説明

シクロプロピルベンズアミド誘導体の新規な結晶形態

この発明は、化合物(I)、4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミド(I)の結晶形態、前記化合物を含む医薬製剤及び治療における前記活性化合物の使用に関する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、化合物(I)、4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミドの結晶形態、特に、形態Iのような結晶形態、前記化合物を含む医薬製剤、及び前記活性化合物の治療における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミドの結晶形態は、少なくとも1つのヒスタミンH3受容体関連状態(病態)を処置するのに有用である。
【0003】
新規な薬剤を開発する際、ヒスタミンH3受容体が目下注目されている。このH3受容体は、中枢及び末梢神経系の双方、皮膚、及び、例えば、肺、腸、恐らく脾臓、及び胃腸管などの臓器中に存在しているシナプス前自己受容体である。最近の知見によれば、H3受容体は、インビトロ並びにインビボで内因性の構成的活性(すなわち、アゴニスト不存在下でも活性である)を有していることが示唆されている。インバースアゴニストの機能を果たす化合物は、この活性を抑制することができる。このヒスタミンH3受容体は、ヒスタミン、及びまた、例えば、セロトニン及びアセチルコリンなどの他の神経伝達物質の放出を調節することが示されている。例えば、ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト、又はインバースアゴニストなどのある種のヒスタミンH3リガンドは、脳内で神経伝達物質の放出を増加させることができ、一方、例えば、ヒスタミンH3受容体アゴニストなどの他のヒスタミンH3リガンドは、ヒスタミンの生合成を抑制することができ、かつ神経伝達物質の放出を抑制することができる。このことによって、ヒスタミンH3受容体アゴニスト、インバースアゴニスト、及びアンタゴニストは、神経細胞活性の仲立ちをしうることが示唆される。上記のことから、ヒスタミンH3受容体を標的とする新規な治療薬を開発しようとする努力がなされている。
【0004】
特許文献1は、例えば、4−((トランス)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミド(エナンチオマー1;実施例43)などのいくつかのシクロプロピルアミド誘導体の合成について記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 2009/024823
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の詳細な説明
この発明の1つの目的は、化合物(I)、4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミドの結晶形態を提供することにある。
【0007】
この発明の別の目的は、形態Iとしての、化合物(I)、4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミドの結晶形態を提供することにある。
【0008】
H3受容体にヒスタミン受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニスト作用を有する前記化合物(I)は、医薬製剤に適切に製剤化される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、この発明は、化合物(I)、4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミドの結晶形態を提供することにある。
【化1】

【0010】
本発明の一局面は、前記形態が、約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、約18.3°2θにおける少なくとも1つのピークを持つXRDPパターン(Cu Kα)を有することを特徴とする、化合物(I)の結晶形態に関する。
【0011】
本発明の別の局面は、前記形態が、約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、約4.9及び約18.3°2θにおける少なくとも2つのピークを持つXRDPパターン(Cu Kα)を有することを特徴とする、化合物(I)の結晶形態に関する。
【0012】
本発明のまた別の局面は、前記形態が、約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、約4.9、約18.3及び約20.4°2θにおける少なくとも3つのピークを持つXRDPパターン(Cu Kα)を有することを特徴とする、化合物(I)の結晶形態に関する。
【0013】
本発明の更なる別の局面は、前記形態が、約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、約4.9、約18.3、約19.6及び約20.4°2θにおける少なくとも4つのピークを持つXRDPパターン(Cu Kα)を有することを特徴とする、化合物(I)の結晶形態に関する。
【0014】
本発明の更なる局面は、前記形態が、約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、上記に述べられている選択された°2θの値におけるピーク、及びこれに加えて、約16.4及び約16.6°2θにおけるピークを持つXRDPパターン(Cu Kα)を有することを特徴とする、化合物(I)の結晶形態に関する。
【0015】
本発明のまた更なる局面は、前記形態が、約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、上記に述べられている選択された°2θの値におけるピーク、及びこれに加えて、約5.3°2θにおけるピークを持つXRDPパターン(Cu Kα)を有することを特徴とする、化合物(I)の結晶形態に関する。
【0016】
本発明のまた更なる局面は、前記形態が、約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、約4.9、約16.4、約16.6、約18.3、約19.6及び約20.4から選択される°2θの値におけるピークを持つXRDPパターン(Cu Kα)を有することを特徴とする、化合物(I)の結晶形態に関する。
【0017】
本発明のまた更なる局面は、前記形態が、約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、約4.9、約5.3、約16.4、約16.6、約18.3、約19.6及び約20.4から選択される°2θの値におけるピークを持つXRDPパターン(Cu Kα)を有することを特徴とする、化合物(I)の結晶形態に関する。
【0018】
本発明のまた更なる局面は、前記形態が、約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、約4.9、約12.6、約16.4、約16.6、約18.3、約19.6、約20.4及び約23.2から選択される°2θの値におけるピークを持つXRDPパターン(Cu Kα)を有することを特徴とする、化合物(I)の結晶形態に関する。
【0019】
本発明のまた更なる局面は、前記形態が、約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、約4.9、約5.3、約9.0、約12.6、約16.4、約16.6、約18.3、約19.6、約20.4及び約23.2から選択される°2θの値におけるピークを持つXRDPパターン(Cu Kα)を有することを特徴とする、化合物(I)の結晶形態に関する。
【0020】
本発明のまた更なる局面は、前記形態が、約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、約4.9、約5.3、約9.0、約12.6、約16.4、約16.6、約18.3、約19.6、約20.4、約21.2、約23.2及び約24.6°2θにおけるピークを持つXRDPパターン(Cu Kα)を有することを特徴とする、化合物(I)の結晶形態に関する。
【0021】
本発明のその上、また更なる局面は、実質的に図1に示される粉末X線回折パターンによって特徴付けられる化合物(I)の結晶形態に関する。
【0022】
別の実施形態は、実質的に図2で図示されるDSCサーモグラムを有する化合物(I)の結晶形態に関する。
【0023】
別の実施形態では、化合物(I)の結晶形態は、約225℃の開始温度を有する吸熱事象を含んでなる、DSCサーモグラムを有する。
【0024】
更なる別の実施形態では、化合物(I)の結晶形態は、約235℃のピーク温度を有する吸熱事象を含んでなる、DSCサーモグラムを有する。
【0025】
DSC開始及びピーク温度、並びにエネルギー値は、例えば、試料の純度、及び試料サイズによって、そして機器パラメーター、特に温度スキャン速度によって変化しうることは周知のことである。それ故、提供されるDSCデータは、絶対値として理解されるべきではない。当技術分野の当業者であれば、本明細書で提供されるデータと同程度のデータが標準的な方法[例えば、Hoehne, G. W. H. et al (1996), Differential Scanning Calorimetry, Springer, Berlinに記載されている方法]に従って回収できるように示差走査熱量計の機器パラメーターを設定することができる。
【0026】
この発明の化合物(I)の結晶形態は、水和物を含む溶媒和物としても存在することができる。
【0027】
この発明はまた、上記で定義されている化合物(I)の結晶形態の使用に関する。
【0028】
上記で定義されている化合物(I)の結晶形態は、1つ又は複数の有利な特性を有する。例えば、いくつかの実施形態では、化合物(I)の結晶形態は、例えば、高融点であること、実質的に溶媒(例えば、水)含量を持たないこと、加熱の際に重量減少がほとんどないか、あるいは全くないこと、及び/又は吸湿性が低いことなどの有利な特性を示す。ある種の実施形態では、有利なことに、こうした特性によって、化合物(I)の製造、保管、製剤化、及び/又は配送が容易となる。
【0029】
本明細書中で述べられている化合物(I)の結晶形態、例えば、化合物(I)の形態Iは、安定性に関して有利な特性を提供する。
【0030】
薬物は、Haleblian and McCrone J. Pharm. Sci 1969, 58, 911-929頁、特に913頁に記載されているように非晶状態の同じ薬物と比較して、結晶状態で化学的により安定であることが想定されうる。こうした知見は小分子(すなわち、非タンパク質)で共通したことであるが、Pikal and Rigsbee, Pharm. Res. 1997, 14, 1379-1387頁、特に1379頁に記載されているように、タンパク質のようなマクロ分子には必ずしも当てはまらない。すなわち、結晶状態は、化合物(I)などの小分子には有益である。
【0031】
X線は物質中の原子中の電子によって散乱することとなる。結晶性材料は、X線を回折し、干渉によって強めあう方向にピークを与える。この方向は、単位胞の大きさ及び形状を含めて結晶構造によって決定される。開示されている及び/又は本明細書中で請求されている回折ピーク°2θ値はすべて、Cu Kα放射を適用している。アモルファス(非結晶性)材料では、こうした回折ピークは得られない。例えば、Klug, H. P. & Alexander, L. E., X-Ray Diffraction Procedures For Polycrystalline and Amorphous Materials, 1974, John Wiley & Sons参照。
【0032】
化合物を加熱し、その融解温度に近づいた場合には、化合物が塊になるか、固まる能力は無制御に増加する。塊や固まりは、粉末と比較して異なった流動及び溶解特性を有する。粉末の機械的処理によって、例えば、微粉砕の間に、エネルギーが材料中に持ち込まれ、従って温度を上昇させる可能性が与えられる。化合物の保管、並びに化合物の移送によっても、非意図的に温度の上昇がもたらされる。融解することは吸熱事象である。吸熱事象は、例えば、示差走査熱量法(DSC)によって測定することができる。
【0033】
従って、通常の使用の間に想定される最も高い温度よりもより高い温度でこうした吸熱事象を持ち、前記化合物が望ましくない塊又は固まりを形成することを防止することは、式(I)の化合物、又はその製薬学的に許容される塩に有益である。
【0034】
医薬製剤
この発明の一局面によれば、H3受容体に関連する状態(病態)を予防及び/又は処置する際に使用するための、形態Iなどの化合物(I)の結晶形態を含んでなる医薬製剤が提供される。
【0035】
この発明により使用される製剤は、例えば、錠剤、丸剤、粉末剤、顆粒剤又はカプセル剤などの経口投与、非経口注入(静脈内、皮下、筋肉内、血管内又は点滴を含む)、例えば、軟膏、パッチ又はクリームなどの局所投与、例えば、坐剤などの直腸投与、及び他の非経口投与でない投与に適した形態でありうる。
【0036】
ヒトを含めて、哺乳類の処置における形態Iなどの化合物(I)の結晶形態の適切な1日投与量は、経口投与では、およそ0.01〜250mg/kg(体重)であり、そして非経口投与では、約0.001〜250mg/kg(体重)である。活性成分の通例の1日投与量は、広範囲に変化し、そして該当する適用症、投与経路、患者の年齢、体重及び性別などの様々なファクターに左右され、そして医師によって決定されるであろう。
【0037】
例えば、形態Iなどの化合物(I)の結晶形態は、それ自身単独で使用してもよいが、通例、活性成分を当技術分野の当業者に知られている製薬学的に許容される希釈剤、賦形剤及び/又は不活性担体と一緒に存在させる医薬製剤の形で投与する。投与方式に応じて、この医薬製剤は、活性成分を0.05〜99%w(重量パーセント)、例えば、0.10〜50%w含むことができ、この重量パーセントはすべて、全体の組成物を基準としている。
【0038】
本発明は更に、上記で定義した形態Iなどの化合物(I)の結晶形態を、製薬学的に許容される希釈剤、賦形剤及び/又は不活性担体と混和することを含んでなる本発明の医薬組成物の製造方法を提供する。
【0039】
医学使用
一実施形態では、本明細書中で述べられている少なくとも1つの化合物(I)の結晶形態を、ヒトを含む哺乳類に投与し、少なくとも1つのヒスタミンH3受容体をモジュレートするために使用することができる。本明細書中で使用される際には、用語“モジュレートする(modulate)”、“モジュレートする(modulates)”、“モジュレートすること(modulating)”、又は“モジュレーション(modulation)”とは、例えば、少なくとも1つのヒスタミンH3受容体を活性化すること(例えば、アゴニスト活性)、又は阻害すること(例えば、アンタゴニスト及びインバースアゴニスト活性)を意味する。一実施形態では、本明細書中で述べられている少なくとも1つの化合物(I)の結晶形態を、少なくとも1つのヒスタミンH3受容体のインバースアゴニストとして使用するために、ヒトを含む哺乳類に投与することができる。別の実施形態では、本明細書中で述べられている少なくとも1つの化合物(I)の結晶形態を、少なくとも1つのヒスタミンH3受容体のアンタゴニストとして使用するために、ヒトを含む哺乳類に投与することができる。別の実施形態では、本明細書中で述べられている少なくとも1つの化合物(I)の結晶形態を、少なくとも1つのヒスタミンH3受容体のアンタゴニストとして使用することができる。更に別の実施形態では、本明細書中で述べられている少なくとも1つの化合物(I)の結晶形態を、少なくとも1つのヒスタミンH3受容体のアンタゴニストとして使用することができる。
【0040】
本明細書中で述べられている少なくとも1つの化合物(I)の結晶形態を、ヒスタミンH3受容体をモジュレートすることが有益である、1つ若しくは複数の広範囲の状態又は障害を処置するのに使用するために、ヒトを含む哺乳類に投与することができる。本明細書中で述べられている少なくとも1つの化合物(I)の結晶形態を、ヒトを含む哺乳類に投与して、その結果、例えば、中枢神経系、末梢神経系、心血管系、肺系、胃腸系、又は内分泌系の中で少なくとも1つの疾患を処置するのに有用でありうる。
【0041】
別の実施形態では、少なくとも1つのヒスタミンH3受容体の機能をモジュレートすることが有益である障害の処置方法であって、治療的に有効な量の化合物(I)の結晶形態を、そうした処置を必要とする温血動物に投与することを含んでなる、上記方法を提供する。
【0042】
一実施形態は、統合失調症、ナルコレプシー、日中過眠、肥満、注意欠陥多動性障害、疼痛、神経障害性疼痛、アルツハイマー病、認知欠損、及び統合失調症関連の認知欠損から選択される少なくとも1つの障害の処置のための薬剤の製造における、化合物(I)の結晶形態の使用に関する。
【0043】
更なる実施形態は、そうした治療を必要とする温血動物における、統合失調症、ナルコレプシー、日中過眠、肥満、注意欠陥多動性障害、疼痛、神経障害性疼痛、アルツハイマー病、認知欠損、及び統合失調症関連の認知欠損から選択される少なくとも1つの障害の治療方法であって、その方法が治療的に有効な量の化合物(I)の結晶形態を動物に投与することを含んでなる、上記方法に関する。
【0044】
化合物(I)の結晶形態は、少なくとも1つの自己免疫障害を処置するのに有用でありうる。例示的な自己免疫障害には、例えば、関節炎、皮膚移植、臓器移植及び同様な外科的ニーズ、膠原病、種々のアレルギー、腫瘍及びウイルス性疾患(viruses)が含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
化合物(I)の結晶形態は、少なくとも1つの精神障害を処置するために有用でありうる。
【0046】
例示的な精神障害には、一例を示せば、例えば統合失調感情障害、妄想性障害、一時的精神病性障害、共有精神病性障害、及び全身身体状態による精神病性障害(Psychotic Disorder(s) Due to a General Medical Condition)などの精神病性障害及び統合失調症障害;認知症及び他の認知障害;例えば、広所恐怖症を伴わないパニック障害、広所恐怖症を伴うパニック障害、パニック障害の既往歴のない広所恐怖症、特定の恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害、ストレス関連性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害及び全身身体状態による全般性不安障害などの不安障害;気分障害、例えば、a)うつ病性障害[例えば、大うつ病性障害(うつ病、大うつ病、気分安定(mood stabilization)及び/又はアパチー(apathy)、及び気分変調性障害(dysthymic disorder)を含む)などを含むが、これらに限定されない]、b)例えば、双極性I型(これは、躁病、うつ病又は混合性エピソードを伴うものを含むが、これらに限定されない)、双極性II型などの、双極性うつ病及び/又は双極性躁病(Bipolar mania)及び双極性障害の維持(Bipolar Maintenance)、c)気分循環性障害(Cyclothymiac's Disorder(s))、及びd)全身身体状態による気分障害;例えば、過剰日中過眠性、ナルコレプシー、睡気過多、及び睡眠時無呼吸などの睡眠障害;例えば、精神遅滞、ダウン症候群、学習障害、運動機能障害、意思疎通障害、広汎性発達障害、注意力欠損及び破壊的行動障害、乳児又は小児期早期の哺育及び摂食障害、チック障害、並びに排泄障害を含むが、これらに限定されない、通例、乳児期、小児期又は青年期に最初に診断される障害;例えば、薬物依存(substance Dependence)、薬物乱用、薬物中毒、薬物離脱(substance withdrawal)、アルコール関連障害、アンフェタミン(又はアンフェタミン様)関連障害、カフェイン関連障害、大麻関連障害、コカイン関連障害、幻覚剤関連障害、吸入剤関連障害、ニコチン関連障害、オピオイド関連障害、フェンシクリジン(又はフェンシクリジン様)関連障害、及び鎮静剤、催眠薬又は抗不安薬関連障害を含むがこれらに限定されない薬物関連障害;注意力欠損及び破壊的行動障害;例えば、肥満などの摂食障害;例えば、強迫性人格障害を含むがこれに限定されない人格障害;衝動調節障害;例えば、トゥレット障害、慢性チック症候群、慢性運動性又は音声チック障害を含むが、これらに限定されないチック障害;及び一過性チック障害が含まれるがこれらには限定されない。上記の精神障害の少なくとも一つは、例えば、米国精神医学会:精神障害の診断と統計の手引き,第4版,改訂版,ワシントン,DC,米国精神医学会,2000年(American Psychiatric Association: Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth Edition, Text Revision, Washington, DC, American Psychiatric Association, 2000)中に定義されている。
【0047】
化合物(I)の結晶形態は、i)肥満又は体重過多(例えば体重減少の促進及び体重減少の維持)、摂食障害(例えば、過食、拒食症、過食症及び強迫)、及び/又は渇望(薬物、タバコ、アルコール、食欲をそそるあらゆる主要栄養素又は非必須食品に対する)の処置;ii)体重増加(例えば、薬物誘発性又は禁煙後)の防止;及び/又はiii)食欲及び/又は満腹の調節に有用でありうる。本明細書中で述べられている少なくとも1つの固体形態は、食欲及び体重を減らし、及び/又は体重減少を維持し、そしてリバウンドを防止することによって肥満の治療に適切でありうる。本明細書中で述べられている少なくとも1つの固体形態は、薬物誘発による体重増加、例えば抗精神病剤(神経弛緩薬)処置によって引き起こされる体重増加;及び/又は禁煙に伴う体重増加を防止又は後退させるのに使用しうる。
【0048】
化合物(I)の結晶形態は、少なくとも1つの神経変性障害を処置するのに有用でありうる。
【0049】
例示的な、神経変性障害には、例えば、認知障害又は認知欠損をもつ兆候に関連する状態:例えば、認知症;以下を含む、初老期認知症(早期発症型アルツハイマー病);老人性認知症(アルツハイマー型認知症);アルツハイマー病(AD);家族性アルツハイマー病;初期のアルツハイマー病;軽度から中等度のアルツハイマー型認知症;アルツハイマー病の疾患進行の遅延;アルツハイマー病に関連する神経変性症、軽度認知機能障害(MCI);健忘型軽度認知機能障害(aMCI);加齢関連性記憶障害(AAMI);レビー小体型認知症;血管性認知症(VD);HIV−認知症;AIDS認知症症候群;AIDS−神経合併症(AIDS - Neurological Complications);前頭側頭型認知症(FTD);前頭側頭型認知症・パーキンソン型(Frontotemporal dementia Parkinson's Type)(FTDP);ボクサー認知症;感染因子又は代謝障害による認知症;変性起源による認知症(dementia of degenerative origin);多種梗塞性認知症(dementia-Multi-Infarct);記憶欠損;パーキンソン病における認知症;多発性硬化症における認知症;化学療法に関連する認知欠損;統合失調症における認知欠損(CDS);統合失調症を含む統合失調感情障害;加齢関連認知低下(ARCD);認知症ではない認知障害(Cognitive Impairment No Dementia)(CIND);脳卒中又は脳虚血から生じる認知欠損;先天性及び/又は発育障害;進行性核上性麻痺(PSP);筋萎縮性側策硬化症(ALS);大脳皮質基底核変性症(CBD);外傷性脳損傷(TBI);脳炎後遺症性パーキンソン症候群;ピック病;ニーマン・ピック病;ダウン症候群;ハンチントン病;クロイツフェルト・ヤコブ病;プリオン病;多発性硬化症(MS);運動ニューロン疾患(MND);パーキンソン病(PD);β−アミロイド血管症;脳アミロイド血管症;トリヌクレオチド反復配列障害(Trinucleotide Repeat Disorders);脊髄性筋萎縮症;運動失調症;フリードリッヒ運動失調症;運動失調及び小脳又は脊髄小脳変性症;視神経脊髄炎;多系統萎縮症;伝達性海綿状脳症;注意欠陥障害(ADD);注意欠陥多動性障害(ADHD);急性躁病を含む双極性障害、双極性うつ病、双極性障害維持を含む双極性障害(BD);うつ病、大うつ病、気分障害(安定化)、気分変調症及びアパチーを含む大うつ病性障害(MDD);ギラン−バレー症候群(GBS);及び慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
化合物(I)の結晶形態は、例えば、多発性硬化症(MS)(これには、例えば、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、二次性進行型多発性硬化症(SPMS)、及び一次性進行型多発性硬化症(PPMS)が含まれるが、これらには限定されない);パーキンソン病;多系統萎縮症(MSA);大脳皮質基底核変性症;進行性核上性麻痺;ギラン−バレー症候群(GBS);並びに慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)を含む[但し、これらに限定されることはない]少なくとも1つの神経炎症性障害を処置するのに有用でありうる。
【0051】
化合物(I)の結晶形態は、少なくとも1つの注意欠陥及び破壊的行動障害を処置するのに有用でありうる。例示的な注意欠陥及び破壊的行動障害には、例えば、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、及び感情障害が含まれるが、これらに限定されることはない。
【0052】
化合物(I)の結晶形態は、例えば、広範囲にわたる疼痛、限局性の疼痛、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、中枢痛、中枢及び末梢神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害疼痛、中枢及び末梢神経原性疼痛、中枢及び末梢神経痛、下背部痛、術後痛、内臓痛、並びに骨盤痛;異痛;有痛性感覚脱失;カウザルギー;異常感覚;線維筋痛症;痛覚過敏;知覚過敏症;ヒペルパチー;虚血性疼痛;坐骨疼痛;熱傷誘発疼痛(Burn-induced pain);間質性膀胱炎(但し、これに限定されない)を含む膀胱炎に関連する疼痛;多発性硬化症に関連する疼痛;関節炎に関連する疼痛;骨関節炎に関連する疼痛;関節リウマチに関連する疼痛;膵炎に関連する疼痛;乾癬に関連する疼痛;線維筋痛に関連する疼痛;IBSに関連する疼痛;癌に関連する疼痛;並びに下肢静止不能症候群を含む[但し、これらに限定されない]急性又は慢性疼痛障害を含む疼痛を処置するのに有用でありうる。
【0053】
化合物(I)の結晶形態は、少なくとも1つの下記の障害を処置するのに有用でありうる:自閉症、失読症、ジェットラッグ、運動過剰症(Hyperkinesias)、筋失調症、激しい怒りの爆発(Rage outbursts)、筋ジストロフィー、神経線維腫症、脊髄損傷、脳性まひ、狼瘡の神経性後遺症及びポリオ後症候群。
【0054】
化合物(I)の結晶形態は、少なくとも1つの自己免疫障害、精神障害、肥満障害、摂食障害、渇望障害、神経変性障害、神経炎症性障害、注意欠陥及び破壊的行動障害、及び/又は上記に述べられている疼痛障害を処置する薬剤の製造のために使用することができる。
【0055】
化合物(I)の結晶形態は、統合失調症における認知欠損及びアルツハイマー病から選択される少なくとも1つの障害を処置するために使用されうる。
【0056】
本発明の一実施形態は、アルツハイマー病の予防及び/又は処置に関連し、特に、軽度から中等度のアルツハイマー病の対症療法における使用、あるいは軽度から中等度のアルツハイマー型認知症の処置における使用に関連する。
【0057】
本発明の他の実施形態は、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)及び感情障害から成る群より選択される障害の予防及び/又は処置であって、該感情障害が、急性躁病、双極性うつ病、双極性障害維持、うつ病、大うつ病、気分安定を含む大うつ病性障害(MDD)、統合失調症を含む統合失調感情障害、及び気分変調症である、上記予防及び/又は処置に関する。
【0058】
別の局面は、温血動物における少なくとも1つの自己免疫障害、精神障害、肥満障害、摂食障害、渇望障害、神経変性障害、神経炎症性障害、注意欠陥及び破壊的行動障害、及び/又は疼痛障害を処置する方法であって、こうした処置を必要とする前記動物に、治療的に有効な量の化合物(I)の結晶形態を投与することを含んでなる、上記方法を提供する。
【0059】
更に別の局面は、温血動物における、統合失調症の認知障害、ナルコレプシー、日中過眠、肥満、注意欠如多動性障害、疼痛、神経障害性疼痛、及びアルツハイマー病から選択される少なくとも1つの障害を処置する方法であって、こうした処置を必要とする前記動物に、治療的に有効な量の化合物(I)の結晶形態を投与することを含んでなる、上記方法を提供する。
【0060】
更に別の局面は、温血動物における統合失調症の認知障害を処置する方法であって、こうした処置を必要とする前記動物に、治療的に有効な量の化合物(I)の結晶形態を投与することを含んでなる、上記方法が提供する。
【0061】
更に別の局面は、温血動物における肥満を処置する方法であって、こうした処置を必要とする前記動物に、治療的に有効な量の化合物(I)の結晶形態を投与することを含んでなる、上記方法を提供する。
【0062】
更に別の局面は、温血動物におけるナルコレプシーを処置する方法であって、こうした処置を必要とする前記動物に、治療的に有効な量の化合物(I)の結晶形態を投与することを含んでなる、上記方法を提供する。
【0063】
更に別の局面は、温血動物における過剰日中過眠性を処置する方法であって、こうした処置を必要とする前記動物に、治療的に有効な量の化合物(I)の結晶形態を投与することを含んでなる、上記方法を提供する。
【0064】
本発明の一実施形態は、アルツハイマー病の予防及び/又は処置、特にアルツハイマー病の疾患の進行の遅延における使用に関する。
【0065】
本発明の他の実施形態は、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)及び感情障害から成る群より選択される障害の予防及び/又は処置であって、該感情障害が、急性躁病、双極性うつ病、双極性障害維持を含む双極性障害、うつ病、大うつ病、気分安定を含む大うつ病性障害(MDD)、統合失調症を含む統合失調感情障害、及び気分変調症である、上記予防及び/又は処置に関する。
【0066】
更に別の局面は、温血動物におけるアルツハイマー病を処置する方法であって、こうした治療を必要とする前記動物に、治療的に有効な量の化合物(I)の結晶形態を投与することを含んでなる、上記方法を提供する。
【0067】
また更に別の局面は、温血動物における注意欠陥多動性障害を処置する方法であって、こうした処置を必要とする前記動物に、治療的に有効な量の化合物(I)の結晶形態を投与することを含んでなる、上記方法を提供する。
【0068】
また更に別の局面は、温血動物における疼痛障害を処置する方法であって、こうした処置を必要とする前記動物に、治療的に有効な量の化合物(I)の結晶形態を投与することを含んでなる、上記方法を提供する。
【0069】
また更に別の局面は、温血動物における神経障害性疼痛を処置する方法であって、こうした処置を必要とする前記動物に、治療的に有効な量の化合物(I)の結晶形態を投与することを含んでなる、上記方法を提供する。
【0070】
一実施形態では、温血動物は、例えば、ヒト及び、例えばイヌ、ネコ及びウマなどの飼育動物を含むが、これらに限定はされない哺乳動物種である。一実施形態では、温血動物はヒトである。
【0071】
別の局面は、治療における化合物(I)の結晶形態の使用を提供する。
【0072】
別の実施形態は、治療に使用する薬剤の製造における化合物(I)の結晶形態の使用を提供する。
【0073】
本発明の別の局面は、そこで本明細書中で定義した式(I)の化合物、あるいはこうした式(I)の化合物を含む組み合わせを含んなる医薬組成物又は医薬製剤は、以下から選択される別の医薬的に活性な化合物又は複数の化合物と共に、同時に、併行して、順次に、別々に、あるいは補助的に投与される:
【0074】
(i)抗うつ剤、例えば、アゴメラチン、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、ドロキセチン、エルザソナン、エスシタロプラム、フルボキサミン、フルオキセチン、ゲピロン、イミプラミン、イプサピロン、マプロチリン、ノルトリプチリン、ネファゾドン、パロキセチン、フェネルジン、プロトリプチリン、ラメルテオン、レボキセチン、ロバルゾタン、セルトラリン、シブトラミン、チオニソキセチン、トラニルシプロミン(tranylcypromaine)、トラゾドン、トリミプラミン、ベンラファキシン、並びにそれらの同等物及びその医薬的に活性な異性体(複数を含む)及び代謝物(複数を含む);
【0075】
(ii)非定型抗精神病薬、例えば、クエチアピン及びその医薬的に活性な異性体(複数を含む)及び代謝物(複数を含む)を含む;
【0076】
(iii)抗精神病剤、例えば、アミスルプリド、アリピプラゾール、アセナピン、ベンゾイソキシジル(benzisoxidil)、ビフェプルノクス、カルバマゼピン、クロザピン、クロルプロマジン、デベンザピン、ジバルプロエクス、デュロキセチン、エスゾピクロン、ハロペリドール、イロペリドン、ラモトリギン(lamotrigine)、ロクサピン、メソリダジン、オランザピン、パリペリドン、ペルラピン、ペルフェナジン、フェノチアジン、フェニルブチルピペリジン、ピモジド、プロクロルペラジン、リスペリドン、セルチンドール、スルピリド、スプロクロン、スリクロン、チオリダジン、トリフルオペラジン、トリメトジン、バルプロエート(valproate)、バルプロ酸(valproic acid)、ゾピクロン、ゾテピン、ジプラシドン、並びにそれらの同等物及びその医薬的に活性な異性体(複数を含む)及び代謝物(複数を含む);
【0077】
(iv)抗不安剤、例えば、アルネスピロン、アザピロン、ベンゾジアゼピン、バルビツレート酸系、例えば、アジナゾラム、アルプラゾラム、バレゼパム、ベンタゼパム、ブロマゼパム、ブロチゾラム、ブスピロン、クロナゼパム、クロラゼペート、クロルジアゼポキシド、シプラゼパム、ジアゼパム、ジフェンヒドラミン、エスタゾラム、フェノバム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ホサゼパム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、メプロバメート、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、レクラゼパム、トラカゾレート、トレピパム、テマゼパム、トリアゾラム、ウルダゼパム、ゾラゼパム、並びにそれらの同等物及びその医薬的に活性な異性体(複数を含む)及び代謝物(複数を含む);
【0078】
(v)抗痙攣剤、例えば、カルバマゼピン、クロナゼパム、エトスクシミド、フェルバメート、フォスフェニトイン、ガバペンチン、ラコサミド、ラモトリギン(lamotrogine)、レベチラセタム、オキシカルバゼピン(oxcarbazepine)、フェノバルビタール、フェニトイン、プレガバリン(pregabaline)、ルフィナマイド、トピラメート、バルプロエート、ビガバトリン(vigabatrine)、ゾニサミド、並びにそれらの同等物及びその医薬的に活性な異性体(複数を含む)及び代謝物(複数を含む);
【0079】
(vi)アルツハイマー病治療剤、例えば、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、メマンチン、並びにそれらの同等物及びその医薬的に活性な異性体(複数を含む)及び代謝物(複数を含む);
【0080】
(vii)パーキンソン病治療剤、例えば、レボドパ、アポモルフィン、ブロモクリプチン、カベルゴリン、プラミペキソール、ロピニロール、及びロチゴチンなどのドーパミンアゴニスト、セレギリン(selegeline)及びラザジリンなどのMAO−B阻害剤、トルカポン、及びエンタカポンなどの他のドーパミン作動薬、A−2阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、NMDAアンタゴニスト、ニコチンアゴニスト、及びニューロンの一酸化窒素シンターゼの阻害剤、並びにそれらの同等物及びその医薬的に活性な異性体(複数を含む)及び代謝物(複数を含む)を含む;
【0081】
(viii)片頭痛治療剤、例えば、アルモトリプタン、アマンタジン、ブロモクリプチン、ブタルビタール、カベルゴリン、ジクロラールフェナゾン、ジヒドロエルゴタミン、エレトリプタン、フロバトリプタン、リスリド、ナラトリプタン、ペルゴリド、ピゾチフェン(pizotiphen)、プラミペキソール、リザトリプタン、ロピニロール、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、ゾミトリプタン(zomitriptan)、並びにそれらの同等物及びその医薬的に活性な異性体(複数を含む)及び代謝物(複数を含む)を含む;
【0082】
(ix)脳卒中治療剤、一例を述べれば、例えば、アクティベース及びデスモテプラーゼとの血栓溶解療法、アブシキシマブ、シチコリン、クロピドグレル、エプチフィバチド、ミノサイクリン、並びにそれらの同等物及びその医薬的に活性な異性体(複数を含む)及び代謝物(複数を含む)を含む;
【0083】
(x)尿失禁治療剤、例えば、ダラフェナシン、ファルボキセート(falvoxate)、オキシブチニン、プロピベリン、ロバルゾタン、ソリフェナシン、トルテロジン、並びにそれらの同等物及びその医薬的に活性な異性体(複数を含む)及び代謝物(複数を含む)を含む;
【0084】
(xi)神経障害性疼痛治療剤、リドカイン、カプサイシン、及びガバペンチン、プレガバリンなどの抗痙攣剤、及びデュロキセチン、ベンラファキシン、アミトリプチリン、クロミプラミンなどの抗うつ剤、並びにそれらの同等物及びその医薬的に活性な異性体(複数を含む)及び代謝物(複数を含む)を含む;
【0085】
(xii)侵害受容性疼痛治療剤、例えば、パラセタモール、NSAIDS及びコキシブ系、例えば、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ジクロフェナク、ロキソプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、イブプロフェン、ナブメトン、メロキシカム、ピロキシカム、及びオピオイド、例えば、モルフィン、オキシコドン、ブプレノルフィン、トラマドール、並びにそれらの同等物及びその医薬的に活性な異性体(複数を含む)及び代謝物(複数を含む)を含む;
【0086】
(xiii)不眠治療剤、例えば、アゴメラチン、アロバルビタール、アロニミド、アモバルビタール、ベンゾクタミン、ブタバルビタール、カプリド、クロラール、クロペリドン、クロレタート、デキスクラモール、エトクロルビノール、エトミデート、グルテチミド、ハラゼパム、ヒドロキシジン、メクロカロン、メラトニン、メフォバルビタール、メタカロン、ミダフルル、ニソバマート(nisobamate)、ペントバルビタール、フェノバルビタール、プロポフォール、ラメルテオン、ロレタミド、トリクロホス、セコバルビタール、ザレプロン、ゾルピデム、並びにそれらの同等物及びその医薬的に活性な異性体(複数を含む)及び代謝物(複数を含む);
【0087】
(xiv)気分安定剤、例えば、カルバマゼピン、ジバルプロエクス、ガバペンチン、ラモトリギン(lamotrigine)、リチウム、オランザピン、クエチアピン、バルプロエート、バルプロ酸、ベラパミル、並びにそれらの同等物及びその医薬的に活性な異性体(複数を含む)及び代謝物(複数を含む)を含む;
【0088】
(xv)肥満治療剤、例えばエネルギー消費、グリコリシス(glycolysis)、グルコネオジェネシス(gluconeogenesis)、グルコジェノリシス(glucogenolysis)、脂肪分解、脂質生成、脂肪吸収、脂肪貯蔵、脂肪排泄、空腹及び/又は満腹及び/又は渇望機構、食欲/刺激、食物摂取、及びGI運動性に影響を及ぼす抗肥満剤;超低カロリー食(VLCD);及び低カロリー食(LCD)など;
【0089】
(xvi)肥満関連障害を処置する際に有用な治療剤、例えば、ビグアニド剤、インスリン(合成インスリン類似体)及び経口血糖降下剤(これらは、食後血糖調節薬(prandial
glucose regulators)と、α−グルコシダーゼ阻害剤に分けられる)、例えば、PPARα及び/又はγアゴニストなどのPPAR調節剤;スルホニル尿素;例えば、HMG−CoA還元酵素(3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A還元酵素)阻害剤などのコレステロール低下剤;回腸胆汁酸輸送系の阻害剤(IBAT阻害剤);胆汁酸結合樹脂;例えば、コレスチポール、コレスチラミン、又はコレスタゲル(cholestagel)などの胆汁酸封鎖剤;CETP(コレステロールエステル転送タンパク質)阻害剤;コレステロール吸収アンタゴニスト;MTP(ミクロソーム転送タンパク質)阻害剤;遅延放出及び組み合わせ物(combination products)を含むニコチン酸誘導体;フィトステロール化合物;プロブコール;抗凝固剤;オメガ−3脂肪酸;例えば、シブトラミン、フェンテルミン、オーリスタット、ブプロピオン、エフェドリン及びサイロキシンなどの抗肥満治療剤、;例えば、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、アドレナリン遮断剤、αアドレナリン遮断剤、βアドレナリン遮断剤、混合型アルファ/ベータアドレナリン遮断剤、アドレナリン刺激剤、カルシウムチャネル遮断剤、AT−1遮断剤、塩類利尿剤、利尿剤及び血管拡張剤などの降圧剤;メラニン濃縮ホルモン(MCH)モジュレーター;NPY受容体モジュレーター;オレキシン受容体モジュレーター;ホスホイノシチド依存性プロテインキナーゼ(PDK)モジュレーター;例えば、LXR、FXR、RXR、GR、ERRα,β、PPARα,β,γ及びRORαなどの核内受容体のモジュレーター;例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(NARI)、ノルアドレナリン−セロトニン再取り込み阻害剤(SNRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、三環式抗うつ剤(TCA)、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ剤(NaSSA)などのモノアミン伝達調節剤;セロトニン受容体モジュレーター;レプチン/レプチン受容体モジュレーター;グレリン/グレリン受容体モジュレーター;DPP−IV阻害剤;並びにそれらの同等物及びその医薬的に活性な異性体(複数を含む)、代謝物(複数を含む)及びその製薬学的に許容される塩(複数を含む)、溶媒和物(複数を含む)、及びプロドラッグ(複数を含む)など。
【0090】
(xvii)ADHDを処置する薬剤、例えば、アンフェタミン、メタンフェタミン、デキストロアンフェタミン、アトモキセチン、メチルフェニデート、デキサメチルフェニデート、モダフィニル、並びにそれらの同等物及びその医薬的に活性な異性体(複数を含む)及び代謝物(複数を含む)など;及び
【0091】
(xviii)薬物乱用障害、依存症及び離脱症状を処置するのに用いられる薬剤、例えば、ニコチン補充療法(すなわち、ガム、パッチ及びスプレー式点鼻剤);ニコチン性受容体アゴニスト、部分アゴニスト及びアンタゴニスト、(例えばバレニクリン);アコンプロセート(acomprosate)、ブプロピオン、クロニジン、ジスルフィラム、メサドン、ナロキソン、ナルトレキソン、並びにそれらの同等物及びその医薬的に活性な異性体(複数を含む)及び代謝物(複数を含む)など。
【0092】
具体的な疾患の治療又は予防処置に必要な投与量は、治療されるホスト、投与経路、そして治療する病気の重篤度に応じて必然的に変化するであろう。
【0093】
獣医学的使用の場合には、種々の成分の量、薬剤の投与剤形及び投与量は変化しえ、例えば、治療する動物の個々の要件などの様々な要因に左右されるであろう。
【0094】
本明細書中の述べられている少なくとも1つの固体形態と組み合わせて使用されるときには、前述の別の医薬的に活性な成分を、例えば、Physicians’ Desk Reference(PDR;例えば、64th ed. 2010)に指示されている量で、あるいは承認されている投薬量範囲で、及び/又は公表されている参考資料中に記載されている投薬量で、あるいは、そうでない場合は当技術分野の当業者によって決定されている量で使用することができる。
【0095】
投与量は、この開示及び当技術分野の知識を基準にして当業者によって、容易に確定することができる。すなわち、当業者であれば、組成物中の、本明細書中で提供された方法で投与される固体形態及び所望の添加剤、ビヒクル、及び/又は担体の量を容易に決定することができる。しかしながら、任意の特定の対象に対する特定の投与レベル及び投与頻度は変化しえ、通例、例えば、本明細書中で述べられている固体形態(複数を含む)の溶解性及び/又は生物学的利用性;対象の種、年齢、体重、全般的健康状態、性別、及び食事;投与形式及び時間;排出速度;薬物の組み合わせ;及び具体的な状態の重篤度を含む(これらに限定されない)、種々の要因に左右されうる。
【0096】
この明細書の文脈において、別の具体的な指示がない限り、用語“治療(therapy)”は、“予防(prevention)”も含むものである。用語“治療的(therapeutic)”及び“治療的に(therapeutically)”もそれに応じて解釈されるべきである。
【0097】
この明細書の文脈において、別の具体的な指示がない限り、用語“障害(disorder)”は、“状態(condition)”も含むものである。
【0098】
本発明の一実施形態では、組み合わせは、以下に定義されている通り、化合物(a)と(b)のグループを含んでなる:
【0099】
下記から選択される、(a)第一の治療剤がH3阻害剤であり、そして(b)第二の治療剤がNMDA受容体アンタゴニストである:
【0100】
(a)第一の治療剤が、化合物(I)、4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミドの結晶形態であって、例えば、形態Iであり、そして(b)第二の治療剤がメマンチンである;
【0101】
(a)第一の治療剤が、H3アンタゴニスト又はインバースアゴニストであり、そして(b)第二の治療剤が、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤である;
【0102】
(a)第一の治療剤が、化合物(I)、4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミドの結晶形態、例えば、形態Iであり、そして(b)第二の治療剤がドネペジルである;
【0103】
(a)第一の治療剤が、化合物(I)、4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミドの結晶形態、例えば、形態Iであり、そして(b)第二の治療剤がリバスチグミンである;
【0104】
(a)第一の治療剤が、化合物(I)、4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミドの結晶形態、例えば、形態Iであり、そして(b)第二の治療剤がガランタミンである。
【0105】
下記から選択される、(a)第一の治療剤が、H3阻害剤であり、そして(b)第二の治療剤が、電位開口型カルシウムチャネル阻害剤(voltage-gated calcium channel inhibitor)である:
【0106】
(a)第一の治療剤が、化合物(I)、4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミドの結晶形態、例えば、形態Iであり、そして(b)第二の治療剤がプレガバリンである;
【0107】
(a)第一の治療剤が、化合物(I)、4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミドの結晶形態、例えば、形態Iであり、そして(b)第二の治療剤がガバペンチンである。
【0108】
こうした組み合わせ物(combination products)は、本明細書中で述べられている投薬範囲内であるこの発明の化合物と、承認されている投薬範囲内の、及び/又は公表されている参考資料に記載されている投薬量内の、他の単独若しくは複数の医薬活性化合物を使用する。
【0109】
製造方法
化合物(I)、4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミドの結晶形態、形態Iの製造方法は、下記の記載の工程を含んでなる:
【0110】
a)(1S,2S)−2−(4−カルバモイル−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸と、シクロブチルピペラジン若しくはその適切な塩(例えば、二塩酸塩)を、DMSOなどの適切な溶媒中、N−メチルモルホリンなどの塩基の存在下で溶解させることと;
b)DMSOなどの適切な溶媒中、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール/N−メチルモルホリンと1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩の混合物などの活性化剤を加えることと;引き続いて
c)この溶液を60℃に加熱し、そして例えば、トリアルキルアミン(例えば、トリエチルアミン)などの塩基を用いてpHを約8に調整することと;引き続いて
d)20℃に冷却し、水を加え、そして16時間撹拌させることと;引き続いて
e)生成物をろ別することと;引き続いて
f)スラリーを冷水で洗浄することと;引き続いて
g)得られた固形物を真空下にて40℃で乾燥して、
化合物(I)の結晶形態Iを得ること。
【0111】
あるいは、溶解されているか、あるいは非晶質体(amorphous material)のスラリーとしての、式(I)の化合物、4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミドは、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水又はその混合物などの適切な溶媒中で結晶化することができる。結晶化のための他の適切な溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール及び水又はその混合物などの低級アルコールである。
【0112】
少なくも1つの溶媒を含む、適切な溶媒系から式(I)の化合物を結晶化させることは、溶媒蒸発により、温度低下により、及び/又は逆溶媒(すなわち、本発明の化合物が難溶性である溶媒)の添加を介して、及び/又は化学反応により溶媒系中に過飽和を達成させることによって実現することができる。適切な溶媒の例には、DMSOがあり、適切な貧溶媒の例には、水がある。
【0113】
結晶化温度及び時間は、溶液の濃度及び使用される溶媒系に左右される。
【0114】
結晶化はまた、標準的な技法[例えば、本発明の適切な結晶性化合物の結晶を用いてシーディングするか、あるいはシーディングしないで]によって開始させ、及び/又は達成させることができる。
【0115】
式(I)の化合物の結晶形態は、当技術分野の当業者に周知の技法、例えば、デカント、ろ過又は遠心分離を用いて単離することができる。
【0116】
式(I)の化合物の結晶形態は、当技術分野の当業者に周知である標準的な技法を用いて乾燥することができる。
【0117】
また、式(I)の化合物の結晶形態は、例えば、ジクロロメタンと、所望により、メタノール中にアンモニアを含んでいることもあるメタノールの混合物などの適切な有機溶媒又は溶媒の混合物で溶離するシリカを用いるカラムクロマトグラフィーによって更に精製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】化合物(I)の形態Iの粉末X線ディフラクトグラム(XRDP)パターンを示す。
【図2】化合物(I)の形態Iの示差走査熱量計(DSC)サーモグラムを示す。
【0119】
実施例
本発明は、更に下記の実施例において明確にされる。実施例は、単に説明の目的のみで示されているということが理解されるべきである。上記のディスカッション及び実施例から、当技術分野の当業者であれば、本発明の本質的な特徴を確定することができ、そして本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本発明を様々な使用及び状況に適応させるために様々な変更及び修正をすることができる。その結果として、本発明は、本明細書中、下記に述べられている実例となる実施例によって制限されることはなく、本明細書に添付されている請求項によって定義される。
【0120】
温度はすべて、摂氏の度(℃)であり、修正されていない。
【0121】
特段の記載がない限り、実施例化合物を製造する際に使用される商業上の試薬は、更なる精製をすることなく得られたものとして使用された。
【0122】
特段の記載がない限り、実施例化合物を製造する際に使用される溶媒は、商業上の無水グレードであり、更に乾燥又は精製をすることなく使用された。
【0123】
実施例(Example)及び方法(Methods)中の出発物質として使用される化合物は、商業上入手可能であり、そうでない場合には、それらを製造する方法が本明細書中、中間体A〜F(Intermediates A-F)中に述べられている。
【0124】
実施例1
4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミド,形態I
【化2】

【0125】
第一方法
中間体E(5.52g,26.7mmoles,99.1%w/w)及び中間体F(6.07g,28.0mmoles,98.40%w/w)をDMSO(82mL)中で、tジャケット(ジャケット(jacket)温度)=22℃で混和した。N−メチルモルホリン(2.94mL,27.2mmoles)を5分にわたって加えた。充填容器をDMSO(2.8mL)でリンスした。HOBt/NMM溶液(1.80g,2.66mmoles,20%w/w)を一回で加えた。充填容器をDMSO(2.8mL)でリンスした。EDCI×HCl(7.16g,38.0mmoles)を10分にわたってtジャケット=22℃で加えた。この反応は2時間後に完結した。次いで、この反応溶液を60℃に加熱し、そしてTEA(5.18gg,51.2mmol)を用いてpHを約8に調整した。この固体混合物を20℃に冷却し、その後H2O(69.8mL)を加え、そして16時間撹拌したままにした。生成物をろ別し、そしてスラリーを冷却したH2O(2×33mL)で洗浄した。真空下にて40℃で乾燥すると、7.53g(22.8mmoles,99.0%w/w)が得られた(収率85%)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 7.91 (br s, 1H ), 7.78 (d, J=8.0 Hz, 2H), 7.29 (br s, 1H), 7.24 (d, J=8.0 Hz, 2H), 3.68-3.39 (m, 4H), 2.72-2.62 (m, 1H), 2.40-2.29 (m, 2H),
2.26-2.12 (m, 4H), 1.99-1.88 (m, 2H), 1.83-1.70 (m, 2H), 1.67-1.56 (m, 2H), 1.47-1.39 (m, 1H), 1.28-1.20 (m, 1H);
LC-MS (ESI): m/z 328 (M+1)。
生成物のキラル純度を、Chiralpak AD-H,4.6×150mmを使用し、無勾配溶出法(isocratic method)(移動相:ヘプタン/EtOH(80/20)+0.1%ジエチルアミン)を用いて、UV検出(250nm)を含むキラルカラム分析を行なって、エナンチオマー純度>99%eeが得られた。
【0126】
第二方法
4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミド(10gram,30.54mmoles)を、70℃でDMSO(83ml)中に溶解し、そして反応器中にスクリーンろ過した(screened filtered into a reactor)。フィルターをDMSO(17ml)で反応器中にリンスした。温度を55℃に下降させ、そして4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミドのシード結晶(0.2gram,0.61moles)を加えた。次いで30分後、このスラリーを3.5時間にわたって20℃に冷却した。20℃で水(40ml)を2.5時間にわたって入れた。充填後、このスラリーを単離する前、更に12時間にわたって20℃にしたままにした。この固体生成物をDMSO(28ml)及び水(12ml)の混合物で洗浄(置換洗浄)し、引き続いて、水で3回(3×40ml)洗浄した(1回はスラリー洗浄、そして2回は置換洗浄)。次いでこの固体生成物を60℃で18時間乾燥すると、表題化合物(9.32gram(28.5mmoles))が得られた(結晶として収率93%)。
【0127】
第三方法
4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミド(3.0gram,9.16mmoles)を、65℃でメタノール(34.5ml)及び水(6.0ml)中に溶解し、そして反応器中にスクリーンろ過した。次いで温度を55℃に下降させ、引き続いて、4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミド(0.06gram,0.18mmoles)のシード結晶を添加した。5分後、このスラリーを3.5時間にわたって20℃に冷却した。20℃で、水(31.5ml)を3.5時間にわたって入れた。次いで更に2時間後、この固体形態を単離し、そしてメタノール(9ml)と水(3ml)の混合物で2回洗浄した。最終的に、この固体生成物を60℃で15時間乾燥すると、表題化合物が2.49gram.(7.60mmoles)得られた(結晶として収率81%)。
【0128】
第一方法で得られた固体生成物をXRPDによって解析した。代表的XRPDパターンを図1に示した。選択されたピークが表1に提供される。XRPDパターンによってこの固体物質が結晶形態Iであることが確認された。
【0129】
【表1】

【0130】
第二及び第三方法で得られた固体生成物を、それぞれ、XRPDによって解析し、そして図1に示され、そして表1中に提供されている選択されたピークを有する代表的なXRPDパターンが得られた。XRPDパターンによってこの固体物質が結晶形態Iであることが確認された。
【0131】
実施例1の方法1によって得られた固体生成物を、熱分析技術によって解析した。DSC解析によって化合物(I)の形態Iは、高融点固体であることが示された。DSCトレース(DSC-trace)は、225℃で開始する小さな吸熱事象を示し、引き続いて235℃で開始するはっきりと識別できる吸熱事象を示した。代表的なDSCサーモグラムを図2に示す。
【0132】
粉末X線回折解析
結晶形態IのXRPDパターンを、下記に述べられているXRPD機器を用いて収集した。
【0133】
粉末X線回折解析
粉末X線回折(XRPD)パターンを、45kV及び40mAにて、長焦点微小焦点のCuKα−放射線(X線波長1.5418Å)を用いるPANalytical X'Pert PRO MPD theta-theta systemを使用して、周囲条件のもとで収集した。10mmの照射長を与えるプログラム可能な発散スリット(programmable divergence slit)及びプログラム可能なアンチスキャタースリット(programmable anti-scatter slit)を使用した。0.02 ラジアンソーラースリット(radian Soller slits)を入射及び回折ビーム経路に使用した。20mmの固定マスクを入射ビーム経路に使用し、そしてニッケルフィルターを255活性チャネル(255 active channels)を用いるピクセル検出器の前に置いた。薄片試料を、スパチュラを用いてシリコンで作られているフラットゼロバックグラウンドプレート(flat zero background plate)上に準備した。このプレートを試料ホルダーの中にのせ、そして測定の間、水平の位置で回転させた。回折パターンを、連続的スキャンモードで2°2θと40°2θの間で収集した。スキャンの全時間はおよそ10分であった。
【0134】
測定条件(使用する機器、試料調製又は機械装置など)によって1つ若しくは複数の測定エラーを有する粉末X線回折パターンが得られうることは当技術分野で知られている。特に、粉末X線回折パターンの強度は、測定条件及び試料調製によって変動しうるということが一般に知られている。例えば、粉末X線回折の技術分野の当業者は、ピークの相対強度は、試験されている試料の配向方向、及び使用される機器のタイプ及び設定よって変化しうることを理解している。
【0135】
当業者はまた、反射の位置が、試料が回折計の中で置かれている正確な高さによって、そして回折計のゼロ較正標準によって影響されうることを理解している。試料の表面の平面度もまた少しの影響を与えうる。それ故、当技術分野の当業者は、本明細書中で供されている回折パターンデータは、絶対的なものであると解釈されるべきではなく、そして本明細書中に開示されているものと実質的に同一である粉末回折パターンを提供している結晶形態であればいかなるものでもこの開示の範囲内に入るものと理解する(更なる情報については、Jenkins, R & Snyder, R.L.‘Introduction to X-Ray Powder Diffractometry' John Wiley & Sons, 1996を参照されたい)。
【0136】
本明細書中で本発明による化合物が結晶性であることが言及されているときには、粉末X線回折データによって決定された適切な結晶化度は、例えば、約10%を超え、例えば、約20%を超え、例えば、約30%を超え、例えば、約40%を超え、例えば、約50%を超え、例えば、約60%を超え、例えば、約80%を超え、特に、約90%を超え、とりわけ特に、約95%を超える。本発明の実施形態では、粉末X線回折データによって決定された適切な結晶化度は、約98%を超え、ここで結晶化度%は、全試料質量のうちで結晶性である重量%を意味する。
【0137】
結晶形態IのXRPDデータに関するピーク検索
NIST SRM 676 アルミナ(α−Al23)基準に突き合わせて角度補正を先に行なって
、マニュアルピーク検索を行なった。
【0138】
測定相対強度は最強ピークと対比して、50%を超える相対ピークの高さに対しては、かなり強い(vs)ピークとして、25%と50%の間の相対ピークの高さに対しては、強い(s)ピークとして、10%と25%の間の相対ピークの高さに対しては、中程度の(m)ピークとして、そして5%と10%の間の相対ピークの高さに対しては、弱い(w)ピークとして示された。
【0139】
示差走査熱量計(DSC)解析
25℃〜350℃のDSCが、窒素下にて、NETZSCH DSC 204 instrumentを用いて、穿孔蓋を有するアルミニウム試料カップ中で行なわれた。スキャン速度は1分あたり10℃であった。試料サイズは1mg未満であった。DSCの立ち上がり及びピーク温度、並びにエネルギー値は、例えば、試料の純度及び試料サイズによって変化しえ、そして機器パラメーター、特に温度スキャン速度(temperature scan rate)によって変化しうることは周知である。それ故、提示したDSCデータは絶対値と受け止めてはならない。
【0140】
当技術分野の当業者であれば、示差走査熱量計の機器パラメーターを、本明細書で供されるデータと同程度のデータが標準方法、例えば、Hoehne, G. W. H. et al (1996), Differential Scanning Calorimetry, Springer, Berlin中に記載されている方法によって収集できるように設定することができる。
【0141】
中間体の合成
中間体A
(R)−1−(4−ブロモ−フェニル)−2−クロロ−エタノール
【化3】

ジメチルスルフィドボラン(Borane dimethylsulfide)(2.0kg,24.8moles,94%w/w)を、tジャケット(ジャケット(jacket)温度)=20℃でトルエン(8L)中に混和した。トルエン溶液としての(R)−(+)−メチル−CBS−オキサザボロリジン(2.6kg,2.74moles,1M)を加えた。充填容器をトルエン(0.5L)でリンスし、そしてtジャケットを45℃にセットした。1−(4−ブロモ−フェニル)−2−クロロ−エタノン(7.84kg,33.6moles)[これは、Jiangyan Keyan Fine Chemical Co. Ltdから商業上入手可能である]を別の容器中で2−MeTHF(75L)中に溶解し、そして第一の容器中でtインナー(内部(inner)温度)が40℃を超えたとき、2−MeTHF溶液を3時間にわたって加えた。後者の容器を2−MeTHF(2L)でリンスし、そして反応混合物に加え、これを、tジャケット=45℃で1時間撹拌し続けた。完全に変換した時点で、この反応混合物を、tジャケット=10℃に冷却し、その後MeOH(36L)でゆっくりクエンチした。MeOHの一回目のリットルを30分間にわたって加え、そして残りを更に30分間にわたって加えた。MeOHを真空下にてtジャケット=50℃で留去した。有機溶液をtジャケット=20℃に冷却したままにし、H2O中の1M HCl(7L濃HCl+73L H2O)で洗浄し、そして真空下にてtジャケット=50℃で、およそ40Lまで濃縮した。2−MeTHF溶液中に得られた中間体Aは10℃で20時間保管することができ、あるいは次の合成工程で直ちに使用することができる。
【0142】
中間体B
(R)−2−(4−ブロモ−フェニル)−オキシラン
【化4】

Aliquat(登録商標)175(メチルトリブチルアンモニウムクロリド)(1.12kg,4.75moles)を、2−MeTHF溶液(33.6moles,40L)としての中間体Aにtジャケット=20℃で加えた。H2O(2L)で希釈したNaOH(5.1kg,57.4moles,45%w/w)を20分にわたって加えた。この反応混合物を、tジャケット=20℃で2時間撹拌したままにした。完全に変換した時点で、水相をろ別し、そして有機相をH2O(2×25L)で洗浄した。2−MeTHF(25L)を加え、そして有機相を真空下にてtジャケット=50℃でおよそ30Lになるまで濃縮した。2−MeTHF溶液中に得られた中間体Bは5℃で140時間保管することができ、あるいは次の合成工程で直ちに使用することができる。
【0143】
中間体C
(1S,2S)−2−(4−ブロモ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸
【化5】

ホスホノ酢酸トリエチル(10.5L,51.9moles,98%w/w)を、tジャケット=−20℃で2−MeTHF(14L)中に溶解した。ヘキサン(21L,48.3moles,2.3M)中のヘキシルリチウムを、0℃未満のtインナー(内部(inner)温度)を維持する速度で加えた。充填容器を2−MeTHF(3L)でリンスし、そしてこの反応溶液をtジャケット=10℃で撹拌したままにした。2−MeTHF溶液(33.6moles,30L)としての中間体Bを20分間にわたって加えた。充填容器を2−MeTHF(2L)でリンスし、そしてこの反応溶液を少なくとも16時間、tジャケット=65℃で、最後の3時間は、tジャケット=75℃で撹拌したままにした。完全に変換した時点で、この反応溶液をtジャケット=20℃に冷却した。H2O(12L)中に希釈したNaOH(7.6kg,85.5moles,45%w/w)を20分にわたって加えた。得られた反応溶液を、tジャケット=60℃で少なくとも2時間撹拌したままにした。完全に変換した時点で、この反応溶液をtジャケット=20℃に冷却し、水相を分離し、そして有機相をH2O(37L)で抽出した。水相を集め、これをH2O(12.5L)中に希釈したH3PO4(9L,131moles,85%w/w)を用いて酸性にし、pH<3.5にした。希釈したH3PO4(水性)17Lだけを使用してpH<3.5に達しさせた。この酸性の水相を2−MeTHF(2×15L)で抽出した。有機相を集め(2−MeTHF(2L)でリンスしたものを含めて)、これを真空下にてtジャケット=50℃でおよそ11Lになるまで濃縮した。2−MeTHF溶液を、tジャケット=35℃でEtOH(14.5L)を用いて希釈し、そしてH2O(16L)を20分にわたって加えた。この反応溶液をtジャケット=28℃に冷却した。シード(16g,0.066moles)を加え、そして溶液をtジャケット=28℃で2時間撹拌した。この反応混合物を、tジャケット=0℃に6時間にわたって冷却し、そして少なくとも1時間撹拌したままにした。更にH2O(8L)を40分にわたって加え、そして生成物をろ別し、そして冷却H2O(10L)で洗浄した。真空下にて40℃で乾燥すると、6
.18kgの中間体C(21.5moles,84%w/w)が得られ、これは7.84kgの1−(4−ブロモ−フェニル)−2−クロロ−エタノン(33.6moles)からの4工程にわたる収率が64%であった。
【0144】
中間体Cの再結晶:中間体Cの2つのバッチ(6.18+7.04kg)を、EtOH(52L)中で混和し、そしてtジャケット=70℃で加熱した。H2O(52L)を加えた。この反応溶液を、tジャケット=30℃に2.5時間にわたって冷却した。H2O(16L)を20分にわたって加え、そして結晶体を3時間にわたってtジャケット=20℃に冷却した。生成物をろ別し、そしてH2O(8L)及びEtOH(2L)の混合物で洗浄した。真空下にて40℃で乾燥すると、10.0kgの中間体(41.5moles,88%w/w)が得られ、これをtジャケット=60℃でトルエン(39L)及びイソオクタン(57L)中に再溶解した。透明な溶液が得られた。この反応溶液をtジャケット=45℃に冷却し、そして1時間撹拌したままにし、次いでtジャケット=20℃に2時間にわたって冷却した。生成物をろ別し、そしてトルエン(4L)及びイソオクタン(36L)の混合物で2回にわけて洗浄した。真空下にて40℃で乾燥すると、7.4kgの中間体C(29.8moles,97%w/w)が得られ、これは7.84+7.93kgの1−(4−ブロモ−フェニル)−2−クロロ−エタノン(67.5moles)からの4工程にわたる収率が44%であった。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 12.36 (s, 1H), 7.44 (d, 2H, J=8 Hz), 7.13 (d, 2H, J=8 Hz), 2.39 (m, 1H), 1.81 (m, 1H), 1.43 (m, 1H), 1.33 (m, 1H);
13C-NMR (DMSO-d6): δ 173.76, 139.88, 131.20, 128.24, 119.14, 24.73, 24.31, 16.78;
LC-MS (ESI): m/z 239 (M-1 (Br79)) 及び 241 (M-1 (Br81))。
【0145】
中間体D
(1S,2S)−2−(4−シアノ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸
【化6】

中間体C(3.7kg,14.9moles,97%w/w)及び亜鉛末(98%+,<10μm)(99g,1.51moles)をDMF(13.5L)と混和し、そしてこのスラリーをtジャケット=20℃で撹拌した。この混合物を不活性にし、0.1〜0.2バールのN2圧の状態にした。ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(27.5g,0.054moles)をこのスラリーに加え、そして容器を不活性にし、0.1〜0.2バールのN2圧の状態にした。この混合物をtジャケット=45℃に加熱し、Zn(CN)2(1.0kg,8.52moles)を懸濁液に1回で加え、そしてこの系を不活性化し、0.1〜0.2バールのN2圧の状態にした(注:シアン化物塩は毒性が高い)。この結果生じた混合物をtジャケット=75℃に加熱し、そして少なくとも2時間撹拌した。完全に変換した時点で、反応混合物をtジャケット=20℃に冷却した。チオール官能基化シリカ(Silicycle, SiliaBond Thiol)(1.07kg,28%w/w)を加え、そして容器を不活性化した。この反応混合物をtジャケット=20℃で、少なくとも36時間撹拌した。スカベンジャーを、活性炭を含むフィルター又は同等
物(ポールフィルター)を介してろ別した。容器及びフィルター系を2−MeTHF(53L)で洗浄した。ろ液及び洗浄液を集め、これをtジャケット=5℃で撹拌した。淡黄色液体が生じた。H2O(16.4L)に溶解したNaCl(3.5kg)を15分にわたって内部温度が15℃に達しないままであるような速度で加えた。この結果生じた反応混合物をtジャケット=45℃に加熱し、そして水相を分離した。有機相を、NaHSO4×H2O(H2O中)(2×(2.87kg+16.4L))及びNaCl(H2O中)(3.5kg+16.4L)で洗浄した。有機相をtジャケット=10℃に冷却し、そしてH2O(41L)中に希釈したNaOH(1.54kg,19.3moles,50%w/w)を45分にわたって加えた。この結果生じた反応混合物を、tジャケット=30℃に加熱し、そして有機相を分離した。水相をtジャケット=20℃で撹拌し、そしてpHを、25℃に達しない内部温度を維持するような速度で、H2O(5.3L)中に希釈したH3PO4(0.90kg,7.81moles,85%w/w)を用いて、6.5に調整した。2−MeTHF及びH2Oを真空下にて、蒸留前の容量の85〜90%の容量、およそ8Lになるまで留去した。この反応混合物を、tジャケット=0℃に冷却し、そしてH2O(8.2L)中に希釈したH3PO4(1.17kg,10.1moles,85%w/w)をpH=4になるまで加えることを継続した。このスラリーをtジャケット=10℃で終夜撹拌したままにした。生成物をろ別し、H2O(2×4L)で洗浄した。真空下にて40℃で乾燥すると、中間体D(2.24kg,11.2moles,93.2%w/w)が得られた(収率75%)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 12.45 (s, 1H), 7.72 (d, 2H, J=8 Hz), 7.37 (d, 2H, J=8 Hz), 2.50 (m, 1H), 1.94 (m, 1H), 1.50 (m, 1H), 1.42 (m, 1H);
13C-NMR (DMSO-d6): δ 173.51, 146.68, 132.27, 126.93, 118.97, 108.85, 25.16, 25.04, 17.44;
LC-MS (ESI): m/z 186 (M-1)。
【0146】
中間体E
(1S,2S)−2−(4−カルバモイル−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸
【化7】

中間体D(4.46kg,22.0moles,92.5%w/w)を、tジャケット=30℃でH2O(40L)中に混和した。H2O(6L)に希釈したNaOH(2.25kg,28.1moles,50%w/w)をtインナーが35℃に達しない状態になっている速度で加えた。充填容器をH2O(1L)でリンスした。pHが≧12でない場合には、より多くのNaOHを、前と同じ濃度で加えた。過酸化水素(4.89kg,50.3moles,35%w/w)を、35℃に達しないtインナーを維持する速度で加えた。充填容器をH2O(1L)でリンスし、そしてこの反応スラリーを0.5〜1.0時間撹拌したままにした。完全に変換した時点で、反応混合物をtジャケット=0℃に冷却し、温度が達したときに、少なくとも0.5時間撹拌したままにした。中間体Eのナトリウム塩を、ろ別し、そして冷却H2O(2×7L)で洗浄した。この固形物はスラリーであり、該スラリーをH2O(35L)に希釈したNaHSO4×H2O(2.76kg,20.0moles)を含むフィルター上で洗浄した。このスラリーをtジャケット=0℃で1時間撹拌を継続した。pHが<3.7でない場合には、H2O中のNaHSO4×H2Oを用いて調整した。生成物をろ別し、冷却H2O(3×14L)で洗浄した。真空下にて40℃で乾燥すると、中間体E(4.0kg,18.2moles,93.4%w/w
)が得られ、収率は83%であった。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 12.40 (s, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.79 (d, 2H, J=8 Hz), 7.32 (s,
1H), 7.23 (d, 2H, J=8 Hz), 2.44 (m, 1H), 1.88 (m, 1H), 1.47 (m, 1H), 1.39 (m, 1H);
13C-NMR (DMSO-d6): δ 173.83, 167.67, 143.94, 132.17, 127.68, 125.73, 25.21, 24.67, 17.11;
LC-MS (ESI): m/z 206 (M+1)。
【0147】
この生成物を、Kromosil 3-Amycoat,150×4.6mm,3μm(粒度)を使用し、無勾配溶出法(isocratic method)(移動相:EtOH/イソヘキサン/TFA(15/85/0.1v/v/v))を用いて、UV検出を含むキラルカラムによって分析して、エナンチオマー純度>99%ee、Rt=13.40分(異性体1)及び22.22分(異性体2)が得られた。
【0148】
中間体F
1−シクロブチルピペラジン×2HCl
【化8】

N−Boc−ピペラジン(46g,0.25moles)[これは、SAFCから商業上入手可能である]を、tジャケット=20℃でEtOH(415mL)中に溶解した。酢酸(140mL)を一回で加え、引き続いてシクロブタノン(26.5g,0.37moles)を添加した。充填容器をEtOH(25mL)でリンスし、そして淡黄色溶液をtジャケット=20℃で1時間撹拌したままにした。NaBH(OAc)3(80g,0.36moles,95%w/w)を2時間にわたって、20回にわけて加えた。EtOH(25mL)をリンスするために使用した。この反応混合物を2時間撹拌したままにした。完全に変換した時点で、H2O(230mL)に希釈したNAOH(296g,3.70moles,50%w/w)を、tインナーが35℃に達しない状態になっている速度で加えた。
【0149】
EtOHを、真空下にてtジャケット=45℃で、およそ650mLまで留去した。水相をtジャケット=45℃で、トルエン(550mL)で抽出し、そして得られた有機相をtジャケット=45℃で真空下にておよそ250mLまで濃縮した。このトルエン溶液を、tジャケット=20℃で2−プロパノール(140mL)を用いて希釈し、そしてH2O(2.2mL,0.12moles)を加えた。2−プロパノール(140mL)中に希釈した、2−プロパノール(82mL,0.49moles,6M)に溶解したHClを、tジャケット=20℃で30分にわたって加えた。この反応溶液をtジャケット=48℃に加熱した。2−プロパノール(276mL)中に希釈した、2−プロパノール(164mL,0.99moles,6M)に溶解したHClを、tインナー=46℃で2時間にわたって加えた。この反応溶液を、更に4時間、tジャケット=48℃に維持して、その後1時間にわたってtジャケット=10℃に冷却した。生成物をろ別し、そして冷却した2−プロパノール(2×230mL)で洗浄した。真空下にて40℃で乾燥すると、44gの中間体F(0.20moles,95.9%w/w)が得られ、収率は80%であった。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 12.46 (s, 1H), 10.07 (s, 2H), 3.73 (m, 1H), 3.05-3.61 (m, 8
H), 2.37 (m, 2H), 2.14 (m, 2H), 1.70 (m, 2H);
13C-NMR (DMSO-d6): δ 58.05, 44.67, 39.59, 24.38, 13.18。
【0150】
一般的方法
1H NMRスペクトルは、400MHz又は500MHzで、指示されている重水素化溶媒中で記録した。400MHzスペクトルは、試料射出用にBEST 215リキッドハンドラー(liquid handler)を使用して、Z−勾配を有する3mm フローインジェクションSEI 1H/D-13Cプローブヘッドを備えた、Bruker av400 NMRスペクトロメータを用いるか、あるいはZ−勾配を有する四重極核(4-nucleus)プローブヘッドを備えたBruker DPX400 NMR又はBruker 500MHz ultrashieldスペクトロメータを用いて得られた。化学シフトは、TMSからのppmダウンフィールド及びアップフィールドの単位で与えられた。共鳴多重度を、一重線、二重線、三重線、四重線、多重線及びブロードの代わりに、それぞれ、s、d、t、q、m及びbrで示した。
【0151】
質量スペクトル(MS)は、エレクトロスプレー(+ESI)イオン化を有する自動システムを用いて作動させた。通例、親質量が認められるスペクトルのみが報告された。アイソトープスプリッティング(isotope splitting)が多重質量スペクトルピークの原因となる場合に、分子に対する最も低い質量の主イオンが報告された(例えば、塩素又は臭素が存在するとき)。
【0152】
LC−MS分析は、Waters X-Terra MS,C8−カラム,(3.5μm,100mm×3.0mm(内径(i.d.))を備えたWaters LCMSを用いて記録された。移動相系は、A:10mM 酢酸アンモニウム(水/アセトニトリル(95:5)中)、及びB:アセトニトリルで構成した。直線勾配を、流速1.0mL/分で、0%〜100%B(4〜5分)を作動させて適用した。質量分析計は、陽又は陰イオンモードで作動するエレクトロスプレーイオン源(ESI)を備えていた。キャピラリー電圧は3kVであり、質量分析計は通例、m/z 100〜700でスキャンした。これに代わる、LC−MS HPLC条件は以下の通りであった:カラム:Agilent Zorbax SB-C8(5μm,50mm×2mm i.d) 流速:1.0mL/分 グラジエント:95%A〜100%B(5分) A=5%アセトニトリル(0.1%ギ酸を含む水中)、及びB=アセトニトリル(0.1%ギ酸を含む),UV−DAD 210〜400nm。
【0153】
これに代わる、LC−MS分析は、Phenomenex Luna C18(5μm,50×4.6mm i.d.)を備えたWaters 2790 LCMSを用いて記録した。移動相系は、A:10mM ギ酸アンモニウム(pH4)(水中)、及びB:アセトニトリルで構成した。直線勾配を、流速2.0mL/分で、95%〜5%B(5分)を作動させて適用した。質量分析計は、陽又は陰イオンモードで作動するエレクトロスプレーイオン源(ESI)を備えていた。キャピラリー電圧は3kVであり、質量分析計は通例、m/z 100〜700でスキャンした。これに代わる、LC−MS分析は、Zorbax SB C8(3.5μm,150×4.6mm
i.d.)を備えたAgilent 1200 LCMSを用いて記録した。移動相系は、A:0.05%TFA(水中)、及びB:アセトニトリルで構成した。直線勾配を、流速1.0mL/分で、10%〜90%B(8分)を作動させて適用した。質量分析計は、陽又は陰イオンモードで作動するエレクトロスプレーイオン源(ESI)を備えていた。キャピラリー電圧は3kVであり、質量分析計は通例、m/z 100〜700でスキャンした。
【0154】
これらの化合物は、Advanced Chemistry Development, Inc.(ACD/ からのCambridgeSoft MedChem ELN v2.1, ACD/Name,version 8.08,softwareを用いて命名した。
【0155】
略語リスト
ACN:アセトニトリル;aq:水性;br:ブロード;Bu:ブチル;calcd:計算値;Celite(登録商標):珪藻土ろ過剤のブランド、セライトコーポレーション(Celite Corporation)(登録トレーダー);d:二重線;dd:二重線の二重線;ddd:二重線の二重線の二重線;dddd:二重線の二重線の二重線の二重線;DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;dq:四重線の二重線;DSC:示差走査熱量測定法;dt:三重線の二重線;DVS:動的蒸気収着;EDC:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩;ESI:エレクトロスプレーイオン化;EtOAc:酢酸エチル;EtOH:エタノール;Et:エチル;FT−IR:フーリエ変換赤外;FT−Raman:フーリエ変換ラマン;g:グラム;h:時間(複数を含む);1H NMR:プロトン核磁気共鳴;HOBT:N−ヒドロキシベンゾトリアゾール;HPLC:高圧液体クロマトグラフィー;iPrOH:イソプロパノール;L:リットル;m:多重線;M:モルの;mL:ミリリットル;Me:メチル;MeOH:メタノール;mg:ミリグラム;2−MeTHF:2−メチルテトラヒドロフラン;MHz:メガヘルツ;min:分(複数を含む);mmol:ミリモル;mol:モル;MS:質量分析法;MTBE:メチルtert−ブチルエーテル;NaHCO3:重炭酸ナトリウム;Pd/C:パラジウム・炭素;ppm:百万分率;q:四重線;quin:五重線;rt:室温;s:一重線;sat:飽和した;t:三重線;TEA:トリエチルアミン;tBuOH:tert−ブタノール;td:二重線の三重線;TFA:トリフルオロ酢酸;TGA=熱重量分析;THF:テトラヒドロフラン;UV=紫外;XRPD=粉末X線回折;及び接頭語n−,s−,i−,t−及びtert−は、それらの以下の通常の意味を有する:ノルマル、セカンダリー、イソ、及びターシャリー。
【0156】
薬理
アゴニスト放射性リガンド[3H]−N−a−メチルヒスタミンを用いるヒトヒスタミンH3結合アッセイ
下記に述べられている条件下にて、[3H]−N−a−メチルヒスタミンを阻害する式(I)の化合物の能力を評価するためにH3結合アッセイを使用した:
結合アッセイはすべて、20mmol/L ヘペス,100mmol/L NaClから成る緩衝液中で行なった。pHは、室温で7.4に設定した。液体処理ロボットを式(I)の化合物の10ポイント用量反応曲線(3倍階段希釈、10μmol/Lで開始)を薬物プレート中で調製するのに使用した。このアッセイは、100μLから成る96ウェルプレートで行なわれ、列#1には、全結合(total binding)のために20μLの緩衝液のみを含め、列#2には、非特異的結合のために20μLのイミチット(imetit)(5×)を含め、列#3〜#12には、種々の濃度での20μLの式(I)の化合物(5×)を含め、これに加えて、すべてのウェル中に20μLの[3H]−N−α−メチルヒスタミン(25000dpm/ウェル,1.5nmol/L)を含め、そして最後に60μLのメンブレン(20μgのタンパク質/ウェル)ミックスを加えて、反応を開始させた。メンブレンとSPAビーズ(1000μg/ウェル)を一緒に混和し、アッセイの開始前に室温で30分間インキュベートした。列#1の8つのウェルは全結合を決定するために使用し、1μmol/L イミチット(列#2の8つのウェル)は非特異的結合を決定するために使用した。次いで、プレートをオービタルミキサーによって混合し、室温で90分間インキュベートして、次にTrilux 384(商標)カウンターで読み取った。
【0157】
グアノシン5’−O−(3−[35S]チオ)トリフォスフェート[GTPgS]結合アッセイ
35S]GTPγS結合アッセイを、20mmol/L ヘペス,100mmol/L NaCl、10mmol/L MgCl2,3μg/mL サポニン及び10μmol/L GDPから成る緩衝液中で行なった。pHを室温で7.4にセットした。液体処理ロボットを式(I)の化合物の10点用量反応曲線(3倍階段希釈、hH3受容体に対して1μmol/L、そしてrH3受容体に対して10μmol/Lで開始)を薬物プレート中で調製するのに使用した。このアッセイは、120μLから成る96ウェルプレート中で行なわれ、20μLのRαMH(EC80,アンタゴニストモード)を含め、20μLの種々の濃度での式(I)の化合物を含め、20μLのトレーサー[35S]GTPγS(60000dpm/ウェル,0.2nmol/L)を含め、そして最後に60μLのメンブレン(hH3に対する10μgのタンパク質/ウェル)ミックスを加えて、反応を開始させた。メンブレン、SPAビーズ(125μg/ウェル)及びGDPを一緒に混合し、そしてアッセイの開始の前に室温で30分間インキュベートした。8つのウェルを、ベースラインを決定するために使用し、そしてRαMH EC80(hH3受容体に対して30nmol/L)を、ポジティブコントロールを決定するために使用した。次いでプレートをオービタルミキサーを用いて混合し(2分)、室温で60分インキュベートし、次にTrilux 384(商標)カウンターで読み取った。
【0158】
結果
上記に述べられているアッセイに従って生じた式Iの化合物が示すpIC50値は、[3H]−N−α−メチルヒスタミンのヒトH3受容体(445aa)への特異的な結合の阻害については、7.9±0.060(13nmol/L)であり、そしてH3アゴニストの R−α−メチル−ヒスタミン刺激−[35S]GTPγS結合への阻害については、8.5±0.14(3.0nmol/L)であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物(I):
【化1】

4−{(1S,2S)−2−[(4−シクロブチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−シクロプロピル}−ベンズアミドの結晶形態。
【請求項2】
前記形態が、約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、約18.3°2θにおける少なくとも1つのピークを持つXRPDパターン(Cu Kα)を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物(I)の結晶形態。
【請求項3】
前記形態が、約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、約4.9及び約18.3°2θにおける少なくとも2つのピークを持つXRPDパターン(Cu Kα)を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物(I)の結晶形態。
【請求項4】
前記形態が、約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、約4.9、約18.3及び約20.4°2θにおける少なくとも3つのピークを持つXRPDパターン(Cu Kα)を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物(I)の結晶形態。
【請求項5】
前記形態が、約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、約4.9、約18.3、約19.6及び20.4°2θにおける少なくとも4つのピークを持つXRPDパターン(Cu Kα)を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物(I)の結晶形態。
【請求項6】
約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、XRPDパターン(Cu Kα)が、更に、約16.4及び約16.6、約18.3及び約19.6°2θにおけるピークを含んでなる、請求項3〜5のいずれか1項に記載の化合物(I)の結晶形態。
【請求項7】
約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、XRPDパターン(Cu Kα)が、更に、約5.3°2θにおけるピークを含んでなる、請求項3〜6のいずれか1項に記載の化合物(I)の結晶形態。
【請求項8】
前記形態が、約1.54オングストロームの波長の放射線を用いて測定したときに、約4.9、約5.3、約9.0、約12.6、約16.4、約16.6、約18.3、約19.6、約20.4、約21.2、約23.2及び約24.6°2θにおけるピークを持つXRPDパターン(Cu Kα)を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物(I)の結晶形態。
【請求項9】
本質的に図1に示されているXRPDパターンによって特徴付けられる、請求項1に記載の化合物(I)の結晶形態。
【請求項10】
約235℃での吸熱を含んでなるDSCサーモグラムによって特徴付けられる、請求項3〜9のいずれか1項に記載の化合物(I)の結晶形態。
【請求項11】
更に約225℃での小さな吸熱を含んでなるDSCサーモグラムによって特徴付けられる、請求項10に記載の化合物(I)の結晶形態。
【請求項12】
本質的に図2に示されているDSCサーモグラムによって特徴付けられる、請求項3〜9のいずれか1項に記載の化合物(I)の結晶形態。
【請求項13】
実質的に純粋である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物(I)の結晶形態。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物(I)の結晶形態と、製薬学的に許容される補助剤、希釈剤及び/又は担体を含んでなる、医薬製剤。
【請求項15】
治療に使用するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物(I)の結晶形態。
【請求項16】
統合失調症、ナルコレプシー、日中過眠、肥満、注意欠陥多動性障害、疼痛、神経障害性疼痛、アルツハイマー病、認知欠損、及び統合失調症関連の認知欠損から選択される障害の処置のための薬剤の製造における使用のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物(I)の結晶形態。
【請求項17】
統合失調症、ナルコレプシー、日中過眠、肥満、注意欠陥多動性障害、疼痛、神経障害性疼痛、アルツハイマー病、認知欠損、及び統合失調症関連の認知欠損の処置における使用のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物(I)の結晶形態。
【請求項18】
温血動物における、統合失調症、ナルコレプシー、日中過眠、肥満、注意欠陥多動性障害、疼痛、神経障害性疼痛、アルツハイマー病、認知欠損、及び統合失調症関連の認知欠損から選択される障害の治療方法であって、こうした治療を必要とする上記動物に、治療的に有効な量の請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物(I)の結晶形態を投与することを含んでなる、上記方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−520414(P2013−520414A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553850(P2012−553850)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際出願番号】PCT/SE2011/050172
【国際公開番号】WO2011/102795
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】