説明

サブフタロシアニン化合物を用いた有機感光性デバイス

ドナー性材料およびアクセプター性材料のドナー-アクセプターヘテロ接合を有する有機感光性オプトエレクトロニックデバイス、およびこうしたデバイスの作製方法を提供する。このドナー性材料およびアクセプター性材料の少なくとも1つは、サブフタロシアニン、サブポルフィリン、および/またはサブポルフィラジン化合物を含み;ならびに/あるいは、このデバイスは任意選択でブロッキング層または電荷輸送層の少なくとも1つを有していてもよく、このブロッキング層および/または電荷輸送層は、サブフタロシアニン、サブポルフィリン、および/またはサブポルフィラジン化合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(アメリカ政府の権利)
本発明は、米国エネルギー省、国立再生可能エネルギー研究所により与えられた契約第XAT-5-33636-03の下で米国政府の援助によりなされたものである。米国政府は本発明に一定の権利を有している。
【0002】
(共同研究協定)
特許請求の範囲に記載された発明は、大学・企業共同研究協定に基づき、以下の一または複数の当事者により、これら当事者のために、ならびに/またはこれら当事者に関連してなされたものである:プリンストン大学、南カリフォルニア大学、ミシガン大学およびGlobal Photonic Energy Corporation。前記協定は、特許請求の範囲に記載された発明がなされた日を含めそれ以前に発効しており、特許請求の範囲に記載された発明は、前記協定の範囲内で着手された活動の結果としてなされたものである。
【0003】
本発明は、一般に有機感光性オプトエレクトロニックデバイスに関する。より具体的には、本発明はドナー-アクセプターヘテロ接合を有する有機感光性オプトエレクトロニックデバイスを対象とする。このドナー-アクセプターヘテロ接合は、ドナー性材料およびアクセプター性材料を含み、これらのドナー性材料およびアクセプター性材料の少なくとも1つは、サブフタロシアニン、サブポルフィリン、および/またはサブポルフィラジン材料を含む;ならびに/あるいは、このデバイスは任意選択でブロッキング層または電荷輸送層の少なくとも1つを有してもよく、このブロッキング層および/または電荷輸送層は、サブフタロシアニン、サブポルフィリン、および/またはサブポルフィラジン化合物を含む。
【背景技術】
【0004】
オプトエレクトロニックデバイスは、材料の光学・電子特性を利用して電磁放射線を電子的に生成または検出し、あるいは周囲の電磁放射線から発電を行う。
【0005】
感光性オプトエレクトロニックデバイスは、電磁放射線を電気的信号または電気に変換する。光起電力(Photovoltaic,「PV」)デバイスとも呼ばれる太陽電池は、電力を生成するために具体的に使用される一種の感光性オプトエレクトロニックデバイスである。光導電体セルは、デバイスの抵抗を監視して、吸収された光による変化を検出する信号検出回路と共に使用される一種の感光性オプトエレクトロニックデバイスである。印加されたバイアス電圧を受け取ることができる光検出器は、この光検出器が電磁放射線に暴露された場合に生成した電流を測定する電流検出回路と共に使用される一種の感光性オプトエレクトロニックデバイスである。
【0006】
これら3種類の感光性オプトエレクトロニックデバイスは、以下に定義されるような整流接合が存在するかどうかによって識別することができ、また、バイアスまたはバイアス電圧としても知られている外部印加電圧でデバイスを動作させるかどうかによっても識別することができる。光導電体セルは、整流接合を有しておらず、通常はバイアスで動作させる。PVデバイスは、少なくとも1つの整流接合を有しており、バイアスなしで動作させる。光検出器は、少なくとも1つの整流接合を有しており、常時ではないが通常はバイアスで動作させる。
【0007】
本明細書で使用される用語「整流」とは、とりわけ、界面が非対称の導電特性を有していること、つまり、界面が、好ましくは一方向への電子電荷輸送を保持することを表す。「半導体」という用語は、電荷キャリアを熱または電磁励起によって誘発した場合に、電気を伝えることができる材料を表す。「光導電性」という用語は、一般に、電磁放射エネルギーが吸収されることにより電荷キャリアの励起エネルギーに変換され、その結果これらのキャリアが材料中の電荷を導く(すなわち、輸送する)ことができるようなプロセスに関する。「光導電材料」という用語は、電磁放射線を吸収する特性を利用して電荷キャリアを生成する半導体を指す。本明細書で使用する「最上部」とは、基板から最も遠くに離れていることを意味し、一方、「底部」とは基板に最も接近していることを意味する。第1層が第2層と「物理的に接触している」ことが明示されていなければ、介在層があってもよい。
【0008】
適切なエネルギーの電磁放射線が有機半導体材料に入射すると、光子が吸収されて励起した分子状態を作ることができる。有機光導電材料では、生成された分子状態は、一般に、「励起子」、つまり、準粒子として輸送される束縛状態にある電子と正孔の対と考えられる。励起子は、対の再結合(「消光」)の前にかなりの寿命を有することができる。「消光」とは、(他の対からの正孔または電子との再結合とは異なり)元の電子と正孔が互いに再結合することを指す。光電流を生成するために、励起子を形成する電子-正孔は、通常は整流接合で分離される。
【0009】
感光性デバイスの場合には、整流接合は光起電力ヘテロ接合と呼ばれる。有機光起電力ヘテロ接合の種類としては、ドナー材料とアクセプター材料の界面に形成されたドナー-アクセプターヘテロ接合、および光導電材料と金属の界面に形成されたショットキー障壁ヘテロ接合が挙げられる。
【0010】
図1は、ドナー-アクセプターヘテロ接合の一例を示すエネルギー準位図である。有機材料においては、「ドナー」および「アクセプター」という用語は、2つの接触した、但し異なる有機材料の最高被占分子軌道(「HOMO」)および最低空軌道(「LUMO」)エネルギー準位の相対的位置を指す。別の材料と接触している1つの材料のLUMOエネルギー準位がより低い場合、その材料はアクセプターである。さもなければそれはドナーである。外部バイアスがない状態では、ドナー-アクセプター接合の電子がアクセプター材料へ移動することはエネルギー的に有利である。
【0011】
本明細書においては、第1のエネルギー準位が真空エネルギー準位10により接近している場合、第1のHOMOまたはLUMOエネルギー準位は、第2のHOMOまたはLUMOエネルギー準位「より大きい」あるいは「より高い」と言う。より高いHOMOエネルギー準位は、真空準位に対してより小さい絶対エネルギーを有するイオン化ポテンシャル(「IP」)に相当する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、真空準位に対してより小さい絶対エネルギーを有する電子親和力(「EA」)に相当する。真空準位が最上部にある通常のエネルギー準位図においては、ある材料のLUMOエネルギー準位は同じ材料のHOMOエネルギー準位より高い。
【0012】
ドナー152またはアクセプター154の中の光子6の吸収により励起子8が生成した後、この励起子8は整流界面で分離する。ドナー152は正孔(白丸)を輸送し、アクセプター154は電子(黒丸)を輸送する。
【0013】
有機半導体の重要な特性はキャリア移動度である。荷電粒子が電場に応じて導電材料を通って移動することができる容易さを移動度で評価する。有機感光性デバイスにおいては、電子移動度が高いことにより主として電子によって導電する材料は、電子輸送材料と呼ぶことができる。正孔移動度が高いことにより主として正孔によって導電する材料は、正孔輸送材料と呼ぶことができる。デバイスにおける移動度および/または位置により主として電子によって導電する層は、電子輸送層(Electron transport layer,「ETL」)と呼ぶことができる。デバイスにおける移動度および/または位置により主として正孔によって導電する層は、正孔輸送層(Hole transport layer,「HTL」)と呼ぶことができる。アクセプター材料が電子輸送材料であり、ドナー材料が正孔輸送材料であることが好ましいが、必須ではない。
【0014】
光起電力ヘテロ接合において、キャリア移動度およびHOMOとLUMOの相対的な準位に基づいて、ドナーおよびアクセプターとしての役割を果たす2種の有機光導電材料をどのように対にするかは、当技術分野において周知であり、本明細書では対象としない。
【0015】
本明細書で使用する用語「有機」には、有機オプトエレクトロニックデバイスを作製するために使用することができる高分子材料ならびに低分子有機材料が含まれる。「低分子(small molecule)」とはポリマーでないあらゆる有機材料を指し、「低分子」は実際には相当大きくてもよい。低分子は、場合により繰り返し単位を含んでいてもよい。例えば、置換基として長鎖アルキル基を使用しても、この分子を「低分子」の種類から排除することはない。低分子は、例えばポリマー骨格上の側基、または骨格の一部としてポリマーに組み込まれてもよい。低分子は、デンドリマーのコア部分としての役割を果たすこともできる。このデンドリマーは、コア部分上で構築された一連の化学的殻からなる。デンドリマーのコア部分が、低分子の蛍光性または燐光性発光体であってもよい。デンドリマーは「低分子」でありうる。一般に、低分子は、明確な化学式を有し分子量はどの分子も同じである。一方、ポリマーは、明確な化学式を有するが分子量は分子ごとに変わりうる。本明細書で使用する「有機」には、ヒドロカルビルおよびヘテロ原子で置換されたヒドロカルビル配位子の金属錯体が含まれる。
【0016】
Padingerら、Adv. Funct. Mater.、2003年、13巻、85〜88頁には、平均3〜4パーセントの電力変換効率を有するというポリマー-フラーレンヘテロ接合を含む光電池が報告されている。処理技術の変化により5パーセント近い効率が得られることも報告されている。金属陰極(カソード)としてAgを有する二重ヘテロ構造の銅フタロシアニン(CuPc)/C60薄膜電池において、4太陽強度級のAM1.5G擬似太陽光下で、4パーセントもの高い効率が、Xueら、Appl. Phys. Lett.、2004年、84巻、3013〜3015頁に報告されている。2個の電池を直列に積層することにより増強され、5.5パーセントを超える効率を生じたPV電池も報告されている。(Xueら、Appl. Phys. Lett.、2004年、85巻、5757〜5759頁)
【0017】
有機感光性デバイスについての付加的な背景説明および最先端技術の説明については、その一般的構造、特性、材料および特徴を含めて、Forrestらの米国特許第6,657,378号、Forrestらの米国特許第6,580,027号およびBulovicらの米国特許第6,352,777号を参照により本明細書に援用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】Forrestらの米国特許第6,657,378号
【特許文献2】Forrestらの米国特許第6,580,027号
【特許文献3】Bulovicらの米国特許第6,352,777号
【特許文献4】Forrestらの米国特許第6,451,415号
【特許文献5】Parthasarathyらの米国特許第6,420,031号
【特許文献6】2005年10月13日に公開されたJiangeng Xueらによる「High efficiency organic photovoltaic cells employing hybridized mixed-planar heterojunction」という名称の米国公開特許第2005/0224113号
【特許文献7】2005年5月26日に公開されたForrestらの米国公開特許第2005-0110007号
【特許文献8】2006年2月16日公開のRandらによる「Organic Photosensitive Devices」という名称の米国公開特許第2006-0032529号
【特許文献9】2006年2月9日公開のForrestらによる「Stacked Organic Photosensitive Devices」という名称の米国公開特許第2006-0027802号
【特許文献10】Forrestらの米国特許第6,333,458号
【特許文献11】Peumansらの米国特許第6,440,769号
【特許文献12】2005年12月1日に公開のPeumansらの「Aperiodic dielectric multilayer stack」という名称の米国公開特許第2005-0266218号
【特許文献13】米国特許第6,451,415号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Padingerら、Adv. Funct. Mater.、2003年、13巻、85〜88頁
【非特許文献2】Xueら、Appl. Phys. Lett.、2004年、84巻、3013〜3015頁
【非特許文献3】Xueら、Appl. Phys. Lett.、2004年、85巻、5757〜5759頁
【非特許文献4】Peurnansら、「Efficient photon harvesting at high optical intensities in ultra-thin organic double-heterostructure photovoltaic diodes」、Applied Physics Letters 76、2650〜52頁(2000年)
【非特許文献5】Gary L. MiesslerおよびDonald A. Tarrによる「Inorganic Chemistry」(第2版)、Prentice Hall(1999年)の13章
【非特許文献6】Geyerら、Subphthalocyanines: Preparation, Reactivity and Physical Properties, Synthesis、1996年9月、1139〜51頁
【非特許文献7】Rauschnabelら、New Derivatives and Homologues of Subphthalocyanine, Tetrahedron Letters、36巻、1995年、1629〜32頁
【非特許文献8】Inokumaら、Tribenzosubporphine: Synthesis and Characterization、Angew. Chem. Int. Ed.、2006年、45巻、961〜64頁
【非特許文献9】Rodrigues-MargadeらのSynthesis, Characterization, and Properties of Subporphyrazines: A New Class of Nonplanar, Aromatic Macrocycles with Absorption in the Green Region、Che. Euro. J.、2005年、11巻、354〜360頁
【非特許文献10】Kremplら、Synthesis、2000年、1705〜8頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
有機感光性デバイスの効率のさらなる改善が有利であることは明白であろう。本発明は、効率が改善された有機感光性デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、陽極(アノード)、陰極(カソード)、および陽極と陰極の間のドナー-アクセプターヘテロ接合を含む有機感光性オプトエレクトロニックデバイスを対象とする。このヘテロ接合は、ドナー性材料およびアクセプター性材料を含み、これらのドナー性材料およびアクセプター性材料の少なくとも1つは、サブフタロシアニン、サブポルフィリン、および/またはサブポルフィラジン化合物を含む;ならびに/あるいは、このデバイスは任意選択でブロッキング層または電荷輸送層の少なくとも1つを有してもよく、このブロッキング層および/または電荷輸送層は、サブフタロシアニン、サブポルフィリン、および/またはサブポルフィラジン化合物を含む。
【0022】
本発明は、さらにドナー性材料とアクセプター性材料を含むヘテロ接合を作製する方法を対象とする。本方法は、LUMOおよびHOMOを有するドナー性材料を選択するステップと、少なくとも1つの電子求引性または電子供与性置換基で置換されたサブフタロシアニン、サブポルフィリン、またはサブポルフィラジン材料であって、前記サブフタロシアニン、サブポルフィリン、またはサブポルフィラジン材料が前記ドナー性材料に対してアクセプター性材料となるように、前記置換基が前記サブフタロシアニン、サブポルフィリン、またはサブポルフィラジン材料のLUMOおよびHOMOを調節しているものを選択するステップと、前記ドナー性材料とアクセプター性材料からヘテロ接合を形成するステップとを含む。あるいは、本方法は、アクセプター性材料を選択するステップと、少なくとも1つの電子求引性または電子供与性置換基で置換されたサブフタロシアニン、サブポルフィリン、またはサブポルフィラジン材料であって、前記サブフタロシアニン、サブポルフィリン、またはサブポルフィラジン材料が前記アクセプター性材料に対してドナー性材料となるように、前記置換基が前記サブフタロシアニン、サブポルフィリン、またはサブポルフィラジン材料のLUMOおよびHOMOを調節しているものを選択するステップと、前記ドナー性材料とアクセプター性材料からヘテロ接合を形成するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ドナー-アクセプターヘテロ接合を示すエネルギー準位図である。
【図2】ドナー-アクセプターヘテロ接合を含む有機感光性デバイスを示す図である。
【図3】平面ヘテロ接合を形成するドナー-アクセプター二重層を示す図である。
【図4】ドナー層とアクセプター層の間に混合ヘテロ接合を含むハイブリッドヘテロ接合を示す図である。
【図5】バルクヘテロ接合を示す図である。
【図6】ショットキー障壁ヘテロ接合を含む有機感光性デバイスを示す図である。
【図7】直列のタンデム感光性電池を示す図である。
【図8】並列のタンデム感光性電池を示す図である。
【図9】CuPeおよびSubPcドナー層を有するデバイスのエネルギー準位の概略図である。
【図10】石英上に積層されたCuPc(200Å)/C60(400Å)/BCP(100Å)フィルム、および石英上のSubPcBCl(130Å)/C60(325Å)/BCP(100Å)フィルムの吸光度スペクトルを示す図である。
【図11】アクセプター性材料としてサブフタロシアニン化合物の使用を示す図である;
【図12】1太陽強度級のAM1.5G擬似太陽光の下および暗闇におけるITO/CuPc(200Å)/C60(400Å)/BCP(100Å)/Al(1000Å)およびITO/SubPc(130Å)/C60(325Å)/BCP(100Å)/Al(1000Å)のJ-V特性を示す図である。
【図13】1〜5太陽強度級のAM1.5G擬似太陽光の下でのITO/SubPcBCl(130Å)/C60(325Å)/BCP(100Å)/A1(1000Å)デバイス(SubPc4)のJ-V特性を示す図である。
【図14】1太陽強度級のAM1.5G擬似太陽光の下および暗闇におけるITO/CuPc(200Å)/SubPc(130Å)/BCP(100Å)/Al(1000Å)のJ-V特性を示す図である。これらの図は、必ずしも縮尺どおりには描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
有機感光性デバイスは、光が吸収されて励起子を形成する少なくとも1つの光活性領域を含む。その後、この励起子は電子と正孔へ解離しうる。図2は、光活性領域150がドナー-アクセプターヘテロ接合を含む有機感光性オプトエレクトロニックデバイス100の一例を示す。「光活性領域」は、電磁放射線を吸収して励起子を生成し、この励起子が解離して電流を生成することができる感光性デバイスの一部である。デバイス100は、基板110上に、陽極120、陽極平滑化層122、ドナー152、アクセプター154、励起子ブロッキング層(Electron blocking layer,「EBL」)156および陰極170を含む。
【0025】
EBL156の例はForrestらの米国特許第6,451,415号に述べられており、この特許を、EBLと関係するその開示について、参照により本明細書に援用する。EBLの追加の背景説明は、Peurnansら、「Efficient photon harvesting at high optical intensities in ultra-thin organic double-heterostructure photovoltaic diodes」、Applied Physics Letters 76、2650〜52頁(2000年)にも見出すことができる。EBLは、励起子がドナーおよび/またはアクセプター材料から移動するのを防ぐことにより消光を減らす。
【0026】
「電極」および「接点」という用語は、本明細書において区別なく使用され、外部回路に光生成電流を送る層、または、バイアス電流または電圧を供給するための媒体をデバイスに提供する層を指す。図2に示すように、陽極120および陰極170がその例である。電極は、金属または「金属代替品」から構成することができる。本明細書では、「金属」という用語を用いて、純粋元素金属からなる材料と、2種以上の純粋元素金属からなる合金の両方を包含する。「金属代替品」という用語は、通常の定義では金属ではないが、導電性などの金属状特性を有する材料、例えば、ドープしたバンドギャップの広い半導体、縮退型半導体、導電性酸化物、および導電性高分子を指す。電極は、単独層または多層(「複合」電極)を含んでもよく、透明、半透明、または不透明であってもよい。電極および電極材料の例としては、Bulovicらの米国特許第6,352,777号、およびParthasarathyらの米国特許第6,420,031号に開示されたものが挙げられる。これらのそれぞれの特徴の開示について、参照によりそれぞれを本明細書に援用する。本明細書で使用される層は、関連する波長において周囲の電磁放射線の少なくとも50パーセントを透過する場合に「透明である」と言う。
【0027】
基板110は、所望の構造特性を提供するものなら、どんな基板も適切である。基板は、柔軟でも剛性でもよく、平面でも非平面でもよい。基板は、透明でも、半透明でも、不透明でもよい。剛性のプラスチックおよびガラスは、好ましい剛性基板材料の例である。柔軟なプラスチックおよび金属箔は、好ましいフレキシブル基板材料の例である。
【0028】
陽極平滑化層122を、陽極層120とドナー層152の間に置くことができる。陽極平滑化層は、Forrestらの米国特許第6,657,378号に述べられており、この特徴と関係するその開示について、参照により本明細書に援用する。
【0029】
図2では、光活性領域150は、ドナー材料152およびアクセプター材料154を含む。光活性領域で使用される有機材料は、シクロメタル化有機金属化合物を含めて、有機金属化合物を含んでいてもよい。本明細書で使用する「有機金属」という用語は、当分野の技術者によって一般に理解される通りであり、例えば、Gary L. MiesslerおよびDonald A. Tarrによる「Inorganic Chemistry」(第2版)、Prentice Hall(1999年)の13章に記載の通りである。
【0030】
有機層は、真空蒸着、スピンコーティング、有機気相堆積、インクジェット印刷、および当技術分野で既知の他の方法を使用して製造することができる。
【0031】
様々な種類のドナー-アクセプターヘテロ接合の例が、図3〜5に示されている。図3は、平面ヘテロ接合を形成するドナー-アクセプター二重層を示す。図4は、ドナーおよびアクセプター材料の混合物を含む混合ヘテロ接合153を含むハイブリッドヘテロ接合を示す。図5は、理想化された「バルク」ヘテロ接合を示す。バルクヘテロ接合は、理想的な光電流の場合には、ドナー材料252とアクセプター材料254の間に単一の連続的な界面を有するが、実際のデバイスには通常複数の界面が存在する。混合ヘテロ接合とバルクヘテロ接合は、複数の材料のドメインを有していることの結果として複数のドナー-アクセプター界面を持つことができる。反対の種類の材料(例えば、アクセプター材料に囲まれたドナー材料のドメイン)に囲まれたドメインは電気的に分離することができ、その結果、これらのドメインは光電流に寄与しない。その他のドメインはパーコレーション経路(連続的な光電流経路)によって接続することができ、その結果、これらの他のドメインは光電流に寄与することができる。混合ヘテロ接合とバルクヘテロ接合の区別は、ドナー材料とアクセプター材料の間の相分離の程度による。混合ヘテロ接合では、相分離はほとんどまたはまったくない(ドメインは非常に小さく、例えば、数ナノメーター未満である)。一方、バルクヘテロ接合では、著しい相分離がある(例えば、数ナノメーターから100nmの寸法を有する領域を形成する)。
【0032】
低分子の混合ヘテロ接合は、例えば、真空蒸着または気相蒸着を用いたドナーとアクセプター材料の共蒸着によって形成することができる。低分子のバルクヘテロ接合は、例えば、制御された成長、共蒸着と蒸着後のアニーリング、または溶液加工処理(solution processing)によって形成することができる。ポリマー混合またはバルクヘテロ接合は、例えば、ドナーとアクセプター材料のポリマーブレンドの溶液加工処理によって形成することができる。
【0033】
光活性領域が、混合層(153)またはバルク層(252、254)と、ドナー(152)とアクセプター層(154)の一方または両方を含む場合、光活性領域は「ハイブリッド」ヘテロ接合を含むと言う。図4における層の配置は一例である。ハイブリッドヘテロ接合をさらに説明するために、2005年10月13日に公開されたJiangeng Xueらによる「High efficiency organic photovoltaic cells employing hybridized mixed-planar heterojunction」という標題の米国公開特許第2005/0224113号を、参照により本明細書に援用する。
【0034】
一般に、平面ヘテロ接合は、キャリア導電性には優れているが、励起子解離性には劣っており;混合層は、キャリア導電性に劣っているが、励起子解離性に優れている。バルクヘテロ接合は、キャリア導電性に優れ、励起子解離性にも優れているが、材料の「袋小路」の終わりに電荷の蓄積が起って効率を低下させる恐れがある。別段の記述がない限り、平面、混合、バルクおよびハイブリッドヘテロ接合は、本明細書に開示された実施形態の全体を通して、ドナー-アクセプターヘテロ接合として区別なく使用することができる。
【0035】
図6は、光活性領域350がショットキー障壁ヘテロ接合の一部である有機感光性オプトエレクトロニックデバイス300の一例を示す。デバイス300は、透明な接点320、有機光導電材料358を含む光活性領域350、およびショットキー接点370を含む。ショットキー接点370は、典型的には金属層として形成される。光導電層358がETLである場合は、金などの高仕事関数金属を使用することができる。一方、光導電層がHTLである場合は、アルミニウムマグネシウムまたはインジウムなどの低仕事関数金属を使用することができる。ショットキー障壁電池では、ショットキー障壁に関連して組み込まれた電界が、励起子の電子と正孔を引き離す。一般に、この電界支援励起子解離は、ドナー-アクセプター界面での分離ほどには効率的ではない。
【0036】
図示したデバイスは、要素190に接続することができる。このデバイスが光起電力デバイスである場合は、要素190は電力を消費するか蓄積する抵抗性負荷である。このデバイスが光検出器である場合、要素190は、この光検出器を光に暴露した場合に生成した電流を測定し、このデバイスにバイアスを印加することができる電流検出回路である(例えば、2005年5月26日に公開されたForrestらの米国公開特許第2005-0110007号に記述されている)。整流接合がデバイスから除去された場合(例えば、光活性領域として単一の光導電材料を使用して)、得られた構造は、光導電体セルとして使用することができる。この場合、要素190は、光の吸収によるデバイス両端間の抵抗の変化を監視する信号検出回路である。別段の記述がない限り、これらの装置およびその変形例はそれぞれ、本明細書に開示された図面および実施形態の各々でデバイスとして使用することができる。
【0037】
有機感光性オプトエレクトロニックデバイスは、さらに、透明な電荷移動層、電極または電荷再結合ゾーンを含むことができる。電荷移動層は、有機でも無機でもよい。また、光導電活性があってもなくてもよい。電荷移動層は電極に類似しているが、デバイス外部への電気的接続を有しておらず、オプトエレクトロニックデバイスの1つのサブセクションから隣接したサブセクションへ荷電担体を送るだけである。電荷再結合ゾーンは電荷移動層に類似しているが、オプトエレクトロニックデバイスの隣接したサブセクション間で電子と正孔の再結合を許容する。電荷再結合ゾーンは、ナノクラスタ、ナノ粒子、および/またはナノロッドを含む半透明の金属または金属代替物再結合中心を含むことができ、これらは、例えば、Forrestらの米国特許第6,657,378号;2006年2月16日公開のRandらによる「Organic Photosensitive Devices」という標題の米国公開特許第2006-0032529号;および、2006年2月9日公開のForrestらによる「Stacked Organic Photosensitive Devices」という標題の米国公開特許第2006-0027802号に述べられている;これら特許の各々は、再結合ゾーンの材料および構造の開示を、参照により本明細書に援用する。電荷再結合ゾーンは、再結合中心が埋め込まれている透明なマトリックス層を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。電荷移動層、電極または電荷再結合ゾーンは、オプトエレクトロニックデバイスのサブセクションの陰極(カソード)および/または陽極(アノード)としての役割を果たすことができる。電極または電荷移動層は、ショットキー接点としての役割を果たすことができる。
【0038】
図7および図8は、こうした透明な電荷移動層、電極および電荷再結合ゾーンを含むタンデムデバイスの例を示す。図7のデバイス400では、光活性領域150と150'は、介在導電性領域460を用いて電気的に直列に積層されている。外部の電気的接続なしで図示されているように、介在導電性領域460は電荷再結合ゾーンであってもよく、または電荷移動層であってもよい。再結合ゾーンとして、領域460は、透明なマトリックス層を有する、またはその層のない再結合中心461を含む。マトリックス層がない場合、このゾーンを形成する材料の配置は、この領域460にわたって連続的でなくてもよい。図8のデバイス500は、電気的に並列に積層された光活性領域150と150'を示す。ここでは、上部の電池が反転構成(すなわち陰極が下)になっている。図7および図8の各々において、光活性領域150と150'ならびにブロッキング層156と156'は、用途に応じて同じ材料から形成してもよく、あるいは異なる材料から形成してもよい。同様に、光活性領域150と150'は、同じ種類(つまり、平面、混合、バルク、ハイブリッド)のヘテロ接合であってもよく、または異なる種類であってもよい。
【0039】
上記デバイスの各々において、励起子ブロッキング層などの層を省いてもよい。反射層または追加の光活性領域などの他の層を追加することもできる。層の順序を変更してもよいし逆にしてもよい。例えばForrestらの米国特許第6,333,458号、およびPeumansらの米国特許第6,440,769号に開示されているように、コンセントレータまたはトラッピング構成を使用して効率を上げることができる。これらの特許を、参照により本明細書に援用する。例えば2005年12月1日に公開のPeumansらの「Aperiodic dielectric multilayer stack」という標題の米国公開特許第2005-0266218号に開示されているように、コーティングを使用してデバイスの所望の領域へ光エネルギーを集中させることができる。この特許を、参照により本明細書に援用する。タンデムデバイスでは、電池間に透明な絶縁層を形成することができる。ここでは、電池間の電気的な接続が電極によって提供されている。さらに、タンデムデバイスでは、1つまたは複数の光活性領域を、ドナー-アクセプターヘテロ接合の代わりにショットキー障壁ヘテロ接合とすることができる。具体的に記述したもの以外の構成を使用してもよい。
【0040】
本明細書で使用する「サブフタロシアニン化合物」および「SubPc」という用語は、次式の化合物を指す。
【0041】
【化1】

【0042】
上記式中、R1〜R12、M、およびXはそれぞれ独立に選択される。R1〜R12は、電子求引性であっても電子供与性であってもよく、好ましくはそれぞれ独立に、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物(ハライド)、チオアルキル(例えば、SC8H17)、チオアリール(例えば、SC6H5)、アリールスルホニル(例えば、SO2C6H5)、アルキルスルホニル(例えば、SO2C8H17)、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、ニトロ、ならびに当分野の技術者によく知られた関連する電子求引基および供与基からなる群から選択される。さらに、隣接した任意の2つのR基(R1〜R12)は、(複素環を含めた)縮合芳香環の一部であってもよく、Mは、ホウ素、またはBeもしくはMgなどの2価の金属、あるいはAlもしくはGaなどの3価の金属であり、Xは、ハロゲン化物(ハライド)(フッ化物(フルオライド)、塩化物(クロライド)、臭化物(ブロマイド)または沃化物(アイオダイド))、アルコキシ、フェノキシ、ヒドロキシ、アリール、フェニル、およびOCOCR13R14R15などのアニオン性基である。上記式中、R13、R14およびR15は、電子求引性であっても電子供与性であってもよく、好ましくはそれぞれ独立に、H、直鎖、分岐または環状アルキル、ハロゲン化物(ハライド)、チオアルキル(例えば、SC8H17)、チオアリール(例えば、SC6H5)、アリールスルホニル(例えば、SO2C6H5)、アルキルスルホニル(例えば、SO2C8H17)、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、ニトロ、ならびに当分野の技術者によく知られた関連する電子求引基および供与基からなる群から選択される。好ましくは、MはBまたはAlであり、最も好ましくは、MはBである。隣接した任意のR1〜R12は、縮合脂肪族環または芳香環の一部であってもよい。但し、この環は、N、O、およびSなどの炭素以外の1個または複数の原子を含んでいてもよい。
【0043】
本明細書で使用する「SubPcBCl」は、ホウ素サブフタロシアニン塩化物を指す。この化合物は、SubPc化合物において、MがBであり、XがClであり、R1〜R12の各々がHである。サブフタロシアニン化合物は、Geyerら、Subphthalocyanines: Preparation, Reactivity and Physical Properties, Synthesis、1996年9月、1139〜51頁、およびRauschnabelら、New Derivatives and Homologues of Subphthalocyanine, Tetrahedron Letters、36巻、1995年、1629〜32頁によって開示された方法を用いて調製することができる。これらの内容は、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0044】
さらに、本明細書で使用する「サブポルフィリン」、「サブポルフィリン化合物」および「SubPor化合物」という用語は、次式の化合物を指す。
【0045】
【化2】

【0046】
上記式中、R1〜R12、M、XおよびZはそれぞれ独立に選択され、R1〜R12、MおよびXは上に定義された通りであり、ZはN、CH、CR16である。但し、R16は、電子求引性であっても電子供与性であってもよく、好ましくはそれぞれ独立に、H、直鎖、分岐または環状アルキル、ハロゲン化物(ハライド)、チオアルキル(例えば、SC8H17)、チオアリール(例えば、SC6H5)、アリールスルホニル(例えば、SO2C6H5)、アルキルスルホニル(例えば、SO2C8H17)、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、ニトロ、ならびに当分野の技術者によく知られた関連する電子求引基および供与基からなる群から選択される。サブポルフィリン化合物は、好ましくは、Inokumaら、Tribenzosubporphine: Synthesis and Characterization,Angew. Chem. Int. Ed.,2006年,45巻,961〜64頁によって開示された合成法を用いて調製される。これらの内容は、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0047】
本明細書で使用する「サブポルフィラジン」および「サブポルフィラジン化合物」という用語は、次式の化合物を指す。
【0048】
【化3】

【0049】
上記式中、R1〜R6、M、X、およびZはそれぞれ独立に選択され、R1〜R6、M、およびXは上に定義された通りであり、ZはN、CH、CR16である。但し、R16は、電子求引性であっても電子供与性であってもよく、好ましくはそれぞれ独立に、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物(ハライド)、チオアルキル(例えば、SC8H17)、チオアリール(例えば、SC6H5)、アリールスルホニル(例えば、SO2C6H5)、アルキルスルホニル(例えば、SO2C8H17)、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、ニトロ、ならびに当分野の技術者によく知られた関連する電子求引基および供与基からなる群から選択される。しかしながら、R1〜R6の任意の隣接した対が縮合芳香環系の一部である場合、この化合物は、サブポルフィラジンではなく、サブフタロシアニンまたはサブポルフィリンである。サブポルフィラジン化合物は、好ましくは、Rodrigues-MargadeらのSynthesis, Characterization, and Properties of Subporphyrazines: A New Class of Nonplanar, Aromatic Macrocycles with Absorption in the Green Region、Chem. Euro. J., 2005年, 11巻, 354〜360頁に開示された合成法を用いて調製される。これらの内容は、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0050】
本発明に有用なサブフタロシアニン化合物の例としては、以下の化合物が上げられるが、これらだけに限らない。
【0051】
【化4A】

【0052】
【化4B】

【0053】
【化4C】

【0054】
【化4D】

【0055】
【化4E】

【0056】
【化4F】

【0057】
上記式中、R1〜R12、M、およびXは上に定義された通りである。
【0058】
Kremplら、Synthesis, 2000年, 1705〜8頁(この内容は、その全体を参照により本明細書に援用する)は、ヘキサシアノトリフェニレン:
【0059】
【化5】

【0060】
とフタロシアニンを反応させて、球状のフタロシアニン分子、例えば以下の構造を有する化合物を調製することを開示している。
【0061】
【化6】

【0062】
同じ手法を用いて、SubPc化合物とSubPor化合物のオリゴマーシート、例えば以下の部分的構造を有するヘキサシアノトリフェニレンSubPcBClなどを作製することができる。
【0063】
【化7】

【0064】
SubPcオリゴマーが十分に大きい場合、つまり、十分な数のSubPc単位を含んでいる場合、オリゴマーは実質上球状になる。同じようなサブポルフィラジンのオリゴマーシートを、同じ手法を用いて作製することができる。
【0065】
本発明は、陽極(アノード)、陰極(カソード)、および陽極と陰極の間のドナー-アクセプターヘテロ接合を含む有機感光性オプトエレクトロニックデバイスを対象とする。このヘテロ接合は、ドナー性材料およびアクセプター性材料を含み、これらのドナー性材料およびアクセプター性材料の少なくとも1つは、サブフタロシアニン、サブポルフィリン、および/またはサブポルフィラジン化合物を含む;ならびに/あるいは、このデバイスは任意選択でブロッキング層または電荷輸送層の少なくとも1つを有してもよく、このブロッキング層および/または電荷輸送層は、サブフタロシアニン、サブポルフィリン、および/またはサブポルフィラジン化合物を含む。本発明によれば、サブフタロシアニン、サブポルフィリンおよび/またはサブポルフィラジン化合物をドナー性および/またはアクセプター性材料として用いることができる感光性オプトエレクトロニックデバイスとしては、それだけに限らないが、太陽電池、光検出器および光センサーが挙げられる。本発明のデバイスに有用なヘテロ接合としては、それだけに限らないが、平面ヘテロ接合、混合ヘテロ接合、バルクヘテロ接合、およびハイブリッド平面混合分子ヘテロ接合が挙げられる。
【0066】
PVデバイスの性能指数は曲線因子(FF)であり、米国特許第6,451,415号(その内容は、その全体を参照により本明細書に援用する)で、次式として定義されている。
FF=(Jmax・Vmax)/(Jsc・Voc) (1)
上記式中、JmaxおよびVmaxはデバイスから得ることができる極大電流および電圧であり、Jscは短絡電流密度であり、Vocは開放電圧である。実際の使用時にはJscおよびVocを同時に得ることができないので、曲線因子(FF)は常に1未満である。しかし、FFが1に接近するにつれてデバイスの直列または内部抵抗は低下し、したがって、最適条件下では、デバイスが負荷に対して送るJscとVocの積の比率が大きくなる。
【0067】
PVデバイスの電力変換効率(ηp)は、Voc、Jsc、およびFFの関数であり次式で表される。
ηp=(Jsc・Voc・FF)/Po (2)
ここでPoは入射光電力である。FFは、直列抵抗の関数であり、低分子量の有機PVデバイスでは典型的には約0.5〜約0.65の値を有している。Jscの値は、デバイスのドナー性およびアクセプター性有機材料の吸収スペクトルと太陽スペクトルの間のオーバーラップの関数であると同時に、減衰係数の大きさおよび吸収層の厚さの関数でもある。しかし、スペクトルのオーバーラップの増大は、これらの材料の励起子拡散距離または電荷輸送特性が著しく失われることなしに行うことが好ましい。典型的には、Vocの値は、従来のCuPc/C60PV電池では1太陽で約500mVであり、これは吸収された光子のエネルギー(すなわち約2eV)より著しく小さい。対応するJscまたはFFが著しく低下せずにVocが増加すれば、ηpは著しく改善するであろう。しかし、本発明以前は、Jscおよび/またはFFの減少を伴うことなくVoc値を著しく増加することは不可能でなかったとしても困難であり、ηpの改善が制約されていた。
【0068】
理論によって拘束されるものではないが、有機太陽電池などの有機感光性オプトエレクトロニックデバイスのVocの値は、図9に示すように、二層電池のヘテロ界面におけるアクセプター性材料の最低空軌道(LUMO)とドナー性材料の最高被占分子軌道(HOMO)の間のエネルギー差(本明細書では界面ギャップ(Ig)と呼ぶ)に左右されると考えられている。好ましくは、本発明の有機感光性オプトエレクトロニックデバイスにおいては、サブフタロシアニン、サブポルフィリン、および/またはサブポルフィラジン材料を用いて、特に、サブフタロシアニン、サブポルフィリン、および/またはサブポルフィラジン化合物をドナー性材料として使用した場合、従来技術の材料を使用したデバイスにおいて得られるものより著しく大きな界面ギャップが得られる。例えば、CuPc/C60電池の1.5eVと比較して、二重ヘテロ構造SubPcBCl/C60薄膜電池は1.9eVのIgを有する。SubPcBCl電池のVoc値もほぼ同じ大きさで増加するが、これは、Voc値がIgの関数である可能性を示すものである。
【0069】
こうした二重ヘテロ接合SubPcBCl/C60薄膜PV電池は、対応するJocおよび/またはFFの減少なしに、従来の銅フタロシアニン(CuPc)/C60PV電池の少なくとも約2倍のVocおよびηpをもたらす。Vocおよびηpの値の増加は、CuPcよりもSubPc化合物の酸化電位が上昇した結果としてIgの値が増大したことに起因する。
【0070】
サブフタロシアニン、サブポルフィリン、またはサブポルフィラジン化合物の周囲の置換基を置換するとその錯体のLUMOおよびHOMOエネルギーが変化して、その材料の酸化還元特性が変化する。励起状態は主として配位子に基づいているので、π系では、R基は、直接サブフタロシアニン、サブポルフィリン、またはサブポルフィラジン化合物の吸収および放射エネルギーにも影響する。一般に、電子吸引基は、HOMOおよびLUMOの準位を安定化させて、還元電位の絶対値を下げ(典型的には、通常の基準に対して負の電位で低下する)かつ酸化電位を上昇させることにより、HOMOおよびLUMOエネルギーを真空準位から(エネルギーにおいて)遠くへ移動させると考えられる。これに対して、一般に電子供与性基は、HOMOおよびLUMOの準位を不安定化させて、類似の非置換物質と比べて、HOMOおよびLUMOの準位を真空準位により近く移動させると考えられる。しかし、HOMOおよびLUMOの準位は必ずしも同じ影響を受けるものではない。周囲に置換基を有するホウ素サブフタロシアニン塩化物類似体およびホウ素サブナフタロシアニン塩化物(SubNc)について公表された物理的性質を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
【化8】

【0073】
LUMOおよびHOMOのエネルギーを調節することにより、サブフタロシアニンおよびサブポルフィリン化合物のドナーおよびアクセプターのエネルギーを、所与の用途に対して調整することができるようになる。その結果、本発明の有機感光性オプトエレクトロニックデバイスでは、化合物は、サブフタロシアニン、サブポルフィリン、および/またはサブポルフィラジン材料をアクセプター性またはドナー性材料とエネルギーマッチングさせることによって、かつ特定の用途に応じてIgおよびVocを適合させることによって、ドナー性材料およびアクセプター性材料の少なくとも1つとして利用することができる。
【0074】
理論によって拘束されるものではないが、さらに、分子の双極子モーメントが、双極子による電荷のトラッピングを引き起こす可能性があると考えられる。例えば、軸方向の塩素置換基を有するホウ素サブフタロシアニン塩化物では、このサブフタロシアニン化合物の双極子モーメントは、有機感光性オプトエレクトロニックデバイス中のサブフタロシアニン化合物のより厚い層の電荷輸送減少および直列抵抗増加の一因となりうる。MがBであり、各R1〜R12がHであるSubPc化合物について表2に示すように、軸置換基がサブフタロシアニンまたはサブポルフィリン材料の酸化還元特性に及ぼす影響は無視でき、Xがπ系の一部ではないことを示している。したがって、軸置換基は、Mを介して、HOMO、LUMOおよび励起状態エネルギーに二次的な影響を与えているに過ぎない。軸置換基は、サブフタロシアニン、サブポルフィリン、およびサブポルフィラジン化合物が膜の中にパッキングされている状態に影響を及ぼす。しかし、軸置換基を適切に置き換えてサブフタロシアニン、サブポルフィリン、またはサブポルフィラジン化合物の双極子モーメントを減少させると、より低いレベルの二極性電荷トラップにより電荷輸送速度が上昇すると予想される。軸基の電子求引性が低いと、一般に、サブフタロシアニン、サブポルフィリン、またはサブポルフィラジン錯体の双極子モーメントは小さくなるであろう。サブフタロシアニン、サブポルフィリン、またはサブポルフィラジン材料の電荷輸送が増大すると、有機感光性オプトエレクトロニックデバイスにおいて、より厚いサブフタロシアニン、サブポルフィリン、および/またはサブポルフィラジン層の使用が可能になる。PV電池において、サブフタロシアニン、サブポルフィリン、および/またはサブポルフィラジン層が厚くなると、Jscおよびηpが増大することになろう。さらに、周囲または軸位の置換は、薄膜中のSubPcのパッキングにも影響し、その結果として、薄膜の輸送特性に影響する可能性がある。
【0075】
【表2】

【0076】
双極子モーメントが小さいことは、さらに、その錯体が結晶化する可能性を低くする。結晶化は、デバイスが主として非晶質膜を用いて製造される場合、有機感光性オプトエレクトロニックデバイスの性能に有害な効果をもたらす恐れがある。結晶性フィルムは有利である。しかし、デバイスが製造された後に結晶化すると、デバイスの性能または寿命の少なくとも1つが低下することになろう。また、双極子モーメントが大きいと結晶化が促進される。
【0077】
CuPcはπ電子18個のフタロシアニンマクロ環を有する平面的化合物であるが、非置換サブフタロシアニンおよびサブポルフィリン化合物は、ホウ素などの3価のコアまたは2価もしくは3価の金属を中心とした3個の縮合芳香環を含む。得られたπ電子14個の芳香性大環状分子は、芳香性配位子の平面から外れた、四面体のホウ素または2価もしくは3価の金属中心をもつ、非平面円錐形の構造を有しており、蒸着条件に応じて多くの異なる向きでパッキングされている。当業者が理解するように、芳香性マクロ環の環に縮合芳香環を追加すると、錯体のπ系の電子数を増加させることになる。π系が広がることが非局在化をもたらして、電子吸引基で置換されたサブフタロシアニンまたはサブポルフィリン化合物と同様の働き方をさせる。すなわち、π系を広げることが還元電位を低下させ且つ酸化電位を上昇させることによりHOMOおよびLUMO準位を低下させると予想される。例えば、SubNcの吸収スペクトルには、SubPcBClに対してレッドシフトがみられる。
【0078】
サブフタロシアニンおよびサブポルフィリン化合物は、CuPcに類似した強い可視吸収および減衰係数を有しているので、ドナー性材料としての役割を果たすであろう。SubPcBClの第一酸化および還元電位は、フェロセン(Fc/Fc+)基準と比較して0.69Vおよび-1.40Vである。したがって、Fc/Fc+と比較して1.26Vおよび-1.06Vの酸化および還元電位を有するC60は、SubPcBClをベースにしたPV電池のアクセプター材料として好適である。石英上に積層されたCuPc(200Å)/C60(400Å)/BCP(100Å)膜、および石英上のSubPcBCl(130Å)/C60(325Å)/BCP(100Å)膜の吸光度スペクトルの比較を図10に示す。適切な置換基導入により、SubPc化合物のHOMOおよびLUMOエネルギーを、特定用途のドナー性材料として使用するために調節することができる。
【0079】
同様に、図11に示すようにCuPcとホウ素サブフタロシアニン塩化物のHOMOおよびLUMOエネルギーを比較すると、サブフタロシアニン化合物は、ドナー性材料としてのCuPcと一緒にして適切なアクセプター性材料であることが分かる。ドナー性材料と同様に、適切な置換により、SubPc化合物のHOMOおよびLUMOエネルギーを、特定用途のアクセプター性材料として使用するために調節することができる。
【実施例1】
【0080】
[実施例]
以下の非限定的な実施例は、本発明の好ましい実施形態を単に例証するだけのものであり、本発明を限定するものと解釈するべきではない。その範囲は添付された特許請求の範囲によって定義される。
【0081】
ドナー性材料としてのC60と共に、ホウ素サブフタロシアニン塩化物を有機PV電池にアクセプター性材料として組み込んだ。ホウ素サブフタロシアニン塩化物は、CuPc/C60基準デバイスに対して開放電圧および電力変換効率を2倍にしている。
【0082】
ITOをコーティングしたガラス基板上で光電池を成長させた。その基板は、溶媒で洗浄し、高真空(〜3×10-6トル)チャンバー内にロードする直前に10分間UV-オゾン中で処理した。有機材料であるSubPc(Aldrich社)、CuPc(Aldrich社)、C60(MTR Limited社)、および2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP)(Aldrich社)を、使用に先立って昇華によって精製した。金属陰極材料であるAgおよびAl(Alfa Aesar社)は、入手したままの状態で使用した。材料は、真空熱蒸着によって以下の速度で順次成長させた:SubPc(1Å/秒)、C60(2Å/秒)、および2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP)(1.5Å/秒)、並びに金属:厚さ1000ÅのAg(4Å/秒)またはAl(2.5Å/秒)。この陰極は、直径1mmの開口部を有するシャドウマスクを通して蒸着した。PV電池の電流-電圧(J-V)特性は、Keithley2420の3A電力計を使用して、AM1.5G擬似太陽光(Oriel Instruments社)の下で測定した。ニュートラルフィルターを使用して光強度を変化させ、光強度は、較正された広帯域光強度測定器で測定した。
【0083】
対照として製造した従来のPV電池構造は、Ag陰極(CuPc1)またはAl陰極(CuPc2)を有するITO/CuPc(200Å)/C60(400Å)/BCP(100Å)であった。SubPcBCl電池は、ITO/SubPcBCl(200Å)/C60(400Å)/BCP(100Å)とAg(SubPc1)またはAl(SubPc2)陰極とから構成した。電流密度対電圧(J-V)特性を、暗所および1〜5太陽強度級のAM1.5G擬似太陽光(太陽光とのスペクトルミスマッチは未補正)の下で測定した。
【0084】
基準デバイスは200ÅのCuPcを用いて作られているが、200ÅのSubPcを用いて作られたSubPcデバイスの性能は不十分であった。これは高い直列抵抗によるものと考えられ、最適なデバイス性能には、より薄いドナー層が必要であることを示唆している。SubPcはCuPcより短い波長で吸収するので、最適な電池構造では、短波長光強度が最高となる領域にSubPc/C60界面を確実に位置させるように、対応するC60の厚さを低減することが必要である。この基準に従って、以下の構造を有するデバイスを作製した:AgまたはAl陰極を有する、ITO/SubPc(130Å)/C60(325Å)/BCP(100Å)。上記のように、本発明の有機感光性デバイスは、入射電磁放射線から電力を生成するために使用することができ(例えば、光起電力デバイス)、あるいは、入射電磁放射線を検出するために使用することができる(例えば、光検出器または光導電体セル)。
【0085】
1太陽強度級のAM1.5G擬似太陽光下で照射したデバイスの構造および光起電力のデータ、ならびに1太陽強度級でのデバイスのJ-V特性を表3に示した。SubPc1およびSubPc2のVocはCuPc電池よりも150mV高いが、JscとFFは両方とも低下しており、電力効率の低下をもたらした。これは高い直列抵抗によるものと思われ、最適なデバイス性能には、より薄いドナー層が必要であることを示唆している。SubPcBClはCuPcより短い波長で吸収するので、最適な電池構造では、短波長光強度が最高となる領域にSubPcBCl /C60界面を確実に位置させるように、対応するC60の厚さを低減することが必要である。この基準に従って、以下の構造を有するデバイスを製造した:Ag(SubPc3)またはAl(SubPc4)陰極を有する、ITO/SubPcBCl(130Å)/C60(325Å)/BCP(100Å)。
【0086】
【表3】

【0087】
SubPc4およびCuPc2のJ-V特性を図12に示す。1太陽強度級のAM1.5G擬似太陽光下(実線)および暗所(破線)におけるITO/CuPc(200Å)/C60(400Å)/BCP(100Å)/Al(1000Å)を白丸で表し、ITO/SubPc(130Å)/C60(325Å)/BCP(100Å)/Al(1000Å)を黒丸で表した。この場合、SubPc4のVocはCuPc2の2倍を超えており、またJscはほぼ10パーセント増加している。図10に示すように、SubPcの吸収はCuPcの吸収に対してブルーシフトし、λ=700nmでの吸光度は減少しているが、太陽スペクトルのより大きな強度領域にあるλ=590nmでの吸光度の増加によって打ち消されている。図13に示すように、SubPc4のVocおよびFFは1〜5太陽強度級の光強度にほとんど依存しないが、電力変換効率は1太陽強度級でηp=2.1±0.2パーセントの極大値に到達する。1〜5太陽強度級のAM1.5G擬似太陽光下でのITO/SubPcBCl(130Å)/C60(325Å)/BCP(100Å)/Al(1000Å)デバイスの光起電力データも表4に示す。
【0088】
【表4】

【0089】
ITO/SubPcBCl(xÅ)/C60(325Å)/BCP(100Å)/Al(1000Å)デバイスにおいて、SubPcBCl層の厚さを変化させたデバイスの、1太陽強度級のAM1.5G擬似太陽光下での光起電力データを表5に示す。
【0090】
【表5】

【0091】
図9に示したCuPcデバイスおよびSubPcBClデバイスのエネルギー準位図に示すように、SubPcBCl/C60デバイスのIgはCuPc/C60デバイスより400meV大きく、これは、ほぼ同じ大きさ(550mV)のVocの上昇に関連している。Vocの著しい上昇は、SubPcBClのより低いHOMOエネルギー、それに続くIgの増大に起因するものであり、VocがIgに左右されることを示している。Vocは直列抵抗によって上昇させることができるので、不純物または結晶の乱れの存在に左右される可能性がある。Vocの上昇率はIgの増大よりおよそ20パーセント高く、これは抵抗がVocに影響を及ぼしていることを示している。しかし、FFが高いことは、Vocの上昇を抵抗だけでは説明できないことを示している。
【0092】
金属陰極を変えてもVocに与える影響はわずかである。しかし、Ag陰極を用いたCuPc1は、Alを用いた類似のデバイス(CuPc2)に対してJscおよびFFが増大している。Vocが両方のデバイスに対して同じであるのに、JscおよびFFへのこうした影響がなぜ観察されるか明瞭ではない。一方、SubPcBClについては、FFは、Alデバイス(SubPc4)と比較して、Agデバイス(SubPc3)では低下する。しかし、SubPcBCl/C60をベースとしたPV電池は、従来のCuPc/C60電池の2倍を超えるVocを有するので、2倍を超える電池電力変換効率が得られる。深いHOMOを有する強く吸収するドナー材料の使用によって、Jscが付随して低下することなく、Igおよび、結果的に、Vocは上昇する。これは、Igが恐らく有機ヘテロ接合電池のVocを決定する支配的な因子であることを示している。
【0093】
アクセプター性材料としてSubPcBClを使用したPVデバイスの特性を以下に説明する。ITOコーティングしたガラス基板上で光電池を成長させた。この基板は、溶媒で洗浄し、高真空(〜3×10-6トル)チャンバー内にロードする直前に10分間UV-オゾン中で処理した。有機材料であるSubPcBCl(Aldrich社)、CuPc(Aldrich社)、および2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP)(Aldrich社)は、使用に先立って昇華によって精製した。金属陰極材料であるAl(Alfa Aesar社)は、入手したままの状態で使用した。膜は、真空熱蒸着によって順次成長させた:CuPc(200Å、2Å/秒)、SubPcBCl(130Å、1Å/秒)、BCP(100Å、1.5Å/秒)、およびAl(1000Å、2.5Å/秒)。陰極は、直径1mmの開口部を有するシャドウマスクを通して蒸着した。PV電池の電流-電圧(J-V)特性は、Keithley2420の3A電力計を使用して、AM1.5G擬似太陽光(Oriel Instruments社)の下で測定した。ニュートラルフィルターを使用して光強度を変化させ、光強度は、較正された広帯域光強度測定器で測定した。
【0094】
1太陽強度級でのJ-V特性を図14に示し、かつ表6に記載した。これらの結果は、本発明のデバイスをSubPc材料を用いて作製でき、この材料がアクセプター性材料としての役割を果たしていることを示している。このデバイスの電力変換効率が低いのは、JscおよびFFが低い結果である。しかし、これらの値は、デバイスの最適化により上昇させることができる。
【0095】
【表6】

【0096】
本発明の特定の実施例を本明細書に例示および/または説明した。しかし、本発明の修正例および変形例は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、上記教示によって包含されること、ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に包含されることを理解されたい。
【符号の説明】
【0097】
6 光子
8 励起子
10 真空準位
100 デバイス
110 基板
120 陽極
122 陽極平滑化層
150 光活性領域
150’ 光活性領域
152 ドナー(ドナー材料、ドナー層)
152’ ドナー(ドナー材料、ドナー層)
153 混合ヘテロ接合
154 アクセプター(アクセプター材料、アクセプター層)
154’ アクセプター(アクセプター材料、アクセプター層)
156 励起子ブロッキング層
156’ 励起子ブロッキング層
170 陰極
190 要素
252 ドナー材料
254 アクセプター材料
300 有機感光性オプトエレクトロニックデバイス
320 透明な接点
350 光活性領域
358 有機光導電材料
370 ショットキー接点
400 有機感光性オプトエレクトロニックデバイス
460 介在導電性領域
461 再結合中心
500 有機感光性オプトエレクトロニックデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間のドナーアクセプターヘテロ接合とを含む有機感光性オプトエレクトロニックデバイスであって、前記ヘテロ接合がドナー性材料およびアクセプター性材料を含み、前記ドナー性材料および前記アクセプター性材料のうちの少なくとも1つが、サブフタロシアニン、サブポルフィリン、および/またはサブポルフィラジン化合物を含み;かつ/または、前記デバイスが任意選択でブロッキング層または電荷輸送層の少なくとも1つを有していてもよく、前記ブロッキング層および/または前記電荷輸送層が、サブフタロシアニン、サブポルフィリン、および/またはサブポルフィラジン化合物を含む、有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項2】
前記ドナー性材料がサブフタロシアニン化合物を含む、請求項1に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項3】
前記ドナー性材料がホウ素サブフタロシアニンハロゲン化物である、請求項2に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項4】
前記ドナー性材料がホウ素サブフタロシアニン塩化物である、請求項2に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項5】
前記サブフタロシアニン化合物がオリゴマーである、請求項2に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項6】
前記サブフタロシアニン化合物が次式を有する、請求項2に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス
【化1】

[前記式中、R1〜R12、M、およびXはそれぞれ独立に選択され、R1〜R12の少なくとも1つは電子供与性または電子吸引性であり、残りのR1〜R12基は、それぞれ独立に、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択され、かつ、隣接した任意のR1〜R12は縮合脂肪族環または縮合芳香環の一部であってもよく、前記環は炭素以外の1個または複数の原子を含んでいてもよく、Mはホウ素、2価の金属、または3価の金属であり、Xはアニオン性基である]。
【請求項7】
前記サブフタロシアニン化合物が次式を有する、請求項2に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス
【化2】

[前記式中、R1〜R12、M、およびXはそれぞれ独立に選択され、R1〜R12は、それぞれ独立に、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択され、かつ、隣接した任意のR1〜R12は縮合脂肪族環または縮合芳香環の一部であってもよく、前記環は炭素以外の1個または複数の原子を含んでいてもよく、Mはホウ素、2価の金属、または3価の金属であり、Xはアニオン性基である]。
【請求項8】
R1〜R12の少なくとも1つが、SC8H17、SC6H5、SO2C6H5、およびSO2C8H17からなる群から選択される、請求項7に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項9】
Mが、B、Be、Mg、Al、およびGaからなる群から選択され、かつ、Xが、ハロゲン化物、アルコキシ、フェノキシ、ヒドロキシ、アリール、フェニル、およびOCOCR13R14R15からなる群から選択され、前記式中、R13、R14、およびR15は、それぞれ独立に、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択される、請求項7に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項10】
R13、R14、およびR15の少なくとも1つが、SC8H17、SC6H5、SO2C6H5、およびSO2C8H17からなる群から選択される、請求項9に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項11】
前記ドナー性材料がサブポルフィリン化合物を含む、請求項1に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項12】
前記サブポルフィリン化合物が次式を有する、請求項11に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス:
【化3】

[前記式中、R1〜R12、M、およびXはそれぞれ独立に選択され、R1〜R12の少なくとも1つは電子供与性または電子吸引性であり、残りのR1〜R12は、それぞれ独立に、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択され、かつ、隣接した任意のR1〜R12は縮合脂肪族環または縮合芳香環の一部であってもよく、前記環は炭素以外の1個または複数の原子を含んでいてもよく、Mはホウ素、2価の金属、または3価の金属であり、Xはアニオン性基であり、ZはN、CH、CR16であり、前記式中、R16は、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択される。]。
【請求項13】
前記サブポルフィリン化合物が次式を有する、請求項11に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス:
【化4】

[前記式中、R1〜R12、M、およびXはそれぞれ独立に選択され、R1〜R12は、それぞれ独立に、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択され、かつ、隣接した任意のR1〜R12は縮合脂肪族環または縮合芳香環の一部であってもよく、前記環は炭素以外の1個または複数の原子を含んでいてもよく、Mはホウ素、2価の金属、または3価の金属であり、Xはアニオン性基であり、ZはN、CH、CR16であり、前記式中、R16は、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択される。] 。
【請求項14】
Mが、B、Be、Mg、Al、およびGaからなる群から選択され、かつ、Xが、ハロゲン化物、アルコキシ、フェノキシ、ヒドロキシ、アリール、フェニル、およびOCOCR13R14R15からなる群から選択され、前記式中、R13、R14、およびR15は、それぞれ独立に、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択される、請求項13に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項15】
前記サブポルフィリン化合物がオリゴマーである、請求項11に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項16】
前記アクセプター性材料がサブフタロシアニン化合物を含む、請求項1に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項17】
前記ドナー性材料がホウ素サブフタロシアニンハロゲン化物である、請求項16に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項18】
前記ドナー性材料がホウ素サブフタロシアニン塩化物である、請求項16に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項19】
前記サブフタロシアニン化合物が次式を有する、請求項16に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス:
【化5】

[前記式中、R1〜R12、M、およびXはそれぞれ独立に選択され、R1〜R12の少なくとも1つは電子供与性または電子吸引性であり、残りのR1〜R12は、それぞれ独立に、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択され、かつ、隣接した任意のR1〜R12は縮合脂肪族環または縮合芳香環の一部であってもよく、前記環は炭素以外の1個または複数の原子を含んでいてもよく、Mはホウ素、2価の金属、または3価の金属であり、Xはアニオン性基である。] 。
【請求項20】
前記サブフタロシアニン化合物が次式を有する、請求項16に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス:
【化6】

[前記式中、R1〜R12、M、およびXはそれぞれ独立に選択され、R1〜R12は、それぞれ独立に、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択され、かつ、隣接した任意のR1〜R12は縮合脂肪族環または縮合芳香環の一部であってもよく、前記環は炭素以外の1個または複数の原子を含んでいてもよく、Mはホウ素、2価の金属、または3価の金属であり、Xはアニオン性基である。]。
【請求項21】
Mが、B、Be、Mg、Al、およびGaからなる群から選択され、かつ、Xが、ハロゲン化物、アルコキシ、フェノキシ、ヒドロキシ、アリール、フェニル、およびOCOCR13R14R15からなる群から選択され、前記式中、R13、R14、およびR15は、それぞれ独立に、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択される、請求項20に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項22】
前記サブフタロシアニン化合物がオリゴマーである、請求項16に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項23】
前記アクセプター性材料がサブポルフィリン化合物を含む、請求項1に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項24】
前記サブポルフィリン化合物が次式を有する、請求項23に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス:
【化7】

[前記式中、R1〜R12、M、およびXはそれぞれ独立に選択され、R1〜R12の少なくとも1つは電子供与性または電子吸引性であり、残りのR1〜R12は、それぞれ独立に、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択され、かつ、隣接した任意のR1〜R12は縮合脂肪族環または縮合芳香環の一部であってもよく、前記環は炭素以外の1個または複数の原子を含んでいてもよく、Mはホウ素、2価の金属、または3価の金属であり、Xはアニオン性基であり、ZはN、CH、CR16であり、前記式中、R16は、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択される。]。
【請求項25】
前記サブポルフィリン化合物が次式を有する、請求項23に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス:
【化8】

[前記式中、R1〜R12、M、およびXはそれぞれ独立に選択され、R1〜R12は、それぞれ独立に、H、直鎖、分岐または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択され、かつ、隣接した任意のR1〜R12は縮合脂肪族環または縮合芳香環の一部であってもよく、前記環は炭素以外の1個または複数の原子を含んでいてもよく、Mはホウ素、2価の金属、または3価の金属であり、Xはアニオン性基であり、ZはN、CH、CR16であり、前記式中、R16は、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択される。]。
【請求項26】
前記サブポルフィリン化合物がオリゴマーである、請求項23に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項27】
前記ドナー性材料がサブポルフィラジン化合物を含む、請求項1に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項28】
前記サブポルフィラジン化合物が次式を有する、請求項27に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス:
【化9】

[前記式中、R1〜R6、M、XおよびZはそれぞれ独立に選択され、R1〜R6の少なくとも1つは電子供与性または電子吸引性であり、残りのR1〜R6が、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択され、Mはホウ素、2価の金属、または3価の金属であり、Xはアニオン性基であり、ZはN、CH、CR16であり、前記式中、R16は、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択される。]。
【請求項29】
前記サブポルフィラジン化合物が次式を有する、請求項27に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス:
【化10】

[前記式中、R1〜R6、M、X、およびZはそれぞれ独立に選択され、R1〜R6は、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択され、Mはホウ素、2価の金属、または3価の金属であり、Xはアニオン性基であり、ZはN、CH、CR16であり、前記式中、R16は、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択される。]。
【請求項30】
Mが、B、Be、Mg、Al、およびGaからなる群から選択され、かつ、Xが、ハロゲン化物、アルコキシ、フェノキシ、ヒドロキシ、アリール、フェニル、およびOCOCR13R14R15からなる群から選択され、前記式中、R13、R14、およびR15が、それぞれ独立に、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択される、請求項29に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項31】
前記アクセプター性材料がサブポルフィラジン化合物を含む、請求項1に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項32】
前記サブポルフィラジン化合物が次式を有する、請求項31に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス:
【化11】

[前記式中、R1〜R6、M、X、およびZはそれぞれ独立に選択され、R1〜R6の少なくとも1つは電子供与性または電子吸引性であり、残りのR1〜R6は、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択され、Mはホウ素、2価の金属、または3価の金属であり、Xはアニオン性基であり、ZはN、CH、CR16であり、前記式中、R16は、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択される。]。
【請求項33】
前記サブポルフィラジン化合物が次式を有する、請求項31に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス:
【化12】

[前記式中、R1〜R6、M、X、およびZはそれぞれ独立に選択され、R1〜R6は、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択され、Mはホウ素、2価の金属、または3価の金属であり、Xはアニオン性基であり、ZはN、CH、CR16であり、前記式中、R16は、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択される。]。
【請求項34】
Mが、B、Be、Mg、AlおよびGaからなる群から選択され、かつ、Xが、ハロゲン化物、アルコキシ、フェノキシ、ヒドロキシ、アリール、フェニル、およびOCOCR13R14R15からなる群から選択され、前記式中、R13、R14、およびR15は、それぞれ独立に、H、直鎖、分岐、または環状アルキル、ハロゲン化物、チオアルキル、チオアリール、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルアミノ、アシルオキシ、フェニル、カルボキシ、カルボキソアミド、カルボアルコキシ、アシル、スルホニル、シアノ、およびニトロからなる群から選択される、請求項33に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項35】
前記デバイスが、太陽電池、光検出器、または光センサーである、請求項1に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項36】
前記デバイスが、可視スペクトル光検出器または光センサーである、請求項1に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項37】
前記ヘテロ接合が二重ヘテロ構造である、請求項1に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項38】
前記ヘテロ接合がバルクヘテロ接合である、請求項1に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項39】
前記ヘテロ接合が平面ヘテロ接合である、請求項1に記載の有機感光性オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項40】
ドナー性材料とアクセプター性材料を含むヘテロ接合の作製方法であって、LUMOおよびHOMOを有するドナー性材料を選択するステップと、
少なくとも1つの電子求引性または電子供与性置換基で置換されたサブフタロシアニンまたはサブポルフィリン材料を選択するステップであって、ここで前記置換基が前記サブフタロシアニンまたはサブポルフィリン材料のLUMOおよびHOMOを調節して前記サブフタロシアニンまたはサブポルフィリン材料が前記ドナー性材料に対してアクセプター性材料となっており、
前記ドナー性材料とアクセプター性材料からヘテロ接合を形成するステップ
とを含むか;あるいは、
アクセプター性材料を選択するステップと、
少なくとも1つの電子求引性または電子供与性置換基で置換されたサブフタロシアニン、サブポルフィリン、またはサブポルフィラジン材料を選択するステップであって、ここで前記置換基がサブフタロシアニン、サブポルフィリン、またはサブポルフィラジン材料のLUMOおよびHOMOを調節して前記サブフタロシアニン、サブポルフィリン、またはサブポルフィラジン材料が前記アクセプター性材料に対してドナー性材料となっており、
前記ドナー性材料とアクセプター性材料からヘテロ接合を形成するステップ
とを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−538529(P2009−538529A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512045(P2009−512045)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/011749
【国際公開番号】WO2007/139704
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(591003552)ザ、トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ (68)
【出願人】(500047572)ザ、リージェンツ、オブ、ザ、ユニバーシティ、オブ、ミシガン (12)
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF MICHIGAN
【出願人】(502023332)ザ ユニバーシティ オブ サザン カリフォルニア (20)
【Fターム(参考)】