説明

サブマージアーク溶接装置および片面溶接装置

【課題】溶接の状況と装置の状況を同時に記録することにより、溶接不具合の原因の追跡および解析が容易となるサブマージアーク溶接装置および片面溶接装置を提供する。
【解決手段】サブマージアーク溶接装置は、溶接トーチ25と、溶接走行台車20と、走行レール10と、溶接電源27と、センサ26と、溶接制御手段21と、走行駆動手段22と、倣い駆動手段23とを備え、溶接制御手段21が、走行駆動手段22に対して溶接走行台車20の開先長さ方向への駆動を指示するとともに、センサ26が検出した開先位置に従って倣い駆動手段23に対して溶接走行台車20の開先幅方向への駆動を指示する駆動指示部212と、走行距離と溶接電流および溶接電圧の測定値とを関連付けて書き込むとともに、走行距離と倣い位置とを関連付けて書き込む書き込み部215と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板等の被溶接部材を溶接するためのサブマージアーク溶接装置および片面溶接装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、溶接時における溶接不具合(溶接欠陥)を解析する手法としては、当該溶接不具合が生じた時点における溶接電流や溶接電圧等の溶接状況を事後的に解析する手法が用いられていた。例えば、特許文献1では、溶接電流または溶接電圧等の検出信号を保存するデータ保存手段と、ロボットの動作軌跡を記憶する動作軌跡記憶手段と、を備え、溶接ワークの溶接線情報に対して、溶接電流または溶接電圧等の検出データがどのように対応しているのかを容易に把握することができるアーク溶接モニタが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−58007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係るアーク溶接モニタはアーク溶接用ロボット用のものであり、サブマージアーク溶接の際には溶接電流または溶接電圧等の溶接状況は記録していなかった。従って、サブマージアーク溶接の分野においては、溶接後に溶接不具合が発見された場合であっても、当該溶接不具合が生じた時点における溶接状況を確認することができなかった。
【0005】
また、サブマージアーク溶接の分野においても、溶接電流または溶接電圧等の溶接状況のロギング機能を備える溶接電源は存在するものの、溶接電源では溶接装置の位置等の装置状況までは検出および記録することはできない。従って、例えば溶接不具合の原因が装置状況にある場合は、溶接不具合の原因を追跡および解析することができないという問題があった。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、溶接電流および溶接電圧等の溶接状況と、溶接装置の位置等の装置状況を同時に記録することにより、溶接不具合の原因の追跡および解析が容易となるサブマージアーク溶接装置および片面溶接装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するために本発明に係るサブマージアーク溶接装置は、被溶接部材を突き合わせた開先を溶接するサブマージアーク溶接装置であって、前記開先に対してワイヤを供給する溶接トーチと、前記溶接トーチを支持する溶接走行台車と、前記溶接走行台車を走行可能に支持する走行レールと、前記溶接トーチおよび前記被溶接部材に電力を供給するとともに、溶接電流および溶接電圧を検出する溶接電源と、前記溶接走行台車によって支持されるとともに、前記溶接トーチに先行して開先位置を検出するセンサと、前記溶接走行台車の移動を制御する溶接制御手段と、前記溶接制御手段の指示に従って前記溶接走行台車を前記開先長さ方向に駆動させるとともに、前記溶接走行台車の前記開先長さ方向における移動量を示す走行距離を検出する走行駆動手段と、前記溶接制御手段の指示に従って前記溶接走行台車を前記開先長さ方向と直交する方向である開先幅方向に駆動させるとともに、前記溶接走行台車の前記開先幅方向における移動量を示す倣い位置を検出する倣い駆動手段と、を備え、前記溶接制御手段が、前記走行駆動手段に対して前記溶接走行台車の前記開先長さ方向への駆動を指示するとともに、前記センサが検出した前記開先位置に従って前記倣い駆動手段に対して前記溶接走行台車の前記開先幅方向への駆動を指示する駆動指示部と、前記走行駆動手段が検出した前記走行距離と、溶接電源が検出した溶接電流および溶接電圧の測定値と、を関連付けて書き込むとともに、前記走行駆動手段が検出した前記走行距離と、前記倣い駆動手段が検出した倣い位置と、を関連付けて書き込む書き込み部と、を備える構成とした。
【0008】
このような構成からなるサブマージアーク溶接装置は、溶接電流および溶接電圧の測定値等からなる溶接状況のデータと、溶接走行台車の走行距離や倣い位置等からなる装置状況のデータと、を同時にかつ関連付けて記録することができる。
【0009】
また、本発明に係る片面溶接装置は、被溶接部材を突き合わせた開先を片面から溶接する片面溶接装置であって、前記開先に対してワイヤを供給する溶接トーチと、前記溶接トーチを支持する溶接走行台車と、前記溶接走行台車を走行可能に支持する走行レールと、前記溶接トーチおよび前記被溶接部材に電力を供給するとともに、溶接電流および溶接電圧を検出する溶接電源と、前記溶接走行台車によって支持されるとともに、前記溶接トーチに先行して開先位置を検出するセンサと、前記溶接走行台車の移動を制御する溶接制御手段と、前記溶接制御手段の指示に従って前記溶接走行台車を前記開先長さ方向に駆動させるとともに、前記溶接走行台車の前記開先長さ方向における移動量を示す走行距離を検出する走行駆動手段と、前記溶接制御手段の指示に従って前記溶接走行台車を前記開先長さ方向と直交する方向である開先幅方向に駆動させるとともに、前記溶接走行台車の前記開先幅方向における移動量を示す倣い位置を検出する倣い駆動手段と、前記開先の裏側に配設された裏当装置と、を備え、前記溶接制御手段が、前記走行駆動手段に対して前記溶接走行台車の前記開先長さ方向への駆動を指示するとともに、前記センサが検出した前記開先位置に従って前記倣い駆動手段に対して前記溶接走行台車の前記開先幅方向への駆動を指示する駆動指示部と、前記走行駆動手段が検出した前記走行距離と、溶接電源が検出した溶接電流および溶接電圧の測定値と、を関連付けて書き込むとともに、前記走行駆動手段が検出した前記走行距離と、前記倣い駆動手段が検出した倣い位置と、を関連付けて書き込む書き込み部と、を備える構成とした。
【0010】
このような構成からなる片面溶接装置は、溶接電流および溶接電圧の測定値等からなる溶接状況のデータと、溶接走行台車の走行距離や倣い位置等からなる装置状況のデータと、を同時にかつ関連付けて記録することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るサブマージアーク溶接装置および片面溶接装置によれば、溶接電流および溶接電圧の測定値等からなる溶接状況のデータと、溶接走行台車の走行距離や倣い位置等からなる装置状況のデータと、を同時にかつ関連付けて記録することができるため、サブマージアーク溶接を行った後に仮に溶接不具合を発見した場合であっても、当該溶接不具合の原因の追跡および解析を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る片面溶接装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る片面溶接装置が備える溶接制御手段およびその周囲の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る片面溶接装置によって通常の金属板を溶接した場合の実施例を説明するための図であって、(a)は、異常時の溶接状況データを示すグラフ、(b)は、異常時の装置状況データを示すグラフ、である。
【図4】本発明の実施形態に係る片面溶接装置によって通常の金属板を溶接した場合の実施例を説明するための図であって、(a)は、正常時の溶接状況データを示すグラフ、(b)は、正常時の装置状況データを示すグラフ、である。
【図5】本発明の実施形態に係る片面溶接装置と同様の構成(裏当装置を除く)を備えるBOX柱の角溶接装置によってBOX柱の角を溶接した場合の実施例を示す図であって、(a)は、異常時の溶接状況データを示すグラフ、(b)は、異常時の装置状況データを示すグラフ、である。
【図6】本発明の実施形態に係る片面溶接装置と同様の構成(裏当装置を除く)を備えるBOX柱の角溶接装置によってBOX柱の角を溶接した場合の実施例を示す図であって、(a)は、正常時の溶接状況データを示すグラフ、(b)は、正常時の装置状況データを示すグラフ、である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態に係るサブマージアーク溶接装置について、図面を参照しながら説明する。サブマージアーク溶接装置は、開先上にあらかじめ粒状のフラックスを散布しておき、その中にワイヤを自動的に送り込むことで、フラックス中においてワイヤと被溶接部材との間にアークを発生させて溶接する装置である。ここで、サブマージアーク溶接装置には、種々の構成のものが含まれるが、以下の説明では、片面溶接装置を例にとって説明する。
【0014】
片面溶接装置100は、例えば大板の板継溶接において、複数の被溶接部材1を突き合わせた開先Vを片面から溶接する装置である。片面溶接装置100は、図1に示すように、走行レール10の長さ方向に沿って走行する溶接走行台車20を主な構成として備えている。また、片面溶接装置100は、走行レール10上において被溶接部材1の開先Vの裏側にフラックスを押し当てる裏当装置30をさらに備えている。また、片面溶接装置100は、被溶接部材1の溶接点に対してフラックスを供給するフラックス供給装置と、溶接終了後に残存したフラックスを吸引して回収するフラックス回収装置と、を備えているが、図1では図示を省略している。
【0015】
走行レール10は、溶接走行台車20が走行するためのものである。走行レール10は、被溶接部材1の開先Vの長さ方向である開先長さ方向に沿って架設される。また、走行レール10は、図1に示すように、断面矩形状に形成されており、例えば剛性の高い金属素材から構成されている。
【0016】
溶接走行台車20は、走行レール10の長さ方向に走行しながら、被溶接部材1の開先Vを溶接するものである。溶接走行台車20は、図1に示すように、走行駆動手段22を介して走行レール10の長さ方向に走行可能なように、走行レール10に吊り下げ支持されている。
【0017】
溶接走行台車20は、ここでは図1に示すように、台車本体20aと、当該台車本体20aの下部に一端が固定され、他端が被溶接部材1まで伸びたヘッドフレーム20bと、から構成される。また、台車本体20aは、図1に示すように、溶接制御手段21と、走行駆動手段22と、倣い駆動手段23と、ワイヤ送給装置24と、を備え、ヘッドフレーム20bは、溶接トーチ25と、センサ26と、を備えている。以下、台車本体20aおよびヘッドフレーム20bが備える各要素について、詳細に説明する。
【0018】
溶接制御手段21は、溶接走行台車20の移動を制御するものである。溶接制御手段21は、ここでは図2に示すように、補正量算出部211と、駆動指示部212と、信号生成部213と、電流電圧制御部214と、書き込み部215と、記録部216と、を備えている。なお、溶接制御手段21は、ここでは図1に示すように、台車本体20aの内部に設けられているが、台車本体20aの外部に設けてもよい。
【0019】
補正量算出部211は、溶接走行台車20を開先幅方向に移動させる補正量を算出するものである。すなわち、補正量算出部211は、溶接進行方向に対して開先Vが傾いている場合に、溶接走行台車20を開先幅方向に移動させて当該開先Vに倣わせるための倣い補正量を算出するものである。補正量算出部211は、具体的には、センサ26が検出した開先位置と溶接走行台車20の溶接進行方向との差をとることで開先Vのズレを算出するとともに、当該開先Vのズレに対応した補正量を算出する。なお、ここでの開先Vのズレとは、より具体的には、開先位置と溶接進行方向との間における開先幅方向の距離のことを意味している。
【0020】
補正量算出部211には、図2に示すように、センサ26から、開先位置が入力される。そして、補正量算出部211は、前記した手法によって補正量を算出し、図2に示すように、これを駆動指示部212に出力する。
【0021】
駆動指示部212は、溶接走行台車20の各駆動手段22,23に対して、駆動指示を行うものである。駆動指示部212は、例えばサーボアンプ等で構成され、走行駆動手段22に対して溶接走行台車20を開先Vの長さ方向(以下、開先長さ方向という)に駆動させるように指示するとともに、倣い駆動手段23に対して溶接走行台車20を開先Vの長さ方向と直交する方向(以下、開先幅方向という)に駆動させるように指示する。
【0022】
駆動指示部212は、具体的には、被溶接部材1の溶接条件などを考慮して予め設定された移動量に従って、溶接走行台車20を開先長さ方向に駆動させる走行駆動指示を生成し、これを走行駆動手段22に出力することで、溶接走行台車20を開先長さ方向に駆動させる。また、駆動指示部212は、補正量算出部211が算出する補正量(倣い補正量)に従って、溶接走行台車20を開先幅方向に駆動させる倣い駆動指示を生成し、これを倣い駆動手段23に出力することで、溶接走行台車20を開先幅方向に駆動させる。
【0023】
また、駆動指示部212は、片面溶接装置100が溶接を開始した際に信号生成部213が生成する動作フラグON信号を倣い駆動手段23に出力することで、溶接走行台車20の倣い動作を開始させる。一方、駆動指示部212は、溶接走行台車20が開先Vの終端に達した際に信号生成部213が生成する動作フラグOFF信号を倣い駆動手段23に出力することで、溶接走行台車20の倣い動作を終了させる。
【0024】
駆動指示部212は、図2に示すように、走行駆動指示を生成し、これを走行駆動手段22に出力する。また、駆動指示部212には、図2に示すように、補正量算出部211から、補正量が入力される。そして、駆動指示部212は、前記した手法によって倣い駆動指示を生成し、図2に示すように、これを倣い駆動手段23を出力する。
【0025】
また、駆動指示部212には、図2に示すように、走行駆動手段22から溶接走行台車20の走行距離が入力されるとともに、倣い駆動手段23から溶接走行台車20の倣い位置が入力される。そして、駆動指示部212は、図2に示すように、これらを書き込み部215に出力する。
【0026】
信号生成部213は、センサ26が動作しているか否かの信号と、溶接走行台車20が倣い動作を行っているか否かの信号と、を生成するものである。信号生成部213は、具体的には、片面溶接装置100が溶接を開始した際に、動作フラグON信号を生成し、図2に示すように、当該動作フラグON信号を、駆動指示部212を介して倣い駆動手段23に出力することで、溶接走行台車20の倣い動作を開始させる。一方、信号生成部213は、センサ26から入力される終端信号に従って、動作フラグOFF信号を生成し、図2に示すように、当該動作フラグOFF信号を、駆動指示部212を介して倣い駆動手段23に出力することで、溶接走行台車20の倣い動作を終了させる。なお、終端信号とは、センサ26が被溶接部材1の開先Vの終端を検出した際に生成する信号のことを意味している。
【0027】
また、信号生成部213は、溶接を開始した際に、センサON信号を生成し、図2に示すように、書き込み部215を介して、当該センサON信号を記録部216に出力する。一方、信号生成部213は、センサ26から入力される終端信号に従って、センサOFF信号を生成し、図2に示すように、書き込み部215を介して、当該センサOFF信号を記録部216に出力する。
【0028】
信号生成部213は、動作フラグON信号とセンサON信号とを生成し、図2に示すように、動作フラグON信号を駆動指示部212と書き込み部215に出力し、センサON信号を書き込み部215に出力する。
【0029】
また、信号生成部213には、図2に示すように、センサ26から、終端信号が入力される。そして、信号生成部213は、前記した手法によって動作フラグOFF信号とセンサOFF信号とを生成し、図2に示すように、動作フラグOFF信号を駆動指示部212と書き込み部215とに出力し、センサOFF信号を書き込み部215に出力する。
【0030】
電流電圧制御部214は、溶接電流および溶接電圧を制御するものである。電流電圧制御部214には、図2に示すように、設定値入力手段40から、溶接電流および溶接電圧の設定値が入力されるとともに、溶接電源27から溶接電流および溶接電圧の測定値(フィードバック電流およびフィードバック電圧)がそれぞれ所定のサンプリング間隔(例えば50msec〜100msec)で入力される。
【0031】
そして、電流電圧制御部214は、溶接電流および溶接電圧が前記した設定値と一致するように、溶接電流を増減させる指示、あるいは溶接電圧を増減させる指示を生成し、これらを溶接電源27に出力することで、溶接電流および溶接電圧を制御する。また、電流電圧制御部214は、図2に示すように、書き込み部215に対して、溶接電源27から入力された溶接電流および溶接電圧の測定値を随時出力する。なお、設定値入力手段40は、例えば片面溶接装置100の外部に設けられた操作パネル等であり、操作者(ユーザ)によって、溶接電流および溶接電圧の設定値が入力されるものである。
【0032】
書き込み部215は、溶接制御手段21内の各部、あるいは溶接制御手段21の周囲の各手段および各装置が生成または検出した値を記録部216に書き込むものである。書き込み部215は、具体的には、図2に示すように、信号生成部213が生成したセンサ信号(センサON信号およびセンサOFF信号)および動作フラグ信号(動作フラグON信号および動作フラグOFF信号)と、走行駆動手段22が検出した溶接走行台車20の走行距離と、倣い駆動手段23が検出した溶接走行台車20の倣い位置と、溶接電源27が検出した溶接電流および溶接電圧の測定値と、ワイヤ送給装置24が検出したワイヤ送給速度と、を記録部216に書き込む。なお、ここでの走行距離とは、溶接走行台車の開先長さ方向における移動量を意味し、ここでの倣い位置とは、溶接走行台車20の開先幅方向における移動量を意味するものである。
【0033】
また、書き込み部215は、記録部216への書き込みの際に、少なくとも走行距離と溶接電流および溶接電圧の測定値とを関連付けて書き込むとともに、走行距離と倣い位置とを関連付けて書き込む。すなわち、書き込み部215は、走行距離ごとの溶接電流および溶接電圧の測定値と、走行距離ごとの倣い位置と、を記録部216に書き込む。
【0034】
記録部216は、溶接制御手段21において、種々の値の記録を行うものである。記録部216は、書き込み部215によって、少なくとも走行距離と溶接電流および溶接電圧の測定値とが関連付けて書き込まれるとともに、走行距離と倣い位置とが関連付けて書き込まれる。すなわち、記録部216は、走行距離ごとの溶接電流および溶接電圧の測定値と、走行距離ごとの倣い位置と、を記録する。
【0035】
記録部216は、具体的には、データを記憶することができるメモリ、ハードディスク等で具現される。そして、記録部216は、図2に示すように、書き込み部215から入力された種々の値を記録し、かつ、これらを必要に応じてPC50に出力できるように構成されている。なお、記録部216は、図2に示すように、溶接制御手段21の内部に設けられているが、当該溶接制御手段21の外部に設けてもよい。
【0036】
記録部216には、図2に示すように、書き込み部215から、センサ信号と、動作フラグ信号と、溶接走行台車20の走行距離と、溶接走行台車20の倣い位置と、溶接電流および溶接電圧の測定値と、ワイヤ送給速度と、が入力される。また、記録部216には、書き込み部215から、少なくとも走行距離と溶接電流および溶接電圧の測定値とが関連付けられて入力されるとともに、走行距離と倣い位置とが関連付けられて入力される。そして、記録部216は、図2に示すように、これらを必要に応じてPC50に出力する。以下、溶接走行台車20の他の構成について、説明する。
【0037】
走行駆動手段22は、溶接走行台車20を走行レール10に沿って開先長さ方向に駆動させるものである。走行駆動手段22は、具体的には、開先長さ方向に駆動する図示しないモータと、当該モータの駆動量、すなわち溶接走行台車20の走行距離を検出する図示しないエンコーダと、から構成されている。そして、走行駆動手段22は、駆動指示部212から入力される走行駆動指示に従って、前記したモータによって溶接走行台車20を開先長さ方向に駆動させるとともに、前記したエンコーダによって溶接走行台車20の走行距離を所定のサンプリング周期ごとに検出する。
【0038】
走行駆動手段22には、図2に示すように、駆動指示部212から、走行駆動指示が入力される。また、走行駆動手段22は、図2に示すように、駆動指示部212に対して、図示しないエンコーダが検出した溶接走行台車20の走行距離を出力する。
【0039】
倣い駆動手段23は、溶接走行台車20(溶接トーチ25)を開先幅方向に駆動させるものである。倣い駆動手段23は、具体的には、開先幅方向に駆動する図示しないモータと、当該モータの駆動量、すなわち溶接走行台車20の倣い位置を検出する図示しないエンコーダと、から構成されている。そして、倣い駆動手段23は、駆動指示部212から入力される倣い駆動指示に従って、前記したモータによって溶接走行台車20を開先幅方向に駆動させるとともに、前記したエンコーダによって溶接走行台車20の倣い位置を所定のサンプリング周期ごとに検出する。また、倣い駆動手段23は、駆動指示部212から入力される動作フラグON信号に従って、溶接走行台車20の倣い動作を開始するとともに、駆動指示部212から入力される動作フラグOFF信号に従って、溶接走行台車20の倣い動作を終了する。
【0040】
倣い駆動手段23には、図2に示すように、駆動指示部212から、倣い駆動指示と、動作フラグ信号(動作フラグON信号および動作フラグOFF信号)と、が入力される。また、倣い駆動手段23は、図2に示すように、駆動指示部212に対して、図示しないエンコーダが検出した溶接走行台車20の倣い位置を出力する。
【0041】
ワイヤ送給装置24は、ワイヤWを溶接トーチ25に送給するための装置である。ワイヤ送給装置24は、ここでは図1に示すように、台車本体20aに支持されている。また、ワイヤ送給装置24は、ワイヤ送給速度を所定のサンプリング間隔(例えば50msec〜100msec)で検出し、図2に示すように、これを書き込み部215に出力する。
【0042】
溶接トーチ25は、被溶接部材1に対してワイヤWを供給するためのものである。溶接トーチ25は、図1に示すように、溶接走行台車20の台車本体20aの先端に支持されており、複数の被溶接部材1を突き合わせた開先Vに対して、ワイヤWを供給する。なお、図1では、溶接走行台車20の台車本体20aに溶接トーチ25を1つのみ図示したが、当該台車本体20aに溶接トーチ25を複数備えてもよい。
【0043】
センサ26は、開先位置と開先Vの終端とを検出するためのものである。センサ26は、具体的には、レーザ光を用いた検出器、CCDカメラ、検出用探針等で構成され、図1に示すように、溶接時に溶接トーチ25に先行して開先V内を移動し、開先位置を検出するとともに、開先Vの終端を検出して終端信号を生成する。そして、センサ26は、図2に示すように、開先位置を補正量算出部211に出力するとともに、終端信号を信号生成部213に出力する。なお、センサ26は、ここでは開先位置と開先Vの終端の両方を検出可能なものとして紹介したが、例えば開先位置を検出する開先位置検出センサと、開先Vの終端(開先長さ方向の被溶接部材1の終端)を検出する終端検出センサと、を別々に備える構成としてもよい。
【0044】
溶接電源27は、ワイヤWおよび被溶接部材1に対して電力を供給し、両者間にアークを発生させるためのものである。溶接電源27は、内部に図示しない溶接電流検出部と溶接電圧検出部とを備えており、溶接時における溶接電流および溶接電圧を所定のサンプリング間隔(例えば50msec〜100msec)で検出する。
【0045】
溶接電源27には、図2に示すように、電流電圧制御部214から、溶接電流を増減させる指示、あるいは溶接電圧を増減させる指示が入力される。また、溶接電源27は、前記したように、溶接電流および溶接電圧を検出し、これらを電流電圧制御部214に出力する。
【0046】
裏当装置30は、被溶接部材1の開先Vの裏側に配置されるとともに、当該開先Vの裏側にフラックスを押し当てるための装置である。裏当装置30は、開先Vの裏側からフラックスを押し当てるための裏当部31と、裏当部31を被溶接部材1の厚さ方向に昇降するための昇降手段32と、被溶接部材1が載置されるとともに、当該被溶接部材1を開先幅方向に移動するためのパネル移動ローラ33、補助ローラ34,34と、被溶接部材1を吸着して固定するためのマグネット機構35と、これらの部材を支持する基材となる梁部材36と、を備えている。また梁部材36には、被溶接部材1の長さ方向に平行に延びる移動レール60に係合する車輪37,37が設けられている。
【0047】
以上のような構成を備える片面溶接装置100は、溶接電流および溶接電圧の測定値等からなる溶接状況のデータと、溶接走行台車20の走行距離や倣い位置等からなる装置状況のデータと、を同時にかつ関連付けて記録することができるため、サブマージアーク溶接を行った後に仮に溶接不具合を発見した場合であっても、当該溶接不具合の原因の追跡および解析を容易に行うことができる。
【0048】
以下、実施形態に係る片面溶接装置100の動作について、図1および図2を参照しながら説明する。まず、裏当装置30の上部に被溶接部材1を載置し、パネル移動ローラ33および補助ローラ34,34によって被溶接部材1を横方向に移動し、開先Vの裏面の直下に裏当部31が位置するように、位置調整を行なう。そして、位置調整が完了したら、マグネット機構35によって被溶接部材1を吸着し、固定する。
【0049】
次に、倣い駆動手段23によって、溶接トーチ25およびセンサ26が開先Vの直上に位置するように位置調整を行なう。そして、位置調整が完了した後、溶接制御手段21によって、溶接走行台車20を走行レール10に沿って駆動させ、開先長さ方向に当該溶接走行台車20を移動させながら溶接を行なう。
【0050】
そしてその際、溶接制御手段21は、溶接状況(溶接電流および溶接電圧の測定値、ワイヤ送給速度)のデータと、装置状況(走行距離、倣い位置、動作フラグON信号、動作フラグOFF信号、センサON信号、センサOFF信号)のデータと、同時に検出あるいは生成し、書き込み部215はこれらを関連付けて書き込む。従って、仮に溶接後に溶接不具合を発見した場合であっても、その原因の追跡および解析を容易に行うことができる。
【0051】
なお、前記した実施形態では、開先Vが平面視において直線状で走行レール10の長さ方向に平行であり、倣い駆動手段23が溶接走行台車20を開先幅方向に駆動させる構成としている。しかし、実施形態に係る片面溶接装置100の変形例として、溶接走行台車20を開先の高さ方向(以下、開先高さ方向という)に駆動させる構成としてもよい。
【0052】
この場合、前記した補正量算出部211において、溶接走行台車20を開先幅方向に移動させる補正量(横補正量)に加えて、溶接走行台車20を開先高さ方向に移動させる補正量(縦補正量)を算出し、駆動指示部212において、当該2つの補正量から横方向の倣い駆動指示と高さ方向の倣い駆動指示をそれぞれ生成し、これらを倣い駆動手段23に出力する。そして、倣い駆動手段23は、これらの倣い駆動指示に従って溶接走行台車20を開先幅方向および開先高さ方向に駆動させ、かつ、駆動指示部212に対して、図示しないエンコーダが検出した溶接走行台車20の開先幅方向における倣い位置(横倣い位置)と、開先高さ方向における倣い位置(縦倣い位置)と、を出力する。
【0053】
また、前記した実施形態では、サブマージアーク溶接装置の具体例として片面溶接装置100について説明したが、当該片面溶接装置100における裏当装置30以外の構成を、BOX柱の角溶接装置に適用することも可能である。すなわち、前記した片面溶接装置100の溶接制御手段21、走行駆動手段22、倣い駆動手段23、ワイヤ送給手段24、溶接トーチ25、センサ26、溶接電源27をBOX柱の角溶接装置に適用し、溶接電流および溶接電圧の測定値等からなる溶接状況のデータと、走行距離や倣い位置等からなる装置状況のデータと、を同時にかつ関連付けて記録することもできる。ここで、BOX柱の角溶接装置は、BOX柱等の製作工程において、被溶接部材1の角部分の隅肉溶接を行うものである。
【実施例】
【0054】
以下、本発明の実施形態に係る片面接装置および当該片面溶接装置と同様の構成を備えるBOX柱の角溶接装置が奏する効果を確認する実験例について、図3〜図6を参照しながら説明する。なお、「片面溶接装置と同様の構成を備えるBOX柱の角溶接装置」とは、前記したように、片面溶接装置における裏当装置以外の構成を、BOX柱の角溶接装置に適用したものを意味している。
【0055】
[第1の実験例]
第1の実験例では、本発明の変形例に係る片面溶接装置を用いて、被溶接部材として金属板を自動運転で溶接した。そして、走行距離17m付近で裏ビードの消失が発生した状況下において、その原因の追跡および解析を行った。本実験例では、溶接の最中に、溶接状況として溶接電流および溶接電圧の測定値を、装置状況として溶接走行台車の走行距離と、溶接走行台車の倣い位置(横倣い位置および縦倣い位置)と、ワイヤ送給速度と、を溶接制御手段の記録部に記録した。また、記録部において、溶接走行台車の走行距離と、溶接電流および溶接電圧の測定値と、を関連付けて溶接状況データとして記録するとともに、溶接走行台車の走行距離と、溶接走行台車の倣い位置(横倣い位置および縦倣い位置)と、ワイヤ送給速度と、を関連付けて装置状況データとして記録した。
【0056】
次に、PCを溶接制御手段の記録部に接続し、前記した溶接状況データを取得して図3(a)のようにグラフ化した。図3(a)において、横軸は溶接走行台車の走行距離[mm]であり、縦軸は溶接電流[A]および溶接電圧[V]である。また、同様に、前記した装置状況データを取得して図3(b)のようにグラフ化した。図3(b)において、横軸は溶接走行台車の走行距離[mm]であり、縦軸は溶接走行台車の倣い位置[mm]およびワイヤ送給速度[rpm]である。
【0057】
図3(a)を確認すると、正常時の安定した波形である図4(a)と比較して、所定区間における波形が大幅に乱れていることがわかる。すなわち、図3(a)では、走行距離が17000mm〜17100mm付近で溶接電流が上昇するとともに溶接電圧が低下して短絡現象が発生するとともに、その後の電流が低下している。
【0058】
また、図3(b)を確認すると、正常時の安定した波形である図4(b)と比較して、所定区間における波形が大幅に乱れていることがわかる。すなわち、図3(b)では、走行距離が17000mm〜17100mm付近でワイヤ送給速度が上昇している。
【0059】
従って、このような点を勘案すると、第1の実験例における溶接不具合は、ワークの溶接不良の位置と短絡現象が発生した走行距離の位置とがほぼ一致しており、その位置で短絡現象が発生した後に電流が低下したため、発生したと推測できる。
【0060】
[第2の実験例]
第2の実験例では、本発明の実施形態に係る片面溶接装置と同様の構成(裏当装置を除く)を備えるBOX柱の角溶接装置を用いて、BOX柱の角を自動運転で溶接し、終端部でビードの欠けが発生した状況下において、その原因の追跡および解析を行った。本実験例では、溶接の最中に、溶接状況として溶接電流および溶接電圧の測定値を、装置状況として溶接走行台車の走行距離と、溶接走行台車の倣い位置と、センサON信号およびセンサOFF信号と、動作フラグON信号および動作フラグOFF信号と、を溶接制御手段の記録部に記録した。また、記録部において、溶接走行台車の走行距離と、溶接電流および溶接電圧の測定値と、を関連付けて溶接状況データとして記録するとともに、溶接走行台車の走行距離と、センサON信号およびセンサOFF信号と、動作フラグON信号および動作フラグOFF信号と、を関連付けて装置状況データとして記録した。
【0061】
次に、PCを溶接制御手段の記録部に接続し、前記した溶接状況データを取得して図5(a)のようにグラフ化した。図5(a)において、横軸は溶接走行台車の走行距離[mm]であり、縦軸は溶接電流[A]および溶接電圧[V]である。また、同様に、前記した装置状況データを取得して図5(b)のようにグラフ化した。図5(b)において、横軸は溶接走行台車の走行距離[mm]であり、縦軸は溶接走行台車の倣い位置[mm]である。
【0062】
また、図5(b)では、縦軸の1の目盛と0の目盛を用いて、センサのON/OFFと、動作フラグのON/OFFと、を示している。すなわち、縦軸の1の目盛の場合、センサON信号が入力されてセンサがONとなっている状態、あるいは、動作フラグON信号が入力されて動作フラグがONとなっている状態である。また、縦軸の0の目盛の場合、センサOFF信号が入力されてセンサがOFFとなっている状態、あるいは、動作フラグOFF信号が入力されて動作フラグがOFFとなっている状態である。
【0063】
図5(a)に示す溶接状況データを参照すると、正常時の安定した波形である図6(a)と比較しても、溶接電流、溶接電圧ともに大きな変化がないことが確認できる。次に、図5(b)に示す装置状況データを参照すると、正常時の安定した波形である図6(b)と比較すると、倣い位置が溶接開始時から溶接終了までマイナス側へ動き続けていることが確認できる。また、動作フラグがOFFとなり、溶接走行台車の倣い動作が停止していることがわかる。
【0064】
従って、このような点を勘案すると、第2の実験例における溶接不具合は、ワークが斜めにセットされていたことで、倣い動作が停止した後に溶接線が開先からずれてしまったことが原因であると推測できる。
【0065】
以上、本発明に係るサブマージアーク溶接装置、片面溶接装置およびBOX柱の角溶接装置について、発明を実施するための形態および実施例により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0066】
例えば、片面溶接装置100は、前記した溶接電流および溶接電圧の測定値、溶接走行台車20の走行距離、溶接走行台車20の倣い位置、動作フラグON信号、動作フラグOFF信号、センサON信号、センサOFF信号、ワイヤ送給速度以外にも、溶接電流および溶接電圧の設定値や、種々のセンサの入力、動作フラグを記録部216に記録することができる。また、例えば開先の形状を検出する装置を付加することで、記録部216に開先の形状も記録することができる。従って、溶接不具合の原因の追跡および解析を様々な観点から行うことができる。
【符号の説明】
【0067】
1 被溶接部材
10 走行レール
20 溶接走行台車
20a 台車本体
20b ヘッドフレーム
21 溶接制御手段
22 走行駆動手段
23 倣い駆動手段
24 ワイヤ送給装置
25 溶接トーチ
26 センサ
27 溶接電源
30 裏当装置
31 裏当部
32 昇降手段
33 パネル移動ローラ
34 補助ローラ
35 マグネット機構
36 梁部材
37 車輪
40 設定値入力手段
50 PC
60 移動レール
100 片面溶接装置
211 補正量算出部
212 駆動指示部
213 信号生成部
214 電流電圧制御部
215 書き込み部
216 記録部
V 開先
W ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被溶接部材を突き合わせた開先を溶接するサブマージアーク溶接装置であって、
前記開先に対してワイヤを供給する溶接トーチと、
前記溶接トーチを支持する溶接走行台車と、
前記溶接走行台車を走行可能に支持する走行レールと、
前記溶接トーチおよび前記被溶接部材に電力を供給するとともに、溶接電流および溶接電圧を検出する溶接電源と、
前記溶接走行台車によって支持されるとともに、前記溶接トーチに先行して開先位置を検出するセンサと、
前記溶接走行台車の移動を制御する溶接制御手段と、
前記溶接制御手段の指示に従って前記溶接走行台車を前記開先長さ方向に駆動させるとともに、前記溶接走行台車の前記開先長さ方向における移動量を示す走行距離を検出する走行駆動手段と、
前記溶接制御手段の指示に従って前記溶接走行台車を前記開先長さ方向と直交する方向である開先幅方向に駆動させるとともに、前記溶接走行台車の前記開先幅方向における移動量を示す倣い位置を検出する倣い駆動手段と、を備え、
前記溶接制御手段は、
前記走行駆動手段に対して前記溶接走行台車の前記開先長さ方向への駆動を指示するとともに、前記センサが検出した前記開先位置に従って前記倣い駆動手段に対して前記溶接走行台車の前記開先幅方向への駆動を指示する駆動指示部と、
前記走行駆動手段が検出した前記走行距離と、溶接電源が検出した溶接電流および溶接電圧の測定値と、を関連付けて書き込むとともに、前記走行駆動手段が検出した前記走行距離と、前記倣い駆動手段が検出した倣い位置と、を関連付けて書き込む書き込み部と、
を備えることを特徴とするサブマージアーク溶接装置。
【請求項2】
被溶接部材を突き合わせた開先を片面から溶接する片面溶接装置であって、
前記開先に対してワイヤを供給する溶接トーチと、
前記溶接トーチを支持する溶接走行台車と、
前記溶接走行台車を走行可能に支持する走行レールと、
前記溶接トーチおよび前記被溶接部材に電力を供給するとともに、溶接電流および溶接電圧を検出する溶接電源と、
前記溶接走行台車によって支持されるとともに、前記溶接トーチに先行して開先位置を検出するセンサと、
前記溶接走行台車の移動を制御する溶接制御手段と、
前記溶接制御手段の指示に従って前記溶接走行台車を前記開先長さ方向に駆動させるとともに、前記溶接走行台車の前記開先長さ方向における移動量を示す走行距離を検出する走行駆動手段と、
前記溶接制御手段の指示に従って前記溶接走行台車を前記開先長さ方向と直交する方向である開先幅方向に駆動させるとともに、前記溶接走行台車の前記開先幅方向における移動量を示す倣い位置を検出する倣い駆動手段と、
前記開先の裏側に配設された裏当装置と、を備え、
前記溶接制御手段は、
前記走行駆動手段に対して前記溶接走行台車の前記開先長さ方向への駆動を指示するとともに、前記センサが検出した前記開先位置に従って前記倣い駆動手段に対して前記溶接走行台車の前記開先幅方向への駆動を指示する駆動指示部と、
前記走行駆動手段が検出した前記走行距離と、溶接電源が検出した溶接電流および溶接電圧の測定値と、を関連付けて書き込むとともに、前記走行駆動手段が検出した前記走行距離と、前記倣い駆動手段が検出した倣い位置と、を関連付けて書き込む書き込み部と、
を備えることを特徴とする片面溶接装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−125813(P2012−125813A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280127(P2010−280127)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】