サンプリングされた光信号の監視のための方法および装置
光信号を監視することは、サンプル集合を取り出すために2つまたはそれより多くの異なるタップ点から光信号をサンプリングすることを含む。複数のそのようなサンプル集合は、時間経過とともに得られる。光信号品質を示すために、サンプル集合の同時確率分布またはサンプル集合の位相図が評価される。タップの識別は、偏光であることが可能で、例えば、OSNRまたは周波数を決定することである。タップの弁別は時間遅延であることが可能で、これによりOSNR、分散、PMD、ジッタ、Qなど複数の減損間の診断的弁別が可能である。機械学習アルゴリズムは、特に位相図内のサンプル密度の二次元ヒストグラムが与えられた場合、そのような診断に特に適している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号監視に関するものであり、具体的には、光信号品質情報を取り出すサンプリング技術に関するものである。
【0002】
本出願は、2005年10月13日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2005905668号、2006年3月3日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2006901088号、および2006年10月5日に出願されたオーストラリア仮特許出願の優先権を主張し、引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
光信号監視は、特に高密度波長分割多重(DWDM)光通信システムにおいて、次第に重要なものになりつつある。信号監視を推し進める主な要因は、伝送される信号の変化を識別すること、隠れている障害の原因と場所について診断すること、同調可能な要素の性能を最適化すること、およびビット誤り率(BER)を推定することである。
【0004】
現在、光信号モニタには2つのクラスがある、すなわち、周波数領域モニタと時間領域モニタの2つである。周波数領域の方法では、信号のスペクトル成分を分析する。これらの方法では、時間について信号を平均するので、信号の歪みに関する情報はほとんど、あるいは全く含まれない。光スペクトラムアナライザは、周波数領域監視用のデバイスの一実施例である。
【0005】
時間領域信号監視技術では、非同期または同期に関係なく、波形をサンプリングする。このような時間領域技術は、信号の歪みおよび雑音に敏感である。
【0006】
同期時間領域技術では、サンプリングが信号ビットレートと同期できるように信号からクロック信号を抽出する必要がある。このような技術は、アイダイアグラム(サンプル振幅対時間のプロットである)、およびQファクタモニタを出力するサンプリングオシロスコープを含む。同期波形モニタ(リアルタイム方式とインターリーブ方式のいずれも、デジタルサンプリングオシロスコープとも呼ばれる)は、光波形のアイパターンを測定する試験および測定デバイスである。しかし、同期技術は、サンプリング時間とビット列とを整合させるために信号クロックへのアクセスに依存している。実験室の設定では、データソースにアクセスできるので、クロックは容易に利用可能である。当分野では、クロックは、クロック抽出回路を使用して、データから回復されなければならない。クロック抽出は、費用の増大を伴うだけでなく、典型的なクロック抽出回路は、限られた範囲のビットレートおよびフォーマットでしか動作しない。サンプル密度対サンプル振幅のヒストグラムが得られる他のタイプの同期サンプリング技術が、米国特許第6,904,237号明細書に記載されている。
【0007】
対照的に、非同期ヒストグラムなどの非同期サンプリング技術は、クロック抽出回路を必要としないため、安価に実装することができるとともに、ビットレートに対し透過的である。サンプル密度対サンプル振幅のヒストグラムが得られる非同期時間領域サンプリング技術が、米国特許第6,836,620号明細書に記載されている。
【0008】
このような非同期および同期ヒストグラムの形状は、信号が劣化すると変化し、これまでに、これらの変化とさまざまな劣化のメカニズムとの相関を求める多大な努力がなされてきた。しかし、劣化のメカニズムを区別することは、特にそのようなメカニズムが同時に働くときに困難である。なぜならば、さまざまな劣化のメカニズムが、ヒストグラムの形状に類似の変化を引き起こすからである。
【0009】
文書、活動、材料、デバイス、物品、または本明細書に含まれているようなものに関する説明は、本発明の文脈を明らかにすることのみを目的としている。これらのものはどれも、またはすべて、従来技術ベースの一部をなすか、または本出願の各請求項の優先日よりも前に存在していたため本発明に関係する分野において公知事実であった、と認めるものとして解釈すべきではない。
【0010】
本明細書全体を通して、単語「含む」、「備える」は、述べられた要素、完全体もしくはステップ、または要素、完全体、もしくはステップのグループを包含し、他の要素、完全体もしくはステップ、または要素、完全体、もしくはステップのグループを除外しないことを意図しているものと理解される。
【特許文献1】米国特許第6,904,237号明細書
【特許文献2】米国特許第6,836,620号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、第1の態様により、光信号を監視する方法を実現し、この方法は、
サンプル集合を取り出すために、光信号から別個のサンプルを取り出すために構成した少なくとも2つのタップ点から光信号をサンプリングすることと、
時間の経過とともに複数のこのようなサンプル集合を取り出すことと、
光信号品質を示すためにサンプル集合の分布を評価することを含む。
【0012】
本発明は、第2の態様により、光信号モニタを実現し、これは、
光信号から別個のサンプルを取り出すために構成した少なくとも2つのタップ点からのサンプル集合をサンプリングするとともに、時間の経過に伴って複数のそのようなサンプル集合を光信号から取り出すマルチタップサンプラーと、
サンプル集合の分布の表現を構築するためのプロセッサとを備える。
【課題を解決するための手段】
【0013】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つのタップ点は、別個の光スペクトル位置からサンプルを取り出すために構成する。例えば、光信号は、2つの成分に分割することができ、第1の成分は第1の通過帯域を有する第1の光学フィルタを通過し、第2の成分は第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2の光学フィルタを通過する。例えば、第1の通過帯域は、実質的に光信号の下側バンド端の中心に置くことができ、第2の通過帯域は、実質的に光信号の上側バンド端の中心に置くことができる。
【0014】
それに加えて、またはそれとは別に、本発明の他の実施形態では、少なくとも2つのタップ点は、光信号の別個の偏光成分からサンプルを取り出すために構成する。例えば、光信号は、2つの成分に分割することができ、第1の成分は第1の偏光配向を有する第1の偏光子を通過し、第2の成分は第1の偏光配向と異なる第2の偏光配向を有する第2の偏光子を通過する。例えば、第1の偏光配向および第2の偏光配向は、実質的に45度、または実質的に90度異なる。それに加えて、またはそれとは別に、光信号は、偏光ビームスプリッタにより2つの成分に分割できる。好ましくは、2つの成分のサンプルは、同時確率分布または散布図として示される。ASK変調光信号の場合、同時確率分布図の長軸は、好ましくは決定され、OSNR測定結果は、短軸の幅または標準偏差から直接得られる。PSK変調光信号の場合、OSNR測定結果は、好ましくは、長軸の標準偏差と短軸の標準偏差の両方から求められる。
【0015】
本発明のさらに他の実施形態では、少なくとも2つのタップ点は、それに加えて、またはそれとは別に、はっきり区別できる電気的スペクトル位置からサンプルを取り出すために構成する。例えば、光信号は、電気レシーバにより検出されるとともに、電気レシーバの出力は、第1の通過帯域を有する第1の電気的フィルタおよび第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2の電気的フィルタに渡される。第1の通過帯域は、データレートに対応する周波数を中心とし、1と0を交互に繰り返すデータ系列は、第1の電気的フィルタ出力からサンプルを抽出する第1のタップ点により検出できる。第2の通過帯域は、低周波数を中心とし、連続する複数の1と連続する複数の0からなるデータ系列は、第2の電気的フィルタ出力からサンプルを抽出する第2のタップ点により検出できる。他の実施例では、電気的フィルタは、同じ中心周波数を有するが、異なる帯域幅を有する。
【0016】
光信号品質を示すためにサンプル集合の分布を評価することは、サンプル集合を二次元、三次元またはそれ以上の次元の「散布図」、または「位相図」としてプロットするとともに、散布図の特徴を視覚的に評価することを含む。それに加えて、またはそれとは別に、サンプル集合は、同時確率密度関数またはヒストグラムの中に組み込まれる。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、光サンプリングが提供される。例えば、光サンプリングパルスは、複数の光タップ点のそれぞれにおいて得られた光信号の成分と光混合できる。この光混合は、光ANDゲートにより実行される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、サンプル集合の分布の評価は、機械学習アルゴリズムの使用を含む。このような実施形態は、得られた多数のサンプル集合を効率よく処理するのに特に有効である。機械学習モジュールは、k近傍、決定木、回帰、リッジ回帰、ニューラルネットワーク、および/またはサポートベクターマシン/回帰などのような分類または回帰のための教師有り学習技術に依存する。機械学習モジュールは、線形カーネル、または次数nの多項式のような非線形カーネルを利用することができる。機械学習モジュールは、シミュレーションおよび/または実験測定から得られた訓練集合について訓練される。好ましくは、サンプル集合の分布の機械学習評価は、(例えば、散布図領域を複数の部分領域とみなすとともに、それぞれの部分領域内に出現する多数のサンプル点を決定するためにサンプル密度の多次元ヒストグラムを生成することにより)散布図全体に対するサンプル密度を評価することを含む。部分領域は、好ましくは、均等にサイズ化されたグリッドの要素である。または、部分領域は様々なサイズであり、例えば、最大ビンサイズでは、最大閾値より上にあるすべての点を取り込むのに対して、最小ビンサイズでは、最小閾値より下にあるすべての点を取り込む。グリッド要素サイズは、予測精度を上げるために調整される。グリッド要素サイズは、必要処理能力を低減するために大きくする。例えば、それぞれのタップで単一決定閾値(1ビット分解能)を使用することが可能である。このような実施形態では、機械学習評価にサンプル密度を一因子として組み込むことが有効であると認識される。
【0019】
少なくとも2つのタップ点は、それに加えて、またはそれとは別に、時間的に隔てられた光信号からサンプルを取り出すために構成する。したがって、本発明の第3の態様により、光信号を監視する方法を提供する。この方法は、
サンプル集合を取り出すために少なくとも2つのタップ点(タップ遅延によって時間的に隔てられた光信号からサンプルを取り出すようために構成した少なくとも2つのタップ点)から光信号をサンプリングすることと、
時間の経過とともに複数のサンプル集合を取り出すことと、
サンプル集合の同時確率密度関数を構築することとを含む。
【0020】
本発明は、第4の態様により、
タップ遅延によって時間的に隔てられたサンプルを光信号から取り出すために適応した少なくとも2つのタップ点からのサンプル集合を光信号からサンプリングするとともに、時間の経過とともに複数のそのようなサンプル集合を取り出すマルチタップサンプラーと、
サンプル集合の同時確率密度関数を構成するプロセッサとを備える光信号モニタを提供する。
【0021】
本発明により確率密度関数を構成することは、価値ある監視ツールを提供する。例えば、それぞれのサンプル集合は、タップ遅延によって隔てられた2つのタップ点から得られた2つサンプルx1およびx2を含む場合、x1対x2の確率密度関数の二次元プロットは、2つのサンプリング点の間のタップ遅延、および光信号の特性の両方に依存する形をとる。したがって、光信号の劣化は、確率密度関数の変化を導き、次いで、これは確認され、測定され、および/または特徴付けられる。さらに、異なる劣化のタイプは、確率密度関数に異なる方法で影響を及ぼす可能性があり、このため確率密度関数に対する特別な影響を確認することは、その効果を引き起こす対応する劣化タイプを確認することを可能にし、これにより潜在的に、監視されている光信号に影響を与える複数の劣化のメカニズム間のより正確な診断的識別を可能にする。
【0022】
したがって、本発明は、同期と非同期を問わず、従来のアイパターンに代わって信号の表現を可能にするサンプリング技術を提供する。
【0023】
サンプル集合は、好ましくは、規則的なサンプリング間隔で取り出される。それとは別に、サンプル集合は、不規則な間隔で、またはランダムな間隔で取り出される。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、サンプリング間隔は、監視されている光信号に関して非同期である。このような実施形態では、サンプル集合の非同期的な取り出しにもかかわらず、本発明により確率密度関数が構成されることが認められる。さらに、非同期な監視は、同期技術では必要とされるように、監視された信号からクロック信号をデバイスによって取り出す必要を省くという点で有効である。
【0025】
本発明の代替的実施形態では、(例えば監視されている光信号からサンプリング間隔クロック信号を取り出すことにより)サンプリング間隔を監視されている光信号と同期させることができる。クロック信号の取り出しを含む一方で、そのような同期サンプリングにもかかわらず、本発明に従って確率密度関数を構成することが可能である。さらに、同期サンプリングは、監視されている光信号の選択された部分からサンプルを取り出すために制御される。例えば、サンプルは、光信号のそれぞれのビット周期の実質的な中心から取り出されるか、または隣接するビット周期の中心の間の遷移領域から取り出すことができる。
【0026】
好ましくは、監視されている光信号は、リンクを越えた信号伝送の継続とともに本発明の監視が同時に実行できるように光通信リンクからタップされる。
【0027】
少なくとも2つのサンプル点の間のそのタップ遅延またはそれぞれのタップ遅延は、電気的領域において(例えばバッファリングにより)、または光学的領域において(例えば光信号を異なる長さの経路に分割することにより)適用される。
【0028】
そのタップ遅延、またはそれぞれのタップ遅延は、好ましくは調節可能である。そのような実施形態では、監視されている光信号の未知のビットレートを決定するためにそのタップ遅延、またはそれぞれのタップ遅延を調節可能である(例えばビット周期に対するタップ遅延の既知な比率において生じたパターンの情報に基づく。)。それに加えて、またはそれとは別に、そのタップ遅延、またはそれぞれのタップ遅延は、選択された劣化タイプを評価するために、タップ遅延に対するビット周期の希望の比率に対して調節可能である。例えば、そのタップ遅延、またはそれぞれのタップ遅延は、分散を評価するために、ビット周期に対して実質的に等しくなるように調節または設定される。それに加えて、またはそれとは別に、そのタップ遅延、またはそれぞれのタップ遅延は、一次偏波モード分散(PMD)を評価するために、ビット周期の実質的に半分よりも小さくなるように調節または設定される。それに加えて、またはそれとは別に、タップ遅延は、ヒストグラム時系列(またはヒストグラムの時系列)を得るために連続的に調節される。
【0029】
好ましくは、光信号を検出するために使用されるその光レシーバ、またはそれぞれの光レシーバは、光信号の帯域幅と等しいまたはそれより大きいレシーバ帯域幅を有する。高いレシーバ帯域幅は、障害のシグネチャ(分散など)が、潜在的に、波形の高周波成分において明白であるという点で有効である。
【0030】
しかし、代替的実施形態では、レシーバ帯域幅は、信号帯域幅よりも小さい(例えば、信号帯域幅の実質的に1/4程度、あるいは実質的に信号帯域幅の1/4より小さい。)。縮小されたレシーバ帯域は高周波の特徴を失うが、そのような縮小されたレシーバ帯域幅による2点非同期サンプリングには重要な情報があると認識されている。実際、縮小されたレシーバ帯域幅は、低周波メカニズムに注目している場合に高周波劣化メカニズムの分離または除去に役立つ。このような実施形態は、高速レシーバ電子回路のコスト増大を避けるのにさらに有効である。代替的実施形態では、非線形光学素子は、一方または両方の検出器の前へ順に置かれる。非線形素子は、高周波数劣化をより低い周波数に移動する。それにより、低速のレシーバおよび電子回路が利用可能になる。
【0031】
好ましくは、サンプリング間隔は、サンプリングされたデータを取り出すデバイスに関する処理速度要求を低減するために、ビット周期よりも実質的に大きい(例えば、ビット周期よりも数桁ほど大きい)。したがって、データを取り出すそのようなデバイスのコストを減少する。それとは別に、サンプリング間隔は、同期、非同期のいずれも、ビット周期のオーダーである。
【0032】
x1およびx2からなるサンプル集合を取り出す2つのサンプルタップからなる実施形態では、確率密度関数は、二次元で表示される(例えば、x1対x2のプロットによって、(x1−x2)対(x1+x2)のプロットによって、または他の二次元表現を使用することによって)。そのような実施形態は、さらに、サンプル点密度をそのようなプロットの第3の次元として表示することを含むことができる。ここで、第3の次元は、例えば、カラースケール、グレースケール、等尺表現、または他の表現により表される。
【0033】
本発明に従って構成された確率密度関数のこのような二次元または三次元プロットは、人間による観察及び解釈のために表示される。したがって、本発明は、光信号を監視および診断において現場使用のために電子ディスプレイを備える携帯型監視デバイスを提供する。
【0034】
本発明のさらなる実施形態では、3つまたはそれ以上のサンプルからなるサンプル集合を取り出すために、タップ遅延によって隔てられた3つまたはそれ以上のサンプルタップ点が提供される。例えば、3つのこのようなタップ点のタップ遅延分離が、ビット周期のうちのわずかである場合、そのようなサンプル集合の確率密度関数は、光信号の曲率に関する情報を得るために使用される。第1のタップと第2のタップとの分離は、第2のタップと第3のタップの間の分離と異なる。
【0035】
好ましくは、注目する帯域またはチャネルは、サンプリング前に帯域通過フィルタの使用によって選択される。
【0036】
光信号の選択された特性、および/または光信号に作用する劣化メカニズムを調べるために、確率密度関数の代替表現または処理が利用される。
【0037】
本発明のさらなる実施形態は、それに加えて、またはそれとは別に、それぞれのサンプル値出力が1または0のいずれかになるように決定閾値をそれぞれのサンプルに適用する。そのような実施形態は、サンプル値の2値の組み合わせを検出する確率の測定を提供する。例えば、2つのタップ点が使用される場合、そのような実施形態は、(0,0)、(0,1)、(1,0)、または(1,1)のいずれかを検出する確率の測定を提供する。そのような確率のさらなる洞察を得るために、決定閾値のレベルを変化させるとともに/あるいはタップ遅延またはタップ識別を変化させる。
【0038】
さらに、2つのタップ時間遅延非同期サンプリングが実行される場合、そのようないくつかの実施形態は、非同期散布図中のそれぞれの遷移経路に沿った点の密度が、同期的に得られるアイダイアグラム中の対応する遷移の勾配に反比例するという事実を利用することにより同期アイダイアグラムの近似の生成をさらに提供する。
【0039】
第5の態様によれば、本発明は、本発明の第2および/または第4の態様に従って光信号モニタを組み込んだ光通信リンクを提供する。
【0040】
第6の態様により、本発明は光通信リンクを監視する方法を提供する。この方法は、
本発明の第2の態様または第4の態様により複数の光信号モニタを光通信リンクに沿って配置することを含む。
【0041】
本発明の第6の態様の好ましい実施形態では、このリンクに沿って配置されるモニタの出力は、中央の監視場所に返される。例えば、これらのモニタは、再構成可能な光スイッチ内に埋め込むことができる。他のモニタの出力と比較される較正基準を提供するために、1つのモニタはリンクの伝送端、またはその近くに配置される。
【0042】
第7の態様により本発明は、光信号の減損を予測する方法を提供する。この方法は、
時間の経過とともに複数のサンプルを取り出すために、光信号の同期サンプリングを行うことと、
光信号品質を示すためにカーネルベースの機械学習アルゴリズムを適用することにより、サンプル集合の分布を評価することとを含む。
【0043】
第8の態様により本発明は、光信号を監視する方法を提供する。この方法は、
少なくとも2つのタップ点において、光信号から異なる成分を取り出すことと、
ビットレートに近いか、またはビットレートより小さいバンド端を有する光学フィルタで少なくとも1つの光信号成分をフィルタリングすることと、
サンプル集合を取り出すために、少なくとも2つのタップ点から光信号をサンプリングすることと、
時間の経過とともに複数のこのようなサンプル集合を取り出すことと、
光信号品質を示すためにサンプル集合の分布を評価することとを含む。
【0044】
光学フィルタは、好ましくは、ビットレートに実質的等しい、もしくはそれより小さい帯域幅、または光信号帯域幅を有する狭帯域フィルタである。DPSK信号では、フィルタ端はビットレートに等しい。
【0045】
第8の態様の実施形態は、DPSK、NRZ、RZなどのような一部または全てといった可変変調形式の光信号の監視を可能にするために、好ましくは構成される。
【0046】
本発明の第1ないし第8の態様の実施形態は、ゼロ復帰(RZ)または非ゼロ復帰(NRZ)変調信号のような振幅偏移変調(ASK)信号に関して、および/または差動位相偏移変調(DPSK)といった位相偏移変調(PSK)信号に関して適用される。監視されている信号の変調手段は、得られた位相図の特徴的形状に対する参照により決定される。
【0047】
いくつかの実施形態では、本発明は、2005年10月13日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2005905668号、2006年3月3日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2006901088号、および2006年10月5日に出願されたオーストラリア仮特許出願からの優先権の主張と本出願によって、本出願と同時に出願された国際特許協力条約(PCT)出願の技術および開示と併せて適用される。同時出願のPCT出願の内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
ここで、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について記載する。
図1は、本発明に従った2タップ非同期サンプリング光信号モニタの概略である。
図2は、タップ遅延Δτとサンプリング間隔Tsを有する図1のモニタによる光信号のサンプリングを図示している。
図3aないし図3fは、それぞれ図1のモニタの非同期サンプリング技術、同期サンプリングオシロスコープアイダイアグラム、及びシングルタップ非同期サンプルのヒストグラムにおける多重メカニズム劣化の影響の比較を図示している。
図4aおよび図4bは、35dBのOSNRが存在する場合のそれぞれ本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
図5aおよび図5bは、35dBのOSNRおよび160ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
図6aおよび図6bは、35dBのOSNRおよび400ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
図7aおよび図7bは、35dBのOSNRおよび800ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
図8は、1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する分散の影響を図示している。
図9は、ASEが存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する分散の影響を図示している。
図10は、ASEが存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する一次のPMDの影響を図示している。
図11は、1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する帯域内クロストークの影響を図示している。
図12は、同期アイダイアグラムと比較した、本発明のグレースケール密度散布図に対する分散の影響をさらに図示している。
図13は、同期アイダイアグラムと比較した、OSNRのレベルが変化する場合の本発明のグレースケール密度散布図に対する分散の影響を図示している。
図14は、タップ遅延が変化する場合の散布図の形状の変化を図示している。
図15は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタの2つの代替的な実施形態を図示している。
図16は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらなる2つの実施形態を図示している。
図17は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタの他の実施形態を図示している。
図18は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらに他の実施形態を図示している。
図19は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらに他の実施形態を図示している。
図20は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタの他の実施形態を図示している。
図21は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらなる実施形態を図示している。
図22は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタの他の実施形態を図示している。
図23は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらに他の実施形態を図示している。
図24は、劣化を起こさずに図23の回路の決定閾値を変化させる効果を図示している。
図25は、劣化を起こす図23の回路の決定閾値を変化させる効果を図示している。
図26aおよび図26bは、「同期」アイダイアグラムの近似が、非同期に得られた散布図または二次元ヒストグラムから生成される方法を示した図である。
図27は、第3の(縦)軸に対しそれぞれのサンプル集合のサンプリング時間をプロットすることにより第3の次元が生成される、2サンプルのサンプル集合のプロットである。
図28は、減損のない光信号から非同期に得られるサンプル集合の三次元散布図である(それぞれのサンプル集合は3つのタップ点から導かれる)。
図29は、光ネットワーク内の典型的な減損のシミュレーションを図示している。
図30は、図29のシミュレーションにより出力される減損の組み合わせを予測するために、リッジ回帰および線形カーネルを使用した機械学習アルゴリズムを使用した結果を図示している。
図31は、遅延1ビット周期で2つのサンプルタップの出力を使用する線形カーネルの予測精度を図示している。
図32は、遅延1ビット周期で2つのサンプルタップの出力を使用する次数3の多項式カーネルを持つ非線形カーネルの予測精度を図示している。
図33は、それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で5つのサンプルタップの出力を使用する線形カーネルの予測精度を図示している。
図34は、それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で5つのサンプルタップの出力を使用する次数3の多項式カーネルを持つ非線形カーネルの予測精度を図示している。
図35は、同期アイダイアグラムを入力として使用する線形カーネルの予測精度を図示している。
図36は、同期アイダイアグラムを入力として使用する次数3の多項式カーネルである非線形カーネルの予測精度を図示している。
図37Aおよび図37Bは、アイダイアグラムを機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ図示している。
図38Aおよび図38Bは、5タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ図示している。
図39Aおよび図39Bは、2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ図示している。
図40ないし図42は、色分散を診断する際にRZ、NRZ、およびNRZ−DPSK形式を適用した本発明の他の実施形態を示した図である。
図43は、本発明の他の実施形態によるOSNR解析のアーキテクチャを図示している。
図44ないし図47は、図43のアーキテクチャの出力およびOSNR解析技術を図示している。
図48は、光サンプリングを使用する本発明の一実施形態を図示している。
図49および図50は、本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を図示している。
【0049】
図1は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタ100の概略図である。少量の光パワーはDWDM信号からタップされるとともに、監視される光チャネルは同調可能な光学フィルタ110により選択されて、その後、高速レシーバ120により検出される。レシーバ出力は2タップ遅延ラインを通過するとともに、デュアルチャネルA/Dサンプラー130により非同期的にサンプリングされ、その後、サンプルペア(x1,n,x2,n)がそのような多数のサンプル集合の確率密度関数を構成するためのプロセッサ140に渡される。x(t)が、光学的に逆多重化されたチャネルを表す場合、サンプルペアは以下の式で得られる。
x1,n=x(nTs)
x2,n=x(nTs+Δτ)
ただし、Δτは、タップ間の時間を表し、1/Tsは、サンプリングレートである。図1のモニタ100は、電気的領域においてタップ遅延Δτをもたらすために、光レシーバ120の後ろにある簡単な2タップ遅延ラインの使用によって、本発明の簡単な手段を提供する。
【0050】
図2は、3つのサンプルペア、すなわち(x1,1,x2,1)、(x1,2,x2,2)、および(x1,3,x2,3)が得られたときの図1のモニタ100による光信号のサンプリングのタイミングを図示している。図2の時間スケールはTsに関するスケールと異なり、本発明の実施形態のように、サンプリングレート1/Tsは、ビットレートよりも数桁遅く、サンプルの間には、数千ものビットがあることに留意されたい。サンプリングレート1/Tsはビットレートと無関係であるため、非同期サンプリングが実行される。
【0051】
図2に示されている実施形態では、タップ遅延Δτは、ビット周期のうちのごくわずかであり、実際には、波形の勾配および振幅の近似的基準を与えるものである。タップ遅延Δτは、他の実施形態では、ビット周期の一部分よりも大きい。例えば、タップ遅延Δτは、ビット周期とほぼ等しい。
【0052】
プロセッサ140は、(x1,x2)の二次元ヒストグラムとも呼ばれる、x2対x1の二次元散布図の形式をとる、サンプルペアの確率密度関数を表すヒストグラムを形成する。図3aおよび3dは、サンプルペアの確率密度関数のそのようなプロットを図示している。図3aは、分散(1600ps/nm)、増幅器の自然放出雑音(ASE)(OSNR=31dB)、および一次偏波モード分散(PMD=20ps)を含む劣化源の組み合わせにより歪みを生じる、シミュレートされた10Gbit/sの非ゼロ復帰(NRZ)チャネルの2点非同期サンプリングにより得られた信号を表すものである。タップ遅延Δτは、ビット周期の1/8に設定されている。図3bは、同期サンプリングオシロスコープにより同じ歪み信号から得られたアイダイアグラムを図示しているとともに、図3cは、同じ歪み信号の単一タップサンプリングから得られるヒストグラムを図示している。特に、信号品質(Q値およびタイミングジッタ)の基準は、図3aに示されている破線にそった点の分布の評価から見つけることができ、これにより、本発明は、図3bに示されている破線の評価と似た方法でそのような信号品質の基準を提供する。
【0053】
図3dは、雑音および歪みが無視できるくらい小さい、シミュレートされたクリーンな10Gbit/sのNRZチャネルの非同期サンプリングにより本発明に従って得られたプロットであり、図3eは、同期サンプリングオシロスコープにより同じ明瞭な信号から得られたアイダイアグラムを図示しているとともに、図3fは、同じ明瞭な信号の一次元ヒストグラムを図示している。図3aないし図3dの比較から、本発明により提供された信号の表現に関して説明されている劣化メカニズムの影響がわかる。図3bと図3eとの間、および図3fと図3cとの間について類似の比較を行うことができる。減損の特性は、図3aおよび図3dに示されているサンプルのペアの二次元ヒストグラムを解析することにより調べることができる。図3cおよび図3fに示されているような一次元ヒストグラム技術とは異なり、図3aおよび図3dの二次元ヒストグラムは、パルス形状、特に減損の大きさおよび性質を示す有用なシグネチャを備えることが多い立ち上がり、および立ち下がり領域に関する情報を含む。
【0054】
図3bおよび図3eを生成する既知の同期サンプリングの利点は、ビット誤り率(BER)に直接関係する波形特性の直接的な基準を与えるという点である。特に、同期サンプリング範囲は、ビット周期内の任意のタイムスライスにおける信号振幅のヒストグラムを生成することができる。目の中心におけるヒストグラム基準(図3b内の縦の破線により示されている)は、一般的に使用されるBERの推定値であるQ値を決定するために使用される。対照的に、一次元非同期ヒストグラム内で開いている目に関する情報は、図3cおよび3fに図示されているように遷移領域により隠される。
【0055】
本発明の実施形態は、非同期サンプリングを行う、したがって、目の中心における振幅分布の直接的な基準を与えない一方で、しかし本発明では、類似の情報を与えることができる条件付確率分布の測定を行うことができる。例えば、振幅が類似しているサンプルペアの分布を測定することが可能であり、実際にこれは、図3aの長い破線または長軸に沿って並ぶ点の分布の測定である。時間遅延が小さい場合(つまり、Δτ<1/8ビット周期)、これは、勾配ゼロの領域で波形をサンプリングすることと同等である。これらの領域は、目の中心のところに出現する傾向があるため、この分布は、目の開きの尺度を与えることができる。
【0056】
タイミングジッタまたはゼロ交差時間の分布は、アイダイアグラムから抽出された信号品質のもう1つの共通基準である。類似の情報は、本発明の実施形態から図3a内の短い破線または短軸に沿った点の分布を測定することにより得ることができる。
【0057】
BER推定の有益な適用に加えて、本発明のさらなる実施形態では、異なる減損メカニズム間の診断的識別を行うことができる。図4a、図5a、図6a、および図7aは、監視信号が分散により歪まされる場合に本発明の2タップ非同期サンプリング技術の散布図がどのような影響を受けるかを確認しやすく図示している。図4b、図5b、図6b、および図7bは、同期アイダイアグラムに関して分散により引き起こされる同じ信号歪みの非常に不明瞭な影響を図示している。
【0058】
図4aは、本発明に従って光信号から得られるx2対x1の散布図であり、光信号は35dBのOSNRを有し、分散の影響を被らない。図4の散布図を得る際に、光学的領域においてタップ遅延が生じた。変動する光学遅延の損失問題解消のために、エルビウムドープファイバ増幅器が監視されている光信号のブーストに使用された。次いで、ブーストされた光信号は、3dBのカプラにより2つの経路に沿って等しく分割された。これらの経路の1つは、変動する光遅延ラインの影響を受け、その結果変動するタップ遅延Δτが生じた。他の経路は、減衰され、変動する光遅延の損失と一致した。次いで、2つの光路は、2つの光入力を備えるデジタル通信アナライザ(DCA)によりサンプリングされ、2つのタップのプロットを直接表示できるようにする。DCAは、分離された50MHz信号発生器により非同期にトリガされた。
【0059】
タップ遅延Δτは、図4a、図5a、図6a、および図7aを生成する際に実質的に1ビット周期に等しくなるように設定されていたため、実質的に矩形の散布図は、(0,0)、(0,1)、(1,0)、および(1,1)の正規化されたサンプル集合に対応するその矩形の四隅およびそれらの点の間の可能なすべての遷移にそって同様に出現する非同期サンプルとともに生成される。特に、(0,0)と(1,1)との間の遷移は可能でない。したがって、(0,1)と(1,0)との間の遷移である対角線上の遷移がただ1つ存在する。この対角線上の遷移は、後の図では、Δτが実質的に1ビット周期に等しい場合に分散の重要な識別子であることがわかる。特に、対角線上の遷移の上にサンプルがある場合、これは、010または101のいずれかのビット列の出現を示す。いくつかの減損の下で、これら2つの異なるビット列は、異なる特徴的な立ち上がり時間および立ち下がり時間を有し、これは、対角線上の遷移の分割または拡大により散布図において識別可能である。
【0060】
垂直方向および水平方向のすべての遷移は一方向でのみ可能であるが、(1,0)と(0,1)との間の対角線上の遷移はいずれの方向でも可能であり、したがって、垂直方向および水平方向の遷移のサンプル密度の実質的に2倍となると予想できることに留意されたい。
【0061】
図4bは、図4aを生成するためにサンプリングされたのと同じ光信号により生成される同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムを図示している。
【0062】
図5aは、本発明に従って図4aおよび4bを生成する際に監視されたのと類似の光信号から得られるx2対x1の散布図であり、この信号はここでは160ps/nmの分散の影響を受ける。原点に向かう湾曲の形状の対角線上の遷移の偏差は、すでにある程度明らかである。図5bは、同じ信号の同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムとなっている。図5aとは対照的に、図5bのアイダイアグラムには、分散の診断を可能にする特別な特徴が明らかでない。
【0063】
図6aは、信号がここでは400ps/nmの分散の影響を受けることを除き図4a、図4b、図5a、および図5bを生成する際に監視したのと類似の光信号から本発明に従って得られるx2対x1の散布図である。原点に向かう湾曲の形状の対角線上の遷移の偏差は、次第に明らかになってくる。図6bは、同じ歪んだ信号の同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。図6bのアイダイアグラムは、データの頂点のある種の狭まりとデータの谷の広がりを示す。しかし、この特徴は明らかではない。
【0064】
図7aは、信号がここでは800ps/nmの分散の影響を受けることを除き、図4a、図4b、図5a、図5b、図6a、および図6bを生成するために監視されたものと類似の光信号から本発明により得られるx2対x1の散布図である。原点に向かう湾曲の形状の対角線上の遷移の偏差は、顕著であり、分散が診断される特徴を示す。図7bは、同じ信号の同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。図7bのアイダイアグラムは、さらに、図6bと比較したときのデータの頂点の狭まりおよびデータの谷の広がりを示す。この特徴は分散の診断を可能にする一方で、存在する分散の量を定量化することは困難である。
【0065】
図4ないし図7に示したように、1ビット周期のタップ遅延で得られる散布図により、サンプリングされた光信号の他の特性もさらに解析できることに留意されたい。例えば、頂点(0,1)および/または(1,0)における散らばりの評価は、低い0が低い1に先行するかどうかといった、相関情報が取り出されることを可能にする。
【0066】
減損のタイプおよび大きさの違いに対する非同期モニタの能力を図示しているさらなるシミュレーションは、図8ないし図11に示した。図8および図9は、それぞれ、散布図を並べたものである。図4ないし図7に示したようなx2対x1をプロットするより、むしろ図8および図9のプロットは、(x1−x2)対(x1+x2)であり、点(0,0)及び点(1,1)が、それぞれ水平軸上にプロットされるように図4aの矩形を実質的に回転させて視覚化される。図8および図9のそれぞれの列の散布図は、左から右へ共通タップ遅延をΔτ=1ビット周期、Δτ=1/2ビット周期、Δτ=1/4ビット周期、およびΔτ=1/8ビット周期として得られたものである。散布図のそれぞれの行は、上から下へ0ps/nm、160ps/nm、320ps/nm、480ps/nm、640ps/nm、および800ps/nmの共通の分散量に対する信号の対象から得られる。
【0067】
図8および図9は、図4ないし図7の結果を補足したものであり、(1,0)と(0,1)との間の遷移を示すのに、分散を診断するともに監視するための潜在的特徴である。つまり、分散は、図中の800が示しているように、プロットの原点に向かう湾曲を引き起こすのに、この遷移上の識別可能な特徴を有する。図8の散布図を得るためにサンプリングされた信号は、増幅器の自然放出雑音(ASE)を全く受けていなかったが、(1,0)−(0,1)遷移に対する分散の特徴は、図9で図示され図中の900が示しているように、ASE(OSNR=22dB)の存在下において依然として明白であることに留意することは重要である。対称の度合いなどの他の基準も、同様に有用な際立って顕著な特徴である。
【0068】
図10は、ASE(OSNR=22dB)が存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延に対する(x1−x2)対(x1+x2)のプロットに関する一次PMDの影響を図示する。特に、一次PMDが0から50psまで高まるにつれ、散布図には、1/2ビット周期の、またはそれよりも短いタップ遅延に対し顕著な平坦化が生じる。つまり、散布図の(1,0)領域は、散布図の(0,1)領域と同様に、一次PMDが大きくなると水平軸に向かって移動する。ここでもまた、散布図中のこの特徴または他の特徴は、ASEのような他の劣化メカニズムが存在している場合でも、一次PMDの診断に役立つ。
【0069】
図11は、1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延に対する(x1−x2)対(x1+x2)のプロットへの帯域内クロストークの影響を図示している。二次元プロットの視覚的観察は、帯域内クロストークがASEと似た影響を有することを示す。したがって、帯域内クロストークは、分散または一次PMDとして誤診断される可能性はない。図11の二次元プロットから帯域内クロストークとASEとを識別することは、難しい場合がある一方で、複数のサンプルペアからさらに情報を抽出するのは役立つ場合がある。例えば、サンプル密度が第3の次元としてプロットされる三次元散布図が構成される。
【0070】
図12は、本発明の散布図および同期アイダイアグラムに対する分散の影響についてさらなる比較を提供する。上側の4つの密度ヒストグラムは、図4a、図5a、図6a、および図7aと同じサンプルデータから、つまりΔτ=1ビット周期として10Gbit/s NRZ変調データの2タップサンプリングから得られたものである。したがって、図12の密度ヒストグラムは、図4a、図5a、図6a、および図7aの散布図の代替的な表現を提供する。図12の下側の4つのプロットはそれぞれ、上のそれぞれの密度ヒストグラムと同じ信号から得られた同期アイダイアグラムである。左から右へそれぞれの列において、密度ヒストグラムおよび同期アイダイアグラムを得るためにサンプリングされた信号は、それぞれ、0ps/nm、160ps/nm、400ps/nm、および800ps/nmの分散レベルによるものである。特に、それぞれのヒストグラムの左下隅の三角形は、対角線上の遷移が原点に向かって湾曲するため、分散の度合いを増すにつれて著しい「閉鎖」を受ける。その一方で、アイダイアグラムに対するそのような分散の影響は、かろうじて識別できる程度である。
【0071】
図13は、同期アイダイアグラムと比較した、OSNRのレベルが変化する場合の本発明の密度ヒストグラムに対する分散の影響を図示する。図13のすべての密度ヒストグラムおよびアイダイアグラムは、800ps/nmの純分散を有する10Gbit/s NRZ変調データから得られた。左から右へ、それぞれの列内で密度ヒストグラムおよび同期アイダイアグラムを得るためにサンプリングされた信号は、それぞれ、25dB、30dB、および35dBのOSNRを有した。再び、2タップヒストグラムにおける分散の典型的な特徴、つまり、原点に向かう対角線上の遷移の湾曲は、OSNRの悪条件の下であってもそのままはっきり識別できる。もう一度、それに対して、アイダイアグラムはデータの頂点の狭まりとベースの広がりを示しているが、存在する分散の量を定量化するには不十分な情報しか提供されない。
【0072】
調節可能な遅延Δτを組み込むことにより、追加の自由度を得ることができる。例えば、図8および図9は、遅延Δτが1ビット周期に等しい場合に分散の特徴が最もよく見られることを示唆するのに対して、図10は、遅延が1/4ビット周期以下である場合に一次PMDに対するシグネチャが最もよく見られることを示している。したがって、調節可能な遅延Δτの追加の自由度は、複合した劣化の源を分離し、個別に診断するうえで役立つ。
【0073】
図14は、非減損信号に対する、タップ遅延の変化に伴う散布図の形状の変化を図示している。図14には、それぞれの各タップ遅延Δt=B/8、B/4、B/2、7B/8、15B/16、B、17B/16、9B/8、3B/2、7B/4、15B/8、および2Bについて散布図が示されている。ただし、Bはビットレートである。再び、ちょうど1ビットの遅延(Δt=B)については、一意的なパターンが形成されることに留意されたい。したがって、この一意的なパターンの形成は、タップ遅延がビットレートに等しいことを確認するのに利用できる。そのため、タップ遅延を知ることにより、ビットレートの診断判定が可能になる。特に、2ビットのタップ遅延(Δt=2B)に対するパターンと、1ビットに等しいタップ遅延に対するパターンとでは、前者は両方の診断遷移を有するが、後者は1つの診断遷移しか有しないという点で異なる。Δt=15B/16および17B/16の散布図を見るとわかるように、タップ遅延が1ビット周期からわずかでも変動すると、対角線上の遷移の縮退の損失が生じ、2つの分離した曲線が生じる。
【0074】
B/2未満の遅延の場合、これらのプロットは、それぞれのビット内におけるパワーの展開の典型である。波形は、0→1の遷移に対しては下側曲線にそって大きくなり、1→0の遷移に対しては上側曲線にそって後退する。
【0075】
先行する実施形態は、2つのサンプルタップを処理するモニタとの関係によって記載されている一方で、本発明の代替的実施形態は、使用するタップ数を増やすことにより、波形、および波形の歪みに関するさらに多くの情報を抽出できることに留意されたい。例えば、3つのタップは、湾曲の分布に関する情報を与えることができた。
【0076】
したがって、本発明は、劣化タイプの診断的識別を可能にすることができる(ASE対分散対PMD対帯域内クロストークなど)。これは、光ネットワークの分野では重要な機能であり、多経路光ネットワークが次第に高度なものになってゆくにつれ価値が高まる可能性がある。
【0077】
これらの好ましい実施形態の上記の説明、および添付の図1ないし図14は、タップ間に時間遅延がある2タップサンプリングに関係する一方で、本発明の他の実施形態は代替的な方法で互いから区別されるタップ点を利用することが認識される。例えば、信号の光学的および/または電気的な前処理の範囲は、タップ点をサンプリングする前に実行される。
【0078】
図15は、光通信システムから得られた光信号が2つのアームに分割され、そのアームの1つは光学的領域(上側概略図)または電気的領域(下側概略図)のいずれかにおいて時間遅延を受ける、2つの代替的な実装を図示している。アームは両方とも、光検出器により光学的領域から電気的領域に変換され、後に処理のためADCによりデジタル化される。
【0079】
図16は、それぞれのアームが異なる光学フィルタによる光学フィルタリングを受ける本発明のさらなる実施形態を図示している。もう一度、アームの1つは、光学的領域(上側概略図)または電気的領域(下側概略図)のいずれかにおいて、時間遅延を受ける。これら2つのフィルタは、明確な特性(例えば、異なる中心周波数)を持つとともに、そのような実施形態では、時間遅延Δτはゼロに設定される。
【0080】
図17では、電気的フィルタは、光検出器の後に配置され、A/Dサンプリングに先行する。それぞれのアーム内の電気的フィルタは異なる特性を持つ(例えば、これらは異なる中心周波数を有する狭帯域通過フィルタである)。再び、この場合、タップ時間遅延は、Δτ=0のオプションを含む。図18は、図15ないし図17の特徴を単一アーキテクチャにまとめたものであり、それぞれのアーム内で光学的および電気的処理の両方が可能である。再び、時間遅延は、光学的領域または電気的領域のいずれかに負担させることが可能であった。図16および/または図18の光学フィルタは、異なる中心周波数を持つ狭帯域光学フィルタとすることが可能であった。
【0081】
さらになお他の実施形態では、偏光素子が光遅延ラインの一方のアームまたは両方のアームに配置される。
【0082】
図19は、単一の光検出器のみが要求されるさらに他のアーキテクチャを図示しており、分割は電気的領域内で行われ、時間遅延は分割された電線のアームに負担される。図20は、デジタル化を実行する前に電気的領域内にRFフィルタを入れることにより図19を拡張したアーキテクチャを示す概略図である。
【0083】
図21は、単一の光検出器のみが必要とされ、さらに単一のADCのみが必要とされる、さらに他の実施形態を示している。次いで、ADCのデジタル出力は、2つのラインに分割され、1つはデジタル信号のサンプリングオフセットにより実現され、時間遅延を受ける。図22は、一方または両方のデジタルストリームのデジタル信号処理を提供することにより図22を拡張したアーキテクチャを示している。
【0084】
図23は、それぞれのサンプルを得るために(複数の)ADCが使用されない代わりに閾値化が適用される図21および図22に関する他の変更形態を示している。このような回路で観察されるのは、(0,0)、(0,1)、(1,0)、または(1,0)のサンプル集合を検出する相対的確率である。異なる閾値レベルおよび/または異なる時間遅延Δτについてこれらの確率を測定することが好ましい。図24および図25は、劣化を被らない光信号をサンプリングするときに(図24)、または640ps/nmの分散を被る光信号をサンプリングするときに(図25)、図23の回路内の決定閾値を変化させる効果を示している。図24aは、対応する2タップ非同期散布図を示しているとともに、図24dは、対応する同期アイダイアグラムを示している。図24b、図24c、図24e、および図24fは、サンプルペア(0,0)、(1,0)、(0,1)、(1,1)をそれぞれ測定する確率を示している。
【0085】
ここで、本発明の他の実施形態について、図40ないし図42を参照しながら説明する。実用性のある全光ネットワーキングの実装には、同じファイバ上で複数の変調形式を伝送できる複雑なDWDMシステムを適切に管理可能にするために、費用効果の高い、しかも柔軟な監視が要求される。非ゼロ復帰(NRZ)およびゼロ復帰(RZ)などの振幅偏移変調(ASK)形式は、すでに現在のDWDMシステムにおいて遍在しており、差動位相偏移変調(DPSK)などの位相変調形式は、ロバスト性が高まるため、回線速度が10Gbit/sから40Gbit/sになるとより一般的なものとなる。理想的には、光学的監視は、これらの形式すべてに対応できなければならない。さらに複雑な要求に対し、クロック抽出を邪魔する、色分散が等化される可能性のないネットワーク内のさまざまな地点(例えば、再構成可能型光アド・ドロップマルチプレクサ(ROADM:Reconfigurable Optical Add Drop Multiplexers)においても同様に監視が必要になる。
【0086】
DPSK変調の検出のために、狭帯域光学フィルタリングが、干渉計レシーバの代わりとして提案される。幸い、このフィルタリングは、ネットワークを通して複数の変調形式を監視する費用効果の高い手段を同様に提供する。DPSKに使用される光学フィルタは、Hz単位のほぼビットレートに等しい帯域幅(例えば、10Gbit/sは、10GHzの3dB帯域幅)を必要とする。しかし、同じデータ転送速度のASK信号は、より広いスペクトル成分を持つため、フィルタリングにより歪みが生じる。
【0087】
この実施形態では、狭帯域フィルタリングは、非同期遅延タップ技術と組み合わされ、複数の変調形式とともに動作できる柔軟でクロックを必要としないモニタを提供する。図40ないし図42の狭帯域フィルタ手法を評価するために、ここで、10Gbit/sのNRZ、RZ、およびNRZ-DPSK形式に対するモニタ信号を異なるレベルの色分散と実験的に比較する。この比較は、同様に、好適なフィルタの使用により、40Gbit/sに合わせてスケーリングすることができる。
【0088】
図40ないし図42の実施形態の変調形式の生成に関して、単一の10Gbit/sチャネルが比較に使用されており、223−1のPRBSを使用している。NRZおよび50%のデューティサイクルRZは、適切にバイアスされたMZ変調器のペアにより生成された。NRZ−DPSKは、遷移と遷移との間で要求されたπ位相シフトを与えるようにバイアスされた分離型強度変調MZ変調器から生成された。このようにしてDPSKを生成することで、駆動条件が最適に達しない条件である場合に、位相変調器に出現するチャープ生成の問題を回避する。その後、変調されたチャネルは、色分散を加えるためにさまざまな長さの単一モードファイバに通された。全体的損失は、光減衰器により一定に保たれた。これらの3つの形式はすべて、10GHzの3dB帯域幅を有するファブリー・ペロー光学フィルタ、および15GHzの帯域幅を有する電気的増幅ピンフォトダイオードからなる同じレシーバ構成により監視された。3dBのRFパワースプリッタおよび遅延ラインは、1ビット(100ps)遅延を有する2つの電気的信号をデジタル通信アナライザに提供するために使用され、標準のアイダイアグラムを生成するために1つの信号を同期的に、または二次元「位相図」を生成するために両方の信号を非同期的にサンプリングした。
【0089】
変調形式の比較は図40に図示されており、これは、25kmずつ、分散が単一モードファイバの0kmから100kmまで増やされたときのアイダイアグラムおよび対応する位相図の両方を示している。50kmを超えると、RZは劣化が極端になるためあまり重要でなくなる。代わりに、比較のため、分散がなく非常に広い70GHz光学フィルタを通したRZおよびNRZの挿入図を示す。
【0090】
監視の意味:図40ないし図42の位相図は、3つの変調形式間の際だった差を示しており、変調形式を認識する潜在性を強調している。それぞれの形式において、これらの図は、同様に、分散の増大とともに生じる特徴的であるが異なる変化を示している。例えば、先のNRZの対角線上の湾曲は、図8および図9に関係して(例えば、色分散の直接的基準を有するものとして)示されている。図41は、より小さい範囲の応答であるが、広帯域光学的70GHz逆多重化フィルタと同様に、この関係がそのまま、10GHzを中心とする狭帯域フィルタで成立することを示している。同様に、RZ位相図は、光広帯域幅についても指摘されているのと同様に最終的に箱型の形態をとる左下隅の分割を示している。遅延タップ技術のパワーは、NRZ−DPSKのプロットにおいて特に明らかである。分散が増大するにつれ、標準アイダイアグラムの交差部分の勾配変化は、NRZ−DPSK相図内で明らかな特徴、特に対角線上の逆になった湾曲、および位相図の下側および左側の消失に比べてかなり検出が難しい。
【0091】
遅延干渉計の代わりに狭帯域フィルタを使用することでDPSKレシーバは異なる性能を備えるが、しかしこれは、監視目的に関して重要な問題ではないことに留意されたい。図40cからわかるように、狭帯域フィルタリングのあるNRZ−DPSKの目は、最初に、劣化が始まる前に増大する分散とともに改善される。その効果は、これまでDPSK伝送の到達範囲を広げるために使用されてきた。逆に、干渉計レシーバおよびより広い光学フィルタを使用するDPSKは、図42からわかるように、増大する分散とともに連続的に劣化する。しかし、図40cの位相図における違いは、この効果が、従来の較正でも説明できることを示している。
【0092】
図40ないし図42に示されている結果は、10Gbit/sで測定された。しかし、同じ傾向は、40Gbit/sで適用されるが、分散の限界は比較的強い。さらに、対応する40GHzフィルタについて、任意の形式または最大40Gbit/sまでのビットレートのASK信号は、この技術を使用してこれらの信号が効果的に監視されるほど十分な影響を受けないフィルタを通過することに留意されたい。DPSKは複雑であるが、ロバストであるため、これは40Gbit/sの展開に対するより有望な候補となり、したがって、上記のモニタは、10bit/sおよび40Gbit/sの使用されうる変調形式を監視する実用的な単一の手段を提供すると結論される。
【0093】
図40ないし図42の実施例は、DPSK信号だけでなくRZおよびNRZなどのASK形式に対する同じデータ転送速度を監視するために、非同期遅延タップサンプリング法とビットレートにほぼ等しい幅の狭帯域フィルタとを組み合わせると有効であることを示している。これは、さまざまな変調形式およびビットレートを有するWDMチャネルを含むファイバの管理を可能にする将来の全光ネットワークにおいて重要なものとなる。
【0094】
次に、本発明の他の実施形態によるOSNR解析プロセスについて、図43ないし図47を参照しながら説明する。図43は、ハードウェア構成4300を図示している。パワーPsを有する入力信号4310は、ランダムな未知の角度θで偏光されるとともに、多方向矢印4320により図示されているように無偏光のパワーPASEの増幅器の自然放出雑音(ASE)を伴う。入力分極コントローラは、入力信号4310が偏光ビームスプリッタ(PBS)に通されるとともに、2つのアームに分割される前に使用されることはない。第1のアームは、注目する信号の一部分γPsを伝送するともに、同様にASE信号パワーの半分を伝送する信号4330を伝送する。第2のアームは、注目する信号の一部分(1−γ)Psを含むとともに、同様にASE信号パワーの半分を伝える信号4340を伝送する。
【0095】
その後、2つのアーム内の信号4330および4340は、好適な光検出器により独立に検出されるともに、電気的領域に変換される。この時点で、このアーキテクチャは、参照により本明細書に組み込まれている国際特許出願PCT/AU2006/000560の開示に一部類似している。しかし、本発明の実施形態では、2つの光検出器の出力は、時間の経過とともにサンプル集合を取得するために(サンプル間に時間遅延は課されずに)、本発明により直接的にサンプリングされる。したがって、信号の利得補償および電気的領域減算は、この実施形態では適用されない。
【0096】
その後、2つの検出器出力から得られるサンプル集合の同時確率分布が解析される。図44に示された例示的な同時確率分布の正規化されたプロットは、この実施形態の重要な特徴を与える。図44の同時確率分布の長軸は、データ変調のため受信パワーの変動に対応する。これらの振幅変動は、データ転送速度よりも非常に遅い帯域幅を使用した場合であっても持続する。この長軸は、x軸となす角度θ(レシーバ1)により定められるとともに、信号4310と偏光ビームスプリッタ(PBS)軸との相対的アライメントに対応する。長軸の方向は決定される。
【0097】
その後、短軸の標準偏差(長軸に直交する)σminが計算される。これは、システム内の雑音の直接的な基準である。例えば、雑音がほとんど、またはまったくない場合、図47に図示されているように、このプロットは細い線であるとともに、σminは小さい。雑音が大きい場合、図46に図示されているように、線は太くなる。
【0098】
σminは、角度θに依存して、信号自然ビート雑音からの寄与分、および光増幅器からの自然−自然ビート雑音を含む。同様に、感度を決定する基本的な熱雑音フロアがある。図45のプロットを参照すると、これは、8dBの良くないレベル(最上位の結果)から29dBの良好なOSNRレベル(最低位の結果)までのOSNRについて、σminを対数スケール(dBm単位の雑音フロアに対応する)で角度θに対し図示している。2つのレシーバアームの差は、プロットに示されているように非対称の原因となる。しかし、このような非対称は、較正により除去することが可能である。フロアは、最も信号自然ビート雑音を含むため、45°で最大となる。0°及び90°の角度では、一方のアームまたは他方のアームに信号はないため、確率密度関数の幅σminは、純粋に自然−自然雑音および熱レシーバ雑音である。
【0099】
様々なOSNRに対する曲線の線形オフセットは、角度θと短軸の分散(または標準偏差)σminとの組み合わせが、雑音フロアの位置の一意な決定を与え、これがOSNRを測定するために必要なものであることを明確に示している。図45のプロットのエッジ(0°および90°)において、その結果は、20dB以上のOSNRについては識別不可能となる。これは、この実施例に使用されている電子回路の熱雑音フロアによるものであるとともに、基本的な限界を表すわけではない。図45は、30psのPMDがある場合とない場合のデータを含み、OSNR測定技術がPMDの影響を受けないことを示している。
【0100】
この実施形態をさらに図示するために、図46は、低OSNR、および45°付近の入力偏光回転角度の信号から得られる特定の場合を図示するために用意された二次元ヒストグラムまたは確率密度関数である。同様に、図47は、高OSNR、および0°付近の入力偏光回転角度の特定の場合を例示するために用意された二次元ヒストグラムまたは確率密度関数である。
【0101】
図43に示されたものと類似の他の実施形態は、本発明により提供される。例えば、レシーバは、受け取った光パワーの測定を含むことができるか、またはレシーバは、ACまたはDC結合される。解析される信号が振幅変調ではなく、位相または他の手段を使用して変調される場合、上記の解析は、多少修正する必要があるが、本質的な特徴はそのままである。長軸は、もはや、データ変調によって定められることはないが、より大きく受け取ったパワーを持つアームにより定められる。長軸および短軸の標準偏差の解析は、OSNRを与える。それとは別に、これらのシステムにおける振幅雑音に対する位相は、結果として、通常は、ある程度の振幅リップルが生じるとともに、これが長軸を形成することになる。これらの状況下で、上で提案された短軸解析が行われる。
【0102】
本発明のさらに他の実施形態は、図48に例示されており、全光サンプリングにより実装される2タップ非同期監視を伴う。この実施形態では、超高速光学システム(>100Gb/s)に対し、電気的領域におけるサンプリングにより必要な時間分解能(<1ps)を費用効果のある形で達成することは難しいことと、より実用的な代替的手段は、波形を光サンプリングすることであることが認識される。この技術では、サンプリングパルス源4810からの短い光サンプリングパルスが、信号と混合されるとともに、非線形光ANDゲートに注入される。その出力は、低速レシーバおよび電子回路(<1GHz)により解析することができる。高速光ANDゲートは、例えば、二次非線形結晶にすることができる。パルスの源は、例えば、利得スイッチレーザーダイオードまたはモードロックレーザーとすることができる。この場合、時間遅延は、光学的領域にある。
【0103】
図26aは、「同期」アイダイアグラムの近似が、図26aの散布図で得られた非同期から生成される方法を図示している。散布図上のそれぞれの点の位置は、サンプリングされた信号のビット列に依存する。したがって、散布図中のそれぞれの「遷移」(複数の点からなる対角、垂直、および水平の「線」)は、その特定のビット列が出現したときに信号からサンプリングされた点のみで構成される。図26aに示されているように、これらの遷移は、A=001、B=010、C=101、D=011、E=110、およびF=100である。000または111の他の2つの可能なビット列は、プロットの右上または左下隅にのみに寄与し、示されたいずれの「遷移」にも寄与しないことに留意されたい。また、遷移BおよびCは、中心対角線上の実質的に同じ位置に置かれていることに留意されたい。
【0104】
図26aの散布図をこのように考えた場合、同期アイダイアグラムの近似は、それぞれの遷移にそった点の密度がタイミング情報を伝達することに留意することにより生成される。図26aにプロットされたサンプル集合が、ビット周期全体を通して一様に得られたとすると(つまり、例えば、ビット周期の中心にサンプルが集中せずに)、アイダイアグラム上の対応する遷移の勾配は、図26aの非同期ヒストグラム内のその遷移上の点の密度の逆数をとることにより決定される。例えば、遷移Fの中心の近くにある点が比較的少なく、アイダイアグラム内の対応する遷移の勾配は比較的急峻であることがわかる。したがって、このような「同期」アイダイアグラムは、図26aにプロットされたサンプル集合が、データクロックを取り出さなくても、データ転送速度に関して非同期に得られたという事実があるにもかかわらず生成または近似される。
【0105】
図26bは、xおよびy軸がサンプル集合値を表し、z軸が位相図のそれぞれの部分領域において得られたサンプル密度を表す二次元ヒストグラムである。
【0106】
図27は、第3の(縦)軸に対しそれぞれのサンプル集合のサンプリング時間をプロットすることにより第3の次元が生じる、2サンプルのサンプル集合のプロットである。図27に示されている三次元分布は、サンプル1またはサンプル2が時間に対しプロットされた場合、つぶれて従来のアイダイアグラムに戻る。同様に、三次元分布は、例えば、サンプル1が時間のプロットなしでサンプル2に対してプロットされた場合、つぶれて図14のプロットと同様の二次元分布に戻る。
【0107】
図15ないし図27は、2つのタップ点に関係する一方で、特徴のこれらまたは他の組み合わせは、3つまたはそれより多くのタップ点を使用するさらなる実施形態においても実装されることがさらに認められる。図28は、減損のない光信号から非同期に得られたサンプル集合の三次元散布図であり、それぞれのサンプル集合は3つのタップ点から得られた。1ビットの時間遅延は、第1のサンプルタップ点と第2のサンプルタップ点との間および、第2のタップ点と第3のタップ点との間に負担される。他の図の二次元散布図の場合のように、特定の「遷移」は不可能で、したがって、そのような遷移には点が現れないことに留意されたい。例えば、不可能な遷移の中でもとりわけ(1,1,1)から(0,0,0)への遷移上には点が存在することはない。
【0108】
前の図は、減損間の診断的識別を可能にする潜在性を有する特徴を分離するためにそのような散布図または信号点配置図の適応性および汎用性を図示している。例えば、010と101の遷移を表す線において明らかな湾曲は、色分散に強く関係する。
【0109】
本発明は、さらに、機械学習を利用することで信号減損タイプおよび/または重大度のそのような診断を補助することに利用されることがわかる。したがって、代替的な方法において、遅延タップ非同期モニタから得られる出力は、信号波形に寄与する減損の源を自動的に識別し、定量化する信号処理モジュールへの入力として使用される。処理モジュールは、教師有り学習技術に基づく。これらの技術は、限定はしないが、
・ 回帰、
・ リッジ回帰、
・ サポートベクター回帰を含む。
【0110】
これらの技術はどれも、線形カーネル
【数1】
または次数pの多項式カーネルなどの非線形カーネル
k(x,x')=(x・x'+1)p、ただしx=(xi)、x'=(x'i)∈Rd
とともに使用することができる。そのうえ他の教師有り学習技術も、ここで使用可能である。教師有り学習用のトレーニング集合は、シミュレーション、実験測定、または両方の組み合わせから生成される。本明細書で記載した好ましい実施形態では、非同期モニタからの出力は、2つまたはそれより多くのサンプルタップにより得られたものであろうとなかろうと、図26bに図示された二次元ヒストグラムなどの、トレーニング前の2またはそれより大きい次元のヒストグラムとして処理される。例えば、図28または図27に図示されたサンプル点により占有される体積は多数の部分体積に分割され、これにより、それぞれの部分体積内に入るサンプル点の個数を表す三次元ヒストグラムの作成を可能にする。
【0111】
例えば、線形カーネルを持つ2タップ非同期モニタ用のトレーニング集合は、さまざまなシミュレーション減損を伴う図29に示されているような典型的な光ネットワークをシミュレートすることにより生成された。モデル化された減損(範囲)は以下のとおりであった。
・ OSNR(15〜27dB)
・ 分散(0〜1600ps/nm)
・ 変調器チャープ(−1.5から1.5)
・ フィルタの離調(−20から+20GHz)
・ PMD(0〜50ps)
【0112】
1ビット周期のタップ遅延を有する非同期サンプルの集合は、7000個のランダムに生成された減損の組み合わせに生成された。その後、これらのサンプル集合は、リッジ回帰に基づくモデルの入力および検証として使用された。
【0113】
結果は、図30に示した。これらのグラフは、著しいレベルのOSNRが存在していない場合に、5つの同時減損を被るリンクについて、分散、チャープ(TX)、フィルタオフセット、およびPMD(DGD)の予測値(y軸)対「真」値(x軸)を示している。5つの減損タイプすべてに対する特定値の選択された予測は、(真値)/(予測)の形式で、以下の表1に示されている。
【0114】
【表1】
【0115】
図31は、遅延1ビット周期で2つのタップの出力を使用し、減損毎に説明された分散をプロットすることにより非同期にサンプリングされた線形カーネルの予測精度を図示している。説明された分散の値は、左から右への順で、OSNR(dB)、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期、およびQについて与えられている。予測精度は、分散(ps/nm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、ジッタ周期、およびQについては比較的高く、r(dB)についてはいくぶん正確であることがわかる。予測精度は、線形カーネルを使用する場合にはOSNRおよび光パワーについては良くない。標準光パワーメーターで十分なので光パワー予測の必要はまずほとんどないことに留意されたい。
【0116】
図32は、遅延1ビット周期で2つのタップの出力を使用するとともに、減損毎に説明された分散のプロットにより非同期にサンプリングされた、次数3の多項式カーネルを使用した非線形カーネルの予測精度を図示している。説明された分散の値は、左から右への順で、OSNR(dB)、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期、およびQが与えられている。図31に関係して、そのような非線形カーネルを使用した場合に、予測精度は、r(dB)については改善されているが、OSNRについては悪化していることがわかる。
【0117】
次に、機械学習アルゴリズムを伴うマルチタップ(5タップ)非同期モニタをテストした。この実験では、それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期において複数のタップを使用した。第1に、図33に示された結果とともに、線形カーネルは得られたサンプルに適用された。説明された分散の値は、左から右への順で、OSNR(dB)、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期、およびQについて与えられた。予測精度は、分散(ps/nm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、ジッタ周期、およびQについては比較的高く、r(dB)についてはいくぶん正確であることがわかる。予測精度は、タップを5つ持つそのような線形カーネルを使用した場合、OSNRおよび光パワーに対しては良くない。
【0118】
次に、図34に示された結果とともに、次数3の多項式カーネルである非線形カーネルは、得られたサンプルに適用された。説明された分散の値は、左から右への順で、OSNR(dB)、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期、およびQについて得られている。予測精度は、分散(ps/nm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、ジッタ周期、およびQについては比較的高く、r(dB)についてはいくぶん正確であることがわかる。予測精度は、タップを5つ持つそのような非線形カーネルを使用した場合、OSNRおよび光パワーに対しては良くない。
【0119】
本発明による非同期モニタを光リンクに沿って配置することは有効であることに留意されたい。次いで、モニタからの出力は、好ましくは多次元ヒストグラムの形式で、管理チャネルを介して、中央処理点に渡され、そこでは、すべてのモニタからの情報はパターン認識モジュールに入る入力である。モニタの1つは、トランスミッタの近くに置かれるのが好ましい。
【0120】
本発明では、さらに、カーネルベースの機械学習技術は、同期アイダイアグラムから複数の同時減損を識別するとともに定量化するのに使用されることが認識される。図35は、減損毎に説明された分散をプロットすることにより、同期アイダイアグラムを入力として使用した線形カーネルの予測精度を図示している。説明された分散の値は、左から右への順で、OSNR(dB)、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、およびQについて与えている。予測精度は、r(dB)については比較的高いが、同期アイダイアグラムから減損を予測する線形カーネルを使用した場合、他の減損については良くない。
【0121】
図36は、減損毎に説明された分散をプロットすることにより、同期アイダイアグラムを入力として使用した次数3の多項式カーネルである非線形カーネルの予測精度を図示している。説明された分散の値は、左から右への順で、OSNR(dB)、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、およびQについて与えられている。予測精度は、r(dB)については比較的高いとともに、図35に関しては、分散およびQに対する予測精度が改善されていることがわかる。しかし、予測精度は、非線形カーネルを使用して同期アイダイアグラムから減損を予測する場合、他の減損については良くないままである。
【0122】
図27の「マルチタップ同期アイダイアグラム」は、減損予測のため機械学習アルゴリズムへの入力として使用されることに留意されたい。
【0123】
図37は、アイダイアグラムを機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネル(図37A)および非線形カーネル(図37B)の予測精度を図示している。
【0124】
図38は、5つのタップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネル(図38A)および非線形カーネル(図38B)の予測精度を図示している。タップ遅延は、第1のサンプルタップに関して、1/8、1/4、1/2、および1ビットであった。
【0125】
図39は、1ビット周期のタップ遅延とともに、2つのタップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネル(図39A)および非線形カーネル(図39B)の予測精度を図示している。
【0126】
図37ないし図39は、それぞれの減損における性能を示している。図37B、図38B、および図39Bについて、次数3の多項式カーネルが使用された。図37ないし図39までのそれぞれのプロットは、0と1の間のみで説明された分散を示すように制限されている。したがって、非表示のボックスは、減損の予測精度が良くないことを示している。減損は、左から右へ、OSNR(光信号対雑音比)、D(分散)、Popt(光パワー)、P_Xtalk(クロストーク)、PMD(偏光モード分散)、Df(デジタルフィルタ周波数)、r(消光率)、ジッタ、およびQである。図37から図39では、50個の順列を用い、2000/1000テスト/トレーニング分割を使用してそれぞれの減損がテストされた(図31ないし図36の結果を生成する際に使用される25の順列と比べて)。それぞれの減損について、箱ひげ図は、中央値、第1四分位、および第3四分位を示している。ダークラインは、50回の試行(順列)の中央値を示し、ボックスの下側端は、第1四分位(25%)を、ボックスの上側端は、第3四分位(75%)を示している。したがって、試行の50%は、ボックスの内側にある。ひげは、ボックスから四分位間距離の1.5倍まで伸びている。円は、ひげの外側にある極値である。
【0127】
図37ないし図39から、いくつかの観察結果が得られる。第1に、線形カーネルから多項式カーネルに切り換えることで、性能が向上する。これは、アイダイアグラムの場合に特に当てはまり、予測精度は、D、P_XTalk、PMD、Df、およびQについては非常に改善する。さらに観察された結果として、マルチタップと2タップの場合の間における性能向上が挙げられる。これは、線形カーネルおよび多項式カーネルの両方の場合について当てはまるが、線形カーネルを使用する場合には特に顕著である。それに加えて、同期アイダイアグラムと非同期ダイアグラムとを比較すると、非同期の方法は、いずれのカーネルを使用してもよく動作することを示している。これは、使用されたモデルに関して、非同期データから減損を予測することが容易であることを示している。
【0128】
図49は、図29ないし図39に関してすでに記載された機械学習アルゴリズムを使用する減損予測の効果を図示している。図49aは、図49の左上に示され、以下の表2に繰り返されている、レベルの同時減損を有する信号に対するNRZ信号トレースの一部を図示している。図49aの信号について、図49bは位相図を図示しているとともに、図49cはアイダイアグラムを図示している。
【0129】
【表2】
【0130】
表2からわかるように、図49bの位相図から得られた機械予測は、実際の減損値と比較してきわめて良い精度を与える。さらに、さまざまなレベルの減損を使いそのような多数の信号をシミュレートするとともに、図49Bに示されているタイプの位相図からそれぞれのそのようなサンプルに対する予測精度を決定することにより、図49dの回帰プロットが生成される。これは、機械予測がOSNR、ジッタ、およびQについては非常に正確であり、分散、フィルタオフセット、および一次PMDについての精度のレベルが保障されていることを図示している。図49eは、異なる減損レベルを有する10個のそのようなサンプル信号に対する予測精度をさらに図示する。
【0131】
図50は、図29ないし図39および図49に関して先に記載した機械学習アルゴリズムを使用する減損予測の効果を図示している。図50aは、図50の左上に示され、以下の表3に繰り返されている減損レベルを有する信号に対するNRZ信号波形の一部を例示している。図50aの信号について、図50bは位相図を図示しているとともに、図50cはアイダイアグラムを図示している。
【0132】
【表3】
【0133】
表3からわかるように、図50bの位相図から得られた機械予測により、実際の減損値と比較して妥当な精度を与える。図50dの結果は、さまざまなレベルの減損を有する、特にそのような信号ごとに8〜11dBの範囲内の厳しいOSNRを持つそのような多数の信号をシミュレートすることにより得られた。このような厳しいOSNR減損の効果は、図50bの位相図および図50cのアイダイアグラムから明らかである。予測精度は、図50dの回帰プロットを作成するために、図50Bに示されたタイプの位相図からそれぞれのそのようなサンプルについて決定された。これは、そのような厳しいOSNR劣化が存在している場合でも、機械予測は、OSNR、ジッタ、およびQについて非常に正確であるとともに、また分散、フィルタオフセット、および一次PMDについては有望なレベルの精度が得られることを図示している。図50eは、異なる減損レベルを有するそのような10個のサンプル信号に対する予測精度をさらに図示する。
【0134】
当業者にとって、広範に記載されたように本発明の精神または範囲から逸脱することなく特定の実施形態に示されているようなさまざまな変更形態および/または修正形態を本発明に加えられることは自明である。例えば、減損監視技術は、RZ−OOKシステム内のパルスカーバーおよびデータ変調器との間のアライメント精度など、前記されていない減損の他のタイプに応用することができる。さらに、本明細書のビットレートまたはデータ転送速度に関する本発明の記載は、本発明の範囲内で、監視されている光信号において使用される変調方式に依存してシンボル転送速度、CDMAチップ転送速度、または他の変調関係の転送速度に等しく適用されることは自明である。したがって、本発明の実施形態は、すべての点で実施例であって、限定するものではないと考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明に従った2タップ非同期サンプリング光信号モニタの概略図である。
【図2】タップ遅延Δτとサンプリング間隔Tsを有する図1のモニタによる光信号のサンプリングを示した図である。
【図3a】図1のモニタの非同期サンプリング技術、同期サンプリングオシロスコープアイダイアグラム、及びシングルタップ非同期サンプルのヒストグラムにおける多重メカニズム劣化の影響をそれぞれ比較した図である。
【図3b】図1のモニタの非同期サンプリング技術、同期サンプリングオシロスコープアイダイアグラム、及びシングルタップ非同期サンプルのヒストグラムにおける多重メカニズム劣化の影響をそれぞれ比較した図である。
【図3c】図1のモニタの非同期サンプリング技術、同期サンプリングオシロスコープアイダイアグラム、及びシングルタップ非同期サンプルのヒストグラムにおける多重メカニズム劣化の影響をそれぞれ比較した図である。
【図3d】図1のモニタの非同期サンプリング技術、同期サンプリングオシロスコープアイダイアグラム、及びシングルタップ非同期サンプルのヒストグラムにおける多重メカニズム劣化の影響をそれぞれ比較した図である。
【図3e】図1のモニタの非同期サンプリング技術、同期サンプリングオシロスコープアイダイアグラム、及びシングルタップ非同期サンプルのヒストグラムにおける多重メカニズム劣化の影響をそれぞれ比較した図である。
【図3f】図1のモニタの非同期サンプリング技術、同期サンプリングオシロスコープアイダイアグラム、及びシングルタップ非同期サンプルのヒストグラムにおける多重メカニズム劣化の影響をそれぞれ比較した図である。
【図4a】35dBのOSNRが存在する場合のそれぞれ本発明によるx2対x1の実験散布図および35dBのOSNRが存在する場合の同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
【図4b】35dBのOSNRが存在する場合のそれぞれ本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
【図5a】35dBのOSNRおよび160ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
【図5b】35dBのOSNRおよび160ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
【図6a】35dBのOSNRおよび400ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
【図6b】35dBのOSNRおよび400ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
【図7a】35dBのOSNRおよび800ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
【図7b】35dBのOSNRおよび800ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
【図8】1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する分散の影響を示した図である。
【図9】ASEが存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する分散の影響を示した図である。
【図10】ASEが存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する一次のPMDの影響を示した図である。
【図11】1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する帯域内クロストークの影響を示した図である。
【図12】同期アイダイアグラムと比較した、本発明のグレースケール密度散布図に対する分散の影響をさらに示した図である。
【図13】同期アイダイアグラムと比較した、OSNRのレベルが変化する場合の本発明のグレースケール密度散布図に対する分散の影響を示した図である。
【図14】タップ遅延が変化する場合の散布図の形状の変化を示した図である。
【図15】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタの2つの代替的な実施形態を示した図である。
【図16】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらなる2つの実施形態を示した図である。
【図17】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタの他の実施形態を示した図である。
【図18】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらに他の実施形態を示した図である。
【図19】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらに他の実施形態を示した図である。
【図20】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタの他の実施形態を示した図である。
【図21】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらなる実施形態を示した図である。
【図22】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタの他の実施形態を示した図である。
【図23】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらに他の実施形態を示した図である。
【図24】劣化を起こさずに図23の回路の決定閾値を変化させる効果を示した図である。
【図25】劣化を起こす図23の回路の決定閾値を変化させる効果を示した図である。
【図26a】「同期」アイダイアグラムの近似が、非同期に得られた散布図または二次元ヒストグラムから生成される方法を示した図である。
【図26b】「同期」アイダイアグラムの近似が、非同期に得られた散布図または二次元ヒストグラムから生成される方法を示した図である。
【図27】第3の(縦)軸に対しそれぞれのサンプル集合のサンプリング時間をプロットすることにより第3の次元が生成される、2サンプルのサンプル集合のプロットである。
【図28】減損のない光信号から非同期に得られるサンプル集合の三次元散布図である(それぞれのサンプル集合は3つのタップ点から導かれる)。
【図29】光ネットワーク内の典型的な減損のシミュレーションを示した図である。
【図30】図29のシミュレーションにより出力される減損の組み合わせを予測するために、リッジ回帰および線形カーネルを使用した機械学習アルゴリズムを使用した結果を示した図である。
【図31】遅延1ビット周期で2つのサンプルタップの出力を使用する線形カーネルの予測精度を示した図である。
【図32】遅延1ビット周期で2つのサンプルタップの出力を使用する次数3の多項式カーネルを持つ非線形カーネルの予測精度を示した図である。
【図33】それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で5つのサンプルタップの出力を使用する線形カーネルの予測精度を示した図である。
【図34】それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で5つのサンプルタップの出力を使用する次数3の多項式カーネルを持つ非線形カーネルの予測精度を示した図である。
【図35】同期アイダイアグラムを入力として使用する線形カーネルの予測精度を示した図である。
【図36】同期アイダイアグラムを入力として使用する次数3の多項式カーネルである非線形カーネルの予測精度を示した図である。
【図37A】アイダイアグラムを機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示した図である。
【図37B】アイダイアグラムを機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度を示した図である。
【図38A】5タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示した図である。
【図38B】5タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示した図である。
【図39A】2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示した図である。
【図39B】2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示した図である。
【図40】色分散を診断する際にRZ、NRZ、およびNRZ‐DPSK形式を適用した本発明の他の実施形態を示した図である。
【図41】色分散を診断する際にRZ、NRZ、およびNRZ‐DPSK形式を適用した本発明の他の実施形態を示した図である。
【図42】色分散を診断する際にRZ、NRZ、およびNRZ‐DPSK形式を適用した本発明の他の実施形態を示した図である。
【図43】本発明の他の実施形態によるOSNR解析のアーキテクチャを示した図である。
【図44】図43のアーキテクチャの出力およびOSNR解析技術を示した図である。
【図45】図43のアーキテクチャの出力およびOSNR解析技術を示した図である。
【図46】図43のアーキテクチャの出力およびOSNR解析技術を示した図である。
【図47】図43のアーキテクチャの出力およびOSNR解析技術を示した図である。
【図48】光サンプリングを使用する本発明の一実施形態を示した図である。
【図49a】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図49b】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図49c】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図49d】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図49e】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図50a】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図50b】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図50c】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図50d】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図50e】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【符号の説明】
【0136】
100 2タップ非同期サンプリング光信号モニタ
110 同調可能光フィルタ
120 高速レシーバ
140 プロセッサ
4300 ハードウェア構成
4310 入力信号
4330 信号
4340 信号
4810 サンプリングパルス源
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号監視に関するものであり、具体的には、光信号品質情報を取り出すサンプリング技術に関するものである。
【0002】
本出願は、2005年10月13日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2005905668号、2006年3月3日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2006901088号、および2006年10月5日に出願されたオーストラリア仮特許出願の優先権を主張し、引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
光信号監視は、特に高密度波長分割多重(DWDM)光通信システムにおいて、次第に重要なものになりつつある。信号監視を推し進める主な要因は、伝送される信号の変化を識別すること、隠れている障害の原因と場所について診断すること、同調可能な要素の性能を最適化すること、およびビット誤り率(BER)を推定することである。
【0004】
現在、光信号モニタには2つのクラスがある、すなわち、周波数領域モニタと時間領域モニタの2つである。周波数領域の方法では、信号のスペクトル成分を分析する。これらの方法では、時間について信号を平均するので、信号の歪みに関する情報はほとんど、あるいは全く含まれない。光スペクトラムアナライザは、周波数領域監視用のデバイスの一実施例である。
【0005】
時間領域信号監視技術では、非同期または同期に関係なく、波形をサンプリングする。このような時間領域技術は、信号の歪みおよび雑音に敏感である。
【0006】
同期時間領域技術では、サンプリングが信号ビットレートと同期できるように信号からクロック信号を抽出する必要がある。このような技術は、アイダイアグラム(サンプル振幅対時間のプロットである)、およびQファクタモニタを出力するサンプリングオシロスコープを含む。同期波形モニタ(リアルタイム方式とインターリーブ方式のいずれも、デジタルサンプリングオシロスコープとも呼ばれる)は、光波形のアイパターンを測定する試験および測定デバイスである。しかし、同期技術は、サンプリング時間とビット列とを整合させるために信号クロックへのアクセスに依存している。実験室の設定では、データソースにアクセスできるので、クロックは容易に利用可能である。当分野では、クロックは、クロック抽出回路を使用して、データから回復されなければならない。クロック抽出は、費用の増大を伴うだけでなく、典型的なクロック抽出回路は、限られた範囲のビットレートおよびフォーマットでしか動作しない。サンプル密度対サンプル振幅のヒストグラムが得られる他のタイプの同期サンプリング技術が、米国特許第6,904,237号明細書に記載されている。
【0007】
対照的に、非同期ヒストグラムなどの非同期サンプリング技術は、クロック抽出回路を必要としないため、安価に実装することができるとともに、ビットレートに対し透過的である。サンプル密度対サンプル振幅のヒストグラムが得られる非同期時間領域サンプリング技術が、米国特許第6,836,620号明細書に記載されている。
【0008】
このような非同期および同期ヒストグラムの形状は、信号が劣化すると変化し、これまでに、これらの変化とさまざまな劣化のメカニズムとの相関を求める多大な努力がなされてきた。しかし、劣化のメカニズムを区別することは、特にそのようなメカニズムが同時に働くときに困難である。なぜならば、さまざまな劣化のメカニズムが、ヒストグラムの形状に類似の変化を引き起こすからである。
【0009】
文書、活動、材料、デバイス、物品、または本明細書に含まれているようなものに関する説明は、本発明の文脈を明らかにすることのみを目的としている。これらのものはどれも、またはすべて、従来技術ベースの一部をなすか、または本出願の各請求項の優先日よりも前に存在していたため本発明に関係する分野において公知事実であった、と認めるものとして解釈すべきではない。
【0010】
本明細書全体を通して、単語「含む」、「備える」は、述べられた要素、完全体もしくはステップ、または要素、完全体、もしくはステップのグループを包含し、他の要素、完全体もしくはステップ、または要素、完全体、もしくはステップのグループを除外しないことを意図しているものと理解される。
【特許文献1】米国特許第6,904,237号明細書
【特許文献2】米国特許第6,836,620号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、第1の態様により、光信号を監視する方法を実現し、この方法は、
サンプル集合を取り出すために、光信号から別個のサンプルを取り出すために構成した少なくとも2つのタップ点から光信号をサンプリングすることと、
時間の経過とともに複数のこのようなサンプル集合を取り出すことと、
光信号品質を示すためにサンプル集合の分布を評価することを含む。
【0012】
本発明は、第2の態様により、光信号モニタを実現し、これは、
光信号から別個のサンプルを取り出すために構成した少なくとも2つのタップ点からのサンプル集合をサンプリングするとともに、時間の経過に伴って複数のそのようなサンプル集合を光信号から取り出すマルチタップサンプラーと、
サンプル集合の分布の表現を構築するためのプロセッサとを備える。
【課題を解決するための手段】
【0013】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つのタップ点は、別個の光スペクトル位置からサンプルを取り出すために構成する。例えば、光信号は、2つの成分に分割することができ、第1の成分は第1の通過帯域を有する第1の光学フィルタを通過し、第2の成分は第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2の光学フィルタを通過する。例えば、第1の通過帯域は、実質的に光信号の下側バンド端の中心に置くことができ、第2の通過帯域は、実質的に光信号の上側バンド端の中心に置くことができる。
【0014】
それに加えて、またはそれとは別に、本発明の他の実施形態では、少なくとも2つのタップ点は、光信号の別個の偏光成分からサンプルを取り出すために構成する。例えば、光信号は、2つの成分に分割することができ、第1の成分は第1の偏光配向を有する第1の偏光子を通過し、第2の成分は第1の偏光配向と異なる第2の偏光配向を有する第2の偏光子を通過する。例えば、第1の偏光配向および第2の偏光配向は、実質的に45度、または実質的に90度異なる。それに加えて、またはそれとは別に、光信号は、偏光ビームスプリッタにより2つの成分に分割できる。好ましくは、2つの成分のサンプルは、同時確率分布または散布図として示される。ASK変調光信号の場合、同時確率分布図の長軸は、好ましくは決定され、OSNR測定結果は、短軸の幅または標準偏差から直接得られる。PSK変調光信号の場合、OSNR測定結果は、好ましくは、長軸の標準偏差と短軸の標準偏差の両方から求められる。
【0015】
本発明のさらに他の実施形態では、少なくとも2つのタップ点は、それに加えて、またはそれとは別に、はっきり区別できる電気的スペクトル位置からサンプルを取り出すために構成する。例えば、光信号は、電気レシーバにより検出されるとともに、電気レシーバの出力は、第1の通過帯域を有する第1の電気的フィルタおよび第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2の電気的フィルタに渡される。第1の通過帯域は、データレートに対応する周波数を中心とし、1と0を交互に繰り返すデータ系列は、第1の電気的フィルタ出力からサンプルを抽出する第1のタップ点により検出できる。第2の通過帯域は、低周波数を中心とし、連続する複数の1と連続する複数の0からなるデータ系列は、第2の電気的フィルタ出力からサンプルを抽出する第2のタップ点により検出できる。他の実施例では、電気的フィルタは、同じ中心周波数を有するが、異なる帯域幅を有する。
【0016】
光信号品質を示すためにサンプル集合の分布を評価することは、サンプル集合を二次元、三次元またはそれ以上の次元の「散布図」、または「位相図」としてプロットするとともに、散布図の特徴を視覚的に評価することを含む。それに加えて、またはそれとは別に、サンプル集合は、同時確率密度関数またはヒストグラムの中に組み込まれる。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、光サンプリングが提供される。例えば、光サンプリングパルスは、複数の光タップ点のそれぞれにおいて得られた光信号の成分と光混合できる。この光混合は、光ANDゲートにより実行される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、サンプル集合の分布の評価は、機械学習アルゴリズムの使用を含む。このような実施形態は、得られた多数のサンプル集合を効率よく処理するのに特に有効である。機械学習モジュールは、k近傍、決定木、回帰、リッジ回帰、ニューラルネットワーク、および/またはサポートベクターマシン/回帰などのような分類または回帰のための教師有り学習技術に依存する。機械学習モジュールは、線形カーネル、または次数nの多項式のような非線形カーネルを利用することができる。機械学習モジュールは、シミュレーションおよび/または実験測定から得られた訓練集合について訓練される。好ましくは、サンプル集合の分布の機械学習評価は、(例えば、散布図領域を複数の部分領域とみなすとともに、それぞれの部分領域内に出現する多数のサンプル点を決定するためにサンプル密度の多次元ヒストグラムを生成することにより)散布図全体に対するサンプル密度を評価することを含む。部分領域は、好ましくは、均等にサイズ化されたグリッドの要素である。または、部分領域は様々なサイズであり、例えば、最大ビンサイズでは、最大閾値より上にあるすべての点を取り込むのに対して、最小ビンサイズでは、最小閾値より下にあるすべての点を取り込む。グリッド要素サイズは、予測精度を上げるために調整される。グリッド要素サイズは、必要処理能力を低減するために大きくする。例えば、それぞれのタップで単一決定閾値(1ビット分解能)を使用することが可能である。このような実施形態では、機械学習評価にサンプル密度を一因子として組み込むことが有効であると認識される。
【0019】
少なくとも2つのタップ点は、それに加えて、またはそれとは別に、時間的に隔てられた光信号からサンプルを取り出すために構成する。したがって、本発明の第3の態様により、光信号を監視する方法を提供する。この方法は、
サンプル集合を取り出すために少なくとも2つのタップ点(タップ遅延によって時間的に隔てられた光信号からサンプルを取り出すようために構成した少なくとも2つのタップ点)から光信号をサンプリングすることと、
時間の経過とともに複数のサンプル集合を取り出すことと、
サンプル集合の同時確率密度関数を構築することとを含む。
【0020】
本発明は、第4の態様により、
タップ遅延によって時間的に隔てられたサンプルを光信号から取り出すために適応した少なくとも2つのタップ点からのサンプル集合を光信号からサンプリングするとともに、時間の経過とともに複数のそのようなサンプル集合を取り出すマルチタップサンプラーと、
サンプル集合の同時確率密度関数を構成するプロセッサとを備える光信号モニタを提供する。
【0021】
本発明により確率密度関数を構成することは、価値ある監視ツールを提供する。例えば、それぞれのサンプル集合は、タップ遅延によって隔てられた2つのタップ点から得られた2つサンプルx1およびx2を含む場合、x1対x2の確率密度関数の二次元プロットは、2つのサンプリング点の間のタップ遅延、および光信号の特性の両方に依存する形をとる。したがって、光信号の劣化は、確率密度関数の変化を導き、次いで、これは確認され、測定され、および/または特徴付けられる。さらに、異なる劣化のタイプは、確率密度関数に異なる方法で影響を及ぼす可能性があり、このため確率密度関数に対する特別な影響を確認することは、その効果を引き起こす対応する劣化タイプを確認することを可能にし、これにより潜在的に、監視されている光信号に影響を与える複数の劣化のメカニズム間のより正確な診断的識別を可能にする。
【0022】
したがって、本発明は、同期と非同期を問わず、従来のアイパターンに代わって信号の表現を可能にするサンプリング技術を提供する。
【0023】
サンプル集合は、好ましくは、規則的なサンプリング間隔で取り出される。それとは別に、サンプル集合は、不規則な間隔で、またはランダムな間隔で取り出される。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、サンプリング間隔は、監視されている光信号に関して非同期である。このような実施形態では、サンプル集合の非同期的な取り出しにもかかわらず、本発明により確率密度関数が構成されることが認められる。さらに、非同期な監視は、同期技術では必要とされるように、監視された信号からクロック信号をデバイスによって取り出す必要を省くという点で有効である。
【0025】
本発明の代替的実施形態では、(例えば監視されている光信号からサンプリング間隔クロック信号を取り出すことにより)サンプリング間隔を監視されている光信号と同期させることができる。クロック信号の取り出しを含む一方で、そのような同期サンプリングにもかかわらず、本発明に従って確率密度関数を構成することが可能である。さらに、同期サンプリングは、監視されている光信号の選択された部分からサンプルを取り出すために制御される。例えば、サンプルは、光信号のそれぞれのビット周期の実質的な中心から取り出されるか、または隣接するビット周期の中心の間の遷移領域から取り出すことができる。
【0026】
好ましくは、監視されている光信号は、リンクを越えた信号伝送の継続とともに本発明の監視が同時に実行できるように光通信リンクからタップされる。
【0027】
少なくとも2つのサンプル点の間のそのタップ遅延またはそれぞれのタップ遅延は、電気的領域において(例えばバッファリングにより)、または光学的領域において(例えば光信号を異なる長さの経路に分割することにより)適用される。
【0028】
そのタップ遅延、またはそれぞれのタップ遅延は、好ましくは調節可能である。そのような実施形態では、監視されている光信号の未知のビットレートを決定するためにそのタップ遅延、またはそれぞれのタップ遅延を調節可能である(例えばビット周期に対するタップ遅延の既知な比率において生じたパターンの情報に基づく。)。それに加えて、またはそれとは別に、そのタップ遅延、またはそれぞれのタップ遅延は、選択された劣化タイプを評価するために、タップ遅延に対するビット周期の希望の比率に対して調節可能である。例えば、そのタップ遅延、またはそれぞれのタップ遅延は、分散を評価するために、ビット周期に対して実質的に等しくなるように調節または設定される。それに加えて、またはそれとは別に、そのタップ遅延、またはそれぞれのタップ遅延は、一次偏波モード分散(PMD)を評価するために、ビット周期の実質的に半分よりも小さくなるように調節または設定される。それに加えて、またはそれとは別に、タップ遅延は、ヒストグラム時系列(またはヒストグラムの時系列)を得るために連続的に調節される。
【0029】
好ましくは、光信号を検出するために使用されるその光レシーバ、またはそれぞれの光レシーバは、光信号の帯域幅と等しいまたはそれより大きいレシーバ帯域幅を有する。高いレシーバ帯域幅は、障害のシグネチャ(分散など)が、潜在的に、波形の高周波成分において明白であるという点で有効である。
【0030】
しかし、代替的実施形態では、レシーバ帯域幅は、信号帯域幅よりも小さい(例えば、信号帯域幅の実質的に1/4程度、あるいは実質的に信号帯域幅の1/4より小さい。)。縮小されたレシーバ帯域は高周波の特徴を失うが、そのような縮小されたレシーバ帯域幅による2点非同期サンプリングには重要な情報があると認識されている。実際、縮小されたレシーバ帯域幅は、低周波メカニズムに注目している場合に高周波劣化メカニズムの分離または除去に役立つ。このような実施形態は、高速レシーバ電子回路のコスト増大を避けるのにさらに有効である。代替的実施形態では、非線形光学素子は、一方または両方の検出器の前へ順に置かれる。非線形素子は、高周波数劣化をより低い周波数に移動する。それにより、低速のレシーバおよび電子回路が利用可能になる。
【0031】
好ましくは、サンプリング間隔は、サンプリングされたデータを取り出すデバイスに関する処理速度要求を低減するために、ビット周期よりも実質的に大きい(例えば、ビット周期よりも数桁ほど大きい)。したがって、データを取り出すそのようなデバイスのコストを減少する。それとは別に、サンプリング間隔は、同期、非同期のいずれも、ビット周期のオーダーである。
【0032】
x1およびx2からなるサンプル集合を取り出す2つのサンプルタップからなる実施形態では、確率密度関数は、二次元で表示される(例えば、x1対x2のプロットによって、(x1−x2)対(x1+x2)のプロットによって、または他の二次元表現を使用することによって)。そのような実施形態は、さらに、サンプル点密度をそのようなプロットの第3の次元として表示することを含むことができる。ここで、第3の次元は、例えば、カラースケール、グレースケール、等尺表現、または他の表現により表される。
【0033】
本発明に従って構成された確率密度関数のこのような二次元または三次元プロットは、人間による観察及び解釈のために表示される。したがって、本発明は、光信号を監視および診断において現場使用のために電子ディスプレイを備える携帯型監視デバイスを提供する。
【0034】
本発明のさらなる実施形態では、3つまたはそれ以上のサンプルからなるサンプル集合を取り出すために、タップ遅延によって隔てられた3つまたはそれ以上のサンプルタップ点が提供される。例えば、3つのこのようなタップ点のタップ遅延分離が、ビット周期のうちのわずかである場合、そのようなサンプル集合の確率密度関数は、光信号の曲率に関する情報を得るために使用される。第1のタップと第2のタップとの分離は、第2のタップと第3のタップの間の分離と異なる。
【0035】
好ましくは、注目する帯域またはチャネルは、サンプリング前に帯域通過フィルタの使用によって選択される。
【0036】
光信号の選択された特性、および/または光信号に作用する劣化メカニズムを調べるために、確率密度関数の代替表現または処理が利用される。
【0037】
本発明のさらなる実施形態は、それに加えて、またはそれとは別に、それぞれのサンプル値出力が1または0のいずれかになるように決定閾値をそれぞれのサンプルに適用する。そのような実施形態は、サンプル値の2値の組み合わせを検出する確率の測定を提供する。例えば、2つのタップ点が使用される場合、そのような実施形態は、(0,0)、(0,1)、(1,0)、または(1,1)のいずれかを検出する確率の測定を提供する。そのような確率のさらなる洞察を得るために、決定閾値のレベルを変化させるとともに/あるいはタップ遅延またはタップ識別を変化させる。
【0038】
さらに、2つのタップ時間遅延非同期サンプリングが実行される場合、そのようないくつかの実施形態は、非同期散布図中のそれぞれの遷移経路に沿った点の密度が、同期的に得られるアイダイアグラム中の対応する遷移の勾配に反比例するという事実を利用することにより同期アイダイアグラムの近似の生成をさらに提供する。
【0039】
第5の態様によれば、本発明は、本発明の第2および/または第4の態様に従って光信号モニタを組み込んだ光通信リンクを提供する。
【0040】
第6の態様により、本発明は光通信リンクを監視する方法を提供する。この方法は、
本発明の第2の態様または第4の態様により複数の光信号モニタを光通信リンクに沿って配置することを含む。
【0041】
本発明の第6の態様の好ましい実施形態では、このリンクに沿って配置されるモニタの出力は、中央の監視場所に返される。例えば、これらのモニタは、再構成可能な光スイッチ内に埋め込むことができる。他のモニタの出力と比較される較正基準を提供するために、1つのモニタはリンクの伝送端、またはその近くに配置される。
【0042】
第7の態様により本発明は、光信号の減損を予測する方法を提供する。この方法は、
時間の経過とともに複数のサンプルを取り出すために、光信号の同期サンプリングを行うことと、
光信号品質を示すためにカーネルベースの機械学習アルゴリズムを適用することにより、サンプル集合の分布を評価することとを含む。
【0043】
第8の態様により本発明は、光信号を監視する方法を提供する。この方法は、
少なくとも2つのタップ点において、光信号から異なる成分を取り出すことと、
ビットレートに近いか、またはビットレートより小さいバンド端を有する光学フィルタで少なくとも1つの光信号成分をフィルタリングすることと、
サンプル集合を取り出すために、少なくとも2つのタップ点から光信号をサンプリングすることと、
時間の経過とともに複数のこのようなサンプル集合を取り出すことと、
光信号品質を示すためにサンプル集合の分布を評価することとを含む。
【0044】
光学フィルタは、好ましくは、ビットレートに実質的等しい、もしくはそれより小さい帯域幅、または光信号帯域幅を有する狭帯域フィルタである。DPSK信号では、フィルタ端はビットレートに等しい。
【0045】
第8の態様の実施形態は、DPSK、NRZ、RZなどのような一部または全てといった可変変調形式の光信号の監視を可能にするために、好ましくは構成される。
【0046】
本発明の第1ないし第8の態様の実施形態は、ゼロ復帰(RZ)または非ゼロ復帰(NRZ)変調信号のような振幅偏移変調(ASK)信号に関して、および/または差動位相偏移変調(DPSK)といった位相偏移変調(PSK)信号に関して適用される。監視されている信号の変調手段は、得られた位相図の特徴的形状に対する参照により決定される。
【0047】
いくつかの実施形態では、本発明は、2005年10月13日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2005905668号、2006年3月3日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2006901088号、および2006年10月5日に出願されたオーストラリア仮特許出願からの優先権の主張と本出願によって、本出願と同時に出願された国際特許協力条約(PCT)出願の技術および開示と併せて適用される。同時出願のPCT出願の内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
ここで、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について記載する。
図1は、本発明に従った2タップ非同期サンプリング光信号モニタの概略である。
図2は、タップ遅延Δτとサンプリング間隔Tsを有する図1のモニタによる光信号のサンプリングを図示している。
図3aないし図3fは、それぞれ図1のモニタの非同期サンプリング技術、同期サンプリングオシロスコープアイダイアグラム、及びシングルタップ非同期サンプルのヒストグラムにおける多重メカニズム劣化の影響の比較を図示している。
図4aおよび図4bは、35dBのOSNRが存在する場合のそれぞれ本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
図5aおよび図5bは、35dBのOSNRおよび160ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
図6aおよび図6bは、35dBのOSNRおよび400ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
図7aおよび図7bは、35dBのOSNRおよび800ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
図8は、1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する分散の影響を図示している。
図9は、ASEが存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する分散の影響を図示している。
図10は、ASEが存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する一次のPMDの影響を図示している。
図11は、1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する帯域内クロストークの影響を図示している。
図12は、同期アイダイアグラムと比較した、本発明のグレースケール密度散布図に対する分散の影響をさらに図示している。
図13は、同期アイダイアグラムと比較した、OSNRのレベルが変化する場合の本発明のグレースケール密度散布図に対する分散の影響を図示している。
図14は、タップ遅延が変化する場合の散布図の形状の変化を図示している。
図15は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタの2つの代替的な実施形態を図示している。
図16は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらなる2つの実施形態を図示している。
図17は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタの他の実施形態を図示している。
図18は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらに他の実施形態を図示している。
図19は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらに他の実施形態を図示している。
図20は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタの他の実施形態を図示している。
図21は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらなる実施形態を図示している。
図22は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタの他の実施形態を図示している。
図23は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらに他の実施形態を図示している。
図24は、劣化を起こさずに図23の回路の決定閾値を変化させる効果を図示している。
図25は、劣化を起こす図23の回路の決定閾値を変化させる効果を図示している。
図26aおよび図26bは、「同期」アイダイアグラムの近似が、非同期に得られた散布図または二次元ヒストグラムから生成される方法を示した図である。
図27は、第3の(縦)軸に対しそれぞれのサンプル集合のサンプリング時間をプロットすることにより第3の次元が生成される、2サンプルのサンプル集合のプロットである。
図28は、減損のない光信号から非同期に得られるサンプル集合の三次元散布図である(それぞれのサンプル集合は3つのタップ点から導かれる)。
図29は、光ネットワーク内の典型的な減損のシミュレーションを図示している。
図30は、図29のシミュレーションにより出力される減損の組み合わせを予測するために、リッジ回帰および線形カーネルを使用した機械学習アルゴリズムを使用した結果を図示している。
図31は、遅延1ビット周期で2つのサンプルタップの出力を使用する線形カーネルの予測精度を図示している。
図32は、遅延1ビット周期で2つのサンプルタップの出力を使用する次数3の多項式カーネルを持つ非線形カーネルの予測精度を図示している。
図33は、それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で5つのサンプルタップの出力を使用する線形カーネルの予測精度を図示している。
図34は、それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で5つのサンプルタップの出力を使用する次数3の多項式カーネルを持つ非線形カーネルの予測精度を図示している。
図35は、同期アイダイアグラムを入力として使用する線形カーネルの予測精度を図示している。
図36は、同期アイダイアグラムを入力として使用する次数3の多項式カーネルである非線形カーネルの予測精度を図示している。
図37Aおよび図37Bは、アイダイアグラムを機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ図示している。
図38Aおよび図38Bは、5タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ図示している。
図39Aおよび図39Bは、2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ図示している。
図40ないし図42は、色分散を診断する際にRZ、NRZ、およびNRZ−DPSK形式を適用した本発明の他の実施形態を示した図である。
図43は、本発明の他の実施形態によるOSNR解析のアーキテクチャを図示している。
図44ないし図47は、図43のアーキテクチャの出力およびOSNR解析技術を図示している。
図48は、光サンプリングを使用する本発明の一実施形態を図示している。
図49および図50は、本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を図示している。
【0049】
図1は、本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタ100の概略図である。少量の光パワーはDWDM信号からタップされるとともに、監視される光チャネルは同調可能な光学フィルタ110により選択されて、その後、高速レシーバ120により検出される。レシーバ出力は2タップ遅延ラインを通過するとともに、デュアルチャネルA/Dサンプラー130により非同期的にサンプリングされ、その後、サンプルペア(x1,n,x2,n)がそのような多数のサンプル集合の確率密度関数を構成するためのプロセッサ140に渡される。x(t)が、光学的に逆多重化されたチャネルを表す場合、サンプルペアは以下の式で得られる。
x1,n=x(nTs)
x2,n=x(nTs+Δτ)
ただし、Δτは、タップ間の時間を表し、1/Tsは、サンプリングレートである。図1のモニタ100は、電気的領域においてタップ遅延Δτをもたらすために、光レシーバ120の後ろにある簡単な2タップ遅延ラインの使用によって、本発明の簡単な手段を提供する。
【0050】
図2は、3つのサンプルペア、すなわち(x1,1,x2,1)、(x1,2,x2,2)、および(x1,3,x2,3)が得られたときの図1のモニタ100による光信号のサンプリングのタイミングを図示している。図2の時間スケールはTsに関するスケールと異なり、本発明の実施形態のように、サンプリングレート1/Tsは、ビットレートよりも数桁遅く、サンプルの間には、数千ものビットがあることに留意されたい。サンプリングレート1/Tsはビットレートと無関係であるため、非同期サンプリングが実行される。
【0051】
図2に示されている実施形態では、タップ遅延Δτは、ビット周期のうちのごくわずかであり、実際には、波形の勾配および振幅の近似的基準を与えるものである。タップ遅延Δτは、他の実施形態では、ビット周期の一部分よりも大きい。例えば、タップ遅延Δτは、ビット周期とほぼ等しい。
【0052】
プロセッサ140は、(x1,x2)の二次元ヒストグラムとも呼ばれる、x2対x1の二次元散布図の形式をとる、サンプルペアの確率密度関数を表すヒストグラムを形成する。図3aおよび3dは、サンプルペアの確率密度関数のそのようなプロットを図示している。図3aは、分散(1600ps/nm)、増幅器の自然放出雑音(ASE)(OSNR=31dB)、および一次偏波モード分散(PMD=20ps)を含む劣化源の組み合わせにより歪みを生じる、シミュレートされた10Gbit/sの非ゼロ復帰(NRZ)チャネルの2点非同期サンプリングにより得られた信号を表すものである。タップ遅延Δτは、ビット周期の1/8に設定されている。図3bは、同期サンプリングオシロスコープにより同じ歪み信号から得られたアイダイアグラムを図示しているとともに、図3cは、同じ歪み信号の単一タップサンプリングから得られるヒストグラムを図示している。特に、信号品質(Q値およびタイミングジッタ)の基準は、図3aに示されている破線にそった点の分布の評価から見つけることができ、これにより、本発明は、図3bに示されている破線の評価と似た方法でそのような信号品質の基準を提供する。
【0053】
図3dは、雑音および歪みが無視できるくらい小さい、シミュレートされたクリーンな10Gbit/sのNRZチャネルの非同期サンプリングにより本発明に従って得られたプロットであり、図3eは、同期サンプリングオシロスコープにより同じ明瞭な信号から得られたアイダイアグラムを図示しているとともに、図3fは、同じ明瞭な信号の一次元ヒストグラムを図示している。図3aないし図3dの比較から、本発明により提供された信号の表現に関して説明されている劣化メカニズムの影響がわかる。図3bと図3eとの間、および図3fと図3cとの間について類似の比較を行うことができる。減損の特性は、図3aおよび図3dに示されているサンプルのペアの二次元ヒストグラムを解析することにより調べることができる。図3cおよび図3fに示されているような一次元ヒストグラム技術とは異なり、図3aおよび図3dの二次元ヒストグラムは、パルス形状、特に減損の大きさおよび性質を示す有用なシグネチャを備えることが多い立ち上がり、および立ち下がり領域に関する情報を含む。
【0054】
図3bおよび図3eを生成する既知の同期サンプリングの利点は、ビット誤り率(BER)に直接関係する波形特性の直接的な基準を与えるという点である。特に、同期サンプリング範囲は、ビット周期内の任意のタイムスライスにおける信号振幅のヒストグラムを生成することができる。目の中心におけるヒストグラム基準(図3b内の縦の破線により示されている)は、一般的に使用されるBERの推定値であるQ値を決定するために使用される。対照的に、一次元非同期ヒストグラム内で開いている目に関する情報は、図3cおよび3fに図示されているように遷移領域により隠される。
【0055】
本発明の実施形態は、非同期サンプリングを行う、したがって、目の中心における振幅分布の直接的な基準を与えない一方で、しかし本発明では、類似の情報を与えることができる条件付確率分布の測定を行うことができる。例えば、振幅が類似しているサンプルペアの分布を測定することが可能であり、実際にこれは、図3aの長い破線または長軸に沿って並ぶ点の分布の測定である。時間遅延が小さい場合(つまり、Δτ<1/8ビット周期)、これは、勾配ゼロの領域で波形をサンプリングすることと同等である。これらの領域は、目の中心のところに出現する傾向があるため、この分布は、目の開きの尺度を与えることができる。
【0056】
タイミングジッタまたはゼロ交差時間の分布は、アイダイアグラムから抽出された信号品質のもう1つの共通基準である。類似の情報は、本発明の実施形態から図3a内の短い破線または短軸に沿った点の分布を測定することにより得ることができる。
【0057】
BER推定の有益な適用に加えて、本発明のさらなる実施形態では、異なる減損メカニズム間の診断的識別を行うことができる。図4a、図5a、図6a、および図7aは、監視信号が分散により歪まされる場合に本発明の2タップ非同期サンプリング技術の散布図がどのような影響を受けるかを確認しやすく図示している。図4b、図5b、図6b、および図7bは、同期アイダイアグラムに関して分散により引き起こされる同じ信号歪みの非常に不明瞭な影響を図示している。
【0058】
図4aは、本発明に従って光信号から得られるx2対x1の散布図であり、光信号は35dBのOSNRを有し、分散の影響を被らない。図4の散布図を得る際に、光学的領域においてタップ遅延が生じた。変動する光学遅延の損失問題解消のために、エルビウムドープファイバ増幅器が監視されている光信号のブーストに使用された。次いで、ブーストされた光信号は、3dBのカプラにより2つの経路に沿って等しく分割された。これらの経路の1つは、変動する光遅延ラインの影響を受け、その結果変動するタップ遅延Δτが生じた。他の経路は、減衰され、変動する光遅延の損失と一致した。次いで、2つの光路は、2つの光入力を備えるデジタル通信アナライザ(DCA)によりサンプリングされ、2つのタップのプロットを直接表示できるようにする。DCAは、分離された50MHz信号発生器により非同期にトリガされた。
【0059】
タップ遅延Δτは、図4a、図5a、図6a、および図7aを生成する際に実質的に1ビット周期に等しくなるように設定されていたため、実質的に矩形の散布図は、(0,0)、(0,1)、(1,0)、および(1,1)の正規化されたサンプル集合に対応するその矩形の四隅およびそれらの点の間の可能なすべての遷移にそって同様に出現する非同期サンプルとともに生成される。特に、(0,0)と(1,1)との間の遷移は可能でない。したがって、(0,1)と(1,0)との間の遷移である対角線上の遷移がただ1つ存在する。この対角線上の遷移は、後の図では、Δτが実質的に1ビット周期に等しい場合に分散の重要な識別子であることがわかる。特に、対角線上の遷移の上にサンプルがある場合、これは、010または101のいずれかのビット列の出現を示す。いくつかの減損の下で、これら2つの異なるビット列は、異なる特徴的な立ち上がり時間および立ち下がり時間を有し、これは、対角線上の遷移の分割または拡大により散布図において識別可能である。
【0060】
垂直方向および水平方向のすべての遷移は一方向でのみ可能であるが、(1,0)と(0,1)との間の対角線上の遷移はいずれの方向でも可能であり、したがって、垂直方向および水平方向の遷移のサンプル密度の実質的に2倍となると予想できることに留意されたい。
【0061】
図4bは、図4aを生成するためにサンプリングされたのと同じ光信号により生成される同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムを図示している。
【0062】
図5aは、本発明に従って図4aおよび4bを生成する際に監視されたのと類似の光信号から得られるx2対x1の散布図であり、この信号はここでは160ps/nmの分散の影響を受ける。原点に向かう湾曲の形状の対角線上の遷移の偏差は、すでにある程度明らかである。図5bは、同じ信号の同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムとなっている。図5aとは対照的に、図5bのアイダイアグラムには、分散の診断を可能にする特別な特徴が明らかでない。
【0063】
図6aは、信号がここでは400ps/nmの分散の影響を受けることを除き図4a、図4b、図5a、および図5bを生成する際に監視したのと類似の光信号から本発明に従って得られるx2対x1の散布図である。原点に向かう湾曲の形状の対角線上の遷移の偏差は、次第に明らかになってくる。図6bは、同じ歪んだ信号の同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。図6bのアイダイアグラムは、データの頂点のある種の狭まりとデータの谷の広がりを示す。しかし、この特徴は明らかではない。
【0064】
図7aは、信号がここでは800ps/nmの分散の影響を受けることを除き、図4a、図4b、図5a、図5b、図6a、および図6bを生成するために監視されたものと類似の光信号から本発明により得られるx2対x1の散布図である。原点に向かう湾曲の形状の対角線上の遷移の偏差は、顕著であり、分散が診断される特徴を示す。図7bは、同じ信号の同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。図7bのアイダイアグラムは、さらに、図6bと比較したときのデータの頂点の狭まりおよびデータの谷の広がりを示す。この特徴は分散の診断を可能にする一方で、存在する分散の量を定量化することは困難である。
【0065】
図4ないし図7に示したように、1ビット周期のタップ遅延で得られる散布図により、サンプリングされた光信号の他の特性もさらに解析できることに留意されたい。例えば、頂点(0,1)および/または(1,0)における散らばりの評価は、低い0が低い1に先行するかどうかといった、相関情報が取り出されることを可能にする。
【0066】
減損のタイプおよび大きさの違いに対する非同期モニタの能力を図示しているさらなるシミュレーションは、図8ないし図11に示した。図8および図9は、それぞれ、散布図を並べたものである。図4ないし図7に示したようなx2対x1をプロットするより、むしろ図8および図9のプロットは、(x1−x2)対(x1+x2)であり、点(0,0)及び点(1,1)が、それぞれ水平軸上にプロットされるように図4aの矩形を実質的に回転させて視覚化される。図8および図9のそれぞれの列の散布図は、左から右へ共通タップ遅延をΔτ=1ビット周期、Δτ=1/2ビット周期、Δτ=1/4ビット周期、およびΔτ=1/8ビット周期として得られたものである。散布図のそれぞれの行は、上から下へ0ps/nm、160ps/nm、320ps/nm、480ps/nm、640ps/nm、および800ps/nmの共通の分散量に対する信号の対象から得られる。
【0067】
図8および図9は、図4ないし図7の結果を補足したものであり、(1,0)と(0,1)との間の遷移を示すのに、分散を診断するともに監視するための潜在的特徴である。つまり、分散は、図中の800が示しているように、プロットの原点に向かう湾曲を引き起こすのに、この遷移上の識別可能な特徴を有する。図8の散布図を得るためにサンプリングされた信号は、増幅器の自然放出雑音(ASE)を全く受けていなかったが、(1,0)−(0,1)遷移に対する分散の特徴は、図9で図示され図中の900が示しているように、ASE(OSNR=22dB)の存在下において依然として明白であることに留意することは重要である。対称の度合いなどの他の基準も、同様に有用な際立って顕著な特徴である。
【0068】
図10は、ASE(OSNR=22dB)が存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延に対する(x1−x2)対(x1+x2)のプロットに関する一次PMDの影響を図示する。特に、一次PMDが0から50psまで高まるにつれ、散布図には、1/2ビット周期の、またはそれよりも短いタップ遅延に対し顕著な平坦化が生じる。つまり、散布図の(1,0)領域は、散布図の(0,1)領域と同様に、一次PMDが大きくなると水平軸に向かって移動する。ここでもまた、散布図中のこの特徴または他の特徴は、ASEのような他の劣化メカニズムが存在している場合でも、一次PMDの診断に役立つ。
【0069】
図11は、1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延に対する(x1−x2)対(x1+x2)のプロットへの帯域内クロストークの影響を図示している。二次元プロットの視覚的観察は、帯域内クロストークがASEと似た影響を有することを示す。したがって、帯域内クロストークは、分散または一次PMDとして誤診断される可能性はない。図11の二次元プロットから帯域内クロストークとASEとを識別することは、難しい場合がある一方で、複数のサンプルペアからさらに情報を抽出するのは役立つ場合がある。例えば、サンプル密度が第3の次元としてプロットされる三次元散布図が構成される。
【0070】
図12は、本発明の散布図および同期アイダイアグラムに対する分散の影響についてさらなる比較を提供する。上側の4つの密度ヒストグラムは、図4a、図5a、図6a、および図7aと同じサンプルデータから、つまりΔτ=1ビット周期として10Gbit/s NRZ変調データの2タップサンプリングから得られたものである。したがって、図12の密度ヒストグラムは、図4a、図5a、図6a、および図7aの散布図の代替的な表現を提供する。図12の下側の4つのプロットはそれぞれ、上のそれぞれの密度ヒストグラムと同じ信号から得られた同期アイダイアグラムである。左から右へそれぞれの列において、密度ヒストグラムおよび同期アイダイアグラムを得るためにサンプリングされた信号は、それぞれ、0ps/nm、160ps/nm、400ps/nm、および800ps/nmの分散レベルによるものである。特に、それぞれのヒストグラムの左下隅の三角形は、対角線上の遷移が原点に向かって湾曲するため、分散の度合いを増すにつれて著しい「閉鎖」を受ける。その一方で、アイダイアグラムに対するそのような分散の影響は、かろうじて識別できる程度である。
【0071】
図13は、同期アイダイアグラムと比較した、OSNRのレベルが変化する場合の本発明の密度ヒストグラムに対する分散の影響を図示する。図13のすべての密度ヒストグラムおよびアイダイアグラムは、800ps/nmの純分散を有する10Gbit/s NRZ変調データから得られた。左から右へ、それぞれの列内で密度ヒストグラムおよび同期アイダイアグラムを得るためにサンプリングされた信号は、それぞれ、25dB、30dB、および35dBのOSNRを有した。再び、2タップヒストグラムにおける分散の典型的な特徴、つまり、原点に向かう対角線上の遷移の湾曲は、OSNRの悪条件の下であってもそのままはっきり識別できる。もう一度、それに対して、アイダイアグラムはデータの頂点の狭まりとベースの広がりを示しているが、存在する分散の量を定量化するには不十分な情報しか提供されない。
【0072】
調節可能な遅延Δτを組み込むことにより、追加の自由度を得ることができる。例えば、図8および図9は、遅延Δτが1ビット周期に等しい場合に分散の特徴が最もよく見られることを示唆するのに対して、図10は、遅延が1/4ビット周期以下である場合に一次PMDに対するシグネチャが最もよく見られることを示している。したがって、調節可能な遅延Δτの追加の自由度は、複合した劣化の源を分離し、個別に診断するうえで役立つ。
【0073】
図14は、非減損信号に対する、タップ遅延の変化に伴う散布図の形状の変化を図示している。図14には、それぞれの各タップ遅延Δt=B/8、B/4、B/2、7B/8、15B/16、B、17B/16、9B/8、3B/2、7B/4、15B/8、および2Bについて散布図が示されている。ただし、Bはビットレートである。再び、ちょうど1ビットの遅延(Δt=B)については、一意的なパターンが形成されることに留意されたい。したがって、この一意的なパターンの形成は、タップ遅延がビットレートに等しいことを確認するのに利用できる。そのため、タップ遅延を知ることにより、ビットレートの診断判定が可能になる。特に、2ビットのタップ遅延(Δt=2B)に対するパターンと、1ビットに等しいタップ遅延に対するパターンとでは、前者は両方の診断遷移を有するが、後者は1つの診断遷移しか有しないという点で異なる。Δt=15B/16および17B/16の散布図を見るとわかるように、タップ遅延が1ビット周期からわずかでも変動すると、対角線上の遷移の縮退の損失が生じ、2つの分離した曲線が生じる。
【0074】
B/2未満の遅延の場合、これらのプロットは、それぞれのビット内におけるパワーの展開の典型である。波形は、0→1の遷移に対しては下側曲線にそって大きくなり、1→0の遷移に対しては上側曲線にそって後退する。
【0075】
先行する実施形態は、2つのサンプルタップを処理するモニタとの関係によって記載されている一方で、本発明の代替的実施形態は、使用するタップ数を増やすことにより、波形、および波形の歪みに関するさらに多くの情報を抽出できることに留意されたい。例えば、3つのタップは、湾曲の分布に関する情報を与えることができた。
【0076】
したがって、本発明は、劣化タイプの診断的識別を可能にすることができる(ASE対分散対PMD対帯域内クロストークなど)。これは、光ネットワークの分野では重要な機能であり、多経路光ネットワークが次第に高度なものになってゆくにつれ価値が高まる可能性がある。
【0077】
これらの好ましい実施形態の上記の説明、および添付の図1ないし図14は、タップ間に時間遅延がある2タップサンプリングに関係する一方で、本発明の他の実施形態は代替的な方法で互いから区別されるタップ点を利用することが認識される。例えば、信号の光学的および/または電気的な前処理の範囲は、タップ点をサンプリングする前に実行される。
【0078】
図15は、光通信システムから得られた光信号が2つのアームに分割され、そのアームの1つは光学的領域(上側概略図)または電気的領域(下側概略図)のいずれかにおいて時間遅延を受ける、2つの代替的な実装を図示している。アームは両方とも、光検出器により光学的領域から電気的領域に変換され、後に処理のためADCによりデジタル化される。
【0079】
図16は、それぞれのアームが異なる光学フィルタによる光学フィルタリングを受ける本発明のさらなる実施形態を図示している。もう一度、アームの1つは、光学的領域(上側概略図)または電気的領域(下側概略図)のいずれかにおいて、時間遅延を受ける。これら2つのフィルタは、明確な特性(例えば、異なる中心周波数)を持つとともに、そのような実施形態では、時間遅延Δτはゼロに設定される。
【0080】
図17では、電気的フィルタは、光検出器の後に配置され、A/Dサンプリングに先行する。それぞれのアーム内の電気的フィルタは異なる特性を持つ(例えば、これらは異なる中心周波数を有する狭帯域通過フィルタである)。再び、この場合、タップ時間遅延は、Δτ=0のオプションを含む。図18は、図15ないし図17の特徴を単一アーキテクチャにまとめたものであり、それぞれのアーム内で光学的および電気的処理の両方が可能である。再び、時間遅延は、光学的領域または電気的領域のいずれかに負担させることが可能であった。図16および/または図18の光学フィルタは、異なる中心周波数を持つ狭帯域光学フィルタとすることが可能であった。
【0081】
さらになお他の実施形態では、偏光素子が光遅延ラインの一方のアームまたは両方のアームに配置される。
【0082】
図19は、単一の光検出器のみが要求されるさらに他のアーキテクチャを図示しており、分割は電気的領域内で行われ、時間遅延は分割された電線のアームに負担される。図20は、デジタル化を実行する前に電気的領域内にRFフィルタを入れることにより図19を拡張したアーキテクチャを示す概略図である。
【0083】
図21は、単一の光検出器のみが必要とされ、さらに単一のADCのみが必要とされる、さらに他の実施形態を示している。次いで、ADCのデジタル出力は、2つのラインに分割され、1つはデジタル信号のサンプリングオフセットにより実現され、時間遅延を受ける。図22は、一方または両方のデジタルストリームのデジタル信号処理を提供することにより図22を拡張したアーキテクチャを示している。
【0084】
図23は、それぞれのサンプルを得るために(複数の)ADCが使用されない代わりに閾値化が適用される図21および図22に関する他の変更形態を示している。このような回路で観察されるのは、(0,0)、(0,1)、(1,0)、または(1,0)のサンプル集合を検出する相対的確率である。異なる閾値レベルおよび/または異なる時間遅延Δτについてこれらの確率を測定することが好ましい。図24および図25は、劣化を被らない光信号をサンプリングするときに(図24)、または640ps/nmの分散を被る光信号をサンプリングするときに(図25)、図23の回路内の決定閾値を変化させる効果を示している。図24aは、対応する2タップ非同期散布図を示しているとともに、図24dは、対応する同期アイダイアグラムを示している。図24b、図24c、図24e、および図24fは、サンプルペア(0,0)、(1,0)、(0,1)、(1,1)をそれぞれ測定する確率を示している。
【0085】
ここで、本発明の他の実施形態について、図40ないし図42を参照しながら説明する。実用性のある全光ネットワーキングの実装には、同じファイバ上で複数の変調形式を伝送できる複雑なDWDMシステムを適切に管理可能にするために、費用効果の高い、しかも柔軟な監視が要求される。非ゼロ復帰(NRZ)およびゼロ復帰(RZ)などの振幅偏移変調(ASK)形式は、すでに現在のDWDMシステムにおいて遍在しており、差動位相偏移変調(DPSK)などの位相変調形式は、ロバスト性が高まるため、回線速度が10Gbit/sから40Gbit/sになるとより一般的なものとなる。理想的には、光学的監視は、これらの形式すべてに対応できなければならない。さらに複雑な要求に対し、クロック抽出を邪魔する、色分散が等化される可能性のないネットワーク内のさまざまな地点(例えば、再構成可能型光アド・ドロップマルチプレクサ(ROADM:Reconfigurable Optical Add Drop Multiplexers)においても同様に監視が必要になる。
【0086】
DPSK変調の検出のために、狭帯域光学フィルタリングが、干渉計レシーバの代わりとして提案される。幸い、このフィルタリングは、ネットワークを通して複数の変調形式を監視する費用効果の高い手段を同様に提供する。DPSKに使用される光学フィルタは、Hz単位のほぼビットレートに等しい帯域幅(例えば、10Gbit/sは、10GHzの3dB帯域幅)を必要とする。しかし、同じデータ転送速度のASK信号は、より広いスペクトル成分を持つため、フィルタリングにより歪みが生じる。
【0087】
この実施形態では、狭帯域フィルタリングは、非同期遅延タップ技術と組み合わされ、複数の変調形式とともに動作できる柔軟でクロックを必要としないモニタを提供する。図40ないし図42の狭帯域フィルタ手法を評価するために、ここで、10Gbit/sのNRZ、RZ、およびNRZ-DPSK形式に対するモニタ信号を異なるレベルの色分散と実験的に比較する。この比較は、同様に、好適なフィルタの使用により、40Gbit/sに合わせてスケーリングすることができる。
【0088】
図40ないし図42の実施形態の変調形式の生成に関して、単一の10Gbit/sチャネルが比較に使用されており、223−1のPRBSを使用している。NRZおよび50%のデューティサイクルRZは、適切にバイアスされたMZ変調器のペアにより生成された。NRZ−DPSKは、遷移と遷移との間で要求されたπ位相シフトを与えるようにバイアスされた分離型強度変調MZ変調器から生成された。このようにしてDPSKを生成することで、駆動条件が最適に達しない条件である場合に、位相変調器に出現するチャープ生成の問題を回避する。その後、変調されたチャネルは、色分散を加えるためにさまざまな長さの単一モードファイバに通された。全体的損失は、光減衰器により一定に保たれた。これらの3つの形式はすべて、10GHzの3dB帯域幅を有するファブリー・ペロー光学フィルタ、および15GHzの帯域幅を有する電気的増幅ピンフォトダイオードからなる同じレシーバ構成により監視された。3dBのRFパワースプリッタおよび遅延ラインは、1ビット(100ps)遅延を有する2つの電気的信号をデジタル通信アナライザに提供するために使用され、標準のアイダイアグラムを生成するために1つの信号を同期的に、または二次元「位相図」を生成するために両方の信号を非同期的にサンプリングした。
【0089】
変調形式の比較は図40に図示されており、これは、25kmずつ、分散が単一モードファイバの0kmから100kmまで増やされたときのアイダイアグラムおよび対応する位相図の両方を示している。50kmを超えると、RZは劣化が極端になるためあまり重要でなくなる。代わりに、比較のため、分散がなく非常に広い70GHz光学フィルタを通したRZおよびNRZの挿入図を示す。
【0090】
監視の意味:図40ないし図42の位相図は、3つの変調形式間の際だった差を示しており、変調形式を認識する潜在性を強調している。それぞれの形式において、これらの図は、同様に、分散の増大とともに生じる特徴的であるが異なる変化を示している。例えば、先のNRZの対角線上の湾曲は、図8および図9に関係して(例えば、色分散の直接的基準を有するものとして)示されている。図41は、より小さい範囲の応答であるが、広帯域光学的70GHz逆多重化フィルタと同様に、この関係がそのまま、10GHzを中心とする狭帯域フィルタで成立することを示している。同様に、RZ位相図は、光広帯域幅についても指摘されているのと同様に最終的に箱型の形態をとる左下隅の分割を示している。遅延タップ技術のパワーは、NRZ−DPSKのプロットにおいて特に明らかである。分散が増大するにつれ、標準アイダイアグラムの交差部分の勾配変化は、NRZ−DPSK相図内で明らかな特徴、特に対角線上の逆になった湾曲、および位相図の下側および左側の消失に比べてかなり検出が難しい。
【0091】
遅延干渉計の代わりに狭帯域フィルタを使用することでDPSKレシーバは異なる性能を備えるが、しかしこれは、監視目的に関して重要な問題ではないことに留意されたい。図40cからわかるように、狭帯域フィルタリングのあるNRZ−DPSKの目は、最初に、劣化が始まる前に増大する分散とともに改善される。その効果は、これまでDPSK伝送の到達範囲を広げるために使用されてきた。逆に、干渉計レシーバおよびより広い光学フィルタを使用するDPSKは、図42からわかるように、増大する分散とともに連続的に劣化する。しかし、図40cの位相図における違いは、この効果が、従来の較正でも説明できることを示している。
【0092】
図40ないし図42に示されている結果は、10Gbit/sで測定された。しかし、同じ傾向は、40Gbit/sで適用されるが、分散の限界は比較的強い。さらに、対応する40GHzフィルタについて、任意の形式または最大40Gbit/sまでのビットレートのASK信号は、この技術を使用してこれらの信号が効果的に監視されるほど十分な影響を受けないフィルタを通過することに留意されたい。DPSKは複雑であるが、ロバストであるため、これは40Gbit/sの展開に対するより有望な候補となり、したがって、上記のモニタは、10bit/sおよび40Gbit/sの使用されうる変調形式を監視する実用的な単一の手段を提供すると結論される。
【0093】
図40ないし図42の実施例は、DPSK信号だけでなくRZおよびNRZなどのASK形式に対する同じデータ転送速度を監視するために、非同期遅延タップサンプリング法とビットレートにほぼ等しい幅の狭帯域フィルタとを組み合わせると有効であることを示している。これは、さまざまな変調形式およびビットレートを有するWDMチャネルを含むファイバの管理を可能にする将来の全光ネットワークにおいて重要なものとなる。
【0094】
次に、本発明の他の実施形態によるOSNR解析プロセスについて、図43ないし図47を参照しながら説明する。図43は、ハードウェア構成4300を図示している。パワーPsを有する入力信号4310は、ランダムな未知の角度θで偏光されるとともに、多方向矢印4320により図示されているように無偏光のパワーPASEの増幅器の自然放出雑音(ASE)を伴う。入力分極コントローラは、入力信号4310が偏光ビームスプリッタ(PBS)に通されるとともに、2つのアームに分割される前に使用されることはない。第1のアームは、注目する信号の一部分γPsを伝送するともに、同様にASE信号パワーの半分を伝送する信号4330を伝送する。第2のアームは、注目する信号の一部分(1−γ)Psを含むとともに、同様にASE信号パワーの半分を伝える信号4340を伝送する。
【0095】
その後、2つのアーム内の信号4330および4340は、好適な光検出器により独立に検出されるともに、電気的領域に変換される。この時点で、このアーキテクチャは、参照により本明細書に組み込まれている国際特許出願PCT/AU2006/000560の開示に一部類似している。しかし、本発明の実施形態では、2つの光検出器の出力は、時間の経過とともにサンプル集合を取得するために(サンプル間に時間遅延は課されずに)、本発明により直接的にサンプリングされる。したがって、信号の利得補償および電気的領域減算は、この実施形態では適用されない。
【0096】
その後、2つの検出器出力から得られるサンプル集合の同時確率分布が解析される。図44に示された例示的な同時確率分布の正規化されたプロットは、この実施形態の重要な特徴を与える。図44の同時確率分布の長軸は、データ変調のため受信パワーの変動に対応する。これらの振幅変動は、データ転送速度よりも非常に遅い帯域幅を使用した場合であっても持続する。この長軸は、x軸となす角度θ(レシーバ1)により定められるとともに、信号4310と偏光ビームスプリッタ(PBS)軸との相対的アライメントに対応する。長軸の方向は決定される。
【0097】
その後、短軸の標準偏差(長軸に直交する)σminが計算される。これは、システム内の雑音の直接的な基準である。例えば、雑音がほとんど、またはまったくない場合、図47に図示されているように、このプロットは細い線であるとともに、σminは小さい。雑音が大きい場合、図46に図示されているように、線は太くなる。
【0098】
σminは、角度θに依存して、信号自然ビート雑音からの寄与分、および光増幅器からの自然−自然ビート雑音を含む。同様に、感度を決定する基本的な熱雑音フロアがある。図45のプロットを参照すると、これは、8dBの良くないレベル(最上位の結果)から29dBの良好なOSNRレベル(最低位の結果)までのOSNRについて、σminを対数スケール(dBm単位の雑音フロアに対応する)で角度θに対し図示している。2つのレシーバアームの差は、プロットに示されているように非対称の原因となる。しかし、このような非対称は、較正により除去することが可能である。フロアは、最も信号自然ビート雑音を含むため、45°で最大となる。0°及び90°の角度では、一方のアームまたは他方のアームに信号はないため、確率密度関数の幅σminは、純粋に自然−自然雑音および熱レシーバ雑音である。
【0099】
様々なOSNRに対する曲線の線形オフセットは、角度θと短軸の分散(または標準偏差)σminとの組み合わせが、雑音フロアの位置の一意な決定を与え、これがOSNRを測定するために必要なものであることを明確に示している。図45のプロットのエッジ(0°および90°)において、その結果は、20dB以上のOSNRについては識別不可能となる。これは、この実施例に使用されている電子回路の熱雑音フロアによるものであるとともに、基本的な限界を表すわけではない。図45は、30psのPMDがある場合とない場合のデータを含み、OSNR測定技術がPMDの影響を受けないことを示している。
【0100】
この実施形態をさらに図示するために、図46は、低OSNR、および45°付近の入力偏光回転角度の信号から得られる特定の場合を図示するために用意された二次元ヒストグラムまたは確率密度関数である。同様に、図47は、高OSNR、および0°付近の入力偏光回転角度の特定の場合を例示するために用意された二次元ヒストグラムまたは確率密度関数である。
【0101】
図43に示されたものと類似の他の実施形態は、本発明により提供される。例えば、レシーバは、受け取った光パワーの測定を含むことができるか、またはレシーバは、ACまたはDC結合される。解析される信号が振幅変調ではなく、位相または他の手段を使用して変調される場合、上記の解析は、多少修正する必要があるが、本質的な特徴はそのままである。長軸は、もはや、データ変調によって定められることはないが、より大きく受け取ったパワーを持つアームにより定められる。長軸および短軸の標準偏差の解析は、OSNRを与える。それとは別に、これらのシステムにおける振幅雑音に対する位相は、結果として、通常は、ある程度の振幅リップルが生じるとともに、これが長軸を形成することになる。これらの状況下で、上で提案された短軸解析が行われる。
【0102】
本発明のさらに他の実施形態は、図48に例示されており、全光サンプリングにより実装される2タップ非同期監視を伴う。この実施形態では、超高速光学システム(>100Gb/s)に対し、電気的領域におけるサンプリングにより必要な時間分解能(<1ps)を費用効果のある形で達成することは難しいことと、より実用的な代替的手段は、波形を光サンプリングすることであることが認識される。この技術では、サンプリングパルス源4810からの短い光サンプリングパルスが、信号と混合されるとともに、非線形光ANDゲートに注入される。その出力は、低速レシーバおよび電子回路(<1GHz)により解析することができる。高速光ANDゲートは、例えば、二次非線形結晶にすることができる。パルスの源は、例えば、利得スイッチレーザーダイオードまたはモードロックレーザーとすることができる。この場合、時間遅延は、光学的領域にある。
【0103】
図26aは、「同期」アイダイアグラムの近似が、図26aの散布図で得られた非同期から生成される方法を図示している。散布図上のそれぞれの点の位置は、サンプリングされた信号のビット列に依存する。したがって、散布図中のそれぞれの「遷移」(複数の点からなる対角、垂直、および水平の「線」)は、その特定のビット列が出現したときに信号からサンプリングされた点のみで構成される。図26aに示されているように、これらの遷移は、A=001、B=010、C=101、D=011、E=110、およびF=100である。000または111の他の2つの可能なビット列は、プロットの右上または左下隅にのみに寄与し、示されたいずれの「遷移」にも寄与しないことに留意されたい。また、遷移BおよびCは、中心対角線上の実質的に同じ位置に置かれていることに留意されたい。
【0104】
図26aの散布図をこのように考えた場合、同期アイダイアグラムの近似は、それぞれの遷移にそった点の密度がタイミング情報を伝達することに留意することにより生成される。図26aにプロットされたサンプル集合が、ビット周期全体を通して一様に得られたとすると(つまり、例えば、ビット周期の中心にサンプルが集中せずに)、アイダイアグラム上の対応する遷移の勾配は、図26aの非同期ヒストグラム内のその遷移上の点の密度の逆数をとることにより決定される。例えば、遷移Fの中心の近くにある点が比較的少なく、アイダイアグラム内の対応する遷移の勾配は比較的急峻であることがわかる。したがって、このような「同期」アイダイアグラムは、図26aにプロットされたサンプル集合が、データクロックを取り出さなくても、データ転送速度に関して非同期に得られたという事実があるにもかかわらず生成または近似される。
【0105】
図26bは、xおよびy軸がサンプル集合値を表し、z軸が位相図のそれぞれの部分領域において得られたサンプル密度を表す二次元ヒストグラムである。
【0106】
図27は、第3の(縦)軸に対しそれぞれのサンプル集合のサンプリング時間をプロットすることにより第3の次元が生じる、2サンプルのサンプル集合のプロットである。図27に示されている三次元分布は、サンプル1またはサンプル2が時間に対しプロットされた場合、つぶれて従来のアイダイアグラムに戻る。同様に、三次元分布は、例えば、サンプル1が時間のプロットなしでサンプル2に対してプロットされた場合、つぶれて図14のプロットと同様の二次元分布に戻る。
【0107】
図15ないし図27は、2つのタップ点に関係する一方で、特徴のこれらまたは他の組み合わせは、3つまたはそれより多くのタップ点を使用するさらなる実施形態においても実装されることがさらに認められる。図28は、減損のない光信号から非同期に得られたサンプル集合の三次元散布図であり、それぞれのサンプル集合は3つのタップ点から得られた。1ビットの時間遅延は、第1のサンプルタップ点と第2のサンプルタップ点との間および、第2のタップ点と第3のタップ点との間に負担される。他の図の二次元散布図の場合のように、特定の「遷移」は不可能で、したがって、そのような遷移には点が現れないことに留意されたい。例えば、不可能な遷移の中でもとりわけ(1,1,1)から(0,0,0)への遷移上には点が存在することはない。
【0108】
前の図は、減損間の診断的識別を可能にする潜在性を有する特徴を分離するためにそのような散布図または信号点配置図の適応性および汎用性を図示している。例えば、010と101の遷移を表す線において明らかな湾曲は、色分散に強く関係する。
【0109】
本発明は、さらに、機械学習を利用することで信号減損タイプおよび/または重大度のそのような診断を補助することに利用されることがわかる。したがって、代替的な方法において、遅延タップ非同期モニタから得られる出力は、信号波形に寄与する減損の源を自動的に識別し、定量化する信号処理モジュールへの入力として使用される。処理モジュールは、教師有り学習技術に基づく。これらの技術は、限定はしないが、
・ 回帰、
・ リッジ回帰、
・ サポートベクター回帰を含む。
【0110】
これらの技術はどれも、線形カーネル
【数1】
または次数pの多項式カーネルなどの非線形カーネル
k(x,x')=(x・x'+1)p、ただしx=(xi)、x'=(x'i)∈Rd
とともに使用することができる。そのうえ他の教師有り学習技術も、ここで使用可能である。教師有り学習用のトレーニング集合は、シミュレーション、実験測定、または両方の組み合わせから生成される。本明細書で記載した好ましい実施形態では、非同期モニタからの出力は、2つまたはそれより多くのサンプルタップにより得られたものであろうとなかろうと、図26bに図示された二次元ヒストグラムなどの、トレーニング前の2またはそれより大きい次元のヒストグラムとして処理される。例えば、図28または図27に図示されたサンプル点により占有される体積は多数の部分体積に分割され、これにより、それぞれの部分体積内に入るサンプル点の個数を表す三次元ヒストグラムの作成を可能にする。
【0111】
例えば、線形カーネルを持つ2タップ非同期モニタ用のトレーニング集合は、さまざまなシミュレーション減損を伴う図29に示されているような典型的な光ネットワークをシミュレートすることにより生成された。モデル化された減損(範囲)は以下のとおりであった。
・ OSNR(15〜27dB)
・ 分散(0〜1600ps/nm)
・ 変調器チャープ(−1.5から1.5)
・ フィルタの離調(−20から+20GHz)
・ PMD(0〜50ps)
【0112】
1ビット周期のタップ遅延を有する非同期サンプルの集合は、7000個のランダムに生成された減損の組み合わせに生成された。その後、これらのサンプル集合は、リッジ回帰に基づくモデルの入力および検証として使用された。
【0113】
結果は、図30に示した。これらのグラフは、著しいレベルのOSNRが存在していない場合に、5つの同時減損を被るリンクについて、分散、チャープ(TX)、フィルタオフセット、およびPMD(DGD)の予測値(y軸)対「真」値(x軸)を示している。5つの減損タイプすべてに対する特定値の選択された予測は、(真値)/(予測)の形式で、以下の表1に示されている。
【0114】
【表1】
【0115】
図31は、遅延1ビット周期で2つのタップの出力を使用し、減損毎に説明された分散をプロットすることにより非同期にサンプリングされた線形カーネルの予測精度を図示している。説明された分散の値は、左から右への順で、OSNR(dB)、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期、およびQについて与えられている。予測精度は、分散(ps/nm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、ジッタ周期、およびQについては比較的高く、r(dB)についてはいくぶん正確であることがわかる。予測精度は、線形カーネルを使用する場合にはOSNRおよび光パワーについては良くない。標準光パワーメーターで十分なので光パワー予測の必要はまずほとんどないことに留意されたい。
【0116】
図32は、遅延1ビット周期で2つのタップの出力を使用するとともに、減損毎に説明された分散のプロットにより非同期にサンプリングされた、次数3の多項式カーネルを使用した非線形カーネルの予測精度を図示している。説明された分散の値は、左から右への順で、OSNR(dB)、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期、およびQが与えられている。図31に関係して、そのような非線形カーネルを使用した場合に、予測精度は、r(dB)については改善されているが、OSNRについては悪化していることがわかる。
【0117】
次に、機械学習アルゴリズムを伴うマルチタップ(5タップ)非同期モニタをテストした。この実験では、それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期において複数のタップを使用した。第1に、図33に示された結果とともに、線形カーネルは得られたサンプルに適用された。説明された分散の値は、左から右への順で、OSNR(dB)、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期、およびQについて与えられた。予測精度は、分散(ps/nm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、ジッタ周期、およびQについては比較的高く、r(dB)についてはいくぶん正確であることがわかる。予測精度は、タップを5つ持つそのような線形カーネルを使用した場合、OSNRおよび光パワーに対しては良くない。
【0118】
次に、図34に示された結果とともに、次数3の多項式カーネルである非線形カーネルは、得られたサンプルに適用された。説明された分散の値は、左から右への順で、OSNR(dB)、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、ジッタ周期、およびQについて得られている。予測精度は、分散(ps/nm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、ジッタ周期、およびQについては比較的高く、r(dB)についてはいくぶん正確であることがわかる。予測精度は、タップを5つ持つそのような非線形カーネルを使用した場合、OSNRおよび光パワーに対しては良くない。
【0119】
本発明による非同期モニタを光リンクに沿って配置することは有効であることに留意されたい。次いで、モニタからの出力は、好ましくは多次元ヒストグラムの形式で、管理チャネルを介して、中央処理点に渡され、そこでは、すべてのモニタからの情報はパターン認識モジュールに入る入力である。モニタの1つは、トランスミッタの近くに置かれるのが好ましい。
【0120】
本発明では、さらに、カーネルベースの機械学習技術は、同期アイダイアグラムから複数の同時減損を識別するとともに定量化するのに使用されることが認識される。図35は、減損毎に説明された分散をプロットすることにより、同期アイダイアグラムを入力として使用した線形カーネルの予測精度を図示している。説明された分散の値は、左から右への順で、OSNR(dB)、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、およびQについて与えている。予測精度は、r(dB)については比較的高いが、同期アイダイアグラムから減損を予測する線形カーネルを使用した場合、他の減損については良くない。
【0121】
図36は、減損毎に説明された分散をプロットすることにより、同期アイダイアグラムを入力として使用した次数3の多項式カーネルである非線形カーネルの予測精度を図示している。説明された分散の値は、左から右への順で、OSNR(dB)、分散(ps/nm)、光パワー(dBm)、クロストーク(dBm)、PMD(ps)、Df(GHz)、r(dB)、およびQについて与えられている。予測精度は、r(dB)については比較的高いとともに、図35に関しては、分散およびQに対する予測精度が改善されていることがわかる。しかし、予測精度は、非線形カーネルを使用して同期アイダイアグラムから減損を予測する場合、他の減損については良くないままである。
【0122】
図27の「マルチタップ同期アイダイアグラム」は、減損予測のため機械学習アルゴリズムへの入力として使用されることに留意されたい。
【0123】
図37は、アイダイアグラムを機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネル(図37A)および非線形カーネル(図37B)の予測精度を図示している。
【0124】
図38は、5つのタップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネル(図38A)および非線形カーネル(図38B)の予測精度を図示している。タップ遅延は、第1のサンプルタップに関して、1/8、1/4、1/2、および1ビットであった。
【0125】
図39は、1ビット周期のタップ遅延とともに、2つのタップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネル(図39A)および非線形カーネル(図39B)の予測精度を図示している。
【0126】
図37ないし図39は、それぞれの減損における性能を示している。図37B、図38B、および図39Bについて、次数3の多項式カーネルが使用された。図37ないし図39までのそれぞれのプロットは、0と1の間のみで説明された分散を示すように制限されている。したがって、非表示のボックスは、減損の予測精度が良くないことを示している。減損は、左から右へ、OSNR(光信号対雑音比)、D(分散)、Popt(光パワー)、P_Xtalk(クロストーク)、PMD(偏光モード分散)、Df(デジタルフィルタ周波数)、r(消光率)、ジッタ、およびQである。図37から図39では、50個の順列を用い、2000/1000テスト/トレーニング分割を使用してそれぞれの減損がテストされた(図31ないし図36の結果を生成する際に使用される25の順列と比べて)。それぞれの減損について、箱ひげ図は、中央値、第1四分位、および第3四分位を示している。ダークラインは、50回の試行(順列)の中央値を示し、ボックスの下側端は、第1四分位(25%)を、ボックスの上側端は、第3四分位(75%)を示している。したがって、試行の50%は、ボックスの内側にある。ひげは、ボックスから四分位間距離の1.5倍まで伸びている。円は、ひげの外側にある極値である。
【0127】
図37ないし図39から、いくつかの観察結果が得られる。第1に、線形カーネルから多項式カーネルに切り換えることで、性能が向上する。これは、アイダイアグラムの場合に特に当てはまり、予測精度は、D、P_XTalk、PMD、Df、およびQについては非常に改善する。さらに観察された結果として、マルチタップと2タップの場合の間における性能向上が挙げられる。これは、線形カーネルおよび多項式カーネルの両方の場合について当てはまるが、線形カーネルを使用する場合には特に顕著である。それに加えて、同期アイダイアグラムと非同期ダイアグラムとを比較すると、非同期の方法は、いずれのカーネルを使用してもよく動作することを示している。これは、使用されたモデルに関して、非同期データから減損を予測することが容易であることを示している。
【0128】
図49は、図29ないし図39に関してすでに記載された機械学習アルゴリズムを使用する減損予測の効果を図示している。図49aは、図49の左上に示され、以下の表2に繰り返されている、レベルの同時減損を有する信号に対するNRZ信号トレースの一部を図示している。図49aの信号について、図49bは位相図を図示しているとともに、図49cはアイダイアグラムを図示している。
【0129】
【表2】
【0130】
表2からわかるように、図49bの位相図から得られた機械予測は、実際の減損値と比較してきわめて良い精度を与える。さらに、さまざまなレベルの減損を使いそのような多数の信号をシミュレートするとともに、図49Bに示されているタイプの位相図からそれぞれのそのようなサンプルに対する予測精度を決定することにより、図49dの回帰プロットが生成される。これは、機械予測がOSNR、ジッタ、およびQについては非常に正確であり、分散、フィルタオフセット、および一次PMDについての精度のレベルが保障されていることを図示している。図49eは、異なる減損レベルを有する10個のそのようなサンプル信号に対する予測精度をさらに図示する。
【0131】
図50は、図29ないし図39および図49に関して先に記載した機械学習アルゴリズムを使用する減損予測の効果を図示している。図50aは、図50の左上に示され、以下の表3に繰り返されている減損レベルを有する信号に対するNRZ信号波形の一部を例示している。図50aの信号について、図50bは位相図を図示しているとともに、図50cはアイダイアグラムを図示している。
【0132】
【表3】
【0133】
表3からわかるように、図50bの位相図から得られた機械予測により、実際の減損値と比較して妥当な精度を与える。図50dの結果は、さまざまなレベルの減損を有する、特にそのような信号ごとに8〜11dBの範囲内の厳しいOSNRを持つそのような多数の信号をシミュレートすることにより得られた。このような厳しいOSNR減損の効果は、図50bの位相図および図50cのアイダイアグラムから明らかである。予測精度は、図50dの回帰プロットを作成するために、図50Bに示されたタイプの位相図からそれぞれのそのようなサンプルについて決定された。これは、そのような厳しいOSNR劣化が存在している場合でも、機械予測は、OSNR、ジッタ、およびQについて非常に正確であるとともに、また分散、フィルタオフセット、および一次PMDについては有望なレベルの精度が得られることを図示している。図50eは、異なる減損レベルを有するそのような10個のサンプル信号に対する予測精度をさらに図示する。
【0134】
当業者にとって、広範に記載されたように本発明の精神または範囲から逸脱することなく特定の実施形態に示されているようなさまざまな変更形態および/または修正形態を本発明に加えられることは自明である。例えば、減損監視技術は、RZ−OOKシステム内のパルスカーバーおよびデータ変調器との間のアライメント精度など、前記されていない減損の他のタイプに応用することができる。さらに、本明細書のビットレートまたはデータ転送速度に関する本発明の記載は、本発明の範囲内で、監視されている光信号において使用される変調方式に依存してシンボル転送速度、CDMAチップ転送速度、または他の変調関係の転送速度に等しく適用されることは自明である。したがって、本発明の実施形態は、すべての点で実施例であって、限定するものではないと考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明に従った2タップ非同期サンプリング光信号モニタの概略図である。
【図2】タップ遅延Δτとサンプリング間隔Tsを有する図1のモニタによる光信号のサンプリングを示した図である。
【図3a】図1のモニタの非同期サンプリング技術、同期サンプリングオシロスコープアイダイアグラム、及びシングルタップ非同期サンプルのヒストグラムにおける多重メカニズム劣化の影響をそれぞれ比較した図である。
【図3b】図1のモニタの非同期サンプリング技術、同期サンプリングオシロスコープアイダイアグラム、及びシングルタップ非同期サンプルのヒストグラムにおける多重メカニズム劣化の影響をそれぞれ比較した図である。
【図3c】図1のモニタの非同期サンプリング技術、同期サンプリングオシロスコープアイダイアグラム、及びシングルタップ非同期サンプルのヒストグラムにおける多重メカニズム劣化の影響をそれぞれ比較した図である。
【図3d】図1のモニタの非同期サンプリング技術、同期サンプリングオシロスコープアイダイアグラム、及びシングルタップ非同期サンプルのヒストグラムにおける多重メカニズム劣化の影響をそれぞれ比較した図である。
【図3e】図1のモニタの非同期サンプリング技術、同期サンプリングオシロスコープアイダイアグラム、及びシングルタップ非同期サンプルのヒストグラムにおける多重メカニズム劣化の影響をそれぞれ比較した図である。
【図3f】図1のモニタの非同期サンプリング技術、同期サンプリングオシロスコープアイダイアグラム、及びシングルタップ非同期サンプルのヒストグラムにおける多重メカニズム劣化の影響をそれぞれ比較した図である。
【図4a】35dBのOSNRが存在する場合のそれぞれ本発明によるx2対x1の実験散布図および35dBのOSNRが存在する場合の同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
【図4b】35dBのOSNRが存在する場合のそれぞれ本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
【図5a】35dBのOSNRおよび160ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
【図5b】35dBのOSNRおよび160ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
【図6a】35dBのOSNRおよび400ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
【図6b】35dBのOSNRおよび400ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
【図7a】35dBのOSNRおよび800ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
【図7b】35dBのOSNRおよび800ps/nmの分散が存在する場合の本発明によるx2対x1の実験散布図および同期サンプリングオシロスコープからの対応するアイダイアグラムである。
【図8】1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する分散の影響を示した図である。
【図9】ASEが存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する分散の影響を示した図である。
【図10】ASEが存在する場合の1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する一次のPMDの影響を示した図である。
【図11】1ビット周期、1/2ビット周期、1/4ビット周期、および1/8ビット周期のタップ遅延についての(x1−x2)対(x1+x2)のシミュレートされた散布図に対する帯域内クロストークの影響を示した図である。
【図12】同期アイダイアグラムと比較した、本発明のグレースケール密度散布図に対する分散の影響をさらに示した図である。
【図13】同期アイダイアグラムと比較した、OSNRのレベルが変化する場合の本発明のグレースケール密度散布図に対する分散の影響を示した図である。
【図14】タップ遅延が変化する場合の散布図の形状の変化を示した図である。
【図15】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタの2つの代替的な実施形態を示した図である。
【図16】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらなる2つの実施形態を示した図である。
【図17】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタの他の実施形態を示した図である。
【図18】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらに他の実施形態を示した図である。
【図19】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらに他の実施形態を示した図である。
【図20】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタの他の実施形態を示した図である。
【図21】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらなる実施形態を示した図である。
【図22】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタの他の実施形態を示した図である。
【図23】本発明による2タップ非同期サンプリング光信号モニタのさらに他の実施形態を示した図である。
【図24】劣化を起こさずに図23の回路の決定閾値を変化させる効果を示した図である。
【図25】劣化を起こす図23の回路の決定閾値を変化させる効果を示した図である。
【図26a】「同期」アイダイアグラムの近似が、非同期に得られた散布図または二次元ヒストグラムから生成される方法を示した図である。
【図26b】「同期」アイダイアグラムの近似が、非同期に得られた散布図または二次元ヒストグラムから生成される方法を示した図である。
【図27】第3の(縦)軸に対しそれぞれのサンプル集合のサンプリング時間をプロットすることにより第3の次元が生成される、2サンプルのサンプル集合のプロットである。
【図28】減損のない光信号から非同期に得られるサンプル集合の三次元散布図である(それぞれのサンプル集合は3つのタップ点から導かれる)。
【図29】光ネットワーク内の典型的な減損のシミュレーションを示した図である。
【図30】図29のシミュレーションにより出力される減損の組み合わせを予測するために、リッジ回帰および線形カーネルを使用した機械学習アルゴリズムを使用した結果を示した図である。
【図31】遅延1ビット周期で2つのサンプルタップの出力を使用する線形カーネルの予測精度を示した図である。
【図32】遅延1ビット周期で2つのサンプルタップの出力を使用する次数3の多項式カーネルを持つ非線形カーネルの予測精度を示した図である。
【図33】それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で5つのサンプルタップの出力を使用する線形カーネルの予測精度を示した図である。
【図34】それぞれ先行するタップに関して遅延1、1/2、1/4、および1/8ビット周期で5つのサンプルタップの出力を使用する次数3の多項式カーネルを持つ非線形カーネルの予測精度を示した図である。
【図35】同期アイダイアグラムを入力として使用する線形カーネルの予測精度を示した図である。
【図36】同期アイダイアグラムを入力として使用する次数3の多項式カーネルである非線形カーネルの予測精度を示した図である。
【図37A】アイダイアグラムを機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示した図である。
【図37B】アイダイアグラムを機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度を示した図である。
【図38A】5タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示した図である。
【図38B】5タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示した図である。
【図39A】2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示した図である。
【図39B】2タップサンプル集合を機械学習アルゴリズムへの入力として取り込む場合の線形カーネルおよび非線形カーネルの予測精度をそれぞれ示した図である。
【図40】色分散を診断する際にRZ、NRZ、およびNRZ‐DPSK形式を適用した本発明の他の実施形態を示した図である。
【図41】色分散を診断する際にRZ、NRZ、およびNRZ‐DPSK形式を適用した本発明の他の実施形態を示した図である。
【図42】色分散を診断する際にRZ、NRZ、およびNRZ‐DPSK形式を適用した本発明の他の実施形態を示した図である。
【図43】本発明の他の実施形態によるOSNR解析のアーキテクチャを示した図である。
【図44】図43のアーキテクチャの出力およびOSNR解析技術を示した図である。
【図45】図43のアーキテクチャの出力およびOSNR解析技術を示した図である。
【図46】図43のアーキテクチャの出力およびOSNR解析技術を示した図である。
【図47】図43のアーキテクチャの出力およびOSNR解析技術を示した図である。
【図48】光サンプリングを使用する本発明の一実施形態を示した図である。
【図49a】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図49b】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図49c】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図49d】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図49e】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図50a】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図50b】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図50c】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図50d】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【図50e】本発明のさらなる実施形態による機械学習を使用する光減損予測の効果を示した図である。
【符号の説明】
【0136】
100 2タップ非同期サンプリング光信号モニタ
110 同調可能光フィルタ
120 高速レシーバ
140 プロセッサ
4300 ハードウェア構成
4310 入力信号
4330 信号
4340 信号
4810 サンプリングパルス源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を監視する方法であって、
サンプル集合を取り出すために、光信号から別個のサンプルを取り出すために構成された少なくとも2つのタップ点から前記光信号をサンプリングするステップと、
時間の経過とともにそのような複数のサンプル集合を取り出すステップと、
光信号品質を示すために前記サンプル集合の分布を評価するステップと
を具備することを特徴とする光信号の監視方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つのタップ点は、別個の光スペクトル位置からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1に記載の光信号の監視方法。
【請求項3】
前記光信号は、第1の通過帯域を有する第1の光学フィルタを通過する第1の成分、および前記第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2の光学フィルタを通過する第2の成分の2つの成分に分割されることを特徴とする請求項2に記載の光信号の監視方法。
【請求項4】
前記第1の通過帯域は、実質的に前記光信号の下側バンド端の中心に置かれるとともに、前記第2の通過帯域は、実質的に前記光信号の上側バンド端の中心に置かれることを特徴とする請求項3に記載の光信号の監視方法。
【請求項5】
前記少なくとも2つのタップ点は、前記光信号の別個の偏光成分からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項6】
前記光信号は、第1の偏光配向を有する第1の偏光子を通過する第1の成分、および前記第1の偏光配向と異なる第2の偏光配向を有する第2の偏光子を通過する第2の成分の2つの成分に分割されることを特徴とする請求項5に記載の光信号の監視方法。
【請求項7】
前記第1の偏光配向および前記第2の偏光配向は、実質的に45度異なることを特徴とする請求項6に記載の光信号の監視方法。
【請求項8】
前記第1の偏光配向および前記第2の偏光配向は、実質的に90度異なることを特徴とする請求項6に記載の光信号の監視方法。
【請求項9】
前記光信号が、偏光ビームスプリッタにより2つの成分に分割されることを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項10】
前記サンプル集合は、同時確率分布に形成されることを特徴とする請求項5から請求項9のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項11】
前記光信号は、ASK変調されるとともに、OSNR測定は、前記同時確率分布の短軸の標準偏差から得られることを特徴とする請求項10に記載の光信号の監視方法。
【請求項12】
前記光信号は、PSK変調されるとともに、OSNR測定が、前記同時確率分布の長軸および短軸の標準偏差から得られることを特徴とする請求項10に記載の光信号の監視方法。
【請求項13】
前記少なくとも2つのタップ点は、別個の電気的スペクトル位置からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項14】
前記光信号は、電気レシーバにより検出されるとともに、前記電気レシーバの出力は、第1の通過帯域を有する第1の電気的フィルタおよび前記第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2の電気的フィルタに渡されることを特徴とする請求項13に記載の光信号の監視方法。
【請求項15】
前記第1の通過帯域は、前記データ転送速度に対応する周波数を中心とすることを特徴とする請求項14に記載の光信号の監視方法。
【請求項16】
前記第2の通過帯域は、低周波数を中心とすることを特徴とする請求項14に記載の光信号の監視方法。
【請求項17】
光信号の品質を示すために前記サンプル集合の分布を評価するステップは、
前記サンプル集合を二次元、またはそれより大きい次元の位相図としてプロットするステップと、
前記散布図の特性を視覚的に評価するステップと
を具備することを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項18】
光サンプリングを提供することを特徴する請求項1から請求項12または請求項17のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項19】
光サンプリングパルスは、複数の光タップ点のそれぞれにおいて得られた前記光信号の成分と光混合されることを特徴とする請求項18に記載の光信号の監視方法。
【請求項20】
さらに、前記サンプル集合の分布を評価するために、機械学習を適用するステップを具備することを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項21】
前記機械学習は、教師有り学習技術を具備することを特徴とする請求項20に記載の光信号の監視方法。
【請求項22】
前記教師有り学習技術は、回帰、リッジ回帰、およびサポートベクター回帰のうちの少なくとも1つを具備することを特徴とする請求項21に記載の光信号の監視方法。
【請求項23】
前記機械学習は、線形カーネルを具備することを特徴とする請求項20から請求項22のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項24】
前記機械学習は、非線形カーネルを具備することを特徴とする請求項20から請求項22のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項25】
シミュレーションから生成された合成データおよびシステム測定値のうちの少なくとも1つを含む訓練データ集合に基づいて機械学習を訓練するステップをさらに具備することを特徴とする請求項20から請求項24のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項26】
前記サンプル集合の分布の機械学習評価は、前記位相図全体を通してサンプル密度を評価するステップを具備することを特徴とする請求項20から請求項25のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項27】
サンプル密度は、サンプル密度の二次元ヒストグラムから決定されることを特徴とする請求項26に記載の光信号の監視方法。
【請求項28】
前記サンプル集合は、規則的なサンプリング間隔で取り出されることを特徴とする請求項1から請求項27のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項29】
前記サンプル集合は、不規則またはランダムな間隔で取り出されることを特徴とする請求項1から請求項27のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項30】
前記サンプリング間隔は、監視されている光信号に関して非同期であることを特徴とする請求項1から請求項29のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項31】
前記サンプリング間隔は、監視されている光信号に関して同期であることを特徴とする請求項1から請求項29のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項32】
前記同期サンプリングは、監視されている光信号の選択された部分からサンプルを取り出すために制御されることを特徴とする請求項31に記載の光信号の監視方法。
【請求項33】
前記少なくとも2つのタップ点は、タップ遅延によって時間的に隔てられている前記光信号からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項32のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項34】
前記少なくとも2つのサンプル点の間の前記またはそれぞれのタップ遅延は、電気的領域内で適用されることを特徴とする請求項33に記載の光信号の監視方法。
【請求項35】
前記少なくとも2つのサンプル点の間の前記またはそれぞれのタップ遅延は、光学的領域内で適用されることを特徴とする請求項33に記載の光信号の監視方法。
【請求項36】
前記またはそれぞれのタップ遅延は調節可能であることを特徴とする請求項33から請求項35のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項37】
監視されている前記光信号の未知のビットレートを決定するために前記またはそれぞれのタップ遅延を調節するステップをさらに具備することを特徴とする請求項36に記載の光信号の監視方法。
【請求項38】
選択された劣化タイプを評価するために、前記またはそれぞれのタップ遅延を、ビット周期に対するタップ遅延の要求された割合に対して調節するステップをさらに具備することを特徴とする請求項36または請求項37に記載の光信号の監視方法。
【請求項39】
分散を評価するために、前記またはそれぞれのタップ遅延は、前記ビット周期に実質的に等しくなるように調節または設定されることを特徴とする請求項38に記載の光信号の監視方法。
【請求項40】
一次偏光モード分散を評価するために、前記またはそれぞれのタップ遅延は、前記ビット周期の実質的に半分よりも小さくなるように調節または設定されることを特徴とする請求項38または請求項39に記載の光信号の監視方法。
【請求項41】
タップ遅延によって隔てられた少なくとも3つのサンプルタップ点は、少なくとも3つのサンプルからなるサンプル集合を取り出すために提供されることを特徴とする請求項33から請求項40のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項42】
請求項30に依存する場合、前記位相図内のそれぞれの遷移経路にそった点の密度の逆数から同期アイダイアグラムを近似するステップをさらに具備することを特徴とする請求項30または請求項33から請求項41のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項43】
前記光信号を検出するために使用される前記またはそれぞれの光レシーバは、前記光信号の前記帯域幅よりも大きい、または等しいレシーバ帯域幅を有することを特徴とした請求項1から請求項42のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項44】
前記光信号を検出するために使用される前記またはそれぞれの光レシーバは、前記光信号の前記帯域幅より小さいレシーバ帯域幅を有することを特徴とした請求項1から請求項42のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項45】
前記サンプリング間隔は、前記ビット周期よりも実質的に大きいことを特徴とする請求項1から請求項44のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項46】
前記光信号内の注目する帯域またはチャネルは、サンプリング前の帯域通過フィルタの使用により選択されることを特徴とする請求項1から請求項45のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項47】
決定閾値は、それぞれのサンプル値出力が1または0のいずれかとなるようにそれぞれのサンプルに適用されることを特徴とする請求項1から請求項46のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項48】
光信号モニタであって、
光信号から別個のサンプルを取り出すために構成された少なくとも2つのタップ点からのサンプル集合をサンプリングするとともに、時間の経過とともに複数のそのようなサンプル集合を取り出すマルチタップサンプラーと、
サンプル集合の分布の表現を構築するためのプロセッサと
を具備することを特徴とする光信号モニタ。
【請求項49】
前記少なくとも2つのタップ点は、別個の光スペクトル位置からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項48に記載の光信号モニタ。
【請求項50】
前記光信号は、第1の通過帯域を有する第1の光学フィルタを通過する第1の成分、および前記第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2の光学フィルタを通過する第2の成分の2つの成分に分割されることを特徴とする請求項49に記載の光信号モニタ。
【請求項51】
前記第1の通過帯域は、実質的に前記光信号の下側バンド端の中心に置かれるとともに、前記第2の通過帯域は、実質的に前記光信号の上側バンド端の中心に置かれることを特徴とする請求項50に記載の光信号モニタ。
【請求項52】
前記少なくとも2つのタップ点は、前記光信号の別個の偏光成分からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項48から請求項51のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項53】
前記光信号は、第1の偏光配向を有する第1の偏光子を通過する第1の成分、および第2の成分は前記第1の偏光配向と異なる第2の偏光配向を有する第2の偏光子を通過する第2の成分の2つの成分に分割されることを特徴とする請求項52に記載の光信号モニタ。
【請求項54】
前記第1の偏光配向および前記第2の偏光配向は、実質的に45度異なることを特徴とする請求項53に記載の光信号モニタ。
【請求項55】
前記第1の偏光配向および前記第2の偏光配向は、実質的に90度異なることを特徴とする請求項53に記載の光信号モニタ。
【請求項56】
前記光信号は、偏光ビームスプリッタにより2つの成分に分割されることを特徴とする請求項52から請求項55のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項57】
前記サンプル集合は、同時確率分布に形成されることを特徴とする請求項52から請求項56のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項58】
前記光信号は、ASK変調されるとともに、OSNR測定は、前記同時確率分布の短軸の標準偏差から得られることを特徴とする請求項57に記載の光信号モニタ。
【請求項59】
前記光信号は、PSK変調されるとともに、OSNR測定は、前記同時確率分布の長軸および短軸の標準偏差から得られることを特徴とする請求項57に記載の光信号モニタ。
【請求項60】
前記少なくとも2つのタップ点は、別個の電気的スペクトル位置からサンプルを取り出すために構成される請求項48から請求項59のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項61】
前記光信号は、電気レシーバにより検出されるとともに、前記電気レシーバの出力は、第1の通過帯域を有する第1の電気的フィルタおよび前記第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2の電気的フィルタに渡されることを特徴とする請求項60に記載の光信号モニタ。
【請求項62】
前記第1の通過帯域は、前記データ転送速度に対応する周波数を中心とすることを特徴とする請求項61に記載の光信号モニタ。
【請求項63】
前記第2の通過帯域は、低周波数を中心とすることを特徴とする請求項61に記載の光信号モニタ。
【請求項64】
前記散布図の特徴を視覚的に評価するために、前記同時確率分布を二次元またはそれよりも大きい次元の位相図としてプロットするように構成されることを特徴とする請求項48から請求項63のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項65】
光サンプリングが提供されることを特徴とする請求項48から請求項59または請求項64のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項66】
光サンプリングパルスは、複数の光タップ点のそれぞれにおいて得られた前記光信号の成分と光混合されることを特徴とする請求項65に記載の光信号モニタ。
【請求項67】
機械学習を前記サンプル集合の前記分布の前記評価に適用するためにさらに構成された請求項48から請求項66のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項68】
前記機械学習は、教師有り学習技術を具備することを特徴とする請求項67に記載の光信号モニタ。
【請求項69】
前記教師有り学習技術は、回帰、リッジ回帰、およびサポートベクター回帰のうちの少なくとも1つを具備することを特徴とする請求項68に記載の光信号モニタ。
【請求項70】
前記機械学習は、線形カーネルを具備することを特徴とする請求項67から請求項69のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項71】
前記機械学習は、非線形カーネルを具備することを特徴とする請求項67から請求項69のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項72】
シミュレーションから生成された合成データおよびシステム測定値のうちの少なくとも1つを含む訓練データ集合に基づいて前記機械学習を訓練するためにさらに構成された請求項67から請求項71のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項73】
前記サンプル集合の分布の機械学習評価は、前記位相図全体を通してサンプル密度を評価するステップを具備することを特徴とする請求項67から請求項72のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項74】
サンプル密度は、サンプル密度の二次元ヒストグラムから決定されることを特徴とする請求項73に記載の光信号モニタ。
【請求項75】
前記サンプル集合は、規則的なサンプリング間隔で取り出されることを特徴とする請求項48から請求項74のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項76】
前記サンプル集合は、不規則またはランダムな間隔で取り出されることを特徴とする請求項48から請求項74のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項77】
前記サンプリング間隔は、監視されている前記光信号に関して非同期であることを特徴とする請求項48から請求項76のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項78】
前記サンプリング間隔は、監視されている前記光信号に関して同期していることを特徴とする請求項48から請求項76のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項79】
前記同期サンプリングは、監視されている前記光信号の選択された部分からサンプルを取り出すために制御されることを特徴とする請求項78に記載の光信号モニタ。
【請求項80】
前記少なくとも2つのタップ点は、タップ遅延によって時間的に隔てられている前記光信号からサンプルを取り出すために構成される請求項48から請求項79のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項81】
前記少なくとも2つのサンプル点の間の前記またはそれぞれのタップ遅延は、前記電気的領域内で適用されることを特徴とする請求項80に記載の光信号モニタ。
【請求項82】
前記少なくとも2つのサンプル点の間の前記またはそれぞれのタップ遅延は、前記光学的領域内で適用されることを特徴とする請求項80に記載の光信号モニタ。
【請求項83】
前記またはそれぞれのタップ遅延は調節可能であることを特徴とする請求項80から請求項82のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項84】
監視されている前記光信号の未知のビットレートを決定するために前記またはそれぞれのタップ遅延を調節するためにさらに構成された請求項83に記載の光信号モニタ。
【請求項85】
選択された劣化タイプを評価するために、前記またはそれぞれのタップ遅延を、ビット周期に対するタップ遅延の要求された割合に対して調節するためにさらに構成された請求項83または請求項84に記載の光信号モニタ。
【請求項86】
分散を評価するために、前記またはそれぞれのタップ遅延は、前記ビット周期に実質的に等しくなるように調節または設定されることを特徴とする請求項85に記載の光信号モニタ。
【請求項87】
前記またはそれぞれのタップ遅延は、一次偏光モード分散を評価するために、前記ビット周期の実質的に半分よりも小さくなるように調節または設定されることを特徴とする請求項85または請求項86に記載の光信号モニタ。
【請求項88】
タップ遅延によって隔てられた少なくとも3つのサンプルタップ点は、少なくとも3つのサンプルからなるサンプル集合を取り出すために提供されることを特徴とする請求項33から請求項40のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項89】
請求項77に依存する場合、さらに、前記位相図内のそれぞれの遷移経路にそって点の前記密度の逆数から同期アイダイアグラムを近似するために構成されることを特徴とする請求項77または請求項80から請求項88のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項90】
前記光信号を検出するために使用される前記またはそれぞれの光レシーバは、前記光信号の前記帯域幅以上のレシーバ帯域幅を有することを特徴とする請求項48から請求項89のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項91】
前記光信号を検出するために使用される前記またはそれぞれの光レシーバは、前記光信号の前記帯域幅未満のレシーバ帯域幅を有することを特徴とする請求項48から請求項89のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項92】
前記サンプリング間隔は、前記ビット周期よりも実質的に大きいことを特徴とする請求項48から請求項91のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項93】
前記光信号内の注目する帯域またはチャネルは、サンプリング前に帯域通過フィルタを使用することにより選択されることを特徴とする請求項48から請求項92のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項94】
決定閾値は、それぞれのサンプル値出力が1または0のいずれかとなるようにそれぞれのサンプルに適用されることを特徴とする請求項48から請求項93のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項95】
請求項48から請求項94のいずれか一項に記載の光信号モニタを組み込んだ光通信リンク。
【請求項96】
光通信リンクを監視する方法であって、
請求項48から請求項94のいずれか一項に記載の複数の光信号モニタを前記光通信リンクに沿って配置するステップを具備する光通信リンクの監視方法。
【請求項97】
光信号内の減損を予測する方法であって、
時間の経過とともに複数のサンプルを取り出すために、光信号の同期サンプリングを行うステップと、
カーネルベースの機械学習アルゴリズムを適用することにより、光信号品質を示すためのサンプル集合の分布を評価するステップと
を具備することを特徴とする光信号の減損予測方法。
【請求項98】
前記光信号の前記成分のうちの少なくとも1つは、前記ビットレートに近いバンド端を有するフィルタでフィルタリングされることを特徴とする請求項1から請求項47のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項99】
さらに、得られた前記位相図の特徴的な形状を参照することにより前記光信号の変調方式を決定するステップを具備することを特徴とする請求項1から請求項47または請求項98のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項1】
光信号を監視する方法であって、
サンプル集合を取り出すために、光信号から別個のサンプルを取り出すために構成された少なくとも2つのタップ点から前記光信号をサンプリングするステップと、
時間の経過とともにそのような複数のサンプル集合を取り出すステップと、
光信号品質を示すために前記サンプル集合の分布を評価するステップと
を具備することを特徴とする光信号の監視方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つのタップ点は、別個の光スペクトル位置からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1に記載の光信号の監視方法。
【請求項3】
前記光信号は、第1の通過帯域を有する第1の光学フィルタを通過する第1の成分、および前記第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2の光学フィルタを通過する第2の成分の2つの成分に分割されることを特徴とする請求項2に記載の光信号の監視方法。
【請求項4】
前記第1の通過帯域は、実質的に前記光信号の下側バンド端の中心に置かれるとともに、前記第2の通過帯域は、実質的に前記光信号の上側バンド端の中心に置かれることを特徴とする請求項3に記載の光信号の監視方法。
【請求項5】
前記少なくとも2つのタップ点は、前記光信号の別個の偏光成分からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項6】
前記光信号は、第1の偏光配向を有する第1の偏光子を通過する第1の成分、および前記第1の偏光配向と異なる第2の偏光配向を有する第2の偏光子を通過する第2の成分の2つの成分に分割されることを特徴とする請求項5に記載の光信号の監視方法。
【請求項7】
前記第1の偏光配向および前記第2の偏光配向は、実質的に45度異なることを特徴とする請求項6に記載の光信号の監視方法。
【請求項8】
前記第1の偏光配向および前記第2の偏光配向は、実質的に90度異なることを特徴とする請求項6に記載の光信号の監視方法。
【請求項9】
前記光信号が、偏光ビームスプリッタにより2つの成分に分割されることを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項10】
前記サンプル集合は、同時確率分布に形成されることを特徴とする請求項5から請求項9のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項11】
前記光信号は、ASK変調されるとともに、OSNR測定は、前記同時確率分布の短軸の標準偏差から得られることを特徴とする請求項10に記載の光信号の監視方法。
【請求項12】
前記光信号は、PSK変調されるとともに、OSNR測定が、前記同時確率分布の長軸および短軸の標準偏差から得られることを特徴とする請求項10に記載の光信号の監視方法。
【請求項13】
前記少なくとも2つのタップ点は、別個の電気的スペクトル位置からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項14】
前記光信号は、電気レシーバにより検出されるとともに、前記電気レシーバの出力は、第1の通過帯域を有する第1の電気的フィルタおよび前記第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2の電気的フィルタに渡されることを特徴とする請求項13に記載の光信号の監視方法。
【請求項15】
前記第1の通過帯域は、前記データ転送速度に対応する周波数を中心とすることを特徴とする請求項14に記載の光信号の監視方法。
【請求項16】
前記第2の通過帯域は、低周波数を中心とすることを特徴とする請求項14に記載の光信号の監視方法。
【請求項17】
光信号の品質を示すために前記サンプル集合の分布を評価するステップは、
前記サンプル集合を二次元、またはそれより大きい次元の位相図としてプロットするステップと、
前記散布図の特性を視覚的に評価するステップと
を具備することを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項18】
光サンプリングを提供することを特徴する請求項1から請求項12または請求項17のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項19】
光サンプリングパルスは、複数の光タップ点のそれぞれにおいて得られた前記光信号の成分と光混合されることを特徴とする請求項18に記載の光信号の監視方法。
【請求項20】
さらに、前記サンプル集合の分布を評価するために、機械学習を適用するステップを具備することを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項21】
前記機械学習は、教師有り学習技術を具備することを特徴とする請求項20に記載の光信号の監視方法。
【請求項22】
前記教師有り学習技術は、回帰、リッジ回帰、およびサポートベクター回帰のうちの少なくとも1つを具備することを特徴とする請求項21に記載の光信号の監視方法。
【請求項23】
前記機械学習は、線形カーネルを具備することを特徴とする請求項20から請求項22のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項24】
前記機械学習は、非線形カーネルを具備することを特徴とする請求項20から請求項22のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項25】
シミュレーションから生成された合成データおよびシステム測定値のうちの少なくとも1つを含む訓練データ集合に基づいて機械学習を訓練するステップをさらに具備することを特徴とする請求項20から請求項24のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項26】
前記サンプル集合の分布の機械学習評価は、前記位相図全体を通してサンプル密度を評価するステップを具備することを特徴とする請求項20から請求項25のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項27】
サンプル密度は、サンプル密度の二次元ヒストグラムから決定されることを特徴とする請求項26に記載の光信号の監視方法。
【請求項28】
前記サンプル集合は、規則的なサンプリング間隔で取り出されることを特徴とする請求項1から請求項27のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項29】
前記サンプル集合は、不規則またはランダムな間隔で取り出されることを特徴とする請求項1から請求項27のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項30】
前記サンプリング間隔は、監視されている光信号に関して非同期であることを特徴とする請求項1から請求項29のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項31】
前記サンプリング間隔は、監視されている光信号に関して同期であることを特徴とする請求項1から請求項29のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項32】
前記同期サンプリングは、監視されている光信号の選択された部分からサンプルを取り出すために制御されることを特徴とする請求項31に記載の光信号の監視方法。
【請求項33】
前記少なくとも2つのタップ点は、タップ遅延によって時間的に隔てられている前記光信号からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項1から請求項32のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項34】
前記少なくとも2つのサンプル点の間の前記またはそれぞれのタップ遅延は、電気的領域内で適用されることを特徴とする請求項33に記載の光信号の監視方法。
【請求項35】
前記少なくとも2つのサンプル点の間の前記またはそれぞれのタップ遅延は、光学的領域内で適用されることを特徴とする請求項33に記載の光信号の監視方法。
【請求項36】
前記またはそれぞれのタップ遅延は調節可能であることを特徴とする請求項33から請求項35のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項37】
監視されている前記光信号の未知のビットレートを決定するために前記またはそれぞれのタップ遅延を調節するステップをさらに具備することを特徴とする請求項36に記載の光信号の監視方法。
【請求項38】
選択された劣化タイプを評価するために、前記またはそれぞれのタップ遅延を、ビット周期に対するタップ遅延の要求された割合に対して調節するステップをさらに具備することを特徴とする請求項36または請求項37に記載の光信号の監視方法。
【請求項39】
分散を評価するために、前記またはそれぞれのタップ遅延は、前記ビット周期に実質的に等しくなるように調節または設定されることを特徴とする請求項38に記載の光信号の監視方法。
【請求項40】
一次偏光モード分散を評価するために、前記またはそれぞれのタップ遅延は、前記ビット周期の実質的に半分よりも小さくなるように調節または設定されることを特徴とする請求項38または請求項39に記載の光信号の監視方法。
【請求項41】
タップ遅延によって隔てられた少なくとも3つのサンプルタップ点は、少なくとも3つのサンプルからなるサンプル集合を取り出すために提供されることを特徴とする請求項33から請求項40のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項42】
請求項30に依存する場合、前記位相図内のそれぞれの遷移経路にそった点の密度の逆数から同期アイダイアグラムを近似するステップをさらに具備することを特徴とする請求項30または請求項33から請求項41のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項43】
前記光信号を検出するために使用される前記またはそれぞれの光レシーバは、前記光信号の前記帯域幅よりも大きい、または等しいレシーバ帯域幅を有することを特徴とした請求項1から請求項42のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項44】
前記光信号を検出するために使用される前記またはそれぞれの光レシーバは、前記光信号の前記帯域幅より小さいレシーバ帯域幅を有することを特徴とした請求項1から請求項42のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項45】
前記サンプリング間隔は、前記ビット周期よりも実質的に大きいことを特徴とする請求項1から請求項44のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項46】
前記光信号内の注目する帯域またはチャネルは、サンプリング前の帯域通過フィルタの使用により選択されることを特徴とする請求項1から請求項45のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項47】
決定閾値は、それぞれのサンプル値出力が1または0のいずれかとなるようにそれぞれのサンプルに適用されることを特徴とする請求項1から請求項46のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項48】
光信号モニタであって、
光信号から別個のサンプルを取り出すために構成された少なくとも2つのタップ点からのサンプル集合をサンプリングするとともに、時間の経過とともに複数のそのようなサンプル集合を取り出すマルチタップサンプラーと、
サンプル集合の分布の表現を構築するためのプロセッサと
を具備することを特徴とする光信号モニタ。
【請求項49】
前記少なくとも2つのタップ点は、別個の光スペクトル位置からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項48に記載の光信号モニタ。
【請求項50】
前記光信号は、第1の通過帯域を有する第1の光学フィルタを通過する第1の成分、および前記第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2の光学フィルタを通過する第2の成分の2つの成分に分割されることを特徴とする請求項49に記載の光信号モニタ。
【請求項51】
前記第1の通過帯域は、実質的に前記光信号の下側バンド端の中心に置かれるとともに、前記第2の通過帯域は、実質的に前記光信号の上側バンド端の中心に置かれることを特徴とする請求項50に記載の光信号モニタ。
【請求項52】
前記少なくとも2つのタップ点は、前記光信号の別個の偏光成分からサンプルを取り出すために構成されることを特徴とする請求項48から請求項51のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項53】
前記光信号は、第1の偏光配向を有する第1の偏光子を通過する第1の成分、および第2の成分は前記第1の偏光配向と異なる第2の偏光配向を有する第2の偏光子を通過する第2の成分の2つの成分に分割されることを特徴とする請求項52に記載の光信号モニタ。
【請求項54】
前記第1の偏光配向および前記第2の偏光配向は、実質的に45度異なることを特徴とする請求項53に記載の光信号モニタ。
【請求項55】
前記第1の偏光配向および前記第2の偏光配向は、実質的に90度異なることを特徴とする請求項53に記載の光信号モニタ。
【請求項56】
前記光信号は、偏光ビームスプリッタにより2つの成分に分割されることを特徴とする請求項52から請求項55のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項57】
前記サンプル集合は、同時確率分布に形成されることを特徴とする請求項52から請求項56のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項58】
前記光信号は、ASK変調されるとともに、OSNR測定は、前記同時確率分布の短軸の標準偏差から得られることを特徴とする請求項57に記載の光信号モニタ。
【請求項59】
前記光信号は、PSK変調されるとともに、OSNR測定は、前記同時確率分布の長軸および短軸の標準偏差から得られることを特徴とする請求項57に記載の光信号モニタ。
【請求項60】
前記少なくとも2つのタップ点は、別個の電気的スペクトル位置からサンプルを取り出すために構成される請求項48から請求項59のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項61】
前記光信号は、電気レシーバにより検出されるとともに、前記電気レシーバの出力は、第1の通過帯域を有する第1の電気的フィルタおよび前記第1の通過帯域と異なる第2の通過帯域を有する第2の電気的フィルタに渡されることを特徴とする請求項60に記載の光信号モニタ。
【請求項62】
前記第1の通過帯域は、前記データ転送速度に対応する周波数を中心とすることを特徴とする請求項61に記載の光信号モニタ。
【請求項63】
前記第2の通過帯域は、低周波数を中心とすることを特徴とする請求項61に記載の光信号モニタ。
【請求項64】
前記散布図の特徴を視覚的に評価するために、前記同時確率分布を二次元またはそれよりも大きい次元の位相図としてプロットするように構成されることを特徴とする請求項48から請求項63のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項65】
光サンプリングが提供されることを特徴とする請求項48から請求項59または請求項64のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項66】
光サンプリングパルスは、複数の光タップ点のそれぞれにおいて得られた前記光信号の成分と光混合されることを特徴とする請求項65に記載の光信号モニタ。
【請求項67】
機械学習を前記サンプル集合の前記分布の前記評価に適用するためにさらに構成された請求項48から請求項66のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項68】
前記機械学習は、教師有り学習技術を具備することを特徴とする請求項67に記載の光信号モニタ。
【請求項69】
前記教師有り学習技術は、回帰、リッジ回帰、およびサポートベクター回帰のうちの少なくとも1つを具備することを特徴とする請求項68に記載の光信号モニタ。
【請求項70】
前記機械学習は、線形カーネルを具備することを特徴とする請求項67から請求項69のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項71】
前記機械学習は、非線形カーネルを具備することを特徴とする請求項67から請求項69のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項72】
シミュレーションから生成された合成データおよびシステム測定値のうちの少なくとも1つを含む訓練データ集合に基づいて前記機械学習を訓練するためにさらに構成された請求項67から請求項71のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項73】
前記サンプル集合の分布の機械学習評価は、前記位相図全体を通してサンプル密度を評価するステップを具備することを特徴とする請求項67から請求項72のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項74】
サンプル密度は、サンプル密度の二次元ヒストグラムから決定されることを特徴とする請求項73に記載の光信号モニタ。
【請求項75】
前記サンプル集合は、規則的なサンプリング間隔で取り出されることを特徴とする請求項48から請求項74のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項76】
前記サンプル集合は、不規則またはランダムな間隔で取り出されることを特徴とする請求項48から請求項74のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項77】
前記サンプリング間隔は、監視されている前記光信号に関して非同期であることを特徴とする請求項48から請求項76のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項78】
前記サンプリング間隔は、監視されている前記光信号に関して同期していることを特徴とする請求項48から請求項76のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項79】
前記同期サンプリングは、監視されている前記光信号の選択された部分からサンプルを取り出すために制御されることを特徴とする請求項78に記載の光信号モニタ。
【請求項80】
前記少なくとも2つのタップ点は、タップ遅延によって時間的に隔てられている前記光信号からサンプルを取り出すために構成される請求項48から請求項79のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項81】
前記少なくとも2つのサンプル点の間の前記またはそれぞれのタップ遅延は、前記電気的領域内で適用されることを特徴とする請求項80に記載の光信号モニタ。
【請求項82】
前記少なくとも2つのサンプル点の間の前記またはそれぞれのタップ遅延は、前記光学的領域内で適用されることを特徴とする請求項80に記載の光信号モニタ。
【請求項83】
前記またはそれぞれのタップ遅延は調節可能であることを特徴とする請求項80から請求項82のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項84】
監視されている前記光信号の未知のビットレートを決定するために前記またはそれぞれのタップ遅延を調節するためにさらに構成された請求項83に記載の光信号モニタ。
【請求項85】
選択された劣化タイプを評価するために、前記またはそれぞれのタップ遅延を、ビット周期に対するタップ遅延の要求された割合に対して調節するためにさらに構成された請求項83または請求項84に記載の光信号モニタ。
【請求項86】
分散を評価するために、前記またはそれぞれのタップ遅延は、前記ビット周期に実質的に等しくなるように調節または設定されることを特徴とする請求項85に記載の光信号モニタ。
【請求項87】
前記またはそれぞれのタップ遅延は、一次偏光モード分散を評価するために、前記ビット周期の実質的に半分よりも小さくなるように調節または設定されることを特徴とする請求項85または請求項86に記載の光信号モニタ。
【請求項88】
タップ遅延によって隔てられた少なくとも3つのサンプルタップ点は、少なくとも3つのサンプルからなるサンプル集合を取り出すために提供されることを特徴とする請求項33から請求項40のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項89】
請求項77に依存する場合、さらに、前記位相図内のそれぞれの遷移経路にそって点の前記密度の逆数から同期アイダイアグラムを近似するために構成されることを特徴とする請求項77または請求項80から請求項88のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項90】
前記光信号を検出するために使用される前記またはそれぞれの光レシーバは、前記光信号の前記帯域幅以上のレシーバ帯域幅を有することを特徴とする請求項48から請求項89のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項91】
前記光信号を検出するために使用される前記またはそれぞれの光レシーバは、前記光信号の前記帯域幅未満のレシーバ帯域幅を有することを特徴とする請求項48から請求項89のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項92】
前記サンプリング間隔は、前記ビット周期よりも実質的に大きいことを特徴とする請求項48から請求項91のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項93】
前記光信号内の注目する帯域またはチャネルは、サンプリング前に帯域通過フィルタを使用することにより選択されることを特徴とする請求項48から請求項92のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項94】
決定閾値は、それぞれのサンプル値出力が1または0のいずれかとなるようにそれぞれのサンプルに適用されることを特徴とする請求項48から請求項93のいずれか一項に記載の光信号モニタ。
【請求項95】
請求項48から請求項94のいずれか一項に記載の光信号モニタを組み込んだ光通信リンク。
【請求項96】
光通信リンクを監視する方法であって、
請求項48から請求項94のいずれか一項に記載の複数の光信号モニタを前記光通信リンクに沿って配置するステップを具備する光通信リンクの監視方法。
【請求項97】
光信号内の減損を予測する方法であって、
時間の経過とともに複数のサンプルを取り出すために、光信号の同期サンプリングを行うステップと、
カーネルベースの機械学習アルゴリズムを適用することにより、光信号品質を示すためのサンプル集合の分布を評価するステップと
を具備することを特徴とする光信号の減損予測方法。
【請求項98】
前記光信号の前記成分のうちの少なくとも1つは、前記ビットレートに近いバンド端を有するフィルタでフィルタリングされることを特徴とする請求項1から請求項47のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【請求項99】
さらに、得られた前記位相図の特徴的な形状を参照することにより前記光信号の変調方式を決定するステップを具備することを特徴とする請求項1から請求項47または請求項98のいずれか一項に記載の光信号の監視方法。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図3f】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26a】
【図26b】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37A】
【図37B】
【図38A】
【図38B】
【図39A】
【図39B】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図49d】
【図50】
【図50d】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図3f】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26a】
【図26b】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37A】
【図37B】
【図38A】
【図38B】
【図39A】
【図39B】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図49d】
【図50】
【図50d】
【公表番号】特表2009−512286(P2009−512286A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534828(P2008−534828)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001523
【国際公開番号】WO2007/041808
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(507074133)ナショナル・アイシーティ・オーストラリア・リミテッド (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001523
【国際公開番号】WO2007/041808
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(507074133)ナショナル・アイシーティ・オーストラリア・リミテッド (10)
【Fターム(参考)】
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