説明

シリコーン重合体を含む化粧料組成物

【課題】皮膚、口唇および/または体表面派生物に塗布されるべく意図され、そして満足でき、実際には改善さえもされている光沢、そして満足でき、実際には改善さえもされている心地よさを持ちながら、特に改善された色の保持性を示す、メイクアップおよび/またはケア用化粧料組成物を提供する。
【解決手段】特定のシリコーン重合体を含有する無水の化粧料組成物であり、着色材料を含むメイクアップ組成物、特にリップスティックを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚、口唇および/または体表面派生物に塗布されるべく意図され、そして満足でき、実際には改善さえもされている光沢、そして満足でき、実際には改善さえもされている心地よさを持ちながら、特に改善された色の保持性を示す、メイクアップおよび/またはケア用化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明によって目標とされる化粧料組成物は、もっと特定すると、皮膚、口唇および/または体表面派生物に塗布されるべく意図されたメイクアップおよび/またはケア用製品、特にリップスティック、リップバーム、リップペンシル、液状または固形ファンデーション、特にスティックとして、またはディッシュに注型されたもの、コンシーラーおよび皮膚を着色する製品、一時的刺青、目をメイクアップする製品、たとえばアイライナ−、特にペン シルの形態をしたもの、およびマスカラ、特にケーキの形態をしたもの、またはその他のアイシャドーである。
【0003】
一般に、化粧料組成物は塗布されたときに美的効果を与えなければならず、そしてこの美的効果を時間が経っても維持しなければならない。化粧料組成物はその美的効果を変えることができる各種の外部因子、たとえばファンデーションに対する汗または涙、またはリップスティックに対する唾液に特に耐えなければならない。
【0004】
化粧料組成物、たとえばリップスティックは、しわや微細な線の中に移行したり、布地に移転してはいけない。化粧料組成物はまた、塗布するのが快適でなければならず、そして満足すべき美的特性を保持しながら、時間が経っても心地よい感覚を保たなければならない。
【0005】
第1の選択肢では、化粧料組成物の色の保持性は、組成物の配合に揮発性の油を加えることによって得ることができる。化粧料組成物 を皮膚や口唇へ塗布した後の揮発性油の蒸発は、液体の割合の減少および堆積した層が濃縮される結果を招く。しかし、揮発性油の蒸発は、不快感および光沢効果の不利なな変化を生み出す。
【0006】
他の選択肢、もっと具体的には化粧料組成物の色の保持性を改善するために提案された選択肢は、特開平5−271034号および 欧州特許第0585981号に開示されているように、揮発性油の使用を避けるために、水および水性染料に可溶性のアルギン酸の塩から組成物を製造することに本質がある。しかし、水性染料を含むその様な組成物は、皮膚に跡を強く付ける欠点を示す。
【0007】
他の解決法が、揮発性油の使用を避けるために、非イオン性シリコーン誘導体の使用に基づいても目論まれた。その様な組成物、たとえばポリオキシアルキレン化有機ポリシロキサン誘導体を含む組成物が欧州特許第0548694号並びに特開平7−025728号、特開平7− 330547号および特開平8−027274号に開示された。アルキルグリセリルエーテルシリコーン誘導体を含む組成物が、特開平6−305933号および特開平7−330547号に開示された。油性基剤を持ち、ポリグリセリル化シリコーン誘導体またはフルオロアルキルポリグリセリル化シリコーン誘導体を含 む組成物が、特開平6−157236号、特開平9−071504号および特開平10−310504号に提供された。アルキルグリセロールシリコーン誘導体を含む組成も、欧州特許第0475130号並びに特開平2−844453号および特開平2−587797号に開示された。糖類、ブチレングルコールまたはグリ セロールによって水酸化されたシリコーン誘導体を含む他の組成物が、特開平5−186596号および特開平6−145023号に開示された。
【0008】
しかし、水の存在下で、これらの組成物は、皮膚の表面にゲルを生成氏、これは時間が経つと不快感が現れる結果となるする。
【特許文献1】特開平5−271034号公報
【特許文献2】欧州特許第0585981号公報
【特許文献3】欧州特許第0548694号公報
【特許文献4】特開平7−025728号公報
【特許文献5】特開平7−330547号公報
【特許文献6】特開平8−027274号公報
【特許文献7】特開平6−305933号公報
【特許文献8】特開平7−330547号公報
【特許文献9】特開平6−157236号公報
【特許文献10】特開平9−071504号公報
【特許文献11】特開平10−310504号公報
【特許文献12】欧州特許第0475130号公報
【特許文献13】特開平2−844453号公報
【特許文献14】特開平2−587797号公報
【特許文献15】特開平5−186596号公報
【特許文献16】特開平6−145023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上に検討した化粧料組成物の不利な点を克服すること、および光沢および/または心地よさを維持し、または改善しながら、ケラチン物質上での改善された保持性を示す化粧料組成物を提供することが本発明の特定の目的である。
【0010】
本発明の意義の内では、「ケラチン物質」の語、は皮膚、粘膜、たとえば口唇、爪、並びにケラチン繊維、たとえば睫毛および毛髪を包含するように意図される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願人は、驚くべきことに、化粧料組成物へ以下に説明される少なくとも1のシリコーン重合体を添加すると、当該化粧料組成物の 良好な光沢レベルを維持しながら、保持性と実際には心地よささえをも改善することを可能にすることを見出した。このことは、従来技術では組成物の保持性の改善は光沢および心地よさを犠牲にしてなされるので、いっそう驚くべきことである。
【0012】
本発明に従う化粧料組成物は、皮膚および口唇に使用するのに特に有利である。
【0013】
かくして本発明者らは、思いがけず、一般式(1):

{ここで、Rは特にアルキル基であり、Rは一般式(3)で表され、

(ここで、Qは2価の炭化水素基であり、そしてXはポリヒドロキシル化炭化水素基であり、
そしてRは一般式(4)の有機シロキサン基であり、

(ここで、R基の夫々は、互いに独立に、アルキル基を表す。))}
のシリコーン重合体の使用が、堆積された層の光沢および心地よさを損なうことなく、ケラチン物質上での改善された保持性を示す化粧料組成物の配合に特に有利であることを見出した。
【0014】
本発明に従う組成物の堆積された層の保持性、光沢および心地よさは、当業者に知られている任意の方法に従って評価されることができる。たとえば、保持性は以下に記載されたように評価される。
【0015】
組成物の保持性
【0016】
「保持性」の語は、化粧料組成物と接触するかも知れない物の上に、より少ない程度に移転する、本発明に従う化粧料組成物の特性、 および涙または汗のような液体との相互作用に、または、たとえばリップスティックの場合に、食事中の食品との接触に耐える特性、並びに、特にリップスティックの場合に、メイクアップの最初の線描きの間に口唇のしわ内や輪郭の微細な線内に移行しない特性を意味すると理解される。
【発明の効果】
【0017】
本発明に従う化粧料組成物は、少なくとも部分的には移転しない有利な点、換言すれば化粧料組成物が接触させられるか も知れないある種の基体上に、特にガラス、コップ、シガレット、ハンカチ、衣服または皮膚に、より少ない跡のみを残す有利な点を示す。化粧料組成物の 移転は、塗布された被膜の不十分な保持性を引き起こし、組成物の塗布の規則的なやり直しを必要とさせる。
【0018】
本発明に従う化粧料組成物はさらに、色の良好な保持性を示す。皮膚、口唇および/または体表面派生物に塗布された組成物の被膜は、液体、特に水または飲料、たとえば食事中に消費されるもの、または他に油、たとえば食品油、または他に皮脂または他に唾液と接触する間に一般に悪い影響を受けることがある。つまり、色の保持性は、水に対するその色の保持性および/または油に対するその色の保持性によって特性付けられることができる。
【0019】
したがって、本発明に従う化粧料組成物の保持性の評価は、以下の4パラメーター、すなわち移転がないこと、水に対する色の保持性、油に対する色の保持性、および移行がないことの少なくとも1の測定によって特性付けられることができる。
【0020】
移転がないこと、水に対する色の保持性、および油に対する色の保持性のパラメーターは、以下に記載された実験手順に従って順次に測定されることができる。
【0021】
測定は、たとえば洗浄され、そして環境温度で5分間自然乾燥された前腕の内表面上で実施される。試験される化粧料組成物、たとえばリップスティックは、前腕の内表面の3領域に塗布される。測定が実施される皮膚表面は少なくとも1cmより大きくなければならない。一般に、測定は約3cmの直径の円形領域上で実施される。
【0022】
化粧料組成物の約同量が3領域の夫々に塗布されることが必要である。これは化粧料組成物、たとえばリップスティックの重量を塗布の各回の後に測定することによって、または等量の試験されるサンプルを予め準備することによって確認されることができる。一般に、1cmの面積について約2mgの量が必要である(その領域が3cmの直径を持つならば、その場合には約28mgの量が必要である)。
【0023】
化粧料組成物の塗布の後、3領域の夫々の色Lが測定され、そして得られた平均値は組成物の初期の色に相当する。色はミノルタ社の比色計のCR200またはCM300またはCM500またはCM1000 またはCM2000系列を用いて測定されることができる。特に、CR200系列のミノルタ社の比色計が使用される。
【0024】
20mg/cmの水が試験される3領域の夫々に加えられる(約3cmの直径を持つ領域については、約280mgの水が塗布されなければならない)。試験される領域の夫々は、その後数秒間、特に2〜5秒間、そしてもっと特に2秒間、手によるマッサージを 受ける。
【0025】
ある厚さの市販の白紙のハンカチ、たとえばKleenex品が、その色Lが測定された後、メイクアップされた各領域に約5秒間、約100g/fの力で当てられる。この力は製造業者、今田社のDPZ−5Nデジタル応力ゲージを用いて加えられることができる。
【0026】
移転値Tは、試験される領域に当てられる前に測定された白いティッシューの色Lと、試験される組成物で覆われた前腕の各領域に当てられた後の各ハンカチについて得られる値の平均値に相当する平均色Lとの引き算によって得られる。
【0027】
組成物を載せた前腕の領域に当てられる前と後のハンカチの色の間の色差ΔE(T)は次のように決定される。

【0028】
得られるΔE(T)の値が低ければ低いほど、化粧料組成物は移転なしの良好なレベルを示すとみなされる。
【0029】
本発明に従う化粧料組成物は有利には、0〜45の、特に45以下の、特に40以下の、とりわけ35以下の移転値ΔE(T)を持つ。
【0030】
ハンカチが当てられた後の組成物の平均色Lが続けて測定される。
【0031】
水に対する色の保持性の値は、移転性試験を実施した後に得られることができる。この値はたとえば、前腕に塗布された組成物の平均初期色、Lと、水を当てられそしてハンカチを当てられた後の組成物を載せた前腕の領域の平均色Lとの間の色の差に等しい。

【0032】
得られる値が低ければ低いほど、化粧料組成物は水に対する色の良好な保持性を持つとみなされる。
【0033】
色の保持性の値は有利には、0〜15の間である。本発明に従う化粧料組成物は有利には、15以下の、特に10以下の、そしてもっと特に6以下の水に対する色の保持性の値を持つと。
【0034】
油に対する色の保持性の試験は、試験される領域への、前腕の各領域への約20mg/cmの食用タイプの油(菜種油、大豆油またはヒマワリ油)の塗布と、その後に続く数秒間、特に2〜5秒間、そしてもっと特に2秒間の手によるマッサージによって実施され る。その後、ある厚さの市販の白紙のハンカチ、たとえばKleenexハンカチが、その領域に約5秒間、約100g/fの力で当てられる。この力は製造業者、今田社のDPZ−5Nデジタル応力ゲージを用いて当てられることができる。
【0035】
油に対する色の保持性の値、O、は油とともにマッサージされ、そしてハンカチを当てられた後の前腕に残留する組成物の平均色Lと、最初に測定された平均色Lとの差に等しい。

【0036】
油に対する色の保持性の試験は、化粧料組成物たとえばリップスティックの食事の間の維持性を特に評価することを可能にする試験である。
【0037】
特に、シリコーン重合体は、それが組成物中に十分な量であるときは、基体上に広げられると当該組成物の堆積した層の油に対する色の保持性が、25以下であるようなものである。本発明に従う化粧料組成物は有利には、25以下の、特に10以下の、特に8以下の油に対する色の保持性の値を持つ 。
【0038】
シリコーン重合体は有利には、それが組成物中に十分な量であるときは、基体上に広げられると当該組成物の移転値が35以下で あるようなものである。組成物は6より小さい水に対する色の保持性の値および8以下の油に対する色の保持性の値を好ましくは持つ。
【0039】
組成物の平均光沢
【0040】
一般式(1)のシリコーン重合体は好都合には、それが化粧料組成物中に十分な量であるときは、基体上に広げられると当該組成物の堆積した層の60°での平均光沢が30以上、100までであるようなものである。
【0041】
「平均光沢」の語は、光沢計を用いて以下の方法によって慣用的に測定されることができる光沢を表す。
【0042】
ミノルタ社のGM268型の光沢計が使用されることができる。測定は1cmより大きい面積を持つ試験領域上で実施される。標準的な方法では、試験される化粧料組成物が広げられる領域は約2.5cm×4cmである。
【0043】
評価される化粧料組成物はBioskin型の合成品表面に塗布される。塗布される化粧料組成物の量は約1mg/cmである。
【0044】
光沢の値は約60°の角度での反射率を測定することによって得られる。
【0045】
1サンプル当たり5つの測定値が必要である。最高値を示す測定値および最低値を示す測定値は捨てられ、そして測定された3つの残りの値についての平均が算出される。
【0046】
本発明に従う化粧料組成物の平均光沢は、有利には30以上、特に40以上、そしてもっと特に45以上である。
【0047】
心地よさ
【0048】
本発明に従う化粧料組成物の心地よさは、以下に記載される試験に従って評価される。この試験では、組成物の心地よさは、ラテックス の細片を用いた引張試験によって測定される。この試験は、化粧料組成物の堆積された層について、皮膚の動きの結果として生じ易い薄片化および剥離に耐える能力を予測する。
【0049】
化粧料組成物のサンプルが、たとえばAnsell Edmond Industrial社の作業者用品番#390、サイズ9型の手袋の手首の部分から切り出すことによって得られた、幅2.54cmのラテックス細片の、たとえば2.54cm×2.54cmの領域に塗布される。
【0050】
堆積される化粧料組成物の量は、組成物の乾燥の重量物質が約20mgでなければならないようなものである。
【0051】
化粧料組成物は、使い捨てのリップブラシ、たとえばルイジアナ州、Femm Cosmetics社によって製造されるタイプのものを用いてラテックス細片に塗布される。
【0052】
このようにして調製されたサンプルは環境温度に24時間放置される。
【0053】
化粧料組成物の堆積された層を含むラテックス細片の重量(B)が次に測定される。化粧料組成物のないラテックス細片の重量値(A)を上記のように測定された値(B)から引いた差は乾燥被膜の重量に相当するはずであり、したがって約20±2mgでなければならない。
【0054】
試験される化粧料組成物のサンプルを載せたラテックス細片は、サンプルを担う領域が約1.75インチ(4.445cm)の長さに達しなければならないように、その後引き伸ばされる。
【0055】
ラテックス細片から剥がれた化粧料組成物の被膜片が観察され、次いでリップブラシを用いて掃くことによって除かれる。
【0056】
残りの化粧料組成物を含むラテックス細片の重量(D)がその後に測定される。
【0057】
化粧料組成物の被膜の重量減のパーセンテージが以下の式を用いてその後に計算される。
心地よさの指数=[(D-A)/(B-A)]×100
【0058】
測定は試験される各化粧料組成物について3回繰り返される。本発明に従う化粧料組成物の心地よさの指数は、これらの3測定値の平均に等しい。
【0059】
有利には、一般式(1)のシリコーン重合体は、それが化粧料組成物中に十分な量であるときは、基体上に広げられると当該組成物の堆積した層の心地よさの指数が、
90以上100分までであり、好ましくは95より大きく100までのようなものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
本出願人は、式(1)のシリコーン重合体とシリコーン油との組み合わせが改善された化粧特性を持つ化粧料組成物を得ることを可能にすることも見出した。すなわち、特に光沢と保持性との特性が改善される。
【0061】
したがって、本発明は、その第1の面では、生理学的に許容される媒体中に、一般式(1):

{ここで、
− a、bおよびcは、aが1〜2.5であり、そしてbおよびcが互いに独立に0.001〜1.5であるようなものであり、
− Rは、同一でも異なってもよくて、以下の:
− C〜C30アルキル基であって、1以上のフッ素原子、またはアミノ基および/またはカルボキシル基で置換されていてもよい、
− アリールまたはアラルキル基、
− 一般式(2)の基:

(ここで、
− RはC〜C30基、またはR− (CO)−基であり、ここでRはC〜C30炭化水素基である、そして、
− d、eおよびfは、dが0〜15であり、そしてeおよびfが互いに独立に0〜50であるような整数である。)、および、
− これらの組み合わせ、
から選ばれ、
− Rは一般式(3):

(ここで、
− Qは、少なくとも1のエーテル結合および/または少なくとも1のエステル結合を含むことができる、2価のC〜C20炭化水素基であり、
− Xはポリヒドロキシル化炭化水素基である。)
によって表される基であり、そして、
−Rは一般式(4):

(ここで、
− R基の夫々は、1以上のフッ素原子で置換されていてもよいC〜C30アルキル基、またはアリール基またはアラルキル基を表し、
− gおよびhは、gが1〜5であり、そしてhが0〜500であるような整数である。)
の有機シロキサン基である。}
の少なくとも1のシリコーン重合体、
および少なくとも1のシリコーン油を含むことを特徴とする、無水の化粧料組成物に関する。
【0062】
本発明の第2の面では、本発明は生理学的に許容される媒体中に、上に定義された一般式(1)の少なくとも1のシリコーン重合体を含む無水の化粧料組成物に関し、当該重合体は、それが組成物中に十分な量であるときは、基体上に広げられる と当該組成物の堆積された層の移転値が45以下であるようなものである。
【0063】
本発明の第3の面では、本発明は生理学的に許容される媒体中に、上に定義された一般式(1)の少なくとも1のシリコーン重合体を含む無水の化粧料組成物に関し、当該重合体は、それが組成物中に十分な量であるときは、基体上に 広げられると当該組成物の堆積された層の水に対する色の保持性が15以下であるようなものである。
【0064】
本発明の第4の面では、本発明は生理学的に許容される媒体中に、上に定義された一般式(1)の少なくとも1のシリコーン重合体を含む無水の化粧料組成物に関し、当該重合体は、それが組成物中に十分な量であるときは、基体上に 広げられると当該組成物の堆積された層の油に対する色の保持性が25以下であるようなものである。
【0065】
さらに本発明の第5の面では、本発明のさらなる対象は、生理学的に許容される媒体中に、上に定義された一般式(1)の少なくとも1のシリコーン重合体を含む無水の化粧料組成物であって、当該重合体は、それが組成物中に十分な量であるときは、基体上に広げられると当該組成物の堆積された層の平均光沢 が30以上であるようなものである。
【0066】
本発明の第6の面では、本発明はさらに、生理学的に許容される媒体中に、上に定義された一般式(1)の少なくとも1のシリコーン重合体を含む、注型された形態の無水の化粧料組成物に関する。
【0067】
本発明の第7の面では、本発明の対象は、生理学的に許容される媒体中に、上に定義された一般式(1)の少なくとも1のシリコーン重合体を含む無水の化粧料組成物であり、Rが一般式(3A)の基であり、

ここで、nが1〜5である整数である場合には、RがC12アルキル基以外であることを条件とするものである。
【0068】
さらに本発明のもう1つの面では、本発明は口唇および/または皮膚の メイクアップおよび/またはケア用に意図された、上に限定された化粧料組成物に関し、そして特にリップスティックに関する。
【0069】
さらに本発明のもう1つの面では、本発明のもう1つの対象は、ケラチン物質、特に皮膚および/または口唇をメイクアップおよび/またはケアする方法であり、本方法は本発明に従う少なくとも1の化粧料組成物を皮膚および/または口唇に塗布することを含む。
【0070】
本発明のもう1つの面では、本発明の対象は、その表面の全面または一 部に、本発明に従う組成物の少なくとも1層が存在する合成基体である。
【0071】
本発明のもう1つの面では、本発明の対象は、上に定義された一般式 (1)の少なくとも1のシリコーン重合体を、満足すべきで実際には改善されてさえいる平均光沢とともに、改善された保持性を示す、無水の化粧料組成物の調製に使用する方法である。
【0072】
「改善された保持性」の語は、水に対する改善された保持性および/または油に対する改善された保持性および/または低減された移転性および/または低減された移行性を意味すると理解される。
【0073】
本発明のもう1つの面では、本発明は、上に定義された一般式(1)の少なくとも1のシリコーン重合体を少なくとも1のシリコーン油とともに、満足すべきで実際には改善されてさえいる平均光沢とともに、改善された保持性を示す、無水の化粧料組成物の調製に使用する方法に関する。
【0074】
本発明に従う化粧料組成物はペースト、液体、ゲル、クリームまたは固体の形態で提供されることができる。特に、本発明に従う化粧組成物は注型された形態であり、そしてもっと特定するとそれはスティックの形態である。それは単相の、若しくは複相の無水のエマルション、または固い、若しくは柔らかい無水のゲルの形態であることができる。
【0075】
「注型された形態の組成物」の語は、本発明の意義の内では、溶融状態で金型内に導入された組成物の冷却の結果として得られる固形または半固形の組成物を意味すると理解される。
【0076】
特定の実施形態では、本発明に従う化粧料組成物は注型された形態、すなわち固形または半固形の形態、そしてもっと特定するとスティックの形態である。
【0077】
注型された本発明に従う組成物の硬さは、以下の方法によって測定されることができる。
【0078】
本発明に従う組成物の硬さを測定するために、12.7mmの直径の円形断面を持つ当該組成物のスティックが調製される。スティックは注型され、次いで測定を実行する前に20℃の温度で24時間保存される。
【0079】
硬さは「チーズワイヤー」法で測定されることができ、該法は250μmの直径の硬いタングステンワイヤーを用いてスティックを横に切断することにあり、ワイヤーはスティックに対して100mm/分の速度で前進する。硬さは、ワイヤーによって20℃のスティックにかけられた最大せん断応力に相当し、この応力はIndelco−Chatillon社によって販売されているDFGS2応力ゲージを用いて測定される。硬さはグラムで表現される。
【0080】
この方法によれば、スティックの形態で提供される本発明に従う化粧料組成物の硬さは特に、50〜300g、とりわけ70〜250g、そしてもっと特に100〜230gである。
【0081】
本発明に従う化粧料組成物の利点の1は、色の低減された移行性および/または移転性、および/または水に対する改善された色の保持性、および/または油に対する改善された色の保持性、および/またはメイクアップの線描きの間の低減された移行性によって特に反映される、色の改善された保持性を示す利点である。
【0082】
本発明に従う化粧料組成物のもう1つの利点は、皮膚への良好な付着および良好な柔軟性を示しながら、心地よい感覚がおよびべたつき感の無さが維持されることである。
【0083】
本発明に従う化粧料組成物の第3の利点は、時間が経っても美的効果、特に光沢効果が維持されることである。
【0084】
第4の利点によれば、本発明に従う化粧料組成物は、滑らかで柔らかい感触を与え、かつ良好な保湿性を維持することを可能にする。
【0085】
第5の利点によれば、本発明に従う化粧料組成物は、その美的特性を変えてしまい易い外的因子、たとえば汗またはリップスティックの場合には食事、に直面したときに良好な保持性を示すことである。
【0086】
一般式(1)のシリコーン重合体
【0087】
本発明に従う化粧料組成物に使用されることができる、一般式(1)のシリコーン重合体に従うシリコーン重合体は、欧州特許出願公開第1213316号に詳細に開示されている。
【0088】
一般式(1)のシリコーン重合体は界面活性剤として、および/または油性基剤として使用されることができる利点を示す。
【0089】
本発明の文脈では、本発明に従う組成物の処理に適した一般式(1)のシリコーン重合体は、表面処理剤としての役割を持たない。
【0090】
十分な量で導入されると、これは保持性の改善、実際には光沢および/または心地よさの改善さえも、本発明に従う化粧料組成物に与える利点を示す。
【0091】
特に、本発明に従う化粧料組成物に使用されることができるシリコーン重合体は以下の一般式(1)によって表される。

ここで、
a) a、bおよびcは、aが1〜2.5であり、そしてbおよびcが互いに独立に0.001〜1.5であるようなものであり、
b) Rは、同一でも異なってもよくて、以下の:
− C〜C30アルキル基であって、1以上のフッ素原子、アミノ基および/またはカルボキシル基で置換されていてもよい、
− アリールまたはアラルキル基、
− 一般式(2)の基:

(ここで、
− RはC〜C30炭化水素基、またはR−(CO)−基であり、ここでRはC〜C30炭化水素基である、そして、
− d、eおよびfは、dが0〜15であり、そしてeおよびfが互いに独立に0〜50であるような整数である。)、および、
− これらの組み合わせ、
から選ばれ、
c) Rは一般式(3):

(ここで、
− Qは、少なくとも1のエーテル結合および/または少なくとも1のエステル結合を含むことができる、2価のC〜C20炭化水素基であり、
− Xはポリヒドロキシル化炭化水素基である。)
によって表される基であり、そして、
d) Rは一般式(4):

(ここで、
− R基の夫々は、1以上のフッ素原子で置換されていてもよいC〜C30アルキル基であって、およびアリール基およびアラルキル基から選ばれた基を、互いに独立に表し、
− gおよびhは、gが1〜5であり、そしてhが0〜500であるような整数である。)
の有機シロキサン基である。
【0092】
R基が1以上のフッ素原子で置換されていてもよい、C〜C30アルキル基、アリール基、およびアラルキル基から選ばれた基を表すときには、それは上に定義されたR基と同じ意味を持つ。
【0093】
上に定義された一般式(1)のシリコーン重合体のR、RおよびR基 は統計的にすなわちランダムに分布していて、言い換えればこれらは重合体の構造中に特定の順番で出現しない。同様にR、RおよびRは一般式(1)の化合物中で異なった性質の基を夫々、表すことができる。
【0094】
特定の実施態様では、
【0095】
a)において、
− もっと特定すると、aは1.2〜2.3である。そして、特に、bおよびcは、互いに独立に、0.05〜1である。
【0096】
b)において、
− Rがアルキル基であるときは、それはC〜C30アルキル基、特にC〜C25アルキル基、もっと特にC〜C20アルキル基、特にC〜C10アルキル基、そしてとりわけC〜Cアルキル基、そして特にC〜Cアルキル基であることができる。もっと特に、それはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第3級ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはラウリル基であることができる。それはシクロアルキル基、たとえばシクロプロピル、シクロブチ ル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基であることもできる。それは直鎖または分岐の、単不飽和または多不飽和のアルキル基であることもできる。それは1以上のフッ素原子で置換されたアルキル基、たとえばトリフルオロプロピルまたはヘプタデカフルオロデシル基であることもできる。それは1以上のアミノ基で置換されたアルキル基、たとえば2−アミノエチル、3−アミノプロピル、または3−[(2−アミノエチル)アミノ]プロピル基であることもできる。それは1以上のカルボキシル基で置換されたアルキル基、たとえば3−カルボキシプロピル基であることもできる。
− Rはアリールまたはアラルキル基、たとえばフェニル基、トリル基、ベンジル基およびフェネチル基であることもできる。
−Rは一般式(2)によって表される有機基であることもできる。

【0097】
特定の実施態様では、Rはヒドロキシル化された基、または直鎖または分岐の、飽和または不飽和のアルケニルエーテルの付加反応によって得られる基であることができ、ここでd=0であり、したがって 該基は以下の式となる。

【0098】
この場合に、eおよびfが零に等しいときは、Rは4〜30炭素原子を持つアルコキシ基、例として低級のC〜C10アルコキシ基、たとえばブトキシ若しくは ペントキシ基、または高級のC11〜C30アルコキシ基、たとえばオレオキシ若しくはステアロキシ基、すなわち、たとえばセチルアルコール、オレイルアルコールおよびステアリルアルコール、または酸から、すなわち脂肪酸、たとえば酢酸、乳酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸およびベヘン酸から得られる基である。
【0099】
eおよびfが1より大きいときは、Rは酸化アルキレンの付加反応から生じるヒドロキシル残基である。
【0100】
eおよびfが零に等しいときは、dが3、5または11に等しいと特に有利である。この場合に、Rは、置換基Rの性質に依存して、アリルエーテル、ペンテニルエーテル若しくはウンデセニルエーテル基またはアリルステアリルエーテル、ペンテニルベヘニルエーテル若しく はウンデセニルオレイルエーテル基である。
【0101】
eまたはfが零以外であるときは、アルコキシ基およびエステル基がポリオキシアルキレン基を介在して存在する。
【0102】
eおよびfが何であれ、dが3〜5の範囲内にあると特に有利である。
【0103】
1の実施態様では、R基は上に定義された基のどれでも、またはこれらの基の2以上の組み合わせでもあることができる。
【0104】
Rはメチル基、ラウリル基およびこれらの組み合わせから選ばれたアルキル基であると有利である。
【0105】
さらに、Rが、同じ一般式(1)において、2以上の基、たとえばメチル基およびラウリル基を表すときは、これらの基は構造中にランダムに、そしてこれらに特有な頻度で出現する。
【0106】
具体的には、R基の少なくとも50%、特にR基の少なくとも70%そしてもっと特にR基の100%はメチル基である。
【0107】
c)において、
− Qは特に、

から選ばれた2価の炭化水素基であることができる。
【0108】
Qは−(CH−および−(CH−から選ばれた2価の基である と有利である。
− Xは具体的には、少なくとも2のヒドロキシル残基を含むポリヒドロキシル化炭化水素基、特にグリセリル誘導体およびグリコシド誘導体から選ばれた炭化水素基であることができる。
【0109】
グリセロール残基は以下の式を持つ化合物であることができ、ここでQは一般式(3)におけるのと同じ意味を持ち、そしてsおよびtは1〜20、特に1〜15、特に1〜10そしてもっと特に1〜5の範囲内の整数である。

【0110】
上の式において、1以上のヒドロキシル基はアルコキシ基またはエステル基によって置き換えられることができる。
【0111】
一般式(3)で用いられることができるグリコシド基は、単糖類、たとえばグリコシル、マンノシル、ガラクトシル、リボシル、アラビノシル、キシロシル若しくはフラクトシル基、オリゴ糖類、たとえばマルトシル、セロビオシル、ラクトシル若しくはマルトトリオシル、または多糖類、たとえばセルロースまたはデンプンであることができる。
【0112】
特に、グリコシド基は単糖類またはオリゴ糖類である。
【0113】
d)において、
− R基の夫々は、互いに独立に、特にC〜C20アルキル基、もっと特にC〜C10アルキル基、とりわけC〜Cアルキル基から選ばれた基であって、適当であれば1以上のフッ素原子で置換されたものを表すことができる。R基が1以上のフッ素原子で置換されていてもよい上に定義されたアルキル基から選ばれた基を表すときは、それは上に定義されたR基と同じ意味を持つ。
− gは、特定の実施態様では、2に等しく、
− hは、特定の実施態様では、1〜50である範囲内にある。
【0114】
しかし、上に限定された本発明の特定の面の中では、そして特に第7の面においては、一般式(1)のシリコーン重合体は、R基が一般式(3A)(ここで、nは1〜5である。)によって表されるときは、R基がC12アルキル基以外で あるようなものである。

【0115】
特定の実施態様では、本発明の実施に適した、一般式(1)のシリコーン重合体は以下のようなものである。
− aは1〜1.4であり、そしてbおよびcは、互いに独立に、0.02〜0.04であり、そして、
− RはC〜C10アルキル基、特にC〜Cアルキル基、そしてもっと特にC〜Cアルキル基であり、
− Rは式(3A)によって表され、

ここで、
− nは1〜5であり、そして、
− Rは式(4A)によって表され、

ここで、
− mは3〜9である。
【0116】
他の特定の実施態様では、本発明に従う化粧料組成物に使用されることができる一般式(1)のシリコーン重合体は以下のようなものである。
− aは1〜1.4であり、そしてbおよびcは、互いに独立に、0.02〜0.04であり、
− Rはメチル基であり、
− Rは、nが1〜5である式(3A)によって表され、そして、
− Rは、mが3〜9である式(4A)によって表される。
【0117】
本発明に従う化粧料組成物に使用される一般式(1)のシリコーン重合体は、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンおよびポリグリセリル−3ジシロキサンジメチコンから選ばれることができると有利であり、これらの式は夫々、以下の通りである。
− ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(式(5)):

ここで、
Sx:−C[(CHSiO]Si (CH
Gly:−CO[CH−CH(OH)CHO]
ここで、a=1〜1.4、b=0.02〜0.04、c=0.02〜0.04、m=3〜9そしてn=1〜5である。
− ラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(式(6)):

ここで、Sx、Gly、a、b、c、mおよびnは上と同じ意味を持ち、そしてRはメチル基またはラウリル基である。
− ポリグリセリル−3ジシロキサンジメチコン(式(7)):


ここで、Gly、a、b、c、mおよびnは上と同じ意味を持ち、そして、
Sx:−O(CHSiO−Si(CHである。
【0118】
一般式(1)のシリコーン重合体は本発明に従う化粧料組成物中に、組成物の全重量に対して0.1〜40重量%の、特に0. 5〜30重量%の、もっと特に1〜25重量%の、とりわけ5〜20重量%の、とりわけ7〜15重量%の割合で存在することができる。
【0119】
一般式(1)のシリコーン重合体は本発明において遊離の形態で特に使用される。
【0120】
本発明の意義の内では、「遊離の形態」の語は、たとえば例として欧州特許第1416016号および欧州特許第 1424373号文献中において、対応する粉体を構成する粒子の表面活性を抑止するために重合体が粉体または着色剤のコーティングの形態で存在するような、該重合体が他の物質と一緒にされ、またはその上に吸着された形態で使用されるのではない、一般式(1)のシリコーン重合体の形態を表すものと理解される。
【0121】
特定の実施態様では、一般式(1)のシリコーン重合体は、信越社によってKF6100(商標)、KF6104(商標)およびKF6105(商標)の品番で販売されている重合体から選ばれると有利である。
【0122】
さらに他の実施態様では、KF6104(商標)の品番で販売されている重合体は本発明に従う化粧料組成物の調製に特に適している。
【0123】
さらに他の実施態様では、信越社によって販売されているKF6104(商標)の品番で表される化合物は、心地よく、そして光沢に影響を与えることなく、実際には改善もされている平均光沢を持ってさえいる、ケラチン物質上での改善された保持性を示す、本発明に従う化粧料組成物を調製するのに特に適している。
【0124】
生理学的に許容される媒体
【0125】
「生理学的に許容される媒体」の語は、人の皮膚、口唇またはケラチン物質に塗布されることができる非毒性の媒体を表す。生理学的に許容される媒体は一般に、組成物が塗布されなければならない基体の性質に適し、そして組成物が包装されるべく意図された外観に適している。
【0126】
他の形態では、本発明に従う無水の化粧料組成物は、上に定義された一般式(1)のシリコーン重合体がその中で界面活性剤として作用することができる、無水のエマルションの形態で提供されることができる。
【0127】
本発明の意義の内では、エマルションは親油性相および親水性相を含み、後者は水ではない。
【0128】
したがって、本発明に従う化粧料組成物は単相または複相の無水の形態であることができる。
【0129】
本発明の意義の内では、「無水の化粧料組成物」の語は、組成物の全重量に対して5%より少ない、特に3%より少ない、特に2%より少ない、そしてもっと特に1%より少ない水を含むことができる組成物を意味すると理解される。そうであれば、これは特に油性のゲルの、油性の液体の、ペーストの、若しくはスティックの形態で、または他にイオン性および/または非イオン性液体を含む小胞分散体の形態で提供されることができる。
【0130】
脂肪相
【0131】
本発明に従う化粧料組成物は、特に油並びに環境温度(20〜25℃)および大気圧で固形である脂肪物質を含む、脂肪相を含むことができる。
【0132】
「油」の語は、環境温度(20〜25℃)および大気圧で液状の形態である、任意の脂肪物質を意味すると理解される。液状の脂肪相は、油に加えて、油に溶解した他の化合物、たとえばゲル化剤および/または構造化剤をも含むことができる。
【0133】
本発明に従う化粧料組成物は、少なくとも1の油、そして特に少なくとも2の油を含むことができる。1または複数の油は、本発明に従う化粧料組成物の全重量に対して、0.1〜99重量%の、特に少なくとも1ないし90重量%の、もっと特に5〜70重量%の、とりわけ10〜60重量%の、実際にはさらに20〜50重量%の割合で存在することができる。
【0134】
本発明に従う化粧料組成物の調製に適した油は、揮発性または非揮発性の、シリコーンまたは非シリコーンの油であることができ る。
【0135】
本発明の意義の内では、「揮発性の油」の語は、皮膚と接触すると環境温度で、および大気圧で1時間より短い内に蒸発することができる油(または非水性媒体)を意味すると理解される。揮発性の油は、環境温度で液状であり、かつ環境温度および大気圧で特に零でない蒸気圧、とりわけ0.13Pa〜40000Pa(10-3〜300mmHg)の範囲の、 好ましくは1.3Pa〜13000Pa(0.01〜100mmHg)の範囲の、そして優先的には1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)の範囲の蒸気圧を持つ揮発性の化粧用油である。
【0136】
本発明の意義の内では、「非揮発性の油」の語は、0.13Paより低い蒸気圧を持つ油を意味すると理解される。
【0137】
揮発性または非揮発性の油は、炭化水素油、特に動物または植物由来の炭化水素油、合成油、シリコーン油、フッ素化油またはこれらの混合物であることができる。
【0138】
本発明の意義の内では、「シリコーン油」の語は、少なくとも1のケイ素原子、および特に少なくとも1のSi−O基を含む油を意味すると理解される。
【0139】
「炭化水素油」の語は、主に水素および炭素原子並びに任意的に酸素、窒素、硫黄および/またはリン原子を含む油を意味すると理解される。
【0140】
揮発性の炭化水素油は、8〜16炭素原子を持つ炭化水素油および特に分岐C〜C16アルカン(イソパラフィンとも呼ばれる。)、たとえばイソドデカン(2,2,4,4,6−ペンタメチ ルヘプタンとも呼ばれる。)、イソデカン、イソヘキサデカン並びに、たとえばIsopar(商標)またはPermethyl(商標)の商標で販売されている油から選ばれることができる。
【0141】
揮発性のシリコーン油として、揮発性の線状または環状のシリコーン油のような油、特に8センチストークス(8×10-6/ 秒)以下の粘度を持ち、そして特に2〜10個のケイ素原子、とりわけ2〜7個のケイ素原子を持つものが使用されることもでき、これらのシリコーンは1〜10炭素原子をもつアルキルまたはアルコキシ基を任意的に含む。本発明に使用されることができる揮発性のシリコーン油として、5または6cStの粘度を持つジメチコン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサンおよびこれらの混合物が特に挙げられることができる。
【0142】
揮発性のフッ素化油、たとえばノナフルオロメトキシブタンまたはパーフルオロメチルシクロペンタン、およびこれらの混合物が使用されることもできる。
【0143】
特定の実施態様では、本発明に従う化粧料組成物は、組成物の全重量に対して、30重量%より少ない、特に15重量%より少ない、特に10重量%より少ない、そしてもっと特に5重量%より少ない揮発性の油を含む。
【0144】
他の実施態様では、本発明に従う化粧料組成物は揮発性の油を含まない。
【0145】
本発明に従う化粧料組成物の脂肪相は、少なくとも1の非揮発性の油を含むこともできる。
【0146】
非揮発性の油は、非揮発性の炭化水素油であって、適当であればフッ素化されたもの、および/または非揮発性のシリコーン油から特に選ばれることができる。
【0147】
非揮発性の炭化水素油として、以下のものが特に挙げられることができる。
− 動物由来の炭化水素油、
− 植物由来の炭化水素油、例としてフィトステリルエステル、たとえばオレイン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリルおよびラウロイル/オクチルドデシル/フィトステリル グルタメート(味の素社、Eldew PS− 203)、脂肪酸とグリセロールとのエステルからなるトリグリセリドであって、その脂肪酸はC〜C24の色々な鎖長を持つことができ、これらの鎖は直鎖または分岐、そして飽和または不飽和であることができる;これらの油は特にヘプタン酸またはオクタン酸トリグリセリドである。;小麦麦芽、ヒマワリ、ブドウ種、ゴマ、トウモロコシ、アプリコット、ヒマシ、シア、アボカド、オリーブ、大豆、甘扁桃、ヤシ、菜種、綿実、ヘーゼルナッツ、マカデミア、ホホバ、アルファルファ、ケシ、カボチャの種、キュウリ、クロフサスグリ、マツヨイグサ、キビ、大麦、キノア、ライ麦、ベニバナ、ケンダルナッツ、トケイソウまたはマスクローズ油;シアバター;またはカプリル/カプリン酸のトリグリセリド、たとえばStearineries Dubois社によって販売されているもの、またはDynamit Nobel社に よってMiglyol 810(商標)、812(商標)および818(商標)の名称で販売されているもの、
− 10〜40炭素原子を持つ合成エーテル、
− 鉱物または合成由来の直鎖または分岐炭化水素、たとえば液状ペトロラタム、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、たとえばパールリーム、スクアランおよびこれらの混合物、特に水素化ポリイソブテン、
− 合成エステル、たとえば式RCOORの油、ここでRは1〜40炭素原子を含む、直鎖または分岐脂肪酸の残基を表し、そしてRは、R+Rが10以上の条件下に1〜40炭素原子を含む、炭化水素鎖、特に分岐炭化水素鎖を表す。
【0148】
エステルは、脂肪酸エステル、たとえば以下のものから特に選ばれることができる。
− オクタン酸セテアリル、イソプロピルアルコールエステル、たとえばミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸若しくはイソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ヒドロキシル化エステル、たとえば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、アジピン酸ジイソプロピル、ヘプタン酸エステルおよび特にヘプタン酸イソステアリル、アルコール若しくはポリアルコールのオクタン酸エステル、デカン酸エステル若しくはリシノール酸エステル、たとえばジオクタン酸プロピレングリコール、オクタン酸セチル、オクタン酸トリデシル、パルミチン酸および4−ジヘプタン酸2−エチルヘキシル、安息香酸アルキル、ジヘプタン酸ポリエチレングリコール、ジ(2−エチルヘキサン酸)プロピレングリコール並びにこれらの混合物、C12〜C15アルコールの安息香酸エステル、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸エステル、たとえばネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル若しくはネオペンタン酸オクチルドデシル、イソノナン酸のエステル、たとえばイソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル若しくはイソノナン酸オクチル、またはヒドロキシル化エステル、たとえば乳酸イソステアリル若しくはリンゴ酸ジイソステアリル、
− ポリオールのエステルおよびペンタエリスリトールのエステル、たとえばジペンタエリスリトールテトラヒドロキシステアリン酸エステル/テトライソステアリン酸エステル、
− 2量体ジオールと2量体2塩基酸とのエステル、たとえばLusplan DD−DA5(商標)およびLusplan DD−DA7 (商標)、これは日本精化社によって販売され、そして2003年3月6日に出願された仏国特許出願公開第0302809号に開示されており、その内容は引用するによって本出願明細書に取り込まれる。
− 12〜26炭素原子を持つ、分岐および/または不飽和の炭素鎖を有する、環境温度で液状である脂肪族アルコール、たとえば2−オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、2−ブチルオクタノールおよび2−ウンデシルペンタデカノール、
− 高級脂肪酸、たとえばオレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびこれらの混合物、そして、
− 炭酸ジアルキルであって、2のアルキル鎖が同一または異なるもの、たとえばCognis社によってCetiol CC(商標)の名称で販売されている炭酸ジカプリリル。
【0149】
本発明に従う化粧料組成物に使用されることができる非揮発性のシリコーン油は、非揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS)、 ペンダントのアルキルまたはアルコキシ基および/またはシリコーン鎖の末端にアルキルまたはアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサンであって、これらの基が夫々2〜24炭素原子を持つもの、フェニル化シリコーン、たとえばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニル(トリメチルシロキシ)ジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニル(メチルジフェニル)トリシロキサンおよび(2−フェニルエチル)トリメチルシロキシシリケート、100cSt以下の粘度を持つジメチコンまたはフェニルトリメチコン、およびこれらの混合物であることができる。
【0150】
特定の実施態様では、本発明に従う化粧料組成物は、揮発性のシリコーン油、非揮発性のシリコーン油およびこれらの混合物から選ばれた、少なくとも1のシリコーン油を含むこともできる。
【0151】
本発明に従う化粧料組成物に存在する非揮発性の油は、特に水素化ポリイソブテン、ヘプタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、テトラヒドロキシステアリン酸/テトライソステアリン酸ジペンタエリスリトール、2−オクチルドデカノールおよびこれらの混合物から選ばれると有利である。
【0152】
特定の実施態様では、本発明に従う化粧料組成物に存在する非揮発性の油は、水素化ポリイソブテンの、ヘプタン酸イソステアリルの、イソノナン酸イソノニルの、イソノナン酸イソトリデシルの、リンゴ酸ジイソステアリルの、テトラヒドロキシステアリン酸/テトライソステアリン酸ジペ ンタエリスリトールの、および2−オクチルドデカノールの混合物である。
【0153】
非揮発性の油は、本発明に従う化粧料組成物中に、組成物の全重量に対して20重量%〜99重量%、特に30重量%〜80重量%、そしてとりわけ40重量%〜80重量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0154】
特定の実施態様では、本発明に従う化粧料組成物の液状脂肪相がシリコーン油であるときには、後者は組成物の全重量に対して 0〜90重量%、特に0.1〜80重量%、そしてとりわけ2〜80重量%の範囲の含有量で存在する。
【0155】
他の実施態様では、シリコーン油は本発明に従う化粧料組成物中に、一般式(1)のシリコーン重合体に対して80:1、そして特に60:1、そしてもっと特に40:1の重量比に従って存在する。
【0156】
特定の実施態様では、本発明に従う化粧料組成物は、非揮発性の流体のシリコーン化合物を含むと有利である。
【0157】
液状脂肪相は、適当であれば2004年7月1日に公開された国際特許出願公開第2004/55080号に開示されているような脂肪相ゲル化剤を、その中に加えることによって増粘され、ゲル化され、または構造化されることができ、該公報の内容は引用することによって本明細書に取り込まれる。
【0158】
本発明に従う組成物は、ワックス、ペースト状脂肪物質およびこれらの混合物から選ばれた、少なくとも1の化合物を含むこともできる。
【0159】
ワックスは、環境温度(25℃)で固形であり、可逆的な固体/液体相変化を有し、200℃までの範囲であることができる30℃より高い融点を持ち、0.5MPa の硬さを持ち、そして固体状態において異方性の結晶配列を示す。ワックスは、炭化水素の、フッ素化および/またはシリコーンのワックスであることができ、そして動物、植物、鉱物または合成由来であることができる。それはたとえばミツロウ、カルナウバロウ、カンデリラロウ、パラフィンワックス、水素化ヒマシ油、合成ワックス、たとえばポリエチレンワックス(好ましくは400〜600の分子量を持つもの)またはフィッシャー−トロプシュワックス、シリコーンワックス、たとえば16〜45炭素原子を持つアルキルまたはアルコキシジメチコン、セレシンまたはオゾケライト、例として40℃より低い融点を持つイソパラフィン、たとえば日本精鑞社によって販売されているEMW−0003、α−オレフィンオリゴマー、たとえばNew Phase Technologies 社によって販売されている重合体、Performa V(商標) 825、103および260、エチレン−プロピレン共重合体、たとえば Performalene(商標) EP 700、および85℃より高い融点を持つ微結晶ワックス、たとえば日本精鑞社によって販売されているHi−Mic(商標) 1070、1080、1090および3080並びにこれらの混合物から選ばれることができる。
【0160】
本発明に従う化粧料組成物に使用されるワックスは、ポリエチレンワックス、カンデリラロウおよびこれらの混合物から選ばれると有利である。
【0161】
特定の実施態様では、本発明に従う化粧料組成物は、ポリエチレンワックスとカンデリラロウとの混合物を含む。
【0162】
特定の実施態様では、本発明に従う化粧料組成物に使用される1または複数のワックスは、組成物の全重量に対して、約 1. 5〜約20重量%、特に約3〜約15重量%、特に約5〜約10重量%、そしてもっと特に約6.5〜約8.5重量%である含有量で存在する。
【0163】
本発明に従う化粧料組成物は、少なくとも1のペースト状化合物を含むこともできる。
【0164】
「ペースト状」の語は、本発明の意義の内では、可逆的な固体/液体相変化を持ち、23℃の温度で液状部および固形部を含む脂肪化合物を意味すると理解される。ポリ(ラウリン酸ビニル)も「ペースト状」と考えられる。
【0165】
本発明の意義の内でのペースト状化合物は、20℃で0.001〜0.5MPa、好ましくは0.002〜0.4MPaの範囲の硬さを示すと有利である。
【0166】
本発明に従う化粧料組成物に使用されることができるペースト状化合物の中で、ラノリンおよびラノリン誘導体、たとえばアセチル化ラノリン、オキシプロピレン化ラノリンまたはラノリン酸イソプロピル、およびこれらの混合物が挙げられることができる。脂肪酸エステルまたは脂肪族アルコールエステル、特に20〜65個の炭素原子を持つもの、たとえばクエン酸トリイソステアリルまたはクエン酸セチル;プロピオン酸アラキジル;ポリ(ラウリン酸ビニル);コレステロールエステル、例として植物由来のトリグリセリド、たとえば水素化植物油、粘稠なポリエステルおよびこれらの混合物が使用されることもできる。植物由来のトリグリセリドとして、水素化ヒマシ油誘導体、たとえばRheox社の「Thixin(商標)」が使用されることができる。
【0167】
カルボン酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルとのエステル化によって得られるポリエステル、たとえば日本の会社、高級アルコール工業社によって販売されているRisocast(商標) DA−L(水素化ヒマシ油とジリノール酸の2対1の割合でのエステル化反応によって得られるエステル)およびRisocast(商標) DA−H(水素化ヒマシ油とイソステアリン酸の4対3の割合でのエステル化によって得られるエステ ル)が挙げられることもできる。
【0168】
本発明に従う化粧料組成物の配合に好都合に適したペースト状化合物として、水素化ココ−グリセリドが挙げられることができる。
【0169】
ペースト状シリコーン化合物、たとえば高い分子量を持つポリジメチルシロキサン(PDMS)、そして特に、8〜24個の炭素原子を持つアルキルまたはアルコキシ型のペンダント鎖および20〜55℃の融点を持つもの、たとえばステアリルジメチコン、特にDow Corning社に よってDC2503(商標)およびDC25514(商標)の商標で販売されているもの、並びにこれらの混合物が挙げられることもできる。
【0170】
親水性相
【0171】
本発明に従う組成物は、無水の組成物の連続相を形成することができる、少なくとも1の親水性相を含むことができる。
【0172】
親水性相は本質的に水を含まない。
【0173】
それは、水と混和する有機溶媒(25℃で50重量%より大きい水への混和性)、例として1〜5個の炭素原子を持つ低級モノアルコール、たとえばエタノールまたはイソプロパノール、2〜8個の炭素原子を持つグリコール、たとえばプロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブチレン グリコールまたはジプロピレングリコール、C〜CケトンおよびC〜Cアルデヒドの混合物を含むことができる。
【0174】
親水性相は、組成物の全重量に対して、0.1〜40重量%の範囲の、特に0.1〜20重量%の範囲の、そしてとりわけ0.1〜10重量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0175】
ポリオール
【0176】
1の実施態様では、本発明に従う化粧料組成物は少なくとも1のポリオールすなわち多価アルコールをさらに含むこともできる。
【0177】
「多価アルコール」または「ポリオール」の語は、本発明の意義の内では、少なくとも2の遊離ヒドロキシル基を含む、任意の有機分子を意味すると理解されるべきである。
【0178】
本発明に従う化粧料組成物の配合に好都合に適した多価アルコールは、特に2〜20の炭素原子、とりわけ2〜10の炭素原子、そしてもっと特に2〜6の炭素原子を示すものである。
【0179】
好都合には、ポリオールは、たとえばグリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール、(特に3〜16の炭素原子を持つ)グリコールエーテル、たとえばモノ−、ジ−若しくはトリプロピレングリコール(C〜C)アルキルエーテル、またはモノ−、ジ−若しくはトリエチレングリコール(C〜C)アルキルエーテル、およびこれらの混合物から選ばれることができる。
【0180】
被膜形成剤
【0181】
本発明に従う化粧料組成物は有利には、少なくとも1の被膜形成剤を、被膜を形成することができる少なくとも1の追加の添加剤と任意的に一緒に、含むことができる。
【0182】
被膜形成剤は、特に膜形成性重合体を含む。
【0183】
「膜形成性重合体」の語は、それ単独で、または膜(フィルム)を形成することができる追加の添加剤の存在下に、分離できる膜を、特に基体に、とりわけケラチン物質に粘着する連続的な膜を、そして好ましくは一体的な膜を、さらにもっとよいのは、当該膜が当該基体から分離されることができるような一体性および機械的特性を持つ膜を、形成する能力がある重合体を表す。
【0184】
単一の膜形成性重合体または膜形成性重合体のブレンドが組成物中で使用されることができる。この膜形成性重合体は、ラジカル重合体または重縮合体型の合成重合体並びに天然由来の重合体およびそのブレンド、たとえば2004年3月18日に出願された仏国特許出願公開第0450540号に開示されたものからなる群から選ばれることができ、該公報の内容は引用することによって本明細書に取り込まれる。
【0185】
本発明に従う化粧料組成物の中で、被膜形成剤の含有量は、組成物の全重量に対して、0.1〜20重量%、特に0.5〜20重量%、そしてとりわけ1〜20重量%で変動することができる。
【0186】
被膜形成剤は本発明に従う化粧料組成物中に、一般式(1)のシリコーン重合体の重量に対して5:1より小さい、特に1:1より小さい、そしてもっと特に1:2以下の重量比で存在すると有利である。
【0187】
本発明に特に適した膜形成性重合体として、アクリル重合体および共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、セルロース重合体、たとえばニトロセルロース並びにシリコーン重合体が挙げられることができる。
【0188】
シリコーン樹脂を使用することも有利であり、シリコーン樹脂は一般にシリコーン油に溶解でき、または膨潤できる、架橋したポリ有機シロキサン重合体である。
【0189】
これらのシリコーン樹脂の例として、シロキシシリケート、ポリシルセスキオキサンおよびポリメチルセスキオキサンが挙げられることができる。
【0190】
商業的に手に入るポリメチルセスキオキサン樹脂の例として、Wacker社によってResin MKの品番で販売されているもの、たとえばBelsil PMS MK、または信越社によってたとえばKR−220Lの品番で販売されているものが挙げられることができる。
【0191】
シロキシシリケート樹脂として、General Electric社によってSR1000の品番で、またはWacker社によってTMS803の品番で販売されているトリメチルシロキシシリケート樹脂が挙げられることができる。信越社によってKF−7312Jの名称で販売されているトリメチルシロキシシリケート樹脂およびDow Corning社によって販売されているDC749およびDC593樹脂も挙げることができる。
【0192】
脂肪溶解性シリコーン重合体として、ポリ有機シロキサン型のシリコーンポリアミド、たとえば米国特許第5874069号、米国特許第5919441号、米国特許第6051216号および米国特許第5981680号文献に開示されているものが挙げられることもできる。
【0193】
本発明の1の実施態様では、膜形成性重合体は、ポリシロキサンを含む単量体でグラフトされた非シリコーンの有機骨格を持つ重合体から選ばれることができる。これらの重合体は、脂肪溶解性、脂肪分散性または水溶性の重合体、または適当であれば、水性媒体に分散できる重合体であることができる。
【0194】
ポリシロキサンを含む単量体でグラフトされた、非シリコーンの有機骨格を持つ重合体は、シリコーンを含まない有機単量体で形成された有機主鎖からなり、当該主鎖内に、そして任意的に当該主鎖の末端の少なくとも1つの上に、少なくとも1のポリシロキサンマクロマーが当該主鎖にグラフトされている。
【0195】
以下の記載において、「ポリシロキサンマクロマー」の表現は、一般に受け入れられているように、その構造中にポリシロキサン型の重合体鎖を含む任意の単量体を表すことが理解されるべきである。
【0196】
グラフトされたシリコーン重合体の主鎖を構成する非シリコーンの有機単量体は、ラジカル方法によって重合することができるエチレン性不飽和を有する単量体、重縮合によって重合することができる単量体、たとえばポリアミド、ポリエステル若しくはポリウレタンを生成するもの、または開環する単量体、たとえばオキサゾリン若しくはカプロラクトン型のものから選ばれることができる。
【0197】
ポリシロキサンを含む単量体でグラフトされた、非シリコーンの有機骨格を持つ、本発明に従う重合体は、当業者に知られた任意の方法に従って、特に(i)ポリシロキサン鎖上で適正に官能化された出発のポリシロキサンマクロマー、および(ii)1以上の非シリコーンの有機化合物であって、それ自身、当該シリコーンに付いた一または複数の官能基と反応して共有結合を生成する能力のある官能基によって適正に官能化されたものとの間の反応によって、得られることができ、当該反応の古典的な例は、シリコーンの末端の1つに付いたビニル基と主鎖のエチレン性不飽和を持つ単量体の2重結合との間のラジカル反応である。
【0198】
ポリシロキサンを含む単量体でグラフトされた、非シリコーンの有機骨格を持つ、本発明に従う重合体は、米国特許第4693935号および米国特許第4972037号の特許、米国特許第4728571号および欧州特許出願公開第0412704号、欧州特許出願公開第0412707号、欧州特許出願公開第0640105号および国際特許出願公開第95/00578号に開示されたものから好ましくは選ばれる。これは、エチレン性不飽和を持つ単量体とビニル末端基を持つ単量体とから開始するラジカル重合によって得られる共重合体、または、官能化された基を含むポリオレフィンと当該官能化された基と反応する末端官能基を持つポリシロキサンマクロマーとの反応によって得られる共重合体に関する。
【0199】
本発明の実施に適したグラフト化シリコーン重合体の特定の一群は、以下のものを含むグラフト化シリコーン重合体からなる。
a) ラジカル方法で重合することができるエチレン性不飽和を持つ、0〜98重量%の少なくとも1の親油性の低極性単量体(A)、
b) タイプ(A)の一又は複数の単量体と共重合することができるエチレン性不飽和を持つ、0〜98重量%の少なくとも1の親水性の極性単量体(B)、
c) 一般式(27)の、0.01〜50重量%の少なくとも1のポリシロキサンマクロマー(C)

ここで、
− Xは単量体(A)および(B)と共重合することができるビニル基を表し、
− Yは2価の結合を持つ基を表し、
− Rは水素、C〜Cアルキルまたはアルコキシ、C〜C12アリールを表し、
− Zは、少なくとも500の数平均分子量を持つ、1価のポリシロキサン単位を表し、
− nは0または1の値を持ち、そしてmは1〜3の範囲の整数であり、パーセンテージは単量体(A)、(B)および(C)の全重量に対して計算される。
【0200】
これらの重合体は、10000〜2000000の範囲の数平均分子量、および好ましくは少なくとも-20℃のガラス転移温度Tgまたは結晶融点M.p.を持つ。
【0201】
親油性単量体(A)の例として、C〜C18アルコールとアクリル酸若しくはメタクリル酸とのエステル;C12〜C30アルコールとメタクリル酸とのエステル;スチレン;ポリスチレンマクロマー;酢酸ビニル;プロピオン酸ビニル;α−メチルスチレン;第3級ブチルスチレン;ブタジエン;シクロヘキサジエン;エチレン;プロピレン;ビニルトルエン;アクリル酸若しくはメタクリル酸と1,1−ジヒドロパーフルオロアルカノール若しくは後者の同族体とのエステル;アクリル酸若しくはメタクリル酸とω−ヒドロフルオロアルカノールとのエステル;アクリル酸若しくはメタクリル酸とフルオロアルキルスルホンアミドアルコールとのエステル;アクリル酸若しくはメタクリル酸とフルオロアルキルアルコールとのエステル;アクリル酸若しくはメタクリル酸とアルコールフルオロエーテルとのエステル;またはこれらの混合物が挙げられることができる。好ましい単量体(A)は、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸第3級ブチル、メタクリル酸第3級ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−(N−メチルパーフルオロオクタンスルホンアミド)エチル、アクリル酸2−(N−ブチルパーフルオロオクタンスルホンアミド)エチルおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる。
【0202】
極性単量体(B)の例として、アクリル酸、メタクリル酸、N,N−ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸第4級化ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリルアミド、N−(第3級ブチル)アクリルアミド、マレイン酸、無水マレイン酸およびこれらの半エステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、ビニルピロリドン、ビニルエーテル、マレイミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルおよび複素環式極性化合物、スチレンスルホン酸エステル、アリルアルコール、ビニルアルコール、ビニルカプロラクタムまたはこれらの混合物が挙げられることができる。単量体(B)は好ましくは、アクリル酸、N,N−ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸第4級化ジメチルアミノエチル、ビニルピロリドンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる。
【0203】
単量体(A)がC18〜C22アルコールとメタクリル酸とのエステルから選ばれるように、信越社によって販売されている製品KP 561またはKP 562が特に挙げられる。
【0204】
着色材料
【0205】
本発明に従う化粧料組成物は、化粧料組成物に慣用的に使用されている、1以上の着色剤、少なくとも1の有機または無機着色材料、特に顔料または真珠光沢剤型のものを好都合に取り込むことができる。
【0206】
「顔料」の語は、水性溶液に不溶であり、かつ生じた膜を着色しおよび/または不透明にするように意図された、白色のまたは着色された、無機または有機の粒子を意味すると理解されるべきである。
【0207】
顔料は、化粧料組成物の全重量に対して、0.01〜15重量%の、特に0.01〜10重量%の、そしてとりわけ0.02〜5重量%の割合で存在することができる。本発明に使用されることができる鉱物顔料として、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、およびまた、酸化亜鉛、酸化鉄または酸化クロム、鉄ブルー、マンガンバイオレット、群青およびクロム水和物が挙げられることができる。
【0208】
顔料は、たとえばセリサイト/茶酸化鉄/2酸化チタン/シリカ型であることができる構造を持つこともできる。当該顔料は、たとえばChemicals and Catalysts社によってCoverleaf NSまたはJSの品番で販売されており、そして30の近くのコントラスト比を示す。
【0209】
着色材料は、たとえば酸化鉄を含むシリカ微小球の型であることができる構造を持つ顔料を含むこともできる。この構造を示す顔料の例は、三好社によってPC Ball PC−LL−100Pの品番で販売されているものであり、この顔料は黄酸化鉄を含むシリカ微小球からなる。
【0210】
本発明に使用されることができる有機顔料の内で、カーボンブラック、D&C型の顔料、バリウム、ストロンチウム、カルシウム若しくはアルミニウムのコチニールカルミンに基づいたレーキ、または欧州特許出願公開第542669号、欧州特許出願公開第787730号、欧州特許出願公開第787731号および国際特許出願公開第96/08537号文献に開示されたジケトピロロピロール(DPP)が挙げられることができる。
【0211】
「真珠光沢剤」の語は、任意の形の着色された粒子であって、虹色であっても(iridescent)、なくてもよく、特にある貝によってその貝殻内で生産され、または合成され、光干渉によって着色効果を示すものを意味すると理解されるべきである。
【0212】
真珠光沢剤は、真珠光沢顔料、たとえば酸化鉄で被覆された酸化チタンコーティングマイカ、オキシ塩化ビスマスで被覆された酸化チタンコーティングマイカ、酸化クロムで被覆された酸化チタンコーティングマイカ、有機染料で被覆された酸化チタンコーティングマイカおよびオキシ塩化ビスマスに基づいた真珠光沢顔料から選ばれることができる。真珠光沢剤は、その表面に金属酸化物および/または有機着色材料の少なくとも2の逐次層が重ねられている、マイカ粒子であることもできる。
【0213】
真珠光沢剤の例として、酸化チタンで、酸化鉄で、天然顔料で、またはオキシ塩化ビスマスで被覆された天然マイカが挙げられることもできる。
【0214】
市場で手に入る真珠光沢剤の内で、Engelhard社によって販売されている真珠光沢剤Timica、FlamencoおよびDuochromeの(マイカに基づいた)真珠光沢剤、Merck社によって販売されているTimiron、Eckart社によって販売されているマイカに基づいた真珠光沢剤Prestige、およびSun Chemical社によって販売されているマイカに基づいた合成真珠光沢剤Sunshineが挙げられることができる。
【0215】
真珠光沢剤は、もっと特定すると、黄、ピンク、赤、青銅色、オレンジ、茶、金および/または銅の色、または輝きを持つことができる。
【0216】
本発明の文脈で採用されることができる真珠光沢剤の例示として、特にEngelhard社によってBrilliant Gold 212G(Timica)、Gold 222C(Cloisonne)、Sparkle Gold(Timica)、Gold 4504(Chromalite)およびMonarch Gold 233X(Cloisonne)の名称で販売されている金色の真珠光沢剤;特にMerck社によってBronze Fine(17384)(Colorona)およびBronze(17353)(Colorona)の名称で、そしてEngelhard社によってSuper Bronze(Cloisonne)の名称で販売されている青銅色の真珠光沢剤;特にEngelhard社によってOrange 363C(Cloisonne)およびOrange MCR 101(Cosmica)の名称で、そしてMerck社によってPassion Orange(Colorona)およびMatte Orange(17449)(Microna)の名称で販売されているオレンジ色の真珠光沢剤;特にEngelhard社によってNu Antique Copper 340XB(Cloisonne)およびBrown CL4509(Chromalite)の名称で販売されている茶色の真珠光沢剤;特にEngelhard社によってCopper 340A(Timica)の名称で販売されている銅色の輝きを持つ真珠光沢剤;特にMerck社によってSienna Fine(17386)(Colorona)の名称で販売されている赤色の輝きを持つ真珠光沢剤;特にEngelhard社によってYellow(4502)(Chromalite)の名称で販売されている黄色の輝きを持つ真珠光沢剤;特にEngelhard社によってSunstone G012(Gemtone)の名称で販売されている金色の輝きを持つ赤色の真珠光沢剤;特にEngelhard社によってTan Opale G005(Gemtone)の名称で販売されているピンク色の真珠光沢剤;特にEngelhard社によってNu Antique Bronze 240 AB(Timica)の名称で販売されている金色の輝きを持つ黒色の真珠光沢剤;特にMerck社によってMatte Blue(17433)(Microna)の名称で販売されている青色の真珠光沢剤;特にMerck社によってXirona Silverの名称で販売されている銀色の輝きを持つ白色の真珠光沢剤;特にMerck社によってIndian Summer(Xirona)の名称で販売されている金および緑ピンク系のオレンジ色の真珠光沢剤;およびこれらの混合物が特に挙げられることができる。
【0217】
本発明に従う化粧料組成物は、水溶性または脂溶性染料を、組成物の全重量に対して、0.01〜10重量%の範囲の、特に0.01〜5重量%の範囲の含有量で含むこともできる。脂溶性染料は、たとえばスダン赤、DC Red 17、DC Green 6、β−カロチン、大豆油、スダン茶、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5またはキノリン黄である。水溶性染料は、たとえばビート根液またはメチレンブルーである。
【0218】
本発明に従う化粧料組成物は、特定の光学的効果を持つ、少なくとも1の材料を含むこともできる。
【0219】
この効果は、単純な慣用の着色効果、言い換えれば慣用の着色材料たとえば単色性の顔料によって生成されるような統合されそして安定化された効果とは異なる。本発明の意義の内では、「安定化された」の語は、観察の角度とともに、または温度の変化に応答して色が変化する効果がないことを意味する。
【0220】
たとえば、この材料はメタリックの輝きを持つ粒子、角度変色性着色剤、回折する顔料、熱変色性着色剤、蛍光増白剤および繊維、特に干渉繊維から選ばれることができる。もちろん、これらの各種材料は、2の効果の同時表示を、実際には本発明に従う新規な効果の同時表示さえも提供するように組み合わせられることができる。
【0221】
本発明に使用されることができるメタリックの輝きを持つ粒子は、特に以下のものから選ばれる。
− 少なくとも1の金属および/または少なくとも1の金属誘導体の粒子、
− 少なくとも1の金属および/または少なくとも1の金属誘導体を含む、メタリックの輝きを持つ少なくとも1の層で少なくとも部分的に被覆された、1以上の材料からつくられた、有機または無機の基体を含む粒子、および、
− 当該粒子の混合物。
【0222】
当該粒子に存在することができる金属の内で、たとえばAg、Au、Cu、Al、Ni、Sn、Mg、Cr、Mo、Ti、Zr、Pt、Va、Rb、W、Zn、Ge、Te、Seおよびこれらの混合物または合金が挙げられることができる。Ag、Au、Cu、Al、Zn、Ni、Mo、Crおよびこれらの混合物または合金(たとえば、青銅および真鍮)は好ましい金属である。
【0223】
「金属誘導体」の語は、金属から誘導された化合物、特に酸化物、フッ化物、塩化物および硫化物を表す。
【0224】
これらの粒子の例示として、アルミニウム粒子、たとえばSiberline社によってStarbrite 1200 EAC(商標)の、およびEckart社によってMetalure(商標)の名称で販売されているものが挙げられることができる。
【0225】
銅または合金混合物から生成された金属粉体、たとえばRadium Bronze社によって販売されている品番2844、金属顔料、例としてアルミニウムまたは青銅、たとえばEckhart社によってRotosafe 700の名称で販売されているもの、Eckhart社からVisionaire Bright Silverの名称で販売されているシリカコーティングアルミニウム粒子、および金属合金から形成された粒子、たとえばEckart社からVisionaire Bright Natural Goldの名称で販売されている、シリカでコーティングされた青銅(銅および亜鉛の合金)から形成された粉体が挙げられることもできる。
【0226】
粒子は、ガラス基体、たとえば日本板硝子社によってMicroglass Metashineの名称で販売されているものを含むことができる。
【0227】
角度変色性着色剤は、たとえば干渉多層膜構造体および液晶着色剤から選ばれることができる。
【0228】
本発明に従って生産される組成物に使用されることができる対称干渉多層膜構造体の例は、たとえば以下の構造体である。すなわち、Al/SiO/Al/SiO/Al、この構造を持つ顔料はDuPont de Nemours社によって販売されている。;Cr/MgF/Al/MgF/Cr、この構造を持つ顔料はFlex社によってChromaflairの名称で販売されている。;MoS/SiO/Al/SiO/MoS;Fe/SiO/Al/SiO/FeおよびFe/SiO/Fe/SiO/Fe、これらの構造を持つ顔料はBASF社によってSicopearlの名称で販売されている。;MoS/SiO/マイカ−酸化物/SiO/MoS;Fe/SiO/マイカ−酸化物/SiO/Fe;TiO/SiO/TiOおよびTiO/Al/TiO;SnO/TiO/SiO/TiO/SnO;Fe/SiO/Fe;SnO/マイカ/TiO/SiO/TiO/マイカ/SnO、これらの構造を持つ顔料はMerck社(ダームシュタット)によってXironaの名称で販売されている。例として、これらの顔料はMerck社によってXirona Magicの名称で販売されているシリカ/酸化チタン/酸化スズ構造を持つ顔料、Merck社によってXirona Indian Summerの名称で販売されているシリカ/茶色酸化鉄構造を持つ顔料、およびMerck社によってXirona Carribean Blueの名称で販売されているシリカ/酸化チタン/酸化スズ構造を持つ顔料であることができる。資生堂社からのInfinite Colors顔料が挙げられることもできる。各種の層の厚さおよび性質に従って、異なった効果が得られる。すなわち、Fe/SiO/Al/SiO/Feの構造では、320〜350nmのSiO層について緑−金から赤−グレーへ;380〜400nmのSiO層について赤から金へ;410〜420nmのSiO層について紫から緑へ;そして430〜440nmのSiO層に付いて銅色から赤へ色が変わる。
【0229】
重合体多層膜構造を持つ顔料の例として、3M社によってColor Glitterの名称で販売されているものが挙げられることができる。
【0230】
液晶角度変色性粒子の例として、たとえばChenix社によって販売されているもの、およびWacker社によってHelicone(商標) HCの名称で販売されているものが使用されることができる。
【0231】
充填剤
【0232】
本発明に従う化粧料組成物は有利には、有機または鉱物の性質の、少なくとも1の充填剤を含むこともでき、該充填剤は組成物に押出に関する改善された安定性を特に与えることを可能にする。
【0233】
「充填剤」の語は、組成物の媒体中に分散された不溶性の形態で提供される、無色または白色の、任意の形の固形粒子を意味すると理解されるべきである。鉱物または有機の性質なので、充填剤は組成物にボディまたは堅さを、および/またはメイアップに柔軟性、つや消しおよび均一性を与えることを可能にする。
【0234】
本発明に従う組成物に使用される充填剤は、薄葉状の、丸い、または球状の形を持つことができ、または繊維の形態で、またはこれらの規定された形態の中間の任意の他の形態であることができる。
【0235】
本発明に従う充填剤はその表面がコーティングされていても、いなくてもよい。特に、充填剤はその表面がシリコーン、アミノ酸、フッ素化誘導体または組成物への充填剤の分散および相容性を促進する任意の他の物質で処理されることができる。
【0236】
本発明の意義の内では、「鉱物充填剤」および「無機充填剤」の語は、互換的に使用される。
【0237】
本発明に従う組成物に使用されることができる鉱物充填剤の内で、タルク、マイカ、シリカ、トリメチルシロキシシリケート、カオリン、ベントン、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、中空シリカ微小球(Maprecos社のSilica Beads)、ガラスまたはセラミックのマイクロカプセル、シリカに基づいた充填剤、たとえばAerosil 200またはAerosil 300;旭硝子社によって販売されているSunsphare L−31またはSunsphare H−31;旭化成社によって販売されているChemicelen;シリカと2酸化チタンとの複合材、たとえば日本板硝子社によって販売されているTSG系統、並びにこれらの混合物が挙げられることができる。
【0238】
本発明に従う組成物に使用されることができる有機充填剤の内で、ポリアミド粉体(Atochem社のNylon(商標)Orgasol)、ポリ−β−アラニン粉体、ポリエチレン粉体、
ポリテトラフルオロエチレン(Teflon(商標))粉体、ラウロイルリシン、デンプン、テトラフルオロエチレン重合体から形成された粉体、重合体から形成された中空微小球、たとえばExpancel(Nobel Industrie社)、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸水素マグネシウム、8〜22の炭素原子、好ましくは12〜18の炭素原子を持つ有機カルボン酸から誘導された金属石鹸、たとえばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛またはミリスチン酸マグネシウム、Polypore(商標)L 200(Chemdal Corporation社)、シリコーン樹脂ミクロビーズ(たとえば東芝社のTospearl(商標))またはポリウレタン粉体、特に共重合体を含む、架橋したポリウレタンから形成された粉体であって、当該共重合体がトリメチロールヘキシルラクトンを含むものが挙げられることができる。特に、それはヘキサメチレンジイソシアナート/トリメチロールヘキシルラクトン重合体であることができる。当該粒子は、たとえば東色社からPlastic Powder D−400(商標)またはPlastic Powder D−800(商標)の名称で特に商業的に入手でき、そしてこれらの混合物である。
【0239】
充填剤は、本発明に従う化粧料組成物に、組成物の全重量の0.001〜35%、好ましくは0.5〜15%の割合で存在することができる。
【0240】
充填剤はたとえば、100μmより小さい、特に1〜50μmの、たとえば4〜20μmの平均粒度を持つ充填剤であることができる。
【0241】
特定の実施態様では、本発明に従う組成物は、組成物の全重量に対して、0.01〜60重量%の、特に0.5〜20重量%の、もっと特に1〜10重量%の割合で存在する、少なくとも1の充填剤を含む。
【0242】
添加剤
【0243】
本発明に従う化粧料組成物は、ゲル化剤、たとえば国際特許出願公開第2004/55080号に開示されたもの、界面活性剤、たとえば仏国特許出願公開第2834452号に開示されたもの、ガム、抗酸化剤、精油、保存剤、香料、中和剤、保湿剤、防腐剤、ビタミン、たとえばビタミンB3またはビタミンEおよびこれらの誘導体、並びにUV放射から保護する添加剤から選ばれた、関係分野で慣用的に使用されている任意の添加剤を含むこともできる。
【0244】
特定の実施態様では、本発明に従う組成物の実施に好都合に適したシリコーン界面活性剤は、非架橋型のものである。
【0245】
他の特定の実施態様では、本発明に従う組成物はアンモニウム型の界面活性剤の系統に属する界面活性剤を含まないと有利である。
【0246】
もちろん、当業者は、本発明に従う組成物に本質的に付属する有利な特性が目論まれた添加によって悪い影響を受けない、または実質的に受けないように、本発明に従う化粧料組成物に添加される任意的な一または複数の添加剤を選択することに注意するだろう。
【0247】
特定の代わりの態様では、本発明に従う化粧料組成物に使用される、一般式(1)のシリコーン重合体は、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセロール−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリグリセリル−3ジシロキサンジメチコンおよびこれらの混合物から選ばれる。
【0248】
他の代わりの態様では、本発明に従う化粧料組成物に使用される、一般式(1)のシリコーン重合体は、信越社によってKF 6100(商標)、KF 6104(商標)およびKF 6105(商標)の品番で販売されているシリコーン重合体、並びにこれらの混合物から選ばれる。
【0249】
他の代わりの態様では、本発明に従う化粧料組成物は、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンと、被膜形成剤としてのアクリレート/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン共重合体、特に信越社によってKP 561(商標)の品番で販売されているものとを組み合わせる。
【0250】
さらに他の代わりの態様では、本発明に従う化粧料組成物は、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンと、特にポリエチレンワックス、カンデリラワックス、水素化ココ−グリセリドワックス、およびこれらの混合物から選ばれた、少なくとも1のワックスとを組み合わせる。
【0251】
本発明に従う化粧料組成物に使用されることができる、ある成分は化合物の別の種類に同時に属することができることは、はっきりと明らかである。従って、別の種類に属する化合物の量を、配合物中のその存在が、当該別の種類に属する化合物の存在によって得られることが可能である効果に、適当であれば、相当する、所望の効果によって反映されるように調節することは当業者の通常の作業の範囲から逸脱しない。
【0252】
本発明に従う化粧料組成物は、特に口唇をメイクアップするための製品の形態で、特にリップスティックまたはリップバームの形態で提供されることができる。
【0253】
以下の組成物の実施例は、例示として、そして本発明を制限することなく示される。
【実施例】
【0254】
実施例1:リップスティック
信越社によってKF 6104(商標)の品番で販売されているポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンを含み、そして表1に特定された組成を持つリップスティックが調製される。
【0255】
【表1】

【0256】
手順
【0257】
イソノナン酸イソノニル、2−オクチルドデカノールおよびリンゴ酸ジイソステアリルをポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンおよびジメチコン油と熱い条件(約95℃)下に混合することによって油性相が調製される。このようにして調製された油性相は約95℃で攪拌し続けられ、そして充填剤(N−ラウロイル−L−リシンおよび熱分解シリカ(pyrogenic sikica))が混合物に加えられる。
【0258】
ワックス、顔料ペーストの形態をした顔料、水素化ポリイソブテンおよびシメチコンが次に混合物に加えられる。
【0259】
このようにして得られた混合物はその後、リップスティック金型に注型され、固形の組成物が得られるまで放置冷却される。
【0260】
この組成物の保持性、心地よさおよび光沢が、次いで上の説明に記載された実験手順に従って測定される。
【0261】
以下の2の市販製品の保持性および光沢も同じ方法に従って測定される。
− 対照例A:シリコーン重合体としてフェニルトリメチコンを含む、Maybelline社によって販売されたJelly Plumpy、
− 対照例B:シリコーン重合体として、以下の式を持つグリセロール化シリコーンを含む、花王社によって販売されたAube Rouge Glace。

【0262】
得られた結果は下の表2に示される。
【0263】
【表2】

【0264】
これらの測定では、前腕の内表面の色はL=63.9、a=8.4、b=13.3であり、そして紙ハンカチの色はL=97.9、a=0.6およびb=3.3である。
【0265】
本発明に従うリップスティックは、従来技術の市販製品AおよびBと同等の、実際には等しくさえある光沢において、よりよい保持性および、よりよい心地よさを示す。
【0266】
さらに、本発明に従うリップスティックは従来技術の比較例Bより、3〜4倍少なく移行する。
【0267】
実施例2及び3リップスティック
パーセントは重量による。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容される媒体中に、一般式(1):

{ここで、
− a、bおよびcは、aが1〜2.5であり、そしてbおよびcが互いに独立に0.001〜1.5であるようなものであり、
− Rは、同一でも異なってもよくて、以下の:
− C〜C30アルキル基であって、1以上のフッ素原子、アミノ基および/またはカルボキシル基で置換されていてもよい、
− アリールまたはアラルキル基、
− 一般式(2)の基:


(ここで、
− RはC〜C30炭化水素基、またはR−(CO)−基であり、ここでRはC〜C30炭化水素基である、そして、
− d、eおよびfは、dが0〜15であり、そしてeおよびfが互いに独立に0〜50であるような整数である。)、および、
− これらの組み合わせ、
から選ばれ、
− Rは一般式(3):


(ここで、
− Qは、少なくとも1のエーテル結合および/または少なくとも1のエステル結合を含むことができる、2価のC〜C20炭化水素基であり、そして、
− Xはポリヒドロキシル化炭化水素基である。)
によって表される基であり、ただし、Rが一般式(3A):


(ここで、nは1〜5である整数である。)
の基である場合には、RはC12アルキル基以外のものであり、
− Rは一般式(4):


(ここで、
− R基の夫々は、1以上のフッ素原子で置換されていてもよいC〜C30アルキル基、およびアリール基およびアラルキル基から選ばれた基を、互いに独立に表し、
− gおよびhは、gが1〜5であり、そしてhが0〜500であるような整数である。)
の有機シロキサン基である。}
の少なくとも1のシリコーン重合体を含むことを特徴とする、無水の化粧料組成物。
【請求項2】
生理学的に許容される媒体中に、一般式(1):


{ここで、
− a、bおよびcは、aが1〜2.5であり、そしてbおよびcが互いに独立に0.001〜1.5であるようなものであり、
− Rは、同一でも異なってもよくて、以下の:
− C〜C30アルキル基であって、1以上のフッ素原子、アミノ基および/またはカルボキシル基で置換されていてもよい、
− アリールまたはアラルキル基、
− 一般式(2)の基:


(ここで、
− RはC〜C30炭化水素基、またはR− (CO)−基であり、ここでRはC〜C30炭化水素基であるそして、
− d、eおよびfは、dが0〜15であり、そしてeおよびfが互いに独立に0〜50であるような整数である。)、および、
− これらの組み合わせ、
から選ばれ、
− Rは一般式(3):

(ここで、
− Qは、少なくとも1のエーテル結合および/または少なくとも1のエステル結合を含むことができる、2価のC〜C20炭化水素基であり、
− Xはポリヒドロキシル化炭化水素基である。)
によって表される基であり、
− Rは一般式(4):


(ここで、
− R基の夫々は、1以上のフッ素原子で置 換されていてもよいC〜C30アルキル基、およびアリール基およびアラルキル基から選ばれた基を、互いに独立に表し、
− gおよびhは、gが1〜5であり、そしてhが0〜500であるような整数である。)
の有機シロキサン基である。}
の少なくとも1のシリコーン重合体、
および少なくとも1のシリコーン油を含むことを特徴とする、無水の化粧料組成物。
【請求項3】
生理学的に許容される媒体中に、一般式(1):


{ここで、
− a、bおよびcは、aが1〜2.5であり、そしてbおよびcが互いに独立に0.001〜1.5であるようなものであり、
− Rは、同一でも異なってもよくて、以下の:
− C〜C30アルキル基であって、1以上のフッ素原子、アミノ基および/またはカルボキシル基で置換されていてもよい、
− アリールまたはアラルキル基、
− 一般式(2)の基:

(ここで、
− RはC〜C30炭化水素基、またはR− (CO)−基であり、ここでRはC〜C30炭化水素基である、そして、
− d、eおよびfは、dが0〜15であり、そしてeおよびfが互いに独立に0〜50であるような整数である。)、
− これらの組み合わせ、
から選ばれ、
− Rは一般式(3):

(ここで、
− Qは、少なくとも1のエーテル結合および/または少なくとも1のエステル結合を含むことができる、2価のC〜C20炭化水素基であり、
− Xはポリヒドロキシル化炭化水素基である。)
の基であり、そして、
− Rは一般式(4):

(ここで、
− R基の夫々は、1以上のフッ素原子で置 換されていてもよいC〜C30アルキル基、およびアリール基およびアラルキル基から選ばれた基を、互いに独立に表し、
− gおよびhは、gが1〜5であり、そしてhが0〜500であるような整数である。)
の有機シロキサン基である。}
の少なくとも1のシリコーン重合体を含むことを特徴とする、無水の化粧料組成物であって、当該重合体は、それが組成物中に十分な量であるときは、基体上に広げられると当該組成物の堆積された層の移転値が45以下であるようなものである、上記組成物。
【請求項4】
生理学的に許容される媒体中に、一般式(1):


{ここで、
− a、bおよびcは、aが1〜2.5であり、そしてbおよびcが互いに独立に0.001〜1.5であるようなものであり、
− Rは、同一でも異なってもよくて、以下の:
− C〜C30アルキル基であって、1以上のフッ素原子、アミノ基およ び/またはカルボキシル基で置換されていてもよい、
− アリールまたはアラルキル基、
− 一般式(2)の基:

(ここで、
− RはC〜C30炭化水素基、またはR− (CO)−基であり、ここでRはC〜C30炭化水素基である、そして、
− d、eおよびfは、dが0〜15であり、そしてeおよびfが互いに独立に0〜50であるような整数である。)、および、
− これらの組み合わせ、
から選ばれ、
− Rは一般式(3):

(ここで、
− Qは、少なくとも1のエーテル結合および/または少なくとも1のエステル結合を含むことができる、2価のC〜C20炭化水素基であり、
− Xはポリヒドロキシル化炭化水素基である。)
の基であり、そして、
− Rは一般式(4):


(ここで、
− R基の夫々は、1以上のフッ素原子で置 換されていてもよいC〜C30アルキル基、およびアリール基およびアラルキル基から選ばれた基を、互いに独立に表し、
− gおよびhは、gが1〜5であり、そしてhが0〜500であるような整数である。)
の有機シロキサン基である。}
の少なくとも1のシリコーン重合体を含むことを特徴とする、無水の化粧料組成物であって、当該重合体は、それが組成物中に十分な量であるときは、基体上に広げられると当該組成物の堆積された層の水に対する色の保持性が、15以下であるようなものである、上記組成物。
【請求項5】
生理学的に許容される媒体中に、一般式(1):

{ここで、
− a、bおよびcは、aが1〜2.5であり、そしてbおよびcが互いに独立に0.001〜1.5であるようなものであり、
− Rは、同一でも異なってもよくて、以下の:
− C〜C30アルキル基であって、1以上のフッ素原子、アミノ基および/またはカルボキシル基で置換されていてもよい、
− アリールまたはアラルキル基、
− 一般式(2)の基:

(ここで、
− RはC〜C30炭化水素基、またはR− (CO)−基であり、ここでRはC〜C30炭化水素基である、そして、
− d、eおよびfは、dが0〜15であり、そしてeおよびfが互いに独立に0〜50であるような整数である。)、および、
− これらの混合物、
から選ばれ、
− Rは一般式(3):

(ここで、
− Qは、少なくとも1のエーテル結合および/または少なくとも1のエステル結合を含むことができる、2価のC〜C20炭化水素基であり、
− Xはポリヒドロキシル化炭化水素基である。)
の基であり、そして、
− Rは一般式(4):

(ここで、
− R基の夫々は、1以上のフッ素原子で置 換されていてもよいC〜C30アルキル基、およびアリール基およびアラルキル基から選ばれた基を、互いに独立に表し、
− gおよびhは、gが1〜5であり、そしてhが0〜500であるような整数である。)
の有機シロキサン基である。}
の少なくとも1のシリコーン重合体を含むことを特徴とする、無水の化粧料組成物であって、当該重合体が、それが組成物中に十分な量であるときは、基体上に広げられると当該組成物の堆積された層の油に対する色の保持性が25以下であるようなものである、上記組成物。
【請求項6】
生理学的に許容される媒体中に、一般式(1):

{ここで、
− a、bおよびcは、aが1〜2.5であり、そしてbおよびcが互いに独立に0.001〜1.5であるようなものであり、
− Rは、同一でも異なってもよくて、以下の:
− C〜C30アルキル基であって、1以上のフッ素原子、アミノ基および/またはカルボキシル基で置換されていてもよい、
− アリールまたはアラルキル基、
− 一般式(2)の基:

(ここで、
− RはC〜C30炭化水素基、またはR− (CO)−基であり、ここでRはC〜C30基である、
− d、eおよびfは、dが0〜15であり、そしてeおよびfが互いに独立に0〜50であるような整数である。)、
− および、これらの組み合わせ、
から選ばれ、
− Rは一般式(3):

(ここで、
− Qは、少なくとも1のエーテル結合および/または少なくとも1のエステル結合を含むことができる、2価のC〜C20炭化水素基であり、そして、
− Xはポリヒドロキシ炭化水素基である。)
の基であり、
− Rは一般式(4):

(ここで、
− R基の夫々は、1以上のフッ素原子で置 換されていてもよいC〜C30アルキル基;アリール基およびアラルキル基から選ばれた基を、互いに独立に表し、
− gおよびhは、gが1〜5であり、そしてhが0〜500であるような整数である。)
の有機シロキサン基である。}
の少なくとも1のシリコーン重合体を含むことを特徴とする、無水の化粧料組成物であって、当該重合体が、それが組成物中に十分な量であるときは、基体上に広げられると当該組成物の堆積された層の平均光沢が30以上であるようなものである、上記組成物。
【請求項7】
生理学的に許容される媒体中に、一般式(1):

{ここで、
− a、bおよびcは、aが1〜2.5であり、そしてbおよびcが互いに独立に0.001〜1.5であるようなものであり、
− Rは、同一でも異なってもよくて、以下の:
− C〜C30アルキル基であって、1以上のフッ素原子、アミノ基およ び/またはカルボキシル基で置換されていてもよい、
− アリールまたはアラルキル基、
− 一般式(2)の基:

(ここで、
− RはC〜C30炭化水素基、またはR− (CO)−基であり、ここでRはC〜C30基である、
− d、eおよびfは、dが0〜15であり、そしてeおよびfが互いに独立に0〜50であるような整数である。)、
− および、これらの組み合わせ、
から選ばれ、
− Rは一般式(3):

(ここで、
− Qは、少なくとも1のエーテル結合および/または少なくとも1のエステル結合を含むことができる、2価のC〜C20炭化水素基であり、そして、
− Xはポリヒドロキシ炭化水素基である。)
の基であり、
− Rは一般式(4):

(ここで、
− R基の夫々は、1以上のフッ素原子で置 換されていてもよいC〜C30アルキル基、およびアリール基およびアラルキル基から選ばれた基を、互いに独立に表し、
− gおよびhは、gが1〜5であり、そしてhが0〜500であるような整数である。)
の有機シロキサン基である。}
の少なくとも1のシリコーン重合体を含むことを特徴とする、注型された形態の無水の化粧料組成物。
【請求項8】
少なくとも1のシリコーン油をさらに含むことを特徴とする、請求項1および3〜7のいずれか1項に従う組成物。
【請求項9】
シリコーン重合体が一般式(1)の化合物であり、ここでRがC〜C10アルキル基、特にC〜Cアルキル基、そして 特にC〜Cアルキル基であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に従う組成物。
【請求項10】
シリコーン重合体が一般式(1)の化合物であり、ここで、
− aが1〜1.4であり、そしてbおよびcが互いに独立に0.02〜0.04であり、
− RがC〜C10アルキル基、特にC〜Cアルキル基、そして特にC〜Cアルキル基であり、
− Rが式(3A):

(ここで、nは1〜5である。)で表され、そして、
− Rが式(4A):

(ここで、mは3〜9である。)で表される、
ことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に従う組成物。
【請求項11】
シリコーン重合体が一般式(1):

の化合物であり、
ここで、
− aが1〜1.4であり、そしてbおよびcが互いに独立に0.02〜0.04であり、
− Rがメチル基であり、
− Rが式(3A)(ここで、nは1〜5である。)で表され、そして、
− Rが式(4A)(ここで、mは3〜9である。)で表される、
ことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に従う組成物。
【請求項12】
シリコーン油が、
− 線状または環状のシリコーン油、特に8センチストークス(8×10-6/ 秒)以下の粘度を持つもの、そしてとりわけジメチコン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘ キサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンまたはドデカメチルペンタシロキサン、および、
− シリコーン油、たとえば非揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS)、吊り下がりのアルキルまたはアルコキシ基および/またはシリコーン鎖の末端にアルキルまたはアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサンであって、これらの基が 夫々2〜24炭素原子を持つもの、フェニル化シリコーン、たとえばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニル(トリメチルシロキシ)ジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニル(メチルジフェニル)トリシロキサンまたは(2−フェニルエチル)トリメチルシロキシシリケート、および、
− これらの混合物、
から選ばれることを特徴とする、請求項2および8〜11のいずれか1項に従う組成物。
【請求項13】
グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリ コール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール、(特に3〜16炭素原子を持つ)グリコールエーテル、たとえばモノ−、ジ−若しくはトリプロピレングリコール(C〜C)アルキルエーテルまたはモノ−、ジ−若しくはトリエチレングリコール(C〜C)アルキルエーテル、およびこれらの混合物から選ばれた、少なくとも1のポリオールをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に従う組成物。
【請求項14】
45以下の、特に40以下の、とりわけ35以下の移転値を持つことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に従う組成物。
【請求項15】
15以下の、特に10以下の、そしてもっと特に6以下の水に対する色の保持性を持つことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に従う組成物。
【請求項16】
25以下の、特に10以下の、そしてもっと特に8以下の油に対する色の保持性を持つことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に従う組成物。
【請求項17】
30以上の、特に40以上の、そしてもっと特に45以上の平均光沢値を持つことを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に従う組成物。
【請求項18】
注型された形態であり、そして50〜300g、特に70〜250g、そしてもっと特に100〜230gの硬さを示すことを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に従う組成物。
【請求項19】
少なくとも1の着色材料をさらに含むことを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に従う組成物。
【請求項20】
少なくとも1の充填剤をさらに含むことを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に従う組成物。
【請求項21】
少なくとも1の油をさらに含むことを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に従う組成物。
【請求項22】
当該油が、水素化ポリイソブテン、ヘプタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、テトラヒドロキシステアリン酸/テトライソステアリン酸ジペンタエリスリトール、2−オクチルドデカノール、イソノナン酸イソトリデシル、リンゴ酸ジイソステアリルおよびこれらの混合物から 選ばれた炭化水素油であることを特徴とする、請求項21に従う組成物。
【請求項23】
ワックス、ペースト状脂肪物質およびこれらの混合物から選ばれた少なくとも1の化合物をさらに含むことを特徴とする請求項1〜22のいずれか1項に従う組成物。
【請求項24】
口唇および/または皮膚をメイクアップするおよび/またはケアするための組成物、特にリップスティックであることを特徴とする請求項1〜23のいずれか1項に従う組成物。
【請求項25】
改善された保持性および改善された平均光沢を示す、無水の化粧料組成物を調製するために、請求項2、9、10および11のいずれか1項に従って定義された一般式(1)の、少なくとも1のシリコーン重合体を使用する方法。
【請求項26】
一般式(1)の当該シリコーン重合体が少なくとも1のシリコーン油と組み合わせて使用されることを特徴とする、請求項25に従う方法。
【請求項27】
当該シリコーン油が請求項12に定義されたものであることを特徴とする、請求項26に従う方法。
【請求項28】
当該組成物が45以下の、特に40以下の、とりわけ35以下の移転値を示すことを特徴とする、請求項25〜27のいずれか1項に従う方法。
【請求項29】
当該組成物が15以下の、特に10以下の、そしてもっと特に6以下の水に対する色の保持性を示すことを特徴とする、請求項25〜28のいずれか1項に従う方法。
【請求項30】
当該組成物が25以下の、特に10以下の、とりわけ8以下の油に対する色の保持性を示すことを特徴とする、請求項25〜29のいずれか1項に従う方法。
【請求項31】
当該組成物が30以上の、特に40以上の、そしてもっと特に45以上の平均光沢を示すことを特徴とする、請求項25〜30のいずれか1項に従う方法。
【請求項32】
当該化粧料組成物が注型された形態であることを特徴とする、請求項25〜31のいずれか1項に従う方法。

【公開番号】特開2006−28186(P2006−28186A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209221(P2005−209221)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】