説明

シュードプロリンジペプチド

式[式中、Rは、α−アミノ酸の側鎖であり、Rは、アミノ保護基であり、R及びRは、独立して水素又はC1−4−アルキルより選択されるが、但し、R及びRの両方ともが水素ではなく、Rは、水素又はメチルである]で示されるシュードプロリンジペプチドを、式[式中、R及びRは、上記と同義である]で示されるアミノ酸誘導体から出発して製造する方法が開示される。シュードプロリンジペプチドは、Ser、Thr及びCysに対する可逆的保護基として使用することができることから、ペプチド化学における多用途の手段である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式
【0002】
【化1】


で示される化合物の新規な製造方法に関するものである。
【0003】
式Iで示されるシュードプロリンジペプチドは、Ser、Thr、及びCysに対する可逆的保護基として使用することができ、ペプチド化学の分野におけるいくつかの固有の問題を克服するための多用途の手段であることが判明している[JACS 1996, 118, 9218-9227]。ペプチド配列内でΨProの存在は、分子間凝集の原因として見なされるβシート構造の破壊を招く。結果として生じる溶媒和の増加及びFmoc固相ペプチド合成のようなペプチド組み立てにおけるカップリング動態は、特に「困難な配列」を有するペプチドのための鎖延長を促進する。
【0004】
シュードプロリンジペプチドの合成アプローチは、PCT公報である国際公開公報第2008/000641号に公開されている。式Iで示される化合物の入手は、式
【0005】
【化2】


[式中、R、R、R、R、R及びRは、上記PCT公報に定義されている]で示されるアンモニウム塩中間体を経由して達成される。
【0006】
当技術分野で公知のアプローチの一つの主な欠点は、ジペプチドをそのアンモニウム塩中間体の単離により精製する必要があることであり、それを、閉環前に遊離させてジペプチドにしなければならない。したがって、この合成は、工業規模での応用に適さないことが判明した。
【0007】
本発明の目的は、生成物を高収量で得ることを可能にする、式Iで示されるシュードプロリンジペプチドの簡潔で技術的に実現可能な合成を提供することである。
【0008】
その目的は、下記に概略する方法で達成された。式
【0009】
【化3】


[式中、Rは、α−アミノ酸の側鎖であり、Rは、アミノ保護基であり、R及びRは、独立して水素(但し、R及びRの両方ともが水素ではない)又はC1−4−アルキルより選択され、Rは、水素又はメチルである]で示される化合物の製造方法であって、
a)式
【0010】
【化4】


[式中、R及びRは上記と同義である]
で示されるアミノ酸誘導体を、セリン又はトレオニンと共に、式
【0011】
【化5】


で示されるジペプチドに変換すること(それに関して活性化剤として水溶性カルボジイミドを使用する)、及び
b)酸触媒の存在下で、式
【0012】
【化6】


[式中、R及びRは、独立して水素又はC1−4−アルキルより選択されるが、但し、R及びRの両方ともが水素ではなく、R9a及びR9bは、独立してC1−4−アルキルである]で示される化合物と共に式IIIで示されるジペプチドの閉環を実施すること
を含む。
【0013】
さらに、セリン又はトレオニンは、そのL−型又はD−型のいずれでも、ラセミ体として、又はその異性体の様々な混合物で使用できることが理解される。好ましくは、L−型が使用される。
【0014】
用語「C1−4−アルキル」は、1〜4個の炭素原子の分岐又は直鎖一価飽和脂肪族炭化水素基を表す。この用語は、さらに、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル及びt−ブチルのような基により例示される。
【0015】
置換基Rのために使用される用語「アミノ酸の側鎖」は、特にバリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパラギン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リシン、アルギニン、アスパラギン酸、アラニン、セリン、トレオニン、チロシン、トリプトファン、システイン、グリシン、アミノイソ酪酸及びプロリンより選択されるα−アミノ酸の側鎖を表す。
【0016】
ヒドロキシ基を担持するアミノ酸の側鎖において、そのヒドロキシ基は、下記に定義のヒドロキシ保護基によって場合により保護されている。追加的なアミノ基を担持する側鎖において、そのアミノ基は、下記に定義のアミノ保護基によって場合により保護されている。
【0017】
は、好ましくはバリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、グルタミン、グルタミン酸、リシン、アスパラギン酸、アラニン、セリン、トレオニン、チロシン及びトリプトファンの側鎖を表す。さらに好ましい態様では、Rは、セリン又はトレオニンの側鎖を表す。
【0018】
用語「アミノ保護基」は、アミノ基の反応性を妨げるために慣例的に使用される任意の置換基を表す。適切なアミノ保護基は、Green T., "Protective Groups in Organic Synthesis", Chapter 7, John Wiley and Sons, Inc., 1991, 309-385に記載されている。Rの下に定義された適切なアミノ保護基は、酸性条件に耐えるべきである。好ましくは、Fmoc、Z、Moz、Troc、Teoc又はVoc、さらに好ましくはFmocが使用される。
【0019】
用語「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ基の反応性を妨げるために慣例的に使用される任意の置換基を表す。適切なヒドロキシ保護基は、Green T., "Protective Groups in Organic Synthesis", Chapter 1, John Wiley and Sons, Inc., 1991, 10-142に記載されている。適切なヒドロキシ保護基は、t−ブチル、ベンジル、TBDMS又はTBDPSである。好ましいヒドロキシ保護基は、t−ブチルである。
【0020】
明細書及び特許請求の範囲に使用される略語の意味は、下表に概略する通りである:
【0021】
【表1】

【0022】
工程a)
第1工程a)では、式
【0023】
【化7】


[式中、R及びRは、上記と同義である]
で示されるアミノ酸誘導体をセリン又はトレオニンと共に式
【0024】
【化8】


で示されるジペプチドに変換する(それに関して活性化剤として水溶性カルボジイミドを使用する)。
【0025】
式IIで示されるアミノ酸誘導体は、通常は市販の化合物である。R及びRについての選択に従い、式IIで示される適切なアミノ酸誘導体は、Fmoc−L−Ser(tBu)−OH、又はFmoc−L−Thr(tBu)−OHである。
【0026】
適切な水溶性カルボジイミド活性化剤は、EDC若しくはEAC又はその塩であり、好ましくはEDCの塩酸塩である。
【0027】
通常、水溶性カルボジイミド活性化剤は、HOSu又はHOBtより選択されるさらなる活性化剤と一緒に適用される。
【0028】
好ましい活性化剤は、EDC・HCl/HOSuである。
【0029】
式IIで示されるアミノ酸誘導体1当量に対して、EDCは、普通は1.0〜1.5当量で用いられ、HOSuは、普通は1.0〜1.5当量で用いられる。
【0030】
通常、活性化反応は、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン又はテトラヒドロフラン、好ましくはテトラヒドロフラン及び/又はN,N−ジメチルホルムアミドなどの適切な有機溶媒の存在下で、−10℃〜25℃の温度で行われる。
【0031】
次に、セリン又はトレオニン、好ましくはL−セリン又はL−トレオニンとのカップリングは、無機塩基の存在下で−10℃〜25℃の温度で行うことができる。
【0032】
普通はカップリングは、活性化反応から得られた活性化エステル溶液をセリン又はトレオニン及び無機塩基の水性懸濁液に添加することによって実施される。
【0033】
適切な無機塩基は、リチウム、ナトリウム若しくはカリウムの炭酸塩などの炭酸アルカリ又は水酸化物又はその混合物である。
【0034】
好ましいのは、炭酸リチウム及び/又は水酸化リチウムであり、さらに好ましいのは、炭酸リチウム及び水酸化リチウムの混合物である。
【0035】
無機塩基は、通常、セリン又はトレオニンに対して化学量論比で用いられる。
【0036】
セリン又はトレオニン:式IIに示されるアミノ酸誘導体の比は、普通は、1.5〜4.0:1、好ましくは2.0〜3.0:1の範囲で選択される。
【0037】
反応混合物のpHは、7.5〜9.5の範囲に適宜維持される。
【0038】
変換の完了後に、反応混合物を鉱酸で酸性化する。適切な鉱酸は、硫酸水溶液又はHCl水溶液、好ましくは硫酸水溶液である。
【0039】
式IIIで示されるジペプチドは、当業者に公知の方法に従い単離することができる。本発明の好ましい態様では、式IIIで示されるジペプチドは、それを単離せずに方法工程b)に直接使用される。
【0040】
工程b)
工程b)は、式
【0041】
【化9】


[式中、R、R、R9a及びR9bは、上記と同義である]
で示される化合物と共に式IIIで示されるジペプチドの閉環を酸触媒の存在下で、実施することを必要とする。
【0042】
好ましくは、閉環は、2,2−ジメトキシプロパンと共に実施される。理想的には、式IVで示される化合物は、工程b)で得られたジペプチドに対して6.0〜16.0当量、好ましくは7.0〜12.0当量で使用される。
【0043】
好ましい態様では、2,2−ジメトキシプロパンを反応混合物に連続的に添加され、並行して、発生したメタノールを連続的に留去する。
【0044】
反応温度は、普通は、15℃〜35℃、好ましくは20℃〜30℃の範囲に維持される。
【0045】
適切な酸触媒は、メタンスルホン酸、(+)カンファー−10−スルホン酸、p−トルエンスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸ピリジニウムより選択され、メタンスルホン酸が好ましい。酸触媒は、普通は、工程b)で得られた式IIIで示されるジペプチドに対して、0.05〜0.30当量、好ましくは0.08〜0.15当量で用いられる。
【0046】
理想的には工程b)での変換に適用される有機溶媒は、実質的に水を含まない。適切な溶媒は、トルエン若しくはテトラヒドロフラン又はその混合物である。
【0047】
反応混合物の処理及び式Iで示される目的生成物の単離は、
a)pHを7.0〜9.0の範囲、好ましくは7.5〜8.5の範囲に維持しながら反応混合物を水で抽出すること
b)pHを5.5〜6.0の範囲、好ましくは5.5〜5.7の範囲に維持しながら水相を水不混和性有機溶媒で抽出すること、
c)式Iで示される目的生成物を有機相から単離すること、及び場合により
d)式Iで示される目的生成物を有機溶媒中で結晶化させること
を含む手順を適用しながら実施することができる。
【0048】
処理手順の工程a)におけるpH調整は、一般的な緩衝水溶液、例えば重炭酸ナトリウム水溶液を用いて起こりうるが、工程b)におけるpHは、鉱酸水溶液を使用することによって、例えば硫酸水溶液を用いて調整することができる。
【0049】
水不混和性有機溶媒は、好ましくはトルエンである。
【0050】
工程c)における単離は、普通は、有機溶媒の部分的蒸発により起こり、その後目的生成物は、トルエン、イソプロパノール及びヘプタンの混合物などの適切な有機溶媒中で結晶化させることによりさらに精製することができる。
【0051】
以下の実施例は、本発明を限定せずに例示するものである。
【0052】
実施例
(S,S)−3−[3−tert−ブトキシ−2−(9H−フルオレン−9−イル−メトキシカルボニルアミノ)−プロピオニル]−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−4−カルボン酸の合成
【0053】
【化10】

【0054】
実施例1:
200mLのTHF中の16.1gのN−ヒドロキシスクシンイミド及び40.0gのFmoc−L−Ser(tBu)−OHの溶液を、80mLのDMF及び80mLのTHF中の26.0gの1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩の懸濁液に20℃で30〜60分以内に添加した。結果として得られた混合物を周囲温度で4時間撹拌し、次にそれを、240gの水中の8.75gの水酸化リチウム一水和物、6.1gの炭酸リチウム及び33.2gのL−セリンの予冷(−5℃)懸濁液に30〜45分以内に添加した。結果として得られた混合物を30分以内に室温まで温め、次に、この温度でもう1時間撹拌した。次に、その混合物を−5℃に冷却し、約150gの硫酸(20%水溶液)でpHを8.5から2.0〜2.5に調整した。その二相性混合物を室温まで温め、次に下の水層を分離した。その水層を200mLのトルエンで抽出した。合わせた有機層を150mLのトルエンで希釈し、次に150mLの水で5回洗浄した。トルエン及びTHFを用いた共沸蒸留により、有機層から水を除去した。無水(<0.05%)のトルエン/THF溶液(約500mL)を1.00gのメタンスルホン酸で処理した。その混合物に660mLのトルエン中の100gの2,2−ジメトキシプロパンの溶液を6〜10時間以内に添加した。全体の調合の間に、反応容積を一定(約600mL)に維持しながら揮発性物質を減圧下(80〜30mbar)で20〜28℃の温度で蒸発させて除いた。完全に添加した後に、その混合物を約500mLの最終容積まで濃縮し、次に1.35gのトリエチルアミンで処理した。水(50mL)を添加し、層を分離した。有機層を250gの重炭酸ナトリウム(5%水溶液)で処理した。その二相性混合物(pH約7.5)を35〜40℃に加温し、この温度で30〜45分間撹拌した。層を分離し、有機層を70gの重炭酸ナトリウム(5%水溶液)で3回抽出した。生成物を含有する水層を合わせたものを35〜40℃で360mLのトルエンで処理し、約50gの硫酸(20%水溶液)の滴加によりpHを5.5に調整した。水層を分離し、有機層を50gの水で2回洗浄した。結果として得られた有機層を周囲温度に冷却し、100mLの水で希釈した。数滴の硫酸(20%水溶液)の添加によりpHを4に調整した。下の水層を除去し、有機層を80gの水で2回洗浄した。有機層を乾燥するまで濃縮した。残渣を400mLのイソプロパノールで処理し、結果として得られた溶液を乾燥するまで濃縮した。残渣を90mLのイソプロパノール及び90mLのヘプタンで希釈し、その混合物を50℃に加温し、透明な溶液を実現した。400mLのヘプタンを3〜4時間以内に添加した。次に、その混合物を13〜16時間以内に−10℃に冷却し、結果として得られた懸濁液をこの温度で少なくとも4時間撹拌した。結晶を濾過して取り出し、80mLの予冷ヘプタンで洗浄し、40〜50℃/<30mbarで乾燥させて、無色結晶として31.6g(60%)の(S,S)−3−[3−tert−ブトキシ−2−(9H−フルオレン−9−イル−メトキシカルボニルアミノ)−プロピオニル]−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−4−カルボン酸を得た(HPLCアッセイで99.0%(m/m))。
【0055】
実施例2:
200mLのTHF中の16.1gのN−ヒドロキシスクシンイミド及び40.0gのFmoc−L−Ser(tBu)−OHの溶液を、80mLのDMF及び80mLのTHF中の26.0gの1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩の懸濁液に20℃で30〜60分以内に添加した。結果として得られた混合物を周囲温度で4時間撹拌し、次に、それを270gの水中の8.75g水酸化リチウム一水和物、6.1gの炭酸リチウム及び33.2gのL−セリンの予冷(−5℃)懸濁液に30〜60分以内に添加した。結果として得られた混合物を30分以内に室温まで温め、次に、この温度でもう1時間撹拌した。次に、その混合物を−5℃に冷却し、137gの硫酸(20%水溶液)でpHを2.5に調整した。その二相性混合物を室温まで温め、次に下の水層を分離した。その水層を210mLのトルエンで抽出した。合わせた有機層を100mLのトルエンで希釈し、次に130mLの水で5回洗浄した。トルエン及びTHFを用いた共沸蒸留により有機層から水を除去した。次に、結果として得られたトルエン/THF溶液(約550mL)を1.00gのメタンスルホン酸で処理した。次に、その混合物に1040mLのトルエン中の134gの2,2−ジメトキシプロパンの溶液を8〜10時間以内に添加した。全体の調合の間に、反応容積を一定(約600mL)に維持しながら揮発性物質を減圧下(80〜30mbar)で25〜32℃の温度で蒸発させて除いた。完全に添加した後に、その混合物を約500mLの最終容積まで濃縮した。反応混合物を250gの重炭酸ナトリウム(5%水溶液)で処理した。その二相性混合物を35〜40℃に加温し、この温度で15分間撹拌した。層を分離し、有機層を100gの重炭酸ナトリウム(5%水溶液)で抽出した。生成物を含有する水層を合わせたものをトルエン(150mL)で洗浄した。水層を300mLのトルエンで35〜40℃で処理し、約45gの硫酸(20%水溶液)の滴加によりpHを5.7に調整した。次に水層を分離し、有機層を80gの水で3回洗浄した。結果として得られた、生成物を含有する有機層を80mLの水で処理した。硫酸(20%水溶液)を数滴加えることによりpHを4に調整した。下の水層を除去し、有機層を80gの水で2回洗浄した。有機層を約170mLの残留容積まで濃縮した。その混合物を55〜60℃に加温し、イソプロパノール(15mL)を添加した。結果として得られた透明溶液を300mLのヘプタンで55〜60℃で2〜4時間以内に処理した。結果として得られた懸濁液を10時間以内に0℃に冷却し、この温度で3時間撹拌した。結晶を濾過して取り出し、100mLの予冷したヘプタンで洗浄し、50℃/<30mbarで乾燥させ、無色結晶として33.6g(63%)の(S,S)−3−[3−tert−ブトキシ−2−(9H−フルオレン−9−イル−メトキシカルボニルアミノ)−プロピオニル]−2,2−ジメチル−オキサゾリジン−4−カルボン酸を得た(HPLCアッセイで99.4%(m/m))。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化11】


[式中、Rは、α−アミノ酸の側鎖であり、Rは、アミノ保護基であり、R及びRは、独立して水素(但し、R及びRの両方ともが水素ではない)又はC1−4−アルキルより選択され、Rは、水素又はメチルである]で示される化合物の製造方法であって、
a)式
【化12】


[式中、R及びRは、上記と同義である]で示されるアミノ酸誘導体をセリン又はトレオニンと共に式
【化13】


で示されるジペプチドに変換すること(それに関して活性化剤として水溶性カルボジイミドを使用する)、及び
b)式
【化14】


[式中、R及びRは、独立して水素又はC1−4−アルキルより選択されるが、但し、R及びRの両方ともが水素ではなく、R9a及びR9bは、独立してC1−4−アルキルである]で示される化合物と共に式IIIで示されるジペプチドの閉環を酸触媒の存在下で実施すること
を含む方法。
【請求項2】
が、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパラギン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リシン、アルギニン、アスパラギン酸、アラニン、セリン、トレオニン、チロシン、トリプトファン、システイン、グリシン、アミノイソ酪酸及びプロリンより選択される側鎖であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
が、Fmoc、Z、Moz、Troc、Teoc及びVocより選択されることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
水溶性カルボジイミドが、EDC又はその塩であることを特徴とする、請求項1〜3記載の方法。
【請求項5】
EDC又はその塩が、HOSuと一緒に用いられることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
セリン又はトレオニン:式IIで示されるアミノ酸誘導体の比が、1.5〜4.0:1の範囲より選択されることを特徴とする、請求項1〜5記載の方法。
【請求項7】
工程a)における変換が、無機塩基の存在下で行われることを特徴とする、請求項1〜6記載の方法。
【請求項8】
無機塩基が、アルカリ炭酸塩又はアルカリ水酸化物及びその混合物より選択されることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
工程a)における変換が、7.5〜9.5の範囲のpHで行われることを特徴とする、請求項1〜8記載の方法。
【請求項10】
工程a)における変換が、−10℃〜25℃の範囲の温度で行われることを特徴とする、請求項1〜9記載の方法。
【請求項11】
反応混合物が、工程a)における変換の後に鉱酸で酸性化されることを特徴とする、請求項1〜10記載の方法。
【請求項12】
式IIIで示されるジペプチドが、単離されずに、方法工程b)において直接使用されることを特徴とする、請求項1〜11記載の方法。
【請求項13】
工程b)において閉環に使用される式IVで示される化合物が、2,2−ジメトキシプロパンであることを特徴とする、請求項1〜12記載の方法。
【請求項14】
2,2−ジメトキシプロパンが、反応混合物に連続的に添加され、発生したメタノールを、並行して連続的に留去することを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
工程b)における閉環のための酸触媒が、メタンスルホン酸、(+)カンファー−10−スルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウムより選択されることを特徴とする、請求項1〜14記載の方法。
【請求項16】
工程b)における閉環が、トルエン若しくはテトラヒドロフラン又はその混合物の存在下で実施されることを特徴とする、請求項1〜15記載の方法。
【請求項17】
工程b)における閉環が、15℃〜35℃の範囲の温度で行われることを特徴とする、請求項1〜16記載の方法。
【請求項18】
a)pHを7.0〜9.0の範囲に維持しながら反応混合物を水で抽出すること;
b)pHを5.5〜6.0の範囲に維持しながら水相を水不混和性有機溶媒で抽出すること;
c)有機相から式Iで示される目的生成物を得ること、及び場合により
d)式Iで示される該目的生成物を有機溶媒中で結晶化させること
を含む処理手順により、式Iで示される目的化合物を得ることを特徴とする、請求項1〜17記載の方法。
【請求項19】
水不混和性有機溶媒が、トルエンであることを特徴とする、請求項18記載の方法。
【請求項20】
目的生成物を、トルエン、イソプロパノール及びヘプタンの混合物から結晶化させることを特徴とする、請求項18記載の方法。

【公表番号】特表2012−504154(P2012−504154A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529526(P2011−529526)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062568
【国際公開番号】WO2010/040660
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】