シャフト炉充填材料分配装置
主ハウジング(12)、分配シュート、懸架ローター(18)、及び略垂直軸を中心に回転可能な調節ローター(26)から構成されるシャフト炉中への充填材料分配装置を提供する。充填材料の周辺分配のため、シュート(32)は懸架ローターへ吊り下げられて該懸架ローターと共に回転され、及び該シュートは充填材料の放射方向分配のため調節ローター(26)を通して方位調節可能である。差動歯車(86)は、懸架ローター(18)と調節ローター(26)を相互連結し、及び、調節電動装置により差動歯車を通して調節ローターへ差動回転が振り分けられなければ、主回転伝動装置(60)によって懸架ローターへ振り分けられる同一回転速度を調節ローターへ伝動するように構成される。本発明に従って、本発明装置には、主ハウジング上へ配置され、及び第一ケーシング(50)から主ハウジング中へ突き出し、かつ調節ローター(18)上の第一ギアリング(64)と噛み合うギアホイールへ連結されるほぼ垂直な出力シャフトと、第一ケーシング(50)から出力シャフト(54)に対して一定角度、特に垂直に突出す連結シャフト(56)の間に角度伝動装置(52)を含む第一ケーシングと、主ハウジング上に配置され、及び第二ケーシング(70)から主ハウジング中へ突出し、かつ調節ローター(26)上の第二ギアリング(80)と噛み合うギアホイール(78)へ連結されるほぼ垂直な出力シャフトと第二ケーシング(70)から出力シャフト(74)に対して一定角度、特に垂直に突出す連結シャフト(76)の間に角度伝動装置(72)を含む第二ケーシングと、さらに第一及び第二ケーシング(50,70)から間隔を空けて離れ、かつ第一ケーシング(50)の連結シャフト(56)へ連結される第一シャフトと第二ケーシング(70)の連結シャフト(76)へ連結される第二シャフト(90)へ連結される差動歯車を含む第三ケーシング(84)が含まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概略的にはシャフト炉用の充填設備に関し、特にはシャフト炉中における充填材料の分配装置に関する。本発明は、さらに具体的には、充填材料の周辺及び放射方向分配用シュートが装備される分配装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記方式の分配装置は米国特許第3,693,812号から公知である。米国特許3,693,812号に記載の装置には、懸架ローターと、ほぼ垂直な回転軸を中心として回転可能となるように主ハウジング中に支持されるシュート調節ローターが備えられている。前記シュートは、充填材料の周辺分配のため前記懸架ローターと共に回転するように前記懸架ローターへ吊るされる。さらに、米国特許3,693,812号記載の装置においては、前記シュートは充填材料の放射方向分配のためほぼ水平な軸を中心として旋回調節可能に吊るされる。前記懸架ローター及び調節ローターは主回転伝動装置、すなわち電気モーターが装備される差動駆動装置と、調節伝動装置、すなわち電気モーターによって駆動される。前記調節伝動装置によって懸架ローターと調節ローター間の差動回転が生成される。米国特許3,693,812号記載の装置にはシュート調節のための旋回機構が与えられている。シュートへ連結され、かつ調節ローターによって作動されるこの機構により、懸架ローターと調節ローター間における角度変位の変動が差動回転によって旋回位置の変動、すなわちシュートの傾き角度へと変換される。
【0003】
米国特許3,693,812号記載の充填材料分配装置には2個のローターを駆動させるための小型駆動装置が装備されている。この装置は、ローター及びシュートを支持する主ハウジング上へ取り付けられるケーシング中に封入されている。このケーシングには主入力シャフト、副入力シャフト、第一出力シャフト(以下において回転シャフトと称する)、及び第二出力シャフト(以下において調節シャフトと称する)が含まれる。前記主入力シャフトは主回転伝動装置によって駆動される。前記ケーシング内部において、減速機構によって主入力シャフトが回転シャフトへ連結される。この回転シャフトは、懸架ローターのギアリングと噛み合うギアホイールが備えられる主ハウジング内部において垂直方向へ延びている。前記調節シャフトも、前記調節ローターのギアリングと噛み合うギアホイールが備えられる主ハウジング中へ垂直に延びている。前記駆動装置のケーシング内部において、前記回転シャフトと前記調節シャフトはエピサイクリック差動機構、すなわち遊星歯車列を用いて相互に連結される。後者の調節シャフトは、主として回転シャフト上のギアホイールと噛み合う外側歯状体を有する水平環状体(リングギア)と、副入力シャフトへ連結される中心歯車、及び前記環状体の内側歯及び中心歯車と噛み合う少なくとも2個の遊星歯車から構成される。この遊星歯車列は、副入力シャフトが静止している時、すなわち調節シャフトが停止している時に、前記回転シャフトと調節シャフトが主回転伝動装置によって振り分けられる同一回転速度になるように寸法化される。前記調節伝動装置は可逆性伝動装置であり、副入力シャフトへ連結される。差動機構により、前記調節伝動装置は回転シャフトよりも高速でも低速でも調節シャフトを駆動させて、懸架ローターと調節ローター間の相対回転、すなわち差動回転を生ずることが可能である。このような差動回転は旋回機構によってシュートの旋回運動へと変換される。米国特許3,814,403号には、類似しているが、主として2本の入力シャフトが共軸に配置され、さらに調節シャフトが回転シャフト中を共軸に通過し、双方とも同一開口部を通って主ハウジング中まで達する点において異なる小型駆動装置が開示されている。
【0004】
理解されるように、上記小型駆動装置は充填材料分配装置の主要構成部品である。この小型駆動装置は注文生産であるため、該分配装置の全体コストの主要部分を占めるものである。さらに、駆動装置が手入れや大きな修理を要しても炉を連続操業するように確保するために、通常炉オペレーターによって完全な交換用装置が常備されねばならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、その第一の目的として、メンテナンスが容易であって、かつコストを低減できるシャフト炉充填材料分配装置を提供する。本目的は請求項1項記載の装置によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る充填材料分配装置は、公知方法と同様に、主ハウジング及び充填材料分配シュートから構成される。懸架ローターは主ハウジング内に取り付けられ、通常炉軸と一致するほぼ垂直な回転軸を中心に回転可能である。懸架ローターには回転をこのローターへ振り分ける第一ギアリングが備えられる。調節ローターはハウジング内に取り付けられ、通常は回転軸あるいはシュート懸架ローターと一致するほぼ垂直な回転軸を中心に回転可能である。駆動されるため、前記調節ローターには第二ギアリングが備えられる。前記分配シュートは、充填材料の周辺分配のため、懸架ローターと共に回転するように懸架ローターへ吊るされる。さらに、充填材料の放射方向への分配のため、前記シュートは、調節ローターを用いて、懸架ローターに向けて調節可能に、特にほぼ水平な旋回軸を中心として旋回調節可能とされる。差動機構、特に差動ギアにより、懸架ローターに対して調節ローターが差動回転できる方式で両ローターは相互連結される。懸架ローターに回転を与えるため、通常電気モーターである主回転伝動装置が懸架ローターへ連結される。後者の懸架ローターはさらに、調節ローターへ回転を与えるため、差動方式で調節ローターへ連結される。さらに本分配装置には、調節ローターへ差動回転、すなわち調節ローターの懸架ローターに対する角度位置における変化を与えるため、差動装置を通して調節ローターへ連結される調節伝動装置、特に電気モーターが備えられる。この差動装置は、調節伝動装置が作動して調節ローターへ差動回転が与えられない限り、主回転伝動装置が調節ローターへ直接与えるのと同一な回転速度を調節ローターへ伝えるように構成される。別の言い方をすれば、前記差動装置は、両伝動装置のそれぞれによって調節ローター上へ与えられるトルクが重ね合わされて、所望されるならば、該調節ローターが双方の方向へ回転できるように、あるいは懸架ローターに対する角度位置を維持するように構成される。
【0007】
本願発明によれば、及び本願における第一の目的の達成のため、本発明に係る分配装置には3つの別個のケーシングが主ハウジング上に取り付けられる。
より具体的には、本発明装置は、
−主ハウジング上に取り付けられ、かつかさ歯車対等の角度伝動装置を、第一ケーシングから主ハウジング中へ突き出し、かつ操作によって連結されて懸架ローターの第一ギアリングと噛み合うギアホイールを駆動させて懸架ローターへ回転を与えるほぼ垂直な出力シャフトと第一ケーシングから一定角度、特に出力シャフトに対して垂直に突き出す連結シャフト間に含む第一ケーシングと、
−主ハウジング上に取り付けられ、かつかさ歯車対等の角度伝動装置を、第二ケーシングから主ハウジング中へ突き出し、かつ操作によって連結されて調節ローターの第二ギアリングと噛み合うギアホイールを駆動させて調節ローターへ回転を与えるほぼ垂直な出力シャフトと第二ケーシングから一定角度、特に出力シャフトに対して垂直に突き出す連結シャフト間含む第二ケーシングと、
−例えば主ハウジング上、あるいは別個の支持構造体上において、第一ケーシング及び第二ケーシングから間隔を空けて位置し、かつ第三ケーシングから突き出し、かつ第一ケーシングの連結シャフトと第二ケーシングの連結シャフトへ連結される第一シャフトへ連結される差動装置を含む分離された第三ケーシングを含んで構成される。
【0008】
理解されるように、前記それぞれ統合された機構を備える3つの別個のケーシングは、直ぐに入手可能な機械部品を主に用いて作製される「標準化された」ユニットとして設計可能である。さらに、第一及び第二ケーシングのように、ケーシング内の角度伝動装置を与える市販の構成部品を用いて駆動トルクを第一及び第二ギアリングのそれぞれへ伝動することが可能であり、これにより駆動装置のコストを低減することが可能である。さらに、分離型ケーシングのそれぞれは容易に取り除くことができ、また個別に取り替えられるためメンテナンスも容易となる。さらに、第三ケーシング中の差動装置が故障した場合でも、修理のために該第三ケーシングを簡単に取り外し、第一及び第二ケーシングの連結シャフトを直接的(非差動的)なトルク伝達装置、例えば固定型シャフトとなして連結することが可能である。その結果として、差動装置が修理あるいは再設置されるまでの間、シュートを懸架ローターに対して一定位置に固定して、本発明分配装置を仮作動させることが可能となる。
【0009】
好ましい実施態様においては、前記調節伝動装置は前記第三ケーシングへ取り付けられ、好ましくは第三ケーシング内部に有利に配置される減速ギアを用いて差動装置へ連結される。
【0010】
前記主回転伝動装置は、第三ケーシングあるいは第一ケーシングのいずれかへ取り付けられ、第三ケーシング内部においては好ましくは歯車列を用いて差動装置の第一シャフトへ連結され、あるいは第一ケーシング内部においては好ましくは歯車列を用いて第一ケーシングの出力シャフトへ連結される。前者の取り付けにより第一ケーシングと第二ケーシング双方を同一ユニットとして設計することが可能となるため、コストをさらに減じ、メンテナンスを容易化することができる。他方後者の取り付けにより、差動装置の手入れあるいは修理のために第三ケーシングが取り外される場合においても操作の継続が可能となる。
【0011】
好ましくは、第一及び第二ケーシングのそれぞれには漏止めブッシングを備える底板が含まれ、該底板を通して出力シャフトが突き出している。この実施態様においては、主ハウジングには、第一及び第二ケーシングに関して、各出力シャフト上のギアホイールが通過するための開口部がそれぞれ含まれる。この実施態様では、いずれかのケーシングを取り換える場合に、駆動ギアホイールを手動で取外し及び再設置する必要性が生ずる。
【0012】
僅かな置き違えあるいは不適切な方位に対する位置決め柔軟性及び許容性を高めるため、差動装置の第一シャフトは好ましくは自在継手を取り付けて第一ケーシングの連結シャフトへ連結される。さらに、あるいは上記に代えて、同等運動量(homo kinetic)自在継手を取り付けて、第二シャフトを第二ケーシングの連結シャフトへ連結させることが可能である。好ましくは、前記同等運動量自在継手配列は、例えば長さ伸長可能な中間シャフトを介して長さ補正されるダブルカルダンシャフトから構成される。シャフト間の方位における許容性をさらに高めるため、カルダンシャフトの2個のカルダンジョイントは好ましくは中心のあるダブルカルダンジョイントとされる。
【0013】
第三ケーシングを取外す場合における連続操作の中断時間を最少にする好ましい構成においては、主回転伝動装置は第一ケーシング上へ取り付けられ、第一ケーシングと第二ケーシングはそれらの連結シャフトが一直線に並ぶように主ハウジング上に配置される。かかる構成によって、第三ケーシングは固定式のトルク伝動連結装置に単純に置き換わることが可能である。
【0014】
前記差動歯車は、好ましくは環状体、中心歯車、及び環状体及び中心歯車と噛み合う少なくとも2個の遊星歯車を担持する遊星歯車キャリヤから成るエピサイクリック遊星歯車装置とされる。他の構成が排除されるわけではないが、好ましい構成においては、中心歯車は差動装置の第一シャフトへ固定され、遊星歯車は差動装置の第二シャフトへ固定され、かつ前記環状体は調節伝動装置へ連結されて例えば第一シャフトあるいは第二シャフトによって回転可能に支持される。
【0015】
典型的な構成において、本発明の分配装置には分配シュートを調節ローターへ連結する旋回装置が含まれる。このような旋回装置は、懸架ローターに対する調節ローターの差動回転をシュートの傾斜角度変化へ変換するように設計される。
【0016】
理解されるように、本発明に係る分配装置は特にシャフト炉充填設備において用いられるように設計されている。従って、主たる工業的用途の例として銑鉄製造用の冶金高炉での使用が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第一の実施態様に従ったシャフト炉中への充填材料の分配装置の平面図である。
【図2】図1中の破線A−Aに沿って切断した図上部と図1中の破線B−Bに沿って切断した図下部から成る図1に示す装置の縦断面図である。
【図3】図1に示す装置に用いる差動機構、より具体的には遊星歯車装置を説明するための側面図である。
【図4】本発明の第二の実施態様に従ったシャフト炉中への充填材料の分配装置の平面図である。
【図5】図4中の破線C−Cに沿って切断した図上部と図4中の破線D−Dに沿って切断した図下部から成る図4に示す装置の縦断面図である。
【図6】差動歯車の第一の代替実施態様を説明するための図5に類似する部分縦断面図である。
【図7】差動歯車の第二の代替実施態様を説明するための図5に類似する部分縦断面図である。
【図8】差動歯車の第三の代替実施態様を説明するための図5に類似する部分縦断面図である。
【図9】差動歯車の第四の代替実施態様を説明するための図5に類似する部分縦断面図である。
【図10】本発明の第三の実施態様に従ったシャフト炉中への充填材料の分配装置の平面図である。
【図11】図10の破線E−Eに沿って切断した図10に示す装置の上部の縦断面図である。
【図12】本発明の第四の実施態様に従ったシャフト炉中への充填材料の分配装置の平面図である。
【図13】図12に示す装置の側面図である。
【発明を実施するための手段】
【0018】
本発明のさらなる詳細及び利点について、非限定的な実施態様を用いて添付図面を参照しながら以下において明らかにする。
なお、図面中、同一符号は同一あるいは類似部分を示し、百桁数字を用いた符号は構造的には異なる実施態様であっても機能的に類似する部分について示している。
【0019】
図1〜2は第一の実施態様に従ったシャフト炉、特に高炉のストックライン(装入線)上へのバルク充填材料(負荷)の分配装置10についての説明図である。本分配装置10は充填設備の一部となるように設計されている。なお、該充填設備の全体は図示されていない。本分配装置は、炉喉部上に配置され、かつ垂直送込みチャネル16を画定する固定型送込み口14を有する主ハウジング12から構成される。主ハウジング12内部には、懸架ローター18が、ほぼ垂直な回転軸を中心に回転可能な第一大直径環状ローラーベアリング20を用いて吊るされる。懸架ローター18は全体的に円筒形を呈する円筒体から成り、その下側中には円板形状の水平保護フランジ24が備えられ、このフランジによって主ハウジング12と炉内部との間にスクリーンが形成される。第二ローター(以下において調節ローター26と呼ぶ)は懸架ローター18を取り囲み、第二大直径環状ローラーベアリング28を用いて主ハウジング内部に吊り下げられ、かつ該調節ローター26の回転軸と前記懸架ローター18の回転軸がほぼ共軸となるように配置される。
【0020】
符号32は送込みチャネル16を通って送り込まれるバルク材料用の分配シュートを示す。このシュート32には2本の側方懸架アーム34、34′が設けられ、これらアームを用いて該シュートは懸架ローター18へ吊るされる。調節ローター26によって作動される旋回装置により、懸架ローター18に対するシュート32の方位調節、より具体的にはほぼ水平な軸を中心としたシュートの旋回位置あるいは傾斜角度の調節が可能である。そのために、前記旋回装置によって分配シュート32が調節ローター26に連結され、それによって調節ローター26の差動回転がシュート32の旋回位置の変化へ変換される。図示された分配装置10において、旋回装置には、シュート32の各懸架アーム34、34′のために、旋回機構36、36′が備えられ、これら旋回機構は懸架ローター18上の正反対位置に担持される。旋回機構36、36′のそれぞれには、垂直入力シャフト38、38′、内部歯車系(図示せず)、及び水平懸架トラニオン(筒耳)が備えられる。前記入力シャフト38、38′は両ローター18、26の回転軸に対して平行であり、かつ調節ローター26の下側ギアリング42と噛み合うギアホイール40へ連結される。各内部ギアシステム(図示せず)によって各入力シャフト38、38′の回転が各懸架トラニオン44、44′の回転へと変換される。理解されるように、両旋回機構36、36′はシュート32の中央面に対して対称であることから、調節ローター26の下側ギアリング42による入力シャフト38、38′の回転が両懸架トラニオン44、44′の(中央面から見て)反対向きの回転となってシュート32を旋回させるのである。図2に示すように、側方懸架アーム34、34′は前記トラニオン44,44′へ取り付けられるため、これらによってシュート32にはほぼ水平な旋回軸が画成される。
【0021】
理解されるように、他の適切な調節機構を用いて懸架ローター18に対するシュートの位置を調節することも可能である。例えば、米国特許第4,941,792号には、2つの懸架トラニオンを調節ローターへそれぞれ連結する股状の旋回レバーを有する旋回機構と、2つのシュートトラニオンのいずれかへ固定される鋸歯状セクターと連携作動する環状の鋸歯状部分が開示されている。他方、米国特許第5,002,806号には、調節ローターをトラニオンの一つ上のクランクへ球形継手を用いるロッドリンク機構によって連結させることが提案されている。前記調節機構は、懸架ローターに対する調節ローターの差動回転をシュートの傾斜角度の変化へ変換するように設計されているが、他の調節可能性が排除されているわけではない。例えば他の代替となる実施態様においては、前記シュートは旋回可能なシュートではなく、懸架ローターによって形成され、及び懸架ローターと同時に回転する上部と、炉中心軸から側方へ外れた第二垂直回転軸を中心に回転する下部から成る一種の2部分シュートが用いられる。上記分配装置及び2部分シュートの下部を作動させるための対応調節機構の例は、日本特許出願JP63-096205あるいはJP02-022409、あるいはソ連発明者証SU1669988に開示されている。
【0022】
図1、2において、符号50は主ハウジング12上へ取り付けられる第一ケーシングを示す。第一ケーシング50内にはかさ歯車型の角度伝動装置52が含まれている。前記角度伝動装置52により、ケーシング50から下方のハウジング12へ突き出るほぼ垂直な出力シャフト54と、第一ケーシング50から出力シャフト54に対して直角に突き出すほぼ水平な連結シャフト56が連結される。図2の実施態様においては、出力シャフト54の上端が、歯車列58、例えば減速歯車を通って主回転伝動装置60へ連結される。なお、この主回転伝動装置には、水圧あるいは空気圧伝動装置も除外されないが、好ましくは電気モーターが用いられる。出力シャフト54の下端には懸架ローター18上の第一ギアリング64と噛み合うギアホイール62が取り付けられる。これにより、出力シャフト54は回転駆動シャフトとして作用して主回転伝動装置60から懸架ローター18へトルクを伝動する。理解されるように、出力シャフト54は、ケーシング50内部を主ハウジング内部18から隔離するため、ケーシング50の下側基板中に漏止めブッシング、例えば詰め物ボックス中を通過する。さらに、ケーシング50の基板は主ハウジング12の上板中の開口部66をシールするための適当なシールを用いて主ハウジング12上へ取外し可能に取り付けられる。この開口部66はギアホイール62が通過できるように寸法化される。
【0023】
図1、2において、符号70は主ハウジング12上に配置される第二ケーシングを示す。このケーシング70中にもかさ歯車対を備える角度伝動装置72が含まれる。この角度伝動装置72によってほぼ垂直な出力シャフト74がほぼ水平な連結シャフト76へ連結される。出力シャフト74の下端によって、下側ギアリング42上方の調節ローター26の上側部域へ固定される第二ギアリング80と噛み合うギアホイール78が担持される。出力シャフト74はケーシング70の下側基板中の漏止めブッシング中を通って主ハウジング12中へ突き出し、他方連結シャフト76は適当なベアリング中を通ってケーシング70から水平に突き出す。理解されるように、ケーシング70の下側基板も、適当なシールを用いて主ハウジング12上へ取外し可能に取り付けられて主ハウジング12の上板中の開口部82が封じられる。この開口部82もギアホイール78が通過できるように寸法化される。
【0024】
第一ケーシング50と第二ケーシング70の間の主ハウジング12上に第三ケーシング84がスペースを空けて置かれる。この第三ケーシング84中には、差動機構、特にエピサイクリック遊星歯車装置86が含まれる。この遊星歯車機構86には3本のシャフトが連結され、これらシャフトは第三ケーシング84から外へ出ている。これらシャフトとは、すなわち、(i)連結器89を用いて第一ケーシング50の連結シャフト56へ連結されるほぼ水平な第一シャフト88、(ii)連結器91を用いて第二ケーシング70の連結シャフト76へ連結されるほぼ水平な第二シャフト90、及び(iii)減速ギア94を通して調節伝動装置96、特に電気モーターへ連結される駆動シャフト92である。適当な連結器89、91としては、捻じれ剛性のある差動連結器、好ましくはオルダム連結器又は正嵌め合いクロウ連結器等の可撓連結器が用いられるが、他方において、いずれかのトルク伝動型、調節不良及び位置決めエラー許容型差動連結器を用いることも可能である。緩衝連結器89、91のいずれを用いるかに関する別の好ましい選択として、可撓ディスク連結器、正嵌め合いギア連結器、特に内側鋸歯状スリーブと噛み合う湾曲外側ギア歯をもつ連結器の使用がある。より好ましくは、緩衝連結器89、91のそれぞれに、ダブルカルダンシャフトを模倣するように、2個の可撓ディスクあるいはギア連結器が連続状に含まれる。
【0025】
図1及び2に示した実施態様による遊星歯車機構86の拡大側面図を図3に示す。この遊星歯車機構は、円錐形の外側かさ歯車列102が設けられる環状体100と円筒形の遊星内部歯車装置104から構成される。円錐形かさ歯車106は駆動シャフト92へ固定され、かつ環状体100のかさ歯車102と噛み合って駆動トルクを調節伝動装置96から環状体100へ伝達する。中心歯車108は第一シャフト88へ固定かつ支持されて環状体100内部を共軸支持している。従って、中心歯車108は第一ケーシング50の連結シャフト56へ連結されている。2つの遊星歯車110′、110″は内側歯車104と、そして同時に中心歯車108の円筒形遊星外側歯車装置と噛み合う。遊星歯車110′及び110″は遊星歯車キャリヤ112上に回転支持され、この遊星歯車キャリアは順に第二ケーシング70の連結シャフト76へ連結される第二シャフト90へ固定されて支持される。図2から理解されるように、環状体100は第二シャフト90によって回転支持される。
【0026】
差動遊星歯車機構86は、差動装置86へ連結される第三シャフト、すなわち駆動シャフト92が回転しない時(N3=0)にはいつでも、すなわち駆動シャフトが停止状態である時には、第三シャフト角度伝動装置52を介して主回転伝動装置60によって振り分けられる第一シャフト88の回転速度N1が第二シャフト90の回転速度N2と等しくなるように寸法化される。別の言い方をすれば、調節伝動装置96によってトルクが駆動シャフト92へ振り分けられず、従って差動回転が懸架ローター18に対する調節ローター26への差動回転が振り分けられなければ、主回転伝動装置60によって懸架ローター18へ振り分けられる同一回転速度が差動装置86によって調節ローター26へ伝動されるように構成される。従って、調節伝動装置96が作動してドライブシャフト92を第一の向きに一定の回転速度N3(≠0)で回転させる時、第二シャフト90の回転速度N2は、第一シャフト88の回転速度N1と、適当なギア比(差動遊星歯車機構86の設計に依存して決まるV比)で掛け算される駆動シャフト92の回転速度N3の足し算に一致する。他方、調節伝動装置96が駆動シャフト92を反対向きに一定の回転速度N3(≠0)で回転させる時、第二シャフト90の回転速度N2は、適当なギア比で掛け算される駆動シャフト92の回転速度N3(引き算)だけ減速される第一シャフト88の回転速度N1に一致することになる。その結果、調節伝動装置を所望される通りに操作することにより、差動遊星歯車機構86によって懸架ローター18と調節ローター26間における角度変位を増大させ、減じ、あるいは無くすることが可能となる。その結果として、差動装置86によって、懸架ローター18と調節ローター26が、後者に対する前者の差動回転が可能となる方式で相互連結される。他方、差動装置86により、調節伝動装置96が停止している時に該調節伝動装置96を操作することなく、両ローター18、26を同一回転速度に維持することが可能である。次いで上記いずれかの適当な調節機構により、懸架ローター18と調節ローター26間の角度変位における変化が対応するシュート32の位置、特に図1〜2の場合では旋回位置と傾斜角度、の変化へと変換される。理解されるように、調節伝動装置96の回転速度によって調節、すなわちシュート32の旋回速度が決められる。シュート32を(懸架ローター18に対して)適正位置に維持するには、調節伝動装置96を停止させるだけである。調節伝動装置の遮断も電気的に達成可能である。調節伝動装置96の停止(休止)後、該調節伝動装置を、機械的に、例えば減速歯車94の自己妨害構成を用いて回転を妨害することが可能である。上記の機能的説明においては、第一ギアリング64とギアホイール62間のギア比が、第二ギアリング80とギアホイール78間のギア比と同一であることが想定されている。後者のギア比が異なる場合、差動遊星歯車機構86の内側ギア比は、主回転伝動装置60だけの作用によってローター18、26の同時回転が得られ、かつ補助調節伝動装置96の作用によってそれらローター間の差動回転が可能となるように適合化される。
【0027】
図2に戻り、符号120は第一ケーシング50の出力シャフト54の回転を測定する第一ロータリーエンコーダであり、この測定値に、ギアホイール62と第一ギアリング64間のギア比を適用すると、懸架ローター18の回転速度となる。また、第二ロータリーエンコーダ122によって駆動シャフト92の回転が測定され、この測定値に、かさ歯車106、102、惑星歯車86、及びギアホイール78に対する第二ギアリング80の適当なギア比を適用して、調節ローター26の回転速度が求められる。これらエンコーダ120、122によって為される測定及びギア比から、シュート32の実際の(旋回)位置をいかなる瞬間においても正確に決定することが可能である。
【0028】
理解されるように、3つのケーシング50、70、84は、統合伝動機構をによってユニットを構成するが、それは市販の標準機械部品を用いて標準化及び製造可能である。従って、本発明に係る分配装置10の製造コストは大幅に低減可能である。さらに、各ケーシング50、70、84はそれぞれ取外し、交換、及び修理可能である。これにより、メンテナンス及び修理は明らかに容易化される。特に、いずれかの出力シャフト54、74のレベルにおいて漏止めブッシングの修理あるいは交換が必要とされる場合、差動装置86を取り外さずに、相対的に安価な第一及び第二ケーシングを個別に交換することが可能である。さらに、第三ケーシング84中に別個に仕切られている差動装置86が故障した場合は、図1〜3の実施態様における第一及び第二ケーシング50、70の連結シャフト56、76が整列していることにより分配シュート32の操作を妨害することなく、第三ケーシングを取り外すことが可能である。このような整列により、補償連結器89、91を連結して一時的な剛性リンクとさせることが可能となる。第一ケーシング50において猶作動中である主回転伝動装置60を用いて、この方策によって、修理あるいは手入れ後に差動装置86が再度設置されるまで、固定旋回位置をもつシュート32を用いた連続操作が可能となる。
【0029】
次に図4〜5を参照して第二の実施態様に従った分配装置210について以下に説明する。図5の下側部分は実質的に図2における説明と同一であるので同一符号を用いて示し、該部分についての説明は省略する。
【0030】
図4〜5の充填装置210には、第三のケーシング284が第一ケーシング250及び第二ケーシング270から間隔を空けて含まれている。第三ケーシング284は主ハウジング12上の他のケーシング250、270の間のほぼ中央面上に、炉中心軸、すなわちローター18、26の回転軸から側方へずれて(offset)配置される。前述した実施態様とは反対に、図4〜5の充填装置210においては、第三ケーシング284中の差動装置286へ連結される第一シャフト288及び第二シャフト290は第一及び第二ケーシング250、270の連結シャフト256、276と一列配列されない。
【0031】
前記ずれに対して橋絡するため、第一及び第二シャフト288、290はそれぞれ図4〜5に示すように適当な同等(homo)運動量自在継手を配置して連結シャフト256、276へ連結される。前記継手のそれぞれの配置には、ダブルカルダンシャフト285、287が第一及び第二カルダンジョイント293、295と共に含まれ、これら継手は中間シャフト(自在継手、U−継手、フック継手とも称される)297、297′を用いて相互連結される。各ダブルカルダンシャフト中において、単一のカルダンジョイントに固有な角速度の変動を解消するため、第一カルダンジョイント293、293′は第二カルダンジョイント295、295′と等位相とされる。すなわち、第二カルダンジョイント295、295′によって第一カルダンジョイント293、293′によって持ち込まれる速度伝達誤差が解消される。理解されるように、ダブルカルダンシャフト285、287によって同等運動量連結が形成されてシュート32による周辺方向への均質な材料分配が確保される。中間シャフト297、297′は、長さを補正してケーシング250、270、284への位置柔軟性及び方位許容性をさらに増大させるため、それぞれ伸縮自在の長さ伸長可能シャフトとして形状化される。中間シャフト297とそれに連結されるシャフト288、256間、あるいはシャフト297′とそれに連結されるシャフト290、276間が不適切な角度方位となるのを防止するため、カルダンジョイント293、293′;295、295′のそれぞれは、それら自体が同速回転定速度(CV)継手として働くように、好ましくは背中合わせに取り付けられたフック継手から成る中心のあるダブルカルダンジョイントとして形状化される。あるいはその代替として、カルダンジョイント293、293′;295,295′の代わりにツェッパジョイントあるいはトラクタジヨイント等の実定速(CV)継手(同等運動量継手とも称される)を用いることも可能である。
【0032】
図5に示した第二の実施態様による差動装置286は図2の装置とほぼ同一構成である。すなわち、この差動装置は、調節伝動装置296へ連結され、かつ図5の第一シャフト288上へ回転可能に支持される環状体200と、第一シャフト288へ固定される中心歯車208と、第二シャフト290へ固定される惑星歯車キャリヤ212から構成される。惑星歯車210,210′はキャリヤ212上に配置されて中心歯車208を中心として回転し、環状体200の内側歯車装置及び中心歯車208の外側歯車装置と噛み合う。図4〜5の実施態様においては、調節伝動装置296は、ウォーム歯車型の減速歯車294を用いて環状体200を駆動するように連結され、好ましくは自己ブロック型であって第三ケーシング内部に配置される。減速歯車294は環状体200の外側歯車装置と噛み合うギアホイールへ連結される。同様に、主回転伝動装置を差動装置286の第一シャフト288へ連結させる歯車列258はケーシング284に一体化される。歯車列258は、第一シャフト288上に固定される第一大直径ギアホイールと、主回転伝動装置260の駆動シャフトへ固定される第二小直径ギアホイールを備える円筒形ギアホイール対から構成される。これにより、図4〜5の実施態様においては、主回転伝動装置260が調節伝動装置296と同様に第三ケーシング284へ取り付けられ、第一ケーシング250の交換が容易化され、かつそのユニットコストも低減化されている。さらに、このように配置することにより、第一及び第二ケーシング250,270を図1〜2の実施態様と比較して同一の標準化ユニットとして設計することが可能とされている。
【0033】
図5からさらに理解されるように、第一及び第二ケーシング250,270のそれぞれには、ほぼ水平な連結シャフト256,276のそれぞれからほぼ垂直な出力シャフト254,274のそれぞれへトルクを伝達するためのかさ歯車対223,223′の形態を取る角度伝動装置が含まれる。理解されるように、図4〜5の実施態様においては、第一及び第二ケーシング250,270のそれぞれには漏止めブッシングを備える基板が含まれ、このブッシングを通って各出力シャフト254,274が突き出している。従って、主ハウジング12にも、これらケーシング250,270のそれぞれに関して、各出力シャフト62,78が通過できるような大きさの開口部がそれぞれ設けられる。これにより、出力ギアホイール62,78の手動による取外しあるいは再設置を必要とせずに、ケーシング250,270を素早く取り外し、かつ主ハウジングの上板上へ再設置することが可能となる。
【0034】
図2〜5に第三ケーシング84,284中の惑星差動装置86,286の好ましい構成を示す。また図6〜9には、同じく本発明の範囲内に含まれる代替例の構成について模式的に示す。これら図6〜9の実施態様は、各差動装置の構成と差動装置の伝動装置260,294への連結においてのみ図5の実施態様と異なっている。従って、図6〜9の他の特徴については繰り返して説明しない。
【0035】
図6に代替例となる差動装置386を示す。この差動装置中において、中心歯車308は第二シャフト290へ固定され、他方惑星歯車キャリヤ312は差動機構386の第一シャフト288へ固定される。環状体300は順に調節伝動装置296(図4参照)へ連結され、かつ第二シャフト290により回転可能に支持される。(なお、前記環状体を第一シャフト288上に支持することも同じく可能である)。環状体300には調節伝動装置296の駆動シャフト292上のウォームと噛み合って減速歯車394を形成する追加の外側ウォームホイールが含まれる。図6の変形においては、主回転伝動装置260のための歯車列358も、第一シャフト288へ固定されるウォームホイールと主回転伝動装置260の駆動シャフトへ連結されるウォームを備えるウォーム歯車型である。
【0036】
図7の実施態様においては、差動駆動機構486もまたエピサイクリック惑星歯車装置であるが、その構成は異なる。本態様では、中心歯車408は調節伝動装置296に連結され、かつ第二シャフト290によって回転可能に支持される。惑星歯車キャリヤ412は第二シャフトへ固定され、及び外側歯車装置をもたない環状体400は第一シャフトへ固定される。従って、図7に示すように、中心歯車408には第二シャフト290のための中心通路が設けられる。調節伝動装置296のための減速歯車494は、ウォームホイールが特別に設計された中心歯車408上へ設けられる点を除いて図6の原則歯車に類似する。主回転伝動装置260のための歯車列458は図5の実施態様において用いられる歯車列と同一である。
【0037】
図8の実施態様においては、エピサイクリック惑星歯車装置586のさらに別の変形は第二シャフト290へ固定された中心歯車508が備えられ、その惑星歯車キャリヤ512は調節伝動装置296へ連結され、かつ第二シャフト290によって回転可能に支持され、そしてその環状体500は第一シャフト288へ固定される。調節伝動装置296のための減速歯車594は、ウォームホイールが惑星歯車キャリヤ512上へ設けられる点を除いて図5〜6の減速歯車に類似する。主回転伝動装置260のための歯車列558は図5及び図7の歯車列と同一である。図9の実施態様においては、そのエピサイクリック惑星歯車装置686は図8の歯車装置と実質的に同一である。しかしながら、この実施態様においては、環状体600には、主回転伝動装置260が主回転伝動装置260の駆動シャフトへ連結されるギアホイールと共に一つの歯車列658を形成するための外側ギヤ装置が用意されている。
【0038】
いかなる構成が選択されるかに拘わらず、好ましくはエピサイクリック惑星歯車装置から成る差動装置によって懸架ローターは調節ローターへ相互連結され、かつそれら間における差動回転が可能とされる。より具体的には、差動装置は、調節のため、例えばシュートを旋回させるために調節伝動装置296が調節ローター26へ差動回転を与えない限り、主回転伝動装置260によって懸架ローター18へ与えられる同一回転速度が調節ローター26へ伝動されるように構成される。
【0039】
図4〜9には示されていないが、第一ケーシング250には、好ましくは、修理あるいは手入れのために第三ケーシング284を取り外す場合に、主回転伝動装置260を第一ケーシングの出力シャフト254へ連結させるための補償連結器が備えられる。これにより、連結シャフト256,276間に剛性な繋ぎによって、例えば1本のシャフトとすることにより、シュート32の固定された調節位置のままに分配装置210を一時的に継続作動させることも可能である。
【0040】
最後に、図1〜3に従った第一及び第二ケーシングのデザインの全体としてずれている第三ケーシングとの組み合わせ、及び一方あるいは双方の連結シャフトを作動装置へ連結させる1又は2個の同等運動量自在継手配列も本発明の範囲内に含まれることに留意すべきである。このような組み合わせにより、差動装置なしで、すなわち固定したシュート調節のままに、同時に3つのケーシングの位置決めにさらに自由度及び許容性を加えて、一時的に作動させることが可能となる。
【0041】
本発明の第三及び第四の実施態様に関し、図1〜3及び図4〜5の第一及び第二の実施態様との主たる相違点について以下に詳細に説明する。
【0042】
図1〜3及び図4〜5の実施態様に対し、図10〜11の実施態様は、例えば第一ケーシング250と第三ケーシング284間の図4〜5に示すような単一同等運動量自在継手配列、及び例えば第二ケーシング270と第三ケーシング284間の図2に示すようなより単純な撓み補償連結器の組み合わせに相当する。図10〜11は第三の実施態様に従った分配装置310を模式的に示した図である。
【0043】
図10〜11の分配装置310においては、第一ケーシング350の連結シャフト356は、分離されている第三ケーシング384中に上述したように構成されるダブルカルダンシャフト385を用いて配置される差動装置786の第一シャフト388へ連結される。しかしながら、シャフト376,390間の半径方向、軸方向、及び/または角度における小さなずれを補正するために、第二ケーシング370の連結シャフト376は、例えばジョー連結器、オルダム連結器、撓みディスク連結器あるいは歯車連結器等の単純な補償連結器399を用いて差動装置786の第二シャフト390へ連結される。これにより、第二ケーシング370上の連結シャフト376及び差動装置786の第二シャフト390は、必ずしも正確である必要はないが、ほぼ共軸となる。かかる配列は、例えば第三ケーシング384、及び第二ケーシング370中の連結シャフト376のベアリングの方位を適切とすることによって達成される。図2の実施態様と同様に、図10〜11の実施態様の主回転伝動装置360は第一ケーシング350上に支持される。従って、第一ケーシング350中に主回転伝動装置360を各転送装置352を通して出力シャフト354へ連結する歯車列358が含まれる。例えば差動装置786の手入れのために第三ケーシング370を取り外す場合において、(固定された一定のシュート32の傾斜角度において)一時的に作動を継続させるために、連結シャフト356,376をより長さのある補助ダブルカルダンシャフト(図示せず)を用いて直接相互連結することが可能である。第二ケーシング370には、今度は連結シャフト376を出力シャフト374へ連結する角度伝動装置372だけが含まれる。図10〜11に示される差動装置786は図5に関して説明した装置と、(環状体が第二シャフト390によって担持される点を除いて)実質的に同一である。図10〜11の装置には、ダブルカルダンシャフト配列を2つ用いなくとも、図4〜5に匹敵する僅かな置き違えや不適当な方位に関する位置決め柔軟性及び許容性が高められる利点がある。
【0044】
図12〜13は第四の実施態様に従った充填装置410の説明図である。図12〜13から理解されるように、本実施態様による第三ケーシング484は主ハウジング12から一定間隔を空けて側方に配置され、分離された支持構造体483上に支持される。すなわち、第三ケーシング484は、例えば高炉の頂部円錐体あるいは高炉のスチール支持構造体によって主ハウジング12から独立して支持される。第一及び第二ケーシング450,470の連結シャフト456,476は、対応するダブルカルダンシャフト485,487を用いて第三ケーシング484の第一及び第二シャフト488,490へそれぞれ連結される。これら第一及び第二ケーシング450,470は、それぞれ角度伝動装置(図示せず)だけを含むことから、小型でモジュール方式の相互交換可能な構成とされる。図12の部分平面断面図から理解されるように、第三ケーシング中に含まれる差動装置886及び歯車部品の構成は図7の構成と実質的に一致する。中心歯車808は調節伝動装置496によって駆動され、環状体800は、第一シャフト488を駆動させる歯車列458を通して主回転伝動装置460によって駆動され、他方惑星歯車キャリヤ812により、第二シャフト490がシュート32の調節のため差動により、あるいはシュート32を適正位置に保持するために同期的に駆動される。伝動装置460,496は双方とも、第三ケーシング484によって支持される。理解されるように、図12〜13の実施態様によれば主ハウジング12の直ぐ上の構造空間が節約され、メンテナンスのために分離された第三ケーシング484へアクセスすることがさらに容易化される。従って、理解されるように、第三ケーシングが間隔を空けて離れ、かつ分離された支持体上に主ハウジング12から独立して配置される、図1〜3、図4〜5あるいは図10〜11の変形も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
図1〜3
10: 分配装置
12: 主ハウジング
14: 送込み口
16: 送込みチャネル
18: 懸架ローター
20: ローラーベアリング
24: 保護フランジ
26: 調節ローター
28: ローラーベアリング
32: 分配シュート
34, 34’: 懸架アーム
36, 36’: 旋回機構
38, 38’: (36, 36’の)入力シャフト
44, 44’: 懸架トラニオン
40, 40’: (38, 38’の)ギアホイール
42: 下側ギアリング
50: 第一ケーシング
52: (50の)角度伝動装置
54: (50の)出力シャフト
56: (50の)連結シャフト
58: (50の)歯車列
60: (50の)主回転伝動装置
62: (54の)ギアホイール
64: (18上の)第一ギアリング
66: (12中及び50の)開口部
70: 第二ケーシング
72: (70の)角度伝動装置
74: (70の)出力シャフト
76: (70の)連結シャフト
78: (74の)ギアホイール
80: (26上の)第二ギアリング
82: (12中及び70の)開口部
84: 第三ケーシング
86: 差動歯車
88: 第一シャフト
89, 91: 連結器
90: 第二シャフト
92: 駆動シャフト/ 第三シャフト
94: (84の)減速歯車
96: 調節伝動装置
100: (86の)環状体
102: (100の)外側かさ歯車装置
104: (100の)内側歯車装置
106: (92上の)かさ歯車
108: (86の)中心歯車
110’, 110”: (86の)惑星歯車
112: (86の)惑星歯車キャリヤ
120, 122: ロータリーエンコーダ
図4〜5
210: 分配装置
250: 第一ケーシング
270: 第二ケーシング
284: 第三ケーシング
286: 差動歯車
288: (286の)第一シャフト
290: (286の)第二シャフト
256: (250の)連結シャフト
276: (270の)連結シャフト
285, 287: ダブルカルダンシャフト
293, 293’: 第一カルダンジョイント
295, 295’: 第二カルダンジョイント
297, 297’: 中間シャフト
200: (286の)環状体
208: (286の)中心歯車
210’, 210”: (286の)惑星歯車
212: (286の)惑星歯車キャリヤ
294: (296の)減速歯車
296: 調節伝動装置
258: (260の)歯車列
260: (284の)主回転伝動装置
223, 223’: かさ歯車対
図6
300: (386の)環状体
308: (386の)中心歯車
310’, 310”: (386の)惑星歯車
312: (386の)惑星歯車キャリヤ
394: (296の)減速歯車
358: (260の)歯車列
図7
400: (486の)環状体
408: (486の)中心歯車
410’, 410”: (486の)惑星歯車
412: (486の)惑星歯車キャリヤ
494: (296の)減速歯車
458: (260の)歯車列
図8
500: (586の)環状体
508: (586の)中心歯車
510’, 510”: (586の)惑星歯車
512: (586の)惑星歯車キャリヤ
594: (296の)減速歯車
558: (260の)歯車列
図9
600: (686の)環状体
608: (686の)中心歯車
610’, 610”: (686の)惑星歯車
612: (686の)惑星歯車キャリヤ
694: (296の)減速歯車
668: (260の)歯車列
図10〜11
310: 分配装置
350: 第一ケーシング
352: (350の)角転送装置
354: (350の)出力シャフト
358: (360用)歯車列
360: 主回転伝動装置
370: 第二ケーシング
372: (370の)角転送装置
374: (370の)出力シャフト
384: 第三ケーシング
388: (786の)第一シャフト
390: (786の)第二シャフト
356: (350の)連結シャフト
376: (370の)連結シャフト
385: ダブルカルダンシャフト
396: 調節伝動装置
399: 補償連結器
794: 減速歯車
786: 差動歯車
図12〜13
410: 分配装置
450: 第一ケーシング
456: (450の)連結シャフト
458: (460の)歯車列
460: 主回転伝動装置
470: 第二ケーシング
476: (470の)連結シャフト
483: 支持構造体
484: 第三ケーシング
488: (786の)第一シャフト
490: (786の)第二シャフト
485, 487: ダブルカルダンシャフト
496: 調節伝動装置
886: 差動歯車
800: (886の)環状体
808: (886の)中心歯車
812: (886の)惑星歯車キャリヤ
【技術分野】
【0001】
本発明は概略的にはシャフト炉用の充填設備に関し、特にはシャフト炉中における充填材料の分配装置に関する。本発明は、さらに具体的には、充填材料の周辺及び放射方向分配用シュートが装備される分配装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記方式の分配装置は米国特許第3,693,812号から公知である。米国特許3,693,812号に記載の装置には、懸架ローターと、ほぼ垂直な回転軸を中心として回転可能となるように主ハウジング中に支持されるシュート調節ローターが備えられている。前記シュートは、充填材料の周辺分配のため前記懸架ローターと共に回転するように前記懸架ローターへ吊るされる。さらに、米国特許3,693,812号記載の装置においては、前記シュートは充填材料の放射方向分配のためほぼ水平な軸を中心として旋回調節可能に吊るされる。前記懸架ローター及び調節ローターは主回転伝動装置、すなわち電気モーターが装備される差動駆動装置と、調節伝動装置、すなわち電気モーターによって駆動される。前記調節伝動装置によって懸架ローターと調節ローター間の差動回転が生成される。米国特許3,693,812号記載の装置にはシュート調節のための旋回機構が与えられている。シュートへ連結され、かつ調節ローターによって作動されるこの機構により、懸架ローターと調節ローター間における角度変位の変動が差動回転によって旋回位置の変動、すなわちシュートの傾き角度へと変換される。
【0003】
米国特許3,693,812号記載の充填材料分配装置には2個のローターを駆動させるための小型駆動装置が装備されている。この装置は、ローター及びシュートを支持する主ハウジング上へ取り付けられるケーシング中に封入されている。このケーシングには主入力シャフト、副入力シャフト、第一出力シャフト(以下において回転シャフトと称する)、及び第二出力シャフト(以下において調節シャフトと称する)が含まれる。前記主入力シャフトは主回転伝動装置によって駆動される。前記ケーシング内部において、減速機構によって主入力シャフトが回転シャフトへ連結される。この回転シャフトは、懸架ローターのギアリングと噛み合うギアホイールが備えられる主ハウジング内部において垂直方向へ延びている。前記調節シャフトも、前記調節ローターのギアリングと噛み合うギアホイールが備えられる主ハウジング中へ垂直に延びている。前記駆動装置のケーシング内部において、前記回転シャフトと前記調節シャフトはエピサイクリック差動機構、すなわち遊星歯車列を用いて相互に連結される。後者の調節シャフトは、主として回転シャフト上のギアホイールと噛み合う外側歯状体を有する水平環状体(リングギア)と、副入力シャフトへ連結される中心歯車、及び前記環状体の内側歯及び中心歯車と噛み合う少なくとも2個の遊星歯車から構成される。この遊星歯車列は、副入力シャフトが静止している時、すなわち調節シャフトが停止している時に、前記回転シャフトと調節シャフトが主回転伝動装置によって振り分けられる同一回転速度になるように寸法化される。前記調節伝動装置は可逆性伝動装置であり、副入力シャフトへ連結される。差動機構により、前記調節伝動装置は回転シャフトよりも高速でも低速でも調節シャフトを駆動させて、懸架ローターと調節ローター間の相対回転、すなわち差動回転を生ずることが可能である。このような差動回転は旋回機構によってシュートの旋回運動へと変換される。米国特許3,814,403号には、類似しているが、主として2本の入力シャフトが共軸に配置され、さらに調節シャフトが回転シャフト中を共軸に通過し、双方とも同一開口部を通って主ハウジング中まで達する点において異なる小型駆動装置が開示されている。
【0004】
理解されるように、上記小型駆動装置は充填材料分配装置の主要構成部品である。この小型駆動装置は注文生産であるため、該分配装置の全体コストの主要部分を占めるものである。さらに、駆動装置が手入れや大きな修理を要しても炉を連続操業するように確保するために、通常炉オペレーターによって完全な交換用装置が常備されねばならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、その第一の目的として、メンテナンスが容易であって、かつコストを低減できるシャフト炉充填材料分配装置を提供する。本目的は請求項1項記載の装置によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る充填材料分配装置は、公知方法と同様に、主ハウジング及び充填材料分配シュートから構成される。懸架ローターは主ハウジング内に取り付けられ、通常炉軸と一致するほぼ垂直な回転軸を中心に回転可能である。懸架ローターには回転をこのローターへ振り分ける第一ギアリングが備えられる。調節ローターはハウジング内に取り付けられ、通常は回転軸あるいはシュート懸架ローターと一致するほぼ垂直な回転軸を中心に回転可能である。駆動されるため、前記調節ローターには第二ギアリングが備えられる。前記分配シュートは、充填材料の周辺分配のため、懸架ローターと共に回転するように懸架ローターへ吊るされる。さらに、充填材料の放射方向への分配のため、前記シュートは、調節ローターを用いて、懸架ローターに向けて調節可能に、特にほぼ水平な旋回軸を中心として旋回調節可能とされる。差動機構、特に差動ギアにより、懸架ローターに対して調節ローターが差動回転できる方式で両ローターは相互連結される。懸架ローターに回転を与えるため、通常電気モーターである主回転伝動装置が懸架ローターへ連結される。後者の懸架ローターはさらに、調節ローターへ回転を与えるため、差動方式で調節ローターへ連結される。さらに本分配装置には、調節ローターへ差動回転、すなわち調節ローターの懸架ローターに対する角度位置における変化を与えるため、差動装置を通して調節ローターへ連結される調節伝動装置、特に電気モーターが備えられる。この差動装置は、調節伝動装置が作動して調節ローターへ差動回転が与えられない限り、主回転伝動装置が調節ローターへ直接与えるのと同一な回転速度を調節ローターへ伝えるように構成される。別の言い方をすれば、前記差動装置は、両伝動装置のそれぞれによって調節ローター上へ与えられるトルクが重ね合わされて、所望されるならば、該調節ローターが双方の方向へ回転できるように、あるいは懸架ローターに対する角度位置を維持するように構成される。
【0007】
本願発明によれば、及び本願における第一の目的の達成のため、本発明に係る分配装置には3つの別個のケーシングが主ハウジング上に取り付けられる。
より具体的には、本発明装置は、
−主ハウジング上に取り付けられ、かつかさ歯車対等の角度伝動装置を、第一ケーシングから主ハウジング中へ突き出し、かつ操作によって連結されて懸架ローターの第一ギアリングと噛み合うギアホイールを駆動させて懸架ローターへ回転を与えるほぼ垂直な出力シャフトと第一ケーシングから一定角度、特に出力シャフトに対して垂直に突き出す連結シャフト間に含む第一ケーシングと、
−主ハウジング上に取り付けられ、かつかさ歯車対等の角度伝動装置を、第二ケーシングから主ハウジング中へ突き出し、かつ操作によって連結されて調節ローターの第二ギアリングと噛み合うギアホイールを駆動させて調節ローターへ回転を与えるほぼ垂直な出力シャフトと第二ケーシングから一定角度、特に出力シャフトに対して垂直に突き出す連結シャフト間含む第二ケーシングと、
−例えば主ハウジング上、あるいは別個の支持構造体上において、第一ケーシング及び第二ケーシングから間隔を空けて位置し、かつ第三ケーシングから突き出し、かつ第一ケーシングの連結シャフトと第二ケーシングの連結シャフトへ連結される第一シャフトへ連結される差動装置を含む分離された第三ケーシングを含んで構成される。
【0008】
理解されるように、前記それぞれ統合された機構を備える3つの別個のケーシングは、直ぐに入手可能な機械部品を主に用いて作製される「標準化された」ユニットとして設計可能である。さらに、第一及び第二ケーシングのように、ケーシング内の角度伝動装置を与える市販の構成部品を用いて駆動トルクを第一及び第二ギアリングのそれぞれへ伝動することが可能であり、これにより駆動装置のコストを低減することが可能である。さらに、分離型ケーシングのそれぞれは容易に取り除くことができ、また個別に取り替えられるためメンテナンスも容易となる。さらに、第三ケーシング中の差動装置が故障した場合でも、修理のために該第三ケーシングを簡単に取り外し、第一及び第二ケーシングの連結シャフトを直接的(非差動的)なトルク伝達装置、例えば固定型シャフトとなして連結することが可能である。その結果として、差動装置が修理あるいは再設置されるまでの間、シュートを懸架ローターに対して一定位置に固定して、本発明分配装置を仮作動させることが可能となる。
【0009】
好ましい実施態様においては、前記調節伝動装置は前記第三ケーシングへ取り付けられ、好ましくは第三ケーシング内部に有利に配置される減速ギアを用いて差動装置へ連結される。
【0010】
前記主回転伝動装置は、第三ケーシングあるいは第一ケーシングのいずれかへ取り付けられ、第三ケーシング内部においては好ましくは歯車列を用いて差動装置の第一シャフトへ連結され、あるいは第一ケーシング内部においては好ましくは歯車列を用いて第一ケーシングの出力シャフトへ連結される。前者の取り付けにより第一ケーシングと第二ケーシング双方を同一ユニットとして設計することが可能となるため、コストをさらに減じ、メンテナンスを容易化することができる。他方後者の取り付けにより、差動装置の手入れあるいは修理のために第三ケーシングが取り外される場合においても操作の継続が可能となる。
【0011】
好ましくは、第一及び第二ケーシングのそれぞれには漏止めブッシングを備える底板が含まれ、該底板を通して出力シャフトが突き出している。この実施態様においては、主ハウジングには、第一及び第二ケーシングに関して、各出力シャフト上のギアホイールが通過するための開口部がそれぞれ含まれる。この実施態様では、いずれかのケーシングを取り換える場合に、駆動ギアホイールを手動で取外し及び再設置する必要性が生ずる。
【0012】
僅かな置き違えあるいは不適切な方位に対する位置決め柔軟性及び許容性を高めるため、差動装置の第一シャフトは好ましくは自在継手を取り付けて第一ケーシングの連結シャフトへ連結される。さらに、あるいは上記に代えて、同等運動量(homo kinetic)自在継手を取り付けて、第二シャフトを第二ケーシングの連結シャフトへ連結させることが可能である。好ましくは、前記同等運動量自在継手配列は、例えば長さ伸長可能な中間シャフトを介して長さ補正されるダブルカルダンシャフトから構成される。シャフト間の方位における許容性をさらに高めるため、カルダンシャフトの2個のカルダンジョイントは好ましくは中心のあるダブルカルダンジョイントとされる。
【0013】
第三ケーシングを取外す場合における連続操作の中断時間を最少にする好ましい構成においては、主回転伝動装置は第一ケーシング上へ取り付けられ、第一ケーシングと第二ケーシングはそれらの連結シャフトが一直線に並ぶように主ハウジング上に配置される。かかる構成によって、第三ケーシングは固定式のトルク伝動連結装置に単純に置き換わることが可能である。
【0014】
前記差動歯車は、好ましくは環状体、中心歯車、及び環状体及び中心歯車と噛み合う少なくとも2個の遊星歯車を担持する遊星歯車キャリヤから成るエピサイクリック遊星歯車装置とされる。他の構成が排除されるわけではないが、好ましい構成においては、中心歯車は差動装置の第一シャフトへ固定され、遊星歯車は差動装置の第二シャフトへ固定され、かつ前記環状体は調節伝動装置へ連結されて例えば第一シャフトあるいは第二シャフトによって回転可能に支持される。
【0015】
典型的な構成において、本発明の分配装置には分配シュートを調節ローターへ連結する旋回装置が含まれる。このような旋回装置は、懸架ローターに対する調節ローターの差動回転をシュートの傾斜角度変化へ変換するように設計される。
【0016】
理解されるように、本発明に係る分配装置は特にシャフト炉充填設備において用いられるように設計されている。従って、主たる工業的用途の例として銑鉄製造用の冶金高炉での使用が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第一の実施態様に従ったシャフト炉中への充填材料の分配装置の平面図である。
【図2】図1中の破線A−Aに沿って切断した図上部と図1中の破線B−Bに沿って切断した図下部から成る図1に示す装置の縦断面図である。
【図3】図1に示す装置に用いる差動機構、より具体的には遊星歯車装置を説明するための側面図である。
【図4】本発明の第二の実施態様に従ったシャフト炉中への充填材料の分配装置の平面図である。
【図5】図4中の破線C−Cに沿って切断した図上部と図4中の破線D−Dに沿って切断した図下部から成る図4に示す装置の縦断面図である。
【図6】差動歯車の第一の代替実施態様を説明するための図5に類似する部分縦断面図である。
【図7】差動歯車の第二の代替実施態様を説明するための図5に類似する部分縦断面図である。
【図8】差動歯車の第三の代替実施態様を説明するための図5に類似する部分縦断面図である。
【図9】差動歯車の第四の代替実施態様を説明するための図5に類似する部分縦断面図である。
【図10】本発明の第三の実施態様に従ったシャフト炉中への充填材料の分配装置の平面図である。
【図11】図10の破線E−Eに沿って切断した図10に示す装置の上部の縦断面図である。
【図12】本発明の第四の実施態様に従ったシャフト炉中への充填材料の分配装置の平面図である。
【図13】図12に示す装置の側面図である。
【発明を実施するための手段】
【0018】
本発明のさらなる詳細及び利点について、非限定的な実施態様を用いて添付図面を参照しながら以下において明らかにする。
なお、図面中、同一符号は同一あるいは類似部分を示し、百桁数字を用いた符号は構造的には異なる実施態様であっても機能的に類似する部分について示している。
【0019】
図1〜2は第一の実施態様に従ったシャフト炉、特に高炉のストックライン(装入線)上へのバルク充填材料(負荷)の分配装置10についての説明図である。本分配装置10は充填設備の一部となるように設計されている。なお、該充填設備の全体は図示されていない。本分配装置は、炉喉部上に配置され、かつ垂直送込みチャネル16を画定する固定型送込み口14を有する主ハウジング12から構成される。主ハウジング12内部には、懸架ローター18が、ほぼ垂直な回転軸を中心に回転可能な第一大直径環状ローラーベアリング20を用いて吊るされる。懸架ローター18は全体的に円筒形を呈する円筒体から成り、その下側中には円板形状の水平保護フランジ24が備えられ、このフランジによって主ハウジング12と炉内部との間にスクリーンが形成される。第二ローター(以下において調節ローター26と呼ぶ)は懸架ローター18を取り囲み、第二大直径環状ローラーベアリング28を用いて主ハウジング内部に吊り下げられ、かつ該調節ローター26の回転軸と前記懸架ローター18の回転軸がほぼ共軸となるように配置される。
【0020】
符号32は送込みチャネル16を通って送り込まれるバルク材料用の分配シュートを示す。このシュート32には2本の側方懸架アーム34、34′が設けられ、これらアームを用いて該シュートは懸架ローター18へ吊るされる。調節ローター26によって作動される旋回装置により、懸架ローター18に対するシュート32の方位調節、より具体的にはほぼ水平な軸を中心としたシュートの旋回位置あるいは傾斜角度の調節が可能である。そのために、前記旋回装置によって分配シュート32が調節ローター26に連結され、それによって調節ローター26の差動回転がシュート32の旋回位置の変化へ変換される。図示された分配装置10において、旋回装置には、シュート32の各懸架アーム34、34′のために、旋回機構36、36′が備えられ、これら旋回機構は懸架ローター18上の正反対位置に担持される。旋回機構36、36′のそれぞれには、垂直入力シャフト38、38′、内部歯車系(図示せず)、及び水平懸架トラニオン(筒耳)が備えられる。前記入力シャフト38、38′は両ローター18、26の回転軸に対して平行であり、かつ調節ローター26の下側ギアリング42と噛み合うギアホイール40へ連結される。各内部ギアシステム(図示せず)によって各入力シャフト38、38′の回転が各懸架トラニオン44、44′の回転へと変換される。理解されるように、両旋回機構36、36′はシュート32の中央面に対して対称であることから、調節ローター26の下側ギアリング42による入力シャフト38、38′の回転が両懸架トラニオン44、44′の(中央面から見て)反対向きの回転となってシュート32を旋回させるのである。図2に示すように、側方懸架アーム34、34′は前記トラニオン44,44′へ取り付けられるため、これらによってシュート32にはほぼ水平な旋回軸が画成される。
【0021】
理解されるように、他の適切な調節機構を用いて懸架ローター18に対するシュートの位置を調節することも可能である。例えば、米国特許第4,941,792号には、2つの懸架トラニオンを調節ローターへそれぞれ連結する股状の旋回レバーを有する旋回機構と、2つのシュートトラニオンのいずれかへ固定される鋸歯状セクターと連携作動する環状の鋸歯状部分が開示されている。他方、米国特許第5,002,806号には、調節ローターをトラニオンの一つ上のクランクへ球形継手を用いるロッドリンク機構によって連結させることが提案されている。前記調節機構は、懸架ローターに対する調節ローターの差動回転をシュートの傾斜角度の変化へ変換するように設計されているが、他の調節可能性が排除されているわけではない。例えば他の代替となる実施態様においては、前記シュートは旋回可能なシュートではなく、懸架ローターによって形成され、及び懸架ローターと同時に回転する上部と、炉中心軸から側方へ外れた第二垂直回転軸を中心に回転する下部から成る一種の2部分シュートが用いられる。上記分配装置及び2部分シュートの下部を作動させるための対応調節機構の例は、日本特許出願JP63-096205あるいはJP02-022409、あるいはソ連発明者証SU1669988に開示されている。
【0022】
図1、2において、符号50は主ハウジング12上へ取り付けられる第一ケーシングを示す。第一ケーシング50内にはかさ歯車型の角度伝動装置52が含まれている。前記角度伝動装置52により、ケーシング50から下方のハウジング12へ突き出るほぼ垂直な出力シャフト54と、第一ケーシング50から出力シャフト54に対して直角に突き出すほぼ水平な連結シャフト56が連結される。図2の実施態様においては、出力シャフト54の上端が、歯車列58、例えば減速歯車を通って主回転伝動装置60へ連結される。なお、この主回転伝動装置には、水圧あるいは空気圧伝動装置も除外されないが、好ましくは電気モーターが用いられる。出力シャフト54の下端には懸架ローター18上の第一ギアリング64と噛み合うギアホイール62が取り付けられる。これにより、出力シャフト54は回転駆動シャフトとして作用して主回転伝動装置60から懸架ローター18へトルクを伝動する。理解されるように、出力シャフト54は、ケーシング50内部を主ハウジング内部18から隔離するため、ケーシング50の下側基板中に漏止めブッシング、例えば詰め物ボックス中を通過する。さらに、ケーシング50の基板は主ハウジング12の上板中の開口部66をシールするための適当なシールを用いて主ハウジング12上へ取外し可能に取り付けられる。この開口部66はギアホイール62が通過できるように寸法化される。
【0023】
図1、2において、符号70は主ハウジング12上に配置される第二ケーシングを示す。このケーシング70中にもかさ歯車対を備える角度伝動装置72が含まれる。この角度伝動装置72によってほぼ垂直な出力シャフト74がほぼ水平な連結シャフト76へ連結される。出力シャフト74の下端によって、下側ギアリング42上方の調節ローター26の上側部域へ固定される第二ギアリング80と噛み合うギアホイール78が担持される。出力シャフト74はケーシング70の下側基板中の漏止めブッシング中を通って主ハウジング12中へ突き出し、他方連結シャフト76は適当なベアリング中を通ってケーシング70から水平に突き出す。理解されるように、ケーシング70の下側基板も、適当なシールを用いて主ハウジング12上へ取外し可能に取り付けられて主ハウジング12の上板中の開口部82が封じられる。この開口部82もギアホイール78が通過できるように寸法化される。
【0024】
第一ケーシング50と第二ケーシング70の間の主ハウジング12上に第三ケーシング84がスペースを空けて置かれる。この第三ケーシング84中には、差動機構、特にエピサイクリック遊星歯車装置86が含まれる。この遊星歯車機構86には3本のシャフトが連結され、これらシャフトは第三ケーシング84から外へ出ている。これらシャフトとは、すなわち、(i)連結器89を用いて第一ケーシング50の連結シャフト56へ連結されるほぼ水平な第一シャフト88、(ii)連結器91を用いて第二ケーシング70の連結シャフト76へ連結されるほぼ水平な第二シャフト90、及び(iii)減速ギア94を通して調節伝動装置96、特に電気モーターへ連結される駆動シャフト92である。適当な連結器89、91としては、捻じれ剛性のある差動連結器、好ましくはオルダム連結器又は正嵌め合いクロウ連結器等の可撓連結器が用いられるが、他方において、いずれかのトルク伝動型、調節不良及び位置決めエラー許容型差動連結器を用いることも可能である。緩衝連結器89、91のいずれを用いるかに関する別の好ましい選択として、可撓ディスク連結器、正嵌め合いギア連結器、特に内側鋸歯状スリーブと噛み合う湾曲外側ギア歯をもつ連結器の使用がある。より好ましくは、緩衝連結器89、91のそれぞれに、ダブルカルダンシャフトを模倣するように、2個の可撓ディスクあるいはギア連結器が連続状に含まれる。
【0025】
図1及び2に示した実施態様による遊星歯車機構86の拡大側面図を図3に示す。この遊星歯車機構は、円錐形の外側かさ歯車列102が設けられる環状体100と円筒形の遊星内部歯車装置104から構成される。円錐形かさ歯車106は駆動シャフト92へ固定され、かつ環状体100のかさ歯車102と噛み合って駆動トルクを調節伝動装置96から環状体100へ伝達する。中心歯車108は第一シャフト88へ固定かつ支持されて環状体100内部を共軸支持している。従って、中心歯車108は第一ケーシング50の連結シャフト56へ連結されている。2つの遊星歯車110′、110″は内側歯車104と、そして同時に中心歯車108の円筒形遊星外側歯車装置と噛み合う。遊星歯車110′及び110″は遊星歯車キャリヤ112上に回転支持され、この遊星歯車キャリアは順に第二ケーシング70の連結シャフト76へ連結される第二シャフト90へ固定されて支持される。図2から理解されるように、環状体100は第二シャフト90によって回転支持される。
【0026】
差動遊星歯車機構86は、差動装置86へ連結される第三シャフト、すなわち駆動シャフト92が回転しない時(N3=0)にはいつでも、すなわち駆動シャフトが停止状態である時には、第三シャフト角度伝動装置52を介して主回転伝動装置60によって振り分けられる第一シャフト88の回転速度N1が第二シャフト90の回転速度N2と等しくなるように寸法化される。別の言い方をすれば、調節伝動装置96によってトルクが駆動シャフト92へ振り分けられず、従って差動回転が懸架ローター18に対する調節ローター26への差動回転が振り分けられなければ、主回転伝動装置60によって懸架ローター18へ振り分けられる同一回転速度が差動装置86によって調節ローター26へ伝動されるように構成される。従って、調節伝動装置96が作動してドライブシャフト92を第一の向きに一定の回転速度N3(≠0)で回転させる時、第二シャフト90の回転速度N2は、第一シャフト88の回転速度N1と、適当なギア比(差動遊星歯車機構86の設計に依存して決まるV比)で掛け算される駆動シャフト92の回転速度N3の足し算に一致する。他方、調節伝動装置96が駆動シャフト92を反対向きに一定の回転速度N3(≠0)で回転させる時、第二シャフト90の回転速度N2は、適当なギア比で掛け算される駆動シャフト92の回転速度N3(引き算)だけ減速される第一シャフト88の回転速度N1に一致することになる。その結果、調節伝動装置を所望される通りに操作することにより、差動遊星歯車機構86によって懸架ローター18と調節ローター26間における角度変位を増大させ、減じ、あるいは無くすることが可能となる。その結果として、差動装置86によって、懸架ローター18と調節ローター26が、後者に対する前者の差動回転が可能となる方式で相互連結される。他方、差動装置86により、調節伝動装置96が停止している時に該調節伝動装置96を操作することなく、両ローター18、26を同一回転速度に維持することが可能である。次いで上記いずれかの適当な調節機構により、懸架ローター18と調節ローター26間の角度変位における変化が対応するシュート32の位置、特に図1〜2の場合では旋回位置と傾斜角度、の変化へと変換される。理解されるように、調節伝動装置96の回転速度によって調節、すなわちシュート32の旋回速度が決められる。シュート32を(懸架ローター18に対して)適正位置に維持するには、調節伝動装置96を停止させるだけである。調節伝動装置の遮断も電気的に達成可能である。調節伝動装置96の停止(休止)後、該調節伝動装置を、機械的に、例えば減速歯車94の自己妨害構成を用いて回転を妨害することが可能である。上記の機能的説明においては、第一ギアリング64とギアホイール62間のギア比が、第二ギアリング80とギアホイール78間のギア比と同一であることが想定されている。後者のギア比が異なる場合、差動遊星歯車機構86の内側ギア比は、主回転伝動装置60だけの作用によってローター18、26の同時回転が得られ、かつ補助調節伝動装置96の作用によってそれらローター間の差動回転が可能となるように適合化される。
【0027】
図2に戻り、符号120は第一ケーシング50の出力シャフト54の回転を測定する第一ロータリーエンコーダであり、この測定値に、ギアホイール62と第一ギアリング64間のギア比を適用すると、懸架ローター18の回転速度となる。また、第二ロータリーエンコーダ122によって駆動シャフト92の回転が測定され、この測定値に、かさ歯車106、102、惑星歯車86、及びギアホイール78に対する第二ギアリング80の適当なギア比を適用して、調節ローター26の回転速度が求められる。これらエンコーダ120、122によって為される測定及びギア比から、シュート32の実際の(旋回)位置をいかなる瞬間においても正確に決定することが可能である。
【0028】
理解されるように、3つのケーシング50、70、84は、統合伝動機構をによってユニットを構成するが、それは市販の標準機械部品を用いて標準化及び製造可能である。従って、本発明に係る分配装置10の製造コストは大幅に低減可能である。さらに、各ケーシング50、70、84はそれぞれ取外し、交換、及び修理可能である。これにより、メンテナンス及び修理は明らかに容易化される。特に、いずれかの出力シャフト54、74のレベルにおいて漏止めブッシングの修理あるいは交換が必要とされる場合、差動装置86を取り外さずに、相対的に安価な第一及び第二ケーシングを個別に交換することが可能である。さらに、第三ケーシング84中に別個に仕切られている差動装置86が故障した場合は、図1〜3の実施態様における第一及び第二ケーシング50、70の連結シャフト56、76が整列していることにより分配シュート32の操作を妨害することなく、第三ケーシングを取り外すことが可能である。このような整列により、補償連結器89、91を連結して一時的な剛性リンクとさせることが可能となる。第一ケーシング50において猶作動中である主回転伝動装置60を用いて、この方策によって、修理あるいは手入れ後に差動装置86が再度設置されるまで、固定旋回位置をもつシュート32を用いた連続操作が可能となる。
【0029】
次に図4〜5を参照して第二の実施態様に従った分配装置210について以下に説明する。図5の下側部分は実質的に図2における説明と同一であるので同一符号を用いて示し、該部分についての説明は省略する。
【0030】
図4〜5の充填装置210には、第三のケーシング284が第一ケーシング250及び第二ケーシング270から間隔を空けて含まれている。第三ケーシング284は主ハウジング12上の他のケーシング250、270の間のほぼ中央面上に、炉中心軸、すなわちローター18、26の回転軸から側方へずれて(offset)配置される。前述した実施態様とは反対に、図4〜5の充填装置210においては、第三ケーシング284中の差動装置286へ連結される第一シャフト288及び第二シャフト290は第一及び第二ケーシング250、270の連結シャフト256、276と一列配列されない。
【0031】
前記ずれに対して橋絡するため、第一及び第二シャフト288、290はそれぞれ図4〜5に示すように適当な同等(homo)運動量自在継手を配置して連結シャフト256、276へ連結される。前記継手のそれぞれの配置には、ダブルカルダンシャフト285、287が第一及び第二カルダンジョイント293、295と共に含まれ、これら継手は中間シャフト(自在継手、U−継手、フック継手とも称される)297、297′を用いて相互連結される。各ダブルカルダンシャフト中において、単一のカルダンジョイントに固有な角速度の変動を解消するため、第一カルダンジョイント293、293′は第二カルダンジョイント295、295′と等位相とされる。すなわち、第二カルダンジョイント295、295′によって第一カルダンジョイント293、293′によって持ち込まれる速度伝達誤差が解消される。理解されるように、ダブルカルダンシャフト285、287によって同等運動量連結が形成されてシュート32による周辺方向への均質な材料分配が確保される。中間シャフト297、297′は、長さを補正してケーシング250、270、284への位置柔軟性及び方位許容性をさらに増大させるため、それぞれ伸縮自在の長さ伸長可能シャフトとして形状化される。中間シャフト297とそれに連結されるシャフト288、256間、あるいはシャフト297′とそれに連結されるシャフト290、276間が不適切な角度方位となるのを防止するため、カルダンジョイント293、293′;295、295′のそれぞれは、それら自体が同速回転定速度(CV)継手として働くように、好ましくは背中合わせに取り付けられたフック継手から成る中心のあるダブルカルダンジョイントとして形状化される。あるいはその代替として、カルダンジョイント293、293′;295,295′の代わりにツェッパジョイントあるいはトラクタジヨイント等の実定速(CV)継手(同等運動量継手とも称される)を用いることも可能である。
【0032】
図5に示した第二の実施態様による差動装置286は図2の装置とほぼ同一構成である。すなわち、この差動装置は、調節伝動装置296へ連結され、かつ図5の第一シャフト288上へ回転可能に支持される環状体200と、第一シャフト288へ固定される中心歯車208と、第二シャフト290へ固定される惑星歯車キャリヤ212から構成される。惑星歯車210,210′はキャリヤ212上に配置されて中心歯車208を中心として回転し、環状体200の内側歯車装置及び中心歯車208の外側歯車装置と噛み合う。図4〜5の実施態様においては、調節伝動装置296は、ウォーム歯車型の減速歯車294を用いて環状体200を駆動するように連結され、好ましくは自己ブロック型であって第三ケーシング内部に配置される。減速歯車294は環状体200の外側歯車装置と噛み合うギアホイールへ連結される。同様に、主回転伝動装置を差動装置286の第一シャフト288へ連結させる歯車列258はケーシング284に一体化される。歯車列258は、第一シャフト288上に固定される第一大直径ギアホイールと、主回転伝動装置260の駆動シャフトへ固定される第二小直径ギアホイールを備える円筒形ギアホイール対から構成される。これにより、図4〜5の実施態様においては、主回転伝動装置260が調節伝動装置296と同様に第三ケーシング284へ取り付けられ、第一ケーシング250の交換が容易化され、かつそのユニットコストも低減化されている。さらに、このように配置することにより、第一及び第二ケーシング250,270を図1〜2の実施態様と比較して同一の標準化ユニットとして設計することが可能とされている。
【0033】
図5からさらに理解されるように、第一及び第二ケーシング250,270のそれぞれには、ほぼ水平な連結シャフト256,276のそれぞれからほぼ垂直な出力シャフト254,274のそれぞれへトルクを伝達するためのかさ歯車対223,223′の形態を取る角度伝動装置が含まれる。理解されるように、図4〜5の実施態様においては、第一及び第二ケーシング250,270のそれぞれには漏止めブッシングを備える基板が含まれ、このブッシングを通って各出力シャフト254,274が突き出している。従って、主ハウジング12にも、これらケーシング250,270のそれぞれに関して、各出力シャフト62,78が通過できるような大きさの開口部がそれぞれ設けられる。これにより、出力ギアホイール62,78の手動による取外しあるいは再設置を必要とせずに、ケーシング250,270を素早く取り外し、かつ主ハウジングの上板上へ再設置することが可能となる。
【0034】
図2〜5に第三ケーシング84,284中の惑星差動装置86,286の好ましい構成を示す。また図6〜9には、同じく本発明の範囲内に含まれる代替例の構成について模式的に示す。これら図6〜9の実施態様は、各差動装置の構成と差動装置の伝動装置260,294への連結においてのみ図5の実施態様と異なっている。従って、図6〜9の他の特徴については繰り返して説明しない。
【0035】
図6に代替例となる差動装置386を示す。この差動装置中において、中心歯車308は第二シャフト290へ固定され、他方惑星歯車キャリヤ312は差動機構386の第一シャフト288へ固定される。環状体300は順に調節伝動装置296(図4参照)へ連結され、かつ第二シャフト290により回転可能に支持される。(なお、前記環状体を第一シャフト288上に支持することも同じく可能である)。環状体300には調節伝動装置296の駆動シャフト292上のウォームと噛み合って減速歯車394を形成する追加の外側ウォームホイールが含まれる。図6の変形においては、主回転伝動装置260のための歯車列358も、第一シャフト288へ固定されるウォームホイールと主回転伝動装置260の駆動シャフトへ連結されるウォームを備えるウォーム歯車型である。
【0036】
図7の実施態様においては、差動駆動機構486もまたエピサイクリック惑星歯車装置であるが、その構成は異なる。本態様では、中心歯車408は調節伝動装置296に連結され、かつ第二シャフト290によって回転可能に支持される。惑星歯車キャリヤ412は第二シャフトへ固定され、及び外側歯車装置をもたない環状体400は第一シャフトへ固定される。従って、図7に示すように、中心歯車408には第二シャフト290のための中心通路が設けられる。調節伝動装置296のための減速歯車494は、ウォームホイールが特別に設計された中心歯車408上へ設けられる点を除いて図6の原則歯車に類似する。主回転伝動装置260のための歯車列458は図5の実施態様において用いられる歯車列と同一である。
【0037】
図8の実施態様においては、エピサイクリック惑星歯車装置586のさらに別の変形は第二シャフト290へ固定された中心歯車508が備えられ、その惑星歯車キャリヤ512は調節伝動装置296へ連結され、かつ第二シャフト290によって回転可能に支持され、そしてその環状体500は第一シャフト288へ固定される。調節伝動装置296のための減速歯車594は、ウォームホイールが惑星歯車キャリヤ512上へ設けられる点を除いて図5〜6の減速歯車に類似する。主回転伝動装置260のための歯車列558は図5及び図7の歯車列と同一である。図9の実施態様においては、そのエピサイクリック惑星歯車装置686は図8の歯車装置と実質的に同一である。しかしながら、この実施態様においては、環状体600には、主回転伝動装置260が主回転伝動装置260の駆動シャフトへ連結されるギアホイールと共に一つの歯車列658を形成するための外側ギヤ装置が用意されている。
【0038】
いかなる構成が選択されるかに拘わらず、好ましくはエピサイクリック惑星歯車装置から成る差動装置によって懸架ローターは調節ローターへ相互連結され、かつそれら間における差動回転が可能とされる。より具体的には、差動装置は、調節のため、例えばシュートを旋回させるために調節伝動装置296が調節ローター26へ差動回転を与えない限り、主回転伝動装置260によって懸架ローター18へ与えられる同一回転速度が調節ローター26へ伝動されるように構成される。
【0039】
図4〜9には示されていないが、第一ケーシング250には、好ましくは、修理あるいは手入れのために第三ケーシング284を取り外す場合に、主回転伝動装置260を第一ケーシングの出力シャフト254へ連結させるための補償連結器が備えられる。これにより、連結シャフト256,276間に剛性な繋ぎによって、例えば1本のシャフトとすることにより、シュート32の固定された調節位置のままに分配装置210を一時的に継続作動させることも可能である。
【0040】
最後に、図1〜3に従った第一及び第二ケーシングのデザインの全体としてずれている第三ケーシングとの組み合わせ、及び一方あるいは双方の連結シャフトを作動装置へ連結させる1又は2個の同等運動量自在継手配列も本発明の範囲内に含まれることに留意すべきである。このような組み合わせにより、差動装置なしで、すなわち固定したシュート調節のままに、同時に3つのケーシングの位置決めにさらに自由度及び許容性を加えて、一時的に作動させることが可能となる。
【0041】
本発明の第三及び第四の実施態様に関し、図1〜3及び図4〜5の第一及び第二の実施態様との主たる相違点について以下に詳細に説明する。
【0042】
図1〜3及び図4〜5の実施態様に対し、図10〜11の実施態様は、例えば第一ケーシング250と第三ケーシング284間の図4〜5に示すような単一同等運動量自在継手配列、及び例えば第二ケーシング270と第三ケーシング284間の図2に示すようなより単純な撓み補償連結器の組み合わせに相当する。図10〜11は第三の実施態様に従った分配装置310を模式的に示した図である。
【0043】
図10〜11の分配装置310においては、第一ケーシング350の連結シャフト356は、分離されている第三ケーシング384中に上述したように構成されるダブルカルダンシャフト385を用いて配置される差動装置786の第一シャフト388へ連結される。しかしながら、シャフト376,390間の半径方向、軸方向、及び/または角度における小さなずれを補正するために、第二ケーシング370の連結シャフト376は、例えばジョー連結器、オルダム連結器、撓みディスク連結器あるいは歯車連結器等の単純な補償連結器399を用いて差動装置786の第二シャフト390へ連結される。これにより、第二ケーシング370上の連結シャフト376及び差動装置786の第二シャフト390は、必ずしも正確である必要はないが、ほぼ共軸となる。かかる配列は、例えば第三ケーシング384、及び第二ケーシング370中の連結シャフト376のベアリングの方位を適切とすることによって達成される。図2の実施態様と同様に、図10〜11の実施態様の主回転伝動装置360は第一ケーシング350上に支持される。従って、第一ケーシング350中に主回転伝動装置360を各転送装置352を通して出力シャフト354へ連結する歯車列358が含まれる。例えば差動装置786の手入れのために第三ケーシング370を取り外す場合において、(固定された一定のシュート32の傾斜角度において)一時的に作動を継続させるために、連結シャフト356,376をより長さのある補助ダブルカルダンシャフト(図示せず)を用いて直接相互連結することが可能である。第二ケーシング370には、今度は連結シャフト376を出力シャフト374へ連結する角度伝動装置372だけが含まれる。図10〜11に示される差動装置786は図5に関して説明した装置と、(環状体が第二シャフト390によって担持される点を除いて)実質的に同一である。図10〜11の装置には、ダブルカルダンシャフト配列を2つ用いなくとも、図4〜5に匹敵する僅かな置き違えや不適当な方位に関する位置決め柔軟性及び許容性が高められる利点がある。
【0044】
図12〜13は第四の実施態様に従った充填装置410の説明図である。図12〜13から理解されるように、本実施態様による第三ケーシング484は主ハウジング12から一定間隔を空けて側方に配置され、分離された支持構造体483上に支持される。すなわち、第三ケーシング484は、例えば高炉の頂部円錐体あるいは高炉のスチール支持構造体によって主ハウジング12から独立して支持される。第一及び第二ケーシング450,470の連結シャフト456,476は、対応するダブルカルダンシャフト485,487を用いて第三ケーシング484の第一及び第二シャフト488,490へそれぞれ連結される。これら第一及び第二ケーシング450,470は、それぞれ角度伝動装置(図示せず)だけを含むことから、小型でモジュール方式の相互交換可能な構成とされる。図12の部分平面断面図から理解されるように、第三ケーシング中に含まれる差動装置886及び歯車部品の構成は図7の構成と実質的に一致する。中心歯車808は調節伝動装置496によって駆動され、環状体800は、第一シャフト488を駆動させる歯車列458を通して主回転伝動装置460によって駆動され、他方惑星歯車キャリヤ812により、第二シャフト490がシュート32の調節のため差動により、あるいはシュート32を適正位置に保持するために同期的に駆動される。伝動装置460,496は双方とも、第三ケーシング484によって支持される。理解されるように、図12〜13の実施態様によれば主ハウジング12の直ぐ上の構造空間が節約され、メンテナンスのために分離された第三ケーシング484へアクセスすることがさらに容易化される。従って、理解されるように、第三ケーシングが間隔を空けて離れ、かつ分離された支持体上に主ハウジング12から独立して配置される、図1〜3、図4〜5あるいは図10〜11の変形も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
図1〜3
10: 分配装置
12: 主ハウジング
14: 送込み口
16: 送込みチャネル
18: 懸架ローター
20: ローラーベアリング
24: 保護フランジ
26: 調節ローター
28: ローラーベアリング
32: 分配シュート
34, 34’: 懸架アーム
36, 36’: 旋回機構
38, 38’: (36, 36’の)入力シャフト
44, 44’: 懸架トラニオン
40, 40’: (38, 38’の)ギアホイール
42: 下側ギアリング
50: 第一ケーシング
52: (50の)角度伝動装置
54: (50の)出力シャフト
56: (50の)連結シャフト
58: (50の)歯車列
60: (50の)主回転伝動装置
62: (54の)ギアホイール
64: (18上の)第一ギアリング
66: (12中及び50の)開口部
70: 第二ケーシング
72: (70の)角度伝動装置
74: (70の)出力シャフト
76: (70の)連結シャフト
78: (74の)ギアホイール
80: (26上の)第二ギアリング
82: (12中及び70の)開口部
84: 第三ケーシング
86: 差動歯車
88: 第一シャフト
89, 91: 連結器
90: 第二シャフト
92: 駆動シャフト/ 第三シャフト
94: (84の)減速歯車
96: 調節伝動装置
100: (86の)環状体
102: (100の)外側かさ歯車装置
104: (100の)内側歯車装置
106: (92上の)かさ歯車
108: (86の)中心歯車
110’, 110”: (86の)惑星歯車
112: (86の)惑星歯車キャリヤ
120, 122: ロータリーエンコーダ
図4〜5
210: 分配装置
250: 第一ケーシング
270: 第二ケーシング
284: 第三ケーシング
286: 差動歯車
288: (286の)第一シャフト
290: (286の)第二シャフト
256: (250の)連結シャフト
276: (270の)連結シャフト
285, 287: ダブルカルダンシャフト
293, 293’: 第一カルダンジョイント
295, 295’: 第二カルダンジョイント
297, 297’: 中間シャフト
200: (286の)環状体
208: (286の)中心歯車
210’, 210”: (286の)惑星歯車
212: (286の)惑星歯車キャリヤ
294: (296の)減速歯車
296: 調節伝動装置
258: (260の)歯車列
260: (284の)主回転伝動装置
223, 223’: かさ歯車対
図6
300: (386の)環状体
308: (386の)中心歯車
310’, 310”: (386の)惑星歯車
312: (386の)惑星歯車キャリヤ
394: (296の)減速歯車
358: (260の)歯車列
図7
400: (486の)環状体
408: (486の)中心歯車
410’, 410”: (486の)惑星歯車
412: (486の)惑星歯車キャリヤ
494: (296の)減速歯車
458: (260の)歯車列
図8
500: (586の)環状体
508: (586の)中心歯車
510’, 510”: (586の)惑星歯車
512: (586の)惑星歯車キャリヤ
594: (296の)減速歯車
558: (260の)歯車列
図9
600: (686の)環状体
608: (686の)中心歯車
610’, 610”: (686の)惑星歯車
612: (686の)惑星歯車キャリヤ
694: (296の)減速歯車
668: (260の)歯車列
図10〜11
310: 分配装置
350: 第一ケーシング
352: (350の)角転送装置
354: (350の)出力シャフト
358: (360用)歯車列
360: 主回転伝動装置
370: 第二ケーシング
372: (370の)角転送装置
374: (370の)出力シャフト
384: 第三ケーシング
388: (786の)第一シャフト
390: (786の)第二シャフト
356: (350の)連結シャフト
376: (370の)連結シャフト
385: ダブルカルダンシャフト
396: 調節伝動装置
399: 補償連結器
794: 減速歯車
786: 差動歯車
図12〜13
410: 分配装置
450: 第一ケーシング
456: (450の)連結シャフト
458: (460の)歯車列
460: 主回転伝動装置
470: 第二ケーシング
476: (470の)連結シャフト
483: 支持構造体
484: 第三ケーシング
488: (786の)第一シャフト
490: (786の)第二シャフト
485, 487: ダブルカルダンシャフト
496: 調節伝動装置
886: 差動歯車
800: (886の)環状体
808: (886の)中心歯車
812: (886の)惑星歯車キャリヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト炉、特に高炉、中への充填材料分配装置であって、
主ハウジング、
充填材料を分配させるための分配シュート、
前記主ハウジング中にほぼ垂直な回転軸を中心に回転可能に取り付けられ、かつ第一ギアリングが備えられる懸架ローター、
前記主ハウジング中にほぼ垂直な回転軸を中心に回転可能に取り付けられ、かつ第二ギアリングが備えられる調節ローター、
前記懸架ローターに吊り下げられて該ローターと共に回転して充填材料の周辺分配を行い、かつ充填材料の放射分配のため調節ローターを通して前記懸架ローターに対する方位を調節することが可能な分配シュート、
前記懸架ローターと前記調節ローターを相互連結して懸架ローターに対する調節ローターの差動回転を可能にする差動歯車、
前記懸架ローターへ回転を与えるために該懸架ローターへ連結され、かつ前記調節ローターへ回転を与えるために該調節ローターへ前記差動歯車を通して連結される主回転伝動装置、特に電気モーター、
懸架ローターに対する前記調節ローターへ差動回転を与えるために前記差動歯車を通して前記調節ローターへ連結される調節伝動装置、特に電気モーター、及び
前記調節伝動装置によって、前記差動歯車を通して、懸架ローターに対する前記調節ローターへ差動回転が与えられなければ、前記主回転伝統装置によって前記懸架ローターへ与えられる同一回転速度を前記調節ローターへ伝動するように構成される前記差動歯車、から構成され、
第一ケーシングは、前記主ハウジング上に配置され、及び該第一ケーシングから前記主ハウジング中へ突き出し、かつ前記懸架ローターの前記第一ギアリングと噛み合うギアホイールへ連結されるほぼ垂直な出力シャフトと前記第一ケーシングから前記出力シャフトに対して一定角度、特に垂直に突き出す連結シャフトとの間に角度伝動装置を含み、
第二ケーシングは、前記主ハウジング上に配置され、及び該第二ケーシングから前記主ハウジング中へ突き出し、かつ前記調節ローターの前記第二ギアリングと噛み合うギアホイールへ連結されるほぼ垂直な出力シャフトと前記第二ケーシングから前記出力シャフトに対して一定角度、特に垂直に突き出す連結シャフトとの間に角度伝動装置を含み、及び
第三ケーシングは、前記第一及び第二ケーシングから間隔を空けて置かれ、及び該第三ケーシングから突き出し、かつ前記第一ケーシングの前記連結シャフトへ連結される第一シャフトと、前記第三ケーシングから突き出し、かつ前記第二ケーシングの前記連結シャフトへ連結される第二シャフトへ連結される差動歯車を含むことを特徴とする充填材料分配装置。
【請求項2】
前記調節伝動装置が前記第三ケーシングへ取り付けられ、かつ減速歯車を用いて前記差動歯車へ適切に連結されることを特徴とする請求項1項記載の充填材料分配装置。
【請求項3】
前記主回転伝動装置は、前記第三ケーシングへ取り付けられ、かつ前記第三ケーシング中の歯車列を用いて前記差動歯車の前記第一シャフトへ適切に連結され、あるいは前記第一ケーシングへ取り付けられ、かつ前記第一ケーシング中の歯車列を用いて前記第一ケーシングの前記出力シャフトへ適切に連結されることを特徴とする請求項2項記載の充填材料分配装置。
【請求項4】
前記第一及び第二ケーシングのそれぞれに漏止めブッシングを備える基板が含まれ、該基板を通して前記ほぼ垂直な出力シャフトが突き出し、及び前記主ハウジングに、前記第一及び第二ケーシングのそれぞれについて、各出力シャフト上のギアホイールを通過させるための開口部が設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の充填材料分配装置。
【請求項5】
前記差動歯車の前記第一シャフトが同等運動量自在継手配列を用いて前記第一ケーシングの前記連結シャフトへ連結され、及び又は前記差動歯車の前記第二シャフトが等運動量転自在継手配列を用いて前記第二ケーシングの前記連結シャフトへ連結されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の充填材料分配装置。
【請求項6】
前記差動歯車の前記第一シャフトが2つのカルダンジョイントを有するダブルカルダンシャフトを用いて前記第一ケーシングの前記連結シャフトへ連結され、及び又は前記差動歯車の前記第二シャフトが2つのカルダンジョイントを有するダブルカルダンシャフト、好ましくは長さ補正型ダブルカルダンシャフトを用いて前記第二ケーシングの前記連結シャフトへ連結されることを特徴とする請求項5項記載の充填材料分配装置。
【請求項7】
前記2つのカルダンジョイントのそれぞれが、ダブルカルダンジョイント、好ましくは中心のあるダブルカルダンジョイントであることを特徴とする請求項6項記載の充填材料分配装置。
【請求項8】
ダブルカルダンシャフトのそれぞれが、その2つのカルダンジョイントを相互連結する長さ伸長可能な中間シャフトから成ることを特徴とする請求項6項または7項記載の充填材料分配装置。
【請求項9】
前記主回転伝動装置が前記第一ケーシング上に取り付けられ、前記第一ケーシング及び前記第二ケーシングが前記主ハウジング上に配置されることによってそれらの連結シャフトがほぼ一列に整列されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の充填材料分配装置。
【請求項10】
前記差動歯車の前記第一シャフトが補償連結器を用いて前記第一ケーシングの前記連結シャフトへ連結され、及び又は前記差動歯車の前記第二シャフトが補償連結器を用いて前記第二ケーシングの前記連結シャフトへ連結されることを特徴とする請求項9項記載の充填材料分配装置。
【請求項11】
前記差動歯車装置が、環状体、中心歯車及び前記環状体及び前記中心歯車と噛み合う少なくとも2個の惑星歯車を担持する惑星歯車キャリヤから構成されるエピサイクリック惑星歯車装置であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の充填材料分配装置。
【請求項12】
前記中心歯車が前記差動歯車の前記第一シャフトへ固定され、前記惑星歯車キャリヤが前記差動歯車の前記第二シャフトへ固定され、及び前記環状体が前記調節伝動装置へ連結されることを特徴とする請求項11項記載の充填材料分配装置。
【請求項13】
前記中心歯車が前記差動歯車の前記第二シャフトへ固定され、前記惑星歯車キャリヤが前記差動歯車の前記第一シャフトへ固定され、及び前記環状体が前記調節伝動装置へ連結されることを特徴とする請求項11項記載の充填材料分配装置。
【請求項14】
前記中心歯車が前記調節伝動装置へ連結され、前記惑星歯車キャリヤが前記差動歯車の前記第二シャフトへ固定され、及び前記環状体が前記差動歯車の前記第一シャフトへ固定されることを特徴とする請求項11項記載の充填材料分配装置。
【請求項15】
前記中心歯車が前記差動歯車の前記第二シャフトへ固定され、前記惑星歯車キャリヤが前記調節伝動装置へ連結され、及び前記環状体が前記差動歯車の前記第一シャフトへ固定されることを特徴とする請求項11項記載の充填材料分配装置。
【請求項16】
前記分配シュートを前記調節ローターへ連結する旋回装置がさらに含まれ、前記シュートの傾斜角度を調節するために、該旋回装置が、前記調節ローターの前記懸架ローターに対する差動回転をほぼ水平な旋回軸を中心とする前記シュートの旋回位置変化へ変換するように設計されることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の充填材料分配装置。
【請求項17】
前記角度伝動装置のそれぞれが、前記垂直出力シャフトを前記連結シャフトへ連結するかさ歯車対から成り、前記連結シャフトが前記ケーシングから水平に突き出すことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の充填材料分配装置。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の充填材料分配装置を用いるシャフト炉充填設備。
【請求項19】
請求項18項記載の充填設備を用いる高炉。
【請求項1】
シャフト炉、特に高炉、中への充填材料分配装置であって、
主ハウジング、
充填材料を分配させるための分配シュート、
前記主ハウジング中にほぼ垂直な回転軸を中心に回転可能に取り付けられ、かつ第一ギアリングが備えられる懸架ローター、
前記主ハウジング中にほぼ垂直な回転軸を中心に回転可能に取り付けられ、かつ第二ギアリングが備えられる調節ローター、
前記懸架ローターに吊り下げられて該ローターと共に回転して充填材料の周辺分配を行い、かつ充填材料の放射分配のため調節ローターを通して前記懸架ローターに対する方位を調節することが可能な分配シュート、
前記懸架ローターと前記調節ローターを相互連結して懸架ローターに対する調節ローターの差動回転を可能にする差動歯車、
前記懸架ローターへ回転を与えるために該懸架ローターへ連結され、かつ前記調節ローターへ回転を与えるために該調節ローターへ前記差動歯車を通して連結される主回転伝動装置、特に電気モーター、
懸架ローターに対する前記調節ローターへ差動回転を与えるために前記差動歯車を通して前記調節ローターへ連結される調節伝動装置、特に電気モーター、及び
前記調節伝動装置によって、前記差動歯車を通して、懸架ローターに対する前記調節ローターへ差動回転が与えられなければ、前記主回転伝統装置によって前記懸架ローターへ与えられる同一回転速度を前記調節ローターへ伝動するように構成される前記差動歯車、から構成され、
第一ケーシングは、前記主ハウジング上に配置され、及び該第一ケーシングから前記主ハウジング中へ突き出し、かつ前記懸架ローターの前記第一ギアリングと噛み合うギアホイールへ連結されるほぼ垂直な出力シャフトと前記第一ケーシングから前記出力シャフトに対して一定角度、特に垂直に突き出す連結シャフトとの間に角度伝動装置を含み、
第二ケーシングは、前記主ハウジング上に配置され、及び該第二ケーシングから前記主ハウジング中へ突き出し、かつ前記調節ローターの前記第二ギアリングと噛み合うギアホイールへ連結されるほぼ垂直な出力シャフトと前記第二ケーシングから前記出力シャフトに対して一定角度、特に垂直に突き出す連結シャフトとの間に角度伝動装置を含み、及び
第三ケーシングは、前記第一及び第二ケーシングから間隔を空けて置かれ、及び該第三ケーシングから突き出し、かつ前記第一ケーシングの前記連結シャフトへ連結される第一シャフトと、前記第三ケーシングから突き出し、かつ前記第二ケーシングの前記連結シャフトへ連結される第二シャフトへ連結される差動歯車を含むことを特徴とする充填材料分配装置。
【請求項2】
前記調節伝動装置が前記第三ケーシングへ取り付けられ、かつ減速歯車を用いて前記差動歯車へ適切に連結されることを特徴とする請求項1項記載の充填材料分配装置。
【請求項3】
前記主回転伝動装置は、前記第三ケーシングへ取り付けられ、かつ前記第三ケーシング中の歯車列を用いて前記差動歯車の前記第一シャフトへ適切に連結され、あるいは前記第一ケーシングへ取り付けられ、かつ前記第一ケーシング中の歯車列を用いて前記第一ケーシングの前記出力シャフトへ適切に連結されることを特徴とする請求項2項記載の充填材料分配装置。
【請求項4】
前記第一及び第二ケーシングのそれぞれに漏止めブッシングを備える基板が含まれ、該基板を通して前記ほぼ垂直な出力シャフトが突き出し、及び前記主ハウジングに、前記第一及び第二ケーシングのそれぞれについて、各出力シャフト上のギアホイールを通過させるための開口部が設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の充填材料分配装置。
【請求項5】
前記差動歯車の前記第一シャフトが同等運動量自在継手配列を用いて前記第一ケーシングの前記連結シャフトへ連結され、及び又は前記差動歯車の前記第二シャフトが等運動量転自在継手配列を用いて前記第二ケーシングの前記連結シャフトへ連結されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の充填材料分配装置。
【請求項6】
前記差動歯車の前記第一シャフトが2つのカルダンジョイントを有するダブルカルダンシャフトを用いて前記第一ケーシングの前記連結シャフトへ連結され、及び又は前記差動歯車の前記第二シャフトが2つのカルダンジョイントを有するダブルカルダンシャフト、好ましくは長さ補正型ダブルカルダンシャフトを用いて前記第二ケーシングの前記連結シャフトへ連結されることを特徴とする請求項5項記載の充填材料分配装置。
【請求項7】
前記2つのカルダンジョイントのそれぞれが、ダブルカルダンジョイント、好ましくは中心のあるダブルカルダンジョイントであることを特徴とする請求項6項記載の充填材料分配装置。
【請求項8】
ダブルカルダンシャフトのそれぞれが、その2つのカルダンジョイントを相互連結する長さ伸長可能な中間シャフトから成ることを特徴とする請求項6項または7項記載の充填材料分配装置。
【請求項9】
前記主回転伝動装置が前記第一ケーシング上に取り付けられ、前記第一ケーシング及び前記第二ケーシングが前記主ハウジング上に配置されることによってそれらの連結シャフトがほぼ一列に整列されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の充填材料分配装置。
【請求項10】
前記差動歯車の前記第一シャフトが補償連結器を用いて前記第一ケーシングの前記連結シャフトへ連結され、及び又は前記差動歯車の前記第二シャフトが補償連結器を用いて前記第二ケーシングの前記連結シャフトへ連結されることを特徴とする請求項9項記載の充填材料分配装置。
【請求項11】
前記差動歯車装置が、環状体、中心歯車及び前記環状体及び前記中心歯車と噛み合う少なくとも2個の惑星歯車を担持する惑星歯車キャリヤから構成されるエピサイクリック惑星歯車装置であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の充填材料分配装置。
【請求項12】
前記中心歯車が前記差動歯車の前記第一シャフトへ固定され、前記惑星歯車キャリヤが前記差動歯車の前記第二シャフトへ固定され、及び前記環状体が前記調節伝動装置へ連結されることを特徴とする請求項11項記載の充填材料分配装置。
【請求項13】
前記中心歯車が前記差動歯車の前記第二シャフトへ固定され、前記惑星歯車キャリヤが前記差動歯車の前記第一シャフトへ固定され、及び前記環状体が前記調節伝動装置へ連結されることを特徴とする請求項11項記載の充填材料分配装置。
【請求項14】
前記中心歯車が前記調節伝動装置へ連結され、前記惑星歯車キャリヤが前記差動歯車の前記第二シャフトへ固定され、及び前記環状体が前記差動歯車の前記第一シャフトへ固定されることを特徴とする請求項11項記載の充填材料分配装置。
【請求項15】
前記中心歯車が前記差動歯車の前記第二シャフトへ固定され、前記惑星歯車キャリヤが前記調節伝動装置へ連結され、及び前記環状体が前記差動歯車の前記第一シャフトへ固定されることを特徴とする請求項11項記載の充填材料分配装置。
【請求項16】
前記分配シュートを前記調節ローターへ連結する旋回装置がさらに含まれ、前記シュートの傾斜角度を調節するために、該旋回装置が、前記調節ローターの前記懸架ローターに対する差動回転をほぼ水平な旋回軸を中心とする前記シュートの旋回位置変化へ変換するように設計されることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の充填材料分配装置。
【請求項17】
前記角度伝動装置のそれぞれが、前記垂直出力シャフトを前記連結シャフトへ連結するかさ歯車対から成り、前記連結シャフトが前記ケーシングから水平に突き出すことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の充填材料分配装置。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の充填材料分配装置を用いるシャフト炉充填設備。
【請求項19】
請求項18項記載の充填設備を用いる高炉。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2012−528940(P2012−528940A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513632(P2012−513632)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057805
【国際公開番号】WO2010/139776
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(500173376)ポール ヴルス エス.エイ. (44)
【氏名又は名称原語表記】PAUL WURTH S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057805
【国際公開番号】WO2010/139776
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(500173376)ポール ヴルス エス.エイ. (44)
【氏名又は名称原語表記】PAUL WURTH S.A.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]