説明

シリカ‐アルミナをベースとする触媒を用いたオレフィン類のオリゴマー化方法

【課題】 燃料、例えばガソリンおよび/または灯油を製造することができるオレフィン類のオリゴマー化方法に関する。
【解決手段】 オレフィンオリゴマー化方法は、5重量%を超えるが95重量%未満のシリカ(SiO)を含むシリカ−アルミナをベースとする非ゼオライト担体を含み、以下の特徴を有する特定のシリカ−アルミナ触媒を採用する。総細孔容積:0.1〜0.6ml/g;BET比表面積:100〜550m/g;140Å超の直径の細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満;160Å超の直径の細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満;200Å超の直径の細孔に含まれる細孔容積:0.1ml;500Å超の直径の細孔に含まれる細孔容積:0.1ml;アルファ、ロー、カイ、エータ、ガンマ、カッパ、テータおよびデルタアルミナからなる群に含まれる少なくとも1種の遷移アルミナの少なくとも主特性ピークを含むX線回折図。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マクロ細孔含有量を低下させたシリカ−アルミナをベースとするオリゴマー化触媒を使用して、炭素原子数2〜8の軽質オレフィン原料油から、とりわけプロピレンおよび/またはブテン類を高い比率で含有する軽質オレフィン原料油から、燃料、例えばガソリンおよび/または灯油を製造することができるオレフィン類のオリゴマー化方法に関する。すでに文献に記載されているシリカ−アルミナタイプの触媒と比較して、本発明の触媒は、上記方法においてより高い活性を示す。
【背景技術】
【0002】
軽質オレフィン類をオリゴマー化してより高い分子量のオレフィン類を製造する方法が、石油精製および石油化学において、軽質オレフィン類をガソリン、灯油または軽油タイプの燃料あるいは溶媒の主成分へと価値を高めるために、広く用いられている。これらのオリゴマー化反応は、触媒、大抵の場合には固体触媒の存在下で行われる。前記のオレフィン類は結合して、二量体、三量体、四量体などになり、オリゴマー化の程度は、使用した触媒のタイプ、温度および圧力の操作条件に依存する。石油精製および石油化学の領域で周知の、同範囲の製造物をもたらす他の方法を超える前記オリゴマー化方法の長所は、得られる化合物類が硫黄を含有せず、かつ、芳香族化合物類をきわめてわずかしか含有しないことにある。しばしば文献に挙げられている固体オリゴマー化触媒は、固体リン酸タイプの触媒(例えば特許文献1および2)、シリカ−アルミナ(例えば特許文献3〜5)、ゼオライト類(例えば特許文献6および7)および、よりわずかではあるが、ヘテロポリアニオン類(例えば特許文献8)である。
【0003】
固体リン酸タイプの触媒は、オリゴマー化において良好な活性を示すが、取扱い、とりわけ排出時の取扱いが困難である。それらがオレフィン類の存在下で塊が大きくなる傾向があるからである。さらに、それらは再生され得ない。ヘテロポリアニオンタイプの触媒では、重合度が限られる。それらの高温度での耐久性が充分でないからである。ゼオライト類は、それらの細孔内での形状選択性のために上記の触媒類よりも枝分れの程度が限られたオリゴマー類を与える。このことは、適切なセタン価を示さなければならない軽油の製造には好都合であるが、例えば良好なオクタン価を示さなければならないガソリンの生産にとってはあまり好都合ではない。最後に、文献に挙げられているシリカ−アルミナタイプの触媒の多孔度は非常に変わりやすく、そのために、その製造物の特性が異なってくる。例えば特許文献5は、プロピレンのオリゴマー化に、シリカ/アルミナのモル比が30/1〜500/1、比表面積が500〜1000m/g、総細孔容積が0.3〜0.6ml/g、平均細孔直径が大きくとも約1nmで、いかなる細孔も3nmを超える直径を示さない非晶質のシリカ−アルミナを使用することを権利として主張している。特許文献4は、Cオレフィン類のオリゴマー化に、シリカの質量含有率が60〜95%、比表面積50〜500m/g、総細孔容積0.4〜0.9mg/gの非晶質シリカ−アルミナであって、X線回折においてアルミナ相を示さないものを使用することを権利として主張している。
【特許文献1】米国特許第2913506号明細書
【特許文献2】米国特許第3661801号明細書
【特許文献3】米国特許第4197185号明細書
【特許文献4】米国特許第4544791号明細書
【特許文献5】欧州特許第0463673号明細書
【特許文献6】米国特許第4642404号明細書
【特許文献7】米国特許第5284989号明細書
【特許文献8】印度国特許第170903号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、マクロ細孔含有量を低下させたシリカ−アルミナをベースとするオリゴマー化触媒を使用して、炭素原子数2〜8の軽質オレフィン原料油から、とりわけプロピレンおよび/またはブテン類を高い比率で含有する軽質オレフィン原料油から、燃料、例えばガソリンおよび/または灯油を製造することができるオレフィン類のオリゴマー化方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のオレフィン類のオリゴマー化方法は、オリゴマー化触媒が、5重量%を超えるが95重量%以下の量のシリカ(SiO)を含有するシリカ−アルミナをベースとする非ゼオライト担体を含み、かつ、次の特性を有するものである。
【0006】
− 水銀ポロシメトリーによって測定された平均細孔直径:20〜140Å
− 水銀ポロシメトリーによって測定された総細孔容積:0.1〜0.6ml/g
− 窒素ポロシメトリーによって測定された総細孔容積:0.1〜0.6ml/g
− BET比表面積:100〜550m/g
− 水銀ポロシメトリーによって測定された、140Åを超える直径を有する細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満
− 水銀ポロシメトリーによって測定された、160Åを超える直径を有する細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満
− 水銀ポロシメトリーによって測定された、200Åを超える直径を有する細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満
− 水銀ポロシメトリーによって測定された、500Åを超える直径を有する細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満、好ましくは0.05ml/g未満、さらに好ましくは0.02ml/g未満、特に好ましくは0.01ml/g未満
− X線回折図が、アルファ、ロー、カイ、エータ、ガンマ、カッパ、シータおよびデルタアルミナからなる群に含まれる少なくとも1種の遷移アルミナの少なくとも主要特性ピークを含んでいる。
【0007】
上記本発明の方法において、前記触媒が次のような細孔分布を有していることが好ましい。
【0008】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、(D平均−30)Å〜(D平均+30)Åの直径を有する細孔に含まれる容積V2の総水銀容積に対する比が0.6を超える
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、(D平均+30)Åを超える直径を有する細孔に含まれる容積V3が0.1ml/g未満である
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、(D平均+15)Åを超える直径を有する細孔に含まれる容積V6が0.2ml/g未満である
上記本発明の方法において、前記触媒のX線回折図が、エータ、シータ、デルタおよびガンマアルミナからなる群に含まれる少なくとも1種の遷移アルミナの少なくとも主特性ピークを含んでいることが好ましい。
【0009】
上記本発明の方法において、前記触媒のX線回折図が、エータおよびガンマアルミナからなる群に含まれる少なくとも1種の遷移アルミナ類の少なくとも主特性ピークを含んでいることが好ましい。
【0010】
上記本発明の方法において、前記触媒担体の陽イオン性不純物の含有量が0.1重量%未満であることが好ましい。
【0011】
上記本発明の方法において、前記触媒担体の陰イオン性不純物含有量が0.5重量%未満であることが好ましい。
【0012】
上記本発明の方法において、前記触媒担体が、蛍光X線により求められるSi/Al比が全体のSi/Al比よりも小さいまたは大きい少なくとも2つのシリカ−アルミナ帯域を含んでいることが好ましい。
【0013】
上記本発明の方法において、前記触媒担体が、蛍光X線により求められるSi/Al比が全体のSi/Al比に等しく、2.3未満の単一のシリカ−アルミナ帯域を含んでいることが好ましい。
【0014】
上記本発明の方法において、前記触媒が、元素の周期表第IVB、VBおよびVIB族ならびに第VIII族第一列の元素のうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素を含有していることが好ましい。
【0015】
上記本発明の方法において、前記触媒が担体表面に担持されたドーパント元素としてケイ素を含有していることが好ましい。
【0016】
上記本発明の方法において、前記オレフィン類が、接触分解装置、水蒸気分解装置、パラフィン脱水素装置、メタノールから水および軽質オレフィンへの重合脱水装置および任意の他の軽質オレフィン源のうちから選ばれた1つ以上の供給源に由来するものであることが好ましい。
【0017】
上記本発明の方法において、オリゴマー化触媒へ送られるオレフィン留分が、オリゴマー化反応器へ導入される前に、水、硫黄含有誘導体、塩基性窒素含有誘導体などの不純物を含まないことが好ましい。
【0018】
上記本発明の方法において、次の工程を包含することが好ましい。
【0019】
・ C4オレフィン留分を、イソブテンの量の90%より多くが二量体および三量体に転化される一方で、n−ブテンの総転化率が10%未満に限定されるオリゴマー化する工程、および、
・ オリゴマー化反応の流出液を蒸留に付して、ブタン、イソブタンおよびオリゴマー化時に反応しなかったブテン類を90重量%超含有する留分(軽質流出液)であって、該留分の少なくとも一部がその後にアルキル化装置または水和装置に供給される、留分と、ガソリン基剤として続いて用いられる得られたオリゴマーによって構成された別の留分とを得る工程。
【0020】
上記本発明の方法において、前記オリゴマー化反応は、30〜300℃の温度、0.1〜20MPaの圧力、0.05〜5h−1の触媒容積当りかつ毎時間当りの炭化水素原料油溶液で行われることが好ましい。
【0021】
上記本発明の方法において、得られたオリゴマー類は、補足のオリゴマー化反応器に再注入されることが好ましい。
【0022】
上記本発明の方法において、軽質オリゴマー化流出液は、水素化異性化反応器に導入されることが好ましい。
【0023】
上記本発明の方法において、前記C4オレフィンまたはC3〜C4オレフィン留分は、原料油中に含まれているブテン類の80%未満が転化され、原料油中に含まれるイソブテンの少なくとも80%が二量体または三量体に転化されるように、オリゴマー化を経ることが好ましい。
【0024】
上記本発明の方法において、前記オリゴマー化反応は、40〜250℃の温度、0.1〜10MPaの圧力、0.05〜5h−1の間の触媒容積当りかつ毎時間当りの炭化水素原料油容積で行われることが好ましい。
【0025】
上記本発明の方法において、イソブテンは、前もってオレフィン原料油から実質的に除去されていることが好ましい。
【0026】
上記本発明の方法において、次の工程を包含することが好ましい。
【0027】
・ 第一のオリゴマー化反応器中でC4またはC3〜C4オレフィン留分が処理される第一のオリゴマー化工程。そこでは、原料油中に含まれるn−ブテンの総転化率は45%未満であり、イソブテンの転化率は80%を超え、得られるオリゴマー類は80%以上が二量体および三量体である;
・ 第一のオリゴマー化工程からの流出液が分留塔へ送入され、イソブテンおよび未転化n−ブテン類を含有する第一の留分と、90%はオリゴマー化反応による二量体および三量体を構成する第二の留分とを回収する
・ 回収された第一の留分が第二のオリゴマー化反応器に導入される第二のオリゴマー化工程。そこでは、n−ブテン類の少なくとも50%が転化される
・ 第二のオリゴマー化工程からの流出液が、第一のオリゴマー化反応器に連結された分留塔または第二の塔へ送入される
上記本発明の方法において、前記オリゴマー化反応は、40〜250℃の温度、0.1〜10MPaの圧力、0.05〜5h−1の触媒容積当りかつ毎時間当りの炭化水素原料油量で行われることが好ましい。
【0028】
上記本発明の方法において、C4オレフィン留分またはC3〜C4オレフィン留分は、1−ブテンの少なくとも90%、2−ブテンの少なくとも80%およびイソブテンの少なくとも97%が転化されるようにオリゴマー化を経ることが好ましい。
【0029】
上記本発明の方法において、前記オリゴマー化反応は、60〜250℃の温度、0.1〜10MPaの圧力、0.05〜5h−1の間の触媒容積当りかつ毎時間当りの炭化水素原料油量で行われることが好ましい。
【0030】
上記本発明の方法において、C3オレフィン留分は、原料油中に含まれているプロピレンの少なくとも80%が転化されるように、オリゴマー化を経ることが好ましい。
【0031】
上記本発明の方法において、前記オリゴマー化反応は、30〜300℃の温度、0.1〜20MPaの圧力、0.05〜5h−1の間の触媒容積当りかつ毎時間当りの炭化水素原料油容積で行われることが好ましい。
【0032】
上記本発明の方法において、オリゴマー化反応器が固定床反応器であることが好ましい。
【0033】
上記本発明の方法において、未転化流出液の少なくとも一部がオリゴマー化反応器へ再循環されることが好ましい。
【0034】
上記本発明の方法において、前記原料油は、他の供給源由来であり、オレフィン原料油と同一の分子量および/またはこれより重い分子量を有する脂肪族または環状のオレフィンを添加することによって希釈されることが好ましい。
【0035】
上記本発明の方法において、出口で得られるオレフィン留分が150℃を超える温度で始まる沸点をもつことが好ましい。
【0036】
上記本発明の方法において、前記得られたオレフィン留分は、次に部分的にまたは完全に水素化されることが好ましい。
【0037】
上記本発明の方法において、水銀圧入法によって測定された触媒の平均細孔直径が40〜120Åであることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下の説明文において、用語「オリゴマー化」は、あるオレフィンの他のオレフィンへの付加反応すべてを意味する。
【0039】
本発明は、特定のシリカ−アルミナ触媒であって、該触媒は、5重量%を超えるが95重量%以下の量のシリカ(SiO)を含有するシリカ−アルミナをベースとする非ゼオライトの担体を含み、下記特性を有する触媒を使用するオレフィン類のオリゴマー化方法に関する:
− 水銀ポロシメトリーによって測定された平均細孔直径:20〜140Å
− 水銀ポロシメトリーによって測定された総細孔容積:0.1〜0.6ml/g
− 窒素ポロシメトリーによって測定された総細孔容積:0.1〜0.6ml/g
− BET比表面積:100〜550m/g
− 水銀ポロシメトリーによって測定された、直径が140Åを超える細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満
− 水銀ポロシメトリーによって測定された、直径が160Åを超える細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満
− 水銀ポロシメトリーによって測定された、直径が200Åを超える細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満
− 水銀ポロシメトリーによって測定された、直径が500Åを超える細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満、好ましくは0.05ml/g未満、さらに好ましくは0.02ml/g未満、特に好ましくは0.01ml/g未満
− X線回折図が、アルファ、ロー、カイ、エータ、ガンマ、カッパ、テータおよびデルタアルミナからなる群に含まれる少なくとも1つの遷移アルミナ類の少なくとも主特性ピークを含んでいる。
【0040】
(オリゴマー化触媒の説明)
(特徴化技術)
以下の本発明の説明において、用語「比表面積」は、定期刊行物「ザ・ジャーナル・オブ・アメリカン・ソサイアティ(The Journal of the American Society)」60,309(1938)に記載されているブルナウア−エメット−テラー(BRUNAUER−EMMETT−TELLER)の方法に基づいて制定されている規格ASTM D3663−78に従って窒素の吸着により測定されたBET比表面積を意味する。
【0041】
以下の本発明の説明において、用語「触媒の水銀容積(mercury volume of catalysts)」は、484ダイン/cmの表面張力および140°の非晶質シリカ−アルミナ触媒に対する接触角を用いる、最大圧力4000バールでの規格ASTM D4284−83に従う水銀ポロシメトリー圧入(mercury porosimetric intrusion)によって測定された容積を意味する。水銀平均直径(mean mercury diameter)は、これに該当する直径未満の直径を有する全細孔が36〜1000Åの細孔容積(VHg)の50%を構成するような直径として定義される。濡れ角度(wetting angle)は、Jean CharpinとBernard Rasneurの著作「Techniques de l’ingenieur,traite analyse et caracterisation」,第1050−5頁の推奨に従い、140°に等しいとみなした。
【0042】
より正確を期すために言えば、以下の本文で示した水銀容積の値(ml/g)は、[{試料について測定された総水銀容積の値(ml/g)}−{30psi(約2バール)に相当する圧力で同じ試料について測定された水銀容積の値(ml/g)}]に相当する。平均水銀直径も、これに該当する直径未満のサイズを有する全細孔が全水銀細孔容積の50%を構成する直径として定義される。
【0043】
細孔分布をよりよく特徴付けるために、最後に、水銀細孔分布特性(mercury pore distribution characteristics)の基準を規定する:容積V1は、直径が(平均直径−30)Åより小さい細孔に含まれる容積に相当する。容積V2は、(平均直径−30)Å以上で、(平均直径+30)Åより小さい直径の細孔に含まれる容積に相当する。容積V3は、(平均直径+30)Å以上の直径の細孔に含まれる容積に相当する。容積V4は、直径が(平均直径−15)Åより小さい細孔に含まれる容積に相当する。容積V5は、(平均直径−15)Å以上で、(平均直径+15)Åよりは小さい直径の細孔に含まれる容積に相当する。容積V6は、(平均直径+15)Å以上の直径の細孔に含まれる容積に相当する。
【0044】
窒素の吸着によって測定された細孔分布は、バレット−ジョイナー−ハレンダ(Barrett−Joyner−Halenda)(BJH)モデルによって測定される。BJHモデルによる窒素の吸着−脱着等温線は、E.P.Barrett、L.G.JoynerおよびP.P.Halendaにより定期刊行物「The Journal of the American Society」73、373(1951)に記載されている。本発明の以下の説明において、用語「窒素吸着容積(nitrogen adsorption volume)」は、窒素が全ての細孔を満たしたと認められる圧力であるP/P=0.99に対して測定された容積を意味する。平均窒素脱着直径(mean nitrogen desorption diameter)は、これに該当する直径に満たない細孔の全てが窒素等温線の脱着分岐上で測定された細孔容積(Vp)の50%を構成するような直径として定義される。
【0045】
用語「吸着表面積(surface adsorption)」は、吸着等温線の分枝上で測定された表面積を意味する。たとえば、A.Leclouxの「Memoires de la Societe Royale des Sciences de Liege」,6thseries,volume1,section4,pp169-209(1971)の論文参照。
【0046】
ナトリウムの含有量は、原子吸光分析によって測定された。
【0047】
X線回折は、本発明の触媒の特性決定に使用され得る技術である。以下の説明において、X線分析は、粉体について、反射モードで動作し、バックモノクロメーターを備えたPhilips PW1830回折計により、CoKアルファ線(λKα1=1.7890Å、λIKα2=1.793Å、強度比Kα1/Kα2=0.5)を用いて実施された。ガンマアルミナのX線回折図については、ICDDデータベースのナンバー10−0425が参照される。特記すれば、2つの最も強いピークが、1.30〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdに相当する位置にある。用語「d」は、角位置からブラッグの関係式(2d(hkl)・sin(θ)=n・λ)を用いて導かれる格子面間隔である。用語「ガンマアルミナ」は、以下の説明文において、とりわけ、例えば、立方晶系ガンマ、プソイド立方晶系ガンマ、正方晶系ガンマ、結晶化が不完全またはわずかなガンマ、大表面積のガンマ、小表面積のガンマ、嵩高ベーマイト由来のガンマ、結晶ベーマイト由来のガンマ、結晶化が不完全またはわずかなベーマイトに由来するガンマ、結晶ベーマイトと非晶質ゲルとの混合物に由来するガンマ、非晶質ゲル由来のガンマ、デルタへ移行中のガンマの各アルミナからなる群に含まれるアルミナを意味する。エータ、デルタおよびテータアルミナの回折ピークについては、B.C.Lippens、J.J.Steggerdaによる論文「Physical and Chemical Aspects of Adsorbents and Catalysts」,E.G.Linsen)編,Academic Press,London,1970年、p171-211が参照される。
【0048】
本発明の触媒の場合、X線回折図は、非晶質シリカの存在に特徴的なブロードピークを示す。
【0049】
さらに、以下の説明文の全体において、アルミナ化合物は、XRD技術によっては検出が困難な非晶質フラクションを含んでもよい。それゆえ、以後は、本説明文において使用されるまたは記載されるアルミナ化合物類は、非晶質または低結晶性のフラクションを含有し得ることを暗に意味している。
【0050】
本発明の触媒類を、ブリューカー(Brueker)社のMSL400タイプ分光計を用い、4mmプローブで、固体27Al MAS NMRにより分析した。試料の回転速度は約11kHzである。可能性として、アルミニウムのNMRは、以下のケミカルシフトを有する3タイプのアルミニウムを区別することができる:
− 100〜40ppm、4配位タイプのアルミニウムAlIV
− 40〜20ppm、5配位タイプのアルミニウムAl
− 20〜−100ppm、6配位タイプのアルミニウムAlVI
【0051】
アルミニウム原子は、四極核である。特定の分析条件(弱い無線周波数場:30kHz、小さい衝撃角:π/2および水飽和試料)下で、マジックアングルスピニング(magic angle spinning:MAS)NMR技術は定量的技術である。MAS NMRスペクトルの分解により、異なる種の量に関する情報を直接得ることが可能になる。スペクトルは、1Mの硝酸アルミニウム溶液に対するケミカルシフトとして固定される。アルミニウムのシグナルは0ppmである。AlIVおよびAlについて100〜20ppmのシグナルを積分することとした。これは面積1に相当する。AlVIについては20〜−100ppmのシグナルを積分することとした。これは面積2に相当する。本発明の以下の説明において、用語「八面体AlVIの割合」は、面積2/(面積1+面積2)の比を意味する。
【0052】
本発明の触媒の特性を求める使用可能な一方法は、透過型電子顕微鏡(transmission electron microscopy:TEM)法である。このためには、X線解析用のエネルギー分散分光計(energy dispersion spectrometer:EDS)(例えばTracorまたはEdax)を備えた電子顕微鏡(JEOL2010タイプまたはPhilips Tecnai20Fタイプ、場合により走査型)を用いる。EDS検出器は、軽い元素を検出できなければならない。これら2つの手段、TEMとEDS組合せは、良好な空間分解能で、画像取得と局所的化学分析を組み合わせることができる。
【0053】
このタイプの分析の場合、試料を乳鉢中で微細に乾式粉砕し、次に、この粉体を樹脂に含ませて、厚さ約70nmの極薄の切片を作製する。これらの切片を、担体として機能する穴が空けられた非晶質炭素膜で被覆された銅製金網上に採取する。次に、それらを顕微鏡に導入し、高真空下に観測および分析を行う。その場合、画像において、試料帯域と樹脂帯域の区別が容易である。次に、工業製品試料の異なる帯域について、所定回数、最低10回、好ましくは15〜30回の分析を行う。それらの帯域を分析するための電子ビームのサイズ(分析される帯域のサイズをほぼ決定する)は、最大で直径50nm、好ましくは20nm、より好ましくは直径10、5、2または1nmである。走査モードでは、分析される帯域は、走査される帯域のサイズによってきまり、通常より小さいビームのサイズにはよらない。
【0054】
EDS分光計によって集められたX線スペクトルの半定量的処理によって、各分析対象帯域についてAlとSiとの相対濃度(原子%)およびSi/Alの比を得ることができる。それゆえ、この測定群の平均Si/Alおよび標準偏差σを計算できる。以下の本発明の説明に限定されない例において、50nmのプローブが、別途断らない限り、本発明の触媒の特性を求めるために用いられた。
【0055】
圧縮充填密度(settled packing density:SPD)は、J.F.Le Page、J.Cosyns、P.Courty、E.Freund、J-P.Franck、Y.Jaguin、C.Marcilly、G.Martino、J.Miquel、R.Montarnal、A.Sugler、H.van Landeghemの著作である「Applied Heterogeneous Catalsysis」,Technip、Paris,1987に記載されているようにして、測定される。適当な目盛つきシリンダーに順次充填して一杯にし、2回の順次の充填の間にシリンダーを揺り動かして体積が一定になるまで触媒を詰め込む。この測定は、通常、直径に対する高さの比が5:1に近いシリンダーに詰め込まれた触媒1000cmについて行われる。この測定は、好ましくは、Quantachrome(登録商標)により市販されているAutotap(登録商標)などの自動化装置で実施される。
【0056】
マトリクスの酸性度は、IRによって測定される。IRスペクトルは、Nicolet Nexus−670タイプの干渉計により、ハップ−ゲンゼルタイプのアポダイゼーションを利用し、分解能4cm−1で記録される。試料(20mg)を自立性ペレットの形に圧縮し、原位置分析セル(in situ analytical cell)に入れた(25〜550℃、IRビームからオフセットされたオーブン、10−6ミリバールの高真空)。ペレットの直径は16mmである。
【0057】
試料を、下記のようにして前処理して、物理的に吸着された水を除去し、触媒の表面を部分的に脱水酸化して、作用中の触媒の酸性度を示す画像を得る:
− 25℃から300℃まで3時間かけて昇温
− 300℃で10時間保持
− 温度を300℃から25℃まで3時間かけて降下。
【0058】
次に、塩基性のプローブ(ピリジン)を25℃、飽和圧力で吸着させ、次いで、下記の諸段階に従って熱脱着させる:
− 高真空下に25℃で2時間
− 高真空下に100℃で1時間
− 高真空下に200℃で1時間
− 高真空下に300℃で1時間。
【0059】
前処理終了時および各脱着段階ごとに25℃で、累積時間を100秒とし、透過モードでスペクトルを記録する。それらのスペクトルを等質量(それゆえ同じ厚みであると仮定される)(精密には20mg)に置き直す。ルイス点の数は、すべての肩部を含めて、極大が1450cm−1付近にあるピークの表面積に比例する。ブレンステッド点の数は、極大が1545cm−1付近にあるピークの表面積に比例する。ブレンステッド点の数/ルイス点の数の比を、上記の2つのピークの表面積の比に等しいと考える。一般に25℃でのそれらピークの面積を利用する。この比B/Lは、一般に、前処理終了時に25℃で記録されたスペクトルから算出される。
【0060】
(オレフィンオリゴマー化触媒の特性)
本発明の方法で使用される触媒は、シリカ−アルミナをベースとし(すなわち、シリカおよびアルミナを含む)、以下の特性をもった非ゼオライト触媒である:
− シリカ(SiO)の質量含有量が5重量%を超え、95重量%以下、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20重量%を超え、80重量%未満、さらに好ましくは25重量%を超え、75重量%未満である。シリカ含有量は、有利には10〜50重量%である。
【0061】
− 陽イオン性不純物の含有量が通常0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.025重量%未満である。用語「陽イオン性不純物」は、全アルカリ性化合物含有量を意味する。
【0062】
− 陰イオン性不純物の含有量が通常1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満である。
【0063】
本発明の方法で使用されるシリカ−アルミナは、好ましくはミクロメートルレベルで均一なシリカ−アルミナであり、陽イオン性不純物(例えばNa)の含有量が0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.025重量%未満であり、陰イオン性不純物(例えばSO2−またはCl)の含有量が1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満である。
【0064】
かくして、ミクロメートルレベルで均一なシリカ−アルミナをもたらし、陽イオン性不純物(例えばNa)の含有量が全体として0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.025重量%未満であり、陰イオン性不純物(例えばSO2−またはCl)が全体として1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満の含有量である、当業者に既知のすべてのシリカ−アルミナ合成法が、本発明の対象である触媒の製造に適している。
【0065】
本発明のオリゴマー化方法に用いられる触媒は、以下の特徴を有している。
【0066】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された触媒の平均細孔直径:20〜140Å、好ましくは40〜120Å、より好ましくは50〜100Å
− 水銀ポロシメトリーにより測定され、(D平均−30)Å〜(D平均+30)Åである容積V2の水銀ポロシメトリーにより同様に測定された総細孔容積に対する比が好ましくは0.6を超え、より好ましくは0.7を超え、一層より好ましくは0.8を超える。
【0067】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、直径が(D平均+30)Åを超える細孔中に含まれる容積V3が好ましくは0.1ml/g未満、より好ましくは0.06ml/g未満、一層より好ましくは0.04ml/g未満である。
【0068】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、(D平均−15)Å〜(D平均+15)Åの容積V5と水銀ポロシメトリーにより測定された(D平均−30)Å〜(D平均+30)Åの容積V2との比が好ましくは0.6を超え、より好ましくは0.7を超え、一層より好ましくは0.8を超える。
【0069】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、直径が(D平均+15)Åを超える細孔に含まれる容積V6が好ましくは0.2ml/g未満、より好ましくは0.1ml/g未満、一層より好ましくは0.05ml/g未満である。
【0070】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された総細孔容積が0.1〜0.6ml/g、好ましくは0.20〜0.50ml/gである。
【0071】
− 窒素ポロシメトリーにより測定された総細孔容積が0.1〜0.6ml/g、より好ましくは0.20ml/g〜0.50ml/gの間である。
【0072】
− BET比表面積が100〜550m/g、好ましくは150〜500m/gである。
【0073】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、直径が140Åを超える細孔に含まれる細孔容積が0.1ml/g未満、好ましくは0.05ml/g未満、より好ましくは0.03ml/g未満である。
【0074】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、直径が160Åを超える細孔に含まれる細孔容積が0.1ml/g未満、好ましくは0.05ml/g未満、より好ましくは0.025ml/g未満である。
【0075】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、直径が200Åを超える細孔に含まれる細孔容積が0.1ml/g未満、好ましくは0.05ml/g未満、より好ましくは0.025ml/g未満である。
【0076】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、直径が500Åを超える細孔に含まれる細孔容積が0.1ml/g未満、好ましくは0.05ml/g未満、より好ましくは0.02ml/g未満、一層より好ましくは0.01ml/g未満である。
【0077】
− X線回折図が、ロー、カイ、カッパ、エータ、ガンマ、テータおよびデルタアルミナからなる群に含まれる少なくとも1種の遷移アルミナ類の少なくとも主特性ピークを含んでおり、好ましくはガンマ、エータ、テータおよびデルタアルミナからなる群に含まれる少なくとも1種の遷移アルミナ類の少なくとも主特性ピークを含んでおり、より好ましくはガンマおよびエータアルミナの少なくとも主特性ピークを含んでおり、さらにより好ましくはX線回折図が1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含んでいる。
【0078】
触媒の固体27Al MAS NMRスペクトルは、2つの別個のピークブロックを示す。10ppm付近で共鳴する極大をもつ第一のタイプのアルミニウムは、−100〜20ppmに及んでいる。極大の位置は、これらの種が本質的にAlVIタイプ(八面体)のものであることを示唆している。極大が60ppm付近で共鳴する第二の小さいタイプのアルミニウムは、20〜110ppmに及んでいる。これは、少なくとも2つの種に分解され得る。このブロックの主要な種は、AlIV原子(四面体)に対応する。本発明の方法で使用される触媒の場合、八面体AlVIの割合は有利には50%を超え、好ましくは60%を超え、より好ましくは70%を超える。
【0079】
本発明の一実施態様では、当該触媒は少なくとも2つのシリカ−アルミナ帯域を含み、それらの帯域のSi/Al比は、蛍光X線により求められた総Si/Al比より低いかまたはより高い。このため、Si/Al比が0.5に等しい触媒は、例えば、2つのシリカ−アルミナ帯域を有し、それら帯域の一方はTEMによって求められたSi/Al比が0.5未満であり、他方の帯域はTEMにより求められたSi/Al比が0.5〜2.5である。
【0080】
本発明の他の一実施態様においては、触媒は単一のシリカ−アルミナ帯域を有し、その帯域のSi/Al比は、蛍光X線により求められた総Si/Al比に等しく、6未満である。
【0081】
本発明の方法に使用される触媒の酸性度は、有利には、ピリジンの熱脱着のIRモニタリングによって測定されてもよいが、このことは本発明の範囲を限定するものではない。上記のような本発明の方法で使用される触媒のB/L比は、一般的には0.05〜6であり、好ましくは0.5〜2である。
【0082】
前記触媒は、場合により元素の周期表の第IVB族(例えばチタン、ジルコニウム、ハフニウム)、第VB族(例えばバナジウム、ニオブ、タンタル)、第VI族(例えばクロム、モリブデン、タングステン)ならびに第VIII族第一列(Fe、Co、Ni)のうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素を含有してもよい。
【0083】
これらの金属の含有量は、最終の触媒重量の10%に達し得る。
【0084】
前記触媒はまた、場合により、担体表面に担持されたドーパント元素としてのケイ素を含有し得る。
【0085】
(本発明の方法で使用されるシリカ−アルミナ触媒の製造方法)
本出願人が見出したことは、いずれかの工程において、酸性媒体に部分的に可溶なアルミナ化合物を完全に可溶なシリカ化合物あるいは完全に可溶なアルミナおよびシリカ水和物の組合せと混合し、次いで、形状化し、続いて、水熱または加熱処理してそれをミクロメートルスケールで、さらにはナノメートルスケールで均質化することによって得られたシリカ−アルミナ触媒が、本発明のオリゴマー化方法において特に活性な触媒を製造することできることである。本出願人によって用いられるような用語「酸性媒体に部分的に可溶な」は、完全に可溶なシリカ化合物あるいはその組合せを添加する前に、前記アルミナ化合物を酸性溶液、例えば硝酸または硫酸と接触させると、その部分的溶解が惹起されることを意味する。
【0086】
(シリカ源)
本発明に従って使用されたシリカ化合物は、ケイ酸、ケイ酸塩類、水溶性アルカリケイ酸塩類、陽イオン性ケイ素塩類、例えばメタケイ酸ナトリウム水和物、アンモニア性またはアルカリ性形態のLudox(登録商標)、ケイ酸第四級アンモニウム塩類から形成された群から選択され得る。シリカゾルは、当業者に既知の方法のいずれかに従って製造され得る。好ましくは、水溶性アルカリケイ酸塩から、樹脂上でのイオン交換によって、脱陽イオンしたオルトケイ酸の溶液が製造される。
【0087】
(完全に可溶なシリカ−アルミナ源)
本発明に使用される完全に可溶なシリカ−アルミナ水和物は、制御された定常的操作条件(pH、濃度、温度、平均滞留時間)の下で、ケイ素、例えばケイ酸ナトリウムの形態を、場合により、例えばアルミン酸ナトリウムの形態のアルミニウムと共に、少なくとも1種のアルミニウム塩、例えば硫酸を含有する酸性溶液とを含有する塩基性溶液と少なくとも1種のアルミニウム塩、たとえば硫酸アルミニウムを含有する酸性溶液と反応させることによる適正な共沈殿によって製造され得る。場合により、少なくとも1種の炭酸塩あるいはCOが反応媒体に加えられてもよい。
【0088】
本出願人によって用いられるような用語「適正な共沈殿」は、上記の塩基性媒体あるいは酸性媒体に完全に可溶な少なくとも1種のアルミニウム化合物および上記の少なくとも1種のケイ素化合物が、同時または順次に、少なくとも1種の沈殿剤化合物および/または共沈殿剤化合物の存在下に接触されて、シリカ−アルミナ水和物によって実質的に構成される混合相を得て、場合により、激しい攪拌、剪断、コロイドミル粉砕またはこれら個々の操作の組合せによって均一化される方法を意味する。例えば、これらのシリカ−アルミナ水和物は、米国特許第2908635号、米国特許第3423332号、米国特許第3433747号、米国特許第3451947号、米国特許第3629152号および米国特許第3650988号に記載されたようにして製造され得る。
【0089】
前記シリカ化合物またはその組合せの完全溶解は、以下の方法により近似的に評価される。一定量(15g)のシリカ化合物またはその組合せ水和物が、前もって設定したpHの媒質中へ導入される。好ましくは、懸濁液1リットル当りの固体の濃度は、0.2モル/リットルである。分散液のpHは少なくとも12であり、これはアルカリ性源を使用して得られてもよい。好ましくは、NaOHが有利に用いられる。次に、この混合物は、解膠タービン攪拌機によって、800rpmで30分間、機械的に攪拌される。攪拌が終ると、混合物は3000rpmで10分間遠心分離される。ケークが上澄み液から分離される。溶液は、細孔サイズが4であり直径が19cmであるフィルターを通してろ過される。次に、乾燥が行われ、続いて2つの画分を1000℃で焼成する。に、デカンテーションされた質量を懸濁液中の固体の質量で除算することによって比Rが決定される。用語「完全に可溶な」は、少なくとも0.9の比Rに適用される。
【0090】
(アルミナ源)
本発明に使用されるアルミナ化合物は、酸性媒体に部分的に可溶である。それらは、一般式Al・nHOのアルミナ化合物の群のうちから全部または一部が選ばれる。とりわけ、水和されたアルミナ化合物、例えば、ハイドラギライト(hydrargillite)、ギブサイト(gibbsite)、バイヤアイト(bayerite)、ベーマイト(boehmite)、擬ベーマイト(pseudo-boehmite)および非晶質または実質的非晶質のアルミナゲルが用いられ得る。これら化合物の脱水された形態であって、遷移アルミナによって構成され、結晶構造の構成により互いに実質的に区別されるロー、カイ、エータ、ガンマ、カッパ、テータおよびデルタからなる群に含まれる少なくとも1つの相を含むものを使用することも可能である。一般にコランダム(corundum)と称されるアルファアルミナが、本発明の触媒中にわずかな割合で混入されてもよい。
【0091】
この部分的溶解特性は、本発明の重要な性質であり、ケイ素の全部または一部を含む化合物のあらゆる添加の前の、水和されたアルミナ粉体、噴霧乾燥されて水和されたアルミナ粉体、水和されたアルミナの分散液または懸濁液、またはこれらの任意の組合せに当てはまる。
【0092】
アルミナ化合物の部分的溶解は、以下のように評価される。粉体状アルミナ化合物または懸濁状アルミナ化合物の正確な量が、前もって設定されたpHで媒体に導入される。次に、混合物は機械的に攪拌される。攪拌が終わると、混合物は、攪拌せずに24時間放置される。好ましくは、懸濁液1リットル当りの固体Alの濃度は、0.5モル/リットルである。分散液のpHは2であり、HNOまたはHClまたはHClOのいずれかを用いることによって得られる。好ましくはHNOが用いられる。沈降したフラクションおよび溶解したフラクションの分配が、UV吸収によりアルミニウムを定量することによって追跡される。上澄みが限外ろ過され(ポリエーテルスルホン膜、Millipore NMWL 30000)、濃酸中に溶解された。上澄み中のアルミニウムの量は、沈降しなかったアルミナ化合物および溶解したアルミニウムに相当し、限外ろ過されたフラクションは、単に溶解されたアルミニウムに相当する。沈降された粒子の量は、分散液中のアルミニウムの理論濃度(導入された固体がすべて分散されると仮定)および実際に分散されたベーマイトおよび溶液中のアルミニウムの量から導き出される。
【0093】
それゆえ、本発明に使用されるアルミナ前駆体は、適正な共沈殿の場合に使用され、酸性媒体に全体的に可溶なもの:陽イオン性アルミナ塩、例えば、硝酸アルミニウムとは区別される。本発明の方法は、適正な共沈殿とは区別される。なぜなら、要素の一つ、この場合にはアルミニウム化合物が、部分的に可溶であるからである。
【0094】
アルミナを利用する場合、一般式Al・nHOのすべてのアルミナ化合物が使用され得る。その比表面積は150〜600m/gである。とりわけ、水和アルミナ化合物、例えば、ハイドラギライト、ギブサイト、バイヤアイト、ベーマイト、擬ベーマイトまたは非晶質あるいは実質的に非晶質のアルミナゲルを使用することが可能である。これらの化合物の脱水された形態であって、遷移アルミナによって構成され、結晶構造が実質的に異なるロー、カイ、エータ、ガンマ、カッパ、テータ、デルタおよびアルファからなる群の少なくとも1つの相を含むものを使用することも可能である。熱処理時、これらの異なる形態は、処理の操作条件に応じて複雑な配列内で相互変換し得る。コランダムとして一般的に知られる少量のアルファアルミナを使用することも可能である。
【0095】
より好ましくは、使用されるアルミナ水和物Al・nHOはベーマイト、擬ベーマイトまたは非晶質あるいは実質的に非晶質のアルミナゲルである。任意の組合せでのこれらの製造物の混合物も使用され得る。
【0096】
ベーマイトは、一般に、式Al・nHOのアルミナ一水和物として記述され、種々の水和の程度および組織を有する広範な材料を包含し、これらの区別は、不明瞭であるかもしれないが、最も水和されたゼラチン様ベーマイトでは、nは2より大きいかもしれず、擬ベーマイトまたは微結晶ベーマイトでは、nは1〜2であり、結晶性ベーマイトおよび十分に結晶化されて大きい結晶となった最終的なベーマイトでは、nは1付近である。アルミナ一水和物の形態は、2つの限定的な形態である針状および柱状の間で幅広く変動してもよい。2つの形態の間で全体的に連続する種々の形態:鎖型、舟形、絡合小板状が使用され得る。
【0097】
このように、アルミナ水和物の製造および/または成形は、これらの触媒の製造の第一工程を構成し得る。多くの特許が、アルミニウム一水和物由来から遷移アルミナをベースとする担体を製造および/または成形することに関連する:米国特許第3520654号、米国特許第3630670号、米国特許第3864461号、米国特許第4154812号、米国特許第4313923号、独国特許DE3243193号および米国特許第4371513号。
【0098】
比較的に純粋なアルミナ水和物が、粉体の形態で使用されてもよく、これは、非晶質または結晶質、または、非晶質部分を含む結晶であってもよい。アルミナ水和物はまた、水性懸濁液または分散液の形態で導入されてもよい。本発明によって採用される水性アルミナ水和物懸濁液または分散液は、ゲル化または凝固されることが可能であってもよい。水性分散液または懸濁液はまた、当業者に周知のように、水または酸性化された水中でアルミナ水和物を解膠することによって得られてもよい。
【0099】
アルミナ水和物の分散液は、当業者に既知のあらゆる方法によって、すなわち、「バッチ式」反応器、連続式混合機、混練機、コロイドミルの中で、作製されてもよい。かかる混合物はまた、ピストン流反応器(plug flow reactor)中でも、とりわけスタティックミキサー中で作製されてもよい。ライトニン(Lightnin)反応器を挙げることができる。
【0100】
さらに、アルミナ源は、分散度を改善し得る処理を予め経たアルミナであってもよい。例えば、予備的均質化処理によってアルミナ源の分散を改善することが可能である。用語「均質化」は、以下の説明文に記載された均質化処理の一つを意味する。
【0101】
使用されてもよいアルミナの水性分散液または懸濁液は、とりわけ、コロイド領域の大きさをもつ粒子からなる微細なまたは超微細なベーマイトの水性分散液または懸濁液である。
【0102】
本発明に従って使用される微細なまたは超微細なベーマイトは、とりわけ、仏国特許1261182号および仏国特許1381282号または欧州特許出願EP0015196に従って得られてもよい。
【0103】
擬ベーマイト、非晶質アルミナゲル、水酸化アルミナゲルまたは超微細ハイドラギライトから得られた水性懸濁液または分散液を使用することも可能である。
【0104】
前記アルミニウム一水和物は、とりわけサソール(SASOL)社から市販されているPURAL(登録商標)、CATAPAL(登録商標)、DISPERAL(登録商標)、DISPAL(登録商標)あるいはアルコア(ALCOA)社から市販されているHIQ(登録商標)などの種々の市販のアルミナ源のうちから購入されてもよく、あるいは当業者に既知の方法が使用されてもよく、常法によりアルミニウム三水和物の部分脱水によって製造されてもよく、あるいは、沈殿法によって製造されてもよい。これらのアルミナがゲルの形態を呈している場合には、それらは、水または酸性化された水によって解膠される。沈殿法では、酸源は、例えば、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムおよび硝酸アルミニウムの化合物の少なくとも1種であってよい。塩基性のアルミニウム源は、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウムなどの塩基性アルミニウム塩のうちから選択されてもよい。
【0105】
使用されてもよい沈殿剤の例は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムおよびアンモニア水である。それらの沈殿剤は、本発明に従ったアルミナ源とそれらの剤が同時に沈殿するように選択される。
【0106】
出発のアルミナをベースとする化合物の酸性または塩基性に応じて、例えば塩酸、硫酸、水酸化ナトリウムまたは上に挙げたような塩基性または酸性のアルミニウム化合物のうちから選択された塩基または酸によってアルミニウム水和物が沈殿される。それら2つの試薬は、硫酸アルミニウムとアルミン酸ナトリウムであってよい。例えば、硫酸アルミニウムとアルミン酸ナトリウムを用いるアルファ−アルミニウム一水和物の製造が、米国特許第4154812号に記載されている。
【0107】
前記擬ベーマイトは、とりわけ、米国特許第3630670号に記載されている方法に従って、アルカリアルミン酸塩の溶液を鉱酸の溶液と反応させて製造されてもよい。前記擬ベーマイトは、米国特許第3630670号に記載されている方法に従って、アルカリアルミン酸塩の溶液を鉱酸の溶液と反応させて製造されてもよい。それはまた、仏国特許第1357830号に記載されているようにして製造されてもよい。
【0108】
前記非晶質アルミナゲルは、とりわけ、論文「Alcoa Paper No.19(1972)」,p9〜12に記載されている方法に従い、とりわけアルミン酸またはアルミニウム塩を反応させること、アルミニウムアルコラートを加水分解すること、あるいは塩基性アルミニウム塩を加水分解することによって製造されてもよい。
【0109】
前記水酸化アルミニウムゲルは、とりわけ、米国特許第3268295号および米国特許第3245919号に記載されている方法に従って調製されたものであってよい。
【0110】
前記水酸化アルミニウムゲルはまた、とりわけ、国際公開00/01617に記載された方法に従い、酸性アルミニウム源と塩基または塩基性アルミニウム源と酸とを混合してアルミナ一水和物を沈殿させることにより製造されたものであってよく、後続工程は次の通りである:
2.熟成、
3.ろ過
4.洗浄および
5.乾燥。
【0111】
そして、それらの方法は、工程1の混合が、逆混合なしで行われることを特徴とする。
【0112】
前記超微細ハイドラギライトは、とりわけ、米国特許第1371808号に記載された方法に従い、周囲温度〜60℃に、ケークの形態にあり、Alの分子式で表現されるアルミナに対して0.1の1価の酸イオンを含むアルミナゲルを加熱することによって製造されてもよい。
【0113】
アルミン酸アルカリが無水炭酸と反応されて非晶質ヒドロキシ炭酸アルミニウムの沈殿を形成し、ろ過することにより得られた沈殿を分離し、次いで、これを洗浄する方法を用いて製造された超純粋ベーマイトまたは擬ベーマイトの水性懸濁液または分散液を使用することも可能である(この方法は、米国特許第3266295号に記載されている)。
【0114】
次に、
a)第一工程で、洗浄された非晶質ヒドロキシ炭酸アルミニウムの沈殿が酸、塩基または塩の溶液またはこれらの混合物と混合される。この混合は、ヒドロキシ炭酸塩上に溶液を注ぐことによって行われ、このように構成された媒体のpHは11未満である。
【0115】
b)第二工程では、反応混合物が90℃未満の温度に少なくとも5分間加熱される。
【0116】
c)第三工程では、第二工程で得られた媒体が90〜250℃の温度で加熱される。
【0117】
この方法によって得られたベーマイトまたは擬ベーマイトの分散液または懸濁液のアルカリ含有量は、アルカリ金属酸化物/Alの比の形で表されて0.005%未満である。
【0118】
きわめて純粋な触媒担体が製造されるべき場合には、上記の方法に従って得られたべーマイトまたは擬ベーマイトの超純粋懸濁液または分散液または米国特許第2892858号に記載されたタイプの方法を用いるアルミニウムアルコラートが好ましくは用いられる。
【0119】
ここで、アルミニウムアルコラートまたはアルコキシドの加水分解によってアルコールを製造する(チーグラー(Ziegler))際の副生成物として得られるこのようなベーマイト型の水酸化アルミニウムゲルを製造する製造方法を要約する。チーグラーのアルコール合成反応は、とりわけ米国特許第2892858に記載されている。この方法に従えば、アルミニウム、水素およびエチレンからトリエチルアルミニウムが最初に製造され、この反応は、トリエチルアルミニウムの部分的な再循環を伴う2工程で行われる。
【0120】
重合工程でエチレンが加えられ、次いで、得られた生成物は、アルミニウムアルコラートに酸化され、加水分解によってアルコールが得られる。
【0121】
前記水酸化アルミニウムゲルは、米国特許第4676928および米国特許第6030599号に記載された方法に従って製造されたものであってもよい。
【0122】
チーグラー反応の副生成物として得られる水和アルミナが、とりわけCONOCOの1971年1月19日付け報告書中に記載されている。
【0123】
アルミナ源を構成するアルミナ粒子の大きさは、広い範囲内で変動し得る。それらは、一般には、1〜100ミクロンである。
【0124】
(触媒製造方法)
本発明の方法で使用される触媒は、有利には、下記方法のいずれかによって製造されてもよい。
【0125】
例えば、本発明のシリカ−アルミナを製造する一方法は、水溶性ケイ酸アルカリからイオン交換により脱陽イオンされたオルトケイ酸(HSiO・HO)溶液を製造する工程と、次に、これを、溶液中の陽イオン性アルミニウム塩、例えば硝酸塩の溶液およびアンモニア水に、制御された操作条件下に同時に加えるか、または、オルトケイ酸溶液を溶液中の陽イオン性アルミニウム塩に加える工程と、制御された操作条件下にアンモニアを用いて得られた溶液を共沈殿させて、均質な生成物を得る工程とからなる。このシリカ−アルミナのヒドロゲルは、アルミニウム水和物の粉体または懸濁液と混合される。ろ過および洗浄の後、乾燥と同時の成形、ついで好ましくは空気下、回転オーブン中、高昇温度で、アルミナとシリカとの間の相互作用を助長するのに充分な時間にわたる、一般的には少なくとも2時間の焼成を行えば、本発明の諸特性を有する触媒が得られる。
【0126】
本発明のシリカ−アルミナを製造する他の方法は、上記のようにしてアルミナ水和物を沈殿させる工程と、これをろ過および洗浄する工程と、次いで、これを水性オルトケイ酸と混合して懸濁液を得て、これを強度の攪拌、剪断によって緊密に均質化する工程とからなる。Ultraturrax(登録商標)タービンあるいはStaro(登録商標)タービンが用いられてよく、あるいはコロイドミル、例えばStaro(登録商標)コロイドミルが用いられてもよい。次に、前記均質な懸濁液は、上記のごとく噴霧乾燥され、500〜1200℃で少なくとも3時間焼成される:本発明の方法で使用されてもよいシリカ−アルミナ触媒が得られる。
【0127】
本発明のさらなる方法は、上記のようにして脱陽イオンされたオルトケイ酸溶液を製造する工程と、次いで、同時または連続的に、これをアルミナ化合物、例えば、粉体の形態または酸性化した懸濁液の水和アルミニウムに加える工程とからなる。最終シリカ−アルミナの細孔の直径を大きくするために、場合により、少なくとも1種の塩基性化合物が反応媒体に添加されてもよい。懸濁液を攪拌によって入念に均質化し、場合によりろ過して乾燥物含有量を調節し、場合により再均質化した後、生成物は、同時にまたは連続的に乾燥および成形され、次に、上記のようにして焼成される。
【0128】
本発明の一部を形成するさらなる方法は、アルミナ、例えばアルミニウム一水和物の水性懸濁液または分散液を製造する工程と、次に、同時にまたは連続的に、これをシリカの化合物、例えばケイ酸ナトリウムに加える工程とからなる。最終シリカ−アルミナ触媒の細孔の直径を大きくするために、場合により、少なくとも1種の塩基性化合物が反応媒質に添加されてもよい。ろ過および洗浄、場合によりアンモニア溶液で洗浄し、イオン交換によって残留ナトリウムを抽出し、同時にまたは連続的成形を伴って乾燥することによって、触媒が得られる。乾燥および成形、次いで、上記のごとき焼成の後、本発明の諸特性を有する触媒が得られる。本発明のシリカ−アルミナ触媒の良好な均質性を達成するためには、使用するアルミナ粒子の大きさが1〜100ミクロンであることが好ましい。
【0129】
シリカ−アルミナ触媒のメソ細孔の直径を大きくするためには、米国特許第4066574号に開示されるように、アルミナ、例えばアルミニウム一水和物の水性懸濁液または分散液を製造し、次いで、これを、塩基性溶液、例えばアンモニアにより中和し、次に、同時にまたは連続的に、これを、シリカ化合物、例えば脱陽イオンされたオルトケイ酸溶液に加えることが特に有利であり得る。攪拌によって懸濁液を入念に均質化し、場合によりろ過によって乾燥物含有量を調整し、場合により再均質化したのち、生成物は、乾燥および同時にまたは連続的な成形され、次いで上記の通りに焼成される。この方法も本発明の方法を構成する。
【0130】
上記方法についての下記説明において、用語「均質化」は、固体分を含有する生成物、例えば、懸濁状、粉体、ろ過された沈殿を、溶液中に置き、次いで、激しく攪拌してこれを分散させることを記述するために用いられる。分散液の均質化は、当業者には周知の方法である。該均質化は、当業者に周知のあらゆる方法、例えば、バッチ式反応器、連続式混合機またはミルを用いて行われてよい。かかる混合は、ピストン流反応器(plug reactor)で、とりわけスタティックリアクター中で、行われてもよい。「ライトニン(Lightnin)」反応器を挙げることができる。Ultraturrax(登録商標)タービンあるいはStaro(登録商標)タービンが用いられてもよく、あるいはコロイドミル、例えばStaro(登録商標)コロイドミルが用いられてもよい。市販のIKA(登録商標)コロイドミルも使用されてよい。
【0131】
上記諸方法の全体において、場合により、あらゆる製造工程に際して、ジルコニウムおよびチタンによって形成された群から選ばれた少なくとも1種の安定化元素の少量を添加することが望ましくありうる。前記安定化元素は、好ましくは、可溶性塩の形態で添加される。
【0132】
(触媒の成形)
触媒は、当業者に既知のあらゆる技術によってシリカ−アルミナを成形することによって得られてもよい。この成形は、例えば押出し、加圧塊状化、液滴凝固(オイルドロップ)法、回転板上での造粒または当業者に周知の他のあらゆる方法によって行われ得る。
【0133】
前記成形はまた、種々の触媒成分および得られた無機ペーストの押出しの存在下に、加圧塊状化、回転顆粒製造機またはドラム上でのビーズへの成形、オイルドロップ凝固、オイルアップ凝固、または、アルミナおよび場合により前記したもののうちから選ばれた他の成分を含有する粉体のアグロメレーションのために既知の他のあらゆる方法によって行われてもよい。
【0134】
本発明に従って使用される触媒は、球または押出物の形状を有する。しかしながら、前記触媒は0.5〜5mm、とりわけ0.7〜2.5mmの直径をもつ押出物形態にあることが好都合である。それらの形状は、円柱形(中空であってもなくてもよい)、らせん状円柱形、多葉性(たとえば2,3,4または5葉)またはリング状である。円柱形形態が好ましく使用されるが、他のいずれの形態が使用されてもよい。
【0135】
その上、本発明に従って使用されるこれらの触媒は、当業者に周知の通り、成形を容易にするおよび/またはシリカ−アルミナ触媒の最終の機械的性質を改善するための添加剤によって処理されていてよい。添加剤の例としては、とりわけ、セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、トール油、キサンタンゴム、界面活性剤、ポリアクリルアミドなどの凝集剤、カーボンブラック、でんぷん類、ステアリン酸、ポリアクリルアルコール、ポリビニルアルコール、生体高分子類、グルコース、ポリエチレングリコール類などを挙げることができる。
【0136】
本発明の触媒に特徴的な細孔度の部分的な調節・制御は、この触媒粒子成形工程に際して行われる。
【0137】
前記成形は、例えば押出し、顆粒製造、噴霧乾燥あるいは加圧塊状化などの当業者に既知の触媒成形技術を用いて行われてもよい。
【0138】
押出されるべきペーストの粘度を調整するために水が添加または除去されてもよい。この工程は、混練工程の任意の段階で行われてもよい。
【0139】
押出されるペーストの固形分含有量を調整して、これを押出し可能にするために、大半が固体の化合物、好ましくは酸化物または水和物を添加することも可能である。好ましくは水和物が用いられ、より好ましくはアルミニウム水和物が使用される。この水和物の強熱減量は15%を超える。
【0140】
成形前の混練時に添加される酸の含有量は、合成に投入されるシリカおよびアルミナの無水の質量の30重量%未満、好ましくは0.5〜20重量%である。
【0141】
前記押出しは、通常の、市場で入手できるいかなる装置によって行われてもよい。混練工程から出てきたペーストは、押出し末端(die)を通して、例えばピストンまたは1本または2本の押出し軸(extrusion screw)によって、押出される。この押出し工程は、当業者に既知のあらゆる方法によって行われてもよい。
【0142】
本発明に従った触媒の押出物は、通常、圧縮強さが少なくとも70N/cmであり、好ましくは100N/cm以上である。
【0143】
(触媒の乾燥および焼成)
乾燥は、当業者に既知のあらゆる技術によって行われる。
【0144】
本発明の方法で使用される触媒を得るために、好ましくは分子状酸素の存在下に、例えば空気による掃引を行いながら、1100℃以下の温度で焼成することが好ましい。少なくとも1回の焼成が製造の諸工程のいずれかのあとで行われてよい。この処理は、例えば、横断流れ層(traversed bed)中、滑り流層(swept bed)中または静止雰囲気中で行われてよい。例えば、使用されるオーブンは、回転オーブンまたは放射状の流れ層を有する垂直オーブンであってよい。焼成条件:温度および時間は主として触媒の最高触媒サービス温度に依存し、好ましい焼成条件は、200℃で1時間超および1100℃で1時間未満である。焼成は、水蒸気の存在下で行われてよい。最終焼成は、場合により、酸性または塩基性水蒸気の存在下に行うことができる。例えば、アンモニア分圧のもとで焼成が行われてよい。
【0145】
(合成後の処理)
担体の諸性質、とりわけ先に規定したごときそれの均一性を改善するために合成後の処理が行われてよい。
【0146】
好ましい一実施態様に従えば、前記の合成後処理は、水熱処理である。この水熱処理は、当業者に既知のあらゆる技術によって行われる。用語「水熱処理」は、いずれかの仕上げ工程で、混練された担体を蒸気相の水または液相の水と接触させることを意味する。用語「水熱処理」は、とりわけ、熟成、水蒸気処理、オートクレーブ処理、湿潤空気下での焼成、再水和を包含する。かかる処理は、それが本発明の範囲を減じることなく、シリカ成分を可動性にする効果を有し得る。
【0147】
本発明によれば、前記熟成は、成形の前または後で行ってもよい。本発明によれば、水蒸気処理は、水蒸気の存在下にオーブン中で行われる。水蒸気処理の間の温度は600〜1100℃、好ましくは700℃超で30分〜3時間であり得る。水蒸気含有量は、乾燥空気1kg当り20g水を超え、好ましくは乾燥空気1kg当り40g水を超え、より好ましくは乾燥空気1kg当り100g水を超える。かかる処理は、場合により、焼成処理の全部または一部に置き換えてもよい。
【0148】
本発明によれば、担体は、次いで、場合により、閉鎖雰囲気中で水熱処理に付してもよい。用語「閉鎖雰囲気中での水熱処理」は、周囲温度を超える温度で水の存在下にオートクレーブを用いることによる処理を意味する。
【0149】
この水熱処理の間に、成形されたシリカ−アルミナは、種々の方法で処理されてよい。このため、シリカ−アルミナは、オートクレーブに入れる前に酸で含浸されてよく、シリカ−アルミナのオートクレーブ処理は、蒸気相または液相のいずれか中で行われ、オートクレーブ中のこの蒸気相または液相は酸性であってもなくてもよい。オートクレーブ処理に先立つこの含浸は、酸性であってもなくてもよい。オートクレーブ処理に先立つこの含浸は、乾燥状態で行われても、シリカ−アルミナを酸性水溶液に浸漬することにより行われてもよい。用語「乾燥状態での含浸」は、処理されるアルミナの総細孔容積以下の容積の溶液にアルミナを接触させることを意味する。含浸は、乾燥状態で行われることが好ましい。
【0150】
前記オートクレーブは、欧州特許第0387109号中で規定されているもののごとき回転バスケットを有するオートクレーブであることが好ましい。
【0151】
オートクレーブ処理の間の温度は、30分〜3時間の期間100〜250℃であってよい。
【0152】
本発明に従った好ましい一方法は、焼成されたまたは未焼成の、好ましくは焼成した前駆体に成形された触媒表面に、シリカを沈着させる工程からなる。このためには、例えばケイ素溶液またはシリコーンオイル乳濁状タイプのケイ素化合物が用いられて、これは、予備成形された前駆体上に含浸されてもよい。その後は、例えば120℃で乾燥が行われ、次いで、好ましくは、空気下での横断流れ層中で、例えば500℃で4時間の焼成が行われてよい。
【0153】
多くのケイ素源が用いられてよい。たとえば、オルトケイ酸エチルSi(OEt)、シロキサン類、ポリシロキサン類、シリコーン類、シリコーン類の乳濁液、ハロケイ酸塩類(例えば、フルオロケイ酸アンモニウム(NHSiFやフルオロケイ酸ナトリウムNaSiFなどの)を使用することが可能である。シリカは、例えば水/アルコール混合物中の溶液中のケイ酸エチルを含浸させることよって添加されてもよい。シリカは、例えばシリコーンタイプのケイ素化合物または水中に懸濁されたケイ酸ケイ素を含浸させることによって添加されてよい。
【0154】
場合により、前記前駆体を製造する任意の工程で、シリカ−アルミナに、第IVB族(チタン、ジルコニウム、ハフニウム)、第VI族(バナジウム、ニオブ、タンタル)、第VIB族(クロム、モリブデン、タングステン)ならびに第VIII族第一列(Fe、Co、Ni)のうちから選ばれた遷移金属を添加することも可能である。これら金属の含有量は、最終触媒の10重量%まででありうる。
【0155】
(オリゴマー化方法の説明)
本発明の方法は、炭素原子数2〜8の軽質オレフィン原料油、とりわけプロピレンおよび/またはブテン類を大きい割合で含有する軽質オレフィン原料油から、マクロ細孔数を低減されたシリカ−アルミナをベースとするオリゴマー化触媒を用いて、燃料、例えばガソリンおよび/または灯油(kerosene)を製造するオレフィンのオリゴマー化方法である。
【0156】
それゆえ、本発明は、オレフィン類のオリゴマー化方法に関するものであり、オリゴマー化触媒は、5重量%を超えるが95重量%以下の量のシリカ(SiO)を含有するシリカ−アルミナをベースとする非ゼオライト担体を含有し、下記特性を有する。
【0157】
− 水銀ポロシメトリーによって測定された平均細孔直径:20〜140Å
− 水銀ポロシメトリーによって測定された総細孔容積:0.1〜0.6ml/g
− 窒素ポロシメトリーによって測定された総細孔容積:0.1〜0.6ml/g
− BET比表面積:100〜550m/g
− 水銀ポロシメトリーによって測定された、直径が140Åを超える細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満
− 水銀ポロシメトリーによって測定された、直径が160Åを超える細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満
− 水銀ポロシメトリーによって測定された、直径が200Åを超える細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満
− 水銀ポロシメトリーによって測定された、直径が500Åを超える細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満、好ましくは0.05ml/g未満、さらに好ましくは0.02ml/g未満、とくに好ましくは0.01ml/g未満
− X線回折図が、アルファ、ロー、カイ、エータ、ガンマ、カッパ、シータおよびデルタアルミナからなる群に含まれる少なくとも1種の遷移アルミナの少なくとも主特性ピークを含んでいる。
【0158】
先行技術の触媒と比較して、本発明の触媒は、上記のオレフィン類のオリゴマー化方法において高められた活性ならびに大きい実施容易性を示す。
【0159】
(原料油)
前記オレフィン類は、例えば接触分解装置および/または水蒸気分解装置および/またはパラフィン脱水素装置および/またはメタノールから水および軽質オレフィンへの重合脱水用装置および/またはその他のすべての軽質オレフィン源に由来するものであってよい。
【0160】
本発明の触媒を含有するオリゴマー化反応器へ送られるオレフィン留分は、オリゴマー化反応器へ導入される前に、例えば水、硫黄含有誘導体、塩基性窒素含有誘導体などの不純物が除去されていることが好ましい。
【0161】
前記オレフィン留分は、通常は、イソブタン、n−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテンおよび場合により少量のブタジエンを90重量%超含有しているC4オレフィン留分であってよい。ブタジエンは、通常、選択的水素化法によってオリゴマー化工程の前に除去される。
【0162】
前記オレフィン留分は、C3〜C4オレフィン留分であってもよい。C3〜C4オレフィン留分の組成は、出所に応じて大きく変動する。それは、約20〜50重量%のプロピレンおよびプロパン、約50〜80重量%のイソブタン、n−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、および場合により、少量のブタジエンを含有し得る。ブタジエンは、通常、選択的水素化法によってオリゴマー化工程の前に除去される。
【0163】
前記オレフィン留分は、C3オレフィン留分であってもよい。それは、通常、少なくとも90重量%のプロピレン、プロパンを含有している。
【0164】
本発明のオリゴマー化方法のいずれの場合にも、反応の発熱性は、とりわけ反応に際して変換されなかったパラフィン類を含有する未転化流出液の少なくとも一部をオリゴマー化反応器へ再循環することによってコントロールされてよく、かつ/または、他の供給源に由来するパラフィン類(該パラフィン類は、オレフィン性装入物と同じ分子量および/またはより重い分子量のものであり、該パラフィン類は脂肪族または環状のものである)を加えることによって原料油は希釈されてよい。
【0165】
ガソリンおよび/または灯油の生成および/またはより一般的には150℃を超える温度に始まる沸点をもつオレフィン留分の生成に導く方法のいずれの場合にも、処理出口で得られた上記のオレフィン留分は、場合により、部分的にまたは完全に水素化されてもよい。
【0166】
(実施態様)
(第一の実施態様:選択的オリゴマー化)
前記発明の触媒は、n−ブテン類の総転化率を10%未満、好ましくは5%未満に限定し、イソブテン量の90%超、好ましくは95%超が転化されるように、C4オレフィン留分がオリゴマー化を経る方法において、特に高性能を示す。二量体および三量体に転化されるイソブテンは90%以上である。次に、オリゴマー化流出液は蒸留に付される。この蒸留により、回収された留分(軽質流主液)は、オリゴマー化の際に反応しなかった90重量%超のブタン、イソブタンおよびブテンを含み、この留分の少なくとも一部は、次いで、例えば、アルキル化装置または水和装置に供給され、得られたオリゴマーによって構成された他の留分は、場合により部分的または全体的に水素化した後にガソリン基剤として用いられる。
【0167】
上記の方法は、以下「選択的オリゴマー化」と呼ばれる。
【0168】
前記オリゴマー化反応は、30〜300℃の温度、約0.1〜20MPaの圧力および0.05〜5h−1の間の触媒容積当りかつ毎時間当りの炭化水素原料油容積のもとで行われる。好ましくは、反応が液相中でまたは少なくとも均一な相中で行われるのが保証されるよう、温度が40〜160℃、圧力が2〜7MPaであり、触媒容積当りかつ毎時間当りの炭化水素原料油容積は好ましくは0.8〜2.5h−1である。
【0169】
反応は、固定床、流動床または移動床反応器であってよい。好ましくは、固定床反応器である。
【0170】
場合により、かくして得られたオリゴマーは、例えば先に記述されたオリゴマー化触媒を含有する追加のオリゴマー化反応器に再注入されて、オリゴマーの鎖長を増し、かくして灯油留分あるいは、より一般的には、150℃を超える温度で始まる沸点をもつオレフィン留分を取得するようにしてもよい。
【0171】
場合により、軽質のオリゴマー化流出液、すなわちC4留分は、水素化異性化反応器に導入されて、未転化1−ブテン部分を2−ブテンに水素化異性化して、熱力学的平衡に近づけるようにしてもよい。そのとき、前記流出液の他の成分は、水素化異性化工程の間に有意に転化されることはない。1−ブテンの2−ブテンへの転化は、かくして得られたC4留分をつぎにフッ化水素酸存在下に脂肪族アルキル化反応器へ導入され得るならば、きわめて有用であり、2−ブテンのイソブタンによるアルキル化により得られた生成物は、1−ブテンから得られたアルキル化物よりも良好なオクタン価を有する。
【0172】
オリゴマー化反応の強度の発熱性にかんがみ、オリゴマー化反応器へ送られる炭化水素原料油中のイソブテンの量は、好ましくは35重量%未満、より好ましくは15重量%未満であり、これは、場合により原料油を例えばブタンまたはイソブテンあるいはオリゴマー化装置からのラフィネートにより希釈することによって得られる。
【0173】
(第二の実施態様)
前記発明において記述されている触媒はまた、C4オレフィン留分またはC3〜C4オレフィン留分を、該原料油中に含まれるブテン類の一部が二量体または三量体に転化される種類のオリゴマー化に付すことからなる方法においても特に高性能を発揮する。前記二量体または三量体は次にガソリン基剤として使用される。この方法の場合、ブテン類の80%未満が転化され、イソブテンの少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%が転化される。この方法は、生成される灯油の量を最小にする一方で、ガソリン量を最大にすることができる。
【0174】
オリゴマー化反応器中では、温度は40〜250℃、好ましくは50〜200℃であり、圧力は0.1〜10MPa、好ましくは0.1〜5MPaであり、触媒容積当りかつ毎時間当りの送入炭化水素原料油の量は0.05〜5h−1、好ましくは0.8〜2.5h−1である。反応器は、固定床、流動床または移動床であってよい。好ましくは、固定床反応器が用いられる。
【0175】
この方法の実施態様の一変形では、原料油は、例えば、オリゴマー化装置の上流でエーテル化装置を用いて、n−ブテンを転化させることなくイソブテンをアルコール、例えばメタノールまたはエタノールと選択的に反応させることによって、あるいは、オリゴマー化装置の上流で上記に記載されたような選択的オリゴマー化装置を用いることによって、イソブテンが部分的または完全に除去されたオレフィン原料油である。そのとき、生成されたオリゴマー類は、イソブテンを含有する全留分の処理によって得られた生成物よりも枝分かれが少ない。
【0176】
(第三の実施態様)
本発明の方法の第三の実施態様は、場合により微量のプロピレンを含有するC4オレフィン留分を、原料油中に含まれているブテン類の大部分が、その後にガソリン基剤として使用される二量体または三量体に転化される種類のオリゴマー化に付すことからなる。このプロセスの場合には、1−ブテンの少なくとも90%、2−ブテンの少なくとも80%、イソブテンの少なくとも97%およびプロピレンの少なくとも80%が転化される。この方法は、灯油を生成することなく、ガソリン量を最大にすることができる。
【0177】
前記C4オレフィン留分は、通常、イソブタン、n−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテンおよび場合により少量のブタジエンを含有する。ブタジエンは、触媒を不活性にする重合反応を回避するために、通常、選択的水素化工程によってオリゴマー化工程の前に除去される。
【0178】
前記方法は、つぎの諸工程を包含する:
・ 第一のオリゴマー化工程:第一のオリゴマー化反応器中でC4またはC3〜C4留分が処理される。そこでは、原料油中に含まれるn−ブテンの総転化率は45%未満であり、イソブテンの転化率は80%を超え、好ましくは85%を超え、得られるオリゴマー類は80%以上が二量体および三量体である;
・ 第一のオリゴマー化工程からの流出液が分留塔へ送入され、イソブテンおよび未転化のn−ブテン類を含有する第一の留分と、90%がオリゴマー化反応による二量体類および三量体類からなる第二の留分とを回収する;
・ 第二のオリゴマー化工程:回収された第一の留分は、第二のオリゴマー化反応器に導入される。そこでは、オレフィン類が大部分は二量体および三量体に転化される。すなわち、n−ブテン類の少なくとも50%が転化され、好ましくは1−ブテンの少なくとも75%および2−ブテンの少なくとも55%が転化される;そして、
・ 第二のオリゴマー化工程からの流出液が、第一のオリゴマー化反応器に連結された分留塔または第二の塔へ送入され、ガソリンまたは灯油を未転化C4化合物類から分離する。
【0179】
オリゴマー化反応器中では、温度は40〜250℃、好ましくは45〜200℃であり、圧力は0.1〜10MPa、好ましくは0.1〜5MPaであり、触媒容積当りかつ毎時間当りの炭化水素原料油の量は0.05〜5h−1、好ましくは0.8〜2.5h−1である。反応器は、固定床、流動床または移動床であってよい。好ましくは、固定床反応器である。
【0180】
第二のオリゴマー化反応器中では、操作条件が第一の反応器におけるよりもより過酷であることが好ましい。
【0181】
同じ方法が、C3〜C4オレフィン原料油に適用されてもよい。
【0182】
(第四の実施態様)
前記発明の触媒はまた、C4オレフィン留分またはC3〜C4オレフィン留分を、該原料油中に含まれるブテン類の大部分が転化されて、ガソリン基剤および灯油基剤を形成する種類のオリゴマー化に付すことからなる方法においても特に高性能を発揮する。この方法の場合、1−ブテンの少なくとも90%、2−ブテンの少なくとも80%、イソブテンの少なくとも97%が転化される。前記C4オレフィン留分は、通常、イソブタン、n−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、および場合により少量のブタジエンを含有する。前記C3C4オレフィン留分は、さらに、プロパンおよびプロピレンを実質的に含有する。
【0183】
オリゴマー化反応器中では、温度は60〜250℃、好ましくは100〜200℃であり、圧力は0.1〜10MPa、好ましくは0.1〜5MPaであり、触媒容積当りかつ毎時間当りの炭化水素原料油の量は0.05〜5h−1、好ましくは0.8〜2.5h−1である。
【0184】
反応器は、固定床、流動床または移動層であってよい。好ましくは、固定床反応器である。
【0185】
(第五の実施態様)
前記発明の触媒はまた、C3オレフィン留分を、原料油中に含まれるプロピレンの大部分が転化され、すなわち原料油中に含まれるプロピレンの少なくとも80%が転化され、ガソリン基剤および灯油基剤を生成する種類のオリゴマー化に付す方法において、特に高性能を発揮する。
【0186】
C3オレフィン留分は、通常、少なくとも90%のプロピレンおよびプロパンを含む。
【0187】
前記オリゴマー化反応器では、温度は30〜300℃、圧力は約0.1〜20MPaであり、触媒容積当りかつ毎時間当りの炭化水素原料油の量は0.05〜5h−1である。好ましくは、温度が40〜250℃であり、圧力が2〜7MPaであり、触媒容積当りかつ毎時間当りの炭化水素原料油の容積が0.8〜2.5h−1である。
【0188】
反応器は、固定床、流動床または移動床であってよい。好ましくは、固定床反応器である。
【0189】
以下の実施例は、本発明を分かりやすく説明するものであるが、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0190】
(実施例1:本発明に適合しないシリカ−アルミナ(SA−1))
触媒SA−1の諸特性は次の通りである:
− シリカ−アルミナ触媒の組成は、89.3%Alおよび10.7%SiOである。
【0191】
− BET表面積は370m/gである。
【0192】
− 窒素吸着法により測定された総細孔容積は0.457ml/gである。
【0193】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された平均細孔直径が48Åである。
【0194】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、(D平均−30)Å〜(D平均+30)Åの容積V2の総水銀体積に対する比は0.92である。
【0195】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、(D平均+30)Åを超える直径を有する細孔に含まれる容積V3が0.042ml/gである。
【0196】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、(D平均+15)Åを超える直径を有する細孔に含まれる容積V6が0.013ml/gである。
【0197】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、140Åを超える直径を有する細孔に含まれる細孔容積が0.02ml/gである。
【0198】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、160Åを超える直径を有する細孔に含まれる細孔容積が0.02ml/gである。
【0199】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、200Åを超える直径を有する細孔に含まれる細孔容積が0.01ml/gである。
【0200】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、500Åを超える直径を有する細孔に含まれる細孔容積が0.004ml/gである。
【0201】
− X線回折図がガンマアルミナの主特性ピークを含んでいない。
【0202】
− 前記触媒のB/L比が1である。
【0203】
− 前記触媒の圧縮充填密度が0.72g/cmである。
【0204】
− ナトリウム原子の含有量が300+/−20ppmである。硫黄原子の含有量が2500ppmである。
【0205】
前記触媒の固体27Al MAS NMRスペクトルは、はっきり異なる2つのピークブロックを示す。極大が10ppm付近で共鳴する第一のタイプのアルミニウムは、−100〜20ppmに広がっている。この極大の位置は、これらの種が本質的にAlVI(八面体)タイプのものであることを示唆している。極大が60ppm付近で共鳴する第二の大きいタイプのアルミニウムは、20〜100ppmに広がっている。このブロックの主要な種は、AlIV(四面体)原子に対応する。八面体AlVI種の割合は35%である。
【0206】
前記触媒は、単一のシリカ−アルミナ帯域を含み、TEMにおいてマイクロプローブによって求められたSi/Al比は4.3である。
【0207】
(実施例2:本発明に適合するシリカ−アルミナの調製および成形(SA2))
国際公開WO00/01617に記載された方法に従って水酸化アルミニウムの粉体を製造した。レーザー粒度測定により測定された水酸化アルミニウム粒子の平均粒子サイズは、40ミクロンであった。この粉体を、脱カチオン樹脂上での交換により調製され、多孔度2の樹脂でろ過されたシリカゾルと混合した。シリカゾルと水酸化アルミニウム粉体の濃度を調節して、Al70%およびSiO30%の最終組成物を得た。成形を、無水製品に対して15%の硝酸の存在下で行った。混練を、Zアーム混練機で行った。押出しを、直径1.4mmのオリフィスを備えた押出ダイにペーストを通すことによって行った。かくして得られた押出物を150℃で乾燥し、次に550℃で焼成した。
【0208】
この触媒の諸特性は次の通りである
− シリカ−アルミナ触媒の組成は、85.3%Alおよび14.7%SiOである。
【0209】
− BET表面積が430m/gである。
【0210】
− 窒素吸着法により測定された総細孔容積が0.24ml/gである。
【0211】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された平均細孔直径が46Åである。
【0212】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、(D平均−30)Å〜(D平均+30)Åの容積V2の総水銀容積に対する比が0.7である。
【0213】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、(D平均+30)Åを超える直径を有する細孔に含まれる容積V3が0.07ml/gである。
【0214】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、(D平均+15)Åを超える直径を有する細孔に含まれる容積V6が0.08ml/gである。
【0215】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、140Åを超える直径を有する細孔に含まれる細孔容積が0.06ml/gである。
【0216】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、160Åを超える直径を有する細孔に含まれる細孔容積が0.051ml/gである。
【0217】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、200Åを超える直径を有する細孔に含まれる細孔容積が0.047ml/gである。
【0218】
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、500Åを超える直径を有する細孔に含まれる細孔容積が0.03ml/gである。
【0219】
− 前記触媒のB/L比が1である。
【0220】
− 前記触媒の圧縮充填密度が0.80g/cmである。
【0221】
− X線回折図がガンマアルミナの主特性ピークを含んでおり、とりわけ、それが、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdのところにピークを含んでいる。
【0222】
− ナトリウム原子の含有量が40+/−20ppmである。硫黄原子の含有量が200ppmである。
【0223】
前記触媒の固体27Al MAS NMRスペクトルは、はっきり異なる2つのピークブロックを示す。極大が10ppm付近で共鳴する第一のタイプのアルミニウムは、−100〜20ppmの間に広がっている。この極大の位置は、これらの種が本質的にAlVI(八面体)タイプのものであることを示唆している。極大が60ppm付近で共鳴する第二の大きいタイプのアルミニウムは、20〜100ppmに広がっている。このブロックは少なくとも2つの種に分解され得る。このブロックの主要な種は、AlIV(四面体)原子に対応する。八面体AlVI種の割合は65%である。
【0224】
前記触媒は、2つのシリカ−アルミナ帯域を含み、それらの帯域は、蛍光X線によって求められるとき、総Si/Al比より小さいおよび大きいSi/Al比をもつ。それらの帯域の一方は、TEMによって求められたSi/Al比が4.35であり、他方の帯域のTEMにより求められたSi/Al比は1.75である。
【0225】
(実施例3:シリカ−アルミナ触媒SA1およびSA2の高転化率オリゴマー化方法における評価)
水蒸気分解装置由来のC4オレフィン留分を、選択的水素化処理に付して、ブタジエンを除去し、次に13Xタイプの分子ふるいで乾燥して、痕跡量の硫黄および水を除去した。
【0226】
これらの処理によって生じた原料油の組成は以下の通りである:
【表1】

【0227】
この原料油を、シリカ−アルミナをベースとする触媒SA1またはSA2を含んでいる等温オリゴマー化反応器に送入した。操作条件は以下の通りとした。
【表2】

【0228】
オリゴマー化反応器出口での流出液の質量組成は以下の通りであった。
【表3】

【0229】
触媒SA2の使用は、触媒SA1によるよりも高いC5+ポリマー収率をもたらした。
【0230】
(実施例4:シリカ−アルミナ触媒SA1およびSA2の緩和な転化オリゴマー化方法における評価)
水蒸気分解装置由来のC4オレフィン留分を、選択的水素化処理に付して、ブタジエンを除去し、次に13Xタイプの分子ふるいで乾燥して、痕跡量の硫黄および水を除去した。これらの処理によって生じた原料油の組成は以下の通りであった。
【表4】

【0231】
この原料油を、シリカ−アルミナをベースとする触媒SA1またはSA2を含む等温オリゴマー反応器に送った。操作条件は以下の通りである。
【表5】

【0232】
オリゴマー化反応器出口での流出液の質量組成は以下の通りである。
【表6】

【0233】
触媒SA2の使用は、触媒SA1によるよりも高いC5+ポリマー収率をもたらした。
【0234】
(実施例5:シリカ−アルミナ触媒SA1およびSA2の高転化率オリゴマー化方法における評価)
接触分解装置由来のC4オレフィン留分を、選択的水素化処理に付して、ブタジエンを除去し、次に13Xタイプの分子ふるいで乾燥して、痕跡量の硫黄および水を除去した。
【0235】
これらの処理によって生じた原料油の組成は以下の通りであった。
【表7】

【0236】
この原料油を、シリカ−アルミナをベースとする触媒SA1またはSA2を含んでいる等温オリゴマー化反応器に送入した。操作条件は以下の通りとした。
【表8】

【0237】
オリゴマー化反応器出口での流出液の質量組成は以下の通りであった。
【表9】

【0238】
触媒SA2の使用は、触媒SA1によるよりも高いC5+ポリマー収率をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン類のオリゴマー化方法であって、オリゴマー化触媒が、5重量%を超えるが95重量%以下の量のシリカ(SiO)を含有するシリカ−アルミナをベースとする非ゼオライト担体を含み、かつ、次の特性を有するものである、オリゴマー化方法。
− 水銀ポロシメトリーによって測定された平均細孔直径:20〜140Å
− 水銀ポロシメトリーによって測定された総細孔容積:0.1〜0.6ml/g
− 窒素ポロシメトリーによって測定された総細孔容積:0.1〜0.6ml/g
− BET比表面積:100〜550m/g
− 水銀ポロシメトリーによって測定された、140Åを超える直径を有する細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満
− 水銀ポロシメトリーによって測定された、160Åを超える直径を有する細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満
− 水銀ポロシメトリーによって測定された、200Åを超える直径を有する細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満
− 水銀ポロシメトリーによって測定された、500Åを超える直径を有する細孔に含まれる細孔容積:0.1ml/g未満、好ましくは0.05ml/g未満、さらに好ましくは0.02ml/g未満、特に好ましくは0.01ml/g未満
− X線回折図が、アルファ、ロー、カイ、エータ、ガンマ、カッパ、シータおよびデルタアルミナからなる群に含まれる少なくとも1種の遷移アルミナの少なくとも主要特性ピークを含んでいる。
【請求項2】
前記触媒が次のような細孔分布を有している請求項1に記載の方法:
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、(D平均−30)Å〜(D平均+30)Åの直径を有する細孔に含まれる容積V2の総水銀容積に対する比が0.6を超える
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、(D平均+30)Åを超える直径を有する細孔に含まれる容積V3が0.1ml/g未満である
− 水銀ポロシメトリーにより測定された、(D平均+15)Åを超える直径を有する細孔に含まれる容積V6が0.2ml/g未満である
【請求項3】
前記触媒のX線回折図が、エータ、シータ、デルタおよびガンマアルミナからなる群に含まれる少なくとも1種の遷移アルミナの少なくとも主特性ピークを含んでいる請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒のX線回折図が、エータおよびガンマアルミナからなる群に含まれる少なくとも1種の遷移アルミナ類の少なくとも主特性ピークを含んでいる請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記触媒担体の陽イオン性不純物の含有量が0.1重量%未満である請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記触媒担体の陰イオン性不純物含有量が0.5重量%未満である請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記触媒担体が、蛍光X線により求められるSi/Al比が全体のSi/Al比よりも小さいまたは大きい少なくとも2つのシリカ−アルミナ帯域を含んでいる請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記触媒担体が、蛍光X線により求められるSi/Al比が全体のSi/Al比に等しく、2.3未満の単一のシリカ−アルミナ帯域を含んでいる請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記触媒が、元素の周期表第IVB、VBおよびVIB族ならびに第VIII族第一列の元素のうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素を含有している請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記触媒が担体表面に担持されたドーパント元素としてケイ素を含有している請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記オレフィン類が、接触分解装置、水蒸気分解装置、パラフィン脱水素装置、メタノールから水および軽質オレフィンへの重合脱水装置および任意の他の軽質オレフィン源のうちから選ばれた1つ以上の供給源に由来するものである請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
オリゴマー化触媒へ送られるオレフィン留分が、オリゴマー化反応器へ導入される前に、水、硫黄含有誘導体、塩基性窒素含有誘導体などの不純物を含まない請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
次の工程を包含する請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法:
・ C4オレフィン留分を、イソブテンの量の90%より多くが二量体および三量体に転化される一方で、n−ブテンの総転化率が10%未満に限定されるオリゴマー化する工程、および、
・ オリゴマー化反応の流出液を蒸留に付して、ブタン、イソブタンおよびオリゴマー化時に反応しなかったブテン類を90重量%超含有する留分(軽質流出液)であって、該留分の少なくとも一部がその後にアルキル化装置または水和装置に供給される、留分と、ガソリン基剤として続いて用いられる得られたオリゴマーによって構成された別の留分とを得る工程。
【請求項14】
前記オリゴマー化反応は、30〜300℃の温度、0.1〜20MPaの圧力、0.05〜5h−1の触媒容積当りかつ毎時間当りの炭化水素原料油溶液で行われる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
得られたオリゴマー類は、補足のオリゴマー化反応器に再注入される請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
軽質オリゴマー化流出液は、水素化異性化反応器に導入される請求項13〜15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
前記C4オレフィンまたはC3〜C4オレフィン留分は、原料油中に含まれているブテン類の80%未満が転化され、原料油中に含まれるイソブテンの少なくとも80%が二量体または三量体に転化されるように、オリゴマー化を経る請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
前記オリゴマー化反応は、40〜250℃の温度、0.1〜10MPaの圧力、0.05〜5h−1の間の触媒容積当りかつ毎時間当りの炭化水素原料油容積で行われる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
イソブテンは、前もってオレフィン原料油から実質的に除去されている請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
次の工程を包含する請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法:
・ 第一のオリゴマー化反応器中でC4またはC3〜C4オレフィン留分が処理される第一のオリゴマー化工程。そこでは、原料油中に含まれるn−ブテンの総転化率は45%未満であり、イソブテンの転化率は80%を超え、得られるオリゴマー類は80%以上が二量体および三量体である;
・ 第一のオリゴマー化工程からの流出液が分留塔へ送入され、イソブテンおよび未転化n−ブテン類を含有する第一の留分と、90%はオリゴマー化反応による二量体および三量体を構成する第二の留分とを回収する
・ 回収された第一の留分が第二のオリゴマー化反応器に導入される第二のオリゴマー化工程。そこでは、n−ブテン類の少なくとも50%が転化される
・ 第二のオリゴマー化工程からの流出液が、第一のオリゴマー化反応器に連結された分留塔または第二の塔へ送入される
【請求項21】
前記オリゴマー化反応は、40〜250℃の温度、0.1〜10MPaの圧力、0.05〜5h−1の触媒容積当りかつ毎時間当りの炭化水素原料油量で行われる請求項20に記載の方法。
【請求項22】
C4オレフィン留分またはC3〜C4オレフィン留分は、1−ブテンの少なくとも90%、2−ブテンの少なくとも80%およびイソブテンの少なくとも97%が転化されるようにオリゴマー化を経る請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
前記オリゴマー化反応は、60〜250℃の温度、0.1〜10MPaの圧力、0.05〜5h−1の間の触媒容積当りかつ毎時間当りの炭化水素原料油量で行われる請求項22に記載の方法。
【請求項24】
C3オレフィン留分は、原料油中に含まれているプロピレンの少なくとも80%が転化されるように、オリゴマー化を経る請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項25】
前記オリゴマー化反応は、30〜300℃の温度、0.1〜20MPaの圧力、0.05〜5h−1の間の触媒容積当りかつ毎時間当りの炭化水素原料油容積で行われる請求項24に記載の方法。
【請求項26】
オリゴマー化反応器が固定床反応器である請求項1〜25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
未転化流出液の少なくとも一部がオリゴマー化反応器へ再循環される請求項1〜26のいずれか1つに記載の方法。
【請求項28】
前記原料油は、他の供給源由来であり、オレフィン原料油と同一の分子量および/またはこれより重い分子量を有する脂肪族または環状のオレフィンを添加することによって希釈される請求項1〜27のいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
出口で得られるオレフィン留分が150℃を超える温度で始まる沸点をもつ請求項1〜28のいずれか1つに記載の方法。
【請求項30】
前記得られたオレフィン留分は、次に部分的にまたは完全に水素化される請求項29に記載の方法。
【請求項31】
水銀圧入法によって測定された触媒の平均細孔直径が40〜120Åである請求項1〜30のいずれか1つに記載の方法。

【公開番号】特開2006−28519(P2006−28519A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207552(P2005−207552)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(591007826)アンスティテュ フランセ デュ ペトロール (261)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT FRANCAIS DU PETROL
【Fターム(参考)】