説明

シナカルセットの製造方法

【課題】シナカルセットの新規製造方法の提供。
【解決手段】式(I)の化合物の新規な製造方法であって、


触媒の存在下での式(II)の化合物またはその塩の還元を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(R)−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピル]−アミン、その塩およびその合成に有用な新規な中間体の新規な製造方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
式(I)を有する(R)−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピル]−アミン、すなわちシナカルセットは、その抗副甲状腺機能亢進作用が知られている化合物であり、塩酸塩として市販されている。
【0003】
【化1】

【0004】
US6,211,244は、チタンイソプロポキシドの存在下での1−アセチルナフタレンと3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピルアミンとの縮合、および得られたイミンのシアノ水素化ホウ素ナトリウムによるその後の還元による、その合成を開示している。次いで、得られたラセミシナカルセットを、キラルクロマトグラフカラムを用いた2つの光学鏡像異性体の分離により分割する。「Drugs of the future(将来の薬物)」、(2002)、27(9)、831ページは、(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミンと3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピオンアルデヒドから出発し、再びイミンの生成およびシアノ水素化ホウ素ナトリウムによる還元による、シナカルセットの同様な製造を報告している。US6,211,244も、(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミンおよびシアノ水素化ホウ素ナトリウムによる処理によりシナカルセットを生成する中間体アルミニウムイミンを得るため、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)による3−(トリフルオロメチル)−シンナモニトリルの還元を含む別のアプローチを開示している。
【0005】
確認することができるように、これらの方法のすべてが有毒な試薬(シアノ水素化ホウ素ナトリウム)もしくは製造するのが困難な出発物質を使用するか、または結果として生ずる費用の著しい増大を伴うラセミ体の分割を必要とする。
【0006】
WO2006/125026は、3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノールから出発するシナカルセットの合成、アルキル化誘導体を得るためのヒドロキシル官能基の適した脱離基への変換、および後者と(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミンとのその後の反応を提案している。この場合にも、出発化合物(3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノール)の製造は、少なくとも2つの合成ステップを必要とする。さらに、この方法は、費用および製造時間に著しい影響を及ぼす、(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミンを含まないシナカルセットを得るための(3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノール)由来の大過剰のアルキル化剤の使用を必要とする。
【0007】
したがって、シナカルセットまたはその塩の製造に容易に適用することができ、比較的に安価な出発物質を使用しながら、高純度の生成物を与える代替合成法が必要である。
【0008】
〔発明の詳細な開示〕
本発明の対象は、式(I)の化合物またはその塩の製造方法であって、
【0009】
【化2】

【0010】
触媒の存在下での式(II)の化合物またはその塩の還元と、
【0011】
【化3】

【0012】
所望の場合、式(I)の化合物のその塩へ変換またはその逆と
を含む方法である。
【0013】
式(I)または(II)の化合物の塩は、例えば、製薬上許容できる有機または無機酸、好ましくは塩酸の付加塩である。
【0014】
例えば、式(II)の化合物またはその塩の還元反応は、例えばPd、Pt、Ni、RhまたはRuをベースとする、好ましくはPdをベースとする均一または不均一金属触媒の存在下での接触水素化(catalytic hydrogenation)により、実施することができる。金属触媒が不均一である場合、これを不活性担体、例えば、活性炭(charcoal)、水酸化バリウム、アルミナ、炭酸カルシウム、好ましくは活性炭上に堆積していることが好ましい。
【0015】
担体上の金属の濃度は、約1〜約30%の範囲にあってよく、好ましくは約5〜約10%の範囲にある。
【0016】
用いる水素の圧力は、約1気圧〜約10気圧の範囲にあってよく、反応は大気圧で実施することが好ましい。
【0017】
式(II)の化合物またはその塩に対して、用いる触媒のモル量は、おおよそ0.1〜10%の範囲にあり、好ましくはおおよそ約0.5〜約5%の範囲にある。
【0018】
反応は、例えば、双極性非プロトン性溶媒(典型的には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド);エーテル(例えば、テトラヒドロフランもしくはジオキサンもしくはメチル−tertブチルエーテル);塩素化溶媒(例えば、ジクロロメタン);無極性溶媒(典型的には、トルエンもしくはヘキサン);アルコール(例えば、C1〜C6アルカノール、好ましくはC1〜C4アルカノール、特に、メタノール、エタノール、イソプロパノールもしくはブタノール);エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル);ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケト、メチルイソブチルケト);カルボン酸(例えば、酢酸もしくはプロピオン酸);またはこれらの溶媒の2つ以上の混合物(好ましくは2つもしくは3つ)から選択される有機溶媒の存在下で、実施することができる。あるいは、反応は、水または鉱酸溶液中、例えば、塩酸もしくは硫酸、またはこれと上記の有機溶媒の1つ、2つもしくは3つとの混合物中で、実施することができる。反応は、上で例示したようなC1〜C6アルカノールもしくは複数のC1〜C6アルカノールの混合物、またはそれと水との混合物、またはアセトニトリル/水混合物中で実施することが好ましく、より好ましくはイソプロパノール中である。
【0019】
式(II)の化合物またはその塩の還元は、例えば上で定義した均一または不均一金属触媒の同じモル量、および水素供与体を用いた水素移動反応(hydrogen transfer reaction)により実施することもできる。後者は、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、メチルシクロヘキセン、リモネン、ジペンテン、メンテン、ヒドラジン、ホスフィン酸またはその誘導体(例えば、次亜リン酸ナトリウム)、インドリン、アスコルビン酸、ギ酸またはそのナトリウムもしくはアンモニウム塩、および第二級C1〜C6アルカノール(例えばイソプロパノール)から選択されてよく、好ましくはシクロヘキセンまたはギ酸アンモニウムである。
【0020】
式(II)の化合物またはその塩に対する水素供与体のモル比は、おおよそ1.5〜50の範囲にあってよく、好ましくはおおよそ約1.5〜約10の範囲にある。
【0021】
反応は、例えば、上で挙げた溶媒のうちの1つまたはそれと上記のような他の溶媒もしくは水とそれとの混合物から選択される有機溶媒の存在下で、実施することができる。
【0022】
式(I)の化合物は、既知の方法により、その塩に変換でき、逆もまた同じである。
【0023】
好ましくは、上の還元反応は、式(II)の化合物の塩、より好ましくは塩酸塩を用いて実施することで、式(I)の化合物の対応する塩、特に塩酸塩を直接得ることができる。
【0024】
得られる式(I)の化合物の塩酸塩は、99.5%より高い純度を、典型的には99.9%に等しいかまたはそれより高い純度を有する。
【0025】
より詳細には、本発明の方法は、反応溶媒の蒸発、および適切な溶媒、例えばイソプロパノール、酢酸エチルまたはアセトニトリル/水混合物からのその後の結晶化を含み、それにより、WO06/127833の図1に報告されているものと実質的に同じXRPDを有し、そこで定義されているフォームIに対応しており、おおよそ25〜250μmに含まれるD50値により特徴づけられる結晶粒径を有する式(I)の化合物の塩酸塩を得る最終ステップを含む。
【0026】
特に、上に報告したのと同じ物理的特性を有する式(I)の化合物の塩酸塩は、C1〜C4アルカノール、例えばメタノールもしくはイソプロパノール、またはアセトニトリル/水混合物中で、式(II)の化合物の塩酸塩の還元反応を実施し、場合によって濃縮した後、同じ反応溶媒でもよく異なるC1〜C4アルカノールでもよい溶媒からの、得られた生成物のその後の結晶化を実施することによって、得ることができる。
【0027】
所望の場合、式(I)の化合物またはその塩のD50値は、既知の方法により微粉化または微粉砕により、減少させることができる。
【0028】
式(II)の化合物およびその塩は新規であり、本発明の対象である。
【0029】
式(II)の化合物またはその塩は、式(III)の化合物
【0030】
【化4】

【0031】
[ただし、式中、Xは脱離基である。]
と(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミン
【0032】
【化5】

【0033】
との反応、および所望の場合、式(II)の化合物のその塩へ変換を含む方法により製造することができる。
【0034】
脱離基Xは、例えば、ハロゲン原子(特に、塩素、臭素もしくはヨウ素);またはOSO2R基[Rは、例えば場合により置換されたC1〜C4アルキル、フェニルもしくはベンジル基であり、同様にフェニル環が場合により置換されている];およびN−イミダゾールから選択される。脱離基は、好ましくは、メチル、エチル、トリフルオロメチル、ノナフルオロブチル、p−トリル、p−ブロモベンジル、p−ニトロベンジルであり、より好ましくは、メチルである。
【0035】
式(III)の化合物および(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミンの反応は、既知の方法により、特に、有機溶媒またはその混合物中で、有機または無機塩基の存在下、ほぼ等モル量の(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミンによる(III)の処理により実施することができる。
【0036】
有機塩基は、例えば、第三級アミン、特に、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロオクタンである。無機塩基は、例えば、炭酸カリウムである。
【0037】
有機溶媒は、例えば、双極性非プロトン性溶媒(典型的には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド);エーテル(典型的には、テトラヒドロフランもしくはジオキサンもしくはメチル−tertブチルエーテル);塩素化溶媒(典型的には、ジクロロメタン);無極性溶媒(典型的には、トルエンましくはヘキサン);エステル(典型的には、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル);ケトン(典型的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン);または前記溶媒の2つ以上の混合物(好ましくは2つもしくは3つ)であってよい。
【0038】
式(I)または(II)の化合物は、水中または本明細書で定義するような有機溶媒またはその混合物中での、有機または無機酸、好ましくは塩酸との反応により、その塩に変換することができる。酸は、未希釈または水溶液中で用いることができる。塩形成は、おおよそ10〜37%の範囲の濃度の塩酸水溶液を用いて、実施することが好ましい。
【0039】
式(III)の化合物は、既知の方法により、例えば、式(II)の化合物の製造に関して上で示したような有機塩基および溶媒の存在下で、式(IV)の化合物
【0040】
【化6】

【0041】
と塩化メタンスルホニルとの反応により得ることができる。
【0042】
式(IV)の化合物は既知であり、既知の方法、例えば、触媒(例えば、Pd(II)塩、特にPdCl2またはPd(OAc)2)および塩基(典型的には、無機または有機塩基、特に、第二級または第三級アミン)の存在下、場合によってCuI、リガンド(例えば、トリフェニルホスフィン)および溶媒(例えば、上で定義したような有機溶媒)の存在下での、式(V)の化合物とプロパギルアルコールとの反応
【0043】
【化7】

【0044】
[Xは上で定義したとおりである]
により製造することができる。
【0045】
式(III)の化合物は新規であり、本発明のさらなる対象である。
【0046】
式(V)の化合物は既知であり、市販されている。
【0047】
以下の実施例は、本発明を例示するものである。
【0048】
〔実施例1〕
(化合物(IV):1−(3−ヒドロキシ−プロプ−1−イニル)−3−トリフルオロメチル−ベンゼンの合成)
50gの3−ブロモベンゾトリフルオライド(0.22モル、31ml)を、窒素雰囲気中で、75mlのトリエチルアミンおよび25mlのジメチルアセトアミドに溶解する。混合物を50℃に加熱し、次いで、340mg(1.76ミリモル)のヨウ化銅(I)、155mg(0.88ミリモル)の塩化パラジウム(II)および930mg(3.55ミリモル)のトリフェニルホスフィンを加える。混合物を70℃に調整し、16ml(16g、0.29モル)のプロパギルアルコールを、それに徐々に滴下する。17時間後に、反応混合物をトルエンで希釈し、ろ過する。ろ液を1N HCl水溶液、飽和NaHCO3および水で連続して洗浄する。次いで、有機相を乾燥Na2SO4上で乾燥し、ろ過する。溶媒を減圧下で蒸発して、化合物(IV)を得る。
【0049】
1H NMR(300MHz,DMSO−d6),ppm:7.72〜7.69(m,3H)、7.60(t,1H,J 7.5Hz)、5.38(t,1H,J 6.0Hz)、4.31(d,2H,J 6.0Hz)。
【0050】
〔実施例2〕
(化合物(III):1−(3−メタンスルホニルオキシ−プロプ−1−イニル)−3−トリフルオロメチル−ベンゼンの合成)
44gの式(IV)の化合物(0.22モル)および36.8mlのトリエチルアミンを、195mlのトルエンに溶解する。混合物を氷浴中で冷却し、トルエン(30ml)中の塩化メタンスルホニル(18.7ml、0.24モル)の溶液を、それに徐々に滴下する。添加の完了後、混合物を再び室温にし、ろ過する。溶液をNaHCO3飽和溶液で洗浄し、乾燥Na2SO4上で乾燥し、ろ過する。溶媒を減圧下で蒸発して、化合物IIIを得る。
【0051】
1H NMR(300MHz,DMSO−d6),ppm:7.84〜7.74(m,3H)、7.64(t,1H,J 7.8Hz)、5.21(s,2H)、3.28(s,3H)。
【0052】
〔実施例3〕
(式(II)の化合物の塩酸塩:(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロプ−2−イニル]−アミンの合成)
5.9ml(6.2g、0.036ミリモル)の(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミンを、アセトニトリル(30ml)に溶解する。次いで、4.97g(0.036ミリモル)のK2CO3およびアセトニトリル(15ml)中の式(III)の化合物(10.1g、0.036ミリモル)の溶液を加える。反応混合物を50℃に加熱し、攪拌下で17時間保持し、次いで減圧下で濃縮する。残留物をトルエンで希釈し、ろ過する。溶液を50℃に加熱し、1M HClで処理する。懸濁液をろ過し、得られる沈殿をトルエン/メタノール溶液から結晶化する。次いで、式(II)の化合物の塩酸塩を乾燥し、それは99.5%を超える純度を有する。
【0053】
1H NMR(300MHz,DMSO−d6),ppm:8.32(d,1H,J 9.0Hz)、8.05〜7.96(m,3H)、7.80〜7.50(m,7H)、5.53(q,1H,J 6.6Hz)、4.15,4.00(AB系,2H,J 17.1Hz)、1.73(d,2H,J 6.6Hz)。
【0054】
〔実施例4〕
(式(I)の化合物の塩酸塩:シナカルセットの合成)
34.2gの式(II)の化合物の塩酸塩(87.7ミリモル)を、7.40gの5%Pd/C(49.4%の水を含む)を含む730mlのイソプロパノールに溶解する。混合物を大気圧下室温で水素により3時間処理し、その後、Celite(登録商標)によりろ過する。透明な溶液を、わずかに濁るまで減圧下で70℃で濃縮し、次いで、徐々に10℃に冷却する。シナカルセット塩酸塩の結晶を水で洗浄し、乾燥して、90%の収率および99.5%を超える純度の30.7gの生成物を得る。得られる生成物は、WO06/127833の図1に報告されているものと実質的に同じXRPDを有し、そこで定義されているフォームIに対応しており、おおよそ25〜250μmに含まれるD50値により特徴づけられる結晶粒径を有する。
【0055】
1H NMR(300MHz,DMSO−d6),ppm:9.80(bs,1H)、9.30(bs,1H)、8.22(d,1H,J 7.8Hz)、8.02〜7.94(m,3H)、7.62〜7.44(m,7H)、5.28(q,1H,J 6.6Hz)、2.96〜2.92(m,1H)、2.78〜2.66(m,3H)、2.04〜1.95(m,2H)、1.67(d,2H,J 6.6Hz)。
【0056】
〔実施例5〕
(式(III)の化合物:1−(3−メタンスルホニルオキシ−プロプ−1−イニル)−3−トリフルオロメチル−ベンゼンの合成)
3−ブロモベンゾトリフルオライド(50g、0.22モル)を、窒素中で、トリエチルアミン(75ml)とジメチルアセトアミド(25ml)の混合物に溶解し、次いで、ヨウ化第一銅(340mg、1.76ミリモル)、塩化パラジウム(155mg、0.88ミリモル)およびトリフェニルホスフィン(930mg、3.55ミリモル)を加える。混合物を70〜75℃に加熱し、プロパギルアルコール(16g、0.29モル)を徐々に加える。70〜75℃で8時間撹拌後、反応混合物を室温に冷却し、トルエン(125ml)および水(75ml)で希釈する。二相系をHCl37%で処理することにより中和する。分離後、有機相を最初に希アンモニア溶液で、次いで水で洗浄する。ろ過および分離後、有機相を減圧下で濃縮する。残留物をトルエン(300ml)で希釈し、ジイソプロピルエチルアミン(29.8g、0.23モル)を加える。溶液を−5〜10℃の温度に冷却し、塩化メタンスルホニル(25.2gml、0.22モル)を、それに徐々に滴下する。添加(3時間)の完了後、硫酸の希溶液を徐々に加えることによって、混合物を中和する。有機相を分離し、水で洗浄し、ろ過し、減圧下で濃縮して、90%の収率で55.1gの化合物(III)を得る。
【0057】
〔実施例6〕
(式(II)の化合物の塩酸塩:(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロプ−2−イニル]−アミンの合成)
実施例5で得られる化合物(III)(50.1g、0.18モル)を、アセトニトリル(500ml)に溶解し、得られる溶液を(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミン(92.5g、0.54モル)で処理する。溶液を25℃で16〜20時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮する。残留物をトルエンおよび水で希釈し、40〜45℃で希HClによりpH5に酸性化する。有機相を分離し、減圧下で濃縮し、残留物をイソプロパノールで希釈し、濃HClを加えてpH1に酸性化する。混合物を70℃に加熱し、次いで徐々に冷却する。結晶性固体をろ別し、イソプロパノールで洗浄し、乾燥して、99%を超える純度を有する53gの化合物(II)の塩酸塩を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその塩の製造方法であって、
【化1】

触媒の存在下での式(II)の化合物またはその塩の還元と、
【化2】

所望の場合、式(I)の化合物のその塩へ変換またはその逆と
を含む方法。
【請求項2】
均一または不均一の金属触媒の存在下での接触水素化により、前記還元を実施する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
均一または不均一の金属触媒および水素供与体を用いた水素移動反応により、前記還元を実施する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属触媒が、Pd、Pt、Ni、RhまたはRuをベースとし、不活性担体上に堆積している請求項2および3に記載の方法。
【請求項5】
前記不活性担体上の前記金属触媒の濃度が、おおよそ1〜30%の範囲にある請求項4に記載の方法。
【請求項6】
おおよそ1気圧〜10気圧の範囲にある水素圧力下で、前記還元を実施する請求項2または4に記載の方法。
【請求項7】
式(II)の化合物またはその塩に対する触媒のモル比が、おおよそ0.1〜10%の範囲にある請求項2または3に記載の方法。
【請求項8】
前記水素供与体が、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、メチルシクロヘキセン、リモネン、ジペンテン、メンテン、ヒドラジン、ホスフィン酸またはその誘導体、インドリン、アスコルビン酸、ギ酸またはそのナトリウムもしくはアンモニウム塩、および第二級C1〜C6アルカノールから選択される請求項3に記載の方法。
【請求項9】
式(II)の化合物またはその塩に対する水素供与体のモル比が、おおよそ1.5〜50の範囲にある請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
アルカノール、複数のアルカノールの混合物、それと水との混合物またはアセトニトリル/水混合物中で、前記反応を実施する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記式(II)の化合物が、塩形成された形態である前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
C1〜C4アルカノール中またはアセトニトリル/水混合物中で式(II)の化合物の塩酸塩の還元反応を実施し、場合によって濃縮した後、同じ反応溶媒でもよく異なるC1〜C4アルカノールでもよい溶媒からの、得られた生成物のその後の結晶化を実施することによって、式(I)の化合物の塩酸塩を得る請求項1に記載の方法。
【請求項13】
イソプロパノールから、前記結晶化を実施する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
式(II)の化合物もしくはその塩、または式(III)の化合物。
【化3】

[ただし、Xは脱離基である。]

【公開番号】特開2009−62360(P2009−62360A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−159871(P2008−159871)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(507161569)ディフアルマ フランチス ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (11)
【氏名又は名称原語表記】DIPHARMA FRANCIS S.R.L.
【Fターム(参考)】