説明

サブリメーションポンプおよび方法

【課題】所要電力が最低限とされた、真空室内を超高真空とするためのシステムを提供すること。
【解決手段】真空ポンプは、格子およびサブリメーション要素を備えることが可能である。この格子は、格子開口、および、少なくとも1つの格子面によって画定され得る格子内部を有していてもよい。サブリメーション要素は、格子内部に配置されてもよく、また、昇華温度を超えてサブリメーション要素を加熱した際に、昇華して格子内部に反応膜を形成するように構成されていてもよい。反応膜は、格子開口を介して格子内部に入って反応膜と接触する気体分子を捕獲するのに効果的であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して真空ポンプに関し、より詳細には、真空室で超高真空を維持するための半受動的なサブリメーションポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
フライホイールは、エネルギーを貯蔵するための経済的で環境に優しい手段を提供する。フライホイールは、電気エネルギーを、比較的高速(つまり、20,000から30,000rpm)で回転するフライホイール回転子の回転質量の運動エネルギーへと変換することによって貯蔵する。フライホイール回転子を比較的高速まで加速させるために、フライホイールにモータ/発電機が連結されていてもよい。モータ/発電機は、電力システムに連結されていてもよい。例えば、モータ/発電機は、公共送電網に連結されていてもよい。電力の需要が低い時間に、電気モータ/発電機は、公共送電網から電力を得てフライホイール回転子を加速させ、電力を回転するフライホイール回転子質量の運動エネルギーに変換してもよい。フライホイール回転子が所望の速度に達したら、電力は、間欠的に、または、必要に基づいてモータ/発電機に提供され、フライホイール回転子を所望の速度に維持することができる。電力の需要が高い時間に、フライホイール回転子の質量は、モータ/発電機を回転させるのに使用され、フライホイール回転子の運動エネルギーを変換して、公共送電網に分配することができる電力へと戻してもよい。
【0003】
フライホイールエネルギー貯蔵システムの効率は、フライホイールを真空室に収容することで著しく改善することができる。真空室は、フライホイールを支持する軸受における熱損失を最小とすることで、フライホイールエネルギー貯蔵システムの効率を改善することができる。軸受は、永久磁石および高温超電導体磁石システムと組み合わされて形成された受動型磁気軸受を備えていてもよい。永久磁石は、フライホイールを適切な位置に浮遊させるための浮上力をもたらす。超電導体磁石システムは、フライホイールの位置を安定させることができる。超電導体磁石システムを、要求される比較的低い温度(例えば、77°ケルビン以下)に維持するために、液体窒素冷却システムがフライホイールエネルギー貯蔵システムに備えられ、液体窒素を超電導体を通して循環させてもよい。残念ながら、液体窒素冷却システムは、重量が著しく大きいという不利益をもたらし、液体窒素を必要な状態に維持するためには定期的な保守および改修を必要とする。
【0004】
液体窒素冷却システムに伴う重量や保守の不利益を避けるための試みでは、内蔵型の極低温冷却器が、超電導体を冷却するためにフライホイールエネルギー貯蔵システム内に実装されてもよい。残念ながら、超電導体磁石システムを運転するために必要な比較的低い温度においては、真空室内の空気分子が、超電導体間で著しい量の熱を伝達する可能性がある。空気分子によって伝達された熱は、超電導体を低い作動温度に維持する極低温冷却器の能力を超える可能性がある。また、極低温冷却器は、フライホイールエネルギー貯蔵システム全体の効率を低下させかねない、比較的大量の電力を消費する可能性がある。
【0005】
真空室はまた、真空室内の気体分子(例えば、空気分子)が比較的高速で動くフライホイール回転子外面と接触するときに発生し得る空力抵抗または摩擦損失を最小とすることで、フライホイールエネルギー貯蔵システムの効率を改善することができる。比較的短時間の経過で、空気分子とフライホイール回転子外面との間の摩擦は、フライホイールの構造的完全性に支障を来し得るまでにフライホイールを著しく加熱してしまう可能性がある。真空室内で空気分子の量を最少として真空圧力を低下させる試みには、いくつかの異なるタイプの真空ポンプを真空室に備え付けることが含まれる。例えば、移送ポンプが真空室に備え付けられてもよく、その移送ポンプは気体分子を移送ポンプの出口へと仕向けさせ、気体分子は外部環境へと放出される。残念ながら、このような移送ポンプにより、ポンプ出口近傍などの真空室内の局所的な部分を比較的高い真空にすることはできるが、フライホイール回転子外面などの真空室内の残りの部分では、真空準位が低減する(つまり、比較的高い圧力となる)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、所要電力が最低限とされた、真空室内を超高真空とするためのシステムに向けた必要性が当技術に存在することが分かる。また、システム全体の効率が増加するようにフライホイールエネルギー貯蔵システムの電力密度を改善するために、システム重量が比較的軽くされた、真空室内を超高真空とするためのシステムおよび方法に向けた必要性も当技術には存在する。また、空力抵抗がフライホイール回転子外面で最小となるように、真空室全体に渡って均一な真空をもたらす真空室内を超高真空とするためのシステムおよび方法に向けた必要性も当技術には存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
真空室での超高準位に伴う上記の必要性は、本開示によって具体的に取り組まれて軽減されており、本発明の一形態によれば、少なくとも1つの格子および少なくとも1つのサブリメーション要素を有し得る真空ポンプが提供される。その格子は、格子開口、および、少なくとも1つの格子面によって境界された格子内部を有していてもよい。サブリメーション要素は、格子内部に配置されてもよく、また、昇華温度を超えてサブリメーション要素を加熱した際に、昇華して格子内部において反応膜を形成するように構成されてもよい。反応膜は、格子開口を通って格子内部に入り、反応膜と接触する気体分子を捕獲するのに効果的である。
【0008】
有利には、反応膜は、サブリメーション要素が昇華温度を超えて加熱されたときに格子面を覆い得る材料の凝縮膜または堆積膜を含み得る。例えば、加熱によってチタニウムフィラメントを昇華させることで、反応チタニウム膜を格子面に堆積させてもよい。反応膜は、格子開口を通って格子内部に入り、反応膜と反応、および/または、反応膜内に埋まり込む気体分子を捕獲するのに効果的であり得る。反応膜は、反応膜に接触する気体分子と反応し得る、または化学的に結合し得る。反応膜は、気体分子と化学的に反応し得る海綿状の構造であってもよい。反応膜が海綿状の構造であることで、気体分子が反応膜の表面にまたは近くで反応膜内に埋まり込むのが容易になり得る。
【0009】
有利には、サブリメーション要素は細長いフィラメントを有する。
【0010】
有利には、少なくとも1つの電気絶縁体はサブリメーション要素を格子に備え付けるように構成されている。
【0011】
有利には、格子は、気体分子の可動要素との接触に応じて、気体分子が格子開口の方に向かわされるように構成されている。
【0012】
好ましくは、格子開口は、格子開口の方に向けられた気体分子の少なくとも一部が格子開口を通過して格子内部へと入るように、可動要素の移動方向に概して向く方向に面している。
【0013】
有利には、サブリメーション要素および格子は、フライホイール回転子とフライホイールエネルギー貯蔵システムの内壁との間の円環状の隙間内に設置されている。
【0014】
有利には、格子は波形構造となっている。
【0015】
有利には、電源は、電流をサブリメーション要素に流してサブリメーション要素を昇華温度を超えて加熱するように構成されている。好ましくは、電源は、サブリメーション要素を再加熱し、以前に付与された反応膜の層の上に新たな反応膜の層を形成させるように構成されている。
【0016】
有利には、サブリメーション要素は、アルミニウム、バリウム、コロンビウム、マグネシウム、モリブデン、ニッケル、タンタル、トリウム、チタニウム、およびジルコニウムのうちの少なくとも1つを含むサブリメーション材料から形成される。
【0017】
有利には、反応膜は、以下の気体分子、すなわち水素、酸素、水蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素、および窒素のうちの少なくとも1つを捕獲するように構成された組成物を含んでいる。
【0018】
有利には、サブリメーション要素および格子は、協働して、真空室内の圧力を少なくとも約1×10−5トールまで低下させるように構成されている。
【0019】
本発明の別の形態によれば、可動要素を収容する真空室用の真空ポンプが提供される。真空ポンプは、格子およびサブリメーションフィラメントを有することが可能である。その格子は、真空室内に備えられていてもよく、また、格子開口、および、少なくとも1つの格子面によって境界された格子内部を有していてもよい。サブリメーションフィラメントは、格子内部に備え付けられていてもよく、また、サブリメーションフィラメントを昇華温度を超えて加熱した際に、昇華させて昇華された気体になるように構成可能である。昇華された気体は、比較的薄い反応膜として、格子面上に堆積してもよい。反応膜は、格子開口を通って格子内部に入り、反応膜と接触する気体分子を捕獲するように構成可能である。格子は、可動要素に接触する気体分子が格子開口および格子内部の方へと向けられるように構成可能である。
【0020】
本発明の別の形態によれば、真空室内の圧力を低下させる方法が提供される。その方法は、格子開口、および少なくとも1つの格子面によって境界された格子内部を有する格子内に配置されたサブリメーション要素を加熱するステップを含むことが可能である。方法はさらに、サブリメーション要素を加熱するステップと、格子面に反応膜を形成するステップと、気体分子を格子開口を通って格子内部へと向かわせるステップとを含むことが可能である。方法はさらに、気体分子を反応膜に付着させるステップを含むことも可能である。
【0021】
有利には、格子開口が可動要素の移動方向に概して向く方向に面するように、格子開口の方向を定めるステップを含んでいる。
【0022】
有利には、サブリメーション要素を加熱させるために、電流をサブリメーション要素に流すステップを含んでいる。
【0023】
有利には、サブリメーション要素を加熱するステップと、以前に付与された反応膜の層の上に新たな反応膜の層を形成するステップとを含んでいる。
【0024】
有利には、真空室内の圧力を監視するステップと、圧力が所定の高さを超えたときにサブリメーション要素を加熱するステップとを含んでいる。
【0025】
有利には、真空室内の圧力を少なくとも約1×10−5トールまで低下させるステップを含んでいる。
【0026】
本発明のさらに別の形態によれば、真空室内の圧力を低下させる方法が提供される。その方法は、格子開口、および、複数の格子面によって少なくとも一部が境界された格子内部を有する格子内に備えられたサブリメーション要素を加熱するステップを含むことが可能である。その方法はさらに、サブリメーション要素をオーム加熱するように、電流をサブリメーション要素に流すステップを含むことが可能である。方法はまた、サブリメーション要素を昇華温度を超えて加熱して、サブリメーション要素を昇華させて昇華された気体を生成させるステップを含むことが可能である。昇華された気体は、反応膜を形成するように、格子面上に堆積されてもよい。方法は、気体分子を可動要素に接触させるステップを含むことが可能である。可動要素は、格子開口に隣接して配置されてもよい。方法はさらに、気体分子が可動要素に接触する結果として、気体分子を格子開口の方に、ならびに、格子内部へと向かわせるステップを含むことが可能である。また、方法は、気体分子を反応膜に接触させ、気体分子を反応膜に結合させるステップを含むことが可能である。
【0027】
これらの前述した特徴、機能、および有利性は、本発明の開示の様々な実施形態で個々に実現することができ、またさらに他の実施形態に組み入れられてもよく、それら実施形態のさらなる詳細は、以下の説明および図面を参照することで理解できる。
【0028】
本発明の開示のこれらの特徴および他の特徴は、全体にわたって同じ参照番号によって同じ構成部品を引用する図面を参照することで、さらに明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】真空室内に備え付けられたサブリメーションポンプの実施形態を有する真空室内で回転可能に支持されたフライホイールを含むフライホイールエネルギー貯蔵システムの実施形態の斜視図である。
【図2】真空室内で支持されたフライホイールを例示する、図1の線2に沿ったフライホイールエネルギー貯蔵システムの断面図である。
【図3】フライホイールとフライホイールエネルギー貯蔵システムの内壁との間の円環状の隙間内に備え付けられたサブリメーションポンプの実施形態を例示する、図1の線3に沿ったフライホイールエネルギー貯蔵システムの上部断面図である。
【図4】対応する複数の格子の全長に沿って延びる複数のサブリメーション要素を例示する、図3の線4に沿ったサブリメーションポンプの一部の拡大図である。
【図5】格子に形成された格子開口を例示する、図4のサブリメーションポンプの実施形態の斜視図である。
【図6】格子に備え付けられた電気絶縁体によって支持されたサブリメーション要素を例示する、図4の線6に沿ったサブリメーションポンプの断面図である。
【図7】サブリメーション要素に電流を流すための電源に電気的に接続された複数のサブリメーション要素を例示する、図3の線7に沿ったサブリメーションポンプの平面配置図である。
【図8】真空室内を真空にするための方法に含まれ得る1つまたは複数の操作を含む流れ図である。
【図9】サブリメーション要素に電流を流してサブリメーション要素を加熱して昇華された気体を生成する状態を例示するサブリメーションポンプの実施形態の一部の斜視図である。
【図10】サブリメーション要素の昇華の結果として格子内部面に形成された反応膜を例示するサブリメーションポンプの一部の斜視図である。
【図11】回転するフライホイールと接触して開口に向けられて格子内部へと入る、真空室内の気体分子を例示するサブリメーションポンプの斜視図である。
【図12】気体分子の運動エネルギーが反応膜の結合能力の高さより下の高さに低下するまで、格子内部面からそれて偏向する気体分子を例示する、図11の線12に沿ったサブリメーションポンプの断面図である。
【図13】反応膜に結合された複数の気体分子を例示するサブリメーションポンプの斜視図である。
【図14】電流を流すのに応じたサブリメーション要素の再加熱を例示し、昇華された気体を発生させることになるサブリメーションポンプの斜視図である。
【図15】以前に付与された反応膜の層の上に付与された新たな反応膜の層を示し、それら反応膜の層の間に気体分子を密封することになるサブリメーションポンプの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで図面を参照するが、図面に示すものは、本開示の好ましい様々な実施形態を例示する目的のためであり、図1に示されているのは、本明細書で開示された真空ポンプ100を包含し得るフライホイールエネルギー貯蔵システム10の一部が切り取られた斜視図である。本明細書で開示された真空ポンプ100は、様々な用途のいずれか1つにおいて実装することができ、フライホイールエネルギー貯蔵システム10における実装に限定されないことに注意すべきである。例えば、真空ポンプ100は、比較的高い真空準位が必要とされる様々な航空宇宙用途や軍事用途のいずれか1つにおいて実装することができる。真空ポンプ100はまた、後で説明される様々な科学的用途や産業用途のいずれか1つにおいて実装することができる。本明細書で開示された真空ポンプ100の様々な実施形態を例示する目的のため、真空ポンプ100は、フライホイールエネルギー貯蔵システム10との関連において説明される。
【0031】
図1において、フライホイールエネルギー貯蔵システム10は、ハブ34に備え付けられ得るフライホイール回転子42を有し得る。ハブ34は、上方軸受36および下方軸受36によって回転可能に支持され得る。フライホイールエネルギー貯蔵システム10はさらに、ハブ34に連結されたモータ/発電機38を有し得る。モータ/発電機38は、フライホイール回転子42の回転質量にエネルギーを貯蔵するために、フライホイール回転子42を所望の回転速度まで加速することができる。一方、フライホイール回転子42の回転質量は、モータ/発電機38を駆動するのに使用され、それにより、フライホイール回転子42の運動エネルギーを電力に変換することができるようになる。フライホイール回転子42、ハブ34、モータ/発電機38、および軸受36は、真空室22内に収容することができる。真空室22は、上方環14および下方環16に備え付けられ、基部18および蓋部20によって囲まれた外壁11から構成され得る。
【0032】
図1および図2を参照すると、フライホイールエネルギー貯蔵システム10は、フライホイール回転子42の内壁30と外壁11との間で周方向に配置された複数のエネルギー吸収要素28を有し得る。内壁30、エネルギー吸収要素28、外壁11、上方環14および下方環16、基部18および蓋部20は、フライホイール回転子42が構造的完全性を失った場合にフライホイール回転子42を格納するための格納容器26を含み得る。
【0033】
図2は、真空室22内の複数の微量気体分子24を例示する。気体分子24は、フライホイールエネルギー貯蔵システム10の構成部品を作り出す様々な材料が気体を放出させることで発生し得る。また、気体分子24は、空気や水蒸気の微量分子、および様々な他の分子を含み得る。気体分子24の一部を、1つまたは複数の粗引きポンプ(図示せず)によって真空室22から最初に排出し、真空室22の圧力を初期真空準位まで低下させてもよい。
【0034】
図2および図3は、真空室22内の圧力を低下させるように真空室22内に設置されたサブリメーションポンプ102として構成された真空ポンプ100をさらに例示する。サブリメーションポンプ102は、1つまたは複数の粗引きポンプ(図示せず)によって達成された真空準位を維持または向上させるように真空室22とともに含まれ得る。例えば、サブリメーションポンプ102は、粗引きポンプが真空を高真空準位まで高めてから、後で説明されるように、真空室22内の圧力を超高真空準位まで低下させるように構成されていてもよい。
【0035】
本明細書で開示されたサブリメーションポンプ102は、分子気体ゲッター真空ポンプとして構成されてもよいし、また蒸発型ゲッターポンプとして説明されてもよい。有利には、蒸発型ゲッターポンプは、可動部がないために比較的簡単な作動をし、少ない電力量しか消費せず、長期間において比較的少ない保守で真空室22内を所望の真空準位に確実に維持することができる。蒸発型ゲッターポンプは、化学反応に依存して、真空室22内を比較的高い真空準位または超高真空準位に高める、ならびに/あるいは維持する。蒸発型ゲッターポンプによって提供される真空気体除去は化学プロセスであるため、所望の真空準位を維持するのに必要とされる電力量は比較的少ない。例えば、最初にサブリメーション材料110(図4)を加熱し、サブリメーション材料110を最初に堆積または昇華させて、サブリメーション材料110に隣接する面に反応膜114(図9)を形成させるための電力は、一般的には、比較的短時間しか必要とされない。より詳細には後で説明されるように、真空室22内で浮遊する気体分子24は、反応膜114と接触して反応膜114と反応する。次いで、反応膜114は気体分子24と化学的に結合して気体分子24を捕捉し、その結果、真空室22内の圧力が低下することになる。
【0036】
時間とともに、反応膜114が気体分子24で飽和してくると、後で説明されるように、電力が必要に応じてサブリメーション材料110に再び付与され、化学的な気体除去が真空室22内で継続するように、サブリメーション材料110を加熱して反応膜114の新たな層を形成する。電力を付与してサブリメーション材料110を加熱して反応膜114の新たな層を形成するプロセスは、サブリメーション材料110を交換することなく、また蒸発型ゲッターポンプの改修を行うことなく、真空ポンプ100の比較的長い稼働耐用期間(例えば、数年)に渡って何度も繰り返し行うことができる。また、蒸発型ゲッターポンプは、1つまたは複数の粗引きポンプ(図示せず)によって初期真空が一度行われれば、超高真空準位を比較的短期間で達成することができる。さらに、本明細書で説明されるサブリメーションポンプ102などの蒸発型ゲッターポンプは、蒸発型ゲッターポンプの作動が簡単であり(つまり、可動部がない)、部品点数が比較的少ないため、大部分の他の超高真空ポンプの構造よりも重量が相当に軽い。蒸発型ゲッターポンプの重量が比較的軽いことは、フライホイールエネルギー貯蔵システム10などのエネルギー貯蔵用途、および、航空宇宙用途や軍事用途など、重量が重要な要素となる用途に対して有利であり、システム全体の重量が軽いことで、遠隔地などに空輸(例えば、ヘリコプタによって輸送)するのが容易になり得る。
【0037】
本明細書で開示されるサブリメーションポンプ102の、消費電力要件が低いこと、保守要件が低いこと、信頼性が高いこと、稼働耐用期間が長いことは、様々な用途のうちのいずれか1つに有利に適用することができる。例えば、サブリメーションポンプ102は、惑星大気の抽出における質量分析や、宇宙環境における診断試験や、有人宇宙飛行の空気品質の監視や、超高真空が要求される他の宇宙基盤の用途に有利に適用され得る。本明細書で開示されるサブリメーションポンプ102はまた、超高真空準位が要求される半導体産業においても有利に実施され得る。例えば、ウェハー処理では、汚染物質のウェハー処理容器を実質的に空にするために、その容器を繰り返し比較的高い真空準位にさせる必要があり得る。工業的な視点から、サブリメーションポンプ102は、サブリメーションポンプ102が超高真空準位を素早く実現するという能力のおかげで、このようなウェハー処理作業に有利に取り入れられ得る。
【0038】
実施形態において図2および図3を参照すると、サブリメーションポンプ102は、任意の形状の1つまたは複数の格子150を有することができ、その格子150は真空室22内に備え付けられ得る。例えば、図2および図3では、サブリメーションポンプ102は、概して真っすぐな細長いサブリメーションフィラメント106を有する軸方向に向けられた複数の格子150を有しており、サブリメーションフィラメント106は、格子内部154内に備え付けられ格子内部154に沿って縦方向に延びている。しかしながら、格子150は、気体分子24の捕獲を容易にする限定されることのない任意の形状とされていてもよい。この点において、格子150の形状は、図に例示されている形状に限定されず、フライホイールエネルギー貯蔵システム10との関連で説明されているが、格子内部に入る気体分子24を格子内部面156上の反応膜114が捕獲できる任意の大きさ、形、および構造とすることができる。先に示したように、電流124(図7)は、1つまたは複数のサブリメーションフィラメント106に流されてサブリメーションフィラメント106を加熱させる。サブリメーションフィラメント106を加熱させると、サブリメーションフィラメント106が昇華することになり得る。
【0039】
サブリメーションフィラメント106が昇華すると、昇華された気体112(図9)を生成させることができ、その昇華された気体112は、格子内部面156に形成される反応膜114(図10)として、格子150の面上に堆積させることができる。しかしながら、反応膜114はまた、1つまたは複数の格子外部面158に、および/または、内壁30などの真空室22内の他の面に形成されてもよい。真空室22内の気体分子24(図2)は、反応膜114と接触し反応することができ、反応膜114と安定した結合部を形作ることができる。この方法では、反応膜114は、気体分子24を結合する、捕捉する、吸収する、さもなければ埋め込む、または保持することができる。反応膜114によって気体分子24を捕獲することで、1つまたは複数の粗引きポンプ(図示せず)によって初期に達成された真空準位を向上させることができる。例えば、サブリメーションポンプ102は、少なくとも約1×10−4トールの圧力まで真空室22内の真空を高めることができ、好ましくは、少なくとも1×10−5トール以下の圧力まで真空を高めることができる。実施形態では、サブリメーションポンプ102は、少なくとも約1×10−7トール以下の圧力まで真空室22内の真空を高めることができる。
【0040】
有利には、本明細書で開示されるサブリメーションポンプ102は、真空室22内に備え付けられ得る可動要素40(図9)によって行われ得る有害抵抗作用を利用することができる。例えば、図11に示すサブリメーションポンプ102の実施形態では、サブリメーションポンプ102は、格子150(図3)に隣接して配置され得るフライホイール回転子42の可動外面46によって行われる有害抵抗作用を利用することができる。気体分子24(図9)が可動外面46と接触することで、気体分子24は、1つまたは複数の格子150に形成され得る1つまたは複数の格子開口152に向けられることになり得る。諸実施形態では、各格子150は、格子内部154内に気体分子24を保持するように構成され得る内部形状を有する格子内部154(図3)を有していてもよい。この点において、格子内部154の内部形状は、気体分子24が格子内部154に一度入ったらそこからなるべく出ていくことがないように構成され得る。
【0041】
例えば、図12を少し見てみると、格子内部154の形状は、気体分子24が格子内部154に入った際に接触する第1の反応膜114に最初に結合58されなかった場合に、格子内部154に入った気体分子24が格子内部154内で他の格子150の面に向かって偏向させられるように構成され得る。格子内部154の内部形状は、気体分子24が格子150の面の1つで偏向56するごとに気体分子24の運動エネルギーが低減させられ得るように構成されていてもよい。運動エネルギーは、反応膜114の捕獲能力または結合能力未満の大きさまで低減させられればよく、その後に気体分子24は、以下でより詳細に説明されるように、反応膜114に捕獲または結合することができる。
【0042】
有利には、本明細書で開示されるサブリメーションポンプ102は、連続して受電することなく稼働することができる。この点において、サブリメーションポンプ102は、上記のように、気体分子24が、その気体分子24のガス量に依存した割合で反応膜114に化学的に結合または捕獲され得るケミカルポンプとして作用する。上記のように、また、以下でより詳細に説明されるように、反応膜114が、複数の気体分子24を捕獲することによって消耗、または飽和したとき、電流124(図14)をサブリメーション要素104に再び流して、サブリメーション要素104をフラッシングまたは再加熱し、それに続く、つまり、新たな反応膜114(図15)の層118(図15)を反応膜114(図14)の以前に付与された層116(図14)の上に形成することができる。新たな反応膜114の層118は、反応膜114の以前に付与された層116を覆うことができ、これにより、図15に示すように、反応膜114の2つの層の間に気体分子24を密封することができる。このプロセスは、後で説明されるように、真空室22内を所望の真空準位に維持するために、必要に応じて繰り返されてもよい。
【0043】
図3を参照すると、フライホイールエネルギー貯蔵システム10の上面図が示されており、回転するフライホイール回転子42と、フライホイール回転子42の外面46と内壁30との間の環状隙間50において真空室22の内壁30に備え付けることができる複数の格子150とが例示されている。格子150は、波形構造164で配置されて示されているが、限定されることなく任意の大きさ、形、および構造で配置されてもよい。本発明の開示では、格子150の波形構造164は、格子150の少なくとも一方の方向に沿って概して反復し得る任意の大きさ、形、または構造の格子形状として画定され得る。この点において、格子150の波形構造164は、格子径方向壁166および格子傾斜壁170によって画定され、図に例示されるように周方向に反復する正弦波形状に限定される必要はない。
【0044】
格子150の各々は、1つまたは複数のサブリメーション要素104を有し得る。実施形態では、1つまたは複数のサブリメーション要素104は、格子150の全長に沿って軸方向に延び得る細長いフィラメント106として構成され得る。1つまたは複数のサブリメーション要素104は、加熱させられるように構成され得る。例えば、1つまたは複数のサブリメーション要素104は、図7に例示されるような電源122に接続されてもよい。電源122は、後で説明するように、サブリメーション要素104を加熱しサブリメーション要素104を昇華させるために、電流124(図7)をサブリメーション要素104に流してもよい。
【0045】
図4を参照すると、フライホイールエネルギー貯蔵システム10の内壁30に備え付けられた格子150の拡大図が示されている。示された実施形態では、1つまたは複数の格子150は、格子150の全長に沿って少なくとも部分的に互いに接合された格子径方向壁166および格子傾斜壁170を有し得る。格子径方向壁166は、内壁30から概して径方向に、内壁30から径方向高さ168まで外側に延びていてもよい。隣接する格子150の径方向高さ168は、概して等しくてもよいし、あるいは、格子150によって変化してもよい。径方向高さ168は、格子150が環状隙間50の幅52内に設置されたときに、格子径方向壁166がフライホイール回転子42の外面46と所定の大きさの間隔を有するような高さとされていてもよい。例えば、この間隔は、気体分子24がフライホイール回転子42の外面46と接触したときに、気体分子24が格子開口152のうちの1つへと向けられ得るように、気体分子24が環状隙間50と共に動き得るようになっていてもよい。格子傾斜壁170は、1つまたは複数の格子開口152を有していてもよい。しかしながら、格子開口152は、格子径方向壁166に形成されてもよい。
【0046】
格子150は、真空室22に1つまたは複数の格子取付部172で取り付けられ得る。例えば、格子150は、格子取付部172を通じて内壁30へと延び入り得る機械的な留め具(図示せず)によって内壁30に備えられてもよい。しかしながら、格子150は、任意適切な手段によって真空室22内に備え付けられ得る。格子150は、同じ断面構造を有しているものとして示されており、格納容器26の内壁30に概して同心で備え付けられている。しかしながら、格子150は、任意の構造とされていればよく、図3および図4に例示されるような実質的に同様の格子150の断面を有する波形構造164に限定されない。さらに、格子150は、概して三角形状の断面に限定されず、限定されることなく、様々な大きさ、形、および構造のいずれか1つとされていてもよい。
【0047】
図4をさらに参照すると、格子150の各々は、格子内部面156によって境界され得る格子内部154を有している。示された実施形態では、格子150は、格子径方向壁166および格子傾斜壁170を接続し得る基礎部(図示せず)を有し得るが、内壁面32がまた、格子内部154の境界の一部を形成してもよい。サブリメーション要素104は、径方向壁166および傾斜壁170の頂部内に備え付けられたフィラメント106として構成されて示されている。しかしながら、サブリメーション要素104またはフィラメント106は、格子内部154内における任意の位置に配置され得る。
【0048】
1つまたは複数のサブリメーション要素104またはフィラメント106は、電気絶縁体108に備え付けられていてもよいし、あるいは、電気絶縁体108によって支持されていてもよい。電気絶縁体108は、サブリメーション要素104を格子150から電気的に絶縁してもよいし、ならびに/または、熱的に絶縁してもよい。電気絶縁体108は、セラミック材料から形成してもよいが、電気伝導性が比較的低く、ならびに/または、熱伝導性が比較的低い任意適切な材料から形成することができる。1つまたは複数の格子内部154は、複数のサブリメーション要素104を有していてもよい。例えば、図には示さないが、格子内部154の各々が、格子角部162の各々に配置されたサブリメーション要素104を有していてもよい。
【0049】
図5を参照すると、内壁30に備え付けられた1対の格子150の一部の斜視図が示されている。格子150の各々は、気体分子24(図2、図3)が格子内部154内に入るのを許容する1つまたは複数の格子開口152を有し得る。電気絶縁体108は、気体分子24が格子開口152を通過して格子内部154に入るための何もない部分を維持する格子開口152の一方側または両方の側に配置されて示されている。図5で見ることができるように、格子開口152は、格子開口152に向けられた気体分子24が格子開口152を通過して格子150の格子内部154へと入るように、フライホイール回転子42の外面46の移動方向48に概して向くように方向が定められていてもよい。
【0050】
諸実施形態では、格子開口152は、図5に例示されるように、フライホイール回転子42の回転軸線44(図2)に関して概して径方向ではない方向に面するように方向が定められているのが好ましい。この点において、図5は、フライホイール回転子42の回転軸線44に対して傾斜して方向が定められている格子傾斜壁170に形成された格子開口152を例示している。しかしながら、格子開口152は、任意の方向に定められていてもよく、図5に示す方向に限定されない。さらに、格子150には、複数の格子壁が設けられていてもよく、1つまたは複数の格子壁には、格子開口152が設けられていてもよい。格子開口152は、可動フライホイール回転子42と接触60して格子開口152に向けられる気体分子24が、格子内部154に入ることができるとすぐに反応膜114(図3)に接触し、最終的に反応膜114と結合するように構成されているのが好ましい。
【0051】
図6を参照すると、内壁30に備え付けられた格子150の一部の斜視図が示されている。サブリメーション要素104は、サブリメーション要素104を格子内部面156に対して離して保持する電気絶縁体108によって支持されている。図5および図6は、概して円形の断面を有する概して細長い棒としてサブリメーション要素104を例示しているが、サブリメーション要素104は任意の大きさ、形、および構造で形成されてもよい。例えば、サブリメーション要素104は、任意の大きさの断面の円筒(図示せず)として形成されてもよい。さらには、サブリメーション要素104は、真空室22内で長手方向に延びる細長い要素として形成されるように限定される必要はない。例えば、サブリメーション要素104は、真空室22の内壁30の縁または外周の周りに延びる円形の配置(図示せず)で形成されてもよいし、相補的な形状の格子内に収容されてもよい。
【0052】
さらに図5および図6をさらに参照すると、先に記載したように、サブリメーション要素104および格子150は、可動要素40(例えば、フライホイール回転子42)に接触し格子開口152に向けられる気体分子24(図11)の有害抵抗をうまく利用して、サブリメーションポンプ102の分子捕獲能力を高める、または向上させるように構成されてもよい。この点においてさらに、格子内部154は、格子内部154内の気体分子24を捕捉し、かつ気体分子24が抜け出すのを防止するように格子内部154の能力を最大化させ得る内部形状または内部構造で構成されてもよい。例えば、格子開口152は、気体分子24が格子開口152を通過すると、格子内部154内で気体分子24を捕捉するように気体分子24がそれて偏向56し得る、追加的な格子150の面を提供するルーバー(図示せず)を有していてもよい。格子内部154の能力を高めて、気体分子24が反応膜114(図3)と結合する前に、気体分子24を捕捉し、かつ気体分子24が出ていくのを防止するように、追加的な内部構造の特徴(図示せず)が格子内部154に含まれていてもよい。
【0053】
先に示したように、格子150は、限定されることなく、任意の数、大きさ、形、および構造とされていてもよい。また、格子150は、気体分子24が可動要素40に接触した結果として格子開口152の方に偏向された後に、気体分子24が格子開口152を通過して格子内部154に入る可能性を最大限とするように配置されるのが好ましい。格子内部154は、気体分子24が格子内部154に一度入ったら反応膜114と最終的に接触して結合する可能性を最大限とするように、気体分子24が格子内部154内に保持されるような内部構造を有していてもよい。
【0054】
図5および図6を参照すると、サブリメーション要素104は、任意適切なサブリメーション材料110から形成され得る。実施形態では、サブリメーション材料110は、真空室22の稼働耐用期間中に真空室22内に存在し得る気体分子24(図11)の種類に基づいて選択され得る。サブリメーション要素104が形成され得るサブリメーション材料110の非限定的な例には、アルミニウム、バリウム、コロンビウム、マグネシウム、モリブデン、ニッケル、タンタル、トリウム、チタニウム、ジルコニウム、またはそれらの任意の化合物、あるいは合金が含まれる。サブリメーション材料110を昇華することで生成される反応膜114(図3)は、限定されないが、水素、酸素、水蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素を含む様々な気体分子24、および他の任意の種類の気体分子24のいずれか1つを捕獲して結合するのに効果的であり得る。格子150は、サブリメーション要素104に補完的な材料から作られているのが好ましい。例えば、チタニウムから形成されたフィラメント106の場合、格子150は、チタニウムの格子に反応膜114の堆積を行うように、同様にチタニウムから形成されてもよい。
【0055】
実施形態では、1つまたは複数の格子150の面の少なくとも一部は、反応膜114(図3)と反応し得ない不活性の気体分子24(図11)および/または他の気体の捕獲を容易にするように、非蒸発型ゲッター174材料(図4)であらかじめ覆われていてもよい。非蒸発型ゲッター174材料は1つまたは複数の格子150の面に付与されてもよく、真空室22は初期真空準位まで大まかに気体除去されてもよい。非蒸発型ゲッター174材料は、後で説明するように、サブリメーション材料110を加熱することで面上に蒸発または昇華される蒸発可能なゲッター材料(つまり、反応膜114−図2)とは対照的に、面において概して固体で残っている。非蒸発型ゲッター174材料は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンなどの不活性ガス、および蒸発可能なゲッター材料(例えば、反応膜114)によって捕獲され得ないメタンなどの他の不活性または反応しない気体の捕獲を容易にすることができる。非蒸発型ゲッター174材料は、電流124(図9)がサブリメーション要素104を加熱するときに、サブリメーション要素104からの放射加熱(図示せず)などの加熱によって活性化させることができる。非蒸発型ゲッター174材料は、ジルコニウム、ならびにバナジウム、鉄、コバルト、アルミニウム、および他の元素および化合物を含むジルコニウムの合金を含み得る。
【0056】
有利には、真空室22に非蒸発型ゲッター174材料および蒸発可能なゲッター材料(例えば、反応膜114)を有することで、向上された真空気体除去が実現され得る。さらに、非蒸発型ゲッター174材料は、真空室22内に収容され得るシステムについて全体の運転効率の改善を容易にすることができる。例えば、フライホイールエネルギー貯蔵システム10に関しては、非蒸発型ゲッター174材料がサブリメーションポンプ102の1つまたは複数の格子150の面にあることで、フライホイール回転子42の空力抵抗が減少するために、フライホイールエネルギー貯蔵システム10の全体のエネルギー効率を改善することができる。さらに、真空室22内であり得る極低温のために、クライオポンピング(図示せず)が真空室22内で発生し得ることが考えられる。このようなクライオポンピングは、反応膜114によって捕獲されない場合に、気体分子24を捕捉することが可能である。例えば、クライオポンピングは、冷却された面(図示せず)で気体分子を凝縮させることで、この気体分子を捕捉することができる。
【0057】
図7を参照すると、内壁30に備え付けられた格子150の平面的な配置が示されている。格子150およびサブリメーション要素104は、フライホイールエネルギー貯蔵システム10の高さに実質的に平行な方向に沿って方向が定められて示されている。この点において、格子150およびサブリメーション要素104は、フライホイール回転子42の回転軸線44(図2)に概して平行に方向が定められている。格子開口152は、格子150の各々の格子傾斜壁170に沿って連続して配置され得る。有利には、格子150は、反応膜114(図3)の捕獲能力が真空室22(図1)の高さ方向に沿って概して均一に分布されるように、概して、内壁30の下端から内壁30の上端に延びている。また、真空室22の外周に格子150を配置することで、真空室22の周方向に沿って分子捕獲能力が概して均一に分布されることになる。
【0058】
この点において、本明細書で開示されるサブリメーションポンプ102は、フライホイール回転子42(図2)の外面46(図2)と真空室22の内壁30との間の環状隙間50の限られた空間内で実質的に均一に分布された真空を提供し得るという有利性がある。このような構成により、フライホイール回転子42を取り囲む気体分子24との摩擦によって発生するフライホイール回転子42に沿った空力抵抗を減少させる。この点において、本明細書で開示されるサブリメーションポンプ102は、フライホイールエネルギー貯蔵システム10内への設置に限定されず、限られた空間で超高真空を必要とする任意の真空室22に適用可能であることに注意されたい。本明細書で開示されるサブリメーションポンプ102は、大きな限られた空間で、あるいは縦横比の大きい空間、または長さの長いおよび/または幅の広い狭い隙間を有する空間において実質的に均一な真空圧を提供する。
【0059】
図7をさらに参照すると、サブリメーション要素104は、電流124をサブリメーション要素104に供給するための電源122に電気的に接続され得る。その供給は、抵抗加熱、オーム加熱、またはジュール加熱によってサブリメーション要素104を加熱させる。しかしながら、サブリメーション要素104は、他の手段で加熱されてもよいと考えられる。図7では、電源122は、昇華温度より高く、またはサブリメーション材料110が固体から気体に直に転移する蒸気点を超えてサブリメーション要素104を加熱するのに十分なアンペア数で、電流124をサブリメーション要素104に流すように構成されているのが好ましい。有利には、昇華はサブリメーション材料110を溶解させることなく発生し、以前に付与116された反応膜114の層118が気体分子24(図13)で飽和した後、ならびに/または、反応能力を失った後に反応膜114(図3)の新たな層118を再発生または形成させるために、後でサブリメーション要素104を再加熱またはフラッシングすることができる。サブリメーション要素104を加熱またはフラッシングする時間は、数秒から数時間またはそれ以上続く可能性があり、また、初期真空の質、反応膜114が付与され得る面領域の有効性、面領域のサブリメーション要素104への近接性、および他のパラメータを含むがそれらに限定されない様々なパラメータに依存し得る。
【0060】
図7に示すように、電源122は、センサ128に通信連結され得る制御装置126に接続され得る。センサ128は、真空室22内の真空の準位(つまり、圧力)を感知することができる。実施形態では、センサ128は、真空室22(図2)内の圧力を監視するための真空計(図示せず)を有し得る。代替として、センサ128は、フライホイール回転子42(図5)のモータ制御装置(図示せず)を有していてもよい。そのモータ制御装置は、フライホイール回転子42の減速度を監視し、真空室22内の気体分子24(図11)による摩擦抵抗から生じる空力抵抗の大きさを決定するのに使うことができる。この点において、フライホイール回転子42用のモータ制御装置は、フライホイール回転子42の速度の変化(つまり、減速度)とフライホイール回転42の空力抵抗の増加とを相互に関連付けるのに使用することができる。次いで、減速度が所定の値を超えたときに、制御装置126は電源122に命令し、電流124を1つまたは複数のサブリメーション要素104に流して新たな反応膜114の層118(図3)が以前に付与された反応膜114の層116(図15)の上に付与されるように、空力抵抗は真空室22内の真空準位と関連付けられてもよい。
【0061】
図7をさらに参照すると、格子150は、1つの連続した材料として形成されて示されているが、格子150は、真空室22(図2)内に分割して備えられ得る複数の部分(図示せず)として形成されてもよい。さらに、図7では、格子150が内壁30の下端から内壁30の上端に延び、真空室22の周囲全体を基本的に取り囲むように例示されているが、格子150は、気体除去能力に必要な格子150の面領域を提供するのに、かつサブリメーションポンプ102の設置および/または保守を容易に行うのに必要とされる、多数または少数の部分で形成されてもよい。サブリメーションポンプ102を備えるのに必要とされる機械的な留め具の数を最少とするために、サブリメーションポンプ102は、好ましくは少数の部分で形成され得る。実施形態では、サブリメーションポンプ102は、1つまたは複数の部分の、チタニウムシートまたはアルミニウムシートなどのシート金属、あるいは他のシート材料から形成され得る。シート金属は、波形構造164(図4)に形成され得る。有利には、格子150を波形構造164に形成することにより、格子150に構造的な強度をもたらすことができる。また、波形構造164は、反応膜114(図3)が堆積し得る格子150の面領域を比較的大きくすることができる。しかしながら、格子150は、波形構造164以外の形状に形成されてもよい。
【0062】
ここで図8を参照し、加えて図9〜図15を参照すると、図8に真空室22(図9)の圧力を低下させる方法が示されている。本発明の開示は、フライホイールエネルギー貯蔵システム10(図9)用の真空室22との関連で説明されているが、本明細書で開示されるサブリメーション気体除去の方法は、超高真空を必要とする任意の用途に適用することができる。
【0063】
方法のステップ302では、水素、酸素、水蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素、および窒素などの活性ガスを含む気体分子24(図9)を含有し得る真空室22(図9)を設けることが含まれる。気体分子24はまた、先に記載したように、不活性ガス、および他の気体除去機構(図示せず)によって捕獲され得る反応しない気体を含む他の気体を含んでいてもよい。例えば、先に記載したように、非蒸発型ゲッター174材料が、不活性ガスのための気体除去を可能にするように、真空室22内の特定の場所に付与されてもよい。本明細書に開示される方法は、真空室22の圧力を少なくとも約1×10-4トールまで低下させることで、真空室22を初期に排気または大まかに排気することを含んでいてもよい。粗引きポンプ(図示せず)は、真空室22を比較的高い真空または超高真空まで初期に排気するために使用され得る。例えば、粗引きポンプは、真空室22内の圧力を少なくとも約1×10-4トールまで低下させるのに使用されてもよく、その後に、サブリメーションポンプ102(図9)が作動されて真空室22内の圧力を1×10-5トール以下までさらに低下させてもよい。
【0064】
図8の方法のステップ304では、真空室22内に格子150(図12)を備え付けることが含まれ得る。そのため、格子150は、1つまたは複数の格子取付部172を有し得る。例えば、図9には、隣接する格子150の対の間に配置された格子取付部172が例示されている。1つまたは複数の格子取付部172は、真空室22の内壁30に対してなど、真空室22と接触して設置され得る。機械的な留め具(図示せず)は、格子150を内壁30に固定するように、格子取付部172を通じて内壁30へと延び入り得る。しかしながら、格子150を真空室22に固定するのに他の手段が採用されてもよい。例えば、接続金具(図示せず)、クリップ(図示せず)、または他の機械的な機構(図示せず)が、格子150を真空室22に固定するのに格子150において形成され得る補完的な機械的機構(図示せず)と嵌まり合うために、真空室22内に組み込まれてもよい。
【0065】
図8の方法のステップ306では、格子内部154(図3)内に1つまたは複数のサブリメーション要素104(図3)を備え付けることが含まれ得る。図4〜図6には、電気絶縁体108を用いることで格子150に備え付けられたサブリメーションフィラメント106が例示されている。電気絶縁体108は、フィラメント106を格子内部面156に対して離して支持することができる。フィラメント106は、円形の断面を有し、格子の全長に沿って長さ方向に延びるロッドを有していてもよい。しかしながら、先に示したように、サブリメーション要素104は、任意の大きさ、形、および構造で形成され得、格子150に沿って長さ方向に延びる細長いフィラメント106に限定されない。好ましくは、サブリメーション要素104および格子150(図5)は、サブリメーションポンプ102の化学的気体除去率を向上し得る、サブリメーションポンプ102(図5)の気体分子24(図11)の捕獲能力を高めるように、フライホイール回転子42の可動外面46の有害分子抵抗気体除去作用を利用するように構成されている。
【0066】
図8の方法のステップ308では、格子150(図9)内に収容された1つまたは複数のサブリメーション要素104(図9)に電流124(図9)を流すことが含まれ得る。図9に示すように、電源122(図7)は、制御装置126(図7)によって作動可能である。制御装置126は、真空室22(図9)内の真空圧を感知することができるセンサ128(図7)から信号を受け取ってもよい。制御装置126は、電源122の作動を制御して、電流124を1つまたは複数のサブリメーション要素104に流す。例えば、制御装置126は、真空室22内の圧力が所定の高さを超えたときに電流124をサブリメーション要素104に流すように、電源122に命令してもよい。サブリメーション要素104は、直列で電気的に接続されていてもよく、並列で電気的に接続されていてもよい。例えば、サブリメーション要素104は、互いに並列で電源122に電気的に接続されものとして図7に示されており、必要な電圧の大きさは、サブリメーションポンプ102の格子150のすべてを曲がりくねりながら通過する一本の長さのサブリメーション要素104に必要になる電圧の大きさに対して最小とすることができる。
【0067】
図8の方法のステップ310では、電流124(図9)をサブリメーション要素104に流すことに応じて、サブリメーション要素104(図9)を昇華温度を超えて加熱することが含まれ得る。昇華温度は、先に示したように、サブリメーション材料110(図9)が固相から気相に直に転移する、サブリメーション材料110の蒸気点を含んでいてもよい。電流124は、サブリメーション要素104が真空中の蒸気点を超えて加熱120(図9)させられるに十分な長さの時間、サブリメーション要素104に流され得る。先に示したように、サブリメーション要素104を加熱する時間は、数秒、数分であってもよく、あるいは、反応膜114(図10)で覆われる格子内部154(図9)の面領域の大きさ、真空室内の真空準位、および他のパラメータに依存して、数時間からそれ以上まで延長されてもよい。
【0068】
図8の方法のステップ312では、サブリメーション要素を加熱することに応じて、反応膜114(図10)を格子150(図12)の面上に形成することが含まれ得る。図9で分かるように、反応膜114(図10)を加熱すると、昇華されたガス112(図9)を生成する。昇華されたガス112は、サブリメーション要素104の周囲の面に比較的薄い反応膜114として堆積し得る。昇華されたガス112は、図10に示すように、裸の160格子内部面156上などの面上に反応膜114として堆積し得る。昇華されたガス112はまた、真空室22の内壁面32上に反応膜114として堆積し得る。格子外部面158(図12)はまた、昇華されたガス112が格子開口152(図9)から出ていく結果、反応膜114(図10)で一部が覆われる可能性がある。実施形態では、サブリメーションポンプ102(図9)は、可動要素40(例えば、フライホイール回転子42)(図9)上および他の面上への反応膜114の堆積が最小と、あるいは、防止されるように、サブリメーション要素104と可動要素40との間の通視線を最小とするように配置されるのが好ましい。
【0069】
反応膜114(図10)の組成は、サブリメーション材料110(図9)の組成を含んでいてもよい。例えば、チタニウムから形成されたサブリメーションフィラメント106(図9)は、昇華し、格子150(図12)の面にチタニウム反応膜114として堆積し得る。サブリメーション要素104(図9)の組成は、真空室22(図9)内に存在し得る気体分子24(図9)の組成に基づいて選択されてもよい。例えば、サブリメーション要素104は、水素分子を捕獲する反応膜114の能力を高めるように、ニッケル/チタニウムから形成されてもよい。この点において、サブリメーション材料110は、真空室22内に存在し得る活性ガスの種類の分子24と結合するように選択されてもよい。
【0070】
図8の方法のステップ314では、気体分子24を、図11に示すフライホイール回転子42の外面46などの可動要素40に接触60させることが含まれ得る。フライホイール回転子42の外面46は、気体分子24を加速させるように、運動エネルギーを気体分子24に伝え得る。先に示したように、格子開口152(図12)は、可動要素40(例えば、フライホイール回転子42)の移動方向48に面する方向に定められているのが好ましい。例えば、図12には、気体分子24を受け入れる格子開口152の能力を高めるように、部分的接線方向および部分的径方向に面する開口152が例示されている。
【0071】
図8の方法のステップ316では、気体分子24をフライホイール回転子42の外面46に接触60させることに応じて、気体分子24を格子開口152の方に、ならびに、格子内部154へと向かわせることが含まれ得る。例えば、図11では、気体分子24は、移動方向54に沿って、格子開口152の方に、および格子内部154へと向けられるように示されている。格子開口154は、格子開口152に向けられた気体分子24が格子開口152を通過して格子内部154へと入るように、フライホイール回転子42の移動方向48に向かって方向が定められていてもよい。この点において、フライホイール回転子42は、エネルギーを気体分子24に与え、気体分子24を格子開口152の方に、および格子内部154へと駆り立てる分子ポンプとして機能することができる。
【0072】
図12を参照すると、格子開口152の方に、および格子内部154へと向けられる気体分子24を例示するサブリメーションポンプ102の断面が示されている。気体分子24は、反応膜114と接触すると反応膜114と結合し得るが、気体分子24が格子内部面156の反応膜114と結合58する前に、気体分子24は、格子内部面156で何度も跳ね返る、あるいは、それて偏向56し得る。先に示したように、格子内部154は、気体分子24が格子内部154に入って格子内部154内で他の格子150の面に向かって偏向される内部形状を有しているのが好ましい。例えば、気体分子は、気体分子24が反応膜114によって結合または捕獲される可能性を増加させるように、格子内部で1つまたは複数の格子角部162へと概して向けられ得る。この点において、格子内部154の内部形状は、気体分子24が格子開口152を通って格子内部154から出ていく前に、格子内部面156の1つにある反応膜114と結合58し得るようになっているのが好ましい。内部形状は、気体分子24が格子開口152に入るほど容易に格子開口152から出ていくことがないようになっているのが好ましい。
【0073】
図8の方法のステップ318では、気体分子24を反応膜114に接触させることに応じて、気体分子24を反応膜114に結合させることが含まれ得る。図12に見て取ることができるように、気体分子24は、格子内部面156でそれて偏向56し得るとともに、格子内部154内で他の面に向かって偏向され得る。気体分子24のエネルギーは、気体分子24が格子150の面でそれて偏向56するのに応じて、気体分子24が反応膜114と反応および/または結合58するまで、徐々に減少され得る。反応膜114は、反応膜114の表面に、または表面近くで、気体分子24を反応膜114に化学的に結合、さもなくば固定化、捕獲、吸収、または付着させ得る。
【0074】
図8の方法のステップ320では、気体分子24を反応膜114に結合させることに応じて、真空室22内の圧力を低下させることが含まれ得る。例えば、サブリメーションポンプ102は、反応膜114による気体分子24の分子間相互作用および化学反応によって、真空室22内の圧力を少なくとも約1×10−5トールまで低下させるように構成されていてもよい。図13は、気体分子24で飽和した反応膜114を例示する。反応膜114の飽和は、真空室22内の圧力の増加によって検出することができる。真空室22内の圧力は、真空径によって監視することができる。代替として、真空圧は、先に記載したように、フライホイール回転子42の減速度を計測することで監視することができる。フライホイール回転子42の減速度の増加は、フライホイール回転子42の摩擦損失の増加を示すことができ、真空室22内の実際の真空圧を決定する代用として使用することができる。真空室22内の圧力が所定の高さになったと判定されたときに、電源122(図14)の制御装置126(図7)は、サブリメーション要素104(図12)をフラッシングまたは再加熱するために、電源122に命令し、電流124を1つまたは複数のサブリメーション要素104に流してもよい。
【0075】
図14を参照すると、電源122が電流124をサブリメーション要素104に流し、その電流124を流すことでサブリメーション要素104を加熱120することに応じて、昇華されたガス112が発生している状態が示されている。図15を参照すると、昇華されたガス112(図14)は、新たな反応膜114の層118を以前に付与された反応膜114の層116の上に形成する。以前に付与116された反応膜114の層の上に新たな反応膜114の層118を付与することで、新たに付与された反応膜114の層と以前に付与116された反応膜114との間に気体分子24を密封することができ、気体分子24が抜け出すのを防止できる。
【0076】
図15を参照すると、格子開口152の方に、および格子内部154へと向けられ、新たに付与された反応膜114の層と結合する気体分子24が示されている。間欠的にサブリメーション要素104を加熱するプロセスが、真空室22内の現在の圧力に基づいて必要に応じて繰り返されてもよい。サブリメーション要素104(図14)の一部またはすべては、新たな反応膜114の層118を以前に付与116された反応膜114の層の上に形成し、反応膜114の層の間に気体分子24を密封するのに、いつでも加熱またはフラッシングされ得る。
【0077】
有利には、本明細書で開示されるサブリメーションシステムおよび方法は、真空室22内で超高真空を維持するための半受動的な手段を提供する。サブリメーションポンプ102は、超高真空を提供するように構成された既存の気体除去システムと比較して、部品点数が比較的少なく、重量が比較的軽くなっている。さらに、本明細書で開示されるサブリメーションポンプ102は、空気中(つまり、真空ではない環境で)組み立てることができ、また、比較的高い真空において真空室22内に設置されると、作動または電力を供給されてもよい。有利には、本明細書で開示されるサブリメーションポンプ102は、必要とされる電力量が少なく、フライホイールエネルギー貯蔵システム10、または超高真空を必要とする用途を含む様々な他の用途のいずれか1つにおいて、比較的高いレベルの効率に寄与することができる。
【0078】
本発明の開示の追加的な変更および改善は、当業者には明らかであり得る。したがって、本明細書で説明および例示された部品の具体的な組合せは、本発明の開示の特定の実施形態のみを表すことを意図しており、本発明の開示の精神および範囲内にある代替の実施形態または装置の限定と意図されてはいない。
【符号の説明】
【0079】
22 真空室
24 気体分子
40 可動要素
42 フライホイール回転子
104 サブリメーション要素
114 反応膜
150 格子
152 格子開口
154 格子内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空室(22)の圧力を低下させる方法であって、
格子開口(152)、および少なくとも1つの格子面によって画定された格子内部(154)を有する格子(150)内に配置されたサブリメーション要素(104)を加熱するステップと、
前記格子面に反応膜(114)を形成するステップと、
前記格子開口(152)を通って気体分子(24)を前記格子内部(154)へと向かわせるステップと、
前記気体分子(24)を前記反応膜(114)に付着させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記気体分子(24)を、前記格子(150)の外側に配置された可動要素(40、42)に接触させるステップと、
前記気体分子(24)を前記可動要素(40、42)に接触させるのに応じて、前記気体分子(24)を前記格子開口(152)の方に、および前記格子内部(154)へと向かわせるステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記格子開口(152)が前記可動要素(40、42)の移動方向に概して向く方向に面するように、前記格子開口(152)の方向を定めるステップ
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
電流を前記サブリメーション要素(104)に流して、前記サブリメーション要素(104)を加熱させるステップ
をさらに含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記サブリメーション要素(104)を加熱するステップと、
前記反応膜(114)の以前に付与された層の上に新たな反応膜の層を形成するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記真空室(22)内の圧力を監視するステップと、
前記圧力が所定の高さを超えたときに、前記サブリメーション要素(104)を加熱するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記真空室(22)内の前記圧力を少なくとも約1×10−5トールまで低下させるステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−72435(P2013−72435A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−212420(P2012−212420)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】