説明

サシミ用まな板及びこのサシミ用まな板を用いたサシミ商品

【課題】鮮魚店や食品スーパーのパート従業員や一般の主婦などの、いわゆる素人の人でも、刺身用の柵をほぼ同じ大きさ(面積)や重さに綺麗に、且つ簡単に切れるようにする。
【解決手段】まな板10の端部側に突条部11を一体に形成し、この突条部11に横方向に多数の切込み用ガイドスリット13を形成する。柵は一般的に尻尾側にかけて幅が狭くなり、厚みも薄くなっているので、刺身を切った場合に尻尾側の部分が他の部分と同じ大きさや重さとなるように切込み用ガイドスリット13の水平面上及び垂直面上での傾斜角度を、尻尾側に至るほど柵の胴部側に傾くように形成する。各切込み用ガイドスリット13からは切っていく際の目安となるガイドライン14がまな板10の裏面に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まな板に関するものであり、より詳しくはサシミ用まな板及びこのサシミ用まな板を用いたサシミ商品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鮮魚取り扱い業において、通常は鮮魚小売店の場合、その店の主人や職人が包丁の扱いができ、尚且つ各種の鮮魚の捌き方に精通していることが必須である。一方、食品スーパーでは、鮮魚責任者がある程度魚を扱えることでパート従業員を指導しているが、多くの場合、鮮魚の取り扱いに興味を持つ次の世代が不足しており、鮮魚の捌き方という技術の伝承がなされていないのが現状である。
【0003】
ましてや最近では、スーパーに納められる刺身用鮮魚などは柵の状態までしたものを利用しているのが一般的で、担当者に至っては生きた魚の〆方や捌き方も知らないし、刺身の造り方も出来ないのが当たり前になっている。
【0004】
図33は例えば、マグロの柵52をまな板51の上に載せて包丁1にて刺身を造る場合を示しており、この柵52は、略長方形状に予め切ってあるものであり、そのため、図34のライン53に示す位置付近に包丁1を入れて所定の間隔毎に単純に切っていくだけで、ある程度厚みを一定にした刺身を造ることができる。また、この柵52は略長方形状のため、切った刺身の面積もほぼ同じ大きさとすることができ、そのため、鮮魚店、スーパー等のパート従業員や、また、一般家庭の主婦でも、同じ大きさで、同じ厚みの刺身を簡単に造ることができる。
【0005】
しかしながら、図33に示すような、大きな魚から取った柵52は略長方形状であるから、上述のように簡単に刺身を造ることができるものの、刺身用の柵は長方形状とは限らない。小さな魚や、魚の種類によってはほとんど長方形状ではないものの方が多く、図35に示すような魚の柵54は、胴部から尻尾にかけて幅が狭くなっており、また、厚みも尻尾に至るほど薄くなっている。
【0006】
この図35に示すような柵54を、図36に示すように、長方形状の柵52の場合と同様な切り口で切っていくと、厚みをほぼ同じにできても、図37に示すように、大きさが胴部の頭部に近い刺身片55aや、胴部の真ん中の刺身片55bや、尻尾に近い刺身片55cでは、1切れの大きさ(面積)や重さが異なってしまう。
一般の家庭では、図37に示すような大きさが異なる刺身片でも良いものの、鮮魚店やスーパーでは販売をすることができない。また、飲食店でも同様である。もちろん、家庭においても、お皿に大きさが異なる刺身片を盛った場合、見た目も悪くなって食欲もそそらず、家族から不満が出ることにもなる。
【0007】
図35に示すような柵54の箇所によって幅寸法、厚み寸法が異なる場合でも該柵54を大きさや重さがほぼ同じようになるように切っていくが、これには、この技を持った職人が捌く必要がある。この捌き方(柵54の切り方)は、そう簡単にできるものではなく、何年も修行した結果できるものであると言われている。
このような職人芸を持った人を何人も雇うのは、大手のスーパーや飲食店では可能ではあるものの、比較的小さな食品スーパーや飲食店、鮮魚店では不可能であり、せいぜい一人の職人を雇うのが精一杯である。
【0008】
ところで、鮮魚流通においては、丸物(姿のまま)や、下処理をしたもの、切り身にしたもの、及び刺身用柵にして真空パックをしたものが販売現場に納品されている。
そして、販売現場での再加工が行なわれるのは刺身用の柵にされた魚であり、これは一般的にはパート従業員によって加工(刺身加工)が行なわれるもので、なかなか職人的な出来映えとはならない。そのため、パート従業員でも取り扱いが簡単な魚(例えば、鯛、ハマチ、マグロ、イカ、サーモン等)しか売り場に並んでいない。
【0009】
一方、鮮魚の真空パックという方法は、鮮度保持において大変優れた方法であり、この方法を活用して多種の鮮魚の刺身を造れるようになれば、消費者にとっては大きなメリットになるものである。
比較的厚みや幅がある刺身用の柵の場合、真空パックをする際に片手で袋を持ち、他方の手で持った柵を袋に入れる場合には、簡単に柵を袋に入れることは簡単である。
【0010】
しかしながら、図38に示すように、例えば、サンマ、サヨリなどの細くて薄い柵56の場合、略水平状態で袋57に入れようとしても、柵56が垂れ下がってしまって袋57に入れるのが困難である。そこで、図39に示すように、垂直方向に柵56を袋57に入れることになる。
【0011】
しかし、この場合、柵56を袋57に入れていくのに、最初は綺麗に袋57に入れることができるが、何回も同じ作業をしていくために、途中から柵57を袋57に入れた場合、柵56が袋57に対して傾いた状態となり、真空パック後には図40に示すような状態となる。また、柵57を袋57のほぼ中央部分に保持しておくのが見映え上一般的に良いのであるが、柵57が袋57内に偏った位置で保持される場合も生じてくる。
かかる場合、魚に鮮度が維持されていても、パック後の見映え上、商品価値を落とすことにもなる。
【0012】
また、真空パックをする場合に、1つの柵だけを入れるのではなく、刺身に必要な袋に入ったワサビや、大根のけんを一緒に入れて真空パック処理をするのが通常である。かかる場合、柵、ワサビ、大根のけんを袋内に所定の位置に入れて維持することが非常に困難となる。
柵、ワサビ及び大根のけんの食材を入れて真空パック処理をしていった場合、複数のパックを見比べて見ると、各食材はパック内でバラバラの位置で保持されている状態となり、見映えが悪く、商品価値も非常に劣ることになる。なお、鯛、マグロ、ハマチ等の複数の種類の柵をパック内に入れて真空パック処理を行なう場合も同様である。
【0013】
ところで、魚の全体の形は、頭から尻尾にかけて大きさと厚みは変化しているので、単純な包丁遣いでは刺身や切り身が同じ大きさや重さに出来ない上に、その柵を見て何人前の刺身(刺身の切り数)が取れるかを瞬時に判断するのは相当の経験が必要である。
これは、消費者や飲食店側からの要望があり、魚を見ただけでは、何人前になるのかは一般には不明だからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上述の問題点に鑑みて提供したものであって、少なくとも以下の目的を持ったサシミ用まな板及びこのサシミ用まな板を用いたサシミ商品を提供するものである。
(1)鮮魚店や食品スーパーのパート従業員や一般の主婦などの、いわゆる素人の人でも、刺身用の柵をほぼ同じ大きさ(面積)や重さに綺麗に、且つ簡単に切れるようにすること。
(2)柵を見て何人前の刺身(刺身の切り数)が取れるかを瞬時に判断ができるようにすること。
(3)柵を真空パックする場合、柵を袋内に入れる作業を容易にし、また、柵を定位置に保持できることを可能にすること。
(4)真空パック処理した柵を袋から取り出しても刺身を綺麗に簡単且つ迅速に造ることができること。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで、本発明の請求項1に記載のサシミ用まな板では、魚の胴部から尻尾側にかけて幅が狭くなり、厚みも薄くなる刺身の下ごしらえ用の柵17を載せて該柵17を包丁1で切って刺身を造るまな板10であって、
前記まな板10の上面に該まな板10の長手方向の略全長にわたって突条部11を一体的に形成し、
前記突条部11に前記包丁1の刃先が入れられる切込み用ガイドスリット13を、該突条部11の横方向に刺身1切れ分の厚みにほぼ対応させた間隔で多数形成し、
魚の頭部側に対応して形成した前記切込み用ガイドスリット13の前後方向の線を水平面上での水平基線24とし、
前記切込み用ガイドスリット13の前記水平基線24に対する傾斜角度αを、切込み用ガイドスリット13の傾斜角度αが尻尾側に至るほど該尻尾側に傾くように順次大きくなるように形成し、
前記切込み用ガイドスリット13に刃先を入れた状態で水平面上での刃2の傾斜角度が決められた包丁1にて前記まな板10上に載せた前記柵17を切っていくようにしていることを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載のサシミ用まな板では、魚の胴部から尻尾側にかけて幅が狭くなり、厚みも薄くなる刺身の下ごしらえ用の柵17を載せて該柵17を包丁1で切って刺身を造るまな板10であって、
前記まな板10の上面に該まな板10の長手方向の略全長にわたって突条部11を一体的に形成し、
前記突条部11に前記包丁1の刃先が入れられる切込み用ガイドスリット13を、該突条部11の横方向に刺身1切れ分の厚みにほぼ対応させた間隔で多数形成し、
魚の頭部側に対応して形成した前記切込み用ガイドスリット13の前後方向の線を水平面上での水平基線24とし、
前記切込み用ガイドスリット13の前記水平基線24に対する傾斜角度αを、切込み用ガイドスリット13の傾斜角度が尻尾側に至るほど頭部側に傾くように順次大きくなるように形成し、
魚の頭部側に対応して形成した前記切込み用ガイドスリット13の上下方向の線を垂直面上での垂直基線26とし、
前記切込み用ガイドスリット13の前記垂直基線26に対する傾斜角度βを、切込み用ガイドスリット13の傾斜角度βが尻尾側に至るほど頭部側が傾くように順次大きくなるように形成し、
前記切込み用ガイドスリット13に刃先を入れた状態で水平面上及び垂直面上での刃2の傾斜角度が決められた包丁1にて前記まな板10上に載せた前記柵17を切っていくようにしていることを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載のサシミ用まな板では、請求項1または請求項2に記載のサシミ用まな板において、
前記突条部11は、断面形状を略へ字型の中空、あるいは三角形状の中実とし、該突条部11の背面を垂直面とすると共に、前面側は前記垂直面の上縁より略45°の角度で下方へ傾斜する傾斜面とし、前記切込み用ガイドスリット13の形状を上部が拡開する略V字型としていることを特徴としている。
【0018】
請求項4に記載のサシミ用まな板では、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のサシミ用まな板において、
前記まな板10を透光性の材料で形成し、前記柵17の平面形状に概略対応させて縁取りした姿絵12を、前記切込み用ガイドスリット13に対応して柵17を載せるべく位置であって、該位置に対応したまな板10の下面に形成していることを特徴としている。
【0019】
請求項5に記載のサシミ用まな板では、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のサシミ用まな板において、
前記まな板10を透光性の材料で形成し、前記各切込み用ガイドスリット13の前後方向と同方向に前記包丁1で柵17を切っていく際のガイドとなるガイドライン14を前記まな板10の下面に形成していることを特徴としている。
【0020】
請求項6に記載のサシミ用まな板では、請求項5に記載のサシミ用まな板において、
刺身の1人前ごとに対応させたガイドライン14a を他のガイドライン14より長く形成していることを特徴としている。
【0021】
請求項7に記載のサシミ用まな板では、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のサシミ用まな板において、
魚や前記柵17から出る魚肉汁であるドリップ18を前記まな板10の裏面に滴下させる穴30を該まな板10に多数穿孔していることを特徴としている。
【0022】
請求項8に記載のサシミ用まな板では、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のサシミ用まな板において、
ミシン目40を前記まな板10の上下方向、あるいは横方向に複数本形成し、前記ミシン目40のスリット41により、魚や前記柵17から出る魚肉汁であるドリップ18を前記まな板10の裏面に滴下させるようにしていることを特徴としている。
【0023】
請求項9に記載のサシミ用まな板では、請求項7または請求項8に記載のサシミ用まな板において、
前記穴30、または前記ミシン目40のスリット41を介して前記まな板10の裏面側に滴下したドリップ18を吸水する吸水シート31を前記まな板10の裏面に接着あるいは剥離自在に設けていることを特徴としている。
【0024】
請求項10に記載のサシミ商品では、前記請求項1〜請求項9のいずれかに記載のまな板10の上面に前記柵17を定位置に配し、該柵17を載せたまな板10ごと袋34に入れて真空パック処理をしていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明の請求項1に記載のサシミ用まな板によれば、切込み用ガイドスリット13の水平基線24に対する傾斜角度αを、切込み用ガイドスリット13の傾斜角度αが尻尾側に至るほど該尻尾側に傾くように順次大きくなるように形成し、前記切込み用ガイドスリット13に刃先を入れた状態で水平面上での刃2の傾斜角度が決められた包丁1にて前記まな板10上に載せた前記柵17を切っていくようにしているものであり、特に、平造りにおいて、切込み用ガイドスリット13に包丁1の刃先を入れるだけで、水平面上における刃2の傾斜角度が自動的に決められ、姿絵12の定位置に載せた柵17をそのまま切っていくことで、所定の厚みに切った各刺身片は大きさや重さをほぼ同じとなり、見映えの良い刺身を造ることができる。
これにより、鮮魚を捌く職人でなくても、鮮魚店、食品スーパー、飲食店のパート従業員の人でも、単に包丁1の刃先を切込み用ガイドスリット13に入れてから切っていくだけで、簡単に刺身を造ることができ、しかも、短時間で刺身を造ることができる。
【0026】
請求項2に記載のサシミ用まな板によれば、切込み用ガイドスリット13の水平基線24に対する傾斜角度αを、切込み用ガイドスリット13の傾斜角度が尻尾側に至るほど頭部側に傾くように順次大きくなるように形成し、切込み用ガイドスリット13の前記垂直基線26に対する傾斜角度βを、切込み用ガイドスリット13の傾斜角度βが尻尾側に至るほど頭部側が傾くように順次大きくなるように形成し、前記切込み用ガイドスリット13に刃先を入れた状態で水平面上及び垂直面上での刃2の傾斜角度が決められた包丁1にて前記まな板10上に載せた前記柵17を切っていくようにしているものであり、特に、そぎ切りにおいて、突条部11に形成した各切込み用ガイドスリット13は、包丁1の刃先を入れるだけで、包丁1の刃2の水平面上及び垂直面上の角度が自動的に決められるので、柵17を突条部11の切込み用ガイドスリット13に概略合わせて切っていくだけで、各刺身片の大きさや重さをほぼ同じものに切ることができ、綺麗にお刺身を造ることができる。
これにより、鮮魚を捌く職人でなくても、鮮魚店、食品スーパー、飲食店のパート従業員の人でも、単に突条部11の切込み用ガイドスリット13に刃先を入れてから柵17を切っていくだけで、簡単に刺身を造ることができ、しかも、短時間で刺身を造ることができる。
【0027】
請求項3に記載のサシミ用まな板によれば、前記突条部11は、断面形状を略へ字型の中空、あるいは三角形状の中実とし、該突条部11の背面を垂直面とすると共に、前面側は前記垂直面の上縁より略45°の角度で下方へ傾斜する傾斜面とし、前記切込み用ガイドスリット13の形状を上部が拡開する略V字型としているので、包丁1の刃2が入れ易く、また、切込み用ガイドスリット13の水平面上及び垂直面上の傾斜角度が見易く、包丁1の刃先を入れ易く、作業性を向上させることができる。
【0028】
請求項4に記載のサシミ用まな板によれば、前記まな板10を透光性の材料で形成し、前記柵17の平面形状に概略対応させて縁取りした姿絵12を、前記切込み用ガイドスリット13に対応して柵17を載せるべく位置であって、該位置に対応したまな板10の下面に形成しているので、姿絵12に合わせて柵17を定位置に置くことができ、また、まな板10の上面で柵17を包丁1で切っていっても姿絵12やガイドライン14には包丁1の刃2で傷がつくこともなく、また刃2で姿絵12が剥がされることもない。したがって、長期にわたって使用することができる。また、姿絵12をまな板10の上面に形成した場合、包丁1で剥がされた姿絵12のインキが食品である柵17に付着することもなく、非常に衛生的である。
【0029】
請求項5に記載のサシミ用まな板によれば、前記まな板10を透光性の材料で形成し、前記各切込み用ガイドスリット13の前後方向と同方向に前記包丁1で柵17を切っていく際のガイドとなるガイドライン14を前記まな板10の下面に形成しているので、まな板10の上面で柵17を包丁1で切っていっても姿絵12やガイドライン14には包丁1の刃2で傷がつくこともなく、また刃2で姿絵12やガイドライン14等が剥がされることもない。したがって、長期にわたって使用することができる。
また、姿絵12、ガイドライン14等をまな板10の上面に形成した場合、包丁1で剥がされた姿絵12やガイドライン14のインキが食品である柵17に付着することもなく、非常に衛生的である。
【0030】
請求項6に記載のサシミ用まな板によれば、刺身の1人前ごとに対応させたガイドライン14a を他のガイドライン14より長く形成しているので、柵17の尻尾側を姿絵12の尻尾側に合わせた定位置に載せることで、上記ガイドライン14aにより何人前の刺身ができるかが、職人ではない一般のパート従業員の人でも瞬時かつ容易に判断することができる。
【0031】
請求項7に記載のサシミ用まな板によれば、魚や前記柵17から出る魚肉汁であるドリップ18を前記まな板10の裏面に滴下させる穴30を該まな板10に多数穿孔しているので、穴30を介してまな板10の裏面に滴下されて、調理中に柵の下面がドリップに浸かるということを可能な限り防ぐことができ、魚や柵のうま味を保持することができる。
【0032】
請求項8に記載のサシミ用まな板によれば、ミシン目40を前記まな板10の上下方向、あるいは横方向に複数本形成し、前記ミシン目40のスリット41により、魚や前記柵17から出る魚肉汁であるドリップ18を前記まな板10の裏面に滴下させるようにしているので、ミシン目40の各スリット41を介してまな板10の裏面に滴下されて、調理中に柵の下面がドリップに浸かるということを可能な限り防ぐことができ、魚や柵のうま味を保持することができる。
【0033】
請求項9に記載のサシミ用まな板によれば、前記穴30、または前記ミシン目40のスリット41を介して前記まな板10の裏面側に滴下したドリップ18を吸水する吸水シート31を前記まな板10の裏面に接着あるいは剥離自在に設けているので、まな板10の下面に滴下したドリップ18は吸水シート31に吸収され、別途ドリップ18吸収用の新聞紙などを用いる必要もなく、また他の箇所をドリップ18で汚すこともない。さらには、吸水シート31を剥離自在としている場合には、吸水シート31を何回も交換できて、衛生的にも良い。
【0034】
請求項10に記載のサシミ商品によれば、前記請求項1〜請求項9のいずれかに記載のまな板10の上面に前記柵17を定位置に配し、該柵17を載せたまな板10ごと袋34に入れて真空パック処理をしているので、まな板10には、リブ状の突条部11を形成しているので、この突条部11がまな板10の剛性を向上させており、そのため、比較的重い柵17の場合でも、まな板10が撓むこともなく、袋34に柵17を載せたまな板10を入れる場合でも、作業性を向上させることができる。
また、まな板10の上に柵17を載せて袋34に入れて真空パック処理をするので、まな板10及び柵17を袋34の略中央部分に綺麗に入れることができ、そのため、従来のように柵17が袋内に偏って位置するということがなく、商品価値を落とすこともない。
さらに、柵17をまな板10の上に載せて袋34内に入れて真空パック処理をするので、柵17をまな板10上の定位置に保持されることになり、真空パック処理後、袋34から柵17を載せた状態でまな板10を取り出した場合でも、柵17はまな板10の上に定位置に維持されているので、そのまま突条部11の切込み用ガイドスリット13に入れて、柵17を切っていくことができる。
また、まな板10の裏面に吸水シート31を配している場合には、真空パック処理をした後に、柵17からドリップが出ても、該ドリップはまな板10の穴30あるいはミシン目40のスリット41を介して滴下し、この滴下したドリップが吸水シート31に吸収され、柵17のうま味を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態におけるまな板の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるまな板の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるまな板の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるまな板の正面図である。
【図5】(a)(b)は本発明の実施の形態における他の例のまな板の側面図である。
【図6】(a)〜(c)は本発明の実施の形態におけるまな板のさらに他の例のまな板の側面図である。
【図7】本発明の実施の形態における柵を調理する場合の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態における柵を調理する場合の説明図である。
【図9】本発明の実施の形態における柵を調理する場合の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態における切込み用ガイドスリットの水平面、垂直面での傾斜角度を説明するための説明図である。
【図11】本発明の実施の形態におけるそぎ切りでの何人前の刺身が取れるかを瞬時に判断可能としたまな板の平面図である。
【図12】本発明の実施の形態における平造りの場合のまな板の平面図である。
【図13】本発明の実施の形態における平造りの場合のまな板の正面図である。
【図14】本発明の実施の形態における図12に示すまな板での切込み用ガイドスリットの水平面、垂直面での傾斜角度を説明するための説明図である。
【図15】(a)(b)は本発明の実施の形態における別の例のまな板の平面図及び側面図である。
【図16】本発明の実施の形態における別の例のまな板の正面図である。
【図17】(a)(b)は本発明の実施の形態における更に別の例のまな板の側面図及び正面図である。
【図18】(a)(b)は本発明の実施の形態におけるドリップ滴下用の穴を形成した場合のまな板の平面図及び正面図である。
【図19】本発明の実施の形態におけるまな板の他の例の平面図である。
【図20】本発明の実施の形態におけるまな板のさらに他の例の平面図である。
【図21】本発明の実施の形態におけるドリップ滴下用のミシン目を横方向に形成した場合のまな板の平面図である。
【図22】本発明の実施の形態におけるミシン目を縦方向に形成した場合のまな板の平面図である。
【図23】本発明の実施の形態におけるミシン目で図柄を形成した場合のまな板の平面図である。
【図24】本発明の実施の形態におけるそぎ切り用のまな板にドリップ滴下用のミシン目を形成した場合のまな板の平面図である。
【図25】本発明の実施の形態における平造り用のまな板にドリップ滴下用のミシン目を形成した場合のまな板の平面図である。
【図26】(a)(b)は本発明の実施の形態における柵を調理する場合の正面図及び平面図である。
【図27】(a)(b)は本発明の実施の形態におけるまな板の裏面に吸水シートを設けた場合の正面図及び要部拡大断面図である。
【図28】本発明の実施の形態におけるミシン目を形成したまな板の裏面に吸水シートを設けた場合の要部拡大断面図である。
【図29】(a)(b)は本発明の実施の形態における真空パック処理を行なう場合の説明図である。
【図30】本発明の実施の形態における真空パック処理をしたサシミ商品の平面図である。
【図31】本発明の実施の形態における真空パック処理を行なう場合の説明図である。
【図32】本発明の実施の形態における真空パック処理をしたサシミ商品の平面図である。
【図33】従来例の刺身を造る場合の図である。
【図34】従来例の刺身を造る場合の説明図である。
【図35】(a)(b)は従来例の刺身を造る場合の説明図である。
【図36】従来例の刺身を造る場合の説明図である。
【図37】(a)〜(c)は従来例の刺身を切った後の説明図である。
【図38】従来例の真空パック処理をする場合の説明図である。
【図39】従来例の真空パック処理をする場合の説明図である。
【図40】従来例の真空パック処理後のサシミ商品の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。本発明のサシミ用まな板10は、魚を3枚おろしして、背身や腹身などの刺身下ごしらえ用の柵を切る場合に適したまな板である。特に、魚の尻尾側に至るほど幅や厚みが狭く、薄くなっている柵の場合でも、同じ大きさ(面積)や重さに刺身片が切れて、綺麗に刺身を造ることができるようにしたものである。
【0037】
図1はまな板10の斜視図を示し、図2はまな板10の側面図を示している。また、図3はまな板10の平面図を、図4はまな板10の正面図をそれぞれ示している。まな板10の端部側には、断面を略半円状とした突条部11が該まな板10の横方向に全長にわたって一体に形成されている。この突条部11は例えば、一体成型により形成している。
【0038】
また、このまな板10の材料は、透光性の材料、例えば、ポリプロピレンで形成しており、また、まな板10の厚みは、0.5mmから1mmぐらいとしている。なお、まな板10には上記突条部11を一体にリブ状に形成しているので、まな板10に剛性を付与できて、厚さを少々薄くしても撓むこともない。
【0039】
そして、該まな板10の裏面には、柵の平面形状に略対応させて外周だけをラインで縁取った姿絵12を印刷等の手段により形成している。まな板10を透明あるいは半透明の透光性としているので、裏面に形成した姿絵12をまな板10の上面から見えることができるようになっている。
この姿絵12は、刺身下ごしらえ用の柵と上から見て同様な形状とし、右側が魚の頭部側であり、左側が尻尾側に対応させ、尻尾側に至るほど幅が狭く描かれている。
【0040】
まな板10の突条部11には所定の間隔でもって多数の切込み用ガイドスリット13が該突条部11を上下方向全体を切る形で切り欠き形成されている。ここでは、図3に示すように、柵の頭部側の部分は幅や厚みが略一定となっているので、頭部側の部分は、少し斜めで一定の厚みで切っていき、尻尾側になると、刺身の頭部側に傾くように切込み用ガイドスリット13が形成されている。
この切込み用ガイドスリット13間が刺身一切れ(刺身片)の厚みにほぼ対応させており、また、切込み用ガイドスリット13の数は後述するように実際は多く設けているが、図示例では、見易いように少なくした場合を示している。
【0041】
図3は切込み用ガイドスリット13の水平面上での傾きを示しているが、図4は切込み用ガイドスリット13の垂直面上での傾きを示している。すなわち、尻尾側ほど幅が狭く、厚みが薄くなる柵は、切った後の尻尾側の刺身片も頭部側の刺身片とほぼ同じ大きさや重さにする必要があるために、尻尾側に至るほど包丁1の刃2の傾きを水平面上及び垂直面上において徐々に頭部側が傾けていく必要がある。
図3に示すように、切込み用ガイドスリット13は水平面上で突条部11を前後方向に切り欠くように形成され、また、垂直面上で図4に示すように、上下方向に切り欠くように形成されている。
【0042】
そこで、職人さんが柵を切っていく場合と同様な包丁1の水平面上及び垂直面上での振り角度になるように、上記切込み用ガイドスリット13の水平面上及び垂直面上での傾きを該切込み用ガイドスリット13に持たせているものである。
垂直面上では、図4に示すように、柵の頭部側に少し斜めに傾斜した状態から、尻尾側に至るほど頭部側が傾くように切込み用ガイドスリット13をそれぞれ形成している。
【0043】
また、図3に示すように、各切込み用ガイドスリット13に対応させて直線状に切り込み用のガイドライン14をそれぞれまな板10の裏面に印刷等の手段にて形成している。また、このガイドライン14もまな板10の上面から見て見えるようになっている。
このガイドライン14は、水平面上における切込み用ガイドスリット13と同じ角度で傾斜させたものであり、切込み用ガイドスリット13と該切込み用ガイドスリット13と対応したガイドライン14とは同方向となっている。そして、包丁1の刃2の先を切込み用ガイドスリット13に入れてから垂直面上の刃2の傾斜角度はそのままにして、包丁1をガイドライン14に従って切ることで、水平面上及び垂直面上での包丁1の傾きを維持させたまま柵を綺麗に切っていくことができるようになっている。
【0044】
図5はまな板10に形成した突条部11の他の例を示し、図5(a)は断面を略コ字型としたものであり、図5(b)は断面を略逆V字型にしたものである。また、図3、図5等では、突条部11をまな板10の端縁より内側に形成していたが、図6に示すように、突条部11をまな板10の端縁に一体に形成するようにしても良い。なお、図6(a)は突条部11を断面を略半円状としたものであり、図6(b)は突条部11を断面を略コ字型とし、図6(c)は突条部11を断面を略逆V字型にしたものである。
なお、突条部11をまな板10の後部側に形成していたが、突条部11を包丁1の握り手側となるまな板10の前部側に形成するようにしても良い。
【0045】
図7〜図9は刺身下ごしらえ用の柵17をまな板10の上面に載せて切る場合を示しており、先ず、柵17を姿絵12に合わせるようにして載せるが、柵17の尻尾側を姿絵12の尻尾側に合わせて載せるようにするものであり、この載せ方が柵17のまな板10への定位置である。
【0046】
ここで、説明の便宜上、各切込み用ガイドスリット13にアルファベットを添えて、切込み用ガイドスリット13A〜13Lとして説明する。柵17の頭部側は幅も厚みもほぼ一定なので、切込み用ガイドスリット13L〜13Fまでは、該切込み用ガイドスリット13L〜13Fの水平面上及び垂直面上での傾きは同じとしている。
そして、切込み用ガイドスリット13E〜13Aは、尻尾側に至るほど水平面上及び垂直面上での傾きは頭部側に傾くようにしている。なお、柵17の両側の部分は、中央部分の大きさと同じ大きさの刺身片を取ることができないので、柵17の両側は利用せずに、他の料理、例えば、ちらし寿司などの具として使用される。
【0047】
包丁1で柵17を切っていく場合、柵17の左右のどちらから切っていっても良いが、説明の便宜上、柵17の右側から切っていく場合で説明する。なお、図7に示すような柵17の切り方は、そぎ切りと言われるものであり、左側から切っていく。
【0048】
図8に示すように、包丁1の刃先を突条部11の右端の切込み用ガイドスリット13Lに入れる。刃先を切込み用ガイドスリット13Lに入れることで、刃先の水平面上及び垂直面上での傾きが該切込み用ガイドスリット13Lにより決められる。そして、その水平面上及び垂直面上で傾斜角度が付いた状態で図9に示すように、包丁1を降ろし、手前に引いて柵17を切る。切込み用ガイドスリット13Lに入れた刃2は、当該切込み用ガイドスリット13Lに対応させたガイドライン14に従って切っていく。
なお、柵17をまな板10の上に置いた場合、柵17によりガイドライン14の中央部分が隠れるが、ガイドライン14の下部は見えているので、該ガイドライン14の下部を目安として包丁1にて容易に切っていくことができる。
【0049】
このように刃2を切込み用ガイドスリット13Lから左側の切込み用ガイドスリット13K・・・へ入れて、ガイドライン14に従って切っていく。また、切込み用ガイドスリット13Eでは、尻尾側に近づくので、切込み用ガイドスリット13Fよりは水平面上及び垂直面上での傾きが、頭部側にさらにそれぞれ傾斜している。
包丁1の刃先を切込み用ガイドスリット13Fに入れると、その状態で水平面上及び垂直面上での刃2の傾斜角度が該切込み用ガイドスリット13Fにより自動的に決められ、その角度でもってガイドライン14に従って柵17を切っていく。
【0050】
柵17の尻尾側の切込み用ガイドスリット13Aにおいても同様であり、切込み用ガイドスリット13Aに包丁1の刃先を入れることで、刃2の水平面上及び垂直面上の傾きは、該切込み用ガイドスリット13Aにより決められ、その決められた水平面上及び垂直面上の傾斜角度でガイドライン14に従って柵17を切っていく。
【0051】
図10は、包丁1の刃2の水平面での傾斜角度と、垂直面での傾斜角度が各切込み用ガイドスリット13によって決められる場合を図示したものであり、(a)は、包丁1の刃2の水平面における傾きを決める切込み用ガイドスリット13の水平面の傾きを示し、(b)は刃2の垂直面における傾きを決める切込み用ガイドスリット13の垂直面の傾きを示している。
ここで、図10(a)は、水平面で真上から見た場合を示し、(b)は(a)の矢印方向を見た刃2の垂直方向に対応した図である。(a)において、切込み用ガイドスリット13Lの水平面での前後方向の線を水平基線24とし、(b)において、下方に刃2を降ろす上下方向の線を垂直基線26とする。
【0052】
切込み用ガイドスリット13Lにおける水平面での傾斜角度(傾き)α3をゼロとしている。一方、垂直面上において初めから刃2を傾けて柵17を切っていくので、(b)に示すように、垂直基線26を基線として、この垂直基線26に対して刃2の傾斜角度に対応した切込み用ガイドスリット13Lの垂直面での傾斜角度をβ3(≠0)としている。
【0053】
次に、切込み用ガイドスリット13Dにおいては、水平面における刃2の傾斜角度に対応した該切込み用ガイドスリット13Dの水平面での傾斜角度は、水平基線24に対してα2だけ傾斜し、同時に(b)に示すように、垂直面における刃2の傾斜角度に対応した該切込み用ガイドスリット13Dの垂直面での傾斜角度を垂直基線26に対して傾斜角度β3より大きいβ2に傾斜させている。
この切込み用ガイドスリット13Dに包丁1の刃先を入れると、刃2の水平面の傾斜角度はα2に、垂直面での傾斜角度はβ2にそれぞれ自動的に決められ、その水平面上及び垂直面上での傾斜角度を維持させながら、該切込み用ガイドスリット13Dに対応したガイドライン14に従って柵17を切っていく。
【0054】
そして、最後に、柵17の尻尾側の切込み用ガイドスリット13Aにおいては、水平面における切込み用ガイドスリット13Aの傾斜角度αは、水平基線24に対してα2より大きいα1に傾斜させ、同時に(b)に示すように、垂直面における切込み用ガイドスリット13Aの傾斜角度を垂直基線26に対してβ2より大きいβ1に傾斜させる。
この切込み用ガイドスリット13Aに包丁1の刃先を入れると、刃2の水平面の傾斜角度はα1に、垂直面での傾斜角度はβ1にそれぞれ自動的に決められ、その水平面上及び垂直面上での傾斜角度を維持させながら、該切込み用ガイドスリット13Aに対応したガイドライン14に従って柵17を切っていく。
【0055】
このように、柵17の尻尾側にいくほど、柵17の幅が狭くなり、また柵17の厚みが薄くなっていく場合には、尻尾側に至るほど包丁1の刃2が水平面及び垂直面において頭部側に順次傾くように各切込み用ガイドスリット13を形成しているので、所定の厚みに切った後の各刺身片の大きさや重さをほぼ同じものとすることができる。
これにより、鮮魚を捌く職人でなくても、鮮魚店、食品スーパー、飲食店のパート従業員の人でも、単にまな板10に形成した突条部11の各切込み用ガイドスリット13に包丁1の刃先を入れて、該切込み用ガイドスリット13に対応したガイドライン14に沿って柵17を切っていくことで、水平面及び垂直面での刃2の振り角度を容易に変えながら切っていくことができ、刺身片をほぼ同じ大きさや重さに簡単に綺麗な刺身を造ることができる。しかも、短時間で刺身を造ることができる。
【0056】
なお、上記の実施形態では、まな板10の裏面に姿絵12及びガイドライン14を設けていたが、姿絵12及びガイドライン14を設けずに、突条部11だけを形成するようにしても良い。すなわち、突条部11に形成した各切込み用ガイドスリット13は、包丁1の刃先を入れるだけで、包丁1の刃2の水平面上及び垂直面上の角度が自動的に決められるので、柵17を突条部11の切込み用ガイドスリット13に概略合わせて切っていくだけで、各刺身片の大きさや重さをほぼ同じものに切ることができ、綺麗にお刺身を造ることができる。
【0057】
かかる場合においても、鮮魚を捌く職人でなくても、鮮魚店、食品スーパー、飲食店のパート従業員の人でも、単に突条部11の切込み用ガイドスリット13に刃先を入れてから柵17を切っていくだけで、簡単に刺身を造ることができ、しかも、短時間で刺身を造ることができる。
また、姿絵12あるいはガイドライン14のいずれか一方をまな板10の裏面に形成した場合でも上記と同様の効果を得ることができる。
【0058】
また、魚の種類や大きさは多様ではあるものの、一般に流通している魚の大きさは、ある程度限られており、これらの魚の大きさや形状に合わせて突条部11の切込み用ガイドスリット13や、ガイドライン14を形成するようにしている。この場合でも、突条部11に形成する切込み用ガイドスリット13もそれほど多くはなく、それぞれの魚の大きさ、形状に合わせて容易に形成できるものである。
【0059】
また、まな板10の上面に柵17を単に置いただけでは、この柵17から何人前の刺身が出来るのかを判断するのは容易ではない。そこで、5切れの刺身片を1人前とした時に、5切れ目の刺身片を切るときのガイドライン14の下方に何らかのマークを付けておき、このマークにより容易に何人前の刺身が出来るかを判断するようにしても良い。
かかる場合、柵17の尻尾側を姿絵12の尻尾側に合わせた定位置に載せることで、上記マークにより何人前の刺身ができるかが、職人ではない一般のパート従業員の人でも容易に判断することができる。
【0060】
図11は、5切れを一人前として、5切れごとにガイドライン14の下端を伸ばして何人前の刺身が造れるかの判断が瞬時に出来るようにしたものである。すなわち、下方へ伸ばしたガイドラインをガイドライン14aとし、この例では、5人前の刺身が判断できるようにしている。これにより、柵17の尻尾側を姿絵12の尻尾側に合わせた定位置に載せることで、上記ガイドライン14aにより何人前の刺身ができるかが、職人ではない一般のパート従業員の人でも瞬時かつ容易に判断することができる。
また、各ガイドライン14aの下方に何人前に応じた数字をまな板10の裏面に形成するようにしても良い。この場合、まな板10の上から見た場合に正常に数字が見えるように、まな板10の裏面には逆に数字が印刷されることになる。
【0061】
図12は、平造りと言われる魚の捌き方に対応して突条部11の切込み用ガイドスリット13を形成したまな板10を示し、このまな板10での魚の捌き方は、右から左方にかけて柵17に包丁1を入れて切っていく方法である。図12はまな板10の平面図を示し、図13はまな板10の正面図を示している。
この実施形態では、柵17に対応した姿絵12の中央部分から左方にいくほど切込み用ガイドスリット13が水平面上で尻尾側に徐々に傾く方向に形成されている。また、本実施形態では、包丁1は真下に切っていくものであり、垂直面上での刃2の傾きは無い。
【0062】
包丁1の刃先を入れることで、水平面上での刃2の傾斜角度が決定され、そのまま、ガイドライン14に沿って切っていくだけである。このように、切込み用ガイドスリット13により所定の厚みに切った刺身片は、それぞれ大きさや重さをほぼ同じにすることができる。
なお、図12においては、各ガイドライン14の下端は同じ位置となっているが、図11に示すように、刺身の1人前ごとに対応したガイドライン14を長く形成するようにしても良く、また、マークを付けて分かるようにしても良い。これにより、柵17から何人前の刺身が取れるか瞬時に判断することができる。
【0063】
図14は、突条部11の各切込み用ガイドスリット13の水平面での傾斜角度を図10の場合と同様に示したものであり、説明し易いように適宜な箇所の切込み用ガイドスリット13にアルファベットを記載する。なお、実際のまな板10にはアルファベットは記載されていない。
図中のAからNまでの切込み用ガイドスリット13は水平面で傾斜角度α4をゼロとし、これを図10の場合と同様に水平基線24とする。途中のOにおいては、水平面における切込み用ガイドスリット13の傾斜角度は、水平基線24に対して尻尾側に傾くようにしてα3だけ傾斜させて切込み用ガイドスリット13に刃先を入れ、該切込み用ガイドスリット13に対応したガイドライン14に沿って柵17を切っていく。
【0064】
次に、柵17の尻尾側のTにおいては、水平面における切込み用ガイドスリット13の傾斜角度は、水平基線24に対してα3より大きいα2に傾斜させ、この傾斜角度α2でもって刃2を切込み用ガイドスリット13からガイドライン14に従って切っていく。
そして、最後に、柵17の尻尾側のZにおいては、水平面における切込み用ガイドスリット13の傾斜角度は、水平基線24に対してα2より大きいα1に傾斜させている。切込み用ガイドスリット13に刃先を入れて、そのままガイドライン14に従って柵17を切っていく。
【0065】
このように、平造りにおいては、尻尾側に形成する切込み用ガイドスリット13を、該尻尾側に至るほど水平基線24に対する傾斜角度αを尻尾側に至るほど該切込み用ガイドスリット13を水平面上において順次尻尾側に傾くようにしている。
【0066】
この実施形態では、上記と同様に切込み用ガイドスリット13に包丁1の刃先を入れるだけで、水平面上における刃2の傾斜角度が自動的に決められ、姿絵12の定位置に載せた柵17をそのままガイドライン14に従って切っていくことで、所定の厚みに切った各刺身片は大きさや重さをほぼ同じとなり、見映えの良い刺身を造ることができる。
これにより、鮮魚を捌く職人でなくても、鮮魚店、食品スーパー、飲食店のパート従業員の人でも、単に包丁1の刃先を切込み用ガイドスリット13に入れてからガイドライン14に沿って切っていくだけで、簡単に刺身を造ることができ、しかも、短時間で刺身を造ることができる。
【0067】
なお、本実施形態においても、切込み用ガイドスリット13を設けた突条部11のみを形成しておき、まな板10の裏面には切込み用ガイドスリット13や姿絵12を設けなくても良い。この場合でも突条部11側に柵17を合わせることで、所定の大きさや重さの刺身を造ることができる。しかし、切込み用ガイドスリット13や姿絵12を設ける方が好適例である。
【0068】
次に、まな板10の別の実施形態を説明する。図15(a)はまな板10の平面図を、(b)はまな板10の側面図をそれぞれ示している。また、図16はまな板10の正面図を示している。なお、図15及び図16においては、切込み用ガイドスリット13やガイドライン14の数は簡略化しているために、数は先の実施形態と比べて少なくなっているが、実際には図11に示すような数である。
【0069】
本実施形態においては、突条部11の断面を略への字型に形成し、垂直に折曲した垂直片15と、この垂直片15の上端より略45°の角度で下方へ折曲した傾斜片16とで突条部11を構成している。
また、突条部11に切り欠き形成している各切込み用ガイドスリット13は先の実施形態と同様に水平面上及び垂直面上において所定の傾斜角度を有している。そして、各切込み用ガイドスリット13は上方に至るほど拡開するように略V字型に形成されている。
【0070】
図17は更に別のまな板10の実施形態を示し、図17(a)はまな板10の側面図を、(b)はまな板10の正面図をそれぞれ示している。図16に示す先の実施形態におけるまな板10は、板材を折曲して突条部11の内部を中空としていたが、図17に示す実施形態では、突条部11の内部が詰まった中実とし、成型などで形成するようにしている。
この図17においても切込み用ガイドスリット13の数は簡略化して少なくしている。また、突条部11の背面は上記垂直片15の場合と同様に垂直となっており、突条部11の前面も上記傾斜片16と同様の角度でもって傾斜面となっている。さらに、切込み用ガイドスリット13の略V字型の形状は、図16の場合と同様である。
【0071】
図15〜図17に示す実施形態では、切込み用ガイドスリット13の形状を略V字型としているので、包丁1の刃2が入れ易く、また、切込み用ガイドスリット13の水平面上及び垂直面上の傾斜角度が見易く、包丁1の刃先を入れ易く、作業性を向上させることができる。更には、突条部11の背面を垂直としているので、先の実施形態の突条部11と比べて切込み用ガイドスリット13に入れる際に垂直面から後方に出るために、刃先が邪魔にならず、刃2を切込み用ガイドスリット13にスムーズに入れることができる。
【0072】
上記各実施形態におけるまな板10では、該まな板10の裏面に姿絵12やガイドライン14を印刷、コーティング等にて形成しており、そのため、まな板10の上面で柵17を包丁1で切っていっても姿絵12やガイドライン14には包丁1の刃2で傷がつくこともなく、また刃2で姿絵12やガイドライン14等が剥がされることもない。したがって、長期にわたって使用することができる。
また、姿絵12、ガイドライン14等をまな板10の上面に形成した場合、包丁1で剥がされた姿絵12やガイドライン14のインキが食品である柵17に付着することもなく、非常に衛生的である。
【0073】
ところで、魚を3枚おろしした背身や腹身などの柵や、この柵を切って刺身とした魚肉からは、ある程度の時間や日が経つと赤色状のドリップ(魚肉汁)が出てくる。特に、小売店やスーパーでは、柵や刺身がパックに入れられており、パック内に敷いてある大根のけんにドリップが移ってけん自体が赤くなっているのを見るのはよくあることである。
また、大根のけんが敷かれておらず、樹脂製のパック内に直接、魚丸ごとや柵が入れてある場合には、パックの底面にドリップが溜まり、この溜まっているドリップに魚や柵が浸かっている場合も多々見かけるものである。
【0074】
ドリップに浸かっている魚やおろした柵を買って自宅でまな板の上に載せて調理をする場合でも、魚やおろした柵からドリップが出ている状態となっている。また、ドリップが柵から出ていない状態で買って帰っても、買ってから何時間か経過したり、明くる日に調理を行なう場合には柵からドリップが出てきている。かかる場合、まな板の上に柵を載せた状態において、柵からドリップが出ているので、柵がドリップに浸かっているような状況で調理を行なうことになる。
【0075】
ドリップに浸かっていた柵や、ドリップが出ている状況で柵を調理する場合には、該ドリップにより柵のうま味が無くなり、魚自体、あるいは刺身がまずくなってしまう。既にドリップに浸かっている柵はうま味を回復することは困難であるが、調理をする段階でドリップが出てきているような魚やおろした柵は、出来得る限りドリップを除去しなければうま味が無くなってしまう。
【0076】
しかしながら、現状のまな板では、ドリップ除去対策がされておらず、柵を薄く切って刺身を造っている場合、常時柵がドリップに接触ないし浸かっている状態となっている。かかる場合、やはり、刺身がドリップによりうま味が無くなり、お皿に刺身を綺麗に盛っても刺身はまずいので、期待外れとなる。
【0077】
そこで、魚肉汁であるドリップ対策を施したまな板10を図18に示す。なお、図18やそれ以降の図面には、姿絵12やガイドライン14等は図示省略している。図示するように略全面にわたってドリップ滴下用穴として小さな穴30を多数穿設し、この穴30を介して魚や、捌いた刺身下ごしらえ用の柵から出たドリップを該まな板10の上面(表面)側から裏面側へ滴下させるようにしている。なお、これらの穴30は、パンチングや成型時に穿孔するようにしている。
【0078】
これにより、柵から出ているドリップは、穴30を介してまな板10の裏面に滴下されることで、調理中に柵の下面がドリップに浸かるということを可能な限り防ぐことができ、魚や柵のうま味を保持することができる。
【0079】
図19は、まな板10に穿孔する穴30の数を減らしたものであり、また、図20はまな板10の横方向に穴30を直線状に穿孔して、3条形成したものである。かかる場合においても、図18の場合と同様の効果を得ることができる。
【0080】
図21は、まな板10の横方向にミシン目40を入れたものであり、このミシン目40は上下方向に図示例では3条形成している。すなわち、ドリップが滴下し易いまな板10の中央部分に1条、上下にそれぞれ1条形成している。ミシン目40の本数は3条に限らず、4条以上形成しても良い。なお、ミシン目40の各スリット41がドリップ滴下用穴とし、このスリット41はまな板10の上下面に貫通している。
【0081】
図22はミシン目40をまな板10の縦方向に形成したものであり、また、図23はミシン目40で魚の絵を書いたものであり、ミシン目40にて図案化したものである。もちろん、魚の図に限らず、ミシン目40によりどのような図案に形成しても良い。
【0082】
ミシン目40を形成したまな板10においても、図18の場合と同様の効果を得ることができる。
なお、まな板10の材料としては、上述したように透光性の樹脂製であり、厚さも上述したように0.5mm〜1mmの範囲で、また、一般に市販されている厚さのものとしても良い。
【0083】
図24は、図3あるいは図11に対応したそぎ切り用のまな板10にミシン目40を設けた場合のまな板10の平面図を示している。図25は、図12に対応した平造り用のまな板10にミシン目40を設けた場合のまな板10の平面図を示している。もちろん、ミシン目40の代わりに穴30を多数穿設するようにしても良い。
【0084】
図26は、上記穴30あるいはミシン目40を形成したまな板10の上面に、刺身下ごしらえ用の柵17を載せている状態を示している。なお、図26では、ミシン目40を形成したまな板10の例を示している。柵17から出ているドリップ18はまな板10に形成しているミシン目40の各スリット41を介して下方に滴下して、ドリップ18に柵17が浸からないようにしている。
【0085】
なお、図26では左右に木片などの支持台4を置き、この支持台4の上にまな板10を懸架して、ドリップ18が滴下し易いようにして、包丁1にて柵17を切るようにしている。また、まな板10の下方に新聞紙を置いて滴下したドリップ18を吸収するようにしても良く、また、支持台4を用いずに、新聞紙の上に直接まな板10を置いて調理するようにしても良い。
なお、まな板10の厚みが薄く、まな板10が撓む場合は、支持台4を複数本並べ、その複数本の支持台4の上にまな板10を置いて調理する。
【0086】
図27は、ドリップ滴下用の穴30を穿孔したまな板10の裏面にドリップを吸収するための吸水シート31を接着または剥離自在に設けたものである。図28はミシン目40を形成しているまな板10の要部拡大断面図を示している。
柵17から出たドリップ18は穴30あるいはミシン目40のスリット41を介してまな板10の裏面に滴下し、この滴下したドリップ18は吸水シート31に吸収されることになる。
【0087】
このように、まな板10の裏面に吸水シート31を設けていることで、図26に示すように、支持台4を用いたり、ドリップ18吸収用の新聞紙を用いる必要がなく、利便性を向上させることができる。また、ドリップ18は吸水シート31に吸収されるので、ドリップ18により他の箇所を汚すこともない。さらには、吸水シート31を剥離自在としている場合には、吸水シート31を何回も交換できて、衛生的にも良い。
【0088】
図29は、上記吸水シート31を接着あるいは剥離自在に裏面に配したまな板10ごと柵17を真空パックする場合を示しており、柵17の尻尾を姿絵12の尻尾に合わせてまな板10の上に位置させ、その状態のまま袋34内に入れ、その状態で真空パック処理を行なうようにしている。図29(a)は、比較的幅があり、厚みもある柵17の場合であり、図29(b)は、幅が狭くて、厚みも薄い柵17の場合である。
【0089】
図29は、手作業にて真空パックをする場合を示しており、柵17の尻尾をまな板10に形成されている姿絵12の尻尾に合わせた定位置にまな板10の上に載せ、その状態でまな板10ごと袋34に入れて真空パック処理をする。この真空パック処理をした商品をサシミ商品と称する。
特に、図29(b)に示すように、柵17の幅が狭く、厚みも薄い場合には、柵17のみを袋34に入れて真空パック処理をするのではなく、まな板10ごと真空パック処理するので、柵17を袋34内に入れ易く、また、柵17を定位置の状態、つまり、柵17をまな板10の姿絵12の定位置に合わせた状態で袋34内に入れることができる。
【0090】
また、まな板10には、リブ状の突条部11を形成しているので、この突条部11がまな板10の剛性を向上させており、そのため、比較的重い柵17の場合でも、まな板10が撓むこともなく、袋34に柵17を載せたまな板10を入れる場合でも、作業性を向上させることができる。
【0091】
図30は真空パック処理をした場合の図を示し、まな板10の上に柵17を載せて袋34に入れて真空パック処理をするので、まな板10及び柵17を袋34の略中央部分に綺麗に入れることができ、そのため、従来のように柵17が袋内に偏って位置するということがなく、商品価値を落とすこともない。
なお、真空パック処理をするまな板10は、上記吸水シート31を裏面に設けていないまな板10でも良く、この場合は、柵17を載せたまな板10ごと真空パック処理を行なう。また、図示例ではミシン目40を設けたまな板10の場合を示しているが、穴30を多数穿孔したまな板10の場合も適用できる。
【0092】
柵17をまな板10の上に載せて袋34内に入れて真空パック処理をするので、柵17をまな板10上の定位置に保持されることになり、真空パック処理後、袋34から柵17を載せた状態でまな板10を取り出した場合でも、柵17はまな板10の上に定位置に維持されているので、そのまま突条部11の切込み用ガイドスリット13に入れて、柵17を切っていくことができる。
【0093】
このように、真空パック処理をした後に、柵17からドリップが出ても、該ドリップはまな板10の穴30あるいはミシン目40のスリット41を介して滴下し、この滴下したドリップが吸水シート31に吸収され、柵17のうま味を保持することができる。また、真空パック処理をせずに、単に袋やパック内に柵17を入れておく場合には、柵17から出たドリップは吸水シート31に吸収されて、柵17がドリップに浸かるのを防止し、柵17のうま味を保持することができる。
【0094】
また、上記サシミ商品を購入した一般消費者や鮮魚店、飲食店のパート従業員などの人は、袋34の端を切って該袋34から柵17がまな板10上を動かないようにまな板10を袋34から取り出す。
そして、柵17はまな板10上に姿絵12に対して定位置に載っているので、調理者は、突条部11の切込み用ガイドスリット13に包丁1の刃先を入れ、ガイドライン14に沿って柵17を切っていくだけで、同じ大きさや重さの刺身を綺麗に簡単且つ迅速に造ることができる。
【0095】
図29及び図30は1つの柵17を袋34の中に入れて真空パック処理をする場合を示していたが、図31の場合は、複数種類あるいは複数の食材を袋34に入れて真空パック処理をする場合を示している。
まな板10の姿絵12の位置に柵17を載せ、他の箇所にはパック入りのワサビ42と大根のけん43を載せ、そのまま袋34に入れる。そして、真空パック処理を行なう。
【0096】
図32は、上記真空パック処理を施した後の袋34の平面図を示し、まな板10の上に柵17、ワサビ42、大根のけん43を載せた状態のままを維持しており、柵17、ワサビ42、大根のけん43が移動することなく、真空パック処理ができ、多数の柵17を真空パック処理してもそれぞれの食材が同じ位置を保持しているので、見栄えが良く、商品価値を落とすこともない。
【0097】
なお、まな板10に柵17のドリップを下方に滴下させる上記穴30やミシン目40を形成したり、穴30やミシン目40から滴下させたドリップを吸収させる吸湿シート31をまな板10の裏面に接着させた構成のものは、真空パック処理をする場合である。
吸湿シート31を設けずに、ドリップ滴下用の穴30やミシン目40を形成しているまな板10は、真空パック処理はせずに、単に柵17を切るのに用いる通常のまな板であり、例えば、まな板10のみ単独で販売されるタイプのものである。
【0098】
なお、図30〜図32においては、まな板10の裏面に形成されているガイドライン14や姿絵12は図示省略している。また、柵17を真空パック処理をする場合のまな板10や、単独で販売するまな板10は、抗菌処理が行なわれている。
【0099】
また、図15に示すまな板10の切込み用ガイドスリット13は、逆V字型にしていたが、他の実施形態のまな板10の切込み用ガイドスリット13にも適用できる。
さらに、まな板10の裏面に姿絵12やガイドライン14を形成しない場合には、まな板10の材料として透光性のものでも良いが、不透光性のものでも良い。この場合、材料としては樹脂製はもちろん木製でも良いが、樹脂製の方が製造し易いので、樹脂製が好適例である。
【符号の説明】
【0100】
1 包丁
2 刃
10 まな板
11 突条部
12 姿絵
13 切込み用ガイドスリット
14 ガイドライン
17 柵
18 ドリップ
24 水平基線
26 垂直基線
30 穴
31 吸水シート
40 ミシン目
41 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚の胴部から尻尾側にかけて幅が狭くなり、厚みも薄くなる刺身の下ごしらえ用の柵(17)を載せて該柵(17)を包丁(1)で切って刺身を造るまな板(10)であって、
前記まな板(10)の上面に該まな板(10)の長手方向の略全長にわたって突条部(11)を一体的に形成し、
前記突条部(11)に前記包丁(1)の刃先が入れられる切込み用ガイドスリット(13)を、該突条部(11)の横方向に刺身1切れ分の厚みにほぼ対応させた間隔で多数形成し、
魚の頭部側に対応して形成した前記切込み用ガイドスリット(13)の前後方向の線を水平面上での水平基線(24)とし、
前記切込み用ガイドスリット(13)の前記水平基線(24)に対する傾斜角度(α)を、切込み用ガイドスリット(13)の傾斜角度(α)が尻尾側に至るほど該尻尾側に傾くように順次大きくなるように形成し、
前記切込み用ガイドスリット(13)に刃先を入れた状態で水平面上での刃(2)の傾斜角度が決められた包丁(1)にて前記まな板(10)上に載せた前記柵(17)を切っていくようにしていることを特徴とするサシミ用まな板。
【請求項2】
魚の胴部から尻尾側にかけて幅が狭くなり、厚みも薄くなる刺身の下ごしらえ用の柵(17)を載せて該柵(17)を包丁(1)で切って刺身を造るまな板(10)であって、
前記まな板(10)の上面に該まな板(10)の長手方向の略全長にわたって突条部(11)を一体的に形成し、
前記突条部(11)に前記包丁(1)の刃先が入れられる切込み用ガイドスリット(13)を、該突条部(11)の横方向に刺身1切れ分の厚みにほぼ対応させた間隔で多数形成し、
魚の頭部側に対応して形成した前記切込み用ガイドスリット(13)の前後方向の線を水平面上での水平基線(24)とし、
前記切込み用ガイドスリット(13)の前記水平基線(24)に対する傾斜角度(α)を、切込み用ガイドスリット(13)の傾斜角度が尻尾側に至るほど頭部側に傾くように順次大きくなるように形成し、
魚の頭部側に対応して形成した前記切込み用ガイドスリット(13)の上下方向の線を垂直面上での垂直基線(26)とし、
前記切込み用ガイドスリット(13)の前記垂直基線(26)に対する傾斜角度(β)を、切込み用ガイドスリット(13)の傾斜角度(β)が尻尾側に至るほど頭部側が傾くように順次大きくなるように形成し、
前記切込み用ガイドスリット(13)に刃先を入れた状態で水平面上及び垂直面上での刃(2)の傾斜角度が決められた包丁(1)にて前記まな板(10)上に載せた前記柵(17)を切っていくようにしていることを特徴とするサシミ用まな板。
【請求項3】
前記突条部(11)は、断面形状を略へ字型の中空、あるいは三角形状の中実とし、該突条部(11)の背面を垂直面とすると共に、前面側は前記垂直面の上縁より略45°の角度で下方へ傾斜する傾斜面とし、前記切込み用ガイドスリット(13)の形状を上部が拡開する略V字型とていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサシミ用まな板。
【請求項4】
前記まな板(10)を透光性の材料で形成し、前記柵(17)の平面形状に概略対応させて縁取りした姿絵(12)を、前記切込み用ガイドスリット(13)に対応して柵(17)を載せるべく位置であって、該位置に対応したまな板(10)の下面に形成していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のサシミ用まな板。
【請求項5】
前記まな板(10)を透光性の材料で形成し、前記各切込み用ガイドスリット(13)の前後方向と同方向に前記包丁(1)で柵(17)を切っていく際のガイドとなるガイドライン(14)を前記まな板(10)の下面に形成していることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のサシミ用まな板。
【請求項6】
刺身の1人前ごとに対応させたガイドライン(14a)を他のガイドライン(14)より長く形成していることを特徴とする請求項5に記載のサシミ用まな板。
【請求項7】
魚や前記柵(17)から出る魚肉汁であるドリップ(18)を前記まな板(10)の裏面に滴下させる穴(30)を該まな板(10)に多数穿孔していることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のサシミ用まな板。
【請求項8】
ミシン目(40)を前記まな板(10)の上下方向、あるいは横方向に複数本形成し、前記ミシン目(40)のスリット(41)により、魚や前記柵(17)から出る魚肉汁であるドリップ(18)を前記まな板(10)の裏面に滴下させるようにしていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のサシミ用まな板。
【請求項9】
前記穴(30)、または前記ミシン目(40)のスリット(41)を介して前記まな板(10)の裏面側に滴下したドリップ(18)を吸水する吸水シート(31)を前記まな板(10)の裏面に接着あるいは剥離自在に設けていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のサシミ用まな板。
【請求項10】
前記請求項1〜請求項9のいずれかに記載のまな板(10)の上面に前記柵(17)を定位置に配し、該柵(17)を載せたまな板(10)ごと袋(34)に入れて真空パック処理をしていることを特徴とするサシミ商品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2011−234762(P2011−234762A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106041(P2010−106041)
【出願日】平成22年5月2日(2010.5.2)
【出願人】(510110518)
【Fターム(参考)】