説明

サスペンションメンバの取付構造

【課題】操縦安定性を保ったまま、NV性能を向上させる。
【解決手段】サイドマウント部100,200、300、400に加え、中央マウント部500を設けることで、サスペンションメンバ10とボデーフロア側50との車体幅方向(左右方向)の結合剛性を、サイドマウント部100,200,300,400と中央マウント部500とに分担させている。そして、サイドマウント部100,200,300,400と中央マウント部500との車体幅方向の結合剛性を調整することで、全体の車体幅方向の結合剛性を保ったまま、サスメンサイドメンバ12、14の上下方向の振動が低減するように、サイドマウント部100,200,300,400の車体幅方向の結合剛性を調整することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サスペンションメンバの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のサスペンションメンバと車体とを連結するサスペンションメンバの取付構造に関して、以下のような技術が開示されている
【0003】
例えば、特許文献1には、車体幅方向中央部において、リアフロアパネルの両端部がサイドメンバに結合されると共に、防振ラバーを介してサスペンションメンバがサスペンションマウティングブラケットに取り付けられている構成が開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、エクステンション部品の車両中央側面に結合された結合ブラケットを、リヤクロスバーで結合する構成が開示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献3には、直線状のサスペンションメンバの車体幅方向略中央部のブラケットが、サスペンションアームと反対方向にオフセットしたクロスメンバに連結された構成が開示されている。
【0006】
或いは、サスペンションメンバでなくエンジンマウントの取付構造に関し、特許文献4には、クロスメンバとその下方位置のサスペンションメンバとがそれぞれ掛け渡され、クロスメンバの略中央位置にエンジンマウントが取り付けられた構成が開示されている。
【0007】
また、車体下部の剛性を向上させるため、特許文献5には、各クロスメンバのうち少なくとも一方が、左右一対のフロアフレームとトンネル部との間に設けられた左右一対の取付補強部材を介してフロアフレームに連結される構成が開示されている。
【特許文献1】特開平09−193838号公報
【特許文献2】特開2003−063440号公報
【特許文献3】実公平05−005108号公報
【特許文献4】実公平07−007258号公報
【特許文献5】特開2001−180532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、タイヤから入力される振動がサスペンションメンバに加わると、この振動はサスペンションメンバと車体とを連結するマウント部を介して車体に伝わる。そして、車体に伝わった振動が車室内に伝わりロードノイズとなり、NV性能が低下する。
【0009】
ロードノイズを低下させるには、マウント部の剛性を下げて車体に伝達される振動を抑える方法が考えられる。
【0010】
しかし、マウント部の剛性を下げると、サスペンションメンバと車体との車体幅方向(左右方向)の結合剛性が低下する。このため、レーンチェンジや旋回時などに発生する横力でサスペンションメンバが車体幅方向に動きやすくなり、操縦安定性が悪化してしまう。
【0011】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、操縦安定性を保ったまま、NV性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために請求項1に記載のサスペンションメンバの取付構造は、サスペンションメンバと車体とを複数のマウント部を介して連結するサスペンションメンバの取付構造であって、前記サスペンションメンバの少なくとも四隅部に配置され、該サスペンションメンバと前記車体とを連結するサイドマウント部と、前記四隅部で囲まれた領域内に配置され、前記サスペンションメンバと前記車体とを連結する中央マウント部と、を備えることを特徴としている。
【0013】
請求項1に記載のサスペンションメンバの取付構造では、サスペンションメンバの少なくとも四隅部に配置されたサイドマウント部に加え、四隅部で囲まれた領域内にも中央マウント部が配置されている。
【0014】
このような構成とすることで、サスペンションメンバと車体との車体幅方向の結合剛性を、少なくとも四隅部のサイドマウント部と、四隅部の領域の内にある中央マウント部と、で分担することができる。よって、サイドマウント部と中央マウント部との車体幅方向の結合剛性の配分を調整することで、車体幅方向の全体(トータル)の結合剛性を低下させることなく、サイドマウント部の車体幅方向の結合剛性を調整し、車体に伝わる振動を低下させることができる。つまり、操縦安定性を保ったまま、NV性能を向上させることができる。
【0015】
請求項2に記載のサスペンションメンバの取付構造は、請求項1に記載の構造において、前記中央マウント部は、前記四隅部で囲まれた領域の中心部に設けられていることを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載のサスペンションメンバの取付構造では、四隅部で囲まれた領域の中心部に中央マウント部を設けている。よって、車体幅方向の結合剛性を四隅部のサイドマウント部に均等に配分できる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載のサスペンションメンバの取付構造によれば、操縦安定性を保ったまま、NV性能を向上させることができる。
【0018】
また、本発明に係る請求項2に記載のサスペンションメンバの取付構造によれば、車体幅方向の結合剛性を四隅部のサイドマウント部に均等に配分できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施形態のサスペンションメンバの取付構造について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、車体前方を矢印Fで、後方を矢印Rで、上方を矢印UPで、左方を矢印LHで、右方を矢印RHそれぞれ示している。また、車体幅方向は、矢印LH,RHの方向である。
【0020】
図1から図3に示すように、車体後方側に配置されたサスペンションメンバ(リアサスペンションメンバ)10は、車体前後方向を長手方向として、平行に配置された左右一対のサスメンサイドメンバ12、14を有している。更に、左右一対のサスメンサイドメンバ12、14は、車体幅方向を長手方向として平行に配置された前後一対のサスメンクロスメンバ16、18とによって、連結されている。これにより、サスペンションメンバ10は、平面視で略井型形状に形成されている。なお、図面上は簡略化している。
【0021】
図1と図2とに示すように、サスペンションメンバ10は、四隅部のサイドマウント部100,200,300,400及び中央部の中央マウント部500の合計5箇所所で、ボデーフロア側50に弾性的に連結(防振支持)されている。
【0022】
なお、詳細は別途説明するが、図3に示すように、サイドマウント部100,200,300,400は、サスペンションメンバ10に設けられたサスメン側サイドマウント部150,250,350,450と、ボデーフロア側50のボデーフロアサイドメンバ52,54に設けられたボデー側サイドマウント部110,210,310,410と、で構成されている。同様に中央マウント部500は、サスペンションメンバ10に設けられたサスメン側中央マウント部550と、ボデーフロア側50のボデーフロアクロスメンバ58に設けられたボデー側中央マウント部510と、で構成されている。すなわち、サスメン側サイドマウント部150,250,350,450とボデー側サイドマウント部110,210,310,410とが連結され、更に、サスメン側中央マウント部550とボデー側中央マウント部510とが連結されることで、図1と図2とに示すように、サスペンションメンバ10は、ボデーフロア側50に吊り下がるように連結される。
【0023】
図1から図3に示すように、ボデーフロア側50は、車体幅方向の左右の側部に沿って、それぞれ平行に車体前後方向を長手方向とするボデーフロアサイドメンバ52,54を有すると共に、車体幅方向を長手方向とするボデーフロアクロスメンバ58がボデーフロアサイドメンバ52,54を繋いでいる。
【0024】
ボデーフロア側50のボデーフロアサイドメンバ52には、前述したサイドマウント部100,200を構成するボデー側サイドマウント部110,210が設けられている。同様に、ボデーフロアサイドメンバ54には、前述したサイドマウント部300,400を構成するボデー側サイドマウント部310,310が設けられている。また、ボデーフロア側50のボデーフロアクロスメンバ58の略中央部には、前述した中央マウント部500を構成するボデー側中央マウント部510が設けられている。
【0025】
また、サスメンサイドメンバ12、14のそれぞれ車体前方側の端部に、サイドマウント部200,400を構成するサスメン側サイドマウント部250,450が設けられている。更に、サスメンサイドメンバ12、14のそれぞれ車体後方側の端部の横に、サイドマウント部100,300を構成するサスメン側サイドマウント部150,350が設けられている。そして、サスメンクロスメンバ18の略中央部に中央マウント部500を構成するサスメン側中央マウント部550が設けられている。
【0026】
図5に示すように、後輪のタイヤ20のホイール22は、上下に略並行に配置され、各々車体幅方向を長手方向とするローアアーム24とアッパーアーム26とを介して、サスペンションメンバ10に支持されている。また、ローアアーム24とアッパーアーム26は、車体前後方向を軸方向とする回転軸32,34,36,38によって回転自在にホイール22とサスペンションメンバ10に支持されている。なお、図5は右側の後輪のみ図示しているが、左側の後輪も同様にサスペンションメンバ10に支持されている。
【0027】
つぎに、サイドマウント部100,200,300,400と中央マウント部500について詳しく説明する。
【0028】
まず、中央マウント部500について説明する。
【0029】
図4に示すように、中央マウント部500を構成するサスメン側中央マウント部550は、サスメンクロスメンバ18の車体幅方向の中央部から車体後方に向かって凸状となった中央サスメン側ブラケット552を備えている。中央サスメン側ブラケット552は上部が開口したコの字状の断面となっている。また、中央サスメン側ブラケット552の車体幅方向の中央部には、貫通孔554(図4(B))が車体前後方向に形成されている。
【0030】
中央マウント部500を構成するボデー側中央マウント部510には、下方に凸状となった中央ボデー側ブラケット512が設けられている。中央ボデー側ブラケット512の先端部には、車体前後方向を長手方向(軸方向)とするブッシュ516が溶接接合されている。
【0031】
図4(B)に示すように、ブッシュ516は、円筒状の内筒517と外筒519とを備えている。そして、内筒517と外筒519との間にゴム部材521を加硫接着することでブッシュ516が作られる。なお、ブッシュ516の中央部には貫通孔516A(内筒517)が車体前後方向に形成される。
【0032】
そして、中央サスメン側ブラケット552の上部から中央ボデー側ブラケット512を挿入し、ブッシュ516の貫通孔516A(内筒517)と中央サスメン側ブラケット552の貫通孔554とにボルト920を通し、ナット922で留めることで、サスメン側中央マウント部550とボデー側中央マウント部510とが連結されている。
【0033】
つぎに、車体前方側のサイドマウント部200,400について説明する。
【0034】
図3に示すように、サイドマウント部200,400を構成するサスメン側サイドマウント部250,450は、サスペンションメンバ10のサスメンサイドメンバ12,14の車体前方側の端部に設けられている。サスメン側サイドマウント部250,450には、上下方向を長手方向(軸方向)とする円筒状のブッシュ254,454が圧入されている(点線で図示しているブッシュ254も参照)。ブッシュ254,454は、内筒(図示略)と外筒(図示略)との間にゴムを加硫接着することで作られる。ブッシュ254,454は、中央部に貫通孔254A,454A(内筒)が上下方向に形成されている。
【0035】
サイドマウント部200、400を構成するボデー側サイドマウント部210,410には、下方に凸状となっているボデー側ブラケット212,412を有している。ボデー側ブラケット212,412は、中央部に貫通孔212A,412Aが上下方向に形成されている
【0036】
そして、ブッシュ254、452の貫通孔254A、454Aとボデー側ブラケット212,412の貫通孔212A、412Aとにボルト900を通し、ボデー側サイドマウント部210,410側からナット902で留めることで、サスメン側サイドマウント部250,450とボデー側サイドマウント部210,410とが連結されている。なお、ナット902はウエルドナットにすると良い。
【0037】
つぎに、車体後方側のサイドマウント部100,300について説明する。
【0038】
サイドマウント部100,300を構成するサスメン側サイドマウント部150,350は、サスペンションメンバ10のサスメンサイドメンバ12、14の後方端部の側部に設けられている。サスメン側サイドマウント部150,350には、それぞれ車体幅方向の外側方向に向かって平行に延びる一対のサイドサスメン側ブラケット152,352が設けられている。また、サイドサスメン側ブラケット152,352にはそれぞれ、貫通孔154,354が車体前後方向に形成されている。
【0039】
サイドマウント部100,300を構成するボデー側サイドマウント部110,310には、下方に凸状となっている一対のサイドボデー側ブラケット112,312が設けられている。一対のサイドボデー側ブラケット112,312には、先端部に車体前後方向を長手方向(軸方向)とする円筒状のブッシュ114,314が溶接接合されている(点線で図示しているブッシュ314も参照)。ブッシュ114,314は、内筒(図示略)と外筒(図示略)との間にゴムを加硫接着することで作られる。ブッシュ114,314は、中央部に貫通孔114A,314Aが車体前後方向に形成されている。
【0040】
そして、一対のサイドサスメン側ブラケット152,352の間に、サイドボデー側ブラケット112,312が挿入され、ブッシュ114,314の貫通孔114A,314Aとサイドサスメン側ブラケット152,352の貫通孔254,354にボルト900を通し、ナット902で留めることで、ボデー側サイドマウント部110,310とサスメン側サイドマウント部150,350とが連結されている。
【0041】
さらに、本実施形態では、図9に示すように、サスペンションメンバ10の四隅部で囲まれた領域Sの中心部、すなわち、四隅部を結ぶ対角線の交点P上に中央マウント部500が配置されている。
【0042】
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0043】
図5に示すように、凸凹が大きな路面の走行時等、後輪のタイヤ20に倒れ振動が加わると、図の点線から図の実線のように変形する。そして、サイドマウント部100,200,300,400において、上下方向と車体幅方向(左右方向)のボデーフロア側50への伝達力が発生する。
【0044】
図5のように変形した場合、図6に示すように、サスメンサイドメンバ12には、矢印Yで示すボデーフロア側50への上方向の伝達力に加え、矢印Xで示す右方向の伝達力が加わる。この矢印Xで示す右方向の伝達力によって、矢印Zで示す回転モーメントがかかる(回転モーメントはサスメンサイドメンバ12の湾曲によって発生する)。そして、矢印Yで示す上方向の伝達力と矢印Zで示す回転モーメントが、サスペンションメンバ10の上下振動となる。そして、このサスペンションメンバ10の上下振動は、サイドマウント部100,200,300,400を介して、ボデーフロア側50に伝わる。そして、ボデーフロア側50に伝わった振動が車室内に伝わりロードノイズとなり、NV性能が低下する。
【0045】
そこで、本実施形態では、図1から図3に示すように、サイドマウント部100,200、300、400に加え、中央マウント部500を設けることで、サスペンションメンバ10とボデーフロア側50との車体幅方向(左右方向)の結合剛性を、サイドマウント部100,200,300,400と中央マウント部500とに分担させている。
【0046】
そして、サイドマウント部100,200,300,400と中央マウント部500との車体幅方向の結合剛性(具体的には、ブッシュ114、214、314、414、516の車体幅方向の剛性)を調整することで、車体幅方向の全体(トータル)の結合剛性を維持したまま、サスメンサイドメンバ12、14の上下方向の振動が低減するように、サイドマウント部100,200,300,400の車体幅方向の結合剛性を変化(低減)させることが可能となる(サイドマウント部100,200,300,400からボデーフロア側50への車体幅方向の伝達力を調整できる)。
【0047】
なお、全体(トータル)の車体幅方向の結合剛性が維持されているので、レーンチェンジや旋回時などで発生する横力が加わっても、サスペンションメンバ10の車体幅方向への動きが抑えられる。よって、操縦安定性は保たれる。
【0048】
ここで、図5と図6とで説明した、矢印Yで示す上下方向の振動と矢印Xで示す車体幅方向の伝達力による上下方向の振動(矢印Zで示す回転モーメント)との位相を考える。
【0049】
すなわち、
【0050】
(1)上下方向(矢印Y)の振動と、車体幅方向(矢印X)の伝達力による上下方向の振動と、が同位相の場合(例えば、上下方向(矢印Y)の振動が上向きの場合、車体幅方向(矢印X)の伝達力による上下方向の振動も上向きとなる場合)と、
【0051】
(2)上下方向(矢印Y)の振動と、車体幅方向(矢印X)の伝達力による上下方向の振動と、が逆位相の場合(例えば、上下方向(矢印Y)の振動が上向きの場合、車体幅方向(矢印X)の伝達力による上下方向の振動は下向きとなる場合)と、
【0052】
を考える。
【0053】
(1)の場合は、中央マウント部500の車体幅方向の結合剛性(ブッシュ516の車体幅方向の剛性)を最大限増加させ、サイドマウント部100,200,300,400の車体幅方向の結合剛性(ブッシュ114、214、314、414の車体幅方向の剛性)をできるだけ低くすることで、車体幅方向(矢印X)の伝達力による上下方向の振動を少なくし、サスメンサイドメンバ12、14の上下方向の振動レベルを低減させる。
【0054】
(2)の場合は、伝達力と振動感度(図7参照)が同じになるように、サイドマウント部100、200、300、400と中央マウント部500との車体幅方向の結合剛性を配分することで、上下方向の振動と車体幅方向の伝達力による上下方向の振動とを相殺させ、サスペンションメンバ10のサスメンサイドメンバ12、14の上下方向の振動レベルを低減させる。
【0055】
なお、(2)の方が、上下方向(矢印Y)の振動と車体幅方向(矢印X)の伝達力による上下方向の振動とが相殺されるので、振動低減の効果が大きい。
【0056】
このように、サイドマウント部100,200,300,400と中央マウント部500との車体幅方向の結合剛性(具体的には、ブッシュ114、214、314、414、516の車体幅方向の剛性)を調整することで、サスメンサイドメンバ12、14の上下方向の振動レベルが低減するので、ボデーフロア側50の骨格振動が低減する。このため、パネル振動が低減し、耳位置音圧が低減する。つまり、ロードノイズが低減し、NV性能が向上する。
【0057】
なお、前述したように、全体(トータル)の車体幅方向の結合剛性は維持しているので、レーンチェンジや旋回時などに発生する横力が加わっても、サスペンションメンバ10の車体幅方向への動きが抑えられ、操縦安定性は保たれている。
【0058】
つぎに、本実施形態のサスペンションメンバ10とボデーフロア側50との取付構造における、振動感度と実走行時の振動レベルについて説明する。
【0059】
図7のグラフは、サスペンションメンバ10に所定の振動を与えた場合の、サスペンションメンバ10のサスメンサイドメンバ12、14のサイドマウント部100、200、300、400位置における上下方向の振動感度を示している。このグラフを見るとわかるように、ピーク周波数は100Hz付近となっている。また、全体の振動レベルは、上下方向の入力より車体幅方向(左右方向)の入力の方が低い。
【0060】
そして、図8のグラフは、実際の走行における、サスペンションメンバ10のサスメンサイドメンバ12、14の上下振動を示している。このグラフを見るとわかるように、従来よりもピーク周波数付近(100Hz付近)の振動レベルが大きく低下している。
【0061】
つまり、ボデーフロア側50に伝達される上下方向の振動が低下しているので、ロードノイズが低下する。つまり、NV性能が向上している。
【0062】
このように、本実施形態のサスペンションメンバ10とボデーフロア側50との取付構造は、操縦安定性を保ったまま、NV性能を向上させている。
【0063】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0064】
例えば、上記実施形態では、図9に示すように、サスペンションメンバ10の四隅部で囲まれた領域Sの中心部、すなわち、四隅部を結ぶ対角線の交点P上に中央マウント部500が配置されていたが、これに限定されない。本発明の効果が得られる範囲で、中心部(対角線上の交点P上)から、ずれていても良い。
【0065】
また、例えば、上記実施形態では、サスペンションメンバ10の四隅部には、それぞれ、一つのサイドマウント部100、200、300、400が設けられていたが、これに限定されない。四隅部に複数のサイドマウント部を設けた構成であっても良い(四隅部のサイドマウント部が複数のマウント部で構成されていても良い)。例えば、図10に示すように、サイドマウント部100、300が、それぞれ二つのサイドマウント部100A,Bとサイドマウント部300A,Bとで構成されていても良い。或いは、サイドマウント部が四隅部以外にも配置されていても良い。例えば、図示は省略するが、車体幅方向の左右それぞれに、車体前後方向に沿って3つのサイドマウント部が並んでいる構成であっても良い(合計で6つのサイドマウント部を備える構成)。
【0066】
また、同様に、中央マウント部も複数のマウント部で構成されていても良い。更に、サスペンションメンバ10の四隅部で囲まれた領域Sの中央側の複数箇所に中央マント部を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態に係るサスペンションメンバの取付構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るサスペンションメンバの取付構造を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るサスペンションメンバの取付構造を示す分解斜視図である。
【図4】中央マウント部を示す、(A)は斜視図であり、(B)は断面図である。
【図5】サスペンションメンバと後輪との取り付けを模式的に示す図である。
【図6】サスペンションメンバの上下方向の振動となる伝達力を説明する説明図ある。
【図7】サイドマウント部に入力するサイドメンバの上下方向の振動感度を示すグラフである。
【図8】実走行時のサスペンションメンバの上下振動を示すグラフである。
【図9】中央マント部の配置を説明するため説明図である。
【図10】四隅部のサイドマウント部が複数のマウント部で構成されている例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0068】
10 サスペンションメンバ
50 ボデーマウント側(車体)
100 サイドマウント部
200 サイドマウント部
300 サイドマウント部
400 サイドマウント部
500 中央マウント部
S 四隅部で囲まれた領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サスペンションメンバと車体とを複数のマウント部を介して連結するサスペンションメンバの取付構造であって、
前記サスペンションメンバの少なくとも四隅部に配置され、該サスペンションメンバと前記車体とを連結するサイドマウント部と、
前記四隅部で囲まれた領域内に配置され、前記サスペンションメンバと前記車体とを連結する中央マウント部と、
を備えることを特徴とするサスペンションメンバの取付構造。
【請求項2】
前記中央マウント部は、前記四隅部で囲まれた領域の中心部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンションメンバの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−30676(P2008−30676A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208171(P2006−208171)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】