説明

サツマイモスナックの製造方法

【課題】粉末のシーズニングに依らず、ハードキャンディのようなフレーバーリリースのよい被覆を施し、且つ製造時のブロッキングによるロスや作業不便性のない、サツマイモスナックの製造方法を提供すること。
【解決手段】サツマイモをスライスし40〜70℃の条件下で固形分40〜50重量%に調整した糖液に1〜10分間浸漬する工程、糖液に浸漬後のサツマイモチップを150〜200℃に調節した油にてフライする工程、フライしたサツマイモチップを縦型式遠心研磨機に投入し、70〜120℃の温風下で転動させながら粒径0.5mm以下に粉末化したキャンディを添加して、サツマイモチップ表面に付着したキャンディを80〜110℃の加熱下で融解させる工程を含むことを特徴とするキャンディコーティングサツマイモスナックの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サツマイモスナックの製造方法に関する。さらに詳しくは、スライスしたサツマイモチップの表面にアモルファス状のキャンディコーティングが施された、新規なスナック食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にスナック菓子とは穀類・芋類・豆類、あるいはその加工品、例えば小麦粉や澱粉、餅などを主原料に、そのままないしは加熱や副原料、加工助剤の添加などの前処理を施した後に成型し、熱風乾燥、油揚げ、マイクロ波乾燥、減圧乾燥、減圧油揚げ、減圧マイクロ波乾燥などにより水分を下げて手軽に食することができるようにした菓子である。
スナックの種類としては大きく分けて、スライスした素材を主原料とする「素材スナック」、小麦粉や加工澱粉などの粉末原料からなる「成形スナック」の二種類が挙げられる。
【0003】
素材スナックとして代表的なものは、ジャガイモを主原料とし、薄くスライスした後フライして得られる「ポテトチップス」である。ポテトチップスは素材本来の味を楽しめるだけではなく、パリッとした非常に軽い食感で広く普及しているスナック菓子である。しかし、主原料であるジャガイモの大きさや形状によって最終商品の品質に大きく影響し、ロスの多さに伴うコストアップが避けられないことがデメリットとして挙げられる。
【0004】
一方、成形スナックとは、粉末ポテトや小麦粉、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、加工澱粉などの粉末原料を主原料として、これらから得られる生地を圧延・型抜きや押し出しにより成形し、焼成やフライなどの工程を経て得られるスナック菓子のことである。ファブリケーションスナックとも呼ばれ、品質の安定性が特徴的であるが、成形スナックは粉末原料が主原料であるため、素材そのものの風味が乏しく、味覚が劣っているという欠点を有することが知られている。その欠点を解決するための研究もなされている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0005】
また、最近、消費者の嗜好の多様化や健康志向の高まりに即して、「噛む」ということを重視した、程良い歯ごたえのある商品が好まれている。さらに、健康意識の強い時代背景の中で素材そのものを活かした食品が好まれる現在、スナック菓子においても、野菜や果実を主原料とし繊維質を多く持つ素材を活かした繊維質の多い商品が求められている。
【0006】
そこで注目されたのが、サツマイモやゴボウ等の繊維質の多い素材を主原料としたスナックである。例えば、サツマイモとその他の野菜を併用したスナック(特許文献2参照。)、ゴボウをスライスしたスナック(特許文献3参照。)などが提案されている。
【0007】
サツマイモを主原料としたスナック菓子は、古来製造されてきた食品である。しかし、構成する食物繊維や澱粉質の違いから、サツマイモはジャガイモの場合に比べ、フライ後のスナックに含まれる油分が少なく、シーズニング粉末が結着しにくいという欠点が存在する。そのため、多種多様な嗜好に対応する必要のある現在において、ジャガイモを用いたポテトチップスナックのように数多くのバリエーションを作ることが困難であるのが現状である。
【0008】
シーズニングに頼らずスナックに甘味を付加する方法として、スナック表面にスプレー等を用いてアメ掛けする方法も用いられている(例えば特許文献4、5参照。)。しかし、これらアメ掛け処理の場合、高粘度の液状糖シロップを用いるため、不均一な被覆層をもたらしやすい。また、糖液の液状性を保つためには高温加熱が必要不可欠であり、これにより、糖液中の香料等その他組成物の劣化も経時的に起こってしまう。更に、スナック食品に対しては、糖液中に存在する水分がスナック自体へ移行してしまい、スナックが湿気てしまうこともデメリットとして挙げられる。
【0009】
キャンディを用いた被覆法として、香料を抱合させたハードキャンディを粉末化、粉がけ、更にそれを融解させることで、食品片に対してキャンディの被覆層を形成する方法も公開されている(特許文献6参照。)。ハードキャンディとは、砂糖や他の糖質を主成分として水飴などと共に煮詰め、水分量1.5〜3.5%で固体化したものであり、砂糖および他の原材料は非晶質(アモルファス)として存在していることが知られている。キャンディ中の香料等の組成物も非晶質中に包含されて存在するため、乾燥工程や日数の経過によりほとんど減少しないことが利点である。
【0010】
上記、特許文献6(特公昭38−16708号公報)に公開されている方法は、各種ナッツ類、膨化した各種穀物(シリアル)、コーン類、または澱粉質原料を使用したビスケット、クラッカー、せんべいなどの各種スナック類、またはキャンディ、チューインガム、ゼリーなどの菓子類の食品片上にキャンディの被覆層を形成するという種類のものである。固形化したハードキャンディを使用するため、高温加熱による糖液の劣化、香料の揮発、食品片への水分移行等も少ない優れた方法であるが、コーティングの際には油の添加が必要なだけではなく、食品片同士のブロッキングが非常に多いものとなってしまっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第2793763号公報
【特許文献2】特開2005−143387号公報
【特許文献3】特開2009−11214号公報
【特許文献4】特公昭53−20585号公報
【特許文献5】特開2005−27564号公報
【特許文献6】特公昭38−16708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記でも述べたように、サツマイモをチップ状スナックとした場合、シーズニング粉末の結着が悪いことが課題として挙げられる。シーズニングに代わる方法として、液状のキャンディを食品片に掛ける所謂アメ掛け法や、粉末状のキャンディを融解させてコーティングする方法等が公開されているが、これら方法も、食品片への水分移行や食品片同士のブロッキング等の課題を抱えたものとなっている。
【0013】
例えば、前記特許文献6は、食品片と加熱により融解する微粉砕キャンディ組成物粉末とを、シリンダー状で曲面又は多角の側面を有する回転ドラム、リール又は釜の中でタンブリングさせ、加熱により食品片の表面にキャンディ組成物粉末を融合付着させることで、実質的に均一かつ完全な被覆を形成する方法である。この方法を用いて、チップ状のスナックに対してキャンディコーティングを試みたところ、被覆物とキャンディの混合物は一様にブロックを形成してしまい、公報に記載通り、分離するためには多量の油分の添加が必要であることが示された。スナック食品に対して油分の添加は風味の減退に他ならず、スナック食品として負の要素を有するものとなってしまった。また、記載によると、食品片に対して均一なコーティングを施すには回転ドラムの回転速度の調整が非常に厳密であり、作業性も困難なものであることがうかがえた。
【0014】
本発明の目的は、粉末のシーズニングに依らず、ハードキャンディのようなフレーバーリリースのよい被覆を施し、且つ製造時のブロッキングによるロスや作業不便性のない、サツマイモスナックの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、作製したサツマイモスナックに対して、縦型式遠心研磨機を用いて粉末化キャンディのコーティングすることで、キャンディによるフレーバーリリースの良さを持ち、且つ製造時にチップの同士のブロッキングのないサツマイモスナックを製造可能な方法を完成させた。
【0016】
即ち、本発明は、サツマイモをスライスし40〜70℃の条件下で固形分40〜50重量%に調整した糖液に1〜10分間浸漬する工程、糖液に浸漬後のサツマイモチップを150〜200℃に調節した油にてフライする工程、フライしたサツマイモチップを縦型式遠心研磨機に投入し、70〜120℃の温風下で転動させながら粒径0.5mm以下に粉末化したキャンディを添加して、サツマイモチップ表面に付着したキャンディを80〜110℃の加熱下で融解させる工程、を含むことを特徴とするキャンディコーティングスナックの製造方法である。
【0017】
本発明では、摩擦係数の高い樹脂で壁面がコーティングされた、縦型式遠心研磨機を使用することが重要である。この装置を用いることで、サツマイモチップは常時遠心力と摩擦力の干渉を受けた状態にあるため、壁面に沿って回転もしくは移動する状態を維持しながらキャンディ粉末を表面に付着させることができる。これにより、サツマイモチップ同士の接着面積を著しく減じることができ、通常であれば被覆物同士の接着性が増してしまいブロッキングを生じてしまうところを、本製造方法では防ぐことが可能となった。
【発明の効果】
【0018】
本発明の製造方法によって得られるサツマイモスナックは、ジャガイモを主原料としたスナックとは異なる、サツマイモの素材性を活かしたスナックである。サツマイモスナックの欠点である油分の少なさから生じるシーズニング粉末の結着の悪さを、キャンディ粉末による被覆によって補った、サツマイモスナックの製造方法となっている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のサツマイモスナックの製造方法は、サツマイモをスライスし40〜70℃の条件下で固形分40〜50重量%に調整した糖液に1〜10分間浸漬する工程、糖液に浸漬後のサツマイモチップを150〜200℃に調節した油にてフライする工程、フライしたサツマイモチップを縦型式遠心研磨機に投入し、70〜120℃の温風下で転動させながら粒径0.5mm以下に粉末化したキャンディを添加する工程、投入したスナック表面に付着したキャンディを80〜110℃の加熱下で融解させる工程、を含む製造方法である。かかる製造方法により製造されるサツマイモスナックは、サツマイモの固形分35〜70重量%、砂糖15〜45重量%、油脂7〜30重量%を主成分とし、表面にキャンディコーティングを有する。
【0020】
本発明に用いられるサツマイモとしては、ヒルガオ科サツマイモ属サツマイモの塊根であればその品種・産地・作型は問わない。一般に入手・加工しやすいものを選べばよい。根のしっかりしたもので、最大径が8cm以下、長さ10〜20cmのものが歩留まりや加工のしやすさの点で好適で、流通量も多く入手しやすいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
本発明では、まず、サツマイモをスライスする。サツマイモのスライスは包丁やスライサーなどで簡単に作ることができる。前処理として水洗などにより皮に付着した土を落とす必要はあるが、皮自体は取り除いても取り除かなくても良い。スライスの形状は輪切りや斜め切り、短冊切りなどを適宜選択すれば良い。本発明ではスライス厚を規定していないが、チップ状スナック食品として0.5mm〜3.0mmの範囲が望ましく、更には望ましくは0.8mm〜2.0mmの範囲である。
【0022】
次いで、前記スライスしたサツマイモチップを、糖液に浸漬する。前記のスライスしたサツマイモチップを浸漬するために使用する糖液に用いる糖類としては、砂糖、白双糖、三温糖、黒砂糖などやこれを構成する単糖および二糖類を用いることができる。また、エリスリトール、パラチニット、マルチトール、キシリトールなどの糖アルコールや各種水飴も、後述のようにフライした状態で表面にべたつきを持たない範囲であれば適宜混合して使用できる。これらはそれぞれ単独で用いても良いが、2種類以上組み合わせて糖液を作製してもよい。中でも、取り扱いのしやすさやコスト面から砂糖を用いることが望ましい。砂糖としては一般的に流通されているものであれば特に限定はない。
【0023】
サツマイモチップを浸漬する糖液の固形分は40〜50重量%である。糖液浸漬の目的は、後述のフライ工程によってサツマイモ中の水分がすべて蒸発してしまいスナック内部が空洞状かつ崩壊しやすい構造となってしまうことを防止するためである。糖液浸漬により、スナックの食感として好ましいものとなるだけではなく、スナック自体の強度があがり、縦型式遠心研磨機の転動工程にも耐えうる構造となる。固形分が40重量%未満では上記効果が十分に得られず、また、固形分が50重量%を超えると糖液がスナックに浸漬しづらく、表面にとどまってしまうため、同様に求める効果が得られにくい。
【0024】
糖液にスライスしたサツマイモチップを浸漬する際の温度は、40〜70℃とする。40℃未満では作業性が悪くなり、70℃を超える温度に昇温しても効果の点でメリットはない。
【0025】
スライスしたサツマイモチップを糖液に浸漬する時間は1〜10分間であり、好ましくは1〜5分間である。浸漬時間が1分未満ではサツマイモ中に充分に糖液が浸透しないため浸漬効果が得られず、10分を超えると糖液の温度によりスライスしたサツマイモチップの熱変性が生じ易い。
【0026】
なお、サツマイモチップは、その全体が糖液中に沈んだ状態であればよいが、その一部が浮いた状態である場合には温度調整した糖液を浮いたサツマイモチップにかけながら浸漬を行ってもよい。
【0027】
糖液に浸漬したサツマイモチップは、次いで油でフライする。本発明でサツマイモチップをフライする際に用いられる油脂は、一般に使用される食用油脂であればどのようなものを用いてもよい。例えばオリーブ油、ゴマ油、大豆油、トウモロコシ油、綿実油、米油、落花生油、菜種油、パーム油、パーム核油、ヤシ油などが挙げられる。またはこれらのエステル化物や水素添加物などの加工油脂であってもよいし、二種類以上の混合品であってもよい。また酸化防止剤や、界面活性剤、消泡剤などを食味に影響しない範囲の量であれば適宜加えることができる。
【0028】
前記サツマイモチップのフライ工程は、150〜200℃、好ましくは170〜180℃の油で行う。フライ時間は、60〜240秒、好ましくは120〜180秒の条件で行うとよいが、フライ前のサツマイモチップの水分値や厚さによって適宜条件を選択する必要がある。なお、前記温度や時間が不足すると、膨化や水分の除去が不十分で望むクリスピーな食感が得られにくくなり、逆の場合は焦げが発生したり、油脂含量が高くなりすぎたりしてしまうという傾向があるので好ましくない。
【0029】
前記のようにフライしたサツマイモチップを、次いでを縦型式遠心研磨機に投入し、70〜120℃の温風下で転動させながら粒径0.5mm以下に粉末化したキャンディを添加して、サツマイモチップ表面に付着したキャンディを80〜110℃の加熱下で融解させる。
【0030】
キャンディ層を形成するために使用するキャンディは砂糖を主原料とするもの、糖アルコールや水飴を主原料とするものなどどのようなものでも使用できる。加えて、酸味料、着色料、香料などの添加物を適宜添加してもよい。
【0031】
キャンディコーティングに使用するキャンディは、粒径が0.5mm(30メッシュ)以下になるように粉末化したものであり、好ましくは粒径が0.25mm(60メッシュ)以下になるように粉末化したものである。上記範囲外の、より大きい粒子の粉末化キャンディにおいても、ある程度はキャンディコーティングに使用することができるが、微細粒子であるほどより容易にサツマイモチップ表面に付着し、且つより急速、均等に溶解するため速やかに均等なコーティングが行われる。
【0032】
キャンディコーティングを行う際の温度帯は使用するキャンディの組成により異なるが、70〜120℃、好ましくは80〜110℃の範囲である。70℃を下回る温度帯下でキャンディコーティングを行うと、キャンディが融解しないために被覆物表面へ付着しがたく、付着した際にも表面での融解が起こらずに被覆物に対して均一なコーティングを施すことが困難となる。また、キャンディコーティングを行うにあたり、投入したキャンディ粉末の融解に使用する熱源としては、70〜120℃の温度帯の温風が継続して送風可能のものであればどのようなものでも使用できる。一例として、適当な加熱コイルを備えたブロワー(代表的なものとしてエアーガンすなわち熱気ブロワー)が挙げられる。なお、上記の温度は、縦型式遠心研磨機に導入する温風の温度をいう。
【0033】
本発明においては、前記のように70〜120℃に加熱された温風下で縦型式遠心研磨機内を動転することで、該縦型式遠心研磨機内でサツマイモチップ表面に付着したキャンディを80〜110℃に加熱して融解させることができる。
なお、サツマイモチップの表面部分の温度は、放射温度計を用いて測定することができる。
【0034】
上記でも述べた通り、本発明では縦型式遠心研磨機を用いてキャンディコーティングを行っていることに特徴がある。本発明で使用する縦型式遠心研磨機は、摩擦係数の高い樹脂で研磨槽内部の壁面がコーティングされているため、内部に導入されたサツマイモチップは常時遠心力と摩擦力の干渉を受けた状態にある。それゆえ、内部のサツマイモチップは研磨槽内部の壁面に沿って回転もしくは移動する状態を維持しながら、キャンディ粉末をサツマイモチップの表面に付着させることができる。これにより、サツマイモチップ同士の接着面積を著しく減じることができ、ブロッキングを防ぐことができる。縦型式遠心研磨機の回転速度の設定は、縦型式遠心研磨機の容量と投入するサツマイモチップの重量により適宜調整する。摩擦係数の高い樹脂としては、ポリウレタンなどが挙げられる。また、転動する被覆物の状況に応じて速度を調節すればよい。例えば、回転速度を極度に早く設定した場合、被覆物と研磨機壁面との摩擦力の増大に伴い、サツマイモスナックが割れるだけではなく、サツマイモチップ表面に付着したキャンディ粉末およびキャンディ層の剥離が生じる。また、回転速度を極度に遅く設定した場合、縦型式遠心研磨機内で被覆物の回転数および移動度が減少するために、サツマイモチップ表面に形成されたキャンディ層同士の接着面積が増大し、キャンディ層同士が接着した状態で新たなキャンディ粉末が付着して融解することで、サツマイモチップ同士のブロッキングを生じやすくなってしまう。
【0035】
前記キャンディコーティングの時間としては、サツマイモチップのコーティング層の厚さの好みにより任意に選択できる。特に限定はないが、スナックとしての程よい食感を残し、且つ十分なコーティングを行うには30〜60分間が好ましい。
【0036】
以上のようにして得られたキャンディコーティングサツマイモスナックは、粉末のシーズニングに依らず、ハードキャンディのようなフレーバーリリースのよい被覆が施されたものであり、しかも製造時のブロッキングによるロスや作業不便性のないために、特に工業的な生産性に優れたものといえる。
【実施例】
【0037】
次に、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。なお、実施例中の組成に関する数字は重量部、また「%」は重量%を意味する。
【0038】
(実施例1)
(1)「サツマイモチップの作製」
市販のサツマイモをたわしで水洗し、市販のスライサーで1.8mm厚程度にスライスした。その後、固形分45%の糖液に5分間浸漬後、170℃に熱した菜種油で3分間フライし、厚さ1.8mmのサツマイモチップを得た。
(2)「コーティングに使用するキャンディの作製」
下記表1例1に示す組成にてハードキャンディ(水分値2.5%)を作製した。得られたキャンディを市販のミルサーにて粉砕し、粒径0.5mm以下の粒径となるように市販の篩を用いて調整した。
(3)「サツマイモチップのキャンディコーティング」
作製したサツマイモチップを縦型式遠心研磨機(渦流式コーティング装置(壁面がポリウレタンでコーティングされた研磨槽を有する)、商品名Coaterow ECM15TU, Tipton Corp.製)に導入し、攪拌しながらブロワー(設定温度120℃、以下の例でも同じ)を用いてサツマイモチップの表面温度が96℃になるまで加熱した。その後、粉末化したキャンディを添加し、サツマイモチップ表面に付着、融解させるという工程を数回繰り返すことにより、キャンディコーティングサツマイモスナックを作製した。なお、製造時のブロッキングによるロスや作業不便性は生じなかった。
得られたサツマイモスナックは、キャンディによるコーティングがされ、非常によい食感と素材感、キャンディによるフレーバーリリースの良さを併せ持つサツマイモスナックであった。
【0039】
(実施例2)
(1)「サツマイモチップの作製」
市販のサツマイモをたわしで水洗し、市販のスライサーで1.8mm厚程度にスライスした。その後、固形分45%の糖液に3分間浸漬後、180℃に熱した菜種油で2分間フライし、厚さ1.8mmのサツマイモチップを得た。
(2)「コーティングに使用するキャンディの作製」
下記表1例2に示す組成にてハードキャンディ(水分値2.5%)を作製した。得られたキャンディを市販のミルサーにて粉砕し、粒径0.25mm以下の粒径となるように市販の篩を用いて調整した。
(3)「サツマイモチップのキャンディコーティング」
作製したサツマイモチップを縦型式遠心研磨機に導入し、攪拌しながらブロワーを用いてサツマイモチップの表面温度が96℃になるまで加熱した。その後、粉末化したキャンディを添加し、サツマイモチップ表面に付着、融解させるという工程を数回繰り返すことにより、キャンディコーティングサツマイモスナックを作製した。なお、製造時のブロッキングによるロスや作業不便性は生じなかった。
得られたサツマイモスナックは、キャンディによるコーティングがされ、非常によい食感と素材感、キャンディによるフレーバーリリースの良さを併せ持つサツマイモスナックであった。表面のコーティングは、実施例1のものに比べるとより滑らかで、見た目にも楽しいものであった。
【0040】
(実施例3)
(1)「サツマイモチップの作製」
市販のサツマイモをたわしで水洗し、市販のスライサーで1.8mm厚程度にスライスした。その後、固形分45%の糖液に5分間浸漬後、170℃に熱した菜種油で3分間フライし、厚さ1.8mmのサツマイモスナックを得た。
(2)「コーティングに使用するキャンディの作製」
下記表1例3に示す組成にてハードキャンディ(水分値2.5%)を作製した。得られたキャンディを市販のミルサーにて粉砕し、粒径0.5mm以下の粒径となるように調整した。
(3)「サツマイモチップのキャンディコーティング」
作製したサツマイモチップを縦型式遠心研磨機に導入し、攪拌しながらブロワーを用いてサツマイモチップの表面温度が100℃になるまで加熱した。その後、粉末化したキャンディを添加し、サツマイモチップ表面に付着、融解させるという工程を数回繰り返すことにより、キャンディコーティングサツマイモスナックを作製した。なお、製造時のブロッキングによるロスや作業不便性は生じなかった。
得られたサツマイモスナックは、キャンディによるコーティングがされ、非常によい食感と素材感、乳成分を含んだキャンディによる乳味のコクのある非常に新しいサツマイモスナックであった。
【0041】
以上の実施例1〜3における、使用したキャンディの組成、各製造条件および縦型式遠心研磨機におけるキャンディコーティングの条件を、それぞれ表1、表2および表3にまとめて示す。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
(比較例1)
(1)「サツマイモチップの作製」
市販のサツマイモをたわしで水洗し、市販のスライサーで0.7mm厚程度にスライスした。その後、固形分20%の糖液に5分間浸漬後、170℃に熱した菜種油で3分間フライし、厚さ0.7mmのサツマイモチップを得た。
(2)「コーティングに使用するキャンディの作製」
下記表4例1に示す組成にてハードキャンディ(水分値2.5%)を作製した。得られたキャンディを粉砕し、粒径0.5mm以下の粒径となるように調整した。
(3)「サツマイモチップのキャンディコーティング」
作製したサツマイモチップを縦型式遠心研磨機に導入し、攪拌しながらブロワーを用いてサツマイモチップの表面温度が96℃になるまで加熱した。その後、粉末化したキャンディを添加し、サツマイモチップ表面に付着、融解させるという工程を数回繰り返したが、サツマイモスナックの割れや欠けが非常に多く、欠片同士のブロッキングが非常に多いものとなってしまった。
【0046】
(比較例2)
(1)「サツマイモチップの作製」
市販のサツマイモをたわしで水洗し、市販のスライサーで1.8mm厚程度にスライスした。その後、固形分45%の糖液に5分間浸漬後、170℃に熱した菜種油で3分間フライし、厚さ1.8mmのサツマイモチップを得た。
(2)「コーティングに使用するキャンディの作製」
比較例1と同様のキャンディを使用し、平均粒径1.0mm程度となるように粉砕、調整した。
(3)「サツマイモチップのキャンディコーティング」
作製したサツマイモチップを縦型式遠心研磨機に導入し、攪拌しながらブロワーを用いてサツマイモチップの表面温度が96℃になるまで加熱した。その後、粉末化したキャンディを添加し、サツマイモチップ表面に付着、融解させるという工程を数回繰り返したが、粒子が大きいため粉末化キャンディの融解が均一に行われず、ブロッキングが多くなり、最終的にはサツマイモスナックは一様のブロックとなってしまった。
【0047】
(比較例3)
(1)「サツマイモチップの作製」
比較例2と同様のサツマイモチップを使用した。
(2)「コーティングに使用するキャンディの作製」
比較例1と同様の粉末化キャンディを使用した。
(3)「サツマイモチップのキャンディコーティング」
作製したサツマイモチップを縦型式遠心研磨機に導入し、攪拌しながらブロワーを用いてサツマイモチップの表面温度が70℃になるまで加熱した。その後、粉末化したキャンディを添加し、サツマイモチップ表面に付着、融解させるという工程を数回繰り返したが、キャンディの融解が起こらず、キャンディのコーティング層も形成されなかった。
【0048】
(比較例4)
(1)「サツマイモチップの作製」
比較例2と同様のサツマイモチップを使用した。
(2)「コーティングに使用するキャンディの作製」
比較例1と同様の粉末化キャンディを使用した。
(3)「サツマイモチップのキャンディコーティング」
作製したサツマイモチップをレボーリングパン(卓上型レボーリングパンLA-130, オオヤマフーズマシナリー(株)製)に導入し、回転させながらブロワーを用いてサツマイモチップの表面温度が96℃になるまで加熱した。その後、粉末化したキャンディを添加し、スナック表面に付着、融解させるという工程を数回繰り返したが、回転方向が水平ではないため、遠心力と摩擦力が常時一定にかからず、スナック同士のブロッキングを作るだけのものとなってしまった。
【0049】
以上の比較例1〜4のサツマイモスナック製造の各条件を表4〜表6にまとめて示す。
【0050】
【表4】

【0051】
【表5】

【0052】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サツマイモをスライスし40〜70℃の条件下で固形分40〜50重量%に調整した糖液に1〜10分間浸漬する工程、糖液に浸漬後のサツマイモチップを150〜200℃に調節した油にてフライする工程、フライしたサツマイモチップを縦型式遠心研磨機に投入し、70〜120℃の温風下で転動させながら粒径0.5mm以下に粉末化したキャンディを添加して、サツマイモチップ表面に付着したキャンディを80〜110℃の加熱下で融解させる工程、を含むことを特徴とするキャンディコーティングサツマイモスナックの製造方法。
【請求項2】
前記縦型式遠心研磨機が、摩擦係数の高い樹脂で壁面がコーティングされたものである請求項1記載のキャンディコーティングサツマイモスナックの製造方法。

【公開番号】特開2011−45336(P2011−45336A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198795(P2009−198795)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(390020189)ユーハ味覚糖株式会社 (242)
【Fターム(参考)】