サポーター及び履物
【課題】踵骨を固定する十分な外圧を加えることのできるサポーターを提供する。
【解決手段】足の甲から足裏へかけて巻きつけられて固定される装着部2と、装着部2から踵側へ延出する2つの帯体3a、3bを有する。装着部2の外側面の全面には第1ファスナー(面状ファスナー)21が設けられ、裏側の一端には第3ファスナー(面状ファスナー)221、231が設けられ、帯体3a、3bの先端には第2ファスナー33a、33bが設けられる。装着時には、2つの帯体3a、3bを引き伸ばしつつ、踵の頂点で交差するように踵に巻きつけ、足の甲の位置で第2ファスナー33a、33bを第1ファスー21に接続する。
【解決手段】足の甲から足裏へかけて巻きつけられて固定される装着部2と、装着部2から踵側へ延出する2つの帯体3a、3bを有する。装着部2の外側面の全面には第1ファスナー(面状ファスナー)21が設けられ、裏側の一端には第3ファスナー(面状ファスナー)221、231が設けられ、帯体3a、3bの先端には第2ファスナー33a、33bが設けられる。装着時には、2つの帯体3a、3bを引き伸ばしつつ、踵の頂点で交差するように踵に巻きつけ、足の甲の位置で第2ファスナー33a、33bを第1ファスー21に接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サポータにかかり、より詳細には、足の踵部を保護するサポータ及び履物に関する。
【背景技術】
【0002】
足関節の痛み、踵の痛み、外反母趾、足の強い疲労感、タコの痛み等の障害は、立仕事をする者やスポーツの間において慢性的に持っていることが多い。このような障害の足部生体力学原因に足部骨格のアライメント異常(偏平足、凹足等)があり、歩行サイクルにおける立脚相おいて後足部が過回内をする。後足部の過回内は、上記障害の発生原因だけでなく歩幅の減少により歩行姿勢に影響し、頸、肩、腰の障害の原因ともされている。
【0003】
上記障害がある場合、従来からの方法として足関節の固定サポータ、土踏まずを圧迫するサポータ、土踏まずにアーチサポートのある靴の中敷、または踵に当てるクッションパッド等が市販されている。これらは前額面での踵骨の外反、内反の動きを固定、または単に足裏を部分的に圧迫しているにすぎない。
このような場合には、既述の従来のサポータでは、例えば特許文献1に示されているような足首サポータなどか提案されている。
【特許文献1】特開2001−346824号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のサポータは、これらは前額面での踵骨の外反、内反の動きを固定、または単に足裏を部分的に圧迫しているにすぎない。回内や回外を予防するには、横足根関節及び距骨下関節の動きを同時に矯正する必要があるにもかかわらず、上記従来のサポータの構成では、踵収納部自体は、伸縮性を保持しておらず、踵骨の回内や回外を予防することが困難であるといった問題があった。
本発明の目的は、単に固定や圧迫をするのではなく、立脚相での後足部の過回内を矯正し正常な歩行サイクルに導くことのできるサポータ及び履物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上のような問題を解決する本発明は、以下のような構成を有する。
(1) 足の裏から足の甲にかけて外装されて足に対して固定される装着部と、
前記装着部の外側面に設けられた第1ファスナーと、
前記装着部に基端が固定され、踵方向へ延設された帯体と、
前記帯体の先端部に設けられ、前記第1ファスナーに着脱自在に接続される第2ファスナーとを有し、
前記帯体は、基端と先端とを結ぶ方向へ伸びる弾性体であり、足への装着時においては、伸張状態とされた後、足の踵部を覆った状態で爪先方向へ折り返され、伸張状態を維持したまま第2ファスナーが第1ファスナーに接続固定されることを特徴とするサポータ。
【0006】
(2) 前記帯体は、幅方向にも弾性変形可能に構成されている上記(1)に記載のサポータ。
【0007】
(3) 前記帯体は、2つ以上設けられている上記(1)又は(2)に記載のサポータ。
【0008】
(4) 前記装着部を足に装着した状態において、少なくとも一対の帯体は、それぞれ踵の側方へ向けて、それぞれ異なる方向へ延設されており、足への装着時には踵部の頂点で交差するように装着される上記(1)〜(3)のいずれか1に記載のサポータ。
【0009】
(5) 前記装着部は、帯状に形成され、裏側面の一端部に前記第1ファスナーに着脱自在に接続される第3ファスナーを有し、装着部を足に巻きつけ、第1ファスナーに第3ファスナーを巻きつけることによって装着される上記(1)〜(4)のいずれか1に記載のサポータ。
【0010】
(6) 足の裏から足の甲にかけて外装されて足に対して固定される装着部と、
基端と先端が前記装着部の足裏部分と足甲部分とにそれぞれ接続されて環状に形成された帯体とを備えた履物であって、
前記帯体は弾性体で構成され、足への装着時においては、前記帯体は、伸張状態で足の踵部を覆った状態となることを特徴とする履物。
【0011】
(7) 前記帯体は2つ以上設けられ、足への装着時においては、複数の帯体が、足の踵部で交差した状態となっている上記(6)に記載の履物。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、装着部によって足に固定されたサポータの帯体を、足の踵を覆うように踵に巻きつけ、帯体を伸ばした状態で先端部の第2ファスナーを第1ファスナーに接続させる。帯体は、弾性体であるため、伸びた状態で踵部を覆うことで、踵部を包み込んだ状態で、踵骨に対して距骨や立方骨の方向へ押し込む力を与える。帯体は、全体が弾性体であるので、踵部に接触している部分も、全体として縮む方向(復元する方向)に力が生じており、踵部全体を包み込む方向に外力を加えつつ、踵骨の位置を矯正又は固定する作用を発揮する。また、踵骨につながる靭帯を補強する作用も発揮される。一方、装着部によって横足根関節の動きが規制され、帯体によって距骨下関節の動きが規制され、これらの効果が同時に作用することにより、後足部の過回内が有効に矯正される。さらに、踵の底に位置する脂肪パッドを帯体が両側から包み込むように圧迫するため、脂肪パッドの厚みが増し、足本来が持つ踵の衝撃吸収機能が向上する。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、帯体が幅方向にも弾性変形可能に構成されているので、踵骨を包み込む作用がさらに効果的に発揮され、後足部の過回内の矯正又は踵の固定、或いは踵骨周囲の靭帯を補強する作用が、さらに効果的に発揮される。
請求項3記載の発明によれば、帯体を2つ以上設け、複数の帯体によって踵骨を矯正又は固定し、周囲の靭帯を補強する効果がさらに増大する。特に、各帯体を踵部に巻きつける方向を異なるものとすれば、踵骨の位置を固定する外力の方向が増えて、後足部の過回内の矯正又は踵の固定、或いは踵骨周囲の靭帯を補強する作用が一層有効に発揮される。特に、踵の底に位置する脂肪パッドを帯体が圧迫する力増加するため、脂肪パッドの厚みをより厚くし、衝撃吸収機能をさらに向上させることができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、少なくもと一対の帯体を、装着時に踵部の頂点で交差するように配置することで、踵を包み込む作用と、距骨や立方骨の方向へ押し込む力を最も効率よく発揮させることができる。
請求項5記載の発明によれば、装着部を帯状として、足に巻きつけ、第1ファスナーに第3ファスナーを巻きつけることにより、装着部を装着する構成とすることにより、装着部をフリーサイズとすることができる。
【0015】
請求項6に記載の発明によれば、装着部や帯体を履物に一体として設けることによって、履物自体に踵骨の位置を固定する作用を付与させることができる。
請求項7に記載の発明によれば、帯体を2つ以上設け、複数の帯体によって踵骨を矯正又は固定し、周囲の靭帯を補強する効果がさらに増大する。特に、各帯体を踵部に巻きつける方向を異なるものとすれば、踵骨の位置を固定する外力の方向が増えて、踵骨を一層安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適実施形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態のサポータ1を展開した状態を示す平面図である。サポータ1は、装着部2と、装着部2に一端が固定された2つの帯体3a、3bとを備えている。装着部2は、帯状に形成されており、足に巻きつけた際に外側に位置する側面には、第1ファスナーである全面に面状ファスナー21が設けられている。装着部2の裏側20において、その中央部には帯体3a、3bの基端が固定されている。装着部20の一端は、2つに分割された接続部22、23が形成され、各接続部22、23の裏側には、第3ファスナーである面状ファスナー221、231がそれぞれ設けられている。これらの面状ファスナー221、231は、装着部2を足に巻きつけた際に、外側の面状ファスナー21に接続される。
【0017】
一方、1対の帯体3a、3bは、装着部2の中央部において基端部32a、32bが固定され、基端から先端へ向けて互いに離れる方向に傾斜した状態となっている。帯体3a、3bは、それぞれ弾性を有する布材31a、31bにより構成されており、先端部の裏側には、それぞれ第2ファスナーとしての面状ファスナー33a、33bが設けられている。また、帯体3a、3bには、長辺方向(図中 X軸方向)にスリット31a、31bが等間隔で、複数形成されており、幅方向(図中 Y軸方向)にも同様に等間隔で配置され、幅方向には互い違いに配置されている。このスリット31a、31bは、切り込みであってもよく、幅方向に広がって、適宜帯体3a、3bの幅を拡張させる作用を有するものである。
【0018】
このように構成されるサポータ1の作用について説明する。図2に示されているように、装着部2の裏側が足F1の表面に接触するように、装着部2を足に巻きつける。この際、帯体3a、3bの基端部が、足裏に位置し、踵側へ帯体3a、3bが延びるように装着部2の位置を調整する。装着部2を巻きつける際には、接続部22、23が外側に位置するように巻きつける。装着部2の外側には、全面に面状ファスナー21が設けられているので、足のサイズに合わせて、接続部22、23の面状ファスナー221、231を面状ファスナー21に接続する位置を調整することができる。そして、装着部2の裏面が足の甲や足裏に密着するように装着させる。
【0019】
次に、図3に示されているように、どちらか一方の帯体31aを引き伸ばしながら、踵の頂点を覆うように、足首F2の外側から踵に巻きつけ、さらに引き伸ばして先端の面状ファスナー33aを、装着部2の足の甲に位置する部分に、足首F2の内側から接続する。帯体31aは、弾性材料で構成されているので、伸ばした状態で装着された帯体3aは、踵を足本体へ向けて押さえつける方向に締付けることとなる。
同様に、図4に示されているように、他方の帯体31bを引き伸ばしながら、踵の頂点を覆うように、足首F2の内側から踵に巻きつけ、さらに引き伸ばして先端の面状ファスナー33bを、装着部2の足の甲に位置する部分に、足首F2の外側から接続する。
【0020】
図5及び図6に示されているように、踵部F3の頂点部分2つの帯体3a、3bが交差することで、2つの帯体3a、3bの復元力が両側から均等に加わり、踵骨を矯正又は固定し、或いは靭帯を補強する作用が発揮される。また、装着部2で横足根関節の動きを規制し、帯体3a、3bで距骨下関節の動きを規制することで、連動して動く横足根関節と距骨下関節とを同時に規制し、立脚相での後足部の過回内を矯正し、正常な歩行サイクルに復帰させることができる。
各帯体3a、3bに形成されているスリット311a、311bは、踵部分で広がることで、帯体3a、3bの幅を広くさせる作用があり、これにより、踵部をより広い範囲で包み込むことができ、踵骨を確実に保持することができる。さらに、図5中において、矢印S1、S2、S3、S4に示されているように、踵部F3に対して交差する方向から力が加わることとなる。
【0021】
図7及び図8は、本発明のサポータ1を装着した足の骨格を示す図である。図7(A)に示されているように、サポータ1を装着する前の状態では、踵骨B1の下側にある脂肪組織(脂肪パッド部分H1)は平たくなっているが、図7(B)に示されているように、サポータ1を装着すると、帯体3b、3aによって、踵骨B1の周囲の脂肪組織が骨の方向(矢印S5、S6方向)に圧迫され、下方へ押し出される。この結果、脂肪パッド部分H1の厚みが増加する。
【0022】
同様に、図8(A)に示されているように、足F1の甲部分と、踵の後部には、脂肪組織が存在する。ここで、サポータ1を装着すると、図8(B)に示されているように、踵の後部に位置する脂肪組織が帯体3a、3bによって圧迫されて(矢印S8方向)、踵の下方へ押し出され、また、土踏まず部分に位置する脂肪組織も装着部2によって圧迫されて(矢印S7方向)、踵の方へ押し出される。これらの作用によっても、脂肪パット部分H1の厚みが増加する。これらの作用によって、脂肪パッドによる踵の衝撃吸収機能を向上させることができる。
【0023】
以上説明した構成の他、帯体3a、3bは、足の甲に位置する部位に基端が固定され、先端を足の裏に位置する部位で面状ファスナー33a、33bを装着部2に接続する構成としてもよい。この他、第2実施形態として、図9に示されているように、帯体3Aa、3Abの基端と先端をそれぞれ第1実施形態で接続される位置に(縫い付けなどにより)予め固定した構成とし、装着部2Aをループ状の弾性帯体で構成してもよい。このような構成とした場合には、装着部2A及び帯体3Aa、3Abを引き伸ばした状態として足に装着する装着方法が採られる。この場合、帯体3Aa、3Abの交差する部分の上部に形成された挿入口39から足を挿入する。この為、装着部2A及び帯体3Aa、3Abの伸張前の長さは、装着される足の大きさよりも十分小さく設定され、足への装着時には、伸張状態となり、足に対して適度な圧迫固定が可能となるように構成されている。
【0024】
このように構成されたサポータ1Aは、図10、図11に示されているように、靴下や足袋などの履物に一体として構成されていてもよい。図10は、サポータ1Aが靴下4に一体として縫着された構成を示す全体斜視図、図11は、該靴下4が足に装着された状態を示す全体斜視図である。靴下4の足首を構成する部分が、サポータ1Aで構成され、装着部2Aのつま先側に、靴下のつま先部分を構成する袋状部41が縫着等により接続され、帯体3Aa、3Ab交差部分に形成された挿入口39に口42を有する脚部43が接続されている。このように構成された靴下4を装着することによって、図11に示されているように、足首に対してサポータ1Aが作用するよう構成することができる。さらに、他の構成例として靴下に重ねてサポータ1Aを一体として取り付けてもよく、取付位置は、靴下の裏側であっても、外側であってもよい。
【0025】
上記第3実施形態に加えて、スリッパ、サンダル、靴などの履物と一体として構成されていてもよい。また、スリッパ、サンダル、靴など、足の甲の部分が露出する履物の場合には、帯体3a、3bの先端を面状ファスナーで接続する構成の第1実施形態のサポータが一体として、履物に取り付けてもよい。この場合には、装着部2が、履物の底部に固定された構成を採ることができる。底部材に対して、足の甲を挿入する装着部2が履物の一部を構成する構成とすることもできる。
【0026】
上記説明した各構成において、帯体3a、3bは、2つに限らず、3つ以上設けられていても良い。
帯体の構成は、ゴム材を帯状に形成したものや、弾性繊維で編み込まれた織物、或いは伸縮可能に織り込まれた織物の一部に弾性繊維を織り込んだものなど、弾性を有する帯であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のサポータを展開した状態を示す平面図である。
【図2】足に装着部を装着した状態を示す全体斜視図である。
【図3】足に帯体の一部を装着した状態を示す全体斜視図である。
【図4】足に本発明のサポータを装着した状態を示す全体斜視図である。
【図5】足に本発明のサポータを装着した状態を示す全体斜視図である。
【図6】足に本発明のサポータを装着した状態を示す全体斜視図である。
【図7】足にサポータを装着した場合の脂肪組織の状態を示す足の背面図である。
【図8】足にサポータを装着した場合の脂肪組織の状態を示す足の側面図である。
【図9】第2実施形態のサポータを示す全体斜視図である。
【図10】サポータを用いた靴下の全体斜視図である。
【図11】サポータを用いた靴下の装着状態を示す全体斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 サポータ
2 装着部
21 第1ファスナー
221、231 第3ファスナー
3a、3b 帯体
33a、33b 第2フィスナー
311a、311b スリット
【技術分野】
【0001】
本発明は、サポータにかかり、より詳細には、足の踵部を保護するサポータ及び履物に関する。
【背景技術】
【0002】
足関節の痛み、踵の痛み、外反母趾、足の強い疲労感、タコの痛み等の障害は、立仕事をする者やスポーツの間において慢性的に持っていることが多い。このような障害の足部生体力学原因に足部骨格のアライメント異常(偏平足、凹足等)があり、歩行サイクルにおける立脚相おいて後足部が過回内をする。後足部の過回内は、上記障害の発生原因だけでなく歩幅の減少により歩行姿勢に影響し、頸、肩、腰の障害の原因ともされている。
【0003】
上記障害がある場合、従来からの方法として足関節の固定サポータ、土踏まずを圧迫するサポータ、土踏まずにアーチサポートのある靴の中敷、または踵に当てるクッションパッド等が市販されている。これらは前額面での踵骨の外反、内反の動きを固定、または単に足裏を部分的に圧迫しているにすぎない。
このような場合には、既述の従来のサポータでは、例えば特許文献1に示されているような足首サポータなどか提案されている。
【特許文献1】特開2001−346824号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のサポータは、これらは前額面での踵骨の外反、内反の動きを固定、または単に足裏を部分的に圧迫しているにすぎない。回内や回外を予防するには、横足根関節及び距骨下関節の動きを同時に矯正する必要があるにもかかわらず、上記従来のサポータの構成では、踵収納部自体は、伸縮性を保持しておらず、踵骨の回内や回外を予防することが困難であるといった問題があった。
本発明の目的は、単に固定や圧迫をするのではなく、立脚相での後足部の過回内を矯正し正常な歩行サイクルに導くことのできるサポータ及び履物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上のような問題を解決する本発明は、以下のような構成を有する。
(1) 足の裏から足の甲にかけて外装されて足に対して固定される装着部と、
前記装着部の外側面に設けられた第1ファスナーと、
前記装着部に基端が固定され、踵方向へ延設された帯体と、
前記帯体の先端部に設けられ、前記第1ファスナーに着脱自在に接続される第2ファスナーとを有し、
前記帯体は、基端と先端とを結ぶ方向へ伸びる弾性体であり、足への装着時においては、伸張状態とされた後、足の踵部を覆った状態で爪先方向へ折り返され、伸張状態を維持したまま第2ファスナーが第1ファスナーに接続固定されることを特徴とするサポータ。
【0006】
(2) 前記帯体は、幅方向にも弾性変形可能に構成されている上記(1)に記載のサポータ。
【0007】
(3) 前記帯体は、2つ以上設けられている上記(1)又は(2)に記載のサポータ。
【0008】
(4) 前記装着部を足に装着した状態において、少なくとも一対の帯体は、それぞれ踵の側方へ向けて、それぞれ異なる方向へ延設されており、足への装着時には踵部の頂点で交差するように装着される上記(1)〜(3)のいずれか1に記載のサポータ。
【0009】
(5) 前記装着部は、帯状に形成され、裏側面の一端部に前記第1ファスナーに着脱自在に接続される第3ファスナーを有し、装着部を足に巻きつけ、第1ファスナーに第3ファスナーを巻きつけることによって装着される上記(1)〜(4)のいずれか1に記載のサポータ。
【0010】
(6) 足の裏から足の甲にかけて外装されて足に対して固定される装着部と、
基端と先端が前記装着部の足裏部分と足甲部分とにそれぞれ接続されて環状に形成された帯体とを備えた履物であって、
前記帯体は弾性体で構成され、足への装着時においては、前記帯体は、伸張状態で足の踵部を覆った状態となることを特徴とする履物。
【0011】
(7) 前記帯体は2つ以上設けられ、足への装着時においては、複数の帯体が、足の踵部で交差した状態となっている上記(6)に記載の履物。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、装着部によって足に固定されたサポータの帯体を、足の踵を覆うように踵に巻きつけ、帯体を伸ばした状態で先端部の第2ファスナーを第1ファスナーに接続させる。帯体は、弾性体であるため、伸びた状態で踵部を覆うことで、踵部を包み込んだ状態で、踵骨に対して距骨や立方骨の方向へ押し込む力を与える。帯体は、全体が弾性体であるので、踵部に接触している部分も、全体として縮む方向(復元する方向)に力が生じており、踵部全体を包み込む方向に外力を加えつつ、踵骨の位置を矯正又は固定する作用を発揮する。また、踵骨につながる靭帯を補強する作用も発揮される。一方、装着部によって横足根関節の動きが規制され、帯体によって距骨下関節の動きが規制され、これらの効果が同時に作用することにより、後足部の過回内が有効に矯正される。さらに、踵の底に位置する脂肪パッドを帯体が両側から包み込むように圧迫するため、脂肪パッドの厚みが増し、足本来が持つ踵の衝撃吸収機能が向上する。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、帯体が幅方向にも弾性変形可能に構成されているので、踵骨を包み込む作用がさらに効果的に発揮され、後足部の過回内の矯正又は踵の固定、或いは踵骨周囲の靭帯を補強する作用が、さらに効果的に発揮される。
請求項3記載の発明によれば、帯体を2つ以上設け、複数の帯体によって踵骨を矯正又は固定し、周囲の靭帯を補強する効果がさらに増大する。特に、各帯体を踵部に巻きつける方向を異なるものとすれば、踵骨の位置を固定する外力の方向が増えて、後足部の過回内の矯正又は踵の固定、或いは踵骨周囲の靭帯を補強する作用が一層有効に発揮される。特に、踵の底に位置する脂肪パッドを帯体が圧迫する力増加するため、脂肪パッドの厚みをより厚くし、衝撃吸収機能をさらに向上させることができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、少なくもと一対の帯体を、装着時に踵部の頂点で交差するように配置することで、踵を包み込む作用と、距骨や立方骨の方向へ押し込む力を最も効率よく発揮させることができる。
請求項5記載の発明によれば、装着部を帯状として、足に巻きつけ、第1ファスナーに第3ファスナーを巻きつけることにより、装着部を装着する構成とすることにより、装着部をフリーサイズとすることができる。
【0015】
請求項6に記載の発明によれば、装着部や帯体を履物に一体として設けることによって、履物自体に踵骨の位置を固定する作用を付与させることができる。
請求項7に記載の発明によれば、帯体を2つ以上設け、複数の帯体によって踵骨を矯正又は固定し、周囲の靭帯を補強する効果がさらに増大する。特に、各帯体を踵部に巻きつける方向を異なるものとすれば、踵骨の位置を固定する外力の方向が増えて、踵骨を一層安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適実施形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態のサポータ1を展開した状態を示す平面図である。サポータ1は、装着部2と、装着部2に一端が固定された2つの帯体3a、3bとを備えている。装着部2は、帯状に形成されており、足に巻きつけた際に外側に位置する側面には、第1ファスナーである全面に面状ファスナー21が設けられている。装着部2の裏側20において、その中央部には帯体3a、3bの基端が固定されている。装着部20の一端は、2つに分割された接続部22、23が形成され、各接続部22、23の裏側には、第3ファスナーである面状ファスナー221、231がそれぞれ設けられている。これらの面状ファスナー221、231は、装着部2を足に巻きつけた際に、外側の面状ファスナー21に接続される。
【0017】
一方、1対の帯体3a、3bは、装着部2の中央部において基端部32a、32bが固定され、基端から先端へ向けて互いに離れる方向に傾斜した状態となっている。帯体3a、3bは、それぞれ弾性を有する布材31a、31bにより構成されており、先端部の裏側には、それぞれ第2ファスナーとしての面状ファスナー33a、33bが設けられている。また、帯体3a、3bには、長辺方向(図中 X軸方向)にスリット31a、31bが等間隔で、複数形成されており、幅方向(図中 Y軸方向)にも同様に等間隔で配置され、幅方向には互い違いに配置されている。このスリット31a、31bは、切り込みであってもよく、幅方向に広がって、適宜帯体3a、3bの幅を拡張させる作用を有するものである。
【0018】
このように構成されるサポータ1の作用について説明する。図2に示されているように、装着部2の裏側が足F1の表面に接触するように、装着部2を足に巻きつける。この際、帯体3a、3bの基端部が、足裏に位置し、踵側へ帯体3a、3bが延びるように装着部2の位置を調整する。装着部2を巻きつける際には、接続部22、23が外側に位置するように巻きつける。装着部2の外側には、全面に面状ファスナー21が設けられているので、足のサイズに合わせて、接続部22、23の面状ファスナー221、231を面状ファスナー21に接続する位置を調整することができる。そして、装着部2の裏面が足の甲や足裏に密着するように装着させる。
【0019】
次に、図3に示されているように、どちらか一方の帯体31aを引き伸ばしながら、踵の頂点を覆うように、足首F2の外側から踵に巻きつけ、さらに引き伸ばして先端の面状ファスナー33aを、装着部2の足の甲に位置する部分に、足首F2の内側から接続する。帯体31aは、弾性材料で構成されているので、伸ばした状態で装着された帯体3aは、踵を足本体へ向けて押さえつける方向に締付けることとなる。
同様に、図4に示されているように、他方の帯体31bを引き伸ばしながら、踵の頂点を覆うように、足首F2の内側から踵に巻きつけ、さらに引き伸ばして先端の面状ファスナー33bを、装着部2の足の甲に位置する部分に、足首F2の外側から接続する。
【0020】
図5及び図6に示されているように、踵部F3の頂点部分2つの帯体3a、3bが交差することで、2つの帯体3a、3bの復元力が両側から均等に加わり、踵骨を矯正又は固定し、或いは靭帯を補強する作用が発揮される。また、装着部2で横足根関節の動きを規制し、帯体3a、3bで距骨下関節の動きを規制することで、連動して動く横足根関節と距骨下関節とを同時に規制し、立脚相での後足部の過回内を矯正し、正常な歩行サイクルに復帰させることができる。
各帯体3a、3bに形成されているスリット311a、311bは、踵部分で広がることで、帯体3a、3bの幅を広くさせる作用があり、これにより、踵部をより広い範囲で包み込むことができ、踵骨を確実に保持することができる。さらに、図5中において、矢印S1、S2、S3、S4に示されているように、踵部F3に対して交差する方向から力が加わることとなる。
【0021】
図7及び図8は、本発明のサポータ1を装着した足の骨格を示す図である。図7(A)に示されているように、サポータ1を装着する前の状態では、踵骨B1の下側にある脂肪組織(脂肪パッド部分H1)は平たくなっているが、図7(B)に示されているように、サポータ1を装着すると、帯体3b、3aによって、踵骨B1の周囲の脂肪組織が骨の方向(矢印S5、S6方向)に圧迫され、下方へ押し出される。この結果、脂肪パッド部分H1の厚みが増加する。
【0022】
同様に、図8(A)に示されているように、足F1の甲部分と、踵の後部には、脂肪組織が存在する。ここで、サポータ1を装着すると、図8(B)に示されているように、踵の後部に位置する脂肪組織が帯体3a、3bによって圧迫されて(矢印S8方向)、踵の下方へ押し出され、また、土踏まず部分に位置する脂肪組織も装着部2によって圧迫されて(矢印S7方向)、踵の方へ押し出される。これらの作用によっても、脂肪パット部分H1の厚みが増加する。これらの作用によって、脂肪パッドによる踵の衝撃吸収機能を向上させることができる。
【0023】
以上説明した構成の他、帯体3a、3bは、足の甲に位置する部位に基端が固定され、先端を足の裏に位置する部位で面状ファスナー33a、33bを装着部2に接続する構成としてもよい。この他、第2実施形態として、図9に示されているように、帯体3Aa、3Abの基端と先端をそれぞれ第1実施形態で接続される位置に(縫い付けなどにより)予め固定した構成とし、装着部2Aをループ状の弾性帯体で構成してもよい。このような構成とした場合には、装着部2A及び帯体3Aa、3Abを引き伸ばした状態として足に装着する装着方法が採られる。この場合、帯体3Aa、3Abの交差する部分の上部に形成された挿入口39から足を挿入する。この為、装着部2A及び帯体3Aa、3Abの伸張前の長さは、装着される足の大きさよりも十分小さく設定され、足への装着時には、伸張状態となり、足に対して適度な圧迫固定が可能となるように構成されている。
【0024】
このように構成されたサポータ1Aは、図10、図11に示されているように、靴下や足袋などの履物に一体として構成されていてもよい。図10は、サポータ1Aが靴下4に一体として縫着された構成を示す全体斜視図、図11は、該靴下4が足に装着された状態を示す全体斜視図である。靴下4の足首を構成する部分が、サポータ1Aで構成され、装着部2Aのつま先側に、靴下のつま先部分を構成する袋状部41が縫着等により接続され、帯体3Aa、3Ab交差部分に形成された挿入口39に口42を有する脚部43が接続されている。このように構成された靴下4を装着することによって、図11に示されているように、足首に対してサポータ1Aが作用するよう構成することができる。さらに、他の構成例として靴下に重ねてサポータ1Aを一体として取り付けてもよく、取付位置は、靴下の裏側であっても、外側であってもよい。
【0025】
上記第3実施形態に加えて、スリッパ、サンダル、靴などの履物と一体として構成されていてもよい。また、スリッパ、サンダル、靴など、足の甲の部分が露出する履物の場合には、帯体3a、3bの先端を面状ファスナーで接続する構成の第1実施形態のサポータが一体として、履物に取り付けてもよい。この場合には、装着部2が、履物の底部に固定された構成を採ることができる。底部材に対して、足の甲を挿入する装着部2が履物の一部を構成する構成とすることもできる。
【0026】
上記説明した各構成において、帯体3a、3bは、2つに限らず、3つ以上設けられていても良い。
帯体の構成は、ゴム材を帯状に形成したものや、弾性繊維で編み込まれた織物、或いは伸縮可能に織り込まれた織物の一部に弾性繊維を織り込んだものなど、弾性を有する帯であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のサポータを展開した状態を示す平面図である。
【図2】足に装着部を装着した状態を示す全体斜視図である。
【図3】足に帯体の一部を装着した状態を示す全体斜視図である。
【図4】足に本発明のサポータを装着した状態を示す全体斜視図である。
【図5】足に本発明のサポータを装着した状態を示す全体斜視図である。
【図6】足に本発明のサポータを装着した状態を示す全体斜視図である。
【図7】足にサポータを装着した場合の脂肪組織の状態を示す足の背面図である。
【図8】足にサポータを装着した場合の脂肪組織の状態を示す足の側面図である。
【図9】第2実施形態のサポータを示す全体斜視図である。
【図10】サポータを用いた靴下の全体斜視図である。
【図11】サポータを用いた靴下の装着状態を示す全体斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 サポータ
2 装着部
21 第1ファスナー
221、231 第3ファスナー
3a、3b 帯体
33a、33b 第2フィスナー
311a、311b スリット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の裏から足の甲にかけて外装されて足に対して固定される装着部と、
前記装着部の外側面に設けられた第1ファスナーと、
前記装着部に基端が固定され、踵方向へ延設された帯体と、
前記帯体の先端部に設けられ、前記第1ファスナーに着脱自在に接続される第2ファスナーとを有し、
前記帯体は、基端と先端とを結ぶ方向へ伸びる弾性体であり、足への装着時においては、伸張状態とされた後、足の踵部を覆った状態で爪先方向へ折り返され、伸張状態を維持したまま第2ファスナーが第1ファスナーに接続固定されることを特徴とするサポータ。
【請求項2】
前記帯体は、幅方向にも弾性変形可能に構成されている請求項1に記載のサポータ。
【請求項3】
前記帯体は、2つ以上設けられている請求項1又は2に記載のサポータ。
【請求項4】
前記装着部を足に装着した状態において、少なくとも一対の帯体は、それぞれ踵の側方へ向けて、それぞれ異なる方向へ延設されており、足への装着時には踵部で交差するように装着される請求項1〜3のいずれか1に記載のサポータ。
【請求項5】
前記装着部は、帯状に形成され、裏側面の一端部に前記第1ファスナーに着脱自在に接続される第3ファスナーを有し、装着部を足に巻きつけ、第1ファスナーに第3ファスナーを巻きつけることによって装着される請求項1〜4のいずれか1に記載のサポータ。
【請求項6】
足の裏から足の甲にかけて外装されて足に対して固定される装着部と、
基端と先端が前記装着部の足裏部分と足甲部分とにそれぞれ接続されて環状に形成された帯体とを備えた履物であって、
前記帯体は弾性体で構成され、足への装着時においては、前記帯体は、伸張状態で足の踵部を覆った状態となることを特徴とする履物。
【請求項7】
前記帯体は2つ以上設けられ、足への装着時においては、複数の帯体が、足の踵部で交差した状態となっている請求項6に記載の履物。
【請求項1】
足の裏から足の甲にかけて外装されて足に対して固定される装着部と、
前記装着部の外側面に設けられた第1ファスナーと、
前記装着部に基端が固定され、踵方向へ延設された帯体と、
前記帯体の先端部に設けられ、前記第1ファスナーに着脱自在に接続される第2ファスナーとを有し、
前記帯体は、基端と先端とを結ぶ方向へ伸びる弾性体であり、足への装着時においては、伸張状態とされた後、足の踵部を覆った状態で爪先方向へ折り返され、伸張状態を維持したまま第2ファスナーが第1ファスナーに接続固定されることを特徴とするサポータ。
【請求項2】
前記帯体は、幅方向にも弾性変形可能に構成されている請求項1に記載のサポータ。
【請求項3】
前記帯体は、2つ以上設けられている請求項1又は2に記載のサポータ。
【請求項4】
前記装着部を足に装着した状態において、少なくとも一対の帯体は、それぞれ踵の側方へ向けて、それぞれ異なる方向へ延設されており、足への装着時には踵部で交差するように装着される請求項1〜3のいずれか1に記載のサポータ。
【請求項5】
前記装着部は、帯状に形成され、裏側面の一端部に前記第1ファスナーに着脱自在に接続される第3ファスナーを有し、装着部を足に巻きつけ、第1ファスナーに第3ファスナーを巻きつけることによって装着される請求項1〜4のいずれか1に記載のサポータ。
【請求項6】
足の裏から足の甲にかけて外装されて足に対して固定される装着部と、
基端と先端が前記装着部の足裏部分と足甲部分とにそれぞれ接続されて環状に形成された帯体とを備えた履物であって、
前記帯体は弾性体で構成され、足への装着時においては、前記帯体は、伸張状態で足の踵部を覆った状態となることを特徴とする履物。
【請求項7】
前記帯体は2つ以上設けられ、足への装着時においては、複数の帯体が、足の踵部で交差した状態となっている請求項6に記載の履物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−212630(P2008−212630A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317093(P2007−317093)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(507044170)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(507044170)
【Fターム(参考)】
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