説明

サイプを備えたトレッドを有する二輪車用タイヤ

本発明は、二輪自動車用のタイヤに関し、このタイヤは、少なくとも1つのサイプ(5)を備えたトレッドを有し、少なくとも1つのサイプの壁の少なくとも一部は、周方向平面内において、半径方向と5°〜45°の角度をなし、第1の周方向平面内において少なくとも1つのサイプの壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度は、少なくとも第2の周方向平面内において少なくとも1つのサイプの壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度とは異なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、特に二輪車、例えばモーターバイクに取り付けられるようになったタイヤ、より具体的には、270km/hに相当するWよりも高い速度定格を備えたモーターバイクに取り付けられるようになったタイヤに関する。
【0002】
本発明はこのような用途には限定されないが、本発明を特にこのようなモーターバイク又はモーターサイクル用タイヤ、より具体的には前輪に取り付けられるようになったタイヤに関して説明する。
【背景技術】
【0003】
他の全てのタイヤの場合と同様、モーターバイク用タイヤも又、ラジアルに移行しており、このようなタイヤのアーキテクチャは、周方向と65°〜90°の場合のある角度をなす補強要素の1つ又は2つの層で構成されたカーカス補強材を有し、このカーカス補強材には半径方向に補強要素で構成されたクラウン補強材が載っている。しかしながら、依然として非ラジアルタイヤのままであるものがあり、本発明は、このような非ラジアルタイヤにも関する。本発明は、更に、部分的にラジアルであるタイヤに関し、このような部分的ラジアルタイヤは、カーカス補強材の補強要素が例えばタイヤのクラウンに相当する部分においてカーカス補強材の少なくとも一部にわたってラジアルであるタイヤを意味している。
【0004】
タイヤがモーターバイクのフロントに取り付けられるかリヤに取り付けられるかに応じて多くのクラウン補強材アーキテクチャが提案された。クラウン補強材用の第1の構造体では、周方向コードだけが用いられ、このような構造体は、特にリヤタイヤのために用いられる。乗用車用タイヤに通常用いられている構造体により直接示唆された第2の構造体は、耐摩耗性を向上させるために用いられ、このような第2の構造体では、各層内において互いに実質的に平行であるが、1つの層と次の層との間ではクロス掛け関係にあり、周方向と鋭角をなす補強要素の少なくとも2つの実働クラウン層が用いられ、このようなタイヤは、特にモーターバイクのフロント用タイヤとして適している。2つの実働クラウン層を一般に、少なくとも1つのゴム被覆補強要素のストリップの螺旋巻きにより得られた周方向要素の少なくとも1つの層と組み合わせるのが良い。
【0005】
タイヤクラウンアーキテクチャの選択は、タイヤの或る特定の性質、例えば耐摩耗性、耐久性、グリップ若しくは駆動性又は特にモーターバイクの場合、安定性に直接的な影響を及ぼす。しかしながら、他の種類のパラメータ、例えばトレッドを構成するゴムコンパウンドの性状も又、タイヤの性質に影響を及ぼす。トレッドを構成するゴムコンパウンドの選択及び性状は、例えば、耐摩耗性に関する限り極めて重要なパラメータである。トレッドを構成するゴムコンパウンドの選択及び性状は又、タイヤのグリップ特性に影響を及ぼす。
【0006】
また、他形式のタイヤに関し、雪、ブラックアイス又は湿り気で覆われた路面上を走行するようになったタイヤについて切り込みを有するトレッドを製作することが慣例である。
【0007】
このようなトレッドは、通常、横方向及び/又は周方向溝によって周方向及び/又は横方向に互いに隔てられたリブ又はブロック形の隆起要素を備えている。この場合、これらトレッドは、切り込み又はスリットを更に有し、これら切り込み又はスリットのゼロではない幅は、上述の溝の幅よりも極めて小さい。踏み面(トレッド表面)上に開口した複数個の切れ目を作ることにより、複数個のゴムエッジが作られ、これらは、路面上に存在する場合のある水の層に切り込むが、その目的は、タイヤを路面と接触状態に保つと共に潜在的にダクトを形成することができる空所を形成することにあり、ダクトは、タイヤを路面に接触させる接触パッチに存在する水を集め、これらダクトが接触パッチの外側に開口するよう構成されている場合には、このような水を除去するようになっている。
【0008】
問題の表面に対するタイヤのグリップを向上させる目的で多くの形式の切り込みが既に提案されている。
【0009】
仏国特許第2418719号明細書は、例えば、トレッドの表面に垂直であり又はこの表面に垂直な方向に対して傾けられている場合のある切り込みを記載している。
【0010】
仏国特許第791250号明細書は、トレッドの表面に沿って波形のパターンをなして延びる切り込みを記載している。
【0011】
モーターバイクの性能は、今日、特に或る特定の使用の場合、場合によっては、更に、使用に従って異なる前輪用のタイヤを提供する可能性がある場合、車両の取り扱い性に対する良好な制御が望ましいということを意味している。
【0012】
上述したように、タイヤのクラウン補強材のアーキテクチャ又は確かにトレッドのゴムコンパウンドの性状によりこのような作用効果を得ることができる場合がある。
【0013】
また、タイヤの軸方向に変化するタイヤ挙動を組み込むことが望ましい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】仏国特許第2418719号明細書
【特許文献2】仏国特許第791250号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
車両取り扱い性に関する限り、本発明者は、ハンドルバーを介する手応えに関し、車両が置かれている使用に応じて、この手応えを強めることによるかこれを弱めることかのいずれかによりモーターサイクリストに高い正確さを提供したいと考えている。
【0016】
したがって、本発明の目的は、取り扱い性又はハンドルバーの手応えの面における特性を向上させるモーターバイク用タイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、本発明によれば、電動二輪車用のタイヤであって、タイヤの各側でビードに繋留された補強要素で形成されているカーカス型の補強構造体を有し、ビードのベースは、リムシートに取り付けられるようになっており、各ビードの半径方向外方の延長部としてサイドウォールが設けられ、サイドウォールは、半径方向外側に向かってトレッドに合体している、タイヤにおいて、トレッドは、少なくとも1つの切り込みを有し、少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部は、周方向平面内において、半径方向と5°〜45°の角度をなし、第1の周方向平面内において少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度は、少なくとも1つの第2の周方向平面内において少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度とは異なっていることを特徴とするタイヤによって達成される。
【0018】
本発明の意味の範囲内において、切り込みは、2つの壁を形成する切れ目であり、形成し、壁のうちの一方に接する平面に垂直に沿って測定された壁相互間の距離が1.5mm未満、好ましくは1mm未満の切れ目である。トレッドの表面上のこのような距離は、切り込みの底部のところ(これは、トレッドの表面から最も遠くに位置する箇所のところであることを意味する)の距離に少なくとも等しい。特に、モーターバイク用タイヤの場合、トレッドの厚さが比較的小さいので、トレッドの表面から切り込みの底部に向かってこのような距離が大きくなることにより切り込みのエッジがトレッドの表面のところでつぶれ、かくしてトレッドが路面と接触する接触パッチの面積が減少する場合、このようにトレッド表面から切り込み底部に向かってこのような距離が大きくなることが生じてはならない。
【0019】
タイヤの長手方向又は周方向は、タイヤの周囲に対応すると共にタイヤの走行方向によって定められる方向である。
【0020】
タイヤの横方向又は軸方向は、タイヤの回転軸線に平行である。
【0021】
タイヤの回転軸線は、タイヤが通常の使用の際に回転する中心となる軸線である。
【0022】
周方向平面又は周方向断面平面は、タイヤの回転軸線に垂直な平面である。赤道面は、トレッドの中心又はクラウンを通る周方向平面である。
【0023】
半径方向平面又は子午面は、タイヤの回転軸線を含む。
【0024】
半径方向は、タイヤの回転軸線と交差し且つこれに垂直な方向である。半径方向は、周方向平面と半径方向平面の交線である。
【0025】
本発明に従ってこのように製造されてモーターバイクの前輪に取り付けられたタイヤは、切り込みが設けられていないタイヤ又は確かに切り込みが設けられているがこれが傾斜していない(このことは、これは、周方向平面において、周方向と5°〜45°の角度をなす切り込みの壁の部分が存在しないということを意味している)タイヤにより与えられる手応えとは異なるハンドルバー手応えをライダに効果的に与える。本発明者は、自分たちによって、周方向断面平面において半径方向に対して切り込みについて本発明により提案される可変の傾斜により、ハンドルバーを介する手応え(これは、タイヤが接触パッチになったときのタイヤの反応であると共にライダの感じるタイヤの反応であることを意味している)が変わるということが実証されたと考えている。
【0026】
有利には、ライダがハンドルバーを介する手応えに敏感であるということができるようにするために、所与の周方向平面内において、1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度は、周方向平面と交差する切り込み全てについて同一である。
【0027】
第1の周方向平面内において少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度が少なくとも1つの第2の周方向平面内においてなす角度とは異なっているということは、上述の切り込みの一方の壁の湾曲した横座標に沿って、切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度が変化していることを意味している。
【0028】
本発明の変形形態によれば、この角度は、連続的に変化しているのが良く又は変形例として湾曲した横座標の少なくとも一部に沿って一定であっても良い。
【0029】
切り込みの長さに沿う本発明のタイヤの周方向断面平面内における半径方向に対する切り込みの傾斜の変化は、半径方向における切り込みの一方の壁の少なくとも一部と周方向のなす角度の選択と、周方向に対する切り込みそれ自体の向きの作用効果と、タイヤの形状、特に非常に湾曲した軸方向輪郭形状の作用効果とを組み合わせることによって得られる。
【0030】
切り込みの一方の壁の湾曲した横座標に沿う角度の変化という表現は、ハンドルバーを介する手応えをキャンバ角の点で(このことは、車両が直線を辿っているか又はカーブを走行しているかに応じるということを意味している)モーターバイクの位置に従って適合させることができるということを意味している。
【0031】
本発明の好ましい一実施形態によれば、周方向と5°〜45°の角度をなす少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部は、接触パッチと接触状態にある本発明のこの好ましい実施形態によれば、切り込みの壁のちょうど一部が傾斜している場合、これは、接触パッチに接触する切り込みの部分である。
【0032】
実際問題として、工業上の観点からは、タイヤを加硫した後に硬化モールド又は金型を開く際に加えられる力を制限するために、トレッド上に開口する部分について切り込みの傾斜を制限し、この部分を傾斜させない状態で深く位置させることが有利な場合がある。
【0033】
本発明の他の実施形態によれば、切り込みは、その高さ全体又は深さ全体にわたって傾けられるのが良い。この場合、このような切り込みを形成するためにタイヤに入り込むモールドの部分は、製作するのが簡単であると言える。
【0034】
本発明の他の実施形態によれば、切り込みは、その長さの一部だけ傾けられても良く、特に、切り込みの一部が周方向に近い方向に差し向けられる場合、切り込みは、有利には、傾けられないのが良い。
【0035】
本発明の好ましい一実施形態によれば、第1の周方向平面内における少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度と、少なくとも1つの第2の周方向平面内においてなす角度の差は、10°より大きい。
【0036】
本発明の実施形態の有利な変形形態によれば、トレッドの表面上における少なくとも1つの切り込みの主要な方向が少なくとも局所的に周方向と70°より大きい角度をなす場合、少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度は、この切り込みが周方向と70°より大きい角度をなす切り込みの領域において局所周方向平面内において30°未満である。
【0037】
本発明者は、切り込みが周方向と70°より大きい角度をなす限り、30°未満の傾斜角がハンドルを介する手応えに対して十分に感知できるほどの影響を及ぼすということを実証することができた。しかしながら、本発明の実施形態の他の変形形態によれば、ハンドルバーを介する手応えに対して更に大きな影響を及ぼすために大きな傾斜角を想定できる。
【0038】
本発明の実施形態の変形形態によれば、トレッドの表面上における少なくとも1つの切り込みの主要な方向が少なくとも局所的に周方向と30°未満の角度をなす場合、少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度は、この切り込みが周方向と30°未満の角度をなす切り込みの領域において局所周方向平面内において35°より大きい。
【0039】
本発明者は、切り込みが周方向と30°未満の角度をなす場合、35°より大きい切り込みの傾斜角度がハンドルバーを介する手応えに感知できるほどの影響を及ぼすために必要であるということを実証した。
【0040】
したがって、本発明のこれら変形形態によれば、トレッドの表面上における主要方向が変化する切り込みを用いて程度の差はあれ一貫した影響をハンドルバーを介する手応えに生じさせることは可能であるが、切り込みのその主要方向に沿ってその傾斜を変えることにより、トレッドの表面上における少なくとも1つの切り込みの主要方向が周方向と30°未満の角度をなす場合、周方向平面内において少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度は、35°を超え、トレッドの表面上における少なくとも1つの切り込みの主要方向が周方向と70°より大きい角度をなす場合、周方向平面内において少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度は、30°未満である。
【0041】
本発明の第1の実施形態では、少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度の向きは、タイヤの走行方向と同じである。
【0042】
本発明者は又、タイヤに関与する種々のパラメータに応じて、切り込みのこのような傾斜の向きにより、ハンドルバーを介する手応えを強めるかこれを弱めるかのいずれかを行うことができるということを実証することができた。具体的に説明すると、トレッドの構成材料の選択、向きの点によるにせよ又は確かに補強要素の性状の点に関するにせよいずれにせよ補強アーキテクチャの形式、特にタイヤの軸方向におけるタイヤの輪郭形状に応じて、ハンドルバーを介する手応えは様々な場合があり、この手応えを強めるか弱めるかのいずれかを行うことが有利であることが分かる。
【0043】
したがって、本発明の別の実施形態によれば、少なくとも1つの切り込みの壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度の向きは、タイヤの走行方向とは逆である。
【0044】
本発明の実施形態の他の変形形態によれば、トレッドは、少なくとも1つの中央部分及び2つの軸方向外側部分から成り、中央部分及び少なくとも1つの軸方向外側部分は、1つの切り込みの少なくとも一部を有し、中央部分において1つの切り込みの少なくとも一部の一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度の向きは、軸方向外側部分において1つの切り込みの少なくとも一部の一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度の向きとは逆である。
【0045】
本発明の実施形態のこの変形形態によれば、手応えがタイヤの軸方向幅全体にわたって一貫している場合、ハンドルバーを介する手応えを加減することが可能であり、モーターサイクルが直線で操縦されているかキャンバ角で傾けて用いられているかに応じて、このような手応えを強めると共に/或いはこれを弱める。直線において、接触パッチは、トレッドの中央部分に一致し、キャンバ角で傾けられた場合、接触パッチは、2つの軸方向外側部分のうちの一方又は他方に向かって軸方向にずらされる。
その目的は、好ましくは、特に高速での取り扱い性を抑えるためにトレッドの中央部分においてハンドルバーを介する手応えを強め、他方において、コーナリングの際の取り扱い性を向上させるために2つの軸方向外側部分についてこのような手応えを弱めることにある。
【0046】
本発明の好ましい一実施形態によれば、中央部分を通る第1の周方向平面内における少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度と、軸方向外側部分に属する第2の周方向平面内においてなす角度の差は、10°より大きい。
【0047】
本発明の実施形態の第1の変形形態によれば、タイヤのトレッドの中央部分の中央領域を通る周方向平面内において切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす最も小さな角度は、タイヤのトレッドの軸方向外側部分の軸方向外側領域を通る周方向平面内における1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす最も大きな角度よりも大きい。
【0048】
トレッドの中央部分は、直線走行に対応した接触パッチの軸方向最も外側の箇所により軸方向に画定される。タイヤのトレッドの軸方向外側部分は、中央部分の外側に位置したトレッドの部分に対応している。
【0049】
中央部分の中央領域は、トレッドの表面上における半径方向平面内の中間平面の各側では、トレッドの中央部分の幅の1/4だけタイヤの中間平面から見て遠くに位置する箇所によって軸方向に画定される。
【0050】
タイヤのトレッドの軸方向外側部分の軸方向外側領域は、半径方向平面内において、トレッドの接触パッチの幅の1/4だけ、軸方向外側部分と連続して位置する接触パッチの軸方向最も外側の箇所から見て遠くに位置する箇所によって軸方向に画定される。
【0051】
直線走行に対応した接触パッチは、ETRTOにより推奨される公称リムに取り付けられて非潤滑プレート上で2.5barにインフレートされたタイヤをこのタイヤの荷重指数(最大推奨荷重)の60%に相当する荷重を用いてタイヤの回転軸線に垂直な方向に垂直方向に圧縮することによって測定される。
【0052】
本発明の第2の実施形態の第2の変形形態によれば、タイヤのトレッドの中央部分の中央領域を通る周方向平面内において切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす最大角度は、タイヤのトレッドの軸方向外側部分の軸方向外側領域を通る周方向平面内において1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす最小角よりも小さい。
【0053】
実施形態のこれら変形形態のうちの1つ又は他のものは、特に、ハンドルバーを介する手応えの所望のレベルに応じて選択されるのが良い。
【0054】
本発明の意味の範囲内において、本発明の実施形態のこれら変形形態によれば、最大角度及び最小角度という表現は、絶対値で考察される。
【0055】
上述したように、タイヤの構成に応じるが、中央部分において1つの切り込みの少なくとも一部の一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度の向きを走行方向と同一方向に選択し、2つの軸方向外側部分に逆の角度を選択することが可能であり、又は、変形例として、逆の構成を提供することが可能である。
【0056】
本発明の有利な一変形形態では、切り込みの深さは、特にタイヤの軸方向における種々の摩耗速度を考慮に入れると共に軸方向に変化するトレッド剛性を得るために軸方向に変化している。
【0057】
本発明の有利な変形形態によれば、トレッドの少なくとも表面は、中央部分の少なくとも一部にわたって延びる第1のポリマー配合物と、第1のポリマー配合物の物理化学的性質とは異なる物理化学的性質を有していて、トレッドの軸方向外側部分の少なくとも一部を覆っている少なくとも1種類の第2のポリマー配合物とから成る。
【0058】
本発明の実施形態のこのような変形形態により、例えばトレッドの中央について耐摩耗性が向上し、軸方向外側部分についてグリップ特性が向上したトレッドを作ることができる。
【0059】
上述したように、トレッドを構成するポリマー配合物の性状は、ハンドルバーを介する手応えに影響を及ぼす場合がある。異種のポリマー配合物を設けることにより、車両の使用及び特に車両が直線で操縦されるかカーブ回りに操縦されるかに応じて、この手応えを強めると共に/或いは弱めるという要望が生じる場合がある。したがって、ポリマー配合物の性状に応じて、本発明によれば、ほぼ同じ又は逆の作用効果を得るためにトレッドの幅全体にわたって同一方向に切り込みの配向角度を提供し又は変形例として、同様に同じ又は逆の作用効果を得るために中央部分及び軸方向外側部分に逆の方向における切り込みの傾斜角度を提供することが必要な場合がある。
【0060】
本発明の有利な実施形態によれば、タイヤに対称という性質を与えるため、中央周方向バンドの中心は、有利には、赤道面上に配置される。例えばカーブが全てに本質的に同一方向であるサーキット上で走行するようになったタイヤ向きの他の実施形態では、中央周方向バンドの中心を赤道面上に配置しないようにすることが可能である。
【0061】
本発明の有利な変形実施形態では、トレッドの少なくとも表面を形成し、かくしてトレッドの特性を赤道面からショルダに向かって次第に変化させる5本又は6本以上の周方向バンドを設けることが想定できる。従前通り、このような実施形態は、赤道面に関して対称であっても良く、又は非対称であっても良く、バンドの分布状態は、これらの組成の点において又は赤道面周りのこれらの分布状態の点かのいずれかにおいて異なっている。
【0062】
本発明の好ましい実施形態によれば、第2のポリマー配合物は、第1のポリマー配合物の組成とは異なる組成のものであり、より好ましくは、第2のポリマー配合物は、第1のポリマー配合物のグリップ特性よりも優れたグリップ特性を有する。
【0063】
他の実施形態によれば、異なる加硫条件を用いることによって同種の配合物で互いに異なる特性を得ることができる。
【0064】
また、有利には、第1のポリマー配合物の半径方向厚さと第2のポリマー配合物の半径方向厚さは、軸方向におけるトレッドの耐摩耗性を最適化するよう互いに異なっているのが良い。また、有利には、厚さは、次第に異なる。
【0065】
本発明の好ましい一実施形態によれば、第2のポリマー配合物は、第1のポリマー配合物のショアAスケール硬度とは異なるショアAスケール硬度を有する。
【0066】
硬化後におけるポリマー配合物のショアAスケール硬度は、ASTM・D2240‐86規格に従って評価される。
【0067】
本発明の好ましい一実施形態によれば、カーカス型補強構造体の補強要素は、周方向と65°〜90°の角度をなす。
【0068】
本発明の変形例によれば、クラウン補強構造体は、周方向と10°〜80°の角度をなす補強要素の少なくとも1つの層を有する。
【0069】
この変形形態によれば、クラウン補強構造体は、有利には、補強要素の少なくとも2つの層を有し、1つの層から次の層にこれら補強要素相互は20°〜160°、好ましくは40°より大きい角度をなす。
【0070】
本発明の好ましい一実施形態によれば、実働層の補強要素は、繊維材料で作られる。
【0071】
本発明の別の実施形態によれば、実働層の補強要素は、金属で作られる。
【0072】
本発明の有利な一実施形態では、特に、タイヤの子午線に沿う、特に実働層の縁部のところの補強構造体の剛性を最適化する目的で、実働層の補強要素と長手方向とのなす角度は、このような角度がタイヤの赤道面のところで測定した角度と比較して、補強要素の層の軸方向外側の縁のところの方が大きいように横方向に変化しているのが良い。
【0073】
異種トレッドポリマー配合物の場合に関して上述したように、実働層の補強要素の角度の変化は、軸方向におけるハンドルバーを介する手応えを変化させることができる。
【0074】
実働層の補強要素の角度のこのような変化により、車両の使用及び特に車両が直線で操縦されるかカーブ回りに操縦されるかに応じて、ハンドルバーを介する手応えを強めると共に/或いは弱めるという要望が生じる場合がある。したがって、補強要素の性状及び軸方向における角度の変化に応じて、本発明によれば、ほぼ同じ又は逆の作用効果を得るためにトレッドの幅全体にわたって切り込みを同一方向に傾斜させ又は変形例として、同様にほぼ同じ又は逆の作用効果を得るために中央部分及び軸方向外側部分に切り込みを逆の方向に傾斜させることが必要な場合がある。
【0075】
本発明の一実施形態では、タイヤは、特に、周方向補強要素の少なくとも1つの層を有するクラウン補強構造体から成り、周方向補強要素の層は、長手方向に対して5°未満の角度をなして差し向けられた少なくとも1つの補強要素から成る。
【0076】
また、好ましくは、周方向補強要素の層の補強要素は、金属及び/又は繊維及び/又はガラスで作られる。本発明は、特に、周方向補強要素の同一の層内に互いに異なる種類の補強要素の使用を想定している。
【0077】
また、好ましくは、周方向補強要素の層の補強要素は、6000N/mm2を超える弾性率を有する。
【0078】
本発明の一変形実施形態では、有利には、周方向補強要素は、可変ピッチで横方向に分布して配置される。
【0079】
周方向補強要素相互間のピッチの変化は、横方向における単位長さ当たりの周方向補強要素の数の変化及びかくして横方向における周方向補強要素の密度の変化、それ故、横方向における周方向剛性の変化の形態を取る。
【0080】
異種トレッドポリマー配合物及び実働層の補強要素の角度の変化の場合に上述したように、周方向補強要素相互間において、軸方向にピッチを変化させることは、軸方向におけるハンドルバーを介する手応えを変化させることができる。
【0081】
周方向補強要素のピッチのこのような変化により、車両の使用及び特に車両が直線で操縦されるかカーブ回りに操縦されるかに応じて、ハンドルバーを介する手応えを強めると共に/或いは弱めるという要望が生じる場合がある。したがって、補強要素の性状及び軸方向におけるピッチの変化に応じて、本発明によれば、ほぼ同じ又は逆の作用効果を得るためにトレッドの幅全体にわたって切り込みを同一方向に傾斜させ又は変形例として、同様にほぼ同じ又は逆の作用効果を得るために中央部分及び軸方向外側部分に切り込みを逆の方向に傾斜させることが必要な場合がある。
【0082】
本発明は又、トレッドの幅全体にわたって同一方向に切り込みの傾斜角度を組み合わせること又は変形例として軸方向外側部分から中央部分内で互いに逆方向に切り込みの傾斜角度を組み合わせることを提案しており、その目的は、上述した種々のパラメータの全て又はほんの幾つか、例えば、トレッドの中央部分及び軸方向外側部分に用いられる互いに異種のポリマー配合物、実働層の補強要素と長手方向とのなす横方向に変化する角度及び周方向補強要素相互間の軸方向におけるピッチを変化させることにより、ほぼ同じ又は逆の作用効果を得ることができるようにすることにある。
【0083】
本発明の別の細部及び有利な特徴は、図1〜図4を参照して行われる本発明の実施形態の説明から以下において明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1の実施形態としてのタイヤの部分斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態としてのタイヤの部分斜視図であり、第1の箇所における角度の大きさを示す図である。
【図3a】本発明の第2の実施形態としてのタイヤの部分斜視図であり、第1の箇所における角度の大きさを示す図である。
【図3b】本発明の第2の実施形態としてのタイヤの部分斜視図であり、第2の箇所における角度の大きさを示す図である。
【図3c】本発明の第2の実施形態としてのタイヤの部分斜視図であり、第3の箇所のところの角度の大きさを示す図である。
【図4a】本発明の第3の実施形態としてのタイヤの部分斜視図であり、第1の箇所における角度の大きさを示す図である。
【図4b】本発明の第3の実施形態としてのタイヤの部分斜視図であり、第2の箇所のところにおける角度の大きさを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
図1〜図4を理解しやすくするため、図1〜図4は、縮尺通りには描かれていない。
【0086】
図1は、モーターバイクの前輪に取り付けられるようになったタイヤ1、特にそのトレッドの外面2の部分斜視図である。図1は、0.15を超え、好ましくは0.3を超える曲率を有する。この曲率は、比Ht/Wtによって定められ、この比は、タイヤのトレッドの高さとトレッドの最大幅の比である。
【0087】
図には示されていない仕方で、図1は、繊維(テキスタイル)型の補強要素を有する層から成るカーカス補強材を有する。この層は、半径方向に布設された補強要素から成る。補強要素の半径方向位置決めは、補強要素の布設角度で定められ、半径方向配置は、これら補強要素がタイヤの長手方向に対して65°〜90°の角度をなして布設されている状態に一致している。
【0088】
カーカス補強材は、タイヤ1の各側でビード内に繋留され、ビードのベースは、リムシート(受座)に取り付けられるようになっている。各ビードの半径方向外方の延長部として、サイドウォールが設けられ、このサイドウォールは、半径方向外側寄りがトレッドに合体している。
【0089】
タイヤ1は、例えば周方向と角度をなす補強要素の2つの層から成るクラウン補強材を更に有しており、補強要素は、1つの層と次の層との間でクロス掛け関係にあり、赤道面の付近においてこれら補強要素のなす角度は、例えば50°であり、これら層の各々に属する補強要素は、周方向と例えば25°の角度をなしている。
【0090】
クラウン補強材は、周方向と角度をなす補強要素の層ではなく、周方向補強要素の層から成っていても良く又は変形例としてこれら層の組み合わせであっても良い。
【0091】
図1のトレッド2は、周方向に差し向けられた連続溝3と横方向溝4とから成るトレッドパターンを有し、横方向溝の主要方向は、トレッドパターンに方向を与えるために半径方向に対して僅かな角度をなしている。前輪に取り付けられるタイヤの場合におけるトレッドパターンのこの向き又は方向は、通常、トレッドパターンの配向方向がタイヤの回転方向とは逆であるようなものである。
【0092】
本発明によれば、トレッドは、切り込み又はスリット5を有し、これらのゼロではない幅は、上述の溝3,4の幅よりも極めて小さい。本発明のこれら切り込みは、周方向平面内において半径方向と5°〜45°の角度をなし、これについては図2の説明において以下において行う。
【0093】
図2は、図1のタイヤに類似したタイヤ21の部分斜視図であり、このタイヤ21は、溝の細部の記載が少なく且つ踏み面22上における線が曲線を形成している単一の切り込み25が設けられている点においてタイヤ21とは異なっている。
【0094】
図2は、子午面26と赤道面27を示しており、これらの交線は、半径方向に差し向けられると共にトレッド22の表面上の箇所Oのところで切り込み25と交差した直線28を形成している。
【0095】
直線28は、赤道面27と切り込み25の交線を表す曲線29と箇所Oのところで角度δをなしている。この角度δの大きさは、34°である。
【0096】
図3a、図3b及び図3cは、図2のタイヤに類似したタイヤ31の部分斜視図であり、このタイヤ31は、切り込み35がトレッド32上でS字形をなしている点でタイヤ21とは異なっている。
【0097】
図3aは、子午面36と赤道面37を示しており、これらの交線は、半径方向に差し向けられると共にトレッド32の表面上の箇所Aのところで切り込み35と交差した直線38を形成している。
【0098】
直線38は、赤道面37と切り込み35の交線を表す曲線39と箇所Aのところで角度αをなしている。この角度αの大きさは、9°である。
【0099】
図3bは、箇所A′のところにおいて直線39′と曲線38′のなす角度α′を示しており、これらの線は、図3aの場合のように定められているが、赤道面37に対して軸方向に並進された異なる周方向平面37′及び図3aの平面36に対して周方向に並進された異なる子午面36′からのものであり、直線39′は、トレッド32の表面の箇所A′のところで切り込み35と交差している。角度α′の大きさは、17°である。
【0100】
図3cは、箇所A″のところにおいて直線39″と曲線38″のなす角度α″を示しており、これらの線は、図3a及び図3bの場合のように定められているが、赤道面37に対して軸方向に並進された異なる周方向平面37″及び図3a及び図3bの平面36,36′に対して周方向に並進された異なる子午面36″からのものであり、直線39″は、トレッド32の表面の箇所A″のところで切り込み35と交差している。角度α″の大きさは、23°である。
【0101】
タイヤ31を製造するモールドを設計する際、切り込み35を作る装置が設けられ、これは、本発明の意味の範囲内において切り込みの傾斜を生じさせるために軸線回りに回転する。切り込み35のS字形及びタイヤ、特にその軸方向曲率の形状に鑑みて、この回転軸線は、切り込みのたった1つの箇所のところで接線方向であり、このことは、上述の角度の大きさによって示されているように切り込みの全長にわたって角度の連続的な変化が存在していることを意味している。
【0102】
図4a及び図4bは、図2及び図3のタイヤに類似したタイヤ41の部分斜視図を示しており、このタイヤ41は、配向方向がタイヤの中央部分と軸方向外側部分との間で変化している実質的に子午線切り込み45が設けられている点でタイヤ21,31とは異なっている。
【0103】
図4aは、子午面46と赤道面47を示しており、これらの交線は、半径方向に差し向けられると共にトレッド42の表面上の箇所Bのところで切り込み45と交差した直線48を形成している。
【0104】
直線48は、赤道面47と切り込み45の交線を表す曲線49と箇所Bのところで角度βをなしている。この角度βの大きさは、10°である。
【0105】
図4bは、箇所B′のところにおいて直線49′と曲線48′のなす角度β′を示しており、これらの線は、図4aの場合のように定められているが、赤道面47に対して軸方向に並進された異なる周方向平面47′及び図4aの平面46に対して周方向に並進された異なる子午面46′からのものであり、直線49′は、トレッド42の表面の箇所B′のところで切り込み45と交差している。角度βの大きさは、−10°である。負の符号は、これは角度βとは逆方向であることを示すために与えられている。
【0106】
本発明の変形形態のうちの1つによれば、これら角度のうちの1つは、タイヤの走行方向に差し向けられており、他の角度は、逆方向に差し向けられている。切り込み45の互いに逆方向におけるこれら傾斜の向きは、経験的に、ライダが直線状に進んでいるかキャンバ角をなして傾いているかに応じて、ハンドルバーを介する手応えに互いに逆の作用効果を与えることになる。ただし、ポリマー配合物の性状及びアーキテクチャが、タイヤ41の軸方向幅全体にわたって、又は、少なくとも切り込み45の軸方向幅全体にわたって一貫していることを条件とする。
【0107】
本発明は、上述の説明に限定されるものと解されてはならない。特に、本発明は、図示の本発明の種々の実施形態を軸方向に異なる場合のあるトレッドのポリマー配合物及び/又はアーキテクチャと組み合わせること、特に、軸方向位置に応じて互いに異なる種類のポリマー配合物で構成されたトレッドを有するタイヤ、ピッチが軸方向に変化している周方向に差し向けられた補強要素の層及び軸方向に変化している実働層の補強要素の角度と組み合わせることを想定している。
【0108】
本発明は、タイヤが後輪についても有益である場合があるので電動二輪車の前輪に取り付けられるようになったタイヤの場合に限定されるものと解されてはならない。具体的に説明すると、本発明の切り込みを設けると、タイヤの摩耗分布にも影響が及ぼされる場合があり、或る特定の使用条件下においては、駆動又は制動トルクを移送する場合にタイヤがどのように挙動するかについても影響が及ぼされる場合がある。
【0109】
図4a及び図4bに示されている構成に従って製造された120/70Zr17サイズのタイヤについて試験を行ったが、正の角度は、タイヤの走行方向に対応している。
【0110】
このタイヤをタイヤR1のトレッドに切り込みが全く設けられていないこと及びタイヤR2では傾けられておらず、したがって半径方向に差し向けられた切り込みが設けられていることを除き、本発明のタイヤと同一の2つの基準(コントロール)タイヤに対して比較した。本発明のタイヤに設けられた切り込みの数と基準タイヤR2に設けられた切り込みの数は、同一であった。
【0111】
これら試験では、取り扱い性についてタイヤを記録し、これらタイヤは、同一のモーターサイクルに取り付けられ、同一条件下で同一のライダにより乗車されたが、その目的は、これらタイヤをそれぞれ10°、20°、30°に一致した3つの互いに異なるキャンバ角で加速又は制動下において評価することにあった。
【0112】
結果は、以下の表に記載されている。
【表1】

【0113】
先ず最初に、タイヤR2に関する結果の示すところによれば、本発明が提案するように傾斜されてはいない切り込みによっては、ハンドルバーを介する手応えに影響が生じない。
【0114】
本発明のタイヤで得られた値を考慮すると、バイクを大きなキャンバ角で傾斜させたとき、基準タイヤR1,R2よりも取り扱いが容易であり、小さなキャンバ角では取り扱いやすさの劣るタイヤが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動二輪車用のタイヤであって、前記タイヤの各側でビードに繋留された補強要素で形成されているカーカス型の補強構造体を有し、前記ビードのベースは、リムシートに取り付けられるようになっており、各ビードの半径方向外方の延長部としてサイドウォールが設けられ、前記サイドウォールは、半径方向外側に向かってトレッドに合体しているタイヤにおいて、
前記トレッドは、少なくとも1つの切り込みを有し、前記少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部は、周方向平面内において、半径方向と5°〜45°の角度をなし、第1の周方向平面内において前記少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度は、少なくとも1つの第2の周方向平面内において前記少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度とは異なっている、
ことを特徴とするタイヤ。
【請求項2】
周方向と5°〜45°の角度をなす前記少なくとも1つの切り込みの一方の壁の前記少なくとも一部は、接触パッチと接触状態にある、
請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
第1の周方向平面内における前記少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度と、少なくとも1つの第2の周方向平面内においてなす角度の差は、10°より大きい、
請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの切り込みは、周方向と少なくとも局所的に70°より大きい角度をなし、前記少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度は、30°未満である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの切り込みは、周方向と少なくとも局所的に30°未満の角度をなし、前記少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度は、35°より大きい、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの切り込みの壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度の向きは、前記タイヤの走行方向と同じである、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記トレッドは、少なくとも1つの中央部分及び2つの軸方向外側部分から成り、前記中央部分及び少なくとも1つの軸方向外側部分は、1つの切り込みの少なくとも一部を有し、前記中央部分において1つの切り込みの前記少なくとも一部の一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度の向きは、前記軸方向外側部分において1つの切り込みの前記少なくとも一部の一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度の向きとは逆である、
請求項1〜6のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記トレッドの少なくとも表面は、前記中央部分の少なくとも一部にわたって延びる第1のポリマー配合物と、前記第1のポリマー配合物の物理化学的性質とは異なる物理化学的性質を有していて、前記トレッドの前記軸方向外側部分の少なくとも一部を覆っている少なくとも1種類の第2のポリマー配合物とから成る、
請求項7記載のタイヤ。
【請求項9】
前記中央部分を通る第1の周方向平面内における前記少なくとも1つの切り込みの一方の壁の少なくとも一部と半径方向とのなす角度と、軸方向外側部分に属する第2の周方向平面内においてなす角度の差は、10°より大きい、
請求項7又は8記載のタイヤ。
【請求項10】
前記カーカス型補強構造体の前記補強要素は、周方向と65°〜90°の角度をなす、
請求項1〜9のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記クラウン補強構造体は、実働層と呼ばれている補強要素の少なくとも1つの層を有し、前記補強要素は、周方向と10°〜80°の角度をなす、
請求項1〜10のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの実働層の前記補強要素と長手方向とのなす角度は、横方向において様々であるのが良い、
請求項11記載のタイヤ。
【請求項13】
前記クラウン補強構造体は、周方向補強要素の少なくとも1つの層を有する、
請求項1〜12のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項14】
前記周方向補強要素は、可変ピッチで横方向に分布して配置されている、
請求項13記載のタイヤ。
【請求項15】
二輪車、例えばモーターバイクの前輪に取り付けられるようになった、
請求項1〜14のいずれか1項に記載のタイヤの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【公表番号】特表2013−519560(P2013−519560A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552345(P2012−552345)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051632
【国際公開番号】WO2011/098401
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(512068547)コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン (169)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)