説明

シリコーン成分を放出するための送達系

シリコーン活性成分を放出するための固体組成物は、陽イオンポリマー、シリコーン活性成分、並びに任意に増粘剤及びキャリアを含有する。陽イオンポリマーは好ましくは、ホモポリマー又はコポリマーである。陽イオンポリマーは、9〜11の塩基性pHよりも中性pHでより高い水溶性を有する。顆粒状封入組成物は、洗濯用洗剤粉末、錠剤又は棒状物において成分として固体シリコーン放出組成物を使用することにより調製され得る。これは特に、洗濯操作のすすぎサイクルにおけるシリコーン成分の送達を目的とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、pH感受性ポリマーに基づく固体送達系に、並びに好ましくは洗濯機において、手による洗濯中に又は他の適切な状況において起こり得る洗濯プロセスの洗浄サイクル及びすすぎサイクル中のpHの変化の結果に応答したシリコーン成分の放出、或いはそのpHの変化の結果として誘発されるシリコーン成分の放出に関する。pHの変化に応答した放出に重点が置かれているが、場合によっては、例えばポリマーが温度感受性である場合には、放出は、代わって温度に応答して誘発され得る。
【背景技術】
【0002】
洗濯用洗剤で洗濯される衣類は通常、手触りが悪く、その結果着心地がよくなく、不快である。その理由で、消費者は、プログラム化されたすすぎサイクル段階中に又はプログラム化されたすすぎサイクル段階内に洗濯機に個々に添加しなくてはならない生地柔軟剤を使用することが一般的である。消費者は、利便性に最も関心があり、したがって単一完成製品として洗浄力及び柔軟性を送達することが可能な消費者商品が市場で必要とされている。
【0003】
柔軟化成分を含む洗剤配合物を作製することに関する幾つかの提案が、文献中で提唱されている。例えば欧州特許第299,575号明細書は、有機界面活性剤5〜40%、及び生地柔軟化成分として、柔軟性増強量のポリマークレイ凝集剤を含有するスメクタイト型クレイ1〜30%を含む洗剤組成物を提供する。クレイ粒子は、使用されるビルダー系にかかわらず、洗濯プロセス中に洗剤組成物から生地上へより効率的に堆積される。米国特許第6,294,516号明細書では、有機脂肪族柔軟化材料を組み合わせてモンモリロナイト含有クレイを含む、圧縮顆粒状生地柔軟剤組成物或いは封入液体及び/又は顆粒状生地柔軟剤組成物を含む単位用量洗浄サイクル生地柔軟剤組成物が提供される。錠剤の形態での単位用量生地柔軟剤は、洗浄力を減じることなく、或いは洗剤組成物により提供される浄化利益を弱めることなく、洗浄サイクルにおいて生地を柔軟化して、コンディショニングする。これらの開示は、柔軟化作用が洗濯プロセスの洗浄サイクルにおいて生じる場合のアプローチを扱っている。
【0004】
欧州特許第1,479,755号明細書は、或る特定の度合いのアセチル化を有するアミノアセチル化多糖類を含むpH感受性フィルム又はコーティング組成物を開示している。また、少なくとも2つの機能部分を含む自動洗濯機又は食器洗い機で使用するための洗浄組成物が開示されており、第1の部分は、機械の主要洗浄サイクルへ第1の組成物を放出し、第2の部分は、機械のすすぎサイクルへ第2の組成物を放出する。洗浄組成物は、或る特定の度合いのアセチル化を有するアミノアセチル化多糖類を含む主要洗浄液への第2の組成物の放出を防止する少なくとも1つの放出制御剤をさらに含む。放出制御剤は、生地柔軟化の改善のような有益な手入れ特性を提供する。この発明は、多成分錠剤形態で使用され、ここでは第2の組成物が、別個に形成された成分として第1の組成物から形成される錠剤中のくぼみに位置する。
【0005】
多成分錠剤を要さず、且つ界面活性剤が有効でない場合の洗浄サイクルの段階でシリコーン柔軟剤のようなシリコーンベースの活性材料を放出することが可能である送達系が必要とされる。理想的には、この送達系は、洗濯機のすすぎサイクル中に柔軟剤を放出すべきである。
【0006】
本発明により対処される重要な主な要求は、柔軟性を提供するシリコーン活性成分の供給であるが、同様に他のケイ素ベースの材料を有効に提供することができることも要求される。このことは、pHによる誘発の結果として洗浄プロセスにシリコーン活性成分及び他のケイ素ベースの材料を送達することにより、本発明により可能であることが見出されている。かかる他のケイ素ベースの材料としては、特にシリコーン泡制御剤が挙げられる。洗浄プロセスのすすぎサイクル又はすすぎ段階において泡制御を有することの価値は既知であり、洗濯される繊維材料又は衣類において泡が存在しないこと又は泡が低減されることに起因して改善されたすすぎを可能にする。
【0007】
国際公開第98/27189号パンフレットでは、きめの細かい生地の保護の改善及び泡の除去の向上のための弱酸性洗濯用洗剤組成物が開示されている。上記組成物は、脂肪酸を含むpH感受性泡制御剤と共に提供される。上記組成物は、洗浄浴において浄化性能を提供する濃度で洗浄水に添加されると、5.5〜6.9の洗浄水のpHを発生させることが可能であると記述されている。脂肪酸に基づく泡制御剤は、洗浄水の該pHでは酸性形態のままであり、その結果洗浄中に泡を抑制するように作動せず、そして約pH7.5〜8.5の水道水で洗濯物をすすぐ時に、脂肪酸の少なくとも一部が、すすぎ中に泡を抑制するように機能する石鹸に変換される。石鹸は、必ずしも有効な泡制御剤であるとは限らず、シリコーンベースの泡制御剤を使用する場合にすすぎサイクルにおいて泡制御を提供することの有益性があることが既知である。
【0008】
代替的な提唱は、米国特許第4,978,471号明細書に見出され、これは、界面活性剤、ビルダー、並びに第1の消泡剤及び第2の消泡剤の非水性エマルジョンを含む分散性シリコーン消泡剤からなる泡制御剤を含む洗濯用洗剤を開示しており、ここで(A)第1の消泡剤は、(a)ポリオルガノシロキサン、(b)樹脂状シロキサン又はシリコーン樹脂生産用ケイ素ベースの化合物、(c)微細フィラー、並びに(d)シラノレートを形成するための成分(a)、(b)及び(c)の反応を促進するための触媒の混合物であり、(B)第2の消泡剤は、(i)極性基で置換されたポリジメチルシロキサン及び(ii)ポリジメチルシロキサン流体(成分(i)は、洗濯すすぎサイクルにおいて起泡のより有効な低減を提供する)、(iii)少なくとも1つの非イオンシリコーン界面活性剤、(iv)第1の有機分散剤、並びに(v)1級OH基を末端にする非イオン二官能性ブロックコポリマーの第2の分散剤の混合物である。しかしながら、第2の消泡剤がすすぎサイクルへ完全に移動して、そこで放出されることを確実にするための、第2の消泡剤を保護する方法が示されていない。例示される試験は、別個のスピナーを使用すること、及び洗濯ドラムから洗濯物を出し入れすることに基づく。より確固たる且つ信頼性の高い系が依然として要求されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
柔軟性又は泡制御のほかに、或る特定の活性物(即ち、蛍光増白剤、香料、及び柔軟性以外の有益性を寄与するシリコーンのような)をより効率的に送達することに関心が持たれるという事実により、要求がさらに駆り立てられる。これらは、本発明に基づき、柔軟性又は他の有益性の送達を目的とするシリコーン材料に加えて、或いはその送達を目的とするシリコーン材料として送達され得る。より効率的に送達されると、洗濯用洗剤中のかかる活性物のレベルを低減させることができ、洗剤製造業者にとって著しいコスト削減の有益な結果につながる。
【0010】
界面活性剤はほとんどの洗濯用洗剤において、衣類を浄化するのに非常に有効であるが、界面活性剤は概して、衣類上でのシリコーンのような活性成分の堆積を禁止又は阻害する。これは、例えば洗浄サイクルのすすぎ段階中に、界面活性剤が無効である場合に、活性成分を放出する送達系を使用することにより克服することができる。放出は好ましくは、pHの関数として誘発される。したがって、洗濯機の衣類浄化サイクルの洗浄段階及びすすぎ段階中に存在する条件を比較すると、洗浄段階中のpHは概して、9〜10に増大し、温度は約40℃以上に増大し、イオン強度も同様に増大する。すすぎ段階中では、pHは、約7〜8に減少し、温度は室温に下がり、イオン強度は下がる傾向にある。
【0011】
これらのパラメータの中で、二重トリガーメカニズムを提供するため、温度も依存され得るけれども、pHは主に洗濯用洗剤組成物に依存するため、pHが最も不安定である。イオン強度は、対象とするのがより困難な基準である。したがって、高いpHでは水性媒質中で難溶性であり、且つほぼ中性pHでは遥かに溶解性であるポリマーが要される。洗濯に使用されるほとんどのポリマーは、それらが主により高いpHで改善された溶解度を有するアクリル酸に基づいているため、実際は逆の挙動を有する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに、ポリ(メタ)アクリレートポリマーのような陽イオンポリマーは、洗浄プロセスを介した繊維材料へのシリコーン活性成分の送達を対象とした固体(好ましくは顆粒状)組成物の調製において、シリコーン活性成分用の防御コーティングとして有効に使用することができることを見出した。
【0013】
したがって、本発明は、pH7で陽イオンである陽イオンポリマー、及びシリコーン活性成分を含有する固体シリコーン放出組成物に関し、上記陽イオンポリマー及びシリコーン活性成分は、固体組成物の形成前又は形成中に互いに混合される。好ましくは、固体シリコーン放出組成物はまた、増粘剤及びキャリアを含む。固体という用語は、液体と区別するのに使用されており、圧縮形態、ペースト状形態、顆粒形態又は他の形態のような任意の固体形態であり得る。流動性を有する顆粒状材料は、固体という用語に具体的に含まれる。
【0014】
本発明はまた、固体シリコーン放出組成物から構成される顆粒状封入組成物である固体シリコーン放出組成物及び成分の1つとして固体シリコーン放出組成物を含有する洗濯用洗剤粉末に関する。本発明はさらに、洗浄プロセスにおいて、例えば洗濯機において衣類を洗浄及び/又は処理(例えば、柔軟化)する方法に関し、当該方法は、組成物が、まず洗浄サイクル中に塩基性pHと、次にすすぎサイクル中に中性pHと接触するように、場合によっては洗濯用洗剤粉末と併せて本発明の第1の態様による固体シリコーン放出組成物を洗浄プロセスに添加することにより、或いは本発明の第1の態様による固体シリコーン放出組成物を含有する洗濯用洗剤粉末を添加することにより行なわれる。
【0015】
本発明では、固体(例えば、顆粒状)洗剤粉末を使用して洗濯用途で固体シリコーン放出組成物を使用することが好ましい一方で、液体洗剤と併用する用途(この場合、固体シリコーン放出組成物は洗浄サイクルを開始する段階で添加される)を含む(が、好ましくない)他の用途、或いは自動食器洗い機、棒状ハンドソープ及び固体粒子の使用に適している洗浄及び/又は浄化用途のようなさらに他のより好ましい用途で一般的に使用することができる。本発明のこれらの特徴及び他の特徴は、詳細な説明の考慮から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の固体シリコーン放出組成物は概して、陽イオンポリマー、シリコーン活性成分、並びに好ましくは増粘剤及びキャリアを含む。固体シリコーン放出組成物は、陽イオンポリマー及びシリコーン活性成分が一緒に混合されるのであれば、多数の方法で調製され得るが、固体シリコーン放出組成物は、水のような水性媒質を用いて作製されるスラリー、溶液、エマルジョン又は懸濁液から調製されることが好ましい。このようにして作製される場合、組成物は、洗濯機のサイクルの1つの間に放出され得るシリコーン活性成分を含有する顆粒状封入組成物を形成するために、噴霧及び乾燥されてもよく、或いは噴霧乾燥されてもよい。シリコーン活性成分を含有する顆粒状封入組成物が、別個に形成された後で、顆粒状洗濯用粉末と混合されるように乾燥されるか、或いはシリコーン活性成分を含有する顆粒状封入組成物が、他の成分(例えば、洗剤粉末成分)と一緒に乾燥されて、封入シリコーン活性成分及び粉末洗剤組成物の他の成分を含む顆粒状組成物を形成することができる。
【0017】
陽イオンポリマーは、pH又は温度の正確な条件が整うまで、シリコーン活性成分の放出が遅延又は先送りされるように、シリコーン活性成分に関する保護剤、例えばコーティングとして機能する。さらに、陽イオンポリマーの陽イオン性は、非イオン型ポリマーを使用する際に通常残るものと比較して、残渣のレベルを低減させる。キャリアは、使用される場合、保護されるシリコーン活性成分が封入形態又はコーティングされた形態で保持される基剤として機能するが、本発明はまた、キャリアを用いずに作製される顆粒状材料も包含する。増粘剤は、より高いpHでの洗浄サイクルの間のシリコーン活性成分の保護を増強し、より中性のpH環境でのシリコーン活性成分の放出、及び場合によっては堆積を改善すると考えられる。
【0018】
陽イオンポリマーは、9〜11の塩基性pHよりも中性pH7でより高い水溶性を有するホモポリマー又はコポリマーである。陽イオンポリマーは最も好ましくは、ポリ(メタ)アクリレートポリマーである。陽イオンポリマーは、モノエチレン性不飽和モノマー、すなわち、アリルモノマー及びビニルモノマーから調製されるホモポリマー又はコポリマーである。特に、陽イオンポリマーは、アクリルモノマー又はメタクリルモノマーから調製されるホモポリマー又はコポリマーである。陽イオンホモポリマー又は陽イオンコポリマーを調製するのに使用され得るモノマーのいくつかの例としては、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルアルキルメタクリルアミド(アルキル基は、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基である)、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールが挙げられ、ここで、モノマーは、酸、四級化剤、塩化ベンジル、塩化メチル、塩化アルキル、塩化アリール又は硫酸ジメチルによって部分的に四級化、完全に四級化、又は塩化される。本明細書中で使用される場合、塩化物(salified)は、アミノと酸との間の酸塩基反応によって形成される塩を示す。
【0019】
陽イオンホモポリマー又は陽イオンコポリマーを調製するのに使用され得るさらに具体的なモノマーのいくつかの例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルフマレート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、tert−ブチルアミノプロピルメタクリレート、ジイソプロピルアミノエチルメタクリレートが挙げられ、これらのモノマーは、酸、四級化剤、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、塩化アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、塩化アクリロイルオキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、及び塩化メタクリロイルオキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムによって部分的に又は完全に四級化又は塩化される。
【0020】
必要に応じて、陽イオンポリマーは、さらなるモノマー、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキルアクリルアミド、アルキルアルキルアクリルアミド、アルキルメタクリルアミド、アルキルアルキルメタクリルアミド、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基は、1〜12個の炭素原子を含有する)、N−ビニルメチルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、オクチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2−エトキシエチルビニルエーテル、2−メトキシエチルビニルエーテル、メチルトリ(エチレングリコール)ビニルエーテル、ジヒドロキシプロピルメタクリレート、ジヒドロキシプロピルアクリレート、N−ヒドロキシアルキルアクリルアミド、N−ヒドロキシアルキルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N,N−ジヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジヒドロキシエチルメタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)のアクリレート、ポリ(エチレングリコール)のメタクリレート、エトキシ化脂肪族アルコールのアクリレート、エトキシ化脂肪族アルコールのメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)コポリマーのアクリレート、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)コポリマーのメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール)のアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)のメタクリレート、モルフォリノエチルアクリレート、モルフォリノエチルメタクリレート、酢酸ビニル、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、メチルメタクリレート、スチレン、及びアクリロニトリルによって調製することができる。
【0021】
陽イオンポリマーは、直鎖状ポリマー、分岐状ポリマー、又は部分架橋ポリマーであり得る。陽イオンポリマーは、ジエチレン性不飽和モノマーである分岐剤によって分岐又は部分架橋され得る。例えば、使用され得る分岐剤としては、ジアクリレートエステル及びポリエチレン性不飽和モノマー、例えば、ポリエチレングリコールのジアクリレート及びメチレンビスアクリルアミドが挙げられる。
【0022】
陽イオンポリマーは好ましくは、ポリ(メタ)アクリレートポリマーである。ポリ(メタ)アクリレートポリマー及びそれらを製造する方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第5,393,381号明細書(1995年2月28日)、米国特許第6,579,417号明細書(2003年6月17日)、及び米国特許出願公開第2004/0040683号明細書(2004年3月4日)(これらは全て、SNF S.A.(Andrezieux Cedex, France)に譲渡されている)について参照することができる。このようなポリマー及び当該ポリマーを製造する方法は、Kirk−Othmer化学工業大辞典(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)、Fourth Edition、Volume 1、Pages 266-287、John Wiley & Sons(1981)に記載されている。
【0023】
一般に、これらのポリ(メタ)アクリレートポリマーは、モノマー、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルメチルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、酢酸ビニル、ビニルピロリドン及びメチルメタクリレート;並びにエチレン性不飽和モノマー、例えば、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、塩化ジメチルジアリルアンモニウム、塩化アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、及び塩化メチルアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムから製造されるホモポリマー及びコポリマーから構成される。最も好ましいポリ(メタ)アクリレートポリマーは、ポリ(2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)である。
【0024】
本発明の目的から、陽イオンポリマーは、適用時に固体シリコーン放出組成物がまず塩基性pH、続いて中性pHと接触する場合に、中性pHでの接触までその溶解が遅延されるように、塩基性pHよりも中性pHでより高い水溶性を有するものとする。本明細書中で使用される場合、塩基性pHは、9〜11のpHを意味する。上述のように、陽イオンポリマーは、アミノ(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドのポリマー或いはコポリマーを含む。陽イオンポリマーは、水溶性を調整するための他のコモノマー、例えばエトキシ化(メタ)アクリレート又はエトキシ化(メタ)アクリルアミドを含有してもよい。最も好ましくは、1つのコモノマーは、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートと同程度水溶性であるべきであり、より一層好ましくは、中性pHでより水溶性であるべきである。理論により拘束されることを望まないが、ポリマーは、より低いpH値を有するよりアルカリ性の低い環境に置かれた際にプロトン化を開始して、水とのそれらの適合性を増大させることにより水溶性及びシリコーン活性成分を放出する能力を改善させる。しかしながら、ポリマー構造、ポリマー上の親水性置換基の存在等のような他の態様もまた、中性pHでの水溶性に寄与するであろう。当業者は、上記説明及び情報に基づいて、試みる価値があるという理にかなった確信を伴う適切な材料を選択することが可能である。
【0025】
シリコーン活性成分は、様々なシリコーン組成物及びシリコーン組成物を含有するエマルジョンから選択することができる。上述するように、好ましいシリコーン活性成分は、繊維又は衣類に対して柔軟性(softening)を提供する能力を有するものであり、これらとしては、以下の段落[0026](段落[0027]に該当)におけるカテゴリー(i)、(iii)、(iv)、(vi)、(vii)、(ix)又は(xi)の下で記載される材料が挙げられる。しかしながら、他の効果を有するシリコーン活性成分もまた、本発明の範囲に包含され、例えばシリコーンベースの泡制御剤、シリコーンベースの蛍光増白剤等(それらのうちの幾つかは、以下で例示される)が挙げられる。
【0026】
シリコーン活性成分として使用することができるシリコーン組成物及びシリコーン組成物を含有するエマルジョンの幾つかの例としては、(i)直鎖状、分岐状、環状及び架橋ポリシロキサン並びにそれらのエマルジョン(かかる材料は、例えば米国特許第4,620,878号明細書、米国特許第5,895,794号明細書、米国特許第6,013,682号明細書、米国特許第6,316,541号明細書、米国特許第6,395,790号明細書、米国特許第6,878,773号明細書及び欧州特許第874,017号明細書に記載されている)、(ii)例えば米国特許第6,362,159号明細書に記載されるようなシリコーンワックス及びそれらのエマルジョン、(iii)例えば米国特許第6,171,515号明細書、米国特許第6,248,855号明細書、米国特許第6,255,429号明細書、欧州特許第540,557号明細書及び国際公開第2004/069899号パンフレットに記載されるようなアミノ官能性シリコーン及びそれらのエマルジョン、(iv)例えば米国特許第6,136,215号明細書に記載されるようなアミド官能性シリコーン及びそれらのエマルジョン、(v)例えば英国特許第1,041,870号明細書(1966年9月7日)に記載されるようなアリール置換シリコーン、アルキル置換シリコーン、及びそれらのエマルジョン、(vi)例えば欧州特許第995,771号明細書及びSilicone Surfactants, Surfactant Science Series, Volume 86, Randal M. Hill, Marcel Dekker, Inc., (1999)の49頁〜64頁にに記載されるようなシリコーングリコール及びそれらのエマルジョン、(vii)例えば国際公開第2005/016998号パンフレットに記載されるシリコーンガム、シリコーンガムの混合物、及びそれらのエマルジョン、(viii)シリコーン樹脂及びそれらのエマルジョン、即ち、国際公開第2005/016998号パンフレット(2005年2月24日)、(ix)例えば米国特許第4,591,652号明細書、米国特許第5,831,080号明細書、米国特許第6,517,933号明細書、国際公開第2003/50144号パンフレット及び国際公開第2004/24799号パンフレットに記載されるような糖シリコーン(sugar silicones)及びそれらのエマルジョン、(x)例えば米国特許第4,537,677号明細書及び米国特許第5,454,979号明細書に記載されるようなフルオロシリコーン流体及びそれらのエマルジョン、(xi)陽イオンシラン、陽イオンシリコーン及びそれらのエマルジョン、即ち米国特許第4,631,273号明細書(1986年12月23日)及び米国特許第6,482,969号明細書(2002年11月19日)、(xii)アミノアルキル官能性有機ケイ素化合物と蛍光官能性有機スルホン酸との反応に由来する蛍光有機ケイ素化合物である、例えば米国特許第4,866,152号明細書に記載されるような生地白化剤、即ち蛍光増白剤、並びに、(xiii)例えば米国特許第4,639,498号明細書、米国特許第5,486,306号明細書、米国特許第6,521,586号明細書及び米国特許第6,521,587号明細書に記載されるようなシリコーンベースの泡制御剤(例えば、消泡剤)及びそれらのエマルジョンが挙げられる。(i)〜(xiii)の組成物及び/又はエマルジョンの混合物並びに/或いは混合物もまた使用することができる。
【0027】
最も好ましいシリコーン活性成分は、織物に柔軟性を提供するものであり、好ましくは、実質的に直鎖状のポリジオルガノシロキサン材料(トリアルキルシリルユニット、ジアルキルアリールシリルユニット、ジアルキルシラノールユニット等のいずれかで末端ブロックされる)、アミノ官能基で置換されたポリジオルガノシロキサン、アミド官能基で置換されたポリオルガノシロキサン、ポリオキシアルキレン官能基を有するポリジオルガノシロキサン並びに同じポリマー中にアミノ又はアミドのいずれかの官能基及びポリオキシアルキレン官能基を有するポリジオルガノシロキサンから選択される。好ましくは、ポリオルガノシロキサンは、一般式RSiO4−a/2(式中、Rは、好ましくは1〜12個の炭素原子を有する炭化水素基、好ましくはアルキル、アリール又はアルケニル基、最も好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、最も好ましくはメチルを示し、aは0〜3の値を有する整数であるが、ポリマーに関する平均値は、1.6〜2.4、好ましくは1.9〜2.2である)のシロキサン単位を有するポリジヒドロカルビルシロキサンである。これらの好ましいポリオルガノシロキサンは、一般式Ra−1SiO4−a/2(式中、Rは、R基又は水酸基である)の末端基を有する実質的に直鎖状の材料である。
【0028】
官能基で置換される上記のポリオルガノシロキサンは、一般式RR’SiO4−b−c/2(式中、Rは上記で定義した通りであり、R’は、アミン含有置換基、アミド含有置換基及びポリオキシアルキレン含有置換基から選択される官能基であり、bは、0〜2の値を有する整数であり、cは、1、2又は3の値を有する整数であり、b+cは、1〜3の値を有し、好ましくは1.6〜2.4、より好ましくは1.9〜2.2の平均値を有する)を有するシロキサン単位をさらに有する。アミン官能基を有するR’基は好ましくは、アミノアルキル基から選択される。適切なアミノアルキル基は、式R−(NH−A’)−NH−A−(式中、A及びA’はそれぞれ独立して、1〜6個の炭素原子を有し且つ任意にエーテル結合を含有する直鎖又は分岐鎖アルキレン基であり、q=0〜4であり、Rは、水素、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基である)を有する。好ましいアミノアルキル基の例としては、−(CHNH、−(CHNH、−(CHNH(CHNH、−CHCH(CH)CHNH(CHNH、−(CHNHCHCHNH(CHNH、−CHCH(CH)CHNH(CHNH、−(CHNH(CHNH、及び−(CHO(CHNHが挙げられる。アミド含有置換基R’は、例えば、二価の結合Rを介してケイ素原子と結合する基=NCO(CHROHによって提供される。好ましくは、Rは水素原子を示し、nは3、4、5又は6の値を有する。好ましい材料は、Rが二価の炭化水素基又は基R(NR(式中、Rは、二価の炭化水素基を示し、Rは、水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基、又は基Xを示し、Xは基CO(CHROH(式中、Rは、水素原子又はアルキル基を示す)を示し、sは、0〜4の範囲、より好ましくは1又は2の値を有する)を示すものである。官能基がポリオキシアルキレンである場合、置換基は、一般式−R(OC(OC(式中、Rは上記で定義した通りであり、tは、1〜50、好ましくは3〜10の値を有し、uは、0〜50、好ましくは0〜8の値を有する)を有するであろう。
【0029】
シリコーン活性成分が、泡制御剤/消泡剤として選ばれる場合、シリコーン活性成分は概して、ポリオルガノシロキサン流体、及び好ましくは同様に疎水性微粒子フィラーを含む。ポリシロキサン流体は、例えば欧州特許出願公開第217,501号明細書(A)、米国特許出願公開第5,674,938号明細書(A)及び米国特許出願公開第6,150,488号明細書(A)に記載されるように、実質的に直鎖状のポリジオルガノシロキサンであり得るか、或いは分岐であり得る。ポリオルガノシロキサン流体における有機基は概して、メチル基を含み、さらに式Y−Ph(式中、Yは、炭素原子を通じてケイ素に結合された二価脂肪族有機基を示し、Phは、芳香族基を示す)を有するケイ素結合された置換基(かかる流体の例は、欧州特許出願公開第1,075,864号明細書(A)に記載されている)或いは高級(炭素数8以上(C8+))アルキル基(かかる流体の例は、欧州特許出願公開第578,423号明細書(A)に記載されている)を含んでもよい。好ましい疎水性フィラーは、ポリジメチルシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン又は有機ケイ素樹脂(一価基(CHSiO1/2を含む)のようなメチル置換された有機ケイ素材料による、或いは脂肪酸による、好ましくは少なくとも80℃の温度での処理により疎水性とされたシリカである。代替的な疎水性フィラーとしては、チタニア、石英粉末、アルミナ、アルミノケイ酸塩、有機ワックス(例えば、ポリエチレンワックス又は微結晶ワックス)、及び/又はアルキルアミド(例えば、エチレンビスステアラミド又はメチレンビスステアラミド)が挙げられる。また、シリコーン消泡剤は好ましくは、式RSiO1/2基及びSiO4/2基(式中、Rは、一価炭化水素基を示す)の基を含むシリコーン樹脂、例えばMQ樹脂を含有する。シリコーン樹脂は、ポリシロキサン流体中で可溶性であり得るか、部分的に可溶性であり得るか、或いは不溶性であり得る。
【0030】
本発明の組成物において有用である増粘剤は、水性媒質と接触したときに、当該水性媒質の粘度が増大する材料である。これらの材料は、当業者にとって既知であり、多くの刊行物に記載されている。本発明による組成物に有用な適切なタイプの増粘剤は、ポリアクリレート及びそれらの誘導体、多糖及びそれらの誘導体、並びにポリマーガムから選択される1つ又は複数のポリマー材料を含む。ポリアクリレートタイプの増粘剤は特に、ポリアクリレートポリマー、及びアクリレートとメタクリレートとのコポリマーを含む。適切なポリアクリレートタイプの増粘剤の例は、アクリレートモノマー、アクリルアミドモノマー、又はそれらの混合物を含有するものである。これらの増粘剤は、Carbopol 940等のカルボマーポリマーであってもよい。これらの好ましいカルボマーは、Carbopol(登録商標)940、Carbopol 941、Carbopol 980、Carbopol 981、Carbopol Ultrez 10及びCarbopol ETD 2050、並びにそれらの混合物であり、全てNoveonから販売されている。本明細書中で増粘剤として使用され得るポリマーガムは、海藻、陸上植物、微生物産生多糖、及び多糖誘導体であるとみなされ得る。海藻ガムの例としては、アガー、アルギン酸塩、カラギーナン及びファーセレランが挙げられる。陸上植物ガムの例としては、グアーガム、アラビアガム、トラガカントガム(gum tragacenth)、カラヤガム、ローカストビーンガム及びペクチンが挙げられる。微生物産生多糖の例としては、デキストラン、ジェランガム、ラムザンガム、ウェランガム及びキサンタンガムが挙げられる。多糖誘導体の例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、及びヒドロキシプロピルグアーが挙げられる。詳細には、有用な増粘剤としては、ペクチン;アルギン酸塩、例えばアルギン酸ナトリウム;アラビノガラクタン(アラビアガム);カラギーナン;ジェランガム;キサンタンガム;グアーガム、(例えばポリオキシエチレングアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム);プルロニック材料;エトキシ化アルコール、例えば、ラウレス−4又はポリエチレングリコール400;メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルヒドロキシエチルセルロースで例示されるセルロース誘導体;デンプン、及びヒドロキシエチルアミロース及びデンプンアミロースで例示されるデンプン誘導体;ローカストビーンガム;並びに、フルクトース及びグルコース等の多糖、及びPEG−120メチルグルコースジオレエート等の多糖の誘導体が挙げられる。適切な増粘剤は、50,000より大きい数百万までの分子量を有する傾向にある。
【0031】
本発明の組成物で使用するためのキャリア(使用される場合)、及びシリコーン活性成分を封入する幾つかの方法は、例えば米国特許第5,861,368号明細書、米国特許第6,521,587号明細書及び欧州特許明細書第0,094,250号明細書に記載されている。デンプンは、本発明で使用するための潜在的なキャリアであるが、ゼオライト、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩、シリカ、ケイ酸塩、クレイ、セルロース材料、クエン酸及びアルミノケイ酸塩のような他のキャリアも使用することができる。キャリアは、使用される場合、微粒子材料であり、凝集工程中に噴霧される液体と、好ましくは発熱的に相互作用する。好ましくは、キャリアは水に可溶性であり、水による水和及び/又は溶解の正の熱を有する。工業的等級に関して軽灰として一般的に既知である炭酸ナトリウム、特に無水炭酸ナトリウムが、泡制御剤にとって好ましいキャリアであり、代替物は、トリポリリン酸ナトリウムである。キャリアの平均粒子半径は好ましくは、少なくとも3ミクロン、最も好ましくは少なくとも10ミクロン〜最大250ミクロン、より好ましくは25〜100ミクロンである。乾燥形態(シリコーン活性材料に加えて陽イオンポリマー、及び他の任意の成分)におけるキャリア粒子対他成分の重量比は、好ましくは1:1〜50:1の範囲である。
【0032】
シリコーン活性成分のほかに、他のタイプの活性成分を、本発明による固体シリコーン放出組成物中に含ませることができる。例えば、組成物は、(i)第四級エステル(ester quats)、第四級タロウ(tallow quats)(例えば、商標Arquad(登録商標)HTL8の下で販売されるジメチル水素化タロウ−2−エチルヘキシルアンモニウムメチルスルフェート、商標Arquad 2HTの下で販売されるジメチル二水素化タロウアンモニウムクロリド)、脂肪酸、スメクタイトクレイ(バイデライトクレイ、ヘクトライトクレイ、ラポナイトクレイ、モンモリロナイトクレイ、ノントロナイト(nontonite)クレイ及びサポナイトクレイを含む)のような有機又は無機柔軟化剤、(ii)スチルベン誘導体、ベンゼン及びビフェニルのスチリル誘導体、ピラゾリン、ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)誘導体、クマリン、カルボスチリル並びにナフタルイミドのような有機生地白化剤及び/又は蛍光増白剤、(iii)ポリエチレンテレフタレート/ポリオキシエチレンテレフタレートPET/POET水溶性ポリマーのような汚れ付着防止剤及び/又はしみ付着防止剤、(iv)尿素のメチロール化合物、尿素のアルコキシメチロール化合物、メラミン及びカルバメートのような皺取り処理剤、並びに(v)シリコーン消泡剤に基づかない泡制御剤及びそれらのエマルジョンを含有してもよい。
【0033】
組成物中に含まれ得る別のタイプの活性成分は香料である。香料は、組成物の重量に基づき0.1〜15重量%のレベルで存在し得る。香料は、良い香りの芳香性物質、又は良い香りの芳香性物質の混合物であってよく、これらには、花、ハーブ、葉、根、樹皮、木、果樹の花又は植物の抽出物から得られる天然物質、並びに異なる天然油又は油構成成分の混合物を含む人工物質、並びに合成により製造された物質が含まれる。有用な香料成分の幾つかの例としては、ヘキシルシンナムアルデヒド、アミルシンナムアルデヒド、サリチル酸アミル、サリチル酸ヘキシル、テルピネオール、3,7−ジメチル−cis−2,6−オクタジエン−1−オール、2,6−ジメチル−2−オクタノール、2,6−ジメチル−7−オクテン−2−オール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、3,7−ジメチル−trans−2,6−オクタジエン−1−オール、3,7−ジメチル−6−オクテン−1−オール、3,7−ジメチル−1−オクタノール、2−メチル−3−(パラ−tert−ブチルフェニル)−プロピオンアルデヒド、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、プロピオン酸トリシクロデセニル、酢酸トリシクロデセニル、アニスアルデヒド、2−メチル−2−(パラ−イソ−プロピルフェニル)−プロピオンアルデヒド、エチル−3−メチル−3−フェニルグリシデート、4−(パラ−ヒドロキシフェニル)−ブタン−2−オン、1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−2−ブテン−1−オン、パラ−メトキシアセトフェノン、パラ−メトキシ−α−フェニルプロペン、メチル−2−n−ヘキシル−3−オキソ−シクロペンタンカルボキシレート、及びγ−ウンデカラクトンが挙げられる。
【0034】
香料成分のさらなる例としては、オレンジ油;レモン油;グレープフルーツ油;ベルガモット油;チョウジ油;γ−ドデカラクトン;メチル−2−(2−ペンチル−3−オキソ−シクロペンチル)アセテート;β−ナフトールメチルエーテル;メチル−β−ナフチルケトン;クマリン;デシルアルデヒド;ベンズアルデヒド;4−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート;α,α−ジメチルフェネチルアセテート;メチルフェニルカルビニルアセテート;4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド及びメチルアントラニレートのシッフ塩基;トリデカンジオン酸の環状エチレングリコールジエステル;3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−ニトリル;イオノンγメチル;α−イオノン;β−イオノン;プチグレン;メチルセドリロン;7−アセチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−1,1,6,7−テトラメチル−ナフタレン;イオノンメチル;メチル−1,6,10−トリメチル−2,5,9−シクロドデカトリエン−1−イルケトン;7−アセチル−1,1,3,4,4,6−ヘキサメチルテトラリン;4−アセチル−6−tert−ブチル−1,1−ジメチルインダン;ベンゾフェノン;6−アセチル−1,1,2,3,3,5−ヘキサメチルインダン;5−アセチル−3−イソプロピル−1,1,2,6−テトラメチルインダン;1−ドデカナール;7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクタナール;10−ウンデセン−1−アール;イソ−ヘキセニルシクロヘキシルカルボキシアルデヒド;ホルミルトリシクロデカン;シクロペンタデカノリド;16−ヒドロキシ−9−ヘキサデセン酸ラクトン;1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン;アンブロキサン;ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト−2,1bフラン;セドロール;5−(2,2,3−トリメチルシクロペント−3−エニル)−3−メチルペンタン−2−オール;2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール;カリオフィレンアルコール;酢酸セドリル;パラ−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート;パッチュリ;オリバナムレジノイド;ラダナム;ベチバー(vetivert);コパイババルサム;バルサムモミ;並びに、ヒドロキシシトロネラール及びアントラニル酸メチルの縮合生成物、ヒドロキシシトラネラール及びインドールの縮合生成物、フェニルアセトアルデヒド及びインドールの縮合生成物、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド及びアントラニル酸メチルの縮合生成物が挙げられる。
【0035】
香料成分のより多くの例は、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、リナロール、酢酸リナリル、テトラヒドロリナロール、シトロネロール、酢酸シトロネリル、ジヒドロミルセノール、酢酸ジヒドロミルセニル、テトラヒドロミルセノール、酢酸テルピニル、ノポール(nopol)、酢酸ノピル、2−フェニルエタノール、2−フェニルエチルアセテート、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル、酢酸スチラリル、ジメチルベンジルカルビノール、トリクロロメチルフェニルカルビニルメチルフェニルカルビニルアセテート、酢酸イソノニル、酢酸ベチベリル、ベチベロール、2−メチル−3−(p−tert−ブチルフェニル)−プロパナール、2−メチル−3−(p−イソプロピルフェニル)−プロパナール、3−(p−tert−ブチルフェニル)−プロパナール、4−(4−メチル−3−フェニル)−3−シクロヘキセンカルバルデヒド、4−アセトキシ−3−ペンチルテトラヒドロピラン、ジヒドロジャスモン酸メチル、2−n−ヘプチルシクロペンタノン、3−メチル−2−ペンチル−シクロペンタノン、n−デカナール、n−ドデカナール、9−デセノール−1、フェノキシエチルイソブチレート、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ゲラノニトリル、シトロネロニトリル、酢酸セドリル、3−イソカンフィルシクロヘキサノール、セドリルメチルエーテル、イソロンギフォラノン、オーベピンニトリル、オーベピン、ヘリオトロピン、オイゲノール、バニリン、酸化ジフェニル、ヒドロキシシトロネラールイオノン、メチルイオノン、イソメチルイオノン、イロン、cis−3−ヘキセノール及びそのエステル、インダンムスクフレグランス、テトラリンムスクフレグランス、イソクロマンムスクフレグランス、大環状ケトン、マクロラクトンムスクフレグランス、及びエチレンブラシレートである。
【0036】
幾つかの用途に関して、陽イオンポリマーを結合剤と混合することにより、陽イオンポリマーの水溶性を調節することが望ましい場合がある。結合剤は、使用される場合、シリコーン活性材料と混合されてもよく、外気温以上の融点を有する。結合剤は好ましくは、或る程度水に可溶性である。結合剤の例は、C10〜C20アルコールとエチレンオキシドとの反応生成物であるポリエチレングリコール(PEG)のようなポリオキシアルキレンポリマーである。
【0037】
結合剤は、水溶性ポリマー又は水溶性コポリマー等の固体水溶性ポリマー材料から成ってもよい。結合剤はまた、化合物、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、セルロース誘導体又はそれらの塩、カルボキシメチルキチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、エステルガム、デンプン誘導体、多糖、ポリエチレンオキシド、ゼラチン、コラーゲン、炭水化物、ヒアルロン酸(hyaluoronic acid)、アルギン酸ナトリウム、ゼラチングルテン、天然ガム、又はそれらの混合物であり得る。水溶性ポリマー材料の幾つかの例としては、水溶性アクリル系ポリマー化合物、例えば、カルボキシビニルポリマー(例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、それらのコポリマー又は部分架橋生成物);ナトリウム塩及びカリウム塩を含む水溶性塩(例えば、アンモニウム塩及びアルカリ金属塩);ポリアクリルアミド及びコポリマー、又は20,000以上、好ましくは50,000〜15,000,000の分子量を有する、ポリアクリルアミドとカルボキシビニルポリマーとの部分架橋生成物;水溶性セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルキチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、エステルガム);デンプンの水溶性誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルデンプン);並びに水溶性ポリエチレンオキシドが挙げられる。使用され得る天然ポリマー材料の例としては、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム、エーテルコラーゲン、ゼラチン、グルテン、アラビアガム、マンナン、デキストラン、トラガカントガム、アミロペクチン、キサンタンガム、チョヤガム、ローカストビーンガム、カゼイン、ペクチン、及びフィブリン糊が挙げられる。さらに、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーを使用することができる。当然のことながら、本明細書に示される結合材料は、同時に異なる役割を果たす。例えば、幾つかのキャリア材料も、結合剤又は増粘剤に必要とされる特性を有することがある。
【0038】
固体シリコーン放出組成物は通常、組成物の重量に基づいて0.3〜10重量パーセント(しかし、キャリアが使用されない場合、これはより典型的には10〜30重量%である)の陽イオンポリマー、組成物の重量に基づいて5〜40重量パーセントの水性媒質、組成物の重量に基づいて、1〜40重量パーセントのシリコーン活性成分、0〜4重量パーセントの増粘剤及び0〜80重量パーセントのキャリアを含有する水性混合物から作製される。乾燥のプロセス工程が以下で論述されるように実施された場合、固体シリコーン放出組成物は通常、組成物の重量に基づいて0.5〜10重量パーセント、より好ましくは1重量パーセント(しかし、キャリアが使用されない場合、これはより典型的には10〜30重量%、より好ましくは10〜20重量%である)の陽イオンポリマー、組成物の重量に基づいて、1〜25重量パーセント、より好ましくは5〜20重量パーセントのシリコーン活性成分、0〜2重量パーセント(しかし、使用される場合、より好ましくは0.1〜1.5重量パーセント)の増粘剤及び0〜90重量パーセント(使用される場合、より好ましくは50〜90重量パーセント)のキャリアを有する。
【0039】
本発明による固体シリコーン放出組成物を作製するプロセス中に、水性媒質は、乾燥(例えば、噴霧乾燥)を可能にするのに使用されて、固体シリコーン放出組成物を形成する。かかる水性媒質は水であり、蒸留水のように精製されてもよいが、それは本発明に必要ではない。プロセスは、陽イオンポリマー及びシリコーン活性成分が、固体組成物の形成前又は形成中に互いに混合されることを必要とする。存在する2つの成分が互いに接触されていなければ、存在する2つの成分を単に有することでは不十分である。例えば固体シリコーン放出組成物を含有する洗剤粉末が作製される事象では、両方の成分が粉末洗剤中に存在するということ、例えば一方の成分が初期に組み込まれ、続いて第2の成分が洗剤粉末へ添加される(粉末洗剤上に噴霧される)のでは不十分である。混合は、成分を噴霧する前に、或いはそうでなければ成分を固体材料にする前に、成分を一緒にすることにより行われ得る。或いは、成分は、キャリア上へ一緒に噴霧されてもよく、混合は、キャリアの表面上で行われる。
【0040】
キャリア及び増粘剤は任意であると記載されているが、両方の成分を固体シリコーン放出組成物中に存在させることが特に好ましい。キャリアは、顆粒状組成物の形成を助長するのに対して、増粘剤は、洗浄サイクル中にシリコーン活性成分の保護を改善させると考えられ、すすぎサイクルではそのより大きな利用可能性をもたらす。
【0041】
洗剤と組み合わせて使用され得る単位用量として洗濯機へ組成物を添加することが望ましい場合、組成物を錠剤の形態にするのに必要とされる場合には、崩壊剤が包含され得る。組成物はまた、洗剤粉末と組み合わせて使用され得る粉末として洗濯機へ添加され得る。組成物はまた、洗剤を伴わずに単独で使用することもでき、その場合、組成物は、錠剤又は粉末の形態で存在し得る。
【0042】
本発明による固体シリコーン放出組成物はまた、粉末洗剤組成物の成分と共に粉末洗剤組成物の製造中に含ませることにより、或いは固体シリコーン放出組成物及び粉末洗剤が別個に調製された後にかかる成分と混合されることにより、粉末洗剤組成物の一部となり得る。いずれの場合でも、固体シリコーン放出組成物又は完全に配合された粉末洗剤組成物は、多くの場合、粉末洗剤組成物と関連するさらなる成分を含んでもよい。かかる成分としては、以下に記載するような洗浄力ビルダー、漂白剤、酵素及び他の成分が挙げられる。
【0043】
固体シリコーン放出組成物又は粉末洗剤組成物は、1つ又は複数の洗浄力ビルダーを含有してもよい。粉末洗剤組成物中の洗浄力ビルダーの総量は通常、粉末洗剤組成物の重量に基づいて5〜80重量パーセントの範囲である。存在し得る幾つかの無機ビルダーとしては、炭酸ナトリウム、結晶質及び非晶質アルミノケイ酸塩(例えば、ゼオライト、非晶質アルミノケイ酸塩、混合結晶質/非晶質アルミノケイ酸塩並びに層状ケイ酸塩)が挙げられる。オルトリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウムのような無機リン酸塩ビルダーもまた使用することができる。存在し得る有機ビルダーとしては、ポリアクリレート、アクリル酸/マレイン酸コポリマー及びアクリルホスフィン酸塩のようなポリカルボキシレートポリマー;クエン酸塩、グルコン酸塩、オキシジコハク酸塩、グリセロールモノコハク酸塩、グリセロールジコハク酸塩及びグリセロールトリコハク酸塩、カルボキシメチルオキシコハク酸塩、カルボキシメチルオキシマロン酸塩、ジピコリン酸塩、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸塩、アルキルマロン酸塩及びアルケニルマロン酸塩のようなモノマーポリカルボン酸塩、並びにスルホン化脂肪酸塩が挙げられる。
【0044】
本発明による組成物は、固体シリコーン放出組成物であろうと粉末洗剤組成物であろうと、水溶液中で過酸化水素を生じることが可能な無機過酸基塩又は有機ペルオキシ酸のような漂白剤を含有してもよい。幾つかの適切なペルオキシ漂白剤化合物としては、過酸化尿素のような有機過酸化物、並びにアルカリ金属過ホウ酸アルカリ塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩及び過硫酸塩のような無機過酸基塩が挙げられる。好ましい無機過酸基塩は、過ホウ酸ナトリウム一水和物及び四水和物、並びに過炭酸ナトリウムである。ペルオキシ漂白剤は概して、洗浄組成物の重量に基づいて、0.1〜35重量パーセントの量で存在する。
【0045】
本発明による組成物はまた、1つ又は複数の酵素(複数可)を含有し得る。幾つかの適切な酵素としては、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及びリパーゼが挙げられる。酵素は、植物、動物、細菌又は酵母のような任意の適切な起源であり得る。アルカリ金属(例えば、ナトリウム)炭酸塩もまた、洗浄力を増大させるのに含ませることができる。本発明による組成物中に存在し得るさらなる他の材料としては、ケイ酸ナトリウム、セルロース系ポリマーのような抗再堆積剤;硫酸ナトリウムのような無機塩、気泡制御剤又は気泡ブースター;染料;泡制御薬;蛍光剤;及びデカップリングポリマーが挙げられる。
【0046】
本発明による組成物、特に固体シリコーン放出組成物単独というよりもむしろ粉末洗剤組成物はまた、1つ又は複数の陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤及び/又は非イオン界面活性剤を含有してもよい。組成物で使用される界面活性剤(複数可)の量は概して、粉末洗剤組成物の総重量に基づいて0.1〜70重量パーセントである。C〜C15の平均アルキル成分を有する直鎖状アルキルベンゼンスルホネート陰イオン界面活性剤が最も好ましい。他の適切な分岐状陰イオン界面活性剤としては、第二級アルキルスルフェート、第二級アルコールスルフェート及び第二級アルキルカルボキシレートが挙げられる。適切なさらなる陰イオン界面活性剤として、第一級アルキルスルフェート、特にC〜C15第一級アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、オレフィンスルホネート、アルキルキシレンスルホネート、ジアルキルスルホコハク酸及び脂肪酸エステルスルホネートが挙げられる。使用され得る非イオン界面活性剤の幾つかの例として、脂肪酸エステルエトキシレート、第一級及び第二級アルコールエトキシレート、特にアルコール1モル当たりエチレンオキシド平均1〜20モルでエトキシ化したC〜C20脂肪族アルコール、より特にはアルコール1モル当たりエチレンオキシド平均1〜10モルでエトキシ化したC10〜C15第一級及び第二級脂肪族アルコールが挙げられる。非エトキシ化非イオン界面活性剤としては、アルキルポリグリコシド、グリセロールモノエーテル及びポリヒドロキシアミド(グルカミド)が挙げられる。
【0047】
固体シリコーン放出組成物を生産するために、通常、10〜50重量%、好ましくは20〜30重量%のポリマーを含有する陽イオンポリマーの水溶液が、水中にポリマーを溶解させることにより調製される。次に、柔軟化に使用するのに好ましいシリコーン活性成分に関して、溶液は、中性pH又は低pHでシリコーン活性成分を含有するエマルジョンと混合される。かかるエマルジョンは既知であり、当該技術分野で記載されており、上記で参照されるものの幾つかを包含する。次に、混合物は、標準的な噴霧プロセスを使用してチャンバへ、好ましくはキャリア上へ噴霧される。粒子は好ましくは、高せん断混合機中で攪拌されて、粒子はせん断混合機を連続して通過する。1つの好ましいプロセスでは、粒子は、垂直連続高せん断混合機中で攪拌され、ここでは活性材料のエマルジョンが粒子上へ噴霧される。かかる混合機の一例は、Hosokawa Schugiにより供給されるFlexomix(登録商標)混合機である。噴霧組成物の準備が整っている場合、噴霧組成物は、さらなる乾燥段階又は冷却段階を受けてもよい。同様に増粘剤が固体シリコーン放出組成物の調製で使用される場合、増粘剤が、他の必須の成分の添加前に、陽イオンポリマーのいずれかと、或いはより好ましくはシリコーン活性成分の水性懸濁液又はエマルジョンと混合されることが好ましい。
【0048】
垂直連続高せん断混合機が使用され得る。或いは、水平高せん断混合機が使用されてもよく、ここでは粉末−液体混合物の環状層は、数秒〜約2分の滞留時間で、混合チャンバ中で形成される。この種の機械の例は、ピン混合機(例えば、LBにより供給されるTAGシリーズ、Rubberg-MischtechnikからのRM型機械)、パドル混合機(例えば、Lodigeにより供給されるCBシリーズ、Drais-ManheimからのCorimix(登録商標)、Ruberg MischtechnikからのConax(登録商標)機械)である。本発明のプロセスで使用され得る他の考え得る混合機は、例えばLodige GmbHにより販売されるようなプロシェア混合機、Forberg(登録商標)型混合機として既知である二重反転パドル混合機、Eirichにより販売される「Typ R」機械のような回転円筒容器内に高せん断混合アームを含む強力混合機、Patterson-KelleyからのZig−Zag(登録商標)混合機、及びNiroにより販売されるHEC(登録商標)機械である。
【0049】
混合チャンバ中での粒子の滞留時間は概して、少なくとも0.1秒、好ましくは0.5秒から最大10秒又はさらには60秒までであり、例えば約1秒である。短い滞留時間、したがってハイスループットは、大きな経済的利点を付与するが、滞留時間が0.1秒未満である場合、この時間は、水性媒質の液体が蒸発するには、したがって粒子が凝固するには短すぎる可能性があり、これは、キャリアが使用されない場合に特に問題であり得る。より高い滞留時間、特に滞留時間が少なくとも0.5秒である場合がより好ましい。
【0050】
組成物はまた、陽イオンポリマーと活性成分を含有するエマルジョンとを混合し、それを乾燥させて噴霧乾燥されることができ、キャリアなしで固体材料を得る。これは、室温で成分の混合物が固体を形成することができる場合にのみ可能である。また、エマルジョンは、異なる結合剤とともに初期に顆粒化され得ること、並びに陽イオンポリマーが、後コーティングとして第2の工程で適用され得ることが可能である。或いは、陽イオンポリマー及びエマルジョンは、キャリア上へ平行して噴霧することができ、その場合、2つの成分間の接触はキャリア上でのみ行われる。押出しは、原材料を全て、押出機中で簡素に混合することができる代替的なプロセスである。キャリアは、場合によっては、陽イオンポリマー及びエマルジョンを混合すること、続いて乾燥工程前に又は乾燥工程中に、洗剤粉末上に直接それらを噴霧させることにより洗剤粉末として機能する。
【0051】
本発明による固体シリコーン放出組成物、及び当然のことながら同様にそれらの顆粒状封入組成物は、独立して使用することができるか、或いは固体シリコーン放出組成物は、粉末洗剤組成物と直接混合され得るか、又は粉末洗剤組成物と併用して、若しくは洗剤用錠剤と併用して使用され得る。最良の性能は、陽イオンポリマーにより達成されており、ここで、ポリマーの種の水溶性は、窒素原子含有基を酸でプロトン化することにより、或いはポリマーを親水性モノマーにより共重合させることにより増大された。陽イオンポリマーは、任意の著しい柔軟性の有益性を提供しないが、本発明によるそれらの主な機能は、シリコーン活性成分の放出を制御するそれらの能力に帰する。
【0052】
上述のように洗濯用途において本発明による固体シリコーン放出組成物を使用することが本発明では好ましい一方で、組成物は、自動食器洗い、棒状ハンドソープ、一般的な浄化及び/又は洗浄用途(例えば、衣類の手洗い)を含む他の用途を有する。
【0053】
本発明の組成物は、シリコーンの放出を通じて、或いはシリコーンの放出に加えて、香料送達、皺の低減、皺の防止、皺の除去、生地柔軟化、生地の手触りの向上、衣類形状保持、弾性、アイロンがけの容易性、色彩保持、磨耗防止、毛玉防止、乾燥時間の低減、吸水性、光沢、潤滑、保護、摩擦の変更、しみ抵抗性、撥水性、磨耗抵抗性等を含む任意の有益性を送達するのに使用され得る。
【0054】
本発明の本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書中に記載する化合物、組成物及び方法において、他の変更が成されてもよい。本明細書中で具体的に説明される本発明の実施形態は、単なる例示的なものであり、添付の特許請求の範囲で規定される場合を除いて、本発明の範囲に対する限定と意図されるものではない。
【実施例】
【0055】
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するために記述される。実施例で使用される陽イオンポリマーは、ポリ(2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)である。
【0056】
(実施例1)
<ポリマーの調製>
ポリ(2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)を、フリーラジカル開始剤の存在下で、トルエン中で実施されるフリーラジカル重合により調製した。手順の詳細は、Journal of Coating Technology, Volume 70, No. 833, 41頁〜46頁, S. Creutz and R. Jerome、表題「水性コーティング用のポリマー分散剤の設計 (Design of Polymeric Dispersants for Waterborne Coatings) 」、1998年8月に見出され得る。ポリマー合成の概要は以下の通りである。Vazo(登録商標)64(DuPontからのアゾビスイソブチロニトリル)5.08グラムを、トルエン242.16グラム中に可溶化させて、フィードフラスコ中に入れた。ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)250グラムを、別個のフィードフラスコ中に入れた。さらにトルエン242.16グラムを、1リットル反応器中に入れて、Caframo(登録商標)混合機を用いて300rpmで攪拌した。反応器を70℃へ加熱した後、2つのフィードフラスコの内容物を、30ml/時間の速度で反応器へ添加した。反応を70℃で24時間持続させた後、反応器を室温にまで冷却した。トルエンは、ロータリーエバポレータを使用して抜取ることにより除去した。
【0057】
(実施例2)
<顆粒化>
ポリ(2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)の水溶液を、ポリ(2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)9.29グラム、脱塩水32.01グラム、及び37重量パーセントの塩酸10.70グラムを使用することにより調製した。25℃での粘度60,000mm/秒を有する60重量パーセントのポリジメチルシロキサンポリマーを含有する陽イオンシリコーンエマルジョン約86グラム、及び脱塩水24.3グラムを水溶液に添加した。組み合わせた溶液122.5グラムを、標準的な食品混合機を使用してせん断下でデンプン200グラム上へ注いだ。得られた粒体を、流動床において約20分かけて50℃で乾燥させて、続いてふるい分けして、これにより、顆粒状封入組成物を得た。
【0058】
(実施例3)
<試験プロトコル>
評価は、Miele(登録商標)モデル934前入れ方式洗濯機を使用して実施した。洗浄条件は、40℃での正常な洗浄サイクル、タオル4枚及び枕カバー5枚の1キログラム(2.2ポンド)の装填量、回転速度600rpm、並びに軟水の機械自動添加である。商用銘柄洗濯用洗剤約62グラムを機械に添加した。実施例2で調製される顆粒状封入組成物40.21グラムを、該洗濯用洗剤へ混合した後、機械へ添加して、続いて試験した。比較として、商用銘柄洗濯用洗剤62グラムを単独で使用する、顆粒状シリコーンを有さない商用銘柄洗濯用粉末を用いて、タオルを洗浄した。両方の組のタオルを一晩自然乾燥させた。16名のパネリストに、2組のタオルの柔軟性を評価するよう求めた。16名のパネリストのうち、パネリスト16名が、活性成分として封入シリコーンを含有する洗濯用洗剤で処理したタオルを選択した。
【0059】
(実施例4)
ポリ(2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)の水溶液を、ポリ(2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)3.03グラム及び脱塩水10.26グラム及び37パーセントの塩酸3グラムを使用することにより調製した。アミノエチルアミノプロピル置換基を有し、且つ約2,500mm/sの粘度を有するポリジメチルシロキサン31重量%を含有する商業用陽イオンエマルジョン約105グラム、並びにいくらかの酸を水溶液に添加した。組み合わせた溶液105グラムを、標準的な食品混合機を使用してせん断下でソーダ灰200グラム上へ注いだ。得られた粒体を、流動床において約20分かけて50℃で乾燥させて、続いてふるい分けした。
【0060】
(実施例5)
液体洗剤を、Maranil(登録商標)Pasta 9.74グラム、Dehydol(登録商標)LT7 4.01グラム及び水41.25グラムを混合することにより調製した。
【0061】
評価は、Miele(登録商標)ブランドモデル934前入れ方式洗濯機を使用して実施した。洗浄条件は、40℃での正常な洗浄サイクル、タオル4枚及び枕カバー5枚の1キログラム(2.2ポンド)の装填量、回転速度600rpm、並びに軟水の機械自動添加である。上述の液体洗剤約55グラム及びソーダ灰5グラムを機械に添加した。実施例4で調製される顆粒状シリコーン46.30グラムを、洗濯機中に添加し、続いて試験した。比較として、上述の液体洗剤55グラム及びソーダ灰5グラムを用いて、タオルを洗浄した。両方の組のタオルを一晩自然乾燥させた。16名のパネリストに、2組のタオルの柔軟性を評価するよう求めた。16名のパネリストは全て、活性成分としての封入シリコーンで処理したタオルを選択した。
【0062】
(実施例6)
実施例4で報告される粒体を作製するのに使用される原材料を全て、顆粒状とせずに、代わりに、実施例5に関して見出されるのと同じ比率で液体洗剤に直接添加した。この混合物を、実施例4からの粒体と直接比較した。16名のパネリストは全て、柔軟性が優れているとして、顆粒状シリコーンで処理したタオルを選択した。
【0063】
(実施例7)
ポリ(2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)の水溶液を、ポリ(2−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート2.96グラム、37パーセントの塩酸3グラム及び脱塩水10.16グラムを使用することにより調製した。上記実施例4で使用されるような商業用シリコーンエマルジョン約103グラム及びFlosoft(登録商標)222(SNFからの商業用増粘剤)6.29グラムを水溶液に添加した。組み合わせた溶液106.6グラムを、標準的な食品混合機を使用してせん断下でソーダ灰200グラム上へ注いだ。得られた粒体を、流動床において約20分かけて50℃で乾燥させて、続いてふるい分けした。この粒体を、同じ組成であるが、増粘剤を用いていない実施例4の粒体と比較した。16名のパネリストのうち、パネリスト13名が、より柔軟であるとして増粘剤を含有する顆粒状シリコーンで処理したタオルを選択した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体シリコーン放出組成物であって、(a)pH7で陽イオンであり、モノエチレン性不飽和モノマーから調製されるホモポリマー又はコポリマーであり、且つ9〜11の塩基性pHよりも中性pHでより高い水溶性を有する陽イオンポリマーと、(b)シリコーン活性成分とを含み、該陽イオンポリマー及び該シリコーン活性成分が、該固体組成物の形成前又は形成中に互いに混合される、固体シリコーン放出組成物。
【請求項2】
前記陽イオンポリマーが、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルアルキルメタクリルアミド(アルキル基は、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基である)、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールから成る群から選択されるモノマーから調製されるホモポリマー又はコポリマーを含み、前記モノマーが、酸、四級化剤、塩化ベンジル、塩化メチル、塩化アルキル、塩化アリール又は硫酸ジメチルによって部分的に四級化、完全に四級化、又は塩化される、請求項1に記載の固体シリコーン放出組成物。
【請求項3】
前記陽イオンポリマーが、直鎖状ポリマー、分岐状ポリマー、又は部分架橋ポリマーであり、該分岐状ポリマー又は該部分架橋ポリマーが、ジエチレン性不飽和モノマーを含む分岐基を有する、請求項2に記載の固体シリコーン放出組成物。
【請求項4】
前記シリコーン活性成分が、(i)直鎖状、分岐状、環状及び架橋ポリシロキサン並びにそれらのエマルジョン、(ii)シリコーンワックス及びそれらのエマルジョン、(iii)アミノ官能性シリコーン及びそれらのエマルジョン、(iv)アミド官能性シリコーン及びそれらのエマルジョン、(v)アリール置換シリコーン、アルキル置換シリコーン、及びそれらのエマルジョン、(vi)シリコーングリコール及びそれらのエマルジョン、(vii)シリコーンガム、シリコーンガムの混合物、及びそれらのエマルジョン、(viii)シリコーン樹脂及びそれらのエマルジョン、(ix)糖シリコーン及びそれらのエマルジョン、(x)フルオロシリコーン流体及びそれらのエマルジョン、(xi)陽イオンシラン、陽イオンシリコーン、及びそれらのエマルジョン、(xii)蛍光有機ケイ素化合物、(xiii)シリコーンベースの泡制御剤及びそれらのエマルジョン、並びに(xiv)(i)〜(xiii)の混合物から成る群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体シリコーン放出組成物。
【請求項5】
デンプン、ゼオライト、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩、シリカ、ケイ酸塩、クレイ、セルロース材料、クエン酸、アルミノケイ酸塩、及び洗剤粉末から成る群から選択されるキャリアをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体シリコーン放出組成物。
【請求項6】
水性媒質と接触すると、該水性媒質の粘度を増大させ、且つポリアクリレート、それらの誘導体、多糖、それらの誘導体及びポリマーガムから選択される1つ又は複数のポリマー材料を含む増粘剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体シリコーン放出組成物。
【請求項7】
陽イオンポリマー0.3〜10重量パーセント、水性媒質5〜40重量パーセント、シリコーン活性成分1〜40重量パーセント、増粘剤0〜4重量パーセント及びキャリア0〜90重量パーセントを含む組成物から製造される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体シリコーン放出組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体シリコーン放出組成物であって、(i)有機柔軟化剤及び無機柔軟化剤、(ii)有機生地白化剤及び蛍光増白剤、(iii)汚れ付着防止剤及びしみ付着防止剤、(iv)色素固着剤、(v)皺取り処理剤、(vi)香料、(vii)洗浄力ビルダー、(viii)崩壊剤、(ix)漂白剤、(x)酵素並びに(xi)界面活性剤及び(x)香料から成る群から選択される1つ又は複数のさらなる活性成分を含む、固体シリコーン放出組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体シリコーン放出組成物を含む顆粒状封入組成物。
【請求項10】
その成分の1つとして、請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体シリコーン放出組成物を含む、洗濯用洗剤粉末、洗濯用洗剤錠剤又は洗濯用洗剤棒状石鹸。
【請求項11】
その成分の1つとして、請求項9に記載の顆粒状封入組成物を含む、請求項10に記載の洗濯用洗剤粉末。
【請求項12】
洗濯物に請求項9に記載の顆粒状封入組成物を添加することを含む、洗濯プロセスにおいて衣類を処理する方法。
【請求項13】
請求項10又は11に記載の洗濯用洗剤粉末、洗濯用洗剤錠剤又は洗濯用洗剤棒状石鹸を使用して、洗濯プロセスにおいて衣類を処理する方法。

【公表番号】特表2009−507120(P2009−507120A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529614(P2008−529614)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065921
【国際公開番号】WO2007/028773
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(590001418)ダウ・コ−ニング・コ−ポレ−ション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】