説明

サンディングマシン

【課題】反りが生じたワークの湾曲した研磨面に対して研磨処理を施すことができるサンディングマシンを提供する。
【解決手段】サンディング機構20をワークWに接近する方向へ付勢した状態でワークWを搬送すると、クッション用エアシリンダ(付勢手段)の付勢力によって倣いロール55(倣い部材)がワークWの研磨面Waに押し付けられることにより、サンディングベルト33がワークWに対して位置決めされる。ワークWの研磨面Waが湾曲している場合は、ワークWの搬送が進むのに伴い、倣いロール55が研磨面Waの湾曲形態に追従することによってサンディング機構20が移動するので、サンディングベルト33はワークWに対して適正な位置関係に保たれる。これにより、湾曲した研磨面Waを適正に研磨することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンディングマシンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来サンディングマシンとして、特許文献1に記載されているものがある。これは、コンベアによって水平に搬送されるワークに対し、サンディングベルトを接触させることによってワークの上面を研磨するようになっている。
この種のサンディングマシンは、搬送されるワークの上面の高さが搬送方向において変動しないことを前提として構成されており、サンディングベルトにおけるワークへの接触面の高さが、研磨の開始から終了に至るまで一定に保たれるようになっている。
【特許文献1】特開平8−118227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ワークが木材の場合、乾燥に伴ってワークに反りが発生することは避けられないのであるが、ワークの種類や用途によっては、僅かに反りが生じていても、そのままワーク表面に研磨処理を施して製品化することが行われることがある。この場合、搬送するときのワークの向きによっては、ワークの上面の高さが搬送方向において変動することになるため、サンディングベルトにおけるワークの接触面の高さが一定に保たれている従来のサンディングマシンを使用することができなかった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、反りが生じたワークの湾曲した研磨面に対して研磨処理を施すことができるサンディングマシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、直線状の搬送面に沿って搬送されるワークに対し、前記搬送面とは反対側からサンディングベルトを接触させることによってワークの表面を研磨するものであって、前記サンディングベルトを有するサンディング機構を、ワークの搬送方向と交差する方向への移動を可能に支持するガイド手段と、前記サンディング機構を前記ワークの研磨面に接近する方向へ付勢する付勢手段と、前記サンディング機構に一体に移動するように設けられ、前記ワークの研磨面に当接する倣い部材とを備えているところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記倣い部材が、前記サンディングベルトよりも搬送方向手前側に配置されており、前記サンディング機構には、前記サンディングベルトにおけるワークへの研磨領域をワーク側へ弾性的に押圧する踏圧パッドが設けられているところに特徴を有する。
【0006】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記サンディングベルトが搬送方向に並ぶ2つの転向ロールの間に掛け渡され、前記踏圧パッドが、前記2つの転向ロールの間に配置されているものであって、前記2つの転向ロールのうち前記倣い部材に近い側の転向ロールが、前記倣い部材に比べて前記ワークの研磨面から遠い位置に配置されているところに特徴を有する。
【0007】
請求項4の発明は、請求項3に記載のものにおいて、前記踏圧パッドが、前記倣い部材に比べて前記ワークの研磨面に近い位置ので進出可能とされているところに特徴を有する。
【0008】
請求項5の発明は、請求項2ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、前記踏圧パッドが、互いに独立して前記サンディングベルトを弾性的に押圧可能であって、ワークの幅方向に並ぶように配置された複数の押圧片を備えて構成されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
<請求項1の発明>
サンディング機構をワークに接近する方向へ付勢した状態でワークを搬送すると、上記付勢力によって倣い部材がワークの研磨面に押し付けられることにより、サンディングベルトがワークに対して位置決めされる。ワークの研磨面が湾曲している場合は、ワークの搬送が進むのに伴い、倣い部材が研磨面の湾曲形態に追従することによってサンディング機構が移動するので、サンディングベルトはワークに対して適正な位置関係に保つことができる。これにより、湾曲した研磨面を適正に研磨することができる。
【0010】
<請求項2の発明>
サンディングベルトはワークの全幅に亘って設けられるため、倣い部材はサンディングベルトよりも搬送方向手前側に配置しなればならないが、このように搬送方向にずれた配置となっていると、ワークの研磨面が湾曲している場合に、倣い部材によって位置決めされているサンディングベルトの研磨領域の位置と、ワークの研磨面のうち実際にサンディングベルトと対応する部分の位置との間でずれが生じることが懸念される。
そこで、本発明では、サンディング機構に、サンディングベルトにおけるワークへの研磨領域をワーク側へ弾性的に押圧する踏圧パッドを設けた。この踏圧パッドの弾性的な押圧作用により、サンディングベルトの研磨領域が確実にワークの研磨面に接触して、良好な研磨が行われる。
【0011】
<請求項3の発明>
本発明のサンディングマシンでは、サンディングベルトが搬送方向に並ぶ2つの転向ロールの間に掛け渡され、そのサンディングベルトよりも搬送方向手前側に倣い部材が配置されているため、ワークの搬送方向先端縁がサンディングベルト側へ反り上がっている場合に、ワークの搬送方向先端縁が倣い部材を通過した後にサンディング機構がワークの研磨面側へ移動し、ワークの搬送方向先端縁がサンディングベルトにおける転向ロールへの接触部分に突き当たり、サンディングベルトが傷付けられることが懸念される。
しかし、本発明では、倣い部材に近い側の転向ロールを、倣い部材に比べてワークの研磨面から遠い位置に配置しているので、ワークの搬送方向先端縁は、サンディングベルトに突き当たることなく転向ロールを通過することができ、これにより、サンディングベルトの傷付きが回避される。
【0012】
<請求項4の発明>
本発明のサンディングマシンでは、サンディングベルトの傷付きを回避する目的で、倣い部材に近い側の転向ロールを、倣い部材に比べてワークの研磨面から遠い位置に配置しているため、ワークの研磨面が湾曲している場合には、サンディングベルトがワークの研磨面と非接触となることが懸念されるが、本発明では、踏圧パッドを、倣い部材に比べてワークの研磨面に近い位置まで進出可能としたので、踏圧パッドの押圧によってサンディングベルトをワークの研磨面に接触させることができる。
<請求項5の発明>
踏圧パッドが、互いに独立してサンディングベルトを弾性的に押圧可能であって、ワークの幅方向に並ぶように配置された複数の押圧片を備えているので、ワークの研磨面が幅方向に沿って湾曲している場合でも、研磨面を幅方向において均一に研磨することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図10を参照して説明する。本実施形態のサンディングマシンは、ワークWの上面の研磨面Waを研磨するものであって、搬送機構10とサンディング機構20とを備えて構成されている。尚、本実施形態では、ワークWが反りを生じて、研磨面Waが凹むように湾曲した場合について説明する。
搬送機構10は、基台11の上面にベルトコンベア12を設けた構造になり、図1に示すように、ベルトコンベア12は、左右一対の搬送ロール13の間に無端状のコンベアベルト14を水平に掛け渡したものであって、コンベアベルト14の上側の水平走行部の上面が直線状(平坦状)の搬送面12aとなっている。搬送面12aに載置されたワークWは、図1における右側から左側に向かう正方向、または左側から右側に向かう逆方向へ搬送されるようになっている。また、ベルトコンベア12の上方には、搬送面12aの両側縁に沿った一対のガード部材15が設けられ、このガード部材15によりワークWの幅方向(搬送方向と直角な水平方向)への変位が規制されるようになっている。さらに、ベルトコンベア12の右端部の近傍には、搬送面12aに載置されたワークWを検知するための光電式の位置センサ16が設けられている。
【0014】
次に、サンディング機構20の高さを調整する手段について説明する。基台11の背面には、調節用フレーム17が、雄ネジ部材とナット部材の係合等による図示しない周知の昇降機構により昇降可能に設けられている。調節用フレーム17の右端部には、検知片18aを有する厚みセンサ18が、ベルトコンベア12の上方に位置するように設けられている。厚みセンサ18は、検知片18aが上方へ押し上げられたことを検知し、調節用フレーム17を昇降させるための昇降機構へ検知信号を出力するようになっている。また、調節用フレーム17には、軸線を前後方向に向けるとともに、図示しない押さえバネにより下方へ付勢された押えロール19が、ベルトコンベア12の上方に位置するように設けられている。押えロール19は、常には、その下端の位置が後述する倣いロール55の下端とほぼ同じ位置となる高さに保持されているが、下方からの外力が付与されると、押さえバネの付勢に抗して上方へ移動し得るようになっている。
【0015】
次に、サンディング機構20を昇降可能に支持する手段について説明する。調節用フレーム17の上端には前方へ水平に突出する支持板21が設けられ、支持板21の上面にクッション用エアシリンダ22(本発明の構成要件である付勢手段)が、ロッド22aを支持板21の下方へ突出させた状態で固定されている。調節用フレーム17の前面には上下方向に延びるガイドレール23(本発明の構成要件であるガイド手段)が取り付けられ、ベルトコンベア12の上方には、昇降フレーム24が、ガイドレール23に沿って昇降し得るように設けられている。昇降フレーム24は、背面板25と、背面板25の下端部から前方(図2における左方)へ突出するアーム26とを備えて構成されている。背面板25の背面には、ガイドレール23に対して摺動可能に嵌合されるスライダ27(本発明の構成要件であるガイド手段)が固着されている。背面板25の上端には前方へ水平に突出する連結板28が設けられ、この連結板28に、上記クッション用エアシリンダ22のロッド22aの下端が一体的に上下移動し得るように固着されている。また、支持板21におけるクッション用エアシリンダ22の左右両側の位置には、下方へ突出する一対のガイドピン29が設けられ、一対のガイドピン29が連結板28に貫通されているとともに、連結板28の下方においては各ガイドピン29の下端部にストッパ30が固着されている。
【0016】
クッション用エアシリンダ22には、ロッド22aを下方へ突出させるように作動エアが供給されており、このクッション用エアシリンダ22の作動エアによる付勢力が、昇降フレーム24に付与されている。この付勢により、常には、昇降フレーム24が、連結板28をストッパ30に対して上から係止させる進出位置(昇降フレーム24の昇降ストロークのうち最も低い位置)に保持され、昇降フレーム24に対して上方への外力が付与されると、昇降フレーム24はクッション用エアシリンダ22の付勢に抗して上方へ移動し得るようになっている。
【0017】
この昇降フレーム24には、サンディング機構20が、昇降フレーム24と一体的に移動し得るように設けられている。サンディング機構20について説明すると、アーム26には、軸線を前後方向(ワークWの搬送方向と直角な水平方向であって、ワークWの幅方向と平行な方向)に向けたテンションロール31が、アーム26よりも上方に位置するように支持されているとともに、軸線を前後方向に向けるとともに互いにワークWの搬送方向に間隔を空けた左右一対の転向ロール32L,32Rが、アーム26よりも下方に位置するように支持されている。テンションロール31と2つの転向ロール32L,32Rとの間には、無端状のサンディングベルト33が掛け回されており、一方の転向ロール32L,32Rをモータ34で正方向又は逆方向へ回転させると、サンディングベルト33が正方向又は逆方向へ走行するようになっている。
【0018】
また、サンディング機構20には、前後方向に細長い踏圧パッド35が、左右一対の転向ロール32L,32Rの間に位置するように設けられている。踏圧パッド35の取付け構造は、次の通りである。図5に示すように、アーム26の下面に固定された前後方向に細長い支持部材36の前後両端部には、一対のウォームホイール37が回転可能に支持されており、支持部材36の下方に設けた前後方向に細長い調節バー38は、ウォームホイール37の回転により高さ調節されるように支持されている。調節バー38の長さ方向中央部上面には昇降用エアシリンダ39が固定され、昇降用エアシリンダ39のロッド39aが調節バー38の下方へ突出されている。また、調節バー38の前後両端部には、軸線を上下方向に向けた一対のガイドピン40が昇降可能に且つ調節バー38を貫通した状態で取り付けられている。ガイドピン40の上端部には、調節バー38の上面に対して上から係止可能なストッパ41が固着され、ガイドピン40の下端部には、調節バー38の下方に設けた前後方向に細長い昇降部材42が固着されている。そして、昇降部材42の下端部に、踏圧パッド35が一体的に昇降するように固定されている。
【0019】
踏圧パッド35は、図4及び図5に示すように、前後方向に細長いガイドブロック43と、ガイドブロック43の上面に固着された前後方向に細長い保持バー44とを備えており、ガイドブロック43の前後両端部が昇降部材42に対して一体的に昇降し得るように固定されている。ガイドブロック43には、上下に貫通する複数の円形断面のガイド孔45が、前後方向(ワークWの幅方向)に並ぶように形成されており、各ガイド孔45内には、上面が解放された昇降筒46が上下移動可能に収容されている。一方、保持バー44には、ガイド孔45内に進入する押さえピン47の上端が固定され、各押さえピン47の下端部に固着したバネ押さえ48が、昇降筒46内に昇降可能に収容されている。昇降筒46内には、昇降筒46の下面壁とバネ押さえ48との間で弾縮された状態で圧縮コイルバネ49が収容されている。この圧縮コイルバネ49の付勢力により、昇降筒46がガイドブロック43に対して相対的に下方へ付勢されている。また、複数の昇降筒46は、個別に(互いに独立して)昇降し得るようになっている。
【0020】
また、各昇降筒46には、その下面壁から下方へ突出する突起50が形成され、各昇降筒46には、水平な板状をなす押圧片51が、昇降筒46の下面壁の下面に密着するとともに突起50に嵌合した状態で一体的に昇降し得るように固着されている。つまり、1つの踏圧パッド35は、ワークWの幅方向に並ぶ複数の押圧片51を有している。図6に示すように、各押圧片51の底面形状は概ね方形をなしているが、隣り合う押圧片51の一方には、隣接する押圧片51との対応片を切欠した形態の切欠部51aが形成され、他方の押圧片51には、上記切欠部51aに嵌合される突片部51bが突出形成されている。そして、各押圧片51は、切欠部51aと突片部51bとを嵌合させた状態で、互いに独立して昇降し得るようになっている。また、押圧片51は、上記圧縮コイルバネ49によって下方へ付勢されているが、ガイドブロック43には、前後方向に延びる細長い受け部52が左右一対形成されており、常には、圧縮コイルバネ49の付勢により、押圧片51の左右両側縁が受け部52に対して上から係止した最下端位置(押圧片51の昇降ストロークの下限位置)に保持されている。また、押圧片51に対して下方からの外力が付与されると、各押圧片51は、圧縮コイルバネ49の付勢に抗して個別に上方へ移動し得るようになっている。
【0021】
さらに、複数の押圧片51の下面には、前後方向に細長いブロック状をなすクッション材53が宛われ、クッション材53の下面には、布等の可撓性を有する保持シート54が宛われている。保持シート54の左右両端縁はガイドブロック43の外面に固着されており、この保持シート54によって、クッション材53の落下が防止されている。そして、保持シート54の下面が、サンディングベルト33のうち両転向ロール32L,32Rの間の部分の内周面(上面)に当接する。これにより、サンディングベルト33のうち保持シート54(踏圧パッド35の下面)が当接している研磨領域33aが、下方(搬送面12a側)へ弾性的に押圧されている。
【0022】
また、昇降フレーム24には、軸線を前後方向に向けた左右一対の倣いロール55(本発明の構成要件である倣い部材)が、昇降フレーム24と一体的に昇降するように設けられている。倣いロール55は、サンディングベルト33の左右両側の位置、即ち搬送方向においてサンディングベルト33を両側から挟む位置であって、転向ロール32L,32Rに近い位置に配置されている。つまり、ワークWを正方向(図1における右から左側)へ搬送するときに、その搬送方向において倣いロール55が右側の転向ロール32Rよりも手前側に位置することになる。また、ワークWを逆方向へ搬送するときには、その搬送方向において倣いロール55が左側の転向ロール32Lよりも手前側に位置することになる。上記した一対の転向ロール32L,32Rは、その下端が互いに同じ高さとなるように固定されているが、倣いロール55は、その下端の位置が転向ロール32L,32Rの下端の位置よりも低い高さとなるように固定されている。
【0023】
次に、本実施形態の作用を説明する。
研磨を行う際には、まず、準備工程としてワークWの板厚に合わせてサンディング機構20の高さを調節する。調節に際しては、ベルトコンベア12の搬送面12aにワークWを載置した状態で、昇降機構を駆動し、調節用フレーム17とともにサンディング機構20を下降させる。そして、検知片18aがワークWの上面(即ち、研磨面Wa)に当接して上動すると、厚みセンサ18からの検知信号に基づき、調節用フレーム17の下降が停止する。これにより、サンディング機構20がワークWの厚さに対して適正な高さに調節される。また、昇降用エアシリンダ39を作動させて、踏圧パッド35を最も高い退避位置に保持しておく。このとき、図8に示すように、踏圧パッド35の下面は転向ロール32L,32Rの下端とほぼ同じ高さとなるので、サンディングベルト33のうち一方(図1における右側)の転向ロール32Rから研磨領域33aに至る領域は、倣いロール55の下端よりも高い位置でほぼ水平(ワークWの搬送面12aとほぼ平行)に張り渡された状態となる。また、倣いロール55の下端は、ワークWの上面(研磨面Wa)よりも少し低い高さに位置する。
【0024】
次に、サンディングベルト33を走行させるとともに、ベルトコンベア12を正方向(搬送面12aが図1において右から左に向かう方向)へ走行させた状態で、ワークWを搬送面12aの右端部に載置し、ワークWをサンディングベルト33の研磨領域33aに向かって搬送する。搬送を開始した直後、ワークWの搬送方向先端縁Wfが位置センサ16によって検知され、その後、ワークWの搬送方向先端縁Wfが倣いロール55に当接する。この後は、倣いロール55が、ワークWの凹み状に湾曲した研磨面Wa(上面)に弾性的に押圧されてその研磨面Wa上を転動することにより、サンディング機構20の全体が研磨面Waにおける倣いロール55の当接位置に対して一定の高さ関係を保つ。つまり、ワークWが搬送される過程において、倣いロール55が研磨面Waの搬送方向先端Wfから研磨面Waの最下点まで転動する間は、サンディング機構20全体が高い位置から徐々に下降し、倣いロール55が研磨面Waの最下点から研磨面Waの搬送方向後端縁Wrまで転動する間は、サンディング機構20全体が徐々に上昇していく。
【0025】
また、研磨面Waの搬送方向先端縁Wfの高さは、研磨面Waにおける倣いロール55の当接位置よりも高くなるため、倣いロール55を通過したワークWの先端縁Wfが、サンディングベルト33のうち搬送方向手前側の転向ロール32Rへの接触部分に突き当たることが懸念されるが、転向ロール32Rの下端の高さは倣いロール55の下端よりも高い位置に設定されているので、ワークWの先端縁Wfは転向ロール32Rの下端よりも低い位置を通過する。したがって、ワークWの先端縁Wfがサンディングベルト33における転向ロール32Rへの接触部分に突き当たることがなく、突き当たりに起因してサンディングベルト33が傷付けられることはない。
【0026】
ワークWの搬送が進んで、ワークWの搬送方向先端縁Wfがサンディングベルト33の研磨領域33aに接近すると、位置センサ16からの検知信号とベルトコンベア12の搬送速度に基づいて、踏圧パッド35が進出位置へ下降し、下降の過程でサンディングベルト33の研磨領域33aが研磨面Waの先端縁Wfにほぼ真上から当接する。ワークWの先端縁Wfがサンディングベルト33に対して後方から当接した場合には、ワークWの先端縁Wfが過剰に削られる「端だれ」という不具合が発生するが、本実施形態では、ワークWが研磨領域33aの真下に到達するタイミングに合わせて踏圧パッド35を下降させて、サンディングベルト33の研磨領域33aをほぼ真上から研磨面Waに当接させたので、「端だれ」が発生することはない。
【0027】
ワークWの研磨面Waのうち最も高い先端縁Wfに研磨領域33aが当接した状態では、研磨面Waにおける先端縁Wfの高さが倣いロール55との当接位置の高さよりも高い位置にあるため、図9に示すように、押圧片51とクッション材53が、圧縮コイルバネ49の付勢に抗してガイドブロック43に対して相対的に上動した状態となっている。この状態から、ワークWの搬送が進むと、研磨面Waにおける研磨領域33aとの対応部分が徐々に低くなっていくのであるが、それに伴って研磨面Waにおける倣いロール55の当接部分も同様に低くなっていくので、サンディング機構20全体がクッション用エアシリンダ22の付勢に従って徐々に下降し、研磨領域33aが研磨面Waに接触して良好に研磨する状態を保つ。この間、研磨面Waにおける研磨領域33aの接触位置と倣いロール55の当接位置の間には高低差があるため、押圧片51とクッション材53がガイドブロック43に対して相対的に上動した状態が保たれる。
【0028】
さて、搬送と研磨が進み、ワークWが、研磨面Waにおける最も低い部分を倣いロール55及び研磨領域33aに対応させる位置まで達した後は、搬送が進むのに伴い、研磨面Waにおける研磨領域33aとの対応部分が徐々に高くなっていくのであるが、これに伴って研磨面Waにおける倣いロール55の当接部分も同様に高くなっていくので、サンディング機構20全体がクッション用エアシリンダ22の付勢に抗して徐々に上昇し、研磨領域33aが研磨面Waに接触して良好に研磨する状態を保つ。この間、研磨面Waにおける研磨領域33aの接触部分と倣いロール55の当接位置との間で高低差があるため、図10に示すように、押圧片51とクッション材53は、圧縮コイルバネ49の付勢にしたがってガイドブロック43に対して相対的に下動した状態に保たれ、これにより、良好な研磨が行われる。
【0029】
そして、ワークWの搬送方向後端縁Wrが踏圧パッド35によって研磨されると、ワークWの後端縁Wrが研磨領域33aを通過し終わるのとほぼ同時に、踏圧パッド35が上昇し、これにより、ワークWの後端縁Wrの「端だれ」が防止される。以上により、ワークWの研磨面Waに対する研磨が完了する。尚、ワークWを図1の右から左に向かって正方向に搬送して研磨した後、ワークWを反転させることなく、引き続いて、図1の左から右に向かって逆方向に搬送しつつ研磨面Waに対して再度、研磨を施してもよい。
【0030】
上述のように本実施形態のサンディングマシンは、直線状の搬送面12aに沿って搬送されるワークWに対し、搬送面12aとは反対の上側からサンディングベルト33を接触させることによってワークWの表面(研磨面Wa)を研磨するものであって、サンディングベルト33を有するサンディング機構20を、ワークWの搬送方向と交差する上下方向への移動を可能に支持するガイド手段(ガイドレール23、スライダ27)と、サンディング機構20をワークWの研磨面Waに接近する方向へ付勢する付勢手段(クッション用エアシリンダ22)と、サンディング機構20に一体に移動するように設けられてワークWの研磨面Waに当接する倣い部材(倣いロール55)とを備えてた構成となっている。
【0031】
かかる本実施形態のサンディングマシンによれば、サンディング機構20をワークWに接近する方向へ付勢した状態でワークWを搬送すると、クッション用エアシリンダ22の付勢力によって倣いロール55がワークWの研磨面Waに押し付けられることにより、サンディングベルト33がワークWに対して位置決めされる。そして、ワークWの研磨面Waが湾曲している場合は、ワークWの搬送が進むのに伴い、倣いロール55が研磨面Waの湾曲形態に追従することによってサンディング機構20が移動するので、サンディングベルト33はワークWに対して適正な位置関係に保つことができる。これにより、湾曲した研磨面Waを適正に研磨することができる。
【0032】
また、本実施形態では、サンディングベルト33はワークWの全幅に亘って設けられるため、倣いロール55はサンディングベルト33よりも搬送方向手前側(図1における右側)に配置しているのであるが、このようにサンディングベルト33と倣いロール55が搬送方向にずれた配置となっていると、ワークWの研磨面Waが湾曲している場合に、倣いロール55によって位置決めされているサンディングベルト33の研磨領域33aの位置と、ワークWの研磨面Waのうち実際にサンディングベルト33と対応する部分の位置との間で高さにずれが生じることになる。
そこで、本実施形態では、サンディング機構20に、サンディングベルト33におけるワークWへの研磨領域33aをワークW側へ弾性的に押圧するための踏圧パッド35を設けた。この踏圧パッド35の弾性的な押圧作用により、サンディングベルト33の研磨領域33aが確実にワークWの研磨面Waに接触して、良好な研磨が行われる。
【0033】
また、本実施形態のサンディングマシンでは、サンディングベルト33が搬送方向に並ぶ2つの転向ロール32L,32Rの間に掛け渡され、そのサンディングベルト33よりも搬送方向手前側に倣いロール55が配置されているため、ワークWの搬送方向先端縁Wfがサンディングベルト33側へ反り上がっている形状に鑑みると、ワークWの搬送方向先端縁Wfが倣いロール55を通過した後にサンディング機構20がワークWの研磨面Wa側へ移動し、ワークWの搬送方向先端縁Wfがサンディングベルト33における転向ロール32Rへの接触部分に突き当たり、サンディングベルト33が傷付けられることが懸念される。
しかし、本実施形態では、倣いロール55に近い側(図1における右側)の転向ロール32Rを、倣いロール55に比べてワークWの研磨面Waから遠い位置(高い位置)に配置しているので、ワークWの搬送方向先端縁Wfは、サンディングベルト33に突き当たることなく転向ロール32Rを通過することができ、これにより、サンディングベルト33の傷付きが回避される。
【0034】
また、本実施形態では、サンディングベルト33の傷付きを回避する目的で、倣いロール55に近い側(図1における右側)の転向ロール32Rを、倣いロール55に比べてワークWの研磨面Waから遠い位置(高い位置)に配置しているため、ワークWの研磨面Waが凹むように湾曲していることに鑑みると、サンディングベルト33がワークWの研磨面Waと非接触となることが懸念されるが、本実施形態では、踏圧パッド35を、倣いロール55に比べてワークWの研磨面Waに近い位置まで進出し得るように設けたので、この踏圧パッド35がサンディングベルト33の研磨領域33aを下方へ押すことにより、研磨領域33aをワークWの研磨面Waに接触させることができる。
また、本実施形態では、踏圧パッド35が、互いに独立してサンディングベルト33を弾性的に押圧可能であって、ワークWの幅方向に並ぶように配置された複数の押圧片51を備えているので、ワークWの研磨面Waが幅方向に沿って湾曲している場合でも、各押圧片51が研磨面Waの湾曲の形状に応じて個別に上下動することにより、研磨面Waを幅方向において均一に研磨することができる。
【0035】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では搬送方向を水平にしたが、搬送方向は、垂直方向や、水平に対して斜め方向としてもよい。
(2)上記実施形態ではサンディング機構の移動方向を上下方向としたが、サンディング機構の移動方向は、水平方向や、水平に対して斜めの方向としてもよい。
(3)上記実施形態では付勢手段をエアシリンダとしたが、付勢手段は、圧縮コイルバネでもよい。
(4)上記実施形態では2つの転向ロールのうち倣い部材に近い側の転向ロールを、倣い部材に比べてワークの研磨面から遠い位置に配置したが、本発明によれば、転向ロールを倣い部材に比べてワークの研磨面に近い位置、またはワークの研磨面からの距離が倣い部材と同じ位置に配置してもよい。
(5)上記実施形態ではワークの端だれを防止するために踏圧パッドをワークに対して接近・離間する方向へ移動し得るようにしたが、本発明によれば、踏圧パッドが移動しない形態としてもよい。
(6)上記実施形態では踏圧パッドをワークの幅方向に分割された複数の押圧片によって構成したが、本発明によれば、踏圧パッドは、幅方向に分割されない形態としてもよい。
(7)上記実施形態ではサンディングベルトをワーク側へ弾性的に押圧する踏圧パッドを設けたが、本発明によれば、サンディングベルトを弾性的に押圧しない構成とすることもできる。
(8)上記実施形態ではワークの上面が研磨面となっている場合について説明したが、本発明は、ワークの側面が研磨面となっている場合にも適用することができる。
(9)上記実施形態では研磨面が凹むように湾曲しているワークを研磨する場合について説明したが、本発明は、研磨面が突出するように湾曲しているワークを研磨する場合にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態1の正面図
【図2】右側面図
【図3】サンディング機構の部分拡大正面図
【図4】踏圧パッドの断面図
【図5】踏圧パッドの取付け構造をあらわす断面図
【図6】押圧片の底面図
【図7】部分拡大正面図
【図8】ワークの搬送方向先端縁が倣いロールに到達した状態をあらわす部分拡大正面図
【図9】ワークの搬送方向先端縁がサンディングベルトの研磨領域に到達した状態をあらわす部分拡大正面図
【図10】ワークの搬送方向後端縁が倣いロールに到達した状態をあらわす部分拡大正面図
【符号の説明】
【0037】
W…ワーク
Wa…ワークの研磨面
12a…搬送面
20…サンディング機構
22…クッション用エアシリンダ(付勢手段)
23…ガイドレール(ガイド手段)
27…スライダ(ガイド手段)
32L,32R…転向ロール
33…サンディングベルト
33a…サンディングベルトの研磨領域
35…踏圧パッド
51…押圧片
55…倣いロール(倣い部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状の搬送面に沿って搬送されるワークに対し、前記搬送面とは反対側からサンディングベルトを接触させることによってワークの表面を研磨するものであって、
前記サンディングベルトを有するサンディング機構を、ワークの搬送方向と交差する方向への移動を可能に支持するガイド手段と、
前記サンディング機構を前記ワークの研磨面に接近する方向へ付勢する付勢手段と、
前記サンディング機構に一体に移動するように設けられ、前記ワークの研磨面に当接する倣い部材とを備えていることを特徴とするサンディングマシン。
【請求項2】
前記倣い部材が、前記サンディングベルトよりも搬送方向手前側に配置されており、
前記サンディング機構には、前記サンディングベルトにおけるワークへの研磨領域をワーク側へ弾性的に押圧する踏圧パッドが設けられていることを特徴とする請求項1記載のサンディングマシン。
【請求項3】
前記サンディングベルトが搬送方向に並ぶ2つの転向ロールの間に掛け渡され、
前記踏圧パッドが、前記2つの転向ロールの間に配置されているものであって、
前記2つの転向ロールのうち前記倣い部材に近い側の転向ロールが、前記倣い部材に比べて前記ワークの研磨面から遠い位置に配置されていることを特徴とする請求項2記載のサンディングマシン。
【請求項4】
前記踏圧パッドが、前記倣い部材に比べて前記ワークの研磨面に近い位置まで進出可能とされていることを特徴とする請求項3記載のサンディングマシン。
【請求項5】
前記踏圧パッドが、互いに独立して前記サンディングベルトを弾性的に押圧可能であって、ワークの幅方向に並ぶように配置された複数の押圧片を備えて構成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれかに記載のサンディングマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−105858(P2007−105858A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301712(P2005−301712)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000210377)アミテック株式会社 (7)
【Fターム(参考)】