説明

シミの再発鑑別法

【課題】本発明は、IPL/レーザー施術などの光線治療後のシミ部位の皮膚内状態を撮像した画像又は光線治療前後のシミ部位の血流量によって、シミの再発する可能性を鑑別する方法を提供する。
【解決手段】シミ部位の光線治療後のシミの再発をシミ部位に対する光線治療後の当該部位におけるメラノソームの有無又は血流量によって評価する。メラノソームの有無は、走査型共焦点顕微鏡又は接触型デジタルビデオマイクロスコープによって施術後早期に撮像された表皮基底層の画像によって評価され、血流量はヘモグロビン量の測定から血流量を算出することができる装置を用いて、施術前に対する施術後のシミ部位の皮膚内の血流量を観察することによって評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシミの再発鑑別方法に係り、より詳細には、走査型共焦点顕微鏡、接触型デジタルビデオマイクロスコープによって撮像した光線治療後のシミ部位の皮膚内表皮基底層の画像又は光線治療前後のシミ部位の血流量によって、シミの再発する可能性を鑑別する方法に関する。
【0002】
本発明はシミの分類方法に係り、より詳細には、走査型共焦点顕微鏡を用いて、シミ部位の皮膚の細胞内のメラニンの画像を獲得し、得られた画像を解析してシミ部位のメラニン状態を解析評価することで、シミを分類する方法に関する。また、本発明は、シミ部位のメラニンを評価することによって、シミを分類し、それによって、IPL/レーザー施術のために分類されたシミに基づき患者を分別する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、皮膚の内部組織の構造を非侵襲で測定するために、皮膚組織構造を可視化する装置として、共焦点顕微鏡が用いられるようになってきている。(例えば、特許文献1、2及び3参照。)
共焦点顕微鏡では、皮膚の所定深度(深さ)における二次元画像に基づいてコンピュータ処理し、三次元画像を得ることができる。このため、皮膚内における表皮と真皮の界面や、皮膚内に存在するメラニンなどを可視的に検出することができることで、美容医療分野を含め皮膚の研究や応用などに使用されるようになってきた。(例えば、非特許文献1)
ところで、健康や美容に関心が高まっており、特に、女性の肌の健康や美容に対する関心が非常に高くなってきている。このような状況下で、美容皮膚・形成外科等では、紫外線によってできるシミやそばかすなどを施術する機会が格段に高まっている。例えば、美容医療分野では、IPLやレーザー施術などの光線治療によって、シミをなくす治療が行なわれている。
【特許文献1】特開2003−57169号公報
【特許文献2】特開2003−52642号公報
【特許文献3】特開2003−57170号公報
【非特許文献1】Yamashita et al, Non-Invasive Visualization of Melanin andMelanocytes by Reflectance-Mode Confocal Microscopy, 2005, The Journal ofInvestigative Dermatology, Vol.124, pp235-240
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、IPLやレーザー施術によるシミに対する効果は高いレベルにあるが、施術を行なってシミが消失した後に、再度同じ部位からシミが再発するという可能性もある。一方で、施術後のシミ部位における詳細な経日観察や機器計測の報告例は少なく、施術後の皮膚のアフターケアを行なう上でも基礎的なデータの蓄積が必要であった。このような現状のため、施術後の再発の程度は、医師でも分からないことが多く、的確な予見ができないといった状況にあった。
【0005】
そこで、IPLやレーザー施術後のシミ部位の皮膚内の状態に基づき、シミの原因となるメラニンを包含するメラノソームを観察し、ひいてはメラノソームを含むメラノサイトの状態を観察分析することができれば、シミの再発の効果的な予見ができるが、IPLやレーザー施術後のシミ部位の皮膚内を観察することは未だかつて存在せず、ましてや、シミの再発を予見するための効果的な鑑別方法はいまだ存在していなかった。
【0006】
したがって、本発明は上述に鑑みてなされたものであり、IPL/レーザー施術などの光線治療後のシミ部位の皮膚内状態を撮像した画像又は上記光線治療前後のシミ部位の血流量によって、シミの再発する可能性を鑑別する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者らは、シミの再発を予見するために、皮膚内でシミ部位に対応して存在するメラニンを包含するメラノソームの存在を確認して、メラノソームの産生能、すなわち、メラノサイトの活性度合いを分析することで、施術後早期にシミの再発の鑑別ができるという考えに基づき本発明を開発するに到った。
【0008】
すなわち、請求項1記載の発明は、
シミ部位の光線治療後のシミの再発を該シミ部位に対する光線治療後の該シミ部位におけるメラノソームの有無又は血流量によって評価することを特徴とするシミの再発鑑別方法によって達成できる。
【0009】
上記発明によれば、シミ部位の光線治療後のシミの再発を該シミ部位に対する光線治療後の該シミ部位におけるメラノソームの有無又は血流量で評価することによって、シミの再発を早期に鑑別でき、より効果的な対処ができる。
【0010】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の発明において、前記メラノソームの有無による評価は、該シミ部位の皮膚内表皮基底層を非侵襲的に撮像した画像によって評価されることを特徴とする。
【0011】
上記発明によれば、シミ部位の皮膚内表皮基底層を非侵襲的に撮像した画像により、メラノソームの有無を評価することによって、シミの再発を早期に鑑別でき、有効な対処ができる。
【0012】
また、請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の発明において、前記画像による評価は、シミに対する光線治療後早期に
走査型共焦点顕微鏡を用いることによって、
皮膚に対して皮膚内観察用レーザー光を平面的に走査させて照射するステップと、
前記皮膚の所定深度の位置で反射された反射光を受光するステップと、
該反射光の輝度強度に基づき前記所定深度の位置における皮膚内のメラノソームに対応して皮膚内に存在するメラノソームの平面画像を得るステップと、
前記平面画像に対してノイズを除去するステップと、
前記除去ステップで処理した画像に対して閾値を設定するステップと、
前記閾値の設定ステップで処理した画像に対して輝度の高い領域を抽出するステップと、
前記抽出した領域の前記画像の全体の画素数に対する割合の測定による評価ステップと、
からなることを特徴とする。
【0013】
上記発明によれば、走査型共焦点顕微鏡によって得た表皮基底層の画像を処理することによって、施術後にシミの再発を早期、例えば、かさぶたが剥離した後から施術の20日後程度までに鑑別でき、例えば、美白剤などを適用するなど、最適な対処ができる。
【0014】
また、請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の発明において、前記抽出した領域の前記画像の全体の画素数に対する割合でシミの再発を評価することを特徴とする。
【0015】
上記発明によれば、前記抽出した領域の前記画像の全体の画素数に対する割合によってシミの再発を予見でき、早期鑑別が可能となり、効果的な対処ができる。
【0016】
また、請求項5にかかる発明は、請求項2に記載の発明において、前記画像による評価は、接触型デジタルビデオマイクロスコープによってなされることを特徴とする。
【0017】
上記発明によれば、接触型デジタルビデオマイクロスコープによって撮像した画像を評価することにより、シミの再発の早期鑑別が可能となり、有効な対処ができる。
【0018】
また、請求項6にかかる発明は、請求項1に記載の発明において、前記血流量による評価は、ヘモグロビン量の測定により血流量を算出できる装置によって測定され、前記シミ部位に対する光線治療前及び該治療後の2乃至3週間後に測定した血流量によることを特徴とする。
【0019】
上記発明によれば、ヘモグロビン量の測定により血流量を算出できる装置によって測定され、前記シミ部位に対する光線治療前及び該治療後の2乃至3週間後に測定した血流量を評価することによって、シミの再発の早期鑑別が可能となり、より適した対処ができる。
【0020】
また、請求項7にかかる発明は、請求項6に記載の発明において、前記測定された前記シミ部位の血流量が、前記光線治療前の該シミ部位の血流量に対して増加する場合にシミが再発することを特徴とする。
【0021】
上記発明によれば、測定された前記シミ部位の血流量が、前記光線治療前の該シミ部位の血流量に対して増加する場合にシミの再発を予見でき、早期鑑別が可能となり、より有効な対処ができる。
【0022】
また、請求項8にかかる発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発明において、前記光線治療は、IPL施術又はレーザー施術であることを特徴とする。
【0023】
上記発明によれば、走査型共焦点顕微鏡若しくは接触型デジタルビデオマイクロスコープによる画像またはヘモグロビン量を測定して血流量を算出できる装置によって測定された血流量の評価に基づき、IPL施術又はレーザー施術後のシミの再発の早期鑑別が判定でき、施術後の効果的なシミ部位に対する処置(アフターケア)をすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、シミのIPL/レーザー施術後のシミ部位の皮膚内の表皮基底層の画像を走査型共焦点顕微鏡や接触型デジタルビデオマイクロスコープによって撮像し、得られた画像を解析処理することによるシミ部位のメラノソーム状態又はヘモグロビン量の測定により血流量を算出できる装置によって当該部位の血流量を得た測定値により、シミの再発を予見することができる。このように、本発明によってシミの再発を早期、例えば、施術によって出現したかさぶたが剥離した後から施術の20日後程度までの期間で鑑別することができ、ひいては、シミ部位に対して美白剤を適用する等、より有効な処置をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明にしたがって実施した具体例を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本発明の趣旨及び範囲を逸脱しない限り、その細部については様々な態様が可能である。
【0026】
本発明を説明する前に、まず、シミ部位へのIPL/レーザーの作用を説明する。IPL/レーザーは、シミ改善治療に用いられる光線である。IPLとは、Intense Pulsed Lightの略であり、シミ・ソバカス改善治療に使用される波長域が広い光である。また、レーザーは1波長の光を使用している。これらの光は、美容医療分野などでシミ・ソバカス改善治療のために一般的に使用されている。
【0027】
図1にシミ部位へのIPL/レーザーの作用が図示される。図1から分かるように、IPL/レーザーは、皮膚内の色素沈着部位に対して特異的にダメージを与えることができる。シミの原因である皮膚内の色素沈着部位に向かってIPL/レーザーを照射すると、メラニンがIPL/レーザーの光エネルギーを吸収する。その後、メラニンを多く含む角化細胞だけが熱で死滅し、かさぶたが発生し、皮膚の上部に現れる。このようにして、シミ部位におけるIPL/レーザー施術が行なわれ、その結果の一例を図2に示す。図2では、レーザー施術後シミ部位にかさぶたが現れ、それが剥離することによってシミが改善されたことを示す(約20日)。
【0028】
次に、本発明を実施するにあたり、シミ部位を治療するための具体的な施術方法として、レーザーによる施術方法を以下に説明する。
【0029】
顔のシミ部位(被験者女性5名:日光黒子)に対し、レーザー施術を行い、施術部位の経日変化を観察した。治療のために用いた機器は、約680nmの波長を有するQ−スイッチルビーレーザーを搭載したレーザー装置(日本赤外線工業社製1B101)を使用した。レーザー照射条件として、6Jのエネルギー量、3mmスポットで照射した。上記5名の被験者女性に対して、上記レーザー照射条件で1回のレーザー照射を行なった。施術によってシミが消失した後、施術後の処置(アフターケア)として、被験者には、施術直後からかさぶた(レーザー照射したシミ部位では茶褐色のかさぶたが発生)が剥離するまで、医師指定の抗菌・坑炎症薬(リンデロンVG)を塗布の上、絆創膏で被覆した。かさぶたが剥離した後は、5%ハイドロキノン含有軟膏を塗布してシミが消失した部位を処置した。
【0030】
このようにしてシミ部位を改善させるが、しかしながら、IPLやレーザー施術を行なってシミが完全に消えた後に、再度同じ部位からシミが再発する場合がある。これは、本出願人によって出願された特願2005−250174で、表皮基底層のメラノソームはかさぶたと共に除かれるが、表皮基底層に活性型のメラノサイトが残存しており、この残存する活性型メラノサイトによってシミが再発する可能性があるものであり、レーザーやハイドロキノンの適用の必要性があるとしている。
【0031】
このため、本発明では、施術後のシミの再発の程度を効果的に予見することができ、ひいては、その後のより有効な対処をするために、シミ部位の表皮基底層の画像または皮膚内の血流量によってシミの再発を鑑別することを特徴とする。
【0032】
シミ部位の表皮基底層の画像による鑑別方法を説明すると、上記レーザー施術前後のシミ部位の皮膚内状態を走査型共焦点顕微鏡又は接触型デジタルビデオマイクロスコープによって撮像した画像を解析評価し、その評価に基づき皮膚内表皮基底層のメラノソーム状態を分析して、その分析結果によりシミの再発を鑑別する。
【0033】
レーザー施術に伴うシミ部位の変化の観察は、皮膚内部の水平断面が観察可能な共焦点顕微鏡(Vivascope1000、Lucid社製)、メラニン観察のための紫外線写真、接触型デジタルビデオマイクロスコープ(以下、VMSとする:INT−200、Integral社製)を用いて実施した。共焦点顕微鏡では、表皮基底層の水平断面像を撮影しVMSで撮像した画像とも一部比較した。また、合わせてデジタルカメラ(Coolpix4500、Nikon社製)を用いた皮膚画像の撮影を行なった。特に、走査型共焦点顕微鏡による測定・撮影は、レーザー施術前並びにレーザー照射後(かさぶた剥離後)12、20、及び40日後に実施した。なお、VMSによる本発明の方法は後述する。
【0034】
まず、走査型共焦点顕微鏡を用いた本発明の方法を図面と共に以下に説明する。
【0035】
図3は、本発明の一実施例である皮膚の二次元画像生成装置に適用される光学的検査装置1の概略構成を示している。また、図4は光学的検査装置1の駆動系を示している。本発明では、光学的検査装置1として走査型顕微鏡を用いている。
【0036】
同図において、2は走査型顕微鏡本体であり、この共焦点顕微鏡本体2には光源10が設けられている。この光源10は、後に詳述するように、試料となる被測定者の皮膚4の表面にレーザー光を照射させるものである。光源10から発射されたレーザー光は、ハーフミラー11を通過して光走査装置12に進行する。ここで、共焦点顕微鏡本体2に設けられた光源10から発射されたレーザー光は、共焦点顕微鏡で特異的に用いる皮膚内観察用レーザーであり、上記で説明したシミの光線治療に用いる施術用レーザーとは異なる。実際に、光源10として使用したレーザーの強度は1.4mWで実施した。なお、1.2乃至2.0mWの範囲のレーザー強度を使用することで、良好な画像を得ることができる。また、本実施例において、皮膚4はシミを治療する前のシミ部位であり、シミを治療した後のかさぶたが剥離したシミ部位でもある。
【0037】
光走査装置12は、X−Y方向駆動制御装置13からの駆動制御命令に従い、皮膚4の所定測定領域に光源10からのレーザー光をX−Y方向に2次元的に走査する。図4に示すように、光走査装置12はポリゴンミラー25、ポリゴン用ドライバー26、ガルバノミラー27、及びガルバノ用ドライバー28等を有した構成とされている。
【0038】
ポリゴン用ドライバー26により駆動されるポリゴンミラー25は、レーザー光をX方向に走査させるものである。また、ガルバノ用ドライバー28により駆動されるガルバノミラー27は、レーザー光をY方向に走査させるものである。従って、光走査装置12により、レーザー光を皮膚4上においてX−Y方向に走査させることができる。
【0039】
また、光走査装置12はX−Y方向駆動制御装置13に接続されている。このX−Y方向駆動制御装置13は、I/O33、35を介してポリゴン用ドライバー26、ガルバノ用ドライバー28に接続されるX−Y方向用制御回路30を有している。このX−Y方向用制御回路30はコンピュータ3に接続されており、後述するようにコンピュータ3からの指令に従いポリゴン用ドライバー26及びガルバノ用ドライバー28を制御する。これにより、ポリゴンミラー25及びガルバノミラー27の動作は、コンピュータ3により制御される。
【0040】
上記のように光走査装置12によりX−Y方向に走査されるレーザー光は、対物レンズ14を介して皮膚4に照射される。この対物レンズ14は、焦点深度調整装置15に取付けられている。なお、本実施例において、対物レンズの倍率は50倍である。また、焦点深度調整装置15は、後述するZ方向駆動制御装置16の制御命令に従い、対物レンズ14を光軸方向(Z方向)に移動させ、これにより焦点深度を可変するものである。
【0041】
図4に示すように、焦点深度調整装置15は焦点調整機構31と焦点深度調整用ドライバー32を有している。焦点調整機構31は、対物レンズ14の位置をZ方向に移動することにより、対物レンズ14によるレーザー光の焦点位置を調整する。よって、皮膚4の内部に対物レンズ14の焦点を合わせることにより、その反射光に基づき皮膚4の内部の組織を測定することが可能となる。
【0042】
焦点調整機構31を駆動する焦点深度調整用ドライバー32は、Z方向駆動制御装置16に接続されている。
【0043】
Z方向駆動制御装置16は、I/O36介して焦点深度調整用ドライバー32に接続されたX−Y方向用制御回路30を有している。このX−Y方向用制御回路30はコンピュータ3に接続されており、後述するようにコンピュータ3からの指令に従い焦点深度調整用ドライバー32を制御する。これにより、焦点調整機構31の動作は、コンピュータ3により制御される。
【0044】
一方、対物レンズ14を介して皮膚4に照射されたレーザー光は、対物レンズ14の焦点位置により決まる皮膚4内の所定深度において反射される。この反射光は対物レンズ14を通り光走査装置12に戻り、更に光走査装置12からハーフミラー11へと戻される。
【0045】
ハーフミラー11は半透明鏡であり、光源10と光走査装置12との間の光路上に設けられている。このハーフミラー11は、光走査装置12から進行してくる皮膚4からの反射光を、光検出器20に向け導くため設けられている。
【0046】
ハーフミラー11で方向が変換された反射光は、レンズ18、ピンホール板19のピンホールを介して光検出器20で受光される。レンズ18は、反射光を光検出器20に向け集光するものである。この光検出器20は、ピンホール板19のピンホールを介して得られる光をその光量対応の電気信号に変換する光検出素子を有している。
【0047】
また、ピンホール板19は所定径のピンホールを有しており、レンズ18と光検出器20との間に配設されている。また、その配設位置は、レンズ18の焦点位置にピンホールが一致するよう設定されている。
【0048】
光検出器20に入射した皮膚4からの反射光は、光検出素子で電気信号に変換されてコンピュータ21に送られる。コンピュータ21では、この送信された電気信号に基づき、後述する処理を行なうことにより二次元画像を生成し、これをモニタ22に表示させる。
【0049】
また、コンピュータ本体21は、前記したX−Y方向駆動制御装置13及びZ方向駆動制御装置16とも接続されている。そして、コンピュータ21はX−Y方向駆動制御装置13及びZ方向駆動制御装置16を統括的に制御することにより、レーザー光のX−Y方向走査の制御と、対物レンズ14の駆動による焦点深度の制御を行なう構成となっている。
【0050】
上記構成とされた光学的検査装置1は、焦点顕微鏡本体2が走査型共焦点顕微鏡を構成している。この走査型共焦点顕微鏡は、光源10から発射されたレーザー光は皮膚4の表面を点状に走査させて照射し、この照明された皮膚4からの反射光をレンズ18及びピンホール板19のピンホールにより再び点状に集光して光検出器20に結像させ、この光検出器20により結像の輝度情報を得るという共焦点作用を利用した顕微鏡である。
【0051】
このような走査型共焦点顕微鏡では、上記の共焦点作用により、レーザー光を走査させた範囲における皮膚4の所定深度の画像を、その全ての範囲において合焦点した状態の二次元画像として得ることができる。これは、焦点位置で得られる皮膚4(試料)の輝度は、最大輝度となることを利用したものである。
【0052】
具体的には、レーザー光の反射光は皮膚4の所定深度のみで反射されるわけではなく、この所定深度を中心とした所定の厚み範囲において反射される。よって、反射光の内、所定深度以外の部位で反射した光はノイズとなる。走査型共焦点顕微鏡では、このノイズとなる所定深度以外の部位で反射した光を、ピンホール板19を用いて除去する構成としている。即ち、ピンホール板19を通過する反射光は皮膚4の所定深度に合焦点した光だけとなり、これにより最終的に得られる皮膚4の画像は、その全体にわたり合焦点した2次元画像となる。
【0053】
続いて、上記構成とされた光学的検査装置1を用いた、皮膚4の各種測定処理について説明する。まず、光学的検査装置1を用いた皮膚4の二次元画像を生成する二次元画像生成処理について説明する。
【0054】
図5は、皮膚4の二次元画像生成処理を示すフローチャートである。同図に示す処理が起動すると、先ず起動処理が実施される。具体的には、ステップ10(図では、ステップをSと略称している)において、焦点深度D(μm)をα(初期値)に設定し(D=α)、またステップ11では後述するように生成される2次元画像数を示すカウント値Nを“1”に設定する(N=1)。なお、フローチャートには示していないが、この起動処理ではコンピュータ3及び光源10(レーザー光源)の立ち上げ処理等も実施される。
【0055】
続くステップ12では、焦点深度Dの設定処理が行なわれる。この光走査装置12では、コンピュータ3はZ方向駆動制御装置16のZ方向用制御回路33に向け焦点深度がステップ10で設定された初期値となる焦点深度Dとなるよう制御信号を送信する。
【0056】
Z方向用制御回路33は、対物レンズ14の焦点震度がDとなるよう焦点深度調整装置15の焦点深度調整用ドライバー32を駆動制御する。これにより、対物レンズ14は、焦点深度がDとなるよう焦点調整機構31によりZ方向に駆動される。三次元画像を取得する場合は、試料4の測定は皮膚表面から順次深層に向け測定を行なうが、本実施例では、二次元画像を取得するので、初期値としての焦点深度Dは、シミ部位のメラノソームが蓄積している皮膚4(試料)での最適な深度となるように表皮基底層に合わせて設定される。
【0057】
ここで、図6を参照するに、皮膚4の構造を示す断面図が示される。同図に示すように、皮膚4は大略すると表皮と真皮とに区分される。また、表皮はその上部から皮膚表面(図中、矢印Aで示す)、有棘層(図中、矢印Bで示す)、基底層(図中、矢印Cで示す)に分類される。そして、この表皮の下部に真皮(図中、矢印Eで示す)が存在している。また、表皮基底層近傍にはシミの原因となるメラニンを包含するメラノソームと、それらメラノソームを含むメラサイトが散在することが知られている。したがって、焦点深度Dを表皮基底層近傍に対応することは、シミの再発に関するシミの研究にとって重要である。また、被験者の身体的特徴などによっては、表皮基底層近傍までの深度は異なるので、焦点深度は被験者に応じて適宜調整することが好ましい。
【0058】
上記のように焦点深度Dが設定されると、続くステップ13では光源10からレーザー光が発射されると共に、このレーザー光を走査させる処理が実施される。具体的には、前記したように光源10で発射されハーフミラー11を通過したレーザー光は、光走査装置12に設けられたポリゴンミラー25によりX方向に走査され、またガルバノミラー27によりY方向に走査される。これにより、レーザー光は皮膚4をX−Y方向に二次元的に走査する。
【0059】
なお、レーザー光の走査速度は、コンピュータ3によりX−Y方向用制御回路30、ポリゴン用ドライバー26、ガルバノ用ドライバー28等を介し、後述する画像生成に最適な速度となるよう制御される。
【0060】
続くステップ14では、反射光の輝度検出を行なう。即ち、皮膚4に照射されたレーザー光は、皮膚4において反射される。この皮膚4からの反射光は、対物レンズ14を通って2次元走査機構12に戻り、この2次元走査機構12からハーフミラー11、レンズ18、そしてピンホール板19を通って光検出器20に入射され、この光検出器20で光電変換され電気信号としてコンピュータ3に送信される。
【0061】
この際、前記したように走査型共焦点顕微鏡は、光源10から発射されたレーザー光は皮膚4の表面を点状に走査させて照射し、この照明された皮膚4からの反射光をレンズ18及びピンホール板19のピンホールにより再び点状に集光して光検出器20に結像させ、この光検出器20により結像の輝度情報を得るという共焦点作用を利用した構成とされている。焦点位置で得られる皮膚4(試料)の輝度は最大輝度となるため、よって光検出器20から出力される光電変換され電気信号のダイナミックレンジを向上させることができる。
【0062】
続くステップ15では、ステップ14で求められた反射光の輝度信号に基づき、2次元画像の生成処理が実施される。前記したように、光源10から発射されたレーザー光はスポット光として走査され、この反射光が光検出器20で検出されるが、コンピュータ3では光走査装置12によるレーザー光の走査に同期させて光検出器20からの検出信号を取り込む構成とされている。これにより、コンピュータ3では、光検出器20から送信される検出信号に基づき、レーザー光を走査した範囲における2次元画像を生成することが可能となる。
【0063】
ステップ15で生成された2次元画像は、ステップ16において、コンピュータ3内に設けられている記憶装置(図示せず)に格納される。図8に、光学的検査装置1(走査型共焦点顕微鏡)の上述した手法によって獲得された5名のパネルの各シミ部位に対応する表皮基底層の二次元画像を右側に示し、デジタルカメラで撮像した各シミ部位に対応する皮膚表面の画像を左側に示す。
図8から分かるように、施術前のシミ部位には、表皮基底層に多量のメラニンが存在している。施術後12日目の走査型顕微鏡画像を参照して、パネル1乃至3とパネル4及び5を比較するに、治療後シミが再び出現したパネル4及び5のシミ部位には、活性度の高いメラノサイトが施術後早期に多く存在することが分かる。レーザー施術によって皮膚上層にメラノソームが移行し、それによって、メラニンが含有されたかさぶたがその状態によりあるいはヒトにより剥離までの日数が異なるが、施術後約5〜10日で剥離することから、シミが再発する場合、かさぶたが取れた直後にはすでにメラノソームの産出能力の高いメラノサイトが存在することが分かる。本明細書において、施術後早期とは、レーザー施術によって出現したかさぶたが剥離した後から、施術後20日程度の期間を意味する。また、パネル4及び5から、施術後40日目にはシミ部位の表皮基底層にメラノソームが散在していることが確認できる。なお、図9に施術後の変化をシミ部位の皮膚の断面における概略図を示す。
【0064】
次に、図8のように獲得された二次元画像を解析処理することによる、シミ部位の評価方法について説明する。
【0065】
図7は、シミ部位のメラノソーム評価処理を示すフローチャートである。図8の左側に示されるパネル1乃至5で示されるシミ部位に照準を当てて獲得した各シミ部位の表皮基底層の二次元画像(図8の右側)を図7のフローチャートに記載の各ステップに沿って解析処理し、メラノソームの状態、つまり、メラノサイトの活性状態を検出することにより、シミの再発を鑑別する方法について図10を参照しながら説明する。
【0066】
図10は、図8に示す各パネルから得られたシミ部位の皮膚内の表皮基底層の画像に基づいて、図7のフローチャートの各ステップに沿って解析処理された解析画像とその結果を示す。
【0067】
ステップ17では、得られた二次元画像からノイズを除去(閾値設定)するためのフィルタリング処理を行なう。この処理によって、元画像から解析処理にとって好ましくないノイズを除去することができ、この後に続く画像解析処理によって、メラノソームを新たに産生する状態にある、活性度の高いメラノサイトの抽出がより容易にできる。かさぶたが剥離した直後の皮膚では、表皮基底細胞に存在するメラノソームはほとんどなく、その多くはメラノサイト内で新たに産生されているメラノソームに限定される。このため、かさぶたが剥離した直後の走査型共焦点顕微鏡から得られる表皮基底層の反射画像(メラノソームに起因する)は、メラノサイトの活性度を評価できる指標となりうる。
【0068】
つまり、画像のノイズ除去処理は、得られた画像に応じて適宜閾値を設定して行なうことを意味する。
【0069】
本実施例の場合、走査型共焦点顕微鏡から得られる表皮基底層の反射画像(256階調の画像)に対し、128階調を閾値に設定して輝度の高い領域を抽出した。その結果が図10の画像(2)に示すものである。このようにして、メラノソームを新たに産出する状態にある、活性度の高いメラノサイトの抽出が可能である。
【0070】
さらに、抽出された高活性のメラノサイトを解析処理して、レーザー施術後のシミ部位のシミの再発を鑑別するためのステップを説明する。続くステップ18では、上述までの処理によって抽出されたメラノサイトのパターンにおいて、全体の画素数(ピクセル数)に対する抽出した領域(ピクセル数)の割合、つまり、メラノサイトの面積率の測定処理を行なう。各数値をパネルごとに示すと、パネル1では、面積率は0.03%であり、パネル2では、面積率は0.33%であり、パネル3では、面積率は0.60%であり、パネル4では、面積率は1.26%であり、パネル5では、面積率は2.85%であった。図10から分かるように、シミが再発しなかったパネル1乃至3と、シミが再発したパネル4及び5とでは、施術後12日目のメラノサイトの面積率が異なることが分かる。つまり、閾値を128階調に設定した場合、抽出された領域が1%以上であれば、40日目に肉眼的にシミが再発する可能性が高いことが明らかになった。このように、施術後の皮膚上ではシミの再発を鑑別することは困難であるが、シミが再発したパネル4及び5の結果から、それらシミ部位における皮膚内表皮基底層でのメラノソームを新たに産生するメラノサイトの活性状態が活発になっており、メラノサイトの活性度合いに基づいてシミが再発することが確認された。したがって、この状態を撮像した画像上におけるメラノサイトの面積率に基づいて、施術後のシミ部位のシミの再発を効果的に予見評価することができ、この結果、レーザー施術後早期において、シミの再発の鑑別が可能となった。
【0071】
したがって、本発明は、走査型共焦点顕微鏡を用いて、シミ部位の皮膚内表皮基底層の画像を獲得し、得られた画像を解析処理することによって、メラノサイトの活性状態を解析評価し、シミの再発を鑑別することができる。これによって、シミ部位のレーザー治療後の早期段階で再発を評価することによって、シミ部位に対する美白剤などの効果的な処置を適用することができる。
【0072】
次に、VMSを用いた本発明の方法を図面と共に以下に説明する。
【0073】
上記した女性被験者3名(上記パネル1、2及び4)のシミ部位の皮膚内表皮基底層の状態を非侵襲的に観察できる接触型ビデオマイクロスコープによって、レーザー施術前、レーザー施術後のかさぶたが剥離した直後及び剥離後から一週おきに行い、二ヶ月間行なった。なお、観察対象物はVMS上で茶色着色して顆粒状に観察されるメラノソームとメラノソームを新たに産生するメラノサイト、および赤血球の流れが確認できる毛細血管である。また、3名のパネルにおいて、レーザー施術後、パネル1及び2はシミが改善した被験者であり、パネル4はシミが再発した被験者である。
【0074】
以下に上記VMSを用いた観察方法を示す。
【0075】
シミ部位にVMSを約650倍の倍率で接触させ、皮膚内のメラニン及び血管に焦点が合うように調整して撮像した。焦点の調整方法は、通常のマイクロスコープ、つまり、顕微鏡の操作方法と何ら変わりないので、ここで詳細な調整方法は説明しない。なお、本実施例では、VMSとして、INT−200(Integral社製)を使用したが、皮膚内の状態を非侵襲的に画像化できるものであれば、これに限定されない。
【0076】
なお、VMSをシミ部位に接触させる際には皮膚表面での反射光や形態的なノイズを防ぐために、水またはオイル等を皮膚表面に塗布し、できるだけ気泡が入らないように注意してVMSのレンズ部分を皮膚に対して接触させる。VMSの鮮明で明瞭な画像を得るためには、使用する水またはオイルは皮膚の角層の屈折率に近いものが望ましく、本実施例ではベビーオイル(ジョンソン・エンド・ジョンソン社製)を使用した。なお、皮膚の角層の屈折率に近いものであれば、水やオイルに限定されることなく使用することができる。図11にパネル1、2及び4のVMSで撮像した画像を示す。また、図12にシミが再発したパネル4のVMSを用いて撮像した画像を示す。
【0077】
この結果、VMSで撮像した画像を確認しても、シミが再発したパネル4から分かるように、シミ部位の皮膚内表皮基底層近辺においてメラノサイトが活性化されている状態が確認された。したがって、シミ部位の光線治療後の経過を観察した結果、当該シミ部位におけるシミの再発は、VMSによって撮像した表皮基底層の画像によっても鑑別できることが確認され、安価で簡易にシミの再発を鑑別することができる。このように、VMSを用いて単に撮像した画像からシミの再発の予見が可能であるが、撮像した画像を汎用の画像処理(例えば、画像上の色の濃淡抽出などで処理)を行い、処理した画像をさらに解析処理して数値化した輝度値などによっても鑑別することもできる。
【0078】
次に、シミ部位の皮膚内の血流状態を観察することによる本発明の方法を以下に説明する。
【0079】
上記した女性被験者4名(上記パネル1、2、4及び5)のパネルに対し、レーザー施術前、施術後のかさぶたが剥離した直後及び剥離後から一週おきに、二ヶ月間にわたってシミ部位の皮膚内の血流状態を観察した。なお、上述したように、4名の女性被験者は、パネル1及び2でレーザー施術後にシミが再発せずに改善したが、パネル4及び5ではシミが再発した。
【0080】
シミ部位の皮膚内の血流状態を観察するために使用した機器は、ヘモグロビン量を数値化できる測定機器を用いた。本実施例では、Mexameter MX16(Courage+Khazaka社製)を用いて測定を行い、Erythema Index(ヘモグロビンに由来する紅斑を数値化した値)を指標として血流の状態を測定して評価した。すなわち、レーザー施術前のシミ部位の血流と比較して、レーザー施術後のシミ部位の血流が増加しているか否かを評価した。
【0081】
本実施例の具体的な手法としては、Mexameter MX16を用いて、特願平11−299743号公報に記載の公知の方法によって行なった。なお、使用する機器は、Mexameter MX16に限定されず、ヘモグロビン量を測定することによって血流量を算出できる装置であればよい。例えば、レーザードップラー方式を用いた血流計:PeriFluxシステム(日本ユーロテック社製)やPeriScanPIM II(PERIMED社製)など、また、全顔の写真を撮像して、画像解析により可視領域の分光曲線からヘモグロビン量を算出する方法を採用するSkin Image Analyzer(株式会社資生堂)や分光測色計(CM-2000:ミノルタ社製)などを用いることができる。
【0082】
以下に、Mexameter MX16による紅斑度の測定結果を示す。
【0083】
表1はMexameter MX16によって測定したシミ部位の生データの数値を示し、表2は、表1の数値を基にして、レーザー施術前を100とした場合の施術後の血流量の変化率を示す。
【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

表2より、シミが再発したパネル4及び5において、施術後2乃至3週間の測定において、施術前よりも血流量が増加していることが確認され、特に、施術前の血流量に対して2%以上の血流量の増加が見られている場合に再発しやすいと判断できる。また、その後の6乃至14週経過後も施術前の血流量の値よりも高い傾向が見られることが分かる。
【0086】
この結果、施術後、一ヶ月程度経過後も施術前よりErythema Indexが高い値を示している場合、シミの再生の可能性があると判断できる。したがって、本発明は、走査型共焦点顕微鏡及びVMSを用いて、シミの再発する可能性を鑑別できるだけでなく、施術前に対する施術後のシミ部位の皮膚内の血流を観察することによってもシミの再発を鑑別することもできる。
【0087】
よって、本発明は、走査型共焦点顕微鏡、VMS、またはヘモグロビン量の測定から血流量を算出することができる装置を用いて、光線治療後にシミの再発する可能性を鑑別することができ、施術後早期にシミ部位に対する有効な対処をすることができる。
【0088】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】シミ部位へのIPL/レーザーの作用を示す図である。
【図2】レーザー施術後のシミ部位の改善の一例を示す図である。
【図3】本発明に用いられる光学的検査装置の全体構成図である。
【図4】光学的検査装置の駆動系を示す構成図である。
【図5】光学的検査装置を用いて実施される二次元画像生成処理を示すフローチャートである。
【図6】皮膚の構造を説明するための図である。
【図7】シミ部位のメラノソーム評価処理を行なうフローチャートである。
【図8】レーザー施術前後のシミ部位の皮膚内部変化を示す図であり、走査型共焦点顕微鏡によって撮像した5名のパネルの各シミ部位に対応する表皮基底層の二次元画像を右側に示し、デジタルカメラで撮像した各シミ部位に対応する皮膚表面の画像を左側に示す図である。
【図9】レーザー施術後の変化をシミ部位の皮膚の断面における概略図を示す図である。
【図10】図8に示す各パネルから得られたシミ部位の皮膚内の表皮基底層の画像に基づいて、図7のフローチャートの各ステップに沿って解析処理された解析画像とその結果を示す図である。
【図11】パネル1、2及び4のVMSでシミ部位の光線治療前及び後の経過を撮像した画像を示す図である。
【図12】シミが再発したパネル4のシミ部位のVMSを用いて撮像した画像を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
1 光学的検査装置
2 操作型顕微鏡本体
3 コンピュータ
4 試料(皮膚)
10 光源
12 光走査装置
13 X−Y方向駆動制御装置
14 対物レンズ
15 焦点深度調整装置
16 Z方向駆動制御装置
18 レンズ
19 ピンホール板
20 光検出器
21 コンピュータ本体
22 モニタ
25 ポリゴンミラー
26 ポリゴン用ドライバー
27 ガルバノミラー
28 ガルバノ用ドライバー
30 X−Y方向用制御装置
31 焦点調整機構
32 焦点調整機構用ドライバー
33 Z方向用制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シミ部位の光線治療後のシミの再発を該シミ部位に対する光線治療後の該シミ部位におけるメラノソームの有無又は血流量によって評価することを特徴とするシミの再発鑑別方法。
【請求項2】
前記メラノソームの有無による評価は、該シミ部位の皮膚内表皮基底層を非侵襲的に撮像した画像によって評価されることを特徴とする請求項1に記載のシミの再発鑑別方法。
【請求項3】
前記画像による評価は、シミに対する光線治療後早期に
走査型共焦点顕微鏡を用いることによって、
皮膚に対して皮膚内観察用レーザー光を平面的に走査させて照射するステップと、
前記皮膚の所定深度の位置で反射された反射光を受光するステップと、
該反射光の輝度強度に基づき前記所定深度の位置における皮膚内のメラノソームに対応して皮膚内に存在するメラノソームの平面画像を得るステップと、
前記平面画像に対してノイズを除去するステップと、
前記除去ステップで処理した画像に対して閾値を設定するステップと、
前記閾値の設定ステップで処理した画像に対して輝度の高い領域を抽出するステップと、
前記抽出した領域の前記画像の全体の画素数に対する割合の測定による評価ステップと、
からなることを特徴とする請求項2に記載のシミの再発鑑別方法。
【請求項4】
前記抽出した領域の前記画像の全体の画素数に対する割合でシミの再発を評価することを特徴とする請求項3に記載のシミの再発鑑別方法。
【請求項5】
前記画像による評価は、接触型デジタルビデオマイクロスコープによってなされることを特徴とする請求項2に記載のシミの再発鑑別方法。
【請求項6】
前記血流量による評価は、ヘモグロビン量の測定により血流量を算出できる装置によって測定され、前記シミ部位に対する光線治療前及び該治療後の2乃至3週間後に測定した血流量によることを特徴とする請求項1に記載のシミの再発鑑別方法。
【請求項7】
前記測定された前記シミ部位の血流量が、前記光線治療前の該シミ部位の血流量に対して増加する場合にシミが再発することを特徴とする請求項6に記載のシミの再発鑑別方法。
【請求項8】
前記光線治療は、IPL施術又はレーザー施術であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシミの再発鑑別方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図2】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−11994(P2008−11994A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184811(P2006−184811)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】