説明

シミュレーション装置およびシミュレーションプログラム

【課題】遊技機のゲームプレイについての応答性のよいシミュレーション環境を提供する。
【解決手段】遊技機のゲームプレイのシミュレーションを制御するシミュレーション制御部101、進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を参照・更新しながら遊技機のゲームプレイをシミュレーションした演出を行うシミュレーション実行部103を備え、シミュレーション制御部101は、次回のゲームプレイが開始される前の所定のタイミングにおいて進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を複写し、複写したステータス情報を参照・更新しながら次回のゲームプレイのためのシミュレーションを先行させて次回のゲームプレイにおける演出を決定させ、決定された演出に基づいて演出の準備を開始させ、演出の準備を開始させた後に、再び進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を利用したシミュレーションを継続させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機のゲームプレイをシミュレーションするゲーム機等のシミュレーション装置およびシミュレーションプログラムに係り、特に応答性よく遊技機のゲームプレイをシミュレーションするための発明に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンやパチンコ機等の遊技機は複数の制御基板のそれぞれにマイクロプロセッサを備え、それぞれに機能が割り当てられた複数の制御基板が協働してゲームプレイを実行するように構成されている。このような遊技機におけるゲームプレイを家庭用ゲーム機(以下「エンターテイメント装置」ともいう。)において練習できるようにしたシミュレーションプログラムが開発されている。
【0003】
エンターテイメント装置で遊技機のゲームプレイをシミュレーションするためには、異なる装置仕様に整合させるための最小限の改変を除いて、現実の遊技機(以下「実機」ともいう。)の各制御基板で実行されているソフトウェアプログラムをそのまま用いることがシミュレーションの忠実性という観点から好ましい。従来のエンターテイメント装置で実行するシミュレーションとしては、例えば、特開平08−280874号公報に記載されたようなものがあった。この技術は、シミュレーションに必要な機種毎の属性データ及び機種共通のデータを記憶し、入力操作装置からの操作情報、機種毎の属性データ、及び機種共通のデータに基づき、家庭用ゲーム機においてパチンコ遊技機の動作をシミュレーションし、特賞状態が発生したときに、画面全体を横切るような大当たりキャラクタを表示するよう構成されたものである(特許文献1、段落0005)。
【0004】
このようなシミュレーション装置により実機とおりのゲームプレイをエンターテイメント装置で再現させることにより、遊技者はゲームプレイの練習をすることができていた。
【特許文献1】特開平08−280874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の遊技機の多くは液晶表示パネルを備えて、3D画像(以下「立体画像」という。)を生成し表示されるように構成されている。例えば実機がスロットマシンである場合、レバーを操作した瞬間に抽選が実行され、演出が決定され、演出に対応した画像が生成されて液晶表示パネルに演出画像が表示されるようになっている。
【0006】
このような実機をシミュレーションするためには、まず実機の外観構造を表現する立体画像を生成し表示させるほかに、液晶表示パネルに表示される立体画像そのものを表示させることを要する。エンターテイメント装置は演算処理能力が実機に比べても劣るので、演算処理に時間を要する実機外観の立体画像化に加えて液晶表示パネルに表示させる立体画像も生成することは明らかにエンターテイメント装置の演算処理能力を超えてしまう。このような演算処理能力の不足を補うために、液晶表示パネルに表示される立体画像を記録したムービーデータを準備しておき、必要に応じてムービー再生することが考えられる。一般にムービーデータは容量が大きくエンターテイメント装置に総て転送することはできないため、DVD等の外部記録媒体に記録させ、都度読み取るように構成せざるを得ない。
【0007】
しかしながら、外部記録媒体からまとまった容量のムービーデータを読み取るには時間がかかるため、実機におけるレバー操作に対応する操作後に演出画像のムービーが再生されるまでに相当のタイムラグが発生してしまう。レバー操作後に即座に画像生成され液晶表示パネルに演出画像が表示される実機と同等の応答性をエンターテイメント装置では保つことができないのである。ゲームプレイのみならず応答性も忠実に再現してこそシミュレーション装置といえるのであるから、シミュレーション装置における応答性の悪さは何としても改善されなければならない。
【0008】
そこで、本発明は、遊技機のゲームプレイについての応答性のよいシミュレーション環境を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のシミュレーション装置は、遊技機のゲームプレイのシミュレーション装置であって、
【0010】
(A)該遊技機の操作スイッチの各々に対応する割当スイッチが割り当てられた操作部と、
(B)該操作部の操作に対応させて該遊技機のゲームプレイのシミュレーションを制御するシミュレーション制御部と、
(C)該シミュレーション制御部の制御に対応して、進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を参照・更新しながら該遊技機のゲームプレイをシミュレーションした演出を行うシミュレーション実行部と、を備え、
該シミュレーション制御部(C)は、
次回のゲームプレイが開始される前の所定のタイミングにおいて該進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を複写し、
複写した該ステータス情報を参照・更新しながら該次回のゲームプレイのためのシミュレーションを先行させて該次回のゲームプレイにおける演出を決定させ、
決定された該演出に基づいて該演出の準備を開始させ、
該演出の準備を開始させた後に、再び該進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を利用したシミュレーションを継続させることを特徴とする。
【0011】
本発明のシミュレーションプログラムは、遊技機のゲームプレイをシミュレーション装置において実行するためのシミュレーションプログラムであって、該シミュレーション装置は、該遊技機の操作スイッチの各々に対応する割当スイッチが割り当てられた操作部と、該操作部の操作に対応させて該遊技機のゲームプレイのシミュレーションを制御するシミュレーション制御部と、該シミュレーション制御部の制御に対応して、進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を参照・更新しながら該遊技機のゲームプレイをシミュレーションした演出を行うシミュレーション実行部と、を備え、
該シミュレーション制御部に、
(A)次回のゲームプレイが開始される前の所定のタイミングにおいて該進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を複写する機能と、
(B)複写した該ステータス情報を参照・更新しながら該次回のゲームプレイのためのシミュレーションを先行させて該次回のゲームプレイにおける演出を決定させる機能と、
(C)決定された該演出に基づいて該演出の準備を開始させる機能と、
(D)該演出の準備を開始させた後に、再び該進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を利用したシミュレーションを継続させる機能と、
を実行させる。
【0012】
係る発明によれば、次回のゲームプレイが開始される前のタイミングにおいて、進行中のステータス情報が一旦複写され、それを参照・更新しながら次回のゲームプレイにおける演出(例えばムービーの再生)が決定され、決定された演出の準備(例えばムービーデータの読み取り)を開始させたら、再び進行中のステータス情報に基づくシミュレーションに戻るので、相対的に時間のかかる演出であってもその準備を前倒しにして開始することができる。よって、次回のゲームプレイに開始時には既に演出の再生準備が完了しているので、遅滞なく演出の送出が可能となり、実機における演出画像表示タイミングと同等の応答性を再現可能である。
【0013】
ここで先行して準備すべき「演出」は、操作部の操作を契機として準備をしていたのでは遊技者に不自然な遅滞を感じさせてしまうような演出であり、送出にまで時間を要する演出であれば画像による演出でも音響による演出でもよく、特定の演出に限定されない。例えば、次のような外部記憶媒体からムービーデータを読み取って復号化するような処理をいう。
【0014】
すなわち、本発明のシミュレーション実行部は、前記遊技機における抽選を実行する抽選実行部と、該抽選の結果に対応して演出を決定する演出決定部と、決定された該演出に対応した演出を実行する演出実行部と、を備え、該演出実行部は、前記次回のゲームプレイにおける演出が告知された場合には該演出の準備として該演出に対応するムービーデータの読み取りを開始する。
【0015】
ムービーデータは容量が大きく通常外部記憶媒体に記録されるものであるため、ムービーを再生する演出には時間がかかる。この点、係る構成によれば、次回のゲームプレイのための演出である場合には、対応するムービーデータの読み取りが開始されるので、先行して次回のゲームプレイにおける演出の準備が始められる。よって、次回のゲームプレイが実際に開始された場合には遅滞なくムービーの再生が可能となる。
【0016】
ここで「次回のゲームプレイが開始される前のタイミング」とは、演出の準備に必要な時間長だけ前倒しにしたタイミングということである。例えば、前記回のゲームプレイが開始される前のタイミングは、直前のゲームプレイの最後に操作される割当スイッチが操作された時である。
【0017】
係る処理によれば、直前のゲームプレイの最後に操作される割当スイッチが操作された時(例えばスロットマシンの第3停止に相当)から次のゲームプレイのための演出が決定され、その準備が開始されるので、次回のゲームプレイが開始した後(例えばスロットマシンのレバー操作後)は操作部の操作タイミングに合わせて遅滞なく演出の送出(ムービーの再生)を開始させることができる。
【0018】
また、「次回のゲームプレイが開始される前のタイミング」は演出の準備期間が確保できれば十分であり、必ずしも何らかの操作部の操作を先行準備の契機とする必要はない。例えば、電源投入後の予め定められたタイミングとしてもよい。
【0019】
係る処理によれば、電源投入時の所定のタイミング、例えばシミュレーションを開始できる状態となっていれば、最初のゲームプレイ前に先行して演出の決定と演出の準備開始が可能なので、電源投入後の最初のゲームプレイにおいて遅滞なく演出送出(例えばムービーの再生)を開始させることができる。
【0020】
また、ゲームプレイの状態を更新するようなメモリーカード等の操作時に上記演出準備をしてもよい。既に準備が完了している演出があったとしても、ゲームプレイの状態がロードされるとゲームプレイのステータスが変わるので、送出すべき演出が変わる可能性がある。そこで、ゲームプレイの状態を更新する操作があった場合には、直近のゲームプレイにおける演出を再度決定し準備を開始させる必要があるからである。
【0021】
ここで、同時期に準備される演出(読み取られるムービーデータ数)は一つに限られない。例えば、前記決定された演出は、前記操作部の操作に応じて選択されうる複数種類の演出(例えば複数のムービー)であり、該複数種類の演出の各々の準備(各々のムービーデータの読み取り)が開始されるように処理してもよい。
【0022】
係る処理によれば、操作状態等に応じて複数の演出が考えられる場合には想定される演出に対応した総ての演出の準備を開始させることが可能である。例えば、スロットマシンでは、遊技者の停止ボタンの操作に応じて特別な入賞となる場合(「777」と図柄が揃う場合等)がある。通常演出のためのムービーデータとともに特別入賞の演出画像に対応したムービーデータの読み取りを開始させれば、操作状態に応じて特別入賞となった場合でも遅滞なく特別入賞の演出画像の再生を開始させることが可能である。また例えば、実機において複数の停止ボタンの操作のたびに演出画像が変更される場合には、それら複数の演出画像に対応するムービーデータの読み取りを各々開始させてもよい。複数の停止ボタンに対応する操作をどの順番で行うかは遊技者次第であるが、表示可能性のある総てのムービーデータの読み取りを開始させておけば、どのような操作がされても遅滞なく対応する演出画像の再生を開始させることが可能である。
【0023】
ここで、前記複数種類の演出の各々に前記操作部の割当スイッチが対応付けられており、当該割当スイッチの各々が操作される度に対応付けられた一つの演出の再生が開始されるように処理することは好ましい。
【0024】
係る処理によれば、演出の送出準備(例えば、ムービーの再生準備)が完了しているならば、割当スイッチが操作される度に対応する演出を遅滞なく送出することができるからである。万一対応する演出の準備(例えば、ムービーの再生準備)が完了していない場合には、準備が完了した他の演出を代用して開始させるように処理してもよい。
【0025】
本発明のシミュレーション装置において、前記演出実行部は、
(A)前記演出決定部から送信されたコマンドの種類を判別して該コマンドの種類に対応した演出の実行を管理する管理部と、
(B)決定された前記演出が告知された場合に該演出に対応するムービーデータの読み取りを開始し、前記割当スイッチの操作が告知された場合に再生準備が完了した該ムービーデータに基づくムービーの再生を開始するムービー再生部と、を備え、
該管理部(A)は、前記演出決定部から送信されたコマンドが決定された前記演出を告知するものであった場合に当該演出に対応するムービーデータの読み取りを開始させるコマンドを該ムービー再生部に送信し、
該ムービー再生部(B)は、該ムービーデータを読み取ることにより該ムービーの再生準備が完了した場合に準備完了を示すステータス情報を該管理部に送信し、
該管理部(A)は、前記演出決定部から送信されたコマンドが前記割当スイッチの操作を告知するものであった場合に再生準備が完了している前記ムービーの再生を開始するように構成することが可能である。
ムービーデータの読み取りには一定の時間を要する一方で多種多様なコマンドが送信されうる。係る構成によれば、管理部がコマンドを受信し判別し、ムービー再生部にムービーデータの読み取りを指示したのち、そのムービーの再生準備が完了したか否かがムービー再生部からのステータス情報をモニターすることで把握することができる。ステータス状態が再生準備完了を示している場合に、管理部がムービー再生部に対応するムービーの再生を指示するようにすれば、一時に一つのムービーが再生されるようにできる。よって、抽選実行部や演出決定部におけるムービー再生の管理負担を軽減することができる。
【0026】
ここで、前記演出実行部は、各該演出に対応したモデリングを伴う画像生成処理を実行する画像生成部をさらに備え、該画像生成部は、前記ムービー再生部から該ムービーの再生準備が完了した旨の該ステータス情報が送信された場合に当該ムービーに対応する演出の画像生成処理を実行することが好ましい。
【0027】
画像生成処理は外部記録媒体からの多量の情報読み取りを必要としないので短時間に準備を完了することができるのに対し、ムービー再生は準備時間を要するため、実機の外観をシミュレーションする立体画像生成と実機の液晶表示パネル内の演出画像をシミュレーションするムービー再生の同期をとらなければならない。係る構成によれば、画像生成部がムービー再生部からのステータス情報によりムービーの再生準備が完了したことを把握できた場合に立体画像生成処理を実行するように構成したので、立体画像とムービー再生の演出画像との同期をとることができる。
【0028】
ここで、前記ムービー再生部は、前記管理部から送信されたコマンドを順次スタックしていく第1のキューバッファと、所定数のバッファを備え、前記第1のキューバッファから転送されたコマンドを該バッファに順次スタックしていく第2のキューバッファと、を備え、前記第1のキューバッファは、前記第2のキューバッファに解放されている該バッファがある場合に最先のものから順に該コマンドを前記第2のキューバッファの解放されているバッファに転送し、前記第2のキューバッファは、スタックされているコマンドのうち最先のものから順に該コマンドに対応したムービーデータの読み取り開始を指示し、当該コマンドがスタックされていたバッファを解放するように処理することは好ましい。
【0029】
係る構成によれば、管理部からは決定された演出に対応するムービーデータの読み取り開始を指示するコマンドが第1のキューバッファに順次スタックされていく。一方、第2のキューバッファではムービーデータの読み取りが開始されたらそのバッファが解放される。ムービーデータの読み取り開始が指示でき次第、第1のキューバッファにスタックされたコマンドが第2のキューバッファに転送されるので、多数のコマンドが送られた場合であっても、オーバーフローさせることなく、遅滞なく、本発明のムービー再生準備処理のように時間の係るコマンド処理を行うことが可能である。
【0030】
ここで、前記抽選結果が前記ムービーの再生を必要としない場合であってもいずれかのムービーデータの読み取りを行うことは好ましい。ムービーデータの読み取りは記録媒体へのアクセスを伴うものであるため、いわゆるシーク音が発生する。本発明では、抽選結果によって演出が決定される。新たな演出を行う場合にだけムービーデータの読み取りを行うものとすれば、シーク音が発生した場合には、抽選結果が入賞していくとの推定が働いてしまい、ゲーム開始に先立って次のゲームの抽選結果が判ってしまう。この点、係る処理によれば、抽選結果によらずムービーデータの読み取り動作が行われシーク音が発生するので、次ゲームの抽選結果を先行して遊技者に悟られることを防止可能である。
【0031】
ここで本発明の「遊技機」(実機)は回動式遊技機(スロットマシン)に限定することなく、他の形態の遊技機、例えばぱちんこ機(第一種ぱちんこ機、第二種ぱちんこ機を含む)等を含む。
【0032】
なお、本発明のシミュレーションプログラムは、記憶媒体に格納されて流通されるものである。このような記憶媒体としては、コンピュータに読み取り可能な媒体であり、各種ROM、フラッシュメモリを備えたUSBメモリ、USBメモリ、SDメモリ、メモリスティック、メモリカードや、FD、CD−ROM、±R/W、RAM、DVD−ROM、±R/W、RAM、等の物理的な記憶媒体を含む。また広義の記録媒体として、プログラムを伝送可能なインターネット等の伝送媒体をも含むものとする。伝送媒体を通して伝送されたプログラム(ダウンロード)されたプログラムは、そのままメモリに記憶されて、コンピュータに実行されるものだからである。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、次回のゲームプレイの演出の決定と準備が先行して行われるので、準備に時間を要する演出があったとしても、次回のゲームプレイの開始までに演出送出の準備を完了させることができる。よって、遊技機のゲームプレイを応答性よくシミュレーションすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の好適な実施形態として、家庭用ゲーム機(エンターテイメント装置)に外部記録媒体からシミュレーションプログラムを読み込んで実行することにより、店舗に設置される遊技機(スロットマシン、スロットゲーム:実機)をシミュレーションする場合を例示する。ただし、以下の実施形態は本発明の適応例に過ぎず、本発明は実施形態に限定されず種々に変更して適用することが可能である。
(エンターテイメント装置の構成)
図1は、エンターテイメント装置1の外観概略構成を示す図である。
図1に示すように、このエンターテイメント装置1は、大きく分けて、装置本体10、操作入力装置20、表示装置30から構成される。
【0035】
装置本体10は、ディスクホルダー部11、差込口12、コントローラ端子13、POWERボタン14、開閉スイッチ15、AVケーブル16、および電源ケーブル17を備える。
【0036】
ディスクホルダー部11は、本発明に係るシミュレーションプログラムを記録したDVD−ROMなどの第1の外部記録媒体44aを、後述の第1の外部記録媒体ドライブ44がデータ読み取り可能な位置にセットするための構造部材である。差込口12は、プログラムの経過情報(セーブデータ)を記録するメモリーカード等の第2の外部記録媒体45aを後述の第2の外部記録媒体ドライブ45がデータ読み取り/書き込み可能な位置にセットするための挿入口である。コントローラ端子13は、操作入力装置20のケーブルを後述の操作入力処理部48に接続するための端子である。POWERボタン14は、装置本体10の電源投入を行うためのスイッチである。開閉スイッチ15は、前述のディスクホルダー部11を開閉するためのスイッチである。AVケーブル16は、表示装置30に演出画像情報および演出音響情報を出力するための接続コードである。電源ケーブル17は、外部商用電源部に接続するためのケーブルである。
【0037】
操作入力装置20は本発明の操作部に係り、操作者が各種ゲーム操作を行うためのSTARTボタン21、方向キー22、○ボタン23a、×ボタン23b、□ボタン23c、△ボタン23d、R1ボタン24a、R2ボタン24b、L1ボタン25a、L2ボタン25b等を備えている。これらの操作ボタンは、実機の操作ボタンが機能的に割り当てられる、本発明の割当スイッチに相当している。
【0038】
表示装置(モニタ装置、TV装置)30は、装置本体10で生成されたシミュレーション画像を表示するためのブラウン管型や液晶型等の表示画面31、およびム装置本体10で生成された演出音響を外部に出力するための左右のスピーカ32a、32bを備えている。
【0039】
図2は、図1に示したエンターテイメント装置1の内部のハードウェア構成図である。
図2に示すように、装置本体10は、CPU41、ROM42、メインメモリ(RAM)43を含む制御系CNTL、第1、第2の外部記録媒体ドライブ44、45、画像処理部46、音声処理部47、操作入力処理部48、および電源供給インターフェース部49から構成される。
【0040】
CPU41は、エンターテイメント装置の制御動作の中枢となり、システムバスSBを介してI/Oアドレスを出力して特定のデバイスを選択し、デバイスとのデータの入出力を行って装置全体を統括的に制御する。特にCPU41は、第1の外部記録媒体ドライブ44を介して第1の外部記録媒体44aのシミュレーションプログラムをメインメモリ43のゲームプログラム記録領域43aに転送し、そのシミュレーションプログラムを実行することにより、エンターテイメント装置1を本発明のシミュレーション装置として機能させる。またCPU41は、フレーム期間毎に画像の描画に必要な画像データやコマンドを生成し、これを画像処理部46に送信する。
【0041】
ROM42は、エンターテイメント装置の起動時に使用する起動用プログラムや装置を動かすための基本的なシステムプログラム等を格納する不揮発性メモリである。電源投入直後は、CPU41はこのROM42の起動用プログラムを実行し、第1の外部記録媒体44aがディスクホルダー部11に装着されていることを確認したらその外部記録媒体44aのデータをメインメモリ43に転送するように動作する。
【0042】
RAM43は、メインメモリであり、第1の外部記録媒体44aから転送されたシミュレーションプログラムや各種データ(モデリング用元データ、演出音響データ、テキストデータ等)の一部または全部をゲームプログラム記録領域43aに一時記録保持するとともに、第2の外部記録媒体45aから読み出したセーブデータ或いはゲーム進行中の作業データをゲーム進行データ記録領域43bに一時記録保持する。
【0043】
なお、図中鎖線で示される制御系CNTLには、図示省略のDMACが含まれている。DMACがシステムバスSBに接続されている周辺機器を対象として割り込み制御やダイレクトメモリアクセス(DMA)転送制御を行うことにより、CPU41を介さずに各種周辺機器とRAM43間でシステムバスSBを介して直接データを転送することができる。これにより、CPU41のオーバーヘッドを伴わずに、高速・大容量のデータ転送が実現される。
【0044】
第1の外部記録媒体ドライブ44は、DVD−ROMなどの第1の外部記録媒体44aに記録されたシミュレーションプログラムや各種データを読み取る。第2の外部記録媒体ドライブ45は、メモリーカード等の第2の外部記録媒体45aに対するゲームの進捗状況・フラグ情報を含むゲームデータのロードおよびセーブを行う。
【0045】
画像処理部46は、表示画面31に表示するシミュレーション画像(データ)を生成するデバイスであり、画像デコーダ46a、フレームバッファ(VRAM)46cを有するGPU46b、ディスプレイコントローラ46d等の半導体デバイスを備えている。
【0046】
画像処理部46の画像デコーダ46aは、動画像圧縮符号化されたムービーデータのデコーダとして機能する。すなわち、第1の外部記録媒体44aに格納されているムービーデータファイルから任意のチャプターのムービーデータを読み取って動画像を形成する一連のフレーム画像を再生する。ここで「ムービーデータ」とは、画像情報と付随する音声情報とが所定の形式で動画像圧縮フォーマットにより符号化されたファイルをいい、WMV、MPEG、3GP、3GP2、M4V、swf、flv等の各種形式で符号化されている。ムービーデータを読み込んで、動画像圧縮符号化フォーマットに対応した復号化処理を行うことにより、一連のフレーム画像を再現することができるようになっている。特に本実施形態では、各チャプターに記憶されるムービーデータは、実機においてモデリング処理・レンダリング処理により生成される、液晶表示パネルに表示される立体画像を演出単位に記録した情報である。
【0047】
GPU46bは、CPU41からのコマンドに応じて、立体画像データを生成するためのモデリング処理・レンダリング処理等を行って生成したフレーム画像を例えばビットマップ形式でフレームバッファ46cに描画する。特に本実施形態では、GPU46bによってモデリングされる立体画像は実機の外観構造を再現する画像である。
【0048】
以上から判るように、このエンターテイメント装置は、第1の外部記録媒体44aに記録されたムービーデータを復号化して生成されたムービー画像と、第1の外部記録媒体44aからRAM43へ転送されたシミュレーションプログラムを実行することによりモデリング処理/レンダリング処理されて生成された立体画像とを生成可能に構成されている。特に、画像デコーダ46aにより復号化されたムービー画像はテクスチャデータとしてGPU46bに転送され、GPU46bによりモデリングされた実機の外観構造モデルのうち実機の液晶表示パネルに対応する画像表示エリア64にマッピングすることが可能になっている。すなわち、本エンターテイメント装置は、立体画像中にムービー画像を配置したシミュレーション画像を生成可能になっている。フレームバッファ46cへのシミュレーション画像の描画は、当該シミュレーション画像のためのデータやコマンドがCPU41により生成されたフレーム時間の次のフレーム時間に実行される。
【0049】
ディスプレイコントローラ46dは、各フレーム時間にフレームバッファ46cに描画された画像データを、それぞれ次のフレーム時間に読み出し、読み出した画像データに対応した輝度信号(明るさの情報)と色信号(色の情報)を含む映像信号を生成して表示装置30に出力する。
【0050】
音声処理部47は、表示装置30の左右のスピーカ32a,32bで出力する効果音やBGM等のゲームプレイ音響を生成処理するデバイスであって、具体的には、図示省略のサウンドバッファおよびSPU等を備え、SPUがサウンドバッファから読み出した音データを合成して音声信号を生成して表示装置30に出力する。
【0051】
操作入力処理部48は、操作者の操作を入力するための操作入力装置20が接続され、CPU41と操作入力装置20との間で種々の信号の授受を行うI/Oポートであり、操作入力装置20からの操作信号を、システムバスSBを介してCPU41に送信する。
【0052】
電源供給インターフェース部49は、ACアダプタ機能を有し、外部商用電源からの電力を装置本体10の内部に供給するインターフェース部である。
【0053】
(実機の構成・動作)
本実施形態のシミュレーション装置は、実機のスロットマシンSMにおける動作、演出画像・演出音響を忠実に再現するものである。シミュレーション動作を理解するため、まず、実機であるスロットマシンSMの構成について説明する。以下、実機における構成部材の符号とシミュレーション装置においてシミュレーションされた画像における構成部材とは同一の符号で表現する。
【0054】
図3に、実機であるスロットマシンSMのフロントパネルイメージを示す。
図3に示すように、実機のスロットマシンSMのフロントパネルには、装飾部品が設けられ、その中央に画像表示エリア64が設けられている。画像表示エリア64の下部にリール表示エリア63が設けられている。実機では、画像表示エリア64には、液晶表示パネル等に相当する表示領域であり、抽選結果に応じた立体画像が表示されるようになっている。
【0055】
リール表示エリア63には、リール群61が表示されている。リール群61は、実機では中空の回胴構造をしたリール3つで構成されるもので、左リール61L、中リール31C、右リール31Rの順番で表示されている。各リールの外周には、複数種類の図柄が表示される。図柄は、「赤セブン」、「白セブン」、「BAR」、「チェリー」、「カバン」、「ベル」、「リプレイ」等の種類がある。
【0056】
実機では、各リール61L、61Cおよび61Rはステッピングモータ等で回転制御され、各リールが回転する際に、リール61L、61Cおよび61Rの図柄が上下にスクロール移動しているように表示される。
【0057】
図3において、リール表示エリア63に示された破線は、有効ライン62a、62bおよび62cからなる有効ライン群62を示すものである。有効ライン群62は、水平方向の中段の有効ライン62aと、水平方向の上段および下段の2本の有効ライン62bと、右下がりおよび左下がりの斜め方向の2本の有効ライン62cとから構成されている。そして、リール61L、61Cおよび61Rに付された図柄は、リール61L、61Cおよび61Rが停止した時に、表示窓21から見える9個の図柄が全てこれらの有効ライン群62上に位置するような間隔で配置されている。
【0058】
画像表示エリア64の右下側に当たる位置には、メダル投入口65が設けられている。実機では、メダル投入口65からメダルが投入されると、投入されたメダル枚数に応じて有効ライン62a、62bおよび62cの1ライン乃至5ラインが有効になるように構成されている。すなわち、投入した枚数のメダルが掛け金として徴収される。投入されたメダルが1枚の場合には1つの有効ライン62aが有効になり、2枚のときは水平方向の3つの有効ライン62aおよび62bが有効になり、3枚のときはさらに加えて斜め方向の2つの有効ライン62cを含む総計で5つの有効ライン62a〜62cが有効になる。例えば、3枚のメダルが投入されている場合には、リール61L、61Cおよび61Rが停止した時に、少なくとも1つの有効ライン62a〜62cに特定の図柄の組み合わせが停止していれば、その組み合わせに応じた役に入賞したこととなる。当該シミュレーション装置では、このような実機のメダル投入を操作入力装置20に対するベットスイッチの操作で代用する。
【0059】
フロントパネルの中央部には、各種の操作スイッチが設けられている。例えば、スタートスイッチ66、ストップスイッチ群67およびベットスイッチ群68が設けられている。
【0060】
スタートスイッチ66は、リール61L、61Cおよび61Rの回転をスタートさせるときに操作されるスイッチであり、以下、実機のスタートスイッチを「レバー」と称する。ストップスイッチ群67は、左リール61Lを停止させるときに操作する左ストップスイッチ67Lと、中リール61Cを停止させるときに操作する中ストップスイッチ67Cと、右リール61Rを停止させるときに操作する右ストップスイッチ67Rとから構成されている。以下、実機においてレバー操作後に最初に操作されるストップスイッチを「第1停止」、次に操作されるストップスイッチを「第2停止」、最後に操作されるストップスイッチを「第3停止」と称する。
【0061】
ベットスイッチ群68は、クレジット内のメダルを投入する際にベット数(賭数)を指定するスイッチ群であり、1ベット・2ベットスイッチ68aおよびMAXベットスイッチ(3ベットスイッチ)68bから構成されている。実機では、1ベット・2ベットスイッチ68aが操作されると、1枚又は2枚のメダルがベットされ(ゲームの掛け額として徴収され)、MAXベットスイッチ68bが操作されると、最大ベット数である3枚のメダルがベットされる。すなわち、ベットスイッチ群68の操作で指定されるベット数が、クレジットとなっているメダル数から徴収され、クレジットがベット数だけ減算される。
【0062】
本シミュレーション装置では、以上の各スイッチに対する操作は、操作入力装置20における操作ボタンに割り付けて代用している。
【0063】
実機のスロットマシンSMにおいて実施される通常遊技の概要を簡単に説明する。
スロットマシンSMにおいて、メダルが投入されるか、ベットスイッチ群68が操作されるかすると、有効ライン62a〜62cがベット数に応じて有効化される。
【0064】
次いでスタートスイッチ66(レバー)が操作されると、ベット数に応じた役の抽選が行われると共に、リール61L、61Cおよび61Rが回転し始める。実機では、このタイミングで抽選が実行され、第1停止が操作されるまでの演出(以下「第1演出」という。)が決定される。
【0065】
リール群61が回転している間にストップスイッチ67L、67Cおよび67Rのいずれかが操作されると、操作されたストップスイッチに対応したリール61L、61Cまたは61Rの回転が停止する(第1停止)。実機では、このタイミングで、第1停止操作後、第2停止が操作されるまでの演出(以下「第2演出」という。)が決定される。
【0066】
次いで停止していない2つのリールに対応したストップスイッチのいずれかが操作されると、操作されたストップスイッチに対応したリールの回転が停止する(第2停止)。実機では、このタイミングで、第2停止操作後、第3停止が操作されるまでの演出(以下「第3演出」という。)が決定される。
【0067】
最後に、停止していないリールのストップスイッチが操作されると、そのストップスイッチに対応したリールの回転が停止する(第3停止)。実機では、このタイミングで、第3停止操作後の演出(以下「第4演出」という。)が決定される。すなわち、第3停止操作時に、スタートスイッチ66の操作と同時に行われている役の抽選結果が当選であった場合には、有効化されている有効ライン群62上に並ぶ図柄の組み合わせが、予め定められた何らかの役の図柄の組み合わせに一致するようにリールが停止制御され、その入賞役に応じたメダルの払い出し等が行われる。また、ストップスイッチの操作タイミングによっては、各リール61L、61Cおよび61Rを特別入賞となる位置で停止することがありうる(例えば、図柄が「7」「7」「7」と揃う場合)。このような特別入賞があった場合には、第4演出は変更される。
【0068】
(シミュレーション装置における画像表示および基本動作)
次に、上記実機のスロットマシンSMに対応したシミュレーション装置における動作を説明する。実機のスロットマシンSMをシミュレーションするため、当該シミュレーション装置では、メダルの投入および各スイッチの操作を総て操作入力装置20の各操作ボタンに対する操作で代用する。
【0069】
図4は、シミュレーション装置1の表示画面31に表示される画像表示例であり、図4(a)はトップ画面50の例である。
【0070】
トップ画面50は、本発明に係るシミュレーションプログラムを実行することにより最初に表示される初期画面である。トップ画面50は、シミュレーションプログラムが格納された第1の外部記録媒体44aがディスクホルダー部11に挿入された状態でエンターテイメント装置1の電源が投入された場合に表示される画面である。トップ画面50には、シミュレーションゲームの開始を指示するための「ゲームスタート」アイコン51、および、シミュレーションゲームを終了させるための「終了」アイコン52が表示される。「ゲームスタート」アイコン51を操作入力装置20の方向キー22で選択し、○ボタン23a等を操作することで、シミュレーション処理が開始される。
【0071】
図4(b)は、トップ画面50の「ゲームスタート」アイコン51が選択された場合に実行されるシミュレーション画面60の例である。シミュレーション画面は、図3において符号60の枠で囲まれた、実機のスロットマシンSMの外観の一部領域に相当し、表示画面31に表示される部分である。シミュレーション画面60に表示される実機の領域は、操作入力装置20を操作することによって適宜変更することが可能である。例えば、シミュレーションプログラムにより提供される設定メニューにより、立体画像生成の視点や視線方向を任意に変更して、シミュレーション画面60に表示させる実機の部分を変更することが可能になっている。
【0072】
図4(b)には、スロットマシンSMにおける、複数の図柄が配列された複数のリール61L、61C、および61Rを表示するリール表示エリア63と画像表示エリア64が示されている。
【0073】
実機のスロットマシンSMの一部領域がシミュレーション画面60に表示されている状態において、操作者がMAXベットスイッチ68bの押下に割り当てられた操作(例えば、R1ボタン24aの押下)をすると、シミュレーション装置は、実機のスロットマシンSMにおいてメダルを3枚投入し、さらにMAXベットスイッチ68bを押下したかのように動作し、シミュレーション画面60に表示しているスロットマシンSMのメダル投入数をMAXに設定する。すなわち、操作者がメダル3枚を1度に掛けたことがシミュレーションされる。
【0074】
また、操作者が1ベット・2ベットスイッチ68aの押下に割り当てられた操作(例えば、L1ボタン25aの押下)を一回すると、シミュレーション装置は、実機のスロットマシンSMにおいてメダルを1枚投入し、さらに1ベット・2ベットスイッチ68aを一回押下したかのように動作し、シミュレーション画面60に表示しているスロットマシンSMのメダル投入数を1ベットに設定する。すなわち、操作者がメダル1枚を掛けたことがシミュレーションされる。もう一度操作者が1ベット・2ベットスイッチ68aの押下に割り当てられた操作をすると、シミュレーション装置は、実機のスロットマシンSMにおいてメダルを2枚投入し、さらに1ベット・2ベットスイッチ68aを二回押下したかのように動作し、シミュレーション画面60に表示しているスロットマシンSMのメダル投入数を2ベットに設定する。すなわち、操作者がメダル2枚を掛けたことがシミュレーションされる。1ベット・2ベットスイッチ68aはトグル動作するように設定されているので、シミュレーション装置においても操作入力装置20の操作が繰り返される度に、1ベット・2ベットスイッチ68aが繰り返し押下されたような動作・表示をする。
【0075】
ベット後、操作者がスタートスイッチ66(レバー)の押下に割り当てられた操作(例えば、方向キー22の下方向への操作)をすると、シミュレーション装置は、実機のスロットマシンSMにおいてスタートスイッチ66を押下したかのように動作し、シミュレーション画面60に表示しているスロットマシンSMの各リール61L、61C、および61Rの図柄を変動させる表示(以下「変動表示」という。)を実行する。当該シミュレーション装置においても、実機における第1演出と同等の演出が行われる。
【0076】
変動開始後、操作者がストップスイッチ群67のそれぞれの押下に割り当てられた操作(例えば、□ボタン23c、×ボタン23b、○ボタン23aの押下)をすると、シミュレーション装置は、実機のスロットマシンSMにおいて対応するストップスイッチ67L、67C、または67Rを押下したかのうように動作し、シミュレーション画面60において変動表示されているリール61L、61C、および61Rの図柄の変動を停止させる表示をする。第1停止〜第3停止に相当する操作入力装置20の操作をする度に、当該シミュレーション装置においても実機における第2演出〜第4演出と同等の演出が行われる。
【0077】
以上、ベット→リール回転開始→各リール停止という一連の操作により1プレイの遊技が行われ、全てのリール61L、61C、および61Rが停止したときに有効ライン62a〜62cに特定の図柄の組み合わせが停止しているか否かに応じた抽選結果(入賞役の成立、不成立)の告知がなされる。
【0078】
すなわち、操作者がタイミングよく、□ボタン23c、×ボタン23b、○ボタン23aを押下(すなわち実機でいうストップスイッチ67L、67C、および67Rのそれぞれを押下)して、所望の図柄(「ベル」や「カバン」等の小役図柄や、「BAR」などのRB図柄や、「7」などのBB図柄等)を揃えるスロットゲームを行うことができる。
【0079】
(シミュレーション装置の機能ブロック)
次に本実施形態におけるシミュレーション装置の機能ブロックを説明する。
本シミュレーション装置において、画像表示エリア64に表示される演出画像(図3参照)は、ムービーデータを読み取ることで再生されるムービー画像となっている。リール表示エリア63を含むそれ以外の画像は、モデリング変換、座標変換、マッピング処理により生成される立体画像である。立体画像中の画像表示エリア64にムービー画像が動画テクスチャとしてマッピングされたような画像構成になっている。
【0080】
ムービー画像を表示するためのムービーデータは第1の外部記録媒体44aに記録されており、ムービーデータの読み取りには他の処理に比べて相対的に時間がかかる。本実施形態では、操作入力装置20が操作されたタイミングで遅滞なくムービーの再生が可能となるように本発明の先行演出準備を適用している。以下、その機能ブロックについて説明する。
【0081】
図5は、エンターテイメント装置1のCPU41が、第1の外部記録媒体44aに記録されている本発明に係るシミュレーションプログラムをRAM43に展開し実行することによって実現されるシミュレーション装置としての機能ブロック図である。
【0082】
図5に示すように、本発明のシミュレーション装置は、シミュレーション制御部101、スイッチ割当テーブル102、シミュレーション実行部103、進行ステータス記録部121、先行ステータス記録部122、ムービーデータ記憶部107、モデリング用元データ記憶部108を備えて構成されている。シミュレーション実行部103は、さらに抽選実行部104、演出決定部105、および演出実行部106を備える。
これらの構成のうち、ムービーデータ記憶部107は、図2の第1の外部記憶媒体44aに相当し、スッイチ割当テーブル102、進行ステータス記録部121および先行ステータス記録部122は、ゲーム進行データ記録領域43bに相当し、モデリング用元データ記憶部108は、ゲームプログラム記録領域43aに相当している。シミュレーション制御部101、抽選実行部104、および演出決定部105は、シミュレーションプログラムを実行するCPU41により実現される。演出実行部106は、CPU41の制御に基づいて動作する画像処理部46および音声処理部48に相当する。
【0083】
(シミュレーション制御部101:操作情報変換機能)
シミュレーション制御部101は、操作入力装置20の操作に対応させて実機のゲームプレイのシミュレーションを制御する機能ブロックである。
【0084】
シミュレーション制御部101の役割の一つは、エンターテイメント装置の操作情報を実機用の操作情報に変換することである。後述するように、シミュレーション実行部103の抽選実行部104および演出決定部105は実機で用いられているソフトウェアモジュールにより動作しており、入力情報も実機用の操作情報である。シミュレーション制御部101は、操作入力装置20の操作により入力された操作情報D1を読み込み、実機の各操作スイッチのいずれに割り当てられたスイッチコードであるかを特定し、実機のソフトウェアプログラムが解釈可能な割当操作情報D2として出力する。実機の操作スイッチと操作入力装置20の割当スイッチの対応関係は、スイッチ割当テーブル102に格納されている。例えば、実機のMAXベットスイッチ68bには、操作入力装置20のR1ボタン24aが割り当てられ、実機の1ベット・2ベットスイッチ68aには、操作入力装置20のL1ボタン25aが割り当てられ、実機のスタートスイッチ66(レバー)には、操作入力装置20の方向キー22の下方向への操作が割り当てられ、実機のストップスイッチ67L、67C、および67R(第1停止〜第3停止)には、操作入力装置20の□ボタン23c、×ボタン23b、○ボタン23aがそれぞれ割り当てられている。
【0085】
シミュレーション制御部101の重要なもう一つの役割は、エンターテイメント装置1でシミュレーションするために必要な特別な制御処理を実機で用いられるソフトウェアモジュールにより動作する抽選実行部104および演出決定部105の外側で実行することである。いわばシミュレーション制御部101がアダプタのような役割を果たすことにより、エンターテイメント装置で応答性のよい忠実なシミュレーションを可能としているのである。
【0086】
具体的には、シミュレーション制御部101は、次回のゲームプレイが開始される前の所定のタイミングにおいて、現在進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を進行ステータス記録部121から先行ステータス記録部122に複写する。次いで参照すべきステータス情報を先行ステータス記録部122に複写したステータス情報に指定しながら、次回のゲームプレイのためのシミュレーションを先行させて次回のゲームプレイにおける演出を決定させる。すなわち、先行ステータス記録部122のステータス情報を参照・更新させながら、抽選実行部104に抽選を実行させ、演出決定部105に演出を決定させる。次いで決定された演出に基づいて、演出実行部106に演出の準備を開始させる。その後再び、抽選実行部104および演出決定部105に対し、進行ステータス記録部121に記録された元のステータス情報を利用したシミュレーションを継続させるように制御する。
【0087】
上記次回のゲームプレイが開始される前のタイミングは、具体的には第3停止に相当する操作情報D1が入力された時であり、このタイミングで、次回のゲームプレイにおける演出の決定とその準備開始指示までが行われるのである。
【0088】
(シミュレーション実行部103)
シミュレーション実行部103は、本シミュレーションの中心部であり、現在進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を参照・更新しながら遊技機のゲームプレイをシミュレーションした演出を行う機能ブロックである。シミュレーションを忠実に行うため、シミュレーション実行部103には実機の制御基板に用いられているソフトウェアモジュールがプロセッサやメモリ空間の相違に対応する等の最低限の改変を除きそのまま用いられている。
【0089】
実機のスロットマシンは、典型的に3つの制御基板が相互に協働して動作するようになっている。第一の基板はメイン制御基板であり、法例による規制対象となる抽選実行を行う基板である。メイン制御基板は遊技機の機種によらず共通に用いることが可能である。第二の基板はサブ制御基板であり、メイン制御基板から供給された抽選結果に基づき画像および音響による演出の内容(例えば制御コマンドで特定される)を決定する基板である。サブ制御基板は、演出制御コマンドの体系を共通にしている機種間で共通に用いることができる基板である。第三の基板は画像音響制御基板であり、演出制御コマンドで定められる演出の内容に対応させて遊技機毎に独自の演出画像および演出音響を生成可能に構成された基板である。画像音響制御基板は、機種に特化した基板であり、遊技者が認識できる機能を司る基板である。
【0090】
シミュレーション実行部103のうち、抽選実行部104はメイン制御基板に用いられているソフトウェアモジュールにより機能的に実現されている。演出決定部105はサブ制御基板に用いられているソフトウェアモジュールにより機能的に実現されている。一方、演出実行部106は、エンターテイメント装置で画像および音響の送出が可能なように実機で用いられるソフトウェアモジュールを相当程度改変したプログラムで動作する機能ブロックである。第1の外部記録媒体44aに記憶されているシミュレーションプログラムは、エンターテイメント装置の一つのCPUで実行可能なように、これら複数のソフトウェアモジュールをリロケータブルにコンパイルして構成されている。シミュレーション実行部103の機能を以下説明する。
【0091】
(抽選実行部104)
抽選実行部104は、実機のメイン制御基板をシミュレーションするための機能ブロックである。抽選実行部104に入力された割当操作情報D2は、操作タイミングを知らせる情報として抽選結果D3とは別に演出決定部105に転送される。
【0092】
まず、「コイン投入」に割り当てられた操作情報D2を受信すると、進行ステータス記録部121に記録される獲得コイン数を投入されたコイン数だけ減算して更新するとともに、投入されたコイン数が所定の値(例えば3枚)に達している場合には、進行ステータス記録部121に記録されるスタートフラグをオンにセットする。
【0093】
次いで、スタートフラグがオンにセットされている状態で、「リールの変動開始」に割り当てられた操作情報D2が入力されると、所定範囲(例えば0〜65535)の乱数をソフトウェア的に発生させ、所定の抽選テーブルに規定される乱数の数値と入賞役との対応関係に従って抽選結果(当選の有無および当選の場合の入賞役の種類)を決定する。決定された抽選結果がいずれかの入賞役の当選である場合には、進行ステータス記録部121において当選した入賞役に対応する入賞役フラグがオンにセットされる。
【0094】
次いで、「左リールの回転停止」、「中リールの回転停止」又は「右リールの回転停止」のいずれかに割り当てられた操作情報D2が入力された場合には、各「回転停止」の入力タイミングに応じて特別入賞(大当たり)であるか否かを判定する。特別入賞であると判定された場合には、進行ステータス記録部121の入賞役フラグが更新される。
【0095】
ここで、進行ステータス記録部121に記録されるステータス情報が同じであれば、このソフトウェア的に発生される乱数も同じになり、入賞役も同じとなる。ゲームプレイの進行のために参照されるステータス情報(獲得コイン数、各種フラグ状態)は、通常、進行ステータス記録部121に記録されたステータス情報であるが、上述したように、シミュレーション制御部101の指示によって先行ステータス記録部122に切り替えられる場合がある。
【0096】
(演出決定部105)
演出決定部105は、実機のサブ制御基板をシミュレーションするための機能ブロックであり、操作情報D2および抽選実行部104が決定した抽選結果D3に応じて、画像および音響における演出の内容を決定する。
【0097】
まず、ベット処理に対応した操作情報D2が入力された場合、進行ステータス記録部121に記録されたフラグ状態に応じた演出を定め、その演出を指示する演出制御コマンドD4を出力する。この演出は、例えば、コイン投入数に対応して1ベット・2ベットスイッチ68aやMAXベットスイッチ68bに「ランプ」が点灯するような演出である。
【0098】
また、スタートスイッチ66(レバー)の操作に相当する「リールの変動開始」に割り当てられた操作情報D2が入力されると、リールの変動中に実施する演出内容を定め、対応する演出制御コマンドD4を出力する。この演出は、例えば、スタートスイッチ66(レバー)が押下されたかの如く動く画像と共に、画像表示エリア64に入賞の期待感を高めるような内容の立体画像を表示させる演出である。この演出が「第1演出」である。
【0099】
また、「リールの回動停止」に割り当てられた操作情報D2が入力される度に、それが第1停止か第2停止かに応じた演出内容を定め、対応する演出制御コマンドD4を出力する。この演出は、例えば、ストップスイッチ67L、67C、および67Rのいずれか押下されたストップスイッチの「ランプ」が光り、リールの回動が停止する度に入賞への期待感をさらに高めていくような内容の立体画像を表示させる演出である。第1停止後に送出される演出が「第2演出」、第2停止後に送出される演出が「第3演出」である。
【0100】
そして第3停止に相当する操作情報D2が入力された場合、進行ステータス記録部121に記録された入賞役フラグに応じた演出内容を定め、対応する演出制御コマンドD4を出力する。この演出は、例えば、ストップスイッチ67L、67C、および67Rの最後に押下されたストップスイッチの「ランプ」が光り、入賞の有無に応じた立体画像を画像表示エリア64に表示させるような演出である。第3停止に応じた入賞の有無に応じた演出が「第4演出」である。
【0101】
なお、第3停止に相当する操作情報D2が入力された場合に、進行ステータス記録部121に記録された入賞役フラグが特別入賞を示していた場合には、特別入賞演出を指示する演出制御コマンドD4を送出する。
【0102】
また、ゲームプレイの進行のために参照されるステータス情報(獲得コイン数、各種フラグ状態)は、通常、進行ステータス記録部121に記録されたステータス情報であるが、上述したように、シミュレーション制御部101の指示によって先行ステータス記録部122に切り替えられる場合がある。
【0103】
(演出実行部106)
演出実行部106は、実機の画像音響制御基板をシミュレーションするための機能ブロックであり、演出決定部105から送信された演出制御コマンドD4に対応した演出画像D5および演出音響D6を生成して表示画面31およびスピーカ32のそれぞれに出力する機能ブロックである。
【0104】
図6に演出実行部106の詳細な機能ブロックを示す。
図6に示すように、演出実行部106は、管理部110、ムービー再生部111、画像生成部112、および音響生成部118を備えている。管理部110とムービー再生部111は、本発明の先行演出準備処理に関連して設けられた機能ブロックである。
【0105】
(管理部110)
管理部110は、演出決定部105から送信された演出制御コマンドD4の種類を判別して、演出制御コマンドの種類に対応した演出の実行を管理する機能ブロックである。管理部が必要とされる理由は、本実施形態では、ムービーデータを読み取ってムービーを再生して画像表示エリア64に表示させる演出画像を生成するという比較的準備に時間がかかる処理と、モデリング用元データに基づき演出に対応する立体画像を生成したり演出に対応する音響を生成したりという比較的時間のかからない処理とを併行して進め、両者を同期させなければならないからである。
【0106】
そのため、管理部110は、演出制御コマンドD4がムービー再生を必要とする演出であった場合に(例えば、画像表示エリア64に第1〜第4演出を新たに表示させる場合)、演出に対応するムービーデータの読み取りを開始させる先行演出告知コマンドD7をムービー再生部111に送信する。先行演出予告に対応したムービーの再生準備が完了した旨を示すステータス情報D8がムービー再生部111から送信されてきた場合にはそれを保持する。
【0107】
その後、再び演出決定部105から送信された演出制御コマンドD4が特定の割当スイッチ(例えば、スタートスイッチ66(レバー))の操作を告知するものであった場合には、管理部110は、保持しているステータス情報D8を参照して、再生準備が完了しているムービーの再生開始を指示する演出開始告知コマンドD9をムービー再生部111に出力する。この演出開始告知コマンドD9は、同時に演出制御コマンドD4とともに画像生成部112および音響生成部118に送信される。
【0108】
以上のような管理により、ムービーの再生準備が完了していることを条件に、ムービー再生部111に対してムービー再生が指示される。また画像生成部112に対して、このムービー画像を一部利用した立体画像の生成開始が指示され、音響生成部118に対して、この演出画像に対応した音響の生成が指示される。よって、画像および音響の演出を操作に同期して開始させることができる。
【0109】
(ムービー再生部111)
ムービー再生部111は、管理部110から先行演出告知コマンドD7が送信されてきた場合には、対応するムービーデータをムービーデータ記憶部107から読み取り、当該ムービーの再生準備が完了した場合には、準備完了を示すステータス情報D8を管理部110に送信する機能ブロックである。ムービー再生部111は、CPU41の制御で動作する画像デコーダ46aが相当する。
【0110】
ここで、ムービーデータ記憶部107は、第1の外部記憶媒体44aに相当する大容量記憶部であり、ムービーデータファイルが記録されている。ムービーデータファイルには、複数のムービーデータが所定の動画像圧縮符号化フォーマットで符号化されて、複数のチャプター毎に区分けされて記録されている。各ムービーデータの内容は、実機では画像表示エリア64に表示される立体画像を動画像として記録した画像である。
【0111】
図7に本実施形態におけるムービーデータファイルのフォーマット図を示す。当該フォーマットは一例に過ぎず種々に変形することが可能である。
図7に示すように、ムービーデータファイル200は、インデックス情報201が冒頭に付与され、その後にはチャプター番号202およびムービー画像203からなるチャプタデータに組合せが所定数(ここではN個とする)、一連のものとして構成されている。
【0112】
チャプター番号202は各ムービー画像203のヘッダとなっており、第1の外部記録媒体ドライブ44が各チャプターの頭出しをするために設けられている。ムービー画像203は、動画像圧縮フォーマットで符号化されている。ムービー画像を、この動画像圧縮フォーマットに対応するデコーダで復号化することにより、連続したフレーム画像、すなわち動画像を生成可能となっている。
【0113】
さてムービー再生部111には、管理部110から次々と先行演出告知コマンドD7が送信されてくるのに対し、上記のムービーデータ記憶部107からのムービーデータの読み取りには時間がかかる。管理部110から送信されるコマンドのストックを一つのキューバッファで管理していると、バッファの数が作業保留数そのものとなり、多量のコマンド送信に対応できない可能性がある。そこで本実施形態のムービー再生部111は二重のキューバッファ構造を備えて、これに対応している。
【0114】
図8および図9を参照して、ムービー再生部111の二重キューバッファの動作を説明する。
これら図に示すように、ムービー再生部111は、管理部110からのコマンドを順次スタックしていく第1キューバッファCB1と、第1キューバッファCB1から転送されたコマンドを順次スタックしていく第2キューバッファCB2とを備える。WP1およびRP1は第1キューバッファCB1の書き込みポインタと読み取りポインタであり、WP2およびRP2は第2キューバッファCB2の書き込みポインタと読み取りポインタである。書き込みポインタWP1およびWP2の示すバッファが次に書き込まれる位置を示しており、読み取りポインタRP1およびRP2の示すバッファが次に読み取るべき位置を示している。第1キューバッファCB1は、例えばリングバッファのような構造をしており、コマンドが送信される度に次々スタックしていく。第2キューバッファCB2は、限られた数(ここでは3個)のバッファを備え、ムービーデータの読み取りに係るコマンドをスタックする。
【0115】
図8(a)では、第1キューバッファCB1には管理部110からのコマンドD0〜Dn−1がスタック0〜n−1に格納され、次に読み取られるべき読み取りポインタRP1がスタック0を示している。一方、第2キューバッファCB2からは、現在、ムービーデータD−4の読み取り要求(MS)中であるものとする。この状態では、第2キューバッファCB2の3つのスタック0〜2は順番待ちのコマンドD−3〜D−1で占有されている。このため書き込みポインタWP2はいずれのスタックを指示することもできず、ビジー状態を示している。このため第1キューバッファCB1の読み取りポインタRP1も移動させることができない。しかし、この状態であっても第1キューバッファCB1に対するコマンド書き込みは可能である。
【0116】
図8(b)では、ムービーデータD−4の再生準備完了(RD)が知らされると、第2キューバッファCB2は、読み取りポインタRP2の位置していたスタック0のコマンドD−3に対応したムービーデータの読み取り要求(MS)を出力し、読み取りポインタRP2の位置をスタック1に移動させる。同時に、スタック0を解放し、書き込みポインタWP2をスタック0に位置させる。これに対応して、第1キューバッファCB1の読み取りポインタRP1が位置していたスタック0のコマンドD0が第2キューバッファCB2のスタック0に転送される。第1キューバッファCB1では、転送に伴って読み取りポインタRP1をスタック1に移動させる。
【0117】
図9(a)に示すように、コマンドD0が転送されると、第2キューバッファCB2は再び満杯になるので、書き込みポインタWP2は再びビジー状態を示す。読み取りポインタRP2は、次のムービーデータの読み取りコマンドD−2がスタックされたスタック1に移動する。
【0118】
図9(b)に示すように、ムービーデータD−3の再生準備完了(RD)が知らされると、第2キューバッファCB2は、読み取りポインタRP2の位置していたスタック1のコマンドD−2に対応したムービーデータの読み取り要求(MS)を出力し、読み取りポインタRP2の位置をスタック2に移動させる。同時に、スタック1を解放し、書き込みポインタWP2をスタック1に位置させる。これに対応して、第1キューバッファCB1の読み取りポインタRP1が位置していたスタック1のコマンドD1が第2キューバッファCB2のスタック1に転送される。第1キューバッファCB1では、転送に伴って読み取りポインタRP1をスタック2に移動させる。
【0119】
以上のように、第1キューバッファCB1は、第2キューバッファCB2に解放されているバッファがある場合には、最先のものから順にコマンドを第2キューバッファCB2の解放されているバッファに転送するように動作する。また、第2キューバッファCB2は、スタックされているコマンドのうち最先のものから順にコマンドに対応したムービーデータの読み取り開始を指示し、コマンドがスタックされていたバッファを解放するように動作する。この処理により、ムービー再生部111では、少ないバッファ構成で効率よくコマンドの管理が可能となる。
【0120】
なお、本実施形態では、第1キューバッファCB1および第2キューバッファCB2がともにムービー再生部111に設けられる構造を例示したが、これに限定されない。例えば、第1キューバッファCB1を管理部110に設け、第2キューバッファCB2をムービー再生部111に設けるように構成してもよい。このように構成した場合、管理部110の第1キューバッファCB1は演出決定部105から送信された演出制御コマンドD4を順次スタックしていく。読み取りポインタRP1で示されたバッファの演出制御コマンドが先行演出告知コマンドD7である場合、管理部110はムービー再生部111の第2キューバッファCB2がビジー状態であるか否かを確かめ、ビジー状態でなければその先行演出告知コマンドD7を第2キューバッファCB2の書き込みポインタWP2の示すバッファに転送し、自らの第1キューバッファCB1の読み取りポインタRP1を移動する。ムービー再生部111の第2キューバッファCB2がビジー状態であった場合には、他の制御を滞留させないよう、一時的に読み取りポインタRP1を進めて次の演出制御コマンドD4を処理するようにしてもよい。
【0121】
(画像生成部112)
画像生成部112は、スロットマシンSMの外観を表す立体画像を生成するための機能ブロックであり、モデリング部113、座標変換部114、マッピング部115、出力用メモリ116、および表示制御部117を備えている。以上のうち出力用メモリ116はフレームバッファ46cが相当し、その他はCPU41の制御で動作するGPU46bが相当する。
【0122】
モデリング部113は、オブジェクトデータ記憶部1081に格納されているオブジェクトデータに基づいて拡大縮小・回転・平行移動させるための座標変換演算を行い、オブジェクトを仮想三次元空間に配置するモデリング処理を実行する。具体的には、スロットマシンSMの各部のパーツ形状を定義するポリゴンからなるオブジェクトデータに基づき仮想三次元空間(ワールド座標系)における姿勢と配置を定める。例えば、リールに相当するオブジェクトは、リール表示エリア63に配置される。また、画像表示エリア64には、液晶表示パネルに相当する平面オブジェクトが配置される。
【0123】
座標変換部114は、仮想三次元空間に設定された視点を基準として、モデリング変換後の各オブジェクトに対してビューイング変換を実行し、視点を中心とする座標系に置き換え、さらに正規化座標系に変換する正規化変換を実行する。そして視点から見た画像とするために、正規化されたオブジェクトを所定の投影面に投影するために透視投影変換を行い、シミュレーション画面60に対応する二次元平面におけるオブジェクトの投影位置を定める。
【0124】
マッピング部115は、視点からの距離(z値)に基づいて隠線処理、隠面処理をしてから、適すチャデータ記憶部1082に格納されたテクスチャデータを参照して、テクスチャをオブジェクト表面にマッピングするためのレンダリング処理を実施する。必要に応じてシェーディング処理やシャドウイング処理も併用する。ムービー再生部111からムービー画像D10が出力されている場合には、そのフレームにおける一枚のムービー画像を画像表示エリア64にマッピングする。この処理により、立体画像中にムービー再生によるムービー画像が合成されることになる。
【0125】
以上により、生成されたフレーム画像データは出力用メモリ116に格納される。出力用メモリ116に格納されたフレーム画像データは、画像更新タイミング毎に表示制御部117により読み取られ、フレーム画像からコンポジット形式の映像信号に変換され、表示装置30に出力される。
【0126】
以上の処理によって、画像表示エリア64にムービーデータファイルから再生されたムービー画像が子画面のように嵌め込まれたスロットマシンのシミュレーション画面60が表示されることになる。
【0127】
(音響生成部118)
音響生成部118は、管理部110から転送された演出制御コマンドD4に基づき音源データを読み取って演出に対応した演出音響(信号)D6を生成し、表示装置30のスピーカ32に出力する。ここで管理部110は、ムービーの再生準備が完了しており、かつ、操作部から割当スイッチの操作がされたという条件において演出制御コマンドD4を送出するので、演出音響をスイッチ操作に同期させるとともに演出映像とも同期させることができる。
【0128】
(動作の説明)
次に、本実施形態におけるシミュレーション処理を図10〜図14のフローチャートを参照しながら説明する。
図10は、シミュレーション装置において操作入力装置20が操作された場合のスイッチ取込ルーチンを示している。
操作入力装置20が押下されると、操作入力装置のI/O装置がデコードする、スイッチに対応した一つのスイッチコード(操作情報D1)を出力するようになっている。そのとき、装置本体10における操作入力処理部48は、スイッチが押下された旨を示す割り込みリクエスト信号をCPU41に出力する。図10のフローチャートに示されるルーチンは、この割り込みリクエスト信号が出力された場合にコールされるプログラムであり、CPU41は、割り込みリクエスト信号が出力されると、ステップS10にジャンプし、操作入力処理部48に受信されている操作情報D1を取り込み、スイッチバッファに格納して、当該ルーチンから復帰する。
【0129】
図11は、シミュレーションプログラムのうちシミュレーション制御部101で実行されるシミュレーション制御ルーチンである。当該シミュレーション制御ルーチンは、妥当なタイミング(例えばフレーム期間毎)で繰り返し実行される。
ステップS100において、シミュレーション制御部101は、スイッチバッファを参照する。次いでステップS101に移行し、シミュレーション制御部101は、何らかの操作情報D1がスイッチバッファに受信されていたか否かを判定する。操作情報D1が受信されていなかった場合(NO)、シミュレーション制御部101は、引き続きステップS100のスイッチバッファの監視を継続する。操作情報D1が受信されていた場合(YES)、シミュレーション制御部101は、ステップS102に移行する。
【0130】
ステップS102において、受信された操作入力装置20の操作情報D1を実機の操作スイッチに割り当てた割当操作情報D2に変換する。すなわち、スイッチ割当テーブル102を参照して受信した操作情報D1に対応付けられている実機スロットマシンSMの割当操作情報D2を読み取って出力する。
【0131】
次いでステップS103に移行し、シミュレーション制御部101は、割当操作情報D2によって特定される操作が第3停止に相当する操作であるか否かを判定する。すなわち一つのゲームプレイにおいて、変動しているリールの回動を停止させるストップスイッチ67L、67C、および67Rのうち、最後の操作に該当しているかを判定する。
【0132】
判定の結果、第3停止に相当する操作であると判定した場合には(ステップS103:YES)、ステップS104に移行し、本発明の先行演出準備処理を実行する。一方、第3停止以外の操作であると判定した場合には(NO)、先行演出準備処理をスキップしてステップS105に移行する。
【0133】
図12に先行演出準備処理ルーチンのフローチャートを示す。
先行演出準備処理ルーチンがコールされると、図12に示すように、シミュレーション制御部101は、ステップS120において、今回進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を進行ステータス記録部121から先行ステータス記録部122にそっくり複写する。
【0134】
次いでステップS121において、先行ステータス記録部122に複写されたステータス情報を参照するように、シミュレーション制御部101はシミュレーション実行部103の抽選実行部104および演出決定部105に指示する。この指示により、それまで進行ステータス記録部121に記録されていたステータス情報を参照し、更新しながら進められていた抽選実行部104および演出決定部105が、先行ステータス記録部122に複写されたステータス情報を参照し、更新しながら進められるようになる。ステップS120においてステータス情報はそっくりそのまま複写されているので、ゲームプレイの進行に不具合が生じるおそれはない。
【0135】
以上の先行演出決定のための準備ができたら、ステップS122において、シミュレーション制御部101は、抽選実行部104に対し擬似的に次のゲームプレイを開始させるための処理をする。すなわち実機においてベット処理をさせるための割当操作情報D2を供給してベット状態とし、次いでスタートスイッチ66(レバー)操作に相当する割当操作情報D2を供給して抽選を実行させる。演出実行は止めたままゲーム進行の時計を進めるような処理である。この処理に対応して、抽選実行部104は次のゲームのための抽選結果D3を演出決定部105に送出する。
【0136】
次いでステップS123において、シミュレーション制御部101は、抽選結果D3に基づいて演出決定部105に対応する演出、つまり第1演出を決定させる。先行ステータス記憶部122に記憶されたステータス情報は抽選実行に対応して更新されているので、演出決定部105は実際に抽選が実行された場合と全く同様に動作して、レバー操作後の第1演出を決定し、第1演出の内容を指示する演出制御コマンドD4を出力する。但し、先行ステータス記録部122に記憶されたステータス情報に基づいて演出内容を決定した場合には、先行演出に係る指示であることを示す情報が演出制御コマンドD4に加えられる。
【0137】
次いでステップS124において、シミュレーション制御部101は、先行演出に係る演出制御コマンドD4に基づいて演出実行部106に先行演出準備をさせる。すなわち、先行演出に係る演出制御コマンドD4が供給された場合、演出実行部106の管理部110(図6参照)はムービー再生部111に先行演出告知コマンドD7を出力し、ムービーデータ記憶部107から第1演出に対応するムービー画像を読み取る処理を開始させる。これに対応して、ムービー再生部111はムービーデータ記憶部107に第1演出に係るムービー画像のシーク処理を始める。対応するムービー画像が発見できたら、ムービー再生部111は、そのムービー画像を読み取って動画像圧縮フォーマットに従って復号化処理を実行し、複数からなる一連のフレーム画像を生成する。対応するムービー画像の再生準備が完了したら、ムービー再生部111はステータス情報D8を管理部110に送信する。
【0138】
次いでステップS125において、シミュレーション制御部101は、先行演出準備をすべき演出が残っているかを判定する。本実施形態の先行演出準備では、第4演出まで総ての演出を準備する。よって、第4演出の先行演出準備が完了していない限り(NO)、再びシミュレーション制御部101は、抽選実行部104による処理(S122)、演出決定部105による演出決定処理(S113)、演出実行部106によるムービー画像の読み取り指示(S124)を繰り返す。
【0139】
第2演出および第3演出では、第1停止および第2停止の操作に対応するシミュレーション処理であるため、抽選実行部104は割当操作情報D2の入力タイミングに応じた図柄を決定し、演出決定部105は決定した図柄に応じて第2演出および第3演出を決定し、演出実行部106は決定した第2演出および第3演出に対応するムービー画像の読み取りを指示する。
【0140】
第4演出では、第3停止の操作に対応するシミュレーション処理であり、抽選実行部104は割当操作情報D2の入力タイミングに応じた最終図柄を決定する。演出決定部105は決定した最終図柄と第1停止および第2停止により停止した図柄との組合せに応じた最終の第4演出を決定する。何らかの入賞役が定まっている場合には、この第4演出は入賞役に対応している。演出実行部106は決定した第4演出に対応するムービー画像の読み取りを指示する。
【0141】
ステップS125において、第4演出まで総ての演出準備が完了していた場合(YES)、シミュレーション制御部101は、ステップS126に移行し、特別入賞の場合の先行演出準備処理を実行する。特別入賞は操作入力装置20の操作タイミングで定まるため、実際のゲームプレイで特別入賞するか否かを予め判定することはできない。そこで、実際のゲームプレイにおいて特別入賞となった場合の演出も先行して準備しておくのである。シミュレーション制御部101は、抽選実行部104に対して特定の図柄を揃えさせる処理をする。例えば、図柄が「7」「7」「7」と揃うようにする。抽選実行部104は特別入賞がされたものとして動作し、ステータス情報を更新する。演出決定部104は、このステータス情報を参照して、特別入賞のための演出を決定し、演出制御コマンドD4を出力する。演出実行部106は、この特別入賞のための演出に対応したムービー画像の読み取りを開始する。
【0142】
以上の処理により、ムービー再生部111では、次回のゲームプレイで可能性のある総ての演出に対応したムービー画像の読み取りが開始され、準備ができ次第、ステータス情報D8が出力される。
【0143】
最後にステップS127に移行し、シミュレーション制御部101は、再び進行ステータス記録部121に記録されている元のステータス情報を参照するように抽選実行部104および演出決定部105に指示する。この指示により、先行ステータス記録部122に記録されていたステータス情報に基づき先行して内部的に進められていた次回のゲームプレイが中断され、ステータス情報を切り替えた時点(前回のゲームプレイの第3停止後)から並行処理されていたゲームプレイの処理のみが継続される。
以上の先行演出準備処理が終了すると、図11に示すシミュレーション制御に復帰する。
【0144】
図11のステップS105において、操作入力装置20においてレバー操作に相当する操作がされているか否かが判定される。これらの操作がされていた場合(YES)、ステップS106において、シミュレーション制御部101は、演出実行部106に第1演出のムービー再生準備が完了しているか否かを問い合わせる。第1演出のムービー再生準備が完了していた場合(S106:YES)、シミュレーション制御部101は、演出実行部106の管理部110に対して、演出開始告知コマンドD9をムービー再生部111に出力させる。これに対応して、ステップS107において、第1演出のムービー画像D10が画像生成部112に出力される。次いでステップS108において、シミュレーション制御部101は、画像生成部112に対して、第1演出のムービー画像をテクスチャとして画像表示エリア64にマッピングしたシミュレーション画面60を表示させる演出画像D5を出力させる。また音響生成部118に対して第1演出に対応した音響信号を生成させ演出音響D6として出力させる。
【0145】
また、操作入力装置20において第1停止〜第3停止に相当する操作がされた場合であって(S105:YES)、第1停止〜第3停止に対応する第2演出〜第4演出のムービー再生準備が完了していた場合(S106:YES)、同様にして、第2演出〜第4演出のムービー画像D10が画像生成部112に出力され、ステップS108において、第2演出〜第4演出のムービー画像をテクスチャとして画像表示エリア64にマッピングしたシミュレーション画面60を表示させる演出画像D5が出力される。第2演出〜第4演出に対応した演出音響D6が出力される。
【0146】
もしも、操作入力20における第1停止〜第3停止に相当する操作のタイミングが特別入賞となった場合、特別入賞に対応する演出のムービー再生準備が完了していれば、同様に特別演出のムービー画像D10が画像生成部112に出力され、ステップS108において、特別演出のムービー画像がテクスチャとして画像表示エリア64にマッピングされたシミュレーション画面60を表示する演出画像D5が出力され、それに対応した演出音響D6が出力される。
【0147】
なお、ステップS106において、対応する演出の演出準備が完了していなかった場合(NO)、すなわちムービー画像の読み取りが完了していない場合、シミュレーション制御部101は、ステップS109に移行し、再生準備が完了している他のムービーが存在するか否かを判定する。そのようなムービーが存在した場合には(YES)、ステップS110に移行し、代行してそのムービーの再生を開始させる。
【0148】
一方、他のムービーが存在しない場合(NO)には、そのままステップS109に移行する。このような場合には、現在表示中のムービー画像が頭から繰り返し再生される。
【0149】
図13に演出実行部106の管理部110におけるムービー再生部111に対する演出準備告知処理のフローチャートを示し、図14に演出準備完了処理のフローチャートを示す。
図13のステップS130において、演出決定部105から送信された演出制御コマンドD4が先行演出制御コマンドであるかを管理部110が判定する。先行演出制御コマンドであった場合(YES)、ステップS131に移行し、管理部110はステータス情報がRDYであるか、すなわち、前回に先行演出準備を告知した演出に係るムービーデータの読み取りが完了しているか否かを判定する。ステータス情報がRDYであった場合(YES)、ムービー再生部111はムービーデータの読み取り処理が可能な状態であることを意味するので、管理部110はステップS132において送信された演出制御コマンドD4が示す演出内容を先行読み取りさせる先行演出告知コマンドをムービー再生部111に送信する。そしてステップS133においてステータス情報をBUSYに書き換える。上記処理によりムービー再生部111によるムービーデータの読み取りが開始され、ムービー再生部111から準備完了を示すステータス情報が送信されるまで管理部110内部のステータス情報はBUSYとなる。
【0150】
一方、図14のステップS140において、ムービー再生部111からステータス情報D8が送信されてきた場合(YES)、管理部110はステップS141においてステータス情報をRDYに書き換える。この処理により、再び新たな先行演出準備が可能な状態となる。以上の処理によって、ムービーデータの読み取りが完了する毎に次のムービーデータの読み取りが行われるように制御することが可能となっている。
【0151】
図15に上記実施形態1における演出の先行準備タイミングと再生開始タイミングとを示すタイミングチャートを示す。
図15に示すように、シミュレーション装置は、直前のゲームの所定のタイミング、すなわち第3停止が操作されたことを契機として、ゲームプレイのステータス情報が一旦複写され、複写されたステータス情報を参照・更新しながら、内部処理として次回ゲームの第3停止操作時までゲームプレイを先行する。すなわち、画像・音響の演出を変更しない状態で、シミュレーション実行部103に対して、ベット処理・レバー操作に対応する操作情報を入力し、抽選を実行させ、第1演出を決定させ、第1演出に対応するムービーデータの読み取りを開始させる。さらにシミュレーション実行部103に対して第1停止〜第3停止に相当する操作情報を入力し、第2演出、第3演出、第4演出に対応するムービーデータの読み取りを順次開始させる。
【0152】
その後、複写時のゲームプレイのステータス情報を参照・更新しながらのゲームプレイが再開されるので、遊技者の操作に応じてベット、レバー操作、第1停止〜第3停止の各操作情報が入力された場合には、シミュレーション装置は操作タイミングで既に再生準備が完了しているムービー画像を利用した演出画像を生成していくことが可能となる。
【0153】
(本実施形態の利点)
本実施形態によれば、次のような利点がある。
(1)本実施形態のシミュレーション装置によれば、複写したステータス情報を利用して内部処理におけるゲームプレイを先行させて次回のゲームプレイにおける演出を先行して決定し、時間を要するムービー画像の再生準備を指示してから、再び元のステータス情報に基づくゲームプレイに戻すので、遊技者の操作時には既にムービーを再生することが可能となっており、遅滞なく演出送出を開始することが可能である。
【0154】
(2)本実施形態のシミュレーション装置によれば、遊技者の停止ボタンの操作に応じる特別入賞の場合の演出画像に対応したムービー画像を先行して準備させるので、遊技者の操作に応じて特別入賞となった場合でも遅滞なく特別入賞の演出画像の再生を開始させることが可能である。
【0155】
(3)本実施形態のシミュレーション装置によれば、管理部110がムービー再生部111からのステータス情報によりムービーの再生準備が完了したことを把握できた場合に画像生成部112における立体画像生成を開始するように構成したので、立体画像とムービー画像との同期をとることが可能である。
【0156】
(4)本実施形態のシミュレーション装置によれば、管理部110がムービー再生部111の準備状況をモニターするようにしたので、抽選実行部104や演出決定部105におけるムービー再生の管理負担を軽減することが可能である。
【0157】
(5)本実施形態のシミュレーション装置によれば、第1キューバッファCB1と第2キューバッファCB2の二重キューバッファ構造としたので、多数のコマンドが送られた場合であっても、オーバーフローさせることなく、遅滞なく、本発明のムービー再生準備処理のように時間の係るコマンド処理を行うことが可能である。
【0158】
(変形例)
本発明は、上記に限定されることなく種々に変形して実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、直前のゲームプレイの第3停止を契機として次回のゲームプレイの先行演出準備を開始していたがこのタイミングに限定されない。例えば、電源投入後はまだ操作情報が入力されていない。またメモリーカードからゲームデータをロードした場合にもステータス情報が更新され、ゲームプレイの進捗情報が変更されるので、それまで先行演出準備がされていた演出があったとしてもそれを利用できない。このような場合には図16に示すように本発明を適用することが可能である。
【0159】
図16のステップS150において、電源投入時の所定タイミングまたはゲームデータがロードされたか否かが判定され、このような状況であると判定された場合には(YES)、ステップS151において図12で説明したような先行演出準備処理が実行される。
【0160】
ここで、電源投入時の所定タイミングとは、例えば上記実施形態では、図4(a)の「ゲームスタート」アイコン51を操作したような場合やメニュー設定画面でゲームプレイのステータスを変更したような場合が考えられる。
【0161】
また、上記実施形態では、時間のかかる演出として外部記憶媒体に記録されたムービーデータの読み取りと再生準備を例示したがこれに限られない。例えば、インターネット等の比較的時間のかかる通信網を経由して情報を取得するような場合にも、その情報の取得に本発明を適用することが可能である。
【0162】
また、上記実施形態では、演出表示エリア64にムービー画像をマッピングし、その他の部分を立体画像で構成するようにしたが、これに限定されない。例えば、リール表示エリア63をムービー画像とすることも可能である。
【0163】
また、上記実施形態では、スロットマシンのシミュレーションに本発明を適用したが、これに限定されず、パチンコ機等の遊技機のシミュレーション装置やゲーム一般のシミュレーション装置に本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】本発明の実施形態に係るエンターテイメント装置(シミュレーション装置)の構成図
【図2】本発明の実施形態に係るシミュレーション装置の電気的ブロック図
【図3】実機のスロットマシンSMのフロントパネル構成図
【図4】シミュレーション装置の画像表示例であり、(a)はトップ画面、(b)はシミュレーション画面の表示例
【図5】本発明の実施形態に係る機能ブロック図
【図6】演出実行部の詳細な機能ブロック図
【図7】本実施形態のムービーデータファイルのフォーマット説明図
【図8】ムービー再生部におけるキューバッファ動作説明図(その1)
【図9】ムービー再生部におけるキューバッファ動作説明図(その2)
【図10】操作スイッチ取込処理を示すフローチャート
【図11】シミュレーション処理を示すフローチャート
【図12】先行演出準備処理を示すフローチャート
【図13】先行演出告知処理を示すフローチャート
【図14】先行演出完了処理を示すフローチャート
【図15】本実施形態の先行演出準備の概要を示すタイミングチャート
【図16】シミュレーション制御の変形例を示すフローチャート
【符号の説明】
【0165】
SM スロットマシン
1 エンターテイメント装置(シミュレーション装置)
10 装置本体
20 操作入力装置
30 表示装置
41 CPU
42 ROM
43 RAM
43a ゲームプログラム記録領域
43b ゲーム進行データ記録領域
44 第1の外部記録媒体ドライブ
44a 第1の外部記録媒体(DVD−ROM等)
45 第2の外部記録媒体ドライブ
45a 第2の外部記録媒体
46 画像処理部
46a 画像デコーダ
46b GPU
46c フレームバッファ
46d ディスプレイコントローラ
47 音声処理部
48 操作入力処理部
49 電源供給インターフェース部
60 シミュレーション画面
61 リール群
61L 左リール
61C 中リール
61R 右リール
63 リール表示エリア
64 画像表示エリア
65 メダル投入口
66 スタートスイッチ
67 ストップスイッチ群
67L 左ストップスイッチ
67C 中ストップスイッチ
67R 右ストップスイッチ
68 ベットスイッチ群
68a 1ベット・2ベットスイッチ
68b MAXベットスイッチ
101 シミュレーション制御部
102 スイッチ割当テーブル
103 シミュレーション実行部
104 抽選実行部
105 演出決定部
106 演出実行部
107 ムービーデータ記憶部
108 モデリング用元データ記憶部
121 進行ステータス記憶部
122 先行ステータス記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機のゲームプレイのシミュレーション装置であって、
該遊技機の操作スイッチの各々に対応する割当スイッチが割り当てられた操作部と、
該操作部の操作に対応させて該遊技機のゲームプレイのシミュレーションを制御するシミュレーション制御部と、
該シミュレーション制御部の制御に対応して、進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を参照・更新しながら該遊技機のゲームプレイをシミュレーションした演出を行うシミュレーション実行部と、を備え、
該シミュレーション制御部は、
次回のゲームプレイが開始される前の所定のタイミングにおいて該進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を複写し、
複写した該ステータス情報を参照・更新しながら該次回のゲームプレイのためのシミュレーションを先行させて該次回のゲームプレイにおける演出を決定させ、
決定された該演出に基づいて該演出の準備を開始させ、
該演出の準備を開始させた後に、再び該進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を利用したシミュレーションを継続させること、
を特徴とするシミュレーション装置。
【請求項2】
前記シミュレーション実行部は、
前記遊技機における抽選を実行する抽選実行部と、
該抽選の結果に対応して演出を決定する演出決定部と、
決定された該演出に対応した演出を実行する演出実行部と、を備え、
該演出実行部は、
前記次回のゲームプレイにおける演出が告知された場合には該演出の準備として該演出に対応するムービーデータの読み取りを開始する、
請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項3】
前記次回のゲームプレイが開始される前のタイミングは、直前のゲームプレイの最後に操作される割当スイッチが操作された時である、
請求項1または2に記載のシミュレーション装置。
【請求項4】
前記次回のゲームプレイが開始される前のタイミングは、電源投入またはゲームデータロード後の予め定められたタイミングである、
請求項1または2に記載のシミュレーション装置。
【請求項5】
前記決定された演出は、前記操作部の操作に応じて選択されうる複数種類の演出であり、
該複数種類の演出の各々の準備が開始される、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシミュレーション装置。
【請求項6】
前記複数種類の演出の各々に前記操作部の割当スイッチが対応付けられており、
当該割当スイッチの各々が操作される度に対応付けられた一つの演出の再生が開始される、請求項5に記載のシミュレーション装置。
【請求項7】
前記演出実行部は、
前記演出決定部から送信されたコマンドの種類を判別して該コマンドの種類に対応した演出の実行を管理する管理部と、
決定された前記演出が告知された場合に該演出に対応するムービーデータの読み取りを開始し、前記割当スイッチの操作が告知された場合に再生準備が完了した該ムービーデータに基づくムービーの再生を開始するムービー再生部と、を備え、
該管理部は、前記演出決定部から送信されたコマンドが決定された前記演出を告知するものであった場合に当該演出に対応するムービーデータの読み取りを開始させるコマンドを該ムービー再生部に送信し、
該ムービー再生部は、該ムービーデータを読み取ることにより該ムービーの再生準備が完了した場合に準備完了を示すステータス情報を該管理部に送信し、
該管理部は、前記演出決定部から送信されたコマンドが前記割当スイッチの操作を告知するものであった場合に再生準備が完了している前記ムービーの再生を開始する、
請求項2乃至6のいずれか一項に記載のシミュレーション装置。
【請求項8】
前記演出実行部は、
各該演出に対応したモデリングを伴う画像生成処理を実行する画像生成部をさらに備え、
該画像生成部は、前記ムービー再生部から該ムービーの再生準備が完了した旨の該ステータス情報が送信された場合に当該ムービーに対応する演出の画像生成処理を実行する、
請求項7に記載のシミュレーション装置。
【請求項9】
前記ムービー再生部は、
前記管理部から送信されたコマンドを順次スタックしていく第1のキューバッファと、
所定数のバッファを備え、前記第1のキューバッファから転送されたコマンドを該バッファに順次スタックしていく第2のキューバッファと、を備え、
前記第1のキューバッファは、前記第2のキューバッファに解放されている該バッファがある場合に最先のものから順に該コマンドを前記第2のキューバッファの解放されているバッファに転送し、
前記第2のキューバッファは、スタックされているコマンドのうち最先のものから順に該コマンドに対応したムービーデータの読み取り開始を指示し、当該コマンドがスタックされていたバッファを解放する、
請求項7または8に記載のシミュレーション装置。
【請求項10】
前記抽選結果が前記ムービーの再生を必要としない場合であってもいずれかのムービーデータの読み取りを行う、
請求項2に記載のシミュレーション装置。
【請求項11】
遊技機のゲームプレイをシミュレーション装置において実行するためのシミュレーションプログラムであって、
該シミュレーション装置は、
該遊技機の操作スイッチの各々に対応する割当スイッチが割り当てられた操作部と、
該操作部の操作に対応させて該遊技機のゲームプレイのシミュレーションを制御するシミュレーション制御部と、
該シミュレーション制御部の制御に対応して、進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を参照・更新しながら該遊技機のゲームプレイをシミュレーションした演出を行うシミュレーション実行部と、を備え、
該シミュレーション制御部に、
次回のゲームプレイが開始される前の所定のタイミングにおいて該進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を複写する機能と、
複写した該ステータス情報を参照・更新しながら該次回のゲームプレイのためのシミュレーションを先行させて該次回のゲームプレイにおける演出を決定させる機能と、
決定された該演出に基づいて該演出の準備を開始させる機能と、
該演出の準備を開始させた後に、再び該進行中のゲームプレイにおけるステータス情報を利用したシミュレーションを継続させる機能と、
を実行させるためのシミュレーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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