説明

システインプロテアーゼ阻害剤

式IIの化合物:


[式中、
は、ロイシン、イソロイシン、シクロヘキシルグリシン、O−メチルスレオニン、4−フルオロロイシンまたは3−メトキシバリンの側鎖であり;
は、H、メチルまたはFであり;
Rqはトリフルオロメチルであり、Rq’はHであるか、またはRqおよびRq’は一緒になってケトであり;
Qは、p−(C〜Cアルキルスルホニル)フェニル−または適宜置換された4−(C〜Cアルキル)ピペラジン−1−イル−チアゾール−4−イル−部分である]
は、カテプシンKの不適当な発現または活性化によって特徴付けられる疾患(例えば骨粗鬆症、骨関節炎、関節リウマチまたは骨転移)の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システインプロテアーゼ(特に、パパインスーパーファミリーに属する)阻害剤に関する。本発明は、生理的プロテアーゼ(例えば、カテプシンK)のミスバランス(misbalance)に由来する疾患の、予防または治療における有用な新規化合物を提供する。
【背景技術】
【0002】
システインプロテアーゼのパパインスーパーファミリーは、多様な種(哺乳類、無脊椎動物、原生動物、植物および細菌を含む)で広く分布している。多くの哺乳類のカテプシン酵素(カテプシンB、F、H、K、L、OおよびSを含む)は、このスーパーファミリーに属しており、それらの活性の不適当な制御が多くの代謝疾患(関節炎、筋ジストロフィー、炎症、糸球体腎炎および腫瘍浸潤を含む)と結び付けられる。病原性カテプシン様酵素には、ニューモシスチス・カリニ、クルーズトリパノソーマおよびブルセイトリパノソーマ、クリチジア・フシキュラータ、シストソマ種からの細菌性ジンジパイン、マラリア性ファルシパインI、II、III(以下参照)およびシステインプロテアーゼを含む。
【0003】
カテプシンKの不適当な制御は、多くの疾患[骨粗鬆症、歯肉疾患(例えば、歯肉炎および歯周炎)、パジェット病、悪性高カルシウム血症および代謝性骨疾患を含む]と結び付けられる。骨関節炎滑膜における破軟骨細胞の上昇値を考慮すると、カテプシンKは、過剰な軟骨またはマトリックス分解によって特徴付けられる疾患(例えば、骨関節炎および関節リウマチ)と結び付けられる。
【0004】
骨および軟骨疾患(例えば、骨関節炎および骨粗鬆症)の治療は、カテプシンK阻害剤を、多くの場合は老齢期にあるかまたはそれに近い患者集団に対して、生涯投与することを要求すると考えられる。これによって、そのような疾患に向けられた薬物の投与の容易さには、非常に高い要求が課される。例えば、現在の、ビスホスホネート群の骨粗鬆症薬の投与計画を、服薬遵守を補助するために、週間またはより長い投与間隔に引き伸ばす試みが行われている。しかしながら、投薬が改良されたとしても、ビスホスホネートの他の副作用は残る。ビスホスホネートは、骨代謝回転を弱毒化するというよりはむしろ阻害してしまい、それはカテプシンK阻害剤がそうするのと同じである。健康な骨にとって、ビスホスホネートが完全に阻害してしまう再形成過程を維持することが大切である。また、ビスホスホネートは骨において非常に長い半減期を有するので、下顎の骨壊死のような作用が現れた場合に、ビスホスホネートを骨から除去することは不可能である。その一方で、カテプシンK阻害剤は概して、作用の開始および終了が速い様式を有するので、問題が見つかった場合に投薬を停止することができ、骨マトリックスにおける阻害剤の蓄積も無い。
【0005】
したがって、より優れた薬物動態的および/または薬理学的特性を有する、他の骨粗鬆症および骨関節炎の治療薬への欲求が存在する。
【0006】
国際公開第02/057270号は、式IA:
【化1】

[式中、
UVWXYは概して、ジペプチドシステインプロテアーゼ阻害剤のP3およびP2(これらの記号は以下で説明する)に対応し、
Zは、特にO、S、メチレンまたは−NR−であり、
R’は、アルキル、アルキルアリールなどであり、並びに
P1およびQは各々、特に、メチレンである]
の化合物を開示する。この特許出願の一般的記述ではP1およびQについて非常に広い範囲の置換基を前提としているが、いずれもが特徴付けまたは例証を欠き、またそれらの合成手順が全く提供されていない。実際、国際公開第02/05720号で示される唯一の合成手順は、P1またはQにおける置換基を全く満たしていない。該化合物は、特に、原生動物(例えば、トリパノソーマ)の感染治療において有用であると主張されている。
【0007】
国際公開第2005/066180号の実施例9では、特に、式IB:
【化2】

の化合物を開示する。該化合物はカテプシンKの活性阻害剤であるが、以下で示すように、構造をさらに修飾して薬物動態および/または薬力学を改良でき、特に全血における高い安定性、そしてそれ故により優れた暴露をもたらす。
【0008】
本出願の優先日には非公開であった国際公開第2008/007127号は、式IC:
【化3】

の化合物を開示し、それはシステインプロテアーゼ阻害剤(特に、カテプシンK阻害剤)であると説明されている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、式II:
【化4】

[式中、
は、ロイシン、イソロイシン、シクロヘキシルグリシン、O−メチルスレオニン、4−フルオロロイシンまたは3−メトキシバリンの側鎖であり;
は、H、メチルまたはFであり;
Rqは示された立体化学を有するCFであり、Rq’はHであるか;または
RqおよびRq’は一緒になってケトであり;
Qは、
【化5】

(式中、
は、C〜Cアルキルであり;
は、H、メチルまたはFであり;
は、C〜Cアルキルである)
である]
の化合物、あるいはそれの医薬的に許容される塩、プロドラッグまたはN−オキシドを提供する。
【0010】
本発明の一つの態様において、式:
【化6】

[式中、
は、ロイシン、イソロイシン、シクロヘキシルグリシン、O−メチルスレオニン、4−フルオロロイシンまたは3−メトキシバリンの側鎖であり;
は、H、メチルまたはFであり;
は、C〜Cアルキル、好ましくはメチルであり;
は、H、メチルまたはFである]
のエナンチオマー化合物、あるいはそれの医薬的に許容される塩、N−オキシドまたは水和物が提供される。
【0011】
本発明は別の態様において、式IIb:
【化7】

[式中、
およびRは上記と同義であり、
Qは、式IIaで定義したN−アルキル−ピペラジニル−チアゾリル部分、または4−(C〜Cアルキル)スルホニルフェニル部分であり国際公開第07/006716号で記載される、例えば式:
【化8】

の化合物の通りである]
の化合物、あるいはそれの医薬的に許容される塩、N−オキシドまたは水和物を含む。
【0012】
用語「C1〜6アルキル」は、1〜6の炭素原子を有するアルキル鎖(例えば、C1〜4アルキル基、またはC1〜3アルキル基)を示す。アルキル基は、直鎖または分岐鎖であってもよい。適したC1〜6アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピルおよびイソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチル)、ペンチル(例えば、n−ペンチル)およびヘキシル(例えば、n−ヘキシル)が含まれる。特に興味深いアルキル基は、メチルである。
【0013】
当然のことながら、本発明の化合物は水和物(例えば、
【化9】

のような部分式)として存在することができ、また本発明はそのような別の形態の全てにまで及ぶ。
【0014】
本発明の好ましい態様において、Rはロイシン、イソロイシン、O−メチルスレオニン、4−フルオロロイシンまたは3−メトキシバリンの側鎖である。
【0015】
今のところ、Rの好ましい基は、
【化10】

によって例示される部分構造を含み、特に、L−ロイシンの側鎖に対応するRの基を含む。
【0016】
真上の段落の態様は、好ましくは、RまたはRがフルオロである化合物に適用される。
【0017】
下記の部分構造:
【化11】

で示すように、メチルまたはフルオロのような典型的なR基が存在するならば、それはベンジルアミド結合に対してメタ位に位置する。
【0018】
この態様の代表的な化合物は、式:
【化12】

を有する。
【0019】
本発明のある態様において、特にRがHおよび/またはRがメチルである場合に、RはFである。この態様の好ましい化合物は、Rとして4−フルオロロイシン、シクロヘキシルアラニン、そして最も好ましいのはロイシンの側鎖を有する。この態様の代表的な化合物は、式:
【化13】

を有する。
【0020】
本発明の好ましい態様には、各々について上の式IIで記載した立体化学を有する、以下に示す化合物:
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[2−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−イル)−1−シクロヘキシル−2−オキソ−エチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メチル−ブチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−プロピル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−2−メチル−プロピル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[2−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−イル)−1−シクロヘキシル−2−オキソ−エチル]−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メチル−ブチル]−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−プロピル]−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−2−メチル−プロピル]−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[2−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−イル)−1−シクロヘキシル−2−オキソ−エチル]−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メチル−ブチル]−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−プロピル]−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−2−メチル−プロピル]−4−[5−フルオロl−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−3−メチル−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[2−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−イル)−1−シクロヘキシル−2−オキソ−エチル]−3−メチル−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メチル−ブチル]−3−メチル−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−プロピル]−3−メチル−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−2−メチル−プロピル]−3−メチル−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−3−メチル−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[2−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−イル)−1−シクロヘキシル−2−オキソ−エチル]−3−メチル−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メチル−ブチル]−3−メチル−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−プロピル]−3−メチル−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−2−メチル−プロピル]−3−メチル−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−3−メチル−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[2−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−イル)−1−シクロヘキシル−2−オキソ−エチル]−3−メチル−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メチル−ブチル]−3−メチル−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−プロピル]−3−メチル−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−2−メチル−プロピル]−3−メチル−4−[5−フルオロl−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−3−フルオロ−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[2−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−イル)−1−シクロヘキシル−2−オキソ−エチル]−3−フルオロ−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メチル−ブチル]−3−フルオロ−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−プロピル]−3−フルオロ−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−2−メチル−プロピル]−3−フルオロ−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−3−フルオロ−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[2−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−イル)−1−シクロヘキシル−2−オキソ−エチル]−3−フルオロ−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メチル−ブチル]−3−フルオロ−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−プロピル]−3−フルオロ−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−2−メチル−プロピル]−3−フルオロ−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−3−フルオロ−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[2−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−イル)−1−シクロヘキシル−2−オキソ−エチル]−3−フルオロ−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メチル−ブチル]−3−フルオロ−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−プロピル]−3−フルオロ−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−2−メトキシ−2−メチル−プロピル]−3−フルオロ−4−[5−フルオロl−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド
並びに、それの医薬的に許容される塩、N−オキシドおよび水和物が含まれる。
【0021】
さらなる好ましい態様には、上で記載した立体化学を有する化合物:
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−フルオロ−3−メチル−ブチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−フルオロ−3−メチル−ブチル]−4−[5.メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−フルオロ−3−メチル−ブチル]−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−フルオロ−3−メチル−ブチル]−3−メチル−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−フルオロ−3−メチル−ブチル]−3−フルオロ−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−フルオロ−3−メチル−ブチル]−3−メチル−4−[5.メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−フルオロ−3−メチル−ブチル]−3−メチル−4−[5.フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−フルオロ−3−メチル−ブチル]−3−フルオロ−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−フルオロ−3−メチル−ブチル]−3−フルオロ−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド
並びに、それの医薬的に許容される塩、水和物およびN−オキシドが含まれる。
【0022】
本発明の好ましい態様には:
N−[1−6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−フルオロ−3−メチル−ブチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]ベンズアミド;
N−[2−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−イル)−1−シクロヘキシル−2−オキソ−エチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド
で表される式IIの化合物、あるいはそれの医薬的に許容される塩、水和物またはN−オキシドが含まれる。
【0023】
本発明の特に好ましい態様には、
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−3−フルオロ−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド
で表される式IIの化合物、あるいはそれの医薬的に許容される塩、水和物またはN−オキシドが含まれる。
【0024】
本発明の特に好ましい態様には、
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド
で表される式IIの化合物、あるいはそれの医薬的に許容される塩、水和物またはN−オキシドが含まれる。
【0025】
本発明のさらなる態様には、上で定義した化合物およびそれの医薬的に許容される担体または希釈剤を含む、医薬組成物が含まれる。
【0026】
本発明のさらなる態様は、カテプシンKによってもたらされる疾患の、治療における、または治療剤の製造における、上記で定義した化合物の使用であり、該疾患は例えば、
骨粗鬆症、
歯肉疾患(例えば、歯肉炎および歯周炎)、
パジェット病、
悪性高カルシウム血症、
代謝性骨疾患、
過剰な軟骨分解またはマトリックス分解を特徴とする疾患(例えば、骨関節炎および関節リウマチ)、
骨癌(異常増殖を含む)、
疼痛(特に慢性疼痛)
である。
【0027】
さらに、治療または予防が必要な患者に、請求項1から17のいずれかの化合物の安全で有効な量を投与することを特徴とする、カテプシンKによってもたらされる疾患の治療方法または予防方法も提供される。そのような患者は、典型的には哺乳類であり、特にはヒトである。
【0028】
本発明の化合物は塩を形成することができ、それによって本発明のさらなる態様が形成される。式IIの化合物の、適した医薬的に許容される塩には、有機酸であって、特にカルボン酸[これらに限定されないが、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、グルコン酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、リンゴ酸、パントテン酸、イセチオン酸、アジピン酸、アルギン酸、アスパラギン酸、安息香酸、酪酸、二グルコン酸、シクロペンタナート(cyclopentanate)、グルコヘプトン酸、グリセロリン酸、シュウ酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、フマル酸、ニコチン酸、パルモ酸(palmoate)、ペクチネート(pectinate)、3−フェニルプロピオン酸、ピクリン酸、ピバル酸、プロプリオネート(proprionate)、酒石酸、ラクトビオン酸、ピボル酸(pivolate)、樟脳酸、ウンデカン酸およびコハク酸を含む]、有機スルホン酸[例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、樟脳スルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸];並びに無機酸[例えば、塩酸塩、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、重硫酸酸、へミスルファート(hemisulphate)、チオシアン酸、過硫酸、リン酸およびスルホン酸]の塩が含まれる。
【0029】
本発明の化合物は、ある場合には水和物として単離され得る。水和物は、典型的には、有機溶媒(例えば、ダイオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノール)を用いる水性/有機溶媒混合物から再結晶によって製造される。水和物はまた、患者に、対応するケトンを投与することでそのまま(in situ)得ることができる。
【0030】
本発明の化合物のN−オキシドは、当業者に公知の方法によって製造できる。例えばN−オキシドは、本発明の化合物の酸化されていない形に、酸化剤(例えば、トリフルオロ過酢酸、過マレイン酸、過安息香酸、過酢酸、メタ−クロロペルオキシ安息香酸など)を、適した不活性有機溶媒(例えば、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素)中、約0℃で処理することによって製造できる。あるいは、本発明の化合物のN−オキシドは、適した出発物質のN−オキシドから製造できる。
【0031】
本発明のN−オキシドの例には、以下:
【化14】

のような部分構造を有するものが含まれる。本発明の化合物の酸化されていない形は、本発明の化合物に対応するN−オキシドから、還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、二塩化リン、三臭化物など)を、適した不活性有機溶媒(例えば、アセトニトリル、エタノール、含水ジオキサンなど)中、0〜80℃で処理することにより製造できる。
【0032】
注意すべきことは、定義で用いられるいずれの分子部分における結合基の位置も、化学的に安定である限り、そのような部分のいずれにあってもよいということである。
【0033】
特に断りがなければ、記号の定義で用いられる結合基には、全ての可能な異性体が含まれる。
【0034】
いずれかの記号が、いずれかの構成物に1回以上現れる場合、各々の定義は独立である。
【0035】
特に断りがなければ、化合物の化学名は全ての可能な立体化学的異性体(それは、前記化合物も有し得る)の混合物を包含する。前記混合物は、前記化合物の基本分子構造のあらゆるジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーを含んでもよい。本発明の化合物のあらゆる立体化学的な異性体は、純粋な形または各々混合されている形のいずれもが、本発明の範囲内にあると意図される。
【0036】
本明細書で言及する化合物および中間体の純粋な立体異性体は、前記化合物または中間体と同一の基本分子構造で、他のエナンチオマーまたはジアステレオマーの形態が実質的に存在しない異性体として定義される。特に、用語「純粋な立体異性体」は、少なくとも立体異性体過剰率(steroisomeric excess)が80%(すなわち、一方の異性体が最小で90%、他方の可能な異性体が最大で10%)から立体異性体過剰率が100%(すなわち、一方の異性体が100%、他方が存在しない)までを有する化合物または中間体のことを指し、具体的には立体異性体過剰率が90%〜100%、より具体的には立体異性体過剰率が94%〜100%、さらに具体的には立体異性体過剰率が97%〜100%を有する化合物または中間体のことを指す。用語「純粋なエナンチオマー」および「純粋なジアステレオマー」も同じように理解されるべきであるが、それぞれ問題となっている混合物の、エナンチオマー過剰率、およびジアステレオマー過剰率に関する。
【0037】
本発明の化合物は、該化合物のラセミ混合物を光学活性分割剤と一緒に反応させることにより、ジアステレオマー化合物の対を形成させ、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収して、それらを個々の立体異性体として製造できる。エナンチオマーの分割は、式(I)の化合物の共有結合性ジアステレオマーの誘導体を用いて行うことができ、分離可能な複合体が好ましい(例えば、結晶;ジアステレオマーの塩)。ジアステレオマーは、異なる物理的性質(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、これらの相違点を利用して容易に分離することができる。ジアステレオマーは、クロマトグラフィー(例えばHPLC)によって分離することができるか、または好ましくは、溶解度の違いに基づく分離/分割技術による。次いで、ラセミ化が生じない任意の実用的手段によって、光学的に純粋なエナンチオマーは、分割剤と一緒に回収される。それらのラセミ混合物から立体異性体化合物の分離をするのに適した技術に関する詳細な記載は、Jean Jacques Andre Collet, Samuel H. Wilen, Enantiomers, Racemates and Resolutions, John Wiley & Sons, Inc. (1981) に見つけることができる。
【0038】
当然のことながら本発明は、プロドラッグ、溶媒和物、複合体および本発明の化合物をインビボで放出する他の形態にまで及ぶ。
【0039】
活性薬剤を単独投与することは可能だが、医薬製剤の一部として提供することが好ましい。そのような製剤は、上で定義した活性薬剤と、1またはそれ以上の許容される担体/賦形剤および適宜含まれる他の治療成分とを一緒に含む。担体は、製剤の他の成分と適合性を有するという意味において許容されなければならず、またレシピエントに対して有害であってはならない。
【0040】
製剤には、直腸、経鼻、局所(バッカルおよび舌下を含む)、膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮肉を含む)投与に適したものが含まれるが、好ましい製剤は経口投与製剤である。製剤は単一剤形(例えば、錠剤および徐放カプセル剤)で提供されることが都合よく、医薬分野でよく知られたいずれの方法を用いて製造されてもよい。
【0041】
そのような方法には、上で定義した活性薬剤を担体と会合させる段階が含まれる。一般に製剤は、活性薬剤を液体担体または微細に分離された固体(finely divided solid)担体またはその両方と一緒に、一様に(uniformly)強く会合させて製造し、次いで必要ならば生成物を形作る。本発明は、式IIの化合物またはその医薬的に許容される塩を、医薬的に許容される担体またはベヒクルと結合または会合させることを特徴とする、医薬組成物の製法にまで及ぶ。医薬製剤の製造に医薬賦形剤および塩の形での活性成分の緊密混合が含まれる場合、普通は塩基性でない(すなわち、酸性または中性の)賦形剤が好ましく用いられる。
【0042】
本発明における経口投与製剤は、分離した単位(例えば、カプセル剤、カシュ剤または錠剤)として、各々、予定された量の活性薬剤を;散剤または顆粒剤として;水性液体または非水性液体における活性薬剤の溶液または懸濁液として;あるいは、水中油液体乳剤または油中水液体乳剤としておよびボーラスなどとして含んで、提供されてもよい。
【0043】
経口投与の構成物(例えば、錠剤およびカプセル剤)に関して、用語「適した担体」には、ベヒクル[例えば、通常の賦形剤、例えば結合剤、例えばシロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガント、ポリビニルピロリドン(Povidone)、メチルセルロース、エチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、ショ糖およびデンプン];賦形剤および担体(例えばトウモロコシデンプン、ゼラチン、乳糖、ショ糖、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸ジカルシウム、塩化ナトリウムおよびアルギン酸);並びに滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウムおよび他のステアリン酸金属塩、ステアリン酸グリセロール、ステアリン酸、シリコーン溶液、タルクワックス、油およびコロイドシリカ)が含まれる。香味剤(例えば、ペパーミント、ウィンター・グリーン油、チェリー風味など)も用いることができる。剤形を容易に識別可能にするために、着色剤を加えることが望ましい場合がある。錠剤はまた、当技術分野でよく知られた方法によってコーティングされることもある。
【0044】
錠剤は、適宜1またはそれ以上の付属成分を含んで、圧縮または成形によって作られ得る。圧縮錠剤は、適宜結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、防腐剤、界面活性剤または分散剤と混合して、適した装置内で活性薬剤を流動性の良い形(例えば、散剤または顆粒剤)に圧縮することによって製造されてもよい。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らした粉末化合物の混合物を適した装置内で成形することによって製造されてもよい。錠剤は、適宜コーティングまたは分割されてもよく、また活性薬剤の持続放出または制御放出を提供するように製剤されてもよい。
【0045】
経口投与に適した他の製剤には、味の付いた基剤(通常は、ショ糖およびアカシアまたはトラガント)中に活性薬剤を含むトローチ剤;不活性基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシア)中に活性薬剤を含む錠剤(pastille);並びに、適した液体担体中に活性薬剤を含む口腔洗浄薬。
【0046】
本発明の化合物または製剤に適した用量は効能および患者に依存し、その用量は通常の動物実験により容易に決定され、ヒト臨床試験で確かめられる。細胞内(パパインスーパーファミリーの生理的プロテアーゼの阻害)に提供する投与量濃度のオーダーは、0.01〜100mM(例えば0.1〜25mM)、より好ましくは0.01〜10mMが通常望ましく、また達成可能である。
【0047】
本発明の化合物は、様々な液相および固相化学によって製造される。
【0048】
化合物は典型的に、最終産物である阻害剤のP1、P2およびP3部分を示す構成要素(building block)として製造される。理論、または特定の基に関する一時的な結合様式の起因に拘束されることは、いかなる場合も望ましくない。本明細書で用いられる抽象的な概念のP1、P2およびP3は、便宜のためにのみ提供されるのであって、実質的には通常のSchlecter & Bergerの意味を有し、各々は酵素のS1、S2、およびS3サブサイト(ここで、S1は隣接する切断部位であり、S3は切断部位から離れている)を満たすと考えられる、阻害剤の部分を示す。式IIの化合物は、結合様式に係わらず、本発明の範囲内にあることが意図される。
【0049】
概して、P1構成要素は、式:
【化15】

[式中、PGは、通常のN−保護基または遊離アミンであり;2つのRb基はケタール(例えば、ビスメチルケタール)であるか、または一緒になって環状ケタール(例えば、1,3−ジオキソラン)であり;並びにRcはヒドロキシ保護基であるか、またはそれほど一般的でないものの、Hもしくは最終産物である阻害剤のケト基を示すが、但しケトンとしてのP1構成要素がP2およびP3と結合(elongated)している場合である。]
を有する。
【0050】
P2は典型的に、N−保護L−ロイシン、L−イソロイシン、O−メチル−L−スレオニン、L−3−ヒドロキシバリン、4−フルオロロイシンまたはL−シクロヘキシルグリシンであり;P3は典型的に、N−アルキル−ピペラジニル−E部分を有する安息香酸誘導体(既にパラ位におけるそのシントンで導入または提供されている)のようなキャッピング基(capping group)を含む。
【0051】
適当に保護された個々の構成要素をまず製造し、続いてその後で結合することができ、好ましくはP2+P1→P2−P1、続いてN−アルキルピペラジニル−チアゾリル−安息香酸*+P2−P1→N−アルキルピペラジニル−チアゾリル−安息香酸エステル−P2−P2−P1という順番である(ここで、*はP2でラセミ化を最小化するための活性型を示す)。
【0052】
2つのアミノ酸、アミノ酸およびペプチド、または2つのペプチド断片におけるカップリングは、標準的なカップリング手順を用いて行うことができ、例えば;アジド法、混合無水カルボニックカルボン酸(クロロギ酸イソブチル)法、カルボジイミド(ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、または水溶性カルボジイミド)法、活性エステル(p−ニトロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル)法、ウッドワード試薬Kを用いる方法、カルボジイミダゾール法、リン試薬または酸化還元法である。これらの方法の一部(特に、カルボジイミド法)は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたは4−DMAPを加えることにより強めることができる。これらのカップリング反応は、溶液(液相)または固相のいずれにおいても行うことができる。
【0053】
より具体的に、カップリング工程には、カップリング剤の存在下で、1つの反応物の遊離カルボキシルと他の反応物の遊離アミノ基の脱水カップリングにより、連結アミド結合を形成することが含まれる。そのようなカップリング剤の記載は、ペプチド化学に関する概説書[例えば、M. Bodanszky, "Peptide Chemistry", 2nd rev ed., Springer-Verlag, Berlin, Germany, (1993) 、以下では単にBodanszkyと呼ぶ]で見つけることができ、その内容は本明細書で参照によりそのまま援用される。適したカップリング剤は例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはN−エチル−N’−[(3−ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミドの存在下、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールである。実用的で使い易いカップリング剤は、市販品として入手可能な(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートであり、それは単独でまたは1−ヒドロキシベンゾトリアゾールもしくは4−DMAPの存在下で用いる。別の、実用的で使い易いカップリング剤は、市販品として入手可能な2−(lH−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩である。さらに別の、実用的で使い易いカップリング剤は、市販品として入手可能なO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートである。
【0054】
カップリング反応は、不活性溶媒(例えばジクロロメタン、アセトニトリルまたはジメチルホルムアミド)中で行う。過剰量の第三級アミン(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリジンまたは4−DMAP)を加えて、反応混合物をpH約8で維持した。反応温度は通常0℃〜50℃の範囲にあり、反応時間は通常15分〜24時間の範囲にある。
【0055】
構成要素である非天然アミノ酸の官能基は、一般に、望まれない結合の形成を防ぐために、カップリング反応中は保護されていなければならない。用いることのできる保護基は、Greene, "Protective Groups in Organic Chemistry", John Wiley & Sons, New York (1981) および "The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology", Vol. 3, Academic Press, New York (1981)(これ以降は単にGreeneと呼ぶ)に列記されており、その開示物は本明細書で参照によりそのまま援用される。
【0056】
C末端残基のα−カルボキシル基は、通常、カルボン酸を与えるために切断することのできるエステルとして保護される。用いることのできる保護基には;
1)アルキルエステル(例えば、メチル、トリメチルシリルおよびtert−ブチル)、
2)アルアルキルエステル(例えば、ベンジルおよび置換ベンジル)、あるいは
3)弱塩基または穏やかな還元的方法(例えば、トリクロロエチルおよびフェナシルエステル)によって切断できるエステルが含まれる。
【0057】
カップルされる、各々のアミノ酸のα−アミノ基は、典型的にはN−保護である。当技術分野で公知のいずれの保護基も用いることができる。そのような基の例は:
1)アシル基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチル、フタリル、およびp−トルエンスルホニル);
2)芳香族カルバメート基[例えば、ベンジルオキシカルボニル(CbzまたはZ)および置換ベンジルオキシカルボニル、および9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)];
3)脂肪族カルバメート基[例えば、tertブチルオキシカルボニル(Boc)、エトキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシ−カルボニル、およびアリルオキシカルボニル];
4)環状アルキルカルバメート基(例えば、シクロペンチルオキシカルボニルおよびアダマンチルオキシカルボニル);
5)アルキル基(例えば、トリフェニルメチルおよびベンジル);
6)トリアルキルシリル(例えば、トリメチルシリル);並びに
7)チオールを含む基(例えば、フェニルチオカルボニルおよびジチアスクシノイル)。
好ましいα−アミノ保護基は、いずれかBocまたはFmocである。ペプチド合成のために適当に保護された、多くのアミノ酸誘導体は、市販品として入手可能である。
【0058】
α−アミノ保護基は、通常、次のカップリング工程の前に切断される。Boc基が用いられる場合、選択の方法は、トリフルオロ酢酸、無溶媒またはジクロロメタン中、あるいはHClのジオキサン溶液または酢酸エチル溶液中である。次いで、生じたアンモニウム塩を、カップリング前またはインサイツで、塩基性溶液(例えば、水性緩衝液、あるいは第三級アミンのジクロロメタン溶液もしくはアセトニトリル溶液、またはジメチルホルムアミド)を用いて、中性化する。Fmoc基が用いられる場合、選択の試薬はジメチルホルムアミド中、ピペリジンまたは置換ピペリジンであるが、いずれの第二級アミンも用いることができる。脱保護は、0℃〜室温(通常は20〜22℃)の温度で行われる。
【0059】
阻害剤の配列(sequence)がいったん完了すると、保護基の選択によって示される任意の方法で、いずれの残った保護基も除去される。これらの手順は、当業者によく知られている。
【0060】
本発明の化合物(例えば、一般式IIの化合物)の合成の最初の段階は、通常、官能基を有するP1構成要素の溶液中での製造であり、例えば以下のスキームで示す:
【化16】

i)MsCl、Pyr
ii)NaOAc、AcO、DMF、130℃
iii)BFxEtO、EtSiH、DCM
iv)TBDPS−Cl、Im−H、DMF
v)NaOMe
vi)SOCl、Pyr、DCM
vii)PPh、MeOH、HO、次いでEtN、50℃
viii)BocO、Et
ix)TBAF、THF
x)デス・マーチン・ペルヨージナン
xi)方法a:MeOH、TMOF、p−TsOH、次いでEtN、BocO、次いでクロマトグラフィー、および最終的に、MeOH、AcCl;方法b:MeOH、AcCl、TMOF
【0061】
上のスキームが異なる保護基戦略(strategy)(アセチル、メシル、TBDPSおよびBocを用いる)で例示されているが、Greene(ibid)で記載されるように、通常の保護基の他の順列も用いることができることは明らかである。また、P2およびP3残基のカップリングの間、ケトン基のジメチルヘミアセタールを用いることは都合がよく、後の工程でケトン基を再生産する。
【0062】
該構成要素とP2およびP3構成要素との結合(elongation)は、通常、適したカップリング剤[例えば、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、O−ベンゾトリアゾール−l−イル−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、または1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)]の存在下、適宜、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)および塩基(例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、など)の存在下で行われる。反応は典型的には20〜30℃で、好ましくは約25℃で行い、完了するまでに2〜24時間を要する。適した反応溶媒は不活性有機溶媒であり、例えば、ハロゲン化有機溶媒(例えば、塩化メチレン、クロロホルムなど)、アセトニトリル、N,Nジメチルホルムアミド、エーテル溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)である。
【0063】
あるいは、上記の結合カップリング段階は、まずP3/P2構成要素を活性酸誘導体(例えば、サクシニミドエステル)に変換させ、次いでそれをP1アミンと反応させることによって行える。反応は通常、完了するまでに2〜3時間を要する。この反応で利用する条件は、活性酸誘導体の性質に依存する。例えば、それが酸塩化物誘導体の場合、反応は適した塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンなど)の存在下で行われる。適した反応溶媒は、極性有機溶媒(例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、またはそれらいずれかの適した混合物)である。
【0064】
N−保護L−アミノ酸の形のP2構成要素は市販品として容易に入手可能であり(例えばL−ロイシン、L−イソロイシン、L−シクロヘキシルグリシン、O−メチル−L−スレオニン)、また多様な保護基(例えば、CBz、BocまたはFmoc)を有する他のものも市販品として入手可能である。Rの他の種類も、市販品として入手可能な出発物質から容易に製造できる。例えば、Rが−C(CHOCHである化合物は、CBz保護(S)−(+)−2−アミノ−3−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸を、3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロ−フロ(3,2b)ピロールと反応させることにより製造でき、目的のP2−P1単位を形成する。これによりP2側鎖アルコールは、通常の、水素化ナトリウム、イミダゾール、THF条件下で、ヨウ化メチルを用いてメチル化することができ、実質的にα中心のラセミ化がされずに目的のP2を得ることができる。このP2−P1部分は、本明細書で記載するように、合成を通じて用いることができる(CBz除去およびカップリングと名付ける)。
【0065】
国際公開第05/565299号は、γ−フルオロロイシンP2構成要素の製造について記載する。FmocおよびN−Boc−γフルオロロイシン構成要素の別の合成は、Truong et al SynLett 2005 no 8 1278-1280 に示される。
【0066】
P3構成要素の製造は、国際公開第05/66180号に記載されているか、または類似の方法で容易に製造される。例えば下のスキームは、フルオロ−置換チアゾリルの製造を示す:
【化17】

i.HOAc、Br、室温、2時間、収率55%;
ii.KF、18−クラウン−6、CHCN、90℃、16時間、収率31%;
iii.HOAc、Br、45℃、4時間、収率100%;
iv.4−メチルピペラジン−1−カルボチオアミド、エタノール、70℃、2時間、収率74%;
v.LiOH、THF、HO、室温、16時間、収率79%。
【0067】
4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−安息香酸の合成
出発物質の4−アセチル安息香酸メチルは、市販品として入手可能である。ケトンのα位のブロム化を酢酸中、臭素で行い、目的の4−(2−ブロモ−アセチル)−安息香酸メチルエステルを得た。続いて4−(2−ブロモ−アセチル)−安息香酸メチルエステルを、18−クラウン−6の存在下、90℃、フッ化カリウムで処理して、カラムクロマトグラフィーした後に、4−(2−フルオロ−アセチル)−安息香酸メチルエステルを得た。ケトンのα位のブロム化を酢酸中、臭素で繰り返し行い、目的の4−(2−ブロモ−2−フルオロ−アセチル)−安息香酸メチルエステルを得た。チアゾールの形成は通常、4−(2−ブロモ−2−フルオロ−アセチル)−安息香酸メチルエステルを、4−メチルピペラジン−1−カルボチオアミドと一緒に、70℃で2時間加熱して行う。冷却後、目的の4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−安息香酸メチルエステルが沈殿する。メチルエステルの脱保護を水酸化リチウム溶液で行い、目的の酸である、4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−安息香酸を、塩酸でワークアップして、一般に高収率で二塩酸塩として得る。
【0068】
国際公開第05/066159号および国際公開第05/065578号は、P2およびP3単位が、C(CF)部分(P3がビフェニルスルホンであるものを含む)を介して結合している化合物の製造を記載する。Rqがトリフルオロメチルであり、Rq’がHである、式IIの化合物の製造に適したP2−P3構成要素の製造例をスキーム3に示す。
【化18】

【0069】
ブロモ誘導体(3a)の酸性基の保護は、Bioorg. Med. Chem Lett. 2006, 16, 1985 に記載された手順に従って製造し、すなわち;酸(例えば硫酸)の存在下、例えばイソプロピルアルコールと反応させて、対応エステルを得た。次いで、望ましいチアゾール誘導体は、例えばStilleまたはSuzukiカップリング条件を用いて、得られたエステルの芳香族基とカップリングできる。例えば、ブロモ誘導体3aのエステルは、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]パラジウムIIクロライドの存在下で、ボラン試薬(例えばピナコールボラン)と反応させて、対応するジオキソボロラン誘導体を得ることができる。続いて、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]パラジウムIIクロライドの存在下で、望ましいチアゾール誘導体(3b)のボロン基の置換により、ビアリール誘導体(3c)を得た。チアゾール誘導体(3b)は、例えば、J. Med. Chem. 2005, 48, 7520-7534 に記載されるようにして製造できる。酸保護基の除去は、例えばジオキサン中、酸(例えば塩酸)による処理によって行い、P2−P3構成要素を得て、P1構成要素とカップリングして、本発明の化合物を得る。国際公開第07/006716号は、そのようなP3およびP3−P2構成要素の製造およびカップリングを示す。
【0070】
用語「N−保護基」または「N−保護」は、本明細書で用いられるように、アミノ酸またはペプチドのN−末端を保護するための基、あるいは合成手順における望ましくない反応からアミノ基を保護するための基を言う。通常用いられるN−保護基は、Greene, ”Protective Groups in Organic Synthesis” (John Wiley & Sons, New York, 1981)に開示されており、それは本明細書で引用により援用される。N−保護基には、アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、2−クロロアセチル、2−ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o−ニトロフェノキシアセチル、α−クロロブチリル、ベンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−ブロモベンゾイル、4−ニトロベンゾイルなど);スルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニルなど)、カルバメートを形成する基(例えば、ベンジルオキシカルボニル、p−クロロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニルイル)−1−メチルエトキシカルボニル、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4−ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル−9−メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニルなど);アルキル基(例えば、ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチルなど);およびシリル基(例えば、リメチルシリルなど)が含まれる。好ましいN−保護基には、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、フェニルスルホニル、ベンジル(bz)、t−ブトキシカルボニル(BOC)およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)が含まれる。
【0071】
ヒドロキシおよび/またはカルボキシ保護基はまた、Greene ibidにおいても広く概説されており、エーテル(例えばメチル)、置換メチルエーテル[例えば、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチルなど)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)トリベンジルシリル、トリフェニルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリルなど]、置換エチルエーテル(例えば、1−エトキシメチル、1−メチル−1−メトキシエチル、t−ブチル、アリル、ベンジル、p−メトキシベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチルなど)、アルアルキル基[例えば、トリチル、およびピキシル(9−ヒドロキシ−9−フェニルキサンテン誘導体、特に塩化物)]が含まれる。ヒドロキシエステル保護基には、例えばギ酸、ギ酸ベンジル、クロロ酢酸、メトキシ酢酸、フェノキシ酢酸、ピバル酸、アダマントエート(adamantoate)、メシトエート(mesitoate)、安息香酸などのエステルが含まれる。炭酸ヒドロキシ保護基には、ビニルメチル、アリル、シンナミル、ベンジルなどが含まれる。
【0072】
(実施形態)
本発明の様々な態様は、これから以下の実施例を参考にしながら、例証としてのみ説明する。
【0073】
実施例1
P1構成要素の製造:
工程a)
【化19】

化合物1(7.0g、28.5mmol)の3−アジド−3−デオキシ−1,2−O−(1−メチルエチリデン)−α−D−アロフラノース[Tronchet, Jean M. J.; Gentile, Bernard; Ojha-Poncet, Joelle; Moret, Gilles; Schwarzenbach, Dominique; Barbalat-Rey, Francoise; Tronchet, Jeannine. Carbohydrate Research (1977), 59(1), 87-93 に記載されるように製造した]を乾燥ピリジン(50mL)に溶解し、溶液を0℃まで冷却した。塩化メシルを該溶液にゆっくりと加え、溶液を室温まで加温した。反応液を終夜攪拌し、14時間後MeOH(10mL)を加え、続いてEtOAc(150mL)を加えた。溶液をHSO(水)(2M、3×100mL)で3回洗浄し、飽和NaHCO(水)(2×100mL)で2回洗浄し、その後有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。生成物を高真空ポンプに終夜置いた後、残留溶媒を除去し、生成物2を淡黄色の油状物として定量的収率で得た(11.5g)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) 1.34 (s, 3H), 1.51 (s, 3H), 3.07 (s, 3H), 3.16 (s, 3H), 4.18 (d, 1H, J = 3.1), 4.36 (dd, 1 H, J = 8.6, 3.2), 4.42 (dd, 1H, J = 12.0, 5.0), 4.67 (dd, 1H, J = 11.9, 2.3), 4.74 (d, 1H, J = 3.7), 5.11 (ddd, 1H, J = 8.6, 5.0, 2.3), 5.89 (d, 1H, J = 3.6).
【0074】
工程b)
【化20】

化合物2(11.5g、28.5mmol)をDMF溶液(50mL)に溶解した。NaOAc(23.4g、285mmol)およびAcO(48.6mL、0.514mol)を該溶液に加え、次いでそれを125℃で86時間加熱した。溶媒の一部を回転蒸発により除去し、EtOAc(500mL)を添加した。とても暗い溶液をセライトを通して濾過した。次いで有機相をHOで洗浄した(3×350mL)。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を回転蒸発により除去した。粗生成物をフラッシュ・カラム・クロマトグラフィーで精製し(ヘプタン:酢酸エチル、7:3→2:1)、目的の化合物3を収率61%(5.70g)、化合物4を収率22%(2.34g)で得た。
化合物3:1H NMR (CDCl3, 400 MHz) 1.34 (s, 3H), 1.53 (s, 3H), 2.09 (s, 3H), 2.11 (s, 3H), 3.94 (d, 1H, J = 3.4), 4.19 (dd, 1H, J = 12.2, 5.0), 4.32 (dd, 1H, J = 8.0, 3.3), 4.37 (dd, 1H, J = 12.3, 3.5), 4.73 (d, 1H, J = 3.6), 5.32-5.37 (m, 1H), 5.94 (d, 1H, J = 3.8).
化合物4:1H NMR (CDCl3, 400 MHz) 1.34 (s, 3H), 1.51 (s, 3H), 2.10 (s, 3H), 3.10 (s, 3H), 4.11 (d, 1H, J = 3.6), 4.21 (dd, 1H, J = 12.8, 6.2), 4.32 (dd, 1H, J = 8.3, 3.2), 4.65 (dd, 1H, J = 12.7, 2.2), 4.73 (d, 1H, J = 3.5), 5.09 (ddd, 1H, J = 8.3, 6.1, 2.3), 5.89 (d, 1H, J = 3.5).
【0075】
工程c)
【化21】

トリエチルシラン(27.6mL、173mmol)を、化合物3(5.70g、17.3mmol)を乾燥DCMに溶解した溶液(40mL)に加えた。丸底フラスコを不活性雰囲気(N)下で氷浴内に入れ、冷却し、BF.EtO(23.1mL、173mmol)をゆっくり添加した。反応をゆっくり進行させ、反応液を3日間攪拌した。この段階で、出発物質は未だ存在する。NaHCO(飽和水)(70mL)をゆっくり添加し、続いてスプーン1杯の(spoonwise)固体NaHCOを添加して、気体発生を止めた。水相をDCM(150mL)で抽出し、NaHCO(飽和水)(70mL)で洗浄し、続いてNHCl(飽和水)(70mL)を加えた。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュ・カラム・クロマトグラフィーで精製し(ヘプタン:酢酸エチル=2:1)、化合物5を得た(収率41%、1.95g)。変化していない出発物質(0.69g)も単離した。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) 2.08 (s, 3H), 2.11 (s, 3H), 3.72 (dd, 1H, J = 10.0, 2.6), 3.95 (dd, 1H, J = 4.6, 2.1), 4.17- 4.27 (m, 3H), 4.37 (dd, 1H, J = 12.1, 3.7), 4.52- 4.57 (m, 1H), 5.26- 5.31 (m, 1H).
【0076】
工程d)
【化22】

イミダゾール(1.46g、21.4mmol)を、化合物5(1.95g、7.14mmol)のDMF溶液(50mL)に加えた。数分後、TBDPSClを加え、反応液を室温で終夜攪拌した。酢酸エチル(200mL)を反応液に加え、溶液を10%クエン酸(水)(3×50mL)およびNaHCO(飽和水)(50mL)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュ・カラム・クロマトグラフィーで精製し(ヘプタン:酢酸エチル=4:1)化合物6を得た(収率92%、3.39g)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) 1.09 (s, 9H), 2.04 (s, 3H), 2.05 (s, 3H), 3.71 (dd, 1H, J = 4.3, 2.1), 3.78 (dd, 1H, J = 9.5, 2.2), 3.99 (dd, 1H, J = 9.6, 4.6), 4.12 (dd, 1H, J = 12.2, 5.1), 4.28- 4.33 (m, 2H), 4.36- 4.40 (m, 1H), 5.17- 5.22 (m, 1H), 7.37- 7.51 (m, 6H), 7.58- 7.74 (m, 4H).
【0077】
工程e)
【化23】

NaOMe(10mL、0.5MのMeOH溶液)を、化合物6(3.39g、6.63mmol)を溶解したMeOH溶液(60mL)に加えた。反応液を室温で2時間攪拌し、Dowex 50 WX8(H型)を加えることにより溶液を中性化して、中性のpHとした。ビーズ(beads)を濾去し、溶媒を回転蒸発により、続いて高減圧下で除去した。生成物7を、定量的収率で得た(2.66g)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) 1.08 (s, 9H), 3.64 (dd, 1H, J = 11.5, 5.5), 3.71 (dd, 1H, J = 11.4, 3.9), 3.73- 3.77 (m, 2H), 3.85- 3.90 (m, 1H), 3.95 (dd, 1H, J = 9.6, 4.7), 4.15 (dd, 1H, J = 6.1, 4.2), 4.39- 4.43 (m, 1H), 7.37- 7.51 (m, 6H), 7.58- 7.74 (m, 4H).
【0078】
工程f)
【化24】

化合物7(1.4g、3.27mmol)をクロロホルム(10mL)およびピリジン(4.77mL、58.9mmol)に溶解し、ドライアイス(アセトン浴)で冷却した。SOCl(1.56mL、19.6mmol)を加え、浴をその後で除去した。反応混合物を終夜攪拌し、時間とともに暗くなった。16時間後、反応混合物をDCM(15mL)で希釈し、10%クエン酸(水)(15mL)およびNaHCO(飽和水)(15mL)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。褐色の油状物をMeOH(10mL)に溶解し、約0.5mLのNaI[0.8%のMeOH:HO(1:1)溶液]を、15分間攪拌した溶液に加えた。次いで溶媒を蒸発させ、粗生成物をフラッシュ・カラム・クロマトグラフィーで精製し(ヘプタン:酢酸エチル=4:1)、化合物8を得た(収率68%)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) 1.10 (s, 9H), 3.80- 3.85 (m, 2H), 3.89 (dd, 1H, J = 12.1, 5.8), 3.96 (dd, 1H, J = 9.7, 3.8), 4.00 (dd, 1H, J = 12.3, 2.6), 4.15 (ddd, 1H, J = 9.7, 5.9, 2.6), 4.32- 4.36 (m, 2H), 7.35- 7.52 (m, 6H), 7.58- 7.75 (m, 4H).
【0079】
工程g)
【化25】

PPh(882mg、3.36mmol)を、化合物8(1.04g、2.24mmol)を溶解したMeOH(50mL)およびHO(5mL)溶液に加えた。反応液を室温で終夜攪拌した。LC−MSは出発物質の存在を全く示さなかったが、微小量の環化生成物を示した。TEA(9.38mL、67.2mmol)およびHO(5mL)を溶液に加え、50℃まで加熱した。4時間後、LC−MSは非環化(non−cyclized)アミンを示さなかった。溶媒を蒸発させ、粗生成物をフラッシュ・クロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=3:2)で精製し、生成物9を得た(収率54%、0.49g)。LRMS (M+H) 402. 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) 1.06 (s, 9H), 2.71 (dd, 1H, J = 11.1, 10.4), 3.18 (dd, 1H, J = 11.2, 7.0), 3.73 (d, 1H, J = 4.7), 3.78 (dd, 1H, J = 9.8, 3.5), 3.84 (dd, 1H, J = 9.8, 2.0), 3.95 (ddd, 1H, J = 10.2, 7.1, 4.1), 4.16- 4.19 (m, 1H), 4.66 (dd, 1H, J = 4.4, 4.4), 7.35- 7.46 (m, 6H), 7.61- 7.67 (m, 4H).
【0080】
工程h)
【化26】

BOC無水物(0.52g、2.40mmol)を、化合物9(0.48g、1.20mmol)を溶解したMeOH:TEA(9:1、50mL)溶液に加えた。反応液を終夜攪拌し、その後溶媒を減圧下で濃縮により除去した。粗生成物をフラッシュ・カラム・クロマトグラフィーで精製し[ヘプタン:酢酸エチル(4:1→2:1)]、生成物10を定量的収率で得た(0.60g)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) 1.07 (s, 9H), 1.24- 1.46 (m, 9H), 3.05 (dd, 1H, J = 10.4, 10.4), 3.56 (d, 1H, J = 9.7), 3.70- 3.89 (m, 1H), 3.90- 4.15 (m, 2H), 4.24− 4.89 (m, 3H), 7.34− 7.47 (m, 6H), 7.59- 7.78 (m, 4H). *回転異性体
【0081】
工程i)
【化27】

フッ化テトラブチルアンモニウム(1.79mL、1.79mmol)を、化合物10(0.60g、1.19mmol)を溶解したTHF溶液(12mL)に加えた。反応液を室温で3時間攪拌し、溶媒を減圧下で濃縮することにより除去した。粗生成物をフラッシュ・カラム・クロマトグラフィーで精製し[ヘプタン:酢酸エチル(1:1→0:1)]、化合物11を得た(収率94%、0.29g)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) 1.45- 1.52 (m, 9H), 3.16- 3.32 (m, 1H), 3.83− 4.22 (m, 5H)*, 4.41− 4.54 (m, 1H), 4.66- 4.71 (m, 1H). *回転異性体
【0082】
工程j)
【化28】

デス・マーチンペルヨージナン(0.60g、1.42mmol)を、化合物11(0.34g、1.29mmol)を乾燥DCMに溶解した溶液に加えた。TLCによって反応が完了したと見なされたとき、反応液をN下で2時間攪拌した。溶液を、10%Na(水)およびNaHCO(飽和水)の1:1混合物で、3回洗浄した(3×20mL)。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、粗生成物をフラッシュ・クロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=3:1)で精製して、化合物12を得た(収率84%、284mg)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) 1.48 (s, 9H), 3.45 (dd, 1H, J = 11.3, 9.0), 4.01- 4.17 (m, 2H), 4.19- 4.41 (m, 3H), 4.68- 4.87 (m, 1H).
【0083】
工程k)
【化29】

予め混合したAcCl(42μL、0.601mmol)およびMeOH(5mL)の溶液を、化合物12(263mg、1.01mmol)の溶液に加えた。2時間攪拌した後、さらにAcCl(0.98mL、14mmol)を加え、再び16時間攪拌した後、さらなるlAcCl(9.8mL、140mmol)を加えた。まもなく反応を完了させ、その後減圧下で濃縮し、続いて全ての残留溶媒を減圧下で除去し、化合物13を得た(粗収率103%、253mg)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) 3.34 (s, 3H), 3.40 (s, 3H), 3.76 (d, 1H, J = 10.6), 3.72- 3.90 (m, 1H), 4.15 (d, 1H, J = 10.4), 4.34 (d, 1H, J = 4.6), 4.50- 4.60 (m, 1H), 4.69- 4.75 (m, 1H), 4.83 (s, 1H).
【0084】
実施例2
P−2にL−Leuをカップリング
【化30】

DIEA(304μL、1.84mmol)およびBOC−Leu(117mg、0.506mmol)を粗製化合物13(112mg、0.460mmol)に加え、DMF(6mL)に溶解した。反応フラスコを氷浴中で10分間冷却し、HATU(193mg、0.506mmol)を添加した。反応液を室温で3時間攪拌し、減圧下で濃縮した。粗製残渣をCHCl(15mL)に溶解し、10%クエン酸(水)(10mL)およびNaHCO(飽和水)(10mL)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、蒸発させた。粗生成物をフラッシュ・クロマトグラフィー[ヘプタン:酢酸エチル(2:1→1:1)]で精製し、生成物14を得た(収率62%、121mg)。
【0085】
実施例3
P3構成要素
4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]安息香酸
【化31】

工程a)4−シアノプロピオフェノン
【化32】

4−シアノアセトフェノンの製造で記載されているように(Synth. Commun 1994, 887-890)、4−ブロモプロピオフェノン(5.65g、26.4mmol)、Zn(CN)(1.80g、15.3mmol)、およびPd(PPh(2.95g、2.6mmol)の混合物を、80℃、脱酸素DMF溶液(35mL、4Åモレキュラ・シーブスで貯蔵、用いる前にArでバブリング)中で18時間還流した。混合物を、トルエン(100mL)およびNHOH(2N、100mL)で分液処理した。有機相をNHOH(2N、100mL)で抽出し、飽和NaCl水(2×100mL)で洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮した。10mmolスケールの反応を同じように行い、粗生成物を合わせた。フラッシュ・クロマトグラフィー(330gシリカ、6/1石油エーテル−EtOAc)により、目的の化合物を白色の固形物として得た(5.17g、89%)。1H NMR (CDCl3) δ ppm: 1.22 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 3.00 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 7.75 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 8.03 (d, 2H, J = 8.4 Hz)13C NMR (CDCl3) δ ppm: 7.8, 32.1, 116.1, 117.9, 128.3, 132.4, 139.7, 199.2
【0086】
工程b)4−プロピオニル安息香酸
【化33】

4−シアノプロピオフェノン(4.67g、29.3mmol)を、NaOH(2N、90mL、180mmol)およびジオキサン(90mL)で、95℃終夜還流した。混合物を水(150mL)で希釈し、エーテル(75mL)で洗浄し、濃HClでpH2まで酸性化し、、エーテル抽出した(3×75mL)。有機相を飽和NaCl水(3×75mL)で洗浄し、乾燥し、濃縮し黄色の固形物を得た(5.12g、98%)。1H NMR (CDCl3 + CD3OD) δ ppm: 1.18 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 2.99, (q, 2H, J = 7.1 Hz), 7.95 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 8.08 (d, 2H, J = 8.8 Hz)13C NMR (CDCl3) δ ppm: 7.9, 32.1, 127.7, 130.0, 134.0, 140.0, 168.0, 200.8
【0087】
工程c)4−プロピオニル安息香酸メチル
【化34】

上記の安息香酸(890mg、5mmol)、NaHCO(1.26g、15mmol)およびヨードメタン(935μL、15mmol)のDMF溶液(10mL)を室温で終夜攪拌した。混合物を飽和NaCl水(50mL)で希釈し、エーテル抽出した(3×50mL)。有機相を水(50mL)で洗浄し、乾燥し、濃縮した。フラッシュ・クロマトグラフィー(90gシリカ、2/1石油エーテル−EtOAc)白色の固形物を得た(744mg、77%)。1H NMR (CDCl3) δ ppm: 1.24 (t, 3H, J = 7 Hz), 3.03 (q, 2H, J = 7 Hz), 3.95 (s, 3H), 8.0 and 8.12 (ABq, 4H)
【0088】
工程d)4−(2−ブロモプロピオニル)安息香酸メチル
【化35】

4−プロピオニル安息香酸メチル(744mg、3.87mmol)、ピロリドンヒドロトリブロミド(1.98g)、および2−ピロリジノン(380mg、4.5mmol)のTHF溶液(38mL)を窒素下で3時間、50℃で加熱した。混合物を冷却し、濾過し、減圧下で濃縮し、次いで再びエーテル(50mL)で溶解した。エーテル溶液を連続して、水(20mL)、飽和Na水(20mL)、飽和NaCl水(20mL)、および水(20mL)で洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮して黄色の油状物を得た(1.025g)。それを直接、Hantzschカップリングに用いた。この物質は、目的のブロモケトンを91%、最初のケトンを5%、および4−ブロモ−1−ブタノールを4%含むことが、HNMRで分かった。1H NMR (CDCl3) δ ppm: 1.92 (d, 3H, J = 7 Hz), 3.96 (s, 3H), 5.28 (q, 1H, J = 7 Hz), 8.07 and 8.14 (ABq, 4H)
【0089】
工程e)4−[2−(4−tert−ブトキシカルボニルピペラジン−1−イル)−5−メチルチアゾール−4−イル]安息香酸 メチル エステル
【化36】

全ての上記α−ブロモケトンおよび4−チオノカルボニルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(J. Med. Chem., 1998, 5037-5054, 917mg、3.73mmol)を、70℃のTHF溶液(36mL)中、2時間、N下で還流した。沈殿物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、黄色の固形物を得た。フラッシュ・カラム・クロマトグラフィー(シリカ、5/1石油エーテル−EtOAc)で、淡黄色の固形物を得た(624mg)。沈殿物のクロマトグラフィー(シリカ、2/1石油エーテル−EtOAc)で、さらに32mgの化合物を得た。全収率は44%であった。1H NMR (CDCl3) δ ppm: 1.46 (s, 9H), 2.43 (s, 3H), 3.42, (m, 4H), 3.54 (m, 4H), 3.90 (s, 3H), 7.68 and 8.04 (ABq, 4H).
【0090】
工程f)4−[2−(4−tert−ブトキシカルボニルピペラジン−1−イル)−5−メチルチアゾール−4−イル]安息香酸
【化37】

上記のメチルエステル(564mg、1.35mmol)をNaOH(1.35mL、2N)、THF(5mL)、および水(3.65mL)と一緒に、60℃で4時間加熱した。反応混合物を蒸発させ、飽和NaCl水(20mL)およびCHCl(20mL)を注ぎ、次いで5%クエン酸を用いて氷浴でpH3に酸性化した。層を分離し、さらに有機相を抽出した(2×10mL、CHCl)。有機相を合わせて、水(10mL)で洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮し淡黄色の固形物を得た(537mg、98%)。1H NMR (CDCl3) δ ppm: 1.48 (s, 9H), 2.47 (s, 3H), 3.47 (m, 4H), 3.57 (m, 4H), 7.74 and 8.12 (ABq, 4H). 13C NMR (CDCl3) δ ppm: 12.6, 28.3, 42.8, 48.1, 80.3, 119.1, 127.8, 128.2, 130.1, 140.5, 145.6, 154.6, 167.2, 171.4. LCMS: (M + H)+ 404, (M - H)- 402.
【0091】
工程g)4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]安息香酸
【化38】

4−[4−(4−カルボキシフェニル)−5−メチルチアゾール−2−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.421mmol)を、HCl(4M)の1,4−ジオキサン溶液に溶解し、室温で1時間攪拌した。次いで溶媒を減圧下で除去し、残渣である4−(5−メチル−2−ピペラジン−1−イル−チアゾール−4−イル)−安息香酸をメタノール溶液(10mL)中で懸濁し、AcOH/AcONa緩衝液(pH〜5.5、5mL)およびホルムアルデヒド(0.547mmol)で処理した。反応混合物を室温で1時間攪拌し、次いでNaCNBH(0.547mmol)で処理し、室温で終夜攪拌した。次いで溶媒を減圧下で除去し、残渣をカラム・クロマトグラフィーで精製し、表題化合物を得た(0.403mmol、95%)。MS(ES) m/z 318 (100%, [M+H])。
【0092】
実施例4
【化39】

塩化アセチル(0.4mL)を、化合物14(0.121g、0.288mmol)のメタノール溶液(4mL)に、0℃で滴下して加えた。次いで反応混合物を室温で終夜攪拌し、次いで減圧下で濃縮した。残渣を2回乾燥DMF溶液(5mL)中で溶解し、乾固するまで濃縮し、次いで再びDMF溶液(6mL)に溶解した。4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−安息香酸HCl(112mg、0.316mmol)およびDIEA(190μL、1.15mmol)を溶液に加え、それを0℃に冷却し、HATU(120mg、0.316mmol)を加えた。反応液を室温で3時間攪拌し、溶媒を回転蒸発により除去した。粗混合物をCHCl(15mL)に溶解し、10%クエン酸(水)(10mL)およびNaHCO(飽和水)(10mL)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、蒸発させた。粗生成物をフラッシュ・カラム・クロマトグラフィーで精製し(酢酸エチル:アセトン=1:1 + 0.2%TEA)、生成物を無色の油状物/固形物として得た(収率84%、150mg)。LRMS (M+H) 620. NMR (CDCl3, 400 MHz) 主要な回転異性体に関する (13:1 回転異性体混合物): 0.98 (d, 3H, J = 6.5), 1.04 (d, 3H, J = 6.4), 1.55- 1.89 (m, 3H), 2.34 (s, 3H), 2.42 (s, 3H), 2.49- 2.54 (m, 2H), 3.25 (s, 3H), 3.43 (s, 3H), 3.45- 3.51 (m, 3H), 3.72 (d, 1H, J = 10.5), 3.91 (d, 1H, J = 10.5), 4.05- 4.15 (m, 1H), 4.46- 4.53 (m, 1H), 4.59 (dd, 1H, J = 5.2, 5.1), 4.74 (d, 1H, J = 5.6), 4.96- 5.04 (m, 1H), 6.83 (d, 1H, J = 8.0), 7.68 (d, 2H, J = 8.3), 7.79 (d, 2H, J = 8.5).
【0093】
実施例5
【化40】

化合物15(137mg、0.220mmol)をTFA:HO(97.5:2.5、20mL)に溶解し、4時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を予めシリカに吸収させ、フラッシュ・カラム・クロマトグラフィーで精製し(EtOAc:アセトン=1:2、0.2%TEA)、生成物(ジオキサンから凍結乾燥)をオフ・ホワイトの固形物としてを得た(収率71%、90mg)。NMR (CDCl3, 400 MHz) 主要な回転異性体に関する (10:1 回転異性体混合物): 0.98 (d, 3H, J = 6.5), 1.02 (d, 3H, J = 6.2), 1.58- 1.86 (m, 3H), 2.34 (s, 3H), 2.42 (s, 3H), 2.50- 2.54 (m, 2H), 3.44- 3.53 (m, 2H), 3.68 (dd, 1H, J = 10.4, 8.8), 4.11 (d, 1H, J = 17.2), 4.29 (d, 1H, J = 17.3), 4.36- 4.44 (m, 1H), 4.59 (dd, 1H, J = 10.5, 7.1), 4.81 (d, 1H, J = 5.8), 4.87- 4.97 (m, 2H), 6.83 (d, 1H, J = 7.9), 7.68 (d, 2H, J = 8.4), 7.79 (d, 2H, J = 8.5).
【0094】
実施例6
N−[(S)−1−((3aS,6R,6aS)−6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]ベンズアミド
【化41】

工程a)
【化42】

攪拌した、粗化合物12(約0.56mmol)のオルトギ酸トリメチル(0.8mL)およびメタノール(3mL)溶液に、p−トルエンスルホン酸一水和物(p−TsOH、0.007g、0.037mmol)を加え、次いで50℃で終夜加熱した。次いで反応混合物をTLC(3:2ヘキサン−酢酸エチル、ニンヒドリン染色)でモニターした。反応混合物を60℃に加熱し、p−TsOH(総量21mg)を4時間かけて加え、Boc−脱保護ケタールを主要な生成物として得た(TLCにより示された)。次いで反応混合物を室温まで冷却し、トリエチルアミン(0.32mL、2.24mmol)を加え、続いて炭酸−ジ−tert−ブチル(0.184g、0.84mmol)を加えた。反応混合物を室温で2.5時間置き、次いで減圧下で濃縮し、予めシリカに吸収した。残渣をフラッシュ・カラム・クロマトグラフィー(段階グラジエント溶離、酢酸エチルのヘキサン溶液、20〜25%)し、続いて適当なフラクションを減圧下で濃縮し、真空ラインで終夜さらに乾燥して残留溶媒を除去し、生成物31をオフ・ホワイトの固形物として得た(0.069g、0.022mmol、2段階で40%)。NMR data (400 MHz, 298 K, CDCl3): 1H, δ 1.47 (s, 9 H), 3.16 (m, 1 H), 3.30 (s, 3 H), 3.37 (s, 3 H), 3.72 (d, 1 H, J 9.3 Hz), 3.86 (m, 1 H), 3.98 (m, 1 H), 4.15 (m, 1 H), 4.44 (d, 1 H, J 5.4 Hz), 4.61 (m, 1 H).
【0095】
工程b)
【化43】

攪拌した、化合物31(0.074g、0.24mmol)のメタノール(2.7mL)溶液に、0℃で塩化アセチル(0.3mL)を1分かけて滴下して加えた。反応混合物をTLC(ヘキサン−酢酸エチル3:2およびジクロロメタン−メタノール95:5、ニンヒドリン染色)でモニターし、4.5時間後に出発物質は完全に消費された。次いで反応混合物を減圧下で濃縮し、数滴のHOと一緒にジオキサン溶液中で再び溶解し、凍結乾燥した。得たオフ・ホワイトの無定形固形物おおびN−(tert−ブトキシカルボニル)−L−ロイシン一水和物(0.066g、0.26mmol)をDMF溶液に溶解し(3mL)、減圧下で濃縮した。次いで残渣を再びDMF溶液(3mL)に溶解し、N−エチルジイソプロピルアミン(0.13mL、0.72mmol)を加えた。この溶液に、N−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、0.12g、0.31mmol)を0℃で加えた。反応混合物を0℃で40分間保ち、さらに75分間室温で保った。次いで反応混合物を酢酸エチル(25mL)で希釈し、10%クエン酸水(3回、15mL)および飽和炭化水素ナトリウム水(3回、15mL)で連続して洗浄し、次いで乾燥し(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣のシリカゲル・フラッシュ・カラム・クロマトグラフィーは、2:1ヘキサン−酢酸エチルを溶離液として用い、続いて適当なフラクションを減圧下で濃縮して、化合物32bを無色のシロップとして得た(0.089g、0.21mmol、88%)。それを次の工程でそのまま用いた。
【0096】
工程c
【化44】

化合物32b(0.089g、0.21mmol)のメタノール溶液(2.7mL)に、0℃で塩化アセチル(0.3mL)を0.5分かけて滴下して加えた。次いで反応混合物を室温で5.5時間攪拌し(TLCによりモニター:ジクロロメタン−メタノール95:5、モリブデン酸アンモニウム−セリウム硫酸塩の10%硫酸水で染色)、次いで減圧下で濃縮した。残渣を再びジオキサン溶液(5mL)に溶解し、少量の水を加え、次いで溶液を凍結乾燥した。得た無色の無定形固形物および4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)チアゾール−4−イル]安息香酸HBr塩(0.089g、0.23mmol)をDMF溶液に溶解し(3mL)、次いでN−エチルジイソプロピルアミン(0.15mL、0.85mmol)を加え、溶液を0℃に冷却し、HATU(0.105g、0.275mmol)を加えた。反応混合物を0℃で1時間攪拌し、さらに1時間室温で攪拌した(TLCによりモニター:ジクロロメタン−メタノール95:5、紫外線により視覚化、およびモリブデン酸アンモニウム−セリウム硫酸塩の10%硫酸水で染色)。次いで反応混合物を酢酸エチル(25mL)で希釈し、飽和炭化水素ナトリウム水/食塩水(3:1、3回、20mL)で洗浄し、次いで乾燥し(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣のフラッシュ・カラム・クロマトグラフィーは段階グラジエント溶離(メタノールのジクロロメタン溶液、0〜5%)を用い、続いて適当なフラクションを減圧下で濃縮し、ジオキサン(5mL)および数滴の水から凍結乾燥し、生成物32cを無色の無定形固形物として得た(0.121g、0.20mmol、94%)。
【0097】
工程d)
【化45】

化合物32c(0.114g、0.188mmol)に、TFA−水(97.5:2.5、6mL)溶液を室温で加え、得られた溶液をLC−MSによりモニターし、2時間攪拌した後、反応混合物を室温、減圧下で濃縮した。残渣を再び酢酸エチル溶液(25mL)に溶解し、飽和炭化水素ナトリウム水(3×15mL)および食塩水(1×15mL)で洗浄し、次いで乾燥し(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣として得た無定形固形物を、DMSO−アセトニトリル−水−ジオキサン溶液(約12mL)に溶解し、プレパラティブHPLC−MS[カラム:Sunfire 19×100mm(C18)、溶離液A:10mM酢酸アンモニウム水溶液、溶離液B:10mM酢酸アンモニウムのアセトニトリル−水(9:1)溶液、グラジエント:8分で30%B〜80%B、流速:20mL/分]で精製した。適当なフラクションを減圧下で濃縮した。残渣を数滴の水と一緒に再びジオキサン溶液に溶解し、凍結乾燥し、化合物32dをオフ・ホワイトな黄色の無定形固形物として得た(0.055g、0.10mmol、52%)。得た生成物の一定分量をCDClに溶解し、NMRで分析し、それは生成物が9:1回転異性体混合物でケト型(水和物型は検出不能)として存在することを示した。NMRデータは、主要な回転異性体について示す。HPLC−MSで分析した場合、水和物型が主要な型である。NMR data (500 MHz, 293 K, CDCl3): 1H, δ 0.96 (d, 3 H, CH3-CH), 1.02 (d, 3 H, CH3-CH) 1.62-1.78 (m, 3 H, CH(CH3)2 and CH2CH(CH3)2), 2.37 (s, 3 H, CH3-N), 2.56 (m, 4 H, 2 x CH2-N), 3.59 (m, 4 H, 2 x CH2-N), 3.70 (m, 1 H, CHH-CHCl), 4.13 (d, 1 H, CHH-O), 4.31 (d, 1H, CHH-O), 4.42 (m, 1 H, CHCl), 4.60 (m, 1 H, CHH-CHCl), 4.82 (m, 1 H, CHCl-CH), 4.90-4.96 (m, 2 H, CH-C=O and CHNH), 6.85-6.89 (m, 2 H, NH and チアゾール-H), 7.78 (d, 2 H, Ar-H), 7.89 (d, 2 H, Ar-H). LR-MS: C27H35ClN5O4Sの計算値: 560.2. 実験値: 560.3 [M+H], C27H37ClN5O5Sの計算値: 578.2. 実験値: 578.3.
【0098】
実施例7
N−[2−((3aS,6R,6aS)−6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−イル)−1−S−シクロヘキシル−2−オキソ−エチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド
【化46】

工程a)[2−((3aS,6R,6aS)−6−クロロ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−イル)−1−S−シクロヘキシル−2−オキソ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(7a)
【化47】

HCl塩としての(3aS,6R,6aS)−6−クロロ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール(13)(0.23mmol)およびBoc−シクロヘキシル−Gly−OH(64.4mg、0.25mmol)をDMFから共蒸発させ、DMF溶液(3mL)に再び溶解し、氷浴中で冷却した。DIEA(160μL、0.92mmol)、続いてHATU(108mg、0.28mmol)を加えた。20分後、混合物を室温で2時間20分攪拌し、減圧濃縮した。残渣をEtOAc溶液(10mL)に溶解し、10%クエン酸(5mL)、飽和NaHCO(5mL)、および飽和NaCl(2×5mL)で連続して洗浄した。有機相を乾燥し(NaSO)、濃縮した。フラッシュ・カラム・クロマトグラフィー(シリカ、2/1ペンタン−EtOAc)により、白色の固形物を得た(86.6mg、収率84%)。LCMS [M+23]+ = 469
【0099】
工程b)N−[2−((3aS,6R,6aS)−6−クロロ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−イル)−1−S−シクロヘキシル−2−オキソ−エチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド(7b)
【化48】

塩化アセチル(0.25mL)を、氷冷した、上記カルバミン酸tert−ブチルエステル(86.6mg、0.194mmol)のメタノール溶液(2.20mL)に加え。混合物を室温で3時間45分攪拌し、蒸発させた。ジオキサン−水から凍結乾燥し、脱保護アミンHCl塩を得て、次いでまずそれを4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)チアゾール−4−イル]安息香酸HBr塩(83mg、0.22mmol)でDMFから共蒸発させ、次いでDMF溶液(2.5mL)に再び溶解した。混合物を氷浴中で冷却し、DIEA(140μL、0.80mmol)を加え、続いてHATU(83.8mg、0.22mmol)を加えた。15分後、混合物を室温で2.5時間攪拌した。混合物を濃縮し、EtOAc(20mL)に溶解し、飽和NaHCO(10mL)および飽和NaCl(2×10mL)で連続して洗浄した。有機相を乾燥し(NaSO)、濃縮した。フラッシュ・カラム・クロマトグラフィー(シリカ、CHCl−MeOH−EtN))により、白色の固形物を得た(121.2mg、収率99%)。LCMS [M+1]+ = 632
【0100】
工程c)N−[2−((3aS,6R,6aS)−6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−イル)−1−S−シクロヘキシル−2−オキソ−エチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド(7c)
【化49】

上記のジメトキシエーテル(115mg、0.182mmol)を、室温で2時間15分攪拌することにより、TFA−水(97.5:2.5 v/v、6.0mL)溶液で脱保護した。混合物を濃縮し、EtOAc溶液(25mL)に溶解し、飽和NaHCO(3×15mL)および飽和NaCl(15mL)で連続して洗浄した。有機相を乾燥し(NaSO)、蒸発させた。粗製物質をHPLC−MS(カラム;Sunfire PrepC18OBD 5μm 19×100mm:グラジエント60〜80%BのA溶液、移動相A;10nMNHOAc水溶液およびB;10mMNHOAcの90%MeCN溶液)で精製し、最終化合物を白色の固形物として得た(63mg、収率59%)。LCMS ES+ = 604 (水和物) and ES+ = 586 (ケトン)1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 7.90 and 7.78 (ABq, 2H each, 6.89 (s, 1H), 6.83 (d, 1H, NH), 4.91 (m, 1H), 4.86 (m, 1H), 4.69 (m, 1H), 4.62 (dd, 1H), 4.40 (m, 1H), 4.32 and 4.14 (ABq, 1H each), 3.72 (dd, 1H), 3.60 (m, 4H), 2.58 (m, 4H), 2.38 (s, 3H), 2.10 - 1.04 (m, 11H)
【0101】
実施例8
N−[(S)−1−((3aS,6R,6aS)−6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−フルオロ−3−メチル−ブチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]ベンズアミド
【化50】

工程a)
【化51】

塩化アセチル(0.4mL)を、化合物11(60mg、0.228mmol)のメタノール溶液(4mL)に0℃で滴下して加えた。反応混合物を室温で6時間攪拌し、濃縮し、再び1,4−ジオキサン溶液に溶解し、終夜凍結乾燥した残渣をDMF溶液(5mL)に溶解した。γ−フルオロ−Boc−Leu−OH(Truong et al SynLett 2005 No 8 1279-1280, 50mg、0.201mmol)およびDIEA(133μL、0.802mmol)を溶液に加え、0℃に冷却し、HATU(80mg、0.211mmol)を加えた。反応液を室温で3時間攪拌し、溶媒を減圧下で濃縮した。生成物をEtOAc(20mL)に溶解し、NaHCO(飽和水)(10mL)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。生成物をフラッシュ・クロマトグラフィーで精製し(酢酸エチル)、生成物42を得た(収率99%、79mg)。
【0102】
工程b)
【化52】

塩化アセチル(0.4mL)を、化合物42(79mg、0.199mmol)のメタノール溶液(4mL)に0℃で滴下して加えた。反応混合物を室温で6時間攪拌し、濃縮し、再び1,4−ジオキサン溶液に溶解し、終夜凍結乾燥した残渣をDMF溶液(5mL)に溶解した。4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−安息香酸HBr(76mg、0.198mmol)。DIEA(119μL、0.721mmol)を溶液に加え、0℃に冷却し、HATU(72mg、0.189mmol)を加えた。反応液を室温で3時間攪拌し、溶媒を減圧下で除去した。生成物をCHCl溶液(15mL)に溶解し、NaHCO(飽和水)(10mL)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、蒸発させた。生成物をフラッシュ・クロマトグラフィー(クロロホルム:エタノール7:3+0.1%TEA)で精製し、十分純粋な化合物43を得て、それを次の工程でそのまま用いた。
【0103】
工程c)
【化53】

化合物43(104mg、0.198mmol)(不純)を、DCM:DMSO(2:1、9mL)に溶解した。TEA(111μL、0.797mmol)を加え、続いてSOピリジン(48mg、0.299mmol)を加えた。反応液を室温で攪拌し、LC−MSでモニターした。4時間後、さらなる量のSOピリジン(48mg)を加え、さらに4時間後さらなる量を加えた。22時間後(終夜)、さらなる量を加え、さらに2時間後、最後の量(finishing portion)を加えた。溶液をDCM(40mL)と分液漏斗に注ぎ、NaHCO(飽和水)(20mL)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。生成物をセミプレパラティブHPLCで精製した[Sunfire C18 カラムで、移動相A(90:10=HO:アセトニトリル、10mM NHAc)およびB(10:90=HO:アセトニトリル、10mM NHAc)で40〜75%B]。生成物をオフ・ホワイトの固形物として得た(収率29%、30mg)。NMR (CDCl3, 400 MHz): 1.37- 1.52 (m, 6H), 2.10- 2.30 (m, 2H), 2.37 (s, 3H), 2.58- 2.63 (m, 2H), 3.57- 3.62 (m, 2H), 3.73 (dd, 1H, J = 10.5, 8.7), 4.10 (d, 1H, J = 16.9), 4.28 (d, 1H, J = 16.9), 4.43- 4.50 (m, 1H), 4.71 (dd, 1H, J = 10.6, 6.9), 4.78 (d, 1H, J = 6.0), 4.87- 4.93 (m, 1H), 4.95- 5.03 (m, 1H), 6.86 (s, 1H), 7.37 (d, 1H, J = 7.3), 7.73 (d, 2H, J = 8.3), 7.82 (d, 2H, J = 8.6).LRMS (M+H) 578.
【0104】
実施例9
別のP3構成要素
3−フルオロ−4−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]安息香酸HCl塩
工程a)4−ブロモ−3−フルオロ安息香酸メチル(9a)
【化54】

4−ブロモ−3−フルオロ安息香酸(2.46g、11.2mmol)を、MeOH(9mL)およびトルエン(4mL)に溶解し、氷浴中で冷却した。(トリメチルシリル)ジアゾメタン(11mL、2.0Mのヘキサン溶液、22mmol)を滴下して加え、持続的に黄色にした。溶液を室温で40分間攪拌し、次いで減圧下で濃縮した。カルボン酸(2.43g)の2つ目のバッチも同じように処理した。両方のバッチからの粗生成物を合わせて、フラッシュ・クロマトグラフィー(シリカ、5/1ペンタン−EtOAc)をして、メチルエステルを白色の固形物として得た(4.92g、収率95%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) delta ppm 7.77 (m, 1H), 7.71 (m, 1H), 7.64 (m, 1H), 3.93 (s, 3H).
【0105】
工程b)4−アセトキシ−3−フルオロ安息香酸メチル(9b)
【化55】

塩化アリル(105μL、1.28mmol)およびTFA(20μL、0.26mmol)を、懸濁液した、亜鉛ダスト(480mg、7.34mmol)および無水臭化コバルト(II)(96.6mg、0.44mmol)のMeCN溶液(4mL)に、不活性ガス下で加えた。室温で10分間攪拌した後、工程a)からの臭化アリール(1.003g、5mLMeCN溶液に4.30mmol溶解)を加え、続いて無水酢酸(0.45mL、4.79mmol)およびさらなるMeCN(1mL)を加えた。混合物を終夜攪拌し、HCl(1M、20mL)でクエンチし、次いでEtOAc(3×20mL)で抽出した。有機相を飽和NaHCO水(20mL)および飽和NaCl(2×20mL)で連続して洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。フラッシュ・クロマトグラフィー(シリカ、6/1〜4/1石油エーテル−EtOAc)により、回復した臭化物(161.1mg、16%)および目的のケトン(白色の固形物、305.5mg、36%)を得た。NMR (CDCl3) delta ppm: 1H (400 MHz) 7.94-7.86 (m, 2H), 7.80 (dd, 1H, J = 11.2, 1.6 Hz), 3.95 (s, 3H), 2.67 (d, 3H, J = 4.4 Hz); 19F (376 MHz) -109.2 (m); 13C (100 MHz) 195.4 (d , J = 3.7 Hz), 165.1 (d, J = 2.2 Hz), 161.6 (d, J = 255 Hz), 135.8 (d, J = 8.1 Hz), 130.7 (d, J = 2.9 Hz), 129.0 ( d, J = 14 Hz), 125.2 (d, J = 3.6 Hz), 117.9 (d, J = 26 Hz), 52.7 (s), 31.4 (d, J = 7.3 Hz).
【0106】
工程c)4−(2−ブロモアセトキシ)−3−フルオロ安息香酸メチル(9c)
【化56】

THF(10mL)および2−ピロリジノン(91μL、1.20mmol)を、工程b)からのケトン(198mg、1.01mmol)およびピロリドンヒドロトリブロミド(532mg、1.07mmol)の混合物に加えた。60〜65℃で2時間加熱した後、混合物を減圧濃縮し、次いでEtOAc(20mL)および飽和Na(10mL)で分液処理した。水相をEtOAc(10mL)で抽出した。有機相を合わせて、飽和NaCl(2×10mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。フラッシュ・クロマトグラフィー(シリカ、7/1石油エーテル−EtOAc)により、白色の固形物を得た[0.2634g、目的の臭化物を84%含む(19F NMRピークの積分により決定)]。NMR (CDCl3) δ ppm: 1H (400 MHz) 7.93 (m, 1H), 7.88 (m, 1H), 7.79 (dd, 1H, J = 11.2, 1.6 Hz), 4.50 (d, 2H, J = 2.4 Hz), 3.94 (s, 3H); 19F (376 MHz) -108.4 (m).
【0107】
工程d)3−フルオロ−4−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]安息香酸メチル(9d)
【化57】

EtOH(5.0mL)を上記ブロモケトン(193mg、0.70mmol)および4−メチル−ピペラジン−1−カルボチオ酸アミド(113mg、0.71mmol)に加え、その混合物を70℃で2時間15分加熱した。沈殿物を濾過し、冷EtOHで洗浄し、減圧下で乾燥し、解析した。この手順をより大きなスケールで、ブロモケトン(1.75g、6.36mmol)で繰り返した。NMR (1/1 CDCl3 - CD3OD) δ ppm: 1H (400 MHz) 8.20 (m, 1H), 7.86 (dd, 1H, J = 8.4, 1.6 Hz), 7.76 (dd, 1H, J = 11.4, 1.8 Hz), 7.38 (d, 1 H, J = 2.4 Hz), 4.23 (br, 2H), 3.95, (s, 3H), 3.65 ( br, 4H), 3.32 (br, 2H), 2.98 (s, 3H); 19F (376 MHz) -114.0 (m). LCMS [M+H]+ = 336.
両方の沈殿物からの沈殿物を合わせて、飽和NaHCO(50mL)で懸濁した。混合物をEtOAcで抽出した。有機相を水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、蒸発させ、表題化合物をクリーム状の固形物として得た(1.76g)。
【0108】
工程e)3−フルオロ−4−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]安息香酸HCl塩(9e)
【化58】

メチルエステル(1.76g、5.25mmol)(9d)をHCl(6M、40mL)と一緒に、80℃で5.5時間加熱した。さらなるHCl(6M、10mL)を加え、混合物を90℃で1時間15分加熱した。冷却後、混合物を減圧下で蒸発させて、水から凍結乾燥して、最終産物をクリーム状の固形物として得た(定量的収率)。NMR (DMSO-d6) δ ppm: 1H (400 MHz) 11.60 (br, 1H), 8.18 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 7.82 (dd, 1H, J = 8.4, 1.6 Hz), 7.72 (dd, 1H, J = 12.0, 1.6 Hz), 7.48 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 4.11 (m, 2H), 3.58 (m, 2H), 3.49 (m, 2H), 3.19 (m, 2H), 2.80 (d, 3H, J = 4.4 Hz); 19F (376 MHz) -113.5 (m); 13C (100 MHz) 168.9, 166.0, 159.0 (d, J = 250 Hz), 143.4, 131.4 (d, J = 8 Hz), 129.8, 125.8 (d, J = 11 Hz), 125.6, 116.6 (d, J = 24 Hz), 111.1 (J = 15 Hz), 51.1, 45.0, 41.9. LCMS [M+H]+ = 322.
【0109】
実施例10
N−[(S)−1−((3aS,6R,6aS)−6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−3−フルオロ−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド
【化59】

工程a)N−[(S)−1−((3S,3aS,6R,6aS)−6−クロロ−3−ヒドロキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−3−フルオロ−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド
【化60】

この化合物を、一連の脱保護(塩化アセチル、MeOH)および最初にBoc−ロイシンを用いるHATU−介在カップリング段階によって、N−[(S)−1−((3S,3aS,6R,6aS)−6−クロロ−3−ヒドロキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボン酸tert−ブチルエステルから製造し、最終的に3−フルオロ−4−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]安息香酸HCl塩を実施例9で記載したように製造した。LCMS : [M+H]+ = 580; [M-H]- = 578. 19F NMR (376 MHz, CDCl3 + CD3OD) delta ppm -113.3 (m).
【0110】
工程b)
トリエチルアミン(20μL)および三酸化硫黄ピリジン複合体(20mg、0.125mmol)に、工程a)からのアルコール(16.6mg、0.03mmol)のCHCl(0.9mL)およびDMSO(0.45mL)溶液を加え、室温で攪拌した。
2時間後、さらなるトリエチルアミン(10μL)および三酸化硫黄ピリジン複合体(10mg)を加え、混合物を終夜攪拌して、ケトンへの酸化を完了させた。
混合物をCHClで希釈し、飽和NaHCO、続いて飽和NaCl水で洗浄し。
有機相を乾燥し(NaSO)、蒸発させて、油状物を得た。
粗製物質をHPLC−MS(カラム;Sunfire PrepC18um 19×100mm;OBD 5 グラジエント 30〜80%BのA溶液、移動相A:10mMNHOAc水溶液およびB:10mMNHOAcの90%MeCN溶液)で精製し、表題化合物を白色の固形物として得た(4.4mg)。NMR (CDCl3) delta ppm:1H (500 MHz, 回転異性体を2つ観測, 主要な回転異性体を記載する) 8.22 (m, 1H, フェニル H5), 7.56-7.54 (m, 2H, フェニル H2 and H6), 7.21 (m, 1H, チアゾール), 6.81 (d, 1H, J = 8.5 Hz, NH), 4.94-4.85 (m, 2H, NHCHC=O and ClCCHO), 4.84 (d, 1H, J = 6.0 Hz, (O=C)NCHC=O)), 4.56 (dd, 1H, J = 10.5, 7.0 Hz), 4.42 (m, 1H, ClCH), 4.32 and 4.14 (ABq, 1H each), 3.70 (dd, 1H, J = 10, 9 Hz), 3.59 (m, 4H), 2.57 (m, 4H), 2.37 (s, 3H, NMe), 1.8-1.6 (m, 3H, CH2CHMe2), 1.03 (d, 3H, J = 6.0 Hz, i-Pr), 0.96 (d, 3H, J = 6.5 Hz, i-Pr); 19F (376 MHz) -112.9 (m, 主要な回転異性体, 84%) and -113.2 (m, 副次的な回転異性体, 16%). LCMS: モノアイソトピックモル質量 577.4 Da; ES+ = 578.4 (M+H)+, 596.5 [M+H2O+H]+.
【0111】
実施例11
別のP3/P2 構成要素
【化61】

工程a)(S)−2−[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エチルアミノ]−4−メチル−ペンタン酸イソプロピルエステル(11a)
【化62】

(S)−2−[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エチルアミノ]−4−メチル−ペンタン酸(Li, C. S.et al Bioorg. Med. Chem. Lett. 2006, 16, 1985に記載されているように)(1.80g、4.9mmol)のイソプロピルアルコール攪拌溶液(100mL)に、濃硫酸(2mL)を加えた。生じた溶液を80℃で4時間加熱した。反応混合物を冷却し、次いで減圧下で濃縮した。得られた油状物をCHCl(100mL)に分散させ、飽和NaHCO(2×50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮し、表題化合物を褐色の油状物として得た(1.77g、88%)。MS [M+H] 412.
【0112】
工程b)(S)−4−メチル−2−{(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−エチルアミノ}−ペンタン酸イソプロピルエステル(11b)
【化63】

ブロモ誘導体1k(2.2g、5.36mmol)のDMF攪拌溶液(30mL)に、ビス(ピナコラト)ボロン(2.0g、8.04mmol)、酢酸カリウム(1.6g16.1mmol)および[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)クロライド(CHClとの1:1複合体)(0.438g、0.54mmol)を加えた。生じた溶液を管に密閉し、160℃の電子レンジ内で20分間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、次いでショート・シリカ・カラム(500mLの酢酸エチルで溶離)に通じて濾過した。生じた溶液を減圧下で濃縮し、粗生成物を逆相C18カラム・クロマトグラフィー(HO:MeCN、50〜100%グラジエント)で精製し、表題化合物を褐色の油状物として得た(0.920g、38%)。MS [M+H] 458.
【0113】
工程c)(S)−4−メチル−2−((S)−2,2,2−トリフルオロ−1−{4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−フェニル}−エチルアミノ)−ペンタン酸イソプロピルエステル(11c)
【化64】

ボロラン誘導体1k(0.72g、1.57mmol)のDMF:HO(1:1、20mL)攪拌溶液に、1−(4−ブロモ−チアゾール−2−イル)−4−メチル−ピペラジン(0.5g、1.89mmol)、炭酸ナトリウム(0.2g1.89mmol)および[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)クロリド(CHClとの1:1複合体)(0.129g、0.16mmol)を加えた。生じた溶液を管に密閉し、160℃の電子レンジで20分間加熱した。反応混合物を冷却し、次いでCHCl(100mL)で希釈した。有機相を分離し、乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュ・カラム・クロマトグラフィーで精製し(酢酸エチル:MeOH=9:1)、表題化合物を暗赤色の固形物として得た(0.150g、13%)。MS [M+H] 513. 保持時間4.0分 50−97 10mM (NHCO:MeCN 6分グラジエント C12逆相。
【0114】
工程d)(S)−4−メチル−2−((S)−2,2,2−トリフルオロ−1−{4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−フェニル}−エチルアミノ)−ペンタン酸;塩化水素(11d)
【化65】

攪拌した、塩酸(2M)およびジオキサン(1:1、10mL)の混合物に、(S)−4−メチル−2−((S)−2,2,2−トリフルオロ−1−{4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−フェニル}−エチルアミノ)−ペンタン酸イソプロピルエステル(0.15g、0.29mmol)を加えて、Palmer et al. の J. Med. Chem. 2005, 48, 7520-7534 に記載されているように製造した。溶液を100℃で20時間加熱し、次いで減圧下で濃縮し、表題化合物を濃褐色の固形物として得て(0.14g、98%)、典型的にはさらなる精製をせずに、それをP1構成要素およびケトン(上記の方法のいずれかによって再産生される)とカップルすることができる。MS M - H 469.
【0115】
実施例11A
別のP3構成要素
【化66】

i.AcOH、臭素、室温、2時間、収率55%;
ii.KF、アセトニトリル、18−クラウン−6、90℃、16時間;収率31%;
iii.AcOH、臭素、45℃、4時間、収率100%;
iv.4−メチル−ピペラジン−1−カルボチオ酸アミド、Δ、2時間、収率74%;LiOH、室温、16時間、収率100%。
(出発物質の入手可能性)
4−アセチル安息香酸メチルはアルドリッチから入手可能であり;4−メチル−ピペラジン−1−カルボチオ酸アミド−11の供給者はSciFinderで見つかる(例えば、ドイツのChem Pur Products Ltd)。
【0116】
工程a)4−(2−ブロモ−アセチル)−安息香酸メチルエステル
【化67】

4−アセチル−安息香酸メチルエステル(8.4mmol)の酢酸溶液(20mL)に、臭素(8.4mmol)を加えた。反応液を室温で2時間攪拌し、赤色が消失し、オフ・ホワイトの沈殿物が形成した。生成物を濾過により回収し、冷メタノール/水(200mL、1:1)で洗浄して白い粉末を得た(55%)。1H NMR (400MHz, CDCl3) 3.98 (3H, s), 4.20 (2H, s), 8.02 (2H, d, J = 8Hz), 8.18 (2H, d, J = 8Hz).
【0117】
工程b)4−(2−フルオロ−アセチル)−安息香酸メチルエステル
【化68】

カリウムフルオリド(3.11mmol)のアセトニトリル懸濁液(1mL)に、18−クラウン−6(0.1mmol)を加え、反応液を90℃で30分間加熱した。4−(2−ブロモ−アセチル)−安息香酸(1.56mmol)を加え、反応液を90℃で16時間加熱した。反応液を水(10mL)で希釈し、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。生成物をシリカ上で精製し(5〜15%酢酸エチルのイソ−ヘキサン溶液で溶離)、減圧下で濃縮して目的のフラクションである、表題生成物を白色の固形物として得た(31%)。1H NMR (400MHz, CDCl3) 3.98 (3H, s), 5.55 (2H, d, J = 50Hz), 7.95 (2H, d, J = 8Hz), 8.18 (2H, d, J = 8Hz).
【0118】
工程c)4−(2−ブロモ−2−フルオロ−アセチル)−安息香酸メチルエステル
【化69】

4−(2−フルオロ−アセチル)−安息香酸(1.19mmol)の酢酸懸濁液(5mL)に、臭素(1.19mmol)を加えた。反応液を45℃で4時間加熱し、緑色の溶液が形成した。反応液を減圧下で濃縮し、トルエンで2回共沸して、表題化合物を緑色の固形物として得た(100%)。生成物を粗製のまま次の工程で用いた。1H NMR (400MHz, CDCl3) 3.98 (3H, s), 7.04 (1H, s), 8.05 - 8.10 (4H, m).
【0119】
工程d)4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−安息香酸メチルエステル
【化70】

4−(2−ブロモ−2−フルオロ−アセチル)−安息香酸メチルエステル(1.18mmol)および4−メチル−ピペラジン−1−カルボチオ酸アミド(1.18mmol)をエタノール溶液(10mL)に溶解した。反応液を2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却して、生成物を沈殿させた。生成物を濾過により回収し、冷エタノールで洗浄した。生成物に炭酸水素ナトリウム水ワークアップを行い、表題化合物を無色の油状物として得た(74%)。MS (ES+) 337 (M+H, 100%).
【0120】
工程f)4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−安息香酸 二塩酸塩
【化71】

4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−安息香酸メチルエステル(0.43mmol)のテトラヒドロフラン/水(2.5mL、4:1)溶液に、水酸化リチウム(0.5mmol)を加えた。反応液を室温で16時間攪拌した。反応液を減圧下で濃縮し、塩酸(2N、3mL)を加え、生成物を白色の固形物として沈殿させた。生成物を濾過により回収し、表題生成物を白色の固形物として得た(79%)。MS (ES+) 322 (M+H, 100%).
【0121】
実施例12
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド
【化72】

工程a)6−ベンジルオキシ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボン酸ベンジルエステル(12a)
【化73】

デス・マーチンペルヨージナン(12.5g、30mmol)をDCM溶液(250mL)に溶解した。国際公開第07/066180号からの化合物10(7.4g、20mmol)のDCM溶液(50mL)を、オキシダントの攪拌溶液に室温、窒素雰囲気下で45分かけて加えた。TLCに基づいて反応が完了したと見なされたら、10%Na水(200mL)を加え、混合物をさらに15分間室温で攪拌した。2相系を分液漏斗で移し、EtOAcで2回抽出した(それぞれ、200mLおよび100mL)。有機相を合わせて、飽和NaHCO水(100mL)および食塩水(100mL)で1回洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物2を澄明な油状物として得た(7.69g); ESI+, m/z: 368 (M+ +1).
【0122】
工程b)6−ベンジルオキシ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボン酸ベンジルエステル(12b)
【化74】

化合物12a(7.6g)を乾燥メタノール溶液(100mL)に溶解した。オルトギ酸トリメチル(30mL)およびpTsOH(0.2g)を、窒素雰囲気下の室温で加えた。混合物を、60℃で8時間加熱した。TLCに基づき反応を完了し、反応液を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲル・カラム・クロマトグラフィー[酢酸エチル−ヘプタン(1:4)を溶離液]で精製し、減圧下で濃縮して、ケタール12bを澄明な油状物として得た(5.9g、2段階で71%); ESI+, m/z: 382 (M+ -OMe).
【0123】
工程c)(3aS,6R,6aS)−6−ヒドロキシ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(12c)
【化75】

化合物12b(2.5g、6.4mmol)のメタノール(60mL)およびPd(OH)(0.7g)溶液を、H雰囲気下の室温で48時間攪拌した。混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。残渣(2.8g、14.8mmol)を、ジオキサン/水(2:1)の混合物(75mL)に溶解した。10%NaCO溶液(25mL)を滴下して加え、pH9〜9.5とした。混合物を氷水浴内で0℃まで冷却し、BOC無水物を1回で加えた。反応液を室温で終夜攪拌し、必要ならばさらなる10%NaCO溶液を加えることにより、混合物のpHを9〜9.5で維持した。混合物を濾過し、溶媒を減圧下で除去した。水性混合物をEtOAc(3×100mL)で抽出し、有機相を合わせて、水(100mL)および食塩水(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、カルバメートを澄明な油状物として得た(3.79g、89%)。ESI+, m/z: 312 (M++Na).
【0124】
工程d)(3aS,6R,6aS)−6−ヒドロキシ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボン酸ベンジルエステル(12d)
【化76】

化合物12c(3.8g、13.13mmol)のCHCl攪拌溶液(100mL)に、HCl(2M)のMeOH溶液(50mL)を加えた。生じた溶液を終夜攪拌し、次いで減圧下で濃縮し、トルエンで共沸した(3×100mL)。粗製残渣をCHCl溶液(100mL)に溶解し、0℃まで冷却し、ピリジン(1071μL、13.13mmol)を加え、続いてCbzCl(1875μL、13.13mmol)を滴下して加えた。反応液を室温で2時間攪拌し、次いでHCl(2M)(2×50mL)、飽和NaHCO(2×50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濃縮した。残渣をフラッシュ・カラム・クロマトグラフィーで精製し(5〜100%イソヘキサン:EtOAc)、表題化合物を澄明な油状物として得た(2510mg、59%)。MS M + H 324.
【0125】
工程e)(3aS,6R,6aS)−6−メタンスルホニルオキシ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボン酸ベンジルエステル(12e)
【化77】

化合物12d(500mg、1.55mmol)のCHCl攪拌溶液(20mL)に、トリエチルアミン(332μL、2.32mmol)および塩化メシル(266mg、2.32mmol)を加えた。30分間攪拌した後、反応液を飽和NaHCO(1×20mL)、HCl(2M)(1×20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮して、表題化合物(655mg、99%)を黄色の油状物として得た。MS M + H 402.
【0126】
工程f)(3aS,6S,6aS)−6−クロロ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボン酸ベンジルエステル(12f)
【化78】

化合物12e(550mg、1.37mmol)のDMF攪拌溶液(30mL)に、塩化リチウム(721mg、13.7mmol)を加えた。120分攪拌した後、反応液を120℃の減圧下で濃縮した。残渣をCHCl(50mL)で希釈し、水で洗浄し(1×20mL)、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュ・カラム・クロマトグラフィーで精製し(5〜66%イソヘキサン:EtOAc)、表題化合物を黄色の油状物として得た(330mg、72%)。MS M + H 342, 344.
【0127】
工程g)[2−(6−クロロ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロフロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチルブチル]−カルバミン酸tertブチルエステル(12g)
6−クロロ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボン酸ベンジルエステル(68mg、0.20mmol)を、減圧した水素雰囲気下で、10%パラジウム木炭を用いる触媒の水素化により、脱保護した。2時間攪拌した後、懸濁液にセライトを通して濾過し、ロータリーエバポレーター(rotavapor)で濾液を蒸発させ、粗製の6−クロロ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロフロ[3,2−b]ピロールを得て、HATUを用いてN−Boc−ロイシンを実施例2で記載したのと同じような方法でカップリングして、表題化合物を得た(78mg、93%)。MS m/z 421.2 (M+H)+.
【0128】
工程h)N−[2−(6−クロロ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロフロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチルブチル]−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド(12h)
[2−(6−クロロ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロフロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチルブチル]−カルバミン酸tertブチルエステル(78mg、0.185mmol)を酸性条件下(塩化アセチルのメタノール溶液)、実施例4で記載されているように脱保護し、次いで実施例2で記載したHATU条件を用いて、粗製のピロール塩酸塩中間体を4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−安息香酸のHCl塩とカップリングし、表題化合物を得た(98mg、85%)。MS m/z 624.2 (M+H)+. 1H-NMR (400MHz, CDCl3): 7.91 (d, 2H), 7.81 (d, 2H), 6.85 (d, 1H), 5.00 (m, 1H), 4.75 (d, 1H), 4.60 (m, 1H), 4.50 (dt, 1H), 4.12 (d, 1H), 3.92 (d, 1H), 3.75 (m, 1H), 3.49 (m, 4H), 3.48 (m, 1H), 3.45 (s, 3H), 3.28 (s, 3H), 2.62 (m, 4H), 2.42 (s, 3H), 1.85 (m, 1H), 1.70 (m, 2H), 1.05 (d, 3H), 1.00 (d, 3H).
【0129】
工程i)N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド(12i)
N−[2−(6−クロロ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロフロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチルブチル]−4−[5−フルオロ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド(98mg、0.157mmol)を、実施例5で記載した酸性条件下で加水分解した。残渣をプレパラティブHPLCクロマトグラフィー(C8、グラジエント10〜90%MeCN/HO)で精製し、純粋な表題化合物(41.8mg、46%)を2つの回転異性体の混合物として得た。ケトン(27%)[MS m/z 578.1 (M+H)+]および水和物(73%)[MS m/z 596.1 (M+H2O+H)+]。
【0130】
実施例13
6−クロロ−4−{4−メチル−2−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4'−メタンスルホニル−ビフェニル−4−イル)−エチルアミノ]−ペンタノイル}−テトラヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−3−オン
【化79】

工程a)1−(6−クロロ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−イル)−4−メチル−2−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4'−メタンスルホニル−ビフェニル−4−イル)−エチルアミノ]−ペンタン−1−オン(13a)
6−クロロ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボン酸ベンジルエステル(55mg、0.16mmol)を、減圧した水素雰囲気下で、10%パラジウム木炭を用いる触媒の水素化により、脱保護した。2時間攪拌した後、懸濁液にセライトを通して濾過し、濾液を濃縮て得たアミンを、次いで4−メチル−2−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4'−mエタンスルホニル−ビフェニル−4−イル)−エチルアミノ]−ペンタン酸(76mg、0.17mmol)とカップリングし、実施例2で記載したHATU条件を用いて、国際公開第07/006716号の記載のように製造して、表題化合物を得た(101mg、50%)。
【0131】
工程b)
化合物13a(47mg、0.07mmol)を、実施例5で記載した酸性条件下で加水分解した。得られた残渣をカラム・クロマトグラフィー(EtOAc−P.エーテル=3:2)で精製して、純粋な表題化合物を得た(26mg)。[MS m/z 586.4.
【0132】
実施例14
6−クロロ−4−[4−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロ−1−{4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−フェニル}−エチルアミノ)−ペンタノイル]−テトラヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−3−オン
【化80】

工程a)1−(6−クロロ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−イル)−4−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロ−1−{4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−フェニル}−エチルアミノ)−ペンタン−1−オン(14a)
6−クロロ−3,3−ジメトキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボン酸ベンジルエステル(35mg、0.10mmol)のベンジル基を、減圧した水素雰囲気下で、10%パラジウム木炭を用いる触媒の水素化により、除去した。2時間攪拌した後、懸濁液にセライトを通して濾過し、濾液を濃縮した。次いで得たアミンを、実施例2で記載したHATU条件を用いて、実施例11工程d(42mg、0.09mmol)の酸とカップリングし、表題化合物を得た(45mg)。
【0133】
工程b
化合物14a(47mg、0.07mmol)を、実施例5で記載した酸性条件下で加水分解した。得られた残渣をカラム・クロマトグラフィー(CHCl−アセトン=2:1 + 0.05%DIEA)で精製し、純粋な表題化合物を得た(20mg)。
【0134】
実施例15
P1構成要素の別の合成
【化81】

工程i)
実施例1の工程g)を以下のように最適化した:工程g)の最初の反応から得た、上記に示した一環式および二環式アミン混合物(約1.8mmol)を、酢酸エチル(25ml)に溶解し、トリエチルアミン(1.5ml)を加えた。溶液を3時間還流し、LC−MSでモニターし、次いでさらなるトリエチルアミン(1.5ml)を加え、反応混合物をさらに15時間還流した。次いで、反応混合物を約0℃まで冷却し、クロロギ酸ベンジル(0.38ml、2.7mmol)を1回で加え、次いで室温に戻した。反応液をTLC(4:1および3:2のヘキサン−酢酸エチル、紫外線およびAMC染色で視覚化)でモニターし、4時間後反応混合物を酢酸エチル(15ml)で希釈し、10%クエン酸水(3×25ml)および飽和炭化水素ナトリウム水(3×25ml)で連続して洗浄し、次いで乾燥し(硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュ・クロマトグラフィーして(段階グラジエント溶離、酢酸エチルのヘキサン溶液、10〜20%)、続いて適当なフラクションを濃縮し、減圧下で終夜乾燥して、生成物を無色の泡沫として得た(0.57g、1.06mmol)。NMR data (400 MHz, 298 K, CDCl3): 1H, δ 1.02 and 1.10 (2 s, 9H, C(CH3)3), 3.13 (m, 1H, CHH), 3.59 and 3.80 (2 m, 2 x 1H, CH2), 3.99-4.15 (m, 2H, CHH and CH), 4.34, 4.42, 4.46 and 4.68 (4 brs, 2H, major and minor CH), 4.84 (m, 1H, CH), 4.92-5.16 (m, 2H, CH2), 7.11-7.80 (m, 15 H, ArH).
【0135】
工程ii)
【化82】

工程i)の生成物(0.56g、1.05mmol)のTHF攪拌溶液(6ml)に、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1M)のTHF溶液(1.26ml)を加え、室温で終夜攪拌した。次いで反応混合物を濃縮し、シリカに乗せ、残渣をフラッシュ・カラム・クロマトグラフィーし(段階グラジエント溶離、酢酸エチルのヘキサン溶液、50〜100%)、続いて適当なフラクションを濃縮し、減圧下で終夜乾燥し、生成物を無色のシロップとして得た(0.27g、0.91mmol、87%)。NMR data (400 MHz, 298 K, CDCl3): 1H, δ 2.22 and 3.00 (2 d, 1H, JOH,3 = 3.5 Hz, OH major and minor), 3.30 (m, 1 H, CHH), 3.89 (m, 1H, CHH), 4.00-4.16 (m, 3H, 2 CHH and CH), 4.24 (d, 1H, CH), 4.43 and 4.54 (2 brs, 1H, H-3 major and minor), 4.70 (m, 1H, CH), 5.08-5.23 (m, 2H, OCH2Ph), 7.32-7.40 (m, 5H, Ar-H).
【0136】
工程iii)
【化83】

工程ii)の生成物(0.26g、0.88mmol)のジクロロメタン攪拌溶液(6ml)に、デス・マーチンペルヨージナン(0.41g、0.97mmol)を室温で加えた。反応液をTLC(3:2酢酸エチル−ヘキサン、AMCで染色して視覚化)でモニターし、3.5時間後反応混合物をジクロロメタン(20ml)で希釈し、1:1の飽和炭化水素ナトリウム水/10%チオ硫酸ナトリウム水(3×20ml)で洗浄し、次いで乾燥し(硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮した。残渣をメタノール(5ml)およびオルトギ酸トリメチル(1.25ml)溶液に再び溶解し、p−トルエンスルホン酸一水和物(0.03g、0.16mmol)を加えた。反応混合物を終夜60℃に保ち、次いでジイソプロピルエチルアミン(0.5ml)を加え、反応混合物を濃縮した。残渣をフラッシュ・クロマトグラフィーし(段階グラジエント溶離、酢酸エチルのヘキサン溶液、20〜40%)、続いて適当なフラクションを濃縮し、週末かけて減圧下で乾燥し、生成物を無色の硬(hard)シロップとして得た(0.27g、0.79mmol、89%)。NMR data (400 MHz, 298 K, CDCl3): 1H,δ 3.08-3.47 (m, 7H, 2 x OCH3 major and minor and CHH), 3.80 (m, 2H, CH2), 3.98 (brs, 1H, CH), 4.25 (m, 1H, CHH), 4.45 (m, 1H, CH), 4.60 (t, 1H, CH), 5.04-5.26 (m, 2H, CH2), 7.29-7.42 (m, 5H, Ar-H)
【0137】
比較の実施例1
N−[(S)−1−((3aS,6S,6aS)−6−クロロ−3−オキソ)−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]ベンズアミド
【化84】

下のスキームで示すようにして、6−Sクロロ構成要素を製造した:
【化85】

i. デス・マーチンペルヨージナン、DCM、2時間、室温;
ii. オルトギ酸トリメチル、pTsOH、MeOH、8時間、60℃;
iii. Pd(OH)、H、MeOH、48時間、室温;
iv. BocO、10%NaCO、16時間、0℃〜室温;
v. HCl、CHCH/Py、CBzCl
vi. CHCH/EtN、MsCl
vii. DMF、LiCl
次いでこの構成要素をN−脱保護し、実施例5で記載した合成の残りを取り込み、N−[(S)−1−((3aS,6aS)−6R−クロロ−3−オキソ)−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]ベンズアミドを得た。
【0138】
比較の実施例2
N−[(1S)−1−((3aS,6aR)−3−オキソ)−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]ベンズアミド
【化86】

P1構成要素を国際公開第02/05720号に記載されているように合成した。N−保護L−ロイシンおよび実施例3のP3構成要素をカップリングし、実施例4で示すようにしてケトンに酸化した。
【0139】
比較の実施例3
N−[(1S)−1−((3aS,6aR)−3−オキソ)−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]ベンズアミド
【化87】

この比較実施例の合成は、国際公開第05/66180号の実施例9として示されている。
【0140】
生物学的実施例
カテプシンKタンパク分解触媒活性の測定
カテプシンKの常套的アッセイは、例えばPDBに記載されているようなヒト組換え酵素を用いて行う。
ID BC016058 標準;mRNA;HUM;1699 BP.
DE ホモサピエンスカテプシンK(濃化異骨症)、mRNA(cDNAクローンMGC:23107
RX MEDLINE; RX PUBMED;12477932.
DR RZPD;IRALp962G1234.
DR SWISS−PROT;P43235;
【0141】
組換えカテプシンKは、大腸菌、ピキア(Pichia)、およびバキュロウイルス系を含む種々の、市販品として入手可能な発現系で発現させることができる。精製酵素は、通常の方法で前配列を除去することによって活性化する。
【0142】
動力学定数を測定するための標準的アッセイ条件には、蛍光性ペプチド基質(典型的にはH−D−Ala−Leu−Lys−AMC)を使用し、EDTA(1mM)および2−メルカプトエタノール(10mM)を含むMes/トリス(100mM、pH7.0)、あるいはEDTA(5mM)およびシステイン(20mM)を含むリン酸ナトリウム(100mM)、EDTA(imM)、0.1%PEG4000(pH6.5)、または酢酸ナトリウム(100mM、pH5.5)(各々は適宜、安定化剤として1M DTTを含む)を用いて測定した。用いた酵素濃度は5nMであった。ストック基質溶液をDMSO溶液中で10mMに調製した。スクリーニングを60μMの固定基質濃度で行い、詳細な動力学的試験では250μMからの基質の2倍希釈を用いた。該アッセイにおいて総DMSO濃度を、3%以下に維持した。すべてのアッセイを周囲温度で行った。生成物の蛍光(390nmで励起、460nmで放射)をLabsystems Fluoroskan Ascent蛍光プレートリーダーでモニターした。生成物のプログレス曲線をAMC生成物の生成後15分間にわたり作成した。
【0143】
カテプシンS Ki測定
本アッセイでは、384ウェルプレートフォーマットにおいて、バキュロウイルス発現ヒトカテプシンSおよびBachemから入手可能なboc−Val−Leu−Lys−AMC蛍光基質を用い、それによって7つの試験化合物を既知のカテプシンS阻害剤コンパレータを含む陽性対照と同時に試験することができる。
【0144】
(基質の希釈)
12.5% DMSO(280μl/ウェル)を96深ウェルポリプロピレンプレートの2つの縦列の横列B〜Hに加える。基質(70μl/ウェル)を横列Aに加える。2×250μl/ウェルのアッセイ緩衝液(100mMリン酸ナトリウム、100mM NaCl、pH6.5)を横列Aに加え、混合し、プレートの横列Hまで2倍希釈する。
【0145】
(阻害剤の希釈)
アッセイ緩衝液(100μl/ウェル)を96ウェルV底ポリプロピレンプレートの縦列2〜5および7〜12の横列4つに加える。アッセイ緩衝液(200μl/ウェル)を縦列1および6に加える。
【0146】
DMSO溶液中で調製した最初の試験化合物を典型的には最初に測定したおよそのKの10〜30倍をもたらす容量で上端横列の縦列1に加える。およそのKを予備ラン(preliminary run)から計算する。その予備ランは、10μl/ウェルの1mM boc−VLK−AMC(アッセイ緩衝液中で希釈したDMSO溶液中の10mMストックの1/10希釈)が、96ウェルMicrofluor(登録商標)プレートの横列B〜Hに、および、20μl/ウェルを横列Aに分配される。各試験化合物(2μl、10mM)を横列A、縦列1〜10の別個のウェルに加える。90μlのアッセイ緩衝液(1mM DTTおよび2nM カテプシンSを含む)を横列B〜Hの各ウェルに、また180μlを横列Aに加える。横列Aをマルチチャンネルピペットで混合し、横列Gまで2倍希釈する。横列Hを混合し、蛍光分光光度計で計測する。計測値は競合阻害方程式に適合させたプリズムデータであり、S=100μMおよびK=100μMにセットし、最大100μMまでのK推定値を得る。
【0147】
2番目の試験化合物を上端横列の縦列6に、3番目の試験化合物を横列2の縦列1に加えるなどする。下端横列の縦列6にコンパレータ(1μl)を加える。縦列1を混合し、縦列5まで2倍希釈する。縦列6を混合し、縦列10まで2倍希釈する。
【0148】
5×10μlにセットした8チャンネルマルチステッピングピペットを用い、基質(10μl/ウェル)を384ウェルアッセイプレートに分配する。基質希釈プレートの最初の縦列を横列Aから出発してアッセイプレートの全縦列に分配する。マルチチャンネルピペットのチップ間隔は、交互に(1つ置きに)横列を正確に飛ばす。第2縦列を横列Bから出発して全ての縦列に分配する。
【0149】
4×10μlにセットした12−チャンネルマルチステッピングピペットを用い、阻害剤(10μl/ウェル)を384ウェルアッセイプレートに分配する。阻害剤希釈プレートの横列1をA1から出発してアッセイプレートの1つ置きの横列に分配する。マルチチャンネルピペットのチップ間隔を1つ置きに、横列に正確に飛ばす。同様に、横列2、3、および4をそれぞれA2、B1、およびB2から出発する1つ置きの横列および縦列に分配する。
【0150】
アッセイ緩衝液(20ml)およびDTT(1M、20μl)を混合する。十分なカテプシンSを加え、2nMの最終濃度を得る。
【0151】
分配器(例えば、Multidrop384)を用いて、アッセイプレートの全ウェルに30μl/ウェルを加え、蛍光分光光度計(例えば、Ascent)を用いて計測する。
【0152】
蛍光計測値(励起波長および放射波長は、それぞれ390nmおよび460nm;バンドパスフィルターを用いてセット)は、蛍光基質の酵素開裂の程度を反映し、阻害剤にも係わらず各ウェルに適合した線形速度である。
【0153】
各阻害剤に対する全ウェルの適合速度を、SigmaPlot2000を用いて競合阻害方程式に適合させ、V、K、およびK値を決定する。
【0154】
(カテプシンL Ki)
上記方法を、以下の修正を施して、カテプシンLのKを決定するのに用いる。
【0155】
酵素は、市販品として入手可能なヒトカテプシンL(例えば、Calbiochem)である。基質にはBahcemから入手できるH−D−Val−Leu−Lys−AMCがある。アッセイ緩衝液は酢酸ナトリウム(100mM、1mM EDTA、pH5.5)である。DMSOストック(10mMの100%DMSO溶液)をアッセイ緩衝液で10%に希釈する。酵素は使用直前に、アッセイ緩衝液にジチオスレイトール(1mM)を加えて、5nMの濃度に調製する。100%DMSOで調製した阻害剤(10mM、2μl)を横列Aに分配する。10μlの50μM基質(=10mMストックのDMSO溶液中1/200希釈、アッセイ緩衝液で希釈)。
【0156】
(阻害研究)
潜在的阻害剤を種々の濃度の試験化合物を用いて、上記アッセイによりスクリーニングする。反応は、基質と阻害剤の緩衝溶液に酵素を加えることにより開始した。K値を方程式1:
【化88】

[ここで、vは反応速度であり、Vは最大速度であり、Sはミカエル定数Kで表す基質濃度であり、Iは阻害剤濃度である]
に従って計算した。
【0157】
結果を以下の記号で表す。
A:50ナノモル未満
B:50〜500ナノモル
C:501〜1000ナノモル
D:1001〜5000ナノモル
E:5001〜10000ナノモル
F:10000ナノモルを超える
【表1】

したがって、式IIの化合物は強力なカテプシンK阻害剤であり、近縁のカテプシンSおよびカテプシンLとの間で選択性がある。
【0158】
化合物/酵素/アッセイの場合における、特定のバッチ(batches)からの代表値には下記が含まれる:
【表2】

【0159】
代謝安定性
本発明の化合物および示された比較の実施例について、その代謝安定性をサイトゾルアッセイで試験し、すなわち;それらの化合物を市販品として入手可能なヒト肝臓のサイトゾルフラクションでインキュベートし、化合物の消失をHPLCまたはLC/MSによってモニターした。プールされたヒト肝臓のサイトゾルフラクションは、単一個体からの血液と比べて異常値を示すことが少なく、また全血と異なり冷凍貯蔵できる。したがって、サイトゾルアッセイは、インビボ環境(例えば、全血にさらされた場合)における化合物の安定性への指標として試験される、一貫したアッセイを提供する。
【0160】
簡潔には、試験化合物(2μM)を、プールされたヒト肝臓のサイトゾル(Xenotech LLC Lenexa US、1mg/mLタンパク質の0.1Mリン酸緩衝液中、pH7.4)において37℃で1時間以上インキュベートする。インキュベーションは、NADPH(1mM)補助因子の添加によって開始する。時間毎のサブ試料(sub−samples)を、0、20、40および60分で取り、氷冷アセトニトリル(3容量)の添加によって「沈殿を破壊した(crash precipitated)」。試料を低温で遠心分離し、上澄みを分離し、LC−MS−MSで解析した。
【0161】
あるいは、類似の安定性アッセイは、ヒトまたはサルの全血で行われる。
【0162】
比較の実施例3は、国際公開第05/66180号のP1単位の下向き−Fエピマーを用いる。比較の実施例2は、国際公開第02/057270号の好ましいP1およびP2単位を、本出願の特許請求の範囲内であるP3単位(それは、国際公開第02/057270号の範囲外である)と一緒に用いる。比較の実施例1は、実施例6の化合物の下向き−Clエピマーを示す。
【表3】

【表4】

【0163】
比較の実施例2から明らかであるが、国際公開第02/057270号の先行技術P1は、1時間を少し越える半減期のサイトゾルを有する化合物を提供する。国際公開第05/66180号に広く例示されている下向きフルオロP1は、1.5時間超の半減期の方がいくらか良い。しかし、国際公開第05/66180号の下向き−フルオロにおけるクロロの置換は、比較の実施例1を比較の実施例3と比べて示されるように、安定性が劇的に減少する。その一方、本発明の上向き−クロロエピマー(実施例6)は、5時間超の半減期を有する化合物を提供する。同様に、同一のP3およびP2構成要素を有する、比較の実施例2および本発明の上向き−クロロエピマー(実施例5)は、上向き−クロロエピマーの方が相当良い半減期を有することを明確に示す。
【0164】
透過性
この実施例では、ヒト消化管細胞を通過する阻害剤の輸送を測定する。アッセイでは、よく知られたCaco−2細胞を、40〜60の通過数で用いる。
【0165】
先端(apical)から側底(basolateral)への輸送
一般に、すべての化合物は2〜4ウェルで試験する。側底および先端ウェルはそれぞれ1.5mLおよび0.4mL輸送緩衝液(TB)を含み、試験物質の標準濃度は10μMである。さらに、すべての試験溶液および緩衝液は1%DMSOを含む。試験前に、輸送プレートを10%血清が含まれる培養液で30分間プレコート(pre−coat)することによって、プラスチック物質への非特異的結合を回避する。21〜28日後、フィルター支持体上の培養細胞は浸透性試験の準備が整っている。
【0166】
輸送プレートNo.1は、各4ウェルの横列3つを含む。横列1は洗浄を示し、横列2は「30分間」を、横列3は「60分間」を示す。輸送プレートNo.2は、4ウェルの3横列を含み、横列4は「90分間」を、横列5は「120分間」を示し、残る横列は割り当てない。
【0167】
先端ウェルから培養液を除去し、挿入物を、すでに横列1〜5に1.5mL輸送緩衝液(HBSS、25mM HEPES、pH7.4)で調製した挿入物を含まない2プレートのうちから、輸送プレート(プレートNo.1)中の洗浄横列(No.1)に移す。A→Bスクリーニングにおいて、側底ウェル中のTBは、1%ウシ血清アルブミンも含む。
【0168】
輸送緩衝液(0.5mL、HBSS、25mM MES、pH6.5)を挿入物に加え、細胞単層を37℃のポリミックスシェーカー中30分間、輸送緩衝液系で平衡化する。緩衝液系で平衡化した後、経上皮電気抵抗値(TEER)は、EVOMチョップスティック器具を用いて各ウェルで測定する。TEER値は、通常400〜1000Ω/ウェル(用いるパッセージ数に依存する)。
【0169】
輸送緩衝液(TB、pH6.5)を先端側から除去し、挿入物を30分間横列(No.2)に移し、試験物質を含む新鮮なTB(425μL、pH6.5)を先端(ドナー)ウェルに加える。プレートを、約150〜300rpmの低振盪速度のポリミックスシェーカー中、37℃でインキュベートする。
【0170】
横列2で30分間インキュベートした後、挿入物を、30分毎に新たな、予め温めた側底(レシーバー)ウェルに移す;横列3(60分間)、4(90分間)、および5(120分間)。
【0171】
25μL試料を〜2分後および実験終了時に先端溶液から取る。これらの試料は、実験開始時および終了時に得たドナー試料を示す。
【0172】
300μLを計画した各時点で側底(リザーバー)ウェルから取り、TEERのポスト値を実験終了時に測定する。すべての回収試料にアセトニトリルを加えて、試料において50%の最終濃度とする。回収試料は、HPLCまたはLC−MSにより分析するまで−20℃で保存する。
【0173】
(側底から先端への輸送)
一般に、すべての化合物は2〜4ウェルで試験する。側底および先端ウェルは、それぞれ1.55mLおよび0.4mLのTBを含み、試験物質の標準濃度は10μMである。さらに、全ての試験溶液および緩衝液は1%DMSOを含む。試験前に、輸送プレートを10%血清が含まれる培養液で30分プレコートすることによって、プラスチック物質への非特異的結合を回避する。
【0174】
21〜28日後、フィルター支持体上の培養細胞は透過性試験の準備が整っている。先端ウェルから得た培養液および挿入物を、挿入物を含まない新たなプレート(輸送プレート)の洗浄横列(No.1)に移す。
【0175】
輸送プレートは、4ウェルの横列3つを含む。横列1は「洗浄」を示し、横列3は「実験列」である。輸送プレートは予め、洗浄横列No.1中でTB(1.5mL、pH7.4)、および実験横列No.3(ドナー側)中で試験物質を含むTB(1.55mL、pH7.4)により調製した。
【0176】
輸送緩衝液(0.5mL、HBSS、25mM MES、pH6.5)を横列No.1中の挿入物に加え、細胞単層を37℃のポリミックスシェーカー中30分間、輸送緩衝液系で平衡化する。緩衝液系で平衡化した後、TEERは、EVOMチョップスティック器具を用いて各ウェルで測定する。
【0177】
輸送緩衝液(TB、pH6.5)を先端側から除去し、挿入物を横列3に移し、新鮮TB(400μL、pH6.5)を挿入物に加える。30分後、250μLを先端(レシーバー)ウェルから除去し、新鮮輸送緩衝液で交換する。次に、250μL試料を除去し、120分の実験終了時まで30分毎に新鮮輸送緩衝液に交換し、最終的にTEERのポスト値を実験終了時に測定する。25μL試料を〜2分後および実験終了時に側底(ドナー)コンパートメントから取る。これら試料は、実験開始時および終了時のドナー試料を示す。
【0178】
すべての回収試料にアセトニトリルを加えて、試料において50%の最終濃度とする。回収試料をHPLCまたはLC−MSにより分析するまで−20℃で保存する。
【0179】
計算
累積吸収分画FAcum対時間の測定は、
【化89】

[式中、CRIは間隔Iの終末のリザーバー濃度であり、CDIは間隔Iの開始点のドナー濃度である]
から計算する。直線関係が得られるはずである。
【0180】
浸透性係数(Papp、cm/s)の測定値は、
【化90】

[式中、kは時間(min)に応じて累積吸収分画(FAcum)の直線回帰により得られる勾配で定義した輸送速度(min−1)であり、Vはリザーバーチャンバーの容量(mL)であり、Aはフィルター面積(cm)である]
から計算する。
【0181】
典型的な対照化合物は以下である。
【表5】

このCaco−2アッセイにおける、本発明の化合物の代表的な結果は、パップ値(Papp values)が実施例10の化合物について5.2×10、および実施例12の化合物について10x10cm/秒を含む。トリフルオロメチル基を含む式IBの化合物(例えば、実施例13)は、一般に2〜5倍高いパップ値を有する。
【0182】
略語
DMF ジメチルホルムアミド
DCM ジクロロメタン
TBDMS tert−ブチルジメチルシリル
RT 室温
THF テトラヒドロフラン
Ac アセチル
TLC 薄層 クロマトグラフィー
DMAP ジメチルアミノピリジン
EtOAc 酢酸エチル
【0183】
本出願で引用している全ての参考文献(特許および特許出願を含む)は、最大限可能な限り本明細書で参照によって援用される。
【0184】
特に断りがなければ、明細書および請求の範囲を通して、用語「含む(comprise)」(およびその変形、例えば「comprises」および「comprising」)は、記載した整数、工程、整数群、または工程群を含み、いかなる他の整数、工程、整数群、または工程群も排除しない意図であることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式II:
【化1】

[式中、
は、ロイシン、イソロイシン、シクロヘキシルグリシン、O−メチルスレオニン、4−フルオロロイシンまたは3−メトキシバリンの側鎖であり;
は、H、メチルまたはFであり;
Rqは示された立体化学を有するCFであり、Rq’はHであるか;または
RqおよびRq’は一緒になってケトであり;
Qは、
【化2】

(式中、
は、C〜Cアルキルであり;
は、H、メチルまたはFであり;
は、C〜Cアルキルである)
である]
の化合物、あるいはそれの医薬的に許容される塩、プロドラッグまたはN−オキシド。
【請求項2】
式IIa:
【化3】

[式中、
は、ロイシン、イソロイシン、シクロヘキシルグリシン、O−メチルスレオニン、4−フルオロロイシンまたは3−メトキシバリンの側鎖であり;
は、H、メチルまたはFであり;
は、C〜Cアルキルであり;
は、H、メチルまたはFである]
を有する請求項1の化合物、あるいはそれの医薬的に許容される塩、プロドラッグまたはN−オキシド。
【請求項3】
式IIb:
【化4】

[式中、
は、ロイシン、イソロイシン、シクロヘキシルグリシン、O−メチルスレオニン、4−フルオロロイシンまたは3−メトキシバリンの側鎖であり;
は、H、メチルまたはFであり;
Qは、
【化5】

(式中、
は、C〜Cアルキルであり;
は、H、メチルまたはFであり;
は、C〜Cアルキルである)
である]
の化合物、あるいはそれの医薬的に許容される塩、プロドラッグまたはN−オキシド。
【請求項4】
がロイシン、イソロイシン、O−メチルスレオニン、4−フルオロロイシンまたは3−メトキシバリンの側鎖である、請求項1から3のいずれかの化合物。
【請求項5】
が4−フルオロロイシン、または好ましくはロイシンの側鎖である、請求項4の化合物。
【請求項6】
がフルオロまたはメチルであり、好ましくはベンジルアミドに対してメタ位にある、請求項1から5のいずれかの化合物。
【請求項7】
がフルオロである、請求項6の化合物。
【請求項8】
がメチルである、請求項6の化合物。
【請求項9】
がHである、請求項1から5のいずれかの化合物。
【請求項10】
がフルオロである、請求項1から9のいずれかの化合物。
【請求項11】
がメチルである、請求項1から9のいずれかの化合物。
【請求項12】
がHである、請求項1から9のいずれかの化合物。
【請求項13】
がメチルである、請求項1から12のいずれかの化合物。
【請求項14】
がメチルであり、並びにRが4−フルオロロイシンまたは好ましくはロイシンの側鎖である、請求項1の化合物。
【請求項15】
N−[1−6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−フルオロ−3−メチル−ブチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]ベンズアミド;
N−[2−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−イル)−1−シクロヘキシル−2−オキソ−エチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]ベンズアミド;
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−4−[5−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド
から選択される請求項1の化合物、あるいはそれの医薬的に許容される塩、水和物またはN−オキシド。
【請求項16】
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−3−フルオロ−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド
である請求項1の化合物、あるいはそれの医薬的に許容される塩、水和物またはN−オキシド。
【請求項17】
N−[1−(6−クロロ−3−オキソ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]ピロール−4−カルボニル)−3−メチル−ブチル]−4−[5−フルオロ−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−ベンズアミド
である請求項1の化合物、あるいはそれの医薬的に許容される塩、水和物またはN−オキシド。
【請求項18】
薬物として使用するための、請求項1から17のいずれかの化合物。
【請求項19】
請求項1から17のいずれかの化合物、およびそれの医薬的に許容される担体または希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項20】
カテプシンKによってもたらされる疾患の、治療における、または治療剤の製造における、請求項1から17のいずれかの化合物の使用。
【請求項21】
カテプシンKによってもたらされる疾患の、治療剤または予防剤の製造における、請求項1から17のいずれかの化合物の使用。
【請求項22】
疾患が:
骨粗鬆症、
歯肉疾患(例えば、歯肉炎および歯周炎)、
パジェット病、
悪性高カルシウム血症、
代謝性骨疾患、
過剰な軟骨分解またはマトリックス分解を特徴とする疾患(例えば、骨関節炎および関節リウマチ)、
骨癌(異常増殖を含む)、
疼痛
から選択される、請求項20または21のいずれかの使用。
【請求項23】
治療または予防が必要な患者に、請求項1から17のいずれかの化合物の安全で有効な量を投与することを特徴とする、カテプシンKによってもたらされる疾患の治療方法または予防方法。
【請求項24】
疾患が:
骨粗鬆症、
歯肉疾患(例えば、歯肉炎および歯周炎)、
パジェット病、
悪性高カルシウム血症、
代謝性骨疾患、
過剰な軟骨分解またはマトリックス分解を特徴とする疾患(例えば、骨関節炎および関節リウマチ)、
骨癌(異常増殖を含む)、
疼痛
から選択される、請求項23の方法。
【請求項25】
カテプシンKによってもたらされる疾患の治療または予防に使用するための、請求項1から17のいずれかの化合物。
【請求項26】
疾患が:
骨粗鬆症、
歯肉疾患(例えば、歯肉炎および歯周炎)、
パジェット病、
悪性高カルシウム血症、
代謝性骨疾患、
過剰な軟骨分解またはマトリックス分解を特徴とする疾患(例えば、骨関節炎および関節リウマチ)、
骨癌(異常増殖を含む)、
疼痛
から選択される、請求項25の化合物。

【公表番号】特表2010−531336(P2010−531336A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513917(P2010−513917)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058136
【国際公開番号】WO2009/000877
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(592182539)メディヴィル・アクチボラグ (13)
【氏名又は名称原語表記】MEDIVIR AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】