説明

シリケート蛍光体およびその製造方法

【課題】近紫外LEDの発光波長である400nm前後で励起されて強発光し、励起波長の変化による発光強度変化が少ない青色蛍光体と、その蛍光体を簡便に得る製造方法を提供する。
【解決手段】Ba1−xEuZrSi3+2y(但し、0.001≦x≦0.5、2.5≦y≦3)の組成式で表されるシリケート蛍光体であって、粉末X線回折パターンにおいて、BaZrSiの回折パターンを有し、励起波長400nmにおける発光強度が励起波長300nmにおける発光強度の40%以上、励起波長380nm〜420nmの範囲において、(Iex380nm−Iex420nm)/Iex380nm×100の式で表される発光強度変化率が30%以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近紫外から可視領域の光による励起で高輝度の青色発光を示すシリケート蛍光体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
白色LEDは青色または近紫外LED(LD)と、蛍光体を組み合わせて作製される。白色LEDは、発光効率が低かったため携帯電話などのバックライト用途を中心に開発されてきたが、近年、発光効率の増加と共に次世代照明として注目を集めている。
白色LEDを構成する方式としては、青色LEDと黄色蛍光体を組み合わせる方式、近紫外LEDと青、緑、赤色蛍光体を組み合わせる方式などが提案されている。
近紫外LED励起方式では、LEDの発光波長である400nm前後で励起されて効率良く発光する青色系蛍光体が必要となり、従来の蛍光ランプで用いられてきた(Ca,Sr)(POCl:EuやBaMgAl1017:Eu(BAM)などが改良されて用いられている。
例えば、非特許文献1には、近紫外LED励起方式用に改良されたBAMの励起スペクトルと発光スペクトルが記載されている。
【0003】
近紫外励起で青色発光する蛍光体のひとつとして、BaZrSi:Euが知られている。非特許文献1には、Ba0.99ZrSi0.01Euが記載されている。
また、特許文献1には(Ba,Sr)0.99ZrSi0.01Euが開示されており、特許文献2には(Ba(1−x−y)SrEu)(Sn1−zZr)Siなる組成としてBaサイトをSrで、ZrサイトをSnで置換することによって、近紫外励起において発光強度が増加することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭48−38550号公報
【特許文献2】特開2008−63550号公報
【特許文献3】特開2010−7032号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】田口 常正著「白色LED照明技術のすべて」、工業調査会、p.110
【非特許文献2】G.Blasse、A.Bril、Journal of Solid State Chemistry、1970、vol.2、p105−108
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1に記載されているBAMの励起スペクトルを見ると、励起強度は380nm程度をピークとして400nm前後で急激に減少している、また、励起強度は、その波長での発光強度に対応するため、このことは励起波長の変化による発光強度の変化が大きいことを示している(類推ではあるが、380nm〜420nmでの発光強度変化は、グラフから60%前後と見られる)。
このように蛍光体の励起波長に対する発光強度の急激な変化があると、励起源である紫外LEDの発光波長のばらつきによる青色発光強度のばらつきも大きくなり、白色LEDの色合いや発光強度のばらつきに繋がるため好ましくない。
【0007】
非特許文献2、および特許文献1に記載されているBa0.99ZrSi0.01Euは、その励起スペクトル(図4(b)例2;特許文献1、Fig.3、曲線6参照)を見ると、近紫外領域において励起強度が急激に低下し、励起波長400nm付近での発光強度が低いことは明らかである(なお、特許文献1の励起スペクトルから、380nm〜420nmでの発光強度変化は35%前後、励起波長300nmにおける発光強度は励起波長400nmにおける発光強度の35%前後と類推される)。
また、BaCO、ZrO、SiO、Euの混合物を、窒素−水素混合ガス中で熱処理する固相反応によって形成されているが、このような固相反応の場合、Euが均一に分散した主相純度の高い蛍光体を得ることは難しく、固相反応を十分に進行させるために、一般的には高温長時間の熱処理や繰り返し焼成が行われるが、長時間の熱処理や繰り返して行う熱処理は工業的には好ましくない。また、どちらも粉砕を必要とするため、ダメージによって輝度が低下してしまう問題を抱えている。
【0008】
さらに、特許文献2の比較例として開示されているBa0.98ZrSi0.02Euは、400nm前後での励起スペクトルは開示されておらず、また発光強度も相対値であり絶対値の比較が困難である。しかしながら、非特許文献2に開示されている製造法と、ほぼ同じ作り方(固相法)をしているため、励起波長400nm付近での発光強度変化が大きく、発光強度も不十分であると言える。また、特許文献2の実施例においては、BaサイトのSr置換により、例えば365nm励起での相対輝度が比較例であるBa0.98ZrSi0.02Euの1.9倍強まで上昇しているが、上述したように、Ba0.98ZrSi0.02Euそのもの強度が低いため、実用的に十分な輝度を有しているとは言えない。
【0009】
このような状況の中で、本発明の目的は、近紫外LEDの発光波長である400nm前後で励起されて強発光し、励起波長の変化による発光強度変化が少ない青色蛍光体と、その蛍光体を簡便に得る製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、Ba1−xEuZrSi3+2yの組成式で表されるシリケート蛍光体において、x並びにyが、0.001≦x≦0.5、2.5≦y≦3の範囲にあり、粉末X線回折パターンにおいてBaZrSi型の回折パターンを持つものは、400nm付近の励起波長における発光強度が高く、励起波長に対する発光強度の変化率が小さいことを見出した。さらに、Ba1−xEuZrSi3+2yの組成式においてx並びにyが、0.001≦x≦0.5、3<y≦6の範囲にあり、X線回折パターンにおいてBaZrSi型(ICDD29−0214)の回折パターンを有し、かつブラッグ角度(2θ)の22°付近にSiOクリストバライト由来のピークを持つものは、より発光強度が高いことを見出した。
【0011】
また、上記したような特徴を持つシリケート蛍光体は、構成成分であるBa、Zr、Eu、Siの各金属成分を水溶液として混合し、さらにオキシカルボン酸を加えた混合液を加熱することによって、その混合液をゲル化し、その後乾燥して形成したゲル体を、ゲル体に含まれる有機物を除去するために、大気中で焼成して、構成成分が均一に分布した前駆体を得、次いで得られた前駆体を還元雰囲気中で熱処理することにより、BaZrSi結晶相を得ると同時に、EuをBaサイトに還元ドープしてシリケート蛍光体粉末を形成する工程によって、より高輝度に発光するシリケート蛍光体が簡便に得られることを見出した。さらに、得られた蛍光体粉末を、再度還元性雰囲気で熱処理することで、発光強度がさらに増加することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明の第1の発明は、Ba1−xEuZrSi3+2y(但し、0.001≦x≦0.5、2.5≦y≦3)の組成式で表されるシリケート蛍光体であって、粉末X線回折パターンにおいて、BaZrSiの回折パターンを有し、励起波長400nmにおける発光強度が励起波長300nmにおける発光強度の40%以上、励起波長380nm〜420nmの範囲において、下記(1)式で表される発光強度変化率が30%以下、
であることを特徴とするものである。
【0013】
【数1】

【0014】
また、本発明の第2の発明は、Ba1−xEuZrSi3+2y(但し、0.001≦x≦0.5、3<y≦6)の組成式で表されるシリケート蛍光体であって、粉末X線回折パターンにおいて、BaZrSiの回折パターンを有し、かつ、ブラッグ角度(2θ)の22°付近にSiO(クリストバライト)由来のピークを有し、励起波長400nmにおける発光強度が励起波長300nmにおける発光強度の40%以上で、励起波長380nm〜420nmの範囲において、前記(1)式で表される発光強度変化率が30%以下であることを特徴とするものである。
【0015】
更に、本発明の第3の発明は、Ba1−xEuZrSi3+2y(但し、0.001≦x≦0.5、2.5≦y≦6)の組成式で表されるシリケート蛍光体の製造方法であって、下記の工程1から工程3を含むことを特徴とするものである。
工程1:構成成分の中の金属成分であるBa、Zr、Eu、Si元素を水溶液として混合し、さらにオキシカルボン酸を加えた混合液を加熱して前記混合液をゲル化し、次いで乾燥してゲル体を形成する工程。
工程2:工程1で作製したゲル体を、大気中で焼成することによりゲル体に含まれる有機物を除去して、構成成分が均一に分布した前駆体を作製する工程。
工程3:工程2で作製した前駆体を、還元雰囲気中で熱処理することにより、BaZrSi結晶相を得ると同時に、EuをBaサイトに還元ドープして高輝度に発光するシリケート蛍光体粉末を形成する工程。
【0016】
また、本発明の第4の発明は、前記工程3で作製されたシリケート蛍光粉末を、さらに還元雰囲気下で熱処理する工程を含むことを特徴とするものである。
また、本発明の第5の発明は、前記工程3で作製されたシリケート蛍光粉末を、さらに大気雰囲気下で、500〜1500℃の温度で熱処理する工程を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、近紫外LEDの発光波長である400nm前後で効率良く励起され、かつ励起波長に対する発光強度変化が小さいシリケート蛍光体を提供することができ、そのようなシリケート蛍光体をより簡便な方法で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】蛍光体を形成するための熱処理時に用いられる二重ルツボ法を説明する概略図である。
【図2】実施例で作製した蛍光体粉末のX線回折パターンを示す図で、2−0はICDD(29−0214)に記載の「BaZrSi」の回折パターン、2−1は実施例1の蛍光体粉末、2−2は実施例2の蛍光体粉末、2−3は実施例3の蛍光体粉末、2−4は実施例4の蛍光体粉末の回折パターンである。
【図3】実施例1〜6、比較例1で作製した蛍光体粉末のPLスペクトル図である。
【図4】実施例1、6の蛍光体粉末と特許文献1に開示される蛍光体粉末の励起スペクトル形状を比較する図で、(a)は実施例1、6の励起スペクトル、(b)は特許文献1(例2)の励起スペクトルである。
【図5】実施例1、7〜10、比較例1で作製した蛍光体粉末のPLスペクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
本発明はBa1−xEuZrSi3+2yの組成式で表される蛍光体であり、x並びにyが、0.001≦x≦0.5、2.5≦y≦6の組成範囲にあることを第一の特徴とする。
xはより好ましくは、0.005≦x≦0.2の範囲にあることが好ましい。最適なEu濃度はyの値により異なるが、x<0.005では賦活材であるEuの濃度が低すぎて発光強度が低下する。また、x>0.2では濃度消光によって発光強度が低下する。
【0020】
y<2.5ではSiOプアーになりすぎて異相(BaZrSi12)が生成し、発光強度が低下する。
y>3とすることにより発光強度が増加する。これはSiOを理論量よりも過剰にすることで、Euが還元ドープされやすくなることによると考えられる。
また、SiOを理論量よりも過剰にすることで、熱処理中に、より結晶成長しやすくなっていると考えられる。SiOをさらに過剰にした場合、XRDパターンは後述するように、BaZrSiとSiO(クリストバライト)とが検出される。
【0021】
最終的に得られたシリケート蛍光体中に存在するSiOは発光に寄与しないため、最適なSiO量は、SiO過剰にすることによる熱処理の過程での発光強度が増加する効果と、過剰SiOが残留することで発光に寄与する相の比率の低下による発光強度の低下と、発光強度への影響のバランスで決定される。
y>6では発光強度増加への効果はほとんどなくなる。ただし、SiOを蛍光体中により多く残留させることを目的とする場合は、y>6の組成とすることもできるが、発光強度の低下を回避することは困難である。
【0022】
また、発光強度や励起波長、発光波長を改善する目的でBa1−xEuZrSi3+2yの組成式のBaの一部をSr、Ca、Mgなどで、Zrの一部をTi、Hf、Snなどで、Siの一部をGeで置換することができる。
【0023】
本発明のシリケート蛍光体は、粉末X線回折パターンが、「国際回折データセンター」が発行する粉末回折データ:ICDD(29−0214)に記載されているBaZrSiに帰属する回折パターンを示すことも特徴である。
発光特性に影響しない微量であれば、ZrOやBaシリケート、Zrシリケートなどを異相成分として含むことができる。また、組成をSiOリッチとした場合は、ブラッグ角度(2θ)の22°付近にSiO(クリストバライト)由来のピークが同時に現れる特徴を有する。
【0024】
本発明のシリケート蛍光体は、励起波長400nmにおける発光強度が、励起波長300nmにおける発光強度の40%以上であり、かつ、励起波長380nm〜420nmの範囲における発光強度の変化率が30%以下である特徴も有する。
したがって、近紫外LEDの発光波長である400nm前後で励起されて強発光し、かつ励起波長の変化による発光強度の変化率が小さいことにより、近紫外LED励起方式の青色蛍光体として好適に使用することができる。
【0025】
次に、本発明のシリケート蛍光体の製造方法について説明する。
本発明のシリケート蛍光体は、その構成成分であるBa、Zr、Eu、Siが、均一に含有することが重要であるため、下記のような工程を含む製造方法を用いることにより、発光強度の高い蛍光体をより簡便に作製することができる。
【0026】
[工程1]
構成成分の中の金属成分であるBa、Zr、Eu、Siを水溶液として混合し、さらにオキシカルボン酸を加えて加熱してゲル化し、その後乾燥してゲル体を形成する工程である。
【0027】
[工程2]
工程1で作製したゲル体の有機物を除去するために熱分解、大気焼成を行い、構成成分が均一に分布した前駆体を形成する工程である。
【0028】
[工程3]
形成した前駆体を、還元雰囲気中で熱処理することにより、BaZrSi結晶相を得ると同時に、EuをBaサイトに還元ドープして高輝度に発光するシリケート蛍光体粉末を作製する工程である。
【0029】
以下、本発明による製造方法を工程毎に詳細に説明する。
[工程1]
この工程は、構成成分の中の金属成分であるBa、Zr、Eu、Siを水溶液として混合し、さらにオキシカルボン酸を加え、加熱してゲル化し、その後乾燥してゲル体を形成する工程である。
まず、構成成分の中の金属成分であるBa、Zr、Eu、Siの水溶液を作製する。
Ba源としては水溶性のBa塩である塩化バリウムBaCl、酢酸バリウムBa(CHCOO)などを使用することができる。また、炭酸Baを適当な酸に溶解しても良い。
【0030】
Zr源としては、ZrOCl・8HOやZrO(NO・2HOを使用することができる。水溶性が高いことから、ZrOCl・8HO を使用することが好ましい。
【0031】
Eu源としては、硝酸ユーロピウムEu(NO・6HOや塩化ユーロピウムEuClを使用することができる。酸化ユーロピウムEuを適当な酸に溶解して使用することもできる。
【0032】
Si源としては、特許文献3で開示されている公知技術の水溶性ケイ素化合物を使用することができる。
【0033】
水溶性ケイ素化合物の作製は、特許文献3に開示される方法を用いることができる。例えば、テトラエトキシシラン20.8g(0.1モル)に対して、1,2−プロパンジオール22.8g(0.3モル)を添加し、液温が54℃になるようにホットスターラーを用いて攪拌しながら24時間混合し、その後、乳酸を2g(0.02モル)添加し、液温が54℃で更に1時間混合し、水溶性ケイ素化合物を作製することができる。
【0034】
次に、各金属成分を所定のモル比になるように各金属源を秤量して水溶液に溶解して混合する。少量の場合は予め所定の濃度の水溶液を作製しておき、それをピペットやメスシリンダーで所定量秤量して混合しても良い。さらにオキシカルボン酸を加えて80℃で加熱混合する。
このオキシカルボン酸添加の目的はケイ素以外の金属イオンを錯体化することにある。
オキシカルボン酸としてはクエン酸を使用することが好ましい。オキシカルボン酸量としては全金属元素のモル数に対して1〜6倍モルであることが好ましい。予め所定の濃度のオキシカルボン酸水溶液を作製しておき、それをピペットやメスシリンダーで所定量秤量して混合しても良い。
【0035】
その後、120℃で加熱混合して乾燥する。加熱混合の過程で加水分解・脱水縮合によりSiOがネットワークを形成し、乾燥することにより構成成分が均一に分布したゲル体が形成される。なお、120℃で加熱混合する前に、原料水溶液中にグリコール(エチレングリコールやプロピレングリコールなど)を添加することもできる。この場合、加熱乾燥中にオキシカルボン酸のカルボキシル基とグリコールのヒドロキシル基との間で脱水エステル反応が起こり、金属イオンが均一に分散したポリエステル高分子ゲルが得られる。
【0036】
[工程2]
この工程は形成したゲル体に含まれる有機物を除去する目的で、ゲル体に熱分解、大気焼成を施して、構成成分が均一に分布した前駆体を形成する工程である。
【0037】
この大気中における熱処理は、ゲル体中に含まれる有機物を分解し、構成成分の微細な酸化物が均一に分布した前駆体を得るために行うものである。
ゲル体中に含まれる有機物とは、水溶性ケイ素化合物に含まれる1,2−プロパンジオールなどの多価アルコール類、錯体化のために加えるクエン酸などのオキシカルボン酸由来のものを指す。これらの除去は、大気中400〜600℃で行うことが好ましい。
【0038】
その後、さらに高温で大気中熱処理を行って残留炭素を完全に除去する。残留炭素の除去は大気中600〜1000℃で行うことが好ましい。これらの大気中熱処理は必要に応じて温度を変えて複数回行っても良い。熱処理ステップのたびに解砕を行うことは有機物の分解除去を促進するのに有効である。
【0039】
このような工程を経て、原料成分由来の酸化物が微細均一に分布した前駆体を得ることができる。酸化物への変化は仕込み重量に対する重量減少で見積もることができる。また均一性についてはX線回折で確認することができる。構成成分の不均一な析出が起きると、酸化物や原料塩由来の回折パターンが確認される。
このような手法で得られた前駆体は、炭素除去のための熱処理温度条件にもよるが、アモルファスであることが好ましい。
【0040】
[工程3]
この工程は、工程2で形成した前駆体を、還元雰囲気中で熱処理、焼成処理することにより、BaZrSi結晶相を得ると同時に、EuをBaサイトに還元ドープしてシリケート蛍光体粉末を作製する工程である。
前駆体を熱処理することにより、BaZrSi結晶相を得ると同時に、Eu(Eu3+)をEu2+に還元してBaサイトにドープするものである。その熱処理(焼成)温度は、前駆体の最終的な焼成条件によっても異なるが、1100℃から1500℃の範囲であることが好ましい。1100℃未満では、熱処理温度が低く目的の結晶相ができなかったり、結晶成長が不十分となって発光強度が低下したりする。1500℃を超える温度では完全に溶融してしまい、その後に強い粉砕が必要となるために、粉砕による結晶のダメージによる発光強度の低下を引き起こす。
【0041】
また、塩化物、フッ化物などをフラックスとして添加することで、結晶成長や粒成長を促進することができる。フラックスとしては例えば、LiF、NaF、KF、LiCl、NaCl、KCl、LiCO、NaCO、KCO、NaHCO、NHCl、NH、MgF、CaF、SrF、BaF、MgCl、CaCl、SrCl、BaCl、MgI、CaI、SrI、BaIなどを用いることができる。
【0042】
この熱処理は、完全にBaZrSi結晶相とするための大気中での仮焼と、発光に寄与するEuをBaサイトに還元ドープするための還元雰囲気中での本焼成とに分け、複数回の熱処理を行っても良い。ステップのたびに解砕を行うこともできる。
熱処理時間は、1時間〜24時間、好ましくは2〜4時間である。
熱処理時間が短いと結晶成長が不十分となって発光強度が低下する。熱処理時間が長すぎると、溶融してしまう恐れがあり、溶融・焼結してしまうと強い粉砕が必要となり、粉砕による結晶のダメージを受け発光強度が低下する。
【0043】
還元雰囲気としては、CO−CO雰囲気であることが好ましい。
黒鉛や活性炭などの炭素源と共にルツボなどに入れて蓋をして大気中で焼成するなどすると容易にCO−CO雰囲気中で熱処理することができる。ArやNなどの不活性雰囲気であってもよい。HやNHなど、還元性が強いガスを使用することもできる。還元性雰囲気が強いほどEuの還元には有利であるが、母結晶に酸素欠損を生じやすくなり、蛍光体特性に悪影響を与えるため、還元度の制御に注意を要する。
【0044】
この還元焼成で得られた蛍光体粉末は、焼結が効率的に進行するため、所望の粒度を得るために焼結の度合いに応じて粉砕または解砕工程が必要になる。
すなわち、このようにして得られた蛍光体粉末は表面欠陥を含んでおり、発光特性に悪影響を与える恐れがある。また、Euの一部は、未還元で残存する恐れがある。そこで、表面欠陥の回復と残存するEuの還元促進を目的として、還元焼成後に解砕を行って粒度調整してから、還元性雰囲気で繰り返し再焼成することがより好ましい。
表面欠陥の回復は、SEMなどにより粒子表面を直接観察することで確認することができる。Euの還元の進行は得られた蛍光体粉末を250〜300nm程度の波長で励起した時に、620nm付近に現れるスパイク状の微弱な発光スペクトルの強度を比較することで確認することができる。この繰返し熱処理によって発光強度はさらに向上する。
【0045】
この再還元焼成の時にも上記フラックスを添加することが、結晶成長や粒成長により効果的である。
再焼成の最適温度は粒径やフラックス添加の有無で異なるが、1100℃〜1500℃であることが好ましい。1100℃未満では効果が十分に得られず、1500℃を超える温度にすると、焼結が進行して強い粉砕が必要となり、結局、表面欠陥が再生成してしまうために十分な効果が得られない。
【0046】
さらに、ここで生成する酸素欠陥を修復するために、上記還元焼成処理の後で、大気中で熱処理することで、蛍光輝度を改善することができる。
構成成分として含まれるZrOは還元雰囲気中で容易に酸素欠陥を生じるため、還元焼成により得られたBaZrSi:Eu中にも酸素欠陥が生じている。この母結晶中の酸素欠陥は、励起・発光過程での再結合中心となり、発光に寄与しない無輻射遷移が増加して輝度の低下を引き起こすわけである。
そこで、得られた蛍光体粉末を大気(空気)中のような酸素雰囲気下で熱処理することにより、前段の還元処理による粉末表面の酸素欠陥を回復して輝度を大幅に上げることができる。特に、前段の還元処理を還元性の強い水素を用いて還元処理を行った場合には、導入される酸素欠陥の量が多くなることがあるので、この酸素を含むような大気中での熱処理が輝度回復に効果がある。
【0047】
また、粉砕工程を経た粉末表面には物理的なダメージが存在し、このようなダメージも輝度に悪影響を及ぼすといわれている。熱処理によるこのような物理的欠陥の回復が期待でき、輝度の向上に寄与すると考えられる。
【0048】
以上の熱処理雰囲気としては、酸素存在下であればよいため、任意濃度の酸素ガスを用いることができる。
最適な酸素濃度は、試料中の前駆体の仮焼条件や還元焼成条件(酸素欠陥の度合い)によって変化するため一義的には決まらないが、大気中熱処理は、著しい輝度向上効果が得られ、装置も簡便で済むため、工業的にも有効な処理法である。ただし、これは任意濃度の酸素ガスを用いた酸素欠陥の回復アニールを制限するものではない。
【0049】
熱処理温度も、蛍光体中の酸素欠陥の度合いや酸素濃度により変化するため一義的には決まらないが、大気中熱処理の場合は、500℃以上、1500℃以下であることが好ましい。500℃より低い温度では十分な輝度向上効果(酸素欠陥の回復)が得られず、1500℃を超える温度では還元ドープされた2価のEuが酸化して3価のEuになったり、試料が溶融してしまうために、輝度が低下する。また、800℃以上1300℃以下であることがより好ましい。
【実施例】
【0050】
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。
得られた蛍光体のX線回折は、スペクトリス社製の「全自動多目的X線回折装置X‘pert Pro MPD」で測定した。
蛍光測定は、日立製作所製「F−4500形分光蛍光光度計」を用い、発光波長480nmにおける励起スペクトルと、励起波長300、380、400、420nmにおける発光強度を測定した。図3のPLスペクトルは、励起スペクトルと、最大の発光強度が得られる励起波長300nmでの発光スペクトルとを比較したものである。
【実施例1】
【0051】
[金属成分の水溶液の作製]
Ba源:酢酸バリウムBa(CHCOO)、Zr源:ZrClO・8HO、Eu源:Eu(NO・6HOをそれぞれ蒸留水で金属元素濃度として1モル/Lになるように定容した。
Si源の水溶性ケイ素化合物は、テトラエトキシシラン:20.8g(0.1モル)に対して、1,2−プロパンジオール:22.8g(0.3モル)を添加し、液温が54℃になるようにホットスターラーを用い、攪拌しながら24時間混合し、その後、乳酸を2g(0.02モル)添加し、液温54℃で更に1時間混合して水溶性ケイ素化合物を作製した。その後、蒸留水でケイ素濃度として1モル/Lになるように定容した。
【0052】
クエン酸を蒸留水で2モル/Lになるように定容した。
これらの金属原料水溶液をBa:Zr:Si:Euが0.98:1.0:3.0:0.02となるように金属原料水溶液をピペットでビーカーに注入し、さらに全金属元素合計量の4倍モルになるように、クエン酸水溶液をビーカーに注入した。次いで、ホットスターラーで80℃×2時間の条件でゲル化処理を行い、その後オーブンに入れて120℃で12時間乾燥した。この乾燥後、茶褐色のゲル体が得られた。その後、550℃×6時間の条件での熱処理を行い、有機物を分解して前駆体を形成した。この得られた前駆体を乳鉢で解砕して800℃×12時間、大気中での熱処理を行って炭素を除去し仮焼粉末を得た。
【0053】
次に、図1に示すような二重ルツボ10に、得られた仮焼粉末11を装入して還元雰囲気中での熱処理を行った。この熱処理は、先ず仮焼粉末11をカーボンシート3を敷いたアルミナ製皿4の上に置き、それを底部に黒鉛粉末5を敷いたアルミナルツボ1に入れて蓋1aをした。その後、アルミナルツボ1よりも一回り大きなアルミナルツボ2の底に黒鉛粉末5を敷き、その黒鉛粉末5の上にアルミナルツボ1を入れて、アルミナルツボ2の蓋2aを閉めた。これを小型ボックス炉(KBF314N1型)の炉内に入れて、還元雰囲気中で1400℃×2時間の熱処理を行った。
この熱処理に用いたルツボの内部構造を図1に示す。このような二重ルツボ法を用いることで簡便にCO−CO還元雰囲気下で熱処理をすることができる。
【0054】
熱処理した試料は、若干焼結が見られたため解砕を行って蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体は図2の2−1に示すような、ICDD(29−0214)に記載されているBaZrSiの回折パターンを示した。PLスペクトルを図3に、各励起波長(300nm、380nm、400nm、420nm)での相対発光強度を表1に示す。
【実施例2】
【0055】
Ba:Zr:Si:Euを0.98:1.0:3.3:0.02となるように原料水溶液をピペットでビーカーに注入した以外は実施例1と同様の操作を行って蛍光体粉末を作製した。
そのXRDパターンを図2の2−2に示す。
得られた蛍光体はICDD(29−0214)に記載されているBaZrSiの回折パターン(図2の2−0参照)を示し、さらに2θ=22度付近に、微弱なSiO(クリストバライト)相が確認された。
PLスペクトルを図3に、各励起波長での相対発光強度を表1に併せて示す。
【実施例3】
【0056】
Ba:Zr:Si:Euを0.98:1.0:4.5:0.02となるように原料水溶液をピペットでビーカーに注入した以外は実施例1と同様の操作を行って蛍光体粉末を作製した。
XRDパターンを図2の2−3に示す。得られた蛍光体はICDD(29−0214)に記載されているBaZrSiの回折パターンを示し、さらに2θ=22°付近にSiO(クリストバライト)相が確認された。
PLスペクトルを図3に、各励起波長での相対発光強度を表1に併せて示す。
【実施例4】
【0057】
Ba:Zr:Si:Euを0.98:1.0:6.0:0.02となるように原料水溶液をピペットでビーカーに注入した以外は実施例1と同様の操作を行って蛍光体粉末を作製した。
そのXRDパターンを図2の2−4に示す。得られた蛍光体はICDD(29−0214)に記載されているBaZrSiの回折パターンを示し、さらに2θ=22°付近にSiO(クリストバライト)相が確認された。
PLスペクトルを図3に、各励起波長での相対発光強度を表1に併せて示す。
【実施例5】
【0058】
実施例2で作製した蛍光体粉末を、黒鉛二重ルツボで1400℃×2時間で再度還元雰囲気中の熱処理を行った。
PLスペクトルを図3に、各励起波長での相対発光強度を表1に併せて示す。
【実施例6】
【0059】
仕込みのBa:Zr:Si:Euを0.96:1.0:3.3:0.04とした以外は、実施例5と同様の操作を行って蛍光体粉末を作製した。
PLスペクトルを図3に、各励起波長での相対発光強度を表1に併せて示す。
【実施例7】
【0060】
実施例1で得られた蛍光体粉末を、アルミナルツボに入れ、小型ボックス炉(KBF314N1型)の炉内に入れて、大気雰囲気中で500℃×1時間の熱処理を行って、蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体粉末の蛍光特性を評価し、図5、表1にまとめて示した。
【実施例8】
【0061】
実施例1で得られた蛍光体粉末を、アルミナルツボに入れ、小型ボックス炉(KBF314N1型)の炉内に入れて、大気雰囲気中で1000℃×1時間の熱処理を行って、蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体粉末の蛍光特性を評価し、図5、表1にまとめて示した。
【実施例9】
【0062】
実施例1で得られた蛍光体粉末を、アルミナルツボに入れ、小型ボックス炉(KBF314N1型)の炉内に入れて、大気雰囲気中で1200℃×1時間の熱処理を行って、蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体粉末の蛍光特性を評価し図5、表1にまとめて示した。
【実施例10】
【0063】
実施例1と同じ条件で仮焼粉末を作製し、これを卓上高温管状炉(山田電気製、TSR−630)に入れて、水素ガスを4%含むアルゴンガスを100ml/分の流量で流しながら1400℃×2時間の還元雰囲気の熱処理を行って、蛍光体粉末を得た。その後、得られた蛍光体粉末を、アルミナルツボに入れ、小型ボックス炉(KBF314N1型)の炉内に入れて、大気雰囲気中で1200℃×1時間の熱処理を行って、蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体粉末の蛍光特性を評価し、図5、表1にまとめて示した。
【0064】
(比較例1)
BaCO(関東化学株式会社製、純度3N)、ZrO(和光純薬工業株式会社製)、SiO(和光純薬工業株式会社製)、Eu(フルウチ化学株式会社製)の各原料を、Ba:Zr:Si:Euのモル比が0.98:1.0:3.0:0.02となるように秤量し、メノウ乳鉢で20分混合した。
これを実施例1同様の黒鉛二重ルツボで1400℃×2時間の熱処理を行った。得られた蛍光体は、実施例1同様にICDD(29−0214)に記載されているBaZrSiの回折パターンを示したが、PLスペクトルを図3に、各励起波長での相対発光強度を表1に併せて示すが、極めて低い発光強度であった。
【0065】
(比較例2)
熱処理温度を450℃とした以外は、実施例7と同じ条件で大気中熱処理を行い、蛍光体粉末を得た。実施例1の蛍光特性と変わらず、同程度の発光特性を示し、大気中熱処理による特性の向上が見られなかった。
【0066】
(比較例3)
実施例1で得られた蛍光体粉末の大気中熱処理温度を1550℃とした以外は実施例7と同じ条件で大気中熱処理を行い、蛍光体粉末を得た。蛍光体が溶融し、分解してしまい、発光しなかった。
【0067】
【表1】

【0068】
[蛍光体粉末の評価結果]
図3、表1から明らかなように、本発明による蛍光体は、いずれも近紫外LEDの発光波長である400nm前後でフラットな励起スペクトルを示していることが分かる。特に本発明の製造方法を用いた実施例1〜6は、従来法である固相法による比較例1よりも著しく大きな発光強度を示す。SiOを化学量論よりリッチにした実施例2、3、4は、実施例1よりも発光強度が大きい。また、再還元焼成を行った実施例5および6の蛍光体は発光強度が特に著しく向上している。図4の励起スペクトル形状の比較からも本発明によるBaZrSi:Eu蛍光体は、公知の励起スペクトル(特許文献1の例2)とは異なる形状を有しているのが明白である。
【0069】
図5、表1から明らかなように、還元処理後に行う酸素雰囲気下での熱処理の効果については実施例7から実施例10、比較例2、3に示すように、本発明の範囲内、即ち500から1500℃の温度範囲において大気(空気)のような酸素雰囲気下で熱処理を行った実施例7から実施例10では、この熱処理を施さなかった実施例1と比較して、励起特性、発光特性共に向上していることがわかる。特に1000℃から1200℃の熱処理温度で処理した実施例8、9、10では著しい向上が見られる。
一方、この熱処理の温度が450℃と低かった比較例2では、励起特性、発光特性共に実施例1より向上が見られず熱処理の効果が見られなかった。また、温度が高すぎた比較例3では試料が作製できなかった。
【0070】
以上、説明したように、本発明によるBaZrSi:Eu蛍光体は、近紫外LEDの発光波長である400nm前後での発光強度が大きく、励起波長の変化に対する発光強度の変化が小さい。そのため、本発明のシリケート蛍光体は近紫外LED励起用の青色蛍光体として非常に好適である。
【符号の説明】
【0071】
1 アルミナルツボ(内側)
1a アルミナルツボ1の蓋
2 アルミナルツボ(外側)
2a アルミナルツボ2の蓋
3 カーボンシート
4 アルミナ製皿
5 黒鉛粉末
10 二重ルツボ
11 仮焼粉末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ba1−xEuZrSi3+2y(但し、0.001≦x≦0.5、2.5≦y≦3)の組成式で表されるシリケート蛍光体であって、
粉末X線回折パターンにおいて、BaZrSiの回折パターンを有し、
励起波長400nmにおける発光強度が励起波長300nmにおける発光強度の40%以上、
励起波長380nm〜420nmの範囲において、下記(1)式で表される発光強度変化率が30%以下、
であることを特徴とする。
【数1】

【請求項2】
Ba1−xEuZrSi3+2y(但し、0.001≦x≦0.5、3<y≦6)の組成式で表されるシリケート蛍光体であって、
粉末X線回折パターンにおいて、BaZrSiの回折パターンを有し、かつ、ブラッグ角度(2θ)の22°付近にSiO(クリストバライト)由来のピークを有し、
励起波長400nmにおける発光強度が励起波長300nmにおける発光強度の40%以上で、
励起波長380nm〜420nmの範囲において、前記(1)式で表される発光強度変化率が30%以下
であることを特徴とする。
【請求項3】
Ba1−xEuZrSi3+2y(但し、0.001≦x≦0.5、2.5≦y≦6)の組成式で表されるシリケート蛍光体の製造方法であって、
下記の工程1から工程3を含むことを特徴とする。
工程1:構成成分の中の金属成分であるBa、Zr、Eu、Si元素を水溶液として混合し、さらにオキシカルボン酸を加えた混合液を加熱して前記混合液をゲル化し、次いで乾燥してゲル体を形成する工程。
工程2:工程1で作製したゲル体を、大気中で焼成することによりゲル体に含まれる有機物を除去して、構成成分が均一に分布した前駆体を作製する工程。
工程3:工程2で作製した前駆体を、還元雰囲気中で熱処理することにより、BaZrSi結晶相を得ると同時に、EuをBaサイトに還元ドープして高輝度に発光するシリケート蛍光体粉末を形成する工程。
【請求項4】
前記工程3で作製されたシリケート蛍光粉末を、さらに還元雰囲気下で熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項3記載のシリケート蛍光体の製造方法。
【請求項5】
前記工程3で作製されたシリケート蛍光粉末を、さらに大気雰囲気下で、500〜1500℃の温度で熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項3記載のシリケート蛍光体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−144689(P2012−144689A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119130(P2011−119130)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】