説明

サーマルヘッドシステム及びサーマルヘッドの通電制御方法

【課題】駆動時の抵抗値測定や複雑な通電制御を行わず、トリミング量を増やすことなく発熱抵抗素子の発熱特性のばらつきを抑制する。
【解決手段】複数の発熱抵抗素子の抵抗値と全体の平均抵抗値との差分に応じた通電制御を各発熱抵抗素子単位で行わず、複数に区分した各単位ブロックの発熱抵抗素子の平均抵抗値と目標抵抗値との差分に応じた通電制御を、単位ブロックの発熱抵抗素子単位で行う。これにより、各発熱抵抗素子のばらつき幅W2が、旧来のばらつき幅W1よりも小さくなったような状態で、発熱抵抗素子を発熱させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、孔版印刷装置における感熱孔版用マスタの製版機構など、複数の発熱抵抗素子を配列した発熱抵抗体に電圧を印加して各発熱抵抗素子を発熱させるサーマルヘッドにおいて、サーマルヘッドに備えられた発熱抵抗素子の通電量を制御するシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、孔版印刷装置では、感熱孔版用マスタを用いたものとして、主に輪転式孔版印刷装置及び簡易押圧式孔版印刷装置がある。これらの印刷装置では、熱溶融により穿孔される熱可塑性樹脂フィルムと、このフィルムの支持体である多孔性薄葉紙等を接着剤で貼り合わせた感熱孔版印刷用(感熱孔版用)マスタが用いられる。そして、このマスタをサーマルヘッドによって加熱し、印刷画像の画線部に対応させて穿孔することで製版を行い、製版されたマスタと印刷用紙を合わせて押圧することで、マスタの支持体側から押し出されたインキがフィルムに開けられた孔を通して印刷用紙に転移し、印刷が行われる。
【0003】
一般的に、サーマルヘッドは、ライン状に複数の発熱抵抗素子を配列した発熱抵抗体を有し、発熱抵抗素子を選択的に駆動することによりマスタ上に所望の印刷画像の画線部を穿孔するよう構成されている。ところで、上記サーマルヘッドでは、各発熱抵抗素子の抵抗値が全て一定でないことにより、ヘッド内で発熱量に分布が生じて、画像濃度ムラやドット抜け(穿孔不発)が生じてしまうという問題がある。この問題を解決するために、従来から、抵抗値のばらつきに応じて各発熱抵抗を補正して駆動することが提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1に開示された技術では、サーマルヘッドに設けられている複数の発熱抵抗素子の抵抗値をそれぞれ計測する計測手段と、計測された抵抗値に基づいて各発熱素子の発熱量がほぼ均一となるように各発熱素子の通電時間をそれぞれ調整する調整手段とを有することを特徴としている。これにより、サーマルヘッドの各発熱素子の発熱量が一定となり、高精度の印刷を行うことができる。
【0005】
特許文献2に開示された技術では、各発熱抵抗素子に供給する通電パルスをそれぞれ複数に分割した分割パルスとするとともに、各発熱抵抗素子供給する各分割パルスのパルス幅を各発熱素子の抵抗値に基づいて個別に制御する。これにより、抵抗値の異なる各発熱抵抗素子のピーク温度と熱応答特性とを同一とし、温度が均一な記録ムラのない印刷を行うことができる。
【0006】
特許文献3に開示された技術では、各発熱抵抗素子を同じ通電量で通電した場合の発熱量のばらつきを相殺する逆発熱量分布パターンを補正データとして作成し、この補正データの発熱量分布パターンとなるように、各発熱抵抗素子をブロック単位で予備駆動した上で、発熱抵抗素子を選択的に本駆動して記録を行う。これにより、発熱抵抗素子の発熱量が平均化され、記録ムラを防止することができる。
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1及び2に開示された技術では、サーマルヘッドを駆動させる都度、個々の発熱抵抗素子の抵抗値を測定したり、発熱抵抗素子の通電時間を個別に調整する手段が必要であり、抵抗値の測定などの前処理に時間を要する上に、測定のための手段が必要となり、システムの構造や制御が複雑になるという問題がある。
【0008】
また、特許文献3に開示された技術にあっては、サーマルヘッドを駆動させる都度、各発熱抵抗素子をブロック単位で予備駆動した上で本駆動させる手段が必要であり、予備駆動と本駆動の二段階の駆動制御を行う手段が必要となり、システムの構造や制御が複雑になるという問題がある。
【0009】
しかも、特許文献1乃至3に開示された技術では、全発熱抵抗素子の抵抗値とその平均値との差分に基づいて、各発熱抵抗素子の通電時間又はブロック単位の発熱抵抗素子の通電パターンを制御するので、抵抗値が平均抵抗値から大きく外れた発熱抵抗素子の通電量を他の発熱抵抗素子の通電量と大きく異ならせる必要がある。そのため、通算通電量の差による発熱抵抗素子の経年劣化のばらつきが大きいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−232840号公報
【特許文献2】特開2000−158691号公報
【特許文献3】特開平8−300708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、サーマルヘッドの工場出荷時には、サーマルヘッドの抵抗値の均一化のために、各発熱抵抗素子に対してトリミング処理が施される。このトリミング処理は、発熱抵抗素子にパルス通電を複数回行うことにより発熱抵抗素子の抵抗値を変化させるものである。
【0012】
一般的にトリミング処理は、発熱抵抗素子へのパルス通電による構造的劣化を最小限に止めるために、各発熱抵抗素子の抵抗値が大雑把に均一化される程度で止めるのが通常である。そして、残る細かな抵抗値の均一化は、上述したサーマルヘッドの駆動制御によってまかなっているのが通常である。
【0013】
したがって、上述したサーマルヘッドの駆動制御を避けるためには、一般的な量よりもトリミング量を増やして各発熱抵抗素子の抵抗値の均一化を図る必要がある。しかし、そうすると、トリミング量の増加により構造的な劣化の度合いが大きくなって寿命が短くなる発熱抵抗素子が発生する可能性がある。
【0014】
本発明は前記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、ライン状に配列された複数の発熱抵抗素子を有するサーマルヘッドを備えた装置において、サーマルヘッドの駆動時における発熱抵抗素子の抵抗値の測定や複雑な通電制御などの処理を行わず、また、トリミング量の増加による耐久性の低下を招くことなく、各発熱抵抗素子の発熱特性のばらつきを抑制することができるサーマルヘッドシステム及びサーマルヘッドの通電制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために請求項1に記載した本発明のサーマルヘッドシステムは、
ライン状に複数の発熱抵抗素子を配列した発熱抵抗体を有し、この発熱抵抗体に通電して各発熱抵抗素子を発熱させるサーマルヘッドシステムであって、
前記発熱抵抗体を前記ラインの延在方向に複数に区分した各単位ブロックが、所定数の前記発熱抵抗素子によってそれぞれ構成されており、
抵抗値を前記所定数の発熱抵抗素子の平均抵抗値とした該所定数の発熱抵抗素子に通電したときの合計発熱量を所定の目標発熱量と一致させるため、前記所定数の発熱抵抗素子の平均抵抗値と目標抵抗値との差分に基づいて算出した前記所定数の発熱抵抗素子に関する通電量を、前記各単位ブロック別に記憶する通電量記憶部と、
前記サーマルヘッドの駆動時に、前記各単位ブロック毎に、前記単位ブロックの前記所定数の発熱抵抗素子を該単位ブロックに対応して前記通電量記憶部に記憶された通電量でそれぞれ駆動させる通電量制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2に記載した本発明のサーマルヘッドの通電制御方法は、
ライン状に複数の発熱抵抗素子を配列した発熱抵抗体を有し、この発熱抵抗体に通電して各発熱抵抗素子を発熱させるサーマルヘッドの通電制御方法であって、
前記発熱抵抗体を前記ラインの延在方向に複数に区分した各単位ブロックを、所定数の前記発熱抵抗素子によってそれぞれ構成し、
抵抗値を前記所定数の発熱抵抗素子の平均抵抗値とした該所定数の発熱抵抗素子に通電したときの合計発熱量を所定の目標発熱量と一致させるための、前記所定数の発熱抵抗素子に関する通電量を、該所定数の発熱抵抗素子の平均抵抗値と目標抵抗値との差分に基づいて、前記各単位ブロック別に予め決定し、
前記サーマルヘッドの駆動時に、前記各単位ブロックの前記所定数の発熱抵抗素子を、各単位ブロックに対応して予め決定した通電量でそれぞれ駆動させるようにした、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載した本発明のサーマルヘッドの抵抗値制御システム及び請求項2に記載した本発明のサーマルヘッドの抵抗値制御方法によれば、ライン状に複数の発熱抵抗素子を配列した発熱抵抗体をラインの延在方向に複数に区分した各単位ブロックについて、単位ブロック中の所定数の発熱抵抗素子の平均抵抗値を製造時にそれぞれ測定しておく。
【0018】
また、測定した平均抵抗値と目標抵抗値との差分に基づいて、抵抗値が平均抵抗値である所定数の発熱抵抗素子に通電したときの合計発熱量を所定の目標発熱量と一致させるための所定数の発熱抵抗素子の通電量を、各単位ブロック別に予め決めておく。
【0019】
そして、サーマルヘッドの駆動時には、各単位ブロックの複数の発熱抵抗素子を、単位ブロック別に予め決めておいた通電量で駆動させることになる。
【0020】
このため、各単位ブロックでは、所定数の発熱抵抗素子の抵抗値が全てそれらの平均抵抗値であると仮定した場合に、それら所定数の発熱抵抗素子による合計発熱量が他の単位ブロックと同じになるような通電量で、所定数の発熱抵抗素子が駆動されることになる。これにより、平均抵抗値が低い単位ブロックは平均抵抗値が高い単位ブロックよりも短い時間通電されることになる。
【0021】
このときの各単位ブロックの合計発熱量は、各単位ブロックの平均抵抗値がいずれも目標抵抗値であると仮定した場合の、各単位ブロックを同じ時間通電した場合の合計発熱量と等しくなる。
【0022】
よって、サーマルヘッドの駆動中には、各単位ブロックの所定数の発熱抵抗素子の平均抵抗値が、見かけ上は目標抵抗値に均一化された状態となる。そして、この目標抵抗値を基準にした発熱抵抗体の各発熱抵抗素子の抵抗値のばらつき幅は、発熱抵抗体の全発熱抵抗素子の平均抵抗値を基準にしたばらつき幅よりも小幅に収まる。
【0023】
このため、各発熱抵抗素子を、全発熱抵抗素子の発熱量が目標発熱量と一致するような通電量で駆動するのに比べて、発熱抵抗素子毎の通電量のばらつき幅を小さくして、通算通電量の差による発熱抵抗素子の経年劣化のばらつきを小さくすることができる。
【0024】
そして、サーマルヘッドを駆動する度に発熱抵抗素子の抵抗値の測定や複雑な通電制御などの処理を行う必要をなくして、制御やそれを実現する構成の簡素化を図ることができる。
【0025】
さらに、トリミング処理におけるトリミング量を増やさなくても各発熱抵抗素子の抵抗値のばらつきをその通電制御によって実質的に小さくすることができるので、トリミング量の増加による発熱抵抗素子の耐久性の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のサーマルヘッドシステムとサーマルヘッドの通電制御方法を適用した本発明の一実施形態に係る孔版印刷装置の内部構成を示す概略断面図である。
【図2】(a)は、本実施形態に係るサーマルヘッドユニットを示す平面図、同図(b)は、(a)のサーマルヘッドユニットを示す側面図である。
【図3】(a)は、サーマルヘッドを模式的に示す平面図であり、同図(b)は、(a)のX−X断面図である。
【図4】本実施形態に係る通電量制御に係る機構を示すブロック図である。
【図5】本実施形態に係る各発熱抵抗素子の抵抗値のばらつきを示すグラフ図である。
【図6】各発熱抵抗素子の抵抗値をトリミング加工により共通の目標抵抗値に均一化する場合のトリミング量を示すグラフ図である。
【図7】本実施形態に係るサーマルヘッドの製造方法を示す工程図である。
【図8】本実施形態に係るサーマルヘッドの製造工程の過程を段階的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態では、本発明のサーマルヘッドシステム、及びサーマルヘッドの通電制御方法を、孔版印刷装置における感熱孔版用マスタの製版機構に適用した場合を例に説明する。なお、本実施形態では、本発明をマスタの製版機構に適用した場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、この他、例えば、感熱式記録装置や熱転写記録装置など、発熱抵抗素子を配列した発熱抵抗体に電圧を印加して各発熱抵抗素子を発熱させるすべての装置に適用することができる。
【0028】
(孔版印刷装置の全体構成)
図1は、本実施形態に係る孔版印刷装置1の内部構成を示す概略断面図である。図1において、孔版印刷装置1は、原稿読取機構2と、製版機構3と、印刷機構4と、給紙機構5と、排紙機構6と、排版機構7と、これらの各機構を制御する制御部8とから概略構成されている。
【0029】
印刷機構4は、版胴16及びプレスロール17を有し、この版胴16及びプレスロール17は互いの外周面の一部を略近接させてそれぞれ回転自在に設けられている。版胴16の外周面には原紙クランプ部18が設けられ、この原紙クランプ部18で孔版原紙の先端を把持する。また、版胴16の内周面には、プレスロール17の対向する位置にアウタープレス機構のスキージロール47が設けられている。また、版胴16の外周面には、無数の孔が形成された開口面(有効印面)が形成され、この開口面を通じて、版胴16の内部から、外部にインキが供給される。なお、外周面には、孔版原紙が巻装され、外周面の開口部と孔版原紙の間に供給されたインキのうち、孔版原紙の穿孔面からのみ、インキが外部に供給されることになる。
【0030】
給紙機構5は、印刷媒体である印刷用紙22が複数枚積層される給紙台23と、この給紙台23から最上位置の印刷用紙22に圧接するスクレーパ24と、このスクレーパ24の下流に配置され、かつ、互いに略近接状態で位置するピックアップロール25と、このピックアップロール25の下流に配置され、かつ、互いに略近接状態で位置するガイドロール27及びタイミングロール28とを有する。給紙台23より給紙される印刷用紙はスクレーパ24によって引き出され、ピックアップロール25に送り出される。排紙機構6は、印刷が完了した印刷用紙22を版胴16から剥ぎ取る用紙剥取爪32と、剥ぎ取られた印刷用紙22を搬送する用紙搬送機構33と、この用紙搬送機構33によって搬送されてきた印刷用紙22を積層状態で載置するスタッカ部34とを有する。
【0031】
排版機構7は、版胴16の原紙クランプ部18から解放された孔版原紙15の前端を導く排版誘導ベルト35と、この排版誘導ベルト35より導かれた孔版原紙15を版胴16から引き剥がしながら巻き取って回収する排版ローラ36と、孔版原紙15の着版時に、孔版原紙15が排版ローラ36に接触するのを防ぐ汚染防止ガイド38と、排版ローラ36によって回収される孔版原紙15を収納する排版ボックス37とを有する。
【0032】
原稿読取機構2は、スキャナーなど、原稿をレンズやCCD等によって光学的に読み取り、電気信号として出力する機構である。この読み取った情報は所定の指令(拡大、縮小等)に基づいて加工され、製版機構3に送出される。製版機構3は、原稿読取機構2で読み取った電気信号に基づいて長尺状原紙10に対して製版を行うものであり、ロールに巻かれた長尺状原紙10の搬送方向の下流に配置されたサーマルヘッドユニット12と、このサーマルヘッドユニット12と対向配置されたプラテンローラ13と、長尺状原紙10の搬送方向の下流に配置された原紙カッタ14とを有する。
【0033】
(サーマルヘッドの構成)
図2(a)は、サーマルヘッドユニット12を示す平面図、同図(b)は、(a)のサーマルヘッドユニット12を示す側面図である。図2(a)及び(b)に示すように、サーマルヘッドユニット12は、基板20を備えている。基板20の下面側には、アルミ放熱板121及びコネクタ122が取り付けられている。基板20の上面側には、ICカバー13がナット124によって取り付けられている。基板20の上部には、サーマルヘッド70が形成されている。
【0034】
図3(a)は、サーマルヘッド70を模式的に示す平面図であり、同図(b)は、(a)のX−X断面図である。図3(a)及び(b)に示すように、サーマルヘッド70は、アルミナセラミックスからなる絶縁性の基板本体56を基部として有しており、この基板本体上表面が、ガラス製のグレーズ57で被覆されている。
【0035】
グレーズ57上面には、主走査方向に沿うように、平面視においてライン状の隆起部57aが形成されており、この隆起部分57aは、その横断面において外輪郭が略円弧状となるように形成されている。このグレーズ57の隆起部分57aの曲面頂部には発熱抵抗体72が設けられている。この発熱抵抗体72は、薄膜からなる多数の発熱抵抗素子721〜72nを、所定間隔をもって、主走査方向にライン状に配列することで構成されている。本実施形態において発熱抵抗素子721〜72nは、図3(c)に示すように、3600個程度配列されている。
【0036】
また、発熱抵抗体72の副走査方向における両側には、厚さ約0.6μmのアルミニウム等からなる導電層64a、64bが、それぞれ各発熱抵抗素子721〜72nと電気的に接続するように、グレーズ57上に成膜されている。更に、サーマルヘッド70では、発熱抵抗体72と、各導電層64a、64bとを、一括して覆うように保護層58が形成されている。更に、発熱抵抗体72の両端には、コモン電極部66,66が配置されている。
【0037】
発熱抵抗素子721〜72nは、図3(a)に示すように、サーマルヘッド70の長さ方向(主走査方向)に、所定の間隔で配列され、選択的に電圧がかけられ、個々に発熱が制御される。導電層64a、64bは、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)などの金属、又はこれらを主成分とした合金あるいはこれら金属や合金の積層体から成っている。最上層の保護層58は、コモン電極部66や導電層64a,64b、発熱抵抗体72を覆うように、成膜されている。
【0038】
(通電量制御機構)
本発明のサーマルヘッドの駆動制御は、上記制御部8によって実行される。図4は、駆動制御に係る機構を示すブロック図である。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組合せなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0039】
図4に示すように、制御部8は、発熱抵抗素子721〜72nの駆動制御に関するモジュールとして、通電量制御部81と、補正データ記憶部84とを備えている。この制御部8には、外部インターフェース83や操作パネル80のユーザーインターフェースが接続され、外部インターフェース83に接続された外部機器からの信号や、操作パネル80からのユーザー操作に基づく操作信号が入力される。更に、この制御部8には、製版機構3の駆動回路30やサーマルヘッド70など、製版のための駆動を制御する制御信号が送出される。
【0040】
制御部8は、発熱抵抗体72の発熱抵抗素子721〜72nを単位ブロック毎に個別に制御する。各単位ブロックは、発熱抵抗素子721〜72nをそのライン列設方向に複数に分割したうちの一つの分割部分で構成され、それぞれ所定数の発熱抵抗素子を有している。
【0041】
通電量制御部81は、例えば、CPU等の各種演算処理を実行する演算処理装置で実現され、ここでは、製版動作時において、サーマルヘッド70を駆動する際に、補正データを補正データ記憶部84から読み出し、読み出された補正データに応じた通電量により各発熱抵抗素子721〜72nを発熱させるモジュールとして機能する。本実施形態では、発熱抵抗素子721〜72nに対する通電時間を制御することにより、通電量を調整し、各発熱抵抗素子721〜72nの発熱量を変化させる。なお、通電量の調整としては、通電時間の制御の他、電圧や電流を制御して通電量を変化させるようにしてもよい。
【0042】
この通電量制御部81には、補正データ記憶部84が接続されており、補正データ記憶部84には、上述した各単位ブロック毎の補正データが記憶されている。各単位ブロック毎の補正データは、外部I/F83を通じて、ラベル値記憶部9から入力される各単位ブロックのラベル値に基づいて作成される。ラベル値記憶部9には、各単位ブロックに属する発熱抵抗素子721〜72nの平均抵抗値が、各単位ブロックのラベル値として記憶されている。各単位ブロックのラベル値(各単位ブロックに属する発熱抵抗素子721〜72nの平均抵抗値)は、サーマルヘッド70の製造時に外部の抵抗値測定装置(図示せず)によって測定された各発熱抵抗素子721〜72nの抵抗値に基づいて作成される。
【0043】
補正データは、ラベル値記憶部9に記憶された各単位ブロック毎のラベル値(各単位ブロックに属する発熱抵抗素子721〜72nの平均抵抗値)と、所定の目標抵抗値との差分に基づいて算出した、各単位ブロック別のデータである。そして、各単位ブロックの補正データは、単位ブロックに属する発熱抵抗素子721〜72nへの通電量を補正するデータである。この補正データの作成は、ラベル値記憶部9が行ってもよく、装置1の演算処理モジュールを用いて行ってもよい。
【0044】
(補正データの作成)
次いで、上述したサーマルヘッドの製造時における補正データの作成について、図5を参照して説明する。まず、本実施形態の発熱抵抗素子721〜72nが、図5(a)に示すような抵抗値のばらつき幅W1を有しているものとする。
【0045】
ここで、発熱抵抗素子721〜72nの通電量を制御して、各発熱抵抗素子721〜72nの抵抗値が実質的に全発熱抵抗素子721〜72nの抵抗値を平均した平均抵抗値に一致するように、各発熱抵抗素子721〜72nの発熱量を一致させるには、W1/2以上の幅で抵抗値を補正するのに相当する補正を通常の通電量に対して行う必要のある発熱抵抗素子が、最低でも1つは発生することになる。
【0046】
このばらつき幅W1に亘ってばらついた抵抗値を有する発熱抵抗素子721〜72nの発熱量が一致するように通電制御するには、発熱抵抗素子721〜72nの通電時間を個別に調整する手段が必要であり、抵抗値の測定などの前処理に時間を要する上に、測定のための手段が必要となり、システムの構造や制御が複雑になるという問題がある。また、通電量を大きく増やすように通電制御する必要がある発熱抵抗素子721〜72nほど、そうでない他の発熱抵抗素子721〜72nと比べて、通算通電量の差による発熱抵抗素子の経年劣化のばらつきが大きくなってしまう。
【0047】
かといって、全発熱抵抗素子721〜72nの抵抗値をトリミング量の増減によって一定の目標抵抗値にそれぞれ一致させるとなると、図6のグラフに示すように、トリミング量が多い発熱抵抗素子721〜72nほど、トリミング量が少ない発熱抵抗素子721〜72nに比べて、構造的な劣化の度合いが大きくなって寿命が短くなってしまう。
【0048】
一方、例えば、図5(b)に示すように、全発熱抵抗素子721〜72nを4つの単位ブロックに区分し、各単位ブロックに属する発熱抵抗素子721〜72nの平均抵抗値をそれぞれ求めると、各単位ブロックの平均抵抗値どうしのばらつき幅W2は、図5(a)に示すばらつき幅W1よりも小さい幅となる。
【0049】
そこで、本実施形態では、各単位ブロックに属する所定数の発熱抵抗素子721〜72nを、それらの発熱抵抗素子721〜72nの実際の抵抗値から求めた平均抵抗値であるものと仮定して、それら所定数の発熱抵抗素子による合計発熱量が所定の目標発熱量となるような通電量を、各単位ブロックについて決定している。そして、決定した通電量で対応する単位ブロックの所定数の発熱抵抗素子が駆動されるように、標準的な通電量を決定した通電量に補正するための補正データを、各単位ブロックの補正データとして補正データ記憶部84に記憶するようにしている。
【0050】
このようにして決定される各単位ブロックの補正データにより補正した通電量で、対応する単位ブロックの所定数の発熱抵抗素子721〜72nをそれぞれ駆動することにより、図5(c)に示すように、各単位ブロックの発熱抵抗素子721〜72nの平均抵抗値が同じ抵抗値となったのと同じ状態で、発熱抵抗体72の各発熱抵抗素子721〜72nを発熱させることができる。
【0051】
なお、上述した目標抵抗値は、4つの単位ブロックの平均抵抗値の例えば中間値や、4つの平均抵抗値をさらに平均した抵抗値としてもよい。また、平均抵抗値との差の最大値が最も少なくなるように目標抵抗値を決定してもよい。
【0052】
次に、上述した手順で決定する補正データを用いた単位ブロック別の発熱抵抗素子721〜72nの通電制御を含む、サーマルヘッド70の製造から駆動までの手順について、図7の工程図と図8の断面図とを参照して説明する。
【0053】
同図に示すように、まず、ステップS101のグレーズ基板の作製工程で、図8(b)に示すように、図8(a)に示す基板本体56上に、スクリーン印刷等により、グレーズ57を形成する。このとき、グレーズ57上面において、外輪郭が略円弧状の隆起部57aをライン状に形成する。次いで、図8(c)に示すように、ステップS102の発熱抵抗素子成膜工程において、グレーズ57の上に発熱抵抗体72を形成する。この発熱抵抗体72の形成は、例えば、真空蒸着やスパッタリング等の薄膜形成技術を用いて行う。更に、ステップS103のフォトリソグラフィー及びエッチング工程で、フォトリソグラフィーとエッチングにより、成膜された発熱抵抗素子721〜72nが、図3(a)で示したように、グレーズ57の長さ方向に、所定の間隔で配列されることとなる。
【0054】
そして、ステップS104の電極層成膜工程において、図8(d)に示すように、発熱抵抗体72上の全面に、所望の厚さの導電層64を形成する。導電層64は、スパッタリング等の薄膜形成技術により形成されてもよいし、スクリーン印刷工法により形成されてもよい。次いで、ステップS105のフォトリソグラフィー及びエッチング工程で、フォトリソグラフィーとエッチングによってパターニングし所望の領域の導電層64を除去する。より具体的には、図3(a)で示したように、サーマルヘッド70の長さ方向に、所定の間隔で配列されて形成され、かつ、発熱抵抗体72の頂部領域が露出するように、導電層64を除去する。この工程によって、導電層64は、コモン電極部66側の第1の導電層64aと反対側の第2の導電層64bとに電気的に分離される。その後、ステップS106の保護膜形成工程では、図8(e)に示すように、最上層に保護層58を形成する。
【0055】
更に、次いで加熱処理を行う。具体的には、ステップS107のアニール処理工程において、発熱抵抗体全体に加熱する。このアニール処理により、製造過程において発熱抵抗体72に生じた局所的な結晶の歪みを解消し、発熱抵抗体72全体の発熱素子の結晶性を高めることで、発熱抵抗素子721〜72nの膜構造が安定化する。このアニール処理に次いで、ステップS108のトリミング工程で、作製された各発熱抵抗体72の抵抗値を調整するためにトリミングを行う。
【0056】
このトリミング処理では、各画素を構成する発熱抵抗素子721〜72nについて、導電層64aと64bとの間にパルス通電を複数回行うことにより、発熱抵抗素子721〜72nの抵抗値を変化させ、各ドットでの発熱抵抗体72の抵抗値を所望の抵抗値に調整する。なお、本実施形態において、このステップS108では、抵抗値のばらつきの程度(抵抗値の分布幅)を、図5(a)に示す程度まで大まかに縮めておけばよい。
【0057】
そして、このようにしてトリミング処理を完了した後、次いで、発熱抵抗体72の抵抗値の測定を行い(ステップS109)、単位ブロック毎の平均抵抗値を算出する(S110)。なお、本実施形態では、図3(c)に示すように、発熱抵抗素子721〜72nは3600個あり、これを4等分して単位ブロックを形成する。しかし、発熱抵抗素子721〜72nの等分数は、4等分に限らず任意である。例えば、単位ブロック内での発熱抵抗素子721〜72nの抵抗値の目標ばらつき幅を先に設定し、そのばらつき幅に収まる範囲を一単位ブロックとするように、単位ブロック内の発熱抵抗素子721〜72nの数を決定してもよい。
【0058】
次いで、算出された平均抵抗値に基づき、各単位ブロックの算出された平均抵抗値が実質的に所定の目標抵抗値となるような、記録時における通電制御用の補正データを、先に説明した手順で各単位ブロック別に作成する(S111)。なお、本実施形態では、この目標抵抗値は、各ブロックの平均抵抗値のうち最も低い値とし、ここでは、2040Ωとしている。
【0059】
その後、この作成された補正データは、抵抗値測定装置9から、制御部8の外部インターフェース83を通じて孔版印刷装置1へ送信され、補正データ記憶部84に格納される。なお、ここでは、補正データの作成を、抵抗値測定装置9で行ったが、孔版印刷装置1の演算処理モジュールを用いて行ってもよい。
【0060】
(製版動作)
次に、以上の構成を有する孔版印刷装置1における製版動作について説明する。
【0061】
先ず、製版機構3において、プラテンローラ13と原紙送りローラの回転により長尺状原紙10を搬送し、サーマルヘッドユニット12へと送り出す。サーマルヘッドユニット12では、原稿読取機構2で読み取った画像情報に基づきサーマルヘッド70の各発熱抵抗素子721〜72nが選択的に発熱することによって、長尺状原紙10に対し、感熱穿孔し、孔版原紙15を製版する。
【0062】
このとき、サーマルヘッド70の駆動時には、補正データを補正データ記憶部84から読み出し、通電量制御部81において、読み出された補正データに応じた通電量となるように通電時間を調整し、各発熱抵抗素子721〜72nを発熱させる。詳述すると、補正データは、サーマルヘッドの製造過程において、抵抗値測定装置9により測定された抵抗値に基づいて、単位ブロック毎の平均抵抗値を算出し、算出された平均抵抗値が所定の目標抵抗値となるように、単位ブロック単位で作成されている。
【0063】
通電量制御部81は、原稿読取機構2で読み込まれた画像データを解析し、印刷画像の画線部に対応させて穿孔するために、各画素のドットに応じた通電量となるように、画素毎の通電時間を算出する。このとき、補正データを参照し、各発熱抵抗素子721〜72nの抵抗値に応じて、通電時間を伸縮させる。具体的には、抵抗値測定装置9により、製造過程において測定された抵抗値(図5(a))に基づき、単位ブロック毎の平均抵抗値を算出し(同図(b))、サーマルヘッド70の駆動中において、各単位ブロックの平均抵抗値が全て所定の目標抵抗値と実質的に一致した状態となるように、単位ブロック単位で各発熱抵抗素子721〜72nの通電量を補正する。なお、この目標抵抗値は、各ブロックの平均抵抗値のうち最も低い値とし、本実施形態では、目標抵抗値を、2040Ωとしている。
【0064】
したがって、発熱抵抗素子721〜72nの全体についての平均抵抗値を基準にして各発熱抵抗素子721〜72nの通電制御を個別に行う場合(図5(a))は、±5%以上の抵抗値のばらつき幅W1を補う大きさで通電量補正幅のばらつきが生じる。一方、本実施形態のように、単位ブロック毎に平均抵抗値を目標抵抗値に一致させるような通電制御をその単位ブロックに属する発熱抵抗素子に一律に行う場合には、各単位ブロックの平均抵抗値どうしのばらつき幅W2を補う大きさに、通電量補正幅のばらつきが収まり、本実施形態の方が小さくなっている。
【0065】
そして、この補正された通電時間に従って、サーマルヘッドによって加熱し、印刷画像の画線部に対応させて穿孔し、製版を行う。なお、印刷駆動時にあっては、製版された孔版原紙15の先端を版胴16の原紙クランプ部18でクランプし、このクランプした状態で版胴16が回転されて孔版原紙15を版胴16の外周面に巻き付け装着する。そして、印刷用紙22がスキージロール47とプレスロール17との間で版胴16及び孔版原紙15とともに押圧され、印刷用紙22に孔版原紙15の穿孔部分からインクが転写されて画像が印刷される。
【0066】
(作用・効果)
サーマルヘッド70の製造時において、各発熱抵抗素子721〜72nの抵抗値の平均抵抗値を算出し、各単位ブロックの発熱抵抗素子721〜72nの平均抵抗値が所定の目標抵抗値となった状態で各単位ブロックの発熱抵抗素子721〜72nが発熱するように、各発熱抵抗素子721〜72nの通電量を単位ブロック別に補正する補正データを作成する。そして、サーマルヘッド70の駆動時には、その補正データに応じて各発熱抵抗素子721〜72nに対する通電量(例えば、通電時間)を増減(伸縮)させる。このため、サーマルヘッド70の駆動時における発熱抵抗素子721〜72nの抵抗値の測定や、通電時間の制御などの処理をなくし、前処理による駆動時間の長時間化、及びシステム・制御の複雑化を回避しつつ、画像濃度ムラやドット抜け(穿孔不発)の発生を回避することができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、サーマルヘッド70の製造時において、複数の発熱抵抗素子721〜72nを所定の単位ブロックに区分するとともに、各単位ブロックの抵抗値を測定し、単位ブロック毎に、平均抵抗値を算出し、各素子が属するブロックの平均抵抗値が所定の目標抵抗値となるように、各発熱抵抗素子721〜72nに対する通電量(例えば、通電時間)を増減(伸縮)させる。このため、通電量制御によって補う抵抗値のばらつき幅を、発熱抵抗素子721〜72nの全体についての平均抵抗値を基準とした場合と比べて小さい幅に抑制させることができる。具体的には、発熱抵抗素子721〜72nの全体についての平均抵抗値を基準にした場合には、図5(a)に示すように、±5%以上の抵抗値のばらつき幅W1を補う通電量制御を行う必要があるが、本実施形態では、同図(b)に示すように、各単位ブロックの平均抵抗値どうしのばらつき幅W2を補う程度の小幅な通電量制御を行えばすむようにすることができる。
【0068】
また、このように通電量を補正することで、各単位ブロックの平均抵抗値を全て同じ抵抗値としたのと実質的に同じ状態にすることができるので、発熱抵抗体72の全体における各発熱抵抗素子721〜72nの抵抗値のばらつき幅を、各単位ブロックにおける平均抵抗値と発熱抵抗素子721〜72nの抵抗値とのばらつき幅W3の最大値である±3%以下に抑えることができる。
【0069】
これにより、工場出荷時のトリミング量を増やすことなく、各発熱抵抗素子721〜72nの抵抗値のばらつきを抑制できるとともに、駆動時における補正量のばらつきも抑制できる。
【符号の説明】
【0070】
1 孔版印刷装置
2 原稿読取機構
3 製版機構
4 印刷機構
5 給紙機構
6 排紙機構
7 排版機構
8 制御部
9 ラベル値記憶部
10 長尺状原紙
12 サーマルヘッドユニット
13 プラテンローラ
14 原紙カッタ
15 孔版原紙
16 版胴
17 プレスロール
18 原紙クランプ部
20 基板
22 印刷用紙
23 給紙台
24 スクレーパ
25 ピックアップロール
27 ガイドロール
28 タイミングロール
30 駆動回路
32 用紙剥取爪
33 用紙搬送機構
34 スタッカ部
35 排版誘導ベルト
36 排版ローラ
37 排版ボックス
38 汚染防止ガイド
47 スキージロール
56 基板本体
57 グレーズ
57a 隆起部
58 保護層
64 導電層
64a 第1の導電層
64b 第2の導電層
66 コモン電極部
70 サーマルヘッド
72 発熱抵抗体
80 操作パネル
81 通電量制御部
83 外部インターフェース
84 補正データ記憶部
121 アルミ放熱板
122 コネクタ
124 ナット
721〜72n 発熱抵抗素子
W1,W2,W3 抵抗値のばらつき幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン状に複数の発熱抵抗素子を配列した発熱抵抗体を有し、この発熱抵抗体に通電して各発熱抵抗素子を発熱させるサーマルヘッドシステムであって、
前記発熱抵抗体を前記ラインの延在方向に複数に区分した各単位ブロックが、所定数の前記発熱抵抗素子によってそれぞれ構成されており、
抵抗値を前記所定数の発熱抵抗素子の平均抵抗値とした該所定数の発熱抵抗素子に通電したときの合計発熱量を所定の目標発熱量と一致させるため、前記所定数の発熱抵抗素子の平均抵抗値と目標抵抗値との差分に基づいて算出した前記所定数の発熱抵抗素子に関する通電量を、前記各単位ブロック別に記憶する通電量記憶部と、
前記サーマルヘッドの駆動時に、前記各単位ブロック毎に、前記単位ブロックの前記所定数の発熱抵抗素子を該単位ブロックに対応して前記通電量記憶部に記憶された通電量でそれぞれ駆動させる通電量制御部と、
を備えることを特徴とするサーマルヘッドシステム。
【請求項2】
ライン状に複数の発熱抵抗素子を配列した発熱抵抗体を有し、この発熱抵抗体に通電して各発熱抵抗素子を発熱させるサーマルヘッドの通電制御方法であって、
前記発熱抵抗体を前記ラインの延在方向に複数に区分した各単位ブロックを、所定数の前記発熱抵抗素子によってそれぞれ構成し、
抵抗値を前記所定数の発熱抵抗素子の平均抵抗値とした該所定数の発熱抵抗素子に通電したときの合計発熱量を所定の目標発熱量と一致させるための、前記所定数の発熱抵抗素子に関する通電量を、該所定数の発熱抵抗素子の平均抵抗値と目標抵抗値との差分に基づいて、前記各単位ブロック別に予め決定し、
前記サーマルヘッドの駆動時に、前記各単位ブロックの前記所定数の発熱抵抗素子を、各単位ブロックに対応して予め決定した通電量でそれぞれ駆動させるようにした、
ことを特徴とするサーマルヘッドの通電制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−139839(P2012−139839A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292395(P2010−292395)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】