説明

サンプルの採取および分析のための装置および方法

本発明は、固体または半固体のサンプルの採取、ならびに分析物の存在、非存在、または量についての分析のための装置、方法、およびキットを提供する。本発明は、第1のカードおよび第2のカードを有する採取用スライドを提供する。第1のカードが、サンプル採取領域を有する。第1および第2のカードは、流体のサンプル採取領域の通過を可能にするオリフィスを有し、カードはヒンジによって互いに接続されている。さらに、本発明は、テスト素子と、結果窓と、採取用スライドを受け入れてこれと係合するドッキング領域とを備えるハウジングを有する検定装置を提供する。一実施形態において、採取用スライドおよび装置を、糞便サンプル中の便潜血(ヒトのヘモグロビン)の存在を検出するために使用することができる。他の多数の実施形態が、本明細書において開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体または半固体の生物学的サンプルを採取し、それらのサンプルを分析物の存在について分析するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の本発明の背景は、本発明の理解を読者にとって容易にしようとするものであり、これらを従来技術であると認めるものではない。
【0003】
糞便サンプル中の潜血の検出は、結腸がんを検出するための最初の方法である。グアヤク(Guaiac)式の化学的手法など、糞便サンプル中のヘモグロビンを検出する従来からの方法は、食物由来の(すなわち、食事の肉からの)ヘモグロビンとヒトのヘモグロビンとの間の区別が不可能であることが妨げとなり、偽陽性の検査結果が多数にのぼる結果となる。この困難を克服するために、ヒトのヘモグロビン(hHb)に特有の免疫学的検定が開発されてきている。これらの検定において使用される抗体は、ヒト由来のヘモグロビンと他の動物からのヘモグロビンとを区別することができる。
【0004】
潜血サンプルの採取および分析は、サンプルの採取および分析が快適でないという問題を呈している。現在利用可能な装置は、これらの問題を適切に解決できていない。したがって、患者および検査の作業者の両者についてサンプルとのかかわりを少なくすると同時に、サンプル中のhHbの存在を正確に検出する装置について、明白かつ長きにわたるニーズが存在している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、生物学的サンプルの採取および分析のための装置、方法、およびキットを提供する。一実施形態において、生物学的サンプルは、糞便サンプルである。本発明の一態様は、2つのカードをヒンジによって接続して有する採取用スライドである。カードの内表面に、生物学的サンプルを堆積させるためのサンプル採取領域が存在している。さらにカードは、カードに収容されたサンプルから分析物を溶出させるため、バッファをカードおよびサンプル採取領域を通って通過させることができるように、オリフィスを含む。さらに、本発明は、生物学的サンプル中の分析物を検出するための装置を提供する。装置は、分析物を検出するための試薬を有するテスト片などのテスト素子を含む。さらに装置は、採取用スライドを受け入れるためのドッキング領域を含む。ドッキング領域に、吸収剤移し換え材料を有するサンプル移し換えオリフィスが存在しており、吸収剤移し換え材料が、採取用スライドのオリフィスを通過したバッファを受け取り、溶出した流体をテスト素子へと渡す。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本発明は、サンプル中の分析物を検出するための装置を提供する。装置は、テスト素子を収容しているハウジングと、採取用スライドを受け入れてこれと係合するハウジング上のドッキング領域とを有する。ドッキングは、サンプル移し換えオリフィスを有し、サンプル移し換えオリフィスの内部に配置された吸収剤移し換えビーズがテスト素子に流体連通している。さらに装置は、検査結果を観察するための結果窓を有する。
【0007】
移し換え材料は、さまざまな材料または形状で製作することができる。種々の実施形態においては、移し換え材料が、超高分子量ポリエチレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、またはセルロース主体の材料である。一実施形態においては、移し換え材料が、超高分子量ポリエチレンフィルタである。
【0008】
一実施形態においては、装置のサンプル移し換えオリフィスが、装置のハウジング内に位置するウェルである。ウェルは、ハウジングのくぼみであり、吸収剤移し換え材料から溢れる流体を集めるように機能する。さらに、吸収剤移し換え材料は、採取用スライドからテスト素子への分析物の移し換えを改善するための試薬を含むことができる。一実施形態においては、移し換え材料が、界面活性剤、タンパク質、バッファ、ポリマー、および保存料からなる群より選択される試薬を含む。「界面活性剤」は、2つの液体の間の表面張力を小さくする化合物である。界面活性剤は、親水性の(水へと引きつけられる)基および疎水性の(水にはじかれる)基を含むことができる。「タンパク質」は、タンパク質をエンコードしている遺伝子のヌクレオチド配列によって決定される特定の順序および折り畳み形状のアミノ酸の1つ以上の鎖で構成された高分子である。「バッファ」は、弱酸およびその塩あるいは弱塩基またはその塩を含む溶液であり、pHの変化に耐性を示す。「ポリマー」は、通常は数百万にものぼる繰り返しの連鎖単位(それぞれは、比較的軽くて単純な分子である)からなる高分子量の多数ある天然および合成の化合物のいずれかであってよい。「保存料」は、劣化、変退色、または損傷に対する保護のために使用される添加剤である。
【0009】
他の実施形態においては、移し換え材料が試薬を含む。種々の実施形態において、試薬は、遮断薬、界面活性剤、湿潤剤、可溶化剤、安定剤、希釈剤、および保存料のうちの任意の1つ以上であってよい。「遮断薬」は、分析物または支持媒体に結合することによって、分析物の支持媒体への結合を阻止するいくつかの化合物または物質のいずれかであってよい。「湿潤剤」は、通常は、液体の表面張力を変化させ、濡らすことが難しい表面または疎水性の表面に一様な被膜をもたらすうえで役に立つ有機主体の物質である。「安定剤」は、化合物の三次構造の劣化を防止する化合物である。例えば、化合物を、サンプル内のHb分子または装置内の特定結合分子の分解を防止すべく、採取用スライドへと追加することができる。
【0010】
さらなる実施形態においては、移し換えビーズが、BRIJ(登録商標)35、Chemal LA−9、Pluronic(登録商標)L64、Surfactant 10G、Span(登録商標)60、Silwet(登録商標)L7600、Rhodasurf ON−870、Cremohor(登録商標)EL、Tween(登録商標)20、Tween(登録商標)80、Surhynol(登録商標)485、Igepal(登録商標)CA210、Triton(登録商標)X−45、Triton(登録商標)X−100、Triton(登録商標)X−305、Bio−Terge(登録商標)AS−40、Standapol ES−1、塩化ベンザルコニウム、Tetronic(登録商標)1307、Surynol(登録商標)465、Ninate(登録商標)411、Pluronic(登録商標)F69、Zonyl(登録商標)FSN 100、AEROSOL(登録商標)OT 100%、Geropon(登録商標)T77、ナトリウムドデシルサルフェート、タウロコール酸ナトリウム、胆汁酸ナトリウム(sodium cholate)、CTAB、LDAO、CHAPS、NP40、n−オクチルサッカロース、n−ドデシルサッカロース、n−ドデシルマルトシド、オクチルグルコシド、オクチルチオグルコシド、n−ヘキシルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンバッファ、リン酸バッファ、ホウ酸バッファ、酒石酸バッファ、フタル酸バッファ、PVP K−30、PVP K−90、GANTREZ(登録商標)AN−119、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、PEG 800、GANTREZ(登録商標)AN−119、ポリビニルアルコール、PVP/VA S630、硬骨魚ゼラチン、架橋ポリアクリル酸ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、硫酸ポリスチレンナトリウム、ナトリウムカラギーニン、アクリル酸ラテックス、ヒドロキシエチルセルロース、ウシ血清アルブミン、卵白アルブミン、カゼイン、ProClin(登録商標)300、およびアジ化ナトリウムからなる群より選択される試薬を含む。
【0011】
他の実施形態においては、テスト素子が、ハウジングの内部に存在し、サンプル適用領域を吸収剤移し換え材料に流体連通させて有する吸収性の母材である。テスト素子は、検定を実行するための試薬を含む試薬領域と、テスト線を有し、テスト線において分析物の存在または非存在を視覚的に検出するための検出領域とを有する。テスト線は、分析物のための特定結合分子を母材に固定して有することができる。一実施形態においては、分析物がヒトのヘモグロビンであり、テスト線上の特定結合分子が、ヒトのヘモグロビンに結合する。試薬領域は、一実施形態においては抗体であるが、分析物のための標識化された特定結合分子を含むことができる。特定結合分子は、乾燥させた状態で存在することができ、サンプル流体を通すことによって可溶化させることができる。他の実施形態においては、テスト線が、化学的な検査を実行するための試薬を有する。
【0012】
特定の実施形態においては、ドッキング領域が、サンプル採取用スライドをドッキング領域内の所定の位置に保持するための1つ以上のはまり合いロックを有する。例えば、ドッキング領域が、サンプル採取用スライドを吸収剤移し換えパッドの上方の所定の位置に固定するための突起を有することができる。「はまり合いロック」とは、採取用スライドをきつくはめ合わせる1つ以上の突起を意味する。すなわち、採取用スライドが所定の位置へと動かされるとき、採取用スライドが、「はまり合いロック」を過ぎて所定の位置へと「はまり」込む。突起は、ドッキング領域の領域へと突き出すことができる。また、ドッキング領域は、採取用スライドがスライド運動にて挿入される領域であってもよい。いずれの実施形態においても、採取用スライドの溶出液オリフィスが、吸収剤移し換え材料との液体連通下におかれる。ドッキング領域は、ハウジングの高められた領域によって少なくとも部分的に囲まれたハウジングの凹所または凹部として存在できる。あるいは、ドッキング領域が、ハウジングの高められた部分として存在してもよい。
【0013】
他の態様において、本発明は、サンプルの採取および移し換えのための採取用スライドを提供する。採取用スライドは、内表面と溶出液オリフィスとを有する第1のカード、および第1のカードへとヒンジによって接続され、内表面と溶媒用オリフィスとを有する第2のカードを有する。採取用スライドは、開放位置および閉鎖位置を有し、採取用スライドが閉鎖位置にあるときに溶媒用オリフィスと溶出液オリフィスとが整列する。さらに採取用スライドは、採取のためにサンプルが塗布される第1のカード上のサンプル採取パッドを有する。一実施形態においては、サンプル採取パッドが、採取用スライドが閉鎖位置にあるときに溶媒用オリフィスと溶出液オリフィスとの間に存在する。第1および第2のカードは、耐水性の材料または水を透さない材料で製作することができる。一実施形態においては、第1および第2のカードがプラスチックで作られている。
【0014】
一実施形態においては、サンプル採取領域が、第1のカードの溶出液オリフィスに重なっている採取パッドをさらに有し、サンプル塗布領域が、第1のカード上の封止構造によって少なくとも部分的に囲まれている。第2のカードは、溶媒用オリフィスに重なるカバーパッドを有することができ、さらに第2のカードは、第1のカード上の構造と相補的な封止構造を有する。一実施形態においては、第1のカード上の構造がガスケットであり、採取用スライドが閉鎖位置にあるとき、溝である第2のカード上の構造と係合する。2つの構造が「係合する」とは、それらの相互作用によって、サンプル採取領域へと出入りするサンプルの動きを妨げる障壁が形成されることを意味する。「封止構造」は、係合したときにサンプル採取領域へと出入りするサンプルの動きを妨げる構造である。他の実施形態においては、第1のカードが溝を有することができ、第2のカードがガスケットを有することができる。また、いくつかの実施形態は、例えば第1および第2のカードが閉鎖位置にあるときにおおむね封止される畝または他の構造など、他の構造を利用する。さらなる実施形態においては、スライドを閉鎖位置に保つために、第1のカードまたは第2のカードが、それぞれ第2のカードまたは第1のカードからの突起を受け入れるための1つ以上の穴を含む。カバーパッドおよびサンプル採取パッドは、任意の適切な材料で製作できる。いくつかの実施形態においては、カバーパッドおよびサンプル採取パッドが、繊維質の材料または吸収性の材料で作られている。
【0015】
採取用スライドの他の実施形態においては、カバーパッドおよび/または採取パッドが、サンプルから分析物を溶出させるための試薬を含む。特定の実施形態においては、試薬が、界面活性剤、バッファ、タンパク質、ポリマー、および保存料、あるいは遮断薬、界面活性剤、湿潤剤、可溶化剤、安定剤、希釈剤、および保存料の1つ以上であってよい。有用な試薬の例として、BRIJ(登録商標)35、Chemal LA−9、Pluronic(登録商標)L64、Surfactant 10G、Span(登録商標)60、Silwet(登録商標)L7600、Rhodasurf ON−870、Cremohor(登録商標)EL、Tween(登録商標)20、Tween(登録商標)80、Surhynol(登録商標)485、Igepal(登録商標)CA210、Triton(登録商標)X−45、Triton(登録商標)X−100、Triton(登録商標)X−305、Bio−Terge(登録商標)AS−40、Standapol ES−1、塩化ベンザルコニウム、Tetronic(登録商標)1307、Surynol(登録商標)465、Ninate(登録商標)411、Pluronic(登録商標)F69、Zonyl(登録商標)FSN 100、AEROSOL(登録商標)OT 100%、Geropon(登録商標)T77、ナトリウムドデシルサルフェート、タウロコール酸ナトリウム、胆汁酸ナトリウム、CTAB、LDAO、CHAPS、NP40、n−オクチルサッカロース、n−ドデシルサッカロース、n−ドデシルマルトシド、オクチルグルコシド、オクチルチオグルコシド、n−ヘキシルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンバッファ、リン酸バッファ、ホウ酸バッファ、酒石酸バッファ、フタル酸バッファ、PVP K−30、PVP K−90、GANTREZ(登録商標)AN−119、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、PEG 800、GANTREZ(登録商標)AN−119、ポリビニルアルコール、PVP/VA S630、硬骨魚ゼラチン、架橋ポリアクリル酸ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、硫酸ポリスチレンナトリウム、ナトリウムカラギーニン、アクリル酸ラテックス、ヒドロキシエチルセルロース、ウシ血清アルブミン、卵白アルブミン、カゼイン、ProClin(登録商標)300、およびアジ化ナトリウムが挙げられる。
【0016】
他の態様において、本発明は、サンプル採取用スライドに含まれているサンプル中の分析物の存在または非存在を検出する方法を提供する。本方法は、サンプルを含む採取用スライドを、サンプル中の分析物を検出するための装置のドッキング領域へと配置することを含む。本方法において使用される装置および採取用スライドは、本明細書において説明される任意の装置および採取用スライドである。本方法のさらなる段階は、抽出バッファを採取用スライドの溶媒用オリフィスへと加えること、サンプル領域を通って吸収剤移し換えビーズおよびテスト素子への抽出バッファの通過を許すこと、および結果窓において検査結果を観察することを含む。
【0017】
他の態様において、本発明は、生物学的サンプルの採取および分析のためのキットを提供する。一実施形態においては、キットが、本明細書に記載されているような少なくとも1つの採取用スライド、および本明細書に記載されているような流体中の分析物を検出するための装置を含み、これらがパッケージにて提供される。さらなる実施形態においては、キットが、パッケージにて提供される本明細書に記載されているような1つ以上のサンプル採取器、採取後の採取装置を収容するための袋、および使用のための説明書を含むことができる。種々の実施形態において、キットは、サンプル採取用スライドと、装置と、上述のさらなる構成要素の任意の1つ以上とを含むことができる。いずれのキットも、使用の説明書に従って検定を実行するためのバッファを含む1つ以上のボトルをさらに含むことができる。一実施形態においては、使用の説明書が、糞便サンプル中のヘモグロビンの存在を検出するための説明書である。
【0018】
他の態様において、本発明は、サンプルの採取方法を提供する。本方法は、サンプルが装填されたサンプル塗布具を本明細書に記載されているような採取用スライドのサンプル採取パッドに接触させること、および採取用スライドを閉鎖位置とすることを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、採取したサンプルを含む閉じられた採取用スライドを、袋または乾燥室に配置することをさらに含む。採取用スライドを閉鎖位置とすることは、第1のカードおよび第2のカードを一体に押し付けて、1つ以上の突起を1つ以上の穴へと係合させ、採取用スライドを閉鎖位置に固定する工程を含むことができる。採取用スライドを閉鎖位置とすることによって、余分なサンプルをサンプル採取パッドから除くことが可能である。
【0019】
一実施形態においては、サンプル採取用の塗布具は、サンプルを採取するための部位を有する用具であり、サンプルを採取するための部位が、サンプルの流体部分を排出するための複数の穴を有する。一実施形態においては、サンプルを採取するための部位が、主として平坦である。
【0020】
本発明は、本明細書において詳しく説明される他のさまざまな有用な態様を含む。本発明のそれらの態様は、本明細書に記載される製造物および組成物を使用することによって実現可能である。本開示を参照することで、本発明のさまざまな態様を組み合わせて本発明の望ましい実施形態を作り出すことができることを、さらに理解できるであろう。さらに、本発明のさまざまな他の態様および実施形態が、本明細書に記載される。
【0021】
上述した本発明の概要は、本発明を限定するものではなく、本発明の他の特徴および利点が、以下の詳細な説明ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下の詳細な説明においては、本明細書の一部を構成しており、本発明を実現できる具体的な実施形態をあくまで例示として示している添付の図面を参照する。本発明の技術的範囲から離れることなく、他の実施形態も利用可能であること、および構造的な変更を加えることが可能であることを、理解すべきである。
【0023】
採取用スライド
本発明は、固体または半固体のサンプルを採取するための採取用スライドを提供する。いくつかの実施形態においては、サンプルは、糞便サンプルなどの生物学的サンプルである。さらに、本発明は、サンプル内の分析物の存在を検出するための装置、およびサンプルを採取するための方法を提供する。
【0024】
図1から図5を参照すると、採取用スライド110が、第1のカード114および第2のカード112を有する。第1および第2のカードを、任意の適切な材料で作ることができる。例えば、カードを、プラスチック、コート紙、金属、またはガラスなど、弾性のある耐水性または水を透さない材料で製作することができる。一実施形態においては、カードが、例えばヒンジ224(図2)によって互いにヒンジ式に接続される。「ヒンジ式の接続」とは、2つのカードがそれらの第1の端部にて互いに接続され、自由端をヒンジを中心とする動きによって互いに向かって動かすことができ、互いから離すように動かすことができることを意味する。幅広いさまざまなヒンジ接続を、有利に利用することができる。図示の例示的な実施形態においては、採取用スライドがプラスチックの射出成形によって製造され、2つのカードが、図2に示されているように、リビングなヒンジによって接続されている。他の実施形態においては、ヒンジが、2つのカードを一体に結び付け、一方のカードを他方のカードへと折り畳むことを可能にする素材の1つ以上のフラップであってよい。別の実施形態においては、カードが、例えば係止機構によって一体に固定できる別個独立のカードとして存在する。第2のカードが、バッファ用または溶媒用オリフィス116を有し、オリフィス116を通して抽出バッファ510、512を採取したサンプルへと加えることが可能である(図1および図5)。
【0025】
採取用スライドは、開放位置および閉鎖位置を有する(図1および図2を比較されたい)。図2に示されているように、第1のカードが溶出液オリフィス210を有し、第2のカードが溶媒オリフィス116を有する。バッファ用オリフィスおよび溶出液オリフィスは、採取用スライドが閉鎖位置にあるときにこれら2つのオリフィスが整列するように、カード上に配置されている。オリフィスの「整列」とは、第2の(すなわち、上側の)カードの溶媒用オリフィスに充分な量で加えられた液体が、サンプル採取領域および溶出液オリフィスを通過することを意味する。
【0026】
図2を参照すると、カバーパッド218が、第2のカードの内表面に存在して、バッファ用オリフィス116に重なっている。カバーパッドおよびサンプル採取パッドは、サンプルを保持し流体の通過を許容する任意の適切な材料で製作可能である。カバーパッドおよび/またはサンプル採取パッドに適した材料の例は、ポリエステルメッシュ、繊維質または吸収性の材料、紙または紙を主体とする材料、合成繊維、メッシュおよびウール、コート紙または支持付きの紙、ポリエステル、ナイロン膜、ニトロセルロース、グラスウール、処理紙、吸収紙、あるいはセルロース主体で作られた材料である。図示の実施形態においては、カバーパッド218が、ガスケット220によって囲まれている。本開示を参照することによって、当業者であれば、カバーパッドおよび/またはサンプル塗布パッドについて適切な他の多数の材料を理解できるであろう。
【0027】
第1のカードには、溶出液オリフィス210が存在しており、溶出液オリフィス210にはサンプル採取パッド216が重ねられている。サンプル採取パッド216は、サンプルを保持し流体の通過を許容する任意の適切な材料で製作可能である。さまざまな実施形態において、サンプル採取パッド216は、カバーパッドと同じ種類の材料で製作される。サンプル採取パッドを、畝214および溝212によって囲むことができ、あるいは一連の畝および溝によって囲むことができる。カバーパッドおよび採取パッドは、サンプルを保持し流体の通過を許容する任意の適切な材料で製作可能である。例については、カバーパッドの材料に関して上述した。さらに、この材料は、サンプル塗布の機械的な圧力に耐えるために、充分な弾力性を有さなければならない。好ましくは、濡れによって劣化したり、裂けたりしてはならない。
【0028】
糞便サンプルの採取における一般的な困難として、患者がサンプルを採取用スライドへと過剰に塗布する傾向にあり、検定が免疫学的検定である場合に、これが干渉を引き起こし得るという点が挙げられる。本発明の採取用スライドは、スライドへと塗布できるサンプルの量を制限する一方で、検査を実行する技師がサンプルを直接的に操作する必要がない。スライドが閉鎖位置にあるとき、カバーパッドおよびサンプル採取パッドが封止の構造(例えば、ガスケットおよび溝)によって囲まれているため、採取されるサンプルの量が、サンプル採取領域へと限定される。採取用スライドを閉鎖位置へと動かすとき、封止構造の相互作用(例えば、ガスケットの溝および畝との相互作用)ゆえ、サンプル塗布領域のサンプルがサンプル領域の外側へと塗布されたサンプルから分離される。サンプルをサンプル採取領域へと塗布した後に、採取用スライドが閉じられて係止位置に保持され、これにより2つのカードを一体に押し付けるときに余分なサンプルが絞り出されるため、サンプル領域に保持されるサンプルの量が制限される。封止構造は、ガスケット、畝、および溝以外の構造であってもよい。例えば、この構造が、サンプル採取パッドおよび/またはカバーパッド上にあるいはその周囲に存在して、2つのカードが閉じられて一体に押し付けられたときにサンプル採取パッドを封止する感圧式の接着剤または(1つ以上の)ワックスビーズであってよい。「封止」は、必ずしも密な封止である必要はなく、採取用スライドが閉鎖位置にあるときにサンプル採取領域へと出入りするサンプルの通過をおおむね阻止するだけでよい。本開示を参照することによって、当業者であれば、本発明の他の実施形態において使用できる他の多数の構造を理解できるであろう。
【0029】
カバーパッドおよび/または採取パッドを、それらを通過する水性の液体の流れを改善する試薬で処理することが可能である。さらに、そのような処理は、サンプル領域内の乾いたサンプルからの対象となる分析物の溶出を改善する。一実施形態においては、パッドが、パッドへのタンパク質の付着を抑制してタンパク質の可溶化を促進するため、界面活性剤によって処理される。一般的に使用されているさまざまなアニオン性および非イオンの界面活性剤を、さまざまな濃度にて有利に使用することができる。いくつかのカチオン性および両性の界面活性剤も、本発明において使用することができる。パッドの処理に使用することができる界面活性剤のいくつかの例として、これらに限られるわけではないが、ラウリル、セチル、ステアリル、およびオレイルの各種アルコール由来のポリオキシエチレン脂肪酸エーテル(例えば、BRIJ(登録商標)というシリーズの界面活性剤(ICI US,Inc.))が挙げられる。他の有用な界面活性剤として、オクチルフェノールエトキシレート界面活性剤(例えば、ポリエチレングリコールモノ−p−イソ−オクチルフェニルエーテル、および他のTriton(登録商標)(Rohm & Haas、Philadelphia、PA)というシリーズの界面活性剤)、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体(例えば、Tween(登録商標)(ICI Americas,Inc.)というシリーズの界面活性剤)、ならびにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを主体としてHO(CO)(CO)(CO)Hによって表わされるブロック共重合体(例えば、Pluronic(登録商標)(BASF)というシリーズの界面活性剤)が挙げられる。本開示を参照して、市販の界面活性剤ツールキット(例えば、Reagent Developer’s Took Kit(Pragmatics,Inc.,Elkhart、Indiana)、または同様のキット)を使用するなど、知られている界面活性剤の選択技法を使用して、界面活性剤を好都合に選択することができる。これらのキットは、タンパク質の抽出および貫流を最適化するため、特定の用途について多数の界面活性剤をテストする好都合な方法を提供する。
【0030】
いくつかの実施形態においては、パッドを、分析物の安定性を向上させる成分を含むバッファで処理することができる。さらに、バッファは、分析物と検定において使用できる特定の結合試薬(例えば、抗体または抗体フラグメント)との間の最適な結合を促すよう、サンプルを調整することができる。これは、例えば、分析物のpHを調節することによって実行できる。このような有用な性質を有するバッファとして、これらに限られるわけではないが、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンバッファ、リン酸バッファ、ホウ酸バッファ、酒石酸バッファ、およびフタル酸バッファが挙げられる。
【0031】
「特定結合分子」とは、目的とする分析物(例えば、ヒトのヘモグロビン)に結合し、サンプル内に存在する他の分子には実質的に結合しない分子を指す。いくつかの実施形態においては、特定結合分子が、サンプル中の対象となる分析物の存在に相関する分子、またはサンプル中の分析物の存在を示す分子と結合してもよい。実質的な結合とは、結合が、特定結合分子によって実行される検定の結果を左右し、すなわち最適でない結果または精度の低い結果をもたらすほどの程度で生じることを意味する。生じる可能性があるが検定の結果を変えることがない少量の非特定の結合は、実質的な結合とは見なされない。いくつかの実施形態においては、特定結合分子が、抗体または抗体フラグメント(例えば、抗体のFab領域)、抗原、配位子を結合させる受容体または受容体のフラグメント、あるいはビオチン−ストレプトアビジン対または他の種類の結合対のメンバーであってよい。
【0032】
さらに、カバーパッドおよび/またはサンプル塗布パッドを、やはり分析物の安定性および溶出を改善する性質を有することができる1つ以上のポリマーで処理することができる。タンパク質の精製においてときに使用されるポリマーを、この目的に使用することが可能である。有用なポリマーの例として、これらに限られるわけではないが、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(メチルビニルエーテル−コ−無水マレイン酸)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエルチレングリコール(PEG)、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体(例えば、ポリ(メチルビニルエーテル−コ−無水マレイン酸))、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピロリドン/ビニルアセテート、(硬骨魚綱の分類の魚からの)硬骨魚ゼラチン、架橋ポリアクリル酸ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシルメチルセルロースナトリウム(CMC)、硫酸ポリスチレンナトリウム、ナトリウムカラギーニン、アクリル酸ラテックス、およびヒドロキシエチルセルロース(HEC)が挙げられる。これらのポリマーは、市販(例えば、Pragmatics,Inc.,Elkhart、Indianaから)されており、ポリマーツールキットにおいて好都合に調合される。したがって、これらを、特定の用途における特定のポリマーの利点を判断すべく系統的に使用することができる。
【0033】
分析物の抽出を改善するために、パッドを、遮断薬として機能する非特定のタンパク質でさらに処理することができる。これらに限られるわけではないが、ウシ血清アルブミン、卵白アルブミン、およびカゼインなど、任意のタンパク質をこの目的のために使用することができる。
【0034】
さらに、カバーパッドおよびサンプル塗布パッドを、採取用スライドの保管寿命を延ばすべく保存料で処理することができる。「保存料」は、微生物の増殖または望ましくない化学的変化を抑制するために加えられる天然または人工の化学物質である。保存効果をもたらしかつ検定を妨げない任意の保存料を使用することができる。有用な保存料の例として、これらに限られるわけではないが、5−クロロ−2−メチル−イソチアゾール−3−オン(例えば、ProClin(登録商標)300(Supelco,Inc.,Bellefonte、PA)およびアジ化ナトリウムが挙げられる。本開示を参照することによって、当業者であれば、本発明において使用できる他の多数の保存料を理解できるであろう。
【0035】
カバーパッドおよびサンプル採取パッドが、サンプル採取領域の上壁および下壁を形成し、余分なサンプルをサンプル採取領域から除くように機能する。カード上の構造がガスケット、畝、または溝である場合には、それらを上述したカードとは反対のカードに配置してもよい。
【0036】
特定の実施形態においては、採取用スライドのカードの一方に、第1および第2のカードを閉鎖位置に固定するための構造が設けられる。一実施形態においては、短いピン316(図3B)が、一方のカードの内表面に存在している。他方のカードには、これらのピンに一致する穴318が設けられている。採取用スライドが閉じられたとき、ピンが穴へと挿入され、採取用スライドを閉鎖位置または「係止」位置に保持するための充分な抵抗で引っかかる。一実施形態においては、この動作によって、採取用スライドが適切に閉じられたことを患者に知らせるスナッピング音を有利に生じさせることができる。採取用スライドを閉鎖位置に固定する他の方法を、スライドに取り入れることも可能である。例えば、一実施形態においては、2つのカードの外側へと装着されて2つのカードを一体に保持するクリップを使用でき、あるいは他の実施形態においては、2つのカードの内表面に存在するスナップを使用することができる。本開示を参照することによって、当業者であれば、採取用スライドを閉鎖位置に保持するための他の構造を理解できるであろう。
【0037】
サンプル採取器
さらに、本発明は、サンプル採取器134(図1)も提供する。サンプル採取器は、ハンドル314(図3B)と、サンプルを動かすためのスパチュラ312とを有する。一実施形態においては、スパチュラに、サンプルの液体の量を少なくするとともに、サンプル採取パッドへの過剰なサンプルの塗布を少なくするようにも機能する複数の穴があけられている。さまざまな実施形態において、装置のスパチュラ部分に、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、あるいはそれより多い穴があけられている。採取器のスパチュラ部分は、おおむね平坦であってよく、あるいは湾曲した(スプーン状の)形状を有してもよい。この装置を、任意の適切な材料(例えば、プラスチック)で作ることができる。一実施形態においては、装置のスパチュラ部分が、柔軟なプラスチックで作られ、ハンドルが、より硬いプラスチックで作られる。これにより、サンプルをサンプル採取パッドへと適用してパッド上に塗りつけるときに、スパチュラが曲がることができる。スパチュラ部分の穴は、サンプルをパッドへと一様に塗布するうえでの助けとしても機能する。
【0038】
採取方法
本発明の他の態様は、サンプルの採取方法である。一実施形態においては、サンプルが糞便サンプルである。サンプル採取の方法ならびに採取用スライドおよび検定装置の操作方法が、図3Aから図3Cに示されている。
【0039】
本方法の一実施形態が、図3Aに示されている。患者が、採取用スライドを開いて、第1および第2のスライドの内表面を露出させ、カバーパッドおよびサンプル採取パッドを露わにする。少量の糞便サンプルが、サンプル採取パッド216へと塗布される。次いで、採取用スライドが閉じられる(図3C)。本発明の採取用スライドは、サンプル採取領域内のサンプルのみが検定に取り入れられるような設計を有するサンプル採取領域を設けることで、過剰なサンプルを取り除く。採取用スライドが閉じられるとき、第1のカードの構造が第2のカードの構造に係合し、サンプル採取領域を囲む壁を形成する。一実施形態においては、一方のカード上の構造がガスケットであり、他方のカード上の構造が、溝および畝である。採取用スライドが閉鎖位置にあるとき、溶媒用またはバッファ用オリフィス、サンプル領域、および溶出液オリフィスが、すべて垂直方向に整列する。この状態で、バッファをバッファ用オリフィスへと加えると、バッファが、カバーパッドを通ってサンプル採取領域へと流れ、次いで溶出液オリフィスから流出し、これによってプロセス内のサンプルが洗い流され、サンプル中に含まれる対象となる分析物が可溶化される。さらに、バッファは、サンプルを希釈し、テスト素子上の特定の結合試薬による分析物の最適な結合のために、サンプルを調整する。溶出液オリフィスを通過した後、液化されたサンプルは、検定装置の吸収剤移し換えビーズへと通過する。
【0040】
ヒトのヘモグロビンが、濡れたサンプル中に残された場合に急速に分解することは知られている。分析物の劣化を防止するために、本方法は、サンプルを乾燥させる段階を取り入れることができる。この段階は、空気乾燥を可能にすべく採取カードを或る時間期間にわたって空気に暴露したままにすること、または45℃のオーブンにてサンプルを乾燥させることを含むことができる。また、この段階は、閉じた採取用スライドを乾燥剤を含む容器内に配置することを含んでもよい。容器は、封止可能な袋(例えば、郵送袋)であってよい。乾燥後(あるいは、採取用スライドを乾燥剤入りの封止可能袋に配置した後)に、採取用スライドを、分析のために医療保健施設へと提示することができる。
【0041】
検定装置
本発明の他の態様は、採取用スライド内のサンプルを対象となる分析物の存在または非存在に関して分析するための検定装置120に関する(図1および図2を参照)。検定装置の一実施形態が、図1および図2に示されている。本実施形態において、検定装置は、互いに係合して一体に固定される上部122および下部124からなるハウジングを有する。ハウジングは、例えばプラスチック、プレスした板紙、金属、セラミクス、ポリマー(例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、シクロオレフィン)、および他の材料など、任意の適切な材料で構成できる。図に示した実施形態においては、ハウジングが成形によるプラスチックで作られている。上部および下部は、一体にはまり合う部品、接着剤、微細溶接、および他の手段など、任意の好都合な手段によって互いに係合できる。図2に示した実施形態においては、上部が内表面に一連のピン(図示せず)を有し、これらが底部の内表面230の対応する一連の高められたリング228にぴったりとはまり込み、検定装置の上部および下部を係止状態に固定している。
【0042】
採取用スライドを受け入れて採取用スライドと係合するためのドッキング領域126が、検定装置に配置されている。採取用スライドを、分析すべきサンプルを収容するという意味で、「装填」することができる。ドッキング領域は任意の形状であってよく、採取用スライドのサンプル採取領域を保持している部分に一致することができる。一実施形態においては、ドッキング領域が、外部の採取用スライドを受け入れて、これと係合することができる。外部の採取用スライドとは、検定装置から離れたところで装填を行うことができ、サンプルの装填の時点では装置へと物理的に接続されていない採取用スライドである。採取用スライドを「受け入れて、これと係合する」とは、検定装置および採取用スライドが「検査位置」におかれることを意味する。「検査位置」とは、サンプル塗布パッドと吸収剤移し換え材料とが液体連通している状態である。
【0043】
さらに、ドッキング領域は、採取用スライドを可逆の様相で受け入れることができ、すなわちバッファを適用して採取用スライドからサンプルを溶出させたあとで、採取用スライドを装置から取り除くことができる。図4に示されているように、本実施形態においては、採取用スライドが、採取用スライドのヒンジ付きの縁をタング410の下方に納めることによって、ドッキング領域へとはめ込まれる。次いで、採取用スライドが、ドッキング領域へと押し下げられ、1つ以上の突起412の下方の係止位置へとはめ込まれる。突起が、採取用スライドをドッキング領域と同一面に保持する。他の実施形態においては、ドッキング領域が検定装置へとスライドさせられる。一実施形態においては、ドッキング領域が、採取用スライドを所定の位置に保持すべく、採取用スライドの上方に適合する部位を有することができる。所定の位置にあるとき、サンプル採取パッドおよび吸収剤移し換え材料が、流体連通する。バッファ用オリフィスが、バッファを受け取るべく露出されており、バッファ用オリフィスへと加えられたバッファが、吸収剤移し換え材料へとサンプル採取パッドを通過する。一実施形態においては、ドッキング領域が、サンプル採取領域および吸収剤移し換え部材が流体連通するように、採取用スライドを検定装置の外表面に当接させて受け入れるように構成されている。ドッキング領域は、採取用スライドを保持して検査位置に固定するための突起を有することができる。
【0044】
他の実施形態においては、ドッキング領域が、採取用スライドを装置の内部へと受け入れることができる。別の実施形態においては、サンプル移し換えオリフィスが、サンプルまたは検定流体を受け取るための検定装置の唯一のオリフィスであり、サンプルおよび検定流体の両者が、このサンプル移し換えオリフィスを通過する。「検定流体」とは、検定において利用されるバッファまたは他の試薬を指す。したがって、これらの実施形態においては、サンプル移し換えオリフィスが、装置へとサンプルおよび流体を受け入れるための唯一のオリフィスである。
【0045】
図1に示されているように、一実施形態においては、ドッキング領域が、移し換え材料132が内部に配置されているくぼみまたはウェル130を含む。吸収剤移し換え材料は、ビーズ、立方体、円柱、楕円、または任意の形状など、任意の形態をとることができ、ウェルの内側に位置することができる。図2に示されているように、移し換え材料は、ハウジングの上部およびオリフィス226を通って突き出しており、ドッキング領域の平面とおおむね同一面に位置し、あるいはドッキング領域の平面を通過してわずかに突き出している。本実施形態においては、吸収剤移し換え材料が、吸収剤移し換えビーズである。図6を参照すると、採取用スライドがドッキング領域へとはめ込まれたとき、バッファ用オリフィス、カバーパッド、サンプル採取パッド、溶出液オリフィス、および吸収剤移し換えビーズが、すべて互いにおおむね垂直に整列する。本実施形態においては、吸収剤移し換えビーズが、ドッキング領域の平面へと突き出し、あるいはドッキング領域の平面を通過して突き出しており、したがって吸収剤移し換えビーズとサンプル採取パッドの外表面とが、溶出液オリフィスを介して流体連通した状態におかれる。「流体連通している」とは、サンプル採取領域およびサンプル採取パッドを通過する流体が、吸収剤移し換え材料へと渡されることを意味する。サンプル採取パッドおよび吸収剤移し換え材料が、直接物理的に接触してもよく、あるいは互いにわずかに離れているが、流体連通した状態に保たれていてもよい。
【0046】
吸収剤移し換え材料は、さまざまな有用な吸収剤材料で構成できる。この材料は、検定結果を妨げるような様相でサンプルを変化させることなく、液体を採取用スライドから検定装置のテスト素子へと運ぶことができなくてはならない。吸収剤移し換え材料に適した材料の例として、これらに限られるわけではないが、フィルタ紙または他の紙主体のフィルタ材料、ナイロンメッシュフィルタ、セルロースフィルタ(または、セルロース主体の材料で作られたフィルタ)、ポリエステルフィルタ、およびガラスウールフィルタが挙げられる。他の実施形態においては、吸収剤移し換えビーズが、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリエチレン、ポリウレタン、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、またはポリテトラフルオロエチレンで製作される。さらなる実施形態においては、移し換え材料が、超高分子量ポリエチレンフィルタで作られたフィルタである。
【0047】
種々の実施形態において、吸収剤移し換え材料を、採取用スライドから検定装置のテスト素子への分析物の移動を改善する試薬で処理することができる。移し換え材料を、採取用スライドのカバーパッドおよびサンプル採取パッドの処理に関して上述した任意の試薬で処理することができる。カバーパッド、サンプル採取パッド、および吸収剤移し換え材料の処理に使用できる試薬の例として、これらに限られるわけではないが、ポリオキシエチレン(23)ドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(9)ラウリルアルコール、ポリ(オキシエチレン−コオキシプロピレン)ブロック共重合体、p−イソノニルフェノキシ−ポリ(グリシドール)、無水ソルビトールモノステアレート、ポリジメチルシロキサンメチルエトキシレート、ポリエトキシレート(20)オレイルアルコール、ポリエトキシレート(35)ヒマシ油、ポリオキシエテレン(20)ソルビタンモノラウレート、オクチルフェノールエトキシレート(1.2)、オクチルフェノキシポリエトキシ(5)エタノール、オクチルフェノキシポリエトキシ(9−10)エタノール、オクチルフェノキシポリエトキシ(30)エタノール、ナトリウムオレフィン(C14−C16)ソルホン酸塩、ナトリウムポリオキシエチレン(1)ラウリルサルフェート、塩化ベンザルコニウム、エチレンジアミンアルコキシレートブロック共重合体、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールエトキシレート(10)、2,4,7,9−テトラメチル−5−グッドウェッターデシン−4,7−ジオールエトキシレート(30)、アミンアルキルベンゼンスルホネート、ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)ブロック共重合体、テロマーBモノエーテル、ナトリウムジオクチルスルホ−コハク酸エステル、ポリ(ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸)共重合体、ナトリウム N−オレイル−N−メチルタウレート、ドデシルサルフェート、タウロコール酸ナトリウム、胆汁酸ナトリウム、N−シトルトリメチルアンモニウム臭化物、N,N−ジメチルドデシルアミン N−オキシド、3−[3−(コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロアンスルホネート、アルコールエトキシレート、n−オクチルサッカロース、n−ドデシルサッカロース、n−ドデシルマルトシド、オクチルグルコシド、オクチルチオグルコシド、n−ヘキシルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンバッファ、リン酸バッファ、ホウ酸バッファ、酒石酸バッファ、フタル酸バッファ、ポリビニルピロリドン単独重合体、ポリ(ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、1−エテニル−2−ピロリジノン、硬骨魚ゼラチン、架橋ポリアクリル酸ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、硫酸ポリスチレンナトリウム、ナトリウムカラギーニン、アクリル酸ラテックス、ヒドロキシエチルセルロース、ウシ血清アルブミン、卵白アルブミン、カゼイン、5−クロロ−2−メチル−イソチアゾール−3−オン、およびアジ化ナトリウムが挙げられる。
【0048】
図2および図6に示されているように、テスト素子222は、ハウジングを備えており、本実施形態においては、ハウジング内に収容されている。テスト素子は、装置のハウジング内に恒久的に位置することができ、すなわち検定の実行において取り出しおよび挿入が不可能であって、検定装置の一体の一部であってよい。図6を参照すると、吸収剤移し換えビーズが、テスト素子に流体連通している。一実施形態においては、テスト素子が、側方流動検定の実行に適した吸収テスト片である。さまざまなテスト片が検定装置に適している。一実施形態においては、テスト片が、例えばニトロセルロースなどの吸収性の母材、および/または他の適切な材料からなる。母材は、サンプル導入領域、試薬または標識領域、および検出領域を有することができる。このような種類のテスト片は、当分野において知られており、本開示を参照することによって、当業者であれば、本発明において有用なさまざまなテスト片を理解できるであろう。いくつかの実施形態においては、サンプル導入領域が、サンプルをテスト片へと適用すべくテスト片の一端に存在している。サンプル導入領域は、テスト片のうちの移し換え材料に液体連通している部位である。また、検定の実行またはサンプルの調整のための試薬が、サンプル導入領域に存在してもよく、あるいは別個の試薬または標識領域に存在してもよい。これらの試薬は、例えば特定結合分子との最適な結合のためのサンプルの前処理、あるいは対象となる分析物の安定性の改善など、さまざまな目的に機能することができる。サンプルの「調整」とは、分析物の存在の検出をもたらす反応を促進または改善するために、サンプルの特性を調節することを意味する。例えば、サンプルのpHを調節するために、バッファを含ませることができる。サンプルが、検定において使用される特定結合分子との結合において競合する物質を含む場合には、その物質と結合するように二次の遮断抗体を含ませることができ、あるいは分析物のための特定結合分子を劣化させ得る酵素がサンプル中に存在する場合には、1つ以上の酵素阻害剤を試薬領域に追加することができる。
【0049】
サンプル導入ゾーンは、テスト片の上流端232に位置している。テスト片234の下流端に向かって、試薬領域が存在し、検出領域が続いている。試薬領域は、サンプルの調整のための試薬、分析物の標識化のための試薬(例えば、検定がサンドイッチ形式の免疫学的検定である場合には、特定結合分子)、または標識化済みの分析物の類似体(例えば、検定が競合形式の免疫学的検定である場合)を含むことができる。いくつかの実施形態においては、試薬領域が、分析物のための標識化された特定結合分子を、乾燥させた形態で母材上に含み、これを母材に沿って通過するサンプル流体によって可溶化することができる。一実施形態においては、特定結合分子が、抗体または抗体のフラグメントである。一実施形態においては、分析物が、ヒトのヘモグロビン(hHb)であり、標識化された特定結合分子が、hHbと結合する抗体である。抗体を、例えば金属ゾル、色付きラテックスビーズ、および染料など、任意の適切な方法によって標識化することができる。いくつかの実施形態においては、サンプル導入領域および試薬領域が重なり合っている。他の実施形態においては、一連の試薬領域がテスト片に配置されて存在している。
【0050】
検出領域は、テスト片において分析物の存在が検出される領域である。いくつかの実施形態においては、検出領域がテスト線を含み、テスト線において対象となる分析物の存在または非存在が視覚的に検出される。テスト線は、任意の形状であってよく、ただ1つの線である必要はない。テスト線は、分析物のための特定結合分子を有することができる。ヒトのヘモグロビンが分析物である場合には、テスト線上の特定結合分子がhHbへと結合する。本実施形態において、特定結合分子は、偽陽性の結果を防止するために、ヒトのHbには結合するが、食物に起因して存在し得るヘモグロビンには結合しない。
【0051】
検出方法
本発明の他の態様は、サンプル採取用スライドに含まれているサンプルにおいて分析物の存在または非存在を検出する方法を提供する。本方法の一実施形態においては、サンプルを含む採取用スライドが、図4に示されているように検定装置のドッキング領域へと配置される。抽出バッファ512が、採取用スライドのバッファ用または溶媒用オリフィスへと加えられる。抽出バッファが、対象となる分析物が存在する場合には、サンプルから分析物を溶出させる。バッファ用オリフィスへと加えられたバッファは、カバーパッドを通過して、乾燥サンプルを含むサンプル採取領域へと流れる。乾燥サンプルに水分が再び加えられ、サンプルの一部が、溶出液オリフィスを通って採取用スライドから溶出する。一実施形態においては、バッファが、毛管作用によって、採取パッドを通って吸収剤移し換え材料へと引き出される。採取用スライドから溶出した余分なバッファは、吸収剤移し換え材料を囲んでいるウェルに集められる。移し換え材料内の溶出液は、毛管作用によってテスト片の導入領域へと流れ、次いでテスト片の下流端へと流れる。溶出液が移し換え材料からテスト片へと流れるとき、ウェルに保持された余分な溶出液が、移し換え材料によって吸収されてテスト片へと運ばれてもよい。
【0052】
溶出液は、テスト片のサンプル導入領域および試薬領域を通って流れるときに、検定を実行すべく導入領域または試薬領域に存在する試薬を溶かし出す。一実施形態においては、これらの試薬が、テスト片上で乾燥させられている。すでに述べたように、最適な検出のために溶出液を調整する試薬を、さらに含ませてもよい。例えば、検定がサンドイッチ形式の免疫学的検定である場合、試薬は、抗体または抗体のフラグメントなど、分析物のための特定の標識化された結合分子を含むことができる。一実施形態においては、特定結合分子が、金で標識化した抗hHb抗体または抗体のフラグメントである。サンプル中に分析物が存在する場合、標識化された特定結合分子が、分析物を捕らえて標識化された可溶性複合体を形成し、これが検出領域において検出される。溶出液は、分析物のための特定結合分子を有するテスト線を含む検出領域へと、テスト片を通って流れ続ける。例えば、特定結合分子は、分析物に対する標識化されていない抗体であって、標識化試薬とは異なるエピトープにて結合する抗体であってよい。検定がサンドイッチ検定である場合には、テスト線の特定結合分子が、標識化された抗体−分析物複合体を捕らえ、サンプル中に分析物が存在していることを知らせる目視検出可能な線を形成する。このようにして、検査結果が、ハウジングの上部に位置する結果窓128に現われる。
【0053】
他の実施形態においては、検定が、競合形式の免疫学的検定である。本実施形態においては、テスト片の標識領域または試薬領域が、金で標識化されたhHb類似体など、標識化された分析物の類似体を含む。サンプル中に分析物が存在しない場合、標識化された分析物の類似体が、テスト線の抗体に結合する。したがって、テスト線上の陽性の結果は、サンプル中に分析物が存在しないことを知らせている。分析物が存在する場合、これが標識化された類似体と競合して、テスト線上の抗体に結合する。サンプル中の分析物の濃度が高いほど、テスト線に結合する類似体の量が少なくなる。その結果、線が薄くなり、あるいは線がなくなることで、サンプル中に分析物が存在することが示される。
【0054】
さらに、手続きの制御を、検出領域に含ませることができる。手続きの制御は、線として存在でき、サンプル中に分析物が存在するか否かにかかわらず、常に現われる。手続きの制御からの陽性の結果が存在しない場合、検定が無効であることを表わしている。
【0055】
他の実施形態においては、溶出液が、免疫学的検定以外の手段によって検査される。例えば、分析物を含む溶出液を、グアヤク検査または他の化学的な手段など、化学的な手段を使用して検出することができる。
【0056】
サンプルおよび分析物の種類
「サンプル」は、分析物の存在、非存在、または量について試験される任意の物質である。一実施形態においては、サンプルが、糞便サンプルなどの生物学的サンプルである。しかしながら、検出しようとする分析物が可溶化可能かつ採取用スライドを通って検定装置へと通過可能に含まれている限りにおいて、あらゆる種類のサンプルを本発明の方法を使用して検定することができる。サンプルは、固体、半固体、または高い粘性の物質など(糞便、土壌、組織、血液、体液、または液体に浸して柔らかくした器官など)、多数の形態であることができる。また、サンプルは、口腔スワブまたは膣スワブであってもよい。
【0057】
さまざまな分析物を、本発明の装置を使用して検査することができる。本発明を使用して検出できる分析物の例として、これらに限られるわけではないが、ヘモグロビンまたは他の血液成分、クレアチニン、ビリルビン、亜硝酸塩、タンパク質(不特定)、ホルモン(例えば、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、など)、白血球、糖、重金属または毒素、細菌成分(例えば、大腸菌O157:H7、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、チフス菌、赤痢菌、ウェルシュ菌、クロストリジウムディフィシル、カンピロバクター菌、ヘリコバクターピロリ、リステリアモノサイトゲネス、腸炎ビブリオ、コレラ菌、またはセレウス菌などといった特定の種類のバクテリアに特有のタンパク質、糖、または抗原)、卵および寄生虫、ならびに尿サンプルのpHおよび比重などといった物理的特性が挙げられる。信頼できる検定を設計できる任意の分析物を、検出することが可能である。本開示を参照することによって、当業者であれば、本発明において適用できるさまざまな検定の原理を使用してさまざまな抗原を検出できることを、理解できるであろう。
【0058】
検査キット
本発明のさらなる態様は、本発明の1つ以上の採取用スライド、および/または本発明の1つ以上の検定装置、ならびにそれらを検定の実行において使用するための説明書を含むキットを提供する。検査キットを、ユーザの必要性に応じて、さまざまな形式に梱包することができる。一実施形態においては、キットとともに提供される説明書が、糞便サンプル中のヘモグロビンの存在を検出するための説明書である。
【0059】
一実施形態においては、キットが、3つの採取用スライドと、3つの検定装置と、3つの塗布具と、封止可能な3つの区画を有する乾燥郵送袋と、サンプルを採取するための説明書とを含み、これらがパッケージにて提供される。パッケージは、任意の適切な容器であってよい。種々の実施形態においては、パッケージが、箱、袋、バッグであってよく、あるいは単純にキットの品物を一体に拘束する包装材料であってよい。
【0060】
他の実施形態においては、キットが、ホイル袋に個々に梱包された1つ以上の採取用スライドおよび検定装置を含むとともに、さらに抽出バッファの1つ以上のボトルおよび説明書を含み、これらがパッケージにて提供される。別の実施形態においては、キットが、個々に包装された3つの採取用スライド、3回の検査を実行するための抽出バッファ、および使用の説明書を含む。多数の検査が実行されると考えられる医療保健施設においては、キットが、個々に包装された多数の検査装置、抽出バッファの1つまたは2つの大きなボトル、および使用の説明書を1部だけ含むことができる。
【0061】
さらなる実施形態は、2つの「ミニ−キット」を含むキットを提供し、ここで1つのミニ−キットが、3つの採取用スライド、3つの塗布具、乾燥郵送袋、およびサンプルを正しく採取するやり方を説明する患者への説明書を、一体に梱包して含む。第2のミニ−キットは、3つの検査装置、3回の検査を実行するために充分な抽出バッファ、および使用の説明書を、医師のために一体に梱包して含むことができる。
【0062】
実施例1−界面活性剤による移し換えビーズの処理のバッファの流速への影響
本実施例は、検定装置の製造において吸収剤移し換え材料を界面活性剤(Triton(登録商標)X−100(異名:オクチルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレン、オクチルフェニルエーテル)で処理することの利益を説明する。
【0063】
ビーズの形態の吸収剤移し換え材料を、0、1、2、3、4、または5%のTriton(登録商標)X−100を含むトリス−カゼイン−PVPバッファの溶液で処理した。その後に、飽和した移し換えビーズを55℃で完全に乾燥させ、続いてそれぞれのビーズを、テスト片を収容した組み立て済みの検査装置のビーズオリフィスに挿入した。0.06ugのTriton(登録商標)X−100で処理したサンプルパッドを有する採取用スライド(満たされていない)を、検査装置に係合させ、200μl〜240μlのバッファをそれぞれのバッファ用オリフィスへと加えた。結果窓に制御線が現われるまでの時間を測定した。すべての場合において、バッファは、空の採取用スライドを5秒で通過した。移し換えビーズがTriton(登録商標)X−100を含んでいない(0%の)場合、テスト片上に制御線が現われるまでに68秒を要した。しかしながら、Triton(登録商標)X−100の濃度を1%〜5%とすることで、時間は19秒〜26秒へと短縮された。したがって、1%〜5%の濃度のTriton(登録商標)X−100によって、サンプルが流れる時間の長さが大幅に短縮される。
【0064】
実施例2−採取用スライドのカバーパッドの界面活性剤の濃度のバッファの流速への影響
本実施例は、より速いバッファの流速を得るために採取用スライドのカバーパッドを界面活性剤で処理する利益を説明する。
【0065】
すべての検査装置は、1.2μgのTriton(登録商標)X−100で処理した移し換えビーズを含んでいた。採取用スライドのサンプル採取パッドは、処理されなかった。カバーパッドを、0、0.31、0.63、1.25、2.5、または5%のTriton(登録商標)X−100(20μl)で処理した。空の採取用スライドを検査装置に係合させ、側方流動を生じさせるべく200μlのバッファをそれぞれのバッファ用オリフィスへと加えた。カバーパッドが界面活性剤によって処理されていない場合(0%のTriton(登録商標)X−100)には、バッファは採取用スライドへと流れることができなかった。Triton(登録商標)X−100の濃度が高くなるにつれ、流速も大きくなった。カバーパッドを0.31%のTriton(登録商標)X−100で処理した場合、20秒で制御線が現われた。Triton(登録商標)X−100の濃度が0.63%、1.25%、2.5%、および5%であるとき、制御線はそれぞれ17、16、15、および12秒で現われた。しかしながら、より高い界面活性剤濃度(すなわち、1.25%および5%のTriton(登録商標)X−100)においては、バッファが採取用スライドのサンプル領域から漏れ出すことが明らかになった。
【0066】
実験3−検査感度に対するサンプルカバーパッドおよび移し換えビーズの影響
本実施例は、カバーパッドおよびサンプル採取パッドがヘモグロビンの通過を許す能力を有し、したがって検定の感度を妨げない旨を説明する。
【0067】
1ml当たりに0、50、100、および200ngのhHbを含む溶液を準備した。0.53%のTriton(登録商標)X−100(20μl)で処理したカバーパッドを有する採取用スライドを、1.2μgのTriton(登録商標)X−100で処理した移し換えビーズを有する本発明の検定装置のドッキング領域に係合させた。200μlのhHb溶液を、採取用スライドのバッファ用オリフィスへと適用し、5分間の定温放置時間にてテスト線の強度を測定した。対照として、140μlのhHb溶液を、移し換えビーズを有さない検査装置に収容したテスト片へと直接適用した。この対照テストのテスト線の強度も、5分間で測定した。
【0068】
テストサンプルおよび対照サンプルが、同じ結果を生み出すことが発見された。1ml当たり0ngのhHb濃度においては、テストおよび対照のどちらも、陰性の結果をもたらした。1ml当たり50ngのhHbでは、処理済みのパッド/ビーズを含む装置および対照の装置のどちらも、弱い陽性の信号をもたらした。1ml当たり100ngのhHbでは、処理済みのパッド/ビーズを含む装置および対照の装置のどちらも、中程度の陽性の信号をもたらした。1ml当たり200ngのhHbでは、処理済みのパッド/ビーズを含む装置および対照の装置のどちらも、中程度の陽性の信号をもたらした。このように、カバーパッドおよび移し換えビーズは、hHbを保持することはなく、検査の感度に有意な影響を有さない。
【0069】
実施例4−糞便中のhBhの分析のための採取用スライドおよび検定装置の使用
本発明の3つの採取用スライドが、患者によって準備される。医療保健施設において、それぞれのカードが、本発明の検定装置のドッキング領域に配置される。採取用スライドをドッキング領域へと配置することによって、スライドのヒンジ付きの辺がタングの下方に挿入され、採取用スライドの溶出液オリフィスが装置の吸収剤移し換え材料に流体連通するように、スライドが下方へと押されてドッキング領域の所定の位置にはめ込まれる。
【0070】
抽出バッファの3つの液滴(約200μl)が、採取用スライドの溶媒用オリフィスへと加えられる。短い(例えば、5分間)定温放置期間の間に、バッファは、サンプル採取パッドおよび吸収剤移し換え材料を通って装置のテスト素子へと吸われ、ここで分析物(hHb)の検出が生じる。テスト素子は、hHbのための特定結合分子を備えるテスト線と、hHbのための標識化された抗体を備える試薬領域とを有するテスト片である。定温放置期間が過ぎた後、検定装置の検出領域が観察され、制御線およびテスト線における陽性の結果(赤い線)の両者を呈していることが確認され、糞便サンプル中のhHbについて陽性の結果が示される。
【0071】
本明細書において例示として説明した本発明を、本明細書において具体的に開示されていない任意の1つ以上の構成要素または1つ以上の限定事項をなくして、実施することが可能である。用いられている表現および語句は、説明の表現として使用されており、限定の表現として使用されているわけではなく、そのような用語および語句の使用には、図示および説明した特徴およびその一部分の均等物を排除する意図はなく、特許請求の範囲に記載される本発明の技術的範囲においてさまざまな変更が可能であると理解される。したがって、本発明をさまざまな実施形態および任意の特徴によって具体的に開示したが、当業者であれば、本明細書に開示された考え方の変更および変形に頼ることができ、そのような変更および変形は、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の技術的範囲に包含されると考えられる。
【0072】
本明細書において言及または引用した論文、特許、および特許出願、ならびに他のすべての文献および電子的に利用できる情報の内容は、それらの全体が、あたかも個々のそれぞれの刊行物が参照により組み込まれると具体的かつ別個独立に示された場合と同じ範囲まで、ここでの参照により組み込まれる。本出願人は、そのような論文、特許、特許出願、または他の文献からの任意かつすべての資料および情報を、本出願へと物理的に組み込む権利を留保する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】サンプル採取用スライド110および採取用スライドに係合する検査装置120を含む本発明100の種々の態様の斜視図を提示する。サンプルを採取用スライドへと塗布するためのサンプル採取具134も示される。
【図2】図1に示した装置の分解図を提示する。
【図3A】サンプルの採取用スライドへの塗布を示す。開放された採取用スライドを示しており、カバーパッド218および採取パッド216が示される。
【図3B】サンプルの採取用スライドへの塗布を示す。採取パッドへのサンプル310の塗布を示す。
【図3C】サンプルの採取用スライドへの塗布を示す。閉じられた採取用スライドを示す。
【図4】検査装置のドッキング領域126に係合している採取用スライド110を示す。
【図5】係合後の採取用スライドの溶媒オリフィス116への抽出バッファ512の適用を示す。
【図6】検査装置120に係合した採取用スライド110の断面図を提示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の分析物を検出するための装置であって、
テスト素子と、
内部に吸収剤移し換え材料が配置され吸収剤移し換え材料がテスト素子に流体連通しているサンプル移し換えオリフィスを有する、外部の採取用スライドを受け入れて外部の採取用スライドと係合するためのドッキング領域と、
検査結果を観察するための結果窓と
を含むハウジングを備える、装置。
【請求項2】
吸収剤移し換え材料が、超高分子量ポリエチレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、およびセルロース主体の材料からなる群より選択される材料である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
吸収剤移し換え材料が、超高分子量ポリエチレンフィルタを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
サンプル移し換えオリフィスが、装置のハウジング内のウェルを含み、吸収剤移し換え材料が、ウェル内に位置している、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
吸収剤移し換え材料が、界面活性剤を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
吸収剤移し換え材料が、ポリオキシエチレン(23)ドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(9)ラウリルアルコール、ポリ(オキシエチレン−コオキシプロピレン)ブロック共重合体、p−イソノニルフェノキシ−ポリ(グリシドール)、無水ソルビトールモノステアレート、ポリジメチルシロキサンメチルエトキシレート、ポリエトキシレート(20)オレイルアルコール、ポリエトキシレート(35)ヒマシ油、ポリオキシエテレン(20)ソルビタンモノラウレート、オクチルフェノールエトキシレート(1.2)、オクチルフェノキシポリエトキシ(5)エタノール、オクチルフェノキシポリエトキシ(9−10)エタノール、オクチルフェノキシポリエトキシ(30)エタノール、ナトリウムオレフィン(C14−C16)ソルホン酸塩、ナトリウムポリオキシエチレン(1)ラウリルサルフェート、塩化ベンザルコニウム、エチレンジアミンアルコキシレートブロック共重合体、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールエトキシレート(10)、2,4,7,9−テトラメチル−5−グッドウェッターデシン−4,7−ジオールエトキシレート(30)、アミンアルキルベンゼンスルホネート、ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)ブロック共重合体、テロマーBモノエーテル、ナトリウムジオクチルスルホ−コハク酸エステル、ポリ(ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸)共重合体、ナトリウム N−オレイル−N−メチルタウレート、ドデシルサルフェート、タウロコール酸ナトリウム、胆汁酸ナトリウム、N−シトルトリメチルアンモニウム臭化物、N,N−ジメチルドデシルアミン N−オキシド、3−[3−(コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロアンスルホネート、アルコールエトキシレート、n−オクチルサッカロース、n−ドデシルサッカロース、n−ドデシルマルトシド、オクチルグルコシド、オクチルチオグルコシド、n−ヘキシルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンバッファ、リン酸バッファ、ホウ酸バッファ、酒石酸バッファ、フタル酸バッファ、ポリビニルピロリドン単独重合体、ポリ(ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、1−エテニル−2−ピロリジノン、硬骨魚ゼラチン、架橋ポリアクリル酸ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、硫酸ポリスチレンナトリウム、ナトリウムカラギーニン、アクリル酸ラテックス、ヒドロキシエチルセルロース、ウシ血清アルブミン、卵白アルブミン、カゼイン、5−クロロ−2−メチル−イソチアゾール−3−オン、およびアジ化ナトリウムからなる群より選択される試薬を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
テスト素子が、ハウジングの内部に含まれるとともに、
吸収剤移し換え材料に流体連通しているサンプル適用領域、
検定を実行するための試薬を含む試薬領域、および
テスト線を含み、テスト線において分析物の存在または非存在を視覚的に検出するための検出領域
を有する吸収性の母材を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
テスト線が、さらに分析物のための特定結合分子を母材に固定して含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
テスト線上の特定結合分子が、ヒトのヘモグロビンに結合する、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
分析物がヒトのヘモグロビンである、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
試薬領域が、分析物のための標識化された特定結合分子を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
特定結合分子が、抗体である請求項8に記載の装置。
【請求項13】
ドッキング領域が、サンプル採取用スライドをドッキング領域内の所定の位置に保持するための1つ以上のはまり合いロックをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
ドッキング領域が、サンプル採取用スライドを吸収剤移し換えパッドの上方の所定の位置に固定するための1つ以上の突起を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
ドッキング領域が、ハウジングの高められた領域によって少なくとも部分的に囲まれているハウジング内の凹所を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
サンプルの採取および移し換えのための装置であって、
内表面と溶出液オリフィスとを有する第1のカード、
第1のカードへとヒンジによって接続され、内表面と溶媒用オリフィスとを有し、採取用スライドが開放位置および閉鎖位置を有し、採取用スライドが閉鎖位置にあるときに溶媒用オリフィスと溶出液オリフィスとが整列する第2のカード、および
採取のためにサンプルが塗布される第1のカード上のサンプル採取領域
を含む、装置。
【請求項17】
サンプル採取領域が、
第1のカードの溶出液オリフィスに重なっているサンプル採取パッド、および
第2のカード上に位置して、溶媒用オリフィスに重なっているカバーパッド
をさらに含み、
サンプル塗布領域が、第1のカード上の封止構造によって少なくとも部分的に囲まれており、
第2のカードが、第1のカード上の構造と相補的な封止構造をさらに含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
第1のカード上の構造がガスケットであり、第2のカード上の構造が溝であり、採取用スライドが閉鎖位置にあるとき、第1のカード上のガスケットが、第2のカード上の溝に係合する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
カバーパッドおよび/または採取パッドが、サンプルから分析物を溶出させるための試薬を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
試薬が、遮断薬、界面活性剤、湿潤剤、可溶化剤、安定剤、希釈剤、および保存料からなる群より選択される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
試薬が、ポリオキシエチレン(23)ドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(9)ラウリルアルコール、ポリ(オキシエチレン−コオキシプロピレン)ブロック共重合体、p−イソノニルフェノキシ−ポリ(グリシドール)、無水ソルビトールモノステアレート、ポリジメチルシロキサンメチルエトキシレート、ポリエトキシレート(20)オレイルアルコール、ポリエトキシレート(35)ヒマシ油、ポリオキシエテレン(20)ソルビタンモノラウレート、オクチルフェノールエトキシレート(1.2)、オクチルフェノキシポリエトキシ(5)エタノール、オクチルフェノキシポリエトキシ(9−10)エタノール、オクチルフェノキシポリエトキシ(30)エタノール、ナトリウムオレフィン(C14−C16)ソルホン酸塩、ナトリウムポリオキシエチレン(1)ラウリルサルフェート、塩化ベンザルコニウム、エチレンジアミンアルコキシレートブロック共重合体、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールエトキシレート(10)、2,4,7,9−テトラメチル−5−グッドウェッターデシン−4,7−ジオールエトキシレート(30)、アミンアルキルベンゼンスルホネート、ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)ブロック共重合体、テロマーBモノエーテル、ナトリウムジオクチルスルホ−コハク酸エステル、ポリ(ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸)共重合体、ナトリウム N−オレイル−N−メチルタウレート、ドデシルサルフェート、タウロコール酸ナトリウム、胆汁酸ナトリウム、N−シトルトリメチルアンモニウム臭化物、N,N−ジメチルドデシルアミン N−オキシド、3−[3−(コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロアンスルホネート、アルコールエトキシレート、n−オクチルサッカロース、n−ドデシルサッカロース、n−ドデシルマルトシド、オクチルグルコシド、オクチルチオグルコシド、n−ヘキシルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンバッファ、リン酸バッファ、ホウ酸バッファ、酒石酸バッファ、フタル酸バッファ、ポリビニルピロリドン単独重合体、ポリ(ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、1−エテニル−2−ピロリジノン、硬骨魚ゼラチン、架橋ポリアクリル酸ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、硫酸ポリスチレンナトリウム、ナトリウムカラギーニン、アクリル酸ラテックス、ヒドロキシエチルセルロース、ウシ血清アルブミン、卵白アルブミン、カゼイン、5−クロロ−2−メチル−イソチアゾール−3−オン、およびアジ化ナトリウムからなる群より選択される、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
第1のカードおよび第2のカードが、プラスチックから構成される、請求項16に記載の装置。
【請求項23】
サンプルが糞便サンプルである、請求項16に記載の装置。
【請求項24】
サンプル採取用スライドに含まれているサンプル中の分析物の存在または非存在を検出する方法であって、
サンプルを含む採取用スライドであって、溶出液オリフィスを有する第1の耐水性カード、および第1のカードへとヒンジによって接続され、溶媒用オリフィスを有する第2の耐水性カードを有し、開放位置と閉鎖位置とを有し、閉鎖位置にあるときに溶媒用オリフィスと溶出液オリフィスとの間に存在するサンプル採取面をさらに含む、採取用スライドを、
ハウジング内に含まれているテスト素子と、採取用スライドを受け入れるためのドッキング領域と、検査結果を観察するための結果窓とを含み、ドッキング領域が、内部に吸収剤移し換え材料が配置され吸収剤移し換え材料がテスト素子に流体連通しているサンプル移し換えオリフィスを含む、サンプル中の分析物を検出するための装置の、ドッキング領域へと配置すること、
抽出バッファを採取用スライドの溶媒用オリフィスへと加えること、
サンプル領域を通って吸収剤移し換えビーズおよびテスト素子への抽出バッファの通過を許すこと、および
結果窓において検査結果を観察すること
を含む、方法。
【請求項25】
テスト素子が、
移し換えビーズに流体連通しているサンプル適用領域、
検定を実行するための試薬を含む試薬領域、および
分析物の存在または非存在を検出するためのテスト線を含む検出領域
を有する吸収性の母材を備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
テスト線が、分析物のための特定結合分子を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
テスト線が、化学的検査を実行するための試薬を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
分析物が、ヒトのヘモグロビンである、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
生物学的サンプルを採取するためのキットであって、
内表面および溶出液オリフィスを有する第1の耐水性カードと、第1のカードへとヒンジによって接続され、内表面および溶媒用オリフィスを有する第2の耐水性カードと、採取のためにサンプルが塗布される第1の耐水性カード上のサンプル採取領域とを備える採取用スライドであって、開放位置および閉鎖位置を有し、閉鎖位置にあるときに溶媒用オリフィスと溶出液オリフィスとが整列する、採取用スライド、
テスト素子と、採取用スライドと係合するためのドッキング領域と、検査結果を観察するための結果窓とを含むハウジングを含み、ドッキング領域が、内部に吸収剤移し換え材料が配置され吸収剤移し換え材料がテスト素子に流体連通しているサンプル移し換えオリフィスを含む、流体中の分析物を検出するための装置、
サンプル採取器、
採取後の採取装置を収容するための袋、および
使用のための説明書
を含み、これらがパッケージにて供給される、キット。
【請求項30】
使用の説明書に従って検定を実行するためのバッファを含む1つ以上のボトルをさらに含む、請求項29に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−541009(P2008−541009A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508056(P2008−508056)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【国際出願番号】PCT/CN2006/000806
【国際公開番号】WO2006/116917
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(306047561)オークビル・ホンコン・カンパニー・リミテツド (1)
【Fターム(参考)】