説明

サンプル処理装置

サンプルを処理するときに使用するための装置であって、上記装置は基板の表面に設けられた多数の変形可能なキャビティを有しており、キャビティの少なくとも一つはサンプルを受け入れるためのサンプルキャビティであり、多数の流路がキャビティを接続し、使用時に、サンプルを選択的に一つ以上の物質と結合させるように、キャビティを選択的に変形させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサンプル処理装置及びその処理方法に関し、特に、指示薬試験で使用するサンプルを調製するための装置および方法に関し、指示薬試験を実行するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願明細書において、先行技術文献(またはその文献から引用される知見)または公知の事項を引用したとしても、その先行技術文献または公知の事項が本発明に関連する分野の一般常識の一部であるということを認めたのではなく、承認したのでもなく、示唆したのでもない。
【0003】
研究設備から遠く離れた場所において指示薬試験を実行したいという要望が高まっている。この試験には、例えば、感染、病気、環境汚染、および環境における病原菌を探知することなどの試験をする能力が含まれる。そのような遠隔地での試験を実行するための現在の対処法は、遠隔地でサンプリングして中央で分析するか又は携帯用の試験設備を使用するかのいずれかである。
【0004】
中央で分析する場合、これは集められたサンプルに依存する。それから、処理のために中央の試験設備へ戻される。それから、適切な個々の試験結果が通知される。この方法は、既存の試験設備を使用し、複雑で高価な付加的な機器を必要としないが、多くの欠点がある。
【0005】
まず、上記方法では、サンプルを中央の試験設備へ搬送する必要がある。その場合、結果を得るまでに、調製および/又は分析のために相当の時間が必要である。病気または飲料水で伝染する汚染物を追跡する場合、素速く結果を得ることが重要である。それゆえ、上記方法は現実的な解決手段ではない。
【0006】
第二、サンプルの搬送による時間の遅れが問題とならない場合でも、サンプルを集めてこれを搬送のために調製するプロセスに固有の問題がある。例えば、サンプルが汚染されていないこと、または、サンプリングプロセスもしくは引き続くサンプル処理プロセスの結果として、サンプルが汚染されていないことを確認することが重要である。さらに、分析が実行されるまで、サンプルを生存させておくか又は安定した状態におくように、サンプルを取り扱うことが必要である。
【0007】
適当な容器にサンプルを集め、集められたサンプルを処理するために必要とされる物質を添加するために、標準的なサンプル収集技術では個々の収集を実行する必要がある。個々にサンプルを収集するには熟練した技術を必要とするので、現実的な解決手段ではない。
【0008】
その場で試験を実行できるようにする携帯用の試験設備はあるけれども、そのような設備は一般に高価で、取り扱いが複雑で難しい。そのような携帯用の試験設備は試験を実行する場所でしばしば熟練したオペレータを必要とし、実行可能な解決手段ではない。
【0009】
特許文献1は、診断で使用するための模様のついた複数の配列または複数の特定の表面を製造することを記載している。そのシステムは、関心のある対象を探知または測定するための電気−化学冷光法を使用している。しかしながら、これは複雑な試験器具の使用が必要であるから、すべての環境での使用には適しておらず、訓練を受けたオペレータが必要である。
【0010】
特許文献2は、流体または流体状材料の少量サンプルに対する化学的、物理学的または生物学的試験のための試験ストリップ装置を記載している。その装置は、その内部に不活性の液体の薄い層で完全に満たされた溝を有する、薄くて平坦で中空の柔軟性のあるストリップで形成されている。操作時に、少量の流体がストリップの頭部に導入され、その頭部がつねられて泡が形成されるか、ぶつぶつの状態にされる。そのつねり線がストリップの長さ方向に沿って形成され、その前方にぶつぶつが形成される。ぶつぶつが管に発生するとき、ぶつぶつは異なる部位を通過しながら、化学的、物理学的または生物学的探知作業に供される。管の一方の側が好ましくは透明であれば、その作業の結果を見ることができる。しかし、これは、作業を制限することになる。その結果、実行できる複雑な試験が制限される。それによって、使用できる装置の適用範囲が厳しく制限されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6207369号明細書
【特許文献2】米国特許第4065263号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一の実施形態において、サンプルの処理に使用する装置を提供する。その装置は、a)基板と、b)少なくとも一つのキャビティはサンプルを受け入れるためのサンプルキャビティである、上記基板の表面に形成された変形可能な多数のキャビティと、c)使用時に、キャビティが選択的に変形することによってサンプルを選択的に一つ以上の物質と結合させるように、キャビティを接続する多数の流路とを有している。
【0013】
一般的に、サンプルキャビティは所定の容積を有している。
【0014】
一般的に、サンプルキャビティは入口に接続されている。
【0015】
一般的に、入口はサンプルがサンプルキャビティに吸収されるようにする、ウィックを有している。
【0016】
一般的に、物質とサンプルは少なくとも一つの第一キャビティに選択的に供給される。それによって、a)サンプルを処理すること、b)指示薬試験で使用するためにサンプルを調製をすること及びc)指示薬試験を実行することの中の少なくとも一つが行われる。
【0017】
一般的に、装置は、a)サンプル処理キャビティ、b)サンプル保存キャビティおよびc)指示薬キャビティの中の少なくとも一つとして作用する少なくとも一つの第一キャビティを有している。
【0018】
一般的に、流路は、少なくとも二つの経路を形成するようにキャビティを互いに接続し、各経路は第一キャビティに接続され、使用時にキャビティが選択的に変形することによって所定の順序で第一キャビティに物質が供給される。
【0019】
一般的に、装置は、第二キャビティに物質が供給されるようにする流路を介して少なくとも一つの第一キャビティに接続された少なくとも一つの第二キャビティを有している。
【0020】
一般的に、第二キャビティは、a)固定化剤、b)中和剤、c)カオトロピック薬剤およびd)保存剤の中の少なくとも一つを含んでいる。
【0021】
一般的に、指示薬試験の結果を表示するように、センサが使用される。
【0022】
一般的に、上記センサは第一キャビティに設けられる。
【0023】
一般的に、装置は、探知器具にセンサを接続するためのコネクタを有している。上記探知器具は、a)指示薬試験の実行中または実行後の測定、b)指示薬試験の結果およびc)他のセンサによって測定された条件の中の少なくとも一つを探知するためのものである。
【0024】
一般的に、装置は、a)指示薬試験の実行中または実行後の測定、b)指示薬試験の結果およびc)他のセンサによって測定された条件の中の少なくとも一つを表示するデータを蓄えるために、センサに接続されたメモリを有している。
【0025】
一般的に、装置は、上記メモリにデータを蓄えるための処理を実行する。
【0026】
一般的に、センサは、表示するために、反応に応答する指示薬物質を有している。
【0027】
一般的に、流路は、少なくとも二つの経路を形成するように、キャビティを互いに接続する。
【0028】
一般的に、装置は、少なくとも3つの経路を有している。
【0029】
一般的に、経路は、平行、直列、枝構造および樹木構造の中の少なくとも一つの形態で配置される。
【0030】
一般的に、少なくとも一つのキャビティおよび流路は、基板上に設けられたカバー層から形成される。
【0031】
一般的に、上記カバー層は シリコーンから形成される。
【0032】
一般的に、上記カバー層は、少なくとも部分的に、真空成形または射出成形によって形成される。
【0033】
一般的に、上記基板は、ガラス繊維を織ったもの及びエポキシ樹脂から形成される。
【0034】
一般的に、装置は、キャビティが変形される順序を表示するための少なくとも一つの指示薬を有している。
【0035】
一般的に、装置は、物質およびサンプルの中の少なくとも一つについて、加熱および冷却の中の少なくとも一つの操作をするための少なくとも一つのキャビティを有している。
【0036】
一般的に、装置は、a)キャビティを加熱するための加熱メカニズムおよびb)キャビティを冷却するための冷却メカニズムの中の少なくとも一つを有している。
【0037】
一般的に、流路の少なくとも一つは、a)流量コントローラ、b)フィルタ、c)弁、、d)タービュレータ、e)スプレーノズルおよびf)圧縮器の中の少なくとも一つを有している。
【0038】
一般的に、変形可能なキャビティの少なくとも一つは、流体経路からキャビティを分離するための膜を有しており、上記膜は破裂してキャビティを変形させるものである。
【0039】
一般的に、キャビティの少なくとも一つは、a)第一キャビティを洗浄するための洗浄液、b)センサを校正するときに使用するための正の制御溶液およびc)センサを校正するときに使用するための負の制御溶液の中の少なくとも一つを有している。
【0040】
一般的に、物質は、a)酵素、b)緩衝塩およびc)溶媒の中の少なくとも一つを有している。
【0041】
一般的、物質の少なくとも一つは、他の物質を混合することによって形成される。
【0042】
一般的に、装置は、変形可能なキャビティを操作器具によって所定の順序で変形させるように、上記操作器具と協同するためのガイドを有している。
【0043】
一般的に、装置は、キャビティまたは流路の中の少なくとも一つと接続されたガスリリーフ弁を有している。
【0044】
一般的に、装置は少なくとも一つの圧力管理経路を有している。
【0045】
一般的に、装置は、変形されたキャビティの下流側から変形されたキャビティの上流側へ流体または空気を搬送するために、下流のキャビティから上流のキャビティへ伸びている少なくとも一つの圧力管理経路を有している。
【0046】
一般的に、少なくとも一つの圧力管理経路は、廃棄キャビティからサンプルキャビティへ 伸びている。
【0047】
本発明の第二の実施形態において、サンプル処理装置を使用してサンプルを処理するときに使用するための器具を操作するための操作器具を提供する。上記サンプル処理装置は、基板上に配置された多数の変形可能なキャビティを有しており、使用時に、キャビティを選択的に変形させて、物質およびサンプルを選択的に結合させるものであって、上記操作器具は、a)器具を支持するためのサポートと、b)少なくとも一つのアクチュエータと、c)上記アクチュエータを選択的に作動させて上記キャビティを所定の順序で変形させるためのアクチュエータの駆動装置とを有している。
【0048】
一般的に、操作器具は、キャビティを選択的に変形させるための少なくとも一つのアクチュエータを制御するためのコントローラを有している。
【0049】
一般的に、操作器具は、サンプル処理装置に設けられた識別子を探知するために上記コントローラに接続されたセンサを有している。
【0050】
一般的に、操作器具は、a)指示薬試験の実行中または実行後の測定およびb)指示薬試験の結果の中の少なくとも一つを探知するためにセンサに接続するための探知器具を有している。
【0051】
一般的に、操作器具は、サンプル処理装置に設けられたセンサに探知器具を接続するための少なくとも一つのコネクタを有している。
【0052】
一般的に、探知器具はコントローラの一部を形成する。
【0053】
一般的に、アクチュエータはローラを有し、上記駆動装置は該ローラを操作器具に沿って移動させ、それによってキャビティを変形させる。
【0054】
一般的に、ローラはキャビティを選択的に変形させるような外形である。
【0055】
一般的に、サポートは第二ローラから形成され、第一および第二ローラは器具を受け入れるためのニップを画定する。
【0056】
一般的に、サポートはサポート表面から形成され、上記サポート表面は、a)操作器具を整列すること及びb)アクチュエータを支持することの中の少なくとも一つを実行するために少なくとも一つのガイドを有している。
【0057】
一般的に、アクチュエータは軸に回転可能に装着されたローラを有しており、ガイドに平行な方向に上記軸が移動可能なように、上記軸はサポート表面に沿って伸びる上記ガイド上に支持されている。
【0058】
一般的に、駆動装置は、軸を移動させるように、上記軸に作動可能に接続されたステップモータを有している。
【0059】
一般的に、ステップモータはサポート表面に装着されたアームによって支持された2つのローラの周りに沿って運ばれるエンドレス部材を駆動するためのものである。
【0060】
一般的に、操作器具は、a)多数のサンプル処理装置を支持するための第二サポート表面およびb)上記サポート表面に選択的にサンプル処理装置の一つを搬送するための積層アクチュエータを有している。
【0061】
一般的に、操作器具は、積層されている多数のサンプル処理装置を支持するためのサポートを有している。
【0062】
一般的に、操作器具は、サンプル処理装置の入口にサンプルを供給するための出口を備えたサンプル供給器具を有している。
【0063】
一般的に、アクチュエータは、サンプル供給器具からサンプルを受け取ることができるように、入口を出口に接続するためのものである。
【0064】
一般的に、操作器具は、a)指示薬試験結果を受け取ること、b)指示薬試験結果を解釈すること、c)指示薬試験結果を確定すること及びd)指示薬試験結果を報告することの中の少なくとも一つを実行することができる。
【0065】
一般的に、操作器具は、多数のサンプル処理装置を保持および加工することができる。
【0066】
一般的に、操作器具は、a)実行される指示薬試験を決定すること及びb)指示薬試験を実行するためのものである。
【0067】
本発明の第三の実施形態において、サンプル処理装置を使用してサンプルを処理するときに使用するための方法を提供する。上記装置は、基板の表面に設けられた多数の変形可能なキャビティを有している。キャビティの少なくとも一つはサンプルを受け入れるためのサンプルキャビティであり、多数の流路がキャビティを接続する。当該方法は、サンプルを選択的に一つ以上の物質と結合させるように、キャビティを選択的に変形させるものである。
【0068】
本発明の第四の実施形態において、操作器具およびサンプル処理装置を使用してサンプルを処理する方法を提供する。サンプル処理装置は、使用時に、キャビティの選択的な変形が物質およびサンプルを選択的に結合させるように、基板上に設けられた多数の変形可能なキャビティを有している。操作器具は器具を支持するためのサポートおよび少なくとも一つのアクチュエータを有している。上記方法は、キャビティを所定の順序で変形させるように、上記アクチュエータを選択的に作動させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1A】図1Aは、サンプルを処理するとき及び/または指示薬試験を実行するときに使用するためのサンプル処理装置の一例の概略平面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aのキャビティの一つの概略側面図である。
【図1C】図1Cは、中間層が設けられるときの図1Aのキャビティの一つの概略側面図である。
【図1D】図1Dは、メモリおよびデータ処理機能を一つにまとめたサンプル処理装置の一例の概略平面図である。
【図2A】図2Aは図2Bおよび図2Cとともに、図1Aに示す2つのキャビティの間で流体を搬送するプロセスの一例を示す概略図である。
【図2B】図2Bは図2Aおよび図2Cとともに、図1Aに示す2つのキャビティの間で流体を搬送するプロセスの一例を示す概略図である。
【図2C】図2Cは図2Aおよび図2Bとともに、図1Aに示す2つのキャビティの間で流体を搬送するプロセスの一例を示す概略図である。
【図2D】図2Dは、中間層から形成された破裂可能な膜の一例の概略図である。
【図2E】図2Eは、図1Aのキャビティの一つに含まれる破裂可能な小胞の一例の概略図である。
【図3A】図3Aは、圧力リリーフ弁を組み入れた装置の一例を示す図である。
【図3B】図3Bは、圧力管理経路を組み入れた装置の一例を示す図である。
【図4A】図4Aは、変形中の内部圧力を減少するような形状であるキャビティの概略平面図である。
【図4B】図4Bは、変形中の内部圧力を減少するような形状であるキャビティの概略側面図である。
【図5】図5は、流体制御要素を組み入れた流路およびキャビティの一例の概略側面図である。
【図6A】図6Aは、異なる経路構造の例を示す概略平面図である。
【図6B】図6Bは、異なる経路構造の例を示す概略平面図である。
【図6C】図6Cは、異なる経路構造の例を示す概略平面図である。
【図7A】図7Aは、操作器具の一例の概略図である。
【図7B】図7Bは、操作器具の一例の概略図である。
【図7C】図7Cは、図7Aおよび図7Bの操作器具とともに使用するための器具の一例の斜視図である。
【図8A】図8Aは、操作器具の第二の例の概略図である。
【図8B】図8Bは、操作器具の第二の例の概略図である。
【図8C】図8Cは、図3Bのサンプル処理装置とともに使用するときの図8Aの操作器具の概略図である。
【図8D】図8Dは、操作器具の第三の例の概略図である。
【図8E】図8Eは、操作器具の第三の例の概略図である。
【図8F】図8Fは、壁面を含むサンプル処理装置の一例の概略斜視図である。
【図8G】図8Gは、壁面を含むサンプル処理装置の一例の概略側面図である。
【図9】図9は、図8Eの操作器具のコントローラの操作の一例のフローチャートである。
【図10A】図10Aは、サンプル処理装置で使用するための外形を備えたローラの一例の概略図である。
【図10B】図10Bは、サンプル処理装置で使用するための外形を備えたローラの一例の概略図である。
【図10C】図10Cは、サンプル処理装置で使用するための外形を備えたローラの一例の概略図である。
【図11A】図11Aは、操作器具の第四の例の概略図である。
【図11B】図11Bは、操作器具の第四の例の概略図である。
【図12A】図12Aは、制御弁の操作の一例を示す概略図である。
【図12B】図12Bは、制御弁の操作の一例を示す概略図である。
【図13A】図13Aは、渦巻き状の流路を使用して流量を制御する操作の一例を示す概略図である。
【図13B】図13Bは、渦巻き状の流路を使用して流量を制御する操作の一例を示す概略図である。
【図14】図14は、DNAサンプルの処理に使用される装置の一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。サンプルを処理するときに使用するためのサンプル処理装置の実施例が図1Aおよび図1Bに示されている。当該装置によって、サンプルを処理するか、保存するか、保存のために調製するか、又は指示薬試験に使用するかの少なくとも一つを実行することができる。
【0071】
この実施例において、サンプル処理装置100は、多数のキャビティ111、112、113、114、115、116、117、118、119、120を有する基板101を備えている。多数のキャビティ同士は、多数の流路122、124、126、127、128および129を介して接続されている。
【0072】
一実施例において、キャビティおよび/又は流路は、基板に設けられた材料の層102によって形成される。材料の層102は、流路およびキャビティを画定する突起部分を含んでいる。この形態の材料の層は、一般的にカバー層と称される。これは実施例であって、限定して解釈すべきでない。
【0073】
サンプルを処理するときに使用される、試薬などの物質がキャビティ111ないし120又は流体の流路122、124、126、127、128および129の中で選択したものの中に設けられる。キャビティ111ないし120の中の少なくとも幾らかは、変形可能であり、キャビティ111ないし120の中の一つ以上を変形させることによって、サンプルを選択的に一つ以上の物質と結合させて、サンプルの処理を実行することができる。以下に詳細に記載するように、手または操作器具を使用して変形を実行することができる。
【0074】
一実施例において、入口160を経て、または他の適切なメカニズムにより、サンプルは、キャビティ117のようなキャビティに供給される。他のキャビティ111ないし120又は流路122、124、126、127、128および129を適切に配置することによって、多数の異なる物質を互いに混合または結合すること及び/又は所定の順序でサンプルと混合または結合することができる。これによって、明確なサンプル処理のシナリオのために必要とされる一つ以上の反応を実行することができる。
【0075】
かくして、例えば、サンプルが、引き続いて変形されるキャビティ117に供給され、そのサンプルはさらに処理されるために、キャビティ118に供給される。サンプルが処理される間、キャビティ111、113、115は押し下げられ、キャビティ112、114、116にそれぞれの溶液が形成される。例えば、指示薬試験を実行するため、又はサンプルを引き続く試験のために保存するために、溶液および処理されたサンプルをキャビティ112、114、116、118の選択的な変形によってキャビティ119に供給することができる。一実施例において、キャビティ119にさらに流体が供給されることによって、キャビティ119に供給される流体を代えることができる。それからキャビティ119が変形するので、以下に詳細に記載するように、廃棄物がキャビティ120に集められるか、又は処理されたサンプルがキャビティ120に保存される。
【0076】
一般的に、基板およびカバー層はサンプル処理装置に使用される物質に対して化学的および生物学的に不活性である材料から製造される。異なる材料を異なる用途のサンプル処理装置のために使用することができる。
【0077】
そこで、上記サンプル処理装置は、サンプル処理を実行するための単純なシステムを提供する。これは、指示薬試験を実行すること、又は引き続く試験のためのサンプルを調製することを含む。さらに、適当な材料からサンプル処理装置100を形成することによって、サンプル処理装置を安価に製造することができる。サンプル処理装置を遠隔地および/又は大規模に配置することができるので、指示薬試験またはサンプルの収集および処理の実施が、以前の方法よりも実行しやすくなる。
【0078】
上記したように、サンプルは多くの経路の中のいずれかを経て受け入れることができる。図1Aの実施例において、サンプル処理装置100は、点線160で示す入口を有している。入口160は、一般的に流体をキャビティ117に供給することができる一方向弁である。結局、サンプルはキャビティに供給されるけれども、サンプルを流路を経て供給することができる。サンプルを入口160を経てキャビティ117に注入することができ、他の方法としてサンプルを入口160を経てキャビティ117に挿入することもできる。また、入口160には、実験対象、環境などの源から流体を集めることができるように、ウィックまたはランスなどを設けることができる。さらに、ルアーロックポート (luer lock port) 、セプタ (septa)などを使用することもできる。
【0079】
一実施例において、サンプルキャビティ117は、サンプルを受け入れることができるように、収縮できるような構造であることが分かる。しかし、サンプルキャビティ117を負圧下におくこともできる。そこで、例えば、入口を強く押して入口160を流体に浸してストッパをはずし、このようにして流体をキャビティ117に引き寄せることができる。一実施例において、適当なメカニズムによって作動することができる、登録商標がVacutainerである血液サンプリング装置に類似する方法でサンプルキャビティが作動することが分かる。その血液サンプリング装置は、サンプルキャビティ117を負圧下にして血液サンプルをサンプルキャビティ117もしくは流路内またはサンプルキャビティ117に接続された他のキャビティ内に引き寄せることができる。
【0080】
サンプルキャビティ117は、所定容量のサンプルを受け入れることができるように所定容積を備えている。これによって、指示薬反応を正確に実行することができる。
【0081】
キャビティの第一のものは、指示、保存または処理キャビティとして作用するために使用される(以下、第一キャビティと称する)。キャビティの第二のものは、保存、処理または廃棄キャビティとして作用するために使用される(以下、第二キャビティと称する)。これらのキャビティの作用は以下に詳細に記載される。
【0082】
もし装置が指示薬試験を実行するために使用されるならば、これは、サンプル中の物質の存在、不存在もしくは比率、または反応の結果についての指示形態を提供するものである。反応の結果、色の変化などが起こるけれども、もちろん、そのような場合だけではない。
【0083】
従って、サンプル処理装置100が指示薬試験を実行するために使用されるとき、図1Aの例では、第一キャビティはキャビティ119である。第一キャビティ119が指示計としての形態を備えることによって、試験の結果を確定することができるようになる。これは他の方法によっても達成することができる。
【0084】
かくして、第一キャビティ119は、関心のある物質と混合されるとき視覚に訴える表示をするような物質を含むことができる。これには、第一キャビティ119に供給される物質のpHに応じて色が変化するpH指示計のようなものが含まれる。
【0085】
また、第一キャビティ119には、電子的な探知が実行できるようなメカニズムを組み込むことができる。一実施例において、図1Aに示すように、探知器具170はコネクタ130を介して第一キャビティ119内に設けられたセンサ131に接続される。これによって、センサ131からの指示薬試験に関するデータを測定するために探知器具170を使用することができる。そのデータは指示薬試験の実行中または実行後における測定値を示すものであり、指示薬試験の結果および条件は他のセンサで測定することができる。その試験結果またはデータは、適当なユーザインタフェース、ディスプレイなどを使用して、ユーザに提示することができる。また、その試験結果を見ることができるようにしたり、保管したり、操作したりすることもできる。
【0086】
一実施例において、センサ131は電極であり、第一キャビティ119内の物質のコンダクタンスを測定するために探知器具170を使用することができる。コンダクタンスは第一キャビティ119内の物質の濃度を指示するものであり、量的なアウトプットを提供することができる。また、別の適当な形態のセンサを使用することもできる。例えば、吸熱反応または発熱反応の反応率を測定するために温度センサを使用することができる。
【0087】
探知器具170はセンサの特性に依存する。例えば、探知器具170は、測定される物質のコンダクタンスを測定するために、オーム計とすることができる。また、探知器具170は、他のセンサの結果を読み取るためのコンピュータシステムとすることもできる。
【0088】
この実施例においては、単一の探知器具170は多数のサンプル処理装置100の指示薬試験結果を測定するために使用できることが分かる。これは、探知器具へアクセスできる手段が限定されているような環境において有用である。
【0089】
また、図1Dに示すように、プロセッシング181および/又はメモリ180を基板101に組み込み、基板101に組み込まれたメモリ180にデータを直接保管することもできる。そのデータは指示薬試験の実行中または実行後に少なくとも部分的にされた測定値および/又は指示薬試験の結果を指示するものである。しかし、他のデータを保管することもできる。例えば、サンプル処理装置は、環境条件、温度などの条件をモニターするためのセンサを含むことができ、これらの条件を指示するデータを保管することができる。
【0090】
サンプル処理装置にメモリを備えることによって、指示薬試験が実行された後、探知器具170にメモリ180からのデータを検索させることができる。
【0091】
プロセッシングおよびメモリは、いかなる適切な形態もとることができる。例えば、プロセッシングおよびメモリは、共通の集積回路(IC)に組み込むことができる。また、プロセッシングICおよび別々のフラッシュメモリなどのように、物理的に別々の形態にすることができる。一実施例において、メモリ180をスマートカード器具に使用されるものに類似する方法で基板101に設けることができる。
【0092】
この実施例において、指示薬試験を遠隔地の環境で実行することができる。サンプル処理装置には、異なる場所に設置されるコンピュータシステムが備わっている。センサまたは電極のみを有する装置に比べて、装置の費用や複雑さは増加する一方、探知器具170の必要性が減少し、特に、指示薬試験が実行される場所に探知器具170を設ける必要がない。
【0093】
また、サンプル処理装置100は、ディスプレイ182を含むことができる。このディスプレイ182は指示薬試験の結果を表示するために使用することができる。液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)などのような適当な形態のディスプレイを使用することができる。また、これは別々の探知器具を設ける必要性が減少する。
【0094】
また、指示薬試験とともに使用される探知メカニズムの校正が可能である。例えば、探知器具170がサンプル中のバクテリアの濃度を探知するために使用されているならば、所定のバクテリア濃度のサンプルと、バクテリア濃度がゼロのサンプルについて読み取ることが望ましい。
【0095】
これを達成するために、キャビティ111ないし118の中から選択されたものが、バクテリア濃度がゼロの前調製サンプルと特定のバクテリア濃度の前調製サンプルを有する。この場合、これらの前調製サンプルの各々について読み取りがされ、探知器具170からの出力が各バクテリア濃度において測定される。探知器具170が関心のあるサンプルについて使用されるとき、測定結果が前調製サンプルを使用してされた測定値と比較され、そのサンプルのバクテリア濃度が確定される。
【0096】
このようにして指示薬試験を実行することによって、温度のような周囲条件の変化や、第一キャビティ119内のセンサ電極などの実際の形状とともに、異なる探知器具の感度の差違によって起こる測定値の変動が考慮される。
【0097】
第一キャビティ119は、一般的に、上記したように単一のキャビティから形成することができるし、また、多数の異なるキャビティから形成することもできる。この後者の場合、異なる試験の間で起こる汚染の危険なしに、多数の異なる指示薬試験を実行することができる。このように、試験が、集められたサンプルと、空のサンプルと、比較例のサンプルについて実行されるならば、これらの試験の各々は、異なる第一キャビティで実行することができる。この場合、共通の探知メカニズムが使用され、以下に詳細に記載されるように、単一の電極セットを指示薬キャビティの各々について使用できることが分かる。また、別々の探知メカニズムを各キャビティに設けることもできる。
【0098】
多数のキャビティを設ける代わりに、単一の第一キャビティを複数のキャビティ部分に仕切り、キャビティ部分の間の混合を防止することができる。これによって、単一の第一キャビティを、指示薬試験を実行するために別々のキャビティとして機能させることができる。
【0099】
電極を使用して電子探知をすることに加えて、異なる探知技術を使用できることが分かる。例えば、放射線源および一体のメーターを使用するスペクトログラフ分析を使用して、探知を実行することができる。これは、好ましい実施形態に応じて、可視放射、赤外線放射、紫外線放射などを使用することによって、適切な波長の下で実行することができる。これは、光電濃度測定、吸収度測定、反射率測定、蛍光探知、濁度探知などを実行するために使用することができる。
【0100】
図1Aの例において、サンプル処理装置100が指示薬試験を実行するために使用されるとき、第一キャビティ119に接続されている第二キャビティ120は廃棄キャビティとして機能することができる。
【0101】
このようにして第一キャビティ119から物質を受け入れ、指示薬試験を完了するか、又は、必要に応じてさらに物質を第一キャビティ119に供給することができる。
【0102】
一実施例において、廃棄キャビティ120は、ゲルまたは磁気ビードのような固定化剤を含み、廃棄キャビティに供給される流体または他の製品をそこから取り除くことができないようにすることができる。さらに、中和剤またはカオトロピック薬剤を、有害な溶液、生物などを中和するために備えることができる。また、前調製サンプルが他の設備またはアッセイによるさらなる分析に適するように、サンプル保存剤を含むことができる。
【0103】
上記の例は、指示薬試験を実行するためにサンプル処理装置100を使用することに焦点を絞ったものである。しかし、その装置はサンプルの処理および/又は保存に使用することができ、指示薬試験の結果の処理または保管とともに、さらなる試験を実行することが必要ならば、引き続いて必要な指示薬試験に使用できることが分かる。この例において、第一または第二キャビティは保存または処理キャビティとして作用することができる。
【0104】
この例において、サンプル収集を実行するとき、試験を実行することができるようになるまで、サンプルを生存した状態又は安定した状態に保つようにサンプルを処理することが時々必要である。一実施例において、これはサンプルキャビティ117に所定容積のサンプルを収集するように、サンプル処理装置100を使用することによって達成される。そのサンプルは、それから、キャビティ118内において物質と混合されるか、培養されるか又は他の方法で処理される。サンプルはキャビティ118内に保有することができる。それゆえ、、キャビティ118は処理キャビティとして作用する第一キャビティとしての役割を果たし、サンプル処理を実行する。また、サンプルはキャビティ119、120のいずれか一方に供給することができ、前調製サンプルの処理または保管をするように、キャビティ119、120は第一または第二キャビティとして作用することもできる。
【0105】
また、所定容積のサンプルを収集するだけでなく、上記技術を使用して、試験前にサンプルを生存した状態又は安定した状態に保つようにサンプルを処理できることが分かる。
【0106】
使用時に、処理キャビティはサンプルの生存状態を維持するために必要とされる物質を含むことができる。それには、処理されたサンプルを静止状態に維持するためのゲルなどを使用することが含まれる。別々の器具に処理されたサンプルを供給して指示薬試験を実行できるように、処理キャビティは、出口または突き抜け可能な膜(図示せず)を備えることができる。これは、適当な注射針または類似の器具を使用してキャビティに孔を開けることによって達成できる。
【0107】
指示薬試験を実行するとき、物質を特定の温度におくことが必要なことがある。例えば、サンプルをバクテリアなどに対して試験するとき、測定が可能なように十分なバクテリア活性が保たれるように、サンプルを培養することが一般的である。そのような加熱は多くの方法で実行することができる。
【0108】
一実施例において、培養キャビティ118のようなキャビティの一つは、ペルチェ素子、抵抗発熱素子などのような加熱メカニズムを使用して加熱することができる。また、加熱は、培養キャビティ118に供給することができ、他のキャビティ内の試薬と混合されるとき熱が発生するような試薬をキャビティ118に供給して熱を発生させる発熱反応を実行することによって達成することができる。
【0109】
別の方法は、隣接している別々の加熱キャビティを設け、その加熱キャビティを培養キャビティ118に熱的に接続することである。この実施例において、加熱キャビティにおいて熱を発生させるように発熱反応を実行することができ、例えば、熱条件によって培養キャビティに熱を伝達することができる。加熱キャビティを培養キャビティ118から物理的に分離することによって、発熱反応のために必要とされる試薬が、指示薬試験またはサンプル処理の結果に影響を与えるような他の物質との反応をしないようにすることができる。
【0110】
加熱要素を使用する代わりに、サンプルを安定した状態におくために、例えば、冷却要素が必要とされることがある。そのような冷却は、電子冷却手段または吸熱反応などのような適切な手段によって達成することができる。
【0111】
また、操作器具および/又は探知器具に使用されるようなサポート表面に加熱要素または冷却要素を組み込むために、サンプル処理装置に加熱要素または冷却要素を組み込むことができる。これについては、以下に詳細に記載する。
【0112】
第二の実施例において、培養キャビティ118はユーザの体温を利用して加熱することができる。ユーザが所定時間、手に装置を保持するか又は他の組織部位に装置を載せることによって、サンプルに適切な熱を与えることが必要な場合がある。この後者の技術はユーザの介入を必要とするけれども、加熱要素に必要とされる外部電源の必要性が少なくなり、サンプルを培養に好ましい温度とされる37℃のような適切な温度に加熱することができるようになる。
【0113】
図1Aのサンプル処理装置100とともに使用するための一連の指示薬試験の例が以下に記載される。
【0114】
この実施例においては、水サンプル中のE.coliの存在を探知するための試験が実行される。この試験を実行するために、各キャビティは以下の物質を含有している。
【0115】
キャビティ111は水を含有している。
【0116】
キャビティ112は緩衝塩で冷凍乾燥した酵素を含有している。
【0117】
キャビティ113は水を含有している。
【0118】
キャビティ114は冷凍乾燥またはスプレー乾燥した培養媒体成分を含有している(正の比較例)。
【0119】
キャビティ115は水を含有している。
【0120】
キャビティ116は電極に固定された酵素によって作用されるとき、電極活性物質を産出する酵素ベースを含む冷凍乾燥またはスプレー乾燥した培養媒体成分を含有している(負の比較例)。
【0121】
キャビティ117は試験されるべきサンプルを含有している。
【0122】
キャビティ118は電極に固定された酵素によって作用されるとき、電極活性物質を産出する酵素ベースを含む冷凍乾燥した培養媒体成分を含有している。
【0123】
試験を実行するためのこの装置の作用の例が以下に記載される。
【0124】
この実施例において、ステップ1において、サンプルはキャビティ117に供給される。これは、入口などを経てサンプルを注入することによって達成できる。
【0125】
ステップ2において、サンプルがキャビティ118に供給されるように、キャビティ117が変形される。キャビティ118は培養キャビティとして作用し、特定のバクテリア酵素によって作用されるとき、サンプルは、冷凍乾燥した培養媒体および電極活性物質を産出する酵素ベースと混合され、媒体の再水和を起こし、サンプル内のバクテリアの成長を促し、ベースを消耗させる。サンプルは、加熱メカニズムを利用して37ないし44℃(または他の適切な温度)の範囲内の適切な温度に加熱され、サンプル内の新陳代謝が促される。
【0126】
ステップ3において、最適な緩衝濃度とpH値を維持するように、緩衝塩を使用してキャビティ112内に保存された酵素が再水和するようにキャビティ111が変形される。
【0127】
ステップ4において、キャビティ114内に含有されている冷凍乾燥した成分を水和するために水が使用されるようにキャビティ113が変形される。
【0128】
ステップ5において、第一キャビティ119内に水和された酵素が押し込まれるように、キャビティ112が変形される。水和された酵素は第一チャンバーに組み込まれたセンサ131上の被覆を取り除き、酵素がセンサ作動電極に吸着されるようにし(非特定的または分子結合を介して)、センサ作動電極を活性化させる。
【0129】
ステップ6において、第一キャビティ内に正の比較溶液が供給されるように、キャビティ114が変形される。正の比較溶液が水和された酵素溶液にとって代わり、ブランクの読み取りがされる。ブランクの読み取りは、基板が存在しない条件でされる読み取りであり、これは、電子探知器具170の基準線の読み取りを確立するために利用される。
【0130】
ステップ7において、フィルタ128を介して第一キャビティ119にサンプルが供給されるように、培養キャビティが変形される。これは正の比較溶液にとって代わり、培養されたサンプルのみが第一キャビティ119に残り、電子探知器具17を使用してサンプル内のサンプル内のバクテリアの濃度の読み取りがされる。同時に、キャビティ116内の負の比較溶液の成分が再水和するようにキャビティ115が変形される。
【0131】
ステップ8において、第一キャビティ119に負の比較溶液が供給されるように、キャビティ116が変形され、負の比較例の読み取りが得られる。
【0132】
当業者であれば、負の比較例の読み取りは、バクテリアが存在しないサンプル溶液の読み取りに相当する読み取りであることが分かる。負の比較溶液と正の比較溶液の測定(バクテリアによる基板の全部の消耗に相当するものであり、このように個々のセンサの動的範囲が確立される)によってセンサを校正して、サンプル内のバクテリアの濃度を測定するためにセンサの読み取りを使用できる。
【0133】
ステップ9において、第一キャビティ119に残っている物質が廃棄キャビティ120に供給されるようにキャビティ119が変形される。これによって、装置を安全に処分できる。
【0134】
キャビティ111ないし120および流路122ないし129の配置は上記試験のために理想的に適していることが分かる。しかし、これは実施例であって、限定されるものではない。従って、サンプルキャビティ、処理キャビティ、廃棄キャビティまたは指示キャビティの中の少なくとも一つを含む別の配置を異なる試験のために使用することができる。
【0135】
さらに、多くの実施例を以下に記載する。
【0136】
一実施例において、キャビティの中の少なくとも幾らかには装置の製造時に流体が予め充填され、引き続くキャビティの変形によって、その流体は流路または隣接するキャビティに排出される。
【0137】
これは、キャビティの変形時に破裂し、流体を放出するような破裂可能な膜を使用してキャビティに流体を保有することによって達成される。これについては、図2Aないし図2Eを参照しながらより詳細に記載される。
【0138】
また、キャビティは、ゲルの圧縮によって流体を放出するエーロゲルのような流体保有ゲルを含有することができる。これは、ゲルがキャビティを支持することができるという利点があるなど、いくらかの状況において有利である。それによって、望まないキャビティの変形を防止することができる一方、キャビティ内に比較的大容積の流体を保持することができる。適切なゲルまたはスポンジ状の材料を使用することができ、ゲルは、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、遷移およびランタニド金属酸化物、金属カルコゲニド(CdSおよびCdSe)、有機および無機ポリマー、および炭素のような様々な材料から形成することができる。同様に、破裂可能なガラスのアンプルのように、圧縮時に流体を放出することが可能な材料を使用することができる。
【0139】
これに加えて、サンプル処理装置が製造されるとき、キャビティ内に流体を含有しないこともできる。これは、別のキャビティからそのキャビティに流体を受け入れたり、そのキャビティが含有している固体または粒子状材料と流体とを混合したり、一つ以上のキャビティの流体を混合したり、または使用前に流体を一時的に保管したりするときに必要である。
【0140】
このように下流のキャビティへの流体の供給は、そのキャビティが含有している流体および/又は他の材料の容積を増加することになる。これによって、装置の破裂につながる圧力の増加を減少したり、キャビティの変形を防止できる理由の説明がされる。これは、多くの方法によって達成することができる。
【0141】
一実施例において、これは、変形可能なキャビティを当初、実質的に収縮させておくか又は変形させておいて、流体をそのキャビティに供給してキャビティの膨張を起こさせることによって達成される。また、キャビティを負圧下において、流体をそこに収容することができる。また、装置内の流体の容積が一定になるように、流体の循環路が形成されるような戻りの経路とともに、圧力リリーフ弁を使用することもできる。
【0142】
収縮状態にあるキャビティとともに予め流体を充填したキャビティとを使用する場合の実施例について、図2Aないし図2Cを参照しながら説明する。
【0143】
この実施例において、図2Aに示すように、最初キャビティ111は流路121(分かりやすくするため、図1Aには示さず)を介してキャビティ112に接続されている。この実施例において、キャビティ111は流体201を充填されて膨張した状態にある。流体201は、キャビティ111と流路121を分離する破裂可能な膜211によってキャビティ111内に含有されている。
【0144】
キャビティ112は流体201と混合される粒子状材料202を含有している。粒子状材料202は流体201より容積が小さく、キャビティ112は流体201を含有する必要があるので、キャビティ112は最初は図2Aに示すように、収縮した状態に予め変形されている。
【0145】
使用時に、流体201と粒子状材料202が混合されるとき、図2Bにおいて矢示230で示すように、カバー層102に力を加えることによってキャビティ111は変形して収縮される。この場合、最初に付加される力がキャビティ111内に圧力を生成し、膜211を破裂させる。さらに、その圧力によってキャビティ111を変形させることによってキャビティ容積を減少させ、流体201を流路121を経て矢示231で示すように、キャビティ112内に供給する。
【0146】
これによってキャビティ112を膨張させ、キャビティ112が流体201を収容することが可能になり、流体201が粒子状材料202と混合されて溶液203が形成される。
【0147】
溶液203は、流路121に位置するリード弁213のような一方向弁および破裂可能な膜212によってキャビティ112内に含有される。しかし、適切なローラ形状のものを使用することもできる。
【0148】
溶液203の形成後、図2Cで矢示232で示すように力を加えることによってキャビティ112は変形し、膜212は破裂される。さらに、その圧力によってキャビティ112の容積を減少し、溶液203を流路122を経て矢示233で示すように、別のキャビティまたは第一キャビティ119(図示せず)に供給する。
【0149】
このように、上記実施例は、キャビティ111に含有されている流体201をキャビティ112に含有されている固体粒子状材料202と混合するものである。その結果生成される混合物は、キャビティ112の変形によって流路122を経て第一キャビティ119に供給することができる。
【0150】
破裂可能な膜としては多くの態様の中からいずれのものも使用することができ、上記実施例に限定されない。一実施例において、破裂可能な膜211は、図2Dに示すように、基板101とカバー層102の間に位置する中間層240によって形成される。使用時に、中間層240はキャビティ111内に流体を含有するために使用される。カバー層102は121で示す流路を画定するために作用する。この実施例において、中間層240は破裂または変形時に破裂するような特性を有する材料から形成される。従って、オペレータがキャビティ111を変形させるとき、中間層240は241で示す部位で破裂し、当業者であれば分かるように、流体210は流路121に流入する。
【0151】
また、別の実施例として、図2Eに示すように、破裂可能な膜211は、カバー層102およびキャビティ111内にある、溶液を含有する小胞242によって形成される。この実施例において、小胞242は破裂または変形時に破裂するような特性を有する材料から形成される。
【0152】
サンプル処理装置内に圧力を生成させる別の実施例は、図3Aおよび図3Bに示されている。
【0153】
この実施例において、サンプル処理装置300は、多数のキャビティ311、312、313、314、315、316、317、318および流路321、322、323、324、325、326、327を有する基板301を備えている。キャビティ311ないし318および流路321ないし327は図1Aに示すキャビティおよび流路の配置と異なっていることが分かるが、これは一実施例に過ぎない。
【0154】
図3Aの実施例において、キャビティ318のようなキャビティの一つがガス放出弁330を有している。ガス放出弁330は、キャビティ311ないし318の一つが変形されるとき、キャビティ311ないし318内および流路321ないし327内のガスをキャビティ318を経て放出することができる。このように、キャビティが変形されるとき、流体は引き続く流路およびキャビティ内に移送される。流路およびキャビティ内に含有されている空気または窒素のようなガスがキャビティ311ないし318および流路321ないし327(一般に、下流キャビティおよび流路と称する)に移送される。最後に、このガスはキャビティ318に移送され、そのガスはガス放出弁330を経てキャビティ318から放出されることが分かる。
【0155】
ガス放出弁を使用することによって、他の流体ではなく、ガスのみを放出することができる。これは、好ましくない現象である、処理時に使用されるサンプルまたは他の物質の放出を避けることができ、圧力開放を達成することができる。ガス放出弁はまた流路に接続することができ、単一のガス放出弁が示されているが、多数のガス放出弁を設けることができることが分かる。
【0156】
また、サンプル処理装置から流体を放出するために、好ましいか又は受け入れられるならば、流体の放出弁を使用することができる。これは、スポイトのような物を使用する適切な方法によって達成できるけれども、引き続く試験のために調製されたサンプルを装置から引き抜くためにも使用できることが分かる。
【0157】
いくらかの例においては、ガスまたは流体が放出されることは好ましくない。従って、 ガス放出弁に代えて、廃棄キャビティ318のようなキャビティから他の一つ以上のキャビティへ圧力管理経路を設けることができる。一般的に、圧力管理経路は下流のキャビティから上流のキャビティへ伸びている。そこで、空気のような流体、物質などを移送することによって変形されて、圧力が上流のキャビティへ戻される。
【0158】
この配置の例が図3Bに示されている。圧力管理経路340がキャビティ318からサンプルキャビティ315へ伸びている。
【0159】
この実施例において、キャビティが変形されて圧力がキャビティ311ないし318および流路312ないし327において増加するので、圧力がキャビティ318からキャビティ315へ移送され、キャビティ311ないし318および流路312ないし327を通して圧力を再分配しうる。上流のキャビティと下流のキャビティを実質的に等しい圧力で変形させて、キャビティの変形を容易にし、誤った方向に流体が流される可能性を減らすことができる。
【0160】
また、キャビティ318が廃棄キャビティとして作用し、キャビティ318が中和剤またはカオトロピック薬剤などを含有するならば、中和剤またはカオトロピック薬剤はサンプルを含有するキャビティ311ないし318および流路312ないし327を経て流され、それによって、すべての僅かなサンプルを中和することができる。このシステムは、装置300を安全に処分するために使用できることが分かる。
【0161】
この実施例において、圧力管理経路340は様々に適切に配置することができ、例えば、点線341に示すように配置することもできる。
【0162】
下流のキャビティまたは流路内の圧力を増加するために、キャビティを変形させることによって、キャビティおよび流路内の圧力を増加させることができる。例えば、流体が狭い流路内に押し込まれるならば、流路への流入量を制限してキャビティ内の圧力を増加させることができる。この効果を調整するために、キャビティの形状を変えて圧力量を変化させることができる。
【0163】
キャビティ内の圧力を減少させるようなキャビティ形状の実施例が図4Aおよび図4Bに示されている。
【0164】
この実施例において、キャビティ400はネック420を介して流路410に接続されている。ネック420は、キャビティ400の最大幅から流路410の幅に至るまで徐々に細くなっている。これはベローズ状キャビティとなる。その結果、矢示430の方向にキャビティが変形されてキャビティの容積が減少されると、流体はネック420を経て流路410に押し込まれる。キャビティおよびネックの形状によって流体を流路410に注入し、圧力勾配を減少させ、キャビティ内の圧力を減少させることが分かる。これによって、キャビティの破裂の可能性を減少することができる。
【0165】
しかし、例えば、流路内に物質を押し込むとき、キャビティ内の物質の混合を確実にするように、いくらかの状況において好ましいと思われる、キャビティ内の圧力を増加させるか、減少させるか又は維持するために、キャビティは別の形状を採用しうることも分かる。
【0166】
サンプル処理装置100の作用を高めるために、多数の付加的な流体制御要素が流路またはキャビティ内に設けられる。流体制御要素は流体の流量を変更したり、制御するためのものである。
【0167】
例えば、流体制御要素は流体の混合を確実にするために流体を攪拌するためのタービュレータを含むことができる。流体制御要素はある流体圧力を維持するために、流路を制限することを含む。
【0168】
噴霧ノズルの形状である流体制御要素の実施例が図5に示されている。この実施例において、流路500がキャビティ510に接続されている。流路500はキャビティ510への入口に隣接しているノズル520を有している。この場合、矢示530で示すように流体が流路500に押し込まれるとき、流体はノズル520を経てキャビティ510内に噴霧される。このようにして、キャビティ510内にある物質と流体を混合する機能を高めることができる。
【0169】
流体制御要素は、流体から固体の粒子状材料を濾過するためのフィルタを含むことができる。以下により詳細に記載するように、流路を選択的に密閉するために制御弁を使用することができる。様々な技術を使用してサンプル処理装置を製造できることが分かる。
【0170】
一実施例において、サンプル処理装置は、キャビティおよび流路の様々な組み合わせによって形成される多数の経路を含むことができる。そこで、物質の混合を制御することができる。
【0171】
このように、図1Aの実施例において、サンプル処理装置は、キャビティ111、112および流路122によって形成される第一経路、キャビティ113、114および流路124によって形成される第二経路、キャビティ115、116および流路126によって形成される第三経路、キャビティ117、118および流路127、128によって形成される第四経路を含んでいる。
【0172】
使用時に、各経路は第一キャビティ119に物質を供給するために適合するようにされる。これによって、複雑な指示薬試験またはサンプル処理操作が可能になる。
【0173】
例えば、固体および対応する溶媒の混合物を得るために、キャビティ111、112内の物質を混合することによって、第一キャビティ119へ供給される溶液が得られる。同時に又は連続的に、他の経路に設けられたキャビティ内の物質を混合して、第一キャビティ119へ供給される混合物を得ることもできる。
【0174】
図1Aの実施例において、経路は基板101上に略平行に設けられ、各経路は独立しており、第一キャビティ119へ直接供給する。しかし、当業者であれば、経路の構造は実行される指示薬試験の種類に応じて変え得ることが分かる。
【0175】
このように、図1Aの経路の構造が略平行である一方、図6Aおよび図6Bに示すように、経路は枝状または樹木状の配置とすることもできる。
【0176】
このように、図6Aにおいて、サンプル処理装置600は、多数のキャビティ610、612、619および流路611、615を有する基板601を備えている。キャビティ610は流路611によって互いに接続され、キャビティ619に至る第一経路を画定する。キャビティ612は流路615によって互いに接続され、第二経路を画定する。この場合、第一経路がキャビティ619に達する前に第二経路が第一経路に接続される。
【0177】
図6Bに示す実施例のサンプル処理装置620において、変形可能なキャビティ630は流路631によって互いに接続され、樹木状構造を形成する。
【0178】
異なる経路の構造を採用することができ、図示例は説明のためにのみなされたものであり、限定されるものではない。例えば、キャビティおよび流路は基板の両側に設けることができる。
【0179】
多数の経路が設けられるとき、各経路は第一キャビティまたは第一キャビティ部分に接続することができ、サンプル処理または指示薬試験を独立して実行することができる。
【0180】
この実施例が図6Cに示されている。この実施例において、サンプル処理装置600は 多数のキャビティ600、661A、662A、661B、662B、661C、662C、663および流路670A、670B、670C、671A、671B、671C、672A、672B、672Cを有する基板661を備えている。
【0181】
この実施例において、キャビティ660はサンプルキャビティとして作用する。サンプルキャビティ660は3つのキャビティ661A、661B、661Cに接続されており、サンプルと他の物質の混合を可能にする。これら3つのキャビティは、それぞれが指示薬キャビティとして作用するキャビティ662A、662B、662Cに接続されている。指示薬キャビティ662A、662B、662Cは単一の廃棄キャビティ663に接続されている。
【0182】
この実施例において、サンプル処理装置は添え字A、B、Cによって示される3つの経路を有していることが分かる。各経路はサンプルキャビティ660に接続されており、サンプルは3つに分割され、各サンプルは指示薬キャビティ662A、662B、662Cに移送される。これによって、同じサンプルについての3つの異なる指示薬試験(またはサンプル処理手順)を平行して実施することが可能になる。
【0183】
この実施例において、単一のセンサ680が3つの指示薬キャビティ662A、662B、662Cを横切って伸びているが、別々のセンサ680A、680B、680Cをそれぞれ3つの指示薬キャビティ662A、662B、662Cに設けることもできる。
【0184】
とにかく、このような配置によって、単一のサンプルについて、多くの指示薬試験またはサンプル処理手順を実行できることが分かる。
【0185】
キャビティを順番に変形させるときにユーザを助けるように、特に指示薬試験またはサンプルの調製を実行するときに必要とされる物質の混合を確実にするように、装置に対して目視可能な表示を施すことができる。
【0186】
所定の作動手順を表示するために、目視可能な表示はいずれの形態をとることもでき、サンプル処理装置100のキャビティまたは当該部分に着色して符号化することもできる。また、キャビティには順番を示す表示を施すこともできるし、別の表示をすることもできる。
【0187】
また、キャビティの変形は操作器具を使用して達成でき、以下により詳細に記載されている。
【0188】
また、サンプル処理装置100が連続番号、独特のバーコードのような独特の識別子を含むようにすることもできる。この場合、独特の識別子はキャビティが操作される順番を特定する指示と結び付けられ、これらをプロセスを制御するために使用できる。
【0189】
一実施例において、キャビティ111ないし120は、カバー層102を成形することによって作製されるブリスター状である。キャビティ111ないし120の幾らかは、基板101が適切な方法でカバー層102に取り付けられる前に、指示薬試験を実行するために必要とされる物質が充填されている。
【0190】
カバー層は、使用時にその材料が破裂するのを防止するように丈夫であるとともにキャビティの変形を可能とするように十分に可撓性である。一実施例において、カバー層はシリコーンまたは他の軟質樹脂から形成することができる。シリコーンは加熱下でその分子構造がシフトするために、真空成形によって信頼できる形状か/又は特別の形状に容易に成形できない。それゆえ、2部分成形シリコーンを使用する注型プロセスが一般的に使用される。一旦、カバー層が形成されると、圧力下での割れや破裂を防止するために、十分に強い接合手段が使用されるけれども、カバー層は接着剤、超音波溶接、加熱溶接などによって基板に基板に取り付けられる。
【0191】
基板は、容易にキャビティを押圧しうるように、剛性を備えた材料から一般的に形成される。一実施例において、基板はFR4(難燃剤4)ボードのような織られたガラス繊維およびエポキシ基板を含む印刷回路ボード材料のような材料から形成することができる。これによって、一般的な技術を使用して基板上に電気的な接続を設けることができる。
【0192】
また、図1Cに103として示すように、基板101とカバー層102の間に中間層103を設けることができる。中間層103は適切な材料から形成することができる。そして、物質が不活性環境下で含有されるように使用することができる。
【0193】
しかし、適切な製造プロセスを使用できることが分かる。これは、雄型および雌型を使用する射出成形または低加圧成形、雌型を使用する真空成形、ブロー成形などによってカバー層を成形することを含む。例えば、熱成形膜、真空成形または注型シリコーンによっって形成されるブロー成形半剛性または剛性ブリスターを使用するのではなく、ポリオレフィンシートまたは熱変形可能なシリコーン−尿素共重合体のような可撓性材料を基板上に接着することによってキャビティを形成することができる。
【0194】
異なる技術を組み合わせ得ることが分かる。例えば、いくらかのキャビティは可撓性膜を使用して形成することができ、指示キャビティまたは廃棄キャビティのような他のキャビティは、射出成形のような別の技術を使用して、半剛性および/又は剛性ブリスターから形成することができる。
【0195】
また、キャビティおよび流路を基板上に位置する各部から形成することもできる。上記実施例はカバー層の使用に焦点を絞ったが、これは本質的なことではなく、その代わりに分離した要素を配置して基板に接続することもできる。この実施例において、基板で塞がれて密閉され、上記に類似した配置が形成される前に、別々の管路とキャビティを基板上に配置することができる。
【0196】
上記したように、所定の好ましい順番でキャビティを自動的に変形させるように、操作器具を利用することができる。操作器具の第一実施例は、図7Aおよび図7Bに記載されている。
【0197】
この実施例において、操作器具は第一および第二ローラ701、702から形成され、各ローラは突起703を有している。一方のローラはモータ705のような駆動機構を備えており、この実施例においては、モータ705はベルト706を介してローラ702に接続されており、ローラを所定速度で回転させることができる。
【0198】
使用時に、図7Bに示されているように、サンプル処理装置100はローラ701と702で特定されるニップに挿入され、モータ705が駆動される。突起703はガイド740に設けられた凹部741に係合して、サンプル処理装置100の位置決めを正確にする。そこで、サンプル処理装置100は所定の速度でニップを移動し、キャビティの選択的な変形が起こる。
【0199】
この実施例においては、図1Aのサンプル処理装置100が矢示150の方向にニップを移動するならば、以下の順番でキャビティの変形が起こる:
117、111、113、112、114、118、115、116、119の順番である。従って、基板101上のキャビティおよび経路の相対的な配置に応じて、所定の指示薬試験または一連の指示薬試験を実行できることが分かる。
【0200】
この実施例において、第二ローラ702はサンプル処理装置を100を支持するサポートとして作用する一方、第一ローラ701は必要に応じて選択的にキャビティを変形させる働きをする。多くの修正が可能であることが分かるであろう。
【0201】
操作器具の別の実施例は図8Aおよび図8Bに記載されている。
【0202】
この実施例において、操作器具800は図3Aのサンプル処理装置300のようなサンプル処理装置を支持するような支持表面801を有している。操作器具800は支持表面801上に設けられたガイド802を有している。支持部材803は矢示820の方向にあるサンプル処理装置300と平行な方向に支持部材803が移動可能なように、ガイド802に装着されている。支持部材803は、支持表面801の平面と平行な方向で、ローラ805がその軸によって支持されるようにサンプル処理装置300に対して垂直な方向である外方に向けて伸びている軸804を有している。
【0203】
操作器具800はガイド802のいずれか一方の端部に位置する、支持表面801から上方に向けて伸びている一対のアーム810と811を有している。アーム810と811にはローラ812と813が装着されており、ケーブルまたはワイヤのようなエンドレス部材814がローラ812と813に巻き付けられている。ステップモータ815のような駆動機構によってローラ812と813を回転させ、ローラ812と813が回転することによってエンドレス部材814が移動する。エンドレス部材814は支持部材803に接続されており、支持部材803はステップモータ815の作用下でガイド802に沿って移動することができる。
【0204】
その結果、ローラ805は矢示820の方向である支持表面801に沿って移動することが可能で、ローラ805はサンプル処理装置100の長手方向に沿って移動することができ、そこに設けられたキャビティの変形が可能になる。
【0205】
ローラ805をサンプル処理装置100の長手方向に沿って移動させることによって、ローラを強く押してキャビティの各々に力を加える。キャビティの変形を可能とするように、ローラには下方に向かう所定の力が付加される。これは、スプリングのようなものを使用して軸804に力を加えるような適切なメカニズムによって達成することができる。
【0206】
この場合、協同ローラによってニップを特定する代わりに、操作器具は、支持表面801に対して相対的に移動する単一のローラ805から形成しうることは当業者であれば分かる。この場合、サンプル処理装置100は選択的にキャビティを変形させるように作用するローラ805の移動時に静止したままであり、サンプル処理を実行できる。
【0207】
図8Cにおいて、操作器具が、図3Bに関して記載したように、圧力フィードバック流路とともに使用されるならば、ローラ805は、キャビティが変形される一方、フィードバック流路340と341を塞がないように配置することができる。それによって、キャビティ318からキャビティ315へ向けて流体が流れるようにすることができ、圧力の均等および/又は中立が可能になる。
【0208】
図示されている実施例において、ローラの移動方向は矢示820の方向のみである。しかし、これは本質的ではなく、望むならば、ローラは反対方向に移動させ得ることが分かる。従って、例えば、支持表面801に沿ってローラを移動させることなく、ローラ805を転がすことによってローラを操作することもできる。これには好ましい順序でキャビティを変形させることが必要である。また、操作器具800からサンプル処理装置300を取り除くような他の理由のためにこれを実行することもできる。
【0209】
適切な時に、正確な順序でキャビティを選択的に変形させ得る限り、いかなる適当な駆動機構も設けることができる。従って、ステップモータのような制御可能なモータを使用できる一方、ぜんまい仕掛けの駆動システムを使用することができる。これは、ローラの回転速度を制御できるので特に好都合であり、一方、手動で操作器具を働かすことができる。これは、操作器具を遠隔地で使用するときに有用である。
【0210】
また、別の選択は、エンドレス部材814およびローラ812、813を、ロボットアームのような操作可能なアームに取り替えることである。この場合、アームの操作はローラを支持表面801に対して相対的に移動させるように、使用することができる。それゆえに、キャビティを選択的に変形させる。さらに、ローラを回転させるようにアームを配置することができる。それによって、プロセスを制御することができる。
【0211】
もし、ステップモータのようなモータが使用されるならば、ローラ812、813の回転速度を制御するために、駆動システムをコントローラ825のような適当な制御システムに接続することができる。
【0212】
これは、FPGA(Field Programmable Gate Array)またはコンピュータシステムのような一般的な処理システムから形成されたカスタムビルトコントローラの形態とすることができる。
【0213】
さらにまた、支持表面801にブロッキング部材を設けることができる。この場合、ブロッキング部材に到達するまでに、ローラ805を支持表面801に対して相対的に移動させ、キャビティを選択的に変形させることができる。この場合、ブロッキング部材が除かれるまで移動は起こらない。ブロッキング部材が除かれると、ローラ805の移動は再び始まり、キャビティは変形される。この場合、ブロッキング部材を選択的に除くことによって、タイミングを制御できることが分かる。
【0214】
さらなる実施例が図8Dおよび図8Eに記載されている。
【0215】
この実施例において、操作器具は、多数のサンプル処理装置を使用できるように適合したものである。一実施例において、これは、支持表面801上の積層物からサンプル処理装置300が供給されるようにすることによって達成できる。
【0216】
これを達成するために、2つのサポート831によって保持されている、矢示830で示すサンプル処理装置300の積層物を支持するために、第二支持表面828が形成される。アクチュエータ832が積層物830に隣接するプッシュアーム833に接続されており、点線で示すように、アクチュエータ832の作用によってサンプル処理装置300が積層物830から取り除かれる。アクチュエータ832の作用はコントローラ825を使用して達成される。
【0217】
この配置によって、すでにサンプルを含有する多数のサンプル処理装置300を積層物830に設けることができる。各サンプル処理装置300を順番に積層物830から取り除き、サンプル処理を実行するために必要なときにそれぞれのキャビティを変形させることができる。
【0218】
しかし、これに代えて、サンプル出口841を有するサンプル供給装置840を、図8Eに示すように、支持表面801に隣接するように、又は支持表面801上に設けることができる。サンプル出口841はサンプル供給装置840から外方に突出しており、支持表面801上において一定の距離だけ離れている。これによって、サンプル出口841をサンプル処理装置300の入口の位置に合わせて、その入口に接続することが可能になり、サンプルをサンプルキャビティに供給することができる。
【0219】
コントローラ825はコネクタ870に接続されている探知器具170に接続されており(または組み込まれている)、サンプル処理装置300に設けられている、図1Dに示すセンサ131のようなセンサに接続することができる。これによって、指示薬試験の結果をコントローラ825で決定することができ、この指示をオペレータなどに提供することができる。
【0220】
コントローラ825はサンプル処理装置300を識別するためにセンサ845に接続することができる。一実施例において、これは、サンプル処理装置300に設けられるバーコードのような識別子を有することによって達成される。識別子は各サンプル処理装置300によって実行されるサンプル処理の種類を表示するものであり、必要なキャビティ変形順序を表示するものである。これによって、キャビティをうまく変形させてサンプル処理を実行するために必要とされるローラ805の移動のような操作に関する要因をコントローラ825が決定することが可能になる。
【0221】
また、試験に関する条件についての情報を探知することができる一つ以上の条件センサ855にコントローラを接続することができる。これには、サンプル処理が実行される時刻、日付、場所のような情報が含まれる。さらに、温度、湿度、気圧のような環境情報を含むことができる。条件センサ855の形態は収集される情報に応じて変わることが分かる。
【0222】
また、コントローラ825は、支持表面801に設けられる一つ以上の加熱および/又は冷却要素860に接続することもできる。加熱および/又は冷却要素860はサンプル処理装置に設けられる培養キャビティの位置に合わせることができ、それによって物質の加熱および/又は冷却が可能になる。
【0223】
コントローラ825は、所定の制御操作の順番を実行するようにセットすることができるコントロールシステムとすることができる。コントローラは、センサ131、845、855のそれぞれからの信号を受けて解釈し、内部メモリのように記憶装置に対応する指示を記憶するようなものとすることができる。
【0224】
壁を有する改良されたサンプル処理装置の実施例が図8Fおよび図8Gに記載されている。
【0225】
この実施例において、サンプル処理装置880は多数のキャビティ882および流路883を有する基板881を備えている。上記実施例と同様に、キャビティおよび流路の配置は実施例に過ぎない。
【0226】
この実施例において、サンプル処理装置880は基板881から伸びている壁884を有している。壁884はキャビティ882より高く伸びており、壁884によってキャビティ882が偶然変形する可能性が減少する。例えば、図8Gに示すように、サンプル処理装置880が積層されているとき、より高いサンプル処理装置880Aはキャビティ882の上ではなく、より低いサンプル処理装置880Bの壁884上に載っている。サンプル処理装置880が使用されるとき、これは有用であることが分かる。
【0227】
図示された実施例において、壁884は基板881の周囲の周りに伸びている。これによって、適当な幅のローラ805が壁884内に位置することができる。そこで、キャビティ882の変形はローラ805が適切な位置をとることによって実行することができる。さらに壁を使用することによって、ローラ805のようなアクチュエータが支持表面801上におけるサンプル処理装置880の位置を操作する場合において、操作プロセス中に係合するような部材をアクチュエータに供給することによって、アクチュエータの手助けをする。
【0228】
同じような機能を果たす場合において、異なる配置を採用しうることが分かる。例えば、壁884は基板881の周囲の一部にのみ配置することもできるし、基板881の周囲の内側に配置することもできる。さらにまた、壁884を基板881から上方に伸びる一つ以上のサポート部材と取り替えることもできる。
【0229】
操作器具の操作、特にコントローラ825によって実行される制御操作の順序は図9に詳細に記載されている。
【0230】
この実施例において、多数のサンプル処理装置300が積層物830となっている図8Dに示すような配置においてサンプル処理が実行される。
【0231】
ステップ900において、コントローラ825が制御信号を発して、アクチュエータ832が支持表面801上において積層物830からサンプル処理装置300を排出する。ステップ910において、コントローラ825がセンサ845から、サンプル処理装置300に設けられた識別子からの指示を受ける。識別子は、例えばコントローラ825内の内部メモリに記憶されているサンプル処理順序を定めるために使用することができる。従って、識別子は特にサンプル処理装置300を識別するために使用され、それによって、指示薬試験の結果のような情報をさらに検討するために記憶したり、記録することができる。
【0232】
ステップ920において、コントローラ825が少なくとも一つの条件センサ855から、条件についての情報を集め、記憶する。条件についての情報は、雰囲気条件、温度、湿度、気圧、時刻、日付などの情報のようなサンプル処理プロセスに関する詳細を含む、集められたサンプルを使用して実行された試験の結果を解釈する上において有用である情報を含んでいる。
【0233】
条件についての情報はさらなる検索が可能なように、識別子とともに記憶される。しかし、その情報はさらなる解析のために遠隔地に伝送することもできる。これは、コントローラ825を有線または無線接続のような遠隔サーバと交信させることによって実行することができる。遠隔サーバはサンプルの解析中に情報を使用し、または使用のために情報を提供する。
【0234】
条件についての情報は一般にサンプルの収集時に集められ、条件についての情報はサンプルの解析中のような適切な時に集めることができる一方、これは集められた情報の特性、実行されるサンプル解析の特性のような要因に依存する。
【0235】
ステップ930において、図8Eに示すように、サンプル処理装置300が支持表面801上に位置すれば、駆動メカニズムはサンプル処理が実行されるように駆動される。
【0236】
これによって、図8Aに示す矢示820の方向にあるサンプル処理装置300に沿ってローラ805を移動させ、キャビティを引き続いて変形させる。このプロセス中、コントローラ825はローラ805の移動速度を制御し、サンプル処理手順によって必要とされるときにはローラ805を停止し、サンプル処理を実行するために必要とされるときにはキャビティを変形させる。
【0237】
一実施例において、このプロセスはローラ805を回転させて、サンプル処理装置300の入口をサンプル供給装置840の出口841と係合させて、サンプルをサンプル処理装置300に供給することができる。
【0238】
もしプロセスが指示薬試験を実行するために使用されるならば、この指示薬試験の結果は、ステップ940において、探知器具170によって探知することができる。これによって、コントローラ825は指示薬試験の実行中または実行後に測定をし、および/又は指示薬試験の結果を決定し、および測定結果を記憶または出力する。例えば、コントローラ825は指示薬試験のレポートを作成し、ディスプレイ、プリンターのような適当な出力器具を使用してユーザに試験結果を提供する。
【0239】
ステップ950において、例えば、矢示820とは反対方向に装置を追いやることによって装置300を排出するためにローラ805を回転させることができる。
【0240】
上記プロセスによって、ユーザが介入することなく、サンプルを集めて自動的に解析しうることが分かる。また、コントローラ825に適切な通信手段を組み込むことによって、その結果をさならる解析または検討のために異なる場所へ伝送することもできる。
【0241】
また、サンプルがサンプル処理装置100に捕捉されれば、そのサンプルを解析のために別の場所へ搬送できるように処理することもできる。
【0242】
上記サンプル処理システムは、サンプルを広い範囲にわたって集め、処理するために使用できることが分かる。さらに、サンプルを処理および/又は安定した状態に保持することができるとき、集められたサンプルを一週間のような期間中、サンプル処理システムに保有することができる。これは、集められたサンプルが解析のために除かれてサンプル処理装置300の積層物830が消耗し、新しい積層物が供給されるまで、サンプル処理システムはサンプル処理を続行できることを意味する。
【0243】
操作器具において採用することができる実施例は、図10Aないし図10Cに示すような外形のローラを使用することである。
【0244】
この実施例において、操作器具は一つ以上の凹部1001のあるローラ1005を有している。その結果、キャビティ1031、1032、1033を有するサンプル処理装置1030が基板1020上に配置されるとき、凹部1001はキャビティ1032のような選択されたキャビティとの位置を合わせることができる。その結果、ローラ1005およびサンプル処理装置1030が互いに相対的に移動するとき、キャビティ1032は凹部1001によって囲まれる。図10Cに示すように、キャビティ1032は強く押されたり、変形したりせず、処理プロセスから除外される。
【0245】
従って、凹部1001が適切な位置に配置されたローラを使用することによって、ローラ1005がキャビティを選択的に効果的に生かすことが可能になり、共通のサンプル処理装置を使用して異なる指示薬試験または異なるサンプル処理手順を実行できるように異なるローラ設計を行うことができる。この形状のローラは上記操作器具のいずれにおいても使用できることが分かる。
【0246】
上記操作器具はローラの使用について焦点を絞ったが、キャビティを変形させるメカニズムを使用できることが分かる。上記したように、キャビティは、ユーザの手、例えば、手の指または手の親指をキャビティに強く押し付けることによって変形させることができる。同様に、キャビティに力を付加するような適当なメカニズムであれば、操作器具において使用することができる。実施例は図11Aおよび図11Bに示されている。
【0247】
この実施例において、操作器具は多数のキャビティ1121を有するサンプル処理装置1120を支持するための基板1101を備えている。この実施例において、アクチュエータサポート1110はアーム1111によって支持されたパッド1112から形成された多数のアクチュエータを支持している。使用時に、アーム1111はサポート1110から基板1101へ向かって伸び、キャビティ1121の中の対応するキャビティに対してパッド1112を強く押し付け、そのキャビティを変形させる。アーム1111の移動はピストンのような適当な機構を使用して行うことができる。
【0248】
一実施例において、各ピストンがキャビティを変形できるように、アクチュエータをキャビティのレイアウトに対応して配置することもできる。しかし、アクチュエータは図11Bに示すような一般的な配列とすることもできる。キャビティの多様なレイアウトを使用しうる配置を採用することができる。
【0249】
フィルターまたは弁のような多数の異なる制御要素をキャビティの間の流体流量を制御するために設けることができる。制御弁の実施例が図12Aおよび図12Bに記載されている。
【0250】
この実施例において、2つのキャビティ1201、1202が基板101に設けられている。各キャビティはぞれぞれ流路1203、1204につながっている。流路1204には凹部1205が設けられており、ゴム球のようなシール部材1206を有している。
【0251】
使用時に、キャビティ1201が変形されると、サンプルまたは他の物質のような流体が矢示1207の方向に流路1203に沿って移動する。この場合、キャビティ1202が変形されると、流体は矢示1208の方向に流路1204に沿って移動する。その結果、シール部材1206は凹部1205から追い出されて流路1203内に移る。そこで、1209で示すように、流路1203が塞がれる。
【0252】
キャビティ1201と1202に供給される流体はいかなる種類のものでもよいが、一般的には、液体のような圧縮可能な流体であり、それによって弁の正確な操作が可能になり、特に、凹部1205からシール部材1206が追い出されやすくなる。
【0253】
それゆえ、この実施例は流路1203のような流路を選択的に塞ぐことができる制御弁として使用できることが分かる。これは流路に沿った流体の移動を制御するとともに流体の流れる方向を変えるために使用することができる。
【0254】
実際には、多数の異なる配置を流体の流れを制御するために使用できることが分かる。実施例は図13Aおよび図13Bに示されている。
【0255】
この実施例において、サンプル処理装置1300は、キャビティ1303に流路1302を経て接続されたキャビティ1301を有している。流路1302は流路1304を経てキャビティ1305に接続されている。破裂可能な膜1306が流路1302と1304の間に設けられている。
【0256】
図8Aに示す作動装置のような作動装置とともに使用するとき、ローラ805は矢示1310の方向にサンプル処理装置1300に対して相対的に移動する。従って、最初ローラ805はキャビティ1301を変形させ、それによって、流体をキャビティ1301から押し出して、流体は流路1302に沿って矢示1307の方向にキャビティ1303まで流れる。この動作はローラ805が図13Bに示す位置に達するまで続行する。その位置で、流路1302はローラ805によって効果的にシールされる。キャビティ1301が変形されたままで流体がそこから押し出されるとき、流路1302の圧力が増加する。この圧力によって破裂可能な膜1306が破裂し、それによって流体は流路1304に沿って矢示1308の方向にキャビティ1305まで流れる。
【0257】
従って、この実施例において、ねじ曲がった流路1302を使用することによって、ローラ805によって流路1302を選択的にシールすることができ、キャビティ1303と1305へ流入する流体の量を制御することができる。
【0258】
DNAサンプルを収集するときの制御弁の使用の実施例が図14Aおよび図14Bに記載されている。
【0259】
この実施例において、基板101は、指示チャンバーとして作用する第一キャビティ1419および廃棄チャンバーとして作用する第二キャビティ1420とともに多数のキャビティ1401、1402、1403、1404および1405を有している。キャビティ1401、1402、1403、1404および1405のそれぞれは、流路1421、1422、1423、1424および1425を経て接続されている。それらの流路は第一チャンバー1419に接続され、流路1429は第一チャンバー1419と第二チャンバー1420を接続している。
【0260】
この実施例において、流路1424に接続された制御弁1431を有している。図7Aおよび図7Bに関して記載したのと同じように、その制御弁はキャビティ1404の変形によって選択的に作動することができる。従って、制御弁1431は、キャビティ1404の適切な動作によって選択的に開放したり、閉じたりする、油圧制御弁のようなものであることが分かる。結合膜1430が第一キャビティ1419と制御弁1431の間の流路1429に設けられている。
【0261】
使用時に、このシステムを利用してDNAの抽出をすることができる。この実施例において、細胞が第一チャンバー1419に含有されており、その細胞はサンプル内に含有されている、殺菌素、ウィルスのようなものによって汚染されている。キャビティ1401を変形させることによって、サンプルを第一キャビティ1419に追いやることができる。
【0262】
これと同時に、キャビティ1402を変形させて、流路1422を経て溶媒をキャビティ1403に供給し、洗浄剤のような溶解剤を形成することができる。
【0263】
キャビティ1403は一定時間後、引き続き変形されて、洗浄剤を第一キャビティ1419に供給して細胞を溶解することができる。引き続いて第一キャビティ1419を変形させることによって、結合膜1430を経て洗浄剤および溶解剤を押し出し、必要なDNAを合成する。これに続いて、結合膜1430は、別々のキャビティ配置(図示せず)を使用して洗浄溶液を流すことによって洗浄される。このプロセスにおいて、洗浄溶液のような廃棄物質が廃棄キャビティとして作用する第二キャビティ1420に流入することが分かる。
【0264】
キャビティ1403の変形に続いてキャビティ1404が変形されて、流体が流路1424を経て供給され、制御弁1431を作動して流路1429をシールし、流路1425が流路1429に接続される。これが結果として廃棄キャビティ1420を効果的にシールし、キャビティ1405が変形されるとき、流体は流路1425およびフィルター1430を経て第一キャビティ1419に戻される。この逆洗プロセスによってDNAをサンプルから抽出し、膜を経て透過させて第一キャビティ1419に供給し、引き続く指示薬試験に使用することができる。
【0265】
上記装置および作用は幅広い指示薬試験に適用できるが、限定されるものではないが、以下の試験が含まれる。
【0266】
塩素または塩濃度の試験
製造または卸売りの段階における食物で伝染する病原菌の試験
遠隔地の水質の試験
環境における飲料水で伝染する病原菌の試験
環境、食物の取り扱い、または人間における有害な化学薬品、毒薬または天然の毒素の試験
土壌または空調水におけるレジオネラの試験
研究所の分析、調査または臨床使用のための試験
鳥インフルエンザまたは他の動物により運ばれた病気の試験
税関もしくは警察による、空港における薬品もしくは他の麻薬の試験
空気で伝染する病原菌または毒素の試験
動物または昆虫が運んだ病原菌の試験
人間のウィルス、微生物および病気の試験
植物の病原菌または病気の試験
遺伝子を組み替えた生物、植物または動物の試験
サンプル処理および保存装置の分野における利用
動物および人間の血清における抗体および化学物質(例えば、特定の抗体、毒素、生化学酵素、特定のタンパク質、薬剤)を探知するための試験
上記装置は集められたサンプルを環境にさらすことなく試験できるので、PC2およびPC3級の設備で実行することが必要とされる試験を実行するに適切な装置であることが分かる。これは、そのような設備が利用できない遠隔地における病気または接触伝染病を追跡する上において有用である。
【0267】
用語“指示薬試験”は、出力される指示が行われる反応またはプロセスのいかなる形態も含むことを意図している。
【0268】
用語“物質”は、指示薬試験を実行するときに使用される活性または非活性である反応物質、試薬、化学物質、化合物、生物学的物質、溶媒、溶液などを含むことを意図している。
【0269】
用語“キャビティ”は、流体を含有すること若しくは受け入れること、又は水和物質を保有することができるチャンバーまたは囲まれた容積部分のいかなる形態も含むことを意図しているが、チャンバー、ブリスターに限定されるものではない。
【0270】
用語“処理”は、適切な指示薬試験の実行中において、少なくともサンプルの収集、一部または全部のサンプルの処置、サンプルの調製、サンプルの保存、および/又はサンプルの分析を含む意である。
【0271】
用語“カバー層”は、物質の表面の一部または全部の上に位置する材料の層を意味としている。
【0272】
当業者であれば、様々な変形および修正が明らかであることが分かる。そのような当業者に明らかである様々な変形および修正は、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0273】
100 サンプル処理装置
101 基板
102 カバー層
103 中間層
111 キャビティ
112 キャビティ
113 キャビティ
114 キャビティ
115 キャビティ
116 キャビティ
117 キャビティ
118 キャビティ
119 キャビティ
120 キャビティ
121 流路
122 流路
124 流路
126 流路
127 流路
128 流路
129 流路
130 コネクタ
131 センサ(電極)
160 入口
170 探知器具
180 メモリ
181 プロセッシング
182 ディスプレイ
201 流体
202 粒子状材料
203 溶液
211 破裂可能な膜
212 破裂可能な膜
240 中間層
242 小胞
300 サンプル処理装置
301 基板
311 キャビティ
312 キャビティ
313 キャビティ
314 キャビティ
315 キャビティ
316 キャビティ
317 キャビティ
318 キャビティ
321 流路
322 流路
323 流路
324 流路
325 流路
326 流路
327 流路
330 ガス放出弁
340 圧力管理経路
341 圧力管理経路
400 キャビティ
410 流路
420 ネック
500 流路
510 キャビティ
520 ノズル
600 サンプル処理装置
601 基板
610 キャビティ
611 流路
612 キャビティ
615 流路
619 キャビティ
620 サンプル処理装置
630 キャビティ
631 流路
660 サンプル処理装置
660 キャビティ
661 基板
661A キャビティ
662A キャビティ
661B キャビティ
662B キャビティ
661C キャビティ
662C キャビティ
663 キャビティ
670A 流路
670B 流路
670C 流路
671A 流路
671B 流路
671C 流路
672A 流路
672B 流路
672C 流路
680 センサ
701 第一ローラ
702 第二ローラ
703 突起
705 モータ
706 ベルト
740 ガイド
741 凹部
800 操作器具
801 支持表面
802 ガイド
803 支持部材
804 軸
805 ローラ
810 アーム
811 アーム
812 ローラ
813 ローラ
814 エンドレス部材
815 ステップモータ
825 コントローラ
828 第二支持表面
830 積層物
831 サポート
832 アクチュエータ
833 プッシュアーム
840 サンプル供給装置
841 サンプル出口
845 センサ
855 条件センサ
860 加熱および/又は冷却要素
870 コネクタ
880 サンプル処理装置
881 基板
882 キャビティ
883 流路
884 壁
1001 凹部
1005 ローラ
1020 基板
1030 サンプル処理装置
1031 キャビティ
1032 キャビティ
1033 キャビティ
1101 基板
1110 アクチュエータサポート
1111 アーム
1112 パッド
1120 サンプル処理装置
1121 キャビティ
1201 キャビティ
1202 キャビティ
1203 流路
1204 流路
1205 凹部
1206 シール部材
1300 サンプル処理装置
1301 キャビティ
1302 流路
1303 キャビティ
1304 流路
1305 キャビティ
1306 破裂可能な膜
1401 キャビティ
1402 キャビティ
1403 キャビティ
1404 キャビティ
1405 キャビティ
1419 第一キャビティ
1420 第二キャビティ
1421 流路
1422 流路
1423 流路
1424 流路
1425 流路
1429 流路
1430 結合膜
1431 制御弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル処理に使用する装置であって、
a)基板と、
b)少なくとも一つのキャビティはサンプルを受け入れるためのサンプルキャビティである、上記基板の表面に形成された変形可能な多数のキャビティと、
c)使用時に、キャビティが選択的に変形することによってサンプルを選択的に一つ以上の物質と結合させるように、キャビティを接続する多数の流路とを有している、
装置。
【請求項2】
サンプルキャビティは所定の容積を有している請求項1記載の装置。
【請求項3】
サンプルキャビティは入口に接続されている請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
入口はサンプルがサンプルキャビティに吸収されるようにする、ウィックを有している請求項3記載の装置。
【請求項5】
物質とサンプルは少なくとも一つの第一キャビティに選択的に供給され、
a)サンプルを処理すること、
b)指示薬試験で使用するためにサンプルを調製すること及び
c)指示薬試験を実行すること
の中の少なくとも一つが行われる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
a)サンプル処理キャビティ、
b)サンプル保存キャビティおよび
c)指示薬キャビティ
の中の少なくとも一つとして作用する少なくとも一つの第一キャビティを有している請求項1ないし5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
流路は少なくとも二つの経路を形成するようにキャビティを互いに接続し、各経路は第一キャビティに接続され、使用時にキャビティが選択的に変形することによって所定の順序で第一キャビティに物質が供給される請求項5または6記載の装置。
【請求項8】
第二キャビティに物質が供給されるようにする流路を介して少なくとも一つの第一キャビティに接続された少なくとも一つの第二キャビティを有している請求項5ないし7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
第二キャビティは、
a)固定化剤、
b)中和剤、
c)カオトロピック薬剤および
d)保存剤
の中の少なくとも一つを含んでいる請求項8記載の装置。
【請求項10】
指示薬試験の結果を表示するように、センサが使用される請求項6ないし9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
センサは第一キャビティに設けられる請求項10記載の装置。
【請求項12】
探知器具にセンサを接続するためのコネクタを有しており、上記探知器具は、
a)指示薬試験の実行中または実行後の測定、
b)指示薬試験の結果および
c)他のセンサによって測定された条件
の中の少なくとも一つを探知するためのものである請求項11記載の装置。
【請求項13】
a)指示薬試験の実行中または実行後の測定、
b)指示薬試験の結果および
c)他のセンサによって測定された条件
の中の少なくとも一つを表示するデータを蓄えるために、センサに接続されたメモリを有している請求項11記載の装置。
【請求項14】
メモリにデータを蓄えるための処理を実行する請求項13記載の装置。
【請求項15】
センサは、表示するために、反応に応答する指示薬物質を有している請求項11記載の装置。
【請求項16】
流路は、少なくとも二つの経路を形成するように、キャビティを互いに接続する請求項1ないし15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
少なくとも3つの経路を有している請求項16記載の装置。
【請求項18】
経路は、
a)平行、
b)直列、
c)枝構造および
d)樹木構造
の中の少なくとも一つの形態で配置される請求項16または17記載の装置。
【請求項19】
少なくとも一つのキャビティおよび流路は、基板上に設けられたカバー層から形成される請求項1ないし18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
カバー層はシリコーンから形成される請求項19記載の装置。
【請求項21】
カバー層は、少なくとも部分的に、真空成形または射出成形によって形成される請求項19または20記載の装置。
【請求項22】
基板は、ガラス繊維を織ったもの及びエポキシ樹脂から形成される請求項1ないし21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
キャビティが変形される順序を表示するための少なくとも一つの指示薬を有している請求項1ないし22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
物質およびサンプルの中の少なくとも一つについて、加熱および冷却の中の少なくとも一つの操作をするための少なくとも一つのキャビティを有している請求項1ないし23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
a)キャビティを加熱するための加熱メカニズムおよび
b)キャビティを冷却するための冷却メカニズムの中の少なくとも一つを有している請求項24記載の装置。
【請求項26】
流路の少なくとも一つは、
a)流量コントローラ、
b)フィルタ、
c)弁、
d)タービュレータ、
e)スプレーノズルおよび
f)圧縮器
の中の少なくとも一つを有している請求項1ないし25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
変形可能なキャビティの少なくとも一つは、流体経路からキャビティを分離するための膜を有しており、上記膜は破裂してキャビティを変形させるものである請求項1ないし26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
キャビティの少なくとも一つは、
a)第一キャビティを洗浄するための洗浄液、
b)センサを校正するときに使用するための正の制御溶液および
c)センサを校正するときに使用するための負の制御溶液
の中の少なくとも一つを有している請求項1ないし27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
物質は、
a)酵素、
b)緩衝塩および
c)溶媒
の中の少なくとも一つを有している請求項1ないし28のいずれか1項に記載の装置。
【請求項30】
物質の少なくとも一つは、他の物質を混合することによって形成される請求項1ないし29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
変形可能なキャビティを操作器具によって所定の順序で変形させるように、上記操作器具と協同するためのガイドを有している請求項1ないし30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
キャビティまたは流路の中の少なくとも一つと接続されたガスリリーフ弁を有している請求項1ないし31のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
少なくとも一つの圧力管理経路を有している請求項1ないし32のいずれか1項に記載の装置。
【請求項34】
変形されたキャビティの下流側から変形されたキャビティの上流側へ流体または空気を搬送するために、下流のキャビティから上流のキャビティへ伸びている少なくとも一つの圧力管理経路を有している請求項1ないし33のいずれか1項に記載の装置。
【請求項35】
少なくとも一つの圧力管理経路は、廃棄キャビティからサンプルキャビティへ伸びている請求項24ないし32のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
サンプル処理装置を使用してサンプルを処理するときに使用するための器具を操作するための操作器具であって、
上記サンプル処理装置は、基板上に配置された多数の変形可能なキャビティを有しており、使用時に、キャビティを選択的に変形させて、物質およびサンプルを選択的に結合させるものであって、
上記操作器具は、
a)器具を支持するためのサポートと、
b)少なくとも一つのアクチュエータと
c)上記アクチュエータを選択的に作動させて上記キャビティを所定の順序で変形させるためのアクチュエータの駆動装置とを有している。
【請求項37】
キャビティを選択的に変形させるための少なくとも一つのアクチュエータを制御するためのコントローラを有している請求項36記載の操作器具。
【請求項38】
サンプル処理装置に設けられた識別子を探知するためにコントローラに接続されたセンサを有している請求項37記載の操作器具。
【請求項39】
a)指示薬試験の実行中または実行後の測定および
b)指示薬試験の結果の中の少なくとも一つを探知するためにセンサに接続するための探知器具を有している請求項37または38記載の操作器具。
【請求項40】
サンプル処理装置に設けられたセンサに探知器具を接続するための少なくとも一つのコネクタを有している請求項39記載の操作器具。
【請求項41】
探知器具はコントローラの一部を形成する請求項39又は40記載の操作器具。
【請求項42】
アクチュエータはローラを有し、駆動装置は上記ローラを操作器具に沿って移動させ、それによってキャビティを変形させる請求項36ないし41のいずれか1項に記載の操作器具。
【請求項43】
ローラはキャビティを選択的に変形させるような外形である請求項42記載の操作器具。
【請求項44】
サポートは第二ローラから形成され、第一および第二ローラは器具を受け入れるためのニップを画定する請求項36ないし43のいずれか1項に記載の操作器具。
【請求項45】
サポートはサポート表面から形成され、上記サポート表面は、
a)操作器具を整列すること及び
b)アクチュエータを支持すること
の中の少なくとも一つを実行するために少なくとも一つのガイドを有している請求項36ないし43のいずれか1項に記載の操作器具。
【請求項46】
アクチュエータは軸に回転可能に装着されたローラを有しており、ガイドに平行な方向に上記軸が移動可能なように、上記軸はサポート表面に沿って伸びる上記ガイド上に支持されている請求項45記載の操作器具。
【請求項47】
駆動装置は、軸を移動させるように、上記軸に作動可能に接続されたステップモータを有している請求項46記載の操作器具。
【請求項48】
ステップモータはサポート表面に装着されたアームによって支持された2つのローラの周りに沿って運ばれるエンドレス部材を駆動するためのものである請求項47記載の操作器具。
【請求項49】
a)多数のサンプル処理装置を支持するための第二サポート表面および
b)上記サポート表面に選択的にサンプル処理装置の一つを搬送するための積層アクチュエータを有している請求項45ないし48のいずれか1項に記載の操作器具。
【請求項50】
積層されている多数のサンプル処理装置を支持するためのサポートを有している請求項49記載の操作器具。
【請求項51】
サンプル処理装置の入口にサンプルを供給するための出口を備えたサンプル供給器具を有している請求項36ないし50のいずれか1項に記載の操作器具。
【請求項52】
アクチュエータは、サンプル供給器具からサンプルを受け取ることができるように、入口を出口に接続するためのものである請求項51記載の操作器具。
【請求項53】
a)指示薬試験結果を受け取ること、
b)指示薬試験結果を解釈すること、
c)指示薬試験結果を確定すること及び
d)指示薬試験結果を報告すること
の中の少なくとも一つを実行することができる請求項36ないし52のいずれか1項に記載の操作器具。
【請求項54】
多数のサンプル処理装置を保持および加工することができる請求項36ないし53のいずれか1項に記載の操作器具。
【請求項55】
a)実行される指示薬試験を決定すること及び
b)指示薬試験を実行するためのものである請求項36ないし54のいずれか1項に記載の操作器具。
【請求項56】
サンプル処理装置は請求項1ないし35のいずれか1項に記載の装置である請求項36ないし55のいずれか1項に記載の操作器具。
【請求項57】
サンプル処理装置を使用してサンプルを処理するときに使用するための方法であって、 上記装置は基板の表面に設けられた多数の変形可能なキャビティを有しており、キャビティの少なくとも一つはサンプルを受け入れるためのサンプルキャビティであり、多数の流路がキャビティを接続し、
上記方法は、サンプルを選択的に一つ以上の物質と結合させるように、キャビティを選択的に変形させるものである。
【請求項58】
操作器具およびサンプル処理装置を使用してサンプルを処理する方法であって、上記サンプル処理装置は、使用時に、キャビティの選択的な変形が物質およびサンプルを選択的に結合させるように、基板上に設けられた多数の変形可能なキャビティを有しており、上記操作器具は器具を支持するためのサポートおよび少なくとも一つのアクチュエータを有しており、上記方法は、キャビティを所定の順序で変形させるように、上記アクチュエータを選択的に作動させるものである。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A−2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A−8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A−13B】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−515887(P2010−515887A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545041(P2009−545041)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000030
【国際公開番号】WO2008/083446
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(509195375)エンバイロメンタル バイオテクノロジー シーアールシー プロプライアタリー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】