説明

シリコーン樹脂組成物、封止材料および発光ダイオード装置

【課題】耐熱性に優れるシリコーン樹脂組成物およびそのシリコーン樹脂組成物からなる封止材料と、その封止材料から形成される封止層を備え、外観に優れる発光ダイオード装置とを提供すること。
【解決手段】飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基が結合されるケイ素原子、および、アルケニル基が結合されるケイ素原子を含むケイ素含有成分を有し、ケイ素含有成分1g当たりのアルケニル基のmol数が、200〜2000μmol/gであるシリコーン樹脂組成物を調製する。シリコーン樹脂組成物からなる封止材料を、半硬化状態のシート形状に形成した封止層7を発光ダイオード装置2に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン樹脂組成物、封止材料および発光ダイオード装置、詳しくは、発光ダイオード装置、それに用いられる封止材料、および、その封止材料であるシリコーン樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高エネルギーの光を発光できる発光装置として、発光ダイオード装置が知られている。このような発光ダイオード装置は、発光ダイオード素子と、発光ダイオード素子を封止する封止層とを備えている。
【0003】
封止層を形成する封止材料として、例えば、以下のようにして調製されるシリコーン樹脂用組成物が検討されている(例えば、特許文献1の実施例1参照。)。
【0004】
すなわち、両末端シラノール型シリコーン樹脂100g(8.70mmol)、ビニルトリメトキシシラン0.77g(5.20mmol)、および、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン0.14g(0.59mmol)を混合した後、水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液0.19mLを加える。さらに、この混合物に、オルガノハイドロジェンシロキサン2.19g、および、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体0.025mLを加えることにより、シリコーン樹脂用組成物を調製する。
【0005】
特許文献1では、このようなシリコーン樹脂用組成物をポリエステルフィルム上に塗布し、135℃で加熱し、半硬化状態のシートを調製する。その後、発光ダイオード素子が実装された基板に、シートを被せ、160℃で加熱して、シートを完全に硬化させる。これにより、発光ダイオード素子を封止する樹脂封止体(封止層)を形成して、発光ダイオード装置を作製している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−265436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のシリコーン樹脂用組成物では、シリコーン樹脂用組成物1g当たりのビニル基のmol数が比較的低く(特許文献1の実施例1では、50μmol/g)、そのため、発光に伴う発光ダイオード素子の発熱により、樹脂封止体の温度が上昇し、樹脂封止体がブリードを生じる場合がある。その結果、発光ダイオード装置の外観が損なわれるという不具合がある。
【0008】
本発明の目的は、耐熱性に優れるシリコーン樹脂組成物およびそのシリコーン樹脂組成物からなる封止材料と、その封止材料から形成される封止層を備え、外観に優れる発光ダイオード装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のシリコーン樹脂組成物は、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基が結合されるケイ素原子、および、アルケニル基が結合されるケイ素原子を含むケイ素含有成分を含有するシリコーン樹脂組成物であり、前記ケイ素含有成分1g当たりのアルケニル基のmol数が、200〜2000μmol/gであることを特徴としている。
【0010】
また、本発明のシリコーン樹脂組成物は、アルケニル基とシラノール縮合反応性官能基とを併有するアルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物、シラノール基両末端ポリシロキサン、および、アルケニル基を含まずヒドロシリル基を含むアルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンを含有する前記ケイ素含有成分と、エポキシ基とシラノール縮合反応性官能基とを併有するエポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物と、縮合触媒と、付加触媒とを含有する原料成分から調製されることが好適である。
【0011】
また、本発明のシリコーン樹脂組成物は、アルケニル基とヒドロシリル基とを併有するアルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサン、および、アルケニル基を含まずヒドロシリル基を含むアルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンを含有する前記ケイ素含有成分と、ヒドロシリル化触媒と、ヒドロシリル化抑制剤とを含有する原料成分から調製されることが好適である。
【0012】
また、本発明の封止材料は、上記したシリコーン樹脂組成物からなることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の封止材料は、半硬化状態であることが好適である。
【0014】
また、本発明の封止材料は、シート形状に形成されていることが好適である。
【0015】
また、本発明の発光ダイオード装置は、発光ダイオード素子と、上記した封止材料から形成され、前記発光ダイオード素子を封止する封止層とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明のシリコーン樹脂組成物において、ケイ素含有成分1g当たりのアルケニル基のmol数が、特定範囲にあるので、シリコーン樹脂組成物からなる本発明の封止材料は、耐熱性に優れる。
【0017】
そのため、本発明の発光ダイオード装置では、この封止材料から形成される封止層が耐熱性に優れるため、発光に伴い発光ダイオード素子が発熱しても、封止層中のブリードを抑制することができる。
【0018】
その結果、発光ダイオード装置は、外観に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の封止材料から形成される封止用シートの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す封止用シートを製造する工程を示す工程図であって、(a)は、離型シートを用意する工程、(b)は、蛍光体層を形成する工程、(c)は、封止樹脂層を積層する工程を示す。
【図3】図2に示す封止用シートにより発光ダイオード素子を封止して発光ダイオード装置を作製する工程を示す工程図であって、(a)は、封止用シートと発光ダイオード素子とを用意する工程、(b)は、封止用シートを加熱して硬化させる工程、(c)は、剥離シートを発光ダイオード装置から引き剥がす工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のシリコーン樹脂組成物は、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基が結合されるケイ素原子、および、アルケニル基が結合されるケイ素原子を含むケイ素含有成分を含有する原料成分から調製され、例えば、縮合反応および付加反応をすることができる縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物である。
【0021】
ケイ素含有成分は、全体として、上記した1価の炭化水素基が結合されるケイ素原子、および、アルケニル基が結合されるケイ素原子を含有していればよい。
【0022】
すなわち、ケイ素含有成分は、例えば、アルケニル基が結合されるケイ素原子を含有せず、上記した1価の炭化水素基が結合されるケイ素原子を含有する炭化水素基結合ケイ素含有化合物、および、上記した1価の炭化水素基が結合されるケイ素原子を含有せず、アルケニル基が結合されるケイ素原子を含有するアルケニル基結合ケイ素含有化合物を含む。あるいは、ケイ素含有成分は、例えば、上記した1価の炭化水素基が結合されるケイ素原子、および、アルケニル基が結合されるケイ素原子を併有する炭化水素基/アルケニル基結合ケイ素併有化合物を含む。さらに、ケイ素含有成分は、例えば、炭化水素基結合ケイ素含有化合物および/またはアルケニル基結合ケイ素含有化合物と、炭化水素基/アルケニル基結合ケイ素併有化合物とを含んでいてもよい。
【0023】
原料成分としては、例えば、第1の原料成分、第2の原料成分が挙げられる。
【0024】
第1の原料成分は、例えば、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物(アルケニル基結合ケイ素含有化合物)と、シラノール基両末端ポリシロキサン(炭化水素基結合ケイ素含有化合物)と、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン(炭化水素基結合ケイ素含有化合物)と、エポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物と、縮合触媒と、付加触媒とを含有する。
【0025】
なお、第1の原料成分において、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物、シラノール基両末端ポリシロキサンおよびエポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物は、縮合原料(シラノール縮合反応に供される原料)であり、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物およびアルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンは、付加原料(ヒドロシリル付加反応に供される原料)である。
【0026】
アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物は、アルケニル基とシラノール縮合反応性官能基とを併有するケイ素化合物であって、具体的には、例えば、下記一般式(1)で示される。
一般式(1):
(XSi−R (1)
(一般式(1)中、Rは、アルケニル基を示し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基またはアセトキシ基を示す。但し、Xは、同一または互いに相異なっていてもよい。)
上記一般式(1)において、Rで示されるアルケニル基は、例えば、直鎖状または分岐状のエチレン系不飽和炭化水素基であって、例えば、1価の置換または非置換のアルケニル基であり、具体的には、Rの末端に二重結合を有する末端アルケニル基、および、Rの途中に二重結合を有するアルケニル基などのアルケニル基が挙げられる。アルケニル基の炭素数は、例えば、2〜10、好ましくは、2〜5である。
【0027】
末端アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基(2−プロペニル基)、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基などが挙げられる。
【0028】
の途中に二重結合を有するアルケニル基としては、例えば、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、5−ヘプテニル基、1−オクテニル基、2−オクテニル基、3−オクテニル基、4−オクテニル基、5−オクテニル基、6−オクテニル基などが挙げられる。
【0029】
アルケニル基としては、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基との反応性の観点から、好ましくは、炭素数2〜10の末端アルケニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜5の末端アルケニル基、さらに好ましくは、ビニル基が挙げられる。
【0030】
上記一般式(1)におけるXは、シラノール縮合反応における脱離基であり、上記一般式(1)におけるSiX基は、シラノール縮合反応における反応性官能基、つまり、シラノール縮合反応性官能基である。
【0031】
上記一般式(1)において、Xで示されるハロゲン原子としては、例えば、臭素、塩素、フッ素、ヨウ素などが挙げられる。
【0032】
上記一般式(1)において、Xで示されるアルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基を有するアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基など)、例えば、炭素数3〜6のシクロアルキル基を有するアルコキシ基(シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基など)などが挙げられる。
【0033】
上記一般式(1)において、Xは、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
【0034】
このような上記一般式(1)のXのなかでは、好ましくは、アルコキシ基が挙げられ、さらに好ましくは、メトキシ基が挙げられる。
【0035】
このようなアルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物としては、例えば、アルケニル基含有トリアルコキシシラン、アルケニル基含有トリハロゲン化シラン、アルケニル基含有トリフェノキシシラン、アルケニル基含有トリアセトキシシランなどが挙げられる。
【0036】
このようなアルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0037】
このようなアルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物のなかでは、好ましくは、アルケニル基含有トリアルコキシシランが挙げられる。
【0038】
アルケニル基含有トリアルコキシシランとしては、具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシランなどのビニルトリアルコキシシラン、例えば、アリルトリメトキシシランなどのアリルトリアルコキシシラン、例えば、3−ブテニルトリメトキシシランなどの3−ブテニルトリアルコキシシランなどが挙げられる。
【0039】
このようなアルケニル基含有トリアルコキシシランのなかでは、好ましくは、ビニルトリアルコキシシラン、さらに好ましくは、ビニルトリメトキシシランが挙げられる。
【0040】
このようなアルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物における、アルケニル基当量(すなわち、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物1g当たりのアルケニル基のmol数、あるいは、アルケニル基含有量)は、例えば、500〜50000μmol/g、好ましくは、1000〜10000μmol/gである。
【0041】
アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物のアルケニル基当量は、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物が、上記一般式(1)で示されるように、1分子内にアルケニル基を1つ含有することから、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物の分子量[g/mol]の逆数[mol/g]として算出される。
【0042】
アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物の配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、0.01〜90質量部、好ましくは、0.01〜50質量部、さらに好ましくは、0.01〜10質量部である。
【0043】
アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物は、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0044】
シラノール基両末端ポリシロキサンは、分子の両末端にシラノール基(SiOH基)を含有するオルガノシロキサンであって、具体的には、下記一般式(2)で示される。
一般式(2):
【0045】
【化1】

(一般式(2)中、Rは、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。また、nは、1以上の整数を示す。)
上記一般式(2)中、Rで示される1価の炭化水素基において、飽和炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など)、例えば、炭素数3〜6のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)などが挙げられる。
【0046】
また、上記一般式(2)中、Rで示される1価の炭化水素基において、芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基(フェニル基、ナフチル基)などが挙げられる。
【0047】
上記一般式(2)において、Rは、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
【0048】
1価の炭化水素基としては、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、および、炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、透明性、耐熱性および耐光性の観点から、さらに好ましくは、メチル基、フェニル基が挙げられ、とりわけ好ましくは、メチル基が挙げられる。
【0049】
上記一般式(2)おいて、nは、好ましくは、安定性および/または取扱性の観点から、2以上の整数、さらに好ましくは、2〜10000の整数、とりわけ好ましくは、2〜1000の整数である。
【0050】
なお、上記一般式(2)におけるnは、平均値として算出される。
【0051】
シラノール基両末端ポリシロキサンとしては、具体的には、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサン、シラノール基両末端ポリメチルフェニルシロキサン、シラノール基両末端ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
【0052】
このようなシラノール基両末端ポリシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0053】
また、このようなシラノール基両末端ポリシロキサンのなかでは、好ましくは、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0054】
シラノール基両末端ポリシロキサンは、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0055】
シラノール基両末端ポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および/または取扱性の観点から、例えば、100〜1000000、好ましくは、200〜100000である。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレンで換算されて算出される。後述するシラノール基両末端ポリシロキサン以外の原料の数平均分子量についても、上記と同様にして算出される。
【0056】
このようなシラノール基両末端ポリシロキサンにおける、シラノール基当量(すなわち、シラノール基両末端ポリシロキサン1g当たりのシラノール基のmol数、あるいは、シラノール基含有量)は、例えば、0.01〜10mmol/g、好ましくは、0.05〜2mmol/gである。なお、シラノール基当量は、H−NMRによって測定される。
【0057】
シラノール基両末端ポリシロキサンの配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、1〜99.99質量部、好ましくは、50〜99.9質量部、さらに好ましくは、80〜99.5質量部である。
【0058】
アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンは、アルケニル基を含まず、ヒドロシリル基を含むオルガノハイドロジェンシロキサンであって、例えば、水素側鎖含有オルガノポリシロキサン、水素両末端含有オルガノポリシロキサンなどのオルガノポリシロキサンが挙げられる。
【0059】
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンは、主鎖から分岐する側鎖として水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであって、例えば、下記一般式(3)で示される。
【0060】
【化2】

(一般式(3)中、A、B、C、C’およびDは、構成単位を示し、AおよびDは、末端単位を示し、B、CおよびC’は、繰り返し単位を示す。Rは、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。また、aは、0以上の整数を示し、bは、1以上の整数を示し、b’は、0以上の整数を示す。)
A、B、C、C’およびDは水素側鎖含有オルガノポリシロキサンを構成する。
【0061】
一般式(3)においてRで示される1価の炭化水素基は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
【0062】
で示される1価の炭化水素基において、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基は、上記一般式(2)のRで例示した飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。1価の炭化水素基として、好ましくは、メチル基、フェニル基、さらに好ましくは、メチル基が挙げられる。
【0063】
aは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1以上の整数、さらに好ましくは、1〜10000の整数、とりわけ好ましくは、2〜5000の整数、最も好ましくは、5〜100の整数を示す。
【0064】
bは、好ましくは、2以上の整数、また、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1〜10000の整数、さらに好ましくは、2〜1000の整数、とりわけ好ましくは、5〜100の整数を示す。
【0065】
b’は、好ましくは、0〜1000の整数、さらに好ましくは、0〜100の整数を示す。
【0066】
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンとしては、好ましくは、上記式(3)において、b’が0の場合には、具体的には、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン、エチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン−co−メチルフェニルポリシロキサンなどが挙げられる。
【0067】
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、例えば、100〜1000000である。
【0068】
また、水素両末端含有オルガノポリシロキサンは、主鎖の両末端に水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであって、下記一般式(4)で示される。
【0069】
【化3】

(一般式(4)中、E、F、G、G’およびHは、構成単位を示し、EおよびHは、末端単位を示し、F、GおよびG’は、繰り返し単位を示す。Rは、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。また、cは、0以上の整数を示し、dは、0以上の整数を示し、d’は、0以上の整数を示す。)
E、F、G、G’およびHは、水素両末端含有オルガノポリシロキサンを構成する。
【0070】
一般式(4)において、Rで示される1価の炭化水素基において、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基は、上記一般式(2)のRで例示した飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。1価の炭化水素基として、好ましくは、メチル基、フェニル基、さらに好ましくは、メチル基が挙げられる。
【0071】
cは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1以上の整数、さらに好ましくは、1〜10000の整数、とりわけ好ましくは、1〜5000の整数を示す。
【0072】
dは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1以上の整数、さらに好ましくは、1〜10000の整数、とりわけ好ましくは、1〜5000の整数を示す。
【0073】
d’は、好ましくは、0〜1000の整数、さらに好ましくは、0〜100の整数を示す。
【0074】
水素両末端含有オルガノポリシロキサンは、例えば、一般式(4)におけるdまたはd’が1以上の場合は、主鎖から分岐する側鎖、および、主鎖の両末端に水素原子を含有する、水素側鎖・両末端併有オルガノポリシロキサンであり、dが1、d’が0の場合は、具体的には、ヒドロシリル基両末端メチルハイドロジェンポリシロキサン、ヒドロシリル基両末端(ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン)、ヒドロシリル基両末端エチルハイドロジェンポリシロキサン、ヒドロシリル基両末端(メチルハイドロジェンポリシロキサン−co−メチルフェニルポリシロキサン)などが挙げられる。
【0075】
また、水素両末端含有オルガノポリシロキサンは、例えば、一般式(4)におけるdおよびd’が0の場合には、主鎖から分岐する側鎖に水素原子を含有せず、主鎖の両末端に水素原子を含有する、水素側鎖不含/水素両末端含有オルガノポリシロキサンであり、具体的には、ヒドロシリル基両末端ポリジメチルシロキサン、ヒドロシリル基両末端ポリメチルフェニルシロキサン、ヒドロシリル基両末端ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
【0076】
水素両末端含有オルガノポリシロキサンとしては、好ましくは、水素側鎖不含/水素両末端含有オルガノポリシロキサンが挙げられる。
【0077】
水素両末端含有オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および/または取扱性の観点から、例えば、100〜1000000、さらに好ましくは、100〜100000である。
【0078】
このようなアルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0079】
また、このようなアルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンのなかでは、好ましくは、水素側鎖含有オルガノポリシロキサンが挙げられ、さらに好ましくは、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
【0080】
アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンの粘度(25℃)は、例えば、10〜100000mPa・s、好ましくは、20〜50000mPa・sである。なお、粘度は、B型粘度計を用いて測定することができる。
【0081】
このようなアルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンにおけるヒドロシリル基当量(すなわち、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン1g当たりのヒドロシリル基のmol数、あるいは、ヒドロシリル基含有量)は、その硬化物の強靭性と可撓性の観点から、例えば、0.005〜10mmol/g、好ましくは、0.01〜8mmol/gである。ヒドロシリル基当量は、H−NMRによって測定される。
【0082】
アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基当量が0.005mmol/g未満であれば、その硬化物の強靭性が不十分となる場合がある。また、ヒドロシリル基当量が10mmol/gを超過すると、その硬化物の可撓性が不十分となる場合がある。
【0083】
アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンは、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0084】
アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンの配合割合は、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物のアルケニル基(上記一般式(1)のR)とアルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基(SiH基)とのmol比にもよるが、例えば、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物100質量部に対して、例えば、10〜10000質量部、好ましくは、100〜1000質量部である。
【0085】
また、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基(SiH基)に対する、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物のアルケニル基(上記一般式(1)のR)のmol比(R/SiH基)は、例えば、20/1〜0.05/1、好ましくは、20/1〜0.1/1、さらに好ましくは、10/1〜0.1/1、とりわけ好ましくは、10/1〜0.2/1、もっとも好ましくは、5/1〜0.2/1である。また、mol比(R/SiH基)を、例えば、1/1未満、0.05/1以上に設定することもできる。
【0086】
mol比が20/1を超える場合には、シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、適度な靭性を有する半硬化物を得られない場合があり、mol比が0.05/1に満たない場合には、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンの配合割合が過度に多く、そのため、得られる封止材料の耐熱性および靭性が不十分となる場合がある。
【0087】
また、mol比が1/1未満、0.05/1以上であれば、シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、mol比が20/1〜1/1であるシリコーン樹脂組成物に比べて、半硬化状態へ迅速に移行させることができる。
【0088】
エポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物は、エポキシ基、および、シラノール縮合反応性官能基を併有するケイ素化合物あって、具体的には、下記一般式(5)で示される。
一般式(5):
(XSi−R (5)
(一般式(5)中、Rは、エポキシ構造含有基を示し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、またはアセトキシ基を示す。但し、Xは、同一または互いに相異なっていてもよい。)
一般式(5)において、Rで示されるエポキシ構造含有基としては、例えば、エポキシ基、例えば、グリシジルエーテル基、例えば、エポキシシクロヘキシル基などのエポキシシクロアルキル基などが挙げられる。
【0089】
このようなエポキシ構造含有基のなかでは、好ましくは、グリシジルエーテル基が挙げられる。グリシジルエーテル基は、具体的には、下記一般式(6)で示されるグリシドキシアルキル基である。
一般式(6):
【0090】
【化4】

(一般式(6)中、Rは、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される2価の炭化水素基を示す。)
上記一般式(6)中、Rで示される2価の炭化水素基において、飽和炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキレン基(メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、例えば、炭素数3〜8のシクロアルキレン基(シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基など)などが挙げられる。
【0091】
また、上記一般式(6)中、Rで示される2価の炭化水素基において、芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜10のアリーレン基(フェニレン基、ナフチレン基など)などが挙げられる。
【0092】
このような2価の炭化水素基としては、好ましくは、炭素数1〜6のアルキレン基、さらに好ましくは、プロピレン基が挙げられる。
【0093】
グリシジルエーテル基としては、具体的には、グリシドキシメチル基、グリシドキシエチル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシシクロヘキシル基、グリシドキシフェニル基などが挙げられる。
【0094】
このようなグリシジルエーテル基のなかでは、好ましくは、グリシドキシプロピル基が挙げられる。
【0095】
上記一般式(6)におけるXは、シラノール縮合反応における脱離基であり、上記一般式(6)におけるSiX基は、シラノール縮合反応における反応性官能基(シラノール縮合反応性官能基)である。
【0096】
上記一般式(6)において、Xで示されるハロゲン原子としては、上記一般式(1)のXで示されるハロゲン原子と同様のものが挙げられる。
【0097】
上記一般式(6)において、Xで示されるアルコキシ基としては、上記一般式(1)のXで示されるアルコキシ基と同様のものが挙げられる。
【0098】
上記一般式(6)において、Xは、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
【0099】
このような上記一般式(6)のXとしては、好ましくは、アルコキシ基が挙げられ、さらに好ましくは、メトキシ基が挙げられる。
【0100】
このようなエポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物としては、例えば、エポキシ基含有トリアルコキシシラン、エポキシ基含有トリハロゲン化シラン、エポキシ基含有トリフェノキシシラン、エポキシ基含有トリアセトキシシランなどが挙げられる。
【0101】
このようなエポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0102】
また、このようなエポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物のなかでは、好ましくは、エポキシ基含有トリアルコキシシランが挙げられる。
【0103】
エポキシ基含有トリアルコキシシランとしては、具体的には、例えば、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランなどのグリシドキシアルキルトリメトキシシラン、例えば、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシランなどのグリシドキシアルキルトリエトキシシラン、例えば、(3−グリシドキシプロピル)トリプロポキシシランなどのグリシドキシアルキルトリプロポキシシラン、例えば、(3−グリシドキシプロピル)トリイソプロポキシシランなどのグリシドキシアルキルトリイソプロポキシシランなどが挙げられる。
【0104】
このようなエポキシ基含有トリアルコキシシランのなかでは、好ましくは、グリシドキシアルキルトリメトキシシラン、さらに好ましくは、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランが挙げられる。
【0105】
このようなエポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物における、エポキシ基当量(すなわち、エポキシ基・シラノール基両末端ポリシロキサン1g当たりのエポキシ基のmol数、あるいは、エポキシ基含有量)は、例えば、500〜50000μmol/g、好ましくは、1000〜10000μmol/gである。
【0106】
エポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物のエポキシ基当量は、エポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物が、上記一般式(6)で示されるように、1分子内にエポキシ構造含有基を1つ含有することから、エポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物の分子量[g/mol]の逆数[mol/g]して算出される。
【0107】
エポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物の配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、0.01〜90質量部、好ましくは、0.01〜50質量部、さらに好ましくは、0.01〜5質量部である。
【0108】
エポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物は、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
【0109】
アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物およびエポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物のシラノール縮合反応性官能基(SiX基およびSiX基)に対する、シラノール基両末端ポリシロキサンのシラノール基(SiOH基)のmol比(SiOH/(SiX+SiX))は、例えば、20/1〜0.2/1、好ましくは、10/1〜0.5/1である。
【0110】
mol比が上記範囲を超える場合には、シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、適度な靭性を有する半硬化物を得られない場合があり、一方、mol比が上記範囲に満たない場合には、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物およびエポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物の配合割合が過度に多く、そのため、得られる封止層(後述)の耐熱性が低下する場合がある。
【0111】
アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物に対する、エポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物のmol比は、例えば、1/99〜90/10、好ましくは、3/97〜50/50、さらに好ましくは、5/95〜20/80である。
【0112】
mol比が上記した範囲内であれば、硬化物の強度を確保しつつ、接着性を向上できる。
【0113】
縮合触媒は、シラノール基とシラノール縮合反応性官能基(上記一般式(2)のSiX基および上記一般式(5)のSiX基)とのシラノール縮合反応の反応速度を向上させる物質であれば、特に限定されず、例えば、塩酸、酢酸、ギ酸、硫酸などの酸、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの塩基、例えば、アルミニウム、チタン、亜鉛、スズなどの金属などが挙げられる。
【0114】
このような縮合触媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0115】
また、このような縮合触媒のなかでは、相溶性および熱分解性の観点から、好ましくは、塩基、さらに好ましくは、水酸化テトラメチルアンモニウムが挙げられる。
【0116】
このような縮合触媒の配合割合は、シラノール基両末端ポリシロキサン100molに対して、例えば、0.1〜50mol、好ましくは、0.25〜5molである。
【0117】
付加触媒は、付加反応(ヒドロシリル付加)、つまり、アルケニル基とヒドロシリル基(SiH基)とのヒドロシリル化反応の反応速度を向上させる物質(ヒドロシリル化触媒)であれば、特に限定されず、例えば、金属触媒が挙げられ、そのような金属触媒としては、例えば、白金黒、塩化白金、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−カルボニル錯体、白金−アセチルアセテートなどの白金触媒、例えば、パラジウム触媒、例えば、ロジウム触媒などが挙げられる。
【0118】
これら付加触媒のうち、好ましくは、相溶性および透明性の観点から、白金触媒、さらに好ましくは、白金オレフィン錯体が挙げられ、具体的には、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、白金−ジビニルシロキサン錯体などが挙げられる。
【0119】
このような付加触媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0120】
また、このような付加触媒のなかでは、相溶性、透明性および触媒活性の観点から、好ましくは、白金触媒、さらに好ましくは、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。
【0121】
付加触媒の配合割合は、付加触媒の金属量として、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン100質量部に対して、例えば、1.0×10−4〜1.0質量部、好ましくは、1.0×10−4〜0.5質量部、さらに好ましく、1.0×10−4〜0.05質量部である。
【0122】
なお、上記した縮合触媒および付加触媒は、固体状態のものをそのまま用いてもよく、あるいは、取扱性の観点から、溶媒に溶解または分散させた溶液または分散液として用いることもできる。
【0123】
溶媒としては、例えば、水、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素が挙げられる。
【0124】
第1の原料成分は、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物、シラノール基両末端ポリシロキサン、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン、エポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物、縮合触媒および付加触媒を配合して、攪拌混合することにより調製される。
【0125】
第1の原料成分を調製するには、例えば、上記した原料(縮合原料および付加原料)と、触媒とを一度に配合してもよく、あるいは、各原料および各触媒を異なるタイミングでそれぞれ配合することもできる。さらには、一部の成分を一度に加え、残部の各成分を、異なるタイミングでそれぞれ配合することもできる。
【0126】
このような第1の原料成分の調製方法のなかでは、好ましくは、まず、縮合原料を調製し、その後、調製した縮合原料に縮合触媒を配合して、混合物を調製する。次いで、調製した混合物に、付加原料を配合し、その後、付加触媒を配合する方法が挙げられる。
【0127】
具体的には、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物、シラノール基両末端ポリシロキサンおよびエポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物(つまり、縮合原料)を、上記した割合で撹拌混合した後、縮合触媒を配合し、それらを、例えば、5分間〜24時間攪拌混合して、混合物を調製する。
【0128】
また、配合および攪拌時には、縮合原料の相溶性および取扱性を向上させるために、例えば、0〜60℃に温度調整することもできる。
【0129】
なお、上記混合によって、シラノール基両末端ポリシロキサンのSiOH基と、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物のSiX基およびエポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物のSiX基とのシラノール縮合反応の一部が開始されてもよく、シラノール縮合反応の進行度は、H−NMR測定によって、SiOH基に由来するピークの消失程度によって確認することができる。
【0130】
その後、系を、必要により減圧することにより、揮発成分(溶媒など)を除去する。
【0131】
次いで、調製した縮合原料および縮合触媒の混合物に、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンを配合して、例えば、1〜120分間攪拌する。
【0132】
配合および攪拌時には、混合物およびアルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンの相溶性および取扱性を向上させるために、例えば、0〜60℃に温度調整することもできる。
【0133】
その後、系に、付加触媒を配合して、例えば、1〜60分間で攪拌する。
【0134】
これにより、第1の原料成分を調製する。
【0135】
このようにして調製された第1の原料成分は、例えば、液状(オイル状)であって、その後に加熱することにより、縮合原料が縮合反応し、Bステージ状態(半硬化状態)となる。具体的には、シラノール基両末端ポリシロキサンのシラノール基と、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物のヒドロシリル基およびエポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物のヒドロシリル基とのシラノール縮合反応が進行する。
【0136】
その後、さらに加熱することにより、付加原料が付加反応して、Cステージ状態(完全硬化)となる。具体的には、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物のアルケニル基と、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンとのヒドロシリル基とのヒドロシリル化反応が進行する。
【0137】
第2の原料成分は、例えば、アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサン(炭化水素基/アルケニル基結合ケイ素併有化合物)と、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン(炭化水素基結合ケイ素含有化合物)と、ヒドロシリル化触媒と、ヒドロシリル化抑制剤とを含有する。
【0138】
アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンは、アルケニル基とヒドロシリル基(SiH基、下記一般式(7)参照)とを併有する。例えば、アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンとしては、具体的には、下記一般式(7)で示される水素末端アルケニル基側鎖含有オルガノポリシロキサン、下記一般式(8)で示されるアルケニル基末端水素側鎖含有オルガノポリシロキサンまたは下記一般式(9)で示される水素・アルケニル基側鎖含有オルガノポリシロキサンなどが挙げられる。
【0139】
一般式(7):
【0140】
【化5】

(一般式(7)中、I、J、K、K’、L、L’およびMは、構成単位を示し、IおよびMは、末端単位を示し、J、K、K’、LおよびL’は、繰り返し単位を示す。Rは、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示し、Rは、1価のアルケニル基を示す。また、eは、0以上の整数であり、fは、0以上の整数であり、f’は、0以上の整数であり、gは、2以上の整数であり、g’は、0以上の整数である。)
一般式(8):
【0141】
【化6】

(一般式(8)中、N、O、P、P’、Q、Q’およびRは、構成単位を示し、NおよびRは、末端単位を示し、O、P、P’、QおよびQ’は、繰り返し単位を示す。Rは、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示し、Rは、1価のアルケニル基を示す。また、hは、0以上の整数であり、jは、2以上の整数であり、j’は、0以上の整数であり、kは、2以上の整数であり、k’は、0以上の整数である。)
一般式(9):
【0142】
【化7】

(一般式(9)中、S、T,U、U’、V、V’およびWは、構成単位を示し、SおよびWは、末端単位を示し、T,U、U’、VおよびV’は、繰り返し単位を示す。Rは、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示し、Rは、1価のアルケニル基を示す。また、lは、0以上の整数であり、mは、2以上の整数であり、m’は、0以上の整数であり、pは、2以上の整数であり、p’は、0以上の整数である。)
上記一般式(7)〜(9)において、Rで示される飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基としては、第1の原料成分におけるシラノール基両末端ポリシロキサンの上記一般式(2)のRで例示した飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。1価の炭化水素基として、好ましくは、メチル基、フェニル基、さらに好ましくは、メチル基が挙げられる。
【0143】
上記一般式(7)〜(9)において、Rで示される1価の炭化水素基の炭素数は、好ましくは、1〜10である。
【0144】
上記一般式(7)〜(9)において、Rは、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
【0145】
上記一般式(7)〜(9)において、Rで示されるアルケニル基としては、第1の原料成分におけるアルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物の上記一般式(1)のRで例示したアルケニル基と同様のものが挙げられる。
【0146】
アルケニル基の炭素数は、その硬化物の透明性および耐熱性の観点から、好ましくは、2〜5である。
【0147】
上記一般式(7)〜(9)において、Rは、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
【0148】
アルケニル基としては、ヒドロシリル基との反応性の観点から、好ましくは、炭素数2〜5のアルケニル基、さらに好ましくは、ビニルが挙げられる。
【0149】
上記一般式(7)では、eは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、0〜10000の整数、さらに好ましくは、0〜1000の整数を示す。
【0150】
fは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、0〜1000の整数、さらに好ましくは、0〜100の整数を示す。
【0151】
f’は、好ましくは、0〜1000の整数、さらに好ましくは、0〜100の整数を示す。
【0152】
gは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、2〜1000の整数、さらに好ましくは、2〜100の整数を示す。
【0153】
g’は、好ましくは、0〜1000の整数、さらに好ましくは、0〜100の整数を示す。
【0154】
上記一般式(8)では、hは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、0〜10000の整数、さらに好ましくは、1〜1000の整数を示す。
【0155】
jは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、2〜1000の整数、さらに好ましくは、2〜100の整数を示す。
【0156】
j’は、好ましくは、0〜1000の整数、さらに好ましくは、0〜100の整数を示す。
【0157】
kは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、0〜1000の整数、さらに好ましくは、0〜100の整数を示す。
【0158】
k’は、好ましくは、0〜1000の整数、さらに好ましくは、0〜100の整数を示す。
【0159】
上記一般式(9)では、lは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、0〜10000の整数、さらに好ましくは、0〜1000の整数を示す。
【0160】
mは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、2〜1000の整数、さらに好ましくは、2〜100の整数を示す。
【0161】
m’は、好ましくは、0〜1000の整数、さらに好ましくは、0〜100の整数を示す。
【0162】
pは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、2〜1000の整数、さらに好ましくは、2〜100の整数を示す。
【0163】
p’は、好ましくは、0〜1000の整数、さらに好ましくは、0〜100の整数を示す。
【0164】
アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンとしては、好ましくは、上記式(7)において、f’およびg’が0の場合、上記式(8)において、j’およびk’が0の場合、上記式(9)において、m’およびp’が0の場合には、具体的には、直鎖状の、ビニル末端ポリメチルヒドロシロキサン(上記一般式(8)に相当)、ビニル末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(上記一般式(8)に相当)、ビニル末端ポリフェニル(ジメチルヒドロキシ)シロキサン(上記一般式(8)に相当)、ビニル末端メチルヒドロシロキサン−フェニルメチルシロキサン共重合体(上記一般式(8)に相当)、ビニル末端メチルヒドロシロキサン−オクチルメチルシロキサン共重合体(上記一般式(8)に相当)、水素末端ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(上記一般式(7)に相当)、水素末端ポリビニルメチルシロキサン(上記一般式(7)に相当)などが挙げられる。
【0165】
なお、アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンとしては、上記した直鎖状の分子構造を有するものに限られず、例えば、環状、分岐状、三次元網目状などの分子構造を有してもよい。
【0166】
これらのアルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンのうち、好ましくは、ビニル末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(上記一般式(8)に相当)が挙げられる。
【0167】
また、これらアルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンは、単独(1種類のみ)で用いることもでき、2種以上併用することもできる。
【0168】
アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサン中のアルケニル基当量は、その硬化物の強靭性と可撓性の観点から、例えば、0.005〜10mmol/g、好ましくは、0.01〜5mmol/gである。アルケニル基当量は、H−NMRを用いるシリコーン樹脂組成物のアルケニル基当量の算出方法(後述)に準じて算出される。
【0169】
アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサン中のアルケニル基当量が上記範囲に満たないと、その硬化物の強靭性が不十分となる場合がある。また、アルケニル基当量が上記範囲を超えると、その硬化物の可撓性が不十分となる場合がある。
【0170】
アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、例えば、1000〜100000、好ましくは、5000〜50000である。
【0171】
また、アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンの粘度(25℃)は、その硬化物の強靭性の観点から、例えば、100〜500000mPa・s、好ましくは、300〜100000mPa・sである。アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンの粘度は、B型粘度計を用いて測定することができる。
【0172】
アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンは、第2の原料成分100質量部中に、例えば、0.1〜99.9質量部、好ましくは、1〜99質量部、さらに好ましくは、50〜90質量部、とりわけ好ましくは、65〜80質量部の配合割合で配合される。
【0173】
アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンとしては、第1の原料成分で例示したアルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンと同様のものが挙げられる。
【0174】
アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンは、第2の原料成分100質量部中に、例えば、0.1〜99.9質量部、好ましくは、1〜99質量部、さらに好ましくは、5〜50質量部、とりわけ好ましくは、10〜35質量部の配合割合で配合される。
【0175】
また、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンは、その硬化物の強靭性の観点から、アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサン100質量部に対して、例えば、0.1〜1000質量部、好ましくは、1〜100質量部、さらに好ましくは、10〜65質量部、とりわけ好ましくは、20〜45質量部の配合割合で配合される。
【0176】
また、第2の原料成分中における、アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンのアルケニル基と、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基とのmol比(アルケニル基/ヒドロシリル基)は、例えば、1/50〜50/1、好ましくは、1/5〜5/1である。
【0177】
また、第2の原料成分中における、アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基と、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基とのmol比(アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基/(アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基))は、例えば、1/30〜30/1、好ましくは、1/3〜3/1である。
【0178】
アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンと、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンとの混合物(すなわち、ケイ素含有成分)中のヒドロシリル基当量は、例えば、0.3〜3mmol/g、好ましくは0.5〜2mmol/gである。ヒドロシリル基当量は、H−NMRを用いるシリコーン樹脂組成物のアルケニル基当量の算出方法(後述)に準じて算出される。
【0179】
アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンと、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンとの混合物(すなわち、ケイ素含有成分)中のヒドロシリル基当量が、上記範囲に満たないと、強靭性が不十分となる場合がある。また、ヒドロシリル基当量が上記範囲を超えると、可撓性が不十分となる場合がある。
【0180】
ヒドロシリル化触媒としては、第1の原料成分で例示した付加触媒と同様のものが挙げられる。
【0181】
ヒドロシリル化触媒のうち、その硬化物の透明性、第2の原料成分への相溶性、および、触媒活性の観点から、好ましくは、白金触媒、さらに好ましくは、白金オレフィン錯体が挙げられ、具体的には、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。
【0182】
ヒドロシリル化触媒は、アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンのアルケニル基と、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基とをヒドロシリル化させる。つまり、アルケニル基とヒドロシリル基(SiH基)とのヒドロシリル化反応の反応速度を向上させる。
【0183】
なお、ヒドロシリル化触媒は、公知の溶媒(トルエンなど)溶液として調製されていてもよい。
【0184】
ヒドロシリル化触媒は、アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサン100質量部に対して、例えば、1.0×10−4〜0.5質量部、好ましくは、1.0×10−3〜0.5質量部の配合割合で、第2の原料成分に配合される。
【0185】
ヒドロシリル化触媒は、第2の原料成分中におけるアルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンのアルケニル基1molに対して、例えば、1.0×10−6〜5.0×10−3mmol、好ましくは、1.0×10−5〜5.0×10−3mmolの配合割合で、第2の原料成分に配合される。
【0186】
ヒドロシリル化抑制剤としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどのトリアルキルアンモニウムヒドロキシドなどの第4級アンモニウムヒドロキシドが挙げられる。
【0187】
これらヒドロシリル化抑制剤は、単独(1種類のみ)で使用することもでき、2種以上併用することもできる。
【0188】
また、これらヒドロシリル化抑制剤のうち、好ましくは、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、さらに好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基を有するテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、とりわけ好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(水酸化テトラメチルアンモニウム)が挙げられる。
【0189】
また、ヒドロシリル化抑制剤は、触媒活性や入手の容易さの観点から、例えば、水溶液またはアルコール溶液として用いられ、その硬化物の透明性、取扱性の観点から、好ましくは、メタノール溶液として用いられる。
【0190】
ヒドロシリル化抑制剤は、ヒドロシリル化触媒を安定化して、アルケニル基とヒドロシリル基とのヒドロシリル化を抑制する。また、ヒドロシリル化抑制剤は、ヒドロシリル基が水と反応することにより生成するシラノール基の縮合反応を促進する。
【0191】
ヒドロシリル化抑制剤は、ヒドロシリル化触媒100質量部に対して、例えば、1.0×10〜1.0×10質量部、好ましくは、1.0×10〜1.0×10質量部の配合割合で、第2の原料成分に配合される。
【0192】
ヒドロシリル化抑制剤の配合割合が上記範囲に満たないと、十分な硬化抑制効果を得られない場合がある。また、ヒドロシリル化抑制剤の配合割合が上記範囲を超えると、第2の原料成分を硬化させることが困難になる場合や、その硬化物の耐熱性が低下する場合がある。
【0193】
そして、第2の原料成分を調製するには、上記した配合割合で、アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンと、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンと、ヒドロシリル化触媒と、ヒドロシリル化抑制剤とを配合し、例えば、0〜60℃で、例えば、1〜120分、攪拌し、混合する。
【0194】
この第2の原料成分では、アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンのアルケニル基と、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基とのヒドロシリル化反応を、ヒドロシリル化抑制剤で抑制しながら、アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基と、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基との縮合反応を、必要により加熱して、進行させることができる。
【0195】
その結果、第2の原料成分を均一に半硬化させることができる。
【0196】
また、この第2の原料成分は、ヒドロシリル化抑制剤によって、ヒドロシリル化触媒を安定化して、アルケニル基とヒドロシリル基とのヒドロシリル化を抑制しながら、ヒドロシリル基が水と反応することにより生成するシラノール基のシラノール縮合反応を、必要により加熱して、促進することができる。
【0197】
その結果、アルケニル基とヒドロシリル基とのヒドロシリル化を抑制しながら、第2の原料成分を半硬化させることができる。
【0198】
このような原料成分(第1の原料成分または第2の原料成分)から、本発明のシリコーン樹脂組成物が調製される。
【0199】
このシリコーン樹脂組成物は、ケイ素含有成分のアルケニル基当量(すなわち、ケイ素含有成分1g当たりのアルケニル基のmol数、あるいは、アルケニル基含有量)が、200〜2000μmol/gである。
【0200】
ケイ素含有成分のアルケニル基当量は、原料成分が調製された後、ヒドロシリル化反応の進行前に測定される。
【0201】
具体的には、第1の原料成分では、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物と、シラノール基両末端ポリシロキサンと、エポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物と、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンと、縮合触媒と、付加触媒とを配合した後であって、ヒドロシリル化反応させる前(Cステージ状態の前)のシリコーン樹脂組成物のアルケニル基当量が測定される。
【0202】
第2の原料成分では、アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンと、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンと、ヒドロシリル化触媒と、ヒドロシリル化抑制剤とを配合した後であって、ヒドロシリル化反応の前のシリコーン樹脂組成物のアルケニル基当量が測定される。
【0203】
そして、このシリコーン樹脂組成物では、ケイ素含有成分のアルケニル基当量が特定範囲にあるので、シリコーン樹脂組成物は、耐熱性に優れる。
【0204】
一方、ケイ素含有成分のアルケニル基当量が、上記範囲に満たない場合では、アルケニル基結合ケイ素併有化合物および/または炭化水素基/アルケニル基結合ケイ素併有化合物(原料成分が第1の原料成分である場合には、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物、原料成分が第2の原料成分である場合には、アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサン)の架橋密度(架橋点数)が減少するため、シリコーン樹脂組成物から形成される封止層がブリードする。
【0205】
一方、ケイ素含有成分のアルケニル基当量が、上記範囲を超える場合には、架橋点間距離が短くなり、硬化物の硬度が過度に高くなるため、封止層が脆弱になる。
【0206】
アルケニル基当量は、具体的には、以下のように測定される。
【0207】
まず、シリコーン樹脂組成物を溶媒に溶解させ、次いで、H−NMR測定によって、ケイ素原子に結合するアルケニル基の水素原子のピーク強度の積分値Aと、ケイ素原子に結合する1価の炭化水素基の水素原子のピーク強度の積分値Bとを得る。
【0208】
次いで、得られたピーク強度の積分値Aを、アルケニル基が有する水素原子数Yで割ることにより、アルケニル基1分子当たりのピーク強度の積分値A/Yを得る。次いで、A/Yに、下記式(10)に示すアルケニル基およびケイ素原子を有するアルケニル基・ケイ素部分の分子量を掛けることにより、アルケニル基が結合されたケイ素原子の質量部A’が求められる。
【0209】
【化8】

(式(10)中、Rはアルケニル基を示す。)
また、得られたピーク強度の積分値Bを、1価の炭化水素基が有する水素原子数Zで割ることにより、1価の炭化水素基1分子当たりのピーク強度の積分値B/Zを得る。次いで、B/Zに、下記式(11)に示す1価の炭化水素基とシロキサン部分とを有する主鎖部分の分子量を掛けることにより、主鎖部分の質量部B’が求められる。
【0210】
【化9】

(一般式(11)中、Rは、1価の炭化水素基を示し、nは、1以上の整数を示す。)
上記した主鎖部分の質量部B’が、ケイ素含有成分の平均分子量であると近似されるので、B’/A’(g/mol)が、アルケニル基1molに対するケイ素含有成分のg数となり、その逆数、すなわち、A’/B’(mol/g)が、ケイ素含有成分1g当たりのアルケニル基のmol数、すなわち、アルケニル基当量(アルケニル基含有量)として算出される。
【0211】
また、ケイ素含有成分のアルケニル基当量は、好ましくは、225〜1000μmol/gであり、さらに好ましくは、250〜800μmol/gである。
【0212】
具体的には、原料成分が第1の原料成分である場合には、ケイ素含有成分のアルケニル基当量が、例えば、300〜2000μmol/gであり、好ましくは、350〜1000μmol/gであり、さらに好ましくは、400〜800μmol/gである。
【0213】
また、原料成分が第2の原料成分である場合には、ケイ素含有成分のアルケニル基当量は、例えば、200〜1500μmol/gであり、好ましくは、225〜1000μmol/gであり、さらに好ましくは、250〜900μmol/gである。
【0214】
なお、原料成分には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、充填剤、さらには、老化防止剤、変性剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤、クリープハードニング防止剤、可塑剤、チクソ性付与剤、防カビ剤などの添加剤を適宜の割合で添加して調製することができる。
【0215】
充填剤としては、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、層状マイカ、カーボンブラック、珪藻土、ガラス繊維、蛍光体などの無機充填剤が挙げられる。
【0216】
シリコーン樹脂組成物は、耐熱性に優れる封止材料として用いることができる。
【0217】
すなわち、封止材料は、上記したように、まず、縮合反応により半硬化(Bステージ)し、次いで、付加反応により完全硬化(Cステージ)することができることから、半硬化状態でシート形状に形成しておけば、取扱性の向上を図ることができながら、発光ダイオード装置(後述)を製造効率よく製造することができる。
【0218】
次に、このような封止材料から形成される封止シートが用いられる、本発明の発光ダイオード装置の一実施形態について、図1〜図3を参照して、説明する。
【0219】
図1に示すように、この封止用シート1は、封止層7と、封止層7に積層される蛍光体層5とを備えている。
【0220】
封止層7は、上記したシリコーン樹脂組成物からなり、シート形状に形成されている。
【0221】
封止層7は、一層から形成されていてもよく、あるいは、複数層から形成されていてもよい。
【0222】
また、封止層7の厚みは、例えば、200〜800μm、好ましくは、300〜700μm、さらに好ましくは、400〜600μmである。
【0223】
蛍光体層5は、封止層7の厚み方向一方面に積層されており、蛍光体含有樹脂組成物から、シート形状に形成されている。
【0224】
蛍光体含有樹脂組成物は、蛍光体と、樹脂組成物とを含有する。
【0225】
蛍光体は、波長変換機能を有し、発光ダイオード装置に用いられる公知の蛍光体であれば、特に制限されないが、例えば、青色光を黄色光に変換することのできる黄色蛍光体、青色光を赤色光に変換することのできる赤色蛍光体などの公知の蛍光体が挙げられる。
【0226】
黄色蛍光体としては、例えば、YAl12:Ce(YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)、TbAl12:Ce(TAG(テルビウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)などのガーネット型蛍光体、例えば、Ca−α−SiAlONなどの酸窒化物蛍光体などが挙げられる。
【0227】
赤色蛍光体としては、例えば、CaAlSiN:Eu、CaSiN:Euなどの窒化物蛍光体などが挙げられる。
【0228】
このような蛍光体のなかでは、好ましくは、黄色蛍光体が挙げられ、さらに好ましくは、YAG:Ceが挙げられる。
【0229】
このような蛍光体は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0230】
また、蛍光体は、粒子状であり、その形状は、特に限定されず、例えば、略球形状、略平板形状、略針形状などが挙げられる。
【0231】
また、蛍光体の平均粒子径(最大長さの平均)は、例えば、0.1〜500μm、好ましくは、0.2〜200μmである。蛍光体粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定される。
【0232】
樹脂組成物は、例えば、発光ダイオード装置に用いられる公知の透明性樹脂を含み、透明性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0233】
このような透明性樹脂は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0234】
また、このような透明性樹脂のなかでは、好ましくは、熱硬化性樹脂が挙げられ、耐久性、耐熱性および耐光性の観点から、さらに好ましくは、シリコーン樹脂が挙げられる。
【0235】
このような透光性樹脂組成物のなかでは、好ましくは、シリコーン樹脂を含有する樹脂組成物(シリコーン樹脂組成物)が挙げられる。
【0236】
シリコーン樹脂組成物としては、例えば、本発明におけるシリコーン樹脂組成物を含む縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
【0237】
蛍光体含有樹脂組成物を調製するには、上記した蛍光体および樹脂組成物を配合して、攪拌混合する。
【0238】
蛍光体の配合割合は、蛍光体の種類、蛍光体層5の厚みおよび封止用シート1の形状などにより適宜選択され、例えば、蛍光体含有樹脂組成物に対して、1〜50質量%、好ましくは、10〜40質量%である。
【0239】
攪拌温度は、例えば、室温(約25℃)〜50℃であり、攪拌時間は、例えば、1分間〜180分間である。
【0240】
また、蛍光体層5の厚みは、特に制限されないが、例えば、20〜300μm、好ましくは、30〜200μm、さらに好ましくは、70〜120μmである。
【0241】
なお、蛍光体層5は、蛍光体をセラミックス材料とし、かかるセラミックス材料を焼結することにより、蛍光体のセラミックス(蛍光体セラミックス)から形成することもできる。
【0242】
次に、封止用シート1を製造する方法について、図2を参照して説明する。
【0243】
この方法では、まず、図2(a)に示すように、離型シート9を用意する。
【0244】
離型シート9は、封止用シート1の表面(蛍光体層5)を被覆して保護する保護シートや、封止用シート1の塗工基材であって、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのポリエステルフィルム、例えば、ポリカーボネートフィルム、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、例えば、ポリスチレンフィルム、例えば、アクリル樹脂フィルム、例えば、シリコーン樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルムなどの樹脂フィルムなどが挙げられる。
【0245】
このような離型シート9のなかでは、好ましくは、ポリエステルフィルムが挙げられる。
【0246】
なお、離型シート9の表面(蛍光体層5が形成される側の面)には、蛍光体層5からの離型性を高めるため、必要により、離型処理が施されている。
【0247】
離型シート9の厚みは、特に制限されないが、例えば、取扱性、コストの観点から、例えば、20〜100μm、好ましくは、30〜80μmである。
【0248】
次いで、図2(b)に示すように、蛍光体層5を離型シート9の上に積層する。
【0249】
蛍光体層5を離型シート9に積層する方法としては、特に制限されず、例えば、離型シート9に蛍光体層5を直接形成する方法、蛍光体層5を別のフィルムの上に形成した後、その蛍光体層5を離型シート9に貼り付ける(転写する)方法などが挙げられる。
【0250】
このような積層方法のなかでは、好ましくは、離型シート9に蛍光体層5を直接形成する方法が挙げられ、具体的には、離型シート9に蛍光体含有樹脂組成物を、直接塗布して、蛍光皮膜を得、これを加熱により硬化して、蛍光体層5を形成する方法が挙げられる。
【0251】
硬化条件としては、加熱温度が、例えば、80〜150℃、好ましくは、90〜150℃であり、加熱時間が、例えば、1〜100分間、好ましくは、5〜15分間である。
【0252】
次いで、図2(c)に示すように、封止層7を、蛍光体層5の上に積層する。
【0253】
詳しくは、封止層7を、蛍光体層5の上面(蛍光体層5が離型シート9と接触している他方面と反対側の一方面)全面に積層する。
【0254】
封止層7を蛍光体層5の上に積層するには、例えば、縮合反応が完結していないシリコーン樹脂組成物を、蛍光体層5の上面全面に、例えば、キャスト、スピン、ロールなどの公知の塗布方法によって塗布することにより、封止皮膜を形成する。
【0255】
その後、封止皮膜を加熱して、シリコーン樹脂組成物を半硬化させる。
【0256】
具体的には、シリコーン樹脂組成物は、加熱による縮合反応によって、Bステージ状態(半硬化状態)となる。
【0257】
例えば、シリコーン樹脂組成物が、第1の原料成分から調製される場合には、シラノール基両末端ポリシロキサンのシラノール基と、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物のヒドロシリル基およびエポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物のヒドロシリル基とのシラノール縮合反応が進行する。
【0258】
シリコーン樹脂組成物が、第2の原料成分から調製される場合には、アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基と、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基とのシラノール縮合反応が進行する。
【0259】
加熱条件としては、温度が、例えば、50〜150℃、好ましくは、80〜120℃であり、加熱時間が、例えば、1〜100分間、好ましくは、5〜15分間である。
【0260】
これにより、蛍光体層5の上面に、シート形状の封止層7が積層される。
【0261】
以上によって、封止用シート1が作製される。
【0262】
次に、封止用シート1を用いて、発光ダイオード素子11を封止して、発光ダイオード装置2を製造する方法について、図3を参照して説明する。
【0263】
この方法では、まず、図3(a)に示すように、封止用シート1と、基板14とを用意する。
【0264】
封止シート1は、図2(c)に示す封止シート1を、上下反転することにより用意する。
【0265】
基板14は、封止用シート1より大きい略平板形状に形成されている。
【0266】
また、基板14には、その中央部分に、ワイヤーボンディングまたはフリップチップ実装などの公知の接続方法によって、設置された発光ダイオード素子11が実装されている。なお、基板14には、必要により、発光ダイオード素子11を複数個実装することもできる。
【0267】
発光ダイオード素子11は、例えば、青色光を発光できる発光ダイオード素子であって、断面略矩形状に形成されている。
【0268】
そして、図3(a)に示すように、用意した基板14の上側に、封止用シート1を配置する。
【0269】
詳しくは、封止用シート1の封止層7と、基板14に実装された発光ダイオード素子11とが、上下方向において対向するように配置する。
【0270】
次いで、図3(b)に示すように、封止用シート1を基板14に貼着して、発光ダイオード素子11を封止する。
【0271】
詳しくは、封止用シート1が所定条件で平板プレスされることにより、発光ダイオード素子11が封止用シート1により被覆され、封止用シート1は、発光ダイオード素子11および基板14と接着する。
【0272】
プレス条件としては、温度が、例えば、80〜220℃、好ましくは、100〜200℃であり、圧力が、例えば、0.01〜1MPa、好ましくは、0.01〜0.5MPaである。
【0273】
このとき、発光ダイオード素子11は、封止層7中に収容される。
【0274】
次いで、封止用シート1の封止層7を、所定条件において硬化させる。
【0275】
具体的には、封止用シート1の封止層7を加熱することにより、付加反応が進行して、Cステージ状態(完全硬化)となる。
【0276】
詳しくは、シリコーン樹脂組成物が、第1の原料成分から調製される場合には、アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物のアルケニル基と、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基とのヒドロシリル化反応が進行する。シリコーン樹脂組成物が、第2の原料成分から調製される場合には、アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサンのアルケニル基と、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基とのヒドロシリル化反応が進行する。
【0277】
硬化条件は、上記した封止層7が完全硬化する条件、すなわち、シリコーン樹脂組成物におけるヒドロシリル化反応(付加反応)が進行する条件である。
【0278】
具体的には、加熱温度が、例えば、80〜200℃、好ましくは、100〜180℃、加熱時間が、例えば、1〜30分間、好ましくは、1〜10分間である。
【0279】
次いで、図3(b)の仮想線で示すように、剥離シート9を剥離する。
【0280】
以上によって、図3(c)に示すように、封止層7により、発光ダイオード素子11が封止された発光ダイオード装置2が作製される。
【0281】
つまり、発光ダイオード素子11と、発光ダイオード素子11を封止する封止層7とを備える発光ダイオード装置2が作製される。
【0282】
なお、発光ダイオード装置2では、剥離シート9を剥離する前に、平板プレスにより加圧成型して、封止用シート1と、発光ダイオード素子11および基板14とを接着しているが、これに限定されず、例えば、剥離シート9が剥離された後に、平板プレスまたは金属金型により加圧成型して、発光ダイオード素子11および基板14と接着させた後、剥離シート9を剥離することもできる。
【0283】
本発明のシリコーン樹脂組成物では、アルケニル基当量が、特定範囲であるので、その結果、耐熱性に優れたシリコーン樹脂組成物からなる本発明の封止材料は、耐熱性に優れる。
【0284】
そのため、この封止材料から形成される封止層7が耐熱性に優れるため、発光に伴い発光ダイオード素子11が発熱しても、封止層7中のブリードを抑制することができる。その結果、発光ダイオード装置2は、外観に優れる。
【実施例】
【0285】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、何らそれらに限定されない。
【0286】
実施例1
シラノール基両末端ポリジメチルシロキサン(シラノール基両末端ポリシロキサン、数平均分子量1500、シラノール基当量1.33mmol/g)100gと、ビニルトリメトキシシラン(アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物、ビニル基当量6.75mmol/g)5.93g(40.0mmol)と、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(エポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物、エポキシ基当量4.2mmol/g)1.05g(4.4mmol)とを配合して、それらを撹拌混合して混合物を調製した。
【0287】
なお、混合物におけるシラノール基両末端ポリジメチルシロキサンのシラノール基に対する、ビニルトリメトキシシランのメトキシ基および(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランのメトキシ基の総数の割合は(=シラノール基/メトキシ基)は、mol比で、1/1であった。
【0288】
その後、混合物に、水酸化テトラメチルアンモニウム(縮合触媒)の10質量%メタノール溶液366μL(シラノール基両末端ポリジメチルシロキサン100molに対して、0.5mol)を配合して、それらの混合物を、室温(25℃)で、1時間攪拌した。これにより、混合物を反応させた。次いで、反応溶液を25℃で1時間減圧して、揮発成分(メタノールなど)を留去した。
【0289】
その後、得られた反応液に、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン(水素側鎖含有オルガノポリシロキサン、一般式(3)中、Rがすべてメチル基、a=10、b=10、b’=0;数平均分子量2000、粘度20mPa・s(25℃)、ヒドロシリル基当量7.14mmol/g)16.81gを配合して、25℃で1時間撹拌し、次いで、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金濃度2質量%:付加触媒)15μLを配合して、それらを混合した。
【0290】
ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンのヒドロシリル基に対する、ビニルトリメトキシシランのビニル基の割合(ビニル基/ヒドロシリル基)は、mol比で、1/3であった。
【0291】
これにより、シリコーン樹脂組成物を得た。
【0292】
実施例2
ビニル末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサン、上記一般式(8)に相当、ビニル基当量0.84mmol/g)30gと、水酸化テトラメチルアンモニウム(ヒドロシリル化抑制剤)の10質量%メタノール溶液14.3μL(水酸化テトラメチルアンモニウム量:0.013mmol)とを配合し、その後、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン(アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン、一般式(3)中、Rがすべてメチル基、a=10、b=10、b’=0;数平均分子量2000、粘度20mPa・s(25℃)、ヒドロシリル基当量7.14mmol/g)10.6gを配合し、混合物を調製した。混合物のヒドロシリル基当量は1.87mmol/gであった。
【0293】
なお、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンのヒドロシリル基に対する、ビニル末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体のビニル基の割合(ビニル基/ヒドロシリル基)は、mol比で、1/3であり、また、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンのヒドロシリル基に対する、ビニル末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体のヒドロシリル基の割合(ヒドロシリル基/ヒドロシリル基)は、mol比で、1/1であった。
【0294】
その後、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金濃度2質量%:ヒドロシリル化触媒)1.9μLとを配合して、それらを混合した。
【0295】
これにより、シリコーン樹脂組成物を得た。
【0296】
実施例3
ビニル末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサン、上記一般式(8)に相当、ビニル基当量0.3mmol/g)30gと、水酸化テトラメチルアンモニウム(ヒドロシリル化抑制剤)の10質量%メタノール溶液14.3μL(水酸化テトラメチルアンモニウム量:0.013mmol)とを配合し、その後、アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン(一般式(3)中、Rがすべてメチル基、a=10、b=10、b’=0;数平均分子量2000、粘度20mPa・s(25℃)、ヒドロシリル基当量7.14mmol/g)3.8gを配合し、混合物を調製した。混合物のヒドロシリル基当量は0.80mmol/gであった。
【0297】
なお、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンのヒドロシリル基に対する、ビニル末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体のビニル基の割合(ビニル基/ヒドロシリル基)は、mol比で、1/3であり、また、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンのヒドロシリル基に対する、ビニル末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体のヒドロシリル基の割合(ヒドロシリル基/ヒドロシリル基)は、mol比で、1/1であった。
【0298】
その後、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金濃度2質量%:ヒドロシリル化触媒)1.9μLとを配合して、それらを混合した。
【0299】
これにより、シリコーン樹脂組成物を得た。
【0300】
比較例1(特開2010−265436号公報の実施例1に準拠)
シラノール基両末端ジメチルポリシロキサン(シラノール基両末端ポリシロキサン、数平均分子量11500;シラノール基当量0.17mmol/g)100gと、ビニルトリメトキシシラン(アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物、ビニル基当量6.75mmol/g)0.773g(5.22mmol)と、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(エポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物、エポキシ基当量4.23mmol/g)0.137g(0.58mmol)とを配合して、それらを撹拌混合して混合物を調製した。
【0301】
なお、混合物におけるシラノール基両末端ジメチルポリシロキサンのシラノール基に対する、ビニルトリメトキシシランのメトキシ基および(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランのメトキシ基の総数の割合は(=シラノール基/メトキシ基)は、mol比で、1/1であった。
【0302】
その後、混合物に、水酸化テトラメチルアンモニウム(縮合触媒)の10質量%メタノール溶液48μL(シラノール基両末端ジメチルポリシロキサン100molに対して、0.5mol)を配合して、40℃で、1時間攪拌した。これにより、混合物を反応させた。次いで、反応溶液を40℃で1時間減圧して、揮発成分(メタノールなど)を留去した。
【0303】
その後、得られた反応液に、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン(水素側鎖含有オルガノポリシロキサン、一般式(3)中、Rがすべてメチル基、a=10、b=10、b’=0;数平均分子量2000、粘度20mPa・s(25℃)、ヒドロシリル基当量7.14mmol/g)2.19gを配合して、40℃で1時間撹拌し、次いで、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金濃度2質量%:付加触媒)1.25μLを配合して、それらを混合した。
【0304】
ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンのヒドロシリル基に対する、ビニルトリメトキシシランのビニル基の割合(ビニル基/ヒドロシリル基)は、mol比で、1/3であった。
【0305】
これにより、シリコーン樹脂組成物を得た。
【0306】
比較例2
シラノール基両末端ポリジメチルシロキサン(シラノール基両末端ポリシロキサン、数平均分子量3000;シラノール基当量0.66mmol/g)100gと、ビニルトリメトキシシラン(アルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物、ビニル基当量6.75mmol/g)2.96g(20.0mmol)と、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(エポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物、エポキシ基当量0.42mmol/g)0.53g(0.22mmol)とを配合して、それらを撹拌混合して混合物を調製した。
【0307】
なお、混合物におけるシラノール基両末端ポリジメチルシロキサンのシラノール基に対する、ビニルトリメトキシシランのメトキシ基および(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランのメトキシ基の総数の割合は(=シラノール基/メトキシ基)は、mol比で、1/1であった。
【0308】
その後、水酸化テトラメチルアンモニウム(縮合触媒)の10質量%メタノール溶液183μL(シラノール基両末端ポリジメチルシロキサン100molに対して、0.5mol)を配合して、25℃で、1時間攪拌した。これにより、混合物を反応させた。次いで、反応溶液を25℃で1時間減圧して、揮発成分(メタノールなど)を留去した。
【0309】
その後、得られた反応液に、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン(水素側鎖含有オルガノポリシロキサン、一般式(3)中、Rがすべてメチル基、a=10、b=10、b’=0;数平均分子量2000、粘度20mPa・s(25℃)、ヒドロシリル基当量7.14mmol/g)8.40gを配合して、25℃で1時間撹拌し、次いで、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金濃度2質量%:付加触媒)4.8μLを配合して、それらを混合した。
【0310】
ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンのヒドロシリル基に対する、ビニルトリメトキシシランのビニル基の割合(ビニル基/ヒドロシリル基)は、mol比で、1/3であった。
【0311】
これにより、シリコーン樹脂組成物を得た。
【0312】
比較例3
ビニル末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサン、上記一般式(8)に相当、ビニル基当量0.079mmol/g)30gと、水酸化テトラメチルアンモニウム(ヒドロシリル化抑制剤)の10質量%メタノール溶液14.3μL(水酸化テトラメチルアンモニウム量:0.013mmol)とを配合し、その後、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン(アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン、一般式(3)中、Rがすべてメチル基、a=10、b=10、b’=0;数平均分子量2000、粘度20mPa・s(25℃)、ヒドロシリル基当量7.14mmol/g)1.00gを配合した。混合物のヒドロシリル基当量は0.23mmol/gであった。
【0313】
なお、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンのヒドロシリル基に対する、ビニル末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体のビニル基の割合(ビニル基/ヒドロシリル基)は、mol比で、1/3であり、また、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンのヒドロシリル基に対する、ビニル末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体のヒドロシリル基の割合(ヒドロシリル基/ヒドロシリル基)は、mol比で、1/1であった。
【0314】
その後、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金濃度2質量%:ヒドロシリル化触媒)1.9μLとを配合して、それらを混合した。
【0315】
これにより、シリコーン樹脂組成物を得た。
【0316】
比較例4
ビニル末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(アルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサン、上記一般式(8)に相当、ビニル基当量0.13mmol/g)30gと、水酸化テトラメチルアンモニウム(ヒドロシリル化抑制剤)の10質量%メタノール溶液14.3μL(水酸化テトラメチルアンモニウム量:0.013mmol)とを配合し、その後、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン(アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン、一般式(3)中、Rがすべてメチル基、a=10、b=10、b’=0;数平均分子量2000、粘度20mPa・s(25℃)、ヒドロシリル基当量7.14mmol/g)1.63gを配合した。混合物のヒドロシリル基当量は0.37mmol/gであった。
【0317】
なお、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンのヒドロシリル基に対する、ビニル末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体のビニル基の割合(ビニル基/ヒドロシリル基)は、mol比で、1/3であり、また、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンのヒドロシリル基に対する、ビニル末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体のヒドロシリル基の割合(ヒドロシリル基/ヒドロシリル基)は、mol比で、1/1であった。
【0318】
その後、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金濃度2質量%:ヒドロシリル化触媒)1.9μLとを配合して、それらを混合した。
【0319】
これにより、シリコーン樹脂組成物を得た。
【0320】
(評価)
1.ビニル基当量(ケイ素含有成分1g当たりのビニル基のmol数)の測定
各実施例および各比較例で得られたシリコーン樹脂組成物を、それぞれ、重ベンゼンに溶解させてサンプルを調製し、そのサンプルをH−NMRにより測定した。
【0321】
具体的には、ビニル基の水素原子(5.7〜6.4(ppm))のピーク強度の積分値Aと、メチル基の水素原子(1.8〜2.0(ppm))のピーク強度の積分値Bとを得た。
【0322】
得られたピーク強度の積分値Aを、ビニル基が有する水素原子数(3個)で割ることにより、ビニル基における水素原子1個当たりのピーク強度の積分値A/3を得た。次いで、A/3に、ビニル基・ケイ素部分(上記式(10)参照)の分子量55を掛けることにより、ビニル基・ケイ素部分の質量部A’を求めた。
【0323】
また、得られたピーク強度の積分値Bを、メチル基が有する水素原子数(3個)で割ることにより、メチル基における水素原子1個当たりのピーク強度の積分値B/3を得た。次いで、B/3に、メチル基が結合している主鎖部分(上記式(11)参照)の分子量74を掛けることにより、メチル基が結合している主鎖部分の質量部B’を求めた。
【0324】
メチル基が結合している主鎖部分の質量部B’が、ケイ素含有成分の平均分子量であると近似すると、B’/A’(g/mol)が、ビニル基1molに対するケイ素含有成分のg数となる。
【0325】
そして、B’/A’(g/mol)の逆数、すなわち、A’/B’(mol/g)を、ビニル基当量(ケイ素含有成分1g当たりのビニル基のmol数)として算出した。それらの結果を表1に示す。
2.発光ダイオード装置(封止層)の外観の評価
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物(LR7665、旭化成ワッカーシリコーン社製)のA液(アルケニル基含有ポリシロキサン)と、B液(アルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン)とを混合した混合溶液(混合比率(A/B)=1/1)75gに、YAG:Ce15gを混合し、25℃で1時間攪拌することにより、蛍光体含有樹脂組成物を調製した(蛍光体濃度15質量%)。
【0326】
次いで、ポリエステルフィルム(商品名:SS4C、ニッパ社製、厚み50μm)製の離型シート(図2(a)参照)の上面に、上記の蛍光体含有樹脂組成物を、厚み100μmに塗工し、蛍光皮膜を得、それを、100℃で10分間乾燥することにより、離型シートの上に蛍光体層を形成した(図2(b)参照)。
【0327】
次いで、各実施例および各比較例のシリコーン樹脂組成物を、離型シートの上に厚み500μmに塗工して、封止皮膜を得、それを、100〜150℃で5〜30分間乾燥して、シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とすることで、封止層をシート形状に形成した(図2(c)参照)。
【0328】
以上により、蛍光体層および封止層を備える封止用シートを作製した。
【0329】
次いで、封止用シートを、発光ダイオードを実装した基板に対して、封止層が発光ダイオードに対向するように配置した(図3(a)参照)。そして、160℃、5分間、0.1MPaの熱プレス条件において、封止用シートを熱プレスして、封止用シートを発光ダイオードおよび基板に圧着させた。
【0330】
これによって、封止層を硬化させて、封止層によって、発光ダイオードを封止した。次いで、離型シートを剥離した(図3(b)の仮想線参照)。
【0331】
以上により、発光ダイオード装置を作製した(図3(c)参照)。
【0332】
各実施例および各比較例に対応する発光ダイオード装置を、それぞれ、85℃、85%相対湿度(RH)に設定された恒温恒湿槽内において、発光ダイオードに250mAの電流を流して、発光ダイオードを連続点灯させた。
【0333】
そして、24時間連続点灯後の発光ダイオード装置の封止層を目視にて観察して、ブリードしているか否かを評価した。それらの結果を、表1に示す。表1中、○は、封止層にブリードが観察されていないことを示し、×は、封止層にブリードが観察されたことを示す。
【0334】
【表1】

【符号の説明】
【0335】
2 発光ダイオード装置
7 封止層
11 発光ダイオード素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基が結合されるケイ素原子、および、アルケニル基が結合されるケイ素原子を含むケイ素含有成分を含有するシリコーン樹脂組成物であり、
前記ケイ素含有成分1g当たりのアルケニル基のmol数が、200〜2000μmol/gであることを特徴とする、シリコーン樹脂組成物。
【請求項2】
アルケニル基とシラノール縮合反応性官能基とを併有するアルケニル基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物、シラノール基両末端ポリシロキサン、および、アルケニル基を含まずヒドロシリル基を含むアルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンを含有する前記ケイ素含有成分と、
エポキシ基とシラノール縮合反応性官能基とを併有するエポキシ基・シラノール縮合反応性官能基併有ケイ素化合物と、
縮合触媒と、
付加触媒と
を含有する原料成分から調製されることを特徴とする、請求項1に記載のシリコーン樹脂組成物。
【請求項3】
アルケニル基とヒドロシリル基とを併有するアルケニル基・ヒドロシリル基併有オルガノポリシロキサン、および、アルケニル基を含まずヒドロシリル基を含むアルケニル基不含/ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンを含有する前記ケイ素含有成分と、
ヒドロシリル化触媒と、
ヒドロシリル化抑制剤と
を含有する原料成分から調製されることを特徴とする、請求項1に記載のシリコーン樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリコーン樹脂組成物からなることを特徴とする、封止材料。
【請求項5】
半硬化状態であることを特徴とする、請求項4に記載の封止材料。
【請求項6】
シート形状に形成されていることを特徴とする、請求項4または5に記載の封止材料。
【請求項7】
発光ダイオード素子と、
請求項4〜6のいずれか一項に記載の封止材料から形成され、前記発光ダイオード素子を封止する封止層と
を備えることを特徴とする、発光ダイオード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−35894(P2013−35894A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170805(P2011−170805)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】