含される。MU−1蛋白をコードしているが、遺伝学的コードの縮重により配列番号:1に示すヌクレオチド配列とは異なっている単離ポリヌクレオチドも本発明に包含される。点突然変異または誘導された修飾により生じる、配列番号:1に示すヌクレオチド配列におけるバリエーションも本発明に包含される。
また本発明は、他の動物種、特に、他の哺乳動物種由来の、ネズミまたはヒトのMU−1に対する相同体をコードするポリヌクレオチドを提供する。本明細書開示のネズミまたはヒトの配列由来のプローブまたはプライマーを作成し、例えば適切な種のPBMC、胸腺または精巣から構築されたライブラリーのような適当なライブラリーをスクリーニングすることにより種相同体を同定することができる。
【0007】
本発明単離ポリヌクレオチドを、Kaufman et al., Nucleic Acids Res. 19, 4485-4490 (1991)に開示されたpMT2またはpEDベクターのごとき発現制御配列に作動可能に連結して、MU−1蛋白を組み換え生産してもよい。多くの適当な発現制御配列が当該分野において知られている。組み換え蛋白発現のための一般的方法も知られており、R. Kaufman, Methods in Enzymology 185, 537-566 (1990)において説明されている。本明細書にいう「作動可能に連結」とは、連結されたポリヌクレオチド/発現制御配列で形質転換(トランスフェクション)された宿主細胞によりMU−1蛋白が発現されるように酵素的または化学的に連結されて本発明単離ポリヌクレオチドと発現制御配列との間に共有結合が形成されていることを意味する。
多くの細胞は蛋白の発現に適した宿主細胞として作用しうる。哺乳動物の宿主細胞は、例えば、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト腎臓293細胞、ヒト表皮A431細胞、ヒトColo205細胞、3T3細胞、CV−1細胞、他の形質転換された霊長類細胞系、正常2倍体細胞、1次組織のインビトロ培養から由来の細胞株、1次外植片、HeLa細胞、マウスL細胞、BHK、HL−60、U937、HaK、Rat2、BaF3、32D、FDCP−1、PC123、M1xまたはC2C12細胞を包含する。
【0008】
MU−1蛋白を1種またはそれ以上の昆虫発現ベクター中の適当な制御配列に作動可能に連結し、昆虫発現系を用いることにより蛋白を得てもよい。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系のための材料および方法は、例えばInvitrogen, San Diego, California, USAからのキット形態(MaxBacRキット)で市販されており、かかる方法は当該分野においてよく知られており、SummersおよびSmith, Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No. 1555 (1987)(参照により本明細書に記載されているものとみなす)に記載のようなものがある。上記の適当な単離ポリヌクレオチドを用いて、可溶性形態のMU−1蛋白を昆虫細胞において製造してもよい。
別法として、酵母のごとき下等真核細胞または細菌のごとき原核細胞において蛋白を製造することも可能である。潜在的に適当な酵母株は、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces株、Candida、または異種蛋白の発現能を有する酵母株を包含する。潜在的に適当な細菌株は、Escherichia coli、Bacillus subtilis、Salmonella typhimurium、または異種蛋白の発現能を有する細菌株を包含する。
細菌における発現は、組み換え蛋白を含有する封入体を生じるかもしれない。よって、活性物質またはより活性のある物質を得るためには組み換え蛋白の再生が必要であるかもしれない。細菌封入体から正しく折り畳まれた異種蛋白を得るための方法は当該分野において知られている。一般的には、これらの方法は、封入体から得た蛋白の可溶化、ついで、カオトロピック剤を用いる蛋白の完全変性を包含する。システイン残基が蛋白の1次アミノ酸配列中に存在する場合、ジスルフィド結合を正しく形成させうる環境(酸化還元系)での再生がしばしば必要である。再生のための一般的方法は、Kohno, Meth. Enzym., 185: 187-195 (1990)に開示されている。EP 0433225および同時係属出願USSN08/163877には、他の適当な方法が記載されている。
MU−1蛋白をコードするポリヌクレオチド配列を含む体細胞または生殖細胞により特徴づけられるトランスジェニック動物の産生物として、例えば、トランスジェニックウシ、ヤギ、ブタまたはヒツジの乳の成分として本発明MU−1蛋白を発現させてもよい。
所望蛋白の発現に必要な培養条件において形質転換宿主細胞培養物を増殖させることにより本発明MU−1蛋白を製造してもよい。ついで、得られた発現蛋白を培地または細胞抽出物から精製してもよい。可溶性形態の本発明MU−1蛋白をならし培地から精製することができる。全膜フラクションを発現細胞から得て、ついで、Triton X-100のごとき非イオン性界面活性剤で膜を抽出することにより、膜結合形態の本発明MU−1蛋白を精製することができる。
【0009】
当該分野において知られた方法を用いてMU−1蛋白を精製することができる。例えば、市販蛋白濃縮フィルター、例えばAmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを用いて本発明MU−1蛋白を濃縮することができる。濃縮工程後、ゲル濾過媒体のごとき精製マトリックスに濃縮物を適用することができる。別法として、アニオン交換樹脂、例えば、懸垂ジエチルアミノエチル(DEAE)またはポリエチレンイミン(PEI)基を有するマトリックスまたは基材を使用することができる。マトリックスはアクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロースまたは蛋白精製に通常使用される他のタイプのものであってよい。別法として、カチオン交換工程を用いてもよい。適当なカチオン交換体は、スルホプロピルまたはカルボキシメチルを含有する種々の不溶性マトリックスを包含する。スルホプロピル基(例えば、S−セファロースRカラム)が好ましい。培養上清からのMU−1蛋白の精製は、コンカナバリンA−アガロース、ヘパリン−トヨパールまたはチバクロムブルー3GAセファロースのごときアフィニティー樹脂による1またはそれ以上のカラム工程、あるいはフェニルエーテル、ブチルエーテル、またはプロピルエーテルのごとき樹脂を用いる疎水性相互作用クロマトグラフィー、あるいは免疫アフィニティークロマトグラフィーを包含してもよい。最後に、疎水性逆相高品質液体クロマトグラフィー媒体、例えば懸垂メチルまたは他の脂肪族基を有するシリカゲルを用いる1またはそれ以上の逆相高品質液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)工程を用いてMU−1蛋白をさらに精製することもできる。既知方法に従って、MU−1蛋白に対する抗体を含有するアフィニティーカラムを精製に使用してもよい。上記精製工程のいくつかまたは全部を、種々組み合わせて、あるいは他の既知方法と組み合わせて使用して、実質的に精製された単離組み換え蛋白を得ることもできる。好ましくは、他の哺乳動物蛋白を実質的に含まないように単離MU−1蛋白を精製する。
本発明MU−1蛋白を用いて、MU−1に結合しうる作用剤をスクリーニングしてもよい。固定化された、あるいはされていない所望結合蛋白を用いる結合アッセイは当該分野においてよく知られており、本発明MU−1蛋白を用いて、この目的に利用できる。精製細胞によるスクリーニングアッセイまたは精製蛋白による(無細胞)スクリーニングアッセイを用いてかかる作用剤を同定してもよい。例えば、MU−1蛋白を精製形態として担体に固定化し、精製MU−1蛋白に対する結合または有効リガンドを測定してもよい。
医薬上許容される担体と混合される場合、細胞由来の精製MU−1蛋白または組み換え生産された精製MU−1蛋白を医薬組成物として使用してもよい。かかる組成物は、(MU−1または阻害剤ならびに担体のほかに)希釈剤、充填剤、塩類、バッファー、安定化剤、可溶化剤、および当該分野でよく知られた他の物質を含有していてもよい。用語「医薬上許容される」は、有効成分の生物学的活性の有効性を妨害しない無毒の物質を意味する。担体の特性は投与経路に依存する。
【0010】
本発明医薬組成物は、M−CSF、GM−CSF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、G−CSF、幹細胞因子、およびエリスロポイエチンのごときサイトカイン、リンホカイン、または他の造血因子を含有していてもよい。医薬組成物はさらに抗サイトカイン抗体を含有していてもよい。医薬組成物は、プラスミノーゲンアクチベーターおよびファクターVIIIのごとき血栓溶解または抗血栓因子を含有していてもよい。さらに医薬組成物は他の抗炎症剤を含有していてもよい。かかるさらなる因子および/または作用剤を医薬組成物に含有させて、単離MU−1蛋白との相乗作用を発揮させ、あるいは単離MU−1蛋白により引き起こされる副作用を最小にしてもよい。逆に、特定のサイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、血栓溶解因子または抗血栓因子、または抗炎症剤の処方に単離MU−1蛋白を含有させて、サイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、血栓溶解因子または抗血栓因子、または抗炎症剤の副作用を最小化させてもよい。
本発明医薬組成物はリポソーム形態であってもよく、その中で単離MU−1はさらに他の医薬上許容される担体、脂質のごとき両親媒性作用剤(水溶液中でミセルのような凝集体形態、不溶性単層、液状結晶またはラメラ層として存在)と混合されている。リポソーム処方に適する脂質は、モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチジド、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸等を包含するが、これらに限らない。かかるリポソーム処方の製造は当業者のレベルの範囲内であり、例えば、米国特許第4235871、4501728、4837028、および4737323号(参照によりそれらすべてを本明細書に記載されているものとみなす)に記載されたようなものである。
【0011】
本明細書の用語「治療上有効量」とは、有意な患者の利益、例えば、かかる症状の徴候の改善、治癒、治癒速度の増大を示すに十分な医薬組成物または方法の各有効成分の合計量を意味する。単独で投与される個々の有効成分について用いる場合、該用語は当該成分のみをいう。有効成分の組み合わせに用いる場合、逐次投与あるいは同時投与にかかわらず治療効果を生じる有効成分量の合計量をいう。
本発明の治療方法または使用の実施において、治療上有効量の単離MU−1蛋白を哺乳動物に投与する。本発明方法に従って、単独またはサイトカイン、リンホカインもしくは他の造血因子のごとき他の治療薬とともに単離MU−1蛋白を投与してもよい。1種またはそれ以上のサイトカイン、リンホカインまたは他の造血因子と共投与する場合、MU−1蛋白をサイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、血栓溶解因子もしくは抗血栓因子と同時または逐次投与してもよい。逐次投与する場合、担当医師は、サイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、血栓溶解因子もしくは抗血栓因子との組み合わせにおけるMU−1蛋白の適切な投与順序を決定するであろう。
本発明医薬組成物中または本発明の実施に用いるMU−1蛋白の投与を種々の慣用的方法、例えば、経口的摂食、吸入、または皮内、皮下、または静脈注射で行うことができる。患者への静脈注射が好ましい。
治療上有効量のMU−1蛋白を経口投与する場合、MU−1蛋白は錠剤、カプセル、粉末、溶液またはエリキシルの形態であろう。錠剤形態で投与する場合、本発明医薬組成物はゼラチンのごとき固体担体またはアジュバントをさらに含有していてもよい。錠剤、カプセル、および粉末は、約5ないし95%のMU−1蛋白、好ましくは約25ないし90%のMU−1蛋白を含有する。液体形態で投与する場合、水、ペトロレウム、動物または植物起源の油脂、例えばピーナッツ油、鉱油、大豆油、またはゴマ油、または合成油脂を添加してもよい。液体形態の医薬組成物は、生理食塩溶液、デキストロースまたは他の糖類溶液、またはグリコール類(例えばエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール)をさらに含有していてもよい。液体形態で投与する場合、医薬組成物は、約0.5ないし90重量%のMU−1蛋白、好ましくは約1ないし50%のMU−1蛋白を含有する。
治療上有効量のMU−1蛋白を静脈、皮内または皮下注射により投与する場合、MU−1蛋白はパイロジェン不含で、非経口的に許容される水溶液の形態であろう。適切なpH、等張性、安定性を有するかかる非経口的に許容される蛋白溶液の調製は、当業者の範囲内である。静脈、皮内、または皮下注射用の好ましい医薬組成物は、MU−1蛋白のほかに、注射用塩化ナトリウム、リンゲル溶液、注射用デキストロース、注射用デキストロースおよび塩化ナトリウム溶液、注射用乳酸含有リンゲル溶液、または当該分野で知られている他の担体を含有すべきである。本発明医薬組成物は、安定化剤、保存料、バッファー、抗酸化剤、または当業者に知られた他の添加物を含んでいてもよい。
【0012】
本発明医薬組成物中のMU−1蛋白の量は、治療すべき症状の性質および重さ、ならびに患者がすでに受けていた治療の性質による。最終的には、担当医師が、各患者を治療すべきMU−1蛋白量を決定するであろう。まず、担当医師は、低用量のMU−1蛋白を投与し、患者の応答を観察する。最適治療効果が得られるまで、より高用量のMU−1蛋白を投与してもよく、最適治療効果が得られた時点で用量をさらに増加させない。本発明方法を実施するための種々の医薬組成物は、体重1kgあたり約0.1μgないし約100mgのMU−1蛋白を含有すべきである。
本発明組成物を用いる静脈投与による治療の期間は、治療すべき疾病の重さならびに各患者の状態および固有の応答により変化させられるであろう。MU−1蛋白の各適用期間は、連続静脈投与の場合には12ないし24時間の範囲であると考えられる。最終的には、担当医師が、本発明医薬組成物を用いる静脈投与による治療の期間を決定するであろう。
本発明ポリヌクレオチドおよび蛋白は、下記の1またはそれ以上の用途または生物学的活性(本明細書に引用されたアッセイに関連するものも含む)を示すと考えられる。本発明蛋白に関して説明された用途または活性は、かかる蛋白の投与または使用により、あるいはかかる蛋白をコードしているポリヌクレオチドの投与または使用(例えば、遺伝子治療においてまたはDNA導入に適したベクターに入れて)により提供されうる。
【実施例】
【0013】
サイトカインおよび細胞増殖/分化活性
本発明蛋白はサイトカイン活性、細胞増殖活性(誘導もしくは阻害)または細胞分化活性(誘導もしくは阻害)を示しうるか、またはある種の細胞集団において他のサイトカインの産生を誘導しうる。今日まで見いだされてきた多くの蛋白性因子(すべての既知サイトカインを包含)は、1またはそれ以上の因子依存的細胞増殖アッセイにおいて活性を示しており、よって、アッセイはサイトカイン活性の便利な確認法として役立つ。本発明蛋白の活性は、細胞系(32D、DA2、DA1G、T10、B9、B9/11、BaF3、MC9/G、M+(preB M+)、2E8、RB5、DA1、123、T1165、HT2、CTLL2、TF−1、Mo7eおよびCMKを包含するが、これらに限らない)のための多くの常套的な因子依存的細胞増殖アッセイのいずれかにより確認される。
本発明蛋白の活性を、とりわけ、下記方法により測定してもよい:
T細胞または胸腺細胞の増殖についてのアッセイは、Current Protocols in Immunology, Ed by J. E. Coligan, A.M. Kruisbeek, D.H. Margulies, E.M. Shevach, W Strober, Pub. Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience (Chapter 3, In Vitro assays for Mouse Lymphocyte Function 3.1-3.19; Chapter 7, Immunologic studies in Humans); Takai et al., J. Immunol. 137: 3494-3500, 1986; Bertagnolli et al., J. Immunol. 145: 1706-1712, 1990; Bertagnolli et al., Cellular Immunology 133: 327-341, 1991; Bertagnolli, et al., J. Immunol. 149: 3778-3783, 1992; Bowman et al., J. Immunol. 152: 1756-1761, 1994に記載されたものを包含するが、これらに限らない。
【0014】
脾臓細胞、リンパ節細胞または胸腺細胞のサイトカイン生成および/または増殖に関するアッセイは、Polyclonal T cell stimulation, Kruisbeek, A.M. and Shevach, E.M. In Current Protocols in Immunology. J.E.e.a. Coligan eds. Vol 1 pp. 3.12.1-3.12.14, John Wiley and Sons, Toronto. 1994; and Measurement of mouse and human Interferon γ, Schreiber, R.D. In Current Protocols in Immunology. J.E.e.a. Coligan eds. Vol 1 pp. 6.8.1-6.8.8, John Wiley and Sons, Toronto. 1994に記載されたものを包含するが、これらに限らない。
造血およびリンパ生成細胞の増殖および分化についてのアッセイは、Measurement of Human and Murine Interleukin 2 and Interleukin 4, Bottomly, K., Davis, L.S. and Lipsky, P.E. In Current Protocols in Immunology. J.E.e.a. Coligan eds. Vol 1 pp. 6.3.1-6.3.12, John Wiley and Sons, Toronto. 1991; deVries et al., J. Exp. Med. 173:1205-1211, 1991; Moreau et al., Nature 336: 690-692, 1988; Greenberger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80: 2931-2938, 1983; Measurement of mouse and human interleukin 6 - Nordan, R. In Current Protocols in Immunology. J.E.e.a. Coligan eds. Vol 1 pp. 6.6.1-6.6.5, John Wiley and Sons, Toronto. 1991; Smith et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 83: 1857-1861, 1986; Measurement of human Interleukin 11 - Bennett, F., Giannotti, J., Clark, S.C. and Turner, K. J. In Current Protocols in Immunology. J.E.e.a. Coligan eds. Vol 1 pp. 6.15.1 John Wiley and Sons, Toronto. 1991; Measurement of mouse and human Interleukin 9 - Ciarletta, A., Giannotti, J., Clark, S.C. and Turner, K.J. In Current Protocols in Immunology. J.E.e.a. Coligan eds. Vol 1 pp. 6.13.1, John Wiley and Sons, Toronto. 1991に記載されたものを包含するが、これらに限らない。
【0015】
抗原に対するT細胞クローンの応答についてのアッセイ(特に、増殖およびサイトカイン産生を測定することによりAPC−T細胞相互作用ならびに直接的なT細胞の効果を同定する)は、Current Protocols in Immunology, Ed by J. E. Coligan, A.M. Kruisbeek, D.H. Margulies, E.M. Shevach, W Strober, Pub. Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience (Chapter 3, In Vitro assays for Mouse Lymphocyte Function; Chapter 6, Cytokines and their cellular receptors; Chapter 7, Immunologic studies in Humans); Weinberger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 6091-6095, 1980; Weinberger et al., Eur. J. Immun. 11: 405-411, 1981; Takai et al., J. Immunol. 137: 3494-3500, 1986; Takai et al., J. Immunol. 140: 508-512, 1988に記載されたものを包含するが、これらに限らない。
【0016】
免疫刺激または抑制活性
また本発明蛋白は、本明細書記載のアッセイにおける活性(これらに限らない)を包含する免疫刺激または免疫抑制活性を示すものであってもよい。蛋白は、種々の欠乏症および障害(重症の免疫欠乏合併症(SCID)を包含)において有用である可能性があり、例えば、Tおよび/またはBリンパ球の増殖をアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションすることにおいて、ならびにNK細胞および他の細胞集団の細胞溶解活性を有効ならしめることにおいて有用でありうる。これらの免疫欠乏症は遺伝的なものであってもよく、またウイルス(例えば、HIV)ならびに細菌または真菌感染により引き起こされるものであってもよく、あるいは自己免疫疾患により引き起こされるものであってもよい。より詳細には、ウイルス、細菌、真菌または他の感染物質により引き起こされる感染性疾患、例えば、HIV、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、ミコバクテリア、レシュマニア、マラリアおよびカンジダ種のごとき種々の真菌感染症を、本発明蛋白を用いて治療可能である。もちろん、この点において、免疫系に対するブーストが指示される場合、すなわち、癌の治療において、本発明蛋白を用いてよい。
本発明蛋白を用いて治療してもよい自己免疫疾患は、例えば、多発性硬化症、全身性の深在性エリトマーデス、リューマチ性関節炎、自己免疫性肺炎、Guillain-Barre症候群、自己免疫性甲状腺炎、インスリン依存性糖尿病、重症筋無力症、対宿主移植片疾患および自己免疫性の炎症性の目の疾患を包含する。本発明のかかる蛋白を、喘息または他の呼吸器系の疾患のごときアレルギー性反応および症状の治療に用いてもよい。免疫抑制が望まれる他の症状(例えば、喘息(特にアレルギー性喘息)および関連呼吸器系の問題を包含)を本発明蛋白を用いて治療してもよい。免疫抑制が望まれる他の状態(例えば、器官移植を包含)を、本発明蛋白を用いて治療してもよい。
さらにMU−1 DNAは染色体のクローン病に遺伝子座に位置する。その結果、本発明蛋白を用いてクローン病および他の炎症性腸疾患を治療することができる。
【0017】
本発明蛋白を用いて、多くのやり方で免疫応答を可能にすることもできる。ダウンレギュレーションは、すでに進行中の免疫応答を阻害またはブロックする形態のものであってもよく、あるいは免疫応答の誘導を妨害することを含むものであってもよい。T細胞応答を抑制することにより、あるいはT細胞中に特異的な耐性を誘導することにより、あるいはその両方により活性化T細胞の機能を阻害してもよい。一般的には、T細胞応答の免疫抑制は活性のある、非抗原特異的なプロセスであり、T細胞を抑制剤に連続的に曝露することを必要とする。耐性とは、T細胞における非応答性またはアネルギーを意味し、一般的には抗原特異的であり耐性化剤への曝露を止めた後も持続するという点で免疫抑制とは異なる。操作上は、耐性化剤の不存在下で特異的抗原に曝露した際のT細胞応答の欠如により耐性が示されうる。
1またはそれ以上の抗原機能(Bリンパ球抗原機能(例えばB7のごとき)を包含するが、これに限らない)をダウンレギュレーションすることまたは妨害すること、例えば、活性化T細胞による高レベルのリンホカイン合成の妨害は、組織、皮膚および器官の移植および対宿主移植片疾患(GVHD)において有用であろう。例えば、T細胞機能のブロックは組織移植における組織破壊を減少させるはずである。典型的には、組織移植において、移植片の拒絶反応は、組織片がT細胞により外来のものと認識されることにより開始され、次いで、移植片を破壊する免疫反応が起こる。免疫細胞上でのB7リンパ球抗原とその本来的なリガンドとの相互作用を阻害またはブロックする分子(別のBリンパ球抗原(例えば、B7−1、B7−3)の活性を有するモノマー形態のペプチドと混合された、あるいは単独の、B7−2活性を有する可溶性でモノマー形態のペプチド)の移植前の投与は、応答的な同時刺激シグナルを伝達することなく免疫細胞上の本来のリガンドへの分子の結合を誘導する可能性がある。この点においてBリンパ球抗原機能をブロックすることは、T細胞のごとき免疫細胞によるサイトカイン合成を妨害し、かくして、免疫抑制剤として作用する。そのうえ、同時刺激の欠如はT細胞の反応を失わせるのに十分でありうる。Bリンパ球抗原ブロッキング試薬による長期の耐性の誘導により、これらのブロッキング試薬の繰り返し投与の必要性が回避されうる。対象において十分な免疫抑制または耐性を達成するためには、Bリンパ球抗原の組み合わせの機能をブロックすることも必要かもしれない。
【0018】
器官移植拒絶反応またはGVHDを妨害することにおける個々のブロッキング試薬の有効性を、ヒトにおける有効性を推定しうる動物モデルを用いて評価することができる。使用可能な適当な系の例は、ラットにおける同種心臓移植片およびマウスにおける異種膵臓島細胞移植片を包含し、それらは両方ともインビボでのCTLA4Ig融合蛋白の免疫抑制効果を試験するために使用された(Lenschow et al., Science 257:789-792 (1992)およびTurka et al., Proc Natl. Acad. Sci. USA, 89: 11102-11105 (1992)に記載されている)。さらに、GVHDのネズミモデル(Paul ed., Fundamental Immunology, Ravan Press, New York, 1989, pp.846-847参照)を用いて、インビボでの当該疾患の進行に対するBリンパ球抗原機能のブロッキング効果を決定することができる。
また、抗原機能をブロックすることは自己免疫疾患の治療にとり治療的に有用でありうる。多くの自己免疫疾患は、自己組織に対して反応性があり、疾病の病理に関与するサイトカインおよび自己抗体の産生を促進するT細胞の不適当な活性化の結果である。自己反応性T細胞の活性化を妨害することは疾病の徴候を減少または除去しうる。Bリンパ球抗原の受容体:リガンド相互作用を破壊することによりT細胞の同時刺激をブロックする試薬の投与を用いてT細胞活性化を阻害し、疾病プロセスに関与しうる自己抗体またはT細胞由来のサイトカインの産生を妨害することができる。さらに、ブロッキング試薬は、疾病の長期の寛解を導く可能性のある自己反応性T細胞の抗原特異的耐性を誘導しうる。自己免疫疾患の予防または改善におけるブロッキング試薬の有効性を、ヒトの自己免疫疾患についての十分に特徴づけられた多くの動物モデルを用いて決定することができる。例は、ネズミの実験的自己免疫脳炎、MRLlpr/lprマウスまたはNZBハイブリッドマウスにおける全身性深在性エリトマトーデス、ネズミ自己免疫コラーゲン関節炎、NODマウスおよびBBラットにおける糖尿病、およびネズミの実験的重症筋無力症(Paul ed., Fundamental Immunology, Raven Press, New York, 1989, pp.840-856)を包含する。
免疫応答をアップレギュレーションするための手段としての抗原機能(好ましくは、Bリンパ球抗原機能)のアップレギュレーションは治療に有用でもある。免疫応答のアップレギュレーションは存在している免疫応答を促進する形態または最初の免疫応答を除去する形態であってよい。例えば、Bリンパ球抗原機能を刺激することによる免疫応答の促進は、ウイルス感染の場合に有用でありうる。さらに、インフルエンザ、通常のかぜ、および脳炎のごとき全身的なウイルス性疾患を、刺激性形態のBリンパ球抗原を全身投与することにより改善してもよい。
【0019】
別法として、T細胞を患者から取り、本発明ペプチドを発現するACPsを付加したウイルス抗原とともにインビトロにおいてT細胞を同時刺激するか、または刺激性形態の本発明可溶性ペプチドと一緒にし、次いで、インビトロで活性化されたT細胞を患者体内に再導入することにより、感染患者における抗ウイルス免疫応答を促進してもよい。抗ウイルス免疫応答を促進するもう1つの方法は、感染細胞を患者から取り、本明細書記載の本発明蛋白をコードする核酸をそれらにトランスフェクションして細胞がその表面に蛋白全体または一部を発現するようにし、次いで、トランスフェクション細胞を患者体内に再導入することであろう。すると、感染細胞はインビボにおいて同時刺激シグナルをT細胞に伝えることができ、そのことによりT細胞を活性化することができよう。
もう1つの適用例において、抗原機能(好ましくは、Bリンパ球抗原機能)のアップレギュレーションまたは促進は腫瘍免疫性の誘導において有用でありうる。本発明の少なくとも1種のペプチドをコードする核酸でトランスフェクションされた腫瘍細胞(例えば、肉腫、黒色腫、リンパ腫、白血病、神経芽細胞腫、癌腫)を対象に投与して対象中の腫瘍特異的耐性を克服することができる。所望ならば、腫瘍細胞をトランスフェクションしてペプチドの組み合わせを発現させることができる。例えば、患者から得た腫瘍細胞を、B7−2様活性を有するペプチドのみ、またはB7−1様活性および/またはB7−3様活性を有するペプチドと組み合わせて発現することを指令する発現ベクターで、エクスビボにおいてトランスフェクションすることができる。トランスフェクションされた腫瘍細胞を患者に戻して、トランスフェクションされた細胞の表面上にペプチドを発現させる。別法として、遺伝子治療法を用いてインビボでのトランスフェクションのために腫瘍細胞を標的化することができる。
腫瘍細胞表面上におけるBリンパ球抗原の活性を有する本発明ペプチドの存在は、T細胞に必要な同時刺激シグナルを提供して、T細胞により媒介されるトランスフェクションされた腫瘍細胞に対する免疫応答を誘導する。さらに、MHCクラスIまたはMHCクラスII分子を欠く腫瘍細胞、あるいは十分量のMHCクラスIまたはMHCクラスII分子を再発現できない腫瘍細胞を、MHCクラスIα鎖蛋白およびβマイクログロブリン蛋白またはMHCクラスIIα鎖およびMHCクラスIIβ鎖蛋白の全体または一部(例えば、末端切断蛋白の細胞質ドメイン)をコードしている核酸でトランスフェクションして、そのことによりクラスIまたはクラスIIMHC蛋白を細胞表面上に発現させることができる。Bリンパ球抗原(例えば、B7−1、B7−2、B7−3)の活性を有するペプチドと組み合わせた適当なクラスIまたはクラスII HMCの発現は、T細胞により媒介されるトランスフェクションされた腫瘍細胞に対する免疫応答を誘導する。所望により、不変鎖のごとき、MHCクラスII結合蛋白の発現をブロックするアンチセンス構築物をコードしている遺伝子を、Bリンパ球抗原の活性を有するペプチドをコードしているDNAとともに同時トランスフェクションして腫瘍関連抗原の提示を促進し、腫瘍特異的免疫性を誘導こともできる。よって、ヒト対象におけるT細胞により媒介される免疫応答の誘導は、対象における腫瘍特異的耐性を克服するに十分でありうる。
【0020】
本発明蛋白の活性を、特に、下記方法により測定してもよい:
胸腺細胞または脾臓細胞の細胞毒性に適したアッセイは、Current Protocols in Immunology, Ed by J. E. Coligan, A.M. Kruisbeek, D.H. Margulies, E.M. Shevach, W Strober, Pub. Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience (Chapter 3, In Vitro assays for Mouse Lymphocyte Function 3.1-3.19; Chapter 7, Immunologic studies in Humans); Herrmann et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78: 2488-2492, 1981; Herrmann et al., J. Immunol. 128: 1968-1974, 1982; Handa et al., J. Immunol. 135: 1564-1572, 1985; Takai et al., J. Immunol. 137: 3494-3500, 1986; Takai et al., J. Immunol. 140: 508-512, 1988; Herrmann et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78: 2488-2492, 1981; Herrmann et al., J. Immunol. 128: 1968-1974, 1982; Handa et al., J. Immunol. 135: 1564-1572, 1985; Takai et al., J. Immunol. 137: 3494-3500, 1986; Bowmanet al., J. Virology 61: 1992-1998; Takai et al., J. Immunol. 140: 508-512, 1988; Bertagnolli et al., Cellular Immunology 133: 327-341, 1991; Brown et al., J. Immunol. 153: 3079-3092, 1994に記載されたアッセイを包含するが、これらに限らない。
T細胞依存性免疫グロブリン応答およびイソタイプスイッチングのためのアッセイ(特に、T細胞依存性抗体応答を転調させ、Th1/Th2プロフィールに影響する蛋白を同定する)は、Maliazewski,J.Immunol.144: 3028-3033,1990に記載されているアッセイを包含するが、これに限らず、さらにB細胞の機能のアッセイは、In vitro antibody production,Mond,J.J.and Brunswick,M.In Current Protocols in Immunology J.E.Coligan eds.Val 1 pp.3.8.1-3.8.16,John Wiley and Sons,Tronto 1994に記載のアッセイを包含する。
【0021】
混合リンパ球反応(MLR)アッセイ(特に、主としてTh1およひCTL応答を発生させる蛋白を同定する)は、Current Protocols in Immunology, Ed by J. E. Coligan, A.M. Kruisbeek, D.H. Margulies, E.M. Shevach, W Strober, Pub. Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience (Chapter 3, In Vitro assays for Mouse Lymphocyte Function 3.1-3.19; Chapter 7, Immunologic studies in Humans); Takai et al., J. Immunol. 137: 3494-3500, 1986; Takai et al., J. Immunol. 140: 508-512, 1988; Bertagnolli et al., J. Immunol. 149: 3778-3783, 1992に記載されたアッセイを包含するが、これらに限らない。
樹枝状細胞依存的アッセイ(特に、無処理のT細胞を活性化する樹枝状細胞により発現される蛋白を同定する)は、Guery et al., J. Immunol. 134: 536-544, 1995; Inaba et al., Journal of Experimental Medicine 173: 549-559, 1991; Macatonia et al., Journal of Immunology 154: 5071-5079, 1995; Porgador et al., Journal of Experimental Medicine 182: 255-260, 1995; Nair et al., Journal of Virology 67: 4062-4069, 1993; Huang et al., Science 264: 961-965, 1994; Macatonia et al., Journal of Experimental Medicine 169: 1255-1264, 1989; Bhardwaj et al., Journal of Clinical Investigation 94: 797-807, 1994; and Inaba et al., Journal of Experimental Medicine 172: 631-640, 1990に記載されたアッセイを包含するが、これらに限らない。
リンパ球生存/アポトーシスのアッセイ(特に、超抗体誘導後のアポトーシスを防止する蛋白、ならびにリンパ球のホメオスタシスを調節する蛋白を同定する)は、Darzynkiewicz et al., Cytometry 13: 795-808, 1992; Gorczyca et al., Leukemia 7: 659-670, 1993; Gorczyca et al., Cancer Research 53: 1945-1951, 1993; Itoh et al., Cell 66: 233-243, 1991; Zacharchuk, Journal of Immunology 145: 4037-4045, 1990; Zamai et al., Cytometry 14: 891-897, 1993; Gorczyca et al., International Journal of Oncology 1: 639-648, 1992に記載のアッセイを包含するが、これらに限らない。
初期段階のT細胞のコミットメント(commitment)および発達のアッセイは、Antica et al.,Blood 84:111-117,1994;Fine et al.,Cellular Immunology 155:111-122,1994;Galy et al.,Blood 85:2770-2778,1995;Toki et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7548-7551,1991に記載のアッセイを包含するが、これらに限らない。
【0022】
造血調節活性
本発明蛋白は、造血の調節において有用であり、それゆえ、骨髄およびリンパ球欠乏症の治療において有用である。コロニー形成細胞または因子依存性細胞系を支持する最低限の生物学的活性でさえも、造血の調節への関与を示している。例えば、赤血球系前駆細胞のみの増殖を支持すること、あるいは他のサイトカインと組み合わされて、例えば種々の貧血の治療に有用性を示すこと、あるいは放射線療法/化学療法と組み合わされて赤芽前駆細胞および/または赤芽細胞の産生を刺激すること;顆粒球のごとき骨髄細胞および単球/マクロファージの増殖を支持すること(すなわち、伝統的なCSF活性)、例えば、化学療法と組み合わされて、引き続き起こる骨髄抑制を防止することに有用であり;巨核細胞の増殖、次いで、血小板の増殖を支持すること、またそれにより血小板減少症のごとき種々の血小板疾患を予防または治療することに有用であり、また一般的には血小板輸液の代わりにあるいはそれと相補的に使用され;さらに/あるいは造血幹細胞(成熟して上記のすべての造血細胞となり、それゆえ、種々の幹細胞疾患(通常には、移植により治療される疾患であり、例えば、再生不良性貧血および発作性ヘモグロビン尿症)において有用性がわかる)の増殖を支持することに有用であり、さらにはインビボまたはエクスビボでの放射線/化学療法後(すなわち、骨髄移植と組み合わされる)、あるいは遺伝子治療のために遺伝子操作された後の幹細胞コンパートメントの正常細胞としての再増殖においても有用である。
本発明蛋白の活性を、特に、下記方法測定してもよい。
種々の造血細胞系の増殖および分化に適したアッセイはすでに引用されている。
胚の幹細胞の分化のアッセイ(特に、胚の分化造血に影響する蛋白を同定する)は、Johansson et al.Cellular Biology 15:141-151,1995;Keller et al.,Molecular and Cellular Biology 13:473-486,1993;McClanahan et al.,Blood81:2903-2915,1993に記載のアッセイを包含するが、これらに限らない。
【0023】
幹細胞生存および分化のアッセイ(特に、リンパ−造血を調節する蛋白を同定する)は、Methylcellulose colony forming assays, Freshney, M.G. In Culture of Hematopoietic Cells. R.I. Freshney, et al. eds. Vol pp. 265-268, Wiley-Liss, Inc., New York, NY. 1994; Hirayama et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 5907-5911, 1992; Primitive hematopoietic colony forming cells with high proliferative potential, McNiece, I.K. and Briddell, R.A. In Culture of Hematopoietic Cells. R.I. Freshney, et al. eds. Vol pp. 23-39, Wiley-Liss, Inc., New York, NY. 1994; Neben et al., Experimental Hematology 22:353-359, 1994; Cobblestone area forming cell assay, Ploemacher, R.E. In Culture of Hematopoietic Cells. R.I. Freshney, et al. eds. Vol pp. 1-21, Wiley-Liss, Inc.., New York, NY. 1994; Long term bone marrow cultures in the presence of stromal cells, Spooncer, E., Dexter, M. and Allen, T. In Culture of Hematopoietic Cells. R.I. Freshney, et al. eds. Vol pp. 163-179, Wiley-Liss, Inc., New York, NY. 1994; Long term culture initiating cell assay, Sutherland, H.J. In Culture of Hematopoietic Cells. R.I. Freshney, et al. eds. Vol pp. 139-162, Wiley-Liss, Inc., New York, NY. 1994に記載されたアッセイを包含するが、これらに限らない。
【0024】
研究用途および有用性
本発明により提供されるポリヌクレオチドは、研究集団によって種々の目的に使用されうる。分析用に、特徴づけまたは治療用途に、対応蛋白が優先的に発現される(構成的に、または組織分化もしくは発達の特定段階において、または疾病状態において発現される)組織のマーカーとして、さらにはサザンゲルの分子量マーカーとして、染色体の同定または関連遺伝子位置のマッピングのための染色体マーカーまたはタグとして(標識された場合)、患者の内在性DNAと比較して潜在的な遺伝病の同定を行うために、ハイブリダイゼーションするプローブとして用いて新規な関連DNA配列を発見するために、遺伝学的フィンガープリンティングのためのPCRプライマーを得るための情報源として、他の新規ポリヌクレオチドを発見するプロセスにおいて既知配列を「差し引く」ためのプローブとして、「遺伝子チップ」または他の支持体に結合させるためにオリゴマーを選択し作成するために、発現パターンの試験のために、DNA免疫法を用いて抗蛋白抗体を生成させるために、ならびに抗DNA抗体を生成させ、あるいはさらなる免疫応答を誘導するための抗原として、ポリヌクレオチドを使用することができる。別の蛋白に結合または潜在的に結合(例えば、受容体−リガンド相互作用におけるように)する蛋白をコードしている場合、結合する他の蛋白を同定し、あるいは、または結合相互作用の阻害剤を同定するための相互作用トラップアッセイ(例えば、Gyuris et al., Cell 75: 791-803 (1993)に記載されたような)においてポリヌクレオチドを使用することができる。
【0025】
本発明により提供される蛋白は、高処理量スクリーニングのための一群の多数の蛋白を含む、生物学的活性を決定するためのアッセイに;抗体の生成または他の免疫応答を誘導するために;生物学的液体中の蛋白(またはその受容体)のレベルを定量的に決定するために設計されたアッセイにおける試薬(標識試薬を包含)として;対応蛋白が優先的に発現される(構成的に、または組織分化もしくは発達の特定段階において、または疾病状態において発現される)組織のマーカーとして;ならびに、もちろん関連受容体またはリガンドを単離するために用いてもよい。蛋白がもう1つの蛋白に結合または潜在的に結合する場合、結合する他の蛋白を同定し、あるいは、または結合相互作用の阻害剤を同定するために蛋白を使用することができる。これらの結合相互作用に関与する蛋白を用いて、結合相互作用に関するペプチドまたは小型分子状阻害剤またはアゴニストのスクリーニングを行うこともできる。
これらの研究用途のいずれかまたはすべては、研究用製品として商品化するために試薬グレードまたはキットのフォーマットへと発展させることができる。
上記使用を実行するための方法は当業者によく知られている。かかる方法を開示する文献は、"Molecular Cloning: A Laboratory Manual", 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Sambrook, J., E.F. Fritsch and T. Maniatis eds., 1989,および"Methods in Enzymology: Guide to Molecular Cloning Techniques", Academic Press, Berger, S.L. and A.R. Kimmel eds., 1987を包含するが、これらに限らない。
【0026】
栄養としての用途
本発明ポリヌクレオチドおよび蛋白を栄養源または添加物として使用することができる。かかる用途は、蛋白またはアミノ酸添加物としての用途、炭素源としての用途、窒素源としての用途および炭水化物源としての用途を包含するが、これらに限らない。かかる場合、本発明蛋白またはポリヌクレオチドを特定の生物のエサとして添加してもよく、あるいは粉末、ピル、溶液、懸濁液またはカプセルの形態のごとき別個の個体または液体調合物として投与することもできる。微生物の場合、微生物が培養される培地に本発明蛋白またはポリヌクレオチドを添加することができる。
本発明MU−1蛋白を用いて動物を免疫して、MU−1蛋白と特異的に反応でき、受容体へのリガンドの結合を阻害することのできるポリク−ナルおよびモノクローナル抗体を得てもよい。MU−1全体を免疫原として用いて、あるいはMU−1のフラグメントを用いることにより、かかる抗体を得てもよい。MU−1の小型フラグメントを用いて動物を免疫してもよい。さらに、ペプチド性免疫原はカルボキシル末端にシステイン残基を含んでいてもよく、キーホルリムペットヘモシアニン(KLH)のごときハプテンと抱合される。チロシン残基を硫酸化チロシン残基に置き換えることにより、さらなるペプチド性免疫原を得てもよい。かかるペプチドの合成方法は当該分野において知られており、例えば、R. P. Merrifield, J. Amer. Chem. Soc. 85, 2149-2154 (1963); J. L. Krstenansky, et al., FEBS Lett. 211, 10 (1987)にある。
MU−1蛋白に結合する中和または非中和抗体(好ましくはモノクローナル抗体)もまた、ある種の腫瘍の有用な治療剤となる可能性があり、さらに上記症状の治療において有用な治療剤となる可能性がある。これらの中和モノクローナル抗体は、MU−1受容体鎖へのリガンド結合をブロックしうる。
本明細書に引用した特許および文献を、参照により全体が本明細書に記載されているものとみなす。
【配列表フリーテキスト】
【0027】
SEQ ID NO:4: oligonucleotide
SEQ ID NO:5: oligonucleotide
SEQ ID NO:6: oligonucleotide
SEQ ID NO:7: oligonucleotide
SEQ ID NO:8: Xaa can be any naturally occurring amino acid

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号:1のヌクレオチド配列;
(b)配列番号:1のヌクレオチド236からヌクレオチド1852までのヌクレオチド配列;
(c)配列番号:1のヌクレオチド299からヌクレオチド1852までのヌクレオチド配列;
(d)配列番号:1のヌクレオチド299からヌクレオチド943までまたは236からヌクレオチド943までのヌクレオチド配列;
(e)遺伝学的コードの縮重の結果として(a)〜(d)のいずれかに示すヌクレオチドとは配列が異なっているヌクレオチド配列;
(f)厳密な条件下で(a)〜(d)のいずれかに示すヌクレオチド配列に対してハイブリダイゼーションしうるヌクレオチド配列;
(g)配列番号:2の配列の種相同体をコードするヌクレオチド配列;および
(h)(a)〜(d)のいずれかに示すヌクレオチド配列の対立遺伝子変種
からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド。
【請求項2】
該ヌクレオチド配列がMU−1ヘマトポイエチン受容体スーパーファミリー鎖の生物学的活性を有する蛋白をコードしている請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項3】
該ヌクレオチド配列が発現制御配列に作動可能に連結されている請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項4】
配列番号:1のヌクレオチド配列を含む請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項5】
配列番号:1のヌクレオチド236からヌクレオチド1852のヌクレオチド配列を含む請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項6】
請求項3のポリヌクレオチドで形質転換された宿主細胞。
【請求項7】
哺乳動物細胞である請求項6の宿主細胞。
【請求項8】
(a)適当な培地で請求項6の宿主細胞の培養物を増殖させ、ついで
(b)培養物からヒトMU−1蛋白を精製する
ことを含む、MU−1蛋白の製造方法。
【請求項9】
(a)配列番号:2のアミノ酸配列;
(b)配列番号:2のアミノ酸22から538までのアミノ酸配列;
(c)配列番号:2のアミノ酸22から236までのアミノ酸配列;
(d)配列番号:2のアミノ酸1から236までのアミノ酸配列;
(e)MU−1ヘマトポイエチン受容体スーパーファミリー鎖の生物学的活性を有する(a)〜(d)のフラグメント;および
(f)厳密な条件下で請求項1の(a)〜(d)のいずれかに示すヌクレオチド配列に対してハイブリダイゼーションし得るヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む単離MU−1蛋白。
【請求項10】
配列番号:2のアミノ酸配列を含む請求項9の蛋白。
【請求項11】
配列番号:2のアミノ酸22から538までの配列を含む請求項9の蛋白。
【請求項12】
配列番号:2のアミノ酸22から236までの配列を含む請求項9の蛋白。
【請求項13】
配列番号:2のアミノ酸1から236までの配列を含む請求項9の蛋白。
【請求項14】
請求項9の蛋白および医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項15】
請求項8の方法により製造される蛋白。
【請求項16】
(a)配列番号:2のアミノ酸配列;
(b)配列番号:2のアミノ酸22から538までのアミノ酸配列;
(c)配列番号:2のアミノ酸22から236までのアミノ酸配列;
(d)配列番号:2のアミノ酸1から236までのアミノ酸配列;および
(e)MU−1ヘマトポイエチン受容体スーパーファミリー鎖の生物学的活性を有する(a)〜(d)のフラグメント
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むペプチドまたは蛋白をコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド。
【請求項17】
該アミノ酸配列が融合蛋白の一部である請求項9の蛋白。
【請求項18】
アミノ酸配列がFcフラグメントに融合している請求項17の蛋白。
【請求項19】
配列番号:1のヌクレオチド299から1852までのヌクレオチド配列を含む請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項20】
配列番号:1のヌクレオチド236からヌクレオチド943までのヌクレオチド配列を含む請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項21】
配列番号:2のアミノ酸配列を含むペプチドまたは蛋白をコードしている請求項16のポリヌクレオチド。
【請求項22】
配列番号:2のアミノ酸22からアミノ酸538までのアミノ酸配列を含むペプチドまたは蛋白をコードしている請求項16のポリヌクレオチド。
【請求項23】
配列番号:2のアミノ酸22からアミノ酸236までのアミノ酸配列を含むペプチドまたは蛋白をコードしている請求項16のポリヌクレオチド。
【請求項24】
配列番号:2のアミノ酸1からアミノ酸236までのアミノ酸配列を含むペプチドまたは蛋白をコードしている請求項16のポリヌクレオチド。
【請求項25】
配列番号:1のヌクレオチド299からヌクレオチド943までのヌクレオチド配列を含む請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項26】
請求項9記載の蛋白と特異的に反応する抗体。
【請求項27】
中和抗体である請求項26記載の抗体。
【請求項28】
モノクローナル抗体である請求項26または27記載の抗体。
【請求項29】
請求項26〜28のいずれか1項記載の抗体を含む組成物。
【請求項30】
アミノ酸配列がリンカー配列を介してFcフラグメントに融合している請求項18記載の蛋白。
【請求項31】
治療における使用のための請求項9〜13、15、17、18もしくは30のいずれか1項に記載の蛋白、請求項26〜28のいずれか1項に記載の抗体、またはMU−1受容体のアンタゴニスト。
【請求項32】
自己免疫疾患、アレルギー性反応もしくは状態、または組織、皮膚および器官の移植および対宿主移植片疾患(GVHD)の処置のための使用のための請求項31記載の蛋白、抗体またはMU−1受容体アンタゴニスト。
【請求項33】
MU−1受容体アンタゴニストが中和抗体である請求項31または32記載のMU−1受容体アンタゴニスト。
【請求項34】
中和抗体が、MU−1受容体鎖へのリガンドの結合をブロックし得るモノクローナル抗体である請求項33記載のMU−1受容体アンタゴニスト。
【請求項35】
自己免疫疾患が、結合組織疾患、多発性硬化症、全身性の深在性エリトマーデス、リューマチ性関節炎、自己免疫性肺炎、Guillain-Barre症候群、自己免疫性甲状腺炎、インスリン依存性糖尿病、重症筋無力症、対宿主移植片疾患、自己免疫性の炎症性の目の疾患、および炎症性腸疾患、特に、クローン病からなる群より選択される1つのものである、請求項32〜34のいずれか1項記載の蛋白、抗体もしくはMU−1受容体アンタゴニスト。
【請求項36】
自己免疫疾患がリューマチ性関節炎である、請求項35記載の蛋白、抗体もしくはMU−1受容体アンタゴニスト。
【請求項37】
自己免疫疾患が全身性の深在性エリトマーデスである、請求項35記載の蛋白、抗体もしくはMU−1受容体アンタゴニスト。
【請求項38】
自己免疫疾患が炎症性腸疾患、特に、クローン病である、請求項35記載の蛋白、抗体もしくはMU−1受容体アンタゴニスト。
【請求項39】
アレルギー性反応または状態が喘息または別の呼吸器系の問題である、請求項32〜34のいずれか1項記載の蛋白、抗体もしくはMU−1受容体アンタゴニスト。
【請求項40】
自己免疫疾患、アレルギー性反応もしくは状態、または組織、皮膚および器官の移植および対宿主移植片疾患(GVHD)の処置のための医薬組成物の製造のための請求項9〜13、15、17、18もしくは30のいずれか1項に記載の蛋白、請求項26〜28のいずれか1項に記載の抗体、またはMU−1受容体のアンタゴニストの使用。
【請求項41】
MU−1受容体アンタゴニストが中和抗体である請求項40記載のMU−1受容体アンタゴニストの使用。
【請求項42】
中和抗体が、MU−1受容体鎖へのリガンドの結合をブロックし得るモノクローナル抗体である請求項41記載の使用。
【請求項43】
自己免疫疾患が、結合組織疾患、多発性硬化症、全身性の深在性エリトマーデス、リューマチ性関節炎、自己免疫性肺炎、Guillain-Barre症候群、自己免疫性甲状腺炎、インスリン依存性糖尿病、重症筋無力症、対宿主移植片疾患、自己免疫性の炎症性の目の疾患、および炎症性腸疾患、特に、クローン病からなる群より選択される1つのものである請求項40〜42のいずれか1項記載の蛋白、抗体もしくはMU−1受容体のアンタゴニストの使用。
【請求項44】
自己免疫疾患がリューマチ性関節炎である請求項43記載の蛋白、抗体もしくはMU−1受容体アンタゴニストの使用。
【請求項45】
自己免疫疾患が全身性の深在性エリトマーデスである請求項43記載の蛋白、抗体もしくはMU−1受容体アンタゴニストの使用。
【請求項46】
自己免疫疾患が炎症性腸疾患、特に、クローン病である請求項43記載の蛋白、抗体もしくはMU−1受容体アンタゴニストの使用。
【請求項47】
アレルギー性反応または状態が喘息または別の呼吸器系の問題である、請求項40〜42のいずれか1項記載の蛋白、抗体もしくはMU−1受容体アンタゴニストの使用。

【公開番号】特開2010−57489(P2010−57489A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230370(P2009−230370)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【分割の表示】特願平11−547283の分割
【原出願日】平成11年3月17日(1999.3.17)
【出願人】(501418214)ジェネティクス インスティテュート,エルエルシー (35)
【Fターム(参考)】