説明

シャッターシステム

【課題】停電時等にシャッター装置近傍が暗闇になるのを防ぐことができるシャッターシステムを提供する。
【解決手段】収納部30から繰り出されるシャッターカーテン10によって空間を仕切るようにしたシャッターシステムにおいて、照明装置40と、該照明装置40に電力を供給可能なバッテリーと、停電状態の検出に応じて前記照明装置40に供給するための電源を商用電源から前記バッテリーの電源に切り替える電源切替手段とを備え、停電状態を検出し、且つ、シャッターカーテン10の閉鎖動作に伴う所定状態を検出した場合に、前記バッテリーから出力される電力によって前記照明装置40を発光させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、シャッター装置や、オーバーヘッドドア、ロールスクリーン、オーニング装置等によって空間を仕切るようにしたシャッターシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術には、例えば特許文献1に記載された発明のように、シャッターカーテンの表面に非常口の文字や図形等の非常口表示(20)を設け、この非常口表示(20)によって災害時に避難者を非常口へ誘導するようにしたものがある。
また、他の従来技術としては、特許文献2に記載された発明のように、シャッターカーテンの表面に感熱発色剤からなる火災表示体(17)を設け、この火災表示体(17)によって火災が発生していることを表示することにより、避難活動等が迅速かつ円滑に行われるようにしたものがある。
【0003】
しかしながら、上記何れかの従来技術を用いたとしても、災害時に停電が発生して、シャッター装置及び該シャッター装置の近傍が真っ暗闇となった場合には、前記非常口表示や前記火災表示体を避難者等に目視させることができず、避難活動及び救助活動や消火活動等を十分に促進できないおそれがある。特にシャッター装置の近傍では、比較的広い平坦面であるシャッターカーテンによって、広範な暗闇が形成されてしまうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−211295号公報
【特許文献2】特開平10−234878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とする処は、停電時等にシャッター装置近傍が暗闇になるのを防ぐことができるシャッターシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための技術的手段は、収納部から繰り出されるシャッターカーテンによって空間を仕切るようにしたシャッターシステムにおいて、照明装置と、該照明装置に電力を供給可能なバッテリーと、停電状態の検出に応じて前記照明装置に供給するための電源を商用電源から前記バッテリーの電源に切り替える電源切替手段とを備え、停電状態を検出し、且つ、シャッターカーテンの閉鎖動作に伴う所定状態を検出した場合に、前記バッテリーから出力される電力によって前記照明装置を発光させるようにしたことを特徴とする。
この構成によれば、停電が発生し、且つシャッターカーテンの閉鎖動作に伴う所定状態が検出された場合に、バッテリーから出力される電力によって照明装置が発光する。
【0007】
更なる技術的手段では、前記照明装置を、前記収納部の下部側に露出させて設けたことを特徴とする。
この構成によれば、バッテリーから出力される電力によって収納部の下部側を発光させ、この発光によって、シャッターカーテンや。収納部よりも下方側を照らすことができる。
【0008】
更なる技術的手段では、前記照明装置を前記収納部内に設けるとともに、前記収納部には、前記照明装置から出射される光を通過させる開口部を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、シャッターカーテンを収納するための収納部によって照明装置を保護することができる上、照明装置の光を開口部に通過させて外部に目視させることができる。
【0009】
更なる技術的手段では、前記シャッターカーテンを閉鎖方向へ案内するガイドレールを具備したシャッターシステムであって、前記照明装置を前記ガイドレールの下端側に設けたことを特徴とする。
この構成によれば、火災等により煙の発生があった場合でも、比較的煙の少ないガイドレールの下端側を照明装置によって発光させて、その光を避難者等に目視させることができる。
【0010】
更なる技術的手段では、前記シャッターカーテンと独立して開閉される袖扉を備えたシャッターシステムであって、前記照明装置を、前記袖扉の近傍に設けたことを特徴とする。
この構成によれば、照明装置の光によって袖扉が目視可能になるため、避難活動を効果的に促進することができる。
【0011】
更なる技術的手段では、前記バッテリーからの出力電力によって前記シャッターカーテンを自動閉鎖する自動閉鎖装置を具備したシャッターシステムであって、前記バッテリーの電力によって前記照明装置が点灯した時間を積算するタイマー手段を備え、前記タイマー手段による積算時間が所定の閾値を超えたことを条件に、前記照明装置を発光させないようにしたことを特徴とする。
この構成によれば、バッテリーの電力を照明装置の点灯によって消耗し尽くしてしまい、同バッテリーの電力により自動閉鎖装置を作動不能になるようなことを防ぐことができる。
【0012】
更なる技術的手段では、前記バッテリーの電力を、非常信号に応じて前記シャッターカーテンを自動閉鎖装置によって自動閉鎖させるため、及び/又は、前記シャッターカーテンの閉鎖動作中にその閉鎖方向側の障害物を障害物感知手段によって感知した場合に前記シャッターカーテンを回避動作させるために用いるようにしたことを特徴とする。
この構成によれば、非常信号に応じたシャッターカーテンの自動閉鎖のための電源や、閉鎖動作中のシャッターカーテンが障害物に接触するのを回避する回避動作の電源として、商用電源が使用不可の場合でも、バッテリー電力を用いることができる。
【0013】
更なる技術的手段では、前記照明装置の光によって照射されるように、蓄光材を具備してなる蓄光表示部を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、照明装置の光によって蓄光材が蓄光されるため、バッテリーを消耗し切ってしまった後でも、蓄光表示部の光によってシャッター装置近傍が暗闇になるのを防ぐことができる。
【0014】
なお、本明細書中において「シャッター厚さ方向」とは、閉鎖状態の上記シャッターカーテンの厚さ方向を意味する。
また、本明細書中において「シャッター幅方向」とは、上記シャッターカーテンの開閉方向と略直交する方向であって、該シャッターカーテンの厚さ方向ではない方向を意味する。
また、本明細書中において「シャッター開閉方向」とは、上記シャッターカーテンが空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
所定の条件に応じてバッテリーから出力される電力によって照明装置を発光させることができ、ひいては、停電時等にシャッター装置近傍が暗闇になるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るシャッターシステムの一例を示す正面図である。
【図2】同シャッターシステムにおける開閉機及び自動閉鎖装置の一例を示す構造図である。
【図3】同シャッターシステムを模式的に示す縦断面図である。
【図4】閉鎖速度低下手段の一例を示す縦断面図である。
【図5】同シャッターシステムの制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係るシャッターシステムの他例を模式的に示す縦断面図である。
【図7】本発明に係るシャッターシステムの他例を示す正面図である。
【図8】図5に示すシャッターシステムの要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施の形態のシャッターシステムAは、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の構築・構造物における開口部分や内部にシャッター装置1を配設し、該シャッター装置1によって、前記開口部分を開閉したり、躯体内部の空間を仕切ったり開放したりするように構成してある。
【0018】
図示例のシャッター装置1は、特に、火災などが発生した際に、煙の拡散や延焼を速やかに防止するのに好適なシート状の防火防煙シャッター装置として説明するが、前記以外の目的で利用することも可能であり、例えば、冷気等の流通を防止し、保温性の低下を極力抑える目的等のために、保冷庫などに配設されるシート状のシャッター装置としても利用可能である。
【0019】
このシャッター装置1は、下方へ繰り出されて空間を仕切るように閉鎖動作するシャッターカーテン10と、該シャッターカーテン10をその左右両側で閉鎖方向へ導くガイドレール20と、該シャッターカーテン10をその開放方向側(図示例によれば上方側)から繰り出す収納部30と、主に停電時に用いられるバッテリー(図示せず)と、該バッテリーから出力される電力によって発光可能な照明装置40とを具備し、災害時などにシャッターカーテン10を自動的に閉鎖動作する。
そして、このシャッター装置1は、停電状態を検出し、且つ、シャッターカーテン10の閉鎖動作に伴う所定状態を検出した場合には、前記バッテリーから出力される電力によって照明装置40を発光させる。
【0020】
ここで、前記所定状態は、シャッターカーテン10の閉鎖動作に伴って検出される状態であればよく、本実施の形態の好ましい一例によれば、シャッターカーテン10の閉鎖動作の開始に伴う制御回路上の信号を検出した状態としている。
前記所定状態の他例としては、シャッターカーテン10の閉鎖動作前の停止状態を、制御回路上の信号に基づき検出した状態としてもよい。すなわち、この他例の場合、シャッターカーテン10の閉鎖動作の所定時間前に制御回路から所定の信号が出力され、この信号が検出されることにより前記閉鎖動作前の停止状態が認識される構成とする。
更に、前記所定状態の他例としては、シャッターカーテン10の閉鎖動作によりシャッターカーテン10が中途開放位置あるいは全閉位置にある状態を、制御回路上の信号やセンサー信号に基づき検出した状態等としてもよい。
【0021】
シャッターカーテン10は、下端側に人や物等の通過物を通過可能な通過口11aを有するシャッターカーテン本体11と、通過口11aを開閉可能に閉鎖する扉部材12と、シャッターカーテン本体11の下端部に幅方向にわたって接続された座板部材13とから一体的に構成されている。
【0022】
シャッターカーテン本体11は、例えば、ガラスクロスやシリカクロス等の不燃性布地又は難燃性布地や、フッ素加工を施した塩化ビニル樹脂シート材、ガラス繊維を含んだ合成樹脂シート材等、可撓性を有する耐火性のシート材からなる。
このシャッターカーテン本体11は、シャッター幅方向に長い略矩形帯状のシート材を、上下方向に複数連接するように縫い付けてなる態様や、シャッター開閉方向に長い略矩形帯状のシート材を、左右方向に複数連接するように縫い付けてなる態様等、複数のシート材を縫い合わせた構成としてもよいし、一枚のシート材を略矩形状に裁断することで構成してもよい。
そして、このシャッターカーテン本体11の下端側には、人や物等の通過物が通過可能な略矩形切欠状の通過口11aが形成され、この通過口11aは扉部材12によって閉鎖されている。
【0023】
なお、図中符号11bは、シャッター厚さ方向へ突出してガイドレール20内に係合することで、シャッターカーテン10がガイドレール20から抜けてしまうのを防止する抜止部であり、シャッターカーテン本体11におけるシャッター幅方向の両端側の各々に、シャッター開閉方向にわたって複数配設されている。
【0024】
また、扉部材12は、シャッターカーテン本体11の表面側と裏面側との各々に具備された略矩形状のシート材である。
各扉部材12は、シャッターカーテン本体11と略同材質のシート材からなり、シャッターカーテン本体11と同様に、シャッター幅方向に長い略矩形帯状のシート材を、上下方向に複数連接するように縫い付けて構成してもよいし、一枚のシート材を矩形状に裁断することで構成してもよい。
また、各扉部材12の下端側は縦断面袋状に形成され、その袋状部位には、該扉部材12の自重による閉動作を補助するように、金属材料からなる略棒状の錘部材が幅方向にわたって内在されている。
そして、各扉部材12は、その上端側が通過口11aの上端に沿うようにしてシャッターカーテン本体11に縫付け固定されるとともに、その固定部位以外の端部側が通過口11aの周囲の面に重ね合わせられることで、通過口11aを閉鎖している。
【0025】
扉部材12の表面及び/又は裏面には、該扉部材12の使用目的や該扉部材12の開放方法等を、蓄光材によって表示した蓄光表示部12aが配設されている。
この蓄光表示部12aは、蓄光材を含有した塗料を扉部材12に塗布することで設けてもよいし、蓄光材を含有したフィルムを扉部材12に接着するようにしてもよい。
前記蓄光材は、外部から光を蓄え発光する周知の物質であり、例えば硫化亜鉛(ZnS系)やアルミン酸ストロンチウム(SrAl2O4系)等によって構成される。
前記蓄光材は、本実施の形態の好ましい一例について詳細に説明すれば、アルカリ土類アルミン酸塩を母体結晶とし、ユウロピウム(Eu)を賦活剤として、デスプロシウム(Dy)又はネジウム(Nd)を賦活助剤とした酸化物系蓄光材と、CaS:Bi(紫青色発光)、CaSrS:Bi(青色発光)、ZnS:Cu(緑色発光)、ZnCdS:Cu(黄色〜橙色発光)等の硫化物蛍光体からなる硫化物系蓄光材とを粉末化(一般的には20μm〜50μm)し、適宜に混合したものである。
【0026】
この蓄光表示部12aは、図1の例示によれば、扉部材12の使用目的等を示す文字(例えば「非常口」や「避難口」、「EXIT」等)及び図柄、扉部材12の開放方法を示す文字(例えば「引く」や「PULL」、「上げる」、「UP」等)及び図柄とされる。
【0027】
また、座板部材13は、シャッターカーテン本体11に相対してシャッター開放方向へスライドするように設けられた所謂可動座板であり、その内部に、該座板部材13の開放方向へのスライドを感知するセンサー(図示せず)を設けることで、シャッターカーテン10よりも閉鎖方向側の障害物を接触感知する障害物感知手段を構成している。
前記センサーは、開放方向へスライドした際の座板部材13を、接触又は非接触感知し、その感知信号(例えば無電圧接点信号)を出力する構成であればよく、例えば、リミットスイッチ、マイクロスイッチ、近接スイッチ等を用いた構成とされる。
【0028】
また、ガイドレール20は、シャッターカーテン10のシャッター幅方向の端部を断面略コ字状に囲むとともに、該端部に対しシャッター厚さ方向の両側から近接又は接触して、該端部をシャッター開閉方向へ案内する部材である。
このガイドレール20には、蓄光表示部12aが後述する照明装置40の照射方向側を通過する際に、シャッターカーテン10の閉鎖速度を低下する閉鎖速度低下手段が設けられている(図4参照)。
具体的に説明すれば、前記閉鎖速度低下手段は、シャッターカーテン10の厚肉部(具体的には座板部材13)と、ガイドレール20に設けられた幅狭部21aとを具備し、前記厚肉部と前記幅狭部21aとの摩擦抵抗によってシャッターカーテン10の閉鎖速度を低下するようにしている。
【0029】
前記厚肉部は、蓄光表示部12aの近傍等においてシャッターカーテン10の厚みを部分的に厚くしている部位であればよい。図示例では、この厚肉部を、シャッターカーテン本体11よりも厚肉な座板部材13としている。
この厚肉部の他例としては、シャッターカーテン本体11の面に止着されたシート状部材や、蓄光表示部12a自体とすることも可能である。
【0030】
また、幅狭部21aは、ガイドレール20において、シャッターカーテン10の幅方向端部に対しシャッター厚さ方向から近接又は接触するガイド部21に設けられる。この幅狭部21aは、前記ガイド部21のシャッター厚さ方向の寸法を、シャッター開閉方向において部分的に狭めることで形成される。
【0031】
前記閉鎖速度低下手段によれば、シャッターカーテン10の閉鎖動作に伴って、蓄光表示部12aが照明装置40の照射方向側を通過する際に、厚肉部である座板部材13と幅狭部21aとの摩擦抵抗により、シャッターカーテン10の閉鎖速度が低下する。したがって、蓄光表示部12aに対し照明装置40の光を蓄光する時間が比較的長くなる。
【0032】
この閉鎖速度低下手段の他例としては、巻取り軸31あるいは開閉機33の回転に抵抗を与えて、シャッターカーテン10の閉鎖速度を低下させる態様とすることも可能である。
【0033】
また、収納部30は、収納ケース32内に、巻取り軸31と、該巻取り軸31をチェーン及びスプロケット等の動力伝達機構を介して回転させる開閉機33と、該開閉機33の出力軸を解放することでシャッターカーテン10を自重によって閉鎖動作させる自動閉鎖装置34と、開閉機33及び自動閉鎖装置34を制御する制御部(図示せず)とを具備している。
【0034】
巻取り軸31は、収納ケース32内に略水平方向へわたって設けられるとともに回転自在に支持され、その外周面にシャッターカーテン10の上端部を接続している。
【0035】
収納ケース32は、巻取り軸31及び該巻取り軸31に巻かれた際のシャッターカーテン10を覆うように形成され、その下端側部分に、シャッターカーテン10を繰り出したり収納したりするための開口部32aを有する。
【0036】
開閉機33は、例えば実開平01−118084号公報に示される周知構造の開閉機であり、詳細に説明すれば、図2に示すように、巻取り軸31を回転させるための駆動源33aと、該駆動源33aの一端側(図示例によれば右端側)で駆動源33aによる回転を制動するブレーキ機構33b(ブレーキ装置)とを、ケーシング33c内に備えている。
【0037】
駆動源33aは、直流モータまたは交流モータであり、その回転子33dの中心には駆動軸33eが固定され、該駆動軸33eの一端側(図2によれば左端側)の回転力を、動力伝達手段(例えば、チェーンとスプロケット、ベルトとプーリ、歯車等)を介して巻取り軸31へ伝達するように構成してある。また、同駆動軸33eの他端側には、ブレーキ機構33bからの制動力を受けるように略円盤状のブレーキシュー33fが固定されている。
【0038】
また、ブレーキ機構33bは、上記駆動軸33eに対し略直線状に並ぶように配置されたブレーキ軸33gと、該ブレーキ軸33gにおける駆動源33a側に固定されてブレーキシュー33fに対し離脱可能に当接したブレーキドラム33hと、該ブレーキドラム33hを駆動源33aの方向(図2によれば左方向)へ付勢するコイルスプリング33iと、該コイルスプリング33iの付勢力に抗してブレーキドラム33hを吸引する電磁ソレノイド33jと、同コイルスプリング33iの付勢力に抗して手動でブレーキドラム33hをブレーキシュー33fから離間させるためのレバー部材33kとを具備している。
【0039】
また、レバー部材33kは、一端側に作用する揺動力によって、ブレーキ軸33g及ブレーキドラム33hをブレーキシュー33fから引き離すように構成された略杆状の部材である。
図示例によれば、レバー部材33kの上端側には、ケーシング33c外に露出するようにして操作レバー33lが設けれ、この操作レバー33lが後述する開閉機34によって機械的に操作されるようになっている。
なお、図中符号33mは、開閉体10を手動で開閉できるように具備されたチェーンであり、必要に応じて省くことも可能である。
【0040】
自動閉鎖装置34は、災害時等の非常信号に応じて自動的に作動して、開閉機33の駆動軸33eを解放するように構成された周知の機構である。
より詳細に説明すれば、自動閉鎖装置34は、内在するモータ又は電磁ソレノイド(図示せず)の駆動力により押圧作動部材34aを突出させ、前記モータ又は電磁ソレノイドへの電力が遮断された場合には、内在するスプリング(図示せず)の付勢力によって、押圧作動部材34aを没入させるように構成してある。押圧作動部材34aは、その突端部でブレーキ機構33bの操作レバー33lを押圧操作するように配置されている。
【0041】
また、制御部(図示せず)は、例えば、入出力装置や、記憶装置、中央処理装置などからなるマイコンや、リレー等を備えた制御回路とすればよい。
【0042】
この制御部は、停電状態の検出に応じて照明装置40に供給するための電源を商用電源から図示しないバッテリーの電源に切り替える電源切替手段として機能する。
停電状態であるか否かは、例えば、外部から入力される停電信号の有無により判断してもよいし、前記制御部や自動閉鎖装置34等の電源の状態から判断するようにしてもよい。
また、商用電源を前記バッテリーに切り替える手段としては、具体的には、前記停電状態の検出に応じて、電源ラインを切替スイッチやリレー等によって切り替える構成とすればよい。
【0043】
更に、この制御部は、停電状態を検出し、且つ、シャッターカーテン10の閉鎖動作の開始を検出した場合に、前記バッテリーから出力される電力によって照明装置40を発光させる手段としても機能する。
ここで、シャッターカーテン10の閉鎖動作の開始の検出は、例えば、後述する自動閉鎖装置34を作動させるための信号を検出するようにしてもよいし、センサー等によってシャッターカーテン10の閉鎖動作を直接的又は間接的に検出するようにしてもよい。
【0044】
また、他例としては、シャッターカーテン10の閉鎖動作の開始の検出に替えて、例えば、シャッターカーテンが閉鎖動作を開始する所定時間前の状態や、シャッターカーテンが閉鎖途中の位置にある状態、あるいはシャッターカーテンが全閉位置にある状態等、シャッターカーテン10の閉鎖動作に伴う所定状態を検出するようにしてもよい。これらの場合も、前記所定状態の検出は、前記制御部における制御回路上の信号を検出するようにしてもよいし、シャッターカーテン10の動作を直接的又は間接的に感知するセンサー(接触式及び非接触式である場合を含む)の信号を検出するようにしてもよい。
【0045】
また、前記制御部は、前記バッテリーから自動閉鎖装置34への電力供給を制御するための手段等としても機能する。
すなわち、前記制御部は、災害時等の非常信号を受けた際に、前記バッテリーから自動閉鎖装置34へ電力を供給する。すると、自動閉鎖装置34は、図2に示すように、前進する押圧作動部材34aにより開閉機33のブレーキ機構33bを解除方向へ移動させる。そのため、ブレーキ機構33bが解除されて、駆動軸33e及び該駆動軸33eに接続された巻取り軸31が自由回転可能な状態となり、シャッターカーテン10が自重によって巻取り軸31から繰り出され閉鎖動作することになる。
【0046】
また、前記制御部は、シャッターカーテン10の閉鎖動作中に、上記障害物感知手段からの感知信号を受けた際に、前記バッテリーから自動閉鎖装置34への電力供給を遮断して、シャッターカーテン10を回避動作させる。
より詳細に説明すれば、前記バッテリーから自動閉鎖装置34への電力供給が遮断されると、自動閉鎖装置34が押圧作動部材34aを没入させ、それに伴って、ブレーキ機構33bの操作レバー33lが戻されるとともに、ブレーキ機構33bの作動によって駆動軸33e及び巻取り軸31が拘束状態となり、シャッターカーテン10の自重による閉鎖動作が停止する。
【0047】
なお、前記回避動作の他例としては、シャッターカーテン10の閉鎖動作中に、上記障害物感知手段からの感知信号を受けた際に、開閉機33におけるブレーキ機構33bの電磁ソレノイド33jに対し前記バッテリーの電力を供給し、駆動軸33e及び巻取り軸31を拘束して、シャッターカーテン10の自重による閉鎖動作を停止することも可能である。この場合、自動閉鎖装置34は、電源供給の遮断により元の状態に復帰しないタイプ(詳細には、押圧作動部材34aが元の位置まで後退しないタイプ)とすることができる。
【0048】
更に、他例としては、前記バッテリーから自動閉鎖装置34への電力供給が遮断された場合に、自動閉鎖装置34を作動させて、シャッターカーテン10を閉鎖動作させ、また、前記バッテリーから自動閉鎖装置34への電力供給があった場合には、シャッターカーテン10を回避動作させる構成とすることも可能である。
【0049】
また、前記制御部は、前記バッテリーによって照明装置40が点灯した時間を積算するタイマー手段を備え、前記タイマー手段による積算時間が所定の閾値を超えたことを条件に、照明装置40への電源を遮断する。
前記タイマー手段は、前記マイコンに具備されたタイマー機能や、前記マイコンとは別体に設けられたタイマーリレー等とすればよい。このタイマー手段は、例えば、照明装置40を点灯させるためのリレーの接点信号によって作動する。
【0050】
また、前記バッテリーは、停電時以外は商用電源により蓄電され、停電中に自動閉鎖装置34や前記制御部を作動させるための電源として用いられる。このバッテリーは、例えば、収納部30内やガイドレール20内に設けてもよいし、シャッター装置1以外の場所(例えばシャッター装置1の設置対象となる構造物等)に設けてもよい。
このバッテリーは基本的に停電時のみ用いられ、停電の発生のない通常時には、商用電源が用いられるようになっている。
【0051】
また、照明装置40は、収納部30の下部側に露出した状態で固定されている。
この照明装置40は、近紫外線を主に出射する第一のランプ41と、通常の可視光線を出射する第二のランプ42とを具備している。
【0052】
第一のランプ41は、蛍光作用の強い315nm〜400nmの波長域の光を主に放射するように作られた周知の照明(ブラックライトと称される場合もある)である。この第一のランプ41には、蛍光管を用いた態様や、蛍光作用のあるLEDを用いた態様を含む。
この第一のランプ41は、シャッターカーテン10の閉鎖動作に伴い収納部30から繰り出される蓄光表示部12aを照射するように、その照射方向を該蓄光表示部12aの移動経路の少なくとも一部へ向けて固定される。
なお、図示を省略するが、より好ましい態様としては、第一のランプ41の照射方向を制限するように反射板を設けてもよく、例えば、前記照射方向をシャッターカーテン10方向(図3によれば左方向)に制限するように、該第一のランプ41の反シャッターカーテン10側(図3によれば右側)に反射板を設けるようにしてもよい。
【0053】
また、第二のランプ42は、例えば、通常の蛍光灯や、白熱灯、LED等とすればよく、特に省電力性の観点より、LEDとするのが好ましい。
この第二のランプ42は、停電時等にシャッター装置近傍が暗闇になるのを防ぐように、その照射方向を、下方、またはシャッターカーテン10の面から離れる方向(図3によれば右方向)へ向けて固定される。
なお、図示を省略するが、より好ましい態様としては、第二のランプ42の照射方向を制限するように反射板を設けてもよく、例えば、第二のランプ42の照射方向を上記方向に制限するように、第二のランプ42の上側、または第二のランプ42のシャッターカーテン10側(図3によれば左側)に反射板を設けるようにしてもよい。
【0054】
次に、上記制御部(図示せず)の特徴的な制御動作の一例を、図5に示すフローチャートに基づいて説明するとともに、併せて当該シャッターシステムAの特徴的な作用効果について詳細に説明する。
【0055】
先ず、制御部は、停電フラグがONであるか否かを判断し、ONである場合には次のステップ2へ処理を進め、そうでない場合には停電フラグがONになるまで当該ステップの判断を継続する(ステップ1a)。
【0056】
ここで、停電フラグとは、停電中か否かを示す変数であり、制御部の記憶装置に1や0等の変数として記憶されている。より具体的に説明すれば、制御部が停電中であることを感知した場合、あるいは停電中であることを示す信号を受信した場合には、前記停電フラグがONの状態(例えば1という数値)にされる。また、制御部が停電中であることを感知しない場合、あるいは停電中であることを示す信号を受信していない場合には、前記停電フラグがOFFの状態(例えば0という数値)にされる。
なお、前記制御部は、停電中であっても、図示しないバッテリーから供給される電力によって作動するように構成されている。
【0057】
次に、制御部は、シャッターカーテン10の閉鎖動作に伴う所定状態(具体例としてはシャッターカーテン10の閉鎖動作の開始)を検出したか否かを判断し、検出した場合には次のステップ2へ処理を進め、そうでなければ前記ステップ1aへ処理を戻す(ステップ1b)。
【0058】
次に、制御部は、図示しないバッテリーから供給される電力によって照明装置を点灯する(ステップ2)。
【0059】
次のステップ3では、タイマー手段によって照明装置40の点灯時間の積算が開始される。なお、前記点灯時間の積算値Tは、初期状態では0に設定されている。
【0060】
次のステップ4aでは、前記点灯時間の積算値Tが所定の閾値を超えたか否かが判断され、超えた場合には次のステップ5aへ処理を進め、そうでなければステップ4bへ処理を移行する。
ここで、前記閾値は、前記バッテリーが自動閉鎖装置34を作動可能な範囲内で電力を消耗した場合の時間に設定される。すなわち、前記点灯時間の積算値Tが前記閾値以内であれば、前記バッテリーの電力によって自動閉鎖装置34を作動できるものと判断される。
【0061】
次のステップ5aは、前記点灯時間の積算値Tが前記閾値を超えた場合の処理であり、照明装置40を消灯する。
更に次のステップ6aでは、タイマー手段による点灯時間の積算を停止して、処理を終了する。
【0062】
また、ステップ4bでは、停電フラグがOFFであるか否かが判断され、OFFであればステップ5bへ処理を進め、そうでなければ前記ステップ4aへ処理を戻す。
次のステップ5bでは、タイマー手段による点灯時間の積算を停止して、処理を前記ステップ1aへ戻す。
【0063】
すなわち、前記点灯時間の積算中、その積算値Tが所定の閾値を越えた場合には、照明装置40を消灯してバッテリー電力の消耗を防ぐとともに、タイマー手段による前記点灯時間の積算を停止する(ステップ5a,6a)。
【0064】
また、前記点灯時間の積算中、停電フラグがOFFになった場合(つまり停電状態から復旧した場合)には、照明装置40を消灯するとともに、タイマー手段による前記点灯時間の積算を一時停止して、再度停電の発生に備える(ステップ5b,6b)。この状態で再度停電が発生した場合には、ステップ1aからの処理が再度実行される。
【0065】
よって、図5に示す制御部の処理によれば、前記バッテリーが消耗し切ってしまう前に、照明装置40を点灯不能にするため、前記バッテリーに、自動閉鎖装置34を作動可能な程度の電力を残留させることができる。
【0066】
なお、図5中には自動閉鎖装置34の動作を示すフローチャートを省略したが、制御部は、災害の発生等による非常信号(センサー感知基づき自動的に発信された非常信号や、手動のスイッチ操作で発信された非常信号等を含む)を受信した場合、図5のフローチャートに示す処理とは無関係に、自動閉鎖装置34を作動させるとともに、照明装置40を強制発光させるように構成してある。
【0067】
非常信号の受信に応じて自動閉鎖装置34を作動させた場合には、巻取り軸31が自由回転可能な状態となるため、シャッターカーテン10が自重によって閉鎖動作を開始する。
シャッターカーテン10の閉鎖動作中、その初期段階において、シャッターカーテン10の閉鎖方向端部側に設けられた蓄光表示部12aが、主に第一のランプ41によって蓄光されることになる。
この際、図4に示すように、シャッターカーテン10の座板部材13がガイドレール20の幅狭部21aを通過するため、シャッターカーテン10が比較的低速度で閉鎖動作することになる。よって、蓄光表示部12aに対し第一のランプ41の光を比較的長く照射することができる。
しかも、第一のランプ41の発する光が、近紫外線であるため、蓄光表示部12aを効率的に蓄光することができる。
【0068】
そして、シャッターカーテン10の全閉後には、シャッター装置1近傍を、第二のランプ42によって照らすことができる。
【0069】
また、上記実施の形態では、バッテリーの消耗状態を、照明装置40の点灯時間の積算値Tによって判断するようにしたが、他例としては、前記バッテリーの消耗状態を、前記バッテリーの出力電圧によって判断するようにしてもよい。すなわち、より詳細に説明すれば、この他例では、前記バッテリーの出力電圧を感知する出力電圧感知手段(例えば電圧計等)を備え、前記出力電圧感知手段による感知電圧が所定の閾値よりも小さくなったことを条件に、前記照明装置40を発光させないようにすればよい。この場合の閾値は、例えば自動閉鎖装置34の最低作動電圧以上の適宜値に設定すればよい。
【0070】
次に、他の態様のシャッターシステムについて説明する。なお、以下に示すシャッターシステムにおいて、上記したシャッターシステムAと略同様の箇所については、同一の符号を付けることで重複する詳細説明を省略する。
【0071】
図6に示すシャッターシステムBは、上記シャッターシステムAに対し、照明装置40の配置を変更するとともに、収納ケース32を収納ケース32’に置換した構成とされる。
このシャッターシステムBでは、照明装置40を収納部30の収納ケース32’内に設けるとともに、収納ケース32’には、照明装置40から出射される光を通過させる開口部32a’を設けている。
【0072】
照明装置40は、近紫外線を主に出射する第一のランプ41の照射方向をシャッターカーテン10面へ向けるとともに、通常の可視光線を出射する第二のランプ42の照射方向を開口部32a’へ向けて、収納ケース32’内に固定されている。
【0073】
収納ケース32’は、上記収納ケース32に対し、第二のランプ42の光を通過させるための開口部32a’を形成してなる。
開口部32a’は、図示例によれば、収納ケース32の下端面に、シャッター幅方向へわたって設けられる。
【0074】
このシャッターシステムBによれば、シャッターカーテン10が収納部30内に収納された収納状態において、シャッターカーテン10の閉鎖方向端部側に設けられる蓄光表示部12aを、第一のランプ41によって効率的に蓄光することができ、ひいては、シャッターカーテン10の閉鎖後、照明装置40が消灯した後であっても、蓄光表示部12aの発光を比較的長く維持することができる。
しかも、照明装置40全体を収納ケース32内に保護した状態で、第二のランプ42の光を開口部32a’を介して収納ケース32外へ照射することができ、ひいては、停電時にシャッターカーテン10近傍が暗闇になるのを防ぐことができる。
【0075】
また、図7に示すシャッターシステムCは、上記シャッターシステムAに対し、
シャッター装置1をシャッター装置2に置換するとともに、シャッター装置2と独立して開閉される袖扉装置3を具備し、更に照明装置と蓄光表示部の数及び配置を変更した態様である。
【0076】
シャッター装置2は、シャッター装置1に対しシャッターカーテン10をシャッターカーテン10’に置換した構成とされる。
シャッターカーテン10’は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなるスラット11a’を、上下に隣接する該スラット間で回動するように複数連接することでシャッターカーテン本体11’を構成し、該シャッターカーテン本体11’の閉鎖方向端部に、座板部材13’をシャッター幅方向にわたって接続している。
【0077】
このシャッター装置2において、照明装置40’は、通常の可視光線を出射する上記第二のランプを主に用いており、収納ケース32の下端や、ガイドレール20の下端側に設けられる。
収納ケース32下端の照明装置40’は、シャッター装置1全体を照らすようにして設けられる。
また、ガイドレール20下端側の照明装置40’は、例えば図7に示すように、シャッター幅方向を向くように設けられたり、シャッターカーテン10の手前方向を照射するように設けられたりする。
【0078】
また、袖扉装置3は、シャッター装置2のシャッター幅方向に並んで、構造物の空間を仕切るようにして設けられる。
この袖扉装置3は、ドア状に開閉される袖扉51と、該袖扉51の左右の側枠52,53、袖扉51下側の下枠54、袖扉51上方側の空間を塞ぐ閉鎖部材55等を具備している。
【0079】
袖扉51の表面及び/又は裏面には、蓄光表示部51aが設けられる。
この蓄光表示部51aは、蓄光材からなる発光部51a1と、前記蓄光材の光を遮蔽可能な材料からなる遮光表示部51a2とを具備し、遮光表示部51aを発光部51a1によって囲むように配置してなる。
【0080】
発光部51a1は、図示例によれば、袖扉51の表面及び/又は裏面の全面に蓄光材を塗布することで形成される。この発光部51a1の他例としては、袖扉51の表面及び/又は裏面であって、遮光表示部51a2を囲むようにして部分的に蓄光材を塗布した態様としてもよい。
【0081】
また、遮光表示部51a2は、蓄光材の光を遮光可能な材料からなり、図示例によれば袖扉51の使用目的を示す文字(例えば「非常口」等)と該文字を囲む枠線によって構成される。この遮光表示部51a2は、発光部51a1の上に、フィルムを貼着したり、塗料を塗布することで形成すればよい。
【0082】
また、閉鎖部材55は、二枚の平板状の部材を厚さ方向に間隔を置いて配設するとともにこれら二枚を接続してなり、その内部を中空状に形成している(図8参照)。
この閉鎖部材55は、袖扉51周囲の側枠52,53および下枠51と一体化されており、縦長中空管状のヒンジ55aを介して、構造物壁面に支持されている。したがって、閉鎖部材55、袖扉51,側枠52,53、袖扉51を、ヒンジ55aを中心に回動させれば、シャッター装置1の幅方向に隣接する空間(図7によれば右側に隣接する空間)を開閉することが可能である。
【0083】
この閉鎖部材55の下端面には、照明装置40”が固定されている。この照明装置40”は、近紫外線を主に出射する第一のランプ41と通常の可視光線を出射する第二のランプ42とを適宜に組み合わせて構成される。
この照明装置40”の電気配線40a”は、閉鎖部材55の内部及びヒンジ55a内に挿通されて、閉鎖部材55の上方へ導かれ、図示しないバッテリーから電力が供給されるように電気的に接続される。
【0084】
また、シャッター装置2及び袖扉装置3の設置対象である構造物の壁面には、袖扉51の方向を示すように、蓄光表示部60が設けられる。
この蓄光表示部60は、蓄光材からなる発光部61と、前記蓄光材の光を遮蔽可能な材料からなる遮光表示部62とを具備し、遮光表示部62を発光部61によって囲むように配置してなる。
【0085】
発光部61は、図示例によれば、発光部61周囲の壁面に、蓄光材を部分的に塗布又は貼着してなる。この発光部61の他例としては、発光部61周囲の壁面全体に蓄光材を塗布又は貼着するようにしてもよい。
【0086】
遮光表示部62は、図示例によれば袖扉51の方向を示す矢印であり、蓄光材の光を遮光可能な材料からなる。この遮光表示部51a2は、発光部51a1の上に、フィルムを貼着したり、塗料を塗布することで形成すればよい。
【0087】
よって、上記構成のシャッターシステムCによれば、災害時や停電時に、収納部30下端側の照明装置40’によってシャッター装置1近傍が暗闇になるのを防ぐことができ、特に煙が発生した場合であっても、比較的煙の少ないガイドレール20下端側の照明装置40’,40’を、避難者等に目視させることができる。
【0088】
しかも、袖扉51上方の照明装置40”によって、袖扉51面の蓄光表示部51aが蓄光されるため、照明装置40”が消灯した後であっても袖扉51近傍を蓄光材によって照らすことができる。
その上、暗闇になった場合に、光を放つ発光部51a1,62と対照的に、遮光表示部51a2,62を黒く目立たせることができ、ひいては、避難活動や救助活動を円滑に促進させることができる。
【0089】
なお、上記実施の形態によれば、停電が発生したことを条件に照明装置40,40’,40”を発光するようにしたが、他例としては、手動操作スイッチからの信号や、光センサーの検知信号に応じて、照明装置40,40’,40”を発光させるようにしてもよい。この他例の場合、前記バッテリーの電力を用いて照明装置40,40’,40”を発光させればよいが、商用電源を用いて照明装置40,40’,40”を発光させることも可能である。また、停電が発生した場合に、照明装置40,40’,40”の電源が、商用電源からバッテリーに切り替わるようにしてもよい。
【0090】
また、図1に示すシャッター装置1によれば、扉部材12の一部分に蓄光材からなる蓄光表示部12aを設けたが、他例としては、扉部材12全面に蓄光材を設け、該蓄光材によって囲まれるように上記遮光表示部を設けるようにしてもよい。
【0091】
また、上記実施の形態によれば、照明装置40,40’,40”を点灯させる構成としたが、他例としては、照明装置40,40’,40”を点滅させる構成としてもよい。この構成によれば、点滅感間隔を適宜に設定して、照明装置40,40’,40”の消費電力を低減することができ、ひいては、照明装置40,40’,40”の点滅発光時間を、連続発光の場合よりも延長させることができる。
【符号の説明】
【0092】
1,2:シャッター装置
3:袖扉装置
10,10’:シャッターカーテン
12:扉部材
12a,51a,60:蓄光表示部
20:ガイドレール
30:収納部
34:自動閉鎖装置
40,40’,40”:照明装置
41:第一のランプ
42:第二のランプ
51a1,61:発光部
51a2,62:遮光表示部
51:袖扉
A,B,C:シャッターシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部から繰り出されるシャッターカーテンによって空間を仕切るようにしたシャッターシステムにおいて、
照明装置と、該照明装置に電力を供給可能なバッテリーと、停電状態の検出に応じて前記照明装置に供給するための電源を商用電源から前記バッテリーの電源に切り替える電源切替手段とを備え、
停電状態を検出し、且つ、シャッターカーテンの閉鎖動作に伴う所定状態を検出した場合に、前記バッテリーから出力される電力によって前記照明装置を発光させるようにしたことを特徴とするシャッターシステム。
【請求項2】
前記照明装置を、前記収納部の下部側に露出させて設けたことを特徴とする請求項1記載のシャッターシステム。
【請求項3】
前記照明装置を前記収納部内に設けるとともに、前記収納部には、前記照明装置から出射される光を通過させる開口部を設けたことを特徴とする請求項1記載のシャッターシステム。
【請求項4】
前記シャッターカーテンを閉鎖方向へ案内するガイドレールを具備したシャッターシステムであって、前記照明装置を前記ガイドレールの下端側に設けたことを特徴とする請求項1記載のシャッターシステム。
【請求項5】
前記シャッターカーテンと独立して開閉される袖扉を備えたシャッターシステムであって、前記照明装置を、前記袖扉の近傍に設けたことを特徴とする請求項1記載のシャッターシステム。
【請求項6】
前記バッテリーからの出力電力によって前記シャッターカーテンを自動閉鎖する自動閉鎖装置を具備したシャッターシステムであって、
前記バッテリーの電力によって前記照明装置が点灯した時間を積算するタイマー手段を備え、前記タイマー手段による積算時間が所定の閾値を超えたことを条件に、前記照明装置を発光させないようにしたことを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載のシャッターシステム。
【請求項7】
前記バッテリーの電力を、非常信号に応じて前記シャッターカーテンを自動閉鎖装置によって自動閉鎖させるため、及び/又は、前記シャッターカーテンの閉鎖動作中にその閉鎖方向側の障害物を障害物感知手段によって感知した場合に前記シャッターカーテンを回避動作させるために用いるようにしたことを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載のシャッターシステム。
【請求項8】
前記照明装置の光によって照射されるように、蓄光材を具備してなる蓄光表示部を設けたことを特徴とする請求項1乃至7何れか1項記載のシャッターシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−190017(P2010−190017A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38439(P2009−38439)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【出願人】(594017075)株式会社グロー工業 (5)
【出願人】(503223898)有限会社ケイエスケイ (6)
【Fターム(参考)】