説明

サイドターンランプ制御回路及びサイドターンランプ装置

【課題】 何らかの原因でサイドターンランプの制御回路への通電が遮断されたときに、必須発光LEDと任意発光LEDとの双方が消灯される車両用のサイドターンランプ制御回路及びサイドターンランプ装置の提供である。
【解決手段】 電源の正端子12からの電線を2つに分岐して、一方の電線に必須発光LED9を含む必須発光回路111を形成して光MOSFET15のアノード端子16に接続し、他方の電線に任意発光LED11を含む任意発光回路112を形成して光MOSFET15のドレイン端子21に接続する。必須発光回路111を流れる電流によって必須発光LED9を点灯させると共に、この電流によって光MOSFET15内の発光ダイオード24を発光させてMOSFET25を作動させ、任意発光回路112のループを閉じて、任意発光LED11を点灯させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアミラーに内装されるサイドターンランプの制御回路及びサイドターンランプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両(例えば、自動車)においては、歩行者の安全確保及び車両の走行安全性の向上のため、車体の前面部、後面部及び側面部に方向指示灯(ターンシグナルランプ)を取り付けることが法規で規定されている。このうち、車体の側面部に取り付けられる方向指示灯(サイドターンシグナルランプ、以下、「サイドターンランプ」と記載する)は、装飾性の観点からドアミラーのハウジングに取り付けられる場合がある(特許文献1を参照)。
【0003】
このサイドターンランプは、法規上の所定角度範囲内において外部から視認される必要がある。このため、通常のサイドターンランプは、法規を満足させるように、ドアミラーのハウジングの先端部に発光ランプ(発光LED)が配置されている。そして、ドアミラーの装飾性をより高めるために、ドアミラーのハウジングの後方部分にも発光ランプが配置される場合がある。即ち、この種のドアミラーには、法規を満足させるための発光ランプ(必須発光LED)と、装飾性を高めるための発光ランプ(任意発光LED)とが配置されている。
【0004】
何らかの原因で、必須発光LEDと任意発光LEDを発光させる制御回路への通電が遮断される場合がある。このとき、一方の発光LEDのみが消灯する場合がある。即ち、任意発光LEDのみが消灯して必須発光LEDが点灯する場合と、必須発光LEDのみが消灯して任意発光LEDが点灯する場合である。前者の場合は法規上差し支えないが、後者の場合は法規上認められない。特に、後者の場合には任意発光LEDが点灯しているため、運転者が必須発光LEDの消灯に気づかず、そのまま運転を継続してしまうおそれがある。
【特許文献1】特開2003−282394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑み、何らかの原因でサイドターンランプの制御回路への通電が遮断された場合、必須発光LEDと任意発光LEDとの双方を消灯させるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、
車両に用いられるサイドターンランプの制御回路において、
必須の発光を行う1以上の必須発光LEDを含む必須発光回路と、
前記必須発光LEDと同期して発光すると共に、前記必須発光LED回路と並列に接続され、サイドターンランプにおいて任意の発光を行う1以上の任意発光LEDを含む任意発光回路と、
前記必須発光回路と前記任意発光回路との合流部に設けられ、何らかの理由により前記必須発光回路への通電が遮断されたときに、前記任意発光回路への通電を遮断するための光MOSFET又はフォトカプラと、
を含むことを特徴としている。
【0007】
本発明は、上記したように構成されていて、必須発光回路に流れた電流によって光MOSFET又はフォトカプラが作動される。何らかの理由によって必須発光回路に電流が流れなくなったときには、任意発光回路に流れた電流が光MOSFET又はフォトカプラによって遮断されるため、任意発光回路が閉ループを構成しなくなる。この結果、必須発光回路の通電が遮断され、必須発光LEDが消灯したときには、常に任意発光回路の任意発光LEDも消灯することとなる。
【0008】
任意発光回路への通電を遮断するためのスイッチ手段が、光MOSFET又はフォトカプラである。即ち、必須発光回路と任意発光回路との接続が電気的に絶縁されていて、光によって接続される形態となるため、滑らかなスイッチングが可能となると共に、ノイズ等による誤作動が防止される。特に、光MOSFETの場合、フォトカプラと比較して僅かな(例えば、数mA程度)の電流であっても電流のスイッチングをすることができるという利点がある。
【0009】
そして、前記必須発光LEDと前記光MOSFET又はフォトカプラとの間には、該光MOSFET又はフォトカプラに一定値以上の電流を流さないようにするための定電流ダイオードが取り付けられていることが望ましい。
【0010】
光MOSFET又はフォトカプラに、それらの最大許容値以上の電流を流すことが回避されるため、光MOSFET又はフォトカプラを損傷することが防止できる。
【0011】
そして、上記したサイドターンランプ制御回路を使用したサイドターンランプ装置を構成することができる。サイドターンランプの制御回路が確実なものとなるため、サイドターンランプ装置の作動も安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施例のサイドターンランプ制御回路101とその制御回路を使用したサイドターンランプ装置について説明する。本明細書では、サイドターンランプ装置の一例であるドアミラー200について説明する。図1はドアミラー200の背面図、図2は一部を破断したドアミラー200の平面図、図3は必須発光LED9と任意発光LED11とを発光させる制御回路101の回路図である。
【実施例1】
【0013】
最初に、本発明に係るサイドターンランプ制御回路101を使用したサイドターンランプ装置(ドアミラー200)について説明する。図1及び図2に示されるように、ドアミラー200のミラーケース1は、パネル取付部2により、車両のボディパネル(図示せず)の所定位置に取り付けられる。ミラーケース1の正面部(車両の後部側)には、ミラー3が取り付けられている。ミラーケース1の背面部(車両の前部側)における高さ方向のほぼ中央部は、ミラーケース1の先端部(図1の図面視における右端部)から水平に切り欠かれていて、その切欠部4がレンズ体5によって閉塞されている。
【0014】
ミラーケース1の内部で、切欠部4と対向する部分には、ランプ支持部6が設けられている。ランプ支持部6は、切欠部4に嵌め込まれたレンズ体5にほぼ沿って設けられている。このランプ支持部6における左右方向の中央部と両端部とには、各ステー7がレンズ体5の側に向かって突設されている。各ステー7により、ランプ基板8が支持されている。
【0015】
ランプ基板8には、全部で5個の発光LEDが実装されている。即ち、ランプ基板8において、図2の図面視における右側には2個の発光LED(必須発光LED9)が実装されていて、同じく左側には3個の発光LED(任意発光LED11)が実装されている。右側の2個の必須発光LED9は、運転者による方向指示スイッチの操作によって必ず発光することが義務づけられているものであり、左側の3個の任意発光LED11は、ドアミラー200の装飾性をより高めるために、必須発光LED9と同時に発光されるものである。なお、ランプ基板8には、後述する各種の素子が実装されているが、図2においてはそれらの図示を省略している。
【0016】
ランプ基板8に実装されている必須発光LED9と任意発光LED11とを発光させるための、制御回路101について説明する。図3に示されるように、電源(図示せず)の正側の端子(正端子12)からダイオード13を介して延設された電線が二方向に分岐され、一方の電線に2個の必須発光LED9が直列に接続されて、必須発光回路111が形成されていると共に、他方の電線に3個の任意発光LED11が直列に接続されて、任意発光回路112が形成されている。必須発光回路111の電線は、必須発光LED9の直後の下流側で二方向に分岐されていて、一方の電線は定電流ダイオード14を介して、光MOSFET15のアノード端子16に接続されていると共に、他方の電線は抵抗17を介して電源の負側の端子(負端子18)に接続されている。また、任意発光回路112の電線は、抵抗19を介して光MOSFET15の一方のドレイン端子21に接続されている。また、光MOSFET15の他方のドレイン端子22とカソード端子23とが短絡されていると共に、それらから延設される電線は、電源の負側の端子18に接続されている。
【0017】
ここで、光MOSFET15は、発光素子(発光ダイオード24)と受光素子(MOSFET25)を電気的に絶縁させて一体化したものであり、発光ダイオード24からの発光された光(矢印26で示す)によってMOSFET25がON/OFFされる。即ち、光MOSFET15は電流スイッチの機能を有している。そして、発光側の発光ダイオード24と受光側のMOSFET25とが電気的に絶縁されているため、電気的なノイズが発生しないという利点がある。なお、定電流ダイオード14は、光MOSFET15に印加される電圧が大きく変動しても、その最大許容電流を超える電流が流れないようにして、光MOSFET15の損傷を防止するためのものである。
【0018】
本実施例のドアミラー200の作用について説明する。運転者が方向指示スイッチ(図示せず)を操作すると電源の正端子12から電流が流れ、必須発光回路111の必須発光LED9と任意発光回路112の任意発光LED11とを発光させようとする。正端子12と必須発光回路111及び任意発光回路112との間にダイオード13が介装されているため、逆方向に電流が流れることはない。必須発光回路111に流れた電流は、抵抗17を介して電源の負端子18に流れる。これにより、必須発光回路111のループが閉じ、必須発光LED9が点灯する。
【0019】
必須発光回路111を流れた電流は、定電流ダイオード14を流れて光MOSFET15のアノード端子16に供給される。そして、光MOSFET15内の発光ダイオード24を流れて、光MOSFET15のカソード端子23から電源の負端子18に流れる。これにより、発光ダイオード24が作動し、光(矢印26)が発せられる。MOSFET25の機能により、光MOSFET15のドレイン端子21,22とが接続される。任意発光回路112を流れた電流は、抵抗19を介して光MOSFET15の一方のドレイン21に供給され、他方のドレイン22から電源の負端子18に流れる。この結果、任意発光回路112のループが閉じ、必須発光LED9と同期して任意発光LED11が点灯する。
【0020】
もし、何らかの原因で必須発光回路111への通電が遮断された場合、光MOSFET15内の発光ダイオード24へ電流が流れなくなる。光MOSFET15内のMOSFET25が作動することはなくなり、光MOSFET15のドレイン21,22とが接続されず、任意発光LED11のみが点灯することはない。即ち、必須発光LED9が点灯しないときは、任意発光LED11も点灯しなくなり、任意発光LED11のみが点灯することが防止される。
【0021】
光MOSFET15は、出力側の導通特性が入力電流値に依存して変化せず、純粋な電流スイッチとしてのみ使用することができるため、例えば、数mA程度の僅かな入力電流でも作動させることができるという利点がある。上記した光MOSFET15として、(株)東芝セミコンダクター社製のTLP222Gを使用することができる。
【実施例2】
【0022】
上記した第1実施例では、電流スイッチとして光MOSFET15を使用しているが、フォトカプラ27を使用してもよい。図4に、そのときの制御回路102を示す。光MOSFET15と同様に、フォトカプラ27も機械式のリレーと比較して、小型・軽量であるばかりでなく、動作音やノイズが全く発生しないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ドアミラー200の背面図である。
【図2】一部を破断したドアミラー200の平面図である。
【図3】光MOSFET15を使用して、必須発光LED9と任意発光LED11とを発光させる制御回路101の回路図である。
【図4】フォトカプラ27を使用して、必須発光LED9と任意発光LED11とを発光させる制御回路102の回路図である。
【符号の説明】
【0024】
101,102 制御回路(サイドターンランプ制御回路)
111 必須発光回路
112 任意発光回路
200 ドアミラー(サイドターンランプ装置)
9 必須発光LED
11 任意発光LED
14 定電流ダイオード
15 光MOSFET
27 フォトカプラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に用いられるサイドターンランプの制御回路において、
必須の発光を行う1以上の必須発光LEDを含む必須発光回路と、
前記必須発光LEDと同期して発光すると共に、前記必須発光LED回路と並列に接続され、サイドターンランプにおいて任意の発光を行う1以上の任意発光LEDを含む任意発光回路と、
前記必須発光回路と前記任意発光回路との合流部に設けられ、何らかの理由により前記必須発光回路への通電が遮断されたときに、前記任意発光回路への通電を遮断するための光MOSFET又はフォトカプラと、
を含むことを特徴とするサイドターンランプ制御回路。
【請求項2】
前記必須発光LEDと前記光MOSFET又はフォトカプラとの間には、該光MOSFET又はフォトカプラに一定値以上の電流を流さないようにするための定電流ダイオードが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のサイドターンランプ制御回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサイドターンランプ制御回路を使用したことを特徴とするサイドターンランプ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate