説明

シャットダウン制御装置

【課題】できるだけ人手を介さず、バックアップ処理を実行した後、自動的にシャットダウンを続けて行えるようにした装置/システムを提供する。
【解決手段】ネットワーク接続された端末装置20を遠隔操作でシャットダウンするシャットダウン制御装置30であって、操作側端末装置においてシャットダウン業務を制御するシャットダウン制御部と、被操作側端末装置でシャットダウン処理を制御する遠隔操作プログラムと、ファイル装置とを備え、遠隔操作プログラムは、シャットダウン処理の開始要求に応じて自装置のデータをバックアップデータとしてファイル装置に送信するとともにバックアップデータの送信が終了次第自装置をシャットダウンし、シャットダウン制御部は被操作側端末装置のシャットダウンを検知する自装置のデータをバックアップデータとしてファイル装置に送信するとともにバックアップデータの送信が終了次第自装置をシャットダウンする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク接続された端末装置のバックアップ処理とシャットダウン処理を遠隔操作で実行するシャットダウン制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク接続されたクライアントのバックアップを行うシステムとしては特許文献1のものがある。これは、バックアップサーバが対象となるクライアントの起動用OSイメージを作成してメディアに記録するので、そのメディアを介して起動用OSをクライアントが導入して起動することにより、ネットワークを介してクライアントがバックアップサーバに接続される。その後、バックアップ対象のハードディスクやバックアップ先を選択してバックアップサーバに通知すると、バックアップ処理が行われた後、起動用OSが自動的に終了するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−358245
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、バックアップ処理のためにクライアントを操作するオペレータが必要であった。また、端末装置の運用形態によっては、1日の業務が終了して端末装置をシャットダウンする際にバックアップ処理が行われるので、バックアップ処理に続けてシャットダウンも行われれば利便性が増す。本願発明は、このような課題を踏まえ、できるだけ人手を介さず、バックアップ処理を実行した後、自動的にシャットダウンを続けて行えるようにした装置/システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ネットワーク接続された端末装置を遠隔操作でシャットダウンするシャットダウン制御装置であって、操作側端末装置において指示に応じてシャットダウン業務を制御するシャットダウン制御部と、被操作側端末装置で実行されて被操作側端末装置のシャットダウン処理を制御する遠隔操作プログラムと、端末装置のデータの複写を記録してバックアップするファイル装置と、各端末装置のネットワークアドレスを記録するデータベースと、を備え、シャットダウン制御部は、データベースを参照して被操作側端末装置の遠隔操作プログラムに対してシャットダウン処理の開始要求を送信するとともに、被操作側端末装置のシャットダウン処理の進捗を監視し、遠隔操作プログラムは、シャットダウン処理の開始要求に応じて自装置のデータをバックアップデータとしてファイル装置に送信するとともにバックアップデータの送信が終了次第自装置をシャットダウンし、シャットダウン制御部は更に、被操作側端末装置のシャットダウンを検知するとそれに応じて、自装置のデータをバックアップデータとしてファイル装置に送信するとともにバックアップデータの送信が終了次第自装置をシャットダウンすることで、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のシャットダウン制御装置によれば、サーバかクライアントかに関係なく、オペレータがいずれかの端末装置でOSのシャットダウンを指示すれば、シャットダウン業務プログラムがそれを検知し、ネットワーク上のすべての端末装置のバックアップ処理を実行したのち、すべての端末装置のシャットダウンを行うことができるものである。これにより、それぞれの端末装置を操作するためのオペレータが居なくてもバックアップとシャットダウンが自動で行われるので、大幅に手間が軽減されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態の情報処理システムの構成を示す図である。
【図2】実施形態のシャットダウン業務の大まかな手順を示す図である。
【図3】実施形態の第1の実施例の動作手順を説明する図である。
【図4】実施形態の第2の実施例の動作手順を説明する図である。
【図5】実施形態のメッセージの表示例である。
【図6】実施形態のメッセージの表示例である。
【図7】実施形態のメッセージの表示例である。
【図8】実施形態のメッセージの表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態における情報処理システムの構成を図1に示す。サーバコンピュータ30(以下、単にサーバ30と言う。)と複数のクライアントコンピュータ20(以下、単にクライアント20と言う。)、及びネットワークファイル装置(以下、NWファイル装置と言う。)40がネットワーク回線(LAN回線)10を介して相互に通信可能に接続されている。本情報処理システムでは、ネットワーク回線10に接続されたすべてのクライアント20およびサーバ30(以下、端末装置と総称する。)に、バックアップ処理に続けてシャットダウンを実行するアプリケーションプログラム(シャットダウン業務プログラム)がインストールされており、いずれの端末装置からでも他の端末装置に対してシャットダウン業務の起動をかけ、その中でバックアップ処理を制御できる構成である。
【0009】
サーバ30は、コンピュータから成る情報処理装置であり、CPUで構成した制御部と、RAM、ROM等のメモリと、キーボード等の入力装置と、LCD等の表示装置と、ハードディスクドライブ(HDD)等で構成したファイル装置、及び通信制御装置とが内部バスでつながった構成である。
【0010】
HDDには、OS(オペレーティングシステム)等の基本プログラム及びクライアント20の要求によりクライアント20に対して各種サービスを提供する業務アプリケーションソフトウェアのファイルと、更に、シャットダウン業務を実行するシャットダウン業務プログラムが記録されている。
【0011】
一方、クライアント20もサーバ30と同様にコンピュータから成る情報処理装置であり、CPUで構成した制御部と、RAM、ROM等のメモリと、キーボード等の入力装置と、LCD等の表示装置と、ハードディスクドライブ(HDD)等で構成したファイル装置、及び通信制御装置とが内部バスでつながった構成である。
【0012】
HDDには、OS等の基本プログラム及び各種の業務ソフトウェアのファイルと、更に、サーバ30と同様にシャットダウン業務を実行するシャットダウン業務プログラムが記録されている。各端末装置のCPUは、このシャットダウン業務プログラムを導入して実行することで、他の端末装置に対してバックアップ処理の開始を指示し、それらのバックアップ処理の進捗を管理するバックアップ管理部として機能する一方、他の端末装置から指示を受けた際には自身のバックアップ処理を実行するバックアップ処理部としても機能するものである。
【0013】
また、クライアント20の通信制御装置は、WOL(Wake On Lan)機能やPXE(Preboot eXecution Environment)機能、マルチキャスト受信機能等を備えている。そのためにクライアント20の通信制御装置25はバッテリーバックアップがされている。
【0014】
NWファイル装置40は、ハードディスクドライブ(HDD)等で構成した大容量のファイル装置であり、指示により各端末装置から送信されたファイルの複写を記録するバックアップ装置として機能する。
【0015】
次に、本システムにおけるバックアップ業務の動作を説明する。本実施形態では、サーバ30、クライアント20の区別無くいずれの端末装置からでもシャットダウン業務を起動できるようにしている。ここでは、オペレータがシャットダウン業務を起動してシステム全体のシャットダウン業務を実行管理する端末装置を操作端末、この操作端末からの指示を受けて自身のシャットダウン処理を行う側の端末装置を被操作端末と呼ぶ。
【0016】
図2にシャットダウン業務の大まかな手順を示す。オペレータが何れかの端末装置を選んでシャットダウン業務を起動すると、その端末装置は操作端末として機能する。
【0017】
<1>操作端末は、先ず、LAN上の操作対象となる被操作端末のIPアドレスを取得し、その操作端末に対してシャットダウン業務の開始を通知する。この通知を受けた側の端末装置、即ち被操作端末は自身の表示装置にシャットダウン業務を開始する旨のメッセージを出力する。
【0018】
<2>次に、操作端末は、被操作端末に対してシャットダウン命令を送信する。
【0019】
<3>これを受けて被操作端末はバックアップ処理を開始する。バックアップ処理は自身のファイル装置内の所定のファイルの複写をNWファイル装置に送信して記録させるものである。
【0020】
<4>被操作端末はバックアップ処理の進捗を逐次操作端末に送信し、操作端末は被操作端末毎の進捗状況を表示装置に表示する。
【0021】
<5>被操作端末はバックアップ処理が終了すると自身をシャットダウンする。
【0022】
<6>すべての被操作端末がシャットダウンしたら、操作端末は自身のバックアップ処理を行い、バックアップ処理が終了したら自身をシャットダウンする。
<<第1実施例>>
図3を参照して、サーバ30からシャットダウン業務を開始した場合の動作を詳細に説明する。
【0023】
S1)オペレータはサーバ30(操作端末)でOSのシャットダウンを行う。即ち、OSにシャットダウンを指示する。
【0024】
S2)シャットダウン業務プログラムはサーバ30(自装置)でシャットダウンが開始されたことを検出する。
【0025】
S3)シャットダウン業務プログラムはサーバ30内のデータベースより、クライアント20(被操作端末)のIPアドレスを取得する。そして、どのクライアント20をシャットダウンするか、選択可能にクライアント20のリストを表示する。
【0026】
S4)シャットダウン業務プログラムは取得したIPアドレスに基づいて、シャットダウンの対象となるクライアント20にプログラムBを転送する。
【0027】
S5)シャットダウン業務プログラムは被操作端末にプログラムBの実行要求を送信し、被操作端末はプログラムBを実行する。
【0028】
S6)プログラムBはシャットダウン業務プログラムに対し、シャットダウン可能かどうか通知する。これはアプリケーションプログラムが実行中か否かの通知である。これを受けてシャットダウン業務プログラムは図5に示すメッセージを表示する。
【0029】
S7)シャットダウン業務プログラムはプログラムBにシャットダウンを要求する。
【0030】
S8)プログラムBはシャットダウン要求が来たこと、及びシャットダウン要求を許可するか問い合わせるメッセージを出力する(図6)。
【0031】
S9)所定の時間内にオペレータから中止指令が入力されなければ、プログラムBはバックアップ処理を開始する。このとき図7に示すメッセージが表示される。
【0032】
S10)プログラムBはバックアップ処理の進捗をシャットダウン業務プログラムに通知する。
【0033】
S11)シャットダウン業務プログラムは被操作端末のバックアップ処理の進捗状況を表示出力する(図8)。
【0034】
S12)プログラムBはバックアップ処理が終了すると、被操作端末(自装置)をシャットダウンする。
【0035】
S13)シャットダウン業務プログラムは被操作端末がシャットダウンしたことを検出すると、操作端末(自装置)のバックアップ処理を開始する。このとき図7に示すメッセージが表示される。
【0036】
S14)シャットダウン業務プログラムはバックアップ処理が終了すると、操作端末(自装置)をシャットダウン(電源切断)する。
<<第2実施例>>
次に、図4を参照して、クライアント20からシャットダウン業務を開始した場合の動作を詳細に説明する。
【0037】
C1)オペレータはクライアント20(操作端末)でOSのシャットダウンを行う。即ち、OSにシャットダウンを指示する。
【0038】
C2)シャットダウン業務プログラムはクライアント20(自装置)でシャットダウンが開始されたことを検出する。
【0039】
C3)シャットダウン業務プログラムはサーバ30内のデータベースより、被操作端末のIPアドレスを取得する。
【0040】
C4)シャットダウン業務プログラムは取得したIPアドレスに基づいて、プログラムBを転送する。
【0041】
C5)シャットダウン業務プログラムは被操作端末にプログラムBの実行要求を送信し、被操作端末はプログラムBを実行する。
【0042】
C6)プログラムBはシャットダウン業務プログラムに対し、シャットダウン可能かどうか通知する。これはアプリケーションプログラムが実行中か否かの通知である。
【0043】
C7)シャットダウン業務プログラムはプログラムBにシャットダウンを要求する。
【0044】
C8)プログラムBはシャットダウンを開始する旨のメッセージを出力する。
【0045】
C9)所定の時間内にオペレータから中止指令が入力されなければ、プログラムBはバックアップ処理を開始する。
【0046】
C10)プログラムBはバックアップ処理の進捗をシャットダウン業務プログラムに通知する。
【0047】
C11)シャットダウン業務プログラムは被操作端末のバックアップ処理の進捗状況を表示出力する。
【0048】
C12)プログラムBはバックアップ処理が終了すると、被操作端末(自装置)をシャットダウンする。
【0049】
C13)シャットダウン業務プログラムは被操作端末がシャットダウンしたことを検出すると、操作端末(自装置)のバックアップ処理を開始する。
【0050】
C14)シャットダウン業務プログラムはバックアップ処理が終了すると、操作端末(自装置)をシャットダウン(電源切断)する。
【0051】
尚、NWファイル装置がサーバ30やクライアント20から独立した装置ではなく、サーバ30に接続されている場合は、サーバ30を最後にシャットダウンする必要があるので、C12においてプログラムBはサーバ30(被操作端末)のシャットダウンは行わない。代わりに、C14においてシャットダウン業務プログラムが、バックアップ終了後にサーバ30(被操作端末)にシャットダウンを指示し、その後、自装置をシャットダウンする。
【0052】
このように、本実施形態では、サーバ30かクライアント20かに関係なく、オペレータがいずれかの端末装置でOSのシャットダウンを指示すれば、シャットダウン業務プログラムがそれを検知し、ネットワーク上のすべての端末装置のバックアップ処理を実行したのち、すべての端末装置のシャットダウンを行うことができるものである。これにより、それぞれの端末装置を操作するためのオペレータが居なくてもバックアップとシャットダウンが自動で行われるので、大幅に手間が軽減されるものである。
【符号の説明】
【0053】
10 ネットワーク回線
20 クライアントコンピュータ
30 サーバコンピュータ
40 ネットワークファイル装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク接続された端末装置を遠隔操作でシャットダウンするシャットダウン制御装置であって、操作側端末装置において指示に応じてシャットダウン業務を制御するシャットダウン制御部と、被操作側端末装置で実行されて被操作側端末装置のシャットダウン処理を制御する遠隔操作プログラムと、端末装置のデータの複写を記録してバックアップするファイル装置と、各端末装置のネットワークアドレスを記録するデータベースと、を備え、前記シャットダウン制御部は、前記データベースを参照して被操作側端末装置の前記遠隔操作プログラムに対してシャットダウン処理の開始要求を送信するとともに、被操作側端末装置のシャットダウン処理の進捗を監視し、前記遠隔操作プログラムは、シャットダウン処理の開始要求に応じて自装置のデータをバックアップデータとして前記ファイル装置に送信するとともにバックアップデータの送信が終了次第自装置をシャットダウンし、前記シャットダウン制御部は更に、被操作側端末装置のシャットダウンを検知するとそれに応じて、自装置のデータをバックアップデータとして前記ファイル装置に送信するとともにバックアップデータの送信が終了次第自装置をシャットダウンすることを特徴とするシャットダウン制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシャットダウン制御装置において、前記遠隔操作プログラムは、シャットダウン処理の進捗を前記シャットダウン制御部に送信し、前記シャットダウン制御部は被操作側端末装置のシャットダウン処理の進捗状況を表示出力することを特徴とするシャットダウン制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のシャットダウン制御装置において、前記シャットダウン制御部はシャットダウン業務の開始時に前記遠隔操作プログラムを被操作側端末装置に送信することを特徴とするシャットダウン制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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