サンプル調製デバイスおよび分析物の処理方法
本明細書には、生体分子を結合し解放するのに有用なピペットチップなどのサンプル調製デバイスが開示されている。本明細書では、例えば核酸やポリペプチドなど、分析物を単離し、精製し、濃縮し、かつ/または分画するのに有用な、液体処理およびサンプル調製デバイスが提供される。そのようなデバイスは、特異的なまたは非特異的な相互作用によって分析物に結合する固相担体を含む。いくつかの実施形態における固体担体は、ある材料でコーティングされていてもいなくてもよい焼結担体または繊維担体である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連特許出願)
本特許出願は、2008年3月28日に出願された米国仮特許出願第61/040,541号(代理人整理番号PEL−1002−PVで表わされる)、および2008年11月11日に出願された米国仮特許出願第61/113,522号(代理人整理番号PEL−1002−PV2で表わされる)の利益を主張し、各々は「SAMPLE PREPARATION DEVICES AND METHODS FOR PROCESSING BIOLOGICAL MATERIALS」というタイトルである。これら2つの特許出願の各々の全体が、すべての本文、表、および図を含めて本明細書に参考として援用される。
【0002】
(本発明の分野)
本発明は、1つには、分析物の処理に利用することができるサンプル調製デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
ピペットチップは、上端および下端に開口があるほぼ円錐形の中空管であり、不活性ポリマー材料からしばしば製造され、通常は流体を取得し、移送し、または吐出するのに使用される。これらの流体は、分析物を含有していてもいなくてもよい。ピペットチップは、ナノリットルからミリリットルに及ぶ体積に関して、正確で再現性ある液体処理を可能にするために、多数のサイズで作製される。
【0004】
ピペットチップは、ピペットまたはピペッタと連結して使用される。ピペッタは、ピペットチップの上端(大きいほうの開口端)に取り付けられた場合、陰圧をかけて流体を取得し、陽圧をかけて流体を吐出するデバイスである。ピペッタの下部または遠位部(通常は、バレルと呼ばれる)をピペットチップの上端に接触させて配置し、ピペットのバレルをピペットチップの上端に押し付けることによって、所定の位置に保持する。次いでこの組合せを使用して、ピペッタで発生させた陰圧をかけることにより液体サンプルを処理することができる。ピペッタは、手動または自動化されたピペット操作(例えば、ロボットデバイスによる自動化されたピペット操作)で利用可能である。様々な多孔質フィルタの付加を介してサンプルの相互汚染を減少させるように設計されたピペットチップは、実験室において、例えば高処理アッセイなどの手順を実施するために、手動でまたは自動化されたピペット操作のフォーマットで利用される。
【0005】
分析物は、数多くの一般的な実験室技法を使用して、単離し、精製し、または濃縮することができる。いくつかの方法は、固相担体への親和性または非親和性結合を使用する。ある方法は、問題の分析物を可逆的に結合し保持することによって、汚染物質と見なされるその他の分析物から問題の分析物を分離する。分析物は、様々なタイプのクロマトグラフィーを使用して単離し、精製し、または濃縮することもできる。クロマトグラフィーには数多くの方法があり、その例には、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)、およびコーティングされかつ/または帯電させた表面を備えたまたは備えない固体担体を使用したクロマトグラフィーが含まれる。これらのクロマトグラフ法は、サンプルに応じて大規模にまたは小体積で行うことができる。比較的小さいサンプル体積の処理を可能にし、またサンプルの遠心分離を行うクロマトグラフィーキットが市販されており、このキットでは、サンプルをクロマトグラフマトリックスに通した後にクロマトグラフマトリックスから問題の材料を溶出するが、やはり遠心分離に結び付けられている。この方法は、迅速であり、比較的費用がかからず、問題の分析物の適切な回収が行われる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
本明細書では、例えば核酸やポリペプチドなど、分析物を単離し、精製し、濃縮し、かつ/または分画するのに有用な、液体処理およびサンプル調製デバイスが提供される。そのようなデバイスは、特異的なまたは非特異的な相互作用によって分析物に結合する固相担体を含む。いくつかの実施形態における固体担体は、ある材料でコーティングされていてもいなくてもよい焼結担体または繊維担体である。固相担体は、使い捨てピペットチップ内に組み込まれ、またはある実施形態では熱可塑性物質またはポリマーから構成されたピペットチップ延長部として製造される。いくつかの実施形態では、固相担体は、実験室用の液体処理管および標本容器に組み込まれる。ある実施形態では、固相担体は、マイクロ流体デバイスに組み込むことができる。
【0007】
したがって本明細書では、1つには、対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的およびテーパ付きポリマー壁であって、これら第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、この第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも小さいポリマー壁と、これら第1の空隙および第2の空隙の間のポリマー壁の内面の一部に接触する挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体または(ii)隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物とを含む、ポリマーピペットチップデバイスを特徴とする。ある実施形態では、ポリマーピペットチップデバイスは、壁の内面と同一の拡がりを持つ1つ以上の突出部を含み、この突出部の少なくとも一部は挿入物に接触している。関連する実施形態では、ポリマーピペットチップデバイスは、壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、この環状突出部の断面は、第1の空隙および第2の空隙の断面と実質的に平行であり、壁および環状突出部は同じポリマーから構成され、環状突出部の少なくとも一部は挿入物に接触している。
【0008】
また本発明は、1つには、対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的およびテーパ付きの第1の壁であって、これら第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、この第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも大きい第1の壁と、対向する端部に位置付けられた第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的およびテーパ付きの第2の壁であって、これら第2の空隙の断面および第3の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、この第2の空隙の直径が第3の空隙の直径よりも大きく、第2の壁が第1の壁と同一の拡がりを持ち、第1の壁および第2の壁が同じポリマーから構成され、第2の壁のテーパ角が第1の壁のテーパ角より小さい第2の壁と、これら第2の空隙および第3の空隙の間の第2の壁の内面の一部に接触する挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体または(ii)隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物とを含む、ポリマーピペットチップデバイスも提供する。ある実施形態では、ポリマーピペットチップデバイスは、第2の壁の内面と同一の拡がりを持つ1つ以上の突出部を含み、この突出部の少なくとも一部は挿入物に接触している。関連する実施形態では、ポリマーピペットチップデバイスは、第2の壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、この環状突出部の断面は、第1の空隙および第2の空隙の断面と実質的に平行であり、壁および環状突出部は同じポリマーから構成され、環状突出部の少なくとも一部は挿入物に接触している。
【0009】
また本明細書では、対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する外面および内面を含むポリマーハウジングであって、第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも大きく、第1の空隙の直径およびこの第1の空隙に隣接しているハウジングの一部がペプチドチップの流体送達端部を覆って嵌合するように適合されているポリマーハウジングと、このハウジングの内面の一部に接触している挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体または(ii)隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物を含む、ポリマーピペットチップ延長デバイスが提供される。ある実施形態では、ポリマーピペットチップ延長デバイスは、ハウジング壁の内面と同一の拡がりを持つ1つ以上の突出部を含み、この1つ以上の突出部の少なくとも一部は挿入物の一部に接触している。関連ある実施形態では、延長デバイスは、ハウジング壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、この環状突出部の少なくとも一部は挿入物の一部に接触している。
【0010】
ある実施形態では、ピペットチップデバイスまたはピペットチップ延長デバイスの挿入繊維は、光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維である。繊維は、いくつかの実施形態では多繊維束またはアレイに並べることができる。ある実施形態では、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスの容積は、0から10マイクロリットル、0から20マイクロリットル、1から100マイクロリットル、1から200マイクロリットル、または1から1000マイクロリットルに及ぶ。ある実施形態では、ピペットチップデバイスは、ナノリットル(1から999ナノリットル)またはピコリットル(1から999ピコリットル)の体積を送達することができる。
【0011】
本発明は、1つには、ピペットチップ延長デバイスをピペットチップに取り付けるための方法であって、本明細書に記述されたピペットチップ延長デバイスの第1の空隙に隣接したハウジング部分を、ピペットチップの流体送達端部に接触させるステップと、これらピペットチップおよびピペットチップ延長デバイスの間に圧力をかけるステップと、任意選択で、ピペットチップ延長デバイスをピペットチップに対して捻るステップとを含み、このピペットチップ延長デバイスのハウジングが、ピペットチップの流体吐出部分に据え付けられる方法も提供する。ある実施形態では、ピペットチップ延長デバイスを、分析物を含む流体に接触させる。
【0012】
本明細書では、本体および蓋と、この本体の内面に添着される挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物とを含む、実験室用流体処理容器デバイスも提供される。本発明は、1つには、本体および蓋と、この蓋の内面に添着される挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物とを含む、実験室用流体処理容器デバイスも提供する。いくつかの実施形態では、容器は微量遠心分離管、例えば最大約250マイクロリットル、500マイクロリットル、1.5ミリリットル、または2.0ミリリットルの体積を有する微量遠心分離管などである。ある実施形態では、容器は標本容器、例えば最大約15ミリリットル、20ミリリットル、4オンス、4.5オンス、5オンス、7オンス、8オンス、または9オンスの体積を含有することができる容器などである。いくつかの実施形態では、デバイスは、熱可塑性物質またはポリマーを含み、場合によっては、蓋または本体は、熱可塑性物質またはポリマーの追加のボスで製造され、追加の熱可塑性物質またはポリマーのボスは、ある実施形態では挿入物に融解しまたは部分的に融解する。いくつかの実施形態では、挿入物は、接着剤、例えば化学的および/または生物学的に不活性な接着剤などによって、添着される。ある実施形態では、実験室用流体処理容器デバイスの挿入繊維は、光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維であり、場合によっては、これらの繊維は多繊維束またはアレイに並べられる。
【0013】
本発明は、1つには、毛管流動チャネルに流体連絡している1つ以上の挿入物を含むマイクロ流体デバイスであって、この挿入物が、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用するデバイスも提供する。そのようなマイクロ流体デバイスの挿入繊維は、場合によっては光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維であり、ある実施形態では、繊維が多繊維束またはアレイに並べられている。
【0014】
また本明細書では、1つには、対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的およびテーパ付きのポリマー壁であって、これら第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、この第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも小さいポリマー壁と、多孔質材料から構成された第1のプラグおよび第2のプラグと、第1のプラグおよび第2のプラグの間のピペットチップデバイスの内部に位置付けられたビーズであって、これら第1のプラグおよび第2のプラグは壁の内面に接触しておりかつピペットチップデバイス内のビーズを含有し、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズとを含む、ポリマーピペットチップデバイスも特徴とする。
【0015】
また本明細書では、対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的およびテーパ付きの第1の壁であって、これら第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、この第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも大きい壁と、対向する端部に位置付けられた第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的およびテーパ付きの第2の壁であって、これら第2の空隙の断面および第3の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、この第2の空隙の直径が第3の空隙の直径よりも大きく、第2の壁が第1の壁と同一の拡がりを持ち、第1の壁および第2の壁が同じポリマーから構成され、第2の壁のテーパ角が第1の壁のテーパ角よりも小さい壁と、壁の内面に接触している第1のプラグおよび第2のプラグであって、多孔質材料から構成された第1のプラグおよび第2のプラグと、第1のプラグおよび第2のプラグの間のピペットチップデバイスの内部に位置付けられたビーズであって、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズとを含む、ポリマーピペットチップデバイスも提供される。
【0016】
また、本明細書では、対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的およびテーパ付きのポリマー壁であって、この第1の空隙がスロットであり、第2の空隙の断面が実質的に円形であるポリマー壁と、多孔質材料から構成されたプラグと、第1のプラグおよびスロットの間のピペットチップデバイスの内部に位置付けられたビーズであって、プラグが壁の内面に接触しており、スロットの幅がビーズの直径よりも小さく、スロットおよびプラグがピペットチップデバイス内のビーズを含有し、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズとを含む、ポリマーピペットチップデバイスも提供される。
【0017】
本発明は、1つには、対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的およびテーパ付きの第1の壁であって、これら第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、この第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも大きい壁と、対向する端部に位置付けられた第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的およびテーパ付きの第2の壁であって、この第3の空隙がスロットであり、第2の壁が第1の壁と同一の拡がりを持ち、第1の壁および第2の壁が同じポリマーから構成され、第2の壁のテーパ角が第1の壁のテーパ角よりも小さい壁と、多孔質材料から構成されたプラグと、第1のプラグおよびスロットの間のピペットチップデバイスの内部に位置付けられたビーズであって、プラグが第1の壁または第2の壁の内面に接触しており、スロットの幅がビーズの直径よりも小さく、スロットおよびプラグがピペットチップデバイス内のビーズを含有し、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズとを含む、ポリマーピペットチップデバイスも提供する。
【0018】
ある実施形態では、ビーズは、シリカゲル、ガラス(例えば、制御細孔ガラス(CPG)、シリカビーズ、または粒子)、ナイロン、Sephadex(登録商標)、Sepharose(登録商標)、セルロース、金属面(例えば、鋼、金、銀、アルミニウム、ケイ素、および銅)、磁性材料、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF))、Wang樹脂、Merrifield樹脂、またはDynabeads(登録商標)である。ビーズおよび少なくとも2つのプラグを含有するポリマーピペットチップデバイスを製造するための方法であって、ピペットチップに第1のプラグを所定の位置まで挿入するステップと、ピペットチップに、決定された量のビーズを充填するステップと、第2のプラグをピペットチップに挿入し、これら第1のプラグおよび第2のプラグの間にビーズが位置付けられるステップとを含む方法も提供される。そのような方法は、任意選択で、第2のプラグに対してわずかな下方への圧力を加えるステップを含むことができる。ビーズ、単一のプラグ、およびスロット形状の流体送達端部を含有するポリマーピペットチップデバイスを製造するための方法であって、ピペットチップに、決定された量のビーズを充填するステップと、プラグをピペットチップに挿入し、プラグおよびスロットの間にビーズを位置付けるステップとを含む方法も提供される。そのような方法は、任意選択で、第2のプラグに対してわずかな下方の圧力を加えるステップを含むことができる。
【0019】
本明細書に記述されるデバイスでは、分析物は、ある実施形態では核酸、ペプチド、ポリペプチド、または細胞にすることができ、挿入物またはビーズを分析物に結合(例えば、可逆的に結合)させてもよい。本発明は、1つには、分析物と本明細書に記述されるデバイスとを結合するための方法であって、分析物が挿入物に結合する条件下で分析物とデバイスの挿入物とを接触させるステップを含む方法も特徴とする。また、本明細書に記述されるデバイスを使用して分析物を単離するための方法であって、分析物が挿入物またはビーズに結合する条件下で分析物と本明細書に記述されるデバイスとを接触させるステップと、任意選択で、挿入物またはビーズに結合した任意の非分析物成分を選択的に除去する条件に、挿入物またはビーズを曝すステップと、挿入物から分析物を溶出する条件に、挿入物またはビーズを曝すステップとを含む方法も提供される。
【0020】
本明細書では、フィンアレイ状に蓄積されたフィン構造に並べられた繊維を含む、ポリマーピペットチップデバイスも提供される。本明細書で使用される「フィンアレイ」は、フィンが挿入物の一端から他端へと延び、かつ挿入物の長手方向の軸に実質的に平行な、マルチフィン束を指す。アレイは、分子サンプルを調製するために、任意の有用な数のフィンを含有することができ、いくつかの実施形態では、アレイは約2から約10000個のフィン、または約10から約1000個のフィン、場合によっては約2、10、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、または1000個のフィンを有する。これらのフィンはしばしば、互いに対して例えば、平面的にまたは実質的に平らな向きに配列される。フィンは、ある実施形態では、放射形対称、格子縞、またはS字形のパターンに配列されていてもよい。フィンの断面は、いくつかの実施形態では、約0.001から約0.010ミリメートルの厚さであり、または約0.010から約0.050ミリメートルの厚さであり、または約0.050から約0.10ミリメートルの厚さである。フィンの長さは、ある実施形態では、約1.0から約2.0ミリメートルの長さであり、約2.0から約3.5ミリメートルの長さであり、または約3.5から約5.0ミリメートルの長さである。フィンの表面積は、いくつかの実施形態では、約0.01から約1.5平方ミリメートルであり、約1.5から約3.5平方ミリメートルであり、または約3.5から約5.0平方ミリメートルである。
【0021】
ある実施形態では、フィンは、外部シェルによって取り囲まれている。外部シェルの断面は、約0.01から約0.10ミリメートルの厚さであり、約0.10から約0.50ミリメートルの厚さであり、または約0.50から約1.0ミリメートルの厚さである。外部シェルは、いくつかの実施形態ではガラスまたはポリマーから作製してもよい。外部シェルは、ピペットチップの側面に融着してもよく、または、化学的および/または生物学的に不活性な接着剤でピペットチップに添着してもよい。
【0022】
本明細書では、フィンを備えた挿入物であって、分析物に結合された挿入物を含む、ポリマーピペットチップデバイスも提供される。分析物は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、または細胞であってもよい。分析物は、挿入物に可逆的結合していてもよい。
【0023】
本明細書では、分析物と前述の実施形態のいずれか1つのデバイスとを結合させるための方法であって、分析物が挿入物に結合する条件下で分析物とデバイスの挿入物とを接触させるステップを含む方法も提供される。デバイスの挿入物は、サンプルから核酸(例えば、DNA、RNA)またはタンパク質を抽出するのに使用してもよい。
【0024】
本明細書では、前述の実施形態のいずれか1つのデバイスを使用して、分析物を単離するための方法であって、分析物が挿入物に結合する条件下で分析物と本明細書に記述されるデバイスとを接触させるステップと、任意選択で、挿入物に結合した任意の非分析物成分は除去されるが挿入物からは分析物が実質的に除去されない条件に、挿入物を曝すステップと、挿入物から分析物を溶出する条件に、挿入物を曝すステップとを含む方法も提供される。
【0025】
また、第1の末端空隙および第2の末端空隙およびフィルタ挿入物を含むピペットチップであって、(i)第1の末端空隙の断面積が、第2の末端空隙の断面積よりも小さく、(ii)フィルタ挿入物またはその一部が、ピペットチップ内部に位置付けられており、(iii)第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部が、第1の末端空隙と実質的に同じ部位に位置付けられ、または第1の末端空隙付近にある、ピペットチップも提供される。ある実施形態では、第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部が、第1の末端空隙の約0から約5ミリメートル以内にある。フィルタ挿入物の端部は、ある実施形態ではピペットチップの外側に位置付けられており、場合によっては、第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部を含むフィルタ挿入物の全体が、ピペットチップ内部に位置付けられる。いくつかの実施形態では、ピペットチップはさらに、フィルタ挿入物よりも第2の末端空隙に近いピペットチップ内部に位置付けられた、分析物と相互に作用する本明細書に記述された挿入物などの第2の挿入物を含む。ある実施形態では、第2の挿入物は、ビーズおよび/または繊維を含む。
【0026】
本発明の実施形態のある態様について、以下の図面の簡単な説明、詳細な説明、実施例、および特許請求の範囲で記述する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面は、本発明の実施形態を例示し、限定的なものではない。明確にするためにかつ例示を容易にするために、これらの図面は縮尺に合わせて作成されておらず、場合によっては本発明の様々な実施形態は、特定の実施形態の理解を容易にするために、誇張してまたは拡大して示されている可能性があることに、留意すべきである。
【図1A】図1Aおよび1Cは、圧縮嵌め挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す図である。図1Bおよび1Dは、封止環を有するピペットチップに嵌合された挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す立面図である。図1Eは、あるピペットチップデバイスの実施形態で使用可能な遠位ピペットチップ端構成を示す、代替の立断面図である。
【図1B】図1Aおよび1Cは、圧縮嵌め挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す図である。図1Bおよび1Dは、封止環を有するピペットチップに嵌合された挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す立面図である。図1Eは、あるピペットチップデバイスの実施形態で使用可能な遠位ピペットチップ端構成を示す、代替の立断面図である。
【図1C】図1Aおよび1Cは、圧縮嵌め挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す図である。図1Bおよび1Dは、封止環を有するピペットチップに嵌合された挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す立面図である。図1Eは、あるピペットチップデバイスの実施形態で使用可能な遠位ピペットチップ端構成を示す、代替の立断面図である。
【図1D】図1Aおよび1Cは、圧縮嵌め挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す図である。図1Bおよび1Dは、封止環を有するピペットチップに嵌合された挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す立面図である。図1Eは、あるピペットチップデバイスの実施形態で使用可能な遠位ピペットチップ端構成を示す、代替の立断面図である。
【図1E】図1Aおよび1Cは、圧縮嵌め挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す図である。図1Bおよび1Dは、封止環を有するピペットチップに嵌合された挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す立面図である。図1Eは、あるピペットチップデバイスの実施形態で使用可能な遠位ピペットチップ端構成を示す、代替の立断面図である。
【図2】図2Aおよび2Bは、標準的なピペットチップを本明細書に示された実施形態に記述されるピペットチップデバイスに変換するのに使用することができる、汎用チップ延長部を有するピペットチップデバイスの実施形態を示す立面図である。図2Aは、ピペットチップに圧縮嵌めがなされるよう構成された、汎用チップ延長部の実施形態を示す図である。図2Bは、封止環を使用して嵌合がなされるよう構成された、汎用チップ延長部の実施形態を示す図である。図2Cは、汎用チップ延長部の実施形態の受容端に嵌合することができる、実行可能な遠位ピペットチップの構成を示す図である。
【図3】図3Aおよび3Bは、実験室用液体処理管の実施形態を示す、立断面図である。図3Aは、管の本体に接触している挿入物プラグを備えた、実験室用液体処理管の実施形態を示す図である。図3Bは、管の蓋に接触している挿入物プラグを備えた、実験室用液体処理管の実施形態を示す図である。
【図4】図4Aおよび4Bは、標本容器の実施形態を示す立断面図である。図4Aは、容器の本体に接触している挿入物プラグを備えた、標本容器の実施形態を示す図である。図4Bは、容器の蓋に接触している挿入物プラグを備えた、標本容器の実施形態を示す図である。
【図5】図5は、問題の分析物の単離、精製、または濃縮、および/または分画に有用な挿入物プラグを含有する、一般的なマイクロ流体デバイスの実施形態を示すブロック図であり、この挿入物プラグは、マイクロ流体デバイス内を流動する生体サンプル材料と効果的な流体連絡をとっている。本明細書に記述される挿入物プラグで変更することができるマイクロ流体デバイスの非限定的な例は、Andersenらの米国特許第6,168,948号またはAckleyらの米国特許第6,638,482号に記載されている。
【図6−1】図6Aおよび6Bは、2つのプラグの間に配置された、問題の分析物の単離、精製、または濃縮、および/または分画に有用な、多孔質水不混和性材料およびビーズから作製された2つのプラグを含有する、ポリマーピペットチップデバイスの実施形態を示す立面図である。
【図6−2】図6Cおよび6Dは、問題の分析物の単離、精製、または濃縮、および/または分画に有用な、多孔質水不混和性材料およびビーズから作製された単一プラグを含有する、ポリマーピペットチップデバイスの実施形態を示す立面図である。ビーズは、プラグのレベルよりも下に配置されており、ピペットチップの遠位端によってポリマーピペットチップデバイス内の実施形態の所定の位置に保持されているが、この遠位端は、ポリマーピペットチップデバイス内に含有されるビーズの直径よりも小さい開口を有するように構成されている。
【図7】図7A〜7Dは、外部シェルを備えた圧縮嵌め挿入物プラグを含有する、ピペットチップデバイスの実施形態を示す水平断面図である。
【図8】図8Aおよび8Bは、ピペットチップデバイスの実施形態と、不規則面を含むマイクロウェルプレートの実施形態を示す、立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(詳細な説明)
本明細書に記述されるポリマーピペットチップデバイス、実験室用流体処理管、標本容器、およびマイクロ流体デバイスは、様々なサンプルから、問題の分析物の単離、精製、濃縮、および/または分画を行うのに有用である。あるデバイスは、クロマトグラフィー、単離、精製、濃縮、および/または分画であって遠心分離を使用しないものの利益を組み合わせ、提供する。本明細書に記述されるデバイスは、手動のまたは自動化/ロボット式適用例で、マイクロリットル以下(例えば、ナノリットル)からミリリットル体積に及ぶ体積で利用することができる。あるデバイスは、使い易さおよびコスト削減のための、分析物のピペットチップをベースにした単離、精製、および濃縮、および/または分画を含めた、様々な方法論に容易に適用可能であるという追加の利益を有する。
【0029】
本明細書に示されるサンプル調製デバイスは、費用効果があり、多くのプロトコールに適用可能であり、従来のクロマトグラフマトリックスに依存しておらず、遠心分離または回収される材料の品質に影響を及ぼす可能性があるその他の専用機器を使用する必要がない。したがって、本明細書に記述されるサンプル調製デバイスは、改善されたサンプルの回収および改善されたサンプルの品質と共に、分析物の単離、精製、濃縮、および/または分画に有用である。
【0030】
当業者に使用されるある方法およびデバイスでは、機械的な力が加わることによって(例えば、熱移動、急な遠心力、および空気抵抗)、回収された分析物材料に損傷が与えられる可能性がある(例えば、核酸の場合には切れ目が入りまたは剪断され、タンパク質の場合には変性しまたは不正確に折り畳まれる)。例えば分析物は、遠心分離と、クロマトグラフマトリックスにより形成された蛇行経路内を分析物が強制的に通過する動作との組合せによって、および/または問題の材料が結合するマトリックスからその材料を溶出するのに必要な方法によって、構造的に変化し得る。したがって、ある方法を使用して抽出された、結果的に得られた生体サンプルの損なわれた品質は、使用者に望ましくないと考えられる。
【0031】
本明細書に記述されるデバイスを使用して調製された分析物の構造は、当業者により使用される技法に比べてしばしば変化がないままでありまたはそれほど変化していない状態にあり、本明細書に記述されるプロセスおよびデバイスは、調製される分析物の構造を実質的に変化させない。例えば、本明細書に示されるサンプル調製デバイスを使用して調製されたサンプルは、クロマチン、ゲノムDNA、ある2次および3次構造配置を有する核酸を含めた、核酸のニッキングおよび剪断を最小限に抑えて無傷の核酸の大量の回収をもたらす。一般に、本明細書のサンプル調製デバイスによって単離した核酸は、その後の分析に向けてより大きな構造的完全性を有することになる。さらに、本明細書に示されるサンプル調製デバイスの使用は、正しい折畳みおよび無傷の構造完全性を有する無傷のポリペプチドおよびタンパク質のより高い収率をもたらすことになるが、これも、ポリペプチドまたはタンパク質を単離し、精製し、濃縮し、および/または分画する非遠心分離手段を使用することの利点に起因する。
【0032】
本明細書に示されるサンプル調製デバイスは、サンプル中の分析物を効率的に回収するのに有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に示されるサンプル調製デバイスを使用して、サンプルから回収可能な分析物を約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上を回収してもよい。当業者なら、問題の分析物を最適に回収するために、出発材料とサンプル調製デバイスのサイズとのバランスをとる必要があることに気付くであろう。当業者に、より広範な選択肢をもたらすために、本明細書に記述されるサンプル調製デバイスは、広範な出発材料およびサンプルから問題の材料を回収することができるよう、いくつかの異なるサイズで構成される。
【0033】
(ピペットチップデバイス)
ピペットチップは、通常は、様々な実験設定で流体を取得し、移送し、または吐出するのに使用される。ピペットチップは、多数の生体サンプルの処理が必要な医療用および研究用の両方の設定で、大量に使用することができる。ピペットチップは、操作者が単一チャネルピペットまたはマルチチャネルピペット(複数の吐出出口があり、通常は2、4、または8チャネル構成が利用可能である)を使用する場合は手動で使用することができ、またはピペットチップは、自動化またはロボット式適用例で使用することもできる。これらの自動化またはロボット式適用例では、ロボットデバイスは、1、2、4、8、16、24、32、40、48、56、64、72、80、88、96、384、または1536チャネルピペットも使用するように構成できる。96以上のチャネルを有するピペットは、例えば、PCR、DNAチップ技術、タンパク質チップ技術(チップ技術はアレイとしても公知である)、免疫学的アッセイ(ELISA、RIA)、またはその他の大量のサンプルをタイミングよく処理しなければならない実験室または診療所で、多数のサンプルの高処理分析が必要とされる場合、一般にマイクロタイタープレートまたはアレイ/チップの適用例で使用される。高処理分析に使用される自動化またはロボットデバイスの一例は、Oasis LMと呼ばれるデバイス(Telechem International,Inc.Sunnyvale California 94089製)である。このコンピュータにより駆動される生物学的ワークステーションは、1、8、96、384、または1536個のサンプルをピペット分取する能力を有する、最大4個の個別のピペットチップヘッドで構成することができる。体積の範囲は、特定のヘッドとピペットチップとの組合せに依存し、ワークステーション用の体積範囲は200ナノリットルから1ミリリットルである。ワークステーションは、4個のピペットヘッド全てを同時に操作することができる。
【0034】
ピペットチップは、通常は、0から10マイクロリットル、0から20マイクロリットル、1から100マイクロリットル、1から200マイクロリットル、および1から1000マイクロリットルを保持するサイズで入手可能である。これらピペットチップの外観は異なっていてもよいが、本明細書に示される実施形態で使用するのに適したピペットチップは、水平断面がおおよそ円形である中心チャネルまたは管を形成する連続テーパ付き壁を、一般に有する。しかし、得られたピペットチップデバイスが適切な流動特性を示しかつピペットに嵌合できることを条件として、任意の断面幾何形状を使用することができる。本明細書に記述される実施形態で使用可能なピペットチップは、ピペットチップの最上部分にある最も幅広の点(ピペットの近位端またはピペットに嵌合する端部)から、ピペットチップの最底部分にある狭い開口(ピペットの遠位またはサンプルを取得しもしくは排出するのに使用される端部)まで、テーパを有することになる。ある実施形態では、ピペットチップ壁は、2つ以上のテーパ角を有することができる。ピペットチップの内面は、しばしばテーパ付き連続壁を形成するが、外壁は、同一連続テーパからステップ式テーパに及びまたは滑らかなテーパと外部突出部との組合せである、任意の外観を呈していてもよい。一般に利用可能なピペットチップの最上部外面はしばしば、多くの市販のピペットデバイスで見られるピペットチップの放出メカニズムと相互に作用する、より厚い壁または突出部の存在によって、ピペットチップの放出を補助するように設計される。外側のステップ式テーパの追加の利点は、任意の製造業者からのピペットチップのラックに適合することである。あるピペットチップの、より厚い最上部は、さらなる剛性および支持も可能にし、したがってピペットをピペットチップの開口に押圧してピペットチップをピペットに固定するときに、追加の圧力を加えることができるようになり、したがって適切な封止が確実になる。中心チャネルまたは管の最上部のボアは、適切なサイズのピペット装置のバレルを受容するのに十分なほどに大きくなる。ほとんどのピペット装置は、第3者製造業者によって作製された汎用ピペットチップで使用することができるので、当業者なら、種々のピペットチップサイズが種々の容積範囲のピペットで使用されることに気付くであろう。したがって当業者なら、1から10マイクロリットルのサンプル処理に使用するピペットに使用するよう設計されたピペットチップは、一般に、最大1000マイクロリットルのサンプルを処理するよう設計されたピペットには嵌合しないことが理解される。標準的なピペットおよびピペットチップの設計および製造は、当技術分野で周知であり、射出成型技法がしばしば利用される。
【0035】
本明細書で使用される「ピペットチップデバイス」という用語は、生体サンプルの単離、精製、濃縮、および/または分画に適したピペットチップを指し、このデバイスはしばしば、挿入物を挿入することができる任意のサイズまたは形状の標準的な市販のピペットチップで構成されるものである。ピペットチップハウジングは、しばしば、流体処理用に都合のよい任意のポリマータイプまたは混合物にすることができるポリマーから製造される(例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート)。ピペットチップデバイスは、RNase、DNase、および/またはプロテアーゼフリー製品として提供することができ、1つ以上のフィルタ障壁と共に提供することができる。フィルタ障壁は、液体処理から生じる汚染の可能性を防止しまたは低減させるのに有用であり、場合によっては、ある実施形態において手動またはロボット式ピペッタに係合するピペットチップ端部付近に位置付けられる。
【0036】
本明細書で使用される「挿入物」は、しばしば、分析物と相互に作用することができる固相を含む。本明細書で使用される「固体担体」または「固相」という用語は、分析物を直接または間接的に結合することができる不溶性材料を指す。
【0037】
ある実施形態の挿入物は、繊維または多繊維挿入物である。多繊維挿入物は、多繊維束と呼ぶこともできる。光ファイバ、ガラス繊維、およびポリマー繊維(例えば、荷電ポリマーまたは非荷電ポリマー)は、利用することができる繊維のタイプの非限定的な例である。Marcusらによる「Capillary−channeled polymeric fiber as solid phase extraction media」というタイトルの2006年9月14日に公開された米国特許出願公開第2006/0201881号は、例えば、ポリプロピレン繊維を固相として使用できることを示している。したがって、任意の適切なポリマー繊維を挿入物に使用することができる。繊維には、エッチング、チャネル形成、帯電、焼結、またはこれらの組合せを行うこともできる。
【0038】
繊維束は、当業者に公知である。繊維束の例は、Moultonによる「pipette tip and filter for accurate sampling and prevention of contamination」というタイトルの1998年12月22日に発行された米国特許第5,851,491号;Horiらによる「Hemoglobin sampler」というタイトルの1995年10月24日に発行された米国特許第5,460,781号;Beaverによる「Packed fiber glass reaction vessel」というタイトルの1987年4月14日に発行された米国特許第4,657,742号;およびHudsonらによる「Solid phase extraction pipette」というタイトルの2006年9月28に公開された米国特許出願公開第2006/0216206号に記載されている。多繊維束は、例えば、モノリシックな要素(棒、管など)に多数の毛管を穿孔することによって形成することができる。別の例では、多繊維束は、束が形成されるように繊維の周りにプラスチック、金属、または金属酸化物を収縮包装することによって、形成することができる。したがって多繊維挿入物は、場合によっては多繊維束またはアレイと呼ばれる。組み立てられた挿入物(例えば、モノリシックな要素および繊維)は、空隙を含有する。ある実施形態での空隙は、隣接する繊維の外面の間にあるチャネルである。挿入物中の繊維は、場合によっては実質的に均一な方向に向いており、ランダムに分布していない。その他の実施形態では、繊維は、挿入物中にランダムに分布している。挿入物中の繊維は、分析物と相互に作用させるためおよびピペッタと共に使用するために、任意の都合のよい寸法にすることができる。挿入物中の繊維の直径は、例えば、約0.01マイクロメートルから約100マイクロメートルにすることができ、ある実施形態では約0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、50、または100マイクロメートルである。挿入物中の各繊維の長さは、例えば0.001ミリメートルから約100ミリメートルにすることができ、ある場合には、約0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、50、または100ミリメートルである。多繊維挿入物は、液体処理および分析物抽出用に任意の適切な数の毛管を有することができ、約100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3250、3500、3750、4000、4250、4500、4750、5000、6000、7000、8000、9000、または10,000本の繊維を含むことができるが、これらに限定するものではない。
【0039】
ある実施形態での挿入物は、焼結ビーズ挿入物である。焼結ビーズ挿入物は、例えば、ある型(例えば、開口上端を有する円柱形)に易流動性ビーズを送達し、ビーズ同士の接触点が部分的に融解するようにビーズを加熱することによって、製造することができる。次いで得られた挿入物を、その型から取り出す。そのような挿入物の外周にあるビーズは、場合によっては融解しまたは部分的に融解し、挿入物の周りに連続壁またはシースを形成する。焼結プロセスで融解しまたは部分的に融解することができる本明細書に記述されるビーズを利用することができ、一実施形態ではシリカガラスビーズが利用される。
【0040】
挿入物、および適用可能な実施形態における挿入物の繊維は、挿入物をピペットチップ内に嵌合できるように、任意の断面幾何形状(円形、楕円形、および多角形(例えば六角形、八角形)など)にすることができる。挿入物の最大直径は、しばしばピペットチップの流体放出空隙の直径に等しくまたはそれよりも大きく、挿入物の長さは一般に、ピペットチップの縦の長さ以下である。ある実施形態では、挿入物断面の直径は、約0.01から約20ミリメートル(例えば、約0.01、0.05、0.10、0.50、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ミリメートルの直径)であり、いくつかの実施形態では、挿入物の長さは約0.1から約100ミリメートル(例えば、約0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、または100ミリメートルの長さ)である。規則的に並べた繊維を使用して配列した挿入物では、その挿入物の断面形状は、各繊維の断面形状および挿入物を製造するのに利用される繊維の数に依存する可能性がある。例えば、円形断面を有する棒または管を使用する場合、得られる繊維束は、ほぼ同じ円形断面形状にすることができる。したがって、モノリシックな要素を使用して形成された挿入物は、場合によっては境界として使用されたモノリシック要素の断面形状をとる。より多くの数の円柱状繊維を利用する実施形態では、挿入物の断面は、場合によっては多角形である。また、使用される繊維の直径が小さくなるほど、断面形状は境界モノリシック要素の真の断面形状により近くなる可能性がある。より大きい直径の繊維の場合、挿入物の断面形状は、場合によっては境界により円形であるが、円形の境界内部にある繊維の周辺は、より多側面多角形に近い形状をとる。この特徴は、境界モノリシック要素および様々なサイズの繊維を使用して実現することができる充填密度に起因する。一般的な経験則は、モノリシック要素に挿入される繊維が小さいほど、挿入物の断面形状は円に近付くということである。代替の繊維断面形状は、外側のモノリシック境界要素内にある代わりに成形された繊維の「積重ね」によって、より大きな充填密度を提供することができる。
【0041】
固相または固体担体(例えば、挿入物(例えば、繊維または焼結ビーズ)、ビーズ)は、分析物と結合することができる材料を含むことができる。固相は、分析物に結合する材料でコーティングし(例えば、固相の表面をコーティングしてもよい)またはその材料を投入してもよい。材料は、特異的または非特異的相互作用によって、分析物に結合させてもよい。非特異的相互作用の例には、疎水性(例えば、C18含有固体担体およびトリチル化固体担体)、静電的、イオン性、ファンデルワールス、および極性(例えば、核酸/ポリエチレングリコール間の「湿潤」結合)相互作用などが含まれるが、これらに限定するものではない。特異的相互作用の例には、結合対相互作用、例えば親和性結合対相互作用などが含まれる。結合対相互作用の例には、抗体/抗原、抗体/抗体、抗体/抗体断片、抗体/抗体受容体、抗体/タンパク質Aまたはタンパク質G、タンパク質/リガンド、ハプテン/抗ハプテン、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、ポリヒスチジン/2価金属(例えば、銅)、グルタチオン/グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、葉酸/葉酸結合タンパク質、ビタミンB12/内因子、および核酸/相補核酸(例えば、DNA、RNA、PNA)相互作用などが含まれるが、これらに限定するものではない。抗体には、IgG、IgM、IgA、IgE、またはこれらのアイソタイプ(例えば、IgG1、IgG2a、IgG2b、またはIgG3)が含まれるが、これらに限定するものではない。その他の材料には、炭水化物、脂質、グリコシル化タンパク質またはポリペプチド、および芳香族炭化水素などが含まれるが、これらに限定するものではない。固相は、分析物に共有結合する材料を含んでいてもよい。問題の分析物に共有結合することができる分子の非限定的な例には、化学反応性基/相補化学反応性基対(例えば、スルフヒドリル/マレイミド、スルフヒドリル/ハロアセチル誘導体、アミン/イソトリオシアネート、アミン/スクシニミジルエステル、およびアミン/スルホニルハロゲン化物)などが含まれる。
【0042】
特異的および非特異的結合剤、親和性結合剤、およびこれらを固相に結合するための方法の例は、2007年1月25日に公開された米国特許出願公開第2007/0017870号に記載されている。いくつかの実施形態の材料は、ある多繊維構造内の隣接する繊維間の任意の毛管チャネルを均一にまたは実質的に均一にする(例えば、Belovらによる「Multicapillary column for chromatography and sample preparation」というタイトルの2007年1月23日に発行された米国特許第7,166,212号に記載されている脂肪族、芳香族、有機元素、および無機部分)。いくつかの実施形態では、挿入物は、シリカビーズなど、問題の分析物に結合できるビーズでコーティングされる。ある実施形態では、固相は、1種以上の材料(例えば、毛管の内径を実質的に均一にする材料、および分析物に特異的にまたは非特異的に結合する材料)でコーティングされる。ある実施形態の固相は、剥き出しであってもよく、分析物に結合する別の材料を含まなくてもよい(例えば、核酸に結合するガラスまたはエッチングされたガラス固相)。材料は、共有および/または非共有相互作用によって固相と結合していてもよい。
【0043】
本明細書で使用される「分析物」という用語は、本明細書に記述されるデバイスの材料または挿入物と結合できる物質を指す。分析物は、ある実施形態では、1種以上の化学物質、有機分子、および無機分子などであってもよい。分析物は、場合によっては生体サンプルから得られ、生体分子または生物学的試薬にすることができる。生体サンプルは、組織、細胞、細胞ペレット、細胞抽出物、または生検材料;尿、血液、唾液、または羊水などの生体液;感染または炎症領域からの浸出物;口内細胞を含有するマウスウォッシュ;脳脊髄液または滑液;環境、考古学的、土壌、水、農業サンプル;微生物サンプル(例えば細菌、酵母菌、アメーバ);および器官などを含むがこれらに限定されない生物または環境から得られる任意のサンプルである。生体分子には、細胞、細胞群、単離した細胞膜、細胞膜成分(例えば、膜脂質、膜脂肪酸、コレステロール、膜タンパク質)、糖、多糖、核酸(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、タンパク質核酸(PNA))、ペプチドおよびポリペプチド(例えば、タンパク質、サブユニットタンパク質、タンパク質ドメイン)などが含まれるが、これらに限定されない。サンプルは、場合によっては、生体分子が本明細書に記述されるデバイスに接触する前に、問題の生体分子を解放するように処理される。例えば細胞は、サンプルが本明細書に記述されるデバイスに接触する前に、当技術分野で周知の方法を使用して溶解することができる。
【0044】
図1Aを参照すると、ある実施形態では、対向する端部に位置付けられた第1の空隙14および第2の空隙16を画定する連続したテーパ付きポリマー壁12を有する、ポリマーピペットチップデバイス10が提供され、これら第1の空隙の断面および第2の空隙の断面は、実質的に円形および実質的に平行であり、第1の空隙の直径は第2の空隙の直径よりも小さくなっている。ポリマーピペットチップデバイス10は、第1の空隙14と第2の空隙16との間のポリマー壁12の内面の一部に接触した挿入物18を含有し、挿入物18は複数の空隙を有し、かつ核酸結合条件下で核酸に結合する材料から構成されており、または挿入物18は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を含有することができる。
【0045】
図1Bを参照すると、ある実施形態では、対向する端部に位置付けられた第1の空隙24および第2の空隙26を画定する連続したテーパ付きポリマー壁22を有する、ポリマーピペットチップデバイス20が提供され、これら第1の空隙24の断面および第2の空隙26の断面は、実質的に円形および実質的に平行であり、第1の空隙24の直径は第2の空隙26の直径よりも小さくなっている。ポリマーピペットデバイス20は、壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部30を有し、この環状突出部の断面は、第1の空隙および第2の空隙の断面と実質的に平行である。図1Bは、上方および下方環状突出部を示すが、ピペットチップデバイス20は、1つ以上の環状突出部と十分等しく機能することができると考えられる。ピペットチップデバイス20の壁および環状突出部は、同じポリマーから構成される。ピペットチップデバイス20は、環状突出部30にまたはいくつかの実施形態では複数の環状突出部に接触した挿入物28を含有する。ピペットチップデバイス20の挿入物28は、複数の空隙を有し、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から構成されており、または挿入物28は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を含有していてもよい。
【0046】
図1Cを参照すると、いくつかの実施形態では、対向する端部に位置付けられた第1の空隙36および第2の空隙38を画定する連続したテーパ付きの第1の壁34を有する、ポリマーピペットチップデバイス32が提供され、これら第1の空隙36の断面および第2の空隙38の断面は、実質的に円形および実質的に平行であり、第1の空隙36の直径は第2の空隙38の直径よりも大きくなっている。ポリマーピペットチップデバイス32は、対向する端部に位置付けられた第2の空隙38および第3の空隙40を画定する連続したテーパ付きの第2の壁40も有し、これら第2の空隙38の断面および第3の空隙42の断面は、実質的に円形および実質的に平行であり、第2の空隙38の直径は第2の空隙42の直径よりも大きくなっている。ピペットチップデバイス32の第2の壁40は、第1の壁34と同一の拡がりを持ち、第1の壁34および第2の壁40は同じポリマーから構成され、第2の壁40のテーパ角は第1の壁34のテーパ角よりも小さい。ピペットチップデバイス32は、第2の空隙38および第3の空隙42の間の第2の壁40の内面の一部に接触した挿入物44も含有し、この挿入物は複数の空隙を含むものであり、また挿入44は、複数の空隙を有し、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から構成され、または挿入物44は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を含有していてもよい。
【0047】
次に図1Dを参照すると、ある実施形態では、対向する端部に位置付けられた第1の空隙50および第2の空隙52を画定する連続したテーパ付きの第1の壁48を有するポリマーピペットデバイス46が提供され、これら第1の空隙50の断面および第2の空隙52の断面は、実質的に円形および実質的に平行であり、第1の空隙50の直径は第2の空隙52の直径よりも大きくなっている。ポリマーピペットチップデバイス46は、対向する端部に位置付けられた第2の空隙52および第3の空隙56を画定する連続したテーパ付きの第2の壁54も有し、これら第2の空隙52の断面および第3の空隙56の断面は、実質的に円形および実質的に平行であり、第2の空隙52の直径は第3の空隙56の直径よりも大きくなっている。ピペットデバイス46の第2の壁40は、第1の壁48と同一の拡がりを持ち、第1の壁48および第2の壁54は同じポリマーから構成され、第2の壁54のテーパ角は第1の壁48のテーパ角よりも小さい。ポリマーピペットチップデバイス46は、壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部60も有し、環状突出部の断面は、第1の空隙および第2の空隙の断面に実質的に平行である。図1Bは上方および下方環状突出部を示すが、ピペットチップデバイス46は、1つ以上の環状突出部60と十分等しく機能することができると考えられる。ピペットチップデバイス46の壁および(1つ以上の)環状突出部60は、同じポリマーから構成される。ピペットチップデバイス46は、環状突出部60に、またはいくつかの実施形態では複数の環状突出部に接触した挿入物58を含有する。ピペットチップデバイス46の挿入物58は空隙を有し、核酸結合条件下で核酸と結合する材料から構成され、または挿入物58は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドと結合する材料を含有していてもよい。
【0048】
空隙の断面は、開口の水平断面がとる形状と規定される。中心軸またはチャネルを形成するピペットチップの壁によって規定された形状がほぼ円形であるピペットチップの場合、空隙の水平断面は、上面から見たときに実質的に円形であることがわかる。空隙の断面は、空隙ではないピペットチップの任意のその他の部分の水平断面に実質的に平行であるが、その断面の直径は異なっていてもよい。
【0049】
本明細書で使用される「突出部」という用語は、局所領域で壁から隆起したバンプまたは突出材料を指す。そのような突出部は、ピペットチップ内に挿入物を保持するための当技術分野での課題を解決し、ある実施形態では摩擦または圧縮によって、ピペットチップ内に挿入物を保持することができる。突出部は、環状突出部または窪みを含むがこれらに限定されない様々な形状のいずれか1つ以上で存在していてもよい。環状突出部は、半球形、半楕円形、またはV字形断面を含むがこれらに限定することのない、ピペットチップ内に挿入物を保持するための任意の適切な断面にすることができる。窪みは、円形、楕円形、四角形、長方形、菱形、六角形、または八角形の断面を含むがこれらに限定することのない、ピペットチップ内に挿入物を保持するための任意の適切な断面であってもよい。突出部は、ある実施形態では壁と同一の拡がりを持つことができる。例えば、同一の拡がりを持つ突出部は、ピペットチップと同じ型から同時に作製することができ、その場合、ピペットチップの下にあり、取り囲む壁と突出部との間は分離していない。突出部は、ある実施形態では、壁と同一の拡がりを持たなくてもよい。後者の実施形態では、例えば環状突出部は、oリング(例えば、ゴムまたはプラスチックのoリング)によって提供してもよい。1つ以上の環状突出部は、挿入物を保持するために、ピペットチップの縦軸(即ち、縦軸は大きいほうのピペットチップ空隙から小さいほうの空隙へと走る)に沿った任意の都合のよい部位で、ピペットチップ内に存在していてもよい。ある実施形態では、ピペットチップは、場合によってはピペットチップの流体放出空隙付近に位置付けられるただ1つの突出部を含む。いくつかの実施形態では、ピペットは、挿入物の端部にそれぞれ接触する2つの突出部を含む(即ち、ピペットチップの縦軸の沿った2つの突出部の間の距離は、この実施例では挿入物の長さによって画定される)。
【0050】
本明細書で使用される「第2の壁は第1の壁と同一の拡がりを持つ」は、例えば、1片に成型され、隙間または破断なしに連続壁が形成されるよう1つに接合され、または共押し出しされることによる、1片の状態にある第1および第2の壁を指す。当業者なら、単一の壁として現れ作用する2つの壁をもたらすその他の方法も使用することができ、したがって本明細書に含まれることが理解されよう。
【0051】
本明細書で使用される「第1の壁および第2の壁は同じポリマーから構成される」は、例えば、溶融ポリマーを型に入れて使用し、またはポリマーストックから単一本体として加圧しもしくは押し出すことによって、これら壁が1つの連続壁として形成されるプロセスを指す。
【0052】
本明細書で使用される「第2の壁の内面の一部に接触した挿入物」は、所定の位置に加圧され、しばしば挿入物の外側境界とピペットチップ壁の内面との間に摩擦力または圧縮によって固体化される、挿入物を指す(図1Cおよび1Dに示されるように)。第1の壁に比べて垂直方向からより小さい角度(即ち、より低いテーパ角)を有する第2の壁は、挿入物の摩擦嵌めを促進させ、したがってピペットチップ内に挿入物を保持するという当技術分野の課題を解決する。
【0053】
図1Aおよび1Cを参照すると、いくつかの実施形態では、挿入物18および44は、圧縮嵌めによってポリマーピペットチップデバイス10および32に配置される。即ち、挿入物18および44は、圧縮、表面の変形、および所定の位置に挿入物を保つのに十分大きい摩擦係数の組合せが原因で、挿入物が容易に外れることができないよう、十分な力で所定の位置に加圧される。あるいは、挿入物18および44は、生物学的および/または化学的に不活性な接着剤を使用してピペットチップのポリマー内面に接着することによって、または圧縮嵌めおよび接着剤の組合せによって、所定位置に保持することもできる。十分な力は、ピペットチップまたは挿入物への損傷を引き起こすことなく確実に挿入物を嵌合させるのに必要な最小限の力として、本明細書では規定する。挿入物の嵌合前にピペットチップに熱を加える操作は、挿入物の確実な嵌合を実現するのに必要な力の量をさらに減少させるのに、首尾よく使用できることが理解されよう。
【0054】
図1Bおよび1Dを参照すると、ある実施形態では、挿入物28および58は、(1つ以上の)環状リング30および60が挿入物28および58の周りでわずかに変形して封止状態を生成するように、1つ以上の環状リング30および60を通して挿入物28および58を加圧することにより、ポリマーピペットチップデバイス20および46内に配置される。このような挿入物28および58の嵌合は、封止された確実な嵌合を可能にしたままで、より小さな断面直径の挿入物を使用できるようになる。さらに、(1つ以上の)より薄い環状リング30および60の使用によって、ある量の柔軟性を得ることが可能になり、したがって、より薄い環状リングは曲がって変形することができるので、挿入物を嵌合するのに必要な力が減少し、したがって、挿入物を封止するのに必要とされるより少ない圧力で、確実な封止状態を形成することが可能になる。挿入物の嵌合前にピペットチップに熱を加える操作は、環状リングを通して挿入物を加圧するのに必要な力の量をさらに減少させるのに、首尾よく使用することができ、確実な封止嵌合が実現されることが理解されよう。
【0055】
図1A、1B、1C、および1Dを参照すると、上述のいくつかの実施形態では、ポリマーピペットチップデバイス10、20、32、および46の遠位開口(それぞれ図1Aおよび1Bの第1の空隙14および24、それぞれ図1Cおよび1Dの第3の空隙42および56)は、多くの実行可能な遠位端構成の中から2つの実行可能な非限定的な例が示されている図1Eに例示されるように、異なるサイズおよび/または形状の開口62を有するように構成することができる。
【0056】
図7A〜7D(必ずしも、縮尺を合わせて図示されていない)を参照すると、ある実施形態では、ポリマーピペットチップデバイスは、フィン、マルチフィン挿入物、マルチフィン束、または、そのフィンのそれぞれの長さがチップの長手方向の軸に実質的に平行に走るように向きが定められたアレイの、水平断面構造を有する。フィンは、任意の適切な配置構成で配列されていてもよく、図7Aから7Dがいくつかの実施形態を示している。フィンは、その長さが管の長手方向の軸に実質的に垂直にまたはいくらか角度をつけて走るように、向きが定められていてもよい。これらのフィンは、互いに平面内にまたは実質的に平らな向きに並べてもよい。外部シェル71は、任意選択でフィンを取り囲みかつ異なる厚さを有するように構成されていてもよい。外部シェルは、任意選択で、フィンのアレイの支持をもたらしてもよく、または保護を行ってもよい。外部シェルは、例えば、ピペットチップ内に嵌合するものなど、任意の都合のよい形状のものであってもよい。外部シェルは、分析物の処理に適した材料など、任意の材料を含んでいてもよい。例えば、流体処理用の任意の都合のよいポリマーまたはポリマー混合物(例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート)を利用することができ、その他の例には、シリカゲル、溶融シリカ、ガラス(例えば、制御細孔ガラス(CPG))、ナイロン、Sephadex(登録商標)、Sepharose(登録商標)、セルロース、金属表面(例えば、鋼、金、銀、アルミニウム、ケイ素、および銅)、磁性材料、およびプラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニリデンジフルオリド(PVFD))などが含まれるが、これらに限定するものではない。ある実施形態では、外部シェル断面の厚さが約0.01から約1.0ミリメートル(例えば、約0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、または1.0ミリメートルの厚さ)であり、いくつかの実施形態では、フィンの厚さが約0.001から約0.10ミリメートル(例えば、0.001、0.002、0.004、0.006、0.008、0.010、0.012、0.014、0.016、0.018、0.020、0.04、0.06、0.080または0.10ミリメートルの厚さ)である。いくつかの実施形態では、フィンの長さが約1.0から約5.0ミリメートルの長さ(例えば、約1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、または5.0ミリメートルの長さ)である。いくつかの実施形態では、各フィンの表面積が約0.01から約5.0平方ミリメートル(例えば、約0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、または5.0平方ミリメートル)である。図7Aには、互いに平面内または実質的に平らな向きに並べられた平行フィン73のアレイの例が示されている。図7Bは、放射状の配置構成にあるフィンの例を示す。図7Cは、格子状の配置構成にあるフィンの例を示し、図7Dは、S字状「S型」配置構成にあるフィンの例を示す。その他の実施形態は、同心円および/または1つもしくは複数のその他の配置構成の組合せを含んでいてもよい。
【0057】
フィンの断面形状および面積は、変えてもよい。フィンの表面積などの、ある構造要素は、ピペットチップデバイス内を通る液体流の所望の動力学を満足させるために、増大させても減少させてもよい。フィンの向きも、所望の流れのために修正してよい。例えば、ピペットチップデバイスの長手方向の軸に実質的に平行な長さを有するフィンの向きを定める操作は、抽出溶媒による動力学的接触のためにより大きなパス長をもたらす可能性がある。1つ以上のフィンの垂直な向きは、濾過効果を助ける。
【0058】
フィンは、様々な方法でピペットチップデバイス内に固定することができる。例として、ある実施形態は、円形断面を有していてもよく、隣接するフィンがそれらの長さに沿って接触するように束またはアレイに配置してもよい。フィンの円形断面は、液体標本および(1種以上の)抽出溶媒の通過が可能になるように、隣接するフィンの間に空間を存在させることを確実にすることができる。アレイの全直径は、外部シェル内に挿入したときに、シェル本体の内面に対してかけられるバネの力によってアレイが保持されるよう選択してもよい。あるいは、アレイの周辺を、アレイの挿入後に融解することができる接着剤またはコーティングを用いるなどして、外部シェルの内面に接着させてもよい。アレイを保持するために、切欠き、窪み、または同様のその他の特徴を、外部シェルに設けてもよい。別の実施形態は、フィンをマトリックスに埋め込み、その後マトリックスまたはその一部を外部シェルの内面に結合することであってもよい。これらは、フィンをピペットチップデバイス内に固定するのに使用することができる、種々の技法の単なる2〜3の例であり、利用することができる特定の技法に本発明の範囲を限定するものではない。
【0059】
フィンは、分析物サンプルの調製に適した任意の材料、例えばプラスチック、ガラス、溶融シリカから作製してもよい。フィンの構成に使用される材料は、ある実施形態において、液体標本の誘引を示してもよい。フィン材料は、任意選択で、液体標本を、アレイ状のフィンのそれぞれまたはかなりの数の表面に塗り拡げ付着するように選択してもよい。液体標本は、任意の手段によって、例えば、例として真空、ウィッキング、表面張力、反発力、および毛管作用などによって、フィンのアレイ全体に塗り拡げてもよい。
【0060】
フィンは、いくつかの実施形態ではコーティングされていなくてもよく、ある実施形態ではコーティングされていてもよい。コーティング挿入物に関して既に述べたように、フィン材料の表面は、液体の移動を高めまたは選択的に制限するために、コーティングしまたは処理してもよい。例えば、フィン材料は、液体の表面張力を増大させる1種以上の試薬で処理してもよい。別の例では、液体標本から分子を抽出する溶媒に対して、フィン材料の処理を行ってもよい。
【0061】
(ポリマーピペットチップ延長デバイス)
本明細書で使用される「ピペットチップ延長デバイス」は、ピペットチップ内に挿入物を配置するステップを含むのではなく、デバイスの最上部分に挿入物およびピペットチップアダプタを含有する予め製作されたポリマーハウジングである、特定の実施形態を指し、ピペットチップに下向きの圧力を加えることによって適切なサイズのピペットチップが所定位置に配置され固定されるものである。「ポリマーハウジング」は、挿入物を含有するのに使用されるプラスチック材料を指す。ポリマーハウジングは、流体処理に任意の都合のよいポリマーまたはポリマー混合物にすることができる(例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート)。ピペットチップ延長デバイスは、RNase、DNase、および/またはプロテアーゼフリー製品として提供することができ、1つ以上のフィルタ障壁と共に提供することができる。フィルタ障壁は、液体処理から生じる汚染の可能性を防止し低下させるのに有用であり、ある実施形態では、場合によってはピペットチップアダプタ構成要素付近に位置付けられる。
【0062】
ピペットチップ延長デバイスは、例えば摩擦、圧縮、またはロック嵌合などの適切な接続によってピペットチップ流体放出端を結び付けることができる、ピペットチップアダプタ構成要素を含む。ピペットチップアダプタ構成要素は、1つ以上の棘、突出部(例えば、上述の環状突出部)、窪み(上述)、oリング、およびルアーロック構造を含むがこれらに限定することのない、ピペットチップを結び付けるための任意の適切な構成を含むことができる。本明細書で使用される「第1の空隙の直径と、この第1の空隙に隣接したハウジング部分とは、ピペットチップの流体送達末端で嵌合するようになされている」は、ピペットチップおよびピペットチップ延長デバイスが組合せデバイス用として結び付けられる部分および手法を指し、図2Aおよび2Bに例示されている。第1の空隙に隣接するポリマーハウジング部分の直径は、場合によっては、ピペットチップ流体放出端の直径よりも、場合によってはわずかに大きく、場合によっては同じであり、場合によってはわずかに小さく、ピペットチップとピペットチップ延長デバイスとが結合した後は、これらが流体のピペット分取中に外れないように構成されている。使用者は、ピペットチップ、また使用後は延長部との組合せを、処分してもよく、またはある実施形態では使用後にピペットチップから延長部を取り外してもよい。
【0063】
挿入物は、任意の適切な保持構造または方法によって、ピペットチップ延長デバイス内に保持することができる。挿入物を保持する構造の非限定的な例には、ピペットチップ延長デバイス壁の内面に接触している1つ以上の突出部(上述の環状突出物および窪み)、および垂直に対して異なる壁の角度を有する1つ以上の隣接した壁(例えば、上述のような)が含まれるが、これらに限定するものではない。挿入物は、熱(例えば、壁を部分的に融解する)および機械的クリンピングを含むがこれらに限定することなく、挿入物に接触するデバイスの壁部分を変形させることによって、延長デバイス内に保持することもできる。ピペットチップ延長デバイスは、挿入物なしで構成されていてもよく、上述のように、プラグおよびビーズの組合せ、またはスロットおよびプラグおよびビーズの組合せを含んでいてもよい。
【0064】
図2Aを参照すると、いくつかの実施形態では、ハウジングの対向する端部に位置付けられた第1の空隙68および第2の空隙70を画定する外面および内面を備えたポリマーハウジング66を有する、ポリマーピペットチップ延長デバイス64が提供される。第1の空隙68の断面および第2の空隙70の断面は、実質的に円形であり実質的に平行であり、第1の空隙68の直径は第2の空隙70の直径よりも大きく、第1の空隙68の直径およびこの第1の空隙68に隣接するハウジング66の部分は、ピペットチップ74の流体送達端部に嵌合するようになされている。ポリマーピペットチップ延長デバイス64は、ハウジング66の内面部分に接触する挿入物72を含有し、この挿入物72は空隙を含有し、この挿入物72は、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から構成され、または挿入物72は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を含有していてもよい。
【0065】
図2Bを参照すると、いくつかの実施形態では、ハウジングの対向する端部に位置付けられた第1の空隙80および第2の空隙82を画定する外面および内面を備えた、ポリマーハウジング78を有するポリマーピペットチップ延長デバイス76が提供される。第1の空隙80の断面および第2の空隙82の断面は、実質的に円形であり実質的に平行であり、第1の空隙80の直径は、第2の空隙82の直径よりも大きい。ピペットチップ延長デバイス76は、ハウジング78の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部84も含有し、第1の空隙68に隣接したハウジング78の部分は、ピペットチップ86の流体送達端部に嵌合するようになされている。図2Bは、上方および下方環状突出部を示すが、ペプチドチップ延長デバイス76は、1つ以上の環状突出部と共に等しく十分機能することができると考えられる。ポリマーピペットチップ延長デバイス76は、ハウジング78の内面の一部に接触した挿入物88を含有し、挿入物88は空隙を含有し、挿入物88は、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から構成されており、または挿入物88は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を含有していてもよい。
【0066】
図2Aおよび2Bを参照すると、上述のピペットチップ延長デバイス64および76では、ピペットチップ74および86の流体送達端部は、多くの実行可能な流体送達端部の構成の中から2つの実行可能な非限定的な例が示されている、図2Cに例示されるように、異なるサイズおよび/または形状の開口90を有するように構成することができる。
【0067】
ピペットチップ延長デバイス64および76は、ピペットチップとピペットチップデバイスとを接触させ、ピペットに下方圧力または力を加えてピペットチップ74、86の流体吐出部分をピペットチップ延長デバイスハウジング64、78内に強制的に押し遣って、ピペットチップ74、86の流体吐出部分をピペットチップ延長デバイスの内面に接触させるようにすることにより、ピペットチップに取り付ける。任意選択で、ピペットチップ74、86の流体吐出部分をピペットチップ延長デバイス内に据えるのをさらに助けるため、下方圧力をかけている間に捩れ運動を用いてもよい。ピペットチップとピペットチップ延長デバイスとを結合した後、ピペットチップ延長デバイスの空隙70および82が液体に接触する状態で配置させるように、その組合せを流体に任意選択で接触させてもよい。
【0068】
ピペットチップ延長デバイス64および76は、ある実施形態では、ピペットをピペットチップ延長デバイスに圧力嵌めすることによって、受容ピペットチップに嵌合するようなされている。これは、ピペットチップをピペットチップ延長デバイスに接触させるのに十分大きな圧縮、表面の変形、および摩擦係数の組合せによって、ピペットチップおよびピペットチップ延長デバイスが容易に外れることができないように、十分な量の力が加えられる、圧縮嵌めということになる。十分な力を、本明細書では、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスに損傷を引き起こすことなくピペットチップにピペットチップ延長デバイスを確実に嵌合させるのに必要な、最小限の力と規定する。環状突出部を含有するピペットチップ延長デバイス76は、環状突出部が原因で、ピペットチップを嵌合するのにより大きな力を必要とするが、その結果、取り外すのにより大きな力を要することになるより確実な嵌合をもたらすことになり、それによって、揺すったりぶつけたりすることによる不慮の取外れが確実に最小限に抑えられる。ルアーロックデバイスまたは差込み型取付けデバイスの使用など、ピペットチップ延長デバイスを固定する追加の代替の方法は、ピペットチップ延長デバイスを確実に嵌合するのに役立てることができ、したがって、このデバイスを所定位置に固定する代替手段と見なされる。
【0069】
(フィルタを有するピペットチップおよびピペットチップ延長デバイス)
いくつかのピペットチップおよびピペットチップ延長デバイスは、1つ以上のフィルタ要素を含み、その後者を、本明細書では「フィルタ挿入物」と呼ぶ。フィルタ挿入物は、場合によっては、吐出デバイスに係合するピペットチップ端部にまたはその付近に位置付けられ、いくつかの実施形態では、フィルタ挿入物は、内部を通して流体が引き出されかつ/または吐出されるピペットチップの遠位端にまたはその付近に位置付けられたフィルタである。
【0070】
フィルタ挿入物は、場合によっては、流体を取り込み放出するピペットチップ端部にまたはその付近に位置付けられる。後者の実施形態では、フィルタ挿入物は、以後「汚染物質」(例えば、微生物壁材料)と呼ばれる問題の分析物以外の分子の進入を捕捉しまたは遮断することができる。フィルタ挿入物は、ポリプロピレンなどを含むがこれに限定されない汚染物質を遮断しまたは捕捉するのに適した任意材料から構成することができる。流体放出端部にまたはその付近にフィルタ挿入物を含有するピペットチップは、場合によってはその他の挿入物要素を含有せず、ある実施形態では、フィルタ要素によって遮断されず捕捉されない流体中の分析物と相互に作用し得る別の材料を含有していてもよい。その他の材料は、ピペットチップまたは延長器内の第2の挿入物の形をとることができ、ビーズ(例えば、遊離したまたは焼結した)、樹脂、および繊維などを含むがこれらに限定されない分析物と相互に作用することができる、本明細書に記述される材料を含むことができる。
【0071】
したがって、本明細書では、第1の末端空隙および第2の末端空隙およびフィルタ挿入物を含むピペットチップであって、(i)第1の末端空隙の断面積が第2の末端空隙の断面積よりも小さく、(ii)フィルタ挿入物またはその一部がピペットチップ内部に位置付けられ、(iii)第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部が、第1の末端空隙と実質的に同じ部位に位置付けられまたは第1の末端空隙付近にある、ピペットチップが提供される。ある実施形態では、第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部は、第1の末端空隙の約0から約5ミリメートル以内にある。フィルタ挿入物の末端は、ある実施形態ではピペットチップの外側に位置付けられ、場合によっては、第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部を含めたフィルタ挿入物の全体は、ピペットチップ内部に位置付けられている。いくつかの実施形態では、ピペットチップはさらに、フィルタ挿入物よりも第2の末端空隙に近いピペットチップ内部に位置付けられた、分析物と相互に作用する本明細書に記述される材料または挿入物など、別の材料または第2の挿入物を含む。ある実施形態では、第2の挿入物は、ビーズおよび/または繊維を含む。いくつかの実施形態では、分析物と相互に作用する材料は、フィルタまたはフリットを含むがこれらに限定されない1つ以上の障壁に、効果的に接触することができる。したがって、ピペットチップまたは延長器は、ある実施形態では2個以上のフィルタを含んでいてもよい(例えば、ピペットチップの遠位端に位置付けられたフィルタ、フィルタに対して充填された分析物と相互に作用する樹脂、および樹脂の反対側に対して充填されたフリット;ピペットチップの遠位端に位置付けられたフィルタ、および2個のフリットまたは2個のその他のフィルタ間に充填された樹脂)。
【0072】
いくつかの実施形態では、フィルタは、ビーズ、繊維、材料のマトリックスもしくはアレイ、固体もしくは半固体プラグ、またはこれらの組合せから構成してもよい。ある実施形態では、フィルタは、ポリエステル、コルク、プラスチック、シリカ、ゲル、またはこれらの組合せから構成してもよい。いくつかの実施形態では、フィルタは、多孔質、非多孔質、疎水性、親水性、またはこれらの組合せであってもよい。いくつかの実施形態では、フィルタおよびピペットチップまたは延長器の内面は、数多くの垂直に配向した細孔を隙間状に画定してもよい。フィルタは、いくつかの実施形態ではピペッタの内面に対して封止してもよく、その場合フィルタは、ピペットチップまたは延長器のピペッタ挿入端付近に位置付けられる。細孔は、ピペットチップの内面およびフィルタ材料の断面水平密度によって画定された体積に依存する、フィルタ内の様々な孔径を画定する細孔分布に従って分布させてもよい。フィルタの孔径は、フィルタの機能を補助する任意のサイズのものであってよい。いくつかの実施形態では、フィルタは、10マイクロメートル以下または3マイクロメートル以下である最大孔径を有していてもよい。ある実施形態では、フィルタは、約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、または0.05マイクロメートルの孔径を有していてもよい。
【0073】
そのようなチップを使用するための方法も提供される。ある実施形態では、ピペットチップの流体放出空隙にまたはその付近に位置付けられたフィルタ要素を含むピペットチップまたは延長器を、問題の分析物を含有する流体中の汚染物質を捕捉するために最初に利用し、次いでその内部に分析物と相互に作用することができる第2の挿入物を含有する第2のピペットチップまたは延長器を、分析物が第2の挿入物と相互に作用することができる条件下で流体に接触させる。そのような実施形態では、分析物を含有する流体を、第2のピペットチップまたは延長器内で第2の挿入物に接触させる。フィルタ挿入物は、しばしば、第2の挿入物よりも第2のピペットチップ内で流体放出空隙により近付いて位置付けられる。次いで分析物を、第2の挿入物から溶出することができる。いくつかの実施形態では、第2のピペットチップまたは延長部は、第2の挿入物よりも流体放出空隙により近く位置付けられたフィルタ挿入物も含む。ある実施形態では、分析物を含有する流体は、流体放出空隙付近に位置付けられたフィルタ挿入物のみを含有するピペットチップで汚染物質を最初に捕捉することなく、分析物と相互に作用することができるフィルタ挿入物および第2の挿入物を含むピペットチップに接触させる。
【0074】
(実験室用液体処理管および容器デバイス)
多くの実験室または臨床での処置は、異なるサイズの管または容器にサンプルを収集し、処理し、調製し、または分画する必要がある。微量遠心分離管(例えば、EPPENDORF管)は、その都合のよいサイズ(250マイクロリットル管、500マイクロリットル管、1.5ミリリットル管、および2ミリリットル管)、その頑丈な設計(遠心分離、加熱、−70℃よりも低い温度への冷却、多くの溶媒および化学物質に耐えることが可能である)、液体保持が低いRNaseおよびDNaseフリー製品としての利用可能性により、しばしば利用される。これらの管は、管本体から同一の拡がりを持つヒンジによって管本体に添着されたロッキングリッドを有しまたは標準的なスクリューキャップトップを有する構成としても入手可能である。管は、様々な色のものおよび標識用に管の外側に特殊な面を有するものも、入手可能である。これらの管は、好ましい実験室用液体処理管として許容されかつ使用されるが、これらの管の有用性は、2ミリリットル以下の体積に限定することができる。多くの実験室および診療所は、サイズが2ミリリットルよりも大きいサンプルまたは固形分を含有する可能性があるサンプルを収集し、保存し、かつ/または処理するという要件も有する。これらの場合、標本容器が使用される。標本容器は、通常は、微量遠心分離管で使用されるものと同じ材料から作製され、したがって多くの同じ有利な性質を有する。通常は、これらの管は、スクリューキャップトップ、または漏れを防ぎまたは漏れに強い封止をもたらす標本容器の本体の所定位置に確実にスナップ留めする蓋を有する。蓋は、本体と同じまたは異なる材料で作製することができる。標本容器は、テーパ付き本体または非テーパ付き本体を有することができる。これらは、より大きなサイズの液体、固体、または液体および固体サンプルの組合せを取り扱うことができるという別の追加の利益を有する。標本容器(場合によっては、標本カップとも呼ぶ)は、様々なサイズ(約15ミリリットル、20ミリリットル、4オンス(約125ミリリットル)、4.5オンス、5オンス、7オンス、8オンス(約250ミリリットル)、および9オンス)でも入手可能であり、300ミリリットルを超えるサンプルの収集、保存、および/または処理が可能になる。当業者なら、同等の機能を発揮する新しい製品および異なるサイズの製品が続けて開発されることが理解されよう。したがって、当業者なら、本明細書に列挙されていないが機能が同じでありかつおそらくは異なるサイズの容器が、均等物であるとして考えられ、したがって本明細書に記述される実施形態で使用可能であることが理解されよう。実験室用液体処理間および標本容器は、生体サンプル(例えば、尿、精液、血液、血漿、唾液、便、粘液、膣液、脊髄液、脳液、涙、および細胞など)を入れるのに利用してもよい。
【0075】
実験室用液体処理間および標本容器は、様々な材料から製造される。これらのタイプの管および容器を製造するのに使用される一般的な材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびポリカーボネートである。その他の熱可塑性樹脂またはポリマーを使用してもよい。市販されているチューブおよび容器の多くは、事前に滅菌されており、またはRNase、DNase、およびプロテアーゼフリーであることが保証されている。これらの実施形態を目的として、良好な耐化学物質または溶媒性を有し、低い液体保持性を有し(即ち、疎水性材料で作製されまたは疎水性となるようコーティングされている)、分析物の処理に安全であり(RNase、DNase、およびプロテアーゼフリー)、加熱および極端な冷却に耐えることができる任意の材料が、使用するのに適している。
【0076】
標準的な実験室用液体処理管および標本容器の制約とは、分析物を単離し、精製し、濃縮し、かつ/または分画するのに必要なステップの数を減少させるタイプの容器がないことである。1つの例は、細胞溶解物からタンパク質または核酸を調製することと考えられる。サンプルのサイズとは無関係に、多数の管および処理ステップが、所望の最終的なタンパク質または核酸材料に到達するのに必要とされる。これは、各ステップまたは一連のステップの後に、異なる管または容器の間にサンプルを移送するステップを含む。各移送ステップは、サンプルを失う可能性があり、またはサンプルの回収を変化させもしくはサンプルを完全に破壊し得る汚染物質を導入する可能性がある。したがって本発明のデバイスは、問題の最終的な分析物に到達するのに必要なステップおよび移送の数を減少させることができ、したがって時間、資金を節約し、サンプルの損失を減少させることができる。
【0077】
次に図3Aおよび4Aを参照すると、ある実施形態は、実験室用液体処理管デバイス92および実験室用標本容器デバイス110を提供する。実験室用液体処理管デバイス92および実験室用標本容器デバイス110は、本体94、112、および蓋96、114を有する。実験室用液体処理管デバイス92および実験室用標本容器デバイス110は、本体の内面に添着された挿入物98、116も含有し、これら挿入物98、116は空隙を含み、これら挿入物98、116は、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から構成され、または挿入物98、116は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を含有していてもよい。
【0078】
図3Bおよび4Bを参照すると、いくつかの実施形態は、実験室用液体処理管デバイス100および実験室用標本容器デバイス118を提供する。実験室用液体処理管デバイス100および実験室用標本容器デバイス118は、本体102、120と蓋104、122とを有する。実験室用液体処理管デバイス100および実験室用標本容器デバイス118は、蓋104、122の内面に添着した挿入物106、124も含有し、これら挿入物106、124は空隙を含み、これら挿入物106、124は、核酸結合条件下で核酸と結合する材料から構成され、または挿入物106、124は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を含有していてもよい。
【0079】
次に図3A、3B、4A、および4Bを参照すると、当業者なら、これらの図に例示される実施形態のそれぞれは、蓋の構成および挿入物の取り付けポイントに違いが見られる同様のデバイスを示すことが理解されよう。次に、図3Aおよび3Bを参照する。図3Aおよび3Bでは、蓋96、104が、実験室用液体処理管92、100の本体94、102および蓋96、104と同一の拡がりを持つヒンジ様アタッチメントによって、実施形態の本体に添着されている。図4Aおよび4Bを参照すると、蓋114および122は、スクリューキャップまたはスナップキャップ構成のものであり、したがって、実施形態の本体から分離されており完全に分かれたものである。この配置構成におけるキャップおよび蓋は、異なる材料から作製してもよいことに留意すべきである。微量遠心分離管または標本容器の全ての形状、サイズ、および蓋の構成は、本明細書に示される実験室用液体処理管デバイスまたは標本容器デバイスの実施形態の製造で利用できることが、当業者に理解されよう。
【0080】
本明細書で使用される「添着された挿入物」は、挿入物が液体処理管または容器の本体または蓋に永久に添着される手法を指す。挿入物を添着する1つの方法は、追加量のポリマー材料を、管の内側のベースにまたは蓋の内側に添加し、その後、追加として加えた材料を加熱しまたは部分的に融解し、加熱されまたは部分的に融解したポリマー材料中に挿入物を配置することである。代替の方法は、蓋または管もしくは容器の内側のベースに挿入物を添着するために、化学的および/または生物学的に不活性な接着剤を使用すること、または、プラズマを使用することが考えられる。
【0081】
実験室用液体処理管または容器デバイスは、様々な手法で使用することができる。全細胞または無傷な組織の場合、管は、細胞溶解を行った後に、単一ステップで問題の分析物の単離、精製、濃縮、および/または分画を行うのに使用することができる。細胞溶解手順および試薬は、当技術分野で一般に公知であり、化学的、物理的、または電解溶解方法によって一般に行われる。例えば化学的方法は、一般に、細胞を破壊するのに溶解剤を用い、核酸を細胞から抽出し、その後、カオトロピック塩で処理する。凍結/解凍後に摩砕するなどの物理的方法、および細胞突起などの使用も、無傷のタンパク質が望まれる場合に有用である。高塩溶解手順も一般に使用されている。これらの手順は、その全体が本明細書に援用されるCurrent Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.,6.3.1〜6.3.6(1989年)に見出すことができる。高塩を必要としない方法を使用した細胞溶解の後、問題の分析物を挿入物から直接溶出することができる。高塩溶解では、サンプルを単離する前に、問題の分析物の結合に影響が生じるようサンプルをより大量に希釈することが必要と考えられる。あるいは、塩濃度の増大は、挿入物から問題の分析物を溶出するのに必要とされる可能性がある。サンプルの適切な体積および塩濃度が実現したら、管または容器を穏やかに撹拌して最大限の結合を確実にし、その後、最小限の体積の溶出緩衝液中への溶出を行うことができる。緩衝液の濃度および体積は、問題の分子の種、および溶解が行われた出発材料の体積に依存することになる。
【0082】
(マイクロ流体デバイス)
高度化し能力が高められたマイクロ流体デバイスが開発され、市販されている。半導体製造およびナノテクノロジーの進歩によって、マイクロポンプ、マイクロバルブ、およびマイクロ電気泳動システムなどのマイクロメカニカル構造の製作が行われている。Andersenらの米国特許第6,168,948号またはAckleyらの米国特許第6,638,482号は共に、その全体が本明細書に参考として援用され、全ての目的で、小型チャンバおよび流路を含むマイクロ流体デバイスの例である。これらマイクロ流体デバイスが高度化したことにより、これらの小型デバイス内で問題の様々な分析物を完全に単離する目的で全細胞を取り扱いかつそれらを処理することが、ついに可能になった。マイクロ流体デバイスと本明細書に記述される挿入物との組合せは、分析物のデバイス内精製および分画をさらに進歩させる。さらに、適正な特異性の挿入物により、特定のポリペプチドまたは遺伝子配列、並びにタンパク質/タンパク質、タンパク質/DNA、および/またはRNA/DNA複合体を単離することができる。あるマイクロ流体デバイスでは、複数の挿入物を同時に使用して、多数の異なる問題の分析物を平行して分画することが可能になる。
【0083】
本明細書では、特定の種の分析物(例えば、固相担体が調製される手法に応じて、タンパク質、DNA、RNA、脂質、炭水化物、または特異的なポリペプチドもしくはタンパク質もしくは遺伝子配列)に特異的な複数の挿入物を有するマイクロ流体デバイスであって、多数の独立した単離、精製、濃縮、および/または分画手順を同時にかつ同じマイクロ流体デバイス内で実施できるようなデバイスが提供される。
【0084】
次に図5を参照すると、ある実施形態では、マイクロ流体デバイス128が提供される。マイクロ流体デバイス128は、ハウジング130内に、様々な生物学的手順(細胞溶解、抽出、およびマイクロ電気泳動など)を行うことが可能なマイクロメカニカル構造並びに毛管流動チャネル132を有する。毛管流チャネル132は、既に行われた手順に応じて、細胞または様々な分析物を含有する流体を移送することになる。マイクロ流体デバイス128は、毛管チャネル132内を流動する液体が1つ以上の挿入物134内を通過するように、毛管流132と流体連絡している少なくとも1つの挿入物134も含有する。(1つ以上の)挿入物134は、サンプル単離および挿入物交換のために容易に接触しかつ除去できるように、毛管流チャネル内に配置される。マイクロ流体デバイス128の挿入物134は、空隙を含有し、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から構成され、または挿入物134は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を含有する。
【0085】
小型バイオリアクタとして構成されたマイクロ流体デバイスでは、毛管チャネルに流体連絡している特定の分子または配列の単離用に構成された挿入物を除去し、同一に構成された挿入物と交換することによって、問題の分子の連続単離を行うことができることが理解されよう。除去されたばかりの挿入物は、所望の分子が解放されるように処理することができ、次いで、挿入物全体を再使用することができるが(所望の分子の除去によって挿入物の結合特異性が変化しない場合)、このとき同時に異なる挿入物上に単離された分子が処理される。さらに、より強力な分画スキームを考えることができ、別の全く異なる分子が適切に構成された挿入物の使用によって同時に単離される。
【0086】
上述の実施形態は、サンプルの移動およびこの移動またはあり得る汚染に起因したサンプルの損失を減少させた状態で、生体サンプルを迅速にかつ効率的に処理するための新規なツールをもたらす。上述のポリマーピペットチップデバイスの実施形態は、任意のサイズのピペットチップに組み立てることができ、したがって使用者は、必要性および出発時の分析物に基づいて、サンプルの回収を最適化することが可能になる。さらに、核酸またはタンパク質と結合する挿入物は、異なるサイズおよび構成で作製することもできる。
【0087】
(ビーズを含有するデバイス)
上記実施形態に記述される挿入物に加え、デバイスは、ある条件下で分析物に結合することができるビーズを使用して、製造することもできる。そのようなデバイスには、ピペットチップ、ピペットチップ延長部(例えば、延長器)、管(例えば、遠心分離管)、およびプレート(例えば、プレートのウェル)が含まれるが、これらに限定するものではない。ピペットチップ内への挿入のために繊維または焼結ビーズ挿入物を製造する代わりに、いくつかの実施形態では、デバイス内の固定位置にビーズを保持する構造と組み合わせたピペットチップまたはピペットチップ延長デバイス内に、ビーズを投入することができる。
【0088】
本明細書で使用される「(1つ以上の)ビーズ」という用語は、分析物に結合するのに適した粒子およびその他同様の固体担体を指す。ビーズは、規則的な(例えば、球形、卵形)または不規則な形状(例えば、粗い、ぎざぎざの形状)を有していてもよく、場合によっては非球形(例えば、角度が付いた、多面的な)である。ビーズは、ある実施形態では多孔質であり、ある適用例では非多孔質であってもよい。保持構造の最小開口よりも大きい直径(例えば、公称の、平均、中央、または最大直径)を有するビーズが、一般に利用される。約1ナノメートルから約500マイクロメートルの公称の、平均、または中央直径を有するビーズを利用することができ、例えば、約10ナノメートルから約100マイクロメートル;約100ナノメートルから約100マイクロメートル;約1マイクロメートルから約100マイクロメートル;約10マイクロメートルから約50マイクロメートル;約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、または900ナノメートル;または約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500マイクロメートルなどの公称の、中央、または平均直径を有するものを利用することができる。
【0089】
ビーズは、当業者に公知の様々な不溶性のまたは固体材料から製造することができる。例えば、ビーズは、シリカゲル、ガラス(例えば、制御細孔ガラス(CPG))、ナイロン、Sephadex(登録商標)、Sepharose(登録商標)、セルロース、金属面(例えば、鋼、金、銀、アルミニウム、ケイ素、および銅)、磁性材料、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF))、などを含むことができまたはこれらから本質的になることができる。ビーズは、膨潤性(例えば、Wang樹脂などのポリマービーズ)であっても非膨潤性(例えば、CPG)であってもよい。市販のビーズの例には、Wang樹脂、Merrifield樹脂、およびDynabeads(登録商標)が含まれるが、これらに限定するものではない。ビーズは、固体粒子または内部空隙を含有する粒子として作製してもよい。ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスは、ある実施形態では、1タイプのビーズ、または2種以上のタイプのビーズを含んでいてもよい。
【0090】
当業者なら、実験室用構造にビーズを投入するための方法に馴染んでいる。ビーズは、いくつかの実施形態では、圧縮力を加えることなくデバイス内に易流動性ビーズを注ぐことにより、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイス内に投入してもよい。ある実施形態では、ビーズは、投入された後にデバイス内で圧縮される(例えば、突き固められる)。当業者なら、ビーズが投入された後にデバイス内で圧縮される実施形態のため、適切な圧縮力を選択することができる。ある実施形態では、適切な流体処理パラメータを保持しかつ/またはビーズ構造を著しく変化させない圧縮力が選択される。
【0091】
ビーズは、分析物との結合を容易にする材料で処理することができる。当業者なら、本明細書に記述される材料を含めた、そのような材料を、容易に選択し用いることができる。
【0092】
ビーズはしばしば、保持構造によって、ピペットチップまたはピペット延長デバイス内に保持される。本明細書で規定される「保持構造」は、デバイスの構成要素またはアパーチャであり、またはデバイスに接続されており、ビーズの公称の、平均、または中央直径未満の最小アパーチャを有するものである。保持構造の非限定的な例は、ある実施形態では、ビーズ直径よりも小さい直径(例えば、公称の、平均、中央、または最大直径)または最小の長さを有する、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスの流体放出端部のアパーチャを有する構造である。いくつかの実施形態では、この構造は、流体放出端部に位置付けられたスロット(例えば、スロットアパーチャ)である。ある実施形態では、この構造は、例えば格子、篩、またはメッシュ(例えば、プラスチック、ワイヤメッシュ;平行スロットのアレイ)のアパーチャのアレイなど、多数のアパーチャ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、またはそれ以上のアパーチャ)を含有する。ある実施形態では、アパーチャ含有構造は、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスの流体放出末端に位置付けられている。後者の実施形態では、デバイスの流体放出端部は、角度が付いた、鋭い、穿孔された、楕円形の、丸みの付いた、平らな、および多面的なもの(例えば、アパーチャ(例えばスロット)は、チップの1つ以上の面または小面に位置付けられていてもよい)を含むがこれらに限定されない、任意の都合のよい形状のものであってよい。いくつかの実施形態では、アパーチャ含有構造は、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスとは個別の封止接続(例えば、接着剤または摩擦嵌め接触)している構造内に位置付けられる(例えば、ピペットチップデバイスの流体放出端に封止接続されたアパーチャの格子アレイを含有するバスケット)。保持構造の非限定的な例には、ある実施形態では、ビーズの直径よりも小さい中央、平均、公称の孔径または最大の孔径を有するプラグも含まれる。当業者なら、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイス内にビーズを保持するのに適したプラグを選択することができ(例えば、Moultonの米国特許第5,851,491号)、これらはある実施形態では、繊維材料から製造される。プラグは、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイス内にビーズを保持するのに適した任意の形状のものにすることができ、ある実施形態では、プラグは垂直面を有しまたはプラグの上面および/または底面に対してテーパ状の面を有する。プラグは、場合によっては、当業者により決定された力によってデバイス内に投入された後、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイス内で圧縮される。プラグは、デバイスの流体操作に適したデバイスの任意の部分に沿って位置付けることができる。ある実施形態では、プラグは、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスの長さの下方約70%、60%、50%、40%、30%、または20%のみに位置付けられる。ビーズの上方にプラグを含有するデバイスに関するいくつかの実施形態では、プラグの底面とビーズの上面との間に空隙がある。ある実施形態では、空隙は、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスの体積の約90%までである(例えば、空隙は、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスの容積の約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、または90%である)。ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスは、ある実施形態では、デバイスの特定の部位でのプラグの保持を容易にすることができる、1つ以上の突出部(例えば、環状突出部)を含む。ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスは、ある実施形態では、1つのプラグまたは2つ以上のプラグを含むことができる。
【0093】
図6Aを参照すると、いくつかの実施形態では、対向する端部に位置付けられた第1の空隙144および第2の空隙146を画定する連続したテーパ付きポリマー壁142を有するポリマーピペットチップデバイス140が提供され、これら第1の空隙144の断面および第2の空隙146の断面は実質的に円形であり実質的に平行であり、第1の空隙144の直径は、第2の空隙146の直径よりも小さい。ポリマーピペットチップデバイス140は、第1のプラグ148および第2のプラグ150も含有し、これら第1のプラグ148および第2のプラグ150は、水不混和性および多孔質材料から構成される。ポリマーピペットチップ140は、第1のプラグ148と第2のプラグ150との間のピペットチップデバイス140の内部にコーティングされたビーズ152を含有し、これら第1のプラグ148および第2のプラグ150は、壁142の内面に接触しており、ピペットチップデバイス140内にビーズ152を含有し、またビーズは、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から任意選択で構成され、またはポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を任意選択で含有していてもよい。
【0094】
図6Bを参照すると、いくつかの実施形態では、ポリマーピペットチップデバイス154が提供される。ポリマーピペットチップデバイス154は、対向する端部に位置付けられた第1の空隙158および第2の空隙160を画定する連続したテーパ付きの第1の壁156を有し、これら第1の空隙158の断面および第2の空隙160の断面は実質的に円形であり実質的に平行であり、第1の空隙158の直径は、第2の空隙160の直径よりも大きい。ポリマーピペットチップデバイス154は、対向する端部に位置付けられた第2の空隙160および第3の空隙164を画定する連続したテーパ付きの第2の壁162も有し、これら第2の空隙160の断面および第3の空隙164の断面は実質的に円形であり実質的に平行であり、第2の空隙160の直径は、第3の空隙164の直径よりも大きく、第2の壁162は第1の壁156と同一の拡がりを持ち、第1の壁156および第2の壁162は同じポリマーから構成され、第2の壁162のテーパ角は、第1の壁156のテーパ角よりも小さい。ポリマーピペットチップデバイス154は、第1のプラグ166および第2のプラグ168も含有し、これら第1のプラグ166および第2のプラグ168は、水不混和性の多孔質材料から構成される。ポリマーピペットチップ154は、第1のプラグ166と第2のプラグ168との間のピペットチップデバイス154の内部に位置付けられたビーズ170も含有し、これら第1のプラグ166および第2のプラグ168は、第2の壁162の内面に接触し、ピペットチップデバイス154内にビーズ170を含有し、またビーズ170は、核酸結合条件下で核酸と結合する材料から任意選択で構成され、またはポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を任意選択で含有していてもよい。
【0095】
図6Cを参照すると、ある実施形態では、ポリマーピペットチップデバイス172が提供される。ポリマーピペットチップデバイス172は、対向する端部に位置付けられた第1の空隙176および第2の空隙178を画定する連続したテーパ付きポリマー壁174を有し、第1の空隙176はスロット形状であり、第2の空隙178の断面は実質的に円形である。ポリマーピペットチップデバイス172は、水不混和性の多孔質材料から構成されたプラグ180も有する。ポリマーピペットチップデバイス172は、第1のプラグ180とスロット176との間のピペットチップデバイス172の内部に位置付けられたビーズ182も含有し、プラグ180は壁174の内面に接触し、スロット幅はビーズの直径よりも小さく、スロット176およびプラグ180は、ピペットチップデバイス172内にビーズ182を含有し、ビーズ182は、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から任意選択で構成され、またはポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を任意選択で含む。
【0096】
次に図6Dを参照すると、ある実施形態では、ポリマーピペットチップデバイス184が提供される。ポリマーピペットチップデバイス184は、対向する端部に位置付けられた第1の空隙188および第2の空隙190を画定する連続したテーパ付きの第1の壁186を有し、第1の空隙188の断面および第2の空隙190の断面は、実質的に円形であり実質的に平行であり、第1の空隙188の直径は、第2の空隙190の直径よりも大きい。ポリマーピペットチップデバイス184は、対向する端部に位置付けられた第2の空隙190および第3の空隙194を画定する連続したテーパ付きの第2の壁192も有し、第3の空隙194はスロット形状であり、第2の空隙190の直径は第3の空隙194の直径よりも大きく、第2の壁192は第1の壁186と同一の拡がりを持ち、第1の壁186および第2の壁192は同じポリマーから構成され、第2の壁192のテーパ角は、第1の壁186のテーパ角よりも小さい。ポリマーピペットチップデバイス184は、水不混和性の多孔質材料から構成されたプラグ180も有する。ポリマーピペットチップデバイス184は、第1のプラグ196とスロット194との間のピペットチップデバイス184の内部に位置付けられたビーズ192も含有し、プラグ196は第2の壁192の内面に接触し、スロット幅はビーズの直径よりも小さく、スロット194およびプラグ196は、ピペットチップデバイス184内にビーズ192を含有し、ビーズ192は、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から任意選択で構成され、またはポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を任意選択で含む。
【0097】
本明細書に記述されるビーズおよび2つのプラグを含有するポリマーピペットチップデバイスは、例えば、第1のプラグを所望の位置までピペットチップ内に挿入し、ピペットチップに所望量のビーズを充填し、第2のプラグをピペットチップ内に挿入することによって、製造することができる。任意選択で、わずかな下方圧力を第2のプラグに加える追加のステップを付加して、ビーズ床の圧密化を補助することができる。ビーズを含有するポリマーピペットチップデバイスに関するある実施形態では、単一プラグおよびスロット形状の流体送達端部を、例えば、ピペットチップに所望量のビーズを充填し、このピペットチップにプラグを挿入することによって、製造することができる。任意選択で、わずかな下方圧力をプラグに加える追加のステップを付加して、ビーズ床の圧密化を補助することができる。
【0098】
(不規則面を含むデバイス)
本明細書では、不規則面を含むデバイスも提供される。不規則面は、分析物に結合できる材料をしばしば含み(例えば、不規則面の上および/または中に)、分析物に結合できる材料は、いくつかの実施形態ではビーズを含む。分析物に結合できる材料は、いくつかの実施形態では不規則面上にコーティングされ、いくつかの実施形態では不規則面の中に埋め込まれておらずまたは不規則面の中に分散していない。材料は、場合によっては不規則面に埋め込まれ、不規則面を形成する本体には分散されない(例えば、不規則面に部分的に埋め込まれる(例えば、ピペットチップ内部の不規則面でビーズを加熱し部分的に融解する))。いくつかの実施形態では、不規則面を含めたデバイスの一部または全ては、分析物に結合する分散材料を含む。いくつかの実施形態では、デバイスは不規則面を含まず、(i)デバイスの表面にコーティングされ、(ii)デバイスの表面に埋め込まれ、(iii)デバイス内に分散され(例えば、デバイスの製造に使用されるポリマーに分散され)、または(iv)前述の組合せである、分析物に結合する材料(例えば、ビーズ)を含む。デバイスは、ピペットチップ、ピペットチップ延長器(例えば、延長デバイス)、管(例えば、遠心分離管、標本管)、またはプレート(例えば、マルチウェルプレート(例えば、96、384、1536ウェルプレート)の1つ以上のウェル)であってもよい。不規則面はしばしば、デバイス内で流体に接触する表面または表面の一部である(例えば、ピペットチップまたは延長器の内面、マルチウェルプレートのウェルの表面、遠心分離管または標本管の内面)。分析物に結合する材料を含む面は、しばしば、デバイス内の流体に接触する面または面の一部である(例えば、ピペットチップまたは延長器の内面、マルチウェルプレートのウェルの面、遠心分離管または標本管の内面)。本明細書の他の部分に記述されるデバイスの特徴は、不規則面を有する同様のデバイスに適用可能である(例えば、不規則面を含む内面を有するピペットチップは、フィルタを含んでいてもよい)。
【0099】
デバイスの不規則面は、滑らかではなく、エッチング、細孔、穴、線、引掻き傷、擦り傷、刻み目、切れ目、彫刻、および切込みを含むがこれらに限定されない1つ以上のテクスチャを含むことができる。テクスチャは、いくつかの実施形態ではデバイスを製造した後に、デバイスの面に導入することができ、ある実施形態では、テクスチャは、デバイスの製造に使用される型部材の面上にあり、鋳造部材がデバイスの面にテクスチャを与える(例えば、不規則面を含むピペットチップの内面を製造するための、コアピン)。テクスチャは、酸エッチングおよび研磨処理プロセス(例えば、サンドブラスト、研磨剤を用いた型部材のタンブリング)を含むがこれらに限定するものではない、金属またはプラスチックデバイスにテクスチャを導入する任意の手順によって、導入することができる。テクスチャは、不規則または実質的に規則的(例えば、規則的な線、穴、引掻き傷、またはこれらの組合せ)にすることができ、任意の適切な深さのものにすることができる(例えば、約0.1ナノメートルから約1ミリメートルの公称の、平均、または中央深さ(例えば、約0.001マイクロメートル、0.01マイクロメートル、0.1マイクロメートル、1マイクロメートル、10マイクロメートル、または100マイクロメートルの公称の、平均、または中央深さ))。
【0100】
分析物に結合することができる材料は、いくつかの実施形態では、デバイスを製造する前に、ポリマー混合物全体にわたって実質的に規則的に分散される。本明細書で使用される「実質的に規則的に分散される」は、ポリマー混合物のある単位であってポリマー混合物の別の単位とほぼ同じ材料濃度を有するものを指し、この単位は、例えば体積単位または質量単位である。分析物と結合することができる材料は、場合によっては、デバイスが製造された後はデバイス全体にわたって実質的に規則的に分散されており、ある実施形態では材料は、不規則面に不均衡に位置付けられている(例えば、デバイス内の材料の約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、または85%が不規則面に位置付けられている)。
【0101】
デバイスの不規則面は、一般に、デバイス内の分析物に結合する材料の一部を露出させる。デバイスの不規則面は、デバイスの面の全体またはデバイスの面の一部にすることができる。不規則面がデバイスの面の一部である場合、不規則面は、場合によってはデバイスの面の約20%から約80%である(例えば、面の約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75%)。デバイスでは、1つ以上の面が不規則面を含んでいてもよい。
【0102】
ポリマーは、本明細書に記述される任意のポリマーにすることができ(例えば、ポリプロピレン)、材料中のビーズは、本明細書に記述される任意のビーズにすることができる(例えば、シリカビーズまたはゲル、疎水性材料を含むビーズ、C−18材料を含むビーズ)。分析物は、いくつかの実施形態では、核酸、ペプチド、タンパク質、または細胞などの生体分子である。
【0103】
本明細書には、分析物を含む組成物とデバイスとを分析物結合条件下で接触させるステップを含む、分析物を単離するための方法も提供され、(i)このデバイスは、分析物に結合する材料を含む不規則面を含み、(ii)この不規則面は、分析物に結合することができる材料を露出させ、(iii)この分析物は材料に結合するものである。いくつかの実施形態では、この方法は、材料から分析物を解離させるステップを含み、ある実施形態ではこの方法は、デバイスから分析物を解放するステップを含む。この方法は、場合によっては、材料と、この材料から分析物以外の物質を解放する溶液とを接触させるステップ(例えば、材料を洗浄するステップ)を含む。
【0104】
本明細書では、デバイスの外側部分を形成する本体と、デバイスの内面を形成する部材とを含む、射出成型プロセスによってデバイスを製造するための型も提供され、この部材は、不規則を有する内面の一部をもたらす不規則面を含むものである。いくつかの実施形態では、部材は、ピペットチップの内面を形成するためのコアピンであり、またはマルチウェルプレートのウェルの底面を形成する部材である。
【0105】
本明細書では、内面および外面を有するデバイスを製造するための方法であって、(a)デバイスの外面を形成する本体およびデバイスの内面を形成する部材を含む型に、液体ポリマー混合物を射出するステップと、(b)型の中でデバイスを硬化する(例えば、部分的に硬化しまたは完全に硬化する)ステップと、(c)型からデバイスを取り外すステップとを含み、前述の部材は、不規則面を有するデバイスの内面の一部をもたらす不規則面を含むものである方法も提供される。ポリマー混合物は、いくつかの実施形態では、ポリマーと、分析物に結合することができる材料とを含む。
【0106】
ある実施形態では、図8Aに、流体吐出器に係合することができる近位領域81および近位端84と、遠位領域82(遠位領域の部分断面図が示されている)および遠位端85を有するピペットチップ80が示されている。ピペットチップ遠位領域82の内面は、不規則面83を含む。遠位領域の壁厚部分85は、分析物に結合できる材料を含むことができ、その一部を、不規則面83に露出させることができる。いくつかの実施形態では、図8Bに部分断面図として、上面91、底面92、およびウェル93を有するマルチウェルプレート90の一部が示されており、ウェル底面は、不規則面94を含むことができる。ウェル底面の厚さ95は、分析物に結合できる材料を含んでいてもよく、その一部を、不規則面94に露出させることができる。
【0107】
(分析物の処理)
本明細書に記述されるデバイス内で使用される挿入物およびビーズは、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、および細胞を含むがこれらに限定されない分析物の単離、精製、濃縮、および/または分画に有用であり、その他の分析物も、適切に構成された挿入物およびビーズを用いて単離することができる。
【0108】
本明細書で使用される「単離した」、「単離する」、または「単離」という用語は、当初の環境(例えば、天然に生じる場合には自然環境であり、または外因的に発現した場合には宿主細胞である)から取り出された材料を指し、したがって、その当初の環境から「人の手によって」変化する。分子に関して本明細書で使用される「単離した」、「単離する」、または「単離」と、「精製した」、「精製する」、または「精製」という用語は、絶対的な純度を指さない。むしろ「精製した」、「精製する」、または「精製」は、その物質が生ずるサンプルと比較したときに、問題の物質以外の同じ種類の中のより少ない物質種(例えば、核酸またはタンパク質種)を含有する組成物中の物質を指す。「精製した」、「精製する」、または「精製」は、例えば核酸またはタンパク質の場合、物質が生ずるサンプルと比較したときに、問題の核酸またはタンパク質以外のより少ない核酸種またはタンパク質種を含有する、組成物中の物質を指す。「濃縮した」、「濃縮する」、または「濃縮」は、サンプル溶液中に存在する任意の塩、緩衝剤、またはその他の化学物質のモル濃度を実質的に増大させることなく、物質種(例えば、核酸またはタンパク質種)の「モル濃度」を増大させる作用を指す。本明細書で使用される「分画した」、「分画する」、または「分画」は、クロマトグラフ法を使用して同様のまたは異なる物質種を分離する作用を指し、例えば、細胞から抽出された核酸の分画であって、その分画の目的は、タンパク質またはRNAを除去するがDNAを維持することであり、場合によってはDNAの全集団を維持することである。DNAは、他の物質種から分画することができるが、その結果は、同じクラス中の物質種が減少するわけではないので、精製とは異なる。
【0109】
本明細書で使用される「ポリペプチド」という用語は、アミノ酸の分子鎖を指し、アミノ酸鎖の特定の長さを指すものではなくまたは推測するものでもない。したがって、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質は、ポリペプチドの規定内に含まれる。この用語は、グリコシル化、アセチル化、およびリン酸化などの発現後修飾の影響下にあったポリペプチドも含むものとする。本明細書で使用される「タンパク質」という用語は、その他のタンパク質、ポリペプチド、RNA、DNA、または任意のその他の有機もしくは無機分子と構造的に、酵素的に、またはその他の様式で相互に作用することが可能な、アミノ酸の任意の分子鎖を指す。
【0110】
本明細書で使用される「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)などのポリヌクレオチドを指す。この用語は、ヌクレオチド類似体から作製されたRNAまたはDNAの均等物、誘導体、変種、および類似体として、1本(センスまたはアンチセンス)および2本鎖ポリヌクレオチドも含むと理解すべきである。「核酸」という用語は、ポリヌクレオチド鎖の特定の長さを指さずまたは推測しないことが理解され、したがってヌクレオチド、ポリヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドもこの規定に含まれる。デオキシリボヌクレオチドは、デオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、およびデオキシチミジンを含む。RNAの場合、ウラシル塩基がウリジンである。ゲノム、プラスミド、環状、線状、ヘアピン、リボザイム、アンチセンス、3重、短ヘテロ核RNA(shRNA)、短阻害RNA(siRNA)、および阻害RNA(RNAi)を含むがこれらに限定されない種々の形およびタイプの核酸を、本明細書に記述されるデバイスに接触させることができる。
【0111】
本明細書で使用する「核酸に結合する材料」は、核酸に特異的にまたは非特異的に結合することができる、任意の有機または無機分子を指す。「有機または無機分子」の範疇には、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、翻訳後修飾の影響下にあるタンパク質、その他の核酸、修飾ヌクレオチドを含有する核酸、および抗体が含まれる。核酸に結合した材料は、場合によっては、核酸に結合する細胞成分など、核酸が処理されるサンプル中に存在する。
【0112】
本明細書で使用される「分析物結合条件」は、分析物がビーズまたは挿入物固体担体に結合する条件を指す。本明細書で使用される「結合」という用語は、分析物と固相との共有結合、非共有結合、特異的、および/または非特異的な相互作用を指す。結合はしばしば可逆的であり、いくつかの実施形態では不可逆的であり、場合によっては結合は、結合相互作用である。いくつかの実施形態での分析物結合条件は、塩、緩衝剤、担体分子、およびカオトロピック濃度を含むがこれらに限定するものではない、分析物とビーズまたは挿入物固体担体との結合を容易にするある成分の特定の温度および/または濃度である。本明細書で使用される「洗浄」という用語は、問題の(1種以上の)分析物ではない固体担体から材料を除去する条件に、固体担体を曝すことを指す。本明細書で使用される「溶出」という用語は、固体担体から問題の(1種以上の)分析物を脱結合する条件に、固体担体を曝すことを指す。
【0113】
ある実施形態では、核酸(例えば、DNA)を、挿入物またはビーズ中のガラス固体担体(例えば、シリカ)に結合させ、いくつかの結合条件は、当技術分野で公知である(例えば、World Wide Web URL biology−web.nmsu.edu/nish/Documents/reprints%20&%20supplemental/DNA%20Isolation%20Procedures.pdf)。例えば、高イオン強度および/または高カオトロープ濃度の条件下で、DNAはシリカに結合することが公知である。高いDNA吸着効率は、表面シラノール基のpKaまたはそれ以下のpHを有する緩衝溶液の存在下で生じることが示される。
【0114】
分析物結合条件は、場合によっては、低ストリンジェンシーまたは高ストリンジェンシーであると分類される。本明細書に記述されるデバイスは、ストリンジェントなハイブリダイゼーションプロトコールと共に使用するために、高温で利用することができる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、約45℃での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)によるハイブリダイゼーションと、その後の、50℃で、0.2×SSC、0.1%SDSで1回以上回洗浄することによるものである。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の別の例は、約45℃での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)によるハイブリダイゼーションと、その後の、55℃で、0.2×SSC、0.1%SDSで1回以上回洗浄することによるものである。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件のその他の例は、約45℃での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)によるハイブリダイゼーションと、その後の、60℃で、0.2×SSC、0.1%SDSで1回以上回洗浄することによるものである。別のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、約45℃での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)によるハイブリダイゼーションと、その後の、65℃で、0.2×SSC、0.1%SDSで1回以上回洗浄することによるものである。あるストリンジェンシー条件は、65℃での0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDS、その後の、65℃で0.2×SSC、1%で1回以上回洗浄することによる。
【0115】
核酸結合は、その他の特異的なまたは非特異的な手段によって引き起こすこともできる。核酸結合条件の非限定的な例は、高塩結合(ガラスとの非特異的相互作用の場合のような高イオン条件)であって、DNA結合が0.75M塩化ナトリウムから1.25M塩化ナトリウムの範囲で生じ、その後、1.25Mから1.6Mに及ぶ塩化ナトリウムの濃度で溶出されるもの;低塩結合(C18コーティング固体担体の場合のような低イオン条件)であって、非特異的疎水性結合が、0から0.1モル(M)塩の範囲の濃度で水性緩衝液中に生じ、また、結合した核酸を、例えば30%まで、40%、50%、60%、70%、80%、およびさらに90%までの、アセトニトリルなどの有機移動相の増大した勾配で溶出できるものである。確かな結合および溶出条件は、核酸のサイズおよび配列に依存する。別の核酸結合条件は、以下の市販されているカタログのプロトコールで入手可能である:PureLink quick plasmid miniprep kit(Invitrogen,Cat.No.K2100−10またはK2100−11),Wizard plus SV Minipreps DNA purification System(Promega,Cat.No.A1330またはA1460),QIAprep Spin Miniprep Kit(Qiagen,Cat.No.27104または27106)、およびGenElute plasmid kids(cat.No.PLN−50、PLN−70、PLN−250、およびPLN−350)。
【0116】
結合−洗浄−溶出手順は、本明細書に記述されるデバイスを使用してサンプルから核酸を処理するのに利用することができる。ある実施形態では、核酸は、溶液中で水和分子から水を除去する、1種以上のカオトロピック剤の存在下で、シリカを含む固体担体に吸着される。カオトロピック剤の例には、グアニジニウム塩(例えば、塩酸グアニジニウムおよびチオシアン酸グアニジウム)および尿素が含まれるが、これらに限定するものではなく、ある実施形態では0.5Mから0.7Mの濃度で利用することができる。多糖およびタンパク質は、固体担体に吸着されず、除去される。洗浄ステップの後、核酸を、低または無塩条件下で少量溶出し、さらに濃縮することなく直ぐに使用できる状態になる。核酸は、当業者に公知の方法によって、最初にサンプル源(例えば、細胞)から単離されてもよい。例えば、アルカリ溶解手順を利用してもよい。後者の手順は、伝統的に、フェノール−クロロホルム溶液の使用を取り入れ、3種の溶液を必要とする代替のフェノール−クロロホルム−フリー手順を利用することができる。後者の手順では、溶液1は、15mM Tris、pH8.0;10mM EDTAおよび100ug/ml Rnase Aを含有することができ、溶液2は、0.2N NaOHおよび1%SDSを含有することができ、溶液3は、3M KOAc、pH5.5を含有することができる。
【0117】
結合−洗浄−溶出手順は、正に帯電した部分で誘導体化されたシリカを含む、挿入物およびビーズ固相と共に、利用することもできる。ある実施形態では、高密度のジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するシリカ材料を使用して、核酸を単離することができる。単離は、核酸主鎖の負に帯電したホスフェートと、樹脂表面の正に帯電したDEAE基との間の相互作用をベースにする。ジエチル−(2−ヒドロキシプロピル)アミノエチルおよびトリメチルアミンなどが含まれるが、これらに限定するものではなく、その他の帯電した基を利用することができる。各ステップで使用される緩衝液の塩濃度およびpH条件は、核酸の結合、洗浄ストリンジェンシー、および溶出を制御する。pH条件と緩衝液との組合せは、World Wide WebアドレスURL qiagen.com/Plasmid/AnionExchangeResin.aspx.に記載されている。例えば、約0.4Mから約2.0Mの範囲の塩濃度(例えば、NaCl)は、DNAまたはRNAの抽出用に約6.0から約9.0の範囲のpHと共に使用してもよく、その場合、より高い塩濃度をより低いpH溶液と共に利用する。
【0118】
前述のように、固相担体は、特定の遺伝子配列、特定のペプチド配列、抗体、およびその他の有機または無機分子など、親和性結合試薬で機能化することができる。そのような機能化された固相と分析物とを結合させる条件は、当技術分野で公知である。そのような担体から分析物を洗浄し、溶出する条件も、当技術分野で公知である。例えばポリペプチドは、アセトニトリルなどの有機溶媒の量を増加させることによって(例えば、約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%)、溶出することができる。当業者なら、確かな結合および溶出条件は、問題の分析物のサイズおよび配列と、この分析物が結合する固相とに依存することに理解されよう。
【0119】
本明細書に記述されたデバイスを使用して処理された分析物は、当業者に公知の方法によって検出することができる。ポリペプチドを検出するための方法は周知であり(例えば、Coomassieブルー、Bradford試薬)、核酸を検出する方法も公知である。例えば、波長260nmおよび280nmでのDNA溶液の吸光度の強度測定は、DNAの純度の尺度として使用される。DNAは、260および280nmで紫外(UV)光を吸収し、芳香族タンパク質は280nmでUV光を吸収し、DNAの純粋なサンプルは、1.8の260/280比を有し、タンパク質汚染が比較的存在しない。タンパク質で汚染されたDNA調製物は、1.8よりも低い260/280比を有することになる。別の例では、本明細書に記述されるデバイスを使用して処理されたDNAサンプルは、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および転写媒介増幅(TMA)プロセスなど、当技術分野で公知の技法を使用して増幅することができる。定量的PCR(Q−PCR)プロセスは、サンプル中の特定のDNA配列の量を決定するのに、当技術分野で公知である。また、DNAは、制限酵素で切断し、アガロースゲルで生成物を電気泳動させ、臭化エチジウムまたは異なる染色液で染色し、DNAの強度と公知の濃度のDNAマーカーとを比較することにより、定量することができる。核酸は、600nmでの分光分析検出によって、ジフェニルアミン(DPA)指示薬を用いて、かつ公知の核酸濃度の標準曲線を使用して、定量することもできる。
【実施例】
【0120】
以下に、本発明のある実施形態の、非限定的な実施例について記述する。
【0121】
A1. 対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きポリマー壁であって、第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも小さいポリマー壁と、
第1の空隙と第2の空隙との間のポリマー壁の内面の一部に接触する挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【0122】
A2. 壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、環状突出部の断面が、第1の空隙および第2の空隙の断面と実質的に平行であり、壁および環状突出部は同じポリマーから構成され、環状突出部の少なくとも一部は挿入物に接触している、実施形態A1のポリマーピペットチップデバイス。
【0123】
A3. 対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第1の壁であって、第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも大きい第1の壁と、
対向する端部に位置付けられた第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第2の壁であって、第2の空隙の断面および第3の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、第2の空隙の直径が第3の空隙の直径よりも大きく、第2の壁が第1の壁と同一の拡がりを持ち、第1の壁および第2の壁は同じポリマーから構成され、第2の壁のテーパ角が第1の壁のテーパ角より小さい第2の壁と、
第2の空隙および第3の空隙の間の第2の壁の内面の一部に接触している挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【0124】
A4. 壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、環状突出部の断面が、第1の空隙および第2の空隙の断面と実質的に平行であり、壁および環状突出部が同じポリマーから構成され、環状突出部の少なくとも一部が挿入物に接触している、実施形態A3のポリマーピペットチップデバイス。
【0125】
A5. ポリマーハウジングであって、ハウジングの対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する、外面および内面を含み、
第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、
第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも大きく、
第1の空隙の直径および第1の空隙に隣接しているハウジングの一部がピペットチップの流体送達端部を覆って嵌合するように適合されているポリマーハウジングと、
ハウジングの内面の一部に接触している挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、ポリマーピペットチップ延長デバイス。
【0126】
A6. ハウジング壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、環状突出部の少なくとも一部が挿入物の一部に接触している、ポリマーピペットチップ延長デバイス。
【0127】
7. 繊維が、光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維である、実施形態A1からA6のいずれか1つのピペットチップデバイスまたはピペットチップ延長デバイス。
【0128】
A8. 繊維が多繊維束またはアレイ状に配置されている、実施形態A1からA7のいずれかのピペットチップデバイスまたはピペットチップ延長デバイス。
【0129】
A9. ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスの容積が、0から10マイクロリットル、0から20マイクロリットル、1から100マイクロリットル、1から200マイクロリットル、または1から1000マイクロリットルに及ぶ、実施形態A1からA8のいずれか1つのピペットチップデバイスまたはピペットチップ延長デバイス。
【0130】
A10. ピペットチップ延長デバイスをピペットチップに取り付けるための方法であって、
実施形態A5からA9のいずれか1つのピペットチップ延長デバイスの第1の空隙に隣接したハウジング部分を、ピペットチップの流体送達端部に接触させるステップと、
ピペットチップとピペットチップ延長デバイスとの間に圧力を加えるステップと、
ピペットチップ延長デバイスをピペットチップに対して任意選択で捻るステップと
を含み、ピペットチップ延長デバイスのハウジングが、ピペットチップの流体吐出部分に据え付けられる方法。
【0131】
A11. ピペットチップ延長デバイスが、分析物を含む流体に接触している、実施形態10の方法。
【0132】
A12. 本体および蓋と、
本体の内面に添着される挿入物であって、挿入物は(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、実験室用流体処理容器デバイス。
【0133】
A13. 本体および蓋と、
蓋の内面に添着される挿入物であって、挿入物は(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、実験室用流体処理容器デバイス。
【0134】
A14. 容器が微量遠心分離管である、実施形態A12またはA13の実験室用流体処理容器デバイス。
【0135】
A15. 微量遠心分離管が、最大約250マイクロリットル、500マイクロリットル、1.5ミリリットル、または2.0ミリリットルの容積を有する、実施形態A14の実験室用流体処理容器デバイス。
【0136】
A16. 容器が標本容器である、実施形態A12またはA13の実験室用流体処理容器デバイス。
【0137】
A17. 標本容器が、最大約15ミリリットル、20ミリリットル、4オンス、4.5オンス、5オンス、7オンス、8オンス、または9オンスの体積を含有することができる、実施形態A16の実験室用流体処理容器デバイス。
【0138】
A18. 熱可塑性樹脂またはポリマーを含む、実施形態A12からA17のいずれか1つの実験室用流体処理容器デバイス。
【0139】
A19. 蓋または本体が、熱可塑性樹脂またはポリマーの追加のボスと共に製造される、実施形態A18の実験室用流体処理容器デバイス。
【0140】
A20. 追加の熱可塑性樹脂またはポリマーのボスが、挿入物に融着されまたは部分的に融着される、実施形態A19の実験室用流体処理容器デバイス。
【0141】
A21. 挿入物が接着剤によって添着されている、実施形態A18の実験室用流体処理容器デバイス。
【0142】
A22. 接着剤が、化学的および/または生物学的に不活性である、実施形態A21の実験室用流体処理容器デバイス。
【0143】
A23. 繊維が、光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維である、実施形態A12からA22のいずれか1つの実験室用流体処理容器デバイス。
【0144】
AA24. 繊維が、多繊維束またはアレイ状に配置されている、実施形態A12からA23のいずれか1つの実験室用流体処理容器デバイス。
【0145】
A26. 毛管流動チャネルに流体連絡している1つ以上の挿入物を含むマイクロ流体デバイスであって、挿入物が、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用しているデバイス。
【0146】
A27. 繊維が、光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維である、実施形態A26のマイクロ流体デバイス。
【0147】
A28. 繊維が、多繊維束またはアレイ状に配置されている、実施形態A26またはA27のマイクロ流体デバイス。
【0148】
A29. ポリマーピペットチップデバイスであって、
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きのポリマー壁であって、第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも小さいポリマー壁と、
多孔質材料から構成された第1のプラグおよび第2のプラグと、
第1のプラグと第2のプラグとの間のピペットチップデバイス内部に位置付けられたビーズであって、第1のプラグおよび第2のプラグが壁の内面に接触しておりかつピペットチップデバイス内にビーズを含有し、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズと
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【0149】
A30. ポリマーピペットチップデバイスであって、
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第1の壁であって、第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも大きい第1の壁と、
対向する端部に位置付けられた第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第2の壁であって、第2の空隙の断面および第3の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、第2の空隙の直径が第3の空隙の直径よりも大きく、第2の壁が第1の壁と同一の拡がりを持ち、第1の壁および第2の壁が同じポリマーから構成され、第2の壁のテーパ角が第1の壁のテーパ角よりも小さい第2の壁と、
壁の内面に接触している第1のプラグおよび第2のプラグであって、多孔質材料から構成された第1のプラグおよび第2のプラグと、
第1のプラグと第2のプラグとの間のピペットチップデバイス内部に位置付けられたビーズであって、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズと
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【0150】
A31. ポリマーピペットチップデバイスであって、
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きのポリマー壁であって、第1の空隙がスロットであり、第2の空隙の断面が実質的に円形であるポリマー壁と、
多孔質材料から構成されたプラグと、
第1のプラグおよびスロットの間のピペットチップデバイス内部に位置付けられたビーズであって、プラグが壁の内面に接触しており、スロットの幅がビーズの直径よりも小さく、スロットおよびプラグがピペットチップデバイス内にビーズを含有し、ビーズは分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズと
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【0151】
A32. 対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第1の壁であって、第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも大きい第1の壁と、
対向する端部に位置付けられた第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第2の壁であって、第3の空隙がスロットであり、第2の壁が第1の壁と同一の拡がりを持ち、第1の壁および第2の壁が同じポリマーから構成され、第2の壁のテーパ角が第1の壁のテーパ角よりも小さい第2の壁と、
多孔質材料から構成されたプラグと、
第1のプラグおよびスロットの間のピペットチップデバイス内部に位置付けられたビーズであって、プラグが第1の壁または第2の壁の内面に接触しており、スロットの幅がビーズの直径よりも小さく、スロットおよびプラグがピペットチップデバイス内にビーズを含有し、ビーズは分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズと
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【0152】
A33. ビーズが、シリカゲル、ガラス(例えば、制御細孔ガラス(CPG))、ナイロン、Sephadex(登録商標)、Sepharose(登録商標)、セルロース、金属面(例えば、鋼、金、銀、アルミニウム、ケイ素、および銅)、磁性材料、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF))、Wang樹脂、Merrifield樹脂、またはDynabeads(登録商標)である、実施形態A29からA32のいずれか1つのポリマーピペットチップデバイス。
【0153】
A34. ビーズおよび少なくとも2つのプラグを含有するポリマーピペットチップデバイスを製造するための方法であって、
ピペットチップ内の決定した位置に第1のプラグを挿入するステップと、
ピペットチップに、決定した量のビーズを充填するステップと、
第2のプラグをピペットチップに挿入し、第1のプラグと第2のプラグとの間にビーズを位置付けるステップと
を含む方法。
【0154】
35. ビーズ、単一のプラグ、およびスロット形状の流体送達端部を含有するポリマーピペットチップデバイスを製造するための方法であって、
ピペットチップに、決定した量のビーズを充填するステップと、
プラグをピペットチップに挿入し、プラグとスロットとの間にビーズを位置付けるステップと
を含む方法。
【0155】
A36. 分析物が、核酸、ペプチド、ポリペプチド、または細胞である、実施形態A1からA33のいずれか1つのデバイスまたは方法。
【0156】
A37. 挿入物が分析物に結合している、実施形態A1からA9およびA12からA28のいずれか1つのデバイス。
【0157】
A38. ビーズの全てまたは一部が分析物に結合している、実施形態A29からA33のいずれか1つのデバイス。
【0158】
A39. 分析物が、核酸、ペプチド、ポリペプチド、または細胞である、実施形態A37またはA38のデバイス。
【0159】
A40. 分析物が、挿入物に可逆的に結合している、実施形態A37からA39のいずれか1つのデバイス。
【0160】
A41. 分析物を、実施形態A1からA9およびA12からA28のいずれか1つのデバイスに結合するための方法であって、分析物が挿入物に結合する条件下で、分析物とデバイスの挿入物とを接触させるステップを含む方法。
【0161】
A42. 実施形態A1からA9およびA12からA28のいずれか1つのデバイスを使用して分析物を単離するための方法であって、
分析物が挿入物に結合する条件下で、分析物と実施形態1から9および12から28のいずれか1つのデバイスとを接触させるステップと、
挿入物に結合した任意の非分析物成分を選択的に除去する条件に、挿入物を任意選択で曝すステップと、
挿入物から分析物を溶出する条件に、挿入物を曝すステップと
を含む方法。
【0162】
A43. 分析物が核酸である、実施形態A41またはA42の方法。
【0163】
A44. 分析物がポリペプチドである、実施形態A41またはA42の方法。
【0164】
A45. 分析物を、実施形態A29からA33のいずれか1つのデバイスに結合するための方法であって、分析物がビーズに結合する条件下で、分析物とデバイスのビーズとを接触させるステップを含む方法。
【0165】
A46. 実施形態A29からA33のいずれか1つのデバイスを使用して分析物を単離するための方法であって、
分析物がビーズに結合する条件下で、分析物と実施形態A29からA33のいずれか1つのデバイスとを接触させるステップと、
挿入物に結合した任意の非分析物成分を選択的に除去する条件に、ビーズを任意選択で曝すステップと、
挿入物から分析物を溶出する条件に、ビーズを曝すステップと
を含む方法。
【0166】
A47. 分析物が核酸である、実施形態A45またはA46の方法。
【0167】
A48. 分析物がポリペプチドである、実施形態A45またはA46の方法。
【0168】
B1. ピペットチップおよび挿入物を内部に含む、ポリマーピペットチップデバイスであって、挿入物が、実質的に平行な向きに向けられたフィンのアレイを含むデバイス。
【0169】
B2. フィンがガラスから構成されている、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0170】
B3. フィンがシリカから構成されている、実施形態B1のピペットデバイス。
【0171】
B4. フィンがポリマーから構成されている、実施形態B1のピペットデバイス。
【0172】
B5. フィンが、挿入物の一端から他端に延び、挿入物の長手方向の軸に実質的に平行である、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0173】
B6. フィンが放射形対称に配置されている、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0174】
B7. フィンが格子パターンに配置されている、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0175】
B8. フィンがS字状パターンに配置されている、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0176】
B9. フィンの断面が、0.001から0.010ミリメートルの厚さである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0177】
B10. フィンの断面が、0.010から0.050ミリメートルの厚さである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0178】
B11. フィンの断面が、0.050から0.10ミリメートルの厚さである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0179】
B12. フィンの長さが、1.0から2.0ミリメートルの長さである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0180】
B13. フィンの長さが、2.0から3.5ミリメートルの長さである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0181】
B14. フィンの長さが、3.5から5.0ミリメートルの長さである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0182】
B15. フィンの表面積が、0.01から1.5平方ミリメートルである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0183】
B16. フィンの表面積が、1.5から3.5平方ミリメートルである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0184】
B17. フィンの表面積が、3.5から5.0平方ミリメートルである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0185】
B18. フィンが外部シェルによって取り囲まれている、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0186】
B19. 外部シェルの断面が、0.01から0.10ミリメートルの厚さである、実施形態B18のピペットチップデバイス。
【0187】
B20. 外部シェルの断面が、0.10から0.50ミリメートルの厚さである、実施形態B18のピペットチップデバイス。
【0188】
B21. 外部シェルの断面が、0.50から1.0ミリメートルの厚さである、実施形態B18のピペットチップデバイス。
【0189】
B22. 外部シェルがガラスまたはポリマーである、実施形態B18のピペットチップデバイス。
【0190】
B23. 外部シェルが、ピペットチップの側面に融着している、実施形態B18のピペットチップデバイス。
【0191】
B24. 外部シェルが、接着剤によってピペットチップに添着されている、実施形態B23のピペットチップデバイス。
【0192】
B25. 接着剤が化学的および/または生物学的に不活性である、実施形態B23のピペットチップデバイス。
【0193】
B26. 挿入物が分析物に結合される、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0194】
B27. 分析物が、核酸、ペプチド、ポリペプチド、または細胞である、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0195】
B28. 分析物が挿入物に可逆的に結合される、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0196】
B29. 分析物を、実施形態B1からB28のいずれか1つのデバイスに結合するための方法であって、分析物が挿入物に結合する条件下で、分析物とデバイスの挿入物とを接触させるステップを含む方法。
【0197】
B30. 分析物が核酸またはタンパク質である、実施形態29の方法。
【0198】
B31. 分析物が挿入物に結合する条件下で、分析物と実施形態B1からB28のいずれか1つのデバイスとを接触させるステップと、
挿入物に結合した任意の非分析物成分を選択的に除去する条件に、挿入物を任意選択で曝すステップと、
挿入物から分析物を溶出する条件に、挿入物を曝すステップと
を含む、分析物を単離するための方法。
【0199】
C1. 第1の末端空隙および第2の末端空隙およびフィルタ挿入物を含むピペットチップであって、
第1の末端空隙の断面積が、第2の末端空隙の断面積よりも小さく、
フィルタ挿入物またはその一部が、ピペットチップ内部に位置付けられており、
第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部が、第1の末端空隙と実質的に同じ部位に位置付けられ、または第1の末端空隙付近にある、ピペットチップ。
【0200】
C2. 第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部が、第1の末端空隙の0から5ミリメートル以内にある、実施形態C1のピペットチップ。
【0201】
C3. フィルタ挿入物の端部がピペットチップの外側に位置付けられている、実施形態C1またはC2のピペットチップ。
【0202】
C4. フィルタ挿入物の端部が、ピペットチップの内部に位置付けられている、実施形態C1またはC2のピペットチップ。
【0203】
C5. ピペットチップ内部に位置付けられ、フィルタ挿入物よりも第2の末端空隙に近い、本明細書に記述された第2の挿入物をさらに含む、実施形態C1からC4のいずれか1つのピペットチップ。
【0204】
C6. 第2の挿入物がビーズおよび/または繊維を含む、実施形態C5のピペットチップ。
【0205】
D1. 第1の末端空隙および第2の末端空隙およびフィルタ挿入物を含むピペットチップであって、(i)第1の末端空隙の断面積が、第2の末端空隙の断面積よりも小さく、(ii)フィルタ挿入物またはその一部が、ピペットチップ内部に位置付けられており、(iii)第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部が、第1の末端空隙と実質的に同じ部位に位置付けられ、または第1の末端空隙付近にある、ピペットチップ。
【0206】
D2. 第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部が、第1の末端空隙の約0から約5ミリメートル以内にある、実施形態D1のピペットチップ。
【0207】
D3. フィルタ挿入物の端部がピペットチップの外側に位置付けられている、実施形態D1またはD2のピペットチップ。
【0208】
D4. 第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部を含むフィルタ挿入物全体が、ピペットチップの内部に位置付けられている、実施形態D1またはD2のピペットチップ。
【0209】
D5. フィルタ挿入物よりも第2の末端空隙に近いピペットチップ内部に位置付けられた、分析物と相互に作用することができる材料または第2の挿入物をさらに含む、実施形態のいずれか1つのピペットチップ。
【0210】
D6. 材料または第2の挿入物がビーズを含む、実施形態D5のピペットチップ。
【0211】
D7. ビーズが遊離ビーズである、実施形態D6のピペットチップ。
【0212】
D8. ビーズが焼結された、実施形態D6のピペットチップ。
【0213】
D9. 材料または第2の挿入物が樹脂を含む、実施形態D5のピペットチップ。
【0214】
D10. 材料または第2の挿入物が1つ以上の繊維を含む、実施形態D5のピペットチップ。
【0215】
D11. 材料または第2の挿入物がフィルタ挿入物に接触している、実施形態D5からD10のいずれか1つのピペットチップ。
【0216】
D12. 材料または第2の挿入物が障壁に接触している、実施形態D5からD11のいずれか1つのピペットチップ。
【0217】
D13. 障壁が、フィルタ挿入物以外のフィルタである、実施形態D12のピペットチップ。
【0218】
D14. 障壁がフリットである、実施形態D12のピペットチップ。
【0219】
D15. 組成物中の1種以上の物質から分析物を単離するための方法であって、
(a)1種以上の物質を含む組成物中の分析物を、第1の末端空隙、第2の末端空隙、フィルタ、および材料または挿入物に分析物が結合する条件下で分析物に結合することができる材料または挿入物を含むピペットチップに接触させ、(i)第1の末端空隙の断面積が第2の末端空隙の断面積よりも小さく、(ii)フィルタまたはその一部がピペットチップ内部に位置付けられ、(iii)第1の末端空隙に最も近いフィルタの端部が第1の末端空隙と実質的に同じ位置に位置付けられ、または第1の末端空隙付近にあり、(iv)材料または挿入物が、フィルタよりも第2の末端空隙に近いピペットチップ内部にあり、(v)分析物がフィルタ内を流れ、材料または挿入物に結合し、1種以上の物質は材料または挿入物に接触しないステップと、
(b)分析物を材料または挿入物から解離し、分析物をピペットチップから排出し、それによって分析物を1種以上の物質から単離するステップと
を含む方法。
【0220】
D16. 分析物が生物学的薬剤である、実施形態D15の方法。
【0221】
D17. 分析物が、核酸、ペプチド、タンパク質または細胞である、実施形態D16の方法。
【0222】
D18. (b)の前に、挿入物または材料を、挿入物または材料から分析物を解離させない洗浄溶液に接触させるステップをさらに含む、実施形態D15からD17のいずれか1つの方法。
【0223】
D19. 第1の末端空隙に最も近いフィルタの端部が、第1の末端空隙の約0から約5ミリメートル以内にある、実施形態D15からD18のいずれか1つの方法。
【0224】
D20. フィルタの端部が、ピペットチップの外側に位置付けられている、実施形態D15からD18のいずれか1つの方法。
【0225】
D21. 第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部を含むフィルタ全体が、ピペットチップの内部に位置付けられている、実施形態D15からD18のいずれか1つの方法。
【0226】
D22. 材料または挿入物がビーズを含む、実施形態D15からD21のいずれか1つの方法。
【0227】
D23. ビーズが遊離ビーズである、実施形態D22の方法。
【0228】
D24. ビーズが焼結されている、実施形態D22の方法。
【0229】
D25. 材料または挿入物が樹脂を含む、実施形態D15からD21のいずれか1つの方法。
【0230】
D26. 材料または挿入物が1つ以上の繊維を含む、実施形態D15からD21のいずれか1つの方法。
【0231】
D27. 材料または挿入物がフィルタに接触している、D15からD26のいずれか1つの方法。
【0232】
D28. 材料または挿入物が障壁に接触している、実施形態D15からD27のいずれか1つの方法。
【0233】
D29. 障壁が、第1の末端空隙にまたは第1の末端空隙付近にあるフィルタ以外のフィルタである、実施形態D28の方法。
【0234】
D30. 障壁がフリットである、実施形態D28の方法。
【0235】
E1. 内面および外面を含む、ポリマー混合物から製造されたピペットチップであって、(i)内面の一部が不規則であり、(ii)ポリマー混合物が、ポリマーと、分析物に結合することができる材料とを含み、(iii)分析物に結合することができる材料が、ピペットチップの製造前に、ポリマー混合物全体にわたって実質的に規則的に分散させられており、(iv)不規則な内面部分が、分析物に結合することができる材料を露出させる、ピペットチップ。
【0236】
E2. 不規則な内面がエッチングされた面である、実施形態E1のピペットチップ。
【0237】
E3. エッチングされた面が、実質的に規則的なエッチングを含む、実施形態E2のピペットチップ。
【0238】
E4. ポリマーがポリプロピレンである、実施形態E1からE3のいずれか1つのピペットチップ。
【0239】
E5. 分析物が生体分子である、実施形態E1からE4のいずれか1つのピペットチップ。
【0240】
E6. 生体分子が、核酸、ペプチド、タンパク質、または細胞である、実施形態E5のピペットチップ。
【0241】
E7. 分析物に結合することができる材料がビーズを含む、実施形態E1からE6のいずれか1つのピペットチップ。
【0242】
E8. ビーズがシリカを含む、実施形態E7のピペットチップ。
【0243】
E9. ビーズが疎水性材料を含む、実施形態E8のピペットチップ。
【0244】
E10. 疎水性材料がC−18である、実施形態E9のピペットチップ。
【0245】
E11. (a)分析物結合条件下で、分析物を含む組成物をピペットチップに接触させるステップであって、(i)ピペットチップがポリマー混合物から製造されかつ内面および外面を含み、(ii)内面の一部が不規則であり、(iii)ポリマー混合物が、ポリマーと、分析物に結合することができる材料とを含み、(iv)分析物に結合することができる材料が、ピペットチップの製造前に、ポリマー混合物全体にわたって実質的に規則的に分散させられ、(v)不規則な内面の一部が、分析物に結合することができる材料を露出させ、(vi)分析物が材料に結合するステップと、(b)分析物を材料から解離し、分析物をピペットチップから排出し、それによって分析物を単離するステップとを含む、分析物を単離するための方法。
【0246】
E12. 不規則な内面がエッチングされた面である、実施形態E11の方法。
【0247】
E13. エッチングされた面が、実質的に規則的なエッチングを含む、実施形態E12の方法。
【0248】
E14. ポリマーがポリプロピレンである、実施形態E11からE13のいずれか1つの方法。
【0249】
E15. 分析物が生体分子である、実施形態E11からE14のいずれか1つの方法。
【0250】
E16. 生体分子が、核酸、ペプチド、タンパク質、または細胞である、実施形態E15の方法。
【0251】
E17. 分析物に結合することができる材料が、ビーズを含む、実施形態E11からE16のいずれか1つの方法。
【0252】
E18. ビーズがシリカを含む、実施形態E17の方法。
【0253】
E19. ビーズが疎水性材料を含む、実施形態E18の方法。
【0254】
E20. 疎水性材料がC−18である、実施形態E19の方法。
【0255】
F1. 射出成型プロセスによって外面および内面を有するピペットチップを製造するための型であって、外面を形成する本体と内面を形成するコアピンとを含み、コアピンが、不規則なピペットチップの内面部分をもたらす不規則面を含む型。
【0256】
F2. コアピンの不規則面が、エッチングされた面である、実施形態F1の型。
【0257】
F3. エッチングされた面が、実質的に規則的なエッチングを含む、実施形態F2の型。
【0258】
F4. 内面および外面を有するピペットチップを製造するための方法であって、(a)ピペットチップの外面を形成する本体とピペットチップの内面を形成するコアピンとを含む型に、液体ポリマー混合物を射出するステップと、(b)型の中でピペットチップを形成するステップと、(c)型からピペットチップを取り外すステップとを含み、コアピンは、不規則なピペットチップの内面部分をもたらす不規則面を含む方法。
【0259】
F5. コアピンの不規則面が、エッチングされた面である、実施形態F4の方法。
【0260】
F6. エッチングされた面が、実質的に規則的なエッチングを含む、実施形態F5の方法。
【0261】
F7. ポリマー混合物が、ポリマーと、分析物に結合することができる材料とを含む、実施形態F4からF6のいずれか1つの方法。
【0262】
F8. 分析物に結合することができる材料が、ポリマー混合物全体にわたって実質的に規則的に分散させられている、実施形態F7の方法。
【0263】
F9. 不規則なピペットチップの内面部分が、分析物に結合することができる材料を露出させる、実施形態F7またはF8の方法。
【0264】
F10. 分析物に結合することができる材料がビーズを含む、実施形態F7からF9のいずれか1つの方法。
【0265】
F11. ビーズがシリカを含む、実施形態E10の方法。
【0266】
F12. ビーズが疎水性材料を含む、実施形態E10の方法。
【0267】
F13. 疎水性材料がC−18である、実施形態E12の方法。
【0268】
本明細書で参照される各特許、特許出願、刊行物、および文献の全体は、本明細書に参考として援用される。上記特許、特許出願、刊行物、および文献の引用は、前述のいずれかが関連ある従来技術であることを認めたものではなく、これら刊行物または文献の内容または日付に関していかなる承認も構成するものではない。
【0269】
本発明の基本的な態様から逸脱することなく、前述の内容に修正を加えてもよい。本発明について、1つ以上の特定の実施形態を参照しながらかなり詳細に記述してきたが、当業者なら、本出願で特に開示された実施形態に変更を加えてもよく、それでもこれらの修正および改善は本発明の範囲および精神に包含されることが理解されよう。
【0270】
本明細書に例示的に記述される本発明は適切に、本明細書に具体的に開示されていない(1つ以上の)任意の要素が存在しない状態で実施することができる。したがって、例えば、本明細書のそれぞれの場合において、「含む」、「から本質的になる」、および「からなる」という用語のいずれかは、その他の2つの用語に取って代わることができる。用いられてきた用語および表現は、説明上用いられかつ限定するものではなく、そのような用語および表現の使用は、図示され記述された特徴の任意の均等物またはその部分を除外するものではなく、様々な修正例が、特許請求の範囲に記述される本発明の範囲内で可能である。「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、1つの要素なのか以上の要素なのか文脈上明らかに記述されていない限り、修飾する要素の1つ以上(例えば、「試薬(a reagent)」は、1つ以上の試薬を意味することができる)を指すことができる。本明細書で使用される「約」という用語は、基礎をなすパラメータの10%以内の値(即ち、±10%)を指し、一連の値の始まりに「約」という用語を使用する場合は、値のそれぞれを修飾する(即ち、「約1、2、および3」は、約1、約2、および約3である)。例えば、「約100g」の重量は、90gから110gの間の重量を含むことができる。さらに、値のリストが本明細書に記述される場合(例えば、約50%、60%、70%、80%、85%、または86%)、このリストは、全ての中間値およびその部分的な値(例えば、54%、85.4%)を含む。したがって、本発明を代表的な実施形態および任意選択の特徴によって具体的に開示してきたが、本明細書に開示された概念の修正例および変形例を当業者は利用することができ、そのような修正例および変形例は、本発明の範囲内にあると見なされることを理解すべきである。
【0271】
本発明の、ある実施形態を、以下の特許請求の範囲に記述する。
【技術分野】
【0001】
(関連特許出願)
本特許出願は、2008年3月28日に出願された米国仮特許出願第61/040,541号(代理人整理番号PEL−1002−PVで表わされる)、および2008年11月11日に出願された米国仮特許出願第61/113,522号(代理人整理番号PEL−1002−PV2で表わされる)の利益を主張し、各々は「SAMPLE PREPARATION DEVICES AND METHODS FOR PROCESSING BIOLOGICAL MATERIALS」というタイトルである。これら2つの特許出願の各々の全体が、すべての本文、表、および図を含めて本明細書に参考として援用される。
【0002】
(本発明の分野)
本発明は、1つには、分析物の処理に利用することができるサンプル調製デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
ピペットチップは、上端および下端に開口があるほぼ円錐形の中空管であり、不活性ポリマー材料からしばしば製造され、通常は流体を取得し、移送し、または吐出するのに使用される。これらの流体は、分析物を含有していてもいなくてもよい。ピペットチップは、ナノリットルからミリリットルに及ぶ体積に関して、正確で再現性ある液体処理を可能にするために、多数のサイズで作製される。
【0004】
ピペットチップは、ピペットまたはピペッタと連結して使用される。ピペッタは、ピペットチップの上端(大きいほうの開口端)に取り付けられた場合、陰圧をかけて流体を取得し、陽圧をかけて流体を吐出するデバイスである。ピペッタの下部または遠位部(通常は、バレルと呼ばれる)をピペットチップの上端に接触させて配置し、ピペットのバレルをピペットチップの上端に押し付けることによって、所定の位置に保持する。次いでこの組合せを使用して、ピペッタで発生させた陰圧をかけることにより液体サンプルを処理することができる。ピペッタは、手動または自動化されたピペット操作(例えば、ロボットデバイスによる自動化されたピペット操作)で利用可能である。様々な多孔質フィルタの付加を介してサンプルの相互汚染を減少させるように設計されたピペットチップは、実験室において、例えば高処理アッセイなどの手順を実施するために、手動でまたは自動化されたピペット操作のフォーマットで利用される。
【0005】
分析物は、数多くの一般的な実験室技法を使用して、単離し、精製し、または濃縮することができる。いくつかの方法は、固相担体への親和性または非親和性結合を使用する。ある方法は、問題の分析物を可逆的に結合し保持することによって、汚染物質と見なされるその他の分析物から問題の分析物を分離する。分析物は、様々なタイプのクロマトグラフィーを使用して単離し、精製し、または濃縮することもできる。クロマトグラフィーには数多くの方法があり、その例には、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)、およびコーティングされかつ/または帯電させた表面を備えたまたは備えない固体担体を使用したクロマトグラフィーが含まれる。これらのクロマトグラフ法は、サンプルに応じて大規模にまたは小体積で行うことができる。比較的小さいサンプル体積の処理を可能にし、またサンプルの遠心分離を行うクロマトグラフィーキットが市販されており、このキットでは、サンプルをクロマトグラフマトリックスに通した後にクロマトグラフマトリックスから問題の材料を溶出するが、やはり遠心分離に結び付けられている。この方法は、迅速であり、比較的費用がかからず、問題の分析物の適切な回収が行われる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
本明細書では、例えば核酸やポリペプチドなど、分析物を単離し、精製し、濃縮し、かつ/または分画するのに有用な、液体処理およびサンプル調製デバイスが提供される。そのようなデバイスは、特異的なまたは非特異的な相互作用によって分析物に結合する固相担体を含む。いくつかの実施形態における固体担体は、ある材料でコーティングされていてもいなくてもよい焼結担体または繊維担体である。固相担体は、使い捨てピペットチップ内に組み込まれ、またはある実施形態では熱可塑性物質またはポリマーから構成されたピペットチップ延長部として製造される。いくつかの実施形態では、固相担体は、実験室用の液体処理管および標本容器に組み込まれる。ある実施形態では、固相担体は、マイクロ流体デバイスに組み込むことができる。
【0007】
したがって本明細書では、1つには、対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的およびテーパ付きポリマー壁であって、これら第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、この第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも小さいポリマー壁と、これら第1の空隙および第2の空隙の間のポリマー壁の内面の一部に接触する挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体または(ii)隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物とを含む、ポリマーピペットチップデバイスを特徴とする。ある実施形態では、ポリマーピペットチップデバイスは、壁の内面と同一の拡がりを持つ1つ以上の突出部を含み、この突出部の少なくとも一部は挿入物に接触している。関連する実施形態では、ポリマーピペットチップデバイスは、壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、この環状突出部の断面は、第1の空隙および第2の空隙の断面と実質的に平行であり、壁および環状突出部は同じポリマーから構成され、環状突出部の少なくとも一部は挿入物に接触している。
【0008】
また本発明は、1つには、対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的およびテーパ付きの第1の壁であって、これら第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、この第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも大きい第1の壁と、対向する端部に位置付けられた第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的およびテーパ付きの第2の壁であって、これら第2の空隙の断面および第3の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、この第2の空隙の直径が第3の空隙の直径よりも大きく、第2の壁が第1の壁と同一の拡がりを持ち、第1の壁および第2の壁が同じポリマーから構成され、第2の壁のテーパ角が第1の壁のテーパ角より小さい第2の壁と、これら第2の空隙および第3の空隙の間の第2の壁の内面の一部に接触する挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体または(ii)隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物とを含む、ポリマーピペットチップデバイスも提供する。ある実施形態では、ポリマーピペットチップデバイスは、第2の壁の内面と同一の拡がりを持つ1つ以上の突出部を含み、この突出部の少なくとも一部は挿入物に接触している。関連する実施形態では、ポリマーピペットチップデバイスは、第2の壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、この環状突出部の断面は、第1の空隙および第2の空隙の断面と実質的に平行であり、壁および環状突出部は同じポリマーから構成され、環状突出部の少なくとも一部は挿入物に接触している。
【0009】
また本明細書では、対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する外面および内面を含むポリマーハウジングであって、第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも大きく、第1の空隙の直径およびこの第1の空隙に隣接しているハウジングの一部がペプチドチップの流体送達端部を覆って嵌合するように適合されているポリマーハウジングと、このハウジングの内面の一部に接触している挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体または(ii)隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物を含む、ポリマーピペットチップ延長デバイスが提供される。ある実施形態では、ポリマーピペットチップ延長デバイスは、ハウジング壁の内面と同一の拡がりを持つ1つ以上の突出部を含み、この1つ以上の突出部の少なくとも一部は挿入物の一部に接触している。関連ある実施形態では、延長デバイスは、ハウジング壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、この環状突出部の少なくとも一部は挿入物の一部に接触している。
【0010】
ある実施形態では、ピペットチップデバイスまたはピペットチップ延長デバイスの挿入繊維は、光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維である。繊維は、いくつかの実施形態では多繊維束またはアレイに並べることができる。ある実施形態では、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスの容積は、0から10マイクロリットル、0から20マイクロリットル、1から100マイクロリットル、1から200マイクロリットル、または1から1000マイクロリットルに及ぶ。ある実施形態では、ピペットチップデバイスは、ナノリットル(1から999ナノリットル)またはピコリットル(1から999ピコリットル)の体積を送達することができる。
【0011】
本発明は、1つには、ピペットチップ延長デバイスをピペットチップに取り付けるための方法であって、本明細書に記述されたピペットチップ延長デバイスの第1の空隙に隣接したハウジング部分を、ピペットチップの流体送達端部に接触させるステップと、これらピペットチップおよびピペットチップ延長デバイスの間に圧力をかけるステップと、任意選択で、ピペットチップ延長デバイスをピペットチップに対して捻るステップとを含み、このピペットチップ延長デバイスのハウジングが、ピペットチップの流体吐出部分に据え付けられる方法も提供する。ある実施形態では、ピペットチップ延長デバイスを、分析物を含む流体に接触させる。
【0012】
本明細書では、本体および蓋と、この本体の内面に添着される挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物とを含む、実験室用流体処理容器デバイスも提供される。本発明は、1つには、本体および蓋と、この蓋の内面に添着される挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物とを含む、実験室用流体処理容器デバイスも提供する。いくつかの実施形態では、容器は微量遠心分離管、例えば最大約250マイクロリットル、500マイクロリットル、1.5ミリリットル、または2.0ミリリットルの体積を有する微量遠心分離管などである。ある実施形態では、容器は標本容器、例えば最大約15ミリリットル、20ミリリットル、4オンス、4.5オンス、5オンス、7オンス、8オンス、または9オンスの体積を含有することができる容器などである。いくつかの実施形態では、デバイスは、熱可塑性物質またはポリマーを含み、場合によっては、蓋または本体は、熱可塑性物質またはポリマーの追加のボスで製造され、追加の熱可塑性物質またはポリマーのボスは、ある実施形態では挿入物に融解しまたは部分的に融解する。いくつかの実施形態では、挿入物は、接着剤、例えば化学的および/または生物学的に不活性な接着剤などによって、添着される。ある実施形態では、実験室用流体処理容器デバイスの挿入繊維は、光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維であり、場合によっては、これらの繊維は多繊維束またはアレイに並べられる。
【0013】
本発明は、1つには、毛管流動チャネルに流体連絡している1つ以上の挿入物を含むマイクロ流体デバイスであって、この挿入物が、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用するデバイスも提供する。そのようなマイクロ流体デバイスの挿入繊維は、場合によっては光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維であり、ある実施形態では、繊維が多繊維束またはアレイに並べられている。
【0014】
また本明細書では、1つには、対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的およびテーパ付きのポリマー壁であって、これら第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、この第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも小さいポリマー壁と、多孔質材料から構成された第1のプラグおよび第2のプラグと、第1のプラグおよび第2のプラグの間のピペットチップデバイスの内部に位置付けられたビーズであって、これら第1のプラグおよび第2のプラグは壁の内面に接触しておりかつピペットチップデバイス内のビーズを含有し、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズとを含む、ポリマーピペットチップデバイスも特徴とする。
【0015】
また本明細書では、対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的およびテーパ付きの第1の壁であって、これら第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、この第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも大きい壁と、対向する端部に位置付けられた第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的およびテーパ付きの第2の壁であって、これら第2の空隙の断面および第3の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、この第2の空隙の直径が第3の空隙の直径よりも大きく、第2の壁が第1の壁と同一の拡がりを持ち、第1の壁および第2の壁が同じポリマーから構成され、第2の壁のテーパ角が第1の壁のテーパ角よりも小さい壁と、壁の内面に接触している第1のプラグおよび第2のプラグであって、多孔質材料から構成された第1のプラグおよび第2のプラグと、第1のプラグおよび第2のプラグの間のピペットチップデバイスの内部に位置付けられたビーズであって、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズとを含む、ポリマーピペットチップデバイスも提供される。
【0016】
また、本明細書では、対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的およびテーパ付きのポリマー壁であって、この第1の空隙がスロットであり、第2の空隙の断面が実質的に円形であるポリマー壁と、多孔質材料から構成されたプラグと、第1のプラグおよびスロットの間のピペットチップデバイスの内部に位置付けられたビーズであって、プラグが壁の内面に接触しており、スロットの幅がビーズの直径よりも小さく、スロットおよびプラグがピペットチップデバイス内のビーズを含有し、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズとを含む、ポリマーピペットチップデバイスも提供される。
【0017】
本発明は、1つには、対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的およびテーパ付きの第1の壁であって、これら第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、この第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも大きい壁と、対向する端部に位置付けられた第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的およびテーパ付きの第2の壁であって、この第3の空隙がスロットであり、第2の壁が第1の壁と同一の拡がりを持ち、第1の壁および第2の壁が同じポリマーから構成され、第2の壁のテーパ角が第1の壁のテーパ角よりも小さい壁と、多孔質材料から構成されたプラグと、第1のプラグおよびスロットの間のピペットチップデバイスの内部に位置付けられたビーズであって、プラグが第1の壁または第2の壁の内面に接触しており、スロットの幅がビーズの直径よりも小さく、スロットおよびプラグがピペットチップデバイス内のビーズを含有し、分析物の相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズとを含む、ポリマーピペットチップデバイスも提供する。
【0018】
ある実施形態では、ビーズは、シリカゲル、ガラス(例えば、制御細孔ガラス(CPG)、シリカビーズ、または粒子)、ナイロン、Sephadex(登録商標)、Sepharose(登録商標)、セルロース、金属面(例えば、鋼、金、銀、アルミニウム、ケイ素、および銅)、磁性材料、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF))、Wang樹脂、Merrifield樹脂、またはDynabeads(登録商標)である。ビーズおよび少なくとも2つのプラグを含有するポリマーピペットチップデバイスを製造するための方法であって、ピペットチップに第1のプラグを所定の位置まで挿入するステップと、ピペットチップに、決定された量のビーズを充填するステップと、第2のプラグをピペットチップに挿入し、これら第1のプラグおよび第2のプラグの間にビーズが位置付けられるステップとを含む方法も提供される。そのような方法は、任意選択で、第2のプラグに対してわずかな下方への圧力を加えるステップを含むことができる。ビーズ、単一のプラグ、およびスロット形状の流体送達端部を含有するポリマーピペットチップデバイスを製造するための方法であって、ピペットチップに、決定された量のビーズを充填するステップと、プラグをピペットチップに挿入し、プラグおよびスロットの間にビーズを位置付けるステップとを含む方法も提供される。そのような方法は、任意選択で、第2のプラグに対してわずかな下方の圧力を加えるステップを含むことができる。
【0019】
本明細書に記述されるデバイスでは、分析物は、ある実施形態では核酸、ペプチド、ポリペプチド、または細胞にすることができ、挿入物またはビーズを分析物に結合(例えば、可逆的に結合)させてもよい。本発明は、1つには、分析物と本明細書に記述されるデバイスとを結合するための方法であって、分析物が挿入物に結合する条件下で分析物とデバイスの挿入物とを接触させるステップを含む方法も特徴とする。また、本明細書に記述されるデバイスを使用して分析物を単離するための方法であって、分析物が挿入物またはビーズに結合する条件下で分析物と本明細書に記述されるデバイスとを接触させるステップと、任意選択で、挿入物またはビーズに結合した任意の非分析物成分を選択的に除去する条件に、挿入物またはビーズを曝すステップと、挿入物から分析物を溶出する条件に、挿入物またはビーズを曝すステップとを含む方法も提供される。
【0020】
本明細書では、フィンアレイ状に蓄積されたフィン構造に並べられた繊維を含む、ポリマーピペットチップデバイスも提供される。本明細書で使用される「フィンアレイ」は、フィンが挿入物の一端から他端へと延び、かつ挿入物の長手方向の軸に実質的に平行な、マルチフィン束を指す。アレイは、分子サンプルを調製するために、任意の有用な数のフィンを含有することができ、いくつかの実施形態では、アレイは約2から約10000個のフィン、または約10から約1000個のフィン、場合によっては約2、10、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、または1000個のフィンを有する。これらのフィンはしばしば、互いに対して例えば、平面的にまたは実質的に平らな向きに配列される。フィンは、ある実施形態では、放射形対称、格子縞、またはS字形のパターンに配列されていてもよい。フィンの断面は、いくつかの実施形態では、約0.001から約0.010ミリメートルの厚さであり、または約0.010から約0.050ミリメートルの厚さであり、または約0.050から約0.10ミリメートルの厚さである。フィンの長さは、ある実施形態では、約1.0から約2.0ミリメートルの長さであり、約2.0から約3.5ミリメートルの長さであり、または約3.5から約5.0ミリメートルの長さである。フィンの表面積は、いくつかの実施形態では、約0.01から約1.5平方ミリメートルであり、約1.5から約3.5平方ミリメートルであり、または約3.5から約5.0平方ミリメートルである。
【0021】
ある実施形態では、フィンは、外部シェルによって取り囲まれている。外部シェルの断面は、約0.01から約0.10ミリメートルの厚さであり、約0.10から約0.50ミリメートルの厚さであり、または約0.50から約1.0ミリメートルの厚さである。外部シェルは、いくつかの実施形態ではガラスまたはポリマーから作製してもよい。外部シェルは、ピペットチップの側面に融着してもよく、または、化学的および/または生物学的に不活性な接着剤でピペットチップに添着してもよい。
【0022】
本明細書では、フィンを備えた挿入物であって、分析物に結合された挿入物を含む、ポリマーピペットチップデバイスも提供される。分析物は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、または細胞であってもよい。分析物は、挿入物に可逆的結合していてもよい。
【0023】
本明細書では、分析物と前述の実施形態のいずれか1つのデバイスとを結合させるための方法であって、分析物が挿入物に結合する条件下で分析物とデバイスの挿入物とを接触させるステップを含む方法も提供される。デバイスの挿入物は、サンプルから核酸(例えば、DNA、RNA)またはタンパク質を抽出するのに使用してもよい。
【0024】
本明細書では、前述の実施形態のいずれか1つのデバイスを使用して、分析物を単離するための方法であって、分析物が挿入物に結合する条件下で分析物と本明細書に記述されるデバイスとを接触させるステップと、任意選択で、挿入物に結合した任意の非分析物成分は除去されるが挿入物からは分析物が実質的に除去されない条件に、挿入物を曝すステップと、挿入物から分析物を溶出する条件に、挿入物を曝すステップとを含む方法も提供される。
【0025】
また、第1の末端空隙および第2の末端空隙およびフィルタ挿入物を含むピペットチップであって、(i)第1の末端空隙の断面積が、第2の末端空隙の断面積よりも小さく、(ii)フィルタ挿入物またはその一部が、ピペットチップ内部に位置付けられており、(iii)第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部が、第1の末端空隙と実質的に同じ部位に位置付けられ、または第1の末端空隙付近にある、ピペットチップも提供される。ある実施形態では、第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部が、第1の末端空隙の約0から約5ミリメートル以内にある。フィルタ挿入物の端部は、ある実施形態ではピペットチップの外側に位置付けられており、場合によっては、第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部を含むフィルタ挿入物の全体が、ピペットチップ内部に位置付けられる。いくつかの実施形態では、ピペットチップはさらに、フィルタ挿入物よりも第2の末端空隙に近いピペットチップ内部に位置付けられた、分析物と相互に作用する本明細書に記述された挿入物などの第2の挿入物を含む。ある実施形態では、第2の挿入物は、ビーズおよび/または繊維を含む。
【0026】
本発明の実施形態のある態様について、以下の図面の簡単な説明、詳細な説明、実施例、および特許請求の範囲で記述する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面は、本発明の実施形態を例示し、限定的なものではない。明確にするためにかつ例示を容易にするために、これらの図面は縮尺に合わせて作成されておらず、場合によっては本発明の様々な実施形態は、特定の実施形態の理解を容易にするために、誇張してまたは拡大して示されている可能性があることに、留意すべきである。
【図1A】図1Aおよび1Cは、圧縮嵌め挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す図である。図1Bおよび1Dは、封止環を有するピペットチップに嵌合された挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す立面図である。図1Eは、あるピペットチップデバイスの実施形態で使用可能な遠位ピペットチップ端構成を示す、代替の立断面図である。
【図1B】図1Aおよび1Cは、圧縮嵌め挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す図である。図1Bおよび1Dは、封止環を有するピペットチップに嵌合された挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す立面図である。図1Eは、あるピペットチップデバイスの実施形態で使用可能な遠位ピペットチップ端構成を示す、代替の立断面図である。
【図1C】図1Aおよび1Cは、圧縮嵌め挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す図である。図1Bおよび1Dは、封止環を有するピペットチップに嵌合された挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す立面図である。図1Eは、あるピペットチップデバイスの実施形態で使用可能な遠位ピペットチップ端構成を示す、代替の立断面図である。
【図1D】図1Aおよび1Cは、圧縮嵌め挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す図である。図1Bおよび1Dは、封止環を有するピペットチップに嵌合された挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す立面図である。図1Eは、あるピペットチップデバイスの実施形態で使用可能な遠位ピペットチップ端構成を示す、代替の立断面図である。
【図1E】図1Aおよび1Cは、圧縮嵌め挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す図である。図1Bおよび1Dは、封止環を有するピペットチップに嵌合された挿入物プラグを含有する、組み立てたピペットチップデバイスの実施形態を示す立面図である。図1Eは、あるピペットチップデバイスの実施形態で使用可能な遠位ピペットチップ端構成を示す、代替の立断面図である。
【図2】図2Aおよび2Bは、標準的なピペットチップを本明細書に示された実施形態に記述されるピペットチップデバイスに変換するのに使用することができる、汎用チップ延長部を有するピペットチップデバイスの実施形態を示す立面図である。図2Aは、ピペットチップに圧縮嵌めがなされるよう構成された、汎用チップ延長部の実施形態を示す図である。図2Bは、封止環を使用して嵌合がなされるよう構成された、汎用チップ延長部の実施形態を示す図である。図2Cは、汎用チップ延長部の実施形態の受容端に嵌合することができる、実行可能な遠位ピペットチップの構成を示す図である。
【図3】図3Aおよび3Bは、実験室用液体処理管の実施形態を示す、立断面図である。図3Aは、管の本体に接触している挿入物プラグを備えた、実験室用液体処理管の実施形態を示す図である。図3Bは、管の蓋に接触している挿入物プラグを備えた、実験室用液体処理管の実施形態を示す図である。
【図4】図4Aおよび4Bは、標本容器の実施形態を示す立断面図である。図4Aは、容器の本体に接触している挿入物プラグを備えた、標本容器の実施形態を示す図である。図4Bは、容器の蓋に接触している挿入物プラグを備えた、標本容器の実施形態を示す図である。
【図5】図5は、問題の分析物の単離、精製、または濃縮、および/または分画に有用な挿入物プラグを含有する、一般的なマイクロ流体デバイスの実施形態を示すブロック図であり、この挿入物プラグは、マイクロ流体デバイス内を流動する生体サンプル材料と効果的な流体連絡をとっている。本明細書に記述される挿入物プラグで変更することができるマイクロ流体デバイスの非限定的な例は、Andersenらの米国特許第6,168,948号またはAckleyらの米国特許第6,638,482号に記載されている。
【図6−1】図6Aおよび6Bは、2つのプラグの間に配置された、問題の分析物の単離、精製、または濃縮、および/または分画に有用な、多孔質水不混和性材料およびビーズから作製された2つのプラグを含有する、ポリマーピペットチップデバイスの実施形態を示す立面図である。
【図6−2】図6Cおよび6Dは、問題の分析物の単離、精製、または濃縮、および/または分画に有用な、多孔質水不混和性材料およびビーズから作製された単一プラグを含有する、ポリマーピペットチップデバイスの実施形態を示す立面図である。ビーズは、プラグのレベルよりも下に配置されており、ピペットチップの遠位端によってポリマーピペットチップデバイス内の実施形態の所定の位置に保持されているが、この遠位端は、ポリマーピペットチップデバイス内に含有されるビーズの直径よりも小さい開口を有するように構成されている。
【図7】図7A〜7Dは、外部シェルを備えた圧縮嵌め挿入物プラグを含有する、ピペットチップデバイスの実施形態を示す水平断面図である。
【図8】図8Aおよび8Bは、ピペットチップデバイスの実施形態と、不規則面を含むマイクロウェルプレートの実施形態を示す、立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(詳細な説明)
本明細書に記述されるポリマーピペットチップデバイス、実験室用流体処理管、標本容器、およびマイクロ流体デバイスは、様々なサンプルから、問題の分析物の単離、精製、濃縮、および/または分画を行うのに有用である。あるデバイスは、クロマトグラフィー、単離、精製、濃縮、および/または分画であって遠心分離を使用しないものの利益を組み合わせ、提供する。本明細書に記述されるデバイスは、手動のまたは自動化/ロボット式適用例で、マイクロリットル以下(例えば、ナノリットル)からミリリットル体積に及ぶ体積で利用することができる。あるデバイスは、使い易さおよびコスト削減のための、分析物のピペットチップをベースにした単離、精製、および濃縮、および/または分画を含めた、様々な方法論に容易に適用可能であるという追加の利益を有する。
【0029】
本明細書に示されるサンプル調製デバイスは、費用効果があり、多くのプロトコールに適用可能であり、従来のクロマトグラフマトリックスに依存しておらず、遠心分離または回収される材料の品質に影響を及ぼす可能性があるその他の専用機器を使用する必要がない。したがって、本明細書に記述されるサンプル調製デバイスは、改善されたサンプルの回収および改善されたサンプルの品質と共に、分析物の単離、精製、濃縮、および/または分画に有用である。
【0030】
当業者に使用されるある方法およびデバイスでは、機械的な力が加わることによって(例えば、熱移動、急な遠心力、および空気抵抗)、回収された分析物材料に損傷が与えられる可能性がある(例えば、核酸の場合には切れ目が入りまたは剪断され、タンパク質の場合には変性しまたは不正確に折り畳まれる)。例えば分析物は、遠心分離と、クロマトグラフマトリックスにより形成された蛇行経路内を分析物が強制的に通過する動作との組合せによって、および/または問題の材料が結合するマトリックスからその材料を溶出するのに必要な方法によって、構造的に変化し得る。したがって、ある方法を使用して抽出された、結果的に得られた生体サンプルの損なわれた品質は、使用者に望ましくないと考えられる。
【0031】
本明細書に記述されるデバイスを使用して調製された分析物の構造は、当業者により使用される技法に比べてしばしば変化がないままでありまたはそれほど変化していない状態にあり、本明細書に記述されるプロセスおよびデバイスは、調製される分析物の構造を実質的に変化させない。例えば、本明細書に示されるサンプル調製デバイスを使用して調製されたサンプルは、クロマチン、ゲノムDNA、ある2次および3次構造配置を有する核酸を含めた、核酸のニッキングおよび剪断を最小限に抑えて無傷の核酸の大量の回収をもたらす。一般に、本明細書のサンプル調製デバイスによって単離した核酸は、その後の分析に向けてより大きな構造的完全性を有することになる。さらに、本明細書に示されるサンプル調製デバイスの使用は、正しい折畳みおよび無傷の構造完全性を有する無傷のポリペプチドおよびタンパク質のより高い収率をもたらすことになるが、これも、ポリペプチドまたはタンパク質を単離し、精製し、濃縮し、および/または分画する非遠心分離手段を使用することの利点に起因する。
【0032】
本明細書に示されるサンプル調製デバイスは、サンプル中の分析物を効率的に回収するのに有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に示されるサンプル調製デバイスを使用して、サンプルから回収可能な分析物を約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上を回収してもよい。当業者なら、問題の分析物を最適に回収するために、出発材料とサンプル調製デバイスのサイズとのバランスをとる必要があることに気付くであろう。当業者に、より広範な選択肢をもたらすために、本明細書に記述されるサンプル調製デバイスは、広範な出発材料およびサンプルから問題の材料を回収することができるよう、いくつかの異なるサイズで構成される。
【0033】
(ピペットチップデバイス)
ピペットチップは、通常は、様々な実験設定で流体を取得し、移送し、または吐出するのに使用される。ピペットチップは、多数の生体サンプルの処理が必要な医療用および研究用の両方の設定で、大量に使用することができる。ピペットチップは、操作者が単一チャネルピペットまたはマルチチャネルピペット(複数の吐出出口があり、通常は2、4、または8チャネル構成が利用可能である)を使用する場合は手動で使用することができ、またはピペットチップは、自動化またはロボット式適用例で使用することもできる。これらの自動化またはロボット式適用例では、ロボットデバイスは、1、2、4、8、16、24、32、40、48、56、64、72、80、88、96、384、または1536チャネルピペットも使用するように構成できる。96以上のチャネルを有するピペットは、例えば、PCR、DNAチップ技術、タンパク質チップ技術(チップ技術はアレイとしても公知である)、免疫学的アッセイ(ELISA、RIA)、またはその他の大量のサンプルをタイミングよく処理しなければならない実験室または診療所で、多数のサンプルの高処理分析が必要とされる場合、一般にマイクロタイタープレートまたはアレイ/チップの適用例で使用される。高処理分析に使用される自動化またはロボットデバイスの一例は、Oasis LMと呼ばれるデバイス(Telechem International,Inc.Sunnyvale California 94089製)である。このコンピュータにより駆動される生物学的ワークステーションは、1、8、96、384、または1536個のサンプルをピペット分取する能力を有する、最大4個の個別のピペットチップヘッドで構成することができる。体積の範囲は、特定のヘッドとピペットチップとの組合せに依存し、ワークステーション用の体積範囲は200ナノリットルから1ミリリットルである。ワークステーションは、4個のピペットヘッド全てを同時に操作することができる。
【0034】
ピペットチップは、通常は、0から10マイクロリットル、0から20マイクロリットル、1から100マイクロリットル、1から200マイクロリットル、および1から1000マイクロリットルを保持するサイズで入手可能である。これらピペットチップの外観は異なっていてもよいが、本明細書に示される実施形態で使用するのに適したピペットチップは、水平断面がおおよそ円形である中心チャネルまたは管を形成する連続テーパ付き壁を、一般に有する。しかし、得られたピペットチップデバイスが適切な流動特性を示しかつピペットに嵌合できることを条件として、任意の断面幾何形状を使用することができる。本明細書に記述される実施形態で使用可能なピペットチップは、ピペットチップの最上部分にある最も幅広の点(ピペットの近位端またはピペットに嵌合する端部)から、ピペットチップの最底部分にある狭い開口(ピペットの遠位またはサンプルを取得しもしくは排出するのに使用される端部)まで、テーパを有することになる。ある実施形態では、ピペットチップ壁は、2つ以上のテーパ角を有することができる。ピペットチップの内面は、しばしばテーパ付き連続壁を形成するが、外壁は、同一連続テーパからステップ式テーパに及びまたは滑らかなテーパと外部突出部との組合せである、任意の外観を呈していてもよい。一般に利用可能なピペットチップの最上部外面はしばしば、多くの市販のピペットデバイスで見られるピペットチップの放出メカニズムと相互に作用する、より厚い壁または突出部の存在によって、ピペットチップの放出を補助するように設計される。外側のステップ式テーパの追加の利点は、任意の製造業者からのピペットチップのラックに適合することである。あるピペットチップの、より厚い最上部は、さらなる剛性および支持も可能にし、したがってピペットをピペットチップの開口に押圧してピペットチップをピペットに固定するときに、追加の圧力を加えることができるようになり、したがって適切な封止が確実になる。中心チャネルまたは管の最上部のボアは、適切なサイズのピペット装置のバレルを受容するのに十分なほどに大きくなる。ほとんどのピペット装置は、第3者製造業者によって作製された汎用ピペットチップで使用することができるので、当業者なら、種々のピペットチップサイズが種々の容積範囲のピペットで使用されることに気付くであろう。したがって当業者なら、1から10マイクロリットルのサンプル処理に使用するピペットに使用するよう設計されたピペットチップは、一般に、最大1000マイクロリットルのサンプルを処理するよう設計されたピペットには嵌合しないことが理解される。標準的なピペットおよびピペットチップの設計および製造は、当技術分野で周知であり、射出成型技法がしばしば利用される。
【0035】
本明細書で使用される「ピペットチップデバイス」という用語は、生体サンプルの単離、精製、濃縮、および/または分画に適したピペットチップを指し、このデバイスはしばしば、挿入物を挿入することができる任意のサイズまたは形状の標準的な市販のピペットチップで構成されるものである。ピペットチップハウジングは、しばしば、流体処理用に都合のよい任意のポリマータイプまたは混合物にすることができるポリマーから製造される(例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート)。ピペットチップデバイスは、RNase、DNase、および/またはプロテアーゼフリー製品として提供することができ、1つ以上のフィルタ障壁と共に提供することができる。フィルタ障壁は、液体処理から生じる汚染の可能性を防止しまたは低減させるのに有用であり、場合によっては、ある実施形態において手動またはロボット式ピペッタに係合するピペットチップ端部付近に位置付けられる。
【0036】
本明細書で使用される「挿入物」は、しばしば、分析物と相互に作用することができる固相を含む。本明細書で使用される「固体担体」または「固相」という用語は、分析物を直接または間接的に結合することができる不溶性材料を指す。
【0037】
ある実施形態の挿入物は、繊維または多繊維挿入物である。多繊維挿入物は、多繊維束と呼ぶこともできる。光ファイバ、ガラス繊維、およびポリマー繊維(例えば、荷電ポリマーまたは非荷電ポリマー)は、利用することができる繊維のタイプの非限定的な例である。Marcusらによる「Capillary−channeled polymeric fiber as solid phase extraction media」というタイトルの2006年9月14日に公開された米国特許出願公開第2006/0201881号は、例えば、ポリプロピレン繊維を固相として使用できることを示している。したがって、任意の適切なポリマー繊維を挿入物に使用することができる。繊維には、エッチング、チャネル形成、帯電、焼結、またはこれらの組合せを行うこともできる。
【0038】
繊維束は、当業者に公知である。繊維束の例は、Moultonによる「pipette tip and filter for accurate sampling and prevention of contamination」というタイトルの1998年12月22日に発行された米国特許第5,851,491号;Horiらによる「Hemoglobin sampler」というタイトルの1995年10月24日に発行された米国特許第5,460,781号;Beaverによる「Packed fiber glass reaction vessel」というタイトルの1987年4月14日に発行された米国特許第4,657,742号;およびHudsonらによる「Solid phase extraction pipette」というタイトルの2006年9月28に公開された米国特許出願公開第2006/0216206号に記載されている。多繊維束は、例えば、モノリシックな要素(棒、管など)に多数の毛管を穿孔することによって形成することができる。別の例では、多繊維束は、束が形成されるように繊維の周りにプラスチック、金属、または金属酸化物を収縮包装することによって、形成することができる。したがって多繊維挿入物は、場合によっては多繊維束またはアレイと呼ばれる。組み立てられた挿入物(例えば、モノリシックな要素および繊維)は、空隙を含有する。ある実施形態での空隙は、隣接する繊維の外面の間にあるチャネルである。挿入物中の繊維は、場合によっては実質的に均一な方向に向いており、ランダムに分布していない。その他の実施形態では、繊維は、挿入物中にランダムに分布している。挿入物中の繊維は、分析物と相互に作用させるためおよびピペッタと共に使用するために、任意の都合のよい寸法にすることができる。挿入物中の繊維の直径は、例えば、約0.01マイクロメートルから約100マイクロメートルにすることができ、ある実施形態では約0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、50、または100マイクロメートルである。挿入物中の各繊維の長さは、例えば0.001ミリメートルから約100ミリメートルにすることができ、ある場合には、約0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、50、または100ミリメートルである。多繊維挿入物は、液体処理および分析物抽出用に任意の適切な数の毛管を有することができ、約100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3250、3500、3750、4000、4250、4500、4750、5000、6000、7000、8000、9000、または10,000本の繊維を含むことができるが、これらに限定するものではない。
【0039】
ある実施形態での挿入物は、焼結ビーズ挿入物である。焼結ビーズ挿入物は、例えば、ある型(例えば、開口上端を有する円柱形)に易流動性ビーズを送達し、ビーズ同士の接触点が部分的に融解するようにビーズを加熱することによって、製造することができる。次いで得られた挿入物を、その型から取り出す。そのような挿入物の外周にあるビーズは、場合によっては融解しまたは部分的に融解し、挿入物の周りに連続壁またはシースを形成する。焼結プロセスで融解しまたは部分的に融解することができる本明細書に記述されるビーズを利用することができ、一実施形態ではシリカガラスビーズが利用される。
【0040】
挿入物、および適用可能な実施形態における挿入物の繊維は、挿入物をピペットチップ内に嵌合できるように、任意の断面幾何形状(円形、楕円形、および多角形(例えば六角形、八角形)など)にすることができる。挿入物の最大直径は、しばしばピペットチップの流体放出空隙の直径に等しくまたはそれよりも大きく、挿入物の長さは一般に、ピペットチップの縦の長さ以下である。ある実施形態では、挿入物断面の直径は、約0.01から約20ミリメートル(例えば、約0.01、0.05、0.10、0.50、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ミリメートルの直径)であり、いくつかの実施形態では、挿入物の長さは約0.1から約100ミリメートル(例えば、約0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、または100ミリメートルの長さ)である。規則的に並べた繊維を使用して配列した挿入物では、その挿入物の断面形状は、各繊維の断面形状および挿入物を製造するのに利用される繊維の数に依存する可能性がある。例えば、円形断面を有する棒または管を使用する場合、得られる繊維束は、ほぼ同じ円形断面形状にすることができる。したがって、モノリシックな要素を使用して形成された挿入物は、場合によっては境界として使用されたモノリシック要素の断面形状をとる。より多くの数の円柱状繊維を利用する実施形態では、挿入物の断面は、場合によっては多角形である。また、使用される繊維の直径が小さくなるほど、断面形状は境界モノリシック要素の真の断面形状により近くなる可能性がある。より大きい直径の繊維の場合、挿入物の断面形状は、場合によっては境界により円形であるが、円形の境界内部にある繊維の周辺は、より多側面多角形に近い形状をとる。この特徴は、境界モノリシック要素および様々なサイズの繊維を使用して実現することができる充填密度に起因する。一般的な経験則は、モノリシック要素に挿入される繊維が小さいほど、挿入物の断面形状は円に近付くということである。代替の繊維断面形状は、外側のモノリシック境界要素内にある代わりに成形された繊維の「積重ね」によって、より大きな充填密度を提供することができる。
【0041】
固相または固体担体(例えば、挿入物(例えば、繊維または焼結ビーズ)、ビーズ)は、分析物と結合することができる材料を含むことができる。固相は、分析物に結合する材料でコーティングし(例えば、固相の表面をコーティングしてもよい)またはその材料を投入してもよい。材料は、特異的または非特異的相互作用によって、分析物に結合させてもよい。非特異的相互作用の例には、疎水性(例えば、C18含有固体担体およびトリチル化固体担体)、静電的、イオン性、ファンデルワールス、および極性(例えば、核酸/ポリエチレングリコール間の「湿潤」結合)相互作用などが含まれるが、これらに限定するものではない。特異的相互作用の例には、結合対相互作用、例えば親和性結合対相互作用などが含まれる。結合対相互作用の例には、抗体/抗原、抗体/抗体、抗体/抗体断片、抗体/抗体受容体、抗体/タンパク質Aまたはタンパク質G、タンパク質/リガンド、ハプテン/抗ハプテン、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、ポリヒスチジン/2価金属(例えば、銅)、グルタチオン/グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、葉酸/葉酸結合タンパク質、ビタミンB12/内因子、および核酸/相補核酸(例えば、DNA、RNA、PNA)相互作用などが含まれるが、これらに限定するものではない。抗体には、IgG、IgM、IgA、IgE、またはこれらのアイソタイプ(例えば、IgG1、IgG2a、IgG2b、またはIgG3)が含まれるが、これらに限定するものではない。その他の材料には、炭水化物、脂質、グリコシル化タンパク質またはポリペプチド、および芳香族炭化水素などが含まれるが、これらに限定するものではない。固相は、分析物に共有結合する材料を含んでいてもよい。問題の分析物に共有結合することができる分子の非限定的な例には、化学反応性基/相補化学反応性基対(例えば、スルフヒドリル/マレイミド、スルフヒドリル/ハロアセチル誘導体、アミン/イソトリオシアネート、アミン/スクシニミジルエステル、およびアミン/スルホニルハロゲン化物)などが含まれる。
【0042】
特異的および非特異的結合剤、親和性結合剤、およびこれらを固相に結合するための方法の例は、2007年1月25日に公開された米国特許出願公開第2007/0017870号に記載されている。いくつかの実施形態の材料は、ある多繊維構造内の隣接する繊維間の任意の毛管チャネルを均一にまたは実質的に均一にする(例えば、Belovらによる「Multicapillary column for chromatography and sample preparation」というタイトルの2007年1月23日に発行された米国特許第7,166,212号に記載されている脂肪族、芳香族、有機元素、および無機部分)。いくつかの実施形態では、挿入物は、シリカビーズなど、問題の分析物に結合できるビーズでコーティングされる。ある実施形態では、固相は、1種以上の材料(例えば、毛管の内径を実質的に均一にする材料、および分析物に特異的にまたは非特異的に結合する材料)でコーティングされる。ある実施形態の固相は、剥き出しであってもよく、分析物に結合する別の材料を含まなくてもよい(例えば、核酸に結合するガラスまたはエッチングされたガラス固相)。材料は、共有および/または非共有相互作用によって固相と結合していてもよい。
【0043】
本明細書で使用される「分析物」という用語は、本明細書に記述されるデバイスの材料または挿入物と結合できる物質を指す。分析物は、ある実施形態では、1種以上の化学物質、有機分子、および無機分子などであってもよい。分析物は、場合によっては生体サンプルから得られ、生体分子または生物学的試薬にすることができる。生体サンプルは、組織、細胞、細胞ペレット、細胞抽出物、または生検材料;尿、血液、唾液、または羊水などの生体液;感染または炎症領域からの浸出物;口内細胞を含有するマウスウォッシュ;脳脊髄液または滑液;環境、考古学的、土壌、水、農業サンプル;微生物サンプル(例えば細菌、酵母菌、アメーバ);および器官などを含むがこれらに限定されない生物または環境から得られる任意のサンプルである。生体分子には、細胞、細胞群、単離した細胞膜、細胞膜成分(例えば、膜脂質、膜脂肪酸、コレステロール、膜タンパク質)、糖、多糖、核酸(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、タンパク質核酸(PNA))、ペプチドおよびポリペプチド(例えば、タンパク質、サブユニットタンパク質、タンパク質ドメイン)などが含まれるが、これらに限定されない。サンプルは、場合によっては、生体分子が本明細書に記述されるデバイスに接触する前に、問題の生体分子を解放するように処理される。例えば細胞は、サンプルが本明細書に記述されるデバイスに接触する前に、当技術分野で周知の方法を使用して溶解することができる。
【0044】
図1Aを参照すると、ある実施形態では、対向する端部に位置付けられた第1の空隙14および第2の空隙16を画定する連続したテーパ付きポリマー壁12を有する、ポリマーピペットチップデバイス10が提供され、これら第1の空隙の断面および第2の空隙の断面は、実質的に円形および実質的に平行であり、第1の空隙の直径は第2の空隙の直径よりも小さくなっている。ポリマーピペットチップデバイス10は、第1の空隙14と第2の空隙16との間のポリマー壁12の内面の一部に接触した挿入物18を含有し、挿入物18は複数の空隙を有し、かつ核酸結合条件下で核酸に結合する材料から構成されており、または挿入物18は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を含有することができる。
【0045】
図1Bを参照すると、ある実施形態では、対向する端部に位置付けられた第1の空隙24および第2の空隙26を画定する連続したテーパ付きポリマー壁22を有する、ポリマーピペットチップデバイス20が提供され、これら第1の空隙24の断面および第2の空隙26の断面は、実質的に円形および実質的に平行であり、第1の空隙24の直径は第2の空隙26の直径よりも小さくなっている。ポリマーピペットデバイス20は、壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部30を有し、この環状突出部の断面は、第1の空隙および第2の空隙の断面と実質的に平行である。図1Bは、上方および下方環状突出部を示すが、ピペットチップデバイス20は、1つ以上の環状突出部と十分等しく機能することができると考えられる。ピペットチップデバイス20の壁および環状突出部は、同じポリマーから構成される。ピペットチップデバイス20は、環状突出部30にまたはいくつかの実施形態では複数の環状突出部に接触した挿入物28を含有する。ピペットチップデバイス20の挿入物28は、複数の空隙を有し、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から構成されており、または挿入物28は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を含有していてもよい。
【0046】
図1Cを参照すると、いくつかの実施形態では、対向する端部に位置付けられた第1の空隙36および第2の空隙38を画定する連続したテーパ付きの第1の壁34を有する、ポリマーピペットチップデバイス32が提供され、これら第1の空隙36の断面および第2の空隙38の断面は、実質的に円形および実質的に平行であり、第1の空隙36の直径は第2の空隙38の直径よりも大きくなっている。ポリマーピペットチップデバイス32は、対向する端部に位置付けられた第2の空隙38および第3の空隙40を画定する連続したテーパ付きの第2の壁40も有し、これら第2の空隙38の断面および第3の空隙42の断面は、実質的に円形および実質的に平行であり、第2の空隙38の直径は第2の空隙42の直径よりも大きくなっている。ピペットチップデバイス32の第2の壁40は、第1の壁34と同一の拡がりを持ち、第1の壁34および第2の壁40は同じポリマーから構成され、第2の壁40のテーパ角は第1の壁34のテーパ角よりも小さい。ピペットチップデバイス32は、第2の空隙38および第3の空隙42の間の第2の壁40の内面の一部に接触した挿入物44も含有し、この挿入物は複数の空隙を含むものであり、また挿入44は、複数の空隙を有し、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から構成され、または挿入物44は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を含有していてもよい。
【0047】
次に図1Dを参照すると、ある実施形態では、対向する端部に位置付けられた第1の空隙50および第2の空隙52を画定する連続したテーパ付きの第1の壁48を有するポリマーピペットデバイス46が提供され、これら第1の空隙50の断面および第2の空隙52の断面は、実質的に円形および実質的に平行であり、第1の空隙50の直径は第2の空隙52の直径よりも大きくなっている。ポリマーピペットチップデバイス46は、対向する端部に位置付けられた第2の空隙52および第3の空隙56を画定する連続したテーパ付きの第2の壁54も有し、これら第2の空隙52の断面および第3の空隙56の断面は、実質的に円形および実質的に平行であり、第2の空隙52の直径は第3の空隙56の直径よりも大きくなっている。ピペットデバイス46の第2の壁40は、第1の壁48と同一の拡がりを持ち、第1の壁48および第2の壁54は同じポリマーから構成され、第2の壁54のテーパ角は第1の壁48のテーパ角よりも小さい。ポリマーピペットチップデバイス46は、壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部60も有し、環状突出部の断面は、第1の空隙および第2の空隙の断面に実質的に平行である。図1Bは上方および下方環状突出部を示すが、ピペットチップデバイス46は、1つ以上の環状突出部60と十分等しく機能することができると考えられる。ピペットチップデバイス46の壁および(1つ以上の)環状突出部60は、同じポリマーから構成される。ピペットチップデバイス46は、環状突出部60に、またはいくつかの実施形態では複数の環状突出部に接触した挿入物58を含有する。ピペットチップデバイス46の挿入物58は空隙を有し、核酸結合条件下で核酸と結合する材料から構成され、または挿入物58は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドと結合する材料を含有していてもよい。
【0048】
空隙の断面は、開口の水平断面がとる形状と規定される。中心軸またはチャネルを形成するピペットチップの壁によって規定された形状がほぼ円形であるピペットチップの場合、空隙の水平断面は、上面から見たときに実質的に円形であることがわかる。空隙の断面は、空隙ではないピペットチップの任意のその他の部分の水平断面に実質的に平行であるが、その断面の直径は異なっていてもよい。
【0049】
本明細書で使用される「突出部」という用語は、局所領域で壁から隆起したバンプまたは突出材料を指す。そのような突出部は、ピペットチップ内に挿入物を保持するための当技術分野での課題を解決し、ある実施形態では摩擦または圧縮によって、ピペットチップ内に挿入物を保持することができる。突出部は、環状突出部または窪みを含むがこれらに限定されない様々な形状のいずれか1つ以上で存在していてもよい。環状突出部は、半球形、半楕円形、またはV字形断面を含むがこれらに限定することのない、ピペットチップ内に挿入物を保持するための任意の適切な断面にすることができる。窪みは、円形、楕円形、四角形、長方形、菱形、六角形、または八角形の断面を含むがこれらに限定することのない、ピペットチップ内に挿入物を保持するための任意の適切な断面であってもよい。突出部は、ある実施形態では壁と同一の拡がりを持つことができる。例えば、同一の拡がりを持つ突出部は、ピペットチップと同じ型から同時に作製することができ、その場合、ピペットチップの下にあり、取り囲む壁と突出部との間は分離していない。突出部は、ある実施形態では、壁と同一の拡がりを持たなくてもよい。後者の実施形態では、例えば環状突出部は、oリング(例えば、ゴムまたはプラスチックのoリング)によって提供してもよい。1つ以上の環状突出部は、挿入物を保持するために、ピペットチップの縦軸(即ち、縦軸は大きいほうのピペットチップ空隙から小さいほうの空隙へと走る)に沿った任意の都合のよい部位で、ピペットチップ内に存在していてもよい。ある実施形態では、ピペットチップは、場合によってはピペットチップの流体放出空隙付近に位置付けられるただ1つの突出部を含む。いくつかの実施形態では、ピペットは、挿入物の端部にそれぞれ接触する2つの突出部を含む(即ち、ピペットチップの縦軸の沿った2つの突出部の間の距離は、この実施例では挿入物の長さによって画定される)。
【0050】
本明細書で使用される「第2の壁は第1の壁と同一の拡がりを持つ」は、例えば、1片に成型され、隙間または破断なしに連続壁が形成されるよう1つに接合され、または共押し出しされることによる、1片の状態にある第1および第2の壁を指す。当業者なら、単一の壁として現れ作用する2つの壁をもたらすその他の方法も使用することができ、したがって本明細書に含まれることが理解されよう。
【0051】
本明細書で使用される「第1の壁および第2の壁は同じポリマーから構成される」は、例えば、溶融ポリマーを型に入れて使用し、またはポリマーストックから単一本体として加圧しもしくは押し出すことによって、これら壁が1つの連続壁として形成されるプロセスを指す。
【0052】
本明細書で使用される「第2の壁の内面の一部に接触した挿入物」は、所定の位置に加圧され、しばしば挿入物の外側境界とピペットチップ壁の内面との間に摩擦力または圧縮によって固体化される、挿入物を指す(図1Cおよび1Dに示されるように)。第1の壁に比べて垂直方向からより小さい角度(即ち、より低いテーパ角)を有する第2の壁は、挿入物の摩擦嵌めを促進させ、したがってピペットチップ内に挿入物を保持するという当技術分野の課題を解決する。
【0053】
図1Aおよび1Cを参照すると、いくつかの実施形態では、挿入物18および44は、圧縮嵌めによってポリマーピペットチップデバイス10および32に配置される。即ち、挿入物18および44は、圧縮、表面の変形、および所定の位置に挿入物を保つのに十分大きい摩擦係数の組合せが原因で、挿入物が容易に外れることができないよう、十分な力で所定の位置に加圧される。あるいは、挿入物18および44は、生物学的および/または化学的に不活性な接着剤を使用してピペットチップのポリマー内面に接着することによって、または圧縮嵌めおよび接着剤の組合せによって、所定位置に保持することもできる。十分な力は、ピペットチップまたは挿入物への損傷を引き起こすことなく確実に挿入物を嵌合させるのに必要な最小限の力として、本明細書では規定する。挿入物の嵌合前にピペットチップに熱を加える操作は、挿入物の確実な嵌合を実現するのに必要な力の量をさらに減少させるのに、首尾よく使用できることが理解されよう。
【0054】
図1Bおよび1Dを参照すると、ある実施形態では、挿入物28および58は、(1つ以上の)環状リング30および60が挿入物28および58の周りでわずかに変形して封止状態を生成するように、1つ以上の環状リング30および60を通して挿入物28および58を加圧することにより、ポリマーピペットチップデバイス20および46内に配置される。このような挿入物28および58の嵌合は、封止された確実な嵌合を可能にしたままで、より小さな断面直径の挿入物を使用できるようになる。さらに、(1つ以上の)より薄い環状リング30および60の使用によって、ある量の柔軟性を得ることが可能になり、したがって、より薄い環状リングは曲がって変形することができるので、挿入物を嵌合するのに必要な力が減少し、したがって、挿入物を封止するのに必要とされるより少ない圧力で、確実な封止状態を形成することが可能になる。挿入物の嵌合前にピペットチップに熱を加える操作は、環状リングを通して挿入物を加圧するのに必要な力の量をさらに減少させるのに、首尾よく使用することができ、確実な封止嵌合が実現されることが理解されよう。
【0055】
図1A、1B、1C、および1Dを参照すると、上述のいくつかの実施形態では、ポリマーピペットチップデバイス10、20、32、および46の遠位開口(それぞれ図1Aおよび1Bの第1の空隙14および24、それぞれ図1Cおよび1Dの第3の空隙42および56)は、多くの実行可能な遠位端構成の中から2つの実行可能な非限定的な例が示されている図1Eに例示されるように、異なるサイズおよび/または形状の開口62を有するように構成することができる。
【0056】
図7A〜7D(必ずしも、縮尺を合わせて図示されていない)を参照すると、ある実施形態では、ポリマーピペットチップデバイスは、フィン、マルチフィン挿入物、マルチフィン束、または、そのフィンのそれぞれの長さがチップの長手方向の軸に実質的に平行に走るように向きが定められたアレイの、水平断面構造を有する。フィンは、任意の適切な配置構成で配列されていてもよく、図7Aから7Dがいくつかの実施形態を示している。フィンは、その長さが管の長手方向の軸に実質的に垂直にまたはいくらか角度をつけて走るように、向きが定められていてもよい。これらのフィンは、互いに平面内にまたは実質的に平らな向きに並べてもよい。外部シェル71は、任意選択でフィンを取り囲みかつ異なる厚さを有するように構成されていてもよい。外部シェルは、任意選択で、フィンのアレイの支持をもたらしてもよく、または保護を行ってもよい。外部シェルは、例えば、ピペットチップ内に嵌合するものなど、任意の都合のよい形状のものであってもよい。外部シェルは、分析物の処理に適した材料など、任意の材料を含んでいてもよい。例えば、流体処理用の任意の都合のよいポリマーまたはポリマー混合物(例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート)を利用することができ、その他の例には、シリカゲル、溶融シリカ、ガラス(例えば、制御細孔ガラス(CPG))、ナイロン、Sephadex(登録商標)、Sepharose(登録商標)、セルロース、金属表面(例えば、鋼、金、銀、アルミニウム、ケイ素、および銅)、磁性材料、およびプラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニリデンジフルオリド(PVFD))などが含まれるが、これらに限定するものではない。ある実施形態では、外部シェル断面の厚さが約0.01から約1.0ミリメートル(例えば、約0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、または1.0ミリメートルの厚さ)であり、いくつかの実施形態では、フィンの厚さが約0.001から約0.10ミリメートル(例えば、0.001、0.002、0.004、0.006、0.008、0.010、0.012、0.014、0.016、0.018、0.020、0.04、0.06、0.080または0.10ミリメートルの厚さ)である。いくつかの実施形態では、フィンの長さが約1.0から約5.0ミリメートルの長さ(例えば、約1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、または5.0ミリメートルの長さ)である。いくつかの実施形態では、各フィンの表面積が約0.01から約5.0平方ミリメートル(例えば、約0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、または5.0平方ミリメートル)である。図7Aには、互いに平面内または実質的に平らな向きに並べられた平行フィン73のアレイの例が示されている。図7Bは、放射状の配置構成にあるフィンの例を示す。図7Cは、格子状の配置構成にあるフィンの例を示し、図7Dは、S字状「S型」配置構成にあるフィンの例を示す。その他の実施形態は、同心円および/または1つもしくは複数のその他の配置構成の組合せを含んでいてもよい。
【0057】
フィンの断面形状および面積は、変えてもよい。フィンの表面積などの、ある構造要素は、ピペットチップデバイス内を通る液体流の所望の動力学を満足させるために、増大させても減少させてもよい。フィンの向きも、所望の流れのために修正してよい。例えば、ピペットチップデバイスの長手方向の軸に実質的に平行な長さを有するフィンの向きを定める操作は、抽出溶媒による動力学的接触のためにより大きなパス長をもたらす可能性がある。1つ以上のフィンの垂直な向きは、濾過効果を助ける。
【0058】
フィンは、様々な方法でピペットチップデバイス内に固定することができる。例として、ある実施形態は、円形断面を有していてもよく、隣接するフィンがそれらの長さに沿って接触するように束またはアレイに配置してもよい。フィンの円形断面は、液体標本および(1種以上の)抽出溶媒の通過が可能になるように、隣接するフィンの間に空間を存在させることを確実にすることができる。アレイの全直径は、外部シェル内に挿入したときに、シェル本体の内面に対してかけられるバネの力によってアレイが保持されるよう選択してもよい。あるいは、アレイの周辺を、アレイの挿入後に融解することができる接着剤またはコーティングを用いるなどして、外部シェルの内面に接着させてもよい。アレイを保持するために、切欠き、窪み、または同様のその他の特徴を、外部シェルに設けてもよい。別の実施形態は、フィンをマトリックスに埋め込み、その後マトリックスまたはその一部を外部シェルの内面に結合することであってもよい。これらは、フィンをピペットチップデバイス内に固定するのに使用することができる、種々の技法の単なる2〜3の例であり、利用することができる特定の技法に本発明の範囲を限定するものではない。
【0059】
フィンは、分析物サンプルの調製に適した任意の材料、例えばプラスチック、ガラス、溶融シリカから作製してもよい。フィンの構成に使用される材料は、ある実施形態において、液体標本の誘引を示してもよい。フィン材料は、任意選択で、液体標本を、アレイ状のフィンのそれぞれまたはかなりの数の表面に塗り拡げ付着するように選択してもよい。液体標本は、任意の手段によって、例えば、例として真空、ウィッキング、表面張力、反発力、および毛管作用などによって、フィンのアレイ全体に塗り拡げてもよい。
【0060】
フィンは、いくつかの実施形態ではコーティングされていなくてもよく、ある実施形態ではコーティングされていてもよい。コーティング挿入物に関して既に述べたように、フィン材料の表面は、液体の移動を高めまたは選択的に制限するために、コーティングしまたは処理してもよい。例えば、フィン材料は、液体の表面張力を増大させる1種以上の試薬で処理してもよい。別の例では、液体標本から分子を抽出する溶媒に対して、フィン材料の処理を行ってもよい。
【0061】
(ポリマーピペットチップ延長デバイス)
本明細書で使用される「ピペットチップ延長デバイス」は、ピペットチップ内に挿入物を配置するステップを含むのではなく、デバイスの最上部分に挿入物およびピペットチップアダプタを含有する予め製作されたポリマーハウジングである、特定の実施形態を指し、ピペットチップに下向きの圧力を加えることによって適切なサイズのピペットチップが所定位置に配置され固定されるものである。「ポリマーハウジング」は、挿入物を含有するのに使用されるプラスチック材料を指す。ポリマーハウジングは、流体処理に任意の都合のよいポリマーまたはポリマー混合物にすることができる(例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート)。ピペットチップ延長デバイスは、RNase、DNase、および/またはプロテアーゼフリー製品として提供することができ、1つ以上のフィルタ障壁と共に提供することができる。フィルタ障壁は、液体処理から生じる汚染の可能性を防止し低下させるのに有用であり、ある実施形態では、場合によってはピペットチップアダプタ構成要素付近に位置付けられる。
【0062】
ピペットチップ延長デバイスは、例えば摩擦、圧縮、またはロック嵌合などの適切な接続によってピペットチップ流体放出端を結び付けることができる、ピペットチップアダプタ構成要素を含む。ピペットチップアダプタ構成要素は、1つ以上の棘、突出部(例えば、上述の環状突出部)、窪み(上述)、oリング、およびルアーロック構造を含むがこれらに限定することのない、ピペットチップを結び付けるための任意の適切な構成を含むことができる。本明細書で使用される「第1の空隙の直径と、この第1の空隙に隣接したハウジング部分とは、ピペットチップの流体送達末端で嵌合するようになされている」は、ピペットチップおよびピペットチップ延長デバイスが組合せデバイス用として結び付けられる部分および手法を指し、図2Aおよび2Bに例示されている。第1の空隙に隣接するポリマーハウジング部分の直径は、場合によっては、ピペットチップ流体放出端の直径よりも、場合によってはわずかに大きく、場合によっては同じであり、場合によってはわずかに小さく、ピペットチップとピペットチップ延長デバイスとが結合した後は、これらが流体のピペット分取中に外れないように構成されている。使用者は、ピペットチップ、また使用後は延長部との組合せを、処分してもよく、またはある実施形態では使用後にピペットチップから延長部を取り外してもよい。
【0063】
挿入物は、任意の適切な保持構造または方法によって、ピペットチップ延長デバイス内に保持することができる。挿入物を保持する構造の非限定的な例には、ピペットチップ延長デバイス壁の内面に接触している1つ以上の突出部(上述の環状突出物および窪み)、および垂直に対して異なる壁の角度を有する1つ以上の隣接した壁(例えば、上述のような)が含まれるが、これらに限定するものではない。挿入物は、熱(例えば、壁を部分的に融解する)および機械的クリンピングを含むがこれらに限定することなく、挿入物に接触するデバイスの壁部分を変形させることによって、延長デバイス内に保持することもできる。ピペットチップ延長デバイスは、挿入物なしで構成されていてもよく、上述のように、プラグおよびビーズの組合せ、またはスロットおよびプラグおよびビーズの組合せを含んでいてもよい。
【0064】
図2Aを参照すると、いくつかの実施形態では、ハウジングの対向する端部に位置付けられた第1の空隙68および第2の空隙70を画定する外面および内面を備えたポリマーハウジング66を有する、ポリマーピペットチップ延長デバイス64が提供される。第1の空隙68の断面および第2の空隙70の断面は、実質的に円形であり実質的に平行であり、第1の空隙68の直径は第2の空隙70の直径よりも大きく、第1の空隙68の直径およびこの第1の空隙68に隣接するハウジング66の部分は、ピペットチップ74の流体送達端部に嵌合するようになされている。ポリマーピペットチップ延長デバイス64は、ハウジング66の内面部分に接触する挿入物72を含有し、この挿入物72は空隙を含有し、この挿入物72は、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から構成され、または挿入物72は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を含有していてもよい。
【0065】
図2Bを参照すると、いくつかの実施形態では、ハウジングの対向する端部に位置付けられた第1の空隙80および第2の空隙82を画定する外面および内面を備えた、ポリマーハウジング78を有するポリマーピペットチップ延長デバイス76が提供される。第1の空隙80の断面および第2の空隙82の断面は、実質的に円形であり実質的に平行であり、第1の空隙80の直径は、第2の空隙82の直径よりも大きい。ピペットチップ延長デバイス76は、ハウジング78の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部84も含有し、第1の空隙68に隣接したハウジング78の部分は、ピペットチップ86の流体送達端部に嵌合するようになされている。図2Bは、上方および下方環状突出部を示すが、ペプチドチップ延長デバイス76は、1つ以上の環状突出部と共に等しく十分機能することができると考えられる。ポリマーピペットチップ延長デバイス76は、ハウジング78の内面の一部に接触した挿入物88を含有し、挿入物88は空隙を含有し、挿入物88は、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から構成されており、または挿入物88は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を含有していてもよい。
【0066】
図2Aおよび2Bを参照すると、上述のピペットチップ延長デバイス64および76では、ピペットチップ74および86の流体送達端部は、多くの実行可能な流体送達端部の構成の中から2つの実行可能な非限定的な例が示されている、図2Cに例示されるように、異なるサイズおよび/または形状の開口90を有するように構成することができる。
【0067】
ピペットチップ延長デバイス64および76は、ピペットチップとピペットチップデバイスとを接触させ、ピペットに下方圧力または力を加えてピペットチップ74、86の流体吐出部分をピペットチップ延長デバイスハウジング64、78内に強制的に押し遣って、ピペットチップ74、86の流体吐出部分をピペットチップ延長デバイスの内面に接触させるようにすることにより、ピペットチップに取り付ける。任意選択で、ピペットチップ74、86の流体吐出部分をピペットチップ延長デバイス内に据えるのをさらに助けるため、下方圧力をかけている間に捩れ運動を用いてもよい。ピペットチップとピペットチップ延長デバイスとを結合した後、ピペットチップ延長デバイスの空隙70および82が液体に接触する状態で配置させるように、その組合せを流体に任意選択で接触させてもよい。
【0068】
ピペットチップ延長デバイス64および76は、ある実施形態では、ピペットをピペットチップ延長デバイスに圧力嵌めすることによって、受容ピペットチップに嵌合するようなされている。これは、ピペットチップをピペットチップ延長デバイスに接触させるのに十分大きな圧縮、表面の変形、および摩擦係数の組合せによって、ピペットチップおよびピペットチップ延長デバイスが容易に外れることができないように、十分な量の力が加えられる、圧縮嵌めということになる。十分な力を、本明細書では、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスに損傷を引き起こすことなくピペットチップにピペットチップ延長デバイスを確実に嵌合させるのに必要な、最小限の力と規定する。環状突出部を含有するピペットチップ延長デバイス76は、環状突出部が原因で、ピペットチップを嵌合するのにより大きな力を必要とするが、その結果、取り外すのにより大きな力を要することになるより確実な嵌合をもたらすことになり、それによって、揺すったりぶつけたりすることによる不慮の取外れが確実に最小限に抑えられる。ルアーロックデバイスまたは差込み型取付けデバイスの使用など、ピペットチップ延長デバイスを固定する追加の代替の方法は、ピペットチップ延長デバイスを確実に嵌合するのに役立てることができ、したがって、このデバイスを所定位置に固定する代替手段と見なされる。
【0069】
(フィルタを有するピペットチップおよびピペットチップ延長デバイス)
いくつかのピペットチップおよびピペットチップ延長デバイスは、1つ以上のフィルタ要素を含み、その後者を、本明細書では「フィルタ挿入物」と呼ぶ。フィルタ挿入物は、場合によっては、吐出デバイスに係合するピペットチップ端部にまたはその付近に位置付けられ、いくつかの実施形態では、フィルタ挿入物は、内部を通して流体が引き出されかつ/または吐出されるピペットチップの遠位端にまたはその付近に位置付けられたフィルタである。
【0070】
フィルタ挿入物は、場合によっては、流体を取り込み放出するピペットチップ端部にまたはその付近に位置付けられる。後者の実施形態では、フィルタ挿入物は、以後「汚染物質」(例えば、微生物壁材料)と呼ばれる問題の分析物以外の分子の進入を捕捉しまたは遮断することができる。フィルタ挿入物は、ポリプロピレンなどを含むがこれに限定されない汚染物質を遮断しまたは捕捉するのに適した任意材料から構成することができる。流体放出端部にまたはその付近にフィルタ挿入物を含有するピペットチップは、場合によってはその他の挿入物要素を含有せず、ある実施形態では、フィルタ要素によって遮断されず捕捉されない流体中の分析物と相互に作用し得る別の材料を含有していてもよい。その他の材料は、ピペットチップまたは延長器内の第2の挿入物の形をとることができ、ビーズ(例えば、遊離したまたは焼結した)、樹脂、および繊維などを含むがこれらに限定されない分析物と相互に作用することができる、本明細書に記述される材料を含むことができる。
【0071】
したがって、本明細書では、第1の末端空隙および第2の末端空隙およびフィルタ挿入物を含むピペットチップであって、(i)第1の末端空隙の断面積が第2の末端空隙の断面積よりも小さく、(ii)フィルタ挿入物またはその一部がピペットチップ内部に位置付けられ、(iii)第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部が、第1の末端空隙と実質的に同じ部位に位置付けられまたは第1の末端空隙付近にある、ピペットチップが提供される。ある実施形態では、第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部は、第1の末端空隙の約0から約5ミリメートル以内にある。フィルタ挿入物の末端は、ある実施形態ではピペットチップの外側に位置付けられ、場合によっては、第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部を含めたフィルタ挿入物の全体は、ピペットチップ内部に位置付けられている。いくつかの実施形態では、ピペットチップはさらに、フィルタ挿入物よりも第2の末端空隙に近いピペットチップ内部に位置付けられた、分析物と相互に作用する本明細書に記述される材料または挿入物など、別の材料または第2の挿入物を含む。ある実施形態では、第2の挿入物は、ビーズおよび/または繊維を含む。いくつかの実施形態では、分析物と相互に作用する材料は、フィルタまたはフリットを含むがこれらに限定されない1つ以上の障壁に、効果的に接触することができる。したがって、ピペットチップまたは延長器は、ある実施形態では2個以上のフィルタを含んでいてもよい(例えば、ピペットチップの遠位端に位置付けられたフィルタ、フィルタに対して充填された分析物と相互に作用する樹脂、および樹脂の反対側に対して充填されたフリット;ピペットチップの遠位端に位置付けられたフィルタ、および2個のフリットまたは2個のその他のフィルタ間に充填された樹脂)。
【0072】
いくつかの実施形態では、フィルタは、ビーズ、繊維、材料のマトリックスもしくはアレイ、固体もしくは半固体プラグ、またはこれらの組合せから構成してもよい。ある実施形態では、フィルタは、ポリエステル、コルク、プラスチック、シリカ、ゲル、またはこれらの組合せから構成してもよい。いくつかの実施形態では、フィルタは、多孔質、非多孔質、疎水性、親水性、またはこれらの組合せであってもよい。いくつかの実施形態では、フィルタおよびピペットチップまたは延長器の内面は、数多くの垂直に配向した細孔を隙間状に画定してもよい。フィルタは、いくつかの実施形態ではピペッタの内面に対して封止してもよく、その場合フィルタは、ピペットチップまたは延長器のピペッタ挿入端付近に位置付けられる。細孔は、ピペットチップの内面およびフィルタ材料の断面水平密度によって画定された体積に依存する、フィルタ内の様々な孔径を画定する細孔分布に従って分布させてもよい。フィルタの孔径は、フィルタの機能を補助する任意のサイズのものであってよい。いくつかの実施形態では、フィルタは、10マイクロメートル以下または3マイクロメートル以下である最大孔径を有していてもよい。ある実施形態では、フィルタは、約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、または0.05マイクロメートルの孔径を有していてもよい。
【0073】
そのようなチップを使用するための方法も提供される。ある実施形態では、ピペットチップの流体放出空隙にまたはその付近に位置付けられたフィルタ要素を含むピペットチップまたは延長器を、問題の分析物を含有する流体中の汚染物質を捕捉するために最初に利用し、次いでその内部に分析物と相互に作用することができる第2の挿入物を含有する第2のピペットチップまたは延長器を、分析物が第2の挿入物と相互に作用することができる条件下で流体に接触させる。そのような実施形態では、分析物を含有する流体を、第2のピペットチップまたは延長器内で第2の挿入物に接触させる。フィルタ挿入物は、しばしば、第2の挿入物よりも第2のピペットチップ内で流体放出空隙により近付いて位置付けられる。次いで分析物を、第2の挿入物から溶出することができる。いくつかの実施形態では、第2のピペットチップまたは延長部は、第2の挿入物よりも流体放出空隙により近く位置付けられたフィルタ挿入物も含む。ある実施形態では、分析物を含有する流体は、流体放出空隙付近に位置付けられたフィルタ挿入物のみを含有するピペットチップで汚染物質を最初に捕捉することなく、分析物と相互に作用することができるフィルタ挿入物および第2の挿入物を含むピペットチップに接触させる。
【0074】
(実験室用液体処理管および容器デバイス)
多くの実験室または臨床での処置は、異なるサイズの管または容器にサンプルを収集し、処理し、調製し、または分画する必要がある。微量遠心分離管(例えば、EPPENDORF管)は、その都合のよいサイズ(250マイクロリットル管、500マイクロリットル管、1.5ミリリットル管、および2ミリリットル管)、その頑丈な設計(遠心分離、加熱、−70℃よりも低い温度への冷却、多くの溶媒および化学物質に耐えることが可能である)、液体保持が低いRNaseおよびDNaseフリー製品としての利用可能性により、しばしば利用される。これらの管は、管本体から同一の拡がりを持つヒンジによって管本体に添着されたロッキングリッドを有しまたは標準的なスクリューキャップトップを有する構成としても入手可能である。管は、様々な色のものおよび標識用に管の外側に特殊な面を有するものも、入手可能である。これらの管は、好ましい実験室用液体処理管として許容されかつ使用されるが、これらの管の有用性は、2ミリリットル以下の体積に限定することができる。多くの実験室および診療所は、サイズが2ミリリットルよりも大きいサンプルまたは固形分を含有する可能性があるサンプルを収集し、保存し、かつ/または処理するという要件も有する。これらの場合、標本容器が使用される。標本容器は、通常は、微量遠心分離管で使用されるものと同じ材料から作製され、したがって多くの同じ有利な性質を有する。通常は、これらの管は、スクリューキャップトップ、または漏れを防ぎまたは漏れに強い封止をもたらす標本容器の本体の所定位置に確実にスナップ留めする蓋を有する。蓋は、本体と同じまたは異なる材料で作製することができる。標本容器は、テーパ付き本体または非テーパ付き本体を有することができる。これらは、より大きなサイズの液体、固体、または液体および固体サンプルの組合せを取り扱うことができるという別の追加の利益を有する。標本容器(場合によっては、標本カップとも呼ぶ)は、様々なサイズ(約15ミリリットル、20ミリリットル、4オンス(約125ミリリットル)、4.5オンス、5オンス、7オンス、8オンス(約250ミリリットル)、および9オンス)でも入手可能であり、300ミリリットルを超えるサンプルの収集、保存、および/または処理が可能になる。当業者なら、同等の機能を発揮する新しい製品および異なるサイズの製品が続けて開発されることが理解されよう。したがって、当業者なら、本明細書に列挙されていないが機能が同じでありかつおそらくは異なるサイズの容器が、均等物であるとして考えられ、したがって本明細書に記述される実施形態で使用可能であることが理解されよう。実験室用液体処理間および標本容器は、生体サンプル(例えば、尿、精液、血液、血漿、唾液、便、粘液、膣液、脊髄液、脳液、涙、および細胞など)を入れるのに利用してもよい。
【0075】
実験室用液体処理間および標本容器は、様々な材料から製造される。これらのタイプの管および容器を製造するのに使用される一般的な材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびポリカーボネートである。その他の熱可塑性樹脂またはポリマーを使用してもよい。市販されているチューブおよび容器の多くは、事前に滅菌されており、またはRNase、DNase、およびプロテアーゼフリーであることが保証されている。これらの実施形態を目的として、良好な耐化学物質または溶媒性を有し、低い液体保持性を有し(即ち、疎水性材料で作製されまたは疎水性となるようコーティングされている)、分析物の処理に安全であり(RNase、DNase、およびプロテアーゼフリー)、加熱および極端な冷却に耐えることができる任意の材料が、使用するのに適している。
【0076】
標準的な実験室用液体処理管および標本容器の制約とは、分析物を単離し、精製し、濃縮し、かつ/または分画するのに必要なステップの数を減少させるタイプの容器がないことである。1つの例は、細胞溶解物からタンパク質または核酸を調製することと考えられる。サンプルのサイズとは無関係に、多数の管および処理ステップが、所望の最終的なタンパク質または核酸材料に到達するのに必要とされる。これは、各ステップまたは一連のステップの後に、異なる管または容器の間にサンプルを移送するステップを含む。各移送ステップは、サンプルを失う可能性があり、またはサンプルの回収を変化させもしくはサンプルを完全に破壊し得る汚染物質を導入する可能性がある。したがって本発明のデバイスは、問題の最終的な分析物に到達するのに必要なステップおよび移送の数を減少させることができ、したがって時間、資金を節約し、サンプルの損失を減少させることができる。
【0077】
次に図3Aおよび4Aを参照すると、ある実施形態は、実験室用液体処理管デバイス92および実験室用標本容器デバイス110を提供する。実験室用液体処理管デバイス92および実験室用標本容器デバイス110は、本体94、112、および蓋96、114を有する。実験室用液体処理管デバイス92および実験室用標本容器デバイス110は、本体の内面に添着された挿入物98、116も含有し、これら挿入物98、116は空隙を含み、これら挿入物98、116は、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から構成され、または挿入物98、116は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を含有していてもよい。
【0078】
図3Bおよび4Bを参照すると、いくつかの実施形態は、実験室用液体処理管デバイス100および実験室用標本容器デバイス118を提供する。実験室用液体処理管デバイス100および実験室用標本容器デバイス118は、本体102、120と蓋104、122とを有する。実験室用液体処理管デバイス100および実験室用標本容器デバイス118は、蓋104、122の内面に添着した挿入物106、124も含有し、これら挿入物106、124は空隙を含み、これら挿入物106、124は、核酸結合条件下で核酸と結合する材料から構成され、または挿入物106、124は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を含有していてもよい。
【0079】
次に図3A、3B、4A、および4Bを参照すると、当業者なら、これらの図に例示される実施形態のそれぞれは、蓋の構成および挿入物の取り付けポイントに違いが見られる同様のデバイスを示すことが理解されよう。次に、図3Aおよび3Bを参照する。図3Aおよび3Bでは、蓋96、104が、実験室用液体処理管92、100の本体94、102および蓋96、104と同一の拡がりを持つヒンジ様アタッチメントによって、実施形態の本体に添着されている。図4Aおよび4Bを参照すると、蓋114および122は、スクリューキャップまたはスナップキャップ構成のものであり、したがって、実施形態の本体から分離されており完全に分かれたものである。この配置構成におけるキャップおよび蓋は、異なる材料から作製してもよいことに留意すべきである。微量遠心分離管または標本容器の全ての形状、サイズ、および蓋の構成は、本明細書に示される実験室用液体処理管デバイスまたは標本容器デバイスの実施形態の製造で利用できることが、当業者に理解されよう。
【0080】
本明細書で使用される「添着された挿入物」は、挿入物が液体処理管または容器の本体または蓋に永久に添着される手法を指す。挿入物を添着する1つの方法は、追加量のポリマー材料を、管の内側のベースにまたは蓋の内側に添加し、その後、追加として加えた材料を加熱しまたは部分的に融解し、加熱されまたは部分的に融解したポリマー材料中に挿入物を配置することである。代替の方法は、蓋または管もしくは容器の内側のベースに挿入物を添着するために、化学的および/または生物学的に不活性な接着剤を使用すること、または、プラズマを使用することが考えられる。
【0081】
実験室用液体処理管または容器デバイスは、様々な手法で使用することができる。全細胞または無傷な組織の場合、管は、細胞溶解を行った後に、単一ステップで問題の分析物の単離、精製、濃縮、および/または分画を行うのに使用することができる。細胞溶解手順および試薬は、当技術分野で一般に公知であり、化学的、物理的、または電解溶解方法によって一般に行われる。例えば化学的方法は、一般に、細胞を破壊するのに溶解剤を用い、核酸を細胞から抽出し、その後、カオトロピック塩で処理する。凍結/解凍後に摩砕するなどの物理的方法、および細胞突起などの使用も、無傷のタンパク質が望まれる場合に有用である。高塩溶解手順も一般に使用されている。これらの手順は、その全体が本明細書に援用されるCurrent Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.,6.3.1〜6.3.6(1989年)に見出すことができる。高塩を必要としない方法を使用した細胞溶解の後、問題の分析物を挿入物から直接溶出することができる。高塩溶解では、サンプルを単離する前に、問題の分析物の結合に影響が生じるようサンプルをより大量に希釈することが必要と考えられる。あるいは、塩濃度の増大は、挿入物から問題の分析物を溶出するのに必要とされる可能性がある。サンプルの適切な体積および塩濃度が実現したら、管または容器を穏やかに撹拌して最大限の結合を確実にし、その後、最小限の体積の溶出緩衝液中への溶出を行うことができる。緩衝液の濃度および体積は、問題の分子の種、および溶解が行われた出発材料の体積に依存することになる。
【0082】
(マイクロ流体デバイス)
高度化し能力が高められたマイクロ流体デバイスが開発され、市販されている。半導体製造およびナノテクノロジーの進歩によって、マイクロポンプ、マイクロバルブ、およびマイクロ電気泳動システムなどのマイクロメカニカル構造の製作が行われている。Andersenらの米国特許第6,168,948号またはAckleyらの米国特許第6,638,482号は共に、その全体が本明細書に参考として援用され、全ての目的で、小型チャンバおよび流路を含むマイクロ流体デバイスの例である。これらマイクロ流体デバイスが高度化したことにより、これらの小型デバイス内で問題の様々な分析物を完全に単離する目的で全細胞を取り扱いかつそれらを処理することが、ついに可能になった。マイクロ流体デバイスと本明細書に記述される挿入物との組合せは、分析物のデバイス内精製および分画をさらに進歩させる。さらに、適正な特異性の挿入物により、特定のポリペプチドまたは遺伝子配列、並びにタンパク質/タンパク質、タンパク質/DNA、および/またはRNA/DNA複合体を単離することができる。あるマイクロ流体デバイスでは、複数の挿入物を同時に使用して、多数の異なる問題の分析物を平行して分画することが可能になる。
【0083】
本明細書では、特定の種の分析物(例えば、固相担体が調製される手法に応じて、タンパク質、DNA、RNA、脂質、炭水化物、または特異的なポリペプチドもしくはタンパク質もしくは遺伝子配列)に特異的な複数の挿入物を有するマイクロ流体デバイスであって、多数の独立した単離、精製、濃縮、および/または分画手順を同時にかつ同じマイクロ流体デバイス内で実施できるようなデバイスが提供される。
【0084】
次に図5を参照すると、ある実施形態では、マイクロ流体デバイス128が提供される。マイクロ流体デバイス128は、ハウジング130内に、様々な生物学的手順(細胞溶解、抽出、およびマイクロ電気泳動など)を行うことが可能なマイクロメカニカル構造並びに毛管流動チャネル132を有する。毛管流チャネル132は、既に行われた手順に応じて、細胞または様々な分析物を含有する流体を移送することになる。マイクロ流体デバイス128は、毛管チャネル132内を流動する液体が1つ以上の挿入物134内を通過するように、毛管流132と流体連絡している少なくとも1つの挿入物134も含有する。(1つ以上の)挿入物134は、サンプル単離および挿入物交換のために容易に接触しかつ除去できるように、毛管流チャネル内に配置される。マイクロ流体デバイス128の挿入物134は、空隙を含有し、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から構成され、または挿入物134は、代わりに、ポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を含有する。
【0085】
小型バイオリアクタとして構成されたマイクロ流体デバイスでは、毛管チャネルに流体連絡している特定の分子または配列の単離用に構成された挿入物を除去し、同一に構成された挿入物と交換することによって、問題の分子の連続単離を行うことができることが理解されよう。除去されたばかりの挿入物は、所望の分子が解放されるように処理することができ、次いで、挿入物全体を再使用することができるが(所望の分子の除去によって挿入物の結合特異性が変化しない場合)、このとき同時に異なる挿入物上に単離された分子が処理される。さらに、より強力な分画スキームを考えることができ、別の全く異なる分子が適切に構成された挿入物の使用によって同時に単離される。
【0086】
上述の実施形態は、サンプルの移動およびこの移動またはあり得る汚染に起因したサンプルの損失を減少させた状態で、生体サンプルを迅速にかつ効率的に処理するための新規なツールをもたらす。上述のポリマーピペットチップデバイスの実施形態は、任意のサイズのピペットチップに組み立てることができ、したがって使用者は、必要性および出発時の分析物に基づいて、サンプルの回収を最適化することが可能になる。さらに、核酸またはタンパク質と結合する挿入物は、異なるサイズおよび構成で作製することもできる。
【0087】
(ビーズを含有するデバイス)
上記実施形態に記述される挿入物に加え、デバイスは、ある条件下で分析物に結合することができるビーズを使用して、製造することもできる。そのようなデバイスには、ピペットチップ、ピペットチップ延長部(例えば、延長器)、管(例えば、遠心分離管)、およびプレート(例えば、プレートのウェル)が含まれるが、これらに限定するものではない。ピペットチップ内への挿入のために繊維または焼結ビーズ挿入物を製造する代わりに、いくつかの実施形態では、デバイス内の固定位置にビーズを保持する構造と組み合わせたピペットチップまたはピペットチップ延長デバイス内に、ビーズを投入することができる。
【0088】
本明細書で使用される「(1つ以上の)ビーズ」という用語は、分析物に結合するのに適した粒子およびその他同様の固体担体を指す。ビーズは、規則的な(例えば、球形、卵形)または不規則な形状(例えば、粗い、ぎざぎざの形状)を有していてもよく、場合によっては非球形(例えば、角度が付いた、多面的な)である。ビーズは、ある実施形態では多孔質であり、ある適用例では非多孔質であってもよい。保持構造の最小開口よりも大きい直径(例えば、公称の、平均、中央、または最大直径)を有するビーズが、一般に利用される。約1ナノメートルから約500マイクロメートルの公称の、平均、または中央直径を有するビーズを利用することができ、例えば、約10ナノメートルから約100マイクロメートル;約100ナノメートルから約100マイクロメートル;約1マイクロメートルから約100マイクロメートル;約10マイクロメートルから約50マイクロメートル;約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、または900ナノメートル;または約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500マイクロメートルなどの公称の、中央、または平均直径を有するものを利用することができる。
【0089】
ビーズは、当業者に公知の様々な不溶性のまたは固体材料から製造することができる。例えば、ビーズは、シリカゲル、ガラス(例えば、制御細孔ガラス(CPG))、ナイロン、Sephadex(登録商標)、Sepharose(登録商標)、セルロース、金属面(例えば、鋼、金、銀、アルミニウム、ケイ素、および銅)、磁性材料、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF))、などを含むことができまたはこれらから本質的になることができる。ビーズは、膨潤性(例えば、Wang樹脂などのポリマービーズ)であっても非膨潤性(例えば、CPG)であってもよい。市販のビーズの例には、Wang樹脂、Merrifield樹脂、およびDynabeads(登録商標)が含まれるが、これらに限定するものではない。ビーズは、固体粒子または内部空隙を含有する粒子として作製してもよい。ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスは、ある実施形態では、1タイプのビーズ、または2種以上のタイプのビーズを含んでいてもよい。
【0090】
当業者なら、実験室用構造にビーズを投入するための方法に馴染んでいる。ビーズは、いくつかの実施形態では、圧縮力を加えることなくデバイス内に易流動性ビーズを注ぐことにより、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイス内に投入してもよい。ある実施形態では、ビーズは、投入された後にデバイス内で圧縮される(例えば、突き固められる)。当業者なら、ビーズが投入された後にデバイス内で圧縮される実施形態のため、適切な圧縮力を選択することができる。ある実施形態では、適切な流体処理パラメータを保持しかつ/またはビーズ構造を著しく変化させない圧縮力が選択される。
【0091】
ビーズは、分析物との結合を容易にする材料で処理することができる。当業者なら、本明細書に記述される材料を含めた、そのような材料を、容易に選択し用いることができる。
【0092】
ビーズはしばしば、保持構造によって、ピペットチップまたはピペット延長デバイス内に保持される。本明細書で規定される「保持構造」は、デバイスの構成要素またはアパーチャであり、またはデバイスに接続されており、ビーズの公称の、平均、または中央直径未満の最小アパーチャを有するものである。保持構造の非限定的な例は、ある実施形態では、ビーズ直径よりも小さい直径(例えば、公称の、平均、中央、または最大直径)または最小の長さを有する、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスの流体放出端部のアパーチャを有する構造である。いくつかの実施形態では、この構造は、流体放出端部に位置付けられたスロット(例えば、スロットアパーチャ)である。ある実施形態では、この構造は、例えば格子、篩、またはメッシュ(例えば、プラスチック、ワイヤメッシュ;平行スロットのアレイ)のアパーチャのアレイなど、多数のアパーチャ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、またはそれ以上のアパーチャ)を含有する。ある実施形態では、アパーチャ含有構造は、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスの流体放出末端に位置付けられている。後者の実施形態では、デバイスの流体放出端部は、角度が付いた、鋭い、穿孔された、楕円形の、丸みの付いた、平らな、および多面的なもの(例えば、アパーチャ(例えばスロット)は、チップの1つ以上の面または小面に位置付けられていてもよい)を含むがこれらに限定されない、任意の都合のよい形状のものであってよい。いくつかの実施形態では、アパーチャ含有構造は、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスとは個別の封止接続(例えば、接着剤または摩擦嵌め接触)している構造内に位置付けられる(例えば、ピペットチップデバイスの流体放出端に封止接続されたアパーチャの格子アレイを含有するバスケット)。保持構造の非限定的な例には、ある実施形態では、ビーズの直径よりも小さい中央、平均、公称の孔径または最大の孔径を有するプラグも含まれる。当業者なら、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイス内にビーズを保持するのに適したプラグを選択することができ(例えば、Moultonの米国特許第5,851,491号)、これらはある実施形態では、繊維材料から製造される。プラグは、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイス内にビーズを保持するのに適した任意の形状のものにすることができ、ある実施形態では、プラグは垂直面を有しまたはプラグの上面および/または底面に対してテーパ状の面を有する。プラグは、場合によっては、当業者により決定された力によってデバイス内に投入された後、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイス内で圧縮される。プラグは、デバイスの流体操作に適したデバイスの任意の部分に沿って位置付けることができる。ある実施形態では、プラグは、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスの長さの下方約70%、60%、50%、40%、30%、または20%のみに位置付けられる。ビーズの上方にプラグを含有するデバイスに関するいくつかの実施形態では、プラグの底面とビーズの上面との間に空隙がある。ある実施形態では、空隙は、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスの体積の約90%までである(例えば、空隙は、ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスの容積の約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、または90%である)。ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスは、ある実施形態では、デバイスの特定の部位でのプラグの保持を容易にすることができる、1つ以上の突出部(例えば、環状突出部)を含む。ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスは、ある実施形態では、1つのプラグまたは2つ以上のプラグを含むことができる。
【0093】
図6Aを参照すると、いくつかの実施形態では、対向する端部に位置付けられた第1の空隙144および第2の空隙146を画定する連続したテーパ付きポリマー壁142を有するポリマーピペットチップデバイス140が提供され、これら第1の空隙144の断面および第2の空隙146の断面は実質的に円形であり実質的に平行であり、第1の空隙144の直径は、第2の空隙146の直径よりも小さい。ポリマーピペットチップデバイス140は、第1のプラグ148および第2のプラグ150も含有し、これら第1のプラグ148および第2のプラグ150は、水不混和性および多孔質材料から構成される。ポリマーピペットチップ140は、第1のプラグ148と第2のプラグ150との間のピペットチップデバイス140の内部にコーティングされたビーズ152を含有し、これら第1のプラグ148および第2のプラグ150は、壁142の内面に接触しており、ピペットチップデバイス140内にビーズ152を含有し、またビーズは、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から任意選択で構成され、またはポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を任意選択で含有していてもよい。
【0094】
図6Bを参照すると、いくつかの実施形態では、ポリマーピペットチップデバイス154が提供される。ポリマーピペットチップデバイス154は、対向する端部に位置付けられた第1の空隙158および第2の空隙160を画定する連続したテーパ付きの第1の壁156を有し、これら第1の空隙158の断面および第2の空隙160の断面は実質的に円形であり実質的に平行であり、第1の空隙158の直径は、第2の空隙160の直径よりも大きい。ポリマーピペットチップデバイス154は、対向する端部に位置付けられた第2の空隙160および第3の空隙164を画定する連続したテーパ付きの第2の壁162も有し、これら第2の空隙160の断面および第3の空隙164の断面は実質的に円形であり実質的に平行であり、第2の空隙160の直径は、第3の空隙164の直径よりも大きく、第2の壁162は第1の壁156と同一の拡がりを持ち、第1の壁156および第2の壁162は同じポリマーから構成され、第2の壁162のテーパ角は、第1の壁156のテーパ角よりも小さい。ポリマーピペットチップデバイス154は、第1のプラグ166および第2のプラグ168も含有し、これら第1のプラグ166および第2のプラグ168は、水不混和性の多孔質材料から構成される。ポリマーピペットチップ154は、第1のプラグ166と第2のプラグ168との間のピペットチップデバイス154の内部に位置付けられたビーズ170も含有し、これら第1のプラグ166および第2のプラグ168は、第2の壁162の内面に接触し、ピペットチップデバイス154内にビーズ170を含有し、またビーズ170は、核酸結合条件下で核酸と結合する材料から任意選択で構成され、またはポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を任意選択で含有していてもよい。
【0095】
図6Cを参照すると、ある実施形態では、ポリマーピペットチップデバイス172が提供される。ポリマーピペットチップデバイス172は、対向する端部に位置付けられた第1の空隙176および第2の空隙178を画定する連続したテーパ付きポリマー壁174を有し、第1の空隙176はスロット形状であり、第2の空隙178の断面は実質的に円形である。ポリマーピペットチップデバイス172は、水不混和性の多孔質材料から構成されたプラグ180も有する。ポリマーピペットチップデバイス172は、第1のプラグ180とスロット176との間のピペットチップデバイス172の内部に位置付けられたビーズ182も含有し、プラグ180は壁174の内面に接触し、スロット幅はビーズの直径よりも小さく、スロット176およびプラグ180は、ピペットチップデバイス172内にビーズ182を含有し、ビーズ182は、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から任意選択で構成され、またはポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を任意選択で含む。
【0096】
次に図6Dを参照すると、ある実施形態では、ポリマーピペットチップデバイス184が提供される。ポリマーピペットチップデバイス184は、対向する端部に位置付けられた第1の空隙188および第2の空隙190を画定する連続したテーパ付きの第1の壁186を有し、第1の空隙188の断面および第2の空隙190の断面は、実質的に円形であり実質的に平行であり、第1の空隙188の直径は、第2の空隙190の直径よりも大きい。ポリマーピペットチップデバイス184は、対向する端部に位置付けられた第2の空隙190および第3の空隙194を画定する連続したテーパ付きの第2の壁192も有し、第3の空隙194はスロット形状であり、第2の空隙190の直径は第3の空隙194の直径よりも大きく、第2の壁192は第1の壁186と同一の拡がりを持ち、第1の壁186および第2の壁192は同じポリマーから構成され、第2の壁192のテーパ角は、第1の壁186のテーパ角よりも小さい。ポリマーピペットチップデバイス184は、水不混和性の多孔質材料から構成されたプラグ180も有する。ポリマーピペットチップデバイス184は、第1のプラグ196とスロット194との間のピペットチップデバイス184の内部に位置付けられたビーズ192も含有し、プラグ196は第2の壁192の内面に接触し、スロット幅はビーズの直径よりも小さく、スロット194およびプラグ196は、ピペットチップデバイス184内にビーズ192を含有し、ビーズ192は、核酸結合条件下で核酸に結合する材料から任意選択で構成され、またはポリペプチド結合条件下でポリペプチドに結合する材料を任意選択で含む。
【0097】
本明細書に記述されるビーズおよび2つのプラグを含有するポリマーピペットチップデバイスは、例えば、第1のプラグを所望の位置までピペットチップ内に挿入し、ピペットチップに所望量のビーズを充填し、第2のプラグをピペットチップ内に挿入することによって、製造することができる。任意選択で、わずかな下方圧力を第2のプラグに加える追加のステップを付加して、ビーズ床の圧密化を補助することができる。ビーズを含有するポリマーピペットチップデバイスに関するある実施形態では、単一プラグおよびスロット形状の流体送達端部を、例えば、ピペットチップに所望量のビーズを充填し、このピペットチップにプラグを挿入することによって、製造することができる。任意選択で、わずかな下方圧力をプラグに加える追加のステップを付加して、ビーズ床の圧密化を補助することができる。
【0098】
(不規則面を含むデバイス)
本明細書では、不規則面を含むデバイスも提供される。不規則面は、分析物に結合できる材料をしばしば含み(例えば、不規則面の上および/または中に)、分析物に結合できる材料は、いくつかの実施形態ではビーズを含む。分析物に結合できる材料は、いくつかの実施形態では不規則面上にコーティングされ、いくつかの実施形態では不規則面の中に埋め込まれておらずまたは不規則面の中に分散していない。材料は、場合によっては不規則面に埋め込まれ、不規則面を形成する本体には分散されない(例えば、不規則面に部分的に埋め込まれる(例えば、ピペットチップ内部の不規則面でビーズを加熱し部分的に融解する))。いくつかの実施形態では、不規則面を含めたデバイスの一部または全ては、分析物に結合する分散材料を含む。いくつかの実施形態では、デバイスは不規則面を含まず、(i)デバイスの表面にコーティングされ、(ii)デバイスの表面に埋め込まれ、(iii)デバイス内に分散され(例えば、デバイスの製造に使用されるポリマーに分散され)、または(iv)前述の組合せである、分析物に結合する材料(例えば、ビーズ)を含む。デバイスは、ピペットチップ、ピペットチップ延長器(例えば、延長デバイス)、管(例えば、遠心分離管、標本管)、またはプレート(例えば、マルチウェルプレート(例えば、96、384、1536ウェルプレート)の1つ以上のウェル)であってもよい。不規則面はしばしば、デバイス内で流体に接触する表面または表面の一部である(例えば、ピペットチップまたは延長器の内面、マルチウェルプレートのウェルの表面、遠心分離管または標本管の内面)。分析物に結合する材料を含む面は、しばしば、デバイス内の流体に接触する面または面の一部である(例えば、ピペットチップまたは延長器の内面、マルチウェルプレートのウェルの面、遠心分離管または標本管の内面)。本明細書の他の部分に記述されるデバイスの特徴は、不規則面を有する同様のデバイスに適用可能である(例えば、不規則面を含む内面を有するピペットチップは、フィルタを含んでいてもよい)。
【0099】
デバイスの不規則面は、滑らかではなく、エッチング、細孔、穴、線、引掻き傷、擦り傷、刻み目、切れ目、彫刻、および切込みを含むがこれらに限定されない1つ以上のテクスチャを含むことができる。テクスチャは、いくつかの実施形態ではデバイスを製造した後に、デバイスの面に導入することができ、ある実施形態では、テクスチャは、デバイスの製造に使用される型部材の面上にあり、鋳造部材がデバイスの面にテクスチャを与える(例えば、不規則面を含むピペットチップの内面を製造するための、コアピン)。テクスチャは、酸エッチングおよび研磨処理プロセス(例えば、サンドブラスト、研磨剤を用いた型部材のタンブリング)を含むがこれらに限定するものではない、金属またはプラスチックデバイスにテクスチャを導入する任意の手順によって、導入することができる。テクスチャは、不規則または実質的に規則的(例えば、規則的な線、穴、引掻き傷、またはこれらの組合せ)にすることができ、任意の適切な深さのものにすることができる(例えば、約0.1ナノメートルから約1ミリメートルの公称の、平均、または中央深さ(例えば、約0.001マイクロメートル、0.01マイクロメートル、0.1マイクロメートル、1マイクロメートル、10マイクロメートル、または100マイクロメートルの公称の、平均、または中央深さ))。
【0100】
分析物に結合することができる材料は、いくつかの実施形態では、デバイスを製造する前に、ポリマー混合物全体にわたって実質的に規則的に分散される。本明細書で使用される「実質的に規則的に分散される」は、ポリマー混合物のある単位であってポリマー混合物の別の単位とほぼ同じ材料濃度を有するものを指し、この単位は、例えば体積単位または質量単位である。分析物と結合することができる材料は、場合によっては、デバイスが製造された後はデバイス全体にわたって実質的に規則的に分散されており、ある実施形態では材料は、不規則面に不均衡に位置付けられている(例えば、デバイス内の材料の約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、または85%が不規則面に位置付けられている)。
【0101】
デバイスの不規則面は、一般に、デバイス内の分析物に結合する材料の一部を露出させる。デバイスの不規則面は、デバイスの面の全体またはデバイスの面の一部にすることができる。不規則面がデバイスの面の一部である場合、不規則面は、場合によってはデバイスの面の約20%から約80%である(例えば、面の約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75%)。デバイスでは、1つ以上の面が不規則面を含んでいてもよい。
【0102】
ポリマーは、本明細書に記述される任意のポリマーにすることができ(例えば、ポリプロピレン)、材料中のビーズは、本明細書に記述される任意のビーズにすることができる(例えば、シリカビーズまたはゲル、疎水性材料を含むビーズ、C−18材料を含むビーズ)。分析物は、いくつかの実施形態では、核酸、ペプチド、タンパク質、または細胞などの生体分子である。
【0103】
本明細書には、分析物を含む組成物とデバイスとを分析物結合条件下で接触させるステップを含む、分析物を単離するための方法も提供され、(i)このデバイスは、分析物に結合する材料を含む不規則面を含み、(ii)この不規則面は、分析物に結合することができる材料を露出させ、(iii)この分析物は材料に結合するものである。いくつかの実施形態では、この方法は、材料から分析物を解離させるステップを含み、ある実施形態ではこの方法は、デバイスから分析物を解放するステップを含む。この方法は、場合によっては、材料と、この材料から分析物以外の物質を解放する溶液とを接触させるステップ(例えば、材料を洗浄するステップ)を含む。
【0104】
本明細書では、デバイスの外側部分を形成する本体と、デバイスの内面を形成する部材とを含む、射出成型プロセスによってデバイスを製造するための型も提供され、この部材は、不規則を有する内面の一部をもたらす不規則面を含むものである。いくつかの実施形態では、部材は、ピペットチップの内面を形成するためのコアピンであり、またはマルチウェルプレートのウェルの底面を形成する部材である。
【0105】
本明細書では、内面および外面を有するデバイスを製造するための方法であって、(a)デバイスの外面を形成する本体およびデバイスの内面を形成する部材を含む型に、液体ポリマー混合物を射出するステップと、(b)型の中でデバイスを硬化する(例えば、部分的に硬化しまたは完全に硬化する)ステップと、(c)型からデバイスを取り外すステップとを含み、前述の部材は、不規則面を有するデバイスの内面の一部をもたらす不規則面を含むものである方法も提供される。ポリマー混合物は、いくつかの実施形態では、ポリマーと、分析物に結合することができる材料とを含む。
【0106】
ある実施形態では、図8Aに、流体吐出器に係合することができる近位領域81および近位端84と、遠位領域82(遠位領域の部分断面図が示されている)および遠位端85を有するピペットチップ80が示されている。ピペットチップ遠位領域82の内面は、不規則面83を含む。遠位領域の壁厚部分85は、分析物に結合できる材料を含むことができ、その一部を、不規則面83に露出させることができる。いくつかの実施形態では、図8Bに部分断面図として、上面91、底面92、およびウェル93を有するマルチウェルプレート90の一部が示されており、ウェル底面は、不規則面94を含むことができる。ウェル底面の厚さ95は、分析物に結合できる材料を含んでいてもよく、その一部を、不規則面94に露出させることができる。
【0107】
(分析物の処理)
本明細書に記述されるデバイス内で使用される挿入物およびビーズは、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、および細胞を含むがこれらに限定されない分析物の単離、精製、濃縮、および/または分画に有用であり、その他の分析物も、適切に構成された挿入物およびビーズを用いて単離することができる。
【0108】
本明細書で使用される「単離した」、「単離する」、または「単離」という用語は、当初の環境(例えば、天然に生じる場合には自然環境であり、または外因的に発現した場合には宿主細胞である)から取り出された材料を指し、したがって、その当初の環境から「人の手によって」変化する。分子に関して本明細書で使用される「単離した」、「単離する」、または「単離」と、「精製した」、「精製する」、または「精製」という用語は、絶対的な純度を指さない。むしろ「精製した」、「精製する」、または「精製」は、その物質が生ずるサンプルと比較したときに、問題の物質以外の同じ種類の中のより少ない物質種(例えば、核酸またはタンパク質種)を含有する組成物中の物質を指す。「精製した」、「精製する」、または「精製」は、例えば核酸またはタンパク質の場合、物質が生ずるサンプルと比較したときに、問題の核酸またはタンパク質以外のより少ない核酸種またはタンパク質種を含有する、組成物中の物質を指す。「濃縮した」、「濃縮する」、または「濃縮」は、サンプル溶液中に存在する任意の塩、緩衝剤、またはその他の化学物質のモル濃度を実質的に増大させることなく、物質種(例えば、核酸またはタンパク質種)の「モル濃度」を増大させる作用を指す。本明細書で使用される「分画した」、「分画する」、または「分画」は、クロマトグラフ法を使用して同様のまたは異なる物質種を分離する作用を指し、例えば、細胞から抽出された核酸の分画であって、その分画の目的は、タンパク質またはRNAを除去するがDNAを維持することであり、場合によってはDNAの全集団を維持することである。DNAは、他の物質種から分画することができるが、その結果は、同じクラス中の物質種が減少するわけではないので、精製とは異なる。
【0109】
本明細書で使用される「ポリペプチド」という用語は、アミノ酸の分子鎖を指し、アミノ酸鎖の特定の長さを指すものではなくまたは推測するものでもない。したがって、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質は、ポリペプチドの規定内に含まれる。この用語は、グリコシル化、アセチル化、およびリン酸化などの発現後修飾の影響下にあったポリペプチドも含むものとする。本明細書で使用される「タンパク質」という用語は、その他のタンパク質、ポリペプチド、RNA、DNA、または任意のその他の有機もしくは無機分子と構造的に、酵素的に、またはその他の様式で相互に作用することが可能な、アミノ酸の任意の分子鎖を指す。
【0110】
本明細書で使用される「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)などのポリヌクレオチドを指す。この用語は、ヌクレオチド類似体から作製されたRNAまたはDNAの均等物、誘導体、変種、および類似体として、1本(センスまたはアンチセンス)および2本鎖ポリヌクレオチドも含むと理解すべきである。「核酸」という用語は、ポリヌクレオチド鎖の特定の長さを指さずまたは推測しないことが理解され、したがってヌクレオチド、ポリヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドもこの規定に含まれる。デオキシリボヌクレオチドは、デオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、およびデオキシチミジンを含む。RNAの場合、ウラシル塩基がウリジンである。ゲノム、プラスミド、環状、線状、ヘアピン、リボザイム、アンチセンス、3重、短ヘテロ核RNA(shRNA)、短阻害RNA(siRNA)、および阻害RNA(RNAi)を含むがこれらに限定されない種々の形およびタイプの核酸を、本明細書に記述されるデバイスに接触させることができる。
【0111】
本明細書で使用する「核酸に結合する材料」は、核酸に特異的にまたは非特異的に結合することができる、任意の有機または無機分子を指す。「有機または無機分子」の範疇には、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、翻訳後修飾の影響下にあるタンパク質、その他の核酸、修飾ヌクレオチドを含有する核酸、および抗体が含まれる。核酸に結合した材料は、場合によっては、核酸に結合する細胞成分など、核酸が処理されるサンプル中に存在する。
【0112】
本明細書で使用される「分析物結合条件」は、分析物がビーズまたは挿入物固体担体に結合する条件を指す。本明細書で使用される「結合」という用語は、分析物と固相との共有結合、非共有結合、特異的、および/または非特異的な相互作用を指す。結合はしばしば可逆的であり、いくつかの実施形態では不可逆的であり、場合によっては結合は、結合相互作用である。いくつかの実施形態での分析物結合条件は、塩、緩衝剤、担体分子、およびカオトロピック濃度を含むがこれらに限定するものではない、分析物とビーズまたは挿入物固体担体との結合を容易にするある成分の特定の温度および/または濃度である。本明細書で使用される「洗浄」という用語は、問題の(1種以上の)分析物ではない固体担体から材料を除去する条件に、固体担体を曝すことを指す。本明細書で使用される「溶出」という用語は、固体担体から問題の(1種以上の)分析物を脱結合する条件に、固体担体を曝すことを指す。
【0113】
ある実施形態では、核酸(例えば、DNA)を、挿入物またはビーズ中のガラス固体担体(例えば、シリカ)に結合させ、いくつかの結合条件は、当技術分野で公知である(例えば、World Wide Web URL biology−web.nmsu.edu/nish/Documents/reprints%20&%20supplemental/DNA%20Isolation%20Procedures.pdf)。例えば、高イオン強度および/または高カオトロープ濃度の条件下で、DNAはシリカに結合することが公知である。高いDNA吸着効率は、表面シラノール基のpKaまたはそれ以下のpHを有する緩衝溶液の存在下で生じることが示される。
【0114】
分析物結合条件は、場合によっては、低ストリンジェンシーまたは高ストリンジェンシーであると分類される。本明細書に記述されるデバイスは、ストリンジェントなハイブリダイゼーションプロトコールと共に使用するために、高温で利用することができる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、約45℃での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)によるハイブリダイゼーションと、その後の、50℃で、0.2×SSC、0.1%SDSで1回以上回洗浄することによるものである。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の別の例は、約45℃での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)によるハイブリダイゼーションと、その後の、55℃で、0.2×SSC、0.1%SDSで1回以上回洗浄することによるものである。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件のその他の例は、約45℃での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)によるハイブリダイゼーションと、その後の、60℃で、0.2×SSC、0.1%SDSで1回以上回洗浄することによるものである。別のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、約45℃での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)によるハイブリダイゼーションと、その後の、65℃で、0.2×SSC、0.1%SDSで1回以上回洗浄することによるものである。あるストリンジェンシー条件は、65℃での0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDS、その後の、65℃で0.2×SSC、1%で1回以上回洗浄することによる。
【0115】
核酸結合は、その他の特異的なまたは非特異的な手段によって引き起こすこともできる。核酸結合条件の非限定的な例は、高塩結合(ガラスとの非特異的相互作用の場合のような高イオン条件)であって、DNA結合が0.75M塩化ナトリウムから1.25M塩化ナトリウムの範囲で生じ、その後、1.25Mから1.6Mに及ぶ塩化ナトリウムの濃度で溶出されるもの;低塩結合(C18コーティング固体担体の場合のような低イオン条件)であって、非特異的疎水性結合が、0から0.1モル(M)塩の範囲の濃度で水性緩衝液中に生じ、また、結合した核酸を、例えば30%まで、40%、50%、60%、70%、80%、およびさらに90%までの、アセトニトリルなどの有機移動相の増大した勾配で溶出できるものである。確かな結合および溶出条件は、核酸のサイズおよび配列に依存する。別の核酸結合条件は、以下の市販されているカタログのプロトコールで入手可能である:PureLink quick plasmid miniprep kit(Invitrogen,Cat.No.K2100−10またはK2100−11),Wizard plus SV Minipreps DNA purification System(Promega,Cat.No.A1330またはA1460),QIAprep Spin Miniprep Kit(Qiagen,Cat.No.27104または27106)、およびGenElute plasmid kids(cat.No.PLN−50、PLN−70、PLN−250、およびPLN−350)。
【0116】
結合−洗浄−溶出手順は、本明細書に記述されるデバイスを使用してサンプルから核酸を処理するのに利用することができる。ある実施形態では、核酸は、溶液中で水和分子から水を除去する、1種以上のカオトロピック剤の存在下で、シリカを含む固体担体に吸着される。カオトロピック剤の例には、グアニジニウム塩(例えば、塩酸グアニジニウムおよびチオシアン酸グアニジウム)および尿素が含まれるが、これらに限定するものではなく、ある実施形態では0.5Mから0.7Mの濃度で利用することができる。多糖およびタンパク質は、固体担体に吸着されず、除去される。洗浄ステップの後、核酸を、低または無塩条件下で少量溶出し、さらに濃縮することなく直ぐに使用できる状態になる。核酸は、当業者に公知の方法によって、最初にサンプル源(例えば、細胞)から単離されてもよい。例えば、アルカリ溶解手順を利用してもよい。後者の手順は、伝統的に、フェノール−クロロホルム溶液の使用を取り入れ、3種の溶液を必要とする代替のフェノール−クロロホルム−フリー手順を利用することができる。後者の手順では、溶液1は、15mM Tris、pH8.0;10mM EDTAおよび100ug/ml Rnase Aを含有することができ、溶液2は、0.2N NaOHおよび1%SDSを含有することができ、溶液3は、3M KOAc、pH5.5を含有することができる。
【0117】
結合−洗浄−溶出手順は、正に帯電した部分で誘導体化されたシリカを含む、挿入物およびビーズ固相と共に、利用することもできる。ある実施形態では、高密度のジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するシリカ材料を使用して、核酸を単離することができる。単離は、核酸主鎖の負に帯電したホスフェートと、樹脂表面の正に帯電したDEAE基との間の相互作用をベースにする。ジエチル−(2−ヒドロキシプロピル)アミノエチルおよびトリメチルアミンなどが含まれるが、これらに限定するものではなく、その他の帯電した基を利用することができる。各ステップで使用される緩衝液の塩濃度およびpH条件は、核酸の結合、洗浄ストリンジェンシー、および溶出を制御する。pH条件と緩衝液との組合せは、World Wide WebアドレスURL qiagen.com/Plasmid/AnionExchangeResin.aspx.に記載されている。例えば、約0.4Mから約2.0Mの範囲の塩濃度(例えば、NaCl)は、DNAまたはRNAの抽出用に約6.0から約9.0の範囲のpHと共に使用してもよく、その場合、より高い塩濃度をより低いpH溶液と共に利用する。
【0118】
前述のように、固相担体は、特定の遺伝子配列、特定のペプチド配列、抗体、およびその他の有機または無機分子など、親和性結合試薬で機能化することができる。そのような機能化された固相と分析物とを結合させる条件は、当技術分野で公知である。そのような担体から分析物を洗浄し、溶出する条件も、当技術分野で公知である。例えばポリペプチドは、アセトニトリルなどの有機溶媒の量を増加させることによって(例えば、約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%)、溶出することができる。当業者なら、確かな結合および溶出条件は、問題の分析物のサイズおよび配列と、この分析物が結合する固相とに依存することに理解されよう。
【0119】
本明細書に記述されたデバイスを使用して処理された分析物は、当業者に公知の方法によって検出することができる。ポリペプチドを検出するための方法は周知であり(例えば、Coomassieブルー、Bradford試薬)、核酸を検出する方法も公知である。例えば、波長260nmおよび280nmでのDNA溶液の吸光度の強度測定は、DNAの純度の尺度として使用される。DNAは、260および280nmで紫外(UV)光を吸収し、芳香族タンパク質は280nmでUV光を吸収し、DNAの純粋なサンプルは、1.8の260/280比を有し、タンパク質汚染が比較的存在しない。タンパク質で汚染されたDNA調製物は、1.8よりも低い260/280比を有することになる。別の例では、本明細書に記述されるデバイスを使用して処理されたDNAサンプルは、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および転写媒介増幅(TMA)プロセスなど、当技術分野で公知の技法を使用して増幅することができる。定量的PCR(Q−PCR)プロセスは、サンプル中の特定のDNA配列の量を決定するのに、当技術分野で公知である。また、DNAは、制限酵素で切断し、アガロースゲルで生成物を電気泳動させ、臭化エチジウムまたは異なる染色液で染色し、DNAの強度と公知の濃度のDNAマーカーとを比較することにより、定量することができる。核酸は、600nmでの分光分析検出によって、ジフェニルアミン(DPA)指示薬を用いて、かつ公知の核酸濃度の標準曲線を使用して、定量することもできる。
【実施例】
【0120】
以下に、本発明のある実施形態の、非限定的な実施例について記述する。
【0121】
A1. 対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きポリマー壁であって、第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも小さいポリマー壁と、
第1の空隙と第2の空隙との間のポリマー壁の内面の一部に接触する挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【0122】
A2. 壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、環状突出部の断面が、第1の空隙および第2の空隙の断面と実質的に平行であり、壁および環状突出部は同じポリマーから構成され、環状突出部の少なくとも一部は挿入物に接触している、実施形態A1のポリマーピペットチップデバイス。
【0123】
A3. 対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第1の壁であって、第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも大きい第1の壁と、
対向する端部に位置付けられた第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第2の壁であって、第2の空隙の断面および第3の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、第2の空隙の直径が第3の空隙の直径よりも大きく、第2の壁が第1の壁と同一の拡がりを持ち、第1の壁および第2の壁は同じポリマーから構成され、第2の壁のテーパ角が第1の壁のテーパ角より小さい第2の壁と、
第2の空隙および第3の空隙の間の第2の壁の内面の一部に接触している挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【0124】
A4. 壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、環状突出部の断面が、第1の空隙および第2の空隙の断面と実質的に平行であり、壁および環状突出部が同じポリマーから構成され、環状突出部の少なくとも一部が挿入物に接触している、実施形態A3のポリマーピペットチップデバイス。
【0125】
A5. ポリマーハウジングであって、ハウジングの対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する、外面および内面を含み、
第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、
第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも大きく、
第1の空隙の直径および第1の空隙に隣接しているハウジングの一部がピペットチップの流体送達端部を覆って嵌合するように適合されているポリマーハウジングと、
ハウジングの内面の一部に接触している挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、ポリマーピペットチップ延長デバイス。
【0126】
A6. ハウジング壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、環状突出部の少なくとも一部が挿入物の一部に接触している、ポリマーピペットチップ延長デバイス。
【0127】
7. 繊維が、光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維である、実施形態A1からA6のいずれか1つのピペットチップデバイスまたはピペットチップ延長デバイス。
【0128】
A8. 繊維が多繊維束またはアレイ状に配置されている、実施形態A1からA7のいずれかのピペットチップデバイスまたはピペットチップ延長デバイス。
【0129】
A9. ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスの容積が、0から10マイクロリットル、0から20マイクロリットル、1から100マイクロリットル、1から200マイクロリットル、または1から1000マイクロリットルに及ぶ、実施形態A1からA8のいずれか1つのピペットチップデバイスまたはピペットチップ延長デバイス。
【0130】
A10. ピペットチップ延長デバイスをピペットチップに取り付けるための方法であって、
実施形態A5からA9のいずれか1つのピペットチップ延長デバイスの第1の空隙に隣接したハウジング部分を、ピペットチップの流体送達端部に接触させるステップと、
ピペットチップとピペットチップ延長デバイスとの間に圧力を加えるステップと、
ピペットチップ延長デバイスをピペットチップに対して任意選択で捻るステップと
を含み、ピペットチップ延長デバイスのハウジングが、ピペットチップの流体吐出部分に据え付けられる方法。
【0131】
A11. ピペットチップ延長デバイスが、分析物を含む流体に接触している、実施形態10の方法。
【0132】
A12. 本体および蓋と、
本体の内面に添着される挿入物であって、挿入物は(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、実験室用流体処理容器デバイス。
【0133】
A13. 本体および蓋と、
蓋の内面に添着される挿入物であって、挿入物は(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、実験室用流体処理容器デバイス。
【0134】
A14. 容器が微量遠心分離管である、実施形態A12またはA13の実験室用流体処理容器デバイス。
【0135】
A15. 微量遠心分離管が、最大約250マイクロリットル、500マイクロリットル、1.5ミリリットル、または2.0ミリリットルの容積を有する、実施形態A14の実験室用流体処理容器デバイス。
【0136】
A16. 容器が標本容器である、実施形態A12またはA13の実験室用流体処理容器デバイス。
【0137】
A17. 標本容器が、最大約15ミリリットル、20ミリリットル、4オンス、4.5オンス、5オンス、7オンス、8オンス、または9オンスの体積を含有することができる、実施形態A16の実験室用流体処理容器デバイス。
【0138】
A18. 熱可塑性樹脂またはポリマーを含む、実施形態A12からA17のいずれか1つの実験室用流体処理容器デバイス。
【0139】
A19. 蓋または本体が、熱可塑性樹脂またはポリマーの追加のボスと共に製造される、実施形態A18の実験室用流体処理容器デバイス。
【0140】
A20. 追加の熱可塑性樹脂またはポリマーのボスが、挿入物に融着されまたは部分的に融着される、実施形態A19の実験室用流体処理容器デバイス。
【0141】
A21. 挿入物が接着剤によって添着されている、実施形態A18の実験室用流体処理容器デバイス。
【0142】
A22. 接着剤が、化学的および/または生物学的に不活性である、実施形態A21の実験室用流体処理容器デバイス。
【0143】
A23. 繊維が、光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維である、実施形態A12からA22のいずれか1つの実験室用流体処理容器デバイス。
【0144】
AA24. 繊維が、多繊維束またはアレイ状に配置されている、実施形態A12からA23のいずれか1つの実験室用流体処理容器デバイス。
【0145】
A26. 毛管流動チャネルに流体連絡している1つ以上の挿入物を含むマイクロ流体デバイスであって、挿入物が、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用しているデバイス。
【0146】
A27. 繊維が、光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維である、実施形態A26のマイクロ流体デバイス。
【0147】
A28. 繊維が、多繊維束またはアレイ状に配置されている、実施形態A26またはA27のマイクロ流体デバイス。
【0148】
A29. ポリマーピペットチップデバイスであって、
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きのポリマー壁であって、第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも小さいポリマー壁と、
多孔質材料から構成された第1のプラグおよび第2のプラグと、
第1のプラグと第2のプラグとの間のピペットチップデバイス内部に位置付けられたビーズであって、第1のプラグおよび第2のプラグが壁の内面に接触しておりかつピペットチップデバイス内にビーズを含有し、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズと
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【0149】
A30. ポリマーピペットチップデバイスであって、
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第1の壁であって、第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも大きい第1の壁と、
対向する端部に位置付けられた第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第2の壁であって、第2の空隙の断面および第3の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、第2の空隙の直径が第3の空隙の直径よりも大きく、第2の壁が第1の壁と同一の拡がりを持ち、第1の壁および第2の壁が同じポリマーから構成され、第2の壁のテーパ角が第1の壁のテーパ角よりも小さい第2の壁と、
壁の内面に接触している第1のプラグおよび第2のプラグであって、多孔質材料から構成された第1のプラグおよび第2のプラグと、
第1のプラグと第2のプラグとの間のピペットチップデバイス内部に位置付けられたビーズであって、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズと
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【0150】
A31. ポリマーピペットチップデバイスであって、
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きのポリマー壁であって、第1の空隙がスロットであり、第2の空隙の断面が実質的に円形であるポリマー壁と、
多孔質材料から構成されたプラグと、
第1のプラグおよびスロットの間のピペットチップデバイス内部に位置付けられたビーズであって、プラグが壁の内面に接触しており、スロットの幅がビーズの直径よりも小さく、スロットおよびプラグがピペットチップデバイス内にビーズを含有し、ビーズは分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズと
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【0151】
A32. 対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第1の壁であって、第1の空隙の断面および第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、第1の空隙の直径が第2の空隙の直径よりも大きい第1の壁と、
対向する端部に位置付けられた第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第2の壁であって、第3の空隙がスロットであり、第2の壁が第1の壁と同一の拡がりを持ち、第1の壁および第2の壁が同じポリマーから構成され、第2の壁のテーパ角が第1の壁のテーパ角よりも小さい第2の壁と、
多孔質材料から構成されたプラグと、
第1のプラグおよびスロットの間のピペットチップデバイス内部に位置付けられたビーズであって、プラグが第1の壁または第2の壁の内面に接触しており、スロットの幅がビーズの直径よりも小さく、スロットおよびプラグがピペットチップデバイス内にビーズを含有し、ビーズは分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズと
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【0152】
A33. ビーズが、シリカゲル、ガラス(例えば、制御細孔ガラス(CPG))、ナイロン、Sephadex(登録商標)、Sepharose(登録商標)、セルロース、金属面(例えば、鋼、金、銀、アルミニウム、ケイ素、および銅)、磁性材料、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF))、Wang樹脂、Merrifield樹脂、またはDynabeads(登録商標)である、実施形態A29からA32のいずれか1つのポリマーピペットチップデバイス。
【0153】
A34. ビーズおよび少なくとも2つのプラグを含有するポリマーピペットチップデバイスを製造するための方法であって、
ピペットチップ内の決定した位置に第1のプラグを挿入するステップと、
ピペットチップに、決定した量のビーズを充填するステップと、
第2のプラグをピペットチップに挿入し、第1のプラグと第2のプラグとの間にビーズを位置付けるステップと
を含む方法。
【0154】
35. ビーズ、単一のプラグ、およびスロット形状の流体送達端部を含有するポリマーピペットチップデバイスを製造するための方法であって、
ピペットチップに、決定した量のビーズを充填するステップと、
プラグをピペットチップに挿入し、プラグとスロットとの間にビーズを位置付けるステップと
を含む方法。
【0155】
A36. 分析物が、核酸、ペプチド、ポリペプチド、または細胞である、実施形態A1からA33のいずれか1つのデバイスまたは方法。
【0156】
A37. 挿入物が分析物に結合している、実施形態A1からA9およびA12からA28のいずれか1つのデバイス。
【0157】
A38. ビーズの全てまたは一部が分析物に結合している、実施形態A29からA33のいずれか1つのデバイス。
【0158】
A39. 分析物が、核酸、ペプチド、ポリペプチド、または細胞である、実施形態A37またはA38のデバイス。
【0159】
A40. 分析物が、挿入物に可逆的に結合している、実施形態A37からA39のいずれか1つのデバイス。
【0160】
A41. 分析物を、実施形態A1からA9およびA12からA28のいずれか1つのデバイスに結合するための方法であって、分析物が挿入物に結合する条件下で、分析物とデバイスの挿入物とを接触させるステップを含む方法。
【0161】
A42. 実施形態A1からA9およびA12からA28のいずれか1つのデバイスを使用して分析物を単離するための方法であって、
分析物が挿入物に結合する条件下で、分析物と実施形態1から9および12から28のいずれか1つのデバイスとを接触させるステップと、
挿入物に結合した任意の非分析物成分を選択的に除去する条件に、挿入物を任意選択で曝すステップと、
挿入物から分析物を溶出する条件に、挿入物を曝すステップと
を含む方法。
【0162】
A43. 分析物が核酸である、実施形態A41またはA42の方法。
【0163】
A44. 分析物がポリペプチドである、実施形態A41またはA42の方法。
【0164】
A45. 分析物を、実施形態A29からA33のいずれか1つのデバイスに結合するための方法であって、分析物がビーズに結合する条件下で、分析物とデバイスのビーズとを接触させるステップを含む方法。
【0165】
A46. 実施形態A29からA33のいずれか1つのデバイスを使用して分析物を単離するための方法であって、
分析物がビーズに結合する条件下で、分析物と実施形態A29からA33のいずれか1つのデバイスとを接触させるステップと、
挿入物に結合した任意の非分析物成分を選択的に除去する条件に、ビーズを任意選択で曝すステップと、
挿入物から分析物を溶出する条件に、ビーズを曝すステップと
を含む方法。
【0166】
A47. 分析物が核酸である、実施形態A45またはA46の方法。
【0167】
A48. 分析物がポリペプチドである、実施形態A45またはA46の方法。
【0168】
B1. ピペットチップおよび挿入物を内部に含む、ポリマーピペットチップデバイスであって、挿入物が、実質的に平行な向きに向けられたフィンのアレイを含むデバイス。
【0169】
B2. フィンがガラスから構成されている、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0170】
B3. フィンがシリカから構成されている、実施形態B1のピペットデバイス。
【0171】
B4. フィンがポリマーから構成されている、実施形態B1のピペットデバイス。
【0172】
B5. フィンが、挿入物の一端から他端に延び、挿入物の長手方向の軸に実質的に平行である、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0173】
B6. フィンが放射形対称に配置されている、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0174】
B7. フィンが格子パターンに配置されている、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0175】
B8. フィンがS字状パターンに配置されている、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0176】
B9. フィンの断面が、0.001から0.010ミリメートルの厚さである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0177】
B10. フィンの断面が、0.010から0.050ミリメートルの厚さである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0178】
B11. フィンの断面が、0.050から0.10ミリメートルの厚さである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0179】
B12. フィンの長さが、1.0から2.0ミリメートルの長さである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0180】
B13. フィンの長さが、2.0から3.5ミリメートルの長さである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0181】
B14. フィンの長さが、3.5から5.0ミリメートルの長さである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0182】
B15. フィンの表面積が、0.01から1.5平方ミリメートルである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0183】
B16. フィンの表面積が、1.5から3.5平方ミリメートルである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0184】
B17. フィンの表面積が、3.5から5.0平方ミリメートルである、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0185】
B18. フィンが外部シェルによって取り囲まれている、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0186】
B19. 外部シェルの断面が、0.01から0.10ミリメートルの厚さである、実施形態B18のピペットチップデバイス。
【0187】
B20. 外部シェルの断面が、0.10から0.50ミリメートルの厚さである、実施形態B18のピペットチップデバイス。
【0188】
B21. 外部シェルの断面が、0.50から1.0ミリメートルの厚さである、実施形態B18のピペットチップデバイス。
【0189】
B22. 外部シェルがガラスまたはポリマーである、実施形態B18のピペットチップデバイス。
【0190】
B23. 外部シェルが、ピペットチップの側面に融着している、実施形態B18のピペットチップデバイス。
【0191】
B24. 外部シェルが、接着剤によってピペットチップに添着されている、実施形態B23のピペットチップデバイス。
【0192】
B25. 接着剤が化学的および/または生物学的に不活性である、実施形態B23のピペットチップデバイス。
【0193】
B26. 挿入物が分析物に結合される、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0194】
B27. 分析物が、核酸、ペプチド、ポリペプチド、または細胞である、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0195】
B28. 分析物が挿入物に可逆的に結合される、実施形態B1のピペットチップデバイス。
【0196】
B29. 分析物を、実施形態B1からB28のいずれか1つのデバイスに結合するための方法であって、分析物が挿入物に結合する条件下で、分析物とデバイスの挿入物とを接触させるステップを含む方法。
【0197】
B30. 分析物が核酸またはタンパク質である、実施形態29の方法。
【0198】
B31. 分析物が挿入物に結合する条件下で、分析物と実施形態B1からB28のいずれか1つのデバイスとを接触させるステップと、
挿入物に結合した任意の非分析物成分を選択的に除去する条件に、挿入物を任意選択で曝すステップと、
挿入物から分析物を溶出する条件に、挿入物を曝すステップと
を含む、分析物を単離するための方法。
【0199】
C1. 第1の末端空隙および第2の末端空隙およびフィルタ挿入物を含むピペットチップであって、
第1の末端空隙の断面積が、第2の末端空隙の断面積よりも小さく、
フィルタ挿入物またはその一部が、ピペットチップ内部に位置付けられており、
第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部が、第1の末端空隙と実質的に同じ部位に位置付けられ、または第1の末端空隙付近にある、ピペットチップ。
【0200】
C2. 第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部が、第1の末端空隙の0から5ミリメートル以内にある、実施形態C1のピペットチップ。
【0201】
C3. フィルタ挿入物の端部がピペットチップの外側に位置付けられている、実施形態C1またはC2のピペットチップ。
【0202】
C4. フィルタ挿入物の端部が、ピペットチップの内部に位置付けられている、実施形態C1またはC2のピペットチップ。
【0203】
C5. ピペットチップ内部に位置付けられ、フィルタ挿入物よりも第2の末端空隙に近い、本明細書に記述された第2の挿入物をさらに含む、実施形態C1からC4のいずれか1つのピペットチップ。
【0204】
C6. 第2の挿入物がビーズおよび/または繊維を含む、実施形態C5のピペットチップ。
【0205】
D1. 第1の末端空隙および第2の末端空隙およびフィルタ挿入物を含むピペットチップであって、(i)第1の末端空隙の断面積が、第2の末端空隙の断面積よりも小さく、(ii)フィルタ挿入物またはその一部が、ピペットチップ内部に位置付けられており、(iii)第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部が、第1の末端空隙と実質的に同じ部位に位置付けられ、または第1の末端空隙付近にある、ピペットチップ。
【0206】
D2. 第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部が、第1の末端空隙の約0から約5ミリメートル以内にある、実施形態D1のピペットチップ。
【0207】
D3. フィルタ挿入物の端部がピペットチップの外側に位置付けられている、実施形態D1またはD2のピペットチップ。
【0208】
D4. 第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部を含むフィルタ挿入物全体が、ピペットチップの内部に位置付けられている、実施形態D1またはD2のピペットチップ。
【0209】
D5. フィルタ挿入物よりも第2の末端空隙に近いピペットチップ内部に位置付けられた、分析物と相互に作用することができる材料または第2の挿入物をさらに含む、実施形態のいずれか1つのピペットチップ。
【0210】
D6. 材料または第2の挿入物がビーズを含む、実施形態D5のピペットチップ。
【0211】
D7. ビーズが遊離ビーズである、実施形態D6のピペットチップ。
【0212】
D8. ビーズが焼結された、実施形態D6のピペットチップ。
【0213】
D9. 材料または第2の挿入物が樹脂を含む、実施形態D5のピペットチップ。
【0214】
D10. 材料または第2の挿入物が1つ以上の繊維を含む、実施形態D5のピペットチップ。
【0215】
D11. 材料または第2の挿入物がフィルタ挿入物に接触している、実施形態D5からD10のいずれか1つのピペットチップ。
【0216】
D12. 材料または第2の挿入物が障壁に接触している、実施形態D5からD11のいずれか1つのピペットチップ。
【0217】
D13. 障壁が、フィルタ挿入物以外のフィルタである、実施形態D12のピペットチップ。
【0218】
D14. 障壁がフリットである、実施形態D12のピペットチップ。
【0219】
D15. 組成物中の1種以上の物質から分析物を単離するための方法であって、
(a)1種以上の物質を含む組成物中の分析物を、第1の末端空隙、第2の末端空隙、フィルタ、および材料または挿入物に分析物が結合する条件下で分析物に結合することができる材料または挿入物を含むピペットチップに接触させ、(i)第1の末端空隙の断面積が第2の末端空隙の断面積よりも小さく、(ii)フィルタまたはその一部がピペットチップ内部に位置付けられ、(iii)第1の末端空隙に最も近いフィルタの端部が第1の末端空隙と実質的に同じ位置に位置付けられ、または第1の末端空隙付近にあり、(iv)材料または挿入物が、フィルタよりも第2の末端空隙に近いピペットチップ内部にあり、(v)分析物がフィルタ内を流れ、材料または挿入物に結合し、1種以上の物質は材料または挿入物に接触しないステップと、
(b)分析物を材料または挿入物から解離し、分析物をピペットチップから排出し、それによって分析物を1種以上の物質から単離するステップと
を含む方法。
【0220】
D16. 分析物が生物学的薬剤である、実施形態D15の方法。
【0221】
D17. 分析物が、核酸、ペプチド、タンパク質または細胞である、実施形態D16の方法。
【0222】
D18. (b)の前に、挿入物または材料を、挿入物または材料から分析物を解離させない洗浄溶液に接触させるステップをさらに含む、実施形態D15からD17のいずれか1つの方法。
【0223】
D19. 第1の末端空隙に最も近いフィルタの端部が、第1の末端空隙の約0から約5ミリメートル以内にある、実施形態D15からD18のいずれか1つの方法。
【0224】
D20. フィルタの端部が、ピペットチップの外側に位置付けられている、実施形態D15からD18のいずれか1つの方法。
【0225】
D21. 第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部を含むフィルタ全体が、ピペットチップの内部に位置付けられている、実施形態D15からD18のいずれか1つの方法。
【0226】
D22. 材料または挿入物がビーズを含む、実施形態D15からD21のいずれか1つの方法。
【0227】
D23. ビーズが遊離ビーズである、実施形態D22の方法。
【0228】
D24. ビーズが焼結されている、実施形態D22の方法。
【0229】
D25. 材料または挿入物が樹脂を含む、実施形態D15からD21のいずれか1つの方法。
【0230】
D26. 材料または挿入物が1つ以上の繊維を含む、実施形態D15からD21のいずれか1つの方法。
【0231】
D27. 材料または挿入物がフィルタに接触している、D15からD26のいずれか1つの方法。
【0232】
D28. 材料または挿入物が障壁に接触している、実施形態D15からD27のいずれか1つの方法。
【0233】
D29. 障壁が、第1の末端空隙にまたは第1の末端空隙付近にあるフィルタ以外のフィルタである、実施形態D28の方法。
【0234】
D30. 障壁がフリットである、実施形態D28の方法。
【0235】
E1. 内面および外面を含む、ポリマー混合物から製造されたピペットチップであって、(i)内面の一部が不規則であり、(ii)ポリマー混合物が、ポリマーと、分析物に結合することができる材料とを含み、(iii)分析物に結合することができる材料が、ピペットチップの製造前に、ポリマー混合物全体にわたって実質的に規則的に分散させられており、(iv)不規則な内面部分が、分析物に結合することができる材料を露出させる、ピペットチップ。
【0236】
E2. 不規則な内面がエッチングされた面である、実施形態E1のピペットチップ。
【0237】
E3. エッチングされた面が、実質的に規則的なエッチングを含む、実施形態E2のピペットチップ。
【0238】
E4. ポリマーがポリプロピレンである、実施形態E1からE3のいずれか1つのピペットチップ。
【0239】
E5. 分析物が生体分子である、実施形態E1からE4のいずれか1つのピペットチップ。
【0240】
E6. 生体分子が、核酸、ペプチド、タンパク質、または細胞である、実施形態E5のピペットチップ。
【0241】
E7. 分析物に結合することができる材料がビーズを含む、実施形態E1からE6のいずれか1つのピペットチップ。
【0242】
E8. ビーズがシリカを含む、実施形態E7のピペットチップ。
【0243】
E9. ビーズが疎水性材料を含む、実施形態E8のピペットチップ。
【0244】
E10. 疎水性材料がC−18である、実施形態E9のピペットチップ。
【0245】
E11. (a)分析物結合条件下で、分析物を含む組成物をピペットチップに接触させるステップであって、(i)ピペットチップがポリマー混合物から製造されかつ内面および外面を含み、(ii)内面の一部が不規則であり、(iii)ポリマー混合物が、ポリマーと、分析物に結合することができる材料とを含み、(iv)分析物に結合することができる材料が、ピペットチップの製造前に、ポリマー混合物全体にわたって実質的に規則的に分散させられ、(v)不規則な内面の一部が、分析物に結合することができる材料を露出させ、(vi)分析物が材料に結合するステップと、(b)分析物を材料から解離し、分析物をピペットチップから排出し、それによって分析物を単離するステップとを含む、分析物を単離するための方法。
【0246】
E12. 不規則な内面がエッチングされた面である、実施形態E11の方法。
【0247】
E13. エッチングされた面が、実質的に規則的なエッチングを含む、実施形態E12の方法。
【0248】
E14. ポリマーがポリプロピレンである、実施形態E11からE13のいずれか1つの方法。
【0249】
E15. 分析物が生体分子である、実施形態E11からE14のいずれか1つの方法。
【0250】
E16. 生体分子が、核酸、ペプチド、タンパク質、または細胞である、実施形態E15の方法。
【0251】
E17. 分析物に結合することができる材料が、ビーズを含む、実施形態E11からE16のいずれか1つの方法。
【0252】
E18. ビーズがシリカを含む、実施形態E17の方法。
【0253】
E19. ビーズが疎水性材料を含む、実施形態E18の方法。
【0254】
E20. 疎水性材料がC−18である、実施形態E19の方法。
【0255】
F1. 射出成型プロセスによって外面および内面を有するピペットチップを製造するための型であって、外面を形成する本体と内面を形成するコアピンとを含み、コアピンが、不規則なピペットチップの内面部分をもたらす不規則面を含む型。
【0256】
F2. コアピンの不規則面が、エッチングされた面である、実施形態F1の型。
【0257】
F3. エッチングされた面が、実質的に規則的なエッチングを含む、実施形態F2の型。
【0258】
F4. 内面および外面を有するピペットチップを製造するための方法であって、(a)ピペットチップの外面を形成する本体とピペットチップの内面を形成するコアピンとを含む型に、液体ポリマー混合物を射出するステップと、(b)型の中でピペットチップを形成するステップと、(c)型からピペットチップを取り外すステップとを含み、コアピンは、不規則なピペットチップの内面部分をもたらす不規則面を含む方法。
【0259】
F5. コアピンの不規則面が、エッチングされた面である、実施形態F4の方法。
【0260】
F6. エッチングされた面が、実質的に規則的なエッチングを含む、実施形態F5の方法。
【0261】
F7. ポリマー混合物が、ポリマーと、分析物に結合することができる材料とを含む、実施形態F4からF6のいずれか1つの方法。
【0262】
F8. 分析物に結合することができる材料が、ポリマー混合物全体にわたって実質的に規則的に分散させられている、実施形態F7の方法。
【0263】
F9. 不規則なピペットチップの内面部分が、分析物に結合することができる材料を露出させる、実施形態F7またはF8の方法。
【0264】
F10. 分析物に結合することができる材料がビーズを含む、実施形態F7からF9のいずれか1つの方法。
【0265】
F11. ビーズがシリカを含む、実施形態E10の方法。
【0266】
F12. ビーズが疎水性材料を含む、実施形態E10の方法。
【0267】
F13. 疎水性材料がC−18である、実施形態E12の方法。
【0268】
本明細書で参照される各特許、特許出願、刊行物、および文献の全体は、本明細書に参考として援用される。上記特許、特許出願、刊行物、および文献の引用は、前述のいずれかが関連ある従来技術であることを認めたものではなく、これら刊行物または文献の内容または日付に関していかなる承認も構成するものではない。
【0269】
本発明の基本的な態様から逸脱することなく、前述の内容に修正を加えてもよい。本発明について、1つ以上の特定の実施形態を参照しながらかなり詳細に記述してきたが、当業者なら、本出願で特に開示された実施形態に変更を加えてもよく、それでもこれらの修正および改善は本発明の範囲および精神に包含されることが理解されよう。
【0270】
本明細書に例示的に記述される本発明は適切に、本明細書に具体的に開示されていない(1つ以上の)任意の要素が存在しない状態で実施することができる。したがって、例えば、本明細書のそれぞれの場合において、「含む」、「から本質的になる」、および「からなる」という用語のいずれかは、その他の2つの用語に取って代わることができる。用いられてきた用語および表現は、説明上用いられかつ限定するものではなく、そのような用語および表現の使用は、図示され記述された特徴の任意の均等物またはその部分を除外するものではなく、様々な修正例が、特許請求の範囲に記述される本発明の範囲内で可能である。「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、1つの要素なのか以上の要素なのか文脈上明らかに記述されていない限り、修飾する要素の1つ以上(例えば、「試薬(a reagent)」は、1つ以上の試薬を意味することができる)を指すことができる。本明細書で使用される「約」という用語は、基礎をなすパラメータの10%以内の値(即ち、±10%)を指し、一連の値の始まりに「約」という用語を使用する場合は、値のそれぞれを修飾する(即ち、「約1、2、および3」は、約1、約2、および約3である)。例えば、「約100g」の重量は、90gから110gの間の重量を含むことができる。さらに、値のリストが本明細書に記述される場合(例えば、約50%、60%、70%、80%、85%、または86%)、このリストは、全ての中間値およびその部分的な値(例えば、54%、85.4%)を含む。したがって、本発明を代表的な実施形態および任意選択の特徴によって具体的に開示してきたが、本明細書に開示された概念の修正例および変形例を当業者は利用することができ、そのような修正例および変形例は、本発明の範囲内にあると見なされることを理解すべきである。
【0271】
本発明の、ある実施形態を、以下の特許請求の範囲に記述する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きポリマー壁であって、該第1の空隙の断面および該第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、該第1の空隙の直径が該第2の空隙の直径よりも小さいポリマー壁と、
該第1の空隙と第2の空隙との間のポリマー壁の内面の一部に接触する挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、該空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【請求項2】
前記壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、該環状突出部の断面が、前記第1の空隙および前記第2の空隙の断面と実質的に平行であり、該壁および該環状突出部は同じポリマーから構成され、該環状突出部の少なくとも一部は前記挿入物に接触している、請求項1に記載のポリマーピペットチップデバイス。
【請求項3】
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第1の壁であって、該第1の空隙の断面および該第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、該第1の空隙の直径が該第2の空隙の直径よりも大きい第1の壁と、
対向する端部に位置付けられた該第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第2の壁であって、該第2の空隙の断面および該第3の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、該第2の空隙の直径が該第3の空隙の直径よりも大きく、該第2の壁が該第1の壁と同一の拡がりを持ち、該第1の壁および第2の壁は同じポリマーから構成され、該第2の壁のテーパ角が該第1の壁のテーパ角より小さい第2の壁と、
該第2の空隙および該第3の空隙の間の該第2の壁の内面の一部に接触している挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、該空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【請求項4】
前記壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、該環状突出部の断面が、前記第1の空隙および前記第2の空隙の断面と実質的に平行であり、該壁および該環状突出部が同じポリマーから構成され、該環状突出部の少なくとも一部が挿入物に接触している、請求項3に記載のポリマーピペットチップデバイス。
【請求項5】
ポリマーハウジングであって、該ポリマーハウジングは、該ハウジングの対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する、外面および内面を含み、
該第1の空隙の断面および該第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、
該第1の空隙の直径が該第2の空隙の直径よりも大きく、
該第1の空隙の直径および該第1の空隙に隣接している該ハウジングの一部がピペットチップの流体送達端部を覆って嵌合するように適合されているポリマーハウジングと、
該ハウジングの内面の一部に接触している挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、該空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、ポリマーピペットチップ延長デバイス。
【請求項6】
ハウジング壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、該環状突出部の少なくとも一部が挿入物の一部に接触している、ポリマーピペットチップ延長デバイス。
【請求項7】
前記繊維が、光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維である、請求項A1からA6のいずれか一項に記載のピペットチップデバイスまたはピペットチップ延長デバイス。
【請求項8】
前記繊維が多繊維束またはアレイ状に配置されている、請求項1から7のいずれかに記載のピペットチップデバイスまたはピペットチップ延長デバイス。
【請求項9】
前記ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスの容積が、0から10マイクロリットル、0から20マイクロリットル、1から100マイクロリットル、1から200マイクロリットル、または1から1000マイクロリットルに及ぶ、請求項1から8のいずれか一項に記載のピペットチップデバイスまたはピペットチップ延長デバイス。
【請求項10】
ピペットチップ延長デバイスをピペットチップに取り付けるための方法であって、
請求項A5からA9のいずれか一項に記載のピペットチップ延長デバイスの第1の空隙に隣接したハウジング部分を、ピペットチップの前記流体送達端部に接触させることと、
該ピペットチップと該ピペットチップ延長デバイスとの間に圧力を加えることと、
該ピペットチップ延長デバイスを該ピペットチップに対して任意選択で捻ることと
を含み、該ピペットチップ延長デバイスのハウジングが、該ピペットチップの流体吐出部分に据え付けられる方法。
【請求項11】
前記ピペットチップ延長デバイスが、分析物を含む流体に接触している、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
本体および蓋と、
該本体の内面に添着される挿入物であって、該挿入物は、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、該空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項13】
本体および蓋と、
該蓋の内面に添着される挿入物であって、該挿入物は、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、該空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項14】
前記容器が微量遠心分離管である、請求項12または13に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項15】
前記微量遠心分離管が、最大約250マイクロリットル、500マイクロリットル、1.5ミリリットル、または2.0ミリリットルの容積を有する、請求項14に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項16】
前記容器が標本容器である、請求項12または13に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項17】
前記標本容器が、最大約15ミリリットル、20ミリリットル、4オンス、4.5オンス、5オンス、7オンス、8オンス、または9オンスの体積を含有することができる、請求項16に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項18】
熱可塑性樹脂またはポリマーを含む、請求項12から17のいずれか一項に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項19】
前記蓋または本体が、熱可塑性樹脂またはポリマーの追加のボスと共に製造される、請求項18に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項20】
前記追加の熱可塑性樹脂またはポリマーのボスが、前記挿入物に融着されまたは部分的に融着される、請求項19に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項21】
前記挿入物が接着剤によって添着されている、請求項18に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項22】
前記接着剤が、化学的および/または生物学的に不活性である、請求項21に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項23】
前記繊維が、光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維である、請求項12から22のいずれか一項に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項24】
前記繊維が、多繊維束またはアレイ状に配置されている、請求項12から23のいずれか一項に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項26】
毛管流動チャネルに流体連絡している1つ以上の挿入物を含むマイクロ流体デバイスであって、該挿入物が、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、該空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用しているデバイス。
【請求項27】
前記繊維が、光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維である、請求項26に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項28】
前記繊維が、多繊維束またはアレイ状に配置されている、請求項26または27に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項29】
ポリマーピペットチップデバイスであって、
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きのポリマー壁であって、該第1の空隙の断面および該第2の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、該第1の空隙の直径が該第2の空隙の直径よりも小さいポリマー壁と、
多孔質材料から構成された第1のプラグおよび第2のプラグと、
該第1のプラグと該第2のプラグとの間の該ピペットチップデバイス内部に位置付けられたビーズであって、該第1のプラグおよび第2のプラグが該壁の内面に接触しており、かつ該ピペットチップデバイス内に該ビーズを含有し、該ビーズは分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズと
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【請求項30】
ポリマーピペットチップデバイスであって、
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第1の壁であって、該第1の空隙の断面および該第2の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、該第1の空隙の直径が該第2の空隙の直径よりも大きい第1の壁と、
対向する端部に位置付けられた該第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第2の壁であって、該第2の空隙の断面および該第3の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、該第2の空隙の直径が該第3の空隙の直径よりも大きく、該第2の壁が該第1の壁と同一の拡がりを持ち、該第1の壁および第2の壁が同じポリマーから構成され、該第2の壁のテーパ角が該第1の壁のテーパ角よりも小さい第2の壁と、
該壁の内面に接触している第1のプラグおよび第2のプラグであって、多孔質材料から構成された該第1のプラグおよび第2のプラグと、
該第1のプラグと該第2のプラグとの間の該ピペットチップデバイス内部に位置付けられたビーズであって、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズと
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【請求項31】
ポリマーピペットチップデバイスであって、
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きのポリマー壁であって、該第1の空隙がスロットであり、該第2の空隙の断面が実質的に円形であるポリマー壁と、
多孔質材料から構成されたプラグと、
該第1のプラグおよび該スロットの間の該ピペットチップデバイス内部に位置付けられたビーズであって、該プラグが該壁の内面に接触しており、該スロットの幅が該ビーズの直径よりも小さく、該スロットおよび該プラグが該ピペットチップデバイス内に該ビーズを含有し、該ビーズは分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズと
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【請求項32】
ポリマーピペットチップデバイスであって、
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第1の壁であって、該第1の空隙の断面および該第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、該第1の空隙の直径が該第2の空隙の直径よりも大きい第1の壁と、
対向する端部に位置付けられた該第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第2の壁であって、該第3の空隙がスロットであり、該第2の壁が第1の壁と同一の拡がりを持ち、該第1の壁および第2の壁が同じポリマーから構成され、該第2の壁のテーパ角が該第1の壁のテーパ角よりも小さい第2の壁と、
多孔質材料から構成されたプラグと、
該第1のプラグおよび該スロットの間の該ピペットチップデバイス内部に位置付けられたビーズであって、該プラグが該第1の壁または第2の壁の内面に接触しており、該スロットの幅が該ビーズの直径よりも小さく、該スロットおよび該プラグが該ピペットチップデバイス内に該ビーズを含有し、該ビーズは分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズと
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【請求項33】
前記ビーズが、シリカゲル、ガラス(例えば、制御細孔ガラス(CPG)、シリカビーズ)、ナイロン、Sephadex(登録商標)、Sepharose(登録商標)、セルロース、金属面(例えば、鋼、金、銀、アルミニウム、ケイ素、および銅)、磁性材料、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF))、Wang樹脂、Merrifield樹脂、またはDynabeads(登録商標)である、請求項29から32のいずれか一項に記載のポリマーピペットチップデバイス。
【請求項34】
ビーズおよび少なくとも2つのプラグを含有するポリマーピペットチップデバイスを製造するための方法であって、
ピペットチップ内の決定した位置に第1のプラグを挿入することと、
該ピペットチップに、決定した量のビーズを充填することと、
第2のプラグを該ピペットチップに挿入し、該第1のプラグと該第2のプラグとの間に該ビーズを位置付けることと
を含む方法。
【請求項35】
ビーズ、単一のプラグ、およびスロット形状の流体送達端部を含有するポリマーピペットチップデバイスを製造するための方法であって、
該ピペットチップに、決定した量のビーズを充填することと、
プラグを該ピペットチップに挿入し、該プラグと該スロットとの間に該ビーズを位置付けることと
を含む方法。
【請求項36】
前記分析物が、核酸、ペプチド、ポリペプチド、または細胞である、請求項1から33のいずれか一項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項37】
前記挿入物が分析物に結合している、請求項1から9および12から28のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項38】
前記ビーズの全てまたは一部が分析物に結合している、請求項29から33のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項39】
前記分析物が、核酸、ペプチド、ポリペプチド、または細胞である、請求項37または38に記載のデバイス。
【請求項40】
前記分析物が、前記挿入物に可逆的に結合している、請求項37から39のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項41】
分析物を、請求項1から9および12から28のいずれか一項に記載のデバイスに結合するための方法であって、該分析物が前記挿入物に結合する条件下で、分析物と該デバイスの挿入物とを接触させることを含む方法。
【請求項42】
請求項1から9および12から28のいずれか一項に記載のデバイスを使用して分析物を単離するための方法であって、
該分析物が前記挿入物に結合する条件下で、分析物と請求項1から9および12から28のいずれか一項に記載のデバイスとを接触させることと、
該挿入物に結合した任意の非分析物成分を選択的に除去する条件に、該挿入物を任意選択で曝すことと、
該挿入物から該分析物を溶出する条件に、該挿入物を曝すことと
を含む方法。
【請求項43】
前記分析物が核酸である、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
前記分析物がポリペプチドである、請求項41または42に記載の方法。
【請求項45】
分析物を、請求項29から33のいずれか一項に記載のデバイスに結合するための方法であって、該分析物が前記ビーズに結合する条件下で、分析物と該デバイスの該ビーズとを接触させることを含む方法。
【請求項46】
請求項29から33のいずれか一項に記載のデバイスを使用して分析物を単離するための方法であって、
該分析物が前記ビーズに結合する条件下で、分析物と請求項29から33のいずれか一項に記載のデバイスとを接触させることと、
前記挿入物に結合した任意の非分析物成分を選択的に除去する条件に、該ビーズを任意選択で曝すことと、
該挿入物から該分析物を溶出する条件に、該ビーズを曝すことと
を含む方法。
【請求項47】
前記分析物が核酸である、請求項45または46に記載の方法。
【請求項48】
前記分析物がポリペプチドである、請求項45または46に記載の方法。
【請求項49】
ピペットチップおよび挿入物を内部に含む、ポリマーピペットチップデバイスであって、該挿入物が、実質的に平行な向きに向けられたフィンのアレイを含むデバイス。
【請求項50】
前記フィンがガラスから構成されている、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項51】
前記フィンがシリカから構成されている、請求項49に記載のピペットデバイス。
【請求項52】
前記フィンがポリマーから構成されている、請求項49に記載のピペットデバイス。
【請求項53】
前記フィンが、前記挿入物の一端から他端に延び、該挿入物の長手方向の軸に実質的に平行である、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項54】
前記フィンが放射形対称に配置されている、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項55】
前記フィンが格子パターンに配置されている、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項56】
前記フィンがS字状パターンに配置されている、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項57】
前記フィンの断面が、0.001から0.010ミリメートルの厚さである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項58】
前記フィンの断面が、0.010から0.050ミリメートルの厚さである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項59】
前記フィンの断面が、0.050から0.10ミリメートルの厚さである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項60】
前記フィンの長さが、1.0から2.0ミリメートルの長さである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項61】
前記フィンの長さが、2.0から3.5ミリメートルの長さである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項62】
前記フィンの長さが、3.5から5.0ミリメートルの長さである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項63】
前記フィンの表面積が、0.01から1.5平方ミリメートルである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項64】
前記フィンの表面積が、1.5から3.5平方ミリメートルである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項65】
前記フィンの表面積が、3.5から5.0平方ミリメートルである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項66】
前記フィンが外部シェルによって取り囲まれている、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項67】
前記外部シェルの断面が、0.01から0.10ミリメートルの厚さである、請求項66に記載のピペットチップデバイス。
【請求項68】
前記外部シェルの断面が、0.10から0.50ミリメートルの厚さである、請求項66に記載のピペットチップデバイス。
【請求項69】
前記外部シェルの断面が、0.50から1.0ミリメートルの厚さである、請求項66に記載のピペットチップデバイス。
【請求項70】
前記外部シェルがガラスまたはポリマーである、請求項66に記載のピペットチップデバイス。
【請求項71】
前記外部シェルが、前記ピペットチップの側面に融着している、請求項66に記載のピペットチップデバイス。
【請求項72】
前記外部シェルが、接着剤によって前記ピペットチップに添着されている、請求項66に記載のピペットチップデバイス。
【請求項73】
前記接着剤が化学的および/または生物学的に不活性である、請求項72に記載のピペットチップデバイス。
【請求項74】
前記挿入物が分析物に結合される、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項75】
前記分析物が、核酸、ペプチド、ポリペプチド、または細胞である、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項76】
前記分析物が前記挿入物に可逆的に結合される、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項77】
分析物を、請求項49から76のいずれか一項に記載のデバイスに結合するための方法であって、該分析物が前記挿入物に結合する条件下で、該分析物と該デバイスの該挿入物とを接触させることを含む方法。
【請求項78】
前記分析物が核酸またはタンパク質である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記分析物が前記挿入物に結合する条件下で、分析物と請求項B1からB28のいずれか一項に記載のデバイスとを接触させることと、
該挿入物に結合した任意の非分析物成分を選択的に除去する条件に、該挿入物を任意選択で曝すことと、
該挿入物から該分析物を溶出する条件に、該挿入物を曝すことと
を含む、分析物を単離するための方法。
【請求項80】
第1の末端空隙および第2の末端空隙およびフィルタを含むピペットチップであって、(i)該第1の末端空隙の断面積が、該第2の末端空隙の断面積よりも小さく、(ii)該フィルタまたはその一部が、該ピペットチップ内部に位置付けられており、(iii)該第1の末端空隙に最も近い該フィルタの端部が、該第1の末端空隙と実質的に同じ部位に位置付けられ、または該第1の末端空隙付近にある、ピペットチップ。
【請求項81】
前記第1の末端空隙に最も近い前記フィルタの端部が、該第1の末端空隙の約0から約5ミリメートル以内にある、請求項80に記載のピペットチップ。
【請求項82】
前記フィルタの端部が前記ピペットチップの外側に位置付けられている、請求項80または81に記載のピペットチップ。
【請求項83】
前記第1の末端空隙に最も近い前記フィルタ挿入物の端部を含む該フィルタ全体が、前記ピペットチップの内部に位置付けられている、請求項80または81に記載のピペットチップ。
【請求項84】
前記フィルタよりも前記第2の末端空隙に近い前記ピペットチップ内部に位置付けられた、分析物と相互に作用することができる材料または挿入物をさらに含む、請求項80から83のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項85】
前記材料または挿入物がビーズを含む、請求項84に記載のピペットチップ。
【請求項86】
前記ビーズが遊離ビーズである、請求項85に記載のピペットチップ。
【請求項87】
前記ビーズが焼結された、請求項85に記載のピペットチップ。
【請求項88】
材料または挿入物が樹脂を含む、請求項84に記載のピペットチップ。
【請求項89】
材料または挿入物が1つ以上の繊維を含む、請求項84に記載のピペットチップ。
【請求項90】
前記材料または挿入物が前記フィルタに接触している、請求項84から89のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項91】
前記材料または挿入物が障壁に接触している、請求項84から90のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項92】
前記障壁が、前記第1の末端空隙にまたは該第1の末端空隙付近にある前記フィルタ以外のフィルタである、請求項91に記載のピペットチップ。
【請求項93】
前記障壁がフリットである、請求項91に記載のピペットチップ。
【請求項94】
組成物中の1種以上の物質から分析物を単離するための方法であって、
(a)1種以上の物質を含む組成物中の分析物を、第1の末端空隙、第2の末端空隙、フィルタ、および材料または挿入物に該分析物が結合する条件下で該分析物に結合することができる該材料または挿入物を含むピペットチップに接触させ、(i)該第1の末端空隙の断面積が該第2の末端空隙の断面積よりも小さく、(ii)該フィルタまたはその一部が該ピペットチップ内部に位置付けられ、(iii)該第1の末端空隙に最も近い該フィルタの端部が該第1の末端空隙と実質的に同じ位置に位置付けられ、または該第1の末端空隙付近にあり、(iv)該材料または挿入物が、該フィルタよりも該第2の末端空隙に近いピペットチップ内部にあり、(v)該分析物が該フィルタ内を流れ、該材料または挿入物に結合し、該1種以上の物質は該材料または挿入物に接触しないことと、
(b)該分析物を該材料または挿入物から解離し、該分析物を該ピペットチップから排出し、それによって該分析物を該1種以上の物質から単離することと
を含む方法。
【請求項95】
前記分析物が生物学的薬剤である、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記生物学的薬剤が、核酸、ペプチドまたはタンパク質、細胞である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
(b)の前に、前記挿入物または材料を、該挿入物または材料から前記分析物を解離させない洗浄溶液に接触させることをさらに含む、請求項94から96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記第1の末端空隙に最も近い前記フィルタの端部が、前記第1の末端空隙の約0から約5ミリメートル以内にある、請求項94から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記フィルタの端部が、前記ピペットチップの外側に位置付けられている、請求項94から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部を含むフィルタ全体が、前記ピペットチップの内部に位置付けられている、請求項94から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記材料または挿入物がビーズを含む、請求項94から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記ビーズが遊離ビーズである、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記ビーズが焼結されている、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
材料または挿入物が樹脂を含む、請求項94から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
材料または挿入物が1つ以上の繊維を含む、請求項94から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記材料または挿入物が前記フィルタに接触している、請求項84から89のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項107】
前記材料または挿入物が障壁に接触している、請求項94から106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記障壁が、前記第1の末端空隙にまたは該第1の末端空隙付近にある前記フィルタ以外のフィルタである、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記障壁がフリットである、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
内面および外面を含む、ポリマー混合物から製造されたピペットチップであって、(i)該内面の一部が不規則であり、(ii)該ポリマー混合物が、ポリマーと、分析物に結合することができる材料とを含み、(iii)該分析物に結合することができる材料が、該ピペットチップの製造前に、該ポリマー混合物全体にわたって実質的に規則的に分散させられており、(iv)不規則な該内面部分が、該分析物に結合することができる該材料を露出させる、ピペットチップ。
【請求項111】
前記不規則な内面がエッチングされた面である、請求項110に記載のピペットチップ。
【請求項112】
前記エッチングされた面が、実質的に規則的なエッチングを含む、請求項111に記載のピペットチップ。
【請求項113】
前記ポリマーがポリプロピレンである、請求項110から112のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項114】
前記分析物が生体分子である、請求項110から113のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項115】
前記生体分子が、核酸、ペプチド、タンパク質、または細胞である、請求項114に記載のピペットチップ。
【請求項116】
前記分析物に結合することができる前記材料がビーズを含む、請求項E110からE115のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項117】
前記ビーズがシリカを含む、請求項116に記載のピペットチップ。
【請求項118】
前記ビーズが疎水性材料を含む、請求項117に記載のピペットチップ。
【請求項119】
前記疎水性材料がC−18である、請求項118に記載のピペットチップ。
【請求項120】
分析物を単離するための方法であって、
(a)分析物結合条件下で、該分析物を含む組成物をピペットチップに接触させることであって、(i)該ピペットチップがポリマー混合物から製造されかつ内面および外面を含み、(ii)該内面の一部が不規則であり、(iii)該ポリマー混合物が、ポリマーと、分析物に結合することができる材料とを含み、(iv)該分析物に結合することができる該材料が、該ピペットチップの製造前に、該ポリマー混合物全体にわたって実質的に規則的に分散させられ、(v)不規則な該内面の一部が、該分析物に結合することができる該材料を露出させ、(vi)該分析物が該材料に結合することと、(b)該分析物を該材料から解離し、該分析物を該ピペットチップから排出し、それによって該分析物を単離することとを含む、方法。
【請求項121】
不規則な前記内面がエッチングされた面である、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記エッチングされた面が、実質的に規則的なエッチングを含む、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記ポリマーがポリプロピレンである、請求項120から122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記分析物が生体分子である、請求項120から123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記生体分子が、核酸、ペプチド、タンパク質、または細胞である、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記分析物に結合することができる前記材料が、ビーズを含む、請求項120から125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記ビーズがシリカを含む、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記ビーズが疎水性材料を含む、請求項126に記載の方法。
【請求項129】
前記疎水性材料がC−18である、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
射出成型プロセスによって外面および内面を有するピペットチップを製造するための型であって、該外面を形成する本体と該内面を形成するコアピンとを含み、該コアピンが、不規則な該ピペットチップの該内面部分をもたらす不規則面を含む型。
【請求項131】
前記コアピンの不規則面が、エッチングされた面である、請求項130に記載の型。
【請求項132】
前記エッチングされた面が、実質的に規則的なエッチングを含む、請求項131に記載の型。
【請求項133】
内面および外面を有するピペットチップを製造するための方法であって、(a)該ピペットチップの該外面を形成する本体と該ピペットチップの該内面を形成するコアピンとを含む型に、液体ポリマー混合物を射出することと、(b)該型の中で該ピペットチップを形成することと、(c)該型から該ピペットチップを取り外すこととを含み、該コアピンは、不規則な該ピペットチップの該内面部分をもたらす不規則面を含む方法。
【請求項134】
前記コアピンの前記不規則面が、エッチングされた面である、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記エッチングされた面が、実質的に規則的なエッチングを含む、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記ポリマー混合物が、ポリマーと、分析物に結合することができる材料とを含む、請求項133から135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
前記分析物に結合することができる前記材料が、前記ポリマー混合物全体にわたって実質的に規則的に分散させられている、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
不規則な前記ピペットチップの前記内面部分が、前記分析物に結合することができる前記材料を露出させる、請求項136または137に記載の方法。
【請求項139】
前記分析物に結合することができる前記材料がビーズを含む、請求項133から138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記ビーズがシリカを含む、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
前記ビーズが疎水性材料を含む、請求項139に記載の方法。
【請求項142】
前記疎水性材料がC−18である、請求項141に記載の方法。
【請求項1】
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きポリマー壁であって、該第1の空隙の断面および該第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、該第1の空隙の直径が該第2の空隙の直径よりも小さいポリマー壁と、
該第1の空隙と第2の空隙との間のポリマー壁の内面の一部に接触する挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、該空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【請求項2】
前記壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、該環状突出部の断面が、前記第1の空隙および前記第2の空隙の断面と実質的に平行であり、該壁および該環状突出部は同じポリマーから構成され、該環状突出部の少なくとも一部は前記挿入物に接触している、請求項1に記載のポリマーピペットチップデバイス。
【請求項3】
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第1の壁であって、該第1の空隙の断面および該第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、該第1の空隙の直径が該第2の空隙の直径よりも大きい第1の壁と、
対向する端部に位置付けられた該第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第2の壁であって、該第2の空隙の断面および該第3の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、該第2の空隙の直径が該第3の空隙の直径よりも大きく、該第2の壁が該第1の壁と同一の拡がりを持ち、該第1の壁および第2の壁は同じポリマーから構成され、該第2の壁のテーパ角が該第1の壁のテーパ角より小さい第2の壁と、
該第2の空隙および該第3の空隙の間の該第2の壁の内面の一部に接触している挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、該空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【請求項4】
前記壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、該環状突出部の断面が、前記第1の空隙および前記第2の空隙の断面と実質的に平行であり、該壁および該環状突出部が同じポリマーから構成され、該環状突出部の少なくとも一部が挿入物に接触している、請求項3に記載のポリマーピペットチップデバイス。
【請求項5】
ポリマーハウジングであって、該ポリマーハウジングは、該ハウジングの対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する、外面および内面を含み、
該第1の空隙の断面および該第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、
該第1の空隙の直径が該第2の空隙の直径よりも大きく、
該第1の空隙の直径および該第1の空隙に隣接している該ハウジングの一部がピペットチップの流体送達端部を覆って嵌合するように適合されているポリマーハウジングと、
該ハウジングの内面の一部に接触している挿入物であって、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、該空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、ポリマーピペットチップ延長デバイス。
【請求項6】
ハウジング壁の内面と同一の拡がりを持つ環状突出部を含み、該環状突出部の少なくとも一部が挿入物の一部に接触している、ポリマーピペットチップ延長デバイス。
【請求項7】
前記繊維が、光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維である、請求項A1からA6のいずれか一項に記載のピペットチップデバイスまたはピペットチップ延長デバイス。
【請求項8】
前記繊維が多繊維束またはアレイ状に配置されている、請求項1から7のいずれかに記載のピペットチップデバイスまたはピペットチップ延長デバイス。
【請求項9】
前記ピペットチップまたはピペットチップ延長デバイスの容積が、0から10マイクロリットル、0から20マイクロリットル、1から100マイクロリットル、1から200マイクロリットル、または1から1000マイクロリットルに及ぶ、請求項1から8のいずれか一項に記載のピペットチップデバイスまたはピペットチップ延長デバイス。
【請求項10】
ピペットチップ延長デバイスをピペットチップに取り付けるための方法であって、
請求項A5からA9のいずれか一項に記載のピペットチップ延長デバイスの第1の空隙に隣接したハウジング部分を、ピペットチップの前記流体送達端部に接触させることと、
該ピペットチップと該ピペットチップ延長デバイスとの間に圧力を加えることと、
該ピペットチップ延長デバイスを該ピペットチップに対して任意選択で捻ることと
を含み、該ピペットチップ延長デバイスのハウジングが、該ピペットチップの流体吐出部分に据え付けられる方法。
【請求項11】
前記ピペットチップ延長デバイスが、分析物を含む流体に接触している、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
本体および蓋と、
該本体の内面に添着される挿入物であって、該挿入物は、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、該空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項13】
本体および蓋と、
該蓋の内面に添着される挿入物であって、該挿入物は、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、該空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用する挿入物と
を含む、実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項14】
前記容器が微量遠心分離管である、請求項12または13に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項15】
前記微量遠心分離管が、最大約250マイクロリットル、500マイクロリットル、1.5ミリリットル、または2.0ミリリットルの容積を有する、請求項14に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項16】
前記容器が標本容器である、請求項12または13に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項17】
前記標本容器が、最大約15ミリリットル、20ミリリットル、4オンス、4.5オンス、5オンス、7オンス、8オンス、または9オンスの体積を含有することができる、請求項16に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項18】
熱可塑性樹脂またはポリマーを含む、請求項12から17のいずれか一項に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項19】
前記蓋または本体が、熱可塑性樹脂またはポリマーの追加のボスと共に製造される、請求項18に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項20】
前記追加の熱可塑性樹脂またはポリマーのボスが、前記挿入物に融着されまたは部分的に融着される、請求項19に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項21】
前記挿入物が接着剤によって添着されている、請求項18に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項22】
前記接着剤が、化学的および/または生物学的に不活性である、請求項21に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項23】
前記繊維が、光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維である、請求項12から22のいずれか一項に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項24】
前記繊維が、多繊維束またはアレイ状に配置されている、請求項12から23のいずれか一項に記載の実験室用流体処理容器デバイス。
【請求項26】
毛管流動チャネルに流体連絡している1つ以上の挿入物を含むマイクロ流体デバイスであって、該挿入物が、(i)空隙を有する焼結固体担体、または(ii)複数の隣接する繊維の間に空隙を有する多繊維固体担体を含み、該空隙を画定する面が、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用しているデバイス。
【請求項27】
前記繊維が、光ファイバ、ガラス繊維、またはポリマー繊維である、請求項26に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項28】
前記繊維が、多繊維束またはアレイ状に配置されている、請求項26または27に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項29】
ポリマーピペットチップデバイスであって、
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きのポリマー壁であって、該第1の空隙の断面および該第2の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、該第1の空隙の直径が該第2の空隙の直径よりも小さいポリマー壁と、
多孔質材料から構成された第1のプラグおよび第2のプラグと、
該第1のプラグと該第2のプラグとの間の該ピペットチップデバイス内部に位置付けられたビーズであって、該第1のプラグおよび第2のプラグが該壁の内面に接触しており、かつ該ピペットチップデバイス内に該ビーズを含有し、該ビーズは分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズと
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【請求項30】
ポリマーピペットチップデバイスであって、
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第1の壁であって、該第1の空隙の断面および該第2の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、該第1の空隙の直径が該第2の空隙の直径よりも大きい第1の壁と、
対向する端部に位置付けられた該第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第2の壁であって、該第2の空隙の断面および該第3の空隙の断面が、実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、該第2の空隙の直径が該第3の空隙の直径よりも大きく、該第2の壁が該第1の壁と同一の拡がりを持ち、該第1の壁および第2の壁が同じポリマーから構成され、該第2の壁のテーパ角が該第1の壁のテーパ角よりも小さい第2の壁と、
該壁の内面に接触している第1のプラグおよび第2のプラグであって、多孔質材料から構成された該第1のプラグおよび第2のプラグと、
該第1のプラグと該第2のプラグとの間の該ピペットチップデバイス内部に位置付けられたビーズであって、分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズと
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【請求項31】
ポリマーピペットチップデバイスであって、
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きのポリマー壁であって、該第1の空隙がスロットであり、該第2の空隙の断面が実質的に円形であるポリマー壁と、
多孔質材料から構成されたプラグと、
該第1のプラグおよび該スロットの間の該ピペットチップデバイス内部に位置付けられたビーズであって、該プラグが該壁の内面に接触しており、該スロットの幅が該ビーズの直径よりも小さく、該スロットおよび該プラグが該ピペットチップデバイス内に該ビーズを含有し、該ビーズは分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズと
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【請求項32】
ポリマーピペットチップデバイスであって、
対向する端部に位置付けられた第1の空隙および第2の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第1の壁であって、該第1の空隙の断面および該第2の空隙の断面が実質的に円形でありかつ実質的に平行であり、該第1の空隙の直径が該第2の空隙の直径よりも大きい第1の壁と、
対向する端部に位置付けられた該第2の空隙および第3の空隙を画定する連続的なテーパ付きの第2の壁であって、該第3の空隙がスロットであり、該第2の壁が第1の壁と同一の拡がりを持ち、該第1の壁および第2の壁が同じポリマーから構成され、該第2の壁のテーパ角が該第1の壁のテーパ角よりも小さい第2の壁と、
多孔質材料から構成されたプラグと、
該第1のプラグおよび該スロットの間の該ピペットチップデバイス内部に位置付けられたビーズであって、該プラグが該第1の壁または第2の壁の内面に接触しており、該スロットの幅が該ビーズの直径よりも小さく、該スロットおよび該プラグが該ピペットチップデバイス内に該ビーズを含有し、該ビーズは分析物相互作用条件下で分析物と相互に作用するビーズと
を含む、ポリマーピペットチップデバイス。
【請求項33】
前記ビーズが、シリカゲル、ガラス(例えば、制御細孔ガラス(CPG)、シリカビーズ)、ナイロン、Sephadex(登録商標)、Sepharose(登録商標)、セルロース、金属面(例えば、鋼、金、銀、アルミニウム、ケイ素、および銅)、磁性材料、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF))、Wang樹脂、Merrifield樹脂、またはDynabeads(登録商標)である、請求項29から32のいずれか一項に記載のポリマーピペットチップデバイス。
【請求項34】
ビーズおよび少なくとも2つのプラグを含有するポリマーピペットチップデバイスを製造するための方法であって、
ピペットチップ内の決定した位置に第1のプラグを挿入することと、
該ピペットチップに、決定した量のビーズを充填することと、
第2のプラグを該ピペットチップに挿入し、該第1のプラグと該第2のプラグとの間に該ビーズを位置付けることと
を含む方法。
【請求項35】
ビーズ、単一のプラグ、およびスロット形状の流体送達端部を含有するポリマーピペットチップデバイスを製造するための方法であって、
該ピペットチップに、決定した量のビーズを充填することと、
プラグを該ピペットチップに挿入し、該プラグと該スロットとの間に該ビーズを位置付けることと
を含む方法。
【請求項36】
前記分析物が、核酸、ペプチド、ポリペプチド、または細胞である、請求項1から33のいずれか一項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項37】
前記挿入物が分析物に結合している、請求項1から9および12から28のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項38】
前記ビーズの全てまたは一部が分析物に結合している、請求項29から33のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項39】
前記分析物が、核酸、ペプチド、ポリペプチド、または細胞である、請求項37または38に記載のデバイス。
【請求項40】
前記分析物が、前記挿入物に可逆的に結合している、請求項37から39のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項41】
分析物を、請求項1から9および12から28のいずれか一項に記載のデバイスに結合するための方法であって、該分析物が前記挿入物に結合する条件下で、分析物と該デバイスの挿入物とを接触させることを含む方法。
【請求項42】
請求項1から9および12から28のいずれか一項に記載のデバイスを使用して分析物を単離するための方法であって、
該分析物が前記挿入物に結合する条件下で、分析物と請求項1から9および12から28のいずれか一項に記載のデバイスとを接触させることと、
該挿入物に結合した任意の非分析物成分を選択的に除去する条件に、該挿入物を任意選択で曝すことと、
該挿入物から該分析物を溶出する条件に、該挿入物を曝すことと
を含む方法。
【請求項43】
前記分析物が核酸である、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
前記分析物がポリペプチドである、請求項41または42に記載の方法。
【請求項45】
分析物を、請求項29から33のいずれか一項に記載のデバイスに結合するための方法であって、該分析物が前記ビーズに結合する条件下で、分析物と該デバイスの該ビーズとを接触させることを含む方法。
【請求項46】
請求項29から33のいずれか一項に記載のデバイスを使用して分析物を単離するための方法であって、
該分析物が前記ビーズに結合する条件下で、分析物と請求項29から33のいずれか一項に記載のデバイスとを接触させることと、
前記挿入物に結合した任意の非分析物成分を選択的に除去する条件に、該ビーズを任意選択で曝すことと、
該挿入物から該分析物を溶出する条件に、該ビーズを曝すことと
を含む方法。
【請求項47】
前記分析物が核酸である、請求項45または46に記載の方法。
【請求項48】
前記分析物がポリペプチドである、請求項45または46に記載の方法。
【請求項49】
ピペットチップおよび挿入物を内部に含む、ポリマーピペットチップデバイスであって、該挿入物が、実質的に平行な向きに向けられたフィンのアレイを含むデバイス。
【請求項50】
前記フィンがガラスから構成されている、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項51】
前記フィンがシリカから構成されている、請求項49に記載のピペットデバイス。
【請求項52】
前記フィンがポリマーから構成されている、請求項49に記載のピペットデバイス。
【請求項53】
前記フィンが、前記挿入物の一端から他端に延び、該挿入物の長手方向の軸に実質的に平行である、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項54】
前記フィンが放射形対称に配置されている、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項55】
前記フィンが格子パターンに配置されている、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項56】
前記フィンがS字状パターンに配置されている、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項57】
前記フィンの断面が、0.001から0.010ミリメートルの厚さである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項58】
前記フィンの断面が、0.010から0.050ミリメートルの厚さである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項59】
前記フィンの断面が、0.050から0.10ミリメートルの厚さである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項60】
前記フィンの長さが、1.0から2.0ミリメートルの長さである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項61】
前記フィンの長さが、2.0から3.5ミリメートルの長さである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項62】
前記フィンの長さが、3.5から5.0ミリメートルの長さである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項63】
前記フィンの表面積が、0.01から1.5平方ミリメートルである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項64】
前記フィンの表面積が、1.5から3.5平方ミリメートルである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項65】
前記フィンの表面積が、3.5から5.0平方ミリメートルである、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項66】
前記フィンが外部シェルによって取り囲まれている、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項67】
前記外部シェルの断面が、0.01から0.10ミリメートルの厚さである、請求項66に記載のピペットチップデバイス。
【請求項68】
前記外部シェルの断面が、0.10から0.50ミリメートルの厚さである、請求項66に記載のピペットチップデバイス。
【請求項69】
前記外部シェルの断面が、0.50から1.0ミリメートルの厚さである、請求項66に記載のピペットチップデバイス。
【請求項70】
前記外部シェルがガラスまたはポリマーである、請求項66に記載のピペットチップデバイス。
【請求項71】
前記外部シェルが、前記ピペットチップの側面に融着している、請求項66に記載のピペットチップデバイス。
【請求項72】
前記外部シェルが、接着剤によって前記ピペットチップに添着されている、請求項66に記載のピペットチップデバイス。
【請求項73】
前記接着剤が化学的および/または生物学的に不活性である、請求項72に記載のピペットチップデバイス。
【請求項74】
前記挿入物が分析物に結合される、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項75】
前記分析物が、核酸、ペプチド、ポリペプチド、または細胞である、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項76】
前記分析物が前記挿入物に可逆的に結合される、請求項49に記載のピペットチップデバイス。
【請求項77】
分析物を、請求項49から76のいずれか一項に記載のデバイスに結合するための方法であって、該分析物が前記挿入物に結合する条件下で、該分析物と該デバイスの該挿入物とを接触させることを含む方法。
【請求項78】
前記分析物が核酸またはタンパク質である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記分析物が前記挿入物に結合する条件下で、分析物と請求項B1からB28のいずれか一項に記載のデバイスとを接触させることと、
該挿入物に結合した任意の非分析物成分を選択的に除去する条件に、該挿入物を任意選択で曝すことと、
該挿入物から該分析物を溶出する条件に、該挿入物を曝すことと
を含む、分析物を単離するための方法。
【請求項80】
第1の末端空隙および第2の末端空隙およびフィルタを含むピペットチップであって、(i)該第1の末端空隙の断面積が、該第2の末端空隙の断面積よりも小さく、(ii)該フィルタまたはその一部が、該ピペットチップ内部に位置付けられており、(iii)該第1の末端空隙に最も近い該フィルタの端部が、該第1の末端空隙と実質的に同じ部位に位置付けられ、または該第1の末端空隙付近にある、ピペットチップ。
【請求項81】
前記第1の末端空隙に最も近い前記フィルタの端部が、該第1の末端空隙の約0から約5ミリメートル以内にある、請求項80に記載のピペットチップ。
【請求項82】
前記フィルタの端部が前記ピペットチップの外側に位置付けられている、請求項80または81に記載のピペットチップ。
【請求項83】
前記第1の末端空隙に最も近い前記フィルタ挿入物の端部を含む該フィルタ全体が、前記ピペットチップの内部に位置付けられている、請求項80または81に記載のピペットチップ。
【請求項84】
前記フィルタよりも前記第2の末端空隙に近い前記ピペットチップ内部に位置付けられた、分析物と相互に作用することができる材料または挿入物をさらに含む、請求項80から83のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項85】
前記材料または挿入物がビーズを含む、請求項84に記載のピペットチップ。
【請求項86】
前記ビーズが遊離ビーズである、請求項85に記載のピペットチップ。
【請求項87】
前記ビーズが焼結された、請求項85に記載のピペットチップ。
【請求項88】
材料または挿入物が樹脂を含む、請求項84に記載のピペットチップ。
【請求項89】
材料または挿入物が1つ以上の繊維を含む、請求項84に記載のピペットチップ。
【請求項90】
前記材料または挿入物が前記フィルタに接触している、請求項84から89のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項91】
前記材料または挿入物が障壁に接触している、請求項84から90のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項92】
前記障壁が、前記第1の末端空隙にまたは該第1の末端空隙付近にある前記フィルタ以外のフィルタである、請求項91に記載のピペットチップ。
【請求項93】
前記障壁がフリットである、請求項91に記載のピペットチップ。
【請求項94】
組成物中の1種以上の物質から分析物を単離するための方法であって、
(a)1種以上の物質を含む組成物中の分析物を、第1の末端空隙、第2の末端空隙、フィルタ、および材料または挿入物に該分析物が結合する条件下で該分析物に結合することができる該材料または挿入物を含むピペットチップに接触させ、(i)該第1の末端空隙の断面積が該第2の末端空隙の断面積よりも小さく、(ii)該フィルタまたはその一部が該ピペットチップ内部に位置付けられ、(iii)該第1の末端空隙に最も近い該フィルタの端部が該第1の末端空隙と実質的に同じ位置に位置付けられ、または該第1の末端空隙付近にあり、(iv)該材料または挿入物が、該フィルタよりも該第2の末端空隙に近いピペットチップ内部にあり、(v)該分析物が該フィルタ内を流れ、該材料または挿入物に結合し、該1種以上の物質は該材料または挿入物に接触しないことと、
(b)該分析物を該材料または挿入物から解離し、該分析物を該ピペットチップから排出し、それによって該分析物を該1種以上の物質から単離することと
を含む方法。
【請求項95】
前記分析物が生物学的薬剤である、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記生物学的薬剤が、核酸、ペプチドまたはタンパク質、細胞である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
(b)の前に、前記挿入物または材料を、該挿入物または材料から前記分析物を解離させない洗浄溶液に接触させることをさらに含む、請求項94から96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記第1の末端空隙に最も近い前記フィルタの端部が、前記第1の末端空隙の約0から約5ミリメートル以内にある、請求項94から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記フィルタの端部が、前記ピペットチップの外側に位置付けられている、請求項94から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記第1の末端空隙に最も近いフィルタ挿入物の端部を含むフィルタ全体が、前記ピペットチップの内部に位置付けられている、請求項94から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記材料または挿入物がビーズを含む、請求項94から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記ビーズが遊離ビーズである、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記ビーズが焼結されている、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
材料または挿入物が樹脂を含む、請求項94から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
材料または挿入物が1つ以上の繊維を含む、請求項94から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記材料または挿入物が前記フィルタに接触している、請求項84から89のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項107】
前記材料または挿入物が障壁に接触している、請求項94から106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記障壁が、前記第1の末端空隙にまたは該第1の末端空隙付近にある前記フィルタ以外のフィルタである、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記障壁がフリットである、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
内面および外面を含む、ポリマー混合物から製造されたピペットチップであって、(i)該内面の一部が不規則であり、(ii)該ポリマー混合物が、ポリマーと、分析物に結合することができる材料とを含み、(iii)該分析物に結合することができる材料が、該ピペットチップの製造前に、該ポリマー混合物全体にわたって実質的に規則的に分散させられており、(iv)不規則な該内面部分が、該分析物に結合することができる該材料を露出させる、ピペットチップ。
【請求項111】
前記不規則な内面がエッチングされた面である、請求項110に記載のピペットチップ。
【請求項112】
前記エッチングされた面が、実質的に規則的なエッチングを含む、請求項111に記載のピペットチップ。
【請求項113】
前記ポリマーがポリプロピレンである、請求項110から112のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項114】
前記分析物が生体分子である、請求項110から113のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項115】
前記生体分子が、核酸、ペプチド、タンパク質、または細胞である、請求項114に記載のピペットチップ。
【請求項116】
前記分析物に結合することができる前記材料がビーズを含む、請求項E110からE115のいずれか一項に記載のピペットチップ。
【請求項117】
前記ビーズがシリカを含む、請求項116に記載のピペットチップ。
【請求項118】
前記ビーズが疎水性材料を含む、請求項117に記載のピペットチップ。
【請求項119】
前記疎水性材料がC−18である、請求項118に記載のピペットチップ。
【請求項120】
分析物を単離するための方法であって、
(a)分析物結合条件下で、該分析物を含む組成物をピペットチップに接触させることであって、(i)該ピペットチップがポリマー混合物から製造されかつ内面および外面を含み、(ii)該内面の一部が不規則であり、(iii)該ポリマー混合物が、ポリマーと、分析物に結合することができる材料とを含み、(iv)該分析物に結合することができる該材料が、該ピペットチップの製造前に、該ポリマー混合物全体にわたって実質的に規則的に分散させられ、(v)不規則な該内面の一部が、該分析物に結合することができる該材料を露出させ、(vi)該分析物が該材料に結合することと、(b)該分析物を該材料から解離し、該分析物を該ピペットチップから排出し、それによって該分析物を単離することとを含む、方法。
【請求項121】
不規則な前記内面がエッチングされた面である、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記エッチングされた面が、実質的に規則的なエッチングを含む、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記ポリマーがポリプロピレンである、請求項120から122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記分析物が生体分子である、請求項120から123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記生体分子が、核酸、ペプチド、タンパク質、または細胞である、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記分析物に結合することができる前記材料が、ビーズを含む、請求項120から125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記ビーズがシリカを含む、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記ビーズが疎水性材料を含む、請求項126に記載の方法。
【請求項129】
前記疎水性材料がC−18である、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
射出成型プロセスによって外面および内面を有するピペットチップを製造するための型であって、該外面を形成する本体と該内面を形成するコアピンとを含み、該コアピンが、不規則な該ピペットチップの該内面部分をもたらす不規則面を含む型。
【請求項131】
前記コアピンの不規則面が、エッチングされた面である、請求項130に記載の型。
【請求項132】
前記エッチングされた面が、実質的に規則的なエッチングを含む、請求項131に記載の型。
【請求項133】
内面および外面を有するピペットチップを製造するための方法であって、(a)該ピペットチップの該外面を形成する本体と該ピペットチップの該内面を形成するコアピンとを含む型に、液体ポリマー混合物を射出することと、(b)該型の中で該ピペットチップを形成することと、(c)該型から該ピペットチップを取り外すこととを含み、該コアピンは、不規則な該ピペットチップの該内面部分をもたらす不規則面を含む方法。
【請求項134】
前記コアピンの前記不規則面が、エッチングされた面である、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記エッチングされた面が、実質的に規則的なエッチングを含む、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記ポリマー混合物が、ポリマーと、分析物に結合することができる材料とを含む、請求項133から135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
前記分析物に結合することができる前記材料が、前記ポリマー混合物全体にわたって実質的に規則的に分散させられている、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
不規則な前記ピペットチップの前記内面部分が、前記分析物に結合することができる前記材料を露出させる、請求項136または137に記載の方法。
【請求項139】
前記分析物に結合することができる前記材料がビーズを含む、請求項133から138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記ビーズがシリカを含む、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
前記ビーズが疎水性材料を含む、請求項139に記載の方法。
【請求項142】
前記疎水性材料がC−18である、請求項141に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6−1】
【図6−2】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6−1】
【図6−2】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2011−517773(P2011−517773A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502120(P2011−502120)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/038686
【国際公開番号】WO2009/121032
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(510079765)バイオティクス, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/038686
【国際公開番号】WO2009/121032
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(510079765)バイオティクス, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
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