説明

シャジクソウ属植物、大豆属植物、イチョウ属植物からセコイトール含有抽出物を取得する方法及び用途

本発明は、シャジクソウ属、大豆属またはイチョウ属から、セコイトール含有抽出物を取得する方法と、当該方法を利用して取得される抽出物と、糖尿病及びその合併症の薬物を製造するための前記抽出物の使用を提供する。前述の方法は、下記のステップを含む:溶媒で抽出し、溶媒を回収してエキスを得、エキスに対して二相抽出し及びカラムクロマトグラフィーで処理し、セコイトールを含有する分留を収集し、濃縮し、濾過し且つ乾燥する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年5月30日に中国特許局に出願された、出願番号200710028333.5、発明の名称「幾つかの常見植物から抽出物を取得する方法及び当該抽出物の用途」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容を本出願の中に引用する。
【0002】
本発明は、セコイトール(sequoyitol)含有抽出物を取得する方法及び用途に関する。特に、シャジクソウ属植物、大豆属植物、イチョウ属植物からセコイトール含有抽出物を取得する方法、当該方法により得られるセコイトール含有抽出物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0003】
糖尿病(東洋医学では消渇症と呼ばれる)は、臨床の常見病である。その病因は複雑で、合併症が多く、治癒率が低いので、国際医学上の難題になっている。世界保健機関(WHO)によって二番目に大きい疾病に列されている。我が国では、約8000万の糖尿病患者が有り、彼らは病気の苦しみを深く受けて、その合併症が患者を軽度障害にさせ、重い場合は命を危うくする。
【0004】
糖尿病は、高血糖を特徴とする代謝性疾患であり、心臓、脳、腎臓、下肢等の臓器の血管病変を容易に引き起こすとともに、高血圧、心臓病、糖尿病性腎臓病等の重大な結果を招来する。現在のところ、糖尿病の発病メカニズムは、まだ十分に明瞭ではなく、糖尿病を治療する主な手段は、高血糖を低下すること、及び合併症を予防・治療することである。通常の化学薬品は副作用が大きく、抗薬性が強く、インスリンの価格が高いので、一般的な家庭では受け入れ難いため、天然植物から安全、有効且つコストも低い糖尿病の治療薬物を探すことには、深い意味が有る。
【0005】
イノシトール(inositol)類分子は、myo-イノシトール及びD-chiro-イノシトールを代表として、インスリン作用のシグナル伝達過程において重要な作用を奏するという文献報告がある。動物実験の結果から分かるように、イノシトールは、インスリン機能を促進し、血糖濃度、血中のインスリン及び血中のトリグリセリドの水準等を低下することができ、且つ、糖尿病網膜の毛細血管の周囲の細胞に対して一定の保護作用を有し、そのイノシトール類のメチル誘導体も同様に血糖を低下する作用を有する。
【0006】
本発明は、天然植物からセコイトールを抽出して得たものである。当該セコイトールは、myo-イノシトール誘導体類化合物に属し、薬理研究により、それは糖尿病を予防及び治療する作用を有することが明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
出願番号02144302.5である中国特許出願には、イチイから分離されたセコイトールは、糖尿病モデルの高血糖を著しく低下し、肝グリコーゲンの分解及びブドウ糖の吸収を抑制することができ、しかもその毒性は極めて低く、価値が有る抗糖尿病薬物であることが開示されている。しかし、イチイは国家保護植物に属し、資源が乏しく、イチイからセコイトールを抽出することはコストが高い。
【0008】
本発明の一つの目的は、シャジクソウ属植物、大豆属植物、イチョウ属植物からセコイトール含有抽出物を取得する方法を提供することである。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、上述の方法を利用して製造したセコイトール含有抽出物を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、糖尿病及びその合併症を治療する薬物を製造するための、上述セコイトール含有抽出物又はその薬用できる塩の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1.上記目的を達成する本発明に係るシャジクソウ属植物、大豆属植物、イチョウ属植物からセコイトール含有抽出物を取得する方法は、溶媒で抽出し、溶媒を回収してエキスを得、エキスに対して二相抽出し及びカラムクロマトグラフィーで処理し、セコイトールを含有する分留を収集し、濃縮し、濾過し且つ乾燥するステップを含む。
【0012】
2.前記シャジクソウ属植物は、下記物質:ムラサキツメクサ、シロツメクサ、ベニバナツメクサ、エジプトクローバ、クスダマツメクサ、コメツブツメクサ、大花シャジクソウ、ツメクサダマシ、延辺シャジクソウ、アルサイククローバ、変種白花野火球、原変種野火球、ジグザグクローバ、テマリツメクサ、野火球、またはこれらからなる群より選択されるものであり;
前記大豆属植物は、下記物質:大豆、原変種広葉蔓豆、澎湖大豆、狭葉白花野大豆、ミヤコジマツルマメ、広葉蔓豆、ヒロハヤブマメ、白花野大豆、白花広葉蔓豆、原変種ツルマメ、ツルマメ等、またはこれらからなる群より選択されるものであり;
前記イチョウ属植物は、下記物質:原栽培変種イチョウ、イチョウ、鴨尾イチョウ、小佛手、無心イチョウ、桐子果、棉花果、卵果佛手、オリーブ佛手、佛指、洞庭皇、大梅核、大馬鈴、またはこれらからなる群より選択されるものであることが好ましい。
【0013】
3.前記の溶媒での抽出における溶媒は、下記物質:エタノール、メタノール、アセトン、水、またはこれらからなる群より選択されるものであることが好ましい。
【0014】
4.抽出の温度は0℃乃至前記溶媒の還流温度であり、好ましくは室温乃至前記溶媒の還流温度であり、より好ましくは前記溶媒の還流温度である。
【0015】
5.前記溶媒とシャジクソウ属植物、大豆属植物、イチョウ属植物との重量体積比は1:0.5〜15であり、好ましくは1:2〜10であり、より好ましくは1:3〜5である。
【0016】
6.前記溶媒で抽出する回数は2〜4回であることが好ましい。
【0017】
7.前記二相抽出に用いられる溶媒は、疎水性の有機溶媒、及び水であることが好ましい。
【0018】
8.前記疎水性の有機溶媒は、下記物質:酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、エチルエーテル、石油エーテル及びn−ブチノール、またはこれらからなる群より選択されるものであることが好ましい。
【0019】
9.前記疎水性の有機溶媒と水との体積比は、1:0.5〜10であることが好ましい。
【0020】
10.前記カラムクロマトグラフィーは、マクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィー、デキストランカラムクロマトグラフィー、改質デキストランカラムクロマトグラフィー、セルロースカラムクロマトグラフィー、活性炭カラムクロマトグラフィー、イオン交換樹脂カラムクロマトグラフィーであることが好ましい。
【0021】
11.濾過した後乾燥する前に、純化ステップを含むことが好ましい。
【0022】
12.この純化ステップは、カラムクロマトグラフィーであることが好ましい。カラムクロマトグラフィーは、マクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィー、デキストランカラムクロマトグラフィー、改質デキストランカラムクロマトグラフィー、セルロースカラムクロマトグラフィー、活性炭カラムクロマトグラフィー、イオン交換樹脂カラムクロマトグラフィーであってもよい。
【0023】
13.本発明は、さらに、上述のセコイトール含有抽出物を取得する方法により製造された抽出物を提供する。
【0024】
14.本発明は、さらに、糖尿病及びその合併症を治療する薬物を製造するための、上述の製造した抽出物又はその医薬に用いることができる塩の使用を提供する。
【0025】
15.前記その医薬に用いることができる塩は、下記セコイトールの塩類:
セコイトールのクエン酸塩、酒石酸塩、醋酸塩、乳酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩及びアルミニウム塩、またはこれらからなる群を含むことが好ましい。
【0026】
16.前記合併症は、眼部病変、腎臓部病変、神経病変、冠状動脈性心臓病、脳血管病変、外周血管病変を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るシャジクソウ属植物、大豆属植物、イチョウ属植物からセコイトール含有抽出物を取得する方法は、従来技術と比べて、シャジクソウ属植物、大豆属植物、イチョウ属植物の自身の特長により、よりすぐれた抽出プロセスを提出し、工業に用いられる生産プロセス経路を形成しているものである。このような方法を採用して取得したセコイトールの抽出物は、抗糖尿病の活性を有し、且つ毒性が低い。前記抽出物の主要な有効成分はセコイトールであり、その含有量が10.00%〜99.99%であることができ、動物実験はその抽出物が血糖濃度を明らかに低下することができることを証明している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例10におけるセコイトールのエレクトロスプレーイオン化−マススペクトラム(ESI-MS図)
【図2】実施例10におけるセコイトールの水素核磁気共鳴スペクトル(1H NMR図、400MHz, CD3OD)
【図3】実施例10におけるセコイトールの水素核磁気共鳴スペクトル(1H NMR図、400MHz, CD3OD)
【図4】実施例10におけるセコイトールの炭素核磁気共鳴スペクトル(13C NMR図、100MHz, CD3OD)
【図5】実施例11における高速液体クロマトグラフィーによる測定のセコイトールのピークが出る時間のチャート
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の技術案に対して詳細に説明する。
【0030】
本発明は、シャジクソウ属(Trifolium)植物、大豆属(Leguminosae)植物、イチョウ属(Ginkgoaceae)植物から、抗糖尿病の活性を有する且つ毒性が低いセコイトール含有抽出物を抽出、分離する方法を提供する。好ましくは、シャジクソウ属(Trifolium)植物は、ムラサキツメクサ(T. pratense)、シロツメクサ(T. repens)、ベニバナツメクサ(T. incarnatum)、エジプトクローバ(T. alexandrinum)、クスダマツメクサ(T. campestre)、コメツブツメクサ(T. dubium)、大花シャジクソウ(T. eximium )、ツメクサダマシ(T. fragiferum)、延辺シャジクソウ(T. gordejevi)、アルサイククローバ(T. hybridum)、変種白花野火球(T. lupinaster var. albiflorum)、原変種野火球(T. lupinaster var. lupinaster)、ジグザグクローバ(T. medium)、テマリツメクサ(T. strepens)、野火球(T. lupinaster)等から選択され;大豆属(Leguminosae)植物は、大豆(Glycine max (Linn.) Merr.)、原変種広葉蔓豆(Glycine gracilis Skv. Var. gracilis)、澎湖大豆(Glycine clandestine Wendl.)、狭葉白花野大豆(Glycine soja Sieb. et Zucc. var. albiflora f. angustifolia P.Y. Fu et Y. A. Chen)、ミヤコジマツルマメ(Glycine tabacina Benth.)、広葉蔓豆(Glycine gracilis Skv.)、ヒロハヤブマメ(Glycine tomentella Hayata)、白花野大豆(Glycine soja Sieb. et. Zucc. Var albiflora P.Y.Fu et Y.A. Chen)、白花広葉蔓豆(Glycine gracilis Skv. var. nigra Skv.)、原変種ツルマメ(Glycine soja Sieb. et. Zucc. var. soja)、ツルマメ (Glycine soja Sieb. et. Zucc.)等から選択される。
【0031】
溶媒で抽出し、溶媒を回収してエキスを得、エキスに対して二相抽出し及びカラムクロマトグラフィーで処理し、セコイトールを含有する分留を収集し、濃縮し、濾過し、乾燥するステップを含む、シャジクソウ属植物、大豆属植物、イチョウ属植物からセコイトール含有抽出物を取得する方法により得られるセコイトール含有抽出物は、通常、結晶状粉末であり、セコイトールの含有量が99%以上に達することができる。
【0032】
上述方法を利用して取得したセコイトール含有抽出物は、糖尿病及びその合併症を治療する薬物又は医薬組成物の製造に用いることができ、1種又は複数種の補助剤及び/又は賦形剤と組み合わせて注射剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、糖衣錠剤、溶液剤等の薬物剤形及びその上述の剤形の徐放製剤及びターゲット製剤等を製造することができる。
【0033】
製剤に使用できるものは、セコイトールであってもよく、既知の方法でセコイトールを、相応する酸、塩基と反応させて得られる、セコイトールの医薬に用いることができる塩であってもよい。
【0034】
上述の方法を利用して取得したセコイトール含有抽出物は、糖尿病を治療する薬物の製造に用いられ、糖尿病高血糖を著しく低下し、肝グリコーゲンの分解及びブドウ糖の吸収を抑制し、血脂を低下し、及びラジカル代謝を改善し、並びにランゲルハンス島β細胞を保護することができ、しかも、毒性が極めて低い。上述の方法を利用して取得したセコイトール含有抽出物は、糖尿病及びその合併症の予防と治療、その他の糖代謝異常に関与する疾患、ラジカル代謝の改善、II型糖尿病及び合併症の予防及び治療にも用いることができる。
【0035】
より具体的には、本発明に係るシャジクソウ属植物、大豆属植物、イチョウ属植物からセコイトール含有抽出物を取得する方法は、通常、以下のような操作ステップを含む:シャジクソウ属植物、大豆属植物、イチョウ属植物の枝葉等の部位を乾燥するまで晒し、粉砕し;例えばエタノール、メタノール、アセトン、これらの含水物又はこれらの混合物等の溶媒で、0℃乃至還流の温度で、好ましくは室温乃至還流の温度で、より好ましくは還流の温度で抽出し、用いられる溶媒の量は1:0.5〜15(重量/体積)であり、好ましくは1:2〜10(重量/体積)であり、より好ましくは1:3〜5(重量/体積)であり、2〜4回抽出することが好ましい;減圧濃縮してエキスを得、エキスを疎水性の有機溶媒(例えば酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、エチルエーテル、石油エーテル等)/水で二相抽出し、有機層を除去する。前記抽出剤は1:0.5〜10(体積/体積)の有機溶媒/水であることが好ましい;水層を合わせて、濾過し、カラムクロマトグラフィーにより分離し、前記カラムクロマトグラフィーはマクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィー(例えばD101型、MN-200型(PUROLITE)等)、デキストランG又は改質デキストランカラムクロマトグラフィー(例えばsephadex-LH-20等)、セルロースカラムクロマトグラフィー、活性炭カラムクロマトグラフィー及びイオン交換カラムクロマトグラフィーであってもよく、相応する溶出液で溶出し、同時に溶出液を検測し;セコイトールを含有する分留を収集し、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより純化し、前記カラムクロマトグラフィーはマクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィー(例えばD101型、MN-200型(PUROLITE)等)、デキストランG又は改質デキストランカラムクロマトグラフィー(例えばsephadex-LH-20等)、セルロースカラムクロマトグラフィー、活性炭カラムクロマトグラフィー及びイオン交換樹脂カラムクロマトグラフィーの何れかであってもよい。セコイトールを含有する分留を合わせて、減圧濃縮し、静置し、濾過して固形物を得、例えばエタノール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトンでこれらの含水物又はこれらの混合物を再結晶させ、乾燥した植物抽出物の粉末が得られる。最終的な産物は結晶状粉末であり、主要な有効成分はセコイトールであり、含有量が10.00%〜99.99%である。
【0036】
本発明に係る方法におけるカラムクロマトグラフィーの溶出液に対する測定は、下記の方法を使用することができる。
【0037】
薄層クロマトグラフィー:F254薄層板を採用し、測定すべき液と対照溶液(セコイトール水溶液)10μl(マイクロリットル)をそれぞれ吸い取り、薄層板にスポットし、n−ブチノール:酢酸エチル:水(3.5:6.5:1(体積比))を展開剤とし、過マンガン酸カリウム−水酸化ナトリウムで顕色する。溶液の主なスポットのRf値と対照品のスポットのRf値とは同じであり、正反応である。
【0038】
本発明に係る抽出物の主要な有効成分の結構の同定は、主にマススペクトル、水素スペクトル及び炭素スペクトルにより行われる。具体的には、実施例10を参照する。
【0039】
本発明に係る抽出物の主要な有効成分であるセコイトールの含有量は、下記の高速液体クロマトグラフー(HPLC)により測定することができる。
【0040】
含有量の測定1
本品約5mg(ミリグラム)を取り、精密に量り、10ml(ミリリットル)メス・フラスコの中に置き、稀硫酸−無水酢酸液(1:50体積比)0.25mlを加え、水浴に置いて30min(分間)加熱し、室温まで冷却し、メタノール5mlを加え、均一に揺れ、目盛りまでに水を加え、均一に揺らし、供試品溶液を得る。HPLCクロマトグラフィーの条件:C18カラム、5μl、4.6×250mm(ミリメートル);検出波長220nm(ナノメートル);注射20μl;移動相、メタノール−水(50:50体積比)、使用の前に0.45μm(ミクロン)の有機フィルターフィルムで吸引濾過して脱気し、流速1.0ml/min。
【0041】
含有量の測定2
本品5mgを取り、精密量り、10mlメス・フラスコの中に置き、水で溶解して定容し、均一に揺らす。HPLCクロマトグラフィーの条件:アミノカラム、5mm、4.6×250mm、検出器:蒸発光散乱検出器(ELSD)、ドリフト管の温度:40℃、圧力:3.5bar(バール)、注射量:20ml。移動相がアセトニトリル−水(75:25体積比)であり、使用の前に0.45mmの有機フィルターフィルムで吸引濾過して脱気し、流速0.8ml/min。
【0042】
臨床において、取得したタマシダ抽出物を使用して各種形態の薬品又は保健品等を製造することができる。
【0043】
カプセル剤、錠剤、顆粒剤、糖衣錠剤等の剤形は、一種又は複数種の常用賦形剤を含有することができる。具体的には、以下のものが挙げられる。
フィラー及び可溶化剤:澱粉、微結晶繊維等;粘着剤:カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等;保湿剤:グリセリン等;崩壊剤:炭酸カルシウム等;吸収剤:カオリン等;滑剤:タルク粉等。
【0044】
薬用賦形剤は、固体、半固体、液体等の各種形態であってもよい。処方補助剤は、各種類型のものであってもよい。
【0045】
溶液剤は一般の溶媒、可溶化剤、乳化剤、防腐剤等、例えば水、エタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール、安息香酸ベンジル等を含有することができる。
【0046】
カプセル剤、錠剤、顆粒剤、糖衣錠剤、溶液剤等の剤形は、既知の通常の方法で製造することができ、植物の抽出物と一種又は複数種の賦形剤とを混合し、剤形を製造することができる。
【0047】
本発明は糖尿病を治療する漢方薬抽出物制剤を製造することができ、糖尿病を治療する薬物の市場に新たな活力を注いでいる。なお、シャジクソウ属植物、大豆属植物、イチョウ属植物の資源は豊富であり、極めて取得しやすく、且つ製造プロセスが簡単であり、コストが低く、糖尿病を顕著に治療する天然薬物を社会に提供している。
【実施例】
【0048】
以下、実施例と合わせて本発明に対して更に説明する。
【0049】
実施例1:低純度の植物抽出物の製造1
植物粗粉(ジグザグクローバを例とする)100kgを、3倍体積の90%エタノールで三回還流抽出し、抽出液を合わせ、減圧濃縮し、1:2(体積/体積)の酢酸エチル/水で二相抽出し、水層を合わせ、濾過し、マクロポーラス樹脂カラム(D101型、国産)でクロマトグラフィーを行い、蒸留水と含水エタノールで勾配溶出を行い、セコイトールを含有する部分を収集し、減圧濃縮し、乾燥して植物抽出物(微黄色粉末)を得た。セコイトールの含有量は10.1%であった。
【0050】
実施例2:比較的低い純度の植物抽出物の製造1
植物粗粉(澎湖大豆を例とする)50kgを、3倍体積の90%エタノールで60℃で三回還流抽出し、抽出液を合わせ、乾燥まで減圧濃縮し、1:1(体積/体積)のジクロロメタン/水で二相抽出し、水層を合わせ、濾過し、マクロポーラス樹脂カラム(D101型、国産)でカラムクロマトグラフィーを行い、蒸留水と含水エタノール(エタノール:5%〜30%)で勾配溶出を行い、各溶出液をそれぞれ鑑別試薬で鑑別し、正反応を表す溶出液を合わせ、減圧濃縮し、70℃で乾燥し、植物抽出物(微黄色粉末)を得た。セコイトールの含有量は27.6%に達していた。
【0051】
実施例3:比較的低い純度の植物抽出物の製造2
植物粗粉(大馬鈴を例とする)60kgを、3倍体積の90%メタノールで50℃で三回還流抽出し、抽出液を合わせ、乾燥まで減圧濃縮し、1:1(体積/体積)の酢酸エチル/水で二相抽出し、水層を合わせ、濾過し、マクロポーラス樹脂カラム(MN-200型、国産)でカラムクロマトグラフィーを行い、蒸留水と含水エタノール(エタノール:5%〜20%)で勾配溶出を行い、各溶出液をそれぞれ鑑別試薬で鑑別し、正反応を表す溶出液を合わせ、減圧濃縮し、70℃で乾燥し、植物抽出物(微黄色粉末)を得た。セコイトールの含有量は28.2%に達していた。
【0052】
実施例4:比較的低い純度の植物抽出物の製造3
植物粗粉(ミヤコジマツルマメを例とする)70kgを、3倍体積の70%アセトンで45℃で三回還流抽出し、抽出液を合わせ、乾燥まで減圧濃縮し、1:1(体積/体積)のクロロホルム/水で二相抽出し、水層を合わせ、濾過し、活性炭カラムクロマトグラフィーを行い、蒸留水と含水エタノール(エタノール:5%〜25%)で勾配溶出を行い、各溶出液をそれぞれ鑑別試薬で鑑別し、正反応を表す溶出液を合わせ、減圧濃縮し、70℃で乾燥し、植物抽出物(微黄色粉末)を得、セコイトールの含有量が30.0%に達していた。
【0053】
実施例5:中等純度の植物抽出物の製造1
低純度の植物抽出物を水に溶解し、セルロースカラムクロマトグラフィーを行い、蒸留水と含水エタノール(エタノール:5%〜20%)で勾配溶出を行い、各溶出液をそれぞれ鑑別試薬で鑑別し、正反応を表す溶出液を合わせ、減圧濃縮し、エタノールで再結晶し、濾過して結晶状粉末を得、乾燥まで吸引し、70℃で乾燥し、植物抽出物(微黄色粉末)を得た。HPLC方法で検測を行い、セコイトールの含有量は76.2%に達していた。本実施例に係る低純度の植物抽出物は、実施例1〜4の何れかの方法により精製して得られた抽出物である。
【0054】
実施例6:中等純度の植物抽出物の製造2
低純度の植物抽出物を水に溶解し、イオン交換カラムクロマトグラフィーを行い、蒸留水と含水エタノール(エタノール:5%〜20%)で勾配溶出を行い、各溶出液をそれぞれ鑑別試薬で鑑別し、正反応を表す溶出液を合わせ、乾燥まで減圧濃縮し、メタノールで再結晶し、濾過して結晶状粉末を得、乾燥まで吸引し、70℃で乾燥し、植物抽出物(微黄色粉末)を得た。HPLC方法で検測を行い、セコイトールの含有量は74.6%に達していた。本実施例に係る低純度の植物抽出物は、実施例1〜4の何れかの方法により精製して得られる抽出物である。
【0055】
実施例7:中等純度の植物抽出物の製造3
低純度の植物抽出物を水に溶解し、ゲルカラムクロマトグラフィーを行い、蒸留水と含水エタノール(エタノール:5%〜15%)で勾配溶出を行い、各溶出液をそれぞれ鑑別試薬で鑑別し、正反応を表す溶出液を合わせ、乾燥まで減圧濃縮し、アセトンで再結晶し、濾過して結晶状粉末を得、乾燥まで吸引し、70℃で乾燥し、植物抽出物(微黄色粉末)を得た。HPLC方法で検測を行い、セコイトールの含有量は72.5%に達していた。本実施例に係る低純度の植物抽出物は、実施例1〜4の何れかの方法により精製して得られる抽出物である。
【0056】
実施例8:複数種植物由来のセコイトール抽出物の比較
前記実験1〜7の方法により、幾つかの植物に対して抽出を行い、抽出物におけるセコイトールの含有量に対してHPLC(高速液体クロマトグラフー)測定を行った。具体的には表1に示す。表1の中で低含有量が示す数値は、実施例2〜4の中の三種類の方法を利用して特定種類の植物の粗粉に対して抽出実験を行って得られた平均値である。表1の中で高含有量が示す数値の取得プロセスは、以下の通りである。
ステップa)実施例1〜4の中に記載の一種の方法をランダムに選択し、特定種類の植物の粗粉に対して抽出を行い;
ステップb)実施例5〜7に記載の一種の方法をランダムに選択し、再抽出を行い、セコイトールの含有量の数値を一つ得る;
ステップa)及びステップb)を繰り返し行い、セコイトールの含有量の複数の数値を得て、得られたこれらのセコイトールの含有量の数値に対して平均値を取り、即ち表1の中に高含有量が示す数値とする。
【0057】
【表1】

【0058】
実施例9:高純度の植物抽出物の製造
中等純度の植物抽出物を採用し、メタノール等で繰り返し再結晶し、濾過して結晶状粉末を得、乾燥まで吸引し、70℃で乾燥し、高純度のセコイトールの植物抽出物を得た。繰り返し再結晶した後、セコイトールの純度が99.9%以上に達することができた。
【0059】
実施例10:セコイトールの結構同定
白色針状結晶(メタノールで繰り返し再結晶して得たもの)。紫外線スペクトル(UVスペクトル)には吸収がなかった。赤外線スペクトル(IRスペクトル)にはヒドロキシ(3347 cm-1)基を有することが示された。正イオンESI-MSには m/z 217[M+Na]+ が示され、負イオンESI-MSにはm/z 193 [M-H]- が示された(図1を参照)。当該化合物の分子量が194であるかもしれないことが提示され、1H及び13C NMRデーターを結合してその分子式がC7H14O6であることを推測した。
【0060】
1H NMR(400MHz, CD3OD)(図2、3を参照)に示すプロトンのシグナルは、酸素と連結している一個のメチルのプロトンのシグナル(δ 3.55, s)及びヒドロキシを連結している六個のゲミナル水素(geminal hydrogen)のシグナル[δ 4.00(t , J=2.84Hz)、3.65(t, J=9.82Hz)、3.65(t, J=9.82Hz)、3.49(dd J=2.87及び7.12Hz)、3.49(dd J=2.87及び7.12Hz)及び3.02(t, J=9.47Hz)]を含む。
【0061】
13C NMR(100MHz, CD3OD)(図4を参照し)は、当該化合物が炭素のシグナルを合わせて七個有し、いずれも酸素と連結している炭素のシグナルであることを示す。以上のスペクトルのデーターから、当該化合物が炭素数7の環状アルコール類化合物であることを推測することができる。
【0062】
1H及び13C NMRデーターは、文献報告のセコイトール(出願番号02144302.5である中国特許出願)と一致するので、当該化合物はセコイトールであると確定した。
【0063】
以上のスペクトル分析により、その結構は以下のようであることが分かる。
【化1】

【0064】
実施例11:高純度のセコイトールの含有量の測定
高速液体クロマトグラフィーを采用し、高純度の抽出物のサンプル5mgを取り、精密量り、10mlメス・フラスコの中に置き、水で溶解して定容し、均一に揺らした。HPLCクロマトグラフィーの条件:アミノカラム、5mm、4.6×250mm;検出器:蒸発光散乱検出器(ELSD);ドリフト管温度:40℃;圧力:3.5bar;注射量:20ml;移動相:アセトニトリル−水(75:25)、使用の前に0.45mmの有機フィルターフィルムで吸引濾過して脱気し、流速1.0ml/min。
スペクトルは図5を参照し、セコイトールのピークが出る時間は12.312minであった。
【0065】
実施例12:カプセル剤の調製
処方:毎粒300mg、植物抽出物30mgを含む
微結晶セルロース 270mg
植物抽出物 30mg
1000粒
【0066】
まず、輔料を研磨器の中に置き、その後植物抽出物を加え、均一になるまで10〜30分間研磨混合し、均一に混合した薬粉を1号カプセルの中に封装し、ランダムサンプリングしたところ、毎粒の封装量が300mgに制御され、植物抽出物の含有量が30mgであった。
【0067】
実施例13:カプセル剤の安定性の研究
3バッチのカプセル剤に対して九ヶ月の安定性試験を行った。考察の内容は、外観、鑑別、含有量等の項目を含む。
【0068】
鑑別(1)の方法は、本品20粒を取り、内容物を出し、内容物粉末を適量量り取り、水を加えて溶解し、濾過した。濾液5mlを試験管に取り、0.01mol/Lの過ヨウ素酸ナトリウム溶液2ml及び濃硝酸2滴を加えた後、硝酸銀試薬を滴下し、白色沈殿を生成した。3バッチのカプセル剤の測定結果を表2に示す。
【0069】
鑑別(2)の方法は、本品の内容物を適量(カプセル約0.2gに相当する)取り、水10mlを加えて振とうし、濾過した。再濾液2mlを取り、アルカリ式醋酸鉛溶液1mlを加え、均一に揺らし、水浴に置いて5分間加熱したところ、半透明ジャオ状物になった。3バッチのカプセル剤の検測結果を下記の表2に示す。
【0070】
【表2】

【0071】
実施例14:錠剤の製造
植物抽出物25g、微結晶セルロース49g、ステアリン酸マグネシウム1gを十分に混合し;混合物を単発打錠機で直径6mm、重さ300mgの錠剤を圧製した。1錠あたり植物抽出物100mgを含んだ。
【0072】
実施例15:顆粒剤の製造
植物抽出物20gにコーン澱粉180gを加えて十分に混合し、適量のエタノール(60%)を加えて軟材を調製し、12メッシュの篩を通して造粒し、乾燥した後顆粒剤を得た。顆粒剤1gあたり植物抽出物100mgを含んだ。
【0073】
実施例16:注射剤の製造
精製後のセコイトール抽出物(純度は98.00%〜99.99%である)を採用し、注射用原料を製造した。
【0074】
セコイトールは水溶性が良い。セコイトールを水に溶解した後、濾過して滅菌し、注射液の製造プロセス工程により操作を行い、注射液を製造した。凍結乾燥粉末注射剤のプロセス工程により操作を行い、粉末注射剤を製造した。
【0075】
精制後の注射用セコイトール原料を採用し、凍結乾燥粉末注射剤のプロセス工程により操作を行い、凍結乾燥粉注射剤を製造した。注射用セコイトール原料を取り、注射用水を加えて溶解させ、予め発熱源を除いた20%低分子量のデキストランの溶液を加え、十分に混合し、最後の濃度がセコイトール0.1g/ml、デキストラン0.05g/mlになるように、定体積して最後に定量した。活性炭を採用して発熱源を除き、0.22mmのミリポアフィルターで濾過して菌を除き、100グレードのクリーン室の中で瓶ごと1mlにするように予め処理しておいたバイアルの中に封入した。凍結乾燥箱の中で、−40℃で予め2時間凍結し、その後−25℃で、1.33Paの真空度で昇華し、遊離の水分を90%除いた後、加温乾燥し、凍結乾燥の終了まで温度が35℃を越えないように制御し、凍結乾燥箱の中で栓をして密封した。
【0076】
実施例17:分散錠の製造
セコイトールの乾燥抽出物60gを量り取り、微結晶セルロース20gと、架橋ポリビニルピロリドン10gと、低置換ヒドロキシプロピルセルロース10gとを均一に混合し;5%のポリビニルピロリドンK30のエタノール液制軟材を滴下し、30メッシュの篩を通じて造粒し、湿粒を60℃の条件で乾燥を行い、40メッシュの篩を使用して顆粒を調整し、架橋ポリビニルピロリドン10gと、低置換ヒドロキシプロピルセルロース10gと、ステアリン酸マグネシウム5gとを加え、均一に混合し、打錠し、1000錠を製造した。
【0077】
測定:
1)分散均一性の測定:セコイトール抽出物の分散錠を2錠取り、100mlの水に入れて振とうし、20℃±1℃の温度で、180秒で全て崩壊すると共に2号の篩を通した。
【0078】
2)溶出状況の測定:人工胃液0.1mol/L塩酸を採用して溶出度の測定を行った。薬局方二部の付録に記載の溶出度測定法第二法(スラリー法)に従い、スラリーの速度100回転/分を採用した。37℃で、溶出液が900mlであった。セコイトール抽出物の分散錠を取り、上記の条件で、それぞれ2、4、6、8、10、15、20、30、45、60分で定時定点5 mlサンプリングし(同時に同様の媒質を補充し)、45mmのミリポアフィルターで濾過し、溶出量を測定し、相対積算溶出百分率を算出した。試験結果を表3に示す。
【0079】
【表3】

【0080】
実施例18:発泡錠の製造
セコイトール抽出物原料から下記の処方により発泡錠を製造した。セコイトール抽出物60gと、酒石酸4.2gと、炭酸水素ナトリウム17.5gと、Tween 80を 1.2gと、ポリビニルピロリドン(PVP)3.2gと、低置換ヒドロキシプロプルセルロース(LHPC)1.6gと、ステアリン酸マグネシウム0.64gとを、十分に混合し、打錠し、合わせて1000錠を製造した。毎錠セコイトール抽出物60mgを含んだ。
【0081】
検査:内径1.5cm、25mlの栓付きの目盛り試験管10本を取り、水2mlを精密に加え、37℃±1℃の水浴に5分間置いた後、管にそれぞれ供試品1錠を投入し、栓で密封し、20分間の間の最大発泡量の体積を観察した。平均発泡体積が4.6mlであり、3mlを下回るものは1錠であった。
【0082】
実施例19:シロップの製造
蔗糖600gを取り、1000mlのビーカーに入れ、800mlの蒸留水を加え、加熱して溶解し、その後セコイトール抽出物20gを加え、攪拌して溶解し、室温まで冷却し、濾過し、濾液を収集し、1000mlになるようにフィルターの上から適量の蒸留水を添加し、十分に混合した後、10mlのアンプル瓶に分けて封入し、100℃で30分間滅菌して得た。
【0083】
実施例20:徐放錠剤の製造
セコイトール抽出物70gを取り、ポリビニルピロリドン3g、アルギン酸ナトリウム9g及びヒドロキシプロピルメチルセルロース12gを入れ、ミキサー、例えば高速せん断式造粒機や遊星形ミキサーで均一に混合した。混合物を湿法により造粒し、乾燥した後シリカコロイド微結晶1g及びステアリン酸マグネシウム1gを加えて混合した。潤滑の顆粒をそのまま打錠することができ、徐放錠を1000錠得た。毎錠セコイトール60mgを含んだ。
【0084】
以下、実施例1により調製した植物抽出物を使用して薬効学実験及び毒理学研究を行った。
【0085】
一、主要な薬効学実験
(一)植物抽出物のアロキサンによるマウスの血糖上昇に対する影響
1、実験材料
動物:マウス、100匹、体重22〜25g、オス
陽性対照:降糖リン(江蘇亜邦薬業集団株式会社製、子会社)
アロキサン(Sigma会社)
【0086】
2、実験方法
20匹をランダムに取って正常グループとし、その他のマウスに対してアロキサン65mg/kgを尾部静脉注射し、文献方法によりモデルを作成し、血糖値により4組に分けた。その中の3組に対して、それぞれ0.1ml/10g体重で植物抽出物60mg/kg、降糖リン75mg/kg、セコイトール含有イチイ抽出物60mg/kgを経口投与し、正常グループ及びモデルグループに対して等体積の蒸留水を連続7日投与した。グルコースオキシダーゼ法により血糖を測定した。
【0087】
3、実験結果
正常グループと比べて、対照グループのマウスの血糖は極めて著しく上昇した(323.1mg/dl上昇した)。対照組と比べて、降糖リン75mg/kg組(155.8 mg/dl低下した)、植物抽出物組(120.3 mg/dl低下した)、イチイ抽出物組(130.3 mg/dl低下した)はアロキサンによる高血糖を著しく低下させることができた。
【0088】
(二)植物抽出物のブドウ糖によるマウスの血糖上昇に対する影響
1、実験材料
動物:マウス、120匹、体重22〜25g、メス
陽性対照薬:降糖リン(江蘇亜邦薬業集団株式会社製、子会社)
50%ブドウ糖注射液(山東魯抗辰欣薬業株式会社)
【0089】
2、実験方法
マウス120匹を取り、ランダムに6グループに分けた。その中の2グループに対してそれぞれ0.1ml/10g体重で60mg/kg植物抽出物(セコイトール65.7%を含む)を経口投与し、その他の2組に対してそれぞれ0.1ml/10g体重でイチイ抽出物(セコイトール62.3%を含む)60mg/kgを経口投与し、正常グループ及び対照グループに対して等体積の蒸留水を連続7日投与した。正常グループを除いて、その他の各グループに対してブドウ糖2g/kgを腹腔注射し、正常組に対して等体積の生理食塩水を注射し、注射した後30、60、90、120分にマウス眼窩後静脉叢から血を取り、血清を分離し、グルコースオキシダーゼ法により血糖を測定した。
【0090】
3、実験結果
正常グループと比べて、対照グループのマウスに対してブドウ糖を腹腔注射した後30、60、90、120分で、血糖は極めて著しく上昇した。対照グループと比べて、植物抽出物グループ及びイチイ抽出物グループに対してブドウ糖を腹腔注射した後30、60、90、120分で、ブドウ糖による高血糖を著しく低下させ、その90分の際には、植物抽出物組は14.9mg/dl低下した。
【0091】
二、急性毒性実験
実験方法:正常のマウス40匹を取り、オスメス半々、800mg/kgで一回灌服するようにクローバー抽出物を投与し、動物の反応を観察し、7日後に殺し、肉眼により各臓器を観察した。結果:死亡した動物は無く、健康状態は良好であり、毛皮に光沢が有り、目が赤くて明るく、活動度が良かった。7日後マウスを殺し、肉眼により観察したが、主要な臓器は何れも異常が無かった。
【0092】
以上の説明は本発明の好ましい実施形態だけであり、当業者にとって、本発明の原理を脱離しない前提で、若干の改善及び装飾を行うこともでき、これらの改善及び装飾も本発明の保護範囲と見なされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒で抽出し、溶媒を回収してエキスを得、エキスに対して二相抽出し及びカラムクロマトグラフィーで処理し、セコイトールを含有する分留を収集し、濃縮し、濾過し且つ乾燥するステップを含む、
シャジクソウ属植物、大豆属植物、イチョウ属植物の少なくとも1種からセコイトール含有抽出物を取得する方法。
【請求項2】
前記シャジクソウ属植物が、下記の物質:ムラサキツメクサ、シロツメクサ、ベニバナツメクサ、エジプトクローバ、クスダマツメクサ、コメツブツメクサ、大花シャジクソウ、ツメクサダマシ、延辺シャジクソウ、アルサイククローバ、変種白花野火球、原変種野火球、ジグザグクローバ、テマリツメクサ、野火球からなる群より選択される少なくとも1種または2種以上の組み合わせであり;
前記大豆属植物が、下記の物質:大豆、原変種広葉蔓豆、澎湖大豆、狭葉白花野大豆、ミヤコジマツルマメ、広葉蔓豆、ヒロハヤブマメ、白花野大豆、白花広葉蔓豆、原変種ツルマメ、ツルマメからなる群より選択される少なくとも1種または2種以上の組み合わせであり;
前記イチョウ属植物が、下記の物質:原栽培変種イチョウ、イチョウ、鴨尾イチョウ、小佛手、無心イチョウ、桐子果、棉花果、卵果佛手、オリーブ佛手、佛指、洞庭皇、大梅核、大馬鈴からなる群より選択される少なくとも1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載のセコイトール含有抽出物を取得する方法。
【請求項3】
前記溶媒が、下記の物質:エタノール、メタノール、アセトン、水からなる群より選択される少なくとも1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載のセコイトール含有抽出物を取得する方法。
【請求項4】
前記抽出の温度が、0℃乃至前記溶媒の還流温度であり、好ましくは室温乃至前記溶媒の還流温度であり、より好ましくは前記溶媒の還流温度であることを特徴とする、請求項3に記載のセコイトール含有抽出物を取得する方法。
【請求項5】
前記溶媒とシャジクソウ属植物、大豆属植物、イチョウ属植物との重量体積比が1:0.5〜15であり、好ましくは1:2〜10であり、より好ましくは1:3〜5であることを特徴とする、請求項4に記載のセコイトール含有抽出物を取得する方法。
【請求項6】
前記溶媒で抽出する回数が2〜4回であることを特徴とする、請求項1に記載のセコイトール含有抽出物を取得する方法。
【請求項7】
前記二相抽出に用いられる溶媒が、疎水性の有機溶媒、及び水であることを特徴とする、請求項1に記載のセコイトール含有抽出物を取得する方法。
【請求項8】
前記疎水性の有機溶媒が、以下の物質:酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、エチルエーテル、石油エーテル及びn−ブチノールからなる群より選択される少なくとも1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする、請求項7に記載のセコイトール含有抽出物を取得する方法。
【請求項9】
前記疎水性の有機溶媒と水との体積比が1:0.5〜10であることを特徴とする、請求項7に記載のセコイトール含有抽出物を取得する方法。
【請求項10】
前記カラムクロマトグラフィーが、マクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィー、デキストランカラムクロマトグラフィー、改質デキストランカラムクロマトグラフィー、セルロースカラムクロマトグラフィー、活性炭カラムクロマトグラフィー、またはイオン交換樹脂カラムクロマトグラフィーの何れかであることを特徴とする、請求項1に記載のセコイトール含有抽出物を取得する方法。
【請求項11】
濾過した後乾燥する前に、純化ステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載のセコイトール含有抽出物を取得する方法。
【請求項12】
前記純化が、カラムクロマトグラフィーであることを特徴とする、請求項11に記載のセコイトール含有抽出物を取得する方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のセコイトール含有抽出物を取得する方法により製造された抽出物。
【請求項14】
糖尿病及びその合併症を治療するための薬物を製造するための、請求項13に記載の製造された抽出物又はその医薬に用いることができる塩の使用。
【請求項15】
前記その医薬に用いることができる塩が、下記のセコイトールの塩類:クエン酸塩、酒石酸塩、醋酸塩、乳酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、アルミニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記合併症が、眼部病変、腎臓部病変、神経病変、冠状動脈性心臓病、脳血管病変、外周血管病変を含むことを特徴とする、請求項14に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−528063(P2010−528063A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509665(P2010−509665)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【国際出願番号】PCT/CN2008/071118
【国際公開番号】WO2008/145064
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(509328504)リエンチュアンシユアンリ バイオロジー アンド サイエンス アンド テクノロジー シーオー エルティーディー (1)
【氏名又は名称原語表記】LIANCHUANGSIYUANLI BIOLOGY AND SCIENCE AND TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】The Block No.13,Shuiyin Road No.56,Yuexiu District,Guangzhou,Guangdong Province 510075,P.R. China
【Fターム(参考)】