説明

サンドイッチパネル製造方法及びサンドイッチパネル製造設備

【課題】帯状サンドイッチパネルを製造するに際して、厚み寸法をできるだけ均一にして材料の無駄を抑制可能なサンドイッチパネル製造方法を提供する。
【解決手段】上下両面に対向配置された面材間に発泡性樹脂芯材が発泡成形されてなる帯状のサンドイッチパネルを製造するためのサンドイッチパネル製造方法であって、搬送される帯状の下面材2と帯状の上面材1の間に発泡性樹脂芯材の発泡原液組成物を供給する工程と、発泡原液組成物を供給した後、帯状下面材2の裏面側の幅方向両端部を上方に持ち上げる工程と、供給された発泡原液組成物の発泡処理を行いながら下面材2及び上面材1を搬送する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
上下両面に対向配置された面材間に発泡性樹脂芯材が発泡成形されてなる帯状のサンドイッチパネルを製造するためのサンドイッチパネル製造方法及びサンドイッチパネル製造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状のサンドイッチパネルを製造する工程の一例は、下記特許文献1に開示されている。サンドイッチパネルは、例えば、硬質ポリウレタンフォームを可撓性を有する鋼板により形成された上面材と下面材によりサンドイッチした構造を有しており、建築用の断熱パネルなどとして利用されている。このサンドイッチパネルの製造工程においては、上面材を巻き付けたロールと、下面材を巻き付けたロールから、夫々ロールを引き出していき、これら面材間に硬質ポリウレタンフォーム(発泡性樹脂芯材に相当)を発泡させて成形する。かかるサンドイッチパネルは、帯状の形態で連続的に製造されていき、裁断装置により所定サイズのパネルとなるように裁断される。なお、面材は、クラフト紙などの紙材や鋼板面材などが主として使用される。
【0003】
また、搬送される上面材と下面材の間に配置されたミキシングヘッド(原液供給部)から発泡原液組成物を下面材の面上に吐出させ、その後、いわゆるダブルコンベアにより帯状サンドイッチパネルの形態で搬送させながら発泡処理が行われる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−178136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる構成において、発泡原液組成物の供給はミキシングヘッドにより下面材の上に均一な厚みになるように供給される。例えば、ミキシングヘッドを帯状の下面材の幅方向に沿って往復移動させながら発泡原液組成物を供給したり、発泡原液組成物を供給した後に上面材を上方から押え付けることで、可能な限り厚みが均一なサンドイッチパネルが得られるようにしている。
【0006】
しかしながら、製品の厚さが特に50mm以上の厚さになると、発泡原液組成物の供給量も増えてくるため、幅方向両端部における液の供給が不十分となり、厚さも中央部に比べると薄くなりがちである。従って、例えば、800mmの幅のパネルを得ようとするためには、発泡原液組成物の供給幅は1100mm程度となり、発泡原液組成物の供給幅に比べて有効に製品として使用可能な領域が狭く、材料が無駄になっていた。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、帯状サンドイッチパネルを製造するに際して、厚み寸法をできるだけ均一にして材料の無駄を抑制可能なサンドイッチパネル製造方法及びサンドイッチパネル製造設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係るサンドイッチパネル製造方法は、
上下両面に対向配置された面材間に発泡性樹脂芯材が発泡成形されてなる帯状のサンドイッチパネルを製造するためのサンドイッチパネル製造方法であって、
搬送される帯状の下面材と帯状の上面材の間に発泡性樹脂芯材の発泡原液組成物を供給する工程と、
発泡原液組成物を供給した後、帯状下面材の裏面側の幅方向両端部を上方に持ち上げる工程と、
供給された発泡原液組成物の発泡処理を行いながら下面材及び上面材を搬送する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
かかる構成によるサンドイッチパネル製造方法の作用・効果を説明する。搬送される帯状の下面材と、帯状の上面材の間に、発泡原液組成物を供給し、その後、上下面材の間に発泡原液組成物の層が形成された態様で発泡搬送部へと送り込まれる。この発泡原液組成物を供給した後に、帯状下面材の裏面側の幅方向両端部を上方に持ち上げる。これにより、幅方向両端部の発泡原液組成物は、中央側に戻されようとする力が作用する。このような力を作用させることで、特に、持ち上げ領域の内側の領域において、厚みが均一になる方向に発泡原液組成物を移動させることができる。その結果、帯状サンドイッチパネルを製造するに際して、厚み寸法をできるだけ均一にして材料の無駄を抑制可能なサンドイッチパネル製造方法を提供することができる。
【0010】
本発明において、発泡原液組成物を供給した後に、上面材を下面材の上方に供給すると共に、上面材を上方から押え付ける工程を有し、この工程の後に、前記幅方向両端部を上方に持ち上げる工程が行なわれることが好ましい。
【0011】
上面材を上方から押え付けることにより、原液供給部から供給された発泡原液組成物をまず均一になるようにならすことができる。この押え付け工程の後に、幅方向両端部を上方に持ち上げることで、さらに均一になるように発泡原液組成物を供給することができる。
【0012】
上記課題を解決するため本発明に係るサンドイッチパネル製造設備は、
搬送される帯状の下面材と帯状の上面材の間に発泡性樹脂芯材の発泡原液組成物を供給するための原液供給部と、
原液供給部の搬送下流側に設けられ、発泡原液組成物を供給した後に、帯状下面材の裏面側の幅方向両端部を上方に持ち上げるための持ち上げ手段と、
供給された発泡原液組成物の発泡処理を行いながら下面材及び上面材を搬送するための発泡搬送部と、を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
かかる構成によるサンドイッチパネル製造設備の作用・効果は、既に述べた通りであり、持ち上げ手段により、幅方向両端部の発泡原液組成物を中央側に戻すような力を作用させ、厚みが均一になる方向に発泡原液組成物を移動させることができる。
【0014】
本発明に係る持ち上げ手段は、搬送方向に平行に配置される棒部材であることが好ましい。
【0015】
かかる棒部材を配置することで、この棒部材の長さにわたって幅方向両端部を上方に持ち上げることができる。従って、簡素な構成により持ち上げ手段を構成することができる。
【0016】
本発明に係る前記棒部材は、断面円形であることが好ましい。これにより、コストを抑制しながら持ち上げ手段を構成することができる。
【0017】
本発明に係る前記棒部材は、断面三角形であり、幅方向外側に行くほど上方に持ち上がるように配置されることが好ましい。かかる部材もコストを抑制しながら持ち上げ手段を構成することができる。また、断面三角形にすることで、幅方向外側にいくほど徐々に上方に持ち上がった状態で帯状下面材を搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係るサンドイッチパネル製造設備の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、サンドイッチパネル製造設備を模式的に示す側面図である。かかるサンドイッチパネル(以下、パネルと省略)は、例えば、建築用の壁材として用いられる。
【0019】
<製造設備の構成>
図1に示すように、上面材1と下面材2は、同じ材質であり、例えば、紙(クラフト紙や樹脂カニネート紙など)やアルミ箔などの軟質材料、あるいは、鋼板が使用される。上面材1は、相対的に上方に位置するロール10に巻き取られている。下面材2は、相対的に下方に位置するロール11に巻き取られている。ロール10,11は、不図示の繰り出し装置により夫々所定の軸芯周りに回転駆動される。これにより、各ロール10,11から帯状に上面材1と下面材2が繰り出されていく。
【0020】
ミキシングヘッド12(原液供給部に相当)は、上面材1と下面材2の間に発泡原液組成物を供給する。より具体的には、搬送される帯状の下面材2の上に、ポリイソシアネート成分と、ポリオール化合物、発泡剤などを含むポリオール組成物とを混合した発泡原液組成物が、下面材1の面上に幅方向に均一な原液厚さになるように吐出される。
【0021】
下面材2のみが注入台16において予熱され、ニップローラ13を通過したのち、発泡が徐々に進行し、ダブルコンベア14(発泡搬送部に相当)により搬送される。製造された帯状のパネルPは、裁断装置15において裁断された後、集積部17において集積される。裁断装置15は、パネルを幅方向(搬送方向に直交する方向)に裁断する。
【0022】
図2は、サンドイッチパネル製造設備の主要部を示す斜視図である。図3は、主要部の構成を示す平面図である。図4は、主要部の幅方向の断面構造を示す図である。
【0023】
図2に示すように、ミキシングヘッド12から下面材2の上に発泡原液組成物が供給される。図示はしていないが、実際にはミキシングヘッド12は、下面材2の幅方向に沿って往復移動するように構成されており、これにより、できるだけ均一に発泡原液組成物を塗布できるようにしている。ミキシングヘッド12は、ニップローラ13よりも上流側に配置されており、塗布された発泡原液組成物は、このニップローラ13によりならされて均一な厚みを実現できるようにする。上面材1は、このニップローラ13によりガイドされる形で供給されており、また、ニップローラ13により上面材1の上方を押え付けるような構成になっている。
【0024】
ダブルコンベア14は、多数のスラット14aを無端チェーンにより連結したコンベア装置であり、サンドイッチパネルを上下方向から挟む形で、上面材1及び下面材2を搬送する。また、図示はしていないが、サンドイッチパネルの幅方向にも幅方向端部を押え付けるためのコンベア装置が設けられる。ニップローラ13の位置からダブルコンベア14の位置にかけて徐々に発泡が進行するため、上面材1と下面材2の間隔(厚み)も少しずつ厚くなっている。
【0025】
さらに、ニップローラ13の位置とダブルコンベア14の位置の間の搬送工程において、サンドイッチパネルの幅方向両端部を上方に持ち上げるための持ち上げ手段が配置されている。持ち上げ手段は、サンドイッチパネルの幅方向両端部に配置され、具体的には図3及び図4に示すように、面材が搬送される方向と平行に、第1棒部材20と第2棒部材21により構成される。第1・第2棒部材20,21は、断面円形の金属棒であり、幅方向外側の第1棒部材20の方が大径になっている。これにより、下面材2は幅方向外側になるほど上方に持ち上がるように変形される。
【0026】
例えば、1100mm幅が塗布幅の寸法であるとすれば、幅方向端部から100mm内側の位置にφ3mmの第2棒部材21を配置し、幅方向端部から50mm内側の位置にφ5mmの第1棒部材20を配置する。
【0027】
なお、これら棒部材20,21は、ニップローラ30の下流側でかつダブルコンベア14の入口部までの領域にわたって配置される。ミキシングヘッド12によりできるだけ均一な厚みになるように発泡原液組成物を供給し、ニップローラ13による押え付けで均一な厚みのサンドイッチパネルが得られるようにしているが、それでも幅方向両端部においては中央部に比べると厚みが薄くなりがちである。そこで、上記の持ち上げ手段により、幅方向両端部の発泡原液組成物は、中央側に戻されようとする力が作用する。このような力を作用させることで、特に、棒部材20,21が配置される領域よりも内側の領域において、厚みが均一になる方向に発泡原液組成物を移動させることができる。
【0028】
図4において、棒部材は片方の端部に2つ配置しているが、これは1つにしてもよいし、3つ以上にしてもよい。図4において、第1棒部材20と第2棒部材21の径を同じにし、その軸中心の高さを変えて取り付けてもよい。また、製造されるサンドイッチパネルの厚みなどに応じて幅方向両端部の持ち上げ量Aや、持ち上げ領域B(図4参照)を設定することができる。下面材2を持ち上げることで、上面材1の両端部も同様に持ち上がることになる。
【0029】
本発明によれば、ミキシングヘッド12から下面材2の上面に供給された発泡原液組成物は、ニップローラ30により均一な状態になるようにならされた後、さらに、持ち上げ手段の機能により、サンドイッチパネルの幅方向にわたってできるだけ均一な状態に発泡原液組成物が塗布されるような状態にされる。かかる状態を保持したままダブルコンベア14により発泡処理が行われつつ搬送される。
【0030】
なお、持ち上げ手段である第1・第2棒部材20,21を配置するのは、上記のごとくダブルコンベア14の手前までである。これは硬化が進んだ場所にまで持ち上げ手段を配置すると、第1・第2棒部材20,21の跡が筋になって外観に現れてしまい、外観品質を低下させる恐れがあるからである。
【0031】
図5(a)は、本発明による持ち上げ手段がない状態で製造したサンドイッチパネルの断面形状を示し、(b)は持ち上げ手段を儲けた状態で製造したサンドイッチパネルの断面形状を示す。ここで有効幅をWで示しているが、持ち上げ手段を設けることで有効幅を大きくすることができ、材料の無駄を抑制することができる。
【0032】
具体的な例を示すと、90mmの厚みのサンドイッチパネルを製造する場合、厚みの規格は90±2mmである。持ち上げ手段を設けない場合、有効幅Wは800mmであったが、持ち上げ手段を設けることで950mmにすることができた。
【0033】
<別実施形態>
持ち上げ手段として、図6に示すような楔状の棒部材22を用いてもよい。楔状にすることで、幅方向外側にいくほど幅方向両端部を上方に持ち上げることができる。なお、楔状に形成した場合、下面材2との接触面積が大きくなるため、棒部材22そのものを加熱する機構を設けたり、熱を伝えやすい材質で形成することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】サンドイッチパネル製造設備を模式的に示す側面図
【図2】サンドイッチパネル製造設備の主要部を示す斜視図
【図3】主要部の構成を示す平面図
【図4】主要部の幅方向の断面構造を示す図
【図5】本発明による構成の利点を説明する図
【図6】持ち上げ手段の別実施形態を示す図
【符号の説明】
【0035】
1 上面材
2 下面材
12 ミキシングヘッド
13 ニップローラ
14 ダブルコンベア
16 注入台
20 第1棒部材
21 第2棒部材
22 棒部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下両面に対向配置された面材間に発泡性樹脂芯材が発泡成形されてなる帯状のサンドイッチパネルを製造するためのサンドイッチパネル製造方法であって、
搬送される帯状の下面材と帯状の上面材の間に発泡性樹脂芯材の発泡原液組成物を供給する工程と、
発泡原液組成物を供給した後、帯状下面材の裏面側の幅方向両端部を上方に持ち上げる工程と、
供給された発泡原液組成物の発泡処理を行いながら下面材及び上面材を搬送する工程と、を有することを特徴とするサンドイッチパネル製造方法。
【請求項2】
発泡原液組成物を供給した後に、上面材を下面材の上方に供給すると共に、上面材を上方から押え付ける工程を有し、この工程の後に、前記幅方向両端部を上方に持ち上げる工程が行なわれることを特徴とする請求項1に記載のサンドイッチパネル製造方法。
【請求項3】
上下両面に対向配置された面材間に発泡性樹脂芯材が発泡成形されてなる帯状のサンドイッチパネルを製造するためのサンドイッチパネル製造設備であって、
搬送される帯状の下面材と帯状の上面材の間に発泡性樹脂芯材の発泡原液組成物を供給するための原液供給部と、
原液供給部の搬送下流側に設けられ、発泡原液組成物を供給した後に、帯状下面材の裏面側の幅方向両端部を上方に持ち上げるための持ち上げ手段と、
供給された発泡原液組成物の発泡処理を行いながら下面材及び上面材を搬送するための発泡搬送部と、を備えたことを特徴とするサンドイッチパネル製造設備。
【請求項4】
前記持ち上げ手段は、搬送方向に平行に配置される棒部材であることを特徴とする請求項3に記載のサンドイッチパネル製造設備。
【請求項5】
前記棒部材は、断面円形であることを特徴とする請求項4に記載のサンドイッチパネル製造設備。
【請求項6】
前記棒部材は、断面三角形であり、幅方向外側に行くほど上方に持ち上がるように配置されることを特徴とする請求項4に記載のサンドイッチパネル製造設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−6565(P2009−6565A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169527(P2007−169527)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】