説明

シアノピロール含有環式カルバメートおよびチオカルバメートビアリール、およびこれらの製造方法

シアノピロール部分を含有し、かつ式(I)を有する環式カルバメートおよびチオカルバメートの製造方法が提供される。Zは、同一または異なって、H、場合により置換されたC1−C6アルキル、またはCORAであり;RAは、H、場合により置換されたC1−C6アルキル、場合により置換されたC1−C6アルコキシ、または場合により置換されたC1−C6アミノアルキルであり;Qは、同一または異なって、H、OH、NH2、CN、ハロゲン、場合により置換されたC1−C6アルキル、場合により置換されたC1−C6アルケニル、場合により置換されたC1−C6アルキニル、場合により置換されたC1−C6アルコキシ、場合により置換されたC1−C6アミノアルキル、またはCORBであり;RBは、H、場合により置換されたC1−C6アルキル、場合により置換されたC1−C6アルコキシ、または場合により置換されたC1−C6アミノアルキルである。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環式カルバメートおよびチオカルバメート化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シアノピロール含有環式カルバメートおよびチオカルバメートビアリールの製造方法は、米国特許第6,509,334号;同第6,566,358号;同第6,436,929号;同第6,407,101号;および同第6,562,857号に記載されている。このような化合物は、プロゲステロン受容体(PR)モジュレーターとして有用である。これらは、次のものを包含する多様な兆候に対して製薬的に有用である。すなわち、避妊;不正出血、子宮筋層フィブロイド(uterine myometrial fibroids)、子宮平滑筋腫(uterine leiomyomata)、子宮内膜症、良性前立腺肥大、多嚢胞性卵巣症候群、癌腫、および腺癌の治療および/または予防;家畜の発情期の同期化;および食物摂取の刺激である。
【0003】
臭素置換基で6位が置換されたシクロカルバメート化合物の現在の製造方法は、少なくとも3工程をともない、1,1−カルボニルジイミダゾールおよび1,1−チオカルボニルジイミダゾールを包含する高価な試薬を使用する。
【0004】
シクロカルバメートのシクロチオカルバメートへの転化はさらに、チオネート化剤を使用する第四工程を必要とする。このような方法は典型的には、ピロールチオアミド不純物を包含する多様な不純物を形成する。これらの方法はまた、多くの工程をともない、高価であり、面倒である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当分野で必要とされるものは、シクロカルバメートおよびシクロチオカルバメート化合物のより効率的な製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様において、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくはシクロチオカルバメート化合物の生成方法が提供され、これは、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とアントラニレートもしくはこれらのニトロエステルとを反応させる工程;(c)(b)の生成物と有機金属求核原子とを反応させる工程;および(d)(d)の生成物を、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくはシクロチオカルバメート化合物に転化する工程を含む。
【0007】
別の態様において、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくは6−(シアノピロール)−シクロカルバメート化合物の生成方法が提供され、これは、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とアントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールとを反応させる工程;および(c)(b)の生成物を、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくは6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物に転化する工程を含む。
【0008】
もう1つの態様において、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくは6−(シアノピロール)−シクロカルバメート化合物の生成方法が提供され、これは、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とアントラニルケトンもしくはこれらのニトロケトンとを反応させる工程;および(c)(b)の生成物を、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくは6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物に転化する工程を含む。
【0009】
さらに別の態様において、6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物の生成方法が提供され、これは、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とブロモアントラニレートもしくはブロモアントラニレートニトロエステルとを反応させる工程;(c)(b)の生成物と有機金属求核原子とを反応させる工程;および(d)(c)の生成物を、6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメートに転化する工程を含む。
【0010】
さらにもう1つの態様において、6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物の生成方法が提供され、これは、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とブロモアントラニルアルコールもしくはブロモアントラニルアルコールニトロアルコールとを反応させる工程;および(c)(b)の生成物を、6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメートに転化する工程を含む。
【0011】
別の態様において、6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物の生成方法が提供され、これは、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とブロモアントラニルケトンもしくはブロモアントラニルニトロケトンとを反応させる工程;および(c)(b)の生成物を、6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメートに転化する工程を含む。
【0012】
さらにもう1つの態様において、シアノピロールアントラニレートもしくはこれらのニトロエステルの生成方法が提供され、これは、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;および(b)(a)の生成物とアントラニレートとを反応させる工程を含む。
【0013】
別の態様において、シアノピロールアントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールの生成方法が提供され、これは、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とアントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールとを反応させる工程;および(c)(b)の生成物と有機金属求核原子とを反応させる工程を含む。
【0014】
なおもう1つの態様において、シアノピロールアントラニルケトンもしくはこれらのニトロケトンの生成方法が提供され、これは、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とアントラニルケトンもしくはこれらのニトロケトンとを反応させる工程;および(c)(b)の生成物と有機金属求核原子とを反応させる工程を含む。
【0015】
なおもう1つの態様において、次の式の化合物が提供される:
【化21】

【0016】
本発明のほかの態様および利点は、これらの好ましい実施形態の次の詳細な説明においてさらに記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、シクロカルバメートおよびシクロチオカルバメート化合物、およびシアノピロール含有化合物、およびこれらの誘導体の生成方法を提供する。具体的に本発明は、シクロカルバメートおよびシクロチオカルバメート化合物、およびシアノピロール含有化合物のより効率的な製造方法を提供する。
【0018】
本発明の方法は典型的には、(a)場合により置換されたシアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物と、アントラニレート、アントラニレートニトロエステル、アントラニルケトン、またはアントラニルニトロケトンとを反応させる工程;(c)(b)の生成物を、対応アルコールに転化する工程;および(d)シクロカルバメートもしくはシクロチオカルバメートを形成する工程を含む。工程(c)は、工程(b)が、(a)の生成物とアントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールとを反応させる工程を含むならば、省くことができる。図式1参照。式中、Q、Z、M、M’、およびLは、下に定義される。
図式1
【化22】

【0019】
I.定義
本明細書において用いられているような「カップリング剤」という用語は、2またはそれ以上の化合物(上記図式1においてM−M’として表わされている)のカップリングを、直接または間接的に促進する化合物のことを言う。多様なカップリング剤が当業者に公知であり、マグネシウム、亜鉛、ケイ素、錫、またはホウ素化合物を包含する。望ましくはこのカップリング剤は、トリアルキルボレート例えばトリ−イソプロピルボレート、亜鉛ハライド例えば亜鉛クロライドもしくは亜鉛ブロマイド、またはマグネシウムハライド例えばマグネシウムクロライドもしくはマグネシウムブロマイドである。国際特許公報第WO03/105860号参照。
【0020】
本明細書において用いられているような「カップリング基」という用語は、カップリング剤から結果として生じ、かつこれに接着されてシアノピロール化合物(上記図式1においてM’として表わされている)になる置換基のことを言う。この基は、ほかの試薬、例えば図式1において上に、およびこれらの説明の下に示されているような、アントラニレートおよびこれらのニトロエステル、およびアントラニルアルコールおよびこれらのニトロアルコールとの反応の時に置換(displace)されうる。本発明において使用される特定のカップリング基は、実施されている特定の反応に応じるものであり、当業者によって容易に決定されうる。通常のカップリング基は非限定的に、マグネシウム、亜鉛、ケイ素、錫、またはホウ素置換基を包含する。1つの実施形態において、これらのカップリング基は、ホウ素部分であり、これは、ボロネート塩、ボリネート塩、ボロン酸、ボリン酸、ボロン酸エステル、ボリン酸エステル、例えば下に記載されているエステル、およびトリハロボレート塩、例えばトリフルオロボレート塩(BF3-)、亜鉛ハライド、マグネシウム部分、ジアゾニウム塩(N2+)、トシレート(OT)、メシレート(OM)、および銅部分を包含する。もう1つの実施形態において、これらのカップリング基は、ホウ素部分であり、これは、ボロン酸、ボリン酸、ボロンエステル、ボリン酸、例えば下に記載されたボレートエステル、トリハロボレート塩、例えばトリフルオロボレート塩(BF3-)、亜鉛ハライド、またはマグネシウム部分を包含する。
【化23】

【0021】
本明細書において用いられているような「触媒」という用語は、2つの化合物のカップリングを促進する化合物のことを言う。典型的にはこの触媒は、遷移金属、およびこれに付着された1またはそれ以上のリガンドを含有する。多様な遷移金属を、本発明において用いることができ、これはとりわけPdおよびNi金属を包含する。いくつかのリガンドが、遷移金属に結合されていてもよく、これは非限定的に、アセテート、ヒドロキシル、ニトリル、ハライド、およびホスフィン置換基を包含する。触媒として用いることができるこのようなリガンドを含有する多くの遷移金属錯体は、市販されており、ストレム(Strem)ウエブサイトに挙げられたものを包含する。1つの実施形態において、この触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムである。
【0022】
本明細書において用いられているような「リガンド」という用語は、遷移金属へ結合されている置換基のことを言う。
【0023】
「アルキル」という用語は、本明細書において、1から約10炭素原子、望ましくは約1から約8炭素原子を有する、直鎖および分岐鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基のことを言うために用いられている。「アルケニル」という用語は、本明細書において、1またはそれ以上の炭素−炭素二重結合を有し、かつ約2から約10炭素原子を含有する直鎖および分岐鎖の両方のアルキル基のことを言うために用いられている。1つの実施形態において、アルケニルという用語は、1または2炭素−炭素二重結合を有し、かつ2から約6炭素原子を有するアルキル基のことを言う。「アルキニル」基という用語は、本明細書において、1またはそれ以上の炭素−炭素三重結合を有し、かつ約2から約8炭素原子を有する、直鎖および分岐鎖の両方のアルキル基のことを言うために用いられている。1つの実施形態において、アルキニルという用語は、1または2炭素−炭素三重結合を有し、かつ2から約6炭素原子を有するアルキル基のことを言う。
【0024】
「置換アルキル」という用語は、1またはそれ以上の置換基を有する基のことを言い、これは非限定的に、ハロゲン、CN、OH、NO2、アミノ、アリール、ヘテロ環式、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボキシ、およびアリールチオを包含し、これらの基は、場合により置換されていてもよい。これらの置換基は、この接着が安定した化学部分を構成するという条件で、アルキル、アルケニル、またはアルキニル基のいずれかの炭素に接着されていてもよい。
【0025】
本明細書において用いられているような「アリール」という用語は、例えば6から14炭素原子の芳香族系のことを言う。これは、単一環、または互いに縮合するかまたは連結された多重芳香族環であって、これらの縮合環または連結環の少なくとも一部が、共役芳香族系を形成するものを包含しうる。1つの実施形態において、これらのアリール基は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、テトラヒドロナフチル、フェナントリル、インデン、ベンゾナフチル、フルオレニル、およびカルバゾリルを包含する。
【0026】
「置換アリール」という用語は、1またはそれ以上の置換基で置換されているアリール基のことを言うが、これは、ハロゲン、CN、OH、NO2、アミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボキシ、アミノアルキル、およびアリールチオを包含し、これらの基は、場合により置換されていてもよい。1つの実施形態において、置換アリール基は、1から約4置換基で置換されている。
【0027】
本明細書において用いられているような「ヘテロ環式」という用語は、飽和、一部不飽和、または完全不飽和である、安定した4から7員単環式または9から15員多環式ヘテロ環式環のことを言う。このヘテロ環式環は、炭素原子、および1またはそれ以上のヘテロ原子を有し、これは、窒素、酸素、および硫黄原子を包含する。1つの実施形態において、このヘテロ環式環は、この環の主鎖中に1から約4へテロ原子を有する。別の実施形態において、ヘテロ環式環がこの環の主鎖中に窒素または硫黄原子を含有するとき、これらの窒素または硫黄原子は、酸化されていてもよい。「ヘテロ環式」という用語はまた、ヘテロ環式環が例えば9から15環員のアリール環に縮合されている多環式環のことを言う。さらに別の実施形態において、このヘテロ環式環は、結果として生じたヘテロ環式環構造が化学的に安定しているという条件で、ヘテロ原子または炭素原子を通してアリール環に接着されていてもよい。
【0028】
多様なヘテロ環式基が当分野において公知であり、これは、非限定的に、酸素含有環、窒素含有環、硫黄含有環、混合へテロ原子含有環、縮合へテロ原子含有環、およびこれらの組合わせを包含する。酸素含有環は、フリル、テトラヒドロフラニル、ピラニル、ピロニル、およびジオキシニル環を包含するが、これらに限定されるわけではない。窒素含有環は、非限定的に、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピペリジニル、2−オキソピペリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、アゼピニル、トリアジニル、ピロリジニル、およびアゼピニル環を包含する。硫黄含有環は、非限定的に、チエニルおよびジチオリル環を包含する。混合へテロ原子含有環は、オキサチオリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、ジオキサゾリル、オキサチアゾリル、オキサチオリル、オキサジニル、オキサチアジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、オキセピニル、チエピニル、およびジアゼピニル環を包含するが、これらに限定されるわけではない。縮合へテロ原子含有環は、ベンゾフラニル、チオナフテン、インドリル、ベナザゾリル、プリンジニル、ピラノピロリル、イソインダゾリル、インドキサジニル、ベンゾキサゾリル、アントラニリル、ベンゾピラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾジアゾニル、ナフチルリジニル、ベンゾチエニル、ピリドピリジニル、ベンゾキサジニル、キサンテニル、アクリジニル、およびプリニル環を包含するが、これらに限定されるわけではない。
【0029】
本明細書において用いられているような「置換ヘテロ環式」という用語は、1またはそれ以上の置換基を有するヘテロ環式基のことを言い、これはハロゲン、CN、OH、NO2、アミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボキシ、アミノアルキル、およびアリールチオを包含し、これらの基は、場合により置換されていてもよい。好ましくは置換へテロ環式基は、1から約4置換基で置換されている。
【0030】
本明細書において用いられているような「アミノアルキル」という用語は、第二および第三の両方のアミンであって、接着点が、窒素原子を通っており、かつこれらのアルキル基が場合により置換されているアミンのことを言う。これらのアルキル基は、同一または異なっていてもよい。
【0031】
本明細書において用いられているような「ハロゲン」という用語は、Cl、Br、F、またはI基のことを言う。
【0032】
本明細書において用いられているような「アルコキシ」という用語は、O(アルキル)基であって、接着点が、酸素原子を通っており、かつこのアルキル基が場合により置換されている基のことを言う。
【0033】
本明細書において用いられているような「アリールオキシ」という用語は、O(アリール)基であって、接着点が、酸素原子を通っており、かつこのアリール基が場合により置換されている基のことを言う。
【0034】
本明細書において用いられているような「アリールチオ」という用語は、S(アリール)基であって、接着点が、硫黄原子を通っており、かつこのアリール基が場合により置換されていてもよい基のことを言う。
【0035】
本明細書において用いられているような「アルキルカルボニル」という用語は、C(O)(アルキル)基であって、接着点が、カルボニル部分の炭素原子を通っており、かつこのアルキル基が場合により置換されている基のことを言う。
【0036】
本明細書において用いられているような「アルキルカルボキシ」という用語は、C(O)O(アルキル)基であって、接着点が、カルボニル部分の炭素原子を通っており、かつこのアルキル基が場合により置換されている基のことを言う。
【0037】
本明細書において用いられているような「脱離基」という用語は、化合物上に存在し、かつ置換されていてもよい置換基のことを言う(本明細書において用いられているようなLという用語は、脱離基のことを言う)。本明細書において使用されている特定の脱離基は、実施されている特定の反応に応じるものであり、当業者によって容易に決定されうる。通常の脱離基は、非限定的に、ハライドおよびスルホネート(OSO21)を包含する。1つの実施形態において、この脱離基は、ハライド、例えば臭素、塩素、またはヨウ素であり、より好ましくは臭素である。
【0038】
本明細書において用いられているような「強非求核塩基」という用語は、分子錯体から水素原子を取り出す化合物のことを言う。1つの実施形態において、この強非求核塩基は、分子錯体、もしくはこの反応において用いられている試薬上のほかのどの置換基とも相互作用しない。別の実施形態において、この強非求核塩基は、リチウムジ−イソプロピルアミド(LDA)である。いくつかの強非求核塩基は、当業者に公知であり、ジイソプロピルアミン塩を包含する。例えばhttp://www.fmclithium.com(FMCリチウムウエブサイト)で市販されている強非求核塩基参照。
【0039】
本明細書において用いられているような「有機金属求核原子」という用語は、酸性水素原子を有する化合物と反応する化合物のことを言う。いくつかの有機金属求核原子は、当分野において公知であり、グリニャール剤およびリチウム剤、例えばアルキルリチウム剤を包含する。1つの実施形態において、この有機金属求核原子は、グリニャール剤、例えばR’MgXであり、式中、R’は、アルキル、例えばメチル基であるか、またはR’はアリール基、例えばフェノールであり、Xはハロゲン、例えば臭素または塩素である。もう1つの実施形態において、このグリニャール剤は、メチルマグネシウムブロマイドであり、これは典型的には、トルエンとTHF(テトラヒドロフラン)との混合物中の溶液(例えば1.4M溶液)として、低温で使用される。1つの実施形態において、このグリニャール剤は、80:20から70:30のトルエン:THF混合物であるか、または約75:25のトルエン:THF混合物である。低温は典型的には、−7°から0℃であるが、より低いかまたは高い温度が、実施されている反応、および反応条件に応じて使用されうる。別の実施形態において、有機金属求核原子は、アルキルリチウム剤、例えばメチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、またはブチルリチウムである。
【0040】
本明細書において用いられているような「精製された」もしくは「純粋な」という用語は、約10%未満の不純物を含有する化合物について言う。1つの実施形態において、「精製された」もしくは「純粋な」という用語は、約5%未満の不純物、約2%未満の不純物、または約1%未満の不純物を含有する化合物について言う。「精製された」もしくは「純粋な」という用語はまた、約0%の不純物を含有する化合物についても言うことができる。
【0041】
「乾燥した」もしくは「乾燥すること」という用語は、有機溶媒、もしくは水、もしくは揮発性固体を包含する、取り込まれた溶媒が除去される手順を意味する。
【0042】
本明細書において用いられているような「ボロネート」もしくは「ボロネート塩」という用語は、−B(O−置換基)3基がこれに接着されている化合物のことを言い、この場合、この置換基は、ホウ素原子に接着されたO−原子への安定した結合を形成し、かつ対カチオン(本明細書において用いられているようなCC+という用語によって表わされる)が存在して、安定した化合物を形成する。1つの実施形態において、この対カチオンは、第I族または第II族アルカリまたはアルカリ土類金属であり、これはとりわけ、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、またはバリウムを包含する。
【0043】
本明細書において用いられているような「ボリネート」もしくは「ボリネート塩」という用語は、−B(O−置換基)2−基がこれに接着されている化合物のことを言い、この場合、この置換基は、ホウ素原子に接着されたO−原子への安定した結合を形成し、かつ対カチオン(本明細書において用いられ、かつ上に定義されているようなCC+という用語によって表わされる)が存在して、安定した化合物を形成する。
【0044】
本明細書において用いられているような「ボロン酸エステル」という用語は、−B(O−置換基)2基がこれに接着されている化合物ことを言い、この場合、この置換基は、ホウ素原子に接着されたO−原子への安定した結合を形成する。
【0045】
本明細書において用いられているような「ボリン酸エステル」という用語は、−B(O−置換基)−基がこれに接着されている化合物のことを言い、この場合、この置換基は、ホウ素原子に接着されたO−原子への安定した結合を形成する。
【0046】
本明細書において用いられているような「ボロン酸」という用語は、−B(OH)2−基がこれに接着されている化合物のことを言う。
【0047】
本明細書において用いられているような「ボリン酸」という用語は、−B(OH)−基がこれに接着されている化合物のことを言う。
【0048】
II.発明の方法
本発明の方法は、好ましくはシアノピロール置換基を含有するシクロカルバメートおよびシクロチオカルバメート化合物、およびこれらの誘導体の調製に関する。1つの実施形態において、シクロカルバメートおよびシクロチオカルバメート化合物を含有する2−シアノピロールが、本発明にしたがって調製される。別の実施形態において、次の構造を有する化合物が、本発明にしたがって調製される:
【化24】

式中:
Zは、同一または異なって、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、またはCORAである。RAは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルから選択される。
【0049】
Qは、同一または異なって、H、OH、NH2、CN、ハロゲン、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、置換C1−C6アミノアルキル、またはCORBから選択される。RBは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルから選択される。
【0050】
もう1つの実施形態において、次の式の化合物が、本発明にしたがって調製される。
【化25】

【0051】
したがって、5−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ベンゾオキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルおよび5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ベンゾオキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルが、本発明にしたがって調製されうる。
【0052】
1つの実施形態において、次の構造のシアノピロールが、上に定義されているようにカップリング剤と反応させられる。次の構造のCN基が、この環の2−、3−、4−、もしくは5−位を包含する、5員環のいずれかの炭素原子に結合されていてもよい。
【化26】

【0053】
もう1つの実施形態において、カップリング剤とともに使用されるシアノピロールは、2−シアノピロール、もしくは次の構造を有する2−シアノピロールである。式中、QおよびZは上に定義されている。なお別の実施形態において、このシアノピロールは、1−メチルピロール−2−カルボニトリルである。
【化27】

【0054】
このシアノピロールとカップリング剤との反応のとき、次の構造の化合物が形成される。式中、QおよびZは上に定義されている。
【化28】

【0055】
1つの実施形態において、次の2−シアノピロールボレート塩、またはこれらの誘導体は、シアノピロールとカップリング剤との反応の時に調製される。これらの化合物において、CC+は、塩基分子と相互作用して安定した化合物を形成する強非求核塩基からの対−カチオン(対カチオン)を表わし、Q、Z、およびCCは、上に定義されているものと同じである。
【化29】

【0056】
別の実施形態において、次の2−シアノピロールボレート塩、またはこれらの誘導体は、シアノピロールとカップリング剤との反応の時に調製される。
【化30】

【0057】
もう1つの実施形態において、次のボロン酸、ボリン酸、シアノピロールボロン酸、およびシアノピロールボリン酸が調製される。このようなボロン酸およびボリン酸は典型的には、現場で単離され、さらなる反応において使用される。ボロン酸およびボリン酸は、上記のようなボレート塩を用い、このボレート塩を加水分解して調製される。図式2参照。式中、置換基Q、Z、およびCC+は、上に定義されているものと同じである。別の実施形態において、加水分解は、鉱酸、例えば塩酸を包含するほかの作用物質を含有してもよい水を用いて達成される。さらにもう1つの実施形態において、ボロン酸は、(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−ボロン酸である。
図式2
【化31】

【0058】
なおもう1つの実施形態において、次のシアノピロールボロン酸およびボリン酸が、本発明にしたがって調製される。式中、QおよびZは、上に定義されている。
【化32】

【0059】
さらに別の実施形態において、次のシアノピロールボロン酸およびボリン酸が、本発明にしたがって調製される。
【化33】

【0060】
さらに別の実施形態において、トリフルオロボレート塩およびシアノピロールトリフルオロボレート塩は、フルオライド剤と上記のようなボレート塩とを組み合わせることによって調製される。いくつかのフルオライド剤が、トリフルオロボレート塩を調製するために使用することができ、これは、試薬、例えば水素フルオライド、またはこれらの誘導体を包含し、これはとりわけ、カリウム水素フルオライドを包含する。当業者であれば、本発明において使用するのに適したフルオライド剤を容易に決定することができるであろう。
【0061】
さらにもう1つの実施形態において、次のトリフルオロボレート塩が、本発明にしたがって調製されうる。
【化34】

【0062】
シアノピロールとカップリング剤との間の反応を促進するために、追加の化合物が添加されてもよく、これはLDAを包含する強非求核塩基を包含する。当業者であれば、このカップリング反応における使用のためのほかの追加作用物質を容易に選択することができるであろう。
【0063】
シアノピロールとカップリング剤との間の反応に続いて、これらの生成物は、場合により置換されたアントラニレート、アントラニレートニトロエステル、アントラニルアルコール、アントラニルニトロアルコール、アントラニルケトン、またはアントラニルニトロケトンと反応させられる。
【0064】
(i)シアノピロールとアントラニレートもしくはこれらのニトロエステルとのカップリング
シアノピロールとカップリング剤との間の反応生成物は、シアノピロール置換アントラニレートを形成するために、場合により置換されたアントラニレートもしくはこれらのニトロエステルと反応させることができる。望ましくはこのアントラニレートもしくはこれらのニトロエステルは、場合により脱離基(L)で置換され、次の構造を有しうる。
【化35】

式中、
Qは、同一または異なって、H、OH、NH2、CN、ハロゲン、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、置換C1−C6アミノアルキル、またはCORBであり;
Bは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルであり;
Cは、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルであり;
Lは、ハロゲンまたはOSO21であり;かつ
1は、CF3、C1−C6アルキル、または置換C1−C6アルキルである。
【0065】
望ましくはLは、ハロゲンまたはアルキルスルホネート脱離基であり、このアントラニレートはさらに、アミノまたはニトロ基で置換される。
【0066】
もう1つの実施形態において、このアントラニレートもしくはこれらのニトロエステルは、次の構造を有する:
【化36】

式中、L、Q、およびRCは、上に定義されている。
【0067】
別の実施形態において、このアントラニレートは、ブロモアントラニレートもしくはメチル−2−アミノ−5−ブロモベンゾエートである。
【0068】
本発明にしたがって調製されたシアノピロール置換アントラニレートもしくはこれらのニトロエステルは、典型的には次の構造を有する。
【化37】

式中、
Zは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、またはCORAであり;
Aは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルであり;
Qは、同一または異なって、H、OH、NH2、CN、ハロゲン、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、置換C1−C6アミノアルキル、またはCORBであり;
Bは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルであり;かつ
Cは、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルである。
【0069】
望ましくは、本発明にしたがって調製されたシアノピロール置換アントラニレートもしくはこれらのニトロエステルは、次の構造の化合物である。
【化38】

【0070】
もう1つの実施形態において、2−アミノ−5−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)安息香酸メチルエステルが、本発明にしたがって調製される。
【化39】

【0071】
シアノピロール置換アントラニレートおよびアントラニレートニトロエステルは、有機金属求核原子、例えばグリニャール試薬またはリチウム試薬を用いて、シアノピロール置換アントラニルアルコールもしくはニトロアルコールに転化することができる。理論によって縛られたいわけではないが、本発明者らは、本発明において使用された有機金属求核原子が、シアノピロール置換アントラニレートもしくはこれらのニトロエステルのエステル基に優先的に加わるのであって、このピロールの望ましくないシアノ基に加わるのではないことを発見した。
【0072】
(ii)シアノピロールとアントラニルケトンもしくはこれらのニトロケトンとのカップリング
あるいはまた、シアノピロールとカップリング剤との間の反応の生成物は、場合により置換されたアントラニルケトンもしくはこれらのニトロケトンと反応させられ、シアノピロール置換アントラニルケトンを形成する。1つの実施形態において、本発明において使用されたアントラニルケトンもしくはこれらのニトロケトンは場合により、脱離基(L)で置換され、次の構造を有してもよい。
【化40】

【0073】
もう1つの実施形態において、このアントラニルケトンもしくはこれらのニトロケトンは、次の構造を有する。
【化41】

【0074】
別の実施形態において、アントラニルケトンもしくはこれらのニトロケトンは、ハロゲンまたはアルキルスルホネート脱離基を含有する。さらに別の実施形態において、このアントラニルケトンは、ブロモアントラニルケトンまたは1−(2−アミノ−5−ブロモ−フェニル)−エタノンである。
【0075】
典型的には、本発明にしたがって調製されたシアノピロール置換アントラニルケトンもしくはこれらのニトロケトンは、次の構造の化合物である。
【化42】

【0076】
望ましくは、本発明にしたがって調製されたシアノピロール置換アントラニルケトンもしくはこれらのニトロケトンは、次の構造の化合物である。
【化43】

【0077】
もう1つの実施形態において、2−アミノ−5−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−フェニル−エタノンが、本発明にしたがって調製される。
【0078】
このシアノピロール置換アントラニルケトンおよびこれらのアントラニルニトロケトンはついで、有機金属求核原子、例えば上記のようなグリニャール試薬もしくはリチウム試薬を用いて、シアノピロール置換アントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールに転化することができる。
【0079】
(iii)シアノピロールとアントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールとのカップリング
アントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールは、あるいはまた、アントラニレート、アントラニレートニトロエステル、アントラニルケトン、またはアントラニルニトロケトンの代わりに使用されて、シアノピロール置換アントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールを形成する。そうすることによって、シアノピロール置換アントラニレートもしくはこれらのニトロエステルの、対応シアノピロールアントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールへの転化は、回避することができる。
【0080】
この方法は、アントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールと、シアノピロールとカップリング剤との間の反応の生成物との反応工程を包含する。アントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールは、脱離基(L)、例えばハロゲンまたはアルキルスルホネート基で置換され、場合によりほかの置換基、例えばアミノまたはニトロ基で置換される。1つの実施形態において、この反応は、触媒、例えばとりわけテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの存在下に実施される。
【0081】
もう1つの実施形態において、アントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールは、次の構造を有する。式中、ZおよびQは、上に定義されている。
【化44】

【0082】
別の実施形態において、アントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールは、次の構造を有する。式中、ZおよびQは、上に定義されている。
【化45】

【0083】
さらにもう1つの実施形態において、このアントラニルアルコールは、ブロモアントラニルアルコールであり、これは、国際特許公報第WO00/66570号に詳細に記載されている。
【0084】
典型的には、次の構造のこのシアノピロール置換アントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールが、本発明にしたがって調製される。
【化46】

式中、
Zは、同一または異なって、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、またはCORAから選択される。RAは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルから選択される。Qは、同一または異なって、H、OH、NH2、CN、ハロゲン、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、置換C1−C6アミノアルキル、またはCORBから選択される。RBは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルから選択される。
【0085】
望ましくは、次の構造のシアノピロール置換アントラニルアルコールまたはこれらのニトロアルコールが、本発明にしたがって調製される。
【化47】

【0086】
もう1つの実施形態において、次のシアノピロール置換アントラニルアルコールは、5−[4−アミノ−3−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルである。
【化48】

【0087】
アントラニレートニトロエステル、アントラニルニトロアルコール、またはアントラニルニトロケトンを環化する前に、これは独立して、還元によってそれぞれ対応アントラニレート、アントラニルアルコール、またはアントラニルケトンに転化されなければならない。当業者であれば、これらの還元を実施するための適切な還元剤を容易に選択することができるであろう。この目的のために有用ないくつかの還元剤は公知であり、非限定的に、R.C.ラロック(Larock)の「包括的な有機変換(Comprehensive Organic Transformations)」、ニューヨーク州ニューヨークのVCH出版社(VCH Publishers,Inc. )、1989年に示されているものを包含する。これは参照して本明細書に組み込まれる。
【0088】
このシアノピロール置換アントラニルアルコールは、これによって、シアノピロール置換シクロカルバメートもしくはシクロチオカルバメート化合物に転化することができる。典型的には、これは環化剤を用いて実施される。多様な環化剤が当業者に公知であり、これは、非限定的に、ホスゲン、チオホスゲン、トリホスゲン、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,1’−チオカルボニルジイミダゾール(TCDI)、高温、例えば80℃における二硫化炭素、または塩基、例えばエタノール性KOH、NaOH、イミダゾール、3級塩基、例えばトリエチルアミンもしくはトリフェニルホスフィン、ポリカーボネート、クロロホルメート、例えばトリクロロメチルクロロホルメート、またはトリクロロメタンスルフェニルクロライドの存在下における二硫化炭素を包含する。
【0089】
1つの実施形態において、本発明は、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくはシクロチオカルバメート化合物の生成方法であって、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物を反応させて、シアノピロール置換アントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールを形成する工程;(c)アントラニルニトロアルコールをアントラニルアルコールに還元する工程;および(d)シアノピロール置換アルコールを、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくはシクロチオカルバメート化合物に転化する工程を含む方法を提供する。
【0090】
別の実施形態において、本発明は、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくは6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物の生成方法であって、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とアントラニレートもしくはこれらのニトロエステルとを反応させる工程;(c)(b)の生成物と有機金属求核原子とを反応させる工程;および(d)(c)の生成物を、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくは6(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物に転化する工程を含む方法を提供する。
【0091】
別の実施形態において、本発明は、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくは6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物の生成方法であって、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とアントラニレートもしくはこれらのニトロエステルとを反応させる工程;(c)(b)の生成物と有機金属求核原子とを反応させる工程;(d)場合によりシアノピロールアントラニレートニトロエステルをシアノピロールアントラニレートに還元する工程;および(e)シアノピロールアントラニレートを、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくは6(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物に転化する工程を含む方法を提供する。
【0092】
もう1つの実施形態において、本発明は、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくは6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物の生成方法であって、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とアントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールとを反応させる工程;および(c)(b)の生成物を、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくは6(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物に転化する工程を含む方法を提供する。
【0093】
なお別の実施形態において、本発明は、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくは6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物の生成方法であって、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とアントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールとを反応させる工程;(c)シアノピロールアントラニルニトロアルコールを、シアノピロールアントラニルアルコールに還元する工程;および(d)シアノピロールアントラニルアルコールを、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくは6(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物に転化する工程を含む方法を提供する。
【0094】
もう1つの実施形態において、本発明は、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくは6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物の生成方法であって、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とアントラニルケトンもしくはこれらのニトロケトンとを反応させる工程;および(c)(b)の生成物を、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくは6(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物に転化する工程を含む方法を提供する。
【0095】
さらに別の実施形態において、本発明は、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくは6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物の生成方法であって、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とアントラニルケトンもしくはこれらのニトロケトンとを反応させる工程;(c)シアノピロールアントラニルニトロケトンを、シアノピロールアントラニルケトンに還元する工程;および(d)アントラニルケトンを、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくは6(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物に転化する工程を含む方法を提供する。
【0096】
なお別の実施形態において、本発明は、6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物の生成方法であって、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とブロモアントラニレートもしくはこれらのニトロエステルとを反応させる工程;(c)(b)の生成物と有機金属求核原子とを反応させる工程;および(d)(c)の生成物を、6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物に転化する工程を含む方法を提供する。
【0097】
さらに別の実施形態において、6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物の生成方法であって、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とブロモアントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールとを反応させる工程;および(c)(b)の生成物を、6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物に転化する工程を含む方法を提供する。
【0098】
別の実施形態において、本発明は、6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物の生成方法であって、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とブロモアントラニルケトンもしくはこれらのニトロケトンとを反応させる工程;および(c)(b)の生成物を、6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物に転化する工程を含む方法を提供する。
【0099】
なお別の実施形態において、本発明は、シアノピロールアントラニレートの生成方法であって、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;および(b)(a)の生成物とアントラニレートもしくはこれらのニトロエステルとを反応させる工程を含む方法を提供する。
【0100】
別の実施形態において、本発明は、シアノピロールアントラニルアルコールもしくはこれらのニトロアルコールの生成方法であって、(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;(b)(a)の生成物とアントラニレート、アントラニレートニトロエステル、アントラニルケトン、またはアントラニルニトロケトンとを反応させる工程;および(c)(b)の生成物と有機金属求核原子とを反応させる工程を含む方法を提供する。
【0101】
なお別の実施形態において、本発明は、図式3(式中、置換基RおよびCC+は、上に定義されている)にしたがって、6−(シアノピロール)−シクロカルバメートおよびシクロチオカルバメート化合物の生成方法を提供する。
図式3
【化49】

【0102】
III.本発明の化合物
本発明はまた、本発明にしたがって調製することができる新規化合物を提供する。1つの実施形態において、2−アミノ−5−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)安息香酸メチルエステル、および5−[4−アミノ−3−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルは、上記の方法にしたがって調製することができる。
【0103】
このような化合物は、現場で溶液中に用いられ、原料として単離され、それ以上の精製をともなわずに使用されるか、または単離され、精製されて、純粋化合物を得ることもできる。精製は、当業者に公知の技術の使用を包含しうる。これは、クロマトグラフィー、例えば高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、抽出、再結晶化、洗浄、および乾燥を包含する薄層クロマトグラフィー(TLC)および液体クロマトグラフィー(LC)を包含する。
【0104】
IV.本発明の化合物の使用方法
それらの中間体も包含するこの発明の化合物は、プロゲステロン受容体(PR)のモジュレーターであり、これは、米国特許第6,509,334号;同第6,566,358号;同第6,436,929号;同第6,407,101号;および第6,562,857号に記載されているようなアンタゴニストおよびアゴニストを包含する。本発明の化合物は、機能性モデルにおいてPRモジュレーターとして、試験管内および生体内のいずれか/または試験管内および生体内で作用する。これらの化合物は、避妊のために、およびフィブロイド、子宮内膜症、乳癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌の治療において、およびこれらのための薬剤の調製、および閉経周囲および閉経後ホルモン補充療法を包含するホルモン補充療法において有用である。
【0105】
本発明の化合物は、製薬的にまたは生理学的に許容しうる酸および塩基に由来する塩の形態で用いられる。これらの塩は、次のものを包含するが、これらに限定されるわけではない。すなわち、鉱酸または無機酸、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、および有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、コハク酸、およびマレイン酸との次の塩である。ほかの塩は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属との塩、例えばエステル、カルバメート、およびほかの従来の「プロ−ドラッグ」形態におけるナトリウム、カリウム、カルシウム、またはマグネシウムを包含する。これらは、このような形態で投与されたとき、生体内で活性部分に変わる。
【0106】
この発明は、この発明の1またはそれ以上の化合物および製薬的に許容しうるキャリヤーもしくは賦形剤を含んでいる製薬組成物を包含する。この発明はまた、プロゲステロン受容体のモジュレーターとして、製薬的有効量の上記のような1またはそれ以上の化合物を哺乳動物へ投与することを含む治療方法、または上記の状態の治療において有用な薬剤の調製における本発明の化合物の使用も包含する。
【0107】
単独または組み合わせて用いられた本発明の化合物は、避妊方法、および良性および悪性新生物疾病の治療および/または予防において使用される。本発明の化合物および製薬組成物の特定の使用は、不正出血、子宮筋層フィブロイド、子宮平滑筋腫、子宮内膜症、良性前立腺肥大、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜の癌腫および腺癌、卵巣、乳房、結腸、前立腺、下垂体、髄膜腫、およびほかのホルモン依存性腫瘍の治療および/または予防、またはこのために有用な薬剤の調製を包含する。本発明の化合物の追加の用途は、家畜の発情期の同期化および食物摂取の刺激を包含する。
【0108】
これらの化合物が上記の有用性のために用いられるとき、これらは1またはそれ以上の製薬的に許容しうるキャリヤーもしくは賦形剤、例えば溶媒、希釈剤などと組み合わされ、例えばタブレット、カプセル、分散性粉末、グラニュール、もしくは例えば約0.05から5%の懸濁剤を含有する懸濁液、例えば約10から50%の糖を含有するシロップ、および例えば約20から50%エタノールを含有するエリキシルなどの形態で経口的に、または滅菌の注射可能な溶液もしくは等張性媒質中の約0.05から5%懸濁剤を含有する懸濁液の形態で非経口的に投与される。このような製薬調製物は、例えば、キャリヤーと組み合わせた約25から約90%の活性成分を、より通常は約5%から約60重量%を含有する。
【0109】
用いられる活性成分の有効投薬量は、用いられる特定の化合物、投与方法、および治療される状態の重症度に応じて様々である。しかしながら1つの実施形態において、本発明の化合物が、約0.5から約500mg/動物の体重1kgの一日投薬量で投与されるか、または一日2から4回分割用量で、または徐放性形態で投与されるとき、満足すべき結果が得られる。大部分の哺乳動物については、総一日投薬量は、約1から100mg、または約2から80mgである。内服に適した投薬形態は、固体または液体の製薬的に許容しうるキャリヤーと均質混合して、約0.5から500mgの活性化合物を含む。この投薬計画は、最適な治療応答を与えるために調節される。例えば、いくつかの分割用量が毎日投与されるか、またはこの用量は、治療状況の緊急性によって指示されるように比例して低減される。
【0110】
これらの活性化合物は、経口的に、ならびに静脈内、筋肉内、または皮下経路によって投与される。固体キャリヤーは、デンプン、ラクトース、ジカルシウムホスフェート、微晶質セルロース、スクロース、およびカオリンを包含し、一方で、液体キャリヤーは、活性成分の性質、および所望の特定の投与形態に適切であるように、滅菌水、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤、および食用油、例えばコーン、ピーナッツ、およびゴマ油を包含する。製薬組成物の調製に慣例的に用いられるアジュバントが、有利には含まれる。例えば香味料、着色料、防腐剤、および酸化防止剤、例えばビタミンE、アスコルビン酸、BHT、およびBHAである。
【0111】
1つの実施形態において、固体製薬組成物が、調製および投与の容易さのために用いられる。もう1つの実施形態において、タブレットおよびハード充填もしくは液体充填カプセルが用いられる。さらに別の実施形態において、化合物は経口的に投与される。
【0112】
ほかの実施形態において、これらの活性化合物は、非経口的にまたは腹腔内に投与される。もう1つの実施形態において、遊離塩基または薬理学的に許容しうる塩としてのこれらの活性化合物の溶液または懸濁液は、界面活性剤、例えばヒドロキシプロピルセルロースと適切に混合された水中で調製される。ほかの実施形態において、例えばグリセロール、液体ポリエチレングリコール、および油中のこれらの混合物中の分散液が調製される。通常の貯蔵および使用条件下、これらの調製物は、微生物の成長を防ぐための防腐剤を含有する。
【0113】
注射可能な使用に適した製薬形態は、滅菌水溶液もしくは分散液、および滅菌の注射可能な溶液もしくは分散液の即時調製のための滅菌粉末を包含する。すべての場合、この形態は、無菌であり、容易な注射能力が出る程度まで流体である。これは製造および貯蔵条件下に安定であり、微生物、例えば細菌および菌類の汚染作用に対して保護される。キャリヤーは、例えば水、エタノール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、これらの適切な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散液媒質である。
【0114】
次の実施例は、本発明を例証するために提供され、その範囲を制限するわけではない。次の実施例において特定の試薬および条件が概要的に示されているが、当業者なら、本発明の精神および範囲によって包含されることになっている修正を行なうことができることを理解するであろう。
実施例
【実施例1】
【0115】
2−アミノ−5−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)安息香酸メチルエステル
1−メチルピロール−2−カルボニトリル(0.106g、1.0ミリモル)、トリイソプロピルボレート(270μL、1.2ミリモル)、およびテトラヒドロフラン(THF−4mL)が、窒素流入口、磁気攪拌機、および温度制御器を備えた50−mLフラスコ中で混合された。この溶液を−3℃に冷却した後、2M LDA溶液(0.6mL、1.2ミリモル)が一滴ずつ添加され、この混合物は、周囲温度まで加温されて置かれた。トルエン(5mL)が添加され、ついでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(25mg)、エタノール(1.6mL)、炭酸カリウム(0.326g)、水(2mL)、およびメチルブロモアントラニレート(0.225g、0.98ミリモル)が添加された。反応混合物が、7時間緩やかな還流に至るまで加熱され、ついで冷却され、5%塩酸(HCl)、10%塩化アンモニウムで急冷された。これは、酢酸エチルで2回抽出された。組み合わされた有機相が、食塩水で洗浄され、硫酸マグネシウム上で乾燥され、濾過され、蒸発させられると、2−アミノ−5−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)安息香酸メチルエステルを含有する、黒くて非常に粘性の油状物質(0.307g)を生じた。
【実施例2】
【0116】
5−[4−アミノ−3−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルの調製
同様な調製において、1−メチルピロール−2−カルボニトリル(0.104g、0.98ミリモル)から出発し、ブロモアントラニルアルコール(0.245g、1.1ミリモル)が、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(32mg)の存在下にカップリングされた。標準的作業(work up)および蒸発後、シアノピロールアニリンアルコールを含有するガラス状塊体(0.198g、約93%収率)が得られた。
【実施例3】
【0117】
6−ブロモ−4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロベンゾキサジンの調製
2−(2−アミノ−5−ブロモフェニル)−プロパン−2−オール(1.028g、4.4ミリモル)が、THF(12mL)中に溶解され、TCDI(1.087g、6.1ミリモル)が固体として添加され、濁った溶液が形成された。この混合物を140分間攪拌した後、これは、5%塩酸が入っている分液漏斗の中に移された。これらの相の分離後、水相が、1:1エチルアセテート/THFで2回抽出された。組み合わされた有機抽出物がブラインで洗浄され、MgSO4上で乾燥された。濾過および蒸発は、1.081g(89%収率)の生成物を生じた。
【実施例4】
【0118】
(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1H−ピロール−2−カルボニトリルおよび(4,4−ジメチル−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1H−ピロール−2−カルボニトリルの調製
実施例2にしたがって調製された5−[4−アミノ−3−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルが、THF中に溶解され、TCDIまたはCDIが添加された。水性希釈ハイドロクロライド溶液を用いた抽出が、それぞれ(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1H−ピロール−2−カルボニトリルおよび(4,4−ジメチル−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1H−ピロール−2−カルボニトリルのほぼ定量的収率を生じた。
【実施例5】
【0119】
1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルの存在下における、メチルアントラニレートへのメチルグリニャールの選択的添加
1−メチルピロール−2−カルボニトリル(0.302g、2.85ミリモル)が、THF中に溶解された。メチルアントラニレート(0.425g、2.81ミリモル)が添加され、ついで約−7℃でトルエン/THF 75/25(4mL、5.6ミリモル、2当量)中のメチルマグネシウムブロマイドの1.4M溶液の添加が行なわれた。標準的作業および蒸発後、生成物(0.695g)が、1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルと2−(2−アミノフェニル)プロパン−2−オールとの1:1混合物として単離された。
【0120】
この明細書において特定されているすべての出版物は、参照して本明細書に組み込まれる。本発明は、特定の実施形態を参照して記載されてはいるが、本発明の精神から逸脱することなく、修正を行なうことができることが理解されるであろう。このような修正は、添付クレームの範囲内に入るものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくはシクロチオカルバメート化合物の製造方法であって、
(a)シアノピロールとカップリング剤とを反応させる工程;
(b)(a)の生成物を、シアノピロール置換アントラニルアルコールまたはそのニトロアルコールに転化する工程;および
(c)前記アントラニルニトロアルコールを前記シアノピロール置換アントラニルアルコールに還元する工程;および
(d)前記シアノピロール置換アントラニルアルコールを、前記6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくはシクロチオカルバメート化合物に転化する工程
を含む方法。
【請求項2】
前記シアノピロール置換アントラニルアルコールが、(a)の生成物とアントラニルアルコールとを反応させることによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シアノピロール置換アントラニルアルコールが、
(i)(a)の生成物とアントラニレートもしくはそのニトロエステルとを反応させて、シアノピロール置換アントラニレートもしくはそのニトロエステルを形成する工程;および
(ii)前記シアノピロール置換アントラニレートもしくはそのニトロエステルと有機金属求核原子とを反応させる工程
によって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アントラニレートが、ブロモアントラニレートである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記シアノピロール置換アントラニルアルコールは、
(i)(a)の生成物とアントラニルケトンもしくはそのニトロケトンとを反応させ、シアノピロール置換アントラニルケトンもしくはそのニトロケトンを形成する工程;および
(ii)前記シアノピロール置換アントラニルケトンもしくはそのニトロケトンと有機金属求核原子とを反応させる工程
によって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(d)は、ホスゲン、チオホスゲン、トリホスゲン、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,1’−チオカルボニルジイミダゾール(TCDI)、二硫化炭素、または塩基の存在下における二硫化炭素を用いて実施される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記シアノピロールは、
【化1】

(式中:
Zは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、またはCORAであり;
Aは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルであり;
Qは、H、OH、NH2、CN、ハロゲン、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、置換C1−C6アミノアルキル、またはCORBであり;
Bは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルである)
である、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記シアノピロールは、1−メチル−2−シアノピロールである、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記カップリング剤は、トリアルキルボレートである、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記トリアルキルボレートは、トリイソプロピルボレートである、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記工程(a)はさらに、リチウムジイソプロピルアミドを含む、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記アントラニルアルコールもしくはそのニトロアルコールは、
【化2】

(式中、
Zは、同一または異なって、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、またはCORAであり;
Qは、同一または異なって、H、OH、NH2、CN、ハロゲン、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、置換C1−C6アミノアルキル、またはCORBであり;
Bは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルであり;
Cは、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルであり;
Lは、ハロゲンまたはOSO21であり;かつ
1は、H、C1−C6アルキル、または置換C1−C6アルキルである)
である、請求項2、6から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記アントラニルアルコールは、脱離基で置換されている、請求項2、6から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記アントラニレートもしくはそのニトロエステルは、
【化3】

(式中、
Qは、同一または異なって、H、OH、NH2、CN、ハロゲン、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、置換C1−C6アミノアルキル、またはCORBであり;
Bは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルであり;
Cは、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルであり;
Lは、ハロゲンまたはOSO21であり;かつ
1は、H、C1−C6アルキル、または置換C1−C6アルキルである)
である、請求項3または6から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記アントラニレートもしくはそのニトロエステルは、脱離基で置換されている、請求項3または6から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記脱離基は、ハロゲンまたはアルキルスルホネート基である、請求項12または請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記アントラニレートは、4−ブロモ−メチルアントラニレートである、請求項3または6から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記アントラニルアルコールは、ブロモアントラニルアルコールである、請求項2、6から16のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記アントラニルアルコールは、4−ブロモ−メチルアントラニルアルコールである、請求項2、6から16のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記アントラニルケトンもしくはそのニトロケトンは、
【化4】

(式中、
Qは、同一または異なって、H、OH、NH2、CN、ハロゲン、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、置換C1−C6アミノアルキル、またはCORBであり;
Bは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルであり;
Lは、ハロゲンまたはOSO21であり;かつ
1は、H、C1−C6アルキル、または置換C1−C6アルキルである)
である、請求項5または6から13のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記アントラニルケトンは、1−(2−アミノ−5−ブロモ−フェニル)−エタノンである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記有機金属求核原子は、有機リチウム剤またはグリニャール剤である、請求項3から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
工程(b)は、触媒の存在下に実施される、請求項1から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
工程(a)の生成物は、
【化5】

(式中、
M’は、ホウ素、亜鉛、マグネシウム、またはケイ素含有カップリング基であり;
Zは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、またはCORAであり;
Aは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルであり;
Qは、H、OH、NH2、CN、ハロゲン、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、置換C1−C6アミノアルキル、またはCORBであり;
Bは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルである)
である、請求項1から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
工程(a)の生成物は、
【化6】

である、請求項1から25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
工程(a)の生成物は、(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)ボロン酸である、請求項1から25のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
工程(a)の生成物は、
【化7】

(式中、Rは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、アリール、および置換アリールである)
である、請求項1から25のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
工程(b)の生成物は、
【化8】

(式中、
Zは、同一または異なって、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、またはCORAであり;
Aは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルであり;
Qは、同一または異なって、H、OH、NH2、CN、ハロゲン、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、置換C1−C6アミノアルキル、またはCORBであり;
Bは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルである)
である、請求項1から28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記アントラニルアルコールは、5−[4−アミノ−3−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルである、請求項1から29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記6−(シアノピロール)−シクロカルバメート化合物は、
【化9】

(式中、
Zは、同一または異なって、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、またはCORAであり;
Aは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルであり;
Qは、同一または異なって、H、OH、NH2、CN、ハロゲン、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、置換C1−C6アミノアルキル、またはCORBであり;
Bは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルである)
である、請求項1から30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記6−(シアノピロール)−シクロカルバメート化合物は、5−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ベンゾオキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル、または製薬的に許容しうるその塩である、請求項1から30のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物は、
【化10】

(式中、
Zは、同一または異なって、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、またはCORAであり;
Aは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルであり;
Qは、同一または異なって、H、OH、NH2、CN、ハロゲン、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、置換C1−C6アミノアルキル、またはCORBであり;
Bは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルである)
である、請求項1から29のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメート化合物は、5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ベンゾオキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル、または製薬的に許容しうるその塩である、請求項1から30または33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくはシクロチオカルバメート化合物の製造方法であって、
(a)シアノピロール、アントラニレートもしくはそのニトロエステル、および有機金属求核原子を反応させる工程;
(b)アントラニルニトロアルコールをアントラニルアルコールに還元する工程;および
(c)工程(a)および(b)のアントラニルを、前記6−(シアノピロール)−シクロカルバメートもしくはシクロチオカルバメート化合物に転化する工程
を含む方法。
【請求項36】
式:
【化11】

(式中、
Zは、同一または異なって、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、またはCORAであり;
Aは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルであり;
Qは、同一または異なって、H、OH、NH2、CN、ハロゲン、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、置換C1−C6アミノアルキル、またはCORBであり;
Bは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換C1−C6アルコキシ、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルである)
の6−(シアノピロール)−シクロチオカルバメートもしくはシクロカルバメート化合物の製造方法であって、
a)式:
【化12】

(式中、ZおよびQは、上に定義されているものと同じである)のシアノピロールと、カップリング剤M−M’とを反応させ、式:
【化13】

(式中、ZおよびQは、上に定義されているものと同じであり、M’は、Mに由来する置換基である)の化合物を生じる工程;および
b)工程a)の生成物と、
i)式:
【化14】

のアントラニレートもしくはそのニトロエステル;
ii)式:
【化15】

のアントラニルアルコールもしくはそのニトロアルコール;または
iii)式:
【化16】

のアントラニルケトンもしくはこれらのニトロケトン
(式中、式QおよびZは、各々上に定義されているものと同じであり、Lは、脱離基であり、RCは、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、置換C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、置換C2−C6アルキニル、C1−C6アミノアルキル、または置換C1−C6アミノアルキルである)
とを反応させて、式A、B、C、D、E、またはF:
【化17】

の対応化合物を生じる工程;および
生成物が、式(A)のアントラニレート、式(B)のアントラニレートニトロエステル、式(E)のアントラニルケトン、および式(F)のアントラニルニトロケトンである場合、さらに、式A、B、(E)、または(F)の化合物と、有機金属求核原子、例えばZを含有するグリニャール試薬もしくはリチウム試薬とを反応させて、式(C)または(D)の化合物を生じる工程;および
式Dの化合物が得られる場合、ニトロ基を還元して、式(C)(式中、NHQ置換基は、NH2である)の化合物を生じる工程;および
c)工程b)で調製された式(C)のアントラニルアルコールを、カルバメートもしくはチオカルバメート形成試薬、例えばホスゲン、チオホスゲン、トリホスゲン、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,1’−チオカルボニルジイミダゾール(TCDI)、二硫化炭素、ポリカーボネート、またはクロロホルメート、例えばトリクロロメチルクロロホルメート、またはトリクロロメタンスルフェニルクロライドで環化し、式(I)の化合物を生じる工程
を含む方法。
【請求項37】
工程(c)は、ホスゲン、チオホスゲン、トリホスゲン、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,1’−チオカルボニルジイミダゾール(TCDI)、二硫化炭素、塩基の存在下における二硫化炭素を用いて実施される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記シアノピロールが、
【化18】

である、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
前記シアノピロールは、1−メチル−2−シアノピロールである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記カップリング剤は、トリアルキルボレートである、請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記トリアルキルボレートは、トリイソプロピルボレートである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記工程(a)はさらに、リチウムジイソプロピルアミドも含む、請求項36から41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
Lは、ハロゲンまたはOSO21であり;かつ
1は、H、C1−C6アルキル、または置換C1−C6アルキルである、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
Cは、メチルである、請求項36に記載の方法。
【請求項45】
Lは、ハロゲンまたはOSO21であり;かつ
1は、H、C1−C6アルキル、または置換C1−C6アルキルである、請求項36または44に記載の方法。
【請求項46】
前記Lは、ブロモである、請求項36から45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
NHQは、NHMeである、請求項36から46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記有機金属求核原子は、有機リチウム剤またはグリニャール剤である、請求項36から47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
工程(b)は、触媒の存在下に実施される、請求項36から48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
工程(a)の生成物は、
【化19】

である、請求項36から48のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
工程(a)の生成物は、(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)ボロン酸である、請求項36から50のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
工程(a)の生成物は、
【化20】

(式中、Rは、H、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、アリール、および置換アリールである)
である、請求項36から50のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
請求項1から53のいずれかに記載の方法によって生成された生成物。
【請求項55】
2−アミノ−5−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)安息香酸メチルエステルである化合物。
【請求項56】
5−[4−アミノ−3−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルである化合物。
【請求項57】
2−アミノ−5−(5−シアノ−1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−フェニル−エタノンである化合物。

【公表番号】特表2007−534767(P2007−534767A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510902(P2007−510902)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/014342
【国際公開番号】WO2005/105739
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】