説明

シャンプー組成物及びその製造方法

【課題】 安定性に優れたパール化剤を、効率よく生成し分散させるシャンプー組成物の製造方法、及び該製造方法により得られ、高温や低温条件下の保存においても、安定なパール光沢が持続するシャンプー組成物を提供する。
【解決手段】 少なくとも(A)長鎖脂肪酸グリコールエステル、及び(B)構造式中に疎水基を有する水溶性ポリマーを、前記(A)成分の融点以上の温度で混合してなるパール光沢分散液を、
(C)前記(B)とは異なる水溶性ポリマー、及びシャンプー組成物の成分を、前記(A)成分の融点未満の温度で混合してなる混合液中に添加し、
前記(A)成分、及び前記(B)成分からなるパール光沢結晶化物を生成させることを含むことを特徴とするシャンプー組成物の製造方法である。前記パール光沢結晶化物を含有してなり、前記製造方法により製造されることを特徴とするシャンプー組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観にパール光沢(真珠様光沢)を有し、該パール光沢の安定性に優れたシャンプー組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シャンプー等にパール光沢を付与して商品価値を高める技術が広く行なわれており、シャンプー等にパール光沢を付与するための分散液の製造方法(例えば、特許文献1及び2参照)、パール光沢を有するシャンプーの製造方法(例えば、特許文献3〜5参照)等の技術が知られている。
【0003】
シャンプー組成物に、パール光沢を付与するためのパール化剤を多量に配合すると、シャンプーの泡立ちや泡性能を低下させることがある。この問題に対し、例えば、カチオン性ポリマー水溶液に対し、別途調製されたパール化剤としての長鎖脂肪酸グリコールエステル分散液を添加し、プレミックスを調製した後、その他の洗浄剤成分に該プレミックスを混合する方法が提案されている(特許文献6参照)。
【0004】
一方、パール光沢を有するシャンプー組成物においては、該シャンプー組成物中の他の成分により、パール光沢を付与するパール化剤が劣化することがあり、長期保存や高温環境下において、該パール光沢の安定性が失われるという問題があった。
【0005】
この問題に対し、例えば、増粘されたアニオン界面活性剤の水性系にイソプレングリコールを添加して、前記パール化剤を安定に分散させる方法(特許文献7参照)、キサンタンガムとカチオン系ポリマーとを含有させる方法(特許文献8参照)、パール化剤とともに、3−アルキル(C10〜20)オキシ−2−ヒドロキシプロピルアルギニン及び/又はその塩とを含有させる方法(特許文献9参照)、並びに、パール化剤が懸濁した水性液に、該パール化剤よりもエステルを構成する脂肪酸の炭素数が大きいものの比率が高いパール化剤を溶融して添加した後冷却し、パール化剤を析出させる方法(特許文献10参照)等が提案されている。
【0006】
しかしながら、安定性に優れたパール化剤を、効率よく生成して分散させるシャンプー組成物の製造方法、及び該製造方法により得られ、高温や低温条件下の保存においても、安定なパール光沢が持続するシャンプー組成物は、未だ十分満足し得るものが提供されていないのが現状であり、これらの開発が切に望まれている。
【0007】
【特許文献1】特開昭60−25906号公報
【特許文献2】特開2003−155214号公報
【特許文献3】特公昭44−671号公報
【特許文献4】特開平4−244009号公報
【特許文献5】特開平4−26614号公報
【特許文献6】特開2004−83480号公報
【特許文献7】特開平7−188693号公報
【特許文献8】特開平11−228383号公報
【特許文献9】特開2002−121131号公報
【特許文献10】特開2004−67641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、安定性に優れたパール化剤を、効率よく生成し分散させるシャンプー組成物の製造方法、及び該製造方法により得られ、高温や低温条件下の保存においても、安定なパール光沢が持続するシャンプー組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討を行った結果、長鎖脂肪酸グリコールエステルを含み、該長鎖脂肪酸グリコールエステルの融点以上の温度の分散液に、疎水基を構造中に持つ水溶性ポリマーを添加し、50℃以下のシャンプー組成物液中で急速に結晶化させ、更に、前記水溶性ポリマーとは異なる水溶性ポリマーを、組成物中に0.01〜3質量%配合することにより、高温又は低温環境下での保存においても、パール光沢が安定に保たれるシャンプー組成物を得ることができるという知見を得た。
【0010】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも(A)長鎖脂肪酸グリコールエステル、及び(B)構造式中に疎水基を有する水溶性ポリマーを、前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)の融点以上の温度で混合してなるパール光沢分散液を、
(C)前記(B)とは異なる水溶性ポリマー、及びシャンプー組成物の成分を、前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)の融点未満の温度で混合してなる混合液中に添加し、
前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)及び前記構造式中に疎水基を有する水溶性ポリマー(B)からなるパール光沢結晶化物を生成させることを含むことを特徴とするシャンプー組成物の製造方法である。
<2> 水溶性ポリマー(C)の配合量が、シャンプー組成物中0.01〜3質量%である前記<1>に記載のシャンプー組成物の製造方法である。
<3> 構造式中に疎水基を有する水溶性ポリマー(B)が、両性イオン型共重合体である前記<1>から<2>のいずれかに記載のシャンプー組成物の製造方法である。
<4> 長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)、界面活性剤、及び水を、前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)の融点以上の温度で混合した後、構造式中に疎水基を有する水溶性ポリマー(B)を添加することによりパール光沢分散液を調製する前記<1>から<3>のいずれかに記載のシャンプー組成物の製造方法である。
【0011】
<5> 混合液と、パール光沢分散液との質量比が、(混合液)/(パール光沢分散液)=0.5〜30である前記<1>から<4>のいずれかに記載のシャンプー組成物の製造方法である。
<6> 混合液の温度が、50℃以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載のシャンプー組成物の製造方法である。
【0012】
<7> 長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)、及び構造式中に疎水基を有する水溶性ポリマー(B)からなるパール光沢結晶化物を含有してなり、前記<1>から<6>のいずれかに記載のシャンプー組成物の製造方法により製造されることを特徴とするシャンプー組成物である。
<8> 水溶性ポリマー(C)の含有量が、0.01〜3質量%である前記<7>に記載のシャンプー組成物である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、安定性に優れたパール化剤を、効率よく生成して分散させるシャンプー組成物の製造方法、及び該製造方法により得られ、高温や低温条件下の保存においても、安定なパール光沢が持続するシャンプー組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(シャンプー組成物の製造方法)
本発明のシャンプー組成物の製造方法は、
少なくとも(A)長鎖脂肪酸グリコールエステル、及び(B)構造式中に疎水基を有する水溶性ポリマーを、前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)の融点以上の温度で混合してなるパール光沢分散液を、
(C)前記(B)とは異なる水溶性ポリマー、及びシャンプー組成物の成分を、前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)の融点未満の温度で混合してなる混合液中に添加し、
前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)、及び前記構造式中に疎水基を有する水溶性ポリマー(B)からなるパール光沢結晶化物を生成させることを含み、必要に応じてその他の工程を含む。
【0015】
<パール光沢分散液の調製>
前記パール光沢分散液の調製方法としては、前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)(以下、「(A)成分」と表すことがある)と、前記構造式中に疎水基を有する水溶性ポリマー(B)(以下、「水溶性ポリマー(B)」、又は「(B)成分」と表すことがある)とを、前記(A)成分の融点以上の温度で混合する方法であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記(A)成分、界面活性剤、及び水を、前記(A)成分の融点以上の温度で混合した後、前記(B)成分を添加する方法が好ましい。
なお、前記(A)成分の融点以上の温度としては、水の沸点以下であることが好ましく、例えば、80〜100℃が好ましく、80〜90℃が好ましい。
【0016】
ここで、前記水溶性ポリマー(B)は、前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)がその融点以上に加熱され、溶解した後に添加することが好ましく、少なくとも前記混合液中に添加される前に添加することが必要である。前記(B)成分を、前記(A)成分が結晶化した後に添加すると、前記(A)成分及び前記(B)成分からなり、かつ前記(A)成分と前記(B)成分とが一体となったパール光沢結晶化物が生成せず、安定性に優れたパール化剤を得ることができない。
【0017】
−長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)−
前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)としては、例えば、下記一般式(1)で表されるものが好ましく、室温(25℃程度)下において固体のものがより好ましい。
【0018】
【化1】

前記構造式(1)中、Xは、水素、及び炭素数14〜24のアシル基のいずれかを表し、Rは、炭素数13〜23のアルキル基を表し、nは、1〜3の整数を表す。
【0019】
前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)の具体的な化合物としては、例えば、エチレングリコ−ルジステアレート、エチレングリコ−ルモノステアレート、及びエチレングリコ−ルジベヘニレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
前記(A)成分の配合量としては、前記シャンプー組成物全量に対し、0.5〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。配合量が0.5質量%未満であると、前記シャンプー組成物に十分なパール光沢を付与することができないことがあり、10質量%を超えると、前記パール結晶化物の分散安定性が著しく悪化することがある。
【0021】
−構造式中に疎水基を有する水溶性ポリマー(B)−
前記水溶性ポリマー(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、両性イオン型共重合体が好ましい。
前記両性イオン型共重合体は、例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリルレート、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド等の単量体とステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、及びアリルメタクリレート等の単量体を重合させた後、両性化反応させて得られる化合物含有溶液(共重合体液)が挙げられる。具体的には、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体液、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体液、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体液などが挙げられ、これらの中でも、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体液が好ましい。
【0022】
前記(B)成分の配合量としては、前記シャンプー組成物全量に対し、0.01〜2質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましい。配合量が、0.01質量%未満であると、前記パール結晶化物の分散安定性が著しく悪化することがあり、2質量%を超えると、前記シャンプー組成物を使用したとき、乾燥後に髪のべたつきが生じることがある。
【0023】
−界面活性剤−
前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)を分散させる界面活性剤としては、前記シャンプー組成物の主成分となる界面活性剤を使用することができる。
前記界面活性剤は、前記シャンプー組成物中に含まれる界面活性剤の全量であってもよく、一部であってもよい。
前記界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられ、これらの中でも、陰イオン性界面活性剤が好ましい。
前記陰イオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、α−オレフィンスルホネート、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、N−アシルグルタミン酸塩等が挙げられる。また、前記陰イオン性界面活性剤の対イオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン等が挙げられる。
前記非イオン性界面活性剤としては、ラウリン酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルカルボキシメチルアンモニウムベタイン、アルキルカルボキシメチルイミダゾリウムベタイン、N−(N’−アシルアミノアルキル)−N−ヒドロキシアルキルアミノカルボン酸塩等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記界面活性剤の配合量としては、前記シャンプー組成物に配合される合計量として、前記シャンプー組成物全量に対し、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。配合量が5質量%未満であると、前記シャンプー組成物の洗浄力や起泡力が不十分となることがあり、40質量%であると、前記シャンプー組成物の粘度が著しく増加し、容器から取り出すことが困難となることや、前記シャンプー組成物の安定性が悪化することがある。
【0025】
<混合液>
前記(B)とは異なる水溶性ポリマー(C)(以下、単に「水溶性ポリマー(C)」、又は「(C)成分」ということがある)と、シャンプー組成物の成分との混合液の調製方法としては、前記(C)成分及びシャンプー組成物の成分を、前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)の融点未満の温度で混合する方法であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0026】
前記混合液は、前記パール光沢分散液中の前記(A)成分及び前記(B)成分を結晶化させるための冷却媒となる必要があり、前記混合液の温度としては、50℃以下であることが好ましく、5〜50℃であることがより好ましく、10〜45℃であることが特に好ましい。50℃を超えると、前記パール光沢分散液の冷却が不十分となり、前記パール光沢結晶物の結晶化が困難となり、前記シャンプー組成物のパール光沢が劣化する。
【0027】
−水溶性ポリマー(C)−
前記水溶性ポリマー(C)としては、前記(B)成分と異なる化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カチオン性ポリマーが好ましい。
前記カチオン性ポリマーとしては、例えば、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グァーガム、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0028】
前記水溶性ポリマー(C)が粉体の場合、予め精製水やエタノール等で希釈して前記混合液の調製に使用することが好ましい。
【0029】
前記(C)成分の配合量としては、前記シャンプー組成物全量に対し、0.01〜3質量%であることが好ましく、0.05〜2質量%であることがより好ましい。配合量が、0.01質量%未満では、経時によりパール結晶化物の分散安定性が悪化することがあり、3質量%を超えると、前記シャンプー組成物を使用したとき、乾燥後の髪のべたつきが大きくなる場合がある。
【0030】
−シャンプー組成物の成分−
前記シャンプー組成物の成分としては、本発明の目的が損なわれない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記パール光沢分散液の調製に用いた界面活性剤以外の成分で、一般のシャンプーに用いられる公知の添加物や、前記シャンプーを製造するに当たり通常用いられる補助的原料や添加物などが挙げられる。
【0031】
前記シャンプー組成物としては、例えば、シリコーン化合物、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の増粘剤、クエン酸、EDTA、NTA等のキレート剤、無機塩類(例えば、食塩、芒硝等)、有機塩類、保湿剤(例えば、プロピレングリコール等)、トニック剤、可溶化剤、酸化防止剤(例えば、BHT、α−トコフェロール等)、殺菌剤(例えば、トリクロサン、トリクロロカルバン等)、紫外線吸収剤、タンパク誘導体、動植物抽出液、フケ防止剤(例えば、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン、イオウ等)、抗炎症剤(例えば、グリチルリチン酸ジカリウム等)、防腐・防黴剤、pH調整剤、ビタミン類、揮発性油分、疎水性溶媒、色素、香料、香料組成物などが挙げられ、これらの中から1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0032】
前記シリコーン化合物としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(高重合ジメチルポリシロキサン、シリコーンゴムを含む)、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリアミノ変性シリコーン、べタイン変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、シリコーングラフトポリマー、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、トリメチルシリル基末端ジメチルポリシロキサン、シラノール基末端ジメチルポリシロキサン等が挙げられ、これらの中でも、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリアミノ変性シリコーンが好ましい。これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
また、前記シリコーン化合物としては、前記シリコーン化合物を界面活性剤により乳化し、エマルション化したものも使用することができる。該エマルション化の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0033】
前記シリコーン化合物の配合量としては、前記シャンプー組成物全量に対し、0.5〜5.0質量%であることが好ましく、1.0〜4.0質量%であることがより好ましい。配合量が、0.5質量%未満では、前記シャンプー組成物を使用したときの毛髪の仕上がり性能を向上させる効果が得られないことがあり、5.0質量%を超えると、前記シャンプー組成物を使用したとき、乾燥後の髪のべたつきが大きくなる場合がある。
【0034】
前記香料、及び前記香料組成物としては、例えば、特開2003−300811号公報記載の香料成分等、及び香料用溶剤等が挙げられる。
前記香料組成物とは、前記香料成分、香料用溶剤、及び香料安定化剤等からなる混合物である。
前記香料安定化剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEとその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物等が挙げられ、これらの中でも、ジブチルヒドロキシトルエンが好ましい。
前記香料安定化剤の配合量としては、前記香料組成物中、0.0001〜10質量%であることが好ましく、0.001〜5質量%であることがより好ましい。
前記香料用溶剤の配合量としては、前記香料組成物中、0.1〜99質量%であることが好ましく、1〜50質量%であることが好ましい。
前記シャンプー組成物中の前記香料組成物の配合量としては、シャンプー組成物全量に対し、0.005〜40質量%であることが好ましく、0.01〜10質量%であることがより好ましい。
【0035】
<パール光沢結晶化物の生成>
前記(A)成分の融点以上の温度である前記パール光沢分散液を、前記(A)成分の融点以下の温度である前記混合液中に、攪拌しながら添加し、前記パール光沢分散液を急速に冷却することにより、前記(A)成分及び前記(B)成分からなる前記パール光沢結晶化物(パール化剤)を生成させることができ、また該パール光沢結晶化剤を分散させることができ、高温や低温条件下の保存においても、安定なパール光沢が持続するシャンプー組成物を製造することができる。
【0036】
前記混合液を調製する装置としては、例えば、剪断力の付与及び全体混合ができる複数の攪拌羽根、例えば、プロペラ、タービン、ディスパーなどを備えた攪拌装置(例えば、アジホモミキサー、逆流ミキサー、ハイブロッドミキサー等)を備えたラインミキサーが好適に挙げられる。前記ラインミキサーは、冷却媒を循環させるループ、前記パール光沢分散液及び前記混合液をそれぞれ移送するためのポンプ等を備えていてもよい。
【0037】
前記ラインミキサーを使用して前記シャンプー組成物を製造する方法としては、例えば、前記パール光沢分散液と、前記混合液とを、それぞれ定量性ポンプにより、予め撹拌器を起動させておいたラインミキサーに移送し、連続的に混合分散し、前記パール光沢分散液を冷却して前記パール光沢結晶化物の晶析を行う方法が挙げられる。
【0038】
前記混合液と、前記パール光沢分散液との質量比((混合液)/(パール光沢分散液))としては、0.5〜30が好ましく、0.5〜20がより好ましい。前記シャンプー組成物の質量が、前記パール光沢分散液の質量に対して0.5倍未満であると、前記パール光沢分散液の冷却が不十分となり、前記パール光沢結晶化物の結晶化が不良となり、前記シャンプー組成物のパール光沢が劣化することがあり、35倍を超えると、前記シャンプー組成物中の前記パール光沢結晶化物の濃度が低く、十分なパール光沢が付与されないことがある。
【0039】
前記パール光沢分散液が前記混合液に添加されて冷却され、前記パール光沢結晶化物を生成するまでの時間としては、5分以内であることが好ましく、1分以内であることがより好ましく、30秒以内であることが特に好ましい。
【0040】
(シャンプー組成物)
本発明のシャンプー組成物は、前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)、及び前記構造式中に疎水基を有する水溶性ポリマー(B)からなるパール光沢結晶化物を含有してなり、上述した本発明のシャンプー組成物の製造方法により製造される。
また、前記シャンプー組成物は、水溶性ポリマー(C)を、0.01〜3質量%含有することが好ましい。
【0041】
前記パール光沢結晶化物は、前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)と、前記構造式中に疎水基を有する水溶性ポリマー(B)とが、実質的に一体に結晶化してなる。
ここで、「実質的に一体に結晶化してなる」とは、前記(A)成分と前記(B)成分とが含まれた結晶化物であることを意味し、例えば、下記の方法により確認できる。
【0042】
−確認方法−
前記シャンプー組成物を、精製水で500倍に薄め、No.5Cのろ紙でろ過し、ろ紙上の残留物(パール光沢結晶化物)を精製水でよく洗浄する。前記残留物を、前記(A)成分が溶解し、かつ前記(B)成分が溶解しない有機溶媒(例えば、ヘキサン等)20mLに添加して溶解させ、不溶物の有無を確認する。
前記残留物(パール光沢結晶化物)中に、前記(B)成分が含まれていれば、前記有機溶媒溶液中には、不溶物が認められる。前記(B)成分が含まれていなければ、前記(A)成分のみからなる残留物は完全に溶解し、透明な溶液となる。
また、前記有機溶媒溶液中の前記不溶物が、前記(B)成分であることを確認するためには、前記不溶物約10mgを、5mLのテトラヒドロフランなどに溶解し、ゲル浸透クロマトグラフィー法により分子量を測定し、分子量5万以上の領域にピークが認められることで、確認することができる。
さらに、前記不溶物が、前記(B)成分に特徴的な水溶性を示すかどうかを確認するためには、前記不溶物約10mgを、精製水1Lに溶解し、溶解液の外観の透明性により確認することができる。
【0043】
−充填容器−
本発明のシャンプー組成物は、通常の容器に充填することができる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、機械的又は差圧によるディスペンサー(ポンプ)容器、ボトル容器、ラミネートフィルム(パウチ)容器、スクイーズ容器、スポイト容器、スティック容器、ジャー容器、などが挙げられる。
前記ディスペンサー(ポンプ)容器の本体、及び前記ボトル容器の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−ビニルアルコール樹脂、アクリロニトリル・スチレン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド等の樹脂容器、及びガラス容器から適宜選択される。また、前記容器の構造は、単層又は2層以上の層構造とすることが好ましい。
前記ラミネートフィルム(パウチ)容器の材質は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、二軸延伸ポリプロピレン、無延伸ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、及びエチレン酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂、紙、アルミ蒸着プラスチック等から適宜選択される。また、前記ラミネートフィルム容器の構造は、強度、柔軟性、耐候性等を考慮し、2〜5層構造とすることが好ましい。
【実施例】
【0044】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0045】
(実施例1〜5、比較例1〜3)
下記表1及び2に示す組成により、実施例1〜5及び比較例1〜3のシャンプー組成物を調製した。具体的には、前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)と、前記シャンプー組成物中に添加する全量に対し質量比として1/10量の界面活性剤(D−1、又はD−2)と、前記(A)成分に対し質量比として1.5倍量の水とを混合し、80℃に加温して前記(A)成分を溶解させた後、前記水溶性ポリマー(B)を添加してパール光沢分散液を調製した。80℃の前記パール光沢分散液を、前記水溶性ポリマー(C)成分と、前記パール光沢分散液に添加後の残りの界面活性剤(D)と、その他の前記シャンプー組成物の成分とを40℃で撹拌溶解して調製した前記混合液に撹拌しながら添加して、実施例1〜5及び比較例1〜3のシャンプー組成物を調製した。
なお、下記表1及び2の各配合成分における数値は、特に断らない限り質量%を表す。
【0046】
得られた前記シャンプー組成物について、下記の方法により、パール光沢、及びパール光沢結晶化物(パール剤)分散安定性を評価し、パール光沢結晶化物(パール剤)の成分を分析した。さらに、前記シャンプー組成物の泡立ち量、及び使用後の仕上がり感触を評価した。結果を表1及び2に示す。
【0047】
(1)パール光沢評価
前記シャンプー組成物のパール光沢を、専門パネラー5名により、以下の基準により視覚判定した後、平均点を算出した。該平均点が4以上を◎、3〜3.9点を○、2〜2.9点を△、1.9点以下を×として判定した。
【0048】
−評価基準−
5点:パール光沢が十分に認められる
4点:パール光沢が認められる
3点:パール光沢がやや認められる
2点:パール光沢がほとんど認められない
1点:パール光沢が全く認められない
【0049】
(2)パール光沢結晶化物(パール剤)の分散安定性評価
前記シャンプー組成物を、下記の9種類の容器にそれぞれ充填し、50℃に温度管理された恒温槽内に1ヶ月保存した後、22〜27℃の環境に3日間放置した。その後、前記各容器内の前記シャンプー組成物全量を、透明なビーカー等の容器に移し、以下の基準により外観を観察した。
【0050】
−評価基準−
○:パール光沢結晶化物(パール剤)が均一に分散している。
△:パール光沢結晶化物(パール剤)のわずかな沈降、又はシャンプー組成物のわずかな分離が認められる。
×:パール光沢結晶化物(パール剤)の著しい沈降、又はシャンプー組成物の著しい分離が認められる。
【0051】
−容器−
(I)ボトル容器
(I−1)ボトル部:材質PP キャップ:材質PP
(I−2)ボトル部:材質HDPE キャップ:材質PP
(I−3)ボトル部:材質PET キャップ:材質PP
(I−4)ボトル部:材質PP/HDPE キャップ:材質PP
(II)ポンプ容器
(II−1)ボトル部:材質PP、ディスペンサー部:使用材質PP及びPE及びSUS304
(II−2)ボトル部:材質HDPE、ディスペンサー部:使用材質PP及びPE及びSUS304
(II−3)ボトル部:材質PET、ディスペンサー部:使用材質PP及びPE及びSUS304
(II−4)ボトル部:材質PP/HDPE、ディスペンサー部:使用材質PP及びPE及びSUS304
(III)パウチ容器
・材質:アルミ蒸着ポリエチレンパウチ
なお、前記各容器の材質において、PEはポリエチレンを表し、PPはポリプロピレンを表し、PETはポリエチレンテレフタレートを表し、HDPEは高密度ポリエチレンを表し、SUS304は約18%のCrと約8%のNiを含有した18−8系ステンレスを表す。
【0052】
(3)パール光沢結晶化物(パール化剤)の成分分析
シャンプー組成物約2gを、精製水で1Lに希釈し、得られた希釈液をNo.5C(ADVANTEC社製)のろ紙を用いてろ過した。前記ろ紙上の残留物約20mgを、精製水でよく洗浄した後、ヘキサン20mLに添加して溶解させた。ヘキサン溶液の外観を観察し、以下の基準により前記パール光沢結晶化物の成分を評価した。
なお、ヘキサン溶液中に不溶物が認められない場合、前記パール光沢結晶化物中には、前記(B)成分が含まれていないことがわかる。
【0053】
−評価基準−
○:ヘキサン溶液中に不溶物が認められた。
×:ヘキサン溶液は透明であり、不溶物は認められなかった。
【0054】
更に、前記残留物のヘキサン溶液中の不溶物を、5Cのろ紙でろ過した。ろ紙上の前記不溶物10mgを5mLのテトラヒドロフランに溶解し、下記に示すゲル浸透クロマトグラフィー法により残留物の分子量を測定した。
分子量5万以上の領域のピークを確認されたものについて、残留物が前記(B)成分であること確認した。
【0055】
−ゲル浸透クロマトグラフ−
カラム:TSKgel G4000H 7.8mmI.D.×300mm(東ソー社製)
移動相:テトラヒドロフラン
検出方法:示差屈折率検出器504R(ジーエルサイエンス社製)
【0056】
(4)泡立ち量
容量100mLの有栓メスシリンダー内に、前記シャンプー組成物2gと水18gとを加えて栓をして、該有栓メスシリンダーを上下に30回振とうした後、静置した。静置10分後の泡の容量を測定した。
【0057】
(5)仕上がり感触の評価
10gの毛束を40℃の温水で濡らした後、前記シャンプー組成物1gを塗布し、1分間もみ洗いした後、40℃の温水で1分間すすいだ。すすぎ後、24時間自然乾燥させた毛束の感触について、専門パネラー5名により以下の基準で採点してもらった。
−採点基準−
5点:なめらかさをかなり感じる。
4点:なめらかさを感じる。
3点:どちらともいえない。
2点:なめらかさを感じない。
1点:なめらかさを全く感じない。
【0058】
各パネラーの採点結果から平均点を算出し、以下の基準により仕上がり感触を評価した。
−評価基準−
◎:4.0点以上
○:3.0〜3.9点
△:2.0〜2.9点
×:1.9点以下
【0059】
【表1】

(単位:質量%)
【0060】
【表2】

(単位:質量%)
【0061】
表1及び表2中の化合物は、以下のとおりである。
A−1:エチレングリコールジステアレート(商品名:Genapol PMS、クラリアントジャパン社製)。化粧品種別配合成分規格(以下、「粧配規」と略す)に準拠。
【0062】
B−1:N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体液(商品名:ユカフォーマー204WL−2、三菱化学社製)。粧配規に準拠したN−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体液であり、純分17%の水溶液である。表中の値は、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体液の純分相当量である。
B−2:メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体液(商品名:プラスサイズL−450、互応化学社製)。粧配規に準拠したメタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体液。
【0063】
C−1:カチオン化セルロース(商品名:XE−511K、ライオンケミカル社製)。粧配規に準拠した塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースであり、純分は87%である。表中の値は、O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースの純分相当量である。
C−2:カチオン化グァ−ガム(商品名:ラボールガムCG−M6L、大日本製薬社製)。粧配規に準拠。
C−3:塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(商品名:カヤクリルレジンM−50、日本化薬社製)。粧配規に準拠した塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液であり、純分は約5.5%の水溶液である。モノマーである塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリルアミドの仕込み比は約1:1。表中の値は、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体の純分相当量である。
【0064】
D−1:POEアルキルエーテル硫酸Na(商品名:テイカポールNE1230E、テイカ社製)。粧配規に準拠したポリオキシエチレンアルキル(12−14)エーテル硫酸ナトリウム液(3E.O.)であり、純分約28%の水溶液である。表中の値は、POEアルキル(12−14)エーテル硫酸ナトリウムの純分相当量である。
D−2:POEラウリルエーテル硫酸Na(2E.O.)(商品名:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム濃縮品、ライオン社製)。粧原基に準拠したポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムであり、純分約66%の水溶液である。表中の値は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムの純分相当量である。
D−3:テトラデセンスルホン酸Na(商品名:テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ライオン社製)。粧配規に準拠したテトラデセンスルホン酸ナトリウム液であり、純分約35%でヒドロキシアルカンスルホン酸ナトリウムを含んだ水溶液である。表中の値は、テトラデセンスルホン酸ナトリウムの純分相当量である。
D−4:ラウリン酸アミドプロピルベタイン(商品名:LPB−30、一方社油脂工業社製)。粧配規に準拠した純分約30質量%の水溶液である。表中の値は、ラウリン酸アミドプロピルベタインの純分相当量である。
D−5:POE(2)ラウリン酸モノエタノールアミド(商品名:アミゼット2L−Y、川研ファインケミカル社製)。粧配規に準拠。平均EO付加モル数は約2である。
D−6:POE(20)硬化ヒマシ油(商品名:CW−20−90、青木油脂工業社製)。粧原基に準拠したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油であり、純分約90%の水溶液である。表中の値は、POE(20)硬化ヒマシ油の純分相当量である。
D−E:ラウリルジメチルアミンオキシド(商品名:AX剤−S、ライオンアクゾ社製)。粧配規に準拠したラウリルジメチルアミンオキシドで、純分約33%の水溶液である。表中にはラウリルジメチルアミンオキシドの純分相当量である。
【0065】
*1:高重合ジメチルシリコーン(ライオン社製)。粧配規に準拠した、(a)粘度400m/Sの高重合メチルポリシロキサン(KF−9029:信越化学工業社製)(b)1000m/Sの高重合メチルポリシロキサン(KF−9030:信越化学工業社製)及び、粧原基に準拠した(c)粘度0.1m/Sのメチルポリシロキサン(KF−96:信越化学工業社製)を、(a):(b):(c)=15:15:70で混合し、粧原基に準拠したPOE(15)セチルエーテル(NPO−97:ライオンケミカル社製)を乳化剤として機械力で水に乳化分散したエマルジョン液であり、エマルジョン液のシリコーン((a)+(b)+(c))濃度は約60質量%である。前記エマルジョン液の粘度は、約1.5Pa・s(25℃:粧原基一般試験法第2法、使用ローターNo.3、回転数30rpm)で、ジメチルシリコーンの平均粒子径は約0.9μmである。ヒドロキシエタンジホスホン酸(商品名:フェリオックス115、ライオン社製)でpHを約3に調整し、防腐剤として安息香酸0.2質量%を配合している。表中の値は、シリコーンの純分相当量である。
*2:SM8704C(東レダウコーニング社製)。粧配規に準拠したアモジメチコンの水分散液で、アミノ変性シリコーンの濃度は約40質量%である。水分散液中のアミノ変性シリコーンの平均粒子径は約0.1μmである。表中の値は、アミノ変性シリコーンの純分相当量である。
*3:安息香酸ソーダ(BFGoodrich Kalama Inc.製)。粧原基に準拠。
*4:特願2004−249835号公報の表5〜10に記載の香料A。
*5:特願2004−249835号公報の表5〜10に記載の香料B。
*6:特願2004−249835号公報の表5〜10に記載の香料C。
*7:特願2004−249835号公報の表5〜10に記載の香料D。
*8:プロピレングリコール(旭硝子社製)。粧原基に準拠。
*9:クニピアG(クニミネ工業社製)。粧原基に準拠。
【0066】
*10:DGA(岩城製薬社製)。没食子酸−3,5−ジグルコシドを90質量%以上含む粉末である。残分は主に水分であるが、その他、不純物として3質量%以下のモノ体を含み、未反応物としての没食子酸含有量は0.15質量%以下である。本品の1質量%水溶液のpHは2.0〜4.0である。
*11:Gluadin WLM(コグニスジャパン社製)。粧配規に準拠した有効成分量が約23質量%の水溶液である。防腐剤として安息香酸ナトリウム0.6質量%、フェノキシエタノール0.5質量%、メチルパラベン0.25質量%、プロピルパラベン0.05質量%を含む。
*12:オリゴGGF(旭化成社製)。D−ガラクトース、D−グルコース、D−フラクトースからなるオリゴ糖。糖蜜から生成結晶化して得られる。
*13:フェリオックス115(ライオン社製)。粧配規に準拠したヒドロキシエタンジホスホン酸の純分の約60質量%の水溶液。表中の値は、ヒドロキシエタンジホスホン酸の純分相当量を記載した。
*14:ファルコレックスBX−46(一丸ファルコス社製)。粧配規のスギナエキス、ホップエキス、マツエキス、レモンエキス、ローズマリーエキスの混合物で1,3−BGと精製水の溶液である。
*15:オクトピロックス(クラリアント社製)。
*16:グリチルリチンK2(丸善製薬社製)粧原基に準拠。
*17:含量99%品を使用。
*18:粧原基に準拠したクエン酸(扶桑化学工業社製)を使用。原料ソースは、雑穀などの植物性原料である。
*19:キノリン イエローWS−G(中央合成化学社製)。
*20:緑色3号(癸巳化成社製)。
*21:赤色106号(癸巳化成社製)。
【0067】
表1及び表2の結果から、実施例1〜5のシャンプー組成物は、前記(A)成分と前記(B)成分とが実質的に一体となった前記パール光沢結晶化物を含み、十分なパール光沢を有し、前記パール光沢結晶化物の分散安定性も優れていることがわかった。更に、実施例1〜5のシャンプー組成物は、使用時に十分な泡立ち性を示し、使用後の仕上がり感触も良好であることがわかった。
【0068】
(比較例4)
実施例1において、前記パール光沢分散液を、前記水溶性ポリマー(C)成分と、前記パール光沢分散液に添加後の残りの界面活性剤(D)と、その他の前記シャンプー組成物の成分とを、前記(A)成分の融点以上の温度である80℃で撹拌溶解して調製した前記混合液に撹拌しながら添加した以外は、実施例1と同様にして比較例4のシャンプー組成物を調製し、パール光沢、及びパール剤分散安定性を評価した。結果を表3に示す。
【0069】
【表3】

【0070】
表3の結果から、前記パール光沢分散液を、前記混合液に添加し攪拌する温度を、前記(A)成分の融点以上の温度とした比較例4のシャンプー組成物は、実施例1のシャンプー組成物と比較して、パール光沢に劣り、長期保存時におけるパール剤の分散安定性にも劣ることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のシャンプー組成物の製造方法は、安定性に優れたパール化剤を、効率よく生成して分散させることができるため、高温や低温条件下の保存においても、安定なパール光沢が持続するシャンプー組成物の製造に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも(A)長鎖脂肪酸グリコールエステル、及び(B)構造式中に疎水基を有する水溶性ポリマーを、前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)の融点以上の温度で混合してなるパール光沢分散液を、
(C)前記(B)とは異なる水溶性ポリマー、及びシャンプー組成物の成分を、前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)の融点未満の温度で混合してなる混合液中に添加し、
前記長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)、及び前記構造式中に疎水基を有する水溶性ポリマー(B)からなるパール光沢結晶化物を生成させることを含むことを特徴とするシャンプー組成物の製造方法。
【請求項2】
構造式中に疎水基を有する水溶性ポリマー(B)が、両性イオン型共重合体である請求項1に記載のシャンプー組成物の製造方法。
【請求項3】
長鎖脂肪酸グリコールエステル(A)、及び構造式中に疎水基を有する水溶性ポリマー(B)からなるパール光沢結晶化物を含有してなり、請求項1から2のいずれかに記載のシャンプー組成物の製造方法により製造されることを特徴とするシャンプー組成物。
【請求項4】
水溶性ポリマー(C)の含有量が、0.01〜3質量%である請求項3に記載のシャンプー組成物。

【公開番号】特開2006−316035(P2006−316035A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143169(P2005−143169)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】