説明

サービスポイントシステムにおける端数金額値引き精算システム

【課題】 換金単位に満たないポイントであっても有効に活用することができ、しかも、支払い時の小銭の煩雑さも解消することができるサービスポイントシステムにおける端数金額値引き精算システムを提供すること。
【解決手段】 顧客が商品を購入したとき、金額入力手段21によって商品の合計購入金額が暫定金額Aとして入力されたときに、残高ポイント照会手段13によってメモリ手段12に記憶された当該顧客の残高ポイントZが照会されるとともに、
前記暫定金額Aのうち、端数金額検出手段14によって前記精算基準値P未満の金額が端数金額Fとして検出され、かつ、残高判定手段15によって当該端数金額Fと残高ポイントZとの大小が判定され、
当該残高ポイントZが端数金額F以上であるときには、この端数金額Fを値引きポイントDとして前記暫定金額Aから減額した請求金額Vを算出して、この請求金額Vを端末機2のモニタ手段22に表示可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商取引に伴う顧客サービスポイントシステムの改良、更に詳しくは、換金単位に満たないポイントであっても有効に活用することができ、しかも、支払い時の小銭の煩雑さも解消することができるサービスポイントシステムにおける端数金額値引き精算システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、小売店や飲食店などのサービス業界においては、購入者の取引金額に応じたサービスポイントを付与し、顧客にキャッシュバックなどをするサービスポイントシステムが普及しており(例えば、特許文献1参照)、固定客の獲得や販売促進に活用されている。
【0003】
ところで、従来のサービスポイントシステムにあっては、一定の金額単位、例えば、獲得した500ポイントにつき500円相当の金券などに換算しているため、その換金単位に達しない端数分は換金できず、換金単位に到達するまでに顧客が断念してしまうことも多く、サービス特典を十分に享受できないという不満があった。
【0004】
また、通常、100円の購入金額で1ポイント付与といったような換算設定が多く、これに満たない購入金額(10円単位や1円単位)についてはポイントが付与されず、顧客に損失感を与えてしまうという不満もある。
【0005】
一方、近年では、消費税導入の関係もあって、会計の合計金額には1円単位の端数を生ずることが殆どであり、支払いの際には小銭を用意せねばならず、甚だ煩わしいという不満もあった。
【特許文献1】特開2002−230647号公報(第3−5頁、図1−5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の取引ポイントシステムおよび会計の支払い事情に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、換金単位に満たないポイントであっても有効に活用することができ、しかも、支払い時の小銭の煩雑さも解消することができるサービスポイントシステムにおける端数金額値引き精算システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0008】
即ち、本発明は、顧客の購入金額に応じて付与された取引ポイントのデータが記憶されたホストコンピュータ1と、このホストコンピュータ1に接続され、商品の購入合計金額を入力可能な端末機2とを少なくとも含んで構成されるサービスポイントシステムにおいて、
前記ホストコンピュータ1には、ポイント換算手段11、メモリ手段12、残高ポイント照会手段13、端数検出手段14および残高判定手段15を備えている一方、
前記端末機2には、商品の購入合計金額を暫定金額Aとして入力可能な金額入力手段21および、情報を表示可能なモニタ手段22を備えており、
前記メモリ手段12には、ポイント換算手段11によって顧客の購入金額に応じて換算される取引ポイントが蓄積された取引ポイントデータおよび、顧客が予め設定した精算基準値Pが記憶されている一方、
顧客が商品を購入したとき、前記金額入力手段21によって商品の合計購入金額が暫定金額Aとして入力されたときに、残高ポイント照会手段13によってメモリ手段12に記憶された当該顧客の残高ポイントZが照会されるとともに、
前記暫定金額Aのうち、端数金額検出手段14によって前記精算基準値P未満の金額が端数金額Fとして検出され、かつ、残高判定手段15によって当該端数金額Fと残高ポイントZとの大小が判定され、
当該残高ポイントZが端数金額F以上であるときには、この端数金額Fを値引きポイントDとして前記暫定金額Aから減額した請求金額Vを算出して、この請求金額Vを前記端末機2のモニタ手段22に表示可能に構成するようにするという技術的手段を採用した。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、暫定金額Aを入力した時点で、この暫定金額Aに応じた取引ポイントに換算して、メモリ手段12に記憶するという技術的手段を採用した。
【0010】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、取引回毎に精算基準値Pを変更可能にするという技術的手段を採用した。
【0011】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、精算基準値Pは、複数の既定単位金額の中から選択可能にするという技術的手段を採用した。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、精算基準値Pの既定単位金額を、10円単位、100円単位、1000円単位にするという技術的手段を採用した。
【0013】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、取引ポイントはリーダライタ装置によって各顧客が所持するデータキャリアにリードライト可能であって、かつ、当該リーダライタ装置から取引ポイントのデータをホストコンピュータ1に通信可能に構成するという技術的手段を採用した。
【0014】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ホストコンピュータ1にはバッファリングにより演算処理速度を高速化する緩衝記憶装置16を配設するという技術的手段を採用した。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、サービスポイントシステムにおいて、顧客が設定した精算基準値によって、端数金額を値引きポイントとして暫定金額から減額した請求金額を算出することができるので、換金単位に満たないポイントであっても有効に活用することができる。
【0016】
また、支払い時の小銭の煩雑さも解消することができ、精算に必要な時間を短縮することもできることから、サービスポイントシステムにおける実用的利用価値は頗る高いものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態を具体的に図示した図面に基づいて更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0018】
本発明の実施形態を図1から図3に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものはホストコンピュータであり、このホストコンピュータ1には、ポイント換算手段11、メモリ手段12、残高ポイント照会手段13、端数検出手段14、および残高判定手段15を備えている。
【0019】
また、符号2で指示するものは端末機であり、この端末機2には、商品の購入合計金額を暫定金額Aとして入力可能な金額入力手段21および、情報を表示可能なモニタ手段22を備えている。
【0020】
本発明は、まずポイントシステムの基本として、顧客の購入金額に応じて付与された取引ポイントのデータが記憶されたホストコンピュータ1と、このホストコンピュータ1に接続され、商品の購入合計金額を入力可能な端末機2とを少なくとも含むサービスポイントシステムを構成している。
【0021】
次に、本実施形態の精算システムを運用する場合を図2に示すフロー図のステップに基いて以下に説明する。
【0022】
まず、顧客が商品を購入したとき、ポイント換算手段11によってその購入金額に応じた取引ポイントに換算する(ステップ〔1〕)。例えば、100円分の購入につき1ポイントの取引ポイントに換算する。
【0023】
また、前記ホストコンピュータ1のメモリ手段12には、前記ポイント換算手段11によって顧客の購入金額に応じて換算される取引ポイントが蓄積された取引ポイントデータおよび、顧客が予め設定した精算基準値Pを記憶させる。また、必要に応じて、顧客データや取引ポイントが加算された日付や購入店を管理することもできる。
【0024】
そして、顧客が商品を購入したとき、前記金額入力手段21によって商品の合計購入金額を暫定金額Aとして入力する(ステップ〔2〕)。
【0025】
次いで、残高ポイント照会手段13によってメモリ手段12に記憶された当該顧客の残高ポイントZを照会する(ステップ〔3〕)。
【0026】
然る後、顧客が設定した精算基準値Pを照会するとともに(ステップ〔4〕)、前記暫定金額Aのうち、端数金額検出手段14によって前記精算基準値P未満の金額を端数金額Fとして検出する(ステップ〔5〕)。
【0027】
この際、まず、端数金額Fが発生しているかを判定する。端数金額Fが発生している場合には、残高判定手段15によって当該端数金額Fと残高ポイントZとの大小を判定する(ステップ〔7〕)。
【0028】
そして、当該残高ポイントZが端数金額F以上であるときには、この端数金額Fを値引きポイントDとして前記暫定金額Aから減額した請求金額Vを算出する(ステップ〔7〕〜ステップ〔8〕)。
【0029】
一方、端数金額Fが発生していない場合には、暫定金額Aをそのまま請求金額Vとして処理する(ステップ〔8〕)。
【0030】
そして、図3に示すように、上記過程でそれぞれ算出されたこの請求金額Vを前記端末機2のモニタ手段22に表示することができる(ステップ〔9〕)。
【0031】
なお、本実施形態では、精算基準値Pは、複数の既定単位金額の中から選択可能にすることができ、更に、これらの既定単位金額を、10円単位、100円単位、1000円単位にすることができ、硬貨の組み合わせを減少せしめ、支払い作業をより簡素にすることができる。
【0032】
例えば、暫定金額Aが、958円であった場合において、精算基準値Pを10円にしたときは、端数金額Fが8円となる。ここで、残高判定手段15によって残高ポイントZが8ポイント以上あるか確認する。
【0033】
そして、当該残高ポイントZが8ポイント以上ある場合には、同残高ポイントZから8ポイントを差し引いて値引きポイントDとし、暫定金額Aから8円を減額した950円が請求金額Vとなる。一方、残高ポイントZが8ポイント未満である場合には、暫定金額Aである958円がそのまま請求金額Vとなる。
【0034】
また、同様にして、精算基準値Pを100円にしたときは、端数金額が58円となり、残高判定手段15によって残高ポイントZが58ポイント以上あるか確認し、当該残高ポイントZが58ポイント以上ある場合には、これを差し引いて値引きポイントDとし、暫定金額Aから58円を減額した900円が請求金額Vとなる。
【0035】
ちなみに、顧客に精算基準値Pを明確にするために、既定単位金額を予め設定したものをコースとして用意しておき、これらの称呼を「スマート10」や「スマート100」、「スマート1000」などとすることもできる。
【0036】
なお、本実施形態では、取引回毎に精算基準値Pを変更することもでき、顧客に有利な支払方法をその都度選択することができる。
【0037】
また、本実施形態では、暫定金額Aを入力した時点で、この暫定金額Aに応じた取引ポイントに換算して、メモリ手段12に記憶することができ、例えば、ポイント会員に入会した当初からすぐに利用を開始することができる。
【0038】
また、本実施形態では、取引ポイントをリーダライタ装置によって各顧客が所持するデータキャリアにリードライト可能にして、かつ、当該リーダライタ装置から取引ポイントのデータをホストコンピュータ1に通信可能に構成して利便性を向上せしめることもできる。
【0039】
更にまた、本実施形態では、ホストコンピュータ1にはバッファリングにより演算処理速度を高速化する緩衝記憶装置16を配設することもできる。
【0040】
本発明は概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、ポイント換算手段11による換算率は、100円1ポイントに限らず、10円や50円、500円など任意に設定することができるし、また、精算基準値Pは、50円や500円に設定することもでき、本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態の装置を表わす概略図である。
【図2】本発明の実施形態のフロー図である。
【図3】本発明の実施形態の使用状態のモニタ画面を表わす概略図である。
【符号の説明】
【0042】
1 ホストコンピュータ
11 ポイント換算手段
12 メモリ手段
13 残高ポイント照会手段
14 端数検出手段
15 残高判定手段
16 緩衝記憶装置
2 端末機
21 金額入力手段
22 モニタ手段
A 暫定金額
P 精算基準値
Z 残高ポイント
F 端数金額
D 値引きポイント
V 請求金額

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の購入金額に応じて付与された取引ポイントのデータが記憶されたホストコンピュータ1と、このホストコンピュータ1に接続され、商品の購入合計金額を入力可能な端末機2とを少なくとも含んで構成されるサービスポイントシステムにおいて、
前記ホストコンピュータ1には、ポイント換算手段11、メモリ手段12、残高ポイント照会手段13、端数検出手段14および残高判定手段15を備えている一方、
前記端末機2には、商品の購入合計金額を暫定金額Aとして入力可能な金額入力手段21および、情報を表示可能なモニタ手段22を備えており、
前記メモリ手段12には、ポイント換算手段11によって顧客の購入金額に応じて換算される取引ポイントが蓄積された取引ポイントデータおよび、顧客が予め設定した精算基準値Pが記憶されている一方、
顧客が商品を購入したとき、前記金額入力手段21によって商品の合計購入金額が暫定金額Aとして入力されたときに、残高ポイント照会手段13によってメモリ手段12に記憶された当該顧客の残高ポイントZが照会されるとともに、
前記暫定金額Aのうち、端数金額検出手段14によって前記精算基準値P未満の金額が端数金額Fとして検出され、かつ、残高判定手段15によって当該端数金額Fと残高ポイントZとの大小が判定され、
当該残高ポイントZが端数金額F以上であるときには、この端数金額Fを値引きポイントDとして前記暫定金額Aから減額した請求金額Vを算出して、この請求金額Vを前記端末機2のモニタ手段22に表示可能に構成したことを特徴とするサービスポイントシステムにおける端数金額値引き精算システム。
【請求項2】
暫定金額Aを入力した時点で、この暫定金額Aに応じた取引ポイントに換算されて、メモリ手段12に記憶されることを特徴とする請求項1記載のサービスポイントシステムにおける端数金額値引き精算システム。
【請求項3】
取引回毎に精算基準値Pを変更可能であることを特徴とする請求項1または2記載のサービスポイントシステムにおける端数金額値引き精算システム。
【請求項4】
精算基準値Pは、複数の既定単位金額の中から選択可能であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のサービスポイントシステムにおける端数金額値引き精算システム。
【請求項5】
精算基準値Pの既定単位金額が、10円単位、100円単位、1000円単位であることを特徴とする請求項4記載のサービスポイントシステムにおける端数金額値引き精算システム。
【請求項6】
取引ポイントはリーダライタ装置によって各顧客が所持するデータキャリアにリードライト可能であって、かつ、当該リーダライタ装置から取引ポイントのデータをホストコンピュータ1に通信可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載のサービスポイントシステムにおける端数金額値引き精算システム。
【請求項7】
ホストコンピュータ1にはバッファリングにより演算処理速度を高速化する緩衝記憶装置16が配設されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載のサービスポイントシステムにおける端数金額値引き精算システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−128960(P2009−128960A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300035(P2007−300035)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(504185418)株式会社リカーマウンテン (1)
【Fターム(参考)】